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特開2024-28098フレキシブル管と管継手の接続構造、管継手及び目印部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028098
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】フレキシブル管と管継手の接続構造、管継手及び目印部材
(51)【国際特許分類】
   F16L 33/00 20060101AFI20240222BHJP
   F16L 21/08 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
F16L33/00 B
F16L21/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065842
(22)【出願日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】P 2022130899
(32)【優先日】2022-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000167325
【氏名又は名称】光陽産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 勇人
(72)【発明者】
【氏名】宮川 成一
【テーマコード(参考)】
3H015
3H017
【Fターム(参考)】
3H015FA06
3H017CA03
(57)【要約】
【課題】フレキシブル管と管継手の接続確認の精度を高める
【解決手段】管継手1は、継手本体10と、継手本体10に螺合されるナット部材20とを有する。ナット部材20には、内部を視認可能な確認部22fが設けられ、フレキシブル管2先端部の蛇腹管2aの露出部2eが差し込まれる。継手本体10の内部には、露出部2eが奥側へ通過することを許容し抜け出ることを阻止する係止具30が装着され、係止具30より奥側に蛇腹管2aを停止させる奥端面11hが設けられている。蛇腹管2aの露出部2eの基端側の谷部2vには周方向に延びる目印部材3が装着されている。ナット部材20の確認部22fは、蛇腹管2aが奥端面11hで停止させられたとき、目印部材3と対向するように設定されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆体の剥離により金属製の蛇腹管を露出させたフレキシブル管の先端部が管継手に差し込まれて接続される、フレキシブル管と管継手の接続構造であって、
上記管継手は、筒状の継手本体と、この継手本体の一端側の開口部に嵌め合わされ上記蛇腹管の露出部が差し込まれる筒状のナット部材とを有し、このナット部材は、内部を視認可能な確認部を有し、
上記継手本体の内部には、上記蛇腹管の露出部が奥側へ通過することを許容し抜け出ることを阻止する係止具が装着されているとともに、この係止具より奥側に上記蛇腹管を停止させる停止部が設けられ、
上記蛇腹管の露出部の所定位置には周方向に延びる目印部材が装着されており、
上記ナット部材の確認部は、上記蛇腹管が上記停止部で停止させられる状態となる過程で、上記目印部材と対向するように設定されていることを特徴とする、フレキシブル管と管継手の接続構造。
【請求項2】
上記ナット部材が、上記継手本体の開口部に嵌め合わされる基端筒部と、上記確認部を有する透明な樹脂製の先端筒部とを含み、この先端筒部の端部にある取付部が上記基端筒部の内側に嵌め合わされていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル管と管継手の接続構造。
【請求項3】
上記目印部材が、C字状に弾性変形可能に形成され、上記蛇腹管の谷部に装着され、上記蛇腹管の山部の外径より小さい外径を有するとともに、周方向と直交する断面形状を上記谷部に向かって凸の形状としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブル管と管継手の接続構造。
【請求項4】
上記目印部材が、樹脂により形成され、周方向と直交する断面形状を上記谷部に向かって凸のD字状としたことを特徴とする請求項3に記載のフレキシブル管と管継手の接続構造。
【請求項5】
被覆体の剥離により金属製の蛇腹管を露出させたフレキシブル管の先端部が、差し込まれて接続される管継手であって、
筒状の継手本体と、この継手本体の一端側の開口部に嵌め合わされ上記蛇腹管の露出部が差し込まれる筒状のナット部材とを備え、
このナット部材は、内部を視認可能な確認部を有し、
上記継手本体の内部には、上記蛇腹管の露出部が奥側へ通過することを許容し抜け出ることを阻止する係止具が装着されているとともに、この係止具より奥側に上記蛇腹管を停止させる停止部が設けられており、
上記ナット部材は、上記継手本体の開口部に嵌め合わされる基端筒部と、上記確認部を有する透明な樹脂製の先端筒部とを含み、この先端筒部の端部にある取付部が上記基端筒部の内側に嵌め合わされていることを特徴とする管継手。
【請求項6】
管継手への差し込み接続のために被覆体が剥離され金属製の蛇腹管を露出させたフレキシブル管の先端部に、装着される差し込み長さ確認用の目印部材であって、
C字状に弾性変形可能に形成され、上記蛇腹管の谷部に装着され、上記蛇腹管の山部の外径より小さい外径を有するとともに、周方向と直交する断面形状を上記谷部に向かって凸の形状としていることを特徴とする目印部材。
【請求項7】
上記目印部材が、樹脂により形成され、周方向と直交する断面形状を上記谷部に向かって凸のD字状としたことを特徴とする請求項6に記載の目印部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル管と管継手の接続構造、管継手、及び、フレキシブル管の管継手への差し込み長さを確認するための目印部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス等の供給管には、金属製の蛇腹管の外側を樹脂製の被覆体で覆ったフレキシブル管があり、配管の際にはフレキシブル管の両端部に管継手が接続される。この接続の際には、フレキシブル管の端部が被覆体の剥離により蛇腹管を露出させた状態で管継手に差し込まれる。
【0003】
フレキシブル管用の管継手には、フレキシブル管を差し込むだけで接続することができる、いわゆるワンタッチ式継手と呼ばれるものがある。この種の管継手として、例えば、下記特許文献1に記載のものは、筒状の継手本体と、この継手本体の一端側の開口部に嵌め合わされる筒状の止輪(ナット部材)とを有している。止輪には、フレキシブル管先端部の蛇腹管の露出部が差し込まれる。
【0004】
継手本体の内部には、蛇腹管の露出部が奥側へ通過することを許容し抜け出ることを阻止するリテーナ(係止具)が上記止輪の奥端部に支持され得る状態で装着されているとともに、リテーナより奥側に、蛇腹管を停止させる奥端面(停止部)が設けられている。
【0005】
止輪から差し込まれた蛇腹管の露出部が、継手本体の奥端面で停止させられ、かつリテーナに係止されることにより、フレキシブル管と管継手は接続される。接続がなされたことを確認できるように、特許文献1に記載の管継手は次の構成を有している。
【0006】
止輪は、継手本体の開口部に嵌め合わされる基端筒部と、この基端筒部に外嵌され透明な樹脂で形成された先端筒部とにより構成されている。基端筒部の入側端面から先端筒部の内面の間には、奥側への被覆体の移動を規制する規制部が形成されている。フレキシブル管の被覆体は蛇腹管先端から一定長さで剥離されており、フレキシブル管と管継手が接続されたとき、被覆体の先端が規制部に当接するようになっている。
【0007】
この被覆体の当接が透明な先端筒部を介して目視確認されることにより、フレキシブル管が管継手に接続されたと判断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5207906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載のものでは、フレキシブル管と管継手の接続の判断に、被覆体の先端と規制部の当接を用いている。しかし、これは視認性が悪く、ひいては接続確認の精度に悪影響を与えていた。また、フレキシブル管の被覆体を一定長さで正確に剥離する必要があるが、被覆体の剥離は施工者の技量や判断に依存するため、被覆体の剥離には不確実さが含まれていた。そのため、被覆体の不正確な剥離により、被覆体の先端が規制部に当接したことと、フレキシブル管が管継手に接続されたこととが一致しない状態が生じる恐れがあった。被覆体の剥離長さのずれによっては、リテーナの蛇腹管への係止が不十分な状態となる恐れがあった。
【0010】
また、止輪では、透明な樹脂製の先端筒部の取付部が基端筒部の外側に嵌め合わされて取り付けられている。そのため、先端筒部の取付部に、紫外線等による劣化が生じ易くなっており、劣化による寸法変化や破損により先端筒部が基端筒部から外れる恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題の少なくとも1つを解決するためになされたものであって、本発明の一態様に係る、フレキシブル管と管継手の接続構造は、被覆体の剥離により金属製の蛇腹管を露出させたフレキシブル管の先端部が管継手に差し込まれて接続される構造であって、
上記管継手は、筒状の継手本体と、この継手本体の一端側の開口部に嵌め合わされ上記蛇腹管の露出部が差し込まれる筒状のナット部材とを有し、このナット部材は、内部を視認可能な確認部を有し、
上記継手本体の内部には、上記蛇腹管の露出部が奥側へ通過することを許容し抜け出ることを阻止する係止具が装着されているとともに、この係止具より奥側に上記蛇腹管を停止させる停止部が設けられ、
上記蛇腹管の露出部の所定位置には周方向に延びる目印部材が装着されており、
上記ナット部材の確認部は、上記蛇腹管が上記停止部で停止させられる状態となる過程で、上記目印部材と対向するように設定されていることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、管継手に差し込まれたフレキシブル管が停止部で停止させられた状態となる過程で、蛇腹管の露出部に装着された目印部材をナット部材の確認部を介して目視することができる。これにより、管継手へのフレキシブル管の差し込み長さを確認することができ、ひいては、フレキシブル管と管継手の接続を確認することができる。剥離に不確実さを伴う被覆体を用いることなく、蛇腹管に装着された目印部材を用いることにより、目印部材の目視確認と、フレキシブル管の管継手への接続との間に矛盾が生じにくくなっている。したがって、フレキシブル管と管継手の接続確認の精度を高めることができる。
【0013】
好ましくは、上記ナット部材が、上記継手本体の開口部に嵌め合わされる基端筒部と、上記確認部を有する透明な樹脂製の先端筒部とを含み、この先端筒部の端部にある取付部が上記基端筒部の内側に嵌め合わされている。
上記構成によれば、ナット部材では、透明な樹脂製の先端筒部の取付部が、基端筒部の内側に嵌め合わされているため、紫外線等による劣化が生じ難くなっている。例え、劣化による寸法変化や破損が生じたとしても、先端筒部の取付部は、基端筒部とフレキシブル管に挟まれた状態となっているため、基端筒部から外れにくくなっている。
【0014】
好ましくは、上記目印部材が、C字状に弾性変形可能に形成され、上記蛇腹管の谷部に装着され、上記蛇腹管の山部の外径より小さい外径を有するとともに、周方向と直交する断面形状を上記谷部に向かって凸の形状としている。
上記構成によれば、弾性変形可能なC字状の目印部材が蛇腹管の谷部に装着されるため、装着作業が容易で、ずれた位置への装着が生じにくくなっている。また、目印部材が蛇腹管の山部の外径より小さい外径を有するため、管継手への蛇腹管の差し込みに支障が生じない。さらに、目印部材が、周方向と直交する断面形状を谷部に向かって凸の形状としているため、谷部に当接するように装着され谷部内での装着位置に誤差が生じにくくなっている。
【0015】
好ましくは、上記目印部材が、樹脂により形成され、周方向と直交する断面形状を上記谷部に向かって凸のD字状としている。
上記構成によれば、目印部材は、ナット部材の確認部と対向する側の表面積を大きくすることができるため、視認性を高めることができる。
【0016】
本発明の他の態様は、被覆体の剥離により金属製の蛇腹管を露出させたフレキシブル管の先端部が、差し込まれて接続される管継手であって、
筒状の継手本体と、この継手本体の一端側の開口部に嵌め合わされ上記蛇腹管の露出部が差し込まれる筒状のナット部材とを備え、
このナット部材は、内部を視認可能な確認部を有し、
上記継手本体の内部には、上記蛇腹管の露出部が奥側へ通過することを許容し抜け出ることを阻止する係止具が装着されているとともに、この係止具より奥側に上記蛇腹管を停止させる停止部が設けられており、
上記ナット部材は、上記継手本体の開口部に嵌め合わされる基端筒部と、上記確認部を有する透明な樹脂製の先端筒部とを含み、この先端筒部の端部にある取付部が上記基端筒部の内側に嵌め合わされていることを特徴とする。
【0017】
本発明の他の態様は、管継手への差し込み接続のために被覆体が剥離され金属製の蛇腹管を露出させたフレキシブル管の先端部に、装着される差し込み長さ確認用の目印部材であって、
C字状に弾性変形可能に形成され、上記蛇腹管の谷部に装着され、上記蛇腹管の山部の外径より小さい外径を有するとともに、周方向と直交する断面形状を上記谷部に向かって凸の形状としていることを特徴とする。
【0018】
好ましくは、上記目印部材が、樹脂により形成され、周方向と直交する断面形状を上記谷部に向かって凸のD字状としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、フレキシブル管と管継手の接続確認の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係る断面図であって、フレキシブル管と管継手が接続された状態を示す。
図2】同管継手を示す断面図である。
図3】同フレキシブル管の先端部に目印部材が装着された状態を示す側面図である。
図4】同実施形態を示す分解斜視図である。
図5】同管継手の継手本体と、この継手本体へ装着される部材とを分解した状態で示す断面図である。
図6】同管継手のナット部材を構成する部材と、同ナット部材に装着される部材とを示す断面図であって、(A)は基端筒部、(B)は先端筒部、(C)は第2パッキン、(D)は支持筒部、を示す。
図7図6(B)のVII矢視図である。
図8】(A)同目印部材の正面図である。(B)図8(A)のB-B線に沿う断面図である。(C)図3の円部VIIICの拡大図であって同目印部材を断面で示す。
図9】同管継手への同フレキシブル管の接続手順を示す説明図であって、(A)は接続前を示し、(B)は接続完了を示す。
図10】本発明の第2実施形態に係る管継手の断面図である。
図11】同管継手の継手本体の断面図である。
図12】同管継手のナット部材を構成する部材を示す断面図であって、(A)は基端筒部、(B)は先端筒部、を示す。
図13】同管継手へのフレキシブル管の接続手順を示す説明図であって、(A)は接続前を示し、(B)は接続途中を示し、(C)は接続完了を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図1図9を参照しながら説明する。
図1図2に示す管継手1は、ガスを供給するフレキシブル管2に接続され、フレキシブル管2を他のガス管やガス機器等に繋ぐものである。
【0022】
フレキシブル管2は、図3に示すように、薄肉の金属製の蛇腹管2aと、蛇腹管2aの外周面を覆う樹脂製の被覆体2bとによって構成されている。蛇腹管2aには、山部2mと谷部2vが形成されている。フレキシブル管2の先端は、蛇腹管2aの谷部2vで切断されている。フレキシブル管2の先端部は、所定の山数分だけ被覆体2bを剥離された蛇腹管2aの露出部2eを有しており、図1に示すように、蛇腹管2aの露出部2eが管継手1に差し込まれる。蛇腹管2aの先端から所定距離にある、露出部2eの基端側の谷部2v(所定位置)には、後述する目印部材3が周方向に延びるように装着されている。
【0023】
管継手1は、フレキシブル管2を差し込むだけで接続することができる、いわゆるワンタッチ式継手と呼ばれるものであり、図2図4に示すように、筒状の継手本体10と、筒状のナット部材20と、フレキシブル管2を係止する係止具30とを主な構成要素としている。継手本体10の一端側の開口部にナット部材20が嵌め合わされて、ナット部材20の奥端部に支持され得る状態で係止具30が継手本体10の内部に装着されている。
【0024】
継手本体10は、真鍮などの金属で形成され、長手方向の一端から他端まで貫通する接続孔11が形成されている(以下、図1図6の右側を一端側、左側を他端側として説明する)。接続孔11には、図5に示すように、一端側の開口から奥側に向かって、第1パッキン収容孔部11a、雌ネジ孔部11b、通気孔部11c、第2パッキン収容孔部11d、管支持孔部11e、及び耐火材収容孔部11fが形成されている。
【0025】
雌ネジ孔部11bと通気孔部11cとの間には、接続孔11の軸線方向一端側を向く環状の当接面11gが形成されている。耐火材収容部11fの奥側には、接続孔11の軸線方向一端側を向く環状の奥端面11h(停止部)が形成されている。継手本体10の他端部の外周面にはテーパ雄ネジ部12が形成され、継手本体10とガス機器等との接続に供されている。
【0026】
第1パッキン収容孔部11aには、図2に示すように、環状でゴム製の第1パッキン4が装着され、ナット部材20の外周面と接続孔11の内周面を封止している。雌ネジ孔部11bには、ナット部材20の後述する基端筒部21が螺合により嵌め合わされている。通気孔部11cの周壁には、径方向に貫通する通気路13が形成されており、通気路13は、選択透過性の多孔質樹脂5で閉塞されている。多孔質樹脂5は、気体の透過を許容し、液体と固体の透過を阻止する。
【0027】
雌ネジ孔部11bから通気孔部11cにかけて、図2に示すように、上記係止具30が装着されている。係止具30は、蛇腹管2aが接続孔11の奥側に通過することを許容し、蛇腹管2aの外周面に係止することにより蛇腹管2aが抜け出ることを阻止するものであって、金属製の薄い板をプレス加工することによって形成されている。
【0028】
係止具30は、円環状の基部31と、基部31の内周側に一体に形成された複数の係止片32とを有している。基部31は雌ネジ孔部11内に配置され、そこから奥側に係止片32が延びている。
【0029】
複数の係止片32は、基部31の周方向に沿って配置され、それぞれ同一形状をなし、基部31から径方向、内方向に進むにしたがって接続孔11の奥側に進むように傾斜している。複数の係止片32の先端における内接円の直径は、蛇腹管の山部2mの外径より小さくなるように形成されている。
【0030】
第2パッキン収容孔部11dは、図2図5に示すように、その軸線方向の両端部より中間部で内径が大きく形成され、ゴム製の環状の第2パッキン6を収容している。第2パッキン6は、その周方向と直交する断面形状において、軸線方向の両端部より中間部で外径が大きく形成され、第2パッキン収容孔部11d内で圧入状態となっており、軸線方向にはわずかに移動可能である。第2パッキン6は、その内径が蛇腹管2aの山部2mの外径より小さく形成されており、第2パッキン収容孔部11dの内周面と蛇腹管2aの外周面との間を封止する。
【0031】
管支持孔部11eは、蛇腹管2aの山部2mの外径と同等の内径を有しており、蛇腹管2aの先端の山部2mを内周面に当接させて支持することができる。
耐火材収容孔部11fには、環状で断面円形の耐火膨張黒鉛7が収容されている。耐火膨張黒鉛7は、火災等により高温になると膨張し、蛇腹管2aの外周面と耐火材収容孔部11fとの間を封止し、例え第2パッキン6が焼失したとしても、管継手1からのガスの漏出を防ぐことができる。
【0032】
ナット部材20は、図4図6に示すように、他端側の基端筒部21と、一端側の先端筒部22と、先端筒部22の一端側に取り付けられる支持筒部23とにより構成され、図2に示すように、T型水密パッキン8が装着されている。
【0033】
基端筒部21は金属製で、図2図6(A)に示すように、その外周面には、一端側にややずれた位置に雄ネジ部21aが形成され、上記継手本体10の雌ネジ孔部11bに螺合されている。基端筒部21は、金属製に限らず、樹脂等の材料により形成されてもよい。基端筒部21の一端側の端面には、図4に示すように、工具掛け用の凹溝21bが一対形成され、径方向に対向するように配置されている。凹溝21bに工具(図示しない)を係合させて基端筒部21を回転させることにより、雄ネジ部21aを継手本体10の雌ネジ孔部11bに対してねじ込んだり、螺合を緩めたりすることができる。
【0034】
基端筒部21の内部には、図2図6(A)に示すように、一端側から他端側に向かって、抜け止め突部21c、嵌合凹部21d、及び支持壁部21eが形成されている。
抜け止め突部21cは、径方向、内方向に突出し、環状をなしており、一端側にテーパ面21fを有している。嵌合凹部21dは、環状に形成されている。
【0035】
支持壁部21eは、径方向、内方向に突出し、環状をなしており、抜け止め突部21cより内方向に突出している。支持壁部21eは、その内周面に蛇腹管2aの山部2mを当接させて支持可能な内径を有している。支持壁部21eの他端側は、上記係止具30の基部31に当接して基部31を支えることが可能な支持面21g(ナット部材の奥端部)となっている。支持面21gの外周部には、筒状のスペーサ部21hが軸方向に突出するように設けられている。
【0036】
図2に示すように、スペーサ部21hの端面が継手本体10の当接面11gに当接することにより、当接面11g、スペーサ部21h及び支持面21gとの間に空間が形成されている。この空間内に、係止具30の基部31が径方向及び軸方向の遊びを有して配置されている。
【0037】
先端筒部22は透明な樹脂製で、その他端部の外周面には、図6(B)に示すように、嵌合突部22a(取付部)と収容凹部22bが形成されている。嵌合突部22aは、径方向、外方向に突出し、環状をなしており、他端側にテーパ面22cを有している。収容凹部22bは環状に形成されている。先端筒部22の他端部の内部には、管支持突部22dが形成され、径方向、内方向に突出し、環状をなしている。管支持突部22dは、その内周面に蛇腹管2aの山部2mを当接させて支持可能な内径を有している。
【0038】
先端筒部22の他端部には、他端面から一端側へ向かって延びる複数のスリット22eが形成されている。本実施形態では、図7に示すように、周方向に等間隔に4つのスリット22eが形成され、収容凹部22bの中途部まで延びている。スリット22eが形成されることにより、先端筒部22の他端部が弾性的に拡縮径可能になっている。
【0039】
図2に示すように、嵌合突部22aが上記基端筒部21の嵌合凹部21dに嵌合することにより、先端筒部22が基端筒部21の内側に嵌め合わされて取り付けられている。このとき、基端筒部21の抜け止め突部21cは先端筒部22の収容凹部22bに収容されている。
【0040】
先端筒部22を基端筒部21に取り付けるためには、嵌合突部22aのテーパ面22c(図6(B))を抜け止め突部21cのテーパ面21f(図6(A))に当接させ、先端筒部22を押し込む。これにより、先端筒部22の他端部が縮径し、嵌合突部22aが抜け止め突部21cを乗り越え、嵌合凹部21dに嵌合する。
【0041】
収容凹部22bより一端側は、確認部22fとなっており、管継手1に差し込まれたフレキシブル管2の蛇腹管2aを目視できるようになっている。
確認部22fは、その外周面に、径方向、外方向に突出し環状をなす封止突部22gを有している。封止突部22gは、先端筒部22の軸線方向他端側を向く起立面22hと、一端側に向かうにしたがって径方向、内方向に進む傾斜面22iとを有している。起立面22hは、上記収容凹部22bの一部をなすとともに、上記第1パッキン4に当接している。
【0042】
確認部22fより一端側は、先端筒部22の他の部位よりも外径が大きく形成された大径部22jとなっている。先端筒部22の内径は、大径部22jから上記管支持突部22dまでは、被覆体2bの挿通を許容可能な大きさに形成されている。大径部22jの一端側は、ゴム製のT型水密パッキン8を支持筒部23に支持された状態で収容するために、内径がより大きく形成されている。大径部22jの内部の一端側には、径方向、内方向に突出し環状をなす突起22kが形成されている。大径部22jの内部の他端側には、軸線方向一端側を向く環状の当接面22mが形成されている。
【0043】
支持筒部23は樹脂製で、図6(D)に示すように、その一端部の外周面に径方向、外方向に突出し環状をなす突起23aを有している。突起23aは、一端側及び他端側にそれぞれ急斜面及び緩斜面を有している。この突起23aを、上記緩斜面を利用して上記大径部22jの突起22kの奥側に無理入れすることにより、支持筒部23は、先端筒部22に取り付けられている。
【0044】
支持筒部23は、一端側に平板状の円環部23bを有し、円環部23bの他端側の外周部に筒状部23cを有している。円環部23bの内径は、フレキシブル管2の被覆体2bが挿通可能な大きさに形成されている。図2に示すように、円環部23bと、筒状部23cと、上記大径部22jの当接面22mとにより囲まれた空間に上記T型水密パッキン8が収容されている。
【0045】
T型水密パッキン8は環状に形成され、図6(C)に示すように、その周方向と直交する断面形状がT字状をなしている。T型水密パッキン8は、その内径がフレキシブル管2の被覆体2bより小さく形成されており、図1に示すように、被覆体2bの外周面と、円環部23b、筒状部23c及び当接面22mとの間を封止している。
【0046】
目印部材3について詳細に説明する。
目印部材3は、図8(A)に示すように、樹脂によりC字状に弾性変形可能に形成され拡縮径可能であって、図8(B)に示すように、その周方向と直交する断面形状を、径方向、内方向に向かって凸のD字状としている。目印部材3は、その切断部分から蛇腹管2aの谷部2vに装着することができ、目印部材3の装着作業は容易である。
【0047】
図8(C)に示すように、目印部材3は、谷部2vに装着されるため、ずれた位置への装着が生じにくく、特に、凸状の内側部分が谷部2vに当接するように装着されるため、谷部2v内での装着位置に誤差が生じにくくなっている。また、目印部材3の外径は、蛇腹管2aの山部2mの外径より小さく形成されているため、蛇腹管2aの露出部2eを管継手1に支障なく差し込むことができる。
【0048】
D字状の断面を有する目印部材3は、ナット部材20の確認部22fに近い位置で、外周側の表面積を大きくすることができるため、視認性を高めることができる。また、目印部材3は、蛇腹管2aや被覆体2bに対し際立たせるように着色されてもよく、これにより、視認性をより高めることができる。
【0049】
目印部材3は、樹脂製に限らず、金属等の弾性変形可能な材料により形成されてもよい。また、目印部材3は、その周方向と直交する断面形状を、D字状に限らず、径方向、内方向に向かって凸の他の形状としてV字状やU字状としてもよい。
【0050】
上記構成の管継手1への上記構成のフレキシブル管2の接続について、図9を参照して説明する。
図9(A)に示す接続前の状態から、フレキシブル管2の蛇腹管2aの露出部2eを、ナット部材20の支持筒部23から管継手1内に差し込むと、図9(B)に示すように、係止具30の係止片32は押し拡げられるように弾性変形し、蛇腹管2aの露出部2eは係止片32の内周を通過する。蛇腹管2aの先端が接続孔11の奥端面11hに当接して停止するまでフレキシブル管2を差し込むことにより、フレキシブル管2は管継手1に接続される。
【0051】
この接続状態のとき、係止具30は、その係止片32の先端が蛇腹管2aの傾斜する外周面に当接又は対向することにより、蛇腹管2aの露出部2eを係止し又は係止可能とし、フレキシブル管2は抜け止めされている。また、第2パッキン6は蛇腹管2aの外周面と接続孔11の内周面との間を封止し、T型水密パッキン8は被覆体2bの外周面とナット部材20の内周面との間を封止している。
【0052】
また、フレキシブル管2が管継手1に接続された状態のとき、蛇腹管2aの露出部2eの基端部が、ナット部材20の先端筒部22の確認部22fに対応する位置にある。そのため、露出部2eの基端側の谷部2vに装着された目印部材3と、確認部22fとが、管継手1の径方向に対向しており、目印部材3を確認部22fから目視できる。これにより、管継手1へのフレキシブル管2の差し込み長さを確認でき、ひいては、フレキシブル管2と管継手1の接続を確認することができる。例えば、目印部材3が継手本体10の一端側の端面に到達したことを目視するにより、接続が完了したと確認することができる。
【0053】
上記実施形態によれば、フレキシブル管2と管継手1の接続確認を、蛇腹管2aへの装着位置に誤差の生じにくい目印部材3を目視することにより行っている。そのため、目印部材3の目視と、フレキシブル管2と管継手1の接続との間に矛盾が生じにくくなっており、フレキシブル管2と管継手1の接続確認の精度を高めることができる。従来技術に比べ、剥離に不確実さを伴う被覆体2bを接続確認に用いていないため、例え、被覆体2bを所定の山数分より多く剥離したとしても、接続確認に影響がない。
上記実施形態によれば、透明な樹脂製の先端筒部22の他端部の嵌合凸部22a(取付部)が、金属製の基端筒部21の内側の嵌合凹部21dに嵌め合わされているため、先端筒部22の他端部に紫外線等による劣化が生じにくくなっている。例え、劣化による寸法変化や破損が生じたとしても、先端筒部22の他端部は、基端筒部21と蛇腹管2aの間に挟まれた状態となっているため、基端筒部21から外れにくくなっている。
【0054】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態については、上記実施形態と異なる構成だけを説明することとし、同様な構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0055】
[第2実施形態]
図10図13は、本発明の第2実施形態を示す。この実施形態においては、フレキシブル管2と管継手1の接続完了の確認の仕方を異ならせている。
【0056】
一般に、管継手については、フレキシブル管の保持強度を高めるという要請がある。フレキシブル管については、管継手との接続時の施工ミスを防ぐために、先端部の被覆体の剥離は、蛇腹管の所定の山数分とする、という施工上の慣例がある。
これらを踏まえ、本実施形態では、管継手1を長くして、フレキシブル管2を深く差し込めるようにして保持強度を高めるとともに、蛇腹管2aに装着された目印部材3の目視確認の仕方を異ならせている。
【0057】
本実施形態の管継手1では、図10図11に示すように、継手本体10の雌ネジ孔部11bが、第1実施形態に比べ、軸線方向により長く設定されている。これに対応して、雌ネジ孔部11bに螺合により嵌め合わされる、ナット部材20の基端筒部21には、その一端側にも、図10図12(A)に示すように、筒状のスペーサ部21iが軸方向に突出するように設けられている。基端筒部21の外周面には、雌ネジ孔部11bの長さに対応した長さの雄ネジ部21aが形成されている。
【0058】
ナット部材20の先端筒部22では、図10図12(B)に示すように、収容凹部22bが、確認部22fを構成する封止突部22gとは、間隔を空けて形成されている。これにより、確認部22fは、第1実施形態と比べ、継手本体10の奥端面11hから離れて配置されている。
上記構成により、本実施形態の管継手1は、第1実施形態と比べ軸線方向に長く形成されており、フレキシブル管2が深く差し込まれる。
【0059】
本実施形態の管継手1における、フレキシブル管2の接続時の差し込み長さの確認について、図13を参照して説明する。
図13(A)に示す接続前の状態から、蛇腹管2aの露出部2eを、管継手1内に差し込むと、図13(B)に示すように、蛇腹管2aの先端が、接続孔11の奥端面11hの手前の位置に到達する。このとき、露出部2eの基端側の谷部2vに装着された目印部材3と、確認部22fとが対向し、目印部材3を確認部22fから目視できる。
【0060】
図13(C)に示すように、蛇腹管2aをさらに差し込んで、先端を奥端面11hに当接させる。このとき、図13(B)で確認部22fから目視できていた目印部材3は、継手本体10の内部に入り込み、目視できなくなる。これにより、フレキシブル管2が接続に必要な長さだけ管継手1に差し込まれて、フレキシブル管2と管継手1の接続が完了したことを確認することができる。
【0061】
なお、この発明は、上記第1、第2の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
上記実施形態では、先端筒部22と支持筒部23とを別体としているが、一体に形成してもよい。
上記実施形態では、フレキシブル管2と管継手1の接続の際、蛇腹管2aの先端が接続孔11の奥端面11hに当接して停止するまでフレキシブル管2を差し込んだが、耐火膨張黒鉛7を停止部として、耐火膨張黒鉛7に蛇腹管2aの先端を当接させて停止させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、フレキシブル管と管継手の接続構造、管継手、及び、フレキシブル管の管継手への差し込み長さを確認するための目印部材、に適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1:管継手、
2:フレキシブル管、2a:蛇腹管、2b:被覆体、2e:蛇腹管の露出部、2m:山部、2v:谷部、
3:目印部材、
4:第1パッキン、5:多孔質樹脂、6:第2パッキン、7:耐火膨張黒鉛(停止部)、8:T型水密パッキン、
10:継手本体、
11:接続孔、11a:第1パッキン収容孔部(開口部)、11b:雌ネジ孔部(開口部)、11c:通気孔部、11d:第2パッキン収容孔部、11e:管支持孔部、11f:耐火材収容孔部、11g:当接面、11h:奥端面(停止部)、12:テーパ雄ネジ部、13:通気路、
20:ナット部材、
21:基端筒部、21a:雄ネジ部、21b:凹溝、21c:抜け止め突部、21d:嵌合凹部、21e:支持壁部、21f:テーパ面、21g:支持面、21h:スペーサ部、21i:スペーサ部、
22:先端筒部、22a:嵌合突部(取付部)、22b:収容凹部、22c:テーパ面、22d:管支持突部、22e:スリット、22f:確認部、22g:封止突部、22h:起立部、22i:傾斜面、22j:大径部、22k:抜け止め突起、22m:当接面、
23:支持筒部、23a:突起、23b:円環部、23c:筒状部、
30:係止具、31:基部、32:係止片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13