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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028111
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/256 20210101AFI20240222BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20240222BHJP
【FI】
H01M50/256 101
H01M50/296
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080891
(22)【出願日】2023-05-16
(62)【分割の表示】P 2022130138の分割
【原出願日】2022-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】512167183
【氏名又は名称】安田 憲太
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】安田 憲太
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA06
5H040AA20
5H040AS06
5H040AY04
5H040DD06
5H040GG28
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】運搬容易な電池パックを提供すること。
【解決手段】電池部と、前記電池部を収容し、柱状の形状を有する筐体と、前記筐体の外
面に露出して備えられる外部接続端子と、前記筐体に固定される支持構造体と、を備える
電池パックである。前記支持構造体は、前記電池パックの長手方向の少なくとも一方の端
に、前記筐体の長手方向に対して垂直に配置されるリング部を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池部と、
前記電池部を収容し、柱状の形状を有する筐体と、
前記筐体の外面に露出して備えられる外部接続端子と、
前記筐体に固定される支持構造体と、を備える
電池パックであって、
前記支持構造体は、前記電池パックの長手方向の少なくとも一方の端に、前記筐体の長手
方向に対して垂直に配置されるリング部を含む、
電池パック。
【請求項2】
前記リング部は、前記リング部を側面から見るとき、角が曲面に形成されている、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記外部接続端子は、前記支持構造体で囲まれる領域内に配置される、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項4】
前記電池パックを端面から見るとき、
前記支持構造体は、前記筐体の外周面よりも外方に張り出す部分を有さない、
請求項1または請求項2に記載の電池パック。
【請求項5】
前記支持構造体は、
前記筐体の長手方向の両端面のそれぞれから外方に突出するように設けられる、
請求項1または請求項2に記載の電池パック。
【請求項6】
前記支持構造体は、
前記リング部と、
前記リング部と前記筐体との間を接続する複数の支柱部と、を含む、
請求項1または請求項2に記載の電池パック。
【請求項7】
前記支持構造体は、
前記リング部と、
前記リング部と前記筐体との間を接続する円筒状の支持壁と、を含み、
前記支持壁には、複数の開口部が形成されている、
請求項1または請求項2に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
電池パックを運びやすくするための構成が検討されている。例えば特許文献1は、蓄電
池本体の両側面に一対のブラケット部材が設けられ、ブラケットにハンドルを着脱可能で
ある電池パックを開示している。
【0003】
また、特許文献2は、蓄電池モジュールが収納される筐体の側面にボルト穴が配置され
、ボルト穴に運搬用取手を着脱可能である電池ユニットを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7036801号公報
【特許文献2】特開2019-109985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載された電池パックはいずれも、着脱可能な取手を備えることによ
って、電池パックの移動や設置を容易にする。このような構造は、電池パックが手持ちで
きる重さ(例えば20Kg程度まで)である場合に有用である。しかしながら、持ち上げ
て運ぶことが困難なほど重い電池パックを運搬するための構成としては、十分であるとは
いえない。
【0006】
本開示の目的は、運搬容易な電池パックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかる電池パックは、電池部と、前記電池部を収容し、柱状の形状を有する筐
体と、前記筐体の外面に露出して備えられる外部接続端子と、前記筐体に固定される支持
構造体と、を備える。前記支持構造体は、前記電池パックの長手方向の少なくとも一方の
端に、前記筐体の長手方向に対して垂直に配置されるリング部を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、運搬容易な電池パックを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1にかかる電池パックの斜視図である。
図2図1に示す電池パックの側面図である。
図3図1に示す電池パックを端面から見る状態の平面図である。
図4図1に示す電池パックの一部を拡大し、運搬時の一状態を示す模式図である。
図5】実施の形態2にかかる電池パックの斜視図である。
図6図5に示す電池パックの側面図である。
図7図5に示す電池パックを端面から見る状態の平面図である。
図8】本開示にかかる電池パックを運搬する状態を示す模式図である。
図9】本開示にかかる電池パックを保管および運搬する状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態の概要]
本開示にかかる電池パックは、電池部と、前記電池部を収容し、柱状の形状を有する筐
体と、前記筐体の外面に露出して備えられる外部接続端子と、前記筐体に固定される支持
構造体と、を備える。前記支持構造体は、前記電池パックの長手方向の少なくとも一方の
端に、前記筐体の長手方向に対して垂直に配置されるリング部を含む。
【0011】
産業用車輛、農機、建設機械等を含む幅広い分野で電動化が進んでいる。これに伴って
、より大容量のバッテリが必要とされ、また、充電が容易なバッテリに対するニーズがあ
る。特に、産業用車輛や農機等では、車輛自体の移動に加えてアームやロータ等の作業機
械を駆動させるために大電力が必要とされる。このような用途で使用が想定されるバッテ
リは、電池としての性能に加えて、移動しやすさ、保管しやすさ、耐環境性能が求められ
る。一方で、バッテリはその性質上、重量が大きくなることが避けられない。
【0012】
このような背景の下、持ち上げて運ぶことが困難であるほど重量が大きい(例えば20
Kg以上など)バッテリであっても、人の手で運搬できるようにするための構成が検討さ
れた。そして、持ち上げることなく転がして運搬するという着想が得られた。さらに検討
が進められ、柱状の筐体の端部に、リング状の支持構造体が備えられた電池パックが想到
された。
【0013】
本開示にかかる電池パックは、筐体に固定される支持構造体を備え、長手方向の少なく
とも一方の端に、筐体の長手方向に対して垂直に配置されるリング部を含む。この構成に
よれば、電池パックを傾けてリング部を点接地させ、その状態でリング部の形状を利用し
て電池パック全体を回転させることによって、電池パックを移動させることができる。こ
のため、電池パックを持ち上げることなく、少ない力で移動させることが可能である。す
なわち、運搬のための機械装置を用いることなく人の手で、大容量で重量の大きなバッテ
リを運搬できる。また、支持構造体を下にして電池パックを立てた状態で保管することが
可能となる。このとき、床面や地面と筐体の間は支持構造体によって離隔されるため、電
池パックの筐体が床面や地面に直接接地することがない。このため、筐体内部への水分や
汚染物質の侵入を防止できる。万一保管場所に浸水等が生じた場合でも、筐体に収容され
る電池が影響を受けにくく、耐環境性能および安全性に優れる。
【0014】
前記リング部は、前記リング部を側面から見るとき、外側の角が曲面に形成されていて
もよい。リング部の角が曲面に形成されていることによって、電池パックを傾けて点接地
させることが容易になり、また、安定に運搬できる。
【0015】
前記外部接続端子は、前記支持構造体で囲まれる領域内に配置されていてもよい。一般
に電池パックには、外部装置への給電や電池パックの充電のために外部接続端子(コネク
タ)が備えられる。外部接続端子は、取り扱い易さを考慮して筐体から突出した形態で設
けられることが多い。このため、電池パックが転倒したり、電池パック同士が衝突したり
する場合に外部接続端子が破損するおそれがあった。この点、本開示にかかる電池パック
は、支持構造体で囲まれる領域内に外部接続端子が配置されることによって、支持構造体
がプロテクタとして機能し、外部接続端子が保護される。このため、運搬および保管がよ
り容易で、安全性の高い電池パックが得られる。
【0016】
前記電池パックを端面から見るとき、前記支持構造体は、前記筐体の外周面よりも外方
に張り出す部分を有さないものであってよい。このような構成であれば、電池パックの筐
体同士を近接させて並べることができる。支持構造体が筐体よりも張り出さない構成とす
ることで、支持構造体を備えることによる電池パックの占有体積の増加を抑えられる。こ
の構造であれば、複数の電池パックを近接させて高密度に並べることが可能となり、保管
しやすい電池パックが得られる。
【0017】
前記支持構造体は、前記筐体の長手方向の両端面のそれぞれから外方に突出するように
設けられてもよい。筐体の両端面に支持構造体を備えることによって、電池パックの両端
のいずれを接地させた場合にも容易に運搬できる。また、一方の支持構造体を接地させ、
他方の支持構造体を手で支えて回転させることによって、より安定かつ容易に電池パック
を運搬できる。
【0018】
前記支持構造体は、前記リング部と、前記リング部と前記筐体との間を接続する複数の
支柱部と、を含んでよい。支持構造体がこの構成であれば、支持構造体を取り付けること
による重量増加を抑制できる。また、筐体の端面に水などが溜まることがなく、水分、埃
や汚れが付着した場合にも速やかに取り除くことができる。
【0019】
前記支持構造体は、前記リング部と、前記リング部と前記筐体との間を接続する円筒状
の支持壁と、を含み、前記支持壁には、複数の開口部が形成されていてもよい。支持構造
体がこの構成であれば、重量の大きなバッテリであっても安定に支持し、運搬できる。ま
た、支持壁に開口部が形成されていることによって、筐体の端面に水などが溜まることが
なく、水分、埃や汚れなどが付着した場合にも速やかに取り除くことができる。
【0020】
[実施形態の具体例]
次に、本開示にかかる電池パックの具体的な実施の形態の一例を、図面を参照しつつ説
明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説
明は繰り返さない。
【0021】
(実施の形態1)
本開示にかかる電池パックの実施形態の一例である電池パック1の構成を、図1図3
に基づいて説明する。図1は、電池パック1の斜視図である。図2は、電池パック1の側
面図である。図3は、電池パック1を端面から見る状態の平面図である。なお、いずれも
図面も模式図であり、本開示にかかる効果に直接関連する主要な構成以外は、図示を省略
している。
【0022】
図1を参照して、電池パック1は、電池部11と、電池部11を収容する筐体31と、
筐体31の外面に露出して備えられる外部接続端子41と、筐体31に固定される支持構
造体51と、を備える。筐体31および支持構造体51が、電池パック1の外装体21を
構成する。
【0023】
電池パック1の寸法は制限されるものではないが、例えば、筐体31の長手方向の長さ
L1は500mm~1800mm程度であってよく、典型的には800mm~1400m
m程度である。筐体31と両端に備えられる支持構造体51とを合計した長さL2は、7
00mm~2000mm程度であってよく、典型的には1000mmm~1800mm程
度である。この範囲の寸法であれば、電池パックを傾けた状態で点接地させて、人の手で
転がすことが容易である。
【0024】
電池パック1の重量は特に制限されるものではなく、例えば5Kg以上であってよく、
典型的には20Kg以上である。重量の上限も限定されないが、例えば200Kg以下で
ある。特に、本開示にかかる電池パックは、手で持ち上げて運搬するのが困難であるほど
重量の大きなバッテリを、機械装置を用いることなく人の手で運搬可能とするものである
【0025】
筐体31は、長手方向に垂直な断面が略正方形である、四角柱状の形状である。なお、
筐体31の形状は、図1に示す形状以外の角柱状または円柱状の形状であってよい。例え
ば、筐体31の長手方向に垂直な断面は、略正方形以外の矩形であってもよいし、矩形の
角の一部が切り取られた形状や、六角形、八角形等であってもよい。また、断面の角が曲
面とされた角丸多角形であってもよい。なお、柱状とは、長手方向に伸びる1または複数
の側面と、側面の端を封止するように延在する端面とから形成される立体形状を広く含み
、複数の側面は互いに同一の形状でなくてもよい。すなわち、電池パックが組み込まれる
装置の形状や電池パックが備える各種の構成に応じて、角柱の側面および/または角柱の
端面に凹部や突起部が形成されていてもよい。また、筐体が円柱状である場合、筐体の長
手方向に垂直な断面は、正円、楕円、円弧と直線が組み合わされた形状等のいずれであっ
てもよい。本開示にかかる電池パックは、筐体の形状に関わらず、筐体に固定される支持
構造体の端にリング部を備えることによって、人の手で容易に運搬することを可能にする
【0026】
筐体31の内部に、電池部11が収容される。電池部11の具体的な構成は制限されな
いが、大略的には、直列または並列に接続された複数の電池セルと、電池セルと配線を介
して接続された配線基板とを含む。配線基板は、電池セルの動作を制御・管理する電子回
路を搭載する。電池セルとしては、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニ
ッケルカドミウム電池等の二次電池が挙げられる。配線基板は基板ホルダに保持されてよ
く、基板ホルダと電池セルは互いに固定される。電池部11は、電池セルと配線基板との
組み合わせ(電池モジュール)を複数含んでもよい。筐体31の内部には、電池部11以
外にも、例えば安全装置、制御装置、センサ等の各種の装置が収容されうる。
【0027】
電池部11は、配線を介して外部接続端子41と接続される。外部接続端子41は、少
なくとも一部が筐体31の外面に露出して備えられる。外部接続端子41は、プラス(+
)側端子およびマイナス(-)側端子である一対の端子を含む。当然ながら、外部接続端
子41は、図1に示される態様以外にも1または複数の出力端子、1または複数の入力端
子を含んでよい。
【0028】
電池パック1は、その長手方向の両端それぞれに支持構造体51を備える。支持構造体
51は、筐体31に固定されている。具体的には、支持構造体51は、筐体31の長手方
向の端面に、長手方向に外方に突出するように設けられている。支持構造体51は、筐体
31に対して取り外し不能に固定されてもよく、筐体31から取り外し可能に固定されて
もよい。
【0029】
支持構造体51について説明する。図1図2を参照して、支持構造体51は、リング
部52と、支柱部53と、ベース部54と、を含む。リング部52は、その円周が筐体3
1の長手方向に対して垂直に位置するよう配設されている。電池パック1は、長手方向の
両末端にリング部52を有している。筐体31の長手方向の端面31a、31eのそれぞ
れに、ベース部54が固定されている。ベース部54と離隔して、ベース部54に平行に
(すなわち端面31a、31eに平行に)リング部52が設けられている。ベース部54
とリング部52は支柱部53によって接続されている。支柱部53は、リング部52の周
方向に等間隔に離隔して8箇所に設けられている。支柱部53の数は当然ながら限定され
ず、必要な強度に応じて4~16箇所程度でありえる。リング部52は、ベース部54に
対してわずかに径が小さい。この構成は必須ではなく、リング部52とベース部54は同
一径であってもよい。また、ベース部54を備えず、支柱部53が直接端面31a、31
eに固定されていてもよい。
【0030】
リング部52は、全周にわたって一定の太さを有し、その径方向の断面が円形である、
パイプ状または中実丸棒状の部材で構成される。このため、リング部52を側面から見る
とき(すなわち図2の状態)、外側の角Cは曲面である。角Cが曲面であるため、電池パ
ック1を傾けて点接地させる時、接地面に対する安定性に優れる。また、電池パック1を
任意の角度に傾けて安定に保持できるため、取扱者の体格等によらず取り扱いが容易であ
る。
【0031】
支持構造体51は、例えば鋼材でもよく、硬質樹脂や樹脂複合材料で構成されてもよい
。支持構造体51の材質は特に制限されず、電池パック1の重量と必要強度を考慮して適
宜選択される。筐体31も同様であり、例えば鋼材でもよく、硬質樹脂や樹脂複合材料で
構成されてもよい。重量の増加を抑制する観点から、電池パック1の外装体21を構成す
る筐体1および支持構造体51は、硬質樹脂または硬質樹脂と鋼材の組み合わせであるこ
とが好ましい。
【0032】
外部接続端子41は、筐体31の端面31eに配置され、支持構造体51で囲まれる領
域の内側に位置している。なお、図示されていないが、支持構造体51で囲まれる領域内
には、外部接続端子41以外にも例えば、入力端子、出力端子等の各種のコネクタ類、各
種スイッチ、各種インジケータ、液晶表示部、取手等が配置されることも好ましい。外部
接続端子41は支持構造体51に囲まれる領域内のみに配置されてもよく、一部または全
部が、それ以外の領域(例えば筐体31の側面)に配置されてもよい。
【0033】
図3を参照して、筐体31の端面31eは略正方形の形状を有する。すなわち、筐体3
1の長手方向に垂直な断面(外周面31cが囲む領域の断面)はほぼ正方形である。端面
31eの一辺の長さW1は、例えば150mm~800mm程度であってよく、典型的に
は200mm~500mm程度である。図3に示すように電池パック1を端面から見ると
き、支持構造体51は、筐体31の外周面31cよりも外方に張り出す部分を有さない。
リング部52は正円の円環状であり、リング部52の外径は端面31eの一辺の長さW
とほぼ同じにされている。
【0034】
図4は、電池パック1の一部を拡大し、運搬時の一状態を示す模式図である。電池パッ
ク1は、ドラム缶を運搬する方法と同様の要領で運搬できる。図4を参照して、電池パッ
ク1を運搬する際には、接地面に対して電池パック1を傾けて、リング部52が点接地す
るようにする。この状態で、取扱者が電池パック1を支えつつ、リング部52に沿うよう
に電池パック1を回転させることによって、電池パック1を移動させる。リング部52の
角Cが曲面に形成されているため、取扱者は電池パック1を安定に保持できる。
【0035】
(実施の形態2)
続いて、本開示にかかる電池パックの実施形態の一例である電池パック101について
説明する。図5は、電池パック101の斜視図である。図6は、電池パック101の側面
図である。図7は、電池パック101を端面から見る状態の平面図である。電池パック1
01の筐体31は電池パック1と同様であり、同じ符号を付して説明を省略する。
【0036】
図5を参照して、電池パック101は、支持構造体151の構成において電池パック1
と異なる。支持構造体151は、筐体31の両端面31a、31eのそれぞれから長手方
向に外方に突出するように設けられている。支持構造体151の全体は、板材を曲げて構
成された肉厚の円筒状の部材であり、その端部152eは曲面に形成されている。
【0037】
図6を参照して、支持構造体151は、リング部152と支持壁153とが連続して一
体に構成されている。リング部152はその外側の角Cが曲面に形成されている。支持壁
153は円筒状の壁面であり、支持壁153の周方向に互いに等間隔に離隔して、複数の
開口部155が設けられている。支持構造体151では開口部155が8箇所設けられて
いるが、開口部の数は特に制限されない。開口部155は、筐体31の端面31a、31
eに接するように設けられる。
【0038】
図6図7を参照して、筐体31と支持構造体151とが、電池パック101の外装体
121を構成する。支持構造体151は、筐体31の外周面31cから外方に突出しない
ように形成されている。すなわち、リング部152の外径は、筐体31の端面31eの一
辺の長さW1とほぼ同一とされている。リング部152の端部152eは端面31a、3
1eと平行であり、筐体31の長手方向に対して垂直とされている。すなわち、リング部
152の円周方向は、筐体31の長手方向に対して垂直とされている。このため、リング
部152を接地させ、電池パック101を立てた状態で保管できる。また、電池パック1
01を傾けて、リング部152を点接地させた状態で、電池パック101を回転させて容
易に運搬できる。
【0039】
(変形例)
本開示にかかる電池パックは、上記の具体例以外にも様々な態様でありうる。例えば、
支持構造体は筐体の端部の一方のみに配設されていてもよい。筐体と支持構造体とが連続
した一体として構成されてもよい。支持構造体のリング部は、切れ目のない円環状に限定
されず、全体としてリング状をなしていればよい。すなわち、一部に切れ目のある円環状
であってもよい。支持構造体のリング部の寸法は、強度および運搬の容易さを考慮して決
定されてよく、筐体の一辺よりも外径の小さなリング部としてもよく、また、筐体の一辺
よりも外径の大きなリング部であってもよい。リング部は、本開示にかかる効果が得られ
る限り、正円に限られず、筐体の形状に合わせて、例えば楕円、角丸多角形(例えば八角
形、十角形等)等であってもよい。
【0040】
(使用の態様)
図8は、電池パック1を運搬する状態を示す模式図である。電池パック1を運搬する手
順は、おおむね次のとおりである。まず、保管場所において、あるいは電池パックが組み
込まれる装置(作業車輛等)から電池パック1を取り出して、リング部52の一方を下に
して電池パック1を立てた状態にする。次いで、取扱者が電池パック1の上部の支持構造
体51に手を掛け、図8に示されるように電池パック1を傾けて点接地させた状態で保持
する。次いで、リング部52の円周に沿うよう電池パック1を回転させることによって、
電池パック1を移動させる。このような運搬方法を用いると、例えば100Kgを超える
電池パックであっても、運搬装置を用いることなく人の手で移動させることが可能である
【0041】
図9は、電池パック1を保管および運搬する状態を示す模式図である。図9を参照して
、電池パック1は、立てた状態で密接させて複数並べて保管することができ、管理しやす
さにも優れている。また、下面に支持構造体51が設けられているため、筐体31が保管
場所の床面や地面に直接接地することがない。また、上部の支持構造体51にロープ等を
掛けて、ホイストクレーンや重機等で移動させることも容易である。
【0042】
本開示にかかる電池パックの用途は特に制限されないが、電動産業用車輛、電動農機、
電動建設機械等の作業車両における交換可能なバッテリとして、産業用、医療用、あるい
は一般家庭用の各種作業機械における交換可能なバッテリとして、また、汎用電源(モバ
イルバッテリ)として、好適に使用されうる。
【0043】
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと解され
るべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、
特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が意図される。
【符号の説明】
【0044】
1、101 電池パック、11 電池部、31 筐体、41 外部接続端子、51、15
1 支持構造体、52、152 リング部、53 支柱部、54 ベース部、153 支
持壁、155 開口部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9