(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028142
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】ひげぜんまいを有し、圧力補償手段を備える測時器調整部材
(51)【国際特許分類】
G04B 17/22 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
G04B17/22 Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023116481
(22)【出願日】2023-07-18
(31)【優先権主張番号】22191188.6
(32)【優先日】2022-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャンニ・ディ ドメニコ
(72)【発明者】
【氏名】バティスト・イノー
(72)【発明者】
【氏名】モハマド フセイン・カーロバイヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-リュック・エルフェ
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・ウィンクレ
(57)【要約】
【課題】ひげぜんまいを有し、圧力補償手段を備える測時器調整部材を提供すること。
【解決手段】本発明は、測時器ムーブメントのための調整部材(1)に関し、調整部材(1)は、回転錘(19)、例えばてんぷと、可撓性条片(2)を備えるひげぜんまいとを備え、可撓性条片(2)は、可撓性条片(2)自体の回りに複数回巻回し、条片(2)は、回転錘が回転振動運動を受けることを可能にする既定の剛性を有し、条片(2)は、条片(2)の外側端部(9)を備え、調整部材(1)は、外部圧力を補償する弾性デバイス(50)を備え、弾性デバイス(50)は、測時器ムーブメントに対して固定されている第1の支持体(7)に条片(2)の外側端部(9)を接続し、弾性補償デバイス(50)は、調整部材(1)に対する外部圧力の影響を補償するため、外部圧力に応じて弾性補償デバイス(50)の剛性を適合するように構成される。
本発明は、そのような調整部材(1)を備える測時器ムーブメントにも関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測時器ムーブメントのための調整部材(1、10)であって、前記調整部材(1、10)は、回転錘(19)、例えばてんぷと、可撓性条片(2)を備えるひげぜんまいとを備え、前記可撓性条片(2)は、前記可撓性条片(2)自体の回りに複数回巻回し、前記条片(2)は、前記回転錘が回転振動運動を受けることを可能にする既定の剛性を有し、前記条片(2)は、外側端部(9)を備える、調整部材(1、10)において、前記調整部材(1、10)は、外部圧力を補償する弾性デバイス(50)を備え、前記弾性デバイス(50)は、前記測時器ムーブメントに対して固定されている第1の支持体(7)に前記条片(2)の前記外側端部(9)を接続し、前記弾性補償デバイス(50)は、前記調整部材(1、10)に対する前記外部圧力の影響を補償するため、前記外部圧力に応じて前記弾性補償デバイス(50)の剛性を適合するように構成されることを特徴とする、調整部材(1、10)。
【請求項2】
前記弾性補償デバイス(50)は、前記条片(2)の前記外側端部(9)と前記非可動支持体(7)との間に配置される弾性要素(5)と、前記外部圧力に応じて前記弾性要素(5)に対して可変力又はトルクを加える応力印加手段(6)とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の調整部材。
【請求項3】
前記応力印加手段(6)は、前記弾性要素(5)に接続されるばね部を備え、前記ばね部は、前記力又は前記トルクを前記弾性要素(5)に伝達することを特徴とする、請求項2に記載の調整部材。
【請求項4】
前記応力印加手段(6)は、アネロイド・カプセルを備え、前記アネロイド・カプセルの体積は、前記外部圧力に応じて可変力又はトルクを伝達するように、前記外部圧力に応じて変化することを特徴とする、請求項2に記載の調整部材。
【請求項5】
前記アネロイド・カプセルは、少なくとも1つのばね(16)によって接続された可動壁(13)と非可動壁(15)とを備えることを特徴とする、請求項4に記載の調整部材。
【請求項6】
前記ばね部は、前記弾性要素(5)に接続された可撓性羽根(11)を備えることを特徴とする、請求項4に記載の調整部材。
【請求項7】
前記ばね部は、前記第1の可撓性羽根(11)に接続された変換段(33)を備え、前記アネロイド・カプセルは、前記変換段(33)と接触することを特徴とする、請求項5に記載の調整部材。
【請求項8】
前記弾性部は、前記第1の可撓性羽根(11)に接続された第1の可動要素(22)と、第2の可動要素(28)とを備え、前記第1の可動要素(22)及び前記第2の可動要素(28)は、一対の平行可撓性羽根(25)によって接続されることを特徴とする、請求項6に記載の調整部材。
【請求項9】
前記ばね部は、前記第2の可動要素(28)を前記アネロイド・カプセルに接続する第2の可撓性羽根(21)を備えることを特徴とする、請求項8に記載の調整部材。
【請求項10】
前記弾性要素(5)は、懸架点形状体(3)と、前記懸架点形状体(3)を前記第1の固定支持体(7)に接続する一対の非交差羽根(4)とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の調整部材。
【請求項11】
前記応力印加手段(6)は、前記懸架点形状体(3)に対して前記力又はトルクを加えるように、前記懸架点形状体(3)に接続されることを特徴とする、請求項9に記載の調整部材。
【請求項12】
前記調整部材は、前記応力印加手段(6)、例えば前記第1の細長い可動要素(22)に対して可変力(49、59)を加えるため、前記応力印加手段(6)を調整する手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載の調整部材。
【請求項13】
前記調整部材(1、10)は、前記回転質量体を除き、実質的に同じ平面内に延在することを特徴とする、請求項1に記載の調整部材。
【請求項14】
請求項1に記載の調整部材(1、10)を備える測時器ムーブメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調整部材に関し、調整部材は、ひげぜんまいを有し、圧力補償手段を備える。本発明は、そのような調整部材を備える測時器ムーブメントにも関する。
【背景技術】
【0002】
今日の大部分の機械式時計は、ひげぜんまいと、スイスレバー脱進機機構とを備える。ひげぜんまいは、時計の時間基準を構成する。ひげぜんまいは、振動子又は調整部材とも呼ばれる。
【0003】
脱進機について、脱進機は、
-振動子の往復運動を維持する、
-これらの往復運動を計数する
という、2つの主な機能を果たす。
【0004】
慣性要素、案内装置及び弾性戻し要素は、調整部材を構成するために必要とされる。従来、ひげぜんまいは、てんぷによって構成される慣性要素のための弾性戻し要素として働く。このてんぷは、枢動体によって回転案内され、枢動体は、概して、ルビー平坦軸受け内で回転する。
【0005】
振動数は、機械式振動子のために選択され、測時器ムーブメントの既定の速度を得るために決定される。
【0006】
しかし、動作中、そのような機械式振動子は、外部パラメータの変化によって生じる干渉を受けることがあり、振動子に振動数のばらつきをもたらす。これらのパラメータは、例えば、温度、圧力、湿度又は重力である。振動子の振動数のばらつきは、時間測定に誤差、したがって測時器ムーブメントの速度に誤差をもたらす。
【0007】
例えば、文献CH704687は、ひげぜんまいと、温度によるひげぜんまいの変形を修正するため、ひげ持の位置を修正する部材とを備える調整部材を記載している。
【0008】
現時点では、周囲圧力の変動を補償するように構成された補償手段を備える調整部材は、一切存在しない。したがって、例えば高度のために圧力が変化すると、調整部材は、精密さを失う。というのは、圧力差が調整部材の空力的摩擦を変えるためである。例えば、圧力が増大すると、調整部材の振動数を低減させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ひげぜんまいを有し、圧力補償手段を備える測時器調整部材を提供することによって、上述の欠点の一部又は全てを克服することであり、圧力補償手段は、正確で、ひげぜんまいに適合される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的で、本発明は、測時器ムーブメントのための調整部材に関し、調整部材は、振動質量体、例えばてんぷと、可撓性条片を備えるひげぜんまいとを備え、可撓性条片は、可撓性条片自体の回りに複数回巻回し、条片は、振動質量体が回転振動運動を実施するのを可能にする既定の剛性を有し、条片は、外側端部を備える。
【0012】
本発明は、調整部材が外部圧力を補償する弾性デバイスを備えるという点で注目に値し、弾性デバイスは、測時器ムーブメントに対して固定されている第1の支持体に条片の外側端部を接続し、弾性補償デバイスは、調整部材に対する外部圧力の影響を補償するため、外部圧力に応じて弾性補償デバイスの剛性を適合するように構成される。
【0013】
本発明のために、応力印加手段は、圧力に応じて弾性補償デバイスの弾性要素に対して可変力又はトルクを加え、圧力の著しい変化にもかかわらず調整部材が実質的に正確な稼働を保つようにする。この理由は、圧力が変化すると、応力印加手段が、弾性要素に対して加えられる力又はトルクを修正し、弾性要素とひげぜんまいとを備える組立体の剛性を修正するためである。この組立体の剛性を修正することによって、調整部材の速度が調節される。したがって、圧力が変化すると、弾性デバイスは、この変化に対してひげぜんまいの速度を調節するように機械的に影響を与えられる。
【0014】
この弾性要素は、取付け点の剛性を修正し、振動子に更なる可撓性をもたらす。したがって、振動子の効果的な剛性は、条片の剛性及び弾性要素の剛性を含む。この可変力又はトルクは、好ましくは、条片に応力を印加せず、条片の端部を変位させずに、弾性要素に応力を印加することを可能にする。弾性要素に応力を印加することによって、弾性要素の剛性が変化する一方で、条片の剛性は、依然として変化しない。というのは、条片に応力は印加されず、条片の端部は変位しないためである。
【0015】
弾性要素の可撓性を変化させることによって、振動子の剛性(条片の剛性及び弾性要素の剛性)が変化するため、これにより、振動子の速度を修正する。弾性要素は、好ましくは、条片より堅く、全体の剛性における弾性要素の可撓性の寄与は、条片の可撓性の寄与より低い。したがって、弾性要素の剛性を修正すると、振動子全体の剛性を修正し、したがって、振動子の速度を微調整し、我々の時間基準の振動数を正確に調節可能にする。したがって、圧力に応じて稼働を維持する際に多大な精度が得られる。
【0016】
本発明の特定の実施形態によれば、弾性補償デバイスは、条片の外側端部と非可動支持体との間に配置される弾性要素と、外部圧力に応じて弾性要素に対して可変力又はトルクを加える応力印加手段とを備える。
【0017】
本発明の1つの特定の実施形態によれば、応力印加手段は、弾性要素に接続されるばね部を備え、ばね部は、力又はトルクを弾性要素に伝達する。
【0018】
本発明の特定の実施形態によれば、応力印加手段は、アネロイド・カプセルを備え、アネロイド・カプセルの体積は、外部圧力に応じて可変力又はトルクを伝達するように外部圧力に応じて変化する。
【0019】
本発明の特定の実施形態によれば、アネロイド・カプセルは、少なくとも1つのばねによって接続された可動壁と非可動壁とを備える。
【0020】
本発明の1つの特定の実施形態によれば、ばね部は、弾性要素に接続された第1の可撓性羽根を備える。
【0021】
本発明の1つの特定の実施形態によれば、ばね部は、第1の可撓性羽根に接続された変換段を備え、アネロイド・カプセルは、変換段と接触する。
【0022】
本発明の特定の実施形態によれば、弾性部は、第1の可撓性羽根に接続された第1の可動要素と、第2の可動要素とを備え、第1の可動要素及び第2の可動要素は、一対の平行可撓性羽根によって接続される。
【0023】
本発明の1つの特定の実施形態によれば、ばね部は、アネロイド・カプセルに接続された第2の可撓性羽根を備える。
【0024】
本発明の1つの特定の実施形態によれば、弾性要素は、懸架点形状体と、懸架点形状体を第1の固定支持体に接続する一対の非交差羽根とを備える。
【0025】
本発明の1つの特定の実施形態によれば、応力印加手段は、懸架点形状体に対して力又はトルクを加えるように懸架点形状体に接続される。
【0026】
本発明の1つの特定の実施形態によれば、調整部材は、応力印加手段、例えば第1の細長い可動要素に対して可変力を加えるため、応力印加手段を調整する手段を備える。
【0027】
本発明の1つの特定の実施形態によれば、調整部材は、振動質量体を除き、実質的に同じ平面内に延在する。
【0028】
本発明は、そのような調整部材を含む測時器ムーブメントにも関する。
【0029】
本発明の目的、利点及び特徴は、添付の図面を参照しながら非限定的な例として示されるにすぎないいくつかの実施形態を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】圧力補償手段を備える調整部材の第1の実施形態の概略断面平面図である。
【
図2】圧力補償手段を備える調整部材の第2の実施形態の概略断面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1及び
図2はそれぞれ、本発明による調整部材1、10の一実施形態を示し、調整部材1、10は、調整部材1、10に加えられた圧力の変動を補償するように構成された弾性デバイス50を備える。そのような調整部材1、10は、測時器ムーブメント内に配置され、測時器ムーブメントを調整することが意図される。
【0032】
両実施形態では、調整部材1、10は、可撓性条片2を備えるひげぜんまいを備え、可撓性条片2は、可撓性条片2自体の回りに複数回巻回する。可撓性条片2は、外側端部9と内側端部8とを備える。
【0033】
調整部材1、10は、回転錘、例えば、条片2の内側端部8に接続される、図示しない環状てんぷを備え、条片2は、回転錘が回転振動運動を受けることを可能にする既定の剛性を有する。例えば、回転錘は、軸方向回転シャフトを備え、条片2の内側端部8は、前記シャフトに接続される。
【0034】
好ましくは、調整部材1、10は、ひげぜんまいの上の平行平面内で振動する回転錘を除き、実質的に同じ平面内に延在する。
【0035】
本発明によれば、調整部材1、10は、外部パラメータを補償する弾性デバイス50を備え、デバイスは、調整部材1、10に対する圧力の影響を補償するように、圧力に応じて弾性要素5の剛性を適合するように構成される。
【0036】
弾性補償部材50は、ひげぜんまいに対する圧力変動の影響を補償するため、周囲圧力の変動に応じて弾性補償部材50の剛性を適合するように構成される。弾性補償デバイス50は、好ましくは、条片2より大きい剛性を有する。
【0037】
弾性デバイス50は、弾性要素5を備え、弾性要素5は、測時器ムーブメントに対して固定されている支持体7、例えば固定板に条片2の外側端部9を接続する。弾性デバイス50は、外部パラメータに応じて弾性要素5に可変力又はトルクを加える応力印加手段6を更に備える。
【0038】
弾性要素5は、この場合、懸架点形状体3と、懸架点形状体3を固定支持体7に接続する一対の非交差羽根4とを備える。懸架点形状体3は、例えば、高さが実質的に直径に等しい円筒体であり、非交差羽根4は、懸架点形状体3から固定支持体7まで延在する。
【0039】
弾性要素5は、可撓性条片2に継続して配置され、ひげぜんまい及び弾性要素5は、隣接しているが、回転錘が振動する間、接触しないようにする。
【0040】
応力印加手段6は、懸架点形状体3に対して力又はトルクを加えるように構成される。したがって、応力印加手段6が非交差羽根4の剛性を修正するので、弾性デバイスの剛性が修正される。
【0041】
応力印加手段6は、単一可撓性羽根11を備えるばね部を備え、単一可撓性羽根11は、懸架点形状体3に接続される。単一可撓性羽根11は、ひげぜんまいに接する弾性要素の軸内に延在し、外側端部9に対してわずかにずれている。
【0042】
ばね部は、更に、弾性要素5に伝達される可変力又はトルクを受けるように構成される。
【0043】
図1に示される第1の実施形態では、応力印加手段6のばね部は、変換段33を備え、変換段33は、第1のL字形可動要素12と、ムーブメントに対して固定されている第2の支持体18とを備える。第1の可動要素12は、L字形可動要素12の第1の腕部の一端によって単一可撓性羽根11に接続される。L字形可動要素12の第2の腕部は、外側に丸い突起53を含む。変換段33は、第1の可動要素12を第2の固定支持体18に接続する2つの実質的に平行な可撓性羽根14を備える。
【0044】
外部圧力に応じて可変力又はトルクをばね部に伝達するため、応力印加手段6は、アネロイド・カプセルを備える。
【0045】
そのようなカプセルは、一般に、大気圧を測定するために使用される。この目的で、カプセルは、少なくとも部分的に空気のない空間を備え、カプセルの可動壁を保持するように空間内にばね型の弾性戻し要素を備える。したがって、外部圧力が増大すると、カプセルが圧縮され、外部圧力が低減すると、カプセルが拡大する。
【0046】
図1では、アネロイド・カプセルは、外部圧力に応じて変動する体積を備える。
【0047】
この目的で、アネロイド・カプセルは、可動壁13と非可動壁15とを備える。図示しない気密室は、可動壁13及び非可動壁15の内部に少なくとも部分的に真空をもたらすことを可能にする。
【0048】
非可動壁は、ムーブメントに対して動かせず、例えば、板又は固定板受けに固着されている。非可動壁15は、ここでは概略的な平行六面体形状を有する。
【0049】
可動壁13も概略的な平行六面体形状を有し、可動壁13は、非可動壁15に面して配置される。
【0050】
アネロイド・カプセルは、ばね16を更に備え、ばね16は、可動壁13及び非可動壁15を接続し、アネロイド・カプセルの弾性戻し要素を形成する。ばね16は、可動壁13と非可動壁15との間に配設される。
【0051】
可動壁13に加えられた圧力に応じて、ばね16は、特に圧力が下がると拡張する、又は特に圧力が増大すると収縮する。したがって、ばね16は、非可動壁15の近くに可動壁13を移動させるか、又は非可動壁15から離して移動させる。
【0052】
応力印加手段6のばね部は、アネロイド・カプセルに接続され、ばね部は、アネロイド・カプセルから弾性要素5の点形状体3に力又はトルクを伝達する。
【0053】
変換段33の機能は、カプセルの分離距離を点形状体3の応力に変換することである。
【0054】
圧力が変化すると、可動壁13は、非可動壁15の近くに移動する、又は非可動壁15から離れて移動する。したがって、変換段33の可動要素12は、弾性要素5に向かうより大きな又はより小さな推力を受け、この力は、単一可撓性羽根11を介して点形状体3に伝達される。
【0055】
応力印加手段6は、弾性要素5に対して可変推力を加える。したがって、弾性要素5の剛性は変化し、外部圧力条件にてんぷの稼動を適合させ、調整部材の精度を保つことを可能にする。
【0056】
例えば、圧力が変化すると、可動壁13は、非可動壁15の近くに移動する。この近くへの移動により、応力印加手段6によって加えられる点形状体3に対する推力の低減を生じさせる。したがって、弾性要素5の剛性が増大する。
【0057】
一方で、圧力が低減すると、可動壁13は、非可動壁15から離れて移動する。この離れる移動により、応力印加手段6によって加えられる点形状体3に対する推力の増大を生じさせる。したがって、弾性要素5の剛性が低減する。
【0058】
第2の実施形態では、調整部材10は、ひげぜんまいと、回転錘(図示せず)と、弾性要素5と、第1の実施形態と同一の第1の可撓性羽根11とを備える。
【0059】
弾性要素5に対して力又はトルクを加えるため、負荷印加要素6のばね部は、第1の細長い可動要素22を備え、第1の細長い可動要素22は、可撓性羽根11に接続され、可撓性羽根11に継続して配設される。
【0060】
ばね部は、第1の対の平行可撓性羽根25を備え、第1の対の平行可撓性羽根25は、同じ側に配置され、第1の可動要素22を第2の可動要素28に接続する。
【0061】
第2の可動要素28は、第2の可撓性羽根21によってアネロイド・カプセル15の側方に接続され、第2の可撓性羽根21は、調整部材10が静止位置にある際に第1の可動要素22に実質的に平行である。
【0062】
第2の対の平行可撓性羽根26は、第2の可動要素28を第3の要素27に接続し、第3の要素27は、測時器ムーブメントに対して固定されている。第2の対の平行可撓性羽根26及び第3の可動要素27は、第2の対の平行可撓性羽根25及び第2の可動要素28と直列に配置される。第3の非可動要素27は、例えば、固定板に固着される。
【0063】
第1の可動要素22に対して力を加えるため、ねじ等の調整手段を追加し得る。力59を増大させることによって、アネロイド・カプセルの変位が第1の可動要素22により小さい程度に伝達される一方で、力を低減させることによって、アネロイド・カプセルの変位は、第1の可動要素22により大きな程度に伝達される。調整手段は、圧力に応じた応力印加手段6の感度の調整を可能にする。
【0064】
したがって、可動壁13が非可動壁15から離れて移動する、又は非可動壁15の近くに移動すると、第2の可撓性羽根21は、変位を第2の可動要素28に伝達し、第2の可動要素28は、第2の対の平行可撓性羽根25を介して変位を第1の可動要素22に伝達する。第1の可動要素22は、第1の可撓性羽根11を通じて弾性要素5に力又はトルクを伝達するように第1の変換段33によって案内される。
【0065】
第1の実施形態と同様に、圧力変動は、アネロイド・カプセル15の体積を変動させ、したがって、弾性要素5の剛性及び調整部材10の稼働を修正させる。
【0066】
本発明は、更に、図示しない測時器ムーブメントに関し、ムーブメントは、前述のような回転調整部材1、10を備える。
【0067】
当然、本発明は、図面を参照しながら説明した実施形態に限定されず、変形形態を本発明の範囲から逸脱することなく想定し得る。
【符号の説明】
【0068】
1 調整部材
2 可撓性条片
3 懸架点形状体
4 一対の非交差羽根
5 弾性要素
6 応力印加手段
7 非可動要素
9 外側端部
10 調整部材
11 第1の可撓性羽根
19 回転錘
21 第2の可撓性羽根
22 第1の可動要素
25 一対の平行可撓性羽根
28 第2の可動要素
33 変換段
49 可変力
50 弾性デバイス
59 可変力
【外国語明細書】