IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タイコ エレクトロニクス アンプ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハウツンクの特許一覧

<>
  • 特開-電気的高電流コネクタ 図1
  • 特開-電気的高電流コネクタ 図2
  • 特開-電気的高電流コネクタ 図3
  • 特開-電気的高電流コネクタ 図4
  • 特開-電気的高電流コネクタ 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028187
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】電気的高電流コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6591 20110101AFI20240222BHJP
   H01R 13/621 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H01R13/6591
H01R13/621
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023131756
(22)【出願日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】10 2022 120 762.5
(32)【優先日】2022-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ハイコ ヴォルフシュミット
(72)【発明者】
【氏名】リヒャルト アー フォレル
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター ゼンガー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス フルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング バレス
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル エーハイム
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA14
5E021FB07
5E021FB20
5E021FC21
5E021FC32
5E021LA09
5E021LA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】改良された高電流コネクタを提示する。
【解決手段】本発明は、電気絶縁性コネクタハウジング(100)と、少なくとも1つの電磁的にシールド(136)されたコンタクトデバイス(130)と、コンタクトデバイス(130)の電気的コンタクト手段を機械的に留め付けるための少なくとも1つの締め付けねじ(120)とを備える、特に自動車分野のための、銅またはアルミニウムからなる高電流ライン(20)のための電気的高電流コネクタ(10)に関し、高電流コネクタ(10)の電気絶縁性保護キャップ(1000)が、コネクタハウジング(100)に設けることが可能であるか、または設けられ、コンタクトデバイス(130)の電磁シールド(136)における少なくとも1つのシールド孔(135)が、保護キャップ(1000)により電磁的に閉じることが可能である、かつ/または閉じられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に自動車分野のための、銅またはアルミニウムからなる高電流ライン(20)のための電気的高電流コネクタ(10)であって、
電気絶縁性コネクタハウジング(100)と、少なくとも1つの電磁的にシールド(136)されたコンタクトデバイス(130)と、前記コンタクトデバイス(130)の電気的コンタクト手段(110)を機械的に留め付けるための少なくとも1つの締め付けねじ(120)とを備えた電気的高電流コネクタ(10)において、
前記高電流コネクタ(10)の電気絶縁性保護キャップ(1000)が、コネクタハウジング(100)に設けることが可能であるか、または設けられ、前記コンタクトデバイス(130)の電磁シールド(136)における少なくとも1つのシールド孔(135)が、前記保護キャップ(1000)により電磁的に閉じることが可能である、かつ/または閉じられている
ことを特徴とする電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項2】
前記コンタクトデバイス(130)の前記電磁シールド(136)における前記シールド孔(135)が、前記保護キャップ(1000)自体により、または前記保護キャップ(1000)のシールド手段(1100)により、電磁的に閉じることが可能である、かつ/または閉じられていることを特徴とする、請求項1に記載の電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項3】
一方において、前記高電流コネクタ(10)の少なくとも1つの前記コンタクトデバイス(130)が、前記コネクタハウジング(100)に収容可能であるか、または収容され、
他方において、前記コンタクトデバイス(130)の前記コンタクト手段(110)が、前記締め付けねじ(120)により高電流相手側コネクタの相手側コンタクト手段に、互いとの電気的接触を形成するために固定可能であり、結果として、前記高電流コネクタ(10)も、前記高電流相手側コネクタに固定可能である
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項4】
前記保護キャップ(1000)が、前記コネクタハウジング(100)とは別個に設けられている保護キャップ(1000)の形態であるか、または前記コネクタハウジング(100)に設けられている保護キャップ(1000)の形態であり、
前記保護キャップ(1000)が、前記コネクタハウジング(100)に差し込み、再び引き抜くことが可能な保護キャップ(1000)の形態であるか、または前記コネクタハウジング(100)に向かって回動し、再び離れるように回動することが可能な保護キャップ(1000)の形態であり、かつ/または、
前記保護キャップ(1000)および前記コネクタハウジング(100)が、前記保護キャップ(1000)を前記コネクタハウジング(100)にラッチ接続することが可能であり、このラッチ接続が好ましくは固定可能でもあるように、相互に設計されている
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項5】
前記コンタクトデバイス(130)の前記電磁シールド(136)における前記シールド孔(135)、および、関連する領域における前記保護キャップ(1000)または前記シールド手段(1100)が、
前記電磁シールド(136)における凹部の形態であり、凸部が前記保護キャップ(1000、1100)に設けられ、
互いに部分的に相補的である前記高電流コネクタ(10)のシールドの構成要素(135、1100)の形態であり、かつ/または、
各々が楕円形または多角形の断面を有する
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項6】
前記シールド手段(110)が、前記保護キャップ(1000)の内面(1002)から突出するように設計され、または設けられ、
前記シールド孔(135)が、前記コンタクトデバイス(130)および前記電磁シールド(136)の外面に配置され、かつ/または、
前記シールド孔(135)が、内方へと前記電磁シールド(136)に繋がる前記電磁シールド(136)のばねラグ(139)により囲まれている
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項7】
前記保護キャップ(1000)の前記シールド手段(1100)が、シールドプラグ(1100)の形態であり、
前記保護キャップ(1000)および前記シールドプラグ(1100)が、互いに別個に作製され、
前記シールドプラグ(1100)が、形状嵌め、摩擦嵌めおよび/または力嵌めにより前記保護キャップ(1000)に保持され、かつ/または、
前記シールドプラグ(1100)が、ラッチ接続、クリップ留めおよび/またはアンダーカットにより前記保護キャップ(1000)に保持されている
ことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項8】
前記シールドプラグ(1100)が、
実質的に、少なくとも部分的に好ましくは中空状の円筒の形態であり、
少なくとも1つの端面壁において実質的に閉じており、
その自由端部において、前記シールド孔(135)において中心合わせするための挿入面取り部(1102)を有し、かつ/または、
その取り付けられた端部において、前記保護キャップ(1000)に装着するための周方向ビードを有する
ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項9】
前記保護キャップ(1000)が、
上端面において実質的に閉じており、
下端面において実質的に開いており、
前側壁において実質的に閉じており、
後側壁において実質的に開いており、かつ/または、
互いに正反対にある2つの横側壁において実質的に閉じている
ことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項10】
前記保護キャップ(1000)が、前記コネクタハウジング(100)に接する/前記コネクタハウジング(100)から離れた開位置(O)から、前記コネクタハウジング(100)に接する閉位置(G)に移動可能であり、
それぞれの前記シールド孔(135)を閉じる間、関連する前記シールドプラグ(1100)の挿入面取り部(1102)が、この前記シールドプラグ(1100)をそれぞれの前記シールド孔(135)において中心合わせし、
前記閉位置(G)において、それぞれの前記シールド孔(135)における前記電磁シールド(136)の前記ばねラグ(139)が、関連する前記シールドプラグ(1100)の外周に弾性的に載り、かつ/または、
前記閉位置(G)において、前記シールドプラグ(1100)の関連する端面壁が、それぞれの前記シールド孔(135)を実質的に完全に閉じる
ことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項11】
前記高電流コネクタ(10)が、少なくとも約100A、200A、300A、400A、500A、750A、1kA、または1.25kAの常時電流を対象に設計され、
少なくとも約200V、300V、400V、500V、600V、750V、1kV、1.25kV、1.5kV、1.75kVまたは2kVの電圧を対象に設計され、かつ/または、
好ましくはLV214またはそれに類するものに従って、そのクラスに従った振動要件または重大度2、3および/または4に従った振動要件を満たす
ことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項12】
特に自動車分野のための組み立て済み電気的高電流接続部(1)であって、
前記高電流接続部(1)が、電気的高電流ライン(20)と、請求項1から11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの電気的高電流コネクタ(10)とを有する
ことを特徴とする組み立て済み電気的高電流接続部(1)。
【請求項13】
前記コンタクト手段(110)が、その電気的接続部分(112)において電気的高電流ライン(20)の電気的高電流導体(27)を有し、
前記電磁シールド(136)が、前記高電流導体(27)との前記コンタクト手段(110)の接続領域をシールドし、かつ/または、
前記高電流接続部(1)が、厳密に1つまたは厳密に2つの高電流コネクタ(10)を有する
ことを特徴とする、請求項12に記載の組み立て済み電気的高電流接続部(1)。
【請求項14】
前記高電流導体(27)が、電磁的にシールドされた高電流ライン(20)に埋め込まれ、
前記電磁シールド(136)が、前記高電流ライン(20)の電磁シールド(28)と導電接触し、
前記高電流ライン(20)の外部保護層(29)が、前記コネクタハウジング(100)に対して封止され、かつ/または、
前記高電流ライン(20)が、少なくとも1つのラッチ手段により前記コネクタハウジング(100)に固定されている
ことを特徴とする、請求項13に記載の組み立て済み電気的高電流接続部(1)。
【請求項15】
自動車分野のための強電エンティティであって、
前記エンティティが、請求項1から11のいずれか一項に記載の電気的高電流コネクタ(10)、および/または、請求項12から14のいずれか一項に記載の組み立て済み電気的高電流接続部(1)を有する
ことを特徴とする強電エンティティ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車分野のための、銅またはアルミニウムからなる高電流ラインのための電気的高電流コネクタに関する。本発明はまた、特にいずれの場合も自動車分野のための、組み立て済み電気的高電流接続部および強電エンティティに関する。
【背景技術】
【0002】
地上ベースの電力工学およびそれに類するものよりも先進の電気分野(電気学、電気工学、電力工学等)において、中電流もしくは高電流および/または中電圧もしくは高電圧の範囲における電流および電圧を伝送する目的を果たす多数の電気的高電流コネクタが知られている。この場合、例えば、短期間にかつ/または恒久的に、温暖な、場合によっては高温の、汚染された、湿潤なかつ/または化学的に過酷な環境において、電気エネルギーの供給および/または分配を行うための高電流コネクタは、電気エネルギーの問題のない伝送を確実に行う必要がある。広範な用途に起因して、多数のそのような高電流コネクタが、非自動車分野および自動車分野で知られている。
【0003】
そのような高電流コネクタは例えば、電気エンティティ、例えば充電式バッテリもしくは充電式バッテリモジュール、(トラクション)バッテリもしくは(トラクション)バッテリモジュール、インバータ、スイッチギヤアセンブリ等に設置される場合がある。環境影響および高い燃料コストを低減するための取組みは、例えば自動車分野において、ハイブリッド車または電気自動車を必要なものとする。これらの車両の一態様は、高い充電および動作用の電流および/または電圧を扱うことであり、車両の該当する構成要素は、それに対応して設計される必要がある。これは例えば、高電流コネクタの高電流/高電圧ライン(例えば銅または好ましくはアルミニウムからなる撚線、導体バー、バスバー等)およびコンタクト手段(例えばアルミニウムまたは好ましくは銅からなる接続部品、平坦コンタクト、バスバー等)に関する。
【0004】
高電流コネクタによりエンティティとの電気的接触を形成するために、厳しい要件も満たす電気機械的ねじコンタクト接続部を用いることが可能である。そのような高電流ねじコンタクト接続部により、機械的経路を電気的経路から機能的に分離することができる。機械的経路は、ねじ嵌合、特に鋼-鋼ねじ嵌合の機械的引張応力を伝達するように機能し、電気的経路は、高電流コネクタによる高電流ねじコンタクト接続部の低抵抗電気的コンタクト接続部、特に銅-銅接続部として用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
結果として、堅牢であり、典型的な製造環境において容易に取り扱い可能な電気的高電流接続部が提供される。加えて、そのような高電流接続部は、容易に分離可能(診断、補修、再生利用)であり、同時に接触に対して安全である。そのような高電流接続部は、バッテリモジュールとの接触を形成するため、および電力アーキテクチャの様々な接続パネルにおける他の接続点のために、多様にかつフレキシブルに用いることができる。電気的高電流コネクタを改良するため、特にそれらをより効果的に設計し、その過程でそれらのコスト効果を高めるための取組みが、継続的になされている。したがって、本発明の目的は、改良された高電流コネクタを提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、独立請求項に係る、特に自動車分野のための、銅またはアルミニウムからなる高電流ラインのための電気的高電流コネクタ、ならびに、特にいずれの場合も自動車分野のための、組み立て済み電気的高電流接続部および強電エンティティ(電力電気エンティティ、power-electrical entity)により実現される。本発明の有利な発展例、追加の特徴および/または利点を、従属請求項および以下の説明から得ることができる。
【0007】
本発明の範囲内において、電気的高電流コネクタの構造の層におけるねじ留め可能な接続部により生じる「シールド孔」は、適用例によっては問題となることが判明している。本発明に係る高電流コネクタは、電気絶縁性コネクタハウジングと、少なくとも1つの電磁的にシールドされたコンタクトデバイスと、コンタクトデバイスの電気的コンタクト手段を機械的に留め付けるための少なくとも1つの締め付けねじとを備え、高電流コネクタの電気絶縁性保護キャップを、コネクタハウジングに設けることが可能であるか、または設けられ、コンタクトデバイスの電磁シールドにおける少なくとも1つのシールド孔が、保護キャップにより電磁的に閉じることが可能である、かつ/または閉じられる。
【0008】
コンタクトデバイスは、単一の高電流ラインの単一のコンタクト部分(図面を参照)、または、複数の高電流ラインの複数のコンタクト部分、特に2つの高電流ラインの厳密に2つのコンタクト部分(不図示)に関して設計されてよい。さらに、コンタクトデバイスに収容可能な高電流ラインのコンタクト部分の数に応じて、コンタクトデバイスは、少なくとも1つのコンタクト手段を備えてもよく、または備えなくてもよい。すなわち、コンタクト手段は、高電流コネクタではなく高電流ラインに結合していてもよい。
【0009】
この場合、シールド孔は、コンタクトデバイスに配置される。これは特に、そうでなければ、相手側高電流コネクタの相手側コンタクト手段への高電流コネクタのコンタクト手段のねじ嵌合を確立することができない、または、少なくとも1つの締め付けねじにより、煩雑かつしたがって高コストな方法でしか確立することができないためである。加えて、高電流ラインは、例えば撚線、導線、固体材料線、平形導体、導体バー、バスバー等の形態であってよい。コンタクトデバイスの電磁シールドにおけるシールド孔は、保護キャップ自体により、かつ/または保護キャップのシールド手段により、電磁的に閉じることが可能であってよい、かつ/または閉じられてよい。
【0010】
一方において、高電流コネクタの少なくとも1つのコンタクトデバイスは、コネクタハウジングに収容可能であってよく、または収容されてよい。この目的で、関連するコンタクトデバイスは、コネクタハウジングへと前方に平行移動可能であることが好ましく、コネクタハウジング内部で案内されることが好ましい。さらに、コンタクトデバイスおよびコネクタハウジングは、内部において、コンタクトデバイスをコネクタハウジングに保持、拘束(ショルダ(shoulder))および/または固定(ラッチ接続)することができるように設計されてよい。
【0011】
他方において、コンタクトデバイスのコンタクト手段は、締め付けねじにより高電流相手側コネクタの相手側コンタクト手段に、互いとの電気的接触を形成するために固定可能であってよく、結果として、高電流コネクタも、高電流相手側コネクタに固定可能であってよい。この場合、高電流相手側コネクタは、下記で述べるエンティティとは当然に異なる電気エンティティの構成要素であってよい。これは、下記で述べるエンティティは高電流コネクタを備えるためである。特定の状況下では、高電流相手側コネクタは、同様に下記で述べる高電流接続部とは異なる組み立て済み電気的高電流接続部の構成要素であってもよい。
【0012】
保護キャップは、コネクタハウジングとは別個に設けられる保護キャップの形態であってもよく、またはコネクタハウジングに設けられる保護キャップの形態であってもよい。さらに、保護キャップは、コネクタハウジングに差し込み、再び引き抜くことが可能な保護キャップの形態であってもよく、またはコネクタハウジングに向かって回動し、再び離れるように回動することが可能な保護キャップの形態であってもよい。さらに、保護キャップおよびコネクタハウジングは、保護キャップをコネクタハウジングにラッチ接続することが可能であり、このラッチ接続が好ましくは固定可能でもあるように、相互に設計されてよい。加えて、保護キャップは、ラッチ接続に加えて、例えば追加の固定手段、例えばスライドにより、コネクタハウジングの前部に固定されてよい。
【0013】
コンタクトデバイスの電磁シールドにおけるシールド孔、および、関連する領域における保護キャップまたはシールド手段は、電磁シールドにおける凹部の形態であってよく、凸部が保護キャップに設けられてよい。さらに、これら、すなわちシールド孔および関連する領域における保護キャップまたはシールド手段は、互いに部分的に相補的である高電流コネクタのシールドの構成要素の形態であってよい。この場合、保護キャップのシールド手段を、例えば形状嵌めにより、シールドのシールド孔に配置することができる。
【0014】
さらに、シールド孔および関連する領域における保護キャップまたはシールド手段は、各々が楕円形または多角形の断面を有してよい。楕円形の断面としては、特に実質的に円形の断面が好適であり、多角形の断面としては、特に実質的に矩形または方形の断面が好適である。シールド手段は、保護キャップの内面から突出するように設計され、または設けられてよい。シールド孔は、コンタクトデバイスおよび電磁シールドの外面に配置されてよい。シールド孔は、内方へと電磁シールドに繋がる電磁シールドのばねラグにより囲まれてよい。
【0015】
保護キャップのシールド手段は、シールドプラグの形態であってよい。保護キャップおよびシールドプラグは、互いに別個に作製されてよい。この場合、シールドプラグは、射出成形法で作製され得る保護キャップのインサート部品として用いられてよい。シールドプラグは、形状嵌め、摩擦嵌めおよび/または力嵌めにより保護キャップに保持されてよい。
【0016】
シールドプラグは、ラッチ接続、クリップ留めおよび/またはアンダーカットにより保護キャップに保持されてよい。ラッチ接続は、例えば、保護キャップの(ラッチ突起)およびシールドプラグの(シェーピング、成形(shaping))相互に対応するラッチデバイスにより、実現することができる。アンダーカットの場合、保護キャップは、射出成形法のインサート部品として設計されることが好ましく、射出成形コンパウンドが、例えば保護キャップにおける貫通切抜き部または切抜き部を通して流れることができる。さらに、シールドプラグは、第3の構成部品により保護キャップの内側に保持されてよい。
【0017】
シールドプラグは、実質的に、少なくとも部分的に好ましくは中空状の円筒の形態であってよい。この場合、直線状の円筒が好適であり、円筒の底面領域は、基本的に任意であってよい。ただし、円形の底面領域が好適である。この場合、シリンダまたは側壁は、実質的に閉じていることが好ましい。さらに、シールドプラグは、少なくとも1つの端面壁において実質的に閉じていてよい。すなわち、シールドプラグは、その端面において片側または両側が閉じているスリーブの形態であってよい。
【0018】
シールドプラグの関連する壁は、高電流コネクタの所期の用途での使用中においてシールドプラグがその電磁シールド機能を果たすように、少なくとも閉じているまたは電磁的に密である必要がある。すなわち、場合によっては、貫通切抜き部が、例えば保護キャップへの装着/保持のために、例えばシールドプラグに配置されてよい。この場合、側壁は、締め付けねじの軸方向の延びに対して平行である(定義)。加えて、端面は、締め付けねじの軸方向の延びに対して実質的に直角である(定義)。
【0019】
加えて、シールドプラグは、その自由端部において、シールド孔において中心合わせするための挿入面取り部を有してよい。この場合、挿入面取り部は、シールドプラグの周方向において、シールドプラグにおいて少なくとも部分的に周上に配置されることが好ましい。さらに、シールドプラグは、その取り付けられた端部において、保護キャップに装着するための周方向ビードを有してよい。
【0020】
保護キャップは、上端面において実質的に閉じていてよい。この端面は、相手側高電流コネクタへの高電流コネクタの後のねじ嵌合のためのカバーを形成する。さらに、保護キャップは、下端面において実質的に開いていてよい。さらに、保護キャップは、前側壁において実質的に閉じていてよい。加えて、保護キャップは、後側壁において実質的に開いていてよい。コネクタハウジングへの保護キャップの機械的接続は、例えばスイベルジョイントまたはヒンジの一部として、後側壁において構成されてよい。さらに、保護キャップは、互いに正反対の2つの横側壁において実質的に閉じていてよい。
【0021】
保護キャップは、コネクタハウジングに接する/コネクタハウジングから離れた開位置から、コネクタハウジングに接する閉位置に移動可能であってよい。それぞれのシールド孔を閉じる間、関連するシールドプラグの挿入面取り部は、このシールドプラグをそれぞれのシールド孔において中心合わせしてよい。閉位置において、それぞれのシールド孔における電磁シールドのばねラグは、関連するシールドプラグの外周に弾性的に載っていてよい。閉位置において、シールドプラグの関連する端面壁が、(少なくとも十分に電磁的に密であるという意味で)それぞれのシールド孔を実質的に完全に閉じてよい。
【0022】
高電流コネクタは、90°の高電流コネクタまたは180°の高電流コネクタの形態であってよい。シールド手段またはシールドプラグは、金属を有してよい。この場合、シールドプラグは、金属または金属合金から形成されてもよく、または例えばプラスチック物体(実際のシールドプラグ)の金属化を有してもよい。保護キャップとコネクタハウジングとの間の間隙は、シールにより封止可能であってよく、または封止されてよい。これは当然、コネクタハウジングに接する保護キャップの閉位置に当てはまり、シールは、最初に好ましくは保護キャップに結合していてよいが、場合によってはコネクタハウジングにも結合していてよい。
【0023】
高電流コネクタは、少なくとも約100A、200A、300A、400A、500A、750A、1kA、または1.25kAの常時電流を対象に設計されてよい。さらに、高電流コネクタは、少なくとも約200V、300V、400V、500V、600V、750V、1kV、1.25kV、1.5kV、1.75kVまたは2kVの電圧を対象に設計されてよい。この場合、高電流コネクタはさらに、いずれの場合もより大幅に高い短期的な電流および/または電圧(例えば動的駆動モード、おそらくはいずれの場合も約+175%、+200%、+250%、+300%、+350%、+400%、+500%)に耐え得るように構成されてよい。
【0024】
高電流コネクタは、好ましくはLV214またはそれに類するものに従って、クラス(class)のまたは重大度(シビアリティ、degree of severity)2、3および/または4に従った振動要件を満たしていてよい。特に、クラスのまたは重大度3に従った振動要件が、高電流コネクタにより満たされる。加えて、高電流コネクタが、例えばLV214またはそれに類するものに従って、クラスのまたは重大度4および/またはそれ以上に従った振動要件を満たさないことも可能であり得る。高電流コネクタは、約40℃~約80℃、100℃、120℃、140℃、150℃、160℃、170℃または180℃の使用温度を対象に設計されることが好ましい。
【0025】
本発明に係る組み立て済み電気的高電流接続部は、電気的高電流ラインと、本発明に係る少なくとも1つの電気的高電流コネクタとを有する。この場合、高電流ラインの単一の長手方向端部または両方の長手方向端部が、本発明に係る高電流コネクタを有してよい。加えて、第1の場合において、第2の長手方向端部が、別の高電流コネクタ、例えば入口のためのソケット等を備えてよい。高電流コネクタまたは高電流接続部は、バッテリモジュール、およびバッテリとは別のさらなる高電流接続点との接触を形成し、それらを接続するための、フレキシブルに使用可能な、コンパクト、堅牢かつ/または接触安全性のソリューションである。
【0026】
この場合、コンタクト手段は、その電気的接続部分において電気的高電流ラインの電気的高電流導体を有してよい。接続部分と高電流導体との間の電気機械的接続は、二部品の接続(差し込み接続、嵌め接合または圧縮接合等)、一部品の接続、物質的に一部品の接続または一体接続の形態であってよい。後者の場合、コンタクト手段は、高電流導体自体により形成されることが好ましい(好ましくは高電流導体の長手方向端部の再整形を伴う、追加のインターフェースなしでの高電流導体の連続)。
【0027】
さらに、この場合、電磁シールドは、特に高電流導体とのコンタクト手段の接続領域をシールドする。高電流接続部は、厳密に1つまたは厳密に2つの高電流コネクタを有してよく、その場合、場合によっては2つよりも多くの高電流コネクタが用いられてもよい。高電流導体は、電磁的にシールドされた高電流ラインに埋め込まれてよい。電磁シールドは、高電流ラインの電磁シールドと導電接触していてよい。高電流ラインの外部保護層が、コネクタハウジングに対して封止されてよい。加えて、高電流ラインは、少なくとも1つのラッチ手段によりコネクタハウジングに固定されてもよい。
【0028】
本発明に係るエンティティは、本発明に係る電気的高電流コネクタおよび/または本発明に係る組み立て済み電気的高電流接続部を備える。この場合、エンティティは、例えばデバイス、手段、モジュール、装置、設備、システム、充電式電池または電池のモジュール、例えば充電式電池または電池、インバータ(前輪駆動および/または後輪駆動用)、スイッチギヤアセンブリ等の形態であってよい。この場合、高電流接続部は、例えば2つのそのようなエンティティの間に配置されてよい。
【0029】
縮尺通りでない添付の模式的図面を参照して、例示的実施形態に基づき、本発明を以下でより詳細に説明する。同一、固有または類似の構成および/または機能を有する部分、要素、構成部品、ユニット、構成要素および/または図形は、図面の説明(以下を参照)、符号の説明、特許請求の範囲、および図面の各図において、同じ参照符号により識別される。本発明の説明(上記を参照)において説明されていない、図面に示されていない、および/または確定的でない可能な代替例、本発明の例示的実施形態に関する静的および/または運動学的な反転、組み合わせ等、またはその構成要素、図形、ユニット、構成部品、要素または部分を、符号の説明および/または図面の説明からさらに収集することができる。
【0030】
本発明の場合において、特徴(部分、要素、構成部品、ユニット、構成要素、機能、変数等)は、明示された構成のものであってもよく、すなわち存在してもよく、または明示されていない構成のものであってもよく、すなわち存在しなくてもよい。本明細書(説明(本発明の説明(上記を参照)、図面の説明(下記を参照))、符号の説明、特許請求の範囲、図面)において、明示されていない特徴は、それが本発明に従って存在しないことに意義がない場合には、特徴として明示的に説明されていない。すなわち、実際に実施され、先行技術により構成されない本発明は、上記特徴を省略して成り立つ。
【0031】
本明細書の特徴は、指定された方式および/または方法のみならず、別の方式および/または方法(分離、組み合わせ、置換、追加、単独、省略等)において用いられてもよい。特に、説明、符号の説明、特許請求の範囲および/または図面において、特許請求の範囲および/または説明における特徴を、参照符号およびそれに割り当てられた特徴に基づいて置換、追加または省略することが可能である、またはその逆も同様である。さらに、結果として、特許請求項における特徴が、より詳細に解釈および/または指定されてよい。
【0032】
説明の特徴は、((最初にはほとんど未知の)先行技術に鑑みて)任意選択的特徴として解釈されてもよく、すなわち、各特徴は、任意選択的、随意または好適な特徴、すなわち必須でない特徴として見なされてよい。したがって、特徴を、場合によってはその外縁を含め、例示的実施形態から分離することが可能であり、その場合、上記特徴を一般化された発明概念に転換することが可能である。例示的実施形態における特徴の不存在(明示されていない特徴)は、その特徴が本発明に関して任意選択的であることを示す。加えて、特徴に関する種類の用語の場合、その特徴に関する一般的用語も暗示的に理解されてよく(場合によっては副区分へのさらなる階層的分類等)、その結果、例えば等価的効果および/または等価性を考慮して、その特徴の一般化が可能である。
【0033】
単に例示的な図面は、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明に係る、高電流ラインを含む電気的高電流コネクタの斜視分解図である。
図2】本発明に係る高電流コネクタのためのコネクタハウジングの斜視分解図である。
図3】部分的に開いた位置にある保護キャップを有する本発明に係る高電流コネクタを有する組み立て済み電気的高電流接続部の中央切断斜視図である。
図4】閉位置にある保護キャップを有する本発明に係る高電流コネクタ(高電流ラインを含む)の、後部が取り除かれた前部の中央切断側面図である。
図5】高電流コネクタの保護キャップが部分的に開いた位置で示されている、本発明に係る組み立て済み電気的高電流接続部の外側の非切断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(トラクション)バッテリは、ハイブリッド車または電気自動車のドライブトレインの電化の不可欠な部品である。そのようなバッテリは、バッテリモジュールを形成するように各々組み合わされる多数の個別セルからなる。充電、走行および回復の動作モード中における電気エネルギーの全てが、これらのバッテリモジュールの高電流接続部を介してバッテリに安全に流れ込むか、またはバッテリから除去することが可能でなければならない。
したがって、そのような高電流接続部およびその高電流コンタクト接続部は、物理的スペースに関して制約された条件下において、高電力充電サイクル中の数分間にわたって、最大600Aの、および将来的にはさらにこれを超える常時電流を伝導することが可能でなければならず、一方で動的駆動モードでは、数秒間にわたってより大幅に大きい電流(少なくとも+175%~場合によっては+500%超)を流す必要がある。電圧についても同様である。
【0036】
加えて、バッテリモジュールのそのような高電流コンタクト接続部は、バッテリ保護(過熱保護)、バッテリ管理(充電状態)、セルバランシング(バッテリモジュール間の充電バランシング)、機械的保護等のための物理的層を提供する。この目的で、良好な疲労強度を有するが好ましくは取外し可能な各個別バッテリモジュールのコンタクト接続部が必要とされる。そのようなコンタクト接続部は、車両の寿命にわたって一体化されたシステムとして構成される必要があるのみならず、振動および温度の影響が寿命にわたって許容できない程度までコンタクト接続部の機械的特性および電気的特性に影響することがないように堅牢である必要もある。加えて、このコンタクト接続部は、電動車などの高電圧システムにおける高電流および/または高電圧によるリスクを生じさせないために、安全に接触できる必要がある。
【0037】
本発明に係る高電流コネクタ10および本発明に係る組み立て済み電気的高電流接続部1の変形例の3つの実施形態(実施形態1:図1、実施形態2:図2および図4、実施形態3:図3および図5)の例示的実施形態に基づいて、本発明を下記でより詳細に説明する。この場合、組み立て済み高電流接続部1は、事前組み立て済み、部分的に組み立て済み、または完全に組み立て済みの高電流接続部1の形態であってよい。
【0038】
好適な例示的実施形態を用いて本発明をさらにより詳細に説明および例示するが、本発明は開示の例示的実施形態によって制約されるものではなく、より根本的な性質のものである。本発明の保護範囲から逸脱しない限りにおいて、それらおよび/または上記(本発明の説明)から他の変形例を導き出すことができる。本発明は、エンティティの場合(上記を参照)、一般に電気分野において用いることができる。ここで1つの例外としては、地上ベースの電力工学およびそれに類するもの(超高~最大の電流および電圧)がある。
【0039】
図面は、本発明の理解に必要な本発明の主題の物理的部分のみを示す。コネクタおよび相手側コネクタ、コンタクト手段および相手側コンタクト手段等のような呼称は、同義に解釈されるべきであり、すなわち、おそらくはいずれの場合も互いに交換可能である。図面に関する本発明の説明は、下記において、締め付けねじ120、コンタクト手段110、シールド手段1100またはシールドプラグ1100等のそれぞれの軸方向Ar(軸)、それぞれの径方向Rr(径)およびそれぞれの周方向Ur(接線)、ならびに、好ましくは関連する軸方向Ar、すなわち締め付けねじ120の長手方向Arに対して角度を付けて、特に直角に配置される関連する高電流ライン20の長手方向Lrに言及する。
【0040】
図3図5は、電気エンティティ0との接触を形成するための、本発明に係る少なくとも1つの高電流コネクタ10および少なくとも1つの電気的高電流ライン20を有する本発明に係る組み立て済み高電流接続部1(10、20、…、10、20、10)を示す。この目的で、エンティティ0は、エンティティ0の外側に例えば差し込みソケットとして配置され得る部分的に相補的な高電流相手側コネクタ(不図示)を有する。さらに、図1は、組み立て中の高電流接続部1を示し、締め付けねじ120(下記を参照)は、組み立て済み高電流接続部1と結合していてもよく、または結合していなくてもよい。
【0041】
高電流ライン20(特に図3を参照)は、この場合は内側から外側に、電気的高電流導体27、電気的内部絶縁体、電磁シールド28および外部保護層29(場合により電気的外部絶縁体29の形態)を備えることが好ましい。この場合、電磁シールド28は、長手方向Lrに関して高電流導体27を完全に取り囲む。高電流ライン20または高電流導体27は、その長手方向の自由端部において、電気機械的コンタクト部分21またはコンタクト長手方向端部21の形態である。
【0042】
高電流ライン20のコンタクト部分21は、電気的コンタクト手段110を有し、コンタクト手段110は、(本例のように)高電流導体27または高電流ライン20または高電流コネクタ10(不図示)と結合していてよい。本例(特に図3および図4を参照)において、コンタクト手段110は、その電気的接続部分112が、高電流導体27のコンタクト部分21に一体化され、好ましくはそこに溶接される(摩擦圧接、レーザ溶接または超音波溶接)。接続部分112と高電流導体27との間の別の電気機械的接続を用いることも当然可能である(上記を参照)。
【0043】
コンタクト手段110はまた、相手側高電流コネクタの相手側コンタクトデバイスまたは電気的相手側コンタクトデバイスの電気的相手側コンタクト手段の相手側接触形成領域に対する接触形成領域を有する電気的コンタクト部分116を有する。コンタクト手段110はまた、高電流コネクタ10と相手側高電流コネクタとの間の電気的接触を形成するときに機械的締め付けねじ120が延びる貫通切抜き部114を有する。
【0044】
高電流コネクタ10は、例えば相手側高電流コネクタのねじ付きスリーブを介して、締め付けねじ120により相手側高電流コネクタにねじ留めされてよく、締め付けねじ120は、接触形成領域および相手側接触形成領域を互いに押し付け、これにより、高電流コネクタ10と相手側高電流コネクタとの間の導電接続を確立する。締め付けねじ120を電気的に絶縁するために、締め付けねじ120はまた、その頭部の唯一の電気絶縁体122を有することが好ましく、これとは軸方向Arの反対側に、そのねじシャンクの自由端部における電気絶縁性タッチ保護部124を有することが好ましい。
【0045】
高電流ライン20のコンタクト手段110または高電流ライン20および高電流ライン20のコンタクト部分21に対するコンタクト手段110は、高電流コネクタ10のコンタクトデバイス130に配置されてよい、または配置される(図1図3および図4を参照)。
【0046】
コンタクト手段110(特に図3および図4を参照)を含むコンタクト部分21は、特にコンタクトデバイス130の絶縁物体132に収容され、絶縁物体132は、個々のコンタクト部分21に関して構成されることが好ましい。絶縁物体132を、高電流ラインの複数の、特に2つのコンタクト部分に関して構成することも当然可能である。本例において、絶縁物体132は、互いに差し込み可能なまたは差し込まれた2つの絶縁部品133、134、例えば上側絶縁部品133および下側絶縁部品134を有する。絶縁物体132の異なる構成を用いることも当然可能である。
【0047】
絶縁物体132は、電磁シールド136により取り囲まれる。本例において、電磁シールド136は、互いに差し込み可能なまたは差し込まれた2つのシールド部品137、138またはシールドプレート137、138、例えば上側シールドプレート137および下側シールドプレート138を有する。電磁シールド136の異なる構成を用いることも当然可能である。コンタクトデバイス130、したがって絶縁物体132(上側絶縁部品133)および電磁シールド136(上側シールドプレート137)の両方は、締め付けねじ120をコンタクトデバイス130に配置することができるように、開口部(貫通切抜き部)を有する。
【0048】
結果として、電磁シールド136、特にその上側シールドプレート137には、必要であるが不所望なシールド孔135が生じる。この場合、絶縁物体132に繋がる電磁シールド136におけるシールド孔135は、電磁シールド136の、内方に延びるばねラグ139により囲まれる。この場合、ばねラグ139は、絶縁物体132の開口部、特に上側絶縁部品133の切抜き部または貫通切抜き部に繋がることが好ましい。
【0049】
少なくとも1つのそのようなシールドされたコンタクトデバイス130は、高電流コネクタ10(上記も参照)の電気絶縁性コネクタハウジング100に収容可能である、または収容される。本例においては、2つのそのようなコンタクトデバイス130がある。この場合、コネクタハウジング100および少なくとも1つのシールドされたコンタクトデバイス130に加えて、高電流コネクタ10は、高電流コネクタ10(またはそのコンタクト手段110)を相手側高電流コネクタ(またはその相手側コンタクト手段)に機械的に留め付けるための少なくとも1つの締め付けねじ120を備えることが好ましい。高電流コネクタ10に対して確立する必要がある電気的コンタクト接続部と同数の締め付けねじ120を用いることが好ましい。
【0050】
高電流コネクタ10のコネクタハウジング100は、特にスイベルジョイントまたはヒンジにより回動可能なように、コネクタハウジング100に設けられる、結合した電気絶縁性保護キャップ1000を有する。ただし、保護キャップ1000が、コネクタハウジング100とは別個に設けられる保護キャップ1000(不図示)の形態であることも可能である。第1の例示的実施形態において、保護キャップ1000は、コネクタハウジング100に向かって回動し、再び離れるように回動することが可能な保護キャップ1000の形態であり、第2の例示的実施形態においては、コネクタハウジング100に差し込み、再び引き抜くことが可能な保護キャップ1000の形態である。
【0051】
この場合、保護キャップ1000は、コネクタハウジング100に接する(一部品の例示的実施形態)またはコネクタハウジング100から離れた(二部品の例示的実施形態)開位置Oから、コネクタハウジング100に接する閉位置Gに移動することが可能である。閉位置Gにおいて、保護キャップ1000は、コネクタハウジング100にラッチ接続することが可能であることが好ましく、このラッチ接続は、場合によっては固定可能である。本発明によれば、少なくとも1つのシールド孔135は、保護キャップ1000により少なくとも電磁的に閉じることが可能である。
【0052】
これは、保護キャップ1000自体により(不図示)、または保護キャップ1000のシールド手段1100により行うことができる。この場合、コンタクトデバイスの電磁シールド136におけるそれぞれのシールド孔135は、保護キャップ1000自体および/または保護キャップ1000の関連するシールド手段1100により、閉じることが可能である(開位置O)、または閉じられる(閉位置G)。シールド手段1100は、存在する場合、保護キャップ1000の内面1002から突出することが好ましい。
【0053】
特に、保護キャップ1000の関連するシールド手段1100は、保護キャップ1000とは別個のシールドプラグ1100の形態である。シールドプラグ1100は、金属または金属合金から形成されることが好ましく、または、金属化された物体の形態、特に金属化されたプラスチック物体の形態であってもよい。シールドプラグ1100は、コネクタハウジング100における保護キャップ1000の閉位置Gにおいて、関連するシールド孔135を少なくとも電磁的に閉じるように形成される。
【0054】
本例において、図1図4を参照すると、好ましくは金属製のシールドプラグ1100は、その直径または半径よりも短く、好ましくは中空状であり、端面壁において実質的に閉じている(端面において片側が閉じているスリーブ)円筒の形態である。シールドプラグ1100は、その取り付けられた端部において、保護キャップ1000に装着するための周方向ビードを有することが好ましい。加えて、シールドプラグ1100は、その自由端部において、径方向Rrの内方に向く挿入面取り部1102を有することが好ましい。
【0055】
シールド手段1100またはシールドプラグ1100を収容するために、保護キャップ1000は、その内面1002において、シールド手段1100またはシールドプラグ1100のための受け部を有する。この場合、受け部は、シールド手段1100またはシールドプラグ1100を受け部にラッチ接続および/またはクリップ留めすることが可能なように形成されてよい。受け部の他の構成、およびシールド手段1100またはシールドプラグ1100をレセプタクルに固定するための方法も、当然用いることができる(上記を参照)。
【0056】
保護キャップ1000は、トラフまたは部分的トラフ(上記を参照)の形態であってよく、その内面1002は、少なくとも部分的に自由にアクセス可能である(すなわち保護キャップ1000単独の場合)。この場合、保護キャップ1000が、実質的に軸方向Arに延びる内縁部におけるシール1200を有することが好適である。このシールは、保護キャップ1000をコネクタハウジング100に対して封止するために用いることができる。
【0057】
組み立て済み高電流接続部1が、特に図3図5に示されており、少なくとも1つの電気的高電流ライン20が、少なくとも1つの電気的高電流コネクタ10(上記を参照)に接続される。本例においては、2つの高電流ライン20が単一の高電流コネクタ10に接続され、電磁シールド136が、高電流導体27とのコンタクト手段110の接続領域をシールドする。この場合、高電流コネクタ10の電磁シールド136は、高電流ライン20の電磁シールド28と導電接触する(図3を参照)。この接触は、コンタクト部分21において高電流ライン20の周囲全体に延びることが好ましい。
【符号の説明】
【0058】
0 電気エンティティ
1 組み立て済み(電気的)高電流接続部
10 (電気的)高電流コネクタ
20 (電気的)高電流ライン
21 高電流ライン20の(電気機械的)コンタクト(長手方向端部)部分
27 (電気的)高電流導体
28 (電磁)シールド
29 (電気絶縁性)外部保護層
100 (電気絶縁性)コネクタハウジング
1000 (電気絶縁性)保護キャップ
1002 保護キャップ1000の内面
1100 (電磁)シールド手段、特にシールドプラグ
1102 挿入面取り部
1200 シール
110 (電気的)コンタクト手段
112 (電気的)接続部分
114 貫通切抜き部
116 (電気的)コンタクト部分
120 (機械的)締め付けねじ
122 頭部の電気絶縁体
124 (電気絶縁性)タッチ保護部
130 コンタクト手段110を有する/有しない、場合によりコンタクト部分21を有する/有しないコンタクトデバイス
132 絶縁物体
133 絶縁部品、例えば上側絶縁部品
134 絶縁部品、例えば下側絶縁部品
135 シールド孔
136 (電磁)シールド
137 シールド部品/プレート、例えば上側シールドプレート
138 シールド部品/プレート、例えば下側シールドプレート
139 ばねラグ
G 保護キャップ1000の閉位置
O 保護キャップ1000の開位置
Lr 高電流ライン20の長手方向
Ar 締め付けねじ120等の軸方向
Rr 締め付けねじ120等の径方向
Ur 締め付けねじ120等の周方向
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-10-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動車分野のための、銅またはアルミニウムからなる高電流ライン(20)のための電気的高電流コネクタ(10)であって、
電気絶縁性コネクタハウジング(100)と、少なくとも1つの電磁的にシールド(136)されたコンタクトデバイス(130)と、前記コンタクトデバイス(130)の電気的コンタクト手段(110)を機械的に留め付けるための少なくとも1つの締め付けねじ(120)とを備えた電気的高電流コネクタ(10)において、
前記高電流コネクタ(10)の電気絶縁性保護キャップ(1000)が、コネクタハウジング(100)に設けることが可能であるか、または設けられ、前記コンタクトデバイス(130)の電磁シールド(136)における少なくとも1つのシールド孔(135)が、前記保護キャップ(1000)により電磁的に閉じることが可能である、かつ/または閉じられている
ことを特徴とする電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項2】
前記コンタクトデバイス(130)の前記電磁シールド(136)における前記シールド孔(135)が、前記保護キャップ(1000)自体により、または前記保護キャップ(1000)のシールド手段(1100)により、電磁的に閉じることが可能である、かつ/または閉じられていることを特徴とする、請求項1に記載の電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項3】
記高電流コネクタ(10)の少なくとも1つの前記コンタクトデバイス(130)が、前記コネクタハウジング(100)に収容可能であるか、または収容され
記コンタクトデバイス(130)の前記コンタクト手段(110)が、前記締め付けねじ(120)により高電流相手側コネクタの相手側コンタクト手段に、互いとの電気的接触を形成するために固定可能であり、結果として、前記高電流コネクタ(10)も、前記高電流相手側コネクタに固定可能である
ことを特徴とする、請求項1に記載の電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項4】
前記保護キャップ(1000)が、前記コネクタハウジング(100)とは別個に設けられている保護キャップ(1000)の形態であるか、または前記コネクタハウジング(100)に設けられている保護キャップ(1000)の形態であり、
前記保護キャップ(1000)が、前記コネクタハウジング(100)に差し込み、再び引き抜くことが可能な保護キャップ(1000)の形態であるか、または前記コネクタハウジング(100)に向かって回動し、再び離れるように回動することが可能な保護キャップ(1000)の形態であり、かつ/または、
前記保護キャップ(1000)および前記コネクタハウジング(100)が、前記保護キャップ(1000)を前記コネクタハウジング(100)にラッチ接続することが可能であり、このラッチ接続が固定可能でもあるように、相互に設計されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項5】
前記コンタクトデバイス(130)の前記電磁シールド(136)における前記シールド孔(135)、および、関連する領域における前記保護キャップ(1000)または前記保護キャップ(1000)のシールド手段(1100)が、
前記電磁シールド(136)における凹部の形態であり、凸部が前記保護キャップ(1000、1100)に設けられ、
互いに部分的に相補的である前記高電流コネクタ(10)のシールドの構成要素(135、1100)の形態であり、かつ/または、
各々が楕円形または多角形の断面を有する
ことを特徴とする、請求項1に記載の電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項6】
前記保護キャップ(1000)のシールド手段(1100)が、前記保護キャップ(1000)の内面(1002)から突出するように設計され、または設けられ、
前記シールド孔(135)が、前記コンタクトデバイス(130)および前記電磁シールド(136)の外面に配置され、かつ/または、
前記シールド孔(135)が、内方へと前記電磁シールド(136)に繋がる前記電磁シールド(136)のばねラグ(139)により囲まれている
ことを特徴とする、請求項1に記載の電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項7】
前記保護キャップ(1000)のシールド手段(1100)が、シールドプラグ(1100)の形態であり、
前記保護キャップ(1000)および前記シールドプラグ(1100)が、互いに別個に作製され、
前記シールドプラグ(1100)が、形状嵌め、摩擦嵌めおよび/または力嵌めにより前記保護キャップ(1000)に保持され、かつ/または、
前記シールドプラグ(1100)が、ラッチ接続、クリップ留めおよび/またはアンダーカットにより前記保護キャップ(1000)に保持されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項8】
前記保護キャップ(1000)のシールド手段(1100)が、シールドプラグ(1100)の形態を有し、
前記シールドプラグ(1100)が
なくとも部分的に中空状の円筒の形態であり、
少なくとも1つの端面壁において実質的に閉じており、
その自由端部において、前記シールド孔(135)において中心合わせするための挿入面取り部(1102)を有し、かつ/または、
その取り付けられた端部において、前記保護キャップ(1000)に装着するための周方向ビードを有する
ことを特徴とする、請求項1に記載の電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項9】
前記保護キャップ(1000)が、
上端面において実質的に閉じており、
下端面において実質的に開いており、
前側壁において実質的に閉じており、
後側壁において実質的に開いており、かつ/または、
互いに正反対にある2つの横側壁において実質的に閉じている
ことを特徴とする、請求項1に記載の電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項10】
前記保護キャップ(1000)が、前記コネクタハウジング(100)に接する/前記コネクタハウジング(100)から離れた開位置(O)から、前記コネクタハウジング(100)に接する閉位置(G)に移動可能であり、
それぞれの前記シールド孔(135)を閉じる間、関連する前記保護キャップ(1000)のシールドプラグ(1100)の挿入面取り部(1102)が、この前記シールドプラグ(1100)をそれぞれの前記シールド孔(135)において中心合わせし、
前記閉位置(G)において、それぞれの前記シールド孔(135)における前記電磁シールド(136)のばねラグ(139)が、関連する前記シールドプラグ(1100)の外周に弾性的に載り、かつ/または、
前記閉位置(G)において、前記シールドプラグ(1100)の関連する端面壁が、それぞれの前記シールド孔(135)を実質的に完全に閉じる
ことを特徴とする、請求項1に記載の電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項11】
前記高電流コネクタ(10)が、少なくとも約100A、200A、300A、400A、500A、750A、1kA、または1.25kAの常時電流を対象に設計され、
少なくとも約200V、300V、400V、500V、600V、750V、1kV、1.25kV、1.5kV、1.75kVまたは2kVの電圧を対象に設計され、かつ/または、
V214またはそれに類するものに従って、そのクラスに従った振動要件または重大度2、3および/または4に従った振動要件を満たす
ことを特徴とする、請求項1に記載の電気的高電流コネクタ(10)。
【請求項12】
動車分野のための組み立て済み電気的高電流接続部(1)であって、
前記高電流接続部(1)が、電気的高電流ライン(20)と、請求項1に記載の少なくとも1つの電気的高電流コネクタ(10)とを有する
ことを特徴とする組み立て済み電気的高電流接続部(1)。
【請求項13】
前記コンタクト手段(110)が、その電気的接続部分(112)において電気的高電流ライン(20)の電気的高電流導体(27)を有し、
前記電磁シールド(136)が、前記高電流導体(27)との前記コンタクト手段(110)の接続領域をシールドし、かつ/または、
前記高電流接続部(1)が、厳密に1つまたは厳密に2つの高電流コネクタ(10)を有する
ことを特徴とする、請求項12に記載の組み立て済み電気的高電流接続部(1)。
【請求項14】
前記高電流導体(27)が、電磁的にシールドされた高電流ライン(20)に埋め込まれ、
前記電磁シールド(136)が、前記高電流ライン(20)の電磁シールド(28)と導電接触し、
前記高電流ライン(20)の外部保護層(29)が、前記コネクタハウジング(100)に対して封止され、かつ/または、
前記高電流ライン(20)が、少なくとも1つのラッチ手段により前記コネクタハウジング(100)に固定されている
ことを特徴とする、請求項13に記載の組み立て済み電気的高電流接続部(1)。
【請求項15】
自動車分野のための強電エンティティであって、
前記エンティティが、請求項1から11のいずれか一項に記載の電気的高電流コネクタ(10)、および/または、請求項12から14のいずれか一項に記載の組み立て済み電気的高電流接続部(1)を有する
ことを特徴とする強電エンティティ。
【外国語明細書】