(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028156
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】ミニマム創手術用サンプル収容装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20240222BHJP
A61B 17/22 20060101ALI20240222BHJP
A61B 10/02 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
A61B17/00
A61B17/22 528
A61B10/02 300Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126925
(22)【出願日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】111130957
(32)【優先日】2022-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】512334431
【氏名又は名称】常廣股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】チャン クオ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】パイ チェン チョー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE22
4C160EE30
4C160MM32
(57)【要約】
【課題】汚染のリスクを抑えられるミニマム創手術用サンプル収容装置の提供。
【解決手段】前後方向に沿って延伸する筐体手段2と、可動的に筐体手段に配置される操作レバーと操作レバーに連動する固定レバーと固定レバーの一端に互いに分離不可に連結される変形レバーとを有し筐体手段に配置される開閉手段3と、開閉手段3の固定レバーと変形レバーに取り付けられて開閉手段3に連動する入れ口を有し、開閉手段3に接続されるサンプル袋と、を備えたミニマム創手術用サンプル収容装置であって、操作レバーが前後方向に沿って動かされることにより、固定レバーと変形レバーとが隣接して且つ平行し、サンプル袋の入れ口が閉じられる閉位置と、変形レバーが湾曲してサンプル袋の入れ口を開かせる開位置と、の間に切り替えることができるように構成される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに取り外し可能に接続される第1のケーシングと第2のケーシングとを有し、前記第1のケーシングと前記第2のケーシングとは、両者の間に収容空間と、前後方向に沿って延伸して外部と前記収容空間とを連通させる案内溝とを共に画成するように構成された筐体手段と、
前記収容空間内に可動的に前記筐体手段に配置されて前記変形レバーに接続される本体部及び前記本体部から前記案内溝外まで延伸する取手部を有する操作レバーと前記操作レバーに連動する固定レバーと前記固定レバーの一端に互いに分離不可に連結される変形レバーとを有し、
前記筐体手段に配置される開閉手段と、
前記開閉手段の前記固定レバーと前記変形レバーに取り付けられて前記開閉手段に連動する入れ口を有すると共に、前記開閉手段に接続されるサンプル袋と、を備えたミニマム創手術用サンプル収容装置であって、
前記操作レバーが前記前後方向に沿って動かされることにより、前記固定レバーと前記変形レバーとが隣接して且つ平行し、前記サンプル袋の前記入れ口が閉じられる閉位置と、前記変形レバーが湾曲して前記サンプル袋の前記入れ口を開かせる開位置と、の間に切り替えることができるように構成されることを特徴とするミニマム創手術用サンプル収容装置。
【請求項2】
前記開閉手段は、前記操作レバーと前記固定レバーとの間に取り外し可能に接続される分離レバーを更に有し、
前記第1のケーシングは前記第2のケーシングと共に前記収容空間を画成する第1の包囲部と、前記第1の包囲部から前記第2のケーシングへ突起し、且つ、前記前後方向に沿って延伸する保持部と、を有し、
前記閉位置に切り替える際、前記分離レバーは前記操作レバーと前記固定レバーとの間に挟まれると共に、前記保持部により支持され、
前記開位置に切り替える際、前記分離レバーは、前記保持部と前記第2のケーシングとの間から離れて前記保持部からの支持を受けなくなるため前記操作レバー及び前記固定レバーから切り離されることを特徴とする請求項1に記載のミニマム創手術用サンプル収容装置。
【請求項3】
前記第1の包囲部は、前記前後方向における両端にそれぞれ位置する第1の端壁と第2の端壁と、前記第1の端壁と前記第2の端壁とを繋ぐ第1の包囲壁とを有し、
前記固定レバーは前記前後方向に沿って延伸し、且つ、両端がそれぞれ取付端部と第1の回転連結端部となり、
前記変形レバーは前記前後方向に沿って延伸し、且つ、両端がそれぞれ固定端部と第2の回転連結端部となり、
前記操作レバーは前記変形レバーの前記固定端部が取り付けられる接続突起を有し、
前記分離レバーは前記固定レバーの前記取付端部が取り外し可能に接続されるフック部を有し、
前記固定レバーの前記第1の回転連結端部と前記変形レバーの前記第2の回転連結端部とは、互いに相対回転可能に接続されており、且つ、
前記開位置に切り替えられる際、前記固定レバーの前記取付端部は前記第1の端壁の内側に当接することを特徴とする請求項2に記載のミニマム創手術用サンプル収容装置。
【請求項4】
前記操作レバーは、前記本体部の前記第1の端壁に面する側に、前記前後方向において凹陥して前記分離レバーが嵌め込まれる嵌込スロットが形成されることを特徴とする請求項3に記載のミニマム創手術用サンプル収容装置。
【請求項5】
前記操作レバーは、前記本体部から突起する嵌込部を有し、
前記第2のケーシングに、前記開位置に位置する際において前記操作レバーが有する前記嵌込部を受け入れて係合する制限溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のミニマム創手術用サンプル収容装置。
【請求項6】
前記案内溝の前記前後方向において前記制限溝の位置に対応する幅広エリアが形成され、前記幅広エリア以外の部分は幅が前記幅広エリアより狭い幅狭エリアとなり、
前記操作レバーの前記案内溝を通過する前記取手部は、前記幅広エリアに到達すると、前記操作レバーと共に前記前後方向に直交する上下方向へ移動可能になると共に、
前記操作レバーの前記上下方向への移動により前記嵌込部は前記制限溝内に嵌め込まれることができることを特徴とする請求項5に記載のミニマム創手術用サンプル収容装置。
【請求項7】
前記筐体手段は、前記第1のケーシング及び前記第2のケーシングに取り外し可能に接続できると共に、前記第1のケーシング及び前記第2のケーシングに接続する際、前記収容空間に連通して前記固定レバーと前記変形レバーと前記サンプル袋を収容できる受入空間を囲む延伸パイプを有することを特徴とする請求項1に記載のミニマム創手術用サンプル収容装置。
【請求項8】
前記第1のケーシングは、前記前後方向に沿って延伸する第1の延伸部を有し、
前記第2のケーシングは、前記前後方向に沿って延伸し、前記第1の延伸部と共に前記延伸パイプが嵌め込まれることができるスリーブスロットを囲む第2の延伸部を有するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のミニマム創手術用サンプル収容装置。
【請求項9】
前記開閉手段の前記固定レバーは、前記変形レバーに互いに分離不可に連結されるように接続されると共に、直尺状態と巻き尺状態との間に迅速に切り替え可能なクイック変形部材を更に有し、
前記直尺状態における前記クイック変形部材と前記変形レバーとはいずれも前記前後方向に沿って延伸し、
前記巻き尺状態に切り替えられた前記クイック変形部材は変形レバー側へ湾曲して前記変形レバーを湾曲変形させることで、
前記サンプル袋の前記入れ口を開かせることを特徴とする請求項1に記載のミニマム創手術用サンプル収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は手術用器具に関し、特に、ミニマム創手術用サンプル収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1と
図2に特許文献1に記載されるサンプル袋が示されており、この従来のサンプル袋は、スリーブチューブ11と、スリーブチューブ11に取り付けられる操作レバー12と、スリーブチューブ11に取り付けられる固定レバー13と、操作レバー12と固定レバー13とにそれぞれ接続される弾性リング14と、弾性リング14が取り付けられると共に弾性リング14に連動する袋本体15と、を有するように構成されている。
【0003】
使用の際は、操作レバー12を押し動かすと、弾性リング14は連動してスリーブチューブ11から離れるため、自身の弾性回復力によって袋本体15の入れ口を開かせることができる。入れ口を閉じる場合は、操作レバー12を引き戻すと弾性リング14はスリーブチューブ11により圧縮されるため、入れ口はこれに連動して小さくなる。しかし、入れ口を閉じる際、弾性リング14は自身の弾性回復力によって常に円弧状を保ち続けるため、入れ口を小さくすることが出来ても、入れ口を完全に密閉することはできない。また、弾性リング14がスリーブチューブ11に進入する時、袋本体15はスリーブチューブ11内に収容されず、スリーブチューブ11の開口外に丸められるため、入れ口に複数のしわが生成されて入れ口の密閉は更に難しくなる。
【0004】
袋本体15は、手術の時に切り落とされたサンプルを収容するものであるが、通常のサンプルの多くは病変組織もしくは器官の一部等、血液や組織液が付着しているため、もしサンプルやそこについている液体が袋本体15から漏れ出して患者の他の部位に接触するようになると、病原の拡散や汚染のリスクが高まる。
【0005】
図3~
図5に特許文献2に記載されるサンプル袋が示されており、この従来のサンプル袋は、スリーブチューブ11と、スリーブチューブ11に取り付けられる操作レバー12と、袋本体15と、操作レバー12に接続される変形レバー16と、スリーブチューブ11に接続されると共に、変形レバー16に平行する固定レバー17と、を有する。変形レバー16及び固定レバー17は袋本体15に取り付けられ、操作レバー12が変形レバー16をスリーブチューブ11の外側へ押し出す際、変形レバー16の先端が固定レバー17に当接するため、変形レバー16を湾曲変形させると共に、袋本体15の入れ口を開かせる構成になっている。このようなサンプル袋は、袋本体15の入れ口を閉じる際は、変形レバー16を固定レバー17に平行させて両者を近づけさせることによって入れ口を閉じるので、湾曲角度は生成されず、これにより入れ口の閉止が不完全な問題を改善する。
【0006】
しかし、上記のように、変形レバー16の先端を固定レバー17に直接的に当接して変形レバー16のバックリングで袋本体15の入れ口を開かせる構成になっているため、この際において変形レバー16に与えられる力が大きすぎると、変形レバー16に予期できない変形が生じるようになりやすく、そして変形レバー16の先端の構成も固定レバー17に制限されていないため、変形レバー16が固定レバー17から離れてしまって袋本体15の入れ口が不意に開いてしまうといった状況も生じやすいので、サンプルやそこについている液体が袋本体15から漏れ出して患者の他の部位に接触するようになると、病原の拡散や汚染のリスクが高まる問題は未だに完全に解決されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/244392号明細書
【特許文献2】米国特許第8409216号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は汚染のリスクを抑えられるミニマム創手術用サンプル収容装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点に鑑みて、本発明は、前後方向に沿って延伸する筐体手段と、
可動的に前記筐体手段に配置される操作レバーと前記操作レバーに連動する固定レバーと前記固定レバーの一端に互いに分離不可に連結される変形レバーとを有し前記筐体手段に配置される開閉手段と、
前記開閉手段の前記固定レバーと前記変形レバーに取り付けられて前記開閉手段に連動する入れ口を有すると共に、前記開閉手段に接続されるサンプル袋と、を備えたミニマム創手術用サンプル収容装置であって、
前記操作レバーが前記前後方向に沿って動かされることにより、前記固定レバーと前記変形レバーとが隣接して且つ平行し、前記サンプル袋の前記入れ口が閉じられる閉位置と、前記変形レバーが湾曲して前記サンプル袋の前記入れ口を開かせる開位置と、の間に切り替えることができるように構成されることを特徴とするミニマム創手術用サンプル収容装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明において開閉手段の固定レバーと変形レバーは互いに分離不可に連結され、且つ、サンプル袋の入れ口が閉じられる閉位置では固定レバーと変形レバーとが平行に隣接するので、確実にサンプル袋の入れ口を閉じることが出来ると共に、過大な力によって変形レバーと固定レバーが互いに離れてサンプル袋の入れ口を開かせてしまうような状況も発生しなくなるので、サンプル袋の入れ口が確実に閉じられていないことによる汚染のリスクを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】特許文献1に記載されるサンプル袋の構成が示される説明図である。
【
図2】特許文献1に記載のサンプル袋の構成が示される上面図である。
【
図3】特許文献2に記載されるサンプル袋の構成が示される斜視図である。
【
図4】特許文献2に記載のサンプル袋の入れ口が閉じられた状態が示される説明図である。
【
図5】特許文献2に記載のサンプル袋の入れ口が開かれた状態が示される説明図である。
【
図6】本発明のミニマム創手術用サンプル収容装置の第1の実施例の全体的構成が示される斜視図である。
【
図7】
図6におけるVII-VII線に沿った断面図である。
【
図9】
図6におけるVII‐VII線に沿った断面図であり、閉位置における操作レバーの状態が示されている。
【
図10】
図9に類似する断面図であり、サンプル袋が延伸パイプから露出している様子が示されている。
【
図11】
図6におけるIX‐IX線に沿った断面図である。
【
図12】
図11に類似する断面図であり、サンプル袋が延伸パイプから露出している様子が示されている。
【
図13】開位置における操作レバーの状態が示されている断面図である。
【
図14】本発明のミニマム創手術用サンプル収容装置の第2の実施例の構成が示される一部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
具体的説明に入る前に、本発明において同じ役割を担う構成要素に関しては、全く同じものでなくても、同じ符号が振り分けられている。また、以下の説明における「前」、「後」、「左」、「右」などの用語は、各部材の間の相対的位置関係をわかりやすく説明するために用いられるものであり、本発明の構成を限定するものではない。
以下は各図面を用いて本出願について詳しく説明する。
【0013】
まず、
図6~
図9に本発明のミニマム創手術用サンプル収容装置の第1の実施例が示されており、図示のように、本発明のミニマム創手術用サンプル収容装置は筐体手段2と、開閉手段3と、サンプル袋4と、を有する。
【0014】
筐体手段2は前後方向Xに沿って延伸し、第1のケーシング21と、第1のケーシング21に接続される第2のケーシング22と、第1のケーシング21及び第2のケーシング22により囲まれる収容空間23と、収容空間23を外部の空間に連通させるよう、前後方向Xに直交する左右方向Yにおいて筐体手段2を貫通し、且つ、前後方向Xに沿って延伸する案内溝24と、第1のケーシング21及び第2のケーシング22に取り外し可能に接続される延伸パイプ25と、を有する。また、第1のケーシング21と第2のケーシング22は、互いに取り外し可能に接続されるように構成されることができる。
【0015】
図8~
図10に示されるように、第1のケーシング21は、第2のケーシング22と共に収容空間23を囲む第1の包囲部211と、第1の包囲部211から第2のケーシング22へ突起し、且つ、前後方向Xに沿って延伸する保持部212と、前後方向Xに沿って延伸する第1の延伸部213と、を有する。第1の包囲部211は、前後方向Xにおける両端にそれぞれ位置する第1の端壁214と第2の端壁215と、第1の端壁214と第2の端壁215とを繋ぐように延伸する第1の包囲壁216と、第1の端壁214を貫通する連通孔217とを有する。第1の延伸部213は第1の端壁214から、第2の端壁215の反対側へ延伸する。
【0016】
第2のケーシング22は、第1の包囲部211と共に収容空間23を囲む第2の包囲部221と、前後方向Xに沿って延伸する第2の延伸部222とを有する。第2の包囲部221は前後方向Xにおける両端にそれぞれ位置する第3の端壁223と第4の端壁224と、第3の端壁223と第4の端壁224とを繋ぐように延伸する第2の包囲壁225と、第2の包囲壁225を貫通して収容空間23を外部の空間と連通させる制限溝226と、を有する。第2の延伸部222は第3の端壁223から第4の端壁224の反対側へ延伸し、第1の延伸部213と共に延伸パイプ25が嵌め込まれるスリーブスロット227を囲む。また、制限溝226は前後方向Xに沿って延伸する左右一つずつの係合エリア228を有し、「山」の字のように形成されている。
【0017】
第1のケーシング21と第2のケーシング22は1つの円管状に組み立てられ、第1のケーシング21と第2のケーシング22の内側にある収容空間23は、第1の包囲部211の第1の端壁214と第2の端壁215と第1の包囲壁216と、第2の包囲部221の第3の端壁223と第4の端壁224と第2の包囲壁225とにより囲まれる。第1の包囲壁216と第2の包囲壁225の左右両側にそれぞれ上下方向への凹陥が形成されることにより円管状に組み立てられると左右一つずつの案内溝24が形成され、そしてこの案内溝24の前後方向Xにおいて制限溝226の位置に対応する幅広エリア242(
図6参照)が形成され、幅広エリア242以外の部分は上下方向Zにおける幅が幅広エリア242より狭い幅狭エリア241となる。延伸パイプ25はサンプル袋4を収容できる受入空間251を囲み、そして延伸パイプ25がスリーブスロット227に嵌め込まれることにより、第1の端壁214を貫通する連通孔217を経由して収容空間23と受入空間251とは互いに連通する。すなわち、延伸パイプ25は第1のケーシング21及び第2のケーシング22に取り外し可能に接続できると共に、第1のケーシング21及び第2のケーシング22に接続する際、収容空間23に連通して固定レバー33と変形レバー34とサンプル袋4を収容できる受入空間251を囲む。
【0018】
開閉手段3は筐体手段2に取り付けられていると共に、可動的に筐体手段2に取り付けられる操作レバー31と、取り外し可能に操作レバー31に接続される分離レバー32と、取り外し可能に分離レバー32に接続され、且つ、操作レバー31に連動して動く固定レバー33と、固定レバー33に互いに分離不可に連結される変形レバー34と、を有する。
【0019】
操作レバー31は、前後方向Xに沿って移動可能に収容空間23内に配置される本体部311と、本体部311から左右方向Yに沿ってそれぞれ案内溝24を経由して外部の空間に露出する2つの取手部312と、本体部311から上下方向Zへ延伸する接続突起313と、本体部311から上下方向Zへ突起し、且つ、制限溝226内に嵌め込まれることができるように形成される嵌込部314とを有する。また、本体部311の第1の端壁214に面する側に、前後方向Xにおいて凹陥して分離レバー32が嵌め込まれることができる嵌込スロット315が形成される。
【0020】
この実施例において、取手部312の数は2であるが、取手部312の数については特に制限はなく、1つだけでも可能である。また、案内溝24を通過する取手部312は、幅広エリア242に到達すると、操作レバー31と共に上下方向Zへ移動することができる。この他、この実施例において、操作レバー31に形成される嵌込部314の形状や数についても特に制限はなく、制限溝226に嵌め込んで操作レバー31の筐体手段2に対する前後方向における移動を制限できる構成であればよい。
【0021】
図8と
図9と
図12に示されるように、分離レバー32は上下方向Zにおいて延伸するフック部321を有する。また、第1のケーシング21が有する保持部212は、第1の端壁214から第1の端壁214との第2の端壁215間における中央辺りの所定の位置まで延伸する。また、この所定の位置とは、保持部212の第1の端壁214に面する端部から第1の端壁214までの距離が、分離レバー32の前後方向Xにおける全長に略一致し、分離レバー32は保持部212の第1の端壁214に面する端部から第1の端壁214までの空間内に収容されることができる。
【0022】
固定レバー33と変形レバー34はいずれも細長い棒状に形成されている。固定レバー33は前後方向Xにおける長さが変形レバー34より短く、且つ、変形レバー34より太く形成されている。固定レバー33の前後方向Xにおける1つの端部は取付端部331として分離レバー32のフック部321に取り付けられ、他の1つの端部は第1の回転連結端部332として変形レバー34に互いに分離不可に連結される。変形レバー34の前後方向Xにおける1つの端部は固定端部341として取り外し可能に操作レバー31の接続突起313に接続され、他の1つの端部は第2の回転連結端部342として固定レバー33の第1の回転連結端部332に互いに分離不可に連結される。ちなみに、ここで用いられる「互いに分離不可に連結」というのは、外力などを用いて強引に切り離さない限り、第1の回転連結端部332と第2の回転連結端部342との互いに連結された状態が維持されることを意味する。また、この実施形態においては、第1の回転連結端部332と第2の回転連結端部342とはある程度の相対回転が可能になるよう、巻き付けられ合う構成になっている。
【0023】
サンプル袋4は内部と外部の空間を連通させる入れ口41を有するように袋状に形成されていると共に、入れ口41の周縁に固定レバー33及び変形レバー34が取り付けられ、固定レバー33及び変形レバー34の形状及び相対位置の変化により開閉するようになっている。
【0024】
図10と
図11と
図13に示されるように、開閉手段3は、操作レバー31の取手部312からの操作を受けて前後方向Xに沿って動かされることにより、固定レバー33と変形レバー34とが互いに隣接して且つ平行し、サンプル袋4の入れ口41が閉じられる閉位置(
図9、
図11、
図12参照)と、変形レバー34が湾曲して固定レバー33と所定の角度を成し、サンプル4袋の入れ口41を開かせる開位置(
図13参照)と、の間に切り替えることができるように構成される。ちなみに、制限溝226は、この開位置において操作レバー31が有する嵌込部314を受け入れて係合することができる位置に形成されている。
【0025】
すなわち、
図11に示されるように、操作レバー31の本体部311が前後方向Xにおける後側(第2の端壁215/第4の端壁224側)よりの位置にある際、固定レバー33と変形レバー34とは互いに平行に隣接し、そして操作レバー31と固定レバー33とを接続する分離レバー32は操作レバー31と保持部212との間に挟まれている。従って、サンプル袋4の入れ口41は閉じられていてその内部と外部の空間は遮断されている。また、
図9、
図11に示されるように、操作レバー31の本体部311が前後方向Xにおいて最も第2の端壁215に近い位置にある場合、サンプル袋4はスリーブスロット227に取り付けられる延伸パイプ25により囲まれる受入空間251内に収容される。また、この際、例えば手術時の切開による開口を経由して、延伸パイプ25を体内に挿入しておくことができる。
【0026】
図9及び
図11に示される状態から操作レバー31を前方へ動かすと、固定レバー33及び変形レバー34は共に接続される操作レバー31及び分離レバー32と共に、互に平行する状態を維持するまま前進するが、
図10及び
図12に示される状態、すなわち、操作レバー31と保持部212との間に挟まれて操作レバー31と共に前進する分離レバー32が前記所定の位置を通り過ぎて(即ち保持部212と第2のケーシング22との間から離れて)保持部212からの支持を受けなくなると、分離レバー32は保持部212の第1の端壁214に面する端部から第1の端壁214までの空間内に収容されるようになると共に操作レバー31及び固定レバー33から切り離され、第1の端壁214により阻まれた分離レバー32が操作レバー31と共に更に前進することが出来ないため、固定レバー33も操作レバー31と共に更に前進することが不可能となる。また、
図10に示されるように、この状態ではサンプル袋4は延伸パイプ25から押し出されるようになる。
【0027】
図10及び
図12に示される状態から、更に操作レバー31を前方へ動かすと、変形レバー34の固定端部341は操作レバー31と共に更に前進するが、変形レバー34の第2の回転連結端部342は固定レバー33の第1の回転連結端部332に互いに分離不可に連結されているため前進することができないので、
図13に示されるように操作レバー31と共に前進する固定端部341が第2の回転連結端部342に接近すると共に、変形レバー34は湾曲変形し、サンプル袋4の入れ口41は変形レバー34の変形により開かれるようになる。操作レバー31の前進によって操作レバー31に形成される嵌込部314が制限溝226に嵌め込まれる位置に到達すると、操作レバー31を上下方向Zに動かして嵌込部314を制限溝226に嵌め込ませることによって、操作レバー31の前後方向Xにおける移動を制限し、取手部312に対する操作を停止してもサンプル袋4の入れ口41が開かれる開位置に留まらせることができる。
【0028】
また、例えば、操作レバー31を上下方向Zに動かして嵌込部314を制限溝226から引き抜いて更に操作レバー31を後方へ引くように操作することにより、
図13に示される状態から
図10及び
図12に示される状態、すなわち閉位置に戻すことができるので、サンプル袋4の入れ口41が閉じられたまま人体から取り出すことが可能であり、サンプル袋の入れ口が確実に閉じられていないことによる汚染のリスクを抑えられることができる。また、第1のケーシング21と第2のケーシング22とが互いに取り外し可能に接続されるように構成される場合、サンプル袋4を人体から取り出す前に、まず第1のケーシング21と第2のケーシング22とを互いに分離させるように取り外してから、操作レバー31と分離レバー32をも取り外すことにより、本発明のミニマム創手術用サンプル収容装置はサンプル袋4に接続される固定レバー33及び変形レバー34だけが残るので、全体が占める体積を減らし、その後の手術がやりやすくなる利点がある。
【0029】
図14と
図15に示されるように、本発明のミニマム創手術用サンプル収容装置の第2の実施例は、第1の実施例に類似する構成を有しながら、固定レバー33の構成だけ相違点が存在するので、以下はこの相違点について詳しく説明する。
【0030】
この第2の実施例において、開閉手段3が有する固定レバー33は、分離レバー32のフック部321に取り付けられる取付端部331を有する固定延伸部材335と、接続部材334を介して固定延伸部材335に接続されると共に、第1の回転連結端部332を有し、変形レバー34の第2の回転連結端部342に接続されるクイック変形部材333と、を有する。
【0031】
この第2の実施形態において、クイック変形部材333は直尺状態と巻き尺状態との間に迅速に切り替え可能ないわゆるパッチンバンドと同じ構成を有し、すなわち、直尺状態におけるクイック変形部材333と変形レバー34とはいずれも前後方向Xに沿って延伸し、巻き尺状態に切り替えられた際には変形レバー34側へ湾曲して変形レバー34を湾曲変形させることで、サンプル袋4の入れ口41を開かせることができる。
【0032】
この第2の実施形態において、クイック変形部材333は、固定延伸部材335を介する作動や、他の手術器具をクイック変形部材333に接触させることにより、直尺状態から巻き尺状態に即座に切り替えさせることができる。
【0033】
このように、本願発明の第2の実施例は第1の実施形態と同等な効果を発揮することができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
2 筐体手段
21 第1のケーシング
211 第1の包囲部
212 保持部
213 第1の延伸部
214 第1の端壁
215 第2の端壁
216 第1の包囲壁
217 連通孔
22 第2のケーシング
221 第2の包囲部
222 第2の延伸部
223 第3の端壁
224 第4の端壁
225 第2の包囲壁
226 制限溝
227 スリーブスロット
228 係合エリア
23 収容空間
24 案内溝
241 幅狭エリア
242 幅広エリア
25 延伸パイプ
251 受入空間
3 開閉手段
31 操作レバー
311 本体部
312 取手部
313 接続突起
314 嵌込部
315 嵌込スロット
32 分離レバー
321 フック部
33 固定レバー
331 取付端部
332 第1の回転連結端部
333 クイック変形部材
334 接続部材
335 固定延伸部材
34 変形レバー
341 固定端部
342 第2の回転連結端部
4 サンプル袋
41 入れ口
X 前後方向
Y 左右方向
Z 上下方向