(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028149
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】エレベータ昇降路内でのレーダセンサの使用時にターゲット反射体を正確に認識する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/40 20060101AFI20240222BHJP
G01S 7/03 20060101ALI20240222BHJP
G01S 13/34 20060101ALI20240222BHJP
B66B 5/00 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
G01S7/40 191
G01S7/03 200
G01S13/34
B66B5/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023124509
(22)【出願日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】202210991338.2
(32)【優先日】2022-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ルー
(72)【発明者】
【氏名】ジェンカン ユー
(72)【発明者】
【氏名】ファン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ユー フー
【テーマコード(参考)】
3F304
5J070
【Fターム(参考)】
3F304BA07
3F304CA18
3F304EA01
5J070AB18
5J070AC03
5J070AE20
5J070AF02
5J070AK35
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エレベータシステム内のエレベータかごの位置を決定するためにレーダセンサを訓練するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】ターゲット反射体信号を較正するステップと、1つ以上の基準反射体信号を較正するステップと、ターゲット反射体信号の周波数と1つ以上の基準反射体信号の周波数とを比較するステップと、1つ以上の基準反射体信号のそれぞれについて、ターゲット反射体信号と基準反射体信号との間の周波数距離を決定するステップと、1つ以上の基準反射体信号のそれぞれの周波数距離に基づいて測距信号パターンを生成するステップと、を含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータシステム内のエレベータかごの位置を決定するためにレーダセンサを訓練するための方法であって、前記方法は、
前記レーダセンサによって、ターゲット反射体信号を較正するステップと、
前記レーダセンサによって、1つ以上の基準反射体信号を較正するステップと、
前記レーダセンサによって、前記ターゲット反射体信号の周波数と前記1つ以上の基準反射体信号の周波数とを比較するステップと、
前記レーダセンサによって、前記1つ以上の基準反射体信号のそれぞれについて、前記ターゲット反射体信号と前記基準反射体信号との間の周波数距離を決定するステップと、
前記レーダセンサによって、前記1つ以上の基準反射体信号のそれぞれの前記周波数距離に基づいて測距信号パターンを生成するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
位置決定要求を受信するステップと、
前記位置決定要求に応答して送信信号を含む電磁波を放射するステップと、
主反射体及び1つ以上の基準反射体による前記電磁波の反射からの信号を監視するステップと、
前記レーダセンサによって検出可能な信号を記録するステップと、
記録した信号ごとに、周波数領域f1、f2、...fnにわたって周波数差F(n-1)n=fn-1-fnを繰り返し計算するステップと、
計算した前記周波数差との前記測距信号パターンの一致を探索するステップと、
前記測距信号パターンとの一致を判定するステップと、
前記一致に基づいて前記ターゲット反射体信号を識別するステップと、
前記ターゲット反射体信号に基づいて距離を決定するステップと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
エレベータシステム内のレーダセンサによって信号周波数シグネチャを較正するための方法であって、前記方法は、
前記レーダセンサによって、送信信号を含む電磁波を放射して、第1の位置で構成された反射体を用いて較正手順を実行するステップと、
前記レーダセンサによって、前記反射体による前記電磁波の反射を含む第1の信号を受信するステップと、
前記レーダセンサによって、前記反射体の前記第1の位置に対応する前記第1の信号を記録するステップと、
前記レーダセンサによって、前記反射体に結合された電気機械デバイスを作動させて、前記反射体を第2の位置に移動させるステップと、
前記レーダセンサによって、前記第2の位置で構成された前記反射体による前記電磁波の反射を含む第2の信号を受信するステップと、
前記レーダセンサによって、前記反射体の前記第2の位置に対応する前記第2の信号を記録するステップと、
前記レーダセンサによって、前記第1の信号を前記第2の信号と比較するステップと、
前記レーダセンサによって、複数の信号の中から前記反射体に対応する信号を識別するために前記レーダセンサによって使用可能な基準周波数差を決定するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的な実施形態は、概してエレベータシステムに関し、具体的には、電波探知測距(「レーダ」)センサを備えた、改善されたエレベータ位置決めシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の/既存のエレベータ位置決めシステムでは、障害物がエレベータ昇降路内に存在する場合があり、それによってレーダセンサが適切に機能することが妨げられ得る。具体的には、障害物がエレベータ昇降路内に信号ノイズを導入する場合があり、そのような環境でのレーダセンサの使用時にエラーをもたらし得る。したがって、エレベータ位置決めシステムにおけるそのような課題及び困難を克服する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に記載の様々な実施形態は、レーダベースのエレベータ位置決めシステムにおいて反射体からの信号を識別するための構成要素、装置、及びシステムに関する。
【0004】
本開示の様々な実施形態によると、エレベータシステム内のエレベータかごの位置を決定するためにレーダセンサを訓練するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、レーダセンサによって、ターゲット反射体信号を較正するステップと、レーダセンサによって、1つ以上の基準反射体信号を較正するステップと、レーダセンサによって、ターゲット反射体信号の周波数と1つ以上の基準反射体信号の周波数とを比較するステップと、レーダセンサによって、1つ以上の基準反射体信号ごとに、ターゲット反射体信号と基準反射体信号との間の周波数距離を決定するステップと、レーダセンサによって、1つ以上の基準反射体信号のそれぞれの周波数距離に基づいて測距信号パターンを生成するステップと、を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、ターゲット反射体信号は、主反射体による、レーダセンサによって放射された電磁波の反射からの信号を含み得る。いくつかの実施形態では、ターゲット反射体信号は、主反射体に対応する静的位置に関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、ターゲット反射体信号を較正するステップは、レーダセンサによって、送信信号を含む電磁波を放射することと、レーダセンサによって、主反射体による電磁波の反射からのターゲット反射体信号を監視することと、を含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の基準反射体信号は、1つ以上の対応する基準反射体による、レーダセンサによって放射された電磁波の反射からの1つ以上の信号を含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の基準反射体信号は、1つ以上の基準反射体に対応する静的位置に関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の基準反射体信号を較正するターゲット反射体信号を較正するステップは、レーダセンサによって、送信信号を含む電磁波を放射することと、レーダセンサによって、1つ以上の対応する主反射体による電磁波の反射からの1つ以上の基準反射体信号を監視することと、を含み得る。いくつかの実施形態では、周波数距離は、ターゲット反射体信号と基準反射体信号との間の信号周波数の差を含み得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、本方法は、位置決定要求を受信するステップと、位置決定要求に応答して送信信号を含む電磁波を放射するステップと、主反射体及び1つ以上の基準反射体による電磁波の反射からの信号を監視するステップと、レーダセンサによって検出可能な信号を記録するステップと、記録した信号ごとに、周波数領域f1、f2、...fnにわたって周波数差F(n-1)n=fn-1-fnを繰り返し計算するステップと、計算した周波数差との測距信号パターンの一致を探索するステップと、測距信号パターンとの一致を判定するステップと、一致に基づいてターゲット反射体信号を識別するステップと、ターゲット反射体信号に基づいて距離を決定するステップと、を更に含み得る。いくつかの実施形態では、位置決定要求は、レーダセンサがエレベータかごの高さを決定することを求める要求を含み得る。いくつかの実施形態では、本方法は、所与の周波数領域の信号からの記録した信号ごとの周波数差を、周波数領域ごとに行列行に追加するステップを更に含み得る。いくつかの実施形態では、本方法は、周波数領域によって、測距信号パターンの周波数距離を計算した周波数差と一致させるステップを更に含み得る。
【0007】
別の実施形態によると、エレベータシステム内のエレベータかごの位置を決定するためにレーダセンサを訓練するためのシステムが提供される。いくつかの実施形態では、システムは、実行可能命令が記憶されたメモリデバイスと、実行可能命令に応答して、ターゲット反射体信号を較正し、1つ以上の基準反射体信号を較正し、ターゲット反射体信号の周波数と1つ以上の基準反射体信号の周波数とを比較し、1つ以上の基準反射体信号のそれぞれについて、ターゲット反射体信号と基準反射体信号との間の周波数距離を決定し、1つ以上の基準反射体信号のそれぞれの周波数距離に基づいて測距信号パターンを生成するように構成されたプロセッサと、を備える。
【0008】
いくつかの実施形態では、周波数距離は、ターゲット反射体信号と基準反射体信号との間の信号周波数の差を含み得る。いくつかの実施形態では、プロセッサは、位置決定要求を受信し、位置決定要求に応答して送信信号を含む電磁波を放射し、主反射体及び1つ以上の基準反射体による電磁波の反射からの信号を監視し、レーダセンサによって検出可能な信号を記録し、記録した信号ごとに、周波数領域f1、f2、...fnにわたって周波数差F(n-1)n=fn-1-fnを繰り返し計算し、計算した周波数差との測距信号パターンの一致を探索し、測距信号パターンとの一致を判定し、一致に基づいてターゲット反射体信号を識別し、ターゲット反射体信号に基づいて距離を決定するように更に構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサは、所与の周波数領域の信号からの記録した信号ごとの周波数差を、周波数領域ごとに行列行に追加するように更に構成され得る。
【0009】
更に別の実施形態によると、エレベータシステム内のレーダセンサによって信号周波数シグネチャを較正するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、レーダセンサによって、送信信号を含む電磁波を放射して、反射体が第1の位置で構成された状態で較正手順を実行するステップと、レーダセンサによって、反射体による電磁波の反射を含む第1の信号を受信するステップと、レーダセンサによって、反射体の第1の位置に対応する第1の信号を記録するステップと、レーダセンサによって、反射体に結合された電気機械デバイスを作動させて、反射体を第2の位置に移動させるステップと、レーダセンサによって、第2の位置で構成された反射体による電磁波の反射を含む第2の信号を受信するステップと、レーダセンサによって、反射体の第2の位置に対応する第2の信号を記録するステップと、レーダセンサによって、第1の信号を第2の信号と比較するステップと、レーダセンサによって、レーダセンサによって使用可能な基準周波数差を決定して、複数の信号の中から反射体に対応する信号を識別するステップと、を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の信号を第2の信号と比較するステップは、第1の信号に関連付けられた初期周波数を第2の信号に関連付けられた第2の周波数と比較することを更に含み得る。いくつかの実施形態では、電気機械デバイスを作動させるステップは、反射体の高さの調整を生じさせ得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、本方法は、電気機械デバイスを作動させて反射体を第1の位置に移動させるステップと、第1の位置で構成された反射体による電磁波の反射を含む第3の信号を受信するステップと、反射体の第1の位置に対応する第3の信号を記録するステップと、第2の信号を第3の信号と比較するステップと、第2の信号と第3の信号との比較に基づいて基準周波数差を確認するステップと、を更に含み得る。
【0012】
前述の実例となる概要、並びに本開示の他の例示的な目的及び/又は利点、並びにそれが達成される方法は、以下の発明を実施するための形態及びその添付図面において更に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図示の実施形態の説明は、添付の図面と併せて読むことができる。特に記載がない限り、図の簡略化及び明確化のために、図面に示される要素は必ずしも縮尺どおりに描かれていないことが理解されよう。例えば、特に記載のない限り、要素のうちのいくつかの寸法は、他の要素に対して誇張されている場合がある。本開示の教示を組み込む実施形態は、本明細書に提示される図に関連して示され、説明される。
【0014】
【
図2】レーダセンサから送信された信号と反射体から受信した信号との例示的な比較を示す。
【
図6】エレベータシステム内の電磁波の反射から受信した例示的な信号を示す。
【
図7】本明細書に記載のいくつかの例示的実施形態による、エレベータシステムの例示的な図を示す。
【
図8】本明細書に記載のいくつかの例示的実施形態による、レーダセンサを訓練するための例示的な方法を示す。
【
図9】本明細書に記載のいくつかの例示的実施形態による、ターゲット反射体信号の例示的な周波数を示す。
【
図10】本明細書に記載のいくつかの例示的実施形態による、例示的な周波数差を示す。
【
図11】本明細書に記載のいくつかの例示的実施形態による、測距信号を識別するための例示的な方法を示す。
【
図12】本明細書に記載のいくつかの例示的実施形態による、例示的な周波数差計算を示す。
【
図13】本明細書に記載のいくつかの例示的実施形態による、例示的な周波数差行列データオブジェクトを示す。
【
図14】本明細書に記載のいくつかの例示的実施形態による、例示的な周波数差の探索の例を示す。
【
図15】本明細書に記載のいくつかの例示的実施形態による、例示的な測距信号パターンを示す。
【
図16】本明細書に記載のいくつかの例示的実施形態による、例示的なエレベータシステムを示す。
【
図17】本明細書に記載のいくつかの例示的実施形態による、エレベータシステム内のレーダセンサによって信号周波数シグネチャを較正するための例示的な方法を示す。
【
図18】本明細書に記載のいくつかの例示的実施形態による、較正中の例示的な信号を示す。
【
図19】本明細書に記載のいくつかの例示的実施形態による、例示的な信号周波数シグネチャを示す。
【
図20】本明細書に記載のいくつかの例示的実施形態による、例示的レーダセンサを示す概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本開示のいくつかの実施形態について添付図面を参照しながら以下により詳細に説明するが、本開示の全てではなくいくつかの実施形態を示すものである。実際に、本開示は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。同様の数字は、全体を通して同様の要素を指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「前部」、「後部」、「頂部」などの用語は、下で提供される実施例において、特定の構成要素又は構成要素の一部分の相対的位置を説明するために、解説目的で使用される。更に、本開示の観点から当業者に明らかになるように、「実質的に」及び「およそ」という用語は、参照される要素又は関連する説明が、適用可能な工学公差内の精度であることを示す。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「備える(comprising)」は、限定するものではないが、含むことを意味しており、特許文脈で典型的に使用される手法で解釈されるべきである。「備える(comprises)」、「含む(includes)」、及び「有する(having)」などのより広範な用語の使用は、「からなる(consisting of)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「から実質的に構成される(comprised substantially of)」などのより狭い用語へのサポートを行うことを理解されたい。
【0018】
語句「一実施形態では」、「一実施形態によると」及び同様の語句は、その語句に続く特定の特徴、構造又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ること、及び本開示の2つ以上の実施形態に含まれ得る(重要なことに、そのような語句は必ずしも同じ実施形態に言及しない)ことを一般に意味する。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「例」又は「例示的な」は、「一例、事例、又は実例としての役割を果たすこと」を意味する。「例示的な」として本明細書に記載される任意の実装形態は、必ずしも他の実装形態よりも好ましい又は有利であると解釈されなくてよい。
【0020】
本明細書が、ある構成要素又は特徴が、「含まれてもよい」、「含むことできる」、「含み得る」、「含むべきである、「含むであろう」、「好ましくは含む」、「場合により含む」、「典型的には含む」、「任意選択的に含む」、「例えば含む」、「多くの場合含む」又は「含むかもしれない」(又は他のそのような言語)、あるいはある特性を有することを提示する場合、その特定の部品又は特徴は、含まれることを必要としないか又はその特性を有することを必要としない。そのような構成要素又は特徴は、いくつかの実施形態に任意選択的に含まれてもよく、又は除外されてもよい。
【0021】
ここで
図1を参照すると、エレベータシステム100は、エレベータかご106と、滑車システム108と、釣合い重り110と、エレベータ支持体112A及び112Bと、エレベータ昇降路114と、を備える。エレベータシステム110は、エレベータ昇降路114の上部からの距離を決定するように構成され得るレーダセンサ102を更に備える。図示された実施形態によると、レーダセンサ102はエレベータかご106の上部に構成され、反射体104はエレベータ昇降路114の上部に構成されている。反射体104は、レーダセンサ102から放射され得る電波など電磁波を反射することができる金属物体を備え得る。電波は、反射体104による反射時に歪むことがある。例えば、電波の振幅及び周波数など特定の属性は、反射体104からの反射時に変更され得る。
【0022】
レーダセンサ102は、反射体104を用いて測距を実行するために、送信信号を含む電磁波を放射し得る。レーダセンサ102は、レーダセンサ102と反射体104との間の高さD1を決定するように構成され得、高さD1は、レーダセンサ102とエレベータ昇降路114の上部との間の距離を表す。例えば、電磁波は、反射体104から反射され、レーダセンサ102によって信号として受信され得る。レーダセンサ102は、次いで、受信信号を送信信号と比較し得る。受信信号は、送信信号と同様の信号を含み得るが、周波数シフトされ得る。
【0023】
図2は、レーダセンサから送信された信号と反射体から受信した信号との間の例示的な比較を示す。送信信号202は、レーダセンサ102から送信された信号を表し得る。受信信号204は、反射体104によって反射され、その後レーダセンサ102によって受信された送信信号202を表し得る。受信信号204は、反射体104からの送信信号202の反射から生じる信号を表し得る。図示されるように、受信信号204は、周波数の差を除いて送信信号202と同様のパターンを含む。周波数の差Δfは、レーダセンサ102と反射体104との間の距離に対応し得る。
【0024】
したがって、距離D1は、以下に従って計算され得る。
【数1】
方程式1
上記の式によると、C
0は光速を表し、df/dtは単位時間当たりの周波数シフトを表し、kは等価係数を表す。
【0025】
図3は、周波数と距離との関係の例示的な図を示す。レーダセンサ102に対する反射源(例えば、反射体104)の距離は、周波数領域に従って送信信号を参照して受信信号を分析することによって決定され得る。具体的には、Δfの値は、受信信号の反射源とレーダセンサ102との間の近似距離を推定するために使用され得る。
【0026】
図4は、例示的な一連の信号周波数測定を示す。レーダセンサ102及び反射体104からの距離は、Δfに正比例し得る。一例として、エレベータかごが動作中に移動すると、レーダセンサ102と反射体104との間の距離が変化する。したがって、レーダセンサ102によって受信される信号のΔfは、レーダセンサ102と反射体104との間の距離に対して変化する。
【0027】
図4によると、距離に関連する周波数シフトが示されている。具体的には、レーダセンサ402A、402B、402Cと反射体404A、404B、404Cとの間の距離は、周波数差(例えば、Δf)に関して示されている。概して、レーダセンサと反射体との間の距離は、Δfに対して方向関係にある。受信信号の振幅は、距離に反比例し得ることに留意されたい(例えば、信号振幅は、レーダセンサと反射体との間の距離が増加するにつれて減少する)。
【0028】
上記のように、反射体によって反射された電磁波は、反射体とレーダセンサとの間の近似距離を決定するためにレーダセンサによって使用され得る。しかしながら、エレベータ昇降路は、そのようなレーダセンサに対して課題を提示し得る。具体的には、レーダセンサと反射体との間の伝送経路内の障害物は、反射体によって反射された電磁波から信号を受信するレーダセンサの能力に干渉し得る。例えば、電気ボックス及び支持構造などの障害物は、エレベータ昇降路内で一般的であり、レーダセンサからの電波の反射に干渉し得る。
【0029】
図5は、エレベータシステムの例示的な図を示す。エレベータシステム500は、エレベータかご506と、滑車システム508と、釣合い重り510と、エレベータ支持体512A及び512Bと、エレベータ昇降路514と、を備える。エレベータシステム500は、エレベータかご506の上部に構成されたレーダセンサ502を更に備え、反射体504は、エレベータ昇降路514の上部に構成されている。図示された実施形態によると、障害物516は、レーダセンサ502と反射体504との間にあり、レーダセンサ502と反射体504との間の電波送信及び/又は反射に干渉する(例えば、不明瞭にしない)、部分的に不明瞭にする、又は完全に不明瞭にする、のうちの少なくとも1つを引き起こす。障害物516の例は、レーダセンサ502からの電磁波を反射することが可能な電気ボックスまたはエレベータ支持構造を備え得る。
【0030】
図6に示されるように、反射体504及び障害物516からの電磁波の反射から受信した信号は、同様に見える場合がある。したがって、レーダセンサ502は、反射体504からの信号と障害物516からの信号とを区別することができない場合がある。レーダセンサ503からの距離D
1(反射体504)及びD
2(障害物516)を表す信号は散乱し得るため、レーダセンサ502は、エレベータかご506の高さを測定できない場合がある。
【0031】
本開示の様々な例示的実施形態は、現在のエレベータ位置決めシステムにおけるそのような技術的課題及び困難を克服し、様々な技術的な進歩及び改善をもたらす。本開示の様々な例によると、エレベータシステムのエレベータ昇降路内での干渉を緩和/低減するためのシステム、装置、及び方法が開示される。少なくとも1つの実施形態では、1つ以上の基準反射体を使用して、周波数領域において一意の信号パターンを生成し、ターゲット信号をノイズ信号から区別し得る。1つ以上の基準反射体は、レーダセンサと位置合わせされ、主反射体(の見通し線)を遮ることなく、主反射体とレーダセンサとの間に構成され得る。
【0032】
図7は、本開示の様々な実施形態によるエレベータシステムを示す。エレベータシステム700は、レーダセンサ702と、主反射体704と、エレベータかご706と、滑車システム708と、釣合い重り710と、エレベータ支持体712A及び712Bと、エレベータ昇降路714と、障害物716と、を備える。レーダセンサ702はエレベータかご706の上部に構成され、主反射体704はエレベータ昇降路714の上部に構成されている。エレベータシステム700は、1つ以上の基準反射体718を更に備える。1つ以上の基準反射体718は、レーダセンサ702の周波数領域において一意の信号パターンを生成する際に使用され得る。一例として、一意の信号パターンを使用して、1つ以上の基準反射体718に関連する信号を識別し得る。
【0033】
レーダセンサ702は、信号送信機、信号受信機、信号処理構成要素、ネットワーク通信構成要素、並びに/又は1つ以上のプロセッサ及びメモリデバイスを含むコンピューティングデバイスを含み得る。レーダセンサ702は、送信信号を含む電磁波を放射し、電磁波の反射を反射信号として監視し、反射信号を分析し、反射信号が特定の信号周波数シグネチャに対応するかどうかを識別するように構成され得る。特定の信号周波数シグネチャは、主反射体704及び1つ以上の基準反射体718に関連する周波数特性を含み得る。特定の信号周波数シグネチャに基づいて、レーダセンサ702は、レーダセンサ702及び主反射体704からの距離(例えば、エレベータかご706の上部からエレベータ昇降路714の上部までの距離を表す)を決定するように更に構成され得る。
【0034】
図示されるように、主反射体704は、レーダセンサ702と垂直方向に位置合わせされている。1つ以上の基準反射体718は、レーダセンサ702の水平面と主反射体704の水平面との間に位置付けられるが、レーダセンサ702と主反射体704との間の垂直面経路内には位置付けられない。加えて、障害物716は、レーダセンサ702と主反射体704との間の垂直面経路、及びレーダセンサ702と基準反射体718との間の垂直面経路内には位置しないように構成されている。
【0035】
ここで
図8及び
図11を参照すると、本開示のいくつかの例示的実施形態によるエレベータシステム700内のレーダ反射体の位置を決定する例示的方法を示す例示的フロー図が提供されている。フローチャートのそれぞれのブロック、及びフローチャートの中のブロックの組み合わせは、ハードウェア、ファームウェア、回路、及び/又は1つ以上のコンピュータプログラム命令を含むソフトウェアの実行に関連付けられた他のデバイスなどの様々な手段によって実装され得ることに留意されたい。例えば、
図8及び
図11に記載のステップ/動作のうちの1つ以上は、本開示の実施形態を採用する装置の非一時的メモリによって記憶され、装置(限定ではないが、レーダセンサ、監視システム、クライアントコンピューティングデバイス、遠隔コンピューティングサーバ、及び/又は同等物など)内のプロセッサ構成要素によって実行され得る、コンピュータプログラム命令によって具現化され得る。例えば、これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ可読記憶メモリに記憶された命令がフローチャートのブロックで指定された機能を実施する活動を実行させるように、特定の方法で機能するようにプロセッサ構成要素に指示し得る。
【0036】
上述したように、また本開示に基づいて理解されるように、本開示のいくつかの実施形態は、ハードウェアのみ、又はソフトウェアとハードウェアの任意の組み合わせなど様々な手段を含み得る。更に、実施形態は、記憶媒体の中に具現化されたコンピュータ可読プログラム命令(例えば、コンピュータソフトウェア)を有する少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体上のコンピュータプログラム製品の形態をとってもよい。同様に、実施形態は、少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムコードの形態をとってもよい。非一時的ハードディスク、CD-ROM、フラッシュメモリ、光記憶デバイス、又は磁気記憶デバイスを含む、任意の好適なコンピュータ可読記憶媒体が利用されてもよい。
【0037】
次に
図8を参照すると、本明細書に記載のいくつかの例示的実施形態による、レーダセンサを訓練するための例示的方法800を示す。レーダセンサ訓練することは、レーダセンサが主反射体及び1つ以上の基準反射体に対応する信号を認識するように「学習」する初期化手順を含み得る。障害物又は障壁は、主反射体及び1つ以上の基準反射体による電磁波の反射からの信号が適切に認識され得るように、訓練プロセス中は除去され得る。
【0038】
ステップ802において、レーダセンサは、ターゲット反射体信号を較正する。ターゲット反射体信号は、主反射体による、レーダセンサによって放射された電磁波の反射からの信号を含み得る。ターゲット反射体信号は、主反射体に対応する静的位置を確立するために使用され得る。ターゲット反射体信号の較正のために、主反射体は、例えば、レーダセンサ及び/又は主反射体を移動させることによって、レーダセンサから所与の較正距離(例えば、2メートル)に位置付けられ得る。レーダセンサから所与の較正距離に主反射体を位置付けると、較正は、レーダセンサが送信信号を含む電磁波を放射することと、主反射体による電磁波の反射からの対応する信号(すなわち、ターゲット反射体信号)を監視することと、を含み得る。主反射体の位置は、較正後に固定位置に留まって、レーダセンサによる識別用の基準を確立し得る。
図9を参照すると、ターゲット反射体信号900の周波数は、レーダセンサによって記録され得、αで示される。
【0039】
いくつかの実施形態では、ターゲット反射体信号を監視するステップは、レーダが信号の受信を感知することと、受信信号の周波数を予想ターゲット反射体信号周波数と比較することと、を含み得る。例えば、予想ターゲット反射体信号は、所与の較正距離に対応する周波数を含み得る。受信信号の周波数が、予想ターゲット反射体信号周波数の所与の閾値外である場合、受信信号は、偽信号として判定され得、レーダセンサは、較正を再開し得る。
【0040】
図8に戻って参照すると、いくつかの実施形態では、ステップ802に続いて、例示的方法は、ステップ804に進み、レーダセンサは、基準反射体信号を較正する。基準反射体信号は、基準反射体による、レーダセンサによって放射された電磁波の反射からの信号を含み得る。基準反射体信号はまた、基準反射体に対応する静的位置を確立するために使用され得る。基準反射体は、ステップ802からの所与の較正距離を維持しつつ、レーダセンサと主反射体との間の所与の距離において構成され得る。基準反射体を構成する際に、基準反射体信号の較正は、レーダセンサが送信信号を含む電磁波を放射することと、主反射体及び基準反射体による電磁波の反射からの対応する信号(すなわち、基準反射体信号)を監視することと、を含み得る。基準反射体の位置は、較正後に固定位置に留まって、レーダセンサによる識別用の基準を確立し得る。したがって、基準反射体信号の周波数は、レーダセンサによってターゲット反射体信号に関連して記録され得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、ステップ804に続いて、例示的方法はステップ806に進み、レーダセンサは、追加の基準反射体信号の較正が必要かどうかを判定する。はいの場合、例示的方法はステップ804に戻る。そうでない場合、ステップ806に続いて、例示的方法はステップ808に進み、レーダセンサは、ターゲット反射体信号の周波数と1つ以上の基準反射体信号の周波数とを比較する。
【0042】
いくつかの実施形態では、ステップ808に続いて、例示的方法はステップ810に進み、レーダセンサは、較正された基準反射体信号のそれぞれについて、ターゲット反射体信号と基準反射体信号との間の周波数距離を決定する。周波数距離は、ターゲット反射体信号と基準反射体信号との間の信号周波数の差を含み得る。
【0043】
図10は、(主反射体704からの)ターゲット反射体信号1002がαで示され、(基準反射体718Aからの)第1の基準反射体信号1004がβで示され、(基準反射体718Bからの)第2の基準反射体信号1006がγで示される例示的な周波数距離を示す。図示の例によると、周波数距離f
preset1は、ターゲット反射体信号1002と第1の基準反射体信号1004との間の周波数差を表す。周波数距離f
preset1は、ターゲット反射体信号1002の周波数f
αを第1の基準反射体信号1004の周波数f
βで減算することによって計算され得る。同様に、周波数距離f
preset2は、ターゲット反射体信号1002の周波数f
αを第2の基準反射体信号1006の周波数f
γで減算することによって計算され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、ステップ810に続いて、例示的方法はステップ812に進み、レーダセンサは、周波数距離に基づいて測距信号パターンを生成する。周波数距離は、主反射体及び基準反射体に対応する信号を識別するための一意の信号パターンを含み得る。すなわち、主反射体及び基準反射体の位置が固定されていると仮定すると、ターゲット反射体信号と基準反射体信号との間の周波数距離は、測距用の識別可能な信号定数として使用され得る。先の例によると、周波数距離fpreset1及び周波数距離fpreset2は、測距信号パターンを生成するために使用され得る。
【0045】
次に
図11を参照すると、本明細書に記載のいくつかの例示的実施形態による、レーダセンサによって測距信号を識別する例示的方法1100を示す。ステップ1102において、レーダセンサは、位置決定要求を受信する。位置決定要求は、レーダセンサがエレベータかごの高さを決定することを求める要求を含み得る。例えば、エレベータの高さを使用して、エレベータかごの移動をいつ開始するか、又は停止するかを決定するなどエレベータの動作を制御することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、ステップ1102に続いて、例示的方法はステップ1104に進み、レーダセンサは、位置決定要求に応答して送信信号を含む電磁波を放射する。
【0047】
いくつかの実施形態では、ステップ1104に続いて、例示的方法はステップ1106に進み、レーダセンサは、主反射体及び1つ以上の基準反射体からなどの電磁波の反射から信号を受信する。
【0048】
いくつかの実施形態では、ステップ1106に続いて、例示的方法はステップ1108に進み、レーダセンサは、受信信号ごとに、周波数領域f
1、f
2、...f
nにわたって、周波数差F
(n-1)n=f
n-1-f
nを繰り返し計算する。
図12は、周波数領域f
1についての例示的な周波数差計算を示す。所与の周波数領域の信号からの信号ごとの周波数差が計算され、行列データオブジェクトの行に追加され得る。周波数差は、
図13に示すように、周波数領域ごとに行列データオブジェクトの行に対して生成され得る。したがって、周波数差は、信号ごとに連続信号距離に従って順序付けられた様式で(例えば、メモリ記憶デバイスに)記録され得る。
【0049】
図11に戻って参照すると、いくつかの実施形態では、ステップ1108に続いて、例示的方法はステップ1110に進み、レーダセンサは、周波数差との測距信号パターンの一致を探索する。測距信号パターンは、上述したように、ターゲット反射信号及び1つ以上の基準反射信号の較正から決定された1つ以上の周波数距離を含み得る。測距信号パターンを周波数差と一致させるステップは、周波数領域によって、測距信号パターンの周波数距離を計算した周波数差と一致させることを更に含み得る。レーダセンサは、測距信号パターンと一致する信号ごとに連続信号距離を探索し得る。
図14によって示されるように、[f
preset1,f
preset2]と一致する2つの要素の探索は、n個の周波数領域について、第1の周波数領域から周波数領域nの、上述のような周波数差を含む行列データオブジェクトに対して実行され得る。
【0050】
図11に戻って参照すると、いくつかの実施形態では、ステップ1110に続いて、例示的方法はステップ1112に進み、レーダセンサは、測距信号パターンとの一致を判定する。測距信号パターンが計算した周波数距離と一致することは、主反射体及び1つ以上の基準反射体の存在を示し得る。特に、一致することは、記録された信号のうちのどれが主反射体及び1つ以上の基準反射体に対応するかを識別するために使用され得る。
図15を参照すると、例えば、f
23=f
preset1及びf
25=f
preset2である場合、信号「2」は、主反射体からの信号として識別され得、信号「3」及び「5」は、2つの基準反射体からの信号として識別され得る。
【0051】
再び
図11を参照すると、いくつかの実施形態では、ステップ1112に続いて、例示的方法はステップ1114に進み、レーダセンサは、一致に基づいてターゲット反射体信号を識別する。すなわち、ターゲット反射体信号は、レーダセンサによって検出された複数の信号から識別され得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、ステップ1114に続いて、例示的方法はステップ1116に進み、レーダセンサは、一致した周波数差を使用して距離を決定する。具体的には、レーダセンサは、一致した周波数差から主反射体を識別し、送信信号とターゲット反射体信号との間の周波数差を決定し得る。送信信号とターゲット反射体信号との間の周波数差は、上述の技法に従ってレーダセンサと主反射体との間の距離を決定するために使用され得る。
【0053】
図16は、本開示の様々な実施形態によるエレベータシステムの例示的な図を示す。エレベータシステム1600は、レーダセンサ1602と、反射体1604と、エレベータかご1606と、滑車システム1608と、釣合い重り1610と、エレベータ支持体1612A及び1612Bと、エレベータ昇降路1614と、障害物1616と、を備える。レーダセンサ1602はエレベータかご1606の上部に構成され、反射体1604はエレベータ昇降路1614の上部に構成されている。反射体1604は、電気機械デバイス1618を含む。電気機械デバイス1618は、反射体1604の高さを(例えば、小さな範囲内で非常に迅速に)再配置するように構成され得る発振器又は振動モータを備え得る。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、電気機械デバイス1618は、一意の信号周波数シグネチャが生成され得るように、反射体1604を互い違いの位置間で移動させ得る。
【0054】
レーダセンサ1602は、信号送信機、信号受信機、信号処理構成要素、ネットワーク通信構成要素、並びに/又は1つ以上のプロセッサ及びメモリデバイスを含むコンピューティングデバイスを含み得る。レーダセンサ1602は、送信信号を含む電磁波を放射し、電磁波の反射を反射信号として監視し、反射信号を分析し、反射信号が特定の信号周波数シグネチャに対応するかどうかを識別するように構成され得る。特定の信号周波数シグネチャは、所与の時間フレームにわたる、互い違いの位置間での反射体1604の移動に関連する周波数特性を含み得る。したがって、反射体1604の特定の信号周波数シグネチャは、反射体1604に対応する信号からノイズを区別するために使用され得る。特定の信号周波数シグネチャに基づいて、レーダセンサ1602は、レーダセンサ1602及び反射体1604からの距離(例えば、エレベータかご1606の上部からエレベータ昇降路1614の上部までの距離を表す)を決定するように更に構成され得る。
【0055】
本開示のいくつかの実施形態によると、反射体1604に対して特定の信号周波数シグネチャが生成され得る。具体的には、エレベータ昇降路1614の上部からの反射体1604の高さは、電気機械デバイス1618を介して操作されて、較正手順中に記録され、反射体1604の反射信号からノイズ信号を区別するためにレーダセンサ1602によって識別され得る特定の信号周波数シグネチャを生成し得る。
【0056】
ここで
図17を参照すると、本明細書に記載のいくつかの例示的実施形態による、エレベータシステム内のレーダセンサによって信号周波数シグネチャを較正するための例示的方法1700が示されている。ステップ1702において、レーダセンサ1602は、反射体1604が第1の位置にある状態で較正手順を実行するために、送信信号を含む電磁波を放射する。
【0057】
いくつかの実施形態では、ステップ1702に続いて、例示的方法はステップ1704に進み、レーダセンサは第1の信号を受信する。第1の信号は、反射体による電磁波の反射を含み得る。
図18を参照すると、レーダセンサ1602からの電磁波は、反射体1604から反射され、レーダセンサ1602によって第1の信号1802Aとして受信され得る。
【0058】
図17に戻って参照すると、いくつかの実施形態では、ステップ1704に続いて、例示的方法はステップ1706に進み、レーダセンサは、反射体の第1の位置に対応する第1の信号を記録する。初期周波数は、第1の位置にある反射体1604について記録され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、ステップ1706に続いて、例示的方法はステップ1708に進み、レーダセンサは、反射体に結合された電気機械デバイスを作動させる。電気機械デバイスを作動させることは、反射体を第1の位置から第2の位置に移動させ得る。例えば、反射体1604の高さは、反射体1604が第2の位置に移動するように、電気機械デバイス1618を作動させるレーダセンサ1602によって調整され得る。レーダセンサ1602は、ここでも、送信信号を含む電磁波を放射し得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、ステップ1708に続いて、例示的方法はステップ1710に進み、レーダセンサは第2の信号を受信する。第2の信号は、第2の位置で構成された反射体による電磁波の反射を含み得る。
図18を参照すると、電磁波は、反射体1604から反射され、第2の位置にある反射体1604を記録するためにレーダセンサ1602によって第2の信号1802Bとして受信され得る。
【0061】
図17に戻って参照すると、いくつかの実施形態では、ステップ1710に続いて、例示的方法はステップ1712に進み、第2の信号が反射体の第2の位置に対応して記録される。第2の周波数は、第2の位置にある反射体1604について記録され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、ステップ1712に続いて、例示的方法はステップ1714に進み、レーダセンサは、第1の信号を第2の信号と比較する。
図18を参照すると、レーダセンサ1602は、受信した第2の信号1802Bを第1の信号1802Aと比較し得る。具体的には、レーダセンサ1602は、初期周波数を第2の周波数と比較し得る。
【0063】
再び
図17を参照すると、いくつかの実施形態では、ステップ1714に続いて、例示的方法はステップ1716に進み、レーダセンサは、第1の信号1802Aと第2の信号1802Bとの間の基準周波数差f
Tを比較に基づいて決定する。
【0064】
いくつかの実施形態によると、反射体1604の高さは、次いで、電気機械デバイス1618によって第1の位置に戻るように調整され得る。レーダセンサ1602は、ここでも、送信信号を含む電磁波を放射し得る。
図18を参照すると、電磁波は、反射体1604から反射され、第1の位置に戻った反射体1604を記録するためにレーダセンサ1602によって第3の信号1802Cとして受信され得る。第3の周波数は、第1の位置に戻った反射体1604について記録され得る。レーダセンサ1602は、第3の周波数を第2の周波数と比較し、第3の信号1802Cと第2の信号1802Bとの間の周波数差が基準周波数差f
Tと一致することを確認し得る。基準周波数差f
Tは、複数の信号の中から反射体1604に対応する信号を識別するための特定の信号周波数シグネチャとして、レーダセンサ1602によって使用され得る。
【0065】
図19は、本開示の種々の実施形態による、信号周波数シグネチャを検出する例示的な図を示す。ノイズ及び他の干渉(例えば、障害物1616によって生じる)は、エレベータの動作中のレーダセンサよる位置決定中に検出され得る。しかしながら、ノイズ又は障害物1616からの信号は、
図16及び
図17を参照して開示されるように移動するか、又は周波数を変化させる可能性は低い。例えば、障害物1616に対応する信号1902A、1902B、及び1902Cは、一定の周波数を有する信号を含むが、反射体1604に対応する信号1904A、1904B、及び1904Cは、基準周波数差f
Tによって2つの周波数間で発振する信号を含む。
【0066】
ここで
図20を参照すると、本開示の様々な実施形態による例示的レーダセンサ2000を描写する概略図。図示されるように、レーダセンサ2000は、処理回路2001、通信モジュール2003、入力/出力モジュール2005、メモリ2007、及び/又は本明細書に記載の様々な動作、手順、機能などを実行するように構成された他の構成要素を備える。
【0067】
処理回路2001は、例えば、デジタル信号プロセッサを伴う1つ又は複数のマイクロプロセッサと、デジタル信号プロセッサを伴わない1つ又は複数のプロセッサと、1つ又は複数のコプロセッサと、1つ又は複数のマルチコアプロセッサと、1つ又は複数のコントローラと、処理回路と、1つ又は複数のコンピュータ、及び様々な他の処理素子(ASIC若しくはFPGAなどの集積回路、又はそれらの特定の組み合わせを含む)とを備える様々なデバイスとして実装され得る。いくつかの実施形態では、処理回路2001は、1つ以上のプロセッサを備え得る。例示的な一実施形態では、処理回路2001は、メモリ2007に記憶された命令、又は処理回路2001によってアクセス可能な命令を実行するように構成されている。処理回路2001によって実行されるときに、これらの命令は、レーダセンサ2000が、本明細書に記載されるように機能のうちの1つ又は複数を実行することを可能にし得る。ハードウェア、ファームウェア/ソフトウェア方法、又はそれらの組み合わせによって構成されるかどうかにかかわらず、処理回路2001は、対応して構成されるときに、本発明の実施形態による動作を実行することが可能なエンティティを備え得る。したがって、例えば、処理回路2001がASIC、FPGAなどとして実装されるときに、処理回路2001は、本明細書に記載の1つ又は複数の動作を実施するために特別に構成されるハードウェアを備え得る。代替的に、別の例として、処理回路2001が命令(メモリ2007に記憶され得る命令など)のアクチュエータとして実装されるとき、命令は、本明細書に記載の1つ又は複数のアルゴリズム及び動作を実行するように処理回路2001を具体的に構成し得る。
【0068】
メモリ2007は、例えば、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、又はそれらの特定の組み合わせを備え得る。
図20では単一のメモリとして例示されているが、メモリ2007は、複数のメモリ構成要素を備え得る。様々な実施形態では、メモリ2007は、例えば、ハードディスクドライブ、ランダムアクセスメモリ、キャッシュメモリ、フラッシュメモリ、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(Compact Disc Read-Only Memory、CD-ROM)、デジタル多用途ディスク読み出し専用メモリ(Digital Versatile Disk Read-Only Memory、DVD-ROM)、光ディスク、情報を記憶するように構成された回路、又はそれらの特定の組み合わせを備え得る。メモリ2007は、レーダセンサ2000が本開示の実施形態による様々な機能を実行することができるように、情報、データ、アプリケーションプログラム、命令などを記憶するように構成され得る。例えば、少なくともいくつかの実施形態では、メモリ2007は、処理回路2001による処理のために入力データをキャッシュするように構成されている。追加的に、又は代替的に、少なくともいくつかの実施形態では、メモリ2007は、処理回路2001による実行のためのプログラム命令を記憶するように構成されている。メモリ2007は、静的情報及び/又は動的情報の形態で情報を記憶し得る。機能が実行されるときに、記憶された情報は、レーダセンサ2000によって記憶及び/又は使用され得る。
【0069】
通信モジュール2003は、別の構成要素若しくは装置に対してデータを受信及び/若しくは伝送するように構成されている、回路、ハードウェア、コンピュータプログラム製品、又はそれらの組み合わせに含まれる任意の装置として実装され得る。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読媒体(例えば、メモリ2007)上に記憶され、レーダセンサ2000(例えば、処理回路2001)によって実行されるコンピュータ可読プログラム命令を含む。いくつかの実施形態では、(本明細書に記載の他の構成要素と同様に)通信モジュール2003は、処理回路2001として少なくとも部分的に実装され得、又はそうでなければ処理回路2001によって制御され得る。この点に関して、通信モジュール2003は、例えば、バスを介して、処理回路2001と通信し得る。通信モジュール2003は、例えば、アンテナ、送信機、受信機、送受信機、ネットワークインターフェースカード及び/又は支持ハードウェア並びに/若しくはファームウェア/ソフトウェアを備え得、別の装置との通信を確立するために使用される。通信モジュール2003は、装置間の通信のために使用されることができる任意のプロトコルを使用することによって、メモリ2007によって記憶され得る任意のデータを受信及び/又は伝送するように構成され得る。通信モジュール2003はまた、信号を含む電磁波を送受信し、処理回路2001に信号を送信し得る。通信モジュール2003は、追加的に又は代替的に、例えば、バスを介して、メモリ2007、入力/出力モジュール2005、及び/又はレーダセンサ2000の任意の他の構成要素と通信し得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、レーダセンサ2000は、入力/出力モジュール2005を備え得る。入力/出力モジュール2005は、ユーザによって入力された命令を受信し、及び/又は聴覚的、視覚的、機械的、若しくは他の出力をユーザに提供するために、処理回路2001と通信し得る。したがって、入力/出力モジュール2005は、キーボード、マウス、ディスプレイ、タッチスクリーンディスプレイ、及び/又は他の入力/出力機構などの支持デバイスを備え得る。代替的に、入力/出力モジュール2005の少なくともいくつかの態様は、レーダセンサ2000と通信するためにユーザによって使用されるデバイス上に実装され得る。入力/出力モジュール2005は、例えば、バスを介して、メモリ2007、通信モジュール2003、及び/又は任意の他の構成要素と通信し得る。1つ又は複数の入力/出力モジュール及び/又は他の構成要素は、レーダセンサ2000に含まれ得る。
【0071】
本開示は、開示される特定の実施形態に限定されるものではないこと、並びに修正及び他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。特定の用語が本明細書で用いられているが、特に記載のない限り、これらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されない。
【外国語明細書】