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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028162
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】液冷モジュール
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/02 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
B60K11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023128441
(22)【出願日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】10 2022 208 584.1
(32)【優先日】2022-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロット ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ドゥンシュ ローベルト
(72)【発明者】
【氏名】コールマン アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ノイバウアー ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】シュプリンガー ダーヴィト
(72)【発明者】
【氏名】ツィンク ラルフ
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038AB01
3D038AC22
3D038AC23
(57)【要約】
【課題】よりコンパクトな設計及び/又は単純化された動作によって特徴付けられる、改良された液冷モジュール及び自動車を提供する。
【解決手段】本発明は、液体を冷却するための液冷モジュール(1)に関し、この液冷モジュールは、冷却器(2)を備え、この冷却器を介して、液体の冷却路(4)が通じ、液体のバイパス路(5)がバイパスする。液冷モジュール(1)のコンパクトな構造及び簡略化された操作の結果、液冷モジュール(1)は、膨張要素(11)を備えた自動弁装置(10)及びバネ機構(15)を備え、これらは、弁装置(10)が第1温度以下で、自動的に冷却路(4)を遮断し、バイパス路(5)を開き、第1温度よりも上で、冷却路(4)を開いてバイパス路(5)を遮断するように相互作用する。また、本発明は、このような液冷モジュール(1)を備えた自動車(101)に関する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動中に液体を冷却し、前記液体の冷却路(4)が通じる冷却器(2)を有し、
前記冷却器(2)をバイパスする液体用のバイパス路(5)を有し、
軸方向(R1)及び前記軸方向(R1)を囲む円周方向(R2)に延在し、前記液体のメインパス(3)に通じる弁チャネル(7)を有し、
前記弁チャネル(7)は、前記バイパス路(5)が通じるバイパス開口部(8)を備え、
前記弁チャネル(7)は、冷却器開口部(9)を備えており、前記冷却器開口部(9)を通って前記冷却路(4)が通じ、
前記弁チャネル(7)を前記軸方向(R1)に調整可能な弁装置(10)を有し、
前記弁装置(10)は、作動ピストン(12)及びハウジング(13)と共に前記軸方向(R1)に作用する膨張要素(11)を備え、
前記弁装置(10)は、前記軸方向(R1)に前記膨張要素(11)から離間した閉鎖部(14)と、前記ハウジング(13)と前記閉鎖部(14)との間に配置されたバネ機構(15)とを備え、
前記バネ機構(15)は前記膨張要素(11)を前記冷却器開口部(9)の方向に、
・所定の第1温度以下での、前記弁装置(10)のバイパス位置(16)において、前記ハウジング(13)は前記冷却器開口部(9)を閉鎖し、前記弁装置(10)は前記バイパス開口部(8)を開放し、前記冷却路(4)は遮断されて前記バイパス路(5)は開放され、かつ
・前記第1温度以上での、前記弁装置(10)の冷却器位置(17)において、前記膨張要素(11)は、前記ハウジング(13)の手段により、前記バネ機構(15)の負荷に対して作用し、前記ハウジング(13)が開いて前記冷却器開口部(9)及び前記閉鎖部(14)が前記バイパス開口部(8)を閉じるように、前記冷却路(4)が開かれて前記バイパス路(5)が遮断されるように、
付勢する
ことを特徴とする、液冷モジュール(1)。
【請求項2】
前記冷却器開口部(9)は、前記弁チャネル(7)内の中間壁(18)に形成されており、かつ、
前記閉鎖部(14)から離れる方を向いている前記冷却器開口部(9)の側に、ウェブ(19)が突出しており、前記ウェブ(19)に対して前記作動ピストン(12)が軸方向に作用する
ことを特徴とする、請求項1に記載の液冷モジュール(1)。
【請求項3】
前記バネ機構(15)は、第1バネ(20)及び第2バネ(21)を備え、
前記第1バネ(20)及び第2バネ(21)は、前記膨張要素(11)を前記冷却器開口部(9)の方向に付勢することにより、前記弁装置(10)の均等化位置(22)において、前記第1温度を超える第2温度よりも高い温度で、前記ハウジング(13)が前記閉鎖部(14)の方向に調節される
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の液冷モジュール(1)。
【請求項4】
前記弁装置(10)は、前記ハウジング(13)を半径方向外側に包囲する前記弁チャネル(7)内に軸方向に案内され、前記第1バネ(20)が前記冷却器開口部(9)の方向に負荷をかけ、前記第1バネ(20)が弁ピストン(23)を介して前記ハウジング(13)に負荷をかけるような前記弁ピストン(23)を備え、
前記弁装置(10)は、前記閉鎖部(14)に連結された前記ハウジング(13)に対向して前記閉鎖部(14)の側面に配置されたシリンダ(24)を備え、前記シリンダ(24)の中で前記ハウジング(13)を軸方向に案内することができるようになっており、
前記第2バネ(21)が前記シリンダ(24)内に配置されて前記閉鎖部(14)及び前記ハウジング(13)に作用することにより、前記均等化位置(22)において前記ハウジング(13)が前記シリンダ(24)に進入するようになっている
ことを特徴とする、請求項3に記載の液冷モジュール(1)。
【請求項5】
前記閉鎖部(14)と前記シリンダ(24)とが一体に形成される
ことを特徴とする、請求項4に記載の液冷モジュール。
【請求項6】
前記弁ピストン(23)が、軸方向及び/又は径方向に部分的に開いて形成されている
ことを特徴とする、請求項4又は5に記載の液冷モジュール。
【請求項7】
前記液冷モジュール(1)は、前記冷却器(2)が取り付けられ、前記弁チャネル(7)が形成されたモジュールブロック(6)を備える
ことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の液冷モジュール。
【請求項8】
前記メインパス(3)は、前記弁チャネル(7)の半径方向に開いた入口開口部(25)を介して、前記弁チャネル(7)に通じる
ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の液冷モジュール。
【請求項9】
前記冷却器開口部(9)及び前記バイパス開口部(8)は、軸方向に開放されている
ことを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の液冷モジュール。
【請求項10】
前記メインパス(3)が、前記冷却器開口部(9)と前記バイパス開口部(8)との間で軸方向に前記弁チャネル(7)に通じる
ことを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の液冷モジュール。
【請求項11】
前記膨張要素(11)が、膨張材料としてワックスを含む
ことを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の液冷モジュール。
【請求項12】
前記液冷モジュール(1)が、前記液体を濾過するフィルタ(26)を備える
ことを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の液冷モジュール。
【請求項13】
前記液冷モジュール(1)が、前記作動中に前記液体を、前記液冷モジュール(1)を通して送出する送出装置(27)を備える
ことを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の液冷モジュール。
【請求項14】
前記液冷モジュール(1)がオイルクーラモジュール(29)として構成される
ことを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の液冷モジュール。
【請求項15】
動作中に前記液体が流れる、構成要素(102)、特に変速機(103)を備える
ことを特徴とする、請求項1から14のいずれか1項に記載の液冷モジュール(1)を有する自動車(101)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却器で液体を冷却するための液冷モジュールに関する。本発明は、さらに、このような液冷モジュールを備えた自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の用途、特に自動車のような移動物体用途において、冷却される液体が採用される。これは、例えば、前記用途において液体が構成要素を冷却するために採用される場合である。このような用途で利用できる設置スペースは、通常ほとんどなく、冷却の集積化が単純化されているため、液体の冷却はモジュールで実現することができ、以下では、液冷モジュールとも呼ばれる。冷却器の他に、そのようなモジュールは、通常、液体が流れることができ、液体の流路が導かれる、少なくとも1つのチャネルを備えている。さらに、液冷モジュールを通り、特に冷却器を通る液体の流れを制御することが望ましいことがあり得る。この目的のために、関連するパラメータに依存して能動的に制御される弁が一般に採用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、冒頭に述べたタイプの液冷モジュール、及び、改善された液冷モジュールを有する自動車、又は、特に従来技術の欠点を排除した、少なくとも他の実施形態について示すことを目的とする。特に、本発明は、よりコンパクトな設計及び/又は単純化された動作によって特徴付けられる、改良された又は少なくとも他の実施形態の、液冷モジュール及び自動車について示すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この目的は独立クレームの主題によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0005】
したがって、本発明は、液体の温度に依存して冷却器を通過する液体の流れを自動的に変更させる形状記憶体によって、温度に自動的に依存する弁装置を含む、液体を冷却するためのモジュールに適用する、という一般的な考えに基づいている。その結果、モジュールは冷却器の温度に依存して冷却器を介して自動的に液体を送るので、液体は、動作中に冷却されるか、又は冷却器を通り過ぎて冷却され、冷却器内での冷却は起こらない。能動的に制御される弁と比較すると、本発明による解決手段は、そのような制御を省略できるという利点を提供するので、モジュールの動作が簡素化される。さらに、本発明による解決手段は、制御及び/又は駆動されるアクチュエータに必要とされる外部への接続がもはや必要ない、ということになる。これは、結果として、モジュールの、簡素化されたコンパクトな構造をもたらす。
【0006】
発明概念によれば、モジュールは、冷却器を含む。以下では、モジュールを液冷モジュールとも呼ぶ。動作中、冷却器は液体を冷却し、液体の流路は、冷却器を通る。以下では、この流路を冷却路とも呼ぶ。液体の流路は冷却器をバイパスし、以下ではバイパス路とも呼ばれる。モジュールは、第1方向と、第1方向を取り囲む第2方向とに延びるチャネルを備える。なお、以下では、第1方向を「軸方向」、第2方向を「円周方向」とも呼ぶ。以下では、チャネルは弁チャネルとも呼ばれる。液体の流路は、弁チャネルに至り、その結果、操作中、液体は弁チャネルに流入する。なお、以下では、流路を「メインパス」ともいう。さらに、弁チャネルは、バイパス路、及び冷却路に対して、それぞれが関連する開口を備え、関連する流路がそれに通じる。これは、弁チャネルが、バイパス路が通じるバイパス開口部を備えることを意味する。さらに、弁チャネルは、冷却路が通じる冷却器開口部を備える。弁チャネル内に弁装置が配置され、軸方向に調整可能である。弁装置は、軸方向に作用する膨張要素を備え、作動ピストンとハウジングを有する。さらに、弁装置は、軸方向に膨張要素から離間した閉鎖部を備え、弁装置は、膨張要素と閉鎖部のハウジングとの間に配置されたバネ機構を備える。バネ機構によって、膨張要素が冷却器の開口部の方向に付勢される。バネ機構及び膨張要素は、指定された第1温度以下における弁装置の第1位置で、ハウジングが冷却器開口部を閉じ、弁装置がバイパス開口部を開き、その結果、冷却路が遮断され、バイパス路が開かれるように、互いに相互作用する。以下では、第1位置はバイパス位置とも呼ばれる。さらに、バネ機構及び膨張要素は、第1温度よりも高い温度で弁装置の第2位置において、ハウジングによって、バネ機構の付勢に対して作用することにより、ハウジングが冷却器開口部を開き、閉鎖部がバイパス開口部を閉じ、その結果、冷却路が開き、バイパス路が遮断されるように、相互作用する。弁装置の第2位置は、以下では冷却器位置とも呼ばれる。閉鎖部の1つは冷却器開口部に割り当てられ、以下では冷却器閉鎖部とも呼ばれる。
【0007】
その内部において、チャネルは、実際上、弁装置が配置され、流路が通じる、中空空間を区切る。
【0008】
冷却器は、運転中に液体が冷却器を通って流れるときに液体を冷却するのであれば、どのような構成でも可能である。
【0009】
液体の他に、冷却器は、冷却流体、例えば、液体を冷却するための冷却剤及び/又は冷媒が、流れるのが好ましい。冷却流体と液体は、流体的に分離されて冷却器を通って流れる。したがって、冷却器が熱交換器であると有利である。
【0010】
ここで、それぞれの流路の閉鎖又は遮断は、漏れを含む。これは、それぞれの流路の閉鎖又は遮断が、漏れを除いて流路に沿った流れを有利に阻止することを意味する。
【0011】
作動中、液体はメインパスを介して弁チャネル内に流れ、膨張要素と実際に熱接触しており、特に直接接触しているので、温度に依存する膨張要素は軸方向に作用する。
【0012】
実際に、モジュールはモジュールブロックを含む。冷却器は、モジュールブロックに取り付けられている。
【0013】
さらに、モジュールブロックは、弁チャネルを含むことが好ましい。特に、弁チャネルはモジュールブロック内に形成される。
【0014】
好ましくは、メインパス及び/又はバイパス路及び/又は冷却路が、少なくとも部分的に、モジュールブロックに通じる。特に、モジュールブロックは、メインパス及び/又はバイパス路及び/又は冷却路を少なくとも部分的に区切ることができる。
【0015】
バネ機構は、膨張要素を冷却器開口部の方向に付勢する少なくとも1つのバネを備える。
【0016】
少なくとも1つのバネは、任意の種類であってもよい。
【0017】
少なくとも1つのバネの少なくとも1つは、圧縮バネであると有利である。
【0018】
これは、モジュールの単純化された構造と、膨張要素の確実な負荷をもたらす。
【0019】
有利な実施形態では、冷却器開口部は、弁チャネル内の中間壁内に形成される。さらに、ウェブが、作動ピストンが軸方向に作用する、閉鎖部とは反対を向いている冷却器開口部の側面から突出している。これは、温度の上昇を伴う作動ピストンがウェブに対して作用し、したがって、膨張要素を閉鎖方向に押すことを意味する。第1温度よりも上では、この効果は、バネ機構による付勢を上回り、その結果、弁装置は、冷却器位置に調整される。優先的に、作動ピストンは、この間、ウェブ上に支持される。これは、バイパス位置における冷却器開口部の、簡単で信頼性のある閉鎖と、膨張要素によって考案された弁の、簡単で信頼性のある調整とに帰着する。
【0020】
バネ機構は、第1バネと第2バネとを備え、これらのバネは、膨張要素を冷却器開口部の方向に付勢する実施形態が有利である。バネは、第1温度を超える第2温度よりも高い温度の弁装置の均等な位置で、ハウジングが閉鎖方向に調整されるように、冷却器開口部の方向に膨張要素を付勢する。これは、ハウジング、ひいては膨張要素が、第1温度を超えると、さらに調整されることを意味する。均等化位置では、したがって、ハウジングは、冷却器位置よりも閉鎖部の方向にさらに調整され、閉鎖部は、バイパス開口部を閉鎖し続ける。ハウジングのさらなる調整により、冷却器開口部の領域で液体材料のための減少した流動抵抗が発生し、その結果、簡単化された操作及び液体の冷却が行われる。さらに、膨張要素の損傷は、このようにして防止されるか、少なくとも低減され、その結果、モジュールの耐久性が増大する。
【0021】
均等化位置はどんな方法でも実現できる。
【0022】
有利な実施形態では、弁装置は、弁チャネル内で軸方向に案内されるピストンを備え、以下では、このピストンは、弁ピストンとも呼ばれる。弁ピストンは、ハウジングを半径方向外側に囲む。第1バネは、弁ピストンを冷却器開口部の方向に付勢し、その結果、第1バネは、弁ピストンを介してハウジングを付勢する。さらに、弁装置は、ハウジングに面する閉鎖部の側部に配置され、閉鎖部に接続されるシリンダを備え、このシリンダ内でハウジングを軸線方向に案内することができる。第2バネはシリンダ内に配置され、閉鎖部とハウジングに作用するので、均等化位置ではハウジングがシリンダ内に入る。このように、均等化位置の確実かつ単純な実施、ひいては操作及び防止の簡単かつ確実な改良、又は少なくとも損傷材料の低減が実現される。
【0023】
弁ピストンが、軸方向及び/又は半径方向に部分的に開いて形成されると、有利である。したがって、作動中、液体は弁ピストンを通って流れることができる。これは、流体抵抗の減少をもたらし、したがって、単純化された操作をもたらす。さらに、これは、動作中の液体が、膨張要素との改良された熱接続を有し、特に、膨張要素と接触する結果となる。これは、モジュールの改良された動作を達成するためにも役立つ。
【0024】
改良された及び/又は単純化された軸方向案内のために、ベアリング、好ましくは、滑りコーティングが弁ピストンと弁チャネルとの間に提供されると、有利である。これは、弁チャネル内の弁装置の単純化された誘導をもたらし、したがって、モジュールの改善された動作をもたらす。
【0025】
基本的に、閉鎖部とシリンダは、引き続いて互いに接合される弁装置の部品を別々に製造することができる。
【0026】
有利な実施形態では、閉鎖部及びシリンダは一体的に形成される。これは、モジュールの単純でコンパクトな設計をもたらす。
【0027】
有利な変形例では、閉鎖部は、バイパス開口部に向かって凸状である形状を有し、その結果、冷却器位置にある閉鎖部は、部分的にバイパス開口部に入り、バイパス開口部の半径方向外側でバイパス開口部に支持される。これは、冷却器位置の信頼性の高い実施をもたらし、特に、少なくとも漏れを低減し、その結果、モジュールの動作を改善する。
【0028】
基本的には、第1温度を任意に選択できる。膨張要素及びバネ要素は、それに応じて互いに整合される。
【0029】
実際上、第1温度は、関連する用途において、第1温度よりも高い温度の、液体の冷却が望まれるような方法で選択される。
【0030】
例えば、第1温度は、70℃以上100℃以下、特に、80℃であり得る。
【0031】
第2温度は、第1温度よりも高ければ、基本的には必要に応じて選択することができる。弁装置、特に膨張要素及びバネ要素は、それに応じて互いに整合される。
【0032】
例えば、第2温度は、80℃以上110℃以下、特に、90℃であり得る。
【0033】
弁チャネルは、弁チャネル内へのメインパスが通じる開口部を備えると、有利である。なお、以下では、開口部を「入口開口部」ともいう。
【0034】
有利な実施形態では、メインパスは、弁チャネル内に通じる。特に、入口開口部は放射状に開口している。これは、弁チャネルを通り、バイパス路及び/又は冷却路に沿った液体の改善された流れをもたらす。
【0035】
実際には、バイパス開口部と冷却器開口部は互いに離間して配置されている。
【0036】
好ましくは、バイパス開口部及び冷却器開口部は、軸方向に互いに離間して配置され、選択的に、軸方向に互いに反対側に配置される。したがって、液体の流れが改善され、モジュールの操作が簡略化される。
【0037】
好ましい変形例では、メインパスは、冷却器開口部とバイパス開口部との間で軸方向に、弁チャネル内に通じる。特に、入口開口部は、冷却器開口部とバイパス開口部との間に軸方向に配置される。したがって、冷却路に沿って、またバイパス路に沿って、改良された流れ、すなわち、モジュールの改良された動作が実現される。
【0038】
冷却器開口部は軸方向に開放されていると、有利である。これにより、冷却器の開口部を通る液体の流れが改善される。さらに、このようにハウジングによって冷却器開口部をより容易にかつ確実に閉鎖することができる。その結果、モジュールの単純化された動作が達成される。
【0039】
バイパス開口部は軸方向に開放されていると、有利である。したがって、バイパス開口部材料を通る液体の流れが改善される。さらに、このように、バイパス開口部は、閉鎖部により、より簡単で信頼性のある方法で閉鎖することができる。これにより、モジュールの簡略化された動作が達成される。
【0040】
膨張要素は、任意の、複数又は単数の膨張材料を含むことができる。
【0041】
膨張要素が、膨張材料としてのワックスを含む実施形態が、有利である。特に、膨張材料は、ワックスからなる、すなわち、膨張要素は、ワックス膨張要素として形成される。これにより、モジュールの操作が簡略化される。さらに、この方法での第1温度は、必要に応じて、柔軟に、より容易に調節することができる。また、ワックスは、液体との接触が可能であるため、モジュールの耐久性が向上する。
【0042】
弁装置は、優先的に、弁チャネル内に挿入され/受容される、組立体の一部である。弁装置の他に、組立体は、冷却器開口部、特に中間壁及び/又はバイパス開口部を含むことができる。このように、モジュールの簡略化された構造、及びモジュール材料における弁装置の可撓性のある、簡略化された使用が実現される。
【0043】
冷却器の他に、モジュールは、液体を処理するための少なくとも1つのさらなる構成要素を備えると、有利である。
【0044】
有利な実施形態では、モジュールは、フィルタを通って流れるときに、液体を濾過するフィルタを備える。したがって、モジュールは、液体の濾過及び冷却にも使用される。
【0045】
メインパスはフィルタに通じると、有利である。フィルタをバイパスする、液体のバイパスを設けることもできる。
【0046】
代替的又は付加的に、モジュールは、液体を送出するための、例えば、ポンプなどの送出装置を含むと、有利である。送出装置は、優先的にモジュールブロックに取り付けられる。
【0047】
基本的には、液体は任意の液体とすることができる。モジュール、特に冷却器及び/又はフィルタは、それに従って設計される。
【0048】
液体は、特にオイルであってもよく、液冷モジュールは、したがって、オイルクーラモジュールであってもよい。関連する用途において、オイルは冷却及び潤滑のために用いられると有利である。
【0049】
モジュールはどのような用途にも使用できる。
【0050】
用途は特に移動物体用途である。ここでは、コンパクトな構造と、モジュールの簡素化された操作が、それぞれ独自のものとなる。
【0051】
用途は特に自動車である。
【0052】
自動車では、液体は任意の目的に使用することができる。
【0053】
例えば、液体、特にオイルは、駆動のための構成要素、特に自動車の電気駆動のための、例えば変速機、電気モータ、バッテリー等を冷却するために採用することが考えられる。液体としてオイルを使用する場合、構成要素、特に変速機の潤滑が、さらにオイルを使用して行われ得る。
【0054】
本発明のさらなる重要な特徴及び利点は、従属請求項、図面、及び図面による関連する図面の説明から得られる。
【0055】
上述され、以下に説明される特徴は、記載されたそれぞれの組み合わせにおいてのみ使用されるのではなく、本発明の範囲を離れることなく、他の組み合わせにおいて、又は単独で使用されることも理解されるべきである。
【0056】
本発明の好ましい例示的な実施形態は、図面に示され、以下の説明においてより詳細に説明され、ここで、同じ参照番号は、同じ、又は類似の、又は機能的に同じ構成要素に関連する。
【0057】
それは、それぞれの場合において、概略的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】高度に簡略化された、用途における液冷モジュールの回路図である。
図2】高度に簡略化された、前記用途における液冷モジュールの回路図である。
図3】液冷モジュールの斜視図である。
図4】弁チャネル及び弁装置を有する液冷モジュールの断面図である。
図5】前記弁装置のバイパス位置にある前記弁チャネルの断面図である。
図6】弁装置の冷却器位置における図5の断面図である。
図7】弁装置の均等化位置における図5の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
液体を冷却するために、図1図6に例示的に示されているような液冷モジュール1が利用される。以下では、液冷モジュール1を簡単に「モジュール」とも呼ぶ。液体を冷却するために、モジュール1は冷却器2を備える。この液体は、図1及び図2にのみ示されている用途100に利用される。用途100は、好適には、移動体用途100であり、図示の実施形態では、自動車101である。ここで、液体は回路様式で用途100の構成要素102に供給され、その後再びモジュール1に到達する。この目的のために、モジュール1は、液体を構成要素102の方向にモジュール1から流出させるための出口30と、構成要素102から生じた液体をモジュール1内に送るための入口31とを備える。液体のメインパス3は、モジュール1に通じるが、以下では、簡単に、メインパス3とも呼ばれる。図示の例示的な実施形態では、メインパス3は、入口31と出口30との間に延在する。図示の例示的な実施形態における構成要素102は、自動車101を駆動するのに必要なもの、例えば変速機103などである。図示の例示的な実施形態では、液体をオイルとすることができ、したがって、液冷モジュール1は、オイルクーラモジュール29とすることができる。
【0060】
特に図1から明らかなように、冷却器2に通じる、液体が導く冷却路4は、以下では、冷却路4ともいう。さらに、液体の流路5が冷却器2をバイパスし、これを以下ではバイパス路5とも呼ぶ。図3及び図4から特に明らかなように、モジュール1はモジュールブロック6を含む。モジュールブロック6には冷却器2が取り付けられている。図示の例示的な実施形態では、メインパス3、冷却路4、及びバイパス路5は、モジュールブロック6に少なくとも部分的に通じる。
【0061】
特に図1から明らかなように、冷却器2は、図示の例示的な実施形態では、液体を冷却するための冷却流体が流れる。冷却流体は、冷却剤又は冷媒である。冷却流体は、液体から流体的に分離された冷却器2を通って流れる。冷却器2は、冷却流体を流入させるための冷却流体入口32と、冷却流体を流出させるための冷却流体出口33とを有する。
【0062】
図4図7より明らかなように、モジュール1はチャネル7を備え、このチャネル7は、図示された例示的な実施形態では、特に図4に示された断面図から明らかなように、モジュールブロック6内に配置され形成される。以下では、チャネル7は、弁チャネル7とも呼ばれる。弁チャネル7は、方向R1(以下では軸方向R1という)かつ軸方向R1を取り囲む、円周方向R2に延びている。メインパス3は、弁チャネル7に通じる。この目的のために、図示の例示的な実施形態における弁チャネル7は、入口開口部25を備えている。さらに、弁チャネル7は、バイパス路5が通じる開口部8を備える。なお、開口部8は、以下ではバイパス開口部8ともいう。さらに、弁チャネル7は、冷却路4が通じる開口部9を備える。なお、以下では、開口部9を「冷却器開口部9」ともいう。図示の例示的な実施形態では、バイパス開口部8及び冷却器開口部9は、互いに軸方向に対向して配置され、それぞれ軸方向に開口している。加えて、図示の例示的な実施形態における入口開口部25は径方向に開口しており、冷却器開口部9とバイパス開口部8との間に軸方向に配置されている。
【0063】
特に図5から図7より明らかなように、自動弁装置10が弁チャネル内に軸方向R1に調整可能に配置されている。この弁装置10は、作動ピストン12及びハウジング13を有する軸方向R1に作用する膨張要素11を備えている。図示の例示的な実施形態では、膨張要素11は、膨張材料としてのワックスを含む。さらに、弁装置10は、閉鎖部14を備え、この閉鎖部14は、膨張要素11から軸方向R1に離れて配置されている。また、弁装置10は、バネ機構15を備えており、これが膨張要素11を冷却器開口部9の方向に付勢する。バネ機構15は、少なくとも1つのバネ20,21を備える。図示の例示的な実施形態では、バネ機構15は、2つのバネ20,21、すなわち、第1バネ20及び第2バネ21を含む。バネ20,21はそれぞれ、膨張要素11を冷却器開口部9の方向に付勢する。バネ機構15と膨張要素11とは、弁装置10の第1位置16において、指定された第1温度以下で、ハウジング13が冷却器開口部9を閉じるように、相互作用する。さらに、弁装置10は、第1位置16でバイパス開口部8を開く。その結果、冷却路4が遮断され、バイパス路5が開放される。このように第1位置16では、液体は、メインパス3を介して弁チャネル7に流入し、バイパス路5を介して弁チャネル7から流出する。これにより、冷却器2はバイパスされる。第1位置16は、以下ではバイパス位置16とも呼ばれる。第1温度は、純粋に例示的には、約80℃までであってもよい。さらに、バネ機構15と膨張要素11とは、第1温度よりも高いときの弁装置10の第2位置17において、膨張要素11が、ハウジング13によって、バネ機構15の付勢力に抗して作用し、その結果、ハウジング13が冷却器開口部9を開放し、閉鎖部14がバイパス開口部8を閉鎖するように、相互作用する。これにより、冷却路4が開放され、バイパス路5が遮断される。このように第2位置17では、液体は、メインパス3を経て弁チャネル7に流入し、冷却路4を経て弁チャネル7から流出する。こうして、液体は、第2位置17で、冷却器2を通って冷却される。第2位置17は、以下では冷却器位置17とも呼ばれる。したがって、弁装置10は、第1温度以下で、結果として自動的に冷却路4を遮断し、バイパス路5を開く。さらに、弁装置10は、第1温度よりも温度が高くなると、自動的に冷却路4を開き、バイパス路5を遮断する。
【0064】
図5から図7より明らかなように、図示の例示的な実施形態において、冷却器開口部9は、弁チャネル7内の中間壁18に形成される。閉鎖部14とは反対を向いている冷却器開口部9の側には、ウェブ19が突出し、このウェブ19上に作動ピストン12が支持され、軸方向に作用する。
【0065】
図6及び図7の比較により示されるように、温度がさらに上昇した膨張要素11は、第3位置22において調整することができ、この位置において、作動ピストン12はさらに伸長され、ハウジング13はさらに調整される。第3位置22では、閉鎖部14はバイパス開口部8を閉じ続ける。第3位置22では、冷却器開口部9が開放され続ける。これは、第3位置22において、液体が冷却路4を通って流れるのに対し、バイパス路5は遮断されていることを意味する。したがって、第1温度を超える第2温度では、弁装置10は自動的に第3位置22に調整される。以下では、第3位置22は、均等化位置ともいう。第3位置22を通って、膨張要素11は、さらに温度が上昇するにつれて、膨張要素11の損傷及び/又はその結果として実現される、開閉する流路4,5の変化なしにさらに調整することができる。また、このようにして冷却器開口部9がさらに開放される。
【0066】
図5から図7に示す例示的な実施形態では、弁装置10は、弁チャネル7内で軸方向に案内されるピストン23を備え、以下では、このピストンは、弁ピストン23ともいう。弁ピストン23は、ハウジング13を放射状に取り囲む。第1バネ20は、弁ピストン23を冷却器開口部9の方向に付勢し、第1バネ20は、弁ピストン23を介してハウジング13を付勢する。図示の例示的な実施形態では、弁ピストン23は、軸方向及び半径方向に一部が開いて形成され、したがって動作中に液体が流れる。また、弁装置10は、閉鎖部14に連結された、ハウジング13に対向する閉鎖部14の側部に配置されたシリンダ24を備える。図示の例示的な実施形態では、閉鎖部14とシリンダ24とが一体的に形成されている。シリンダ24及びハウジング13は、互いに対して配向され、ハウジング13がシリンダ24内に軸方向に案内されてシリンダ24から出ることができるような寸法になっている。したがって、ハウジング13をシリンダ24内に軸方向に案内することができる。第2バネ21は、シリンダ24内に配置され、閉鎖部14及びハウジング13に作用し、その結果、均等化位置22において、ハウジング13はシリンダ24に入る。ハウジング13は、階段状に形成されており、半径方向に延在する段部39を備えているので、ハウジング13は、段部39よりも先端で、閉鎖部14に向かって半径方向に小さくなっている。弁ピストン23は、内側に放射状に突出する突起部40で段部39に支持されている。
【0067】
さらに、特に図4図6より明らかなように、弁装置10は、ここでは、弁チャネル7に挿入される組立体34の一部である。図示の例示的な実施形態では、組立体34は、冷却器開口部9及びバイパス開口部8を備えた中間壁18も含む。
【0068】
特に図1から図4、特に図1より明らかなように、図示の例示的な実施形態におけるモジュール1は、冷却器2の他に、液体を濾過するためのフィルタ26を備えている。加えて、図示の例示的な実施形態におけるモジュール1は、液体を送出するための送出装置27を備える。特に図1及び図4から明らかなように、送出装置27はポンプ28として設計される。図示の例示的な実施形態では、図1から明らかなように、送出装置27及びフィルタ26は、メインパス3内に配置される。純粋に例示的に、弁装置10は、送出装置27の下流でかつ冷却器2の上流又はバイパス路5の上流に配置される。加えて、フィルタ26は、純粋に例示的に、弁装置10の下流でかつ冷却器2又はバイパス路5の下流に配置される。図4から明らかなように、フィルタ26はモジュールブロック6内に受容される。送出装置27は、モジュールブロック6に取り付けられ、モジュールブロック6に入り込む。図1から明らかなように、示された例示的な実施形態において、フィルタをバイパスするバイパス35(以下ではフィルタバイパス35とも呼ばれる)が液体のために設けられる。さらに、図1から明らかなように、逆止弁38が、図示の例示的な実施形態において、送出装置27と弁装置10との間に配置される。さらに、バネ仕掛けのフィルタバイパス弁41がフィルタバイパス35に配置され、その結果、フィルタバイパス弁41は液体中の特定の圧力以上で開く。図1からさらに明らかなように、図示の例示的な実施形態におけるモジュール1は、液体の温度を測定するための温度センサ36をさらに備えており、この温度センサ36は冷却器2の下流に配置されている。さらに、モジュール1は、液体内の圧力を測定するための圧力センサ37を備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】