(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028186
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】セル接触システム、セル接触システムを製造するための方法、およびバッテリモジュール
(51)【国際特許分類】
G01R 31/00 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
G01R31/00
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023131751
(22)【出願日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】10 2022 120 806.0
(32)【優先日】2022-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】トルシュテン キャリーズ
【テーマコード(参考)】
2G036
【Fターム(参考)】
2G036AA18
2G036AA28
2G036BA35
2G036BB08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電気バッテリモジュールのセル接触システム、セル接触システムを製造するための方法、およびセル接触システムを有するバッテリモジュールに関する。
【解決手段】電気バッテリモジュールのセル接触システムは、キャリア構造体と、バッテリモジュールの複数のバッテリセルに電気的に接触するための、キャリア構造体に配置された複数のセル接触要素と、セル接触要素に電気的に接続された複数の電力接続部と、セル接触システムに接続されたバッテリモジュールの少なくとも1つのパラメータを測定するための測定装置とを備え、測定装置は、パラメータを測定するための少なくとも1つのセンサ要素を含み、センサ要素は、少なくとも1本のセンサラインを介してセル接触システムの接続コンタクトに接続され、パラメータをモニタするために、モニタリングデバイスを、接続コンタクトを介して測定装置に接続することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気バッテリモジュール(300)のセル接触システム(100)であって、
キャリア構造体(101)と、
前記バッテリモジュール(300)の複数のバッテリセル(301)に電気的に接触するための、前記キャリア構造体(101)に配置された複数のセル接触要素(103)と、
前記セル接触要素(103)に電気的に接続された複数の電力接続部(119)と、
前記セル接触システム(100)に接続された前記バッテリモジュール(300)の少なくとも1つのパラメータを測定するための測定装置(107)と
を備え、
前記測定装置(107)は、前記パラメータを測定するための少なくとも1つのセンサ要素(109)を含み、前記センサ要素(109)は、少なくとも1本のセンサライン(111)を介して前記セル接触システム(100)の接続コンタクト(115)に接続され、前記パラメータをモニタするために、モニタリングデバイスを、前記接続コンタクト(115)を介して前記測定装置(107)に接続することができ、前記センサ要素(109)は、少なくとも1つのセル接触要素(103)に接続され、前記パラメータを測定するように構成され、前記センサ要素(109)は、前記セル接触要素(103)に形成された保持要素(115)を介して前記セル接触要素(103)に固定されている、セル接触システム(100)。
【請求項2】
前記保持要素(115)は、クリップ要素として設計され、前記センサ要素(109)を前記セル接触要素(103)にクランプするように構成されている、請求項1に記載のセル接触システム(100)。
【請求項3】
前記保持要素(115)は、前記センサ要素(109)に接触するための接触領域(123)を画定し、前記接触領域(123)は、前記セル接触要素(103)の表面(121)から間隔をおいて形成されている、請求項1または2に記載のセル接触システム(100)。
【請求項4】
前記保持要素(115)は、前記センサ要素(109)を受け入れるための受入空間(131)を画定し、前記センサ要素(109)を前記保持要素(115)に固定するために、前記センサ要素(109)を前記受入空間(131)に挿入することができる、請求項1から3のいずれか一項に記載のセル接触システム(100)。
【請求項5】
前記パラメータは電圧または電流であり、前記センサ要素(109)は前記センサライン(111)の電気接触要素として設計され、前記センサ要素(109)は、溶接接続部(132)を介して前記保持要素(115)に固定されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のセル接触システム(100)。
【請求項6】
前記パラメータは温度であり、前記センサ要素(109)は温度センサとして設計され、前記センサ要素(109)は、前記保持要素(115)を介して前記セル接触要素(103)に熱伝導的に固定されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のセル接触システム(100)。
【請求項7】
前記温度センサ(133)はプリント回路基板(135)に配置され、スペーサ要素(141)が前記プリント回路基板(135)にさらに形成され、前記温度センサ(133)は、前記保持要素(115)を前記スペーサ要素(141)に押し付けることによって前記セル接触要素(103)に固定されている、請求項6に記載のセル接触システム(100)。
【請求項8】
前記温度センサ(133)は、前記保持要素(115)および/または前記セル接触要素(103)の前記表面(121)に、結合接続部により熱伝導的に接触する、請求項6または7に記載のセル接触システム(100)。
【請求項9】
前記保持要素(115)は、前記セル接触要素(103)から打抜きおよび曲げプロセスによって形成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のセル接触システム(100)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のセル接触システム(100)を製造するための方法(200)であって、
複数のセル接触要素(103)を有するキャリア構造体(101)を設けること(201)であって、少なくとも1つのセル接触要素(103)が保持要素(115)を有する、キャリア構造体を設けること(201)と、
測定装置(107)の少なくとも1つのセンサ要素(109)を、前記セル接触要素(103)の前記保持要素(115)に固定する(203)ことと、
前記センサ要素(109)を、センサライン(111)を介して前記キャリア構造体(101)の接続コンタクト(115)に接続すること(205)と
を含む方法(200)。
【請求項11】
複数のバッテリセル(301)と、
請求項1から9のいずれか一項に記載のセル接触システム(100)と
を有するバッテリモジュール(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気バッテリモジュールのセル接触システム、セル接触システムを製造するための方法、およびセル接触システムを有するバッテリモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気バッテリモジュールのセル接触システムの様々な実施形態が、従来技術から知られている。セル接触システムは、バッテリモジュールの個々のバッテリセルからの電流の流れおよび個々のバッテリセルへの電流の流れを生じさせるように機能する。さらに、セル接触システムは、バッテリモジュールの動作電圧および/または動作温度などのパラメータのモニタリングを可能にするように機能する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、電気バッテリモジュールの改良されたセル接触システム、セル接触システムを製造するための改良された方法、およびセル接触システムを有するバッテリモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、独立請求項のセル接触システム、セル接触システムを製造するための方法、およびバッテリモジュールによって達成される。有利な構成は、従属請求項の主題である。
【0005】
本発明の態様によれば、電気バッテリモジュールのセル接触システムであって、セル接触システムは、
キャリア構造体と、
バッテリモジュールの複数のバッテリセルに電気的に接触するための、キャリア構造体に配置された複数のセル接触要素と、
セル接触要素に電気的に接続された複数の電力接続部と、
セル接触システムに接続されたバッテリモジュールの少なくとも1つのパラメータを測定するための測定装置と
を備え、
測定装置は、パラメータを測定するための少なくとも1つのセンサ要素を含み、センサ要素は、少なくとも1本のセンサラインを介してセル接触システムの接続コンタクトに接続され、パラメータをモニタするために、モニタリングデバイスを、接続コンタクトを介して測定装置に接続することができ、センサ要素は、少なくとも1つのセル接触要素に接続され、パラメータを測定するように構成され、センサ要素は、セル接触要素に形成された保持要素を介してセル接触要素に固定されている、セル接触システムが提供される。
【0006】
その結果、電気バッテリモジュールの改良されたセル接触システムを提供することができるという技術的利点を達成することができる。
【0007】
測定装置により、パラメータを測定するための技術的に簡単な解決策を実現することができ、それにより、バッテリモジュールの機能および性能をモニタすることができる。標準ケーブルを使用してセンサ要素を接続コンタクトに配線および接続することができるため、従来技術から知られる、センサ要素および接続コンタクトの電気接続のためにプリント回路基板(PCB)およびリボンケーブルを設ける、より技術的に複雑な解決策を実質的に避けることができる。これにより、技術的により簡単な、したがってより費用効率の高い解決策が可能になる。
【0008】
セル接触要素の保持要素により、セル接触要素に対するセンサ要素の簡単な接触および固定が可能になる。セル接触要素にセンサ要素を配置することにより、セル接触システムの製造プロセスも簡略化され、したがって改良される。
【0009】
実施形態によれば、保持要素は、クリップ要素として設計され、センサ要素をセル接触要素にクランプする(clamp、締め付けて固定する)ように構成されている。
【0010】
その結果、センサ要素をセル接触要素にしっかりと固定することができるという技術的利点を達成することができる。クランプ動作により、センサ要素をセル接触要素にしっかりと固定することができる。
【0011】
さらに、クランプ動作により、セル接触システムの簡単な組立てを実現することができる。
【0012】
実施形態によれば、保持要素は、センサ要素に接触するための接触領域を画定し、接触領域は、セル接触要素の表面から間隔をおいて形成されている。
【0013】
その結果、接触領域をセル接触要素の表面から離間させることによって、センサ要素の固定、したがって、セル接触システムの製造を簡略化することができる、という技術的利点を達成することができる。
【0014】
さらに、センサラインとセンサ要素との厚さの差を、間隔によって補償することができる。
【0015】
実施形態によれば、保持要素は、センサ要素を受け入れるための受入空間を画定し、センサ要素を保持要素に固定するために、センサ要素を受入空間に挿入することができる。
【0016】
その結果、保持要素に対するセンサ要素の位置決めを簡略化することができるという技術的利点を達成することができる。これにより、セル接触システムの製造プロセスが容易になり簡略化される。
【0017】
実施形態によれば、パラメータは動作電圧であり、センサ要素はセンサラインの電気接触要素として設計され、センサ要素は、溶接接続部を介して保持要素に固定されている。
【0018】
その結果、動作電圧をパラメータとして用いて、重要なパラメータを測定することができ、このパラメータを、バッテリモジュールの機能に関する結果を導き出す根拠として使用することができる、という技術的利点を達成することができる。
【0019】
さらに、溶接接続部により、保持要素に対するセンサ要素の堅固な固定と、2つの要素間の効果的な電気接続が可能になる。
【0020】
実施形態によれば、パラメータは温度であり、センサ要素は温度センサとして設計され、センサ要素は、保持要素を介してセル接触要素に熱伝導的に固定されている。
【0021】
その結果、動作温度によって重要なパラメータを測定することができるという技術的利点を達成することができる。
【0022】
実施形態によれば、温度センサはプリント回路基板に配置され、スペーサ要素がプリント回路基板にさらに形成され、温度センサは、保持要素をスペーサ要素に押し付けることによってセル接触要素に固定されている。
【0023】
その結果、スペーサ要素によって、保持要素により温度センサに損傷を与えるおそれなくクランプすることにより、温度センサを保持要素にしっかりと固定することができる、という技術的利点を達成することができる。
【0024】
実施形態によれば、温度センサは、保持要素および/またはセル接触要素の表面に、結合接続部により熱伝導的に接触する。
【0025】
その結果、温度センサを結合によりセル接触要素にさらに固定することができるという技術的利点を達成することができる。熱接触により、バッテリモジュールの動作温度に関する温度センサの測定精度をさらに向上させることができる。
【0026】
実施形態によれば、保持要素は、セル接触要素から打抜きおよび曲げプロセスによって形成されている。
【0027】
その結果、保持要素、したがってセル接触システムの、技術的により簡単な製造プロセスが可能になるという技術的利点を達成することができる。
【0028】
さらなる態様によれば、上記の実施形態のうちの1つによるセル接触システムを製造するための方法であって、
複数のセル接触要素を有するキャリア要素を設けることであって、少なくとも1つのセル接触要素が保持要素を有する、キャリア要素を設けることと、
測定装置の少なくとも1つのセンサ要素を、セル接触要素の保持要素に固定することと、
センサ要素を、センサラインを介してキャリア構造体の接続コンタクトに接続することと
を含む方法が提供される。
【0029】
その結果、上記の技術的利点を有するセル接触システムを製造するための、改良された方法を提供することができる、という技術的利点を達成することができる。
【0030】
さらなる態様によれば、複数のバッテリセルと、上記の実施形態のうちの1つによるセル接触システムとを有するバッテリモジュールが提供される。
【0031】
その結果、上記の技術的利点を有するセル接触システムを有する、改良されたバッテリモジュールを提供することができる、という技術的利点を達成することができる。
【0032】
以下で、図面を用いて本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】一実施形態によるセル接触システムの概略図である。
【
図2】一実施形態によるセル接触システムの保持要素の概略図である。
【
図3】
図2の保持要素をセンサ要素と共に示す概略図である。
【
図4】さらなる実施形態によるセル接触システムの保持要素の概略図である。
【
図5】
図4の保持要素をセンサ要素と共に示す概略図である。
【
図6】さらなる実施形態によるセル接触システムの保持要素をセンサ要素と共に示す概略図である。
【
図7】さらなる実施形態によるセル接触システムの保持要素をセンサ要素と共に示す概略図である。
【
図8】一実施形態による、温度センサとして設計されたセンサ要素の概略図である。
【
図9】さらなる実施形態による、温度センサとして設計されたセンサ要素の概略図である。
【
図10】保持要素に固定された
図9のセンサ要素の概略図である。
【
図11】保持要素に固定された
図9のセンサ要素のさらなる概略図である。
【
図13】セル接触システムを製造するための方法のフローチャートである。
【
図14】セル接触システムを有するバッテリモジュールの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、一実施形態によるセル接触システム100の概略図である。
【0035】
図示の実施形態において、セル接触システム100は、キャリア構造体101と、キャリア構造体101に形成された複数のセル接触要素103とを有する。キャリア構造体101は、電気絶縁材料、例えばプラスチックから形成されていることが好ましい。
【0036】
セル接触要素103は、セル接触システム100に接続されたバッテリモジュールの複数のバッテリセルに電気的に接触するように機能する。セル接触要素103は、金属材料から形成されている。
【0037】
セル接触要素103はそれぞれ、複数のセル要素105を有する。ここでは、セル要素105は、バッテリセルに接触するように機能する。個々のセル要素105はそれぞれ、例えばねじ接続部によってバッテリセルを接続および固定するための接続開口部117を有する。
【0038】
個々のセル要素105は、いずれも分離隆起106によって互いに分離されている。個々のセル接触要素103を、例えばシートメタル要素から製造することができる。ここでは、分離隆起106を、対応する曲げプロセスまたは成形プロセスによって形成することができる。
【0039】
セル接触要素103は、互いに、かつ複数の電力接続部119に電気的に接続されている。セル接触システム100に接続されたバッテリモジュールを、電力接続部119を介してさらなるバッテリモジュールまたはさらなる電気部品に接続することができる。
【0040】
一実施形態によれば、セル接触システム100は、電気車両のバッテリモジュール用に設計されている。したがって、セル接触システム100に接続されたバッテリモジュールを、電力接続部119を介して電気車両のさらなる部品に接続することができる。
【0041】
図示の実施形態において、セル接触システム100は、測定装置107をさらに備える。測定装置107は、セル接触システム100に接続されたバッテリモジュールのパラメータを測定するように機能する。したがって、パラメータの測定によって、バッテリモジュールの機能をモニタまたはチェックすることができる。
【0042】
パラメータを測定するために、測定装置107は、パラメータを測定するように構成されている少なくとも1つのセンサ要素109を有する。このために、少なくとも1つのセンサ要素109は、少なくとも1つのセル接触要素103に形成された保持要素115を介して、それぞれのセル接触要素103に接続または固定されている。
【0043】
保持要素115は、
図1には詳細に示されていない。保持要素115の詳細な説明については、以下の
図2~
図12および関連する説明部分を参照されたい。
【0044】
図示の実施形態において、測定装置107は複数のセンサ要素109を有する。ここでは、センサ要素109はそれぞれ、いずれの場合も1つのセンサ要素109のみがセル接触要素103に配置されるように、セル接触要素103に形成されている。
【0045】
測定されるパラメータは、バッテリモジュールの動作電圧または動作温度であってよい。したがって、センサ要素109は、セル接触要素103の電圧または温度を測定するように構成されている。
【0046】
図示の実施形態において、複数のセンサ要素109は、センサライン111を介して接続コンタクト113に電気的に接続されている。測定装置107、特にセンサ要素109を、接続コンタクト113を介してモニタリングデバイス(図示せず)に接続することができる。モニタリングデバイスは、例えば、ソフトウェアがインストールされた演算ユニットを含むことができ、この演算ユニットにより、パラメータ、したがってセル接触システム100に接続されたバッテリモジュールの機能をモニタまたはチェックすることができる。
【0047】
センサライン111を、標準電気ケーブルとして設計することができる。
【0048】
センサ要素109を、溶接接続部または結合接続部によって保持要素115に固定することができる。
【0049】
セル接触システム100のセル接触要素103の数は、
図1に示す数とは異なっていてもよい。各セル接触要素103は、
図1に示す数とは異なるいくつかのセル要素105を有することもできる。さらに、測定装置107は、
図1の数とは異なる任意の数のセンサ要素109を有することができる。センサ要素109を、それぞれのセル接触要素103の任意の箇所に形成することもできる。
【0050】
各センサ要素109を、いずれの場合も個々のセンサライン111を介して接続コンタクトに接続することができる。あるいは、複数のセンサ要素109を、共通のセンサライン111を介して接続コンタクト113に接続することができる。
【0051】
図2は、一実施形態によるセル接触システム100の保持要素115の概略図である。
【0052】
図示の実施形態において、保持要素115は曲がり要素125を含む。曲がり要素125は、曲がり部127と接触領域123を有する接触部129とを含む。曲がり要素125は、曲がり部127によってそれぞれのセル接触要素103に接続されている。
【0053】
図示の実施形態において、保持要素115は、それぞれのセル接触要素103から打抜きおよび曲げプロセスによって製造されている。
【0054】
図示の実施形態において、接触領域123は、それぞれのセル接触要素103の表面121から間隔をおいて配置されている。接触領域123は、対応するセンサ要素109が保持要素115に接触するように機能する。
【0055】
図示の実施形態における接触領域123は、セル接触要素103の表面121に対して直角に配置されている。しかしながら、接触領域123は、表面121に対して任意の他の角度であってもよい。
【0056】
図示の実施形態において、接触部129は直方体形状を有する。しかしながら、これは例示的なものに過ぎない。他の形状が同様に考えられる。
【0057】
図3は、
図2の保持要素115をセンサ要素109と共に示すさらなる概略図である。
【0058】
図示の実施形態において、センサ要素109は、溶接接続部132によって保持要素115に固定されている。センサ要素109は、図示の座標系のx軸に関して保持要素115に隣接して配置され、接触領域123を介して保持要素115に接触する。
【0059】
溶接接続部132は、z軸に関して曲がり要素125の接触部129の上部領域における2つの溶接点によって形成されている。
【0060】
図示の実施形態におけるセンサ要素109は、センサライン111の圧縮された端部領域として設計されている。あるいは、センサ要素109を、撚線の束またはケーブル端部スリーブとして設計することができる。
【0061】
セル接触システム100に接続されたバッテリモジュールの動作電圧を、図示のセンサ要素109によって、保持要素115との電気的接触により測定することができる。
【0062】
図示の実施形態におけるセンサライン111は、絶縁体145を有する市販の導電性ケーブルとして設計されている。
【0063】
セル接触要素103の表面121からの接触領域123の間隔により、接触領域123に固定されたセンサ要素109を、同様に表面121から間隔をおいて配置することができる。したがって、例えば絶縁体145によって生じ得るセンサライン111とセンサ要素109との厚さの差を補償することができる。
【0064】
図4は、さらなる実施形態によるセル接触システム100の保持要素115の概略図である。
【0065】
図示の実施形態において、
図2および
図3の実施形態の曲がり要素125に加えて、保持要素115は、x軸に関して曲がり要素125とは反対に配置されたさらなる曲がり要素126を含む。さらなる曲がり要素126は、さらなる曲がり部128と接触領域124を有するさらなる接触部130とを含む。
【0066】
2つの接触領域123、124は、x軸に関して反対に配置され、互いに対向している。
【0067】
2つの接触領域123、124は、互いに略平行であり、セル接触要素103の表面121に対して直角に形成されている。センサ要素109を受け入れるための受入空間131が、2つの曲がり要素125、126間、特に2つの接触領域123、124間に画定されている。
【0068】
図示の実施形態において、両方の曲がり要素125、126は、セル接触要素103から打抜きおよび曲げプロセスによって形成されている。図示の実施形態において、さらなる曲がり要素126は、曲がり要素125よりも小さい寸法を有して形成されている。あるいは、両方の曲がり要素125、126が同じ形状および同じ寸法を有していてもよい。
【0069】
図5は、
図4の保持要素115をセンサ要素109と共に示す概略図である。
【0070】
図5で、センサ要素109は、保持要素115の受入空間131に挿入され、したがって、2つの曲がり要素125、126の2つの接触領域123、124に電気的に接続されている。センサ要素109は、2つの曲がり要素125、126によって、2つの接触領域123、124間の受入空間131にクランプされている。
【0071】
2つの曲がり要素125、126は、曲がり部127、128を介して、受入空間131に挿入されたセンサ要素109に対して対向する復元力を加えるように構成されている。
【0072】
さらに、
図3の実施形態と同様に、センサ要素は、溶接接続部132によって、曲がり要素125の接触部129に固定されている。あるいは、センサ要素109を、溶接接続部によって、さらなる曲がり要素126のさらなる接触部130または両方の曲がり要素125、126に固定することができる。
【0073】
図6は、さらなる実施形態によるセル接触システム100の保持要素115をセンサ要素109と共に示すさらなる概略図である。
【0074】
図示の実施形態において、保持要素115は、曲がり部127と接触領域123を持つ接触部129とを有する1つの曲がり要素125のみを含む。図示の実施形態において、接触領域123は、セル接触要素103の表面121に平行または略平行に配置されている。
【0075】
接触領域123は、表面121から離間し、表面121に対向している。センサ要素109は、溶接接続部132によって接触領域123に固定されている。したがって、センサ要素109は、セル接触要素103の表面121と接触領域123との間の空間に配置されている。
【0076】
溶接接続部132の溶接点は、接触領域123とは反対に配置された曲がり要素125の接触部129の領域に形成されている。
【0077】
図7は、さらなる実施形態によるセル接触システム100の保持要素115をセンサ要素109と共に示すさらなる概略図である。
【0078】
図示の実施形態は、
図6の実施形態に基づく。
図6に示す実施形態とは異なり、本実施形態において、接触領域123は、セル接触要素103の表面121に平行または略平行に配置されているが、表面121から離れる方を向いている。したがって、センサ要素109は、z軸に関して接触領域123に位置し、溶接接続部によって保持要素115に固定されるように配置されている。
【0079】
さらに、接触領域123は、
図6の実施形態よりも、表面121からの間隔が小さい。
【0080】
上記の実施形態において、接触部はそれぞれ直方体形状を有する。あるいは、他の形状も考えられる。接触領域123、124のサイズおよび形状は、センサ要素109の用途および設計に応じて変化し得る。
【0081】
図示の実施形態におけるセンサ要素109は、センサライン111のケーブルの端部分の圧縮された直方体状部分から形成されている。あるいは、撚線の束またはケーブル端部スリーブが、動作電圧を測定するためのセンサ要素109として同様に考えられる。
【0082】
図8は、一実施形態による、温度センサ133として設計されたセンサ要素109の概略図である。
【0083】
図示の実施形態において、センサ要素109は、セル接触システム100に接続されたバッテリモジュールの動作温度を測定するための温度センサ133を含む。
【0084】
ここでは、センサ要素109は、少なくとも1本のセンサライン111によって温度センサ133に電気的に接触するための接触場137を有するプリント回路基板135を含む。図示の実施形態において、温度センサ133は、接触場137を介して2本のセンサライン111に電気的に接続されている。
【0085】
上記の実施形態と同様に、センサライン111は、絶縁体145を有する標準導電性ケーブルとして設計され、接続要素139を有し、この接続要素139は、例として、非絶縁部147によって実現され、接続要素139を介して、センサライン111は、例えばはんだ付け接続部により、接触場137に導電的に接続される。
【0086】
図9は、さらなる実施形態による、温度センサ133として設計されたセンサ要素109のさらなる概略図である。
【0087】
図示の実施形態は、
図8の実施形態に基づく。図示の実施形態において、スペーサ要素141が、プリント回路基板135において2本のセンサライン111間にさらに形成されている。スペーサ要素141は、z軸に関して温度センサ133よりも高い。
【0088】
図示の実施形態において、スペーサ要素141は直方体形状を有する。他の形状も同様に可能である。スペーサ要素141の寸法を、温度センサ133の要件および設計に従って適合させることができる。しかしながら、1つの必要条件は、スペーサ要素141が、プリント回路基板135の表面に垂直に位置合わせされたz軸に関して、温度センサ133よりも高いことである。
【0089】
図示の実施形態において、センサ要素109は注封化合物(potting compound、ポッテイング化合物、埋込用樹脂)143をさらに有し、注封化合物143は、プリント回路基板135に配置され、温度センサ133を覆う。注封化合物143を、従来技術から知られる注封材料、例えばシリコーンまたはポリウレタン化合物から形成することができる。
【0090】
図10は、保持要素115に固定された、
図9のセンサ要素109の概略図である。
【0091】
図示の実施形態において、
図6および
図7の上記の実施形態と同様に、保持要素115は、曲がり部127と接触領域123を持つ接触部129とを有する曲がり要素125を有する。接触領域123は、セル接触要素103の表面121に平行に形成され、表面121に対向している。
【0092】
センサ要素109を受け入れるための受入空間131が、表面121と接触領域123との間に画定されている。
【0093】
センサ要素109は、スペーサ要素141が接触領域123に接触するように、受入空間131に挿入されている。曲がり要素125の曲がり部127により、保持要素115は、接触部129を介してスペーサ要素141に復元力を加えることができ、したがって、センサ要素109を受入空間131にクランプし、保持要素115に固定することができる。
【0094】
図示の実施形態において、センサライン111は、はんだ付け接続部149により、図示の例ではケーブルの非絶縁部147によって形成された対応する接続部139を介して、接触場137に電気的に接続されている。
【0095】
一実施形態によれば、さらに、温度センサ133を、結合接続部(図示せず)によってセル接触要素103に熱伝導的に接続することができる。セル接触要素103の表面121を介して、熱的接続を直接確立することができる。
【0096】
あるいはまたは加えて、温度センサ133と保持要素115との熱接触が生じてもよく、特に接触部129の接触領域123を介して確立されてもよい。
【0097】
図11は、保持要素115に固定された、
図9のセンサ要素109のさらなる概略図である。
【0098】
図11に示す実施形態は、
図10の実施形態に基づくが、センサ要素109が、曲がり要素125の受入空間131において、z軸に関して鏡面反転して(in a mirror-inverted manner)配置されているという点で、
図10の実施形態とは異なる。ここでは、プリント回路基板135の下面が、曲がり要素125の接触領域123に接触し、スペーサ要素141が、セル接触要素103の表面121に接触する。
【0099】
曲がり要素125の受入空間131へのセンサ要素109のクランプが、
図10の実施形態と同様に実現される。
【0100】
【0101】
図12に、スペーサ要素141がプリント回路基板を少なくとも部分的に通って延びることが示されている。それにより、スペーサ要素141は、セル接触要素103の表面121と曲がり要素125または保持要素の接触領域123との両方に接触する。
【0102】
注封要素143は同様に、セル接触要素103の表面121に接触する。他方、温度センサ133は、セル接触要素103の表面121から間隔をおいて留まり、センサ要素109を保持要素115の受入空間131にクランプすることによる温度センサへの損傷を避けることができる。
【0103】
図示のすべての実施形態において、さらに、温度センサ133を、結合接続部(図示せず)によってセル接触要素103に熱接触させることができる。
【0104】
温度センサ133を、例えばサーミスタによって形成することができる。
【0105】
図13は、セル接触システム100を製造するための方法200のフローチャートである。
【0106】
第1の方法ステップ201で、上記の実施形態のうちの1つによるセル接触システム100が、最初に設けられる。
【0107】
セル接触システム100は、複数のセル接触要素103を有するキャリア構造体101を備える。
【0108】
上記の実施形態による少なくとも1つの保持要素115が、少なくとも1つのセル接触要素103に形成される。
【0109】
したがって、セル接触システム100を設けること201は、少なくとも1つの保持要素115を少なくとも1つのセル接触要素103から形成するための打抜きおよび曲げプロセスを含む。
【0110】
さらなる方法ステップ203で、少なくとも1つのセンサ要素109が、少なくとも1つの保持要素115に配置される。
【0111】
このために、上記の実施形態によれば、センサ要素109を、保持要素115の接触領域123に配置することができる。このために、センサ要素109を、接触領域123に位置決めするか、または受入空間131に挿入し、保持要素115によってセル接触要素103にクランプすることができる。
【0112】
センサ要素109を保持要素115に配置または固定した後、センサ要素109を保持要素115に、したがってセル接触要素103に、溶接接続部または結合接続部によって固定することができる。その結果、セル接触要素103へのセンサ要素109の電気的および/または熱的接続を実現することができる。
【0113】
上記の実施形態によれば、センサ要素109を、セル接触システム100に接続されたバッテリモジュールの動作電圧を測定するように設計することができる。
【0114】
あるいは、センサ要素109を、バッテリモジュールの動作温度を測定するように構成することができる。このために、センサ要素109は、上記の実施形態による温度センサ133を含むことができる。
【0115】
さらなる方法ステップ205で、保持要素115に配置または固定された少なくとも1つのセンサ要素109を、センサライン111を介して接続コンタクト113に電気的に接続することができる。
【0116】
ここでは、センサライン111を市販の標準電気ケーブルによって実現することができる。
【0117】
キャリア構造体101に形成された接続コンタクト113により、モニタリングデバイスをセル接触システム100に電気的に接続することが可能になる。モニタリングデバイスは、動作電圧および/または動作電流によって表されるバッテリモジュールのパラメータをモニタするように設計される。
【0118】
モニタリングデバイスは、例えば、パラメータをモニタおよび評価するための対応するソフトウェアがインストールされた、対応する演算ユニットを含むことができる。
【0119】
図14は、セル接触システム100を有するバッテリモジュール300の概略図である。
【0120】
バッテリモジュール300は、複数のバッテリセル301を備える。セル接触システム100は、複数のセル接触要素103を介して複数のバッテリセル301に電気的に接続されている。接続を、例えば、セル接触要素103の接続開口部117を通るねじ接続部によって実現することができる。バッテリモジュール300のパラメータを測定するために、セル接触システム100は、複数のセンサ要素109がセル接触要素103に配置されている測定装置107をさらに有する。センサ要素109は、センサライン111を介して接続コンタクト113に接続されている。
【0121】
バッテリモジュール300の個々のバッテリセル301は、セル接触システム100のセル接触要素103を介して互いに接続されている。バッテリセル301を、セル接触システム100を介して互いに直列かつ並列に接続することができる。
【0122】
バッテリモジュール300を、特に電気車両のバッテリモジュール300として設計することができる。
【符号の説明】
【0123】
100 セル接触システム
101 キャリア構造体
103 セル接触要素
105 セル要素
106 分離隆起
107 測定装置
109 センサ要素
111 センサライン
113 接続コンタクト
115 保持要素
117 接続開口部
119 電力接続部
121 表面
123 接触領域
124 さらなる接触領域
125 曲がり要素
126 さらなる曲がり要素
127 曲がり部
128 さらなる曲がり部
129 接触部
130 さらなる接触部
131 受入空間
132 溶接接続部
133 サーミスタ
135 プリント回路基板
137 接触場
139 接続要素
141 スペーサ要素
143 注封化合物
145 絶縁体
147 非絶縁部
149 はんだ付け接続部
200 方法
201 キャリア要素を設けること
203 センサ要素を固定すること
205 センサ要素を接続すること
300 バッテリモジュール
301 バッテリセル
【手続補正書】
【提出日】2023-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気バッテリモジュール(300)のセル接触システム(100)であって、
キャリア構造体(101)と、
前記バッテリモジュール(300)の複数のバッテリセル(301)に電気的に接触するための、前記キャリア構造体(101)に配置された複数のセル接触要素(103)と、
前記セル接触要素(103)に電気的に接続された複数の電力接続部(119)と、
前記セル接触システム(100)に接続された前記バッテリモジュール(300)の少なくとも1つのパラメータを測定するための測定装置(107)と
を備え、
前記測定装置(107)は、前記パラメータを測定するための少なくとも1つのセンサ要素(109)を含み、前記センサ要素(109)は、少なくとも1本のセンサライン(111)を介して前記セル接触システム(100)の接続コンタクト(113)に接続され、前記パラメータをモニタするために、モニタリングデバイスを、前記接続コンタクト(113)を介して前記測定装置(107)に接続することができ、前記センサ要素(109)は、少なくとも1つのセル接触要素(103)に接続され、前記パラメータを測定するように構成され、前記センサ要素(109)は、前記セル接触要素(103)に形成された保持要素(115)を介して前記セル接触要素(103)に固定されている、セル接触システム(100)。
【請求項2】
前記保持要素(115)は、クリップ要素として設計され、前記センサ要素(109)を前記セル接触要素(103)にクランプするように構成されている、請求項1に記載のセル接触システム(100)。
【請求項3】
前記保持要素(115)は、前記センサ要素(109)に接触するための接触領域(123)を画定し、前記接触領域(123)は、前記セル接触要素(103)の表面(121)から間隔をおいて形成されている、請求項1に記載のセル接触システム(100)。
【請求項4】
前記保持要素(115)は、前記センサ要素(109)を受け入れるための受入空間(131)を画定し、前記センサ要素(109)を前記保持要素(115)に固定するために、前記センサ要素(109)を前記受入空間(131)に挿入することができる、請求項1に記載のセル接触システム(100)。
【請求項5】
前記パラメータは電圧または電流であり、前記センサ要素(109)は前記センサライン(111)の電気接触要素として設計され、前記センサ要素(109)は、溶接接続部(132)を介して前記保持要素(115)に固定されている、請求項1に記載のセル接触システム(100)。
【請求項6】
前記パラメータは温度であり、前記センサ要素(109)は温度センサとして設計され、前記センサ要素(109)は、前記保持要素(115)を介して前記セル接触要素(103)に熱伝導的に固定されている、請求項1に記載のセル接触システム(100)。
【請求項7】
前記温度センサ(133)はプリント回路基板(135)に配置され、スペーサ要素(141)が前記プリント回路基板(135)にさらに形成され、前記温度センサ(133)は、前記保持要素(115)を前記スペーサ要素(141)に押し付けることによって前記セル接触要素(103)に固定されている、請求項6に記載のセル接触システム(100)。
【請求項8】
前記温度センサ(133)は、前記保持要素(115)および/または前記セル接触要素(103)の表面(121)に、結合接続部により熱伝導的に接触する、請求項6に記載のセル接触システム(100)。
【請求項9】
前記保持要素(115)は、前記セル接触要素(103)から打抜きおよび曲げプロセスによって形成されている、請求項1に記載のセル接触システム(100)。
【請求項10】
請求項1に記載のセル接触システム(100)を製造するための方法(200)であって、
複数のセル接触要素(103)を有するキャリア構造体(101)を設けること(201)であって、少なくとも1つのセル接触要素(103)が保持要素(115)を有する、キャリア構造体を設けること(201)と、
測定装置(107)の少なくとも1つのセンサ要素(109)を、前記セル接触要素(103)の前記保持要素(115)に固定する(203)ことと、
前記センサ要素(109)を、センサライン(111)を介して前記キャリア構造体(101)の接続コンタクト(113)に接続すること(205)と
を含む方法(200)。
【請求項11】
複数のバッテリセル(301)と、
請求項1から9のいずれか一項に記載のセル接触システム(100)と
を有するバッテリモジュール(300)。
【外国語明細書】