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特開2024-28154海底システムにおける環境測定用のアーキテクチャ、装置および電力輸送方法
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  • 特開-海底システムにおける環境測定用のアーキテクチャ、装置および電力輸送方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028154
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】海底システムにおける環境測定用のアーキテクチャ、装置および電力輸送方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/80 20130101AFI20240222BHJP
   H04B 10/29 20130101ALI20240222BHJP
【FI】
H04B10/80
H04B10/29
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023126031
(22)【出願日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】17/889,950
(32)【優先日】2022-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502101180
【氏名又は名称】サブコム,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ダブリュー. パターソン
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルグ ハインリッヒ モース
(72)【発明者】
【氏名】アレクセイ エヌ. ピリペツキー
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AB06
5K102AL11
5K102AN02
5K102AN03
5K102PB01
5K102PH13
5K102PH15
5K102PH31
(57)【要約】
【課題】海底システムにおける環境測定用のアーキテクチャ、装置および電力輸送方法である。
【解決手段】該装置は、光中継器110に設けられる中継器アセンブリ302と、中継器アセンブリ302に近接するように設けられ、光リンクを介して中継器アセンブリ302から電力を受信するように結合されている環境センサアセンブリとを含んでもよい。環境センサアセンブリは、例えば、温度センサアセンブリ304または圧力センサアセンブリ404である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光中継器に設けられる中継器アセンブリと、
前記中継器アセンブリに近接するように設けられ、光リンクを介して前記中継器アセンブリから電力を受信するように結合されている環境センサアセンブリと、を含む、
海底環境感知用の装置。
【請求項2】
前記中継器アセンブリは、
電力信号を受信して前記環境センサアセンブリに光電力信号を出力するように結合されているレーザダイオードと、
前記環境センサアセンブリから光測定信号を受信するように結合されている光受信機と、を含む、
請求項1に記載の海底環境感知用の装置。
【請求項3】
前記環境センサアセンブリは、
前記光電力信号を受信して電気制御電力信号を出力するように構成される光電力変換器と、
前記電気制御電力信号を受信して熱測定信号を出力するように構成される温度測定回路と、
前記熱測定信号を受信して前記光受信機に前記光測定信号を出力するように構成される光送信機と、を含む、
請求項2に記載の海底環境感知用の装置。
【請求項4】
前記環境センサアセンブリは、
前記光電力信号を受信して電気制御電力信号を出力するように構成される光電力変換器と、
前記電気制御電力信号を受信して圧力測定信号を出力するように構成される圧力測定回路と、
前記圧力測定信号を受信して前記光受信機に前記光測定信号をするように構成される光送信機と、を含む、
請求項2に記載の海底環境感知用の装置。
【請求項5】
前記環境センサアセンブリは、ケーブルジョイントが収容されたケーブルジョイントハウジングに設けられる温度センサを含み、前記ケーブルジョイントは、ケーブルの第1部分を前記ケーブルの第2部分に接続するように構成され、前記ケーブルが前記光中継器に接続されている、
請求項1または2に記載の海底環境感知用の装置。
【請求項6】
前記環境センサアセンブリは、前記光中継器から5m~100mの距離に設けられている、
請求項5に記載の海底環境感知用の装置。
【請求項7】
環境センサアセンブリは圧力センサを含み、前記環境センサアセンブリが前記光中継器に位置している、
請求項1または2に記載の海底環境感知用の装置。
【請求項8】
前記中継器アセンブリは、+18000V~-18000V間の電位に配置され、且つ、前記環境センサアセンブリは、前記ケーブルのケーブル電位との差が200V以下の電位に配置されている、
請求項5に記載の海底環境感知用の装置。
【請求項9】
海底ケーブルと、
前記海底ケーブルから電力を受信するように前記海底ケーブルに結合され、中継器アセンブリも含まれている光中継器と、
前記中継器アセンブリに近接するように設けられ、光リンクを介して前記中継器アセンブリから電力を受信するように結合されている環境センサアセンブリと、を含む、
海底通信システム。
【請求項10】
前記光中継器と前記環境センサアセンブリとの間に結合されている少なくとも1つのセンサファイバを更に含む、
請求項9に記載の海底通信システム。
【請求項11】
電力信号を受信して前記環境センサアセンブリに光電力信号を出力するように結合されているレーザダイオードと、
前記環境センサアセンブリから光測定信号を受信するように結合されている光受信機と、を含む、
請求項9または10に記載の海底通信システム。
【請求項12】
前記環境センサアセンブリは、
前記光電力信号を受信して電気制御電力信号を出力するように構成される光電力変換器と、
前記電気制御電力信号を受信して熱測定信号を出力するように構成される温度測定回路と、
前記熱測定信号を受信して前記光受信機に前記光測定信号を出力するように構成される光送信機と、を含む、
請求項11に記載の海底通信システム。
【請求項13】
前記環境センサアセンブリは、
前記光電力信号を受信して電気制御電力信号を出力するように構成される光電力変換器と、
前記電気制御電力信号を受信して圧力測定信号を出力するように構成される圧力測定回路と、
前記圧力測定信号を受信して前記光受信機に前記光測定信号をするように構成される光送信機と、を含む、
請求項11に記載の海底通信システム。
【請求項14】
前記環境センサアセンブリは、ケーブルジョイントが収容された装置に設けられる温度センサアセンブリを含み、前記ケーブルジョイントは、前記海底ケーブルの第1部分を前記海底ケーブルの第2部分に接続するように構成される、
請求項9または10に記載の海底通信システム。
【請求項15】
前記環境センサアセンブリは、前記光中継器から5m~100mの距離に設けられている、
請求項14に記載の海底通信システム。
【請求項16】
前記光中継器は、+18000V~-18000V間の電位に位置し、且つ、前記温度センサアセンブリは、前記環境センサアセンブリにおける前記海底ケーブルのケーブル電位との差が200V以下の電位に配置されている、
請求項14に記載の海底通信システム。
【請求項17】
海水に接触するように構成される環境センサアセンブリの環境センサで環境測定値を受信することと、
前記環境測定値を電気測定信号として光送信機に送信することと、
前記電気測定信号に基づき、海底光中継器における中継器アセンブリに結合されている光ファイバアセンブリの光ファイバを介して光測定信号を出力することと、を含む、
海底環境の監視方法。
【請求項18】
前記環境センサアセンブリで前記光ファイバアセンブリを介して前記中継器アセンブリから送信された光電力信号を受信することと、
前記環境センサに環境測定を実行させるようにトリガする電気信号である制御電力信号を前記環境センサに送信することと、を更に含む、
請求項17に記載の海底環境の監視方法。
【請求項19】
前記環境センサは温度センサであり、前記環境センサアセンブリは、前記海底光中継器から5m~100mの距離におけるハウジングに設けられ、前記環境センサは、前記環境センサアセンブリにおけるケーブル電位との差が200V以下の電位に配置され、且つ、前記海底光中継器は、+18000V~-18000V間の電圧に配置されている、
請求項17に記載の海底環境の監視方法。
【請求項20】
前記環境センサは圧力センサであり、前記環境センサアセンブリは前記海底光中継器に設けられ、前記環境センサは、前記環境センサアセンブリにおける海水電位との差が200V以下の電位に設けられ、且つ、前記海底光中継器は、+18000V~-18000V間の電圧に配置されている、
請求項17に記載の海底環境の監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、海底通信システムの分野に関する。より具体的には、本開示は、海底システムにおける環境感知用の電力輸送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水中光通信システムのような長距離光通信システムは、データおよび情報の通信を容易にするために、多くの互いに接続された光ケーブルを含んでもよい。数百キロメートルまたは数千キロメートルのような長距離伝送に対し、光通信システムには、中継器と呼ばれるデバイスが配備される。中継器は、50km、100km等の間隔で配置することができ、且つ、光信号を増幅するためのコンポーネントを含む。電線またはケーブルを介して中継器を含む光通信コンポーネントに電力を提供することができ、電線またはケーブルは、海底通信路に沿って高電圧でDC電流を伝送することができる。最近、海底光通信ファイバを感知素子として用いる方法は既に開発され、光ケーブルの近くの環境を感知することに用いられる。しかし、海底ケーブル外部の感知素子を用いることは、有用である可能性もある。しかし、このような追加素子を中継器に置くと、光通信システムの信頼性を低減させる傾向があってもよい。また、光中継器の電位が海水のグランド電位と数万ボルト異なってもよいため、海水環境を感知する感知素子を光中継器コントローラまたは電子機器に結合することは、困難である可能性がある、
【0003】
上記のことおよび他の考慮に鑑み、本開示を提供する。
【発明の概要】
【0004】
一実施例において、海底環境用の装置は、光中継器に設けられる中継器アセンブリと、中継器アセンブリに近接するように設けられ、光リンクを介して中継器アセンブリから電力を受信するように結合されている環境センサアセンブリとを含んでもよい。
【0005】
別の実施例において、海底ケーブルと、海底ケーブルから電力を受信するように海底ケーブルに結合され、中継器アセンブリも含まれている光中継器と、を含む海底通信システムを提供する。海底通信システムは、中継器アセンブリに近接するように設けられ、光リンクを介して中継器アセンブリから電力を受信するように結合されている環境センサアセンブリを更に含んでもよい。
【0006】
また別の実施例において、海底環境の監視方法は、海水に接触するように構成される環境センサアセンブリの環境センサで環境測定値を受信することを含んでもよい。該方法は、環境測定値を電気測定信号として光送信機に送信することと、電気測定信号に基づき、海底光中継器における中継器アセンブリに結合されている光ファイバアセンブリの光ファイバを介して光測定信号を出力することとを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】光通信システムの一例を示す。
図2】温度感知用の例示的な配置のクローズアップ図である。
図3】熱感知用の例示的なアーキテクチャのビューの詳細を示す。
図4】圧力感知用の例示的なアーキテクチャのビューの詳細を示す。
図5】例示的なのプロセスフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施例は、少なくとも海底環境感知システムに関する。各実施例に基づき、且つ、以下により詳細に説明されるように、感知システムは、海底光中継器に関連する温度センサ装置または海底光中継器に関連する圧力センサ装置を含んでもよい。
【0009】
現在、以下で図面を参照しながら本実施例をより全面的に説明し、図面において各実施例を示す。しかし、本開示の主題内容は、多くの異なる形式で具現化でき、且つ、本明細書で説明される実施例に制限されるものと解釈されるべきではない。逆に、これらの実施例は、本発明を徹底かつ完全にし、本発明の概念の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。図面において、同じ参照番号は常に同じ構成要素を指す。
【0010】
図面を参照すると、図1は、本開示の実施例による例示的な海底通信システム100を示す。海底通信システム100は、少なくとも1つの光中継器を含み、該中継器は、数百キロメートルまたは数千キロメートルに跨る海底光通信システムの一部を形成する。少なくとも一部は、本分野で知られているように、光ファイバを介して双方向光通信を行うように海底通信システム100を用いる。図1に示すように、海底通信システム100は、第1局102および第2局104と示された一対の端末を含み、ここで、これらの局のうちのそれぞれは、地上局であってもよく、且つ、ケーブル106のようなデバイスを介して光通信を送受信するように、海底通信システムの反対側に位置してもよい。双方向データ伝送は、ケーブル106内でペアとなる光ファイバを構造することにより実施することができる。
【0011】
図1の実施例において、海底通信システム100は、光中継器110A、光中継器110Bおよび光中継器110Nと示された複数の光中継器110を含み、ここで、各非限定的な実施例における光中継器間の間隔は、数十キロメートル~数百キロメートルのオーダーであってもよい。光中継器110のそれぞれは、光増幅器のような既知のアセンブリを含んでもよい。光増幅器は、例えば、エルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA)または他の希土添加光ファイバ増幅器、ラマン増幅器または半導体光増幅器(SOA)を利用することができる。
【0012】
海底通信システム100は、温度測定装置120に示すように、少なくとも1つの専用測定装置を更に含んでもよい。いくつかの非限定的な実施例において、温度測定装置120は、図1に示すように、光中継器110のうちの対応する1つに近接する位置に位置してもよい。以下、これらの温度測定装置120の操作について詳細に説明する。つまり、温度測定装置120は、所定の光中継器の近くの環境のローカル情報を提供するための環境センサアセンブリとして使用でき、例えば、海底レベルの海洋または海の温度を測定する熱センサまたは温度センサである。特に、温度測定装置120は、ハウジングと併設され、且つ、ハウジングの一部であってもよく、ハウジングは、海底ケーブルの第1部分を海底ケーブルの第2部分に接続するためのケーブルジョイントを囲む。下述のように、温度測定装置120は、温度感知コンポーネントと、海底光中継器の近くに位置するコンポーネントと通信する関連コンポーネントとを含んでもよい。本文に使用されるように、「に近接する」または「近く」という用語は、1キロメートル(km)以下の距離内にあることを意味してもよい。従って、温度測定装置120が海底光中継器から1km以下の距離に位置する場合、温度測定装置120は、海底光中継器に近接すると呼ばれることができる。
【0013】
あるいは又は加えて、海底通信システム100は、1つまたは複数の光中継器110にある少なくとも1つの圧力測定装置130を更に含んでもよい。いくつかの非限定的な実施例において、センサは、図1に示すように、光中継器110のうちの1つに位置してもよい。つまり、圧力測定装置130は、所定の光中継器における環境に関するローカル情報を提供するための圧力センサとして用いることができる。
【0014】
現在、図2に進み、温度感知用の例示的な配置のクローズアップ図を示す。図に示すように、海底ケーブルは、ケーブル106に示すように、光中継器110を貫通するように延伸し、該中継器は、海底光通信システムを介して互いに適当な間隔(例えば、数十キロメートル~数百キロメートル)で設けられた1つまたは複数の光中継器を表すことができる。海底ケーブル106は、更に温度測定装置120を貫通するように延伸し、該装置は、上記ケーブルジョイントを含んでもよい。各非限定的な実施例において、温度測定装置120は、光中継器110から5m~100mの範囲に設けられてもよく、且つ、いくつかの実施例において、1000m(1km)まで設けられてもよい。追加の実施例において、温度測定装置120と光中継器110とを分離する正確な距離は、上記距離範囲の制限外にあってもよい。高いセンサ精度を実現するために、温度測定装置120は、光中継器110による熱が海洋/海底環境の温度の目標測定に干渉しないように、光中継器110と十分なセパレーションを保持するように配置すべきであり、ここで、温度測定が局所的な人工熱源からのアーチファクトを含まないと仮定する。また、光中継器110を含む光伝送システムの高信頼性を保持するために、温度測定装置120の配置および操作は、光伝送の信頼性への影響を最小化するように設計される。
【0015】
本開示の各実施例によれば、光中継器110は、温度測定装置120に/から信号を伝送するコンポーネントを含んでもよい。これらの信号は、電力を提供して温度測定を行うまたは信号を制御して温度測定を行うために、光中継器110から温度測定装置120に伝送された出力電力信号を含んでもよい。これらの信号は、温度測定装置120から受信された入力信号を含んでもよく、温度測定情報を含む。異なる実施例によれば、温度測定は、予め設定された間隔で自動的に行ってもよいし、命令に応じて行ってもよいし、または他の適当なプログラムにより行ってもよい。一実施形態において、温度測定は、数ヶ月、数年または数十年の間隔で縦方向に行うことができ、これらの比較的長い間隔での温度変化を監視しやすくなる。一実施例によれば、所定の温度測定装置120は、光中継器110のそれぞれの近くに併設できるため、中継器のセパレーションに対応する間隔で、且つ、海底ケーブルの長さに関連する大きな総距離(例えば、数キロメートル)で、地熱海底温度マッピングを実現することができる。
【0016】
温度測定装置120または圧力測定装置130のような環境センサ(以下の図4を参照する)の確実な操作に影響を及ぼすことができる1つの考慮要因は、海底光通信システムの操作に必要な高電圧である。既知の海底光伝送システムは、DC電流から給電でき、ここで、システム電圧は、海底光中継器の数およびケーブルの長さによって確定され、これにより、伝送距離の増加に伴ってより高い電圧が必要となる。該電圧は、10000Vを超えやすく、例えば、いくつかの非限定的な実施例において、-18kV~+18kVのような高い電圧である。従って、光中継器110と温度測定装置120における熱センサとを電気的に通信させるために、原則的に、温度感知コンポーネントは、温度感知コンポーネントがグランドに対してもこのような高い電圧に保持するように、ケーブルワイヤを介して光中継器110に電気的に結合されてもよい。しかし、これらの温度感知コンポーネントは、例えば、金属円筒の小型筐体に位置してもよいため、グランドに対して10000V以上の電圧で確実な操作を保持することは、困難である。類似する考慮要因は、中継器と合わせて使用される圧力センサに適用される。特に、圧力センサは、グランド電位にある海水に接触することができる。下述のように、本実施例は、装置およびシステムを提供することによりこの問題を解決し、ここで、温度センサまたは圧力センサはグランド電位に保持でき、中継器は高電圧に保持される。
【0017】
図3は、本開示のいくつかの実施例の熱感知用の例示的なアーキテクチャの詳細を示す。特に、熱感知構成300を示し、光中継器110と温度測定装置120との間に分布され、いくつかの場合、光中継器から数メートルまたは数十メートルの範囲に位置する。熱感知構成300は、光中継器110におけるコンポーネントと温度測定装置120を有するコンポーネントとの間での電力および他の信号の通信を容易にする。
【0018】
熱感知構成300は、光中継器110に位置する光通信アセンブリ(中継器アセンブリ302として示される)と、温度測定装置120に位置する温度センサアセンブリ304とを含む。なお、図3の配置において、光中継器110は、10kV、15k、20kV等のような正常操作中の高電圧に維持され、且つ、温度センサアセンブリ304は、温度測定装置120におけるケーブル106の電位またはその近くに維持でき、該電位は光中継器110における高電圧とほぼ同じである。光中継器110におけるコンポーネントと温度センサアセンブリ304におけるコンポーネントとの間のガルバニック絶縁は、図に示される第1センサファイバ116および第2センサファイバ118のような光ファイバペアを提供することにより実現される。代替例において、追加のコンポーネントを加えた場合、1本の光ファイバのみを用いて類似する操作を実現することができる。なお、温度測定装置120は、ケーブルジョイントとして構成されてもよく、ここで、温度測定装置のハウジング121は、温度センサアセンブリ304を完全に囲んで密閉し、ハウジング121外部の海水を遮蔽する。これにより、ハウジング121が海水に接触する場合、温度センサを含む温度測定回路126は、熱伝導面(例えば、ハウジング121内部の金属表面)に接触することにより海水の温度を測定することができる。
【0019】
特に、中継器アセンブリ302は、レーザダイオード112を含んでもよく、ここで、レーザダイオード112は、電力信号を受信するように結合され、且つ、第1センサファイバ116を介して温度測定装置120における温度センサアセンブリ304に伝送される光電力信号を出力するように構成される。中継器アセンブリ302は光受信機114を更に含んでもよく、光受信機114は、第2センサファイバ118を介して温度測定装置120からの光測定信号を受信するように結合されている。従って、中継器アセンブリ302と温度センサアセンブリ304との間で通過する電磁放射線を介して電力および通信信号を提供し、ここで、電磁放射線は、その間でガルバニック絶縁を提供し、温度センサアセンブリ304は、温度測定装置120でケーブル106の電位(ケーブル電位)またはその近くに保持することができ、即ち、いくつかの非限定的な実施例において、+/-18000Vと高い高電圧に保持される。
【0020】
なお、温度センサアセンブリ304および中継器アセンブリ302は、同じ高電圧レベルに保持することができるが、電線を介して結合することに比べ、温度センサアセンブリ304と中継器アセンブリ302との間の光結合は、依然として有益である。例えば、既知の光中継器はツェナーダイオード電源を含んでもよい。ツェナーダイオード電源の一側は、光中継器(例えば、光中継器110)に付接された2つのケーブルのうちの一方に接続される。ツェナーダイオード電源の他側は、光中継器に付接された他方のケーブルに接続される。このようなダイオード電源から電力を伝送するために、電線または光ファイバが光中継器110とケーブルジョイントまたは温度測定装置120との間で通信を行うことを可能にするルースチューブを提供することができる。しかし、電線を使用するには、大きすぎる空間が必要となる可能性があり、ルースチューブで使用できない。しかし、1セットの光ファイバを用いて光中継器110と温度測定装置120との間で電力および他の信号を伝送することは、このような光ファイバがより小さな空間を必要とするため、実行可能な構成を提供する。
【0021】
図3で具体的に記述された実施例において、温度センサアセンブリ304は、レーザダイオード412から出力されて第1センサファイバ116を介して伝導された光電力信号を受信するように構成される光電力変換器122を含んでもよい。その後、光電力変換器122は、図に示す電気制御電力信号を出力することができる。温度センサアセンブリ304は、温度測定回路126を更に含んでもよく、該回路は、光電力変換器122からの電気制御電力信号を受信するように構成されるコンポーネントを含む1つまたは複数の既知のコンポーネントを含んでもよい。一例において、該制御電力信号は、温度測定回路126のコンポーネントまたは温度センサ信号の他のコンポーネントを操作するための電力を提供することができる。別の例において、制御電力信号または類似する信号は、温度測定回路126に温度測定を実行させるおよび/または熱測定信号を出力させるようにトリガする制御信号を表すことができ、温度測定の実行に基づいて温度読取値を出力することを意味する。
【0022】
温度センサアセンブリ304は、温度測定回路126からの温度測定信号を受信するように構成され、且つ、第2センサファイバ118を介して光受信機114に光測定信号を出力するように構成される光送信機124を更に含んでもよい。例えば、光測定信号は、温度読取値等を示すデータを含んでもよい。
【0023】
なお、便宜上、且つ、本開示の各実施例によれば、第1センサファイバ116および第2センサファイバ118は海底光ケーブルに含まれてもよく、該海底光ケーブルは、電力線および双方向通信用の光ファイバアセンブリを含む。特に、第1センサファイバ116および第2センサファイバ118は、光中継器110と温度測定装置120との間で温度センサ情報を伝送するための専用光ファイバペアを形成することができる。上述したように、第1センサファイバ116と第2センサファイバ118のようなセンサファイバアレイは、海底ケーブルに併設でき、該海底ケーブルは、温度測定装置120のハウジング内に延伸し、該ハウジングは海底ケーブルのケーブルジョイントを収容する。
【0024】
図3の実施例については、光中継器110とセンサ装置(例えば、温度測定装置120または圧力センサ装置420)との間の精確な距離を選択する考慮要因は、1)所定のセンサアセンブリ(304、404)の操作に必要な最小電力、2)所定のセンサアセンブリと光中継器110との間の光ファイバリンク(116、118、416、418)における電力損失、および3)前述したように、中継器による熱がセンサ測定に影響を及ぼさないことを確保する必要があるという内容を少なくとも含んでもよい。その結果、いくつかの実施例によれば、所定のセンサ装置(例えば、120、420)は、中継器(例えば、光中継器110)から5m~1km間の距離に配置されてもよい。
【0025】
他の実施例において、環境センサは、光中継器における中継器アセンブリと併設できる。図4は、本開示のいくつかの実施例による圧力感知用の例示的なアーキテクチャの詳細を示す。特に、光中継器に含まれる圧力感知構成400を示す。光中継器110における圧力感知構成400は、中継器アセンブリ402を含む光中継器110のコンポーネントと圧力センサアセンブリ404のコンポーネントとの間の通信を容易にする。
【0026】
図に示すように、中継器アセンブリ402および圧力センサアセンブリ404を含む圧力感知構成400は、光中継器110に位置する。なお、図4の配置において、光中継器110における中継器アセンブリ402は、10kV、15kV、20kV等のような正常操作中の高電圧に保持され、圧力センサアセンブリ404は、グランド電位またはグランド電位の近くに保持され、例えば、200V以下の海水電圧に保持される。中継器アセンブリ402と圧力センサアセンブリ404のコンポーネント間のガルバニック絶縁は、図に示す第1センサファイバ416、第2センサファイバ418および第3センサファイバ419のような3本の光ファイバを提供することにより実現される。
【0027】
特に、中継器アセンブリ402はレーザダイオード412を備えてもよく、ここで、レーザダイオード412は、電力信号を受信するように結合され、且つ、第1センサファイバ416を介して圧力センサアセンブリ404に伝送された光電力信号を出力するように構成される。中継器アセンブリ402は、2つの光受信機414および415を含んでもよく、光受信機414と光受信機415とは、それぞれ第2センサファイバ418および第3センサファイバ419を介して圧力センサアセンブリ404からの光測定信号を受信するように結合されている。従って、中継器アセンブリ402と圧力センサアセンブリ404との間で通過する電磁放射線により電力および通信信号を提供し、ここで、電磁放射線は、その間でガルバニック絶縁を提供し、これにより、圧力センサアセンブリ404は、グランド電位またはグランド電位の近くに保持することができる。
【0028】
図4で具体的に記述された実施例において、圧力センサアセンブリ404は、レーザダイオード412から出力されて第1センサファイバ416を介して伝導された光電力信号を受信するように構成される光電力変換器422を含んでもよい。その後、光電力変換器422は、図に示す電気制御電力信号を出力することができる。圧力センサアセンブリ404は、圧力センサを更に含んでもよく、圧力測定回路426に示すように、該回路は、光電力変換器122からの電気制御電力信号を受信するように構成されるコンポーネントを含む1つまたは複数の既知のコンポーネントを含んでもよい。正確に操作するために、圧力センサは海水430に曝される。一実施例によれば、圧力測定回路426用のセンサ入力は、光中継器110のハウジングの一部を貫通することができる。また、光中継器110の本体は、海水と物理的な隔離を保持する。一方、圧力測定回路426へのセンサ入力は、圧力および温度入力を含んでもよい。なお、温度入力は、圧力読取値を正確に校正するように使用される。
【0029】
圧力センサアセンブリ404は、圧力測定回路426からの温度測定信号を受信するように構成され、且つ、第2センサファイバ418を介して光受信機414に光測定信号を出力するように構成される光送信機424を更に含んでもよい。例えば、光測定信号は、温度読取値等を示すデータを含んでもよい。
【0030】
圧力センサアセンブリ404は、圧力測定回路426からの圧力測定信号を受信するように構成され、且つ、第3センサファイバ419を介して光受信機414に光測定信号を出力するように構成される光送信機425を更に備えてもよい。例えば、光測定信号は、圧力読取値を示すデータ等を含んでもよい。なお、圧力センサアセンブリ404と中継器アセンブリ402のコンポーネントがいずれも光中継器110に収容されるため、このような通信は光ファイバで行うことができ、光ファイバを含むケーブルが必要ではない。これらの光ファイバは「光ケーブル」の一部に属していない。圧力測定回路426に加え、圧力を測定しやすいように、光中継器110のメインハウジング111から延伸して海水430に接触するためのチューブ428を提供する。高電圧に保持できる光中継器110の他の電子機器に比べ、メインハウジング111内部に設けられた圧力測定回路426を含む圧力センサの部分は、グランド電位の近くに保持される。従って、圧力センサアセンブリ404および光中継器110の他の電子機器は、20kVまでの電圧差をサポートするために十分な距離を離れる。
【0031】
図5は、例示的なのプロセスフロー500を示す。ブロック502で、海水環境に設けられた環境センサで環境測定値を受信する。各実施例において、環境センサは、温度センサまたは圧力センサであってもよい。いくつかの実施例において、環境センサは、海底光通信システムの海底ケーブルジョイントを含むハウジングに設けられた温度センサであってもよい。他の実施例において、環境センサは、海底光通信システムの海底光中継器に設けられた圧力センサであってもよい。
【0032】
ブロック504で、環境測定値を電気測定信号として光送信機に送信する。ブロック506で、電気測定信号に基づき、海底光中継器における中継器アセンブリに結合されている光ファイバアセンブリを介して光測定信号を出力する。従って、環境センサは、中継器アセンブリと電気的に隔離することができ、ここで、中継器アセンブリは、グランドに対して-18000V~+18000V間のような高電圧に保持できる。いくつかの例において、中継器アセンブリは、環境センサを操作するための操作電力および/または制御信号を提供するとともに、環境センサとのガルバニック絶縁を保持するように、光ファイバアセンブリを介して環境センサを含む環境センサアセンブリに電力を追加的に伝送することができ、海水の電位下に設定されてもよい。
【0033】
本開示はいくつかの実施例を参照したが、1つまたは複数の添付の特許請求の範囲に定義された本開示の分野および範囲から逸脱することなく、前記実施例に対する様々な修正、変更および変化は可能である。従って、本開示は、記載された実施例に限定されないが、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物の言語によって定義された全範囲を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】