(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028190
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】電気コネクタをパネルに取り付けるためのパネルアダプタ、ならびにそのようなパネルアダプタを有するアダプタアセンブリおよび接続セット
(51)【国際特許分類】
H01R 13/74 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
H01R13/74 K
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023132190
(22)【出願日】2023-08-15
(31)【優先権主張番号】102022000017394
(32)【優先日】2022-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519223712
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ イタリア ディストリビューション エッセ エッルレ エッレ
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】デミス スピンチッチ
(72)【発明者】
【氏名】フルヴィオ アメリオ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】使いやすく、信頼性の高い、電気コネクタをパネルに取り付けるための改良された手段を提供する。
【解決手段】電気コネクタ(2)をパネルに取り付けるためのパネルアダプタ(1)であって、パネルアダプタは、電気コネクタを挿入方向(16)に少なくとも部分的に受け入れるように構成されている少なくとも1つのフレーム開口部(14)と、フレーム開口部を取り囲む支承面(20)とを有するフレーム要素(12)と、支承面に沿って並進方向(32)に可動なスライダ要素(28)を摺動可能に案内する少なくとも1つのガイド構造体(30)とを備え、フレーム開口部はフレーム要素を貫通し、ガイド構造体は支承面に配置され、並進方向は挿入方向に交差して延びる、パネルアダプタによる。さらに、そのようなパネルアダプタを備えるアダプタアセンブリ(8)およびアダプタアセンブリを備える接続セット(10)、ならびにガイド構造体の使用に関する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気コネクタ(2)をパネル(6)に取り付けるためのパネルアダプタ(1)であって、前記パネルアダプタ(1)は、
- 前記電気コネクタ(2)を挿入方向(16)に少なくとも部分的に受け入れるように構成されている少なくとも1つのフレーム開口部(14)と、前記フレーム開口部(14)を取り囲む支承面(20)とを有するフレーム要素(12)と、
- 前記支承面(20)に沿って並進方向(32)に可動なスライダ要素(28)を摺動可能に案内するための少なくとも1つのガイド構造体(30)とを備え、
前記フレーム開口部(14)は前記フレーム要素(12)を前記挿入方向(16)に貫通し、
前記ガイド構造体(30)は前記支承面(20)に配置され、
前記並進方向(32)は前記挿入方向(16)に対して交差して延びる、
パネルアダプタ(1)。
【請求項2】
前記ガイド構造体(30)は、前記支承面(20)から離間した少なくとも1つの摺動面(36、36a、36b)、かつ/または前記支承面(20)の方を向く少なくとも1つの摺動面(36、36a、36b)を含む、
請求項1に記載のパネルアダプタ(1)。
【請求項3】
前記ガイド構造体(30)は前記フレーム要素(12)に一体に接続されている、
請求項1または2に記載のパネルアダプタ(1)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のパネルアダプタ(1)と、
スライダ要素(28)と
を備えるアダプタアセンブリ(8)であって、
前記スライダ要素(28)は、前記ガイド構造体(30)によって、解放位置(44)と固定位置(46)との間で前記並進方向(32)に可動に案内され、前記スライダ要素(28)は、前記固定位置(46)において前記解放位置(44)よりも前記フレーム開口部(14)に近接している、
アダプタアセンブリ(8)。
【請求項5】
前記スライダ要素(28)と前記パネルアダプタ(1)とは、直動滑り軸受(40)を形成する、
請求項4に記載のアダプタアセンブリ(8)。
【請求項6】
前記スライダ要素(28)は、前記ガイド構造体(30)と前記支承面(20)との間に少なくとも部分的に配置されている、
請求項4または5に記載のアダプタアセンブリ(8)。
【請求項7】
前記アダプタアセンブリ(8)は、前記スライダ要素(28)を前記解放位置(44)、前記固定位置(46)、および/または前記解放位置(44)と前記固定位置(46)との間の中間位置(64)に捕捉するための少なくとも1つのラッチ要素(62、68)を備える、
請求項4から6のいずれか一項に記載のアダプタアセンブリ(8)。
【請求項8】
前記アダプタアセンブリ(8)は、互いに離間した少なくとも2つのラッチ要素(62、68)を備える、
請求項7に記載のアダプタアセンブリ(8)。
【請求項9】
前記ラッチ要素(62)は、前記ガイド構造体(30)および/または前記支承面(20)に配置されている、
請求項8に記載のアダプタアセンブリ(8)。
【請求項10】
前記スライダ要素(28)は、前記固定位置(46)において前記フレーム開口部(14)の少なくとも一部分(66)を覆い、前記解放位置(44)において前記覆われた一部分(66)から離れる、
請求項4から9のいずれか一項に記載のアダプタアセンブリ(8)。
【請求項11】
前記スライダ要素(28)は、前記スライダ要素(28)が前記固定位置(46)にあるときに、前記挿入方向(16)において前記フレーム開口部(14)に重なる少なくとも1つのロック部(56)を含む、
請求項4から10のいずれか一項に記載のアダプタアセンブリ(8)。
【請求項12】
前記スライダ要素(28)は、2つのロック部(56)を含み、かつ/または、前記パネルアダプタ(1)は、前記フレーム開口部(14)に関して互いに反対に配置された2つのガイド構造体(30)を含む、
請求項11に記載のアダプタアセンブリ(8)。
【請求項13】
前記スライダ要素(28)は、前記支承面(20)に平行な断面においてU字形である、
請求項4から12のいずれか一項に記載のアダプタアセンブリ(8)。
【請求項14】
請求項4から13のいずれか一項に記載のアダプタアセンブリ(8)と、
前記フレーム開口部(14)に前記挿入方向(16)において少なくとも部分的に挿入されるように構成されている電気コネクタ(2)と
を備える接続セット(10)であって、
前記電気コネクタ(2)は、前記スライダ要素(28)を少なくとも部分的に受け入れるための少なくとも1つの凹部(50)を含み、前記凹部(50)は、前記挿入方向(16)に対して交差して延びる、
接続セット(10)。
【請求項15】
パネル(6)に取り付けられた電気コネクタ(2)をロックするように構成されているスライダ要素(28)を摺動可能に保持するための、前記パネル(6)におけるガイド構造体(30)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気車両または他のタイプの電気システムのパネル取付コネクタなどの電気コネクタをパネルに取り付けるためのパネルアダプタに関する。さらに、本発明は、そのようなパネルアダプタを備えるアダプタアセンブリ、およびそのようなアダプタアセンブリを備える接続セットに関する。
【背景技術】
【0002】
電気モビリティの分野および電気工学に関する他の技術分野において、ケーブルまたはワイヤハーネスの電気コネクタが、互いに離間または隣接しているユニット間に解放可能な導電接続を確立するために使用される。例えば、電動機をインバータに接続する必要があり得、またはインバータがバッテリモジュール等への接続を必要とする。
【0003】
これらのユニットのいくつかは、モジュール設計の一部として、かつ/または、異なる供給業者によって製造されるため、ハウジングまたはシャーシに組み込まれることが多い。したがって、接続すべきユニット間に位置するパネル、仕切壁、またはハウジング壁を介して接続を確立する必要がある。このような場合、電気コネクタは、パネルのカットアウトなどの、ユニットの境界面に取り付けられる。
【0004】
電気コネクタをそれぞれのパネルにしっかりと取り付けるために、サークリップ(circlip)と同様に機能する別個の固定手段を緩く設け、電気コネクタに適切に装着しなければならない。しかしながら、このような既存の解決策では、全体の装着中に、固定手段を正確な向きに位置決めし、位置合わせし、維持しなければならない。この手順は、固定手段が抜けるまたは押し込まれることがあるため、時間がかかり、間違えやすい。
【0005】
したがって、低いエラー率で容易に取り扱うことのできる、電気コネクタをパネルに取り付けるための手段を有することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、使いやすく、しかも信頼性の高い、電気コネクタをパネルに取り付けるための改良された手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、電気コネクタをパネルに取り付けるためのパネルアダプタによって達成される。パネルアダプタは、電気コネクタを挿入方向に少なくとも部分的に受け入れるように構成されている少なくとも1つのフレーム開口部と、フレーム開口部を取り囲む支承面とを有するフレーム要素と、支承面に沿って並進方向に可動なスライダ要素を摺動可能に案内するための少なくとも1つのガイド構造体とを備える。フレーム開口部はフレーム要素を挿入方向に貫通し、ガイド構造体は支承面に配置され、並進方向は挿入方向に対して交差して延びる。
【0008】
さらに後述するように、上記のスライダ要素は、電気コネクタをパネルアダプタにしっかりと取り付けるのに適した任意の種類の固定手段であってよく、パネルアダプタは、パネルに取り付けることができることを理解されたい。スライダ要素を案内する並進方向が挿入方向に対して交差して延びることにより、電気コネクタがフレーム開口部に受け入れられると、スライダ要素を使用して、電気コネクタが挿入方向に対して外れることを防ぐことができる。スライダ要素の具体的な実施形態については、さらに詳細に後述する。
【0009】
上記のパネルアダプタの機能は、主にガイド構造体を設けることにより効果を有する。第1に、ガイド構造体は、スライダ要素の開始位置の正確な位置および位置合わせを見つけるための補助として機能することができる。第2に、スライダ要素は、最終位置へのガイド構造体の案内により、支承面に沿って摺動することができる。すなわち、ガイド構造体は、スライダ要素の正確な位置決めおよび位置合わせを容易にするだけでなく、装着中にスライダ要素の正しい向きを維持することも助ける。したがって、ガイド構造体は、スライダ要素が抜けるまたは押し込まれる危険性を低下させることによって、信頼性も高める。
【0010】
上記の解決策を、以下の任意選択の機構のうちの1つまたは複数を追加することによって、さらに改良することができる。任意選択の各機構は、それ自体が有利であり、他の任意選択の機構と独立して組み合わせることができる。
【0011】
パネルアダプタの1つの可能な実施形態によれば、フレーム開口部を、支承面によって完全に取り囲まれた、周方向に閉じた貫通開口部として構成することができる。これにより、構造的安定性の高いフレーム要素が得られる。
【0012】
あるいは、支承面は、フレーム開口部の周囲部、例えば、フレーム開口部の周囲の75%未満のみを取り囲むことができる。すなわち、フレーム開口部は、周方向に閉じる代わりに、横方向に開いていてもよい。本実施形態は、材料およびコストの節約になる。
【0013】
最小の装着空間を必要とする実施形態によれば、支承面を、フレーム要素の平坦面、特に挿入方向に垂直に延びる平坦面によって形成することができる。フレーム要素は、互いに反対に配置された略板状の2つの平坦面を有することができることが好ましい。すなわち、フレーム要素とパネルとの重なりまたは少なくともぴったりとした適合を実現するために、挿入方向に平行に測定されたフレーム要素の高さは、挿入方向に垂直に測定されたフレーム要素の長さおよび幅の数分の1であってよい。
【0014】
別の実施形態によれば、支承面は、湾曲していても、波状であっても、パネルの形状に合わせて調節されたフレーム要素により形成された凹凸のある外形を有していてもよい。本実施形態は、平坦でないパネルと組み合わせて使用することができるため、適用範囲が広い。
【0015】
前述したように、パネルアダプタを、パネル、特にパネルのカットアウトに取り付けることができる。このために、フレーム要素を、パネルに溶接、はんだ付け、接着、または他の方法で固定することができる。したがって、カットアウトの内側輪郭が、フレーム要素の外側輪郭よりも小さいか、それに等しい。
【0016】
あるいは、パネルアダプタは、フレーム要素をパネルに固定するための手段を備えることができる。例えば、フレーム要素は、ねじまたはボルトなどの締結要素を通す少なくとも1つのアイレット、好ましくは複数のアイレットを含むことができる。さらに別の実施形態において、フレーム要素は、パネルの一体部分であってよい。すなわち、パネルとフレーム要素とを、例えば、圧延、鍛造、延伸、打抜きなどによって、単一部品として製造することができる。
【0017】
パネルは、パネルアダプタによって電気コネクタを取り付ける、一般的なパネル、仕切壁、ハウジング壁、またはシャーシの一部であってよい。フレーム開口部は、パネルのカットアウトより小さくてよい。代替実施形態によれば、フレーム開口部は、カットアウトに一致するか、それより大きくてもよい。したがって、パネルアダプタを、様々なサイズのカットアウトに使用することができる。
【0018】
製造が容易な実施形態によれば、ガイド構造体を、フレーム要素に一体に接続することができる。すなわち、ガイド構造体とフレーム要素とは、例えば、射出成形、付加製造などによって形成された単一部品であってよい。あるいは、ガイド構造体を、別個の部品として設けて、フレーム要素に、またはパネルに直接、ねじ留め、ボルト締め、溶接、はんだ付け、接着などによって固定することができる。本代替実施形態は、ガイド構造体およびフレーム要素の材料を選択するときの柔軟性を高める。特に、適用の要件に従って、異なる材料をガイド構造体およびフレーム要素に使用することができる。
【0019】
1つの可能な実施形態によれば、ガイド構造体は、挿入方向に対して交差して(横切って)、好ましくは挿入方向に垂直に延びることができる。特に、ガイド構造体は、スライダ要素を並進方向に案内するために、並進方向に平行に延びることができる。特に、ガイド構造体は、フレーム開口部に隣接して位置し、少なくとも部分的にフレーム開口部を越えて延びることができる。すなわち、ガイド構造体の一部が、並進方向に垂直な方向に関して、フレーム開口部に隣接して延びることができる。
【0020】
安定性の高い実施形態によれば、パネルアダプタは、フレーム開口部に関して互いに反対に配置された2つのガイド構造体を備えることができる。さらに、2つのガイド構造体は、1つのガイド構造体が折れて取れた場合に、確実な冗長性をもたらす。特に、2つのガイド構造体は、相互に鏡面反転していてよい。
【0021】
スライダ要素を案内するために、各ガイド構造体は、少なくとも1つの摺動面、好ましくは複数の摺動面を含むことができる。例えば、第1の摺動面は、ある角度、好ましくは90°の角度で支承面に接することができる。さらに、第1の摺動面は、2つのガイド構造体において相互に平行に延びることができる。第2の摺動面は、支承面から離間していてもよい。さらに、第2の摺動面は、支承面の方を向いていてもよい。第2の摺動面が、支承面に平行に延びることが好ましい。第1の摺動面および第2の摺動面はそれぞれ、並進方向に延びることができる。
【0022】
最初の目的は、上記の実施形態のうちのいずれか1つによるパネルアダプタと、スライダ要素とを備えるアダプタアセンブリであって、スライダ要素は、ガイド構造体によって、解放位置と固定位置との間で並進方向に可動に案内され、スライダ要素は、固定位置において解放位置よりもフレーム開口部に近接している、アダプタアセンブリによってさらに達成される。
【0023】
このアダプタアセンブリは、パネルアダプタの上記の機構および利点を採用しているため有利である。さらに、フレーム開口部に対する可動性により、スライダ要素を使用して、フレーム開口部に受け入れられた電気コネクタを選択的に固定および解放することができる。
【0024】
スライダ要素を、2つのガイド構造体間、特に第1の摺動面間に少なくとも部分的に配置することができる。さらに、第1の摺動面と支承面とは一緒に、スライダ要素のためのガイド溝を画定することができる。それにより、スライダ要素とパネルアダプタとは、スライダ要素がパネルアダプタによって案内される直動滑り軸受(linear plain bearing)を形成することができる。本実施形態において、スライダ要素の確実な案内が実現される。
【0025】
さらに、第2の摺動面は、第1の摺動面および支承面とともに、スライダ要素のためのダクトを画定することができる。スライダ要素を、ガイド構造体とフレーム要素との間、特に第2の摺動面と支承面との間に少なくとも部分的に配置することができる。それにより、スライダ要素をパネルアダプタによって係留することができ、アダプタアセンブリの取扱いがさらに容易になる。
【0026】
簡単な取扱いを実現するために、アダプタアセンブリは、スライダ要素を解放位置に捕捉するための少なくとも1つのラッチ要素を備えることができる。あるいはまたは加えて、ラッチ要素は、スライダ要素を固定位置に捕捉するように構成されてもよい。さらなる代替実施形態または追加の実施形態によれば、ラッチ要素は、スライダ要素を解放位置と固定位置との間の中間位置に捕捉するように構成されてもよい。中間位置の利点については、さらに後述する。
【0027】
場合により、アダプタアセンブリは、スライダ要素を解放位置、固定位置、および/または中間位置のそれぞれに捕捉するために、互いに離間した少なくとも2つのラッチ要素を備えることができる。本実施形態は、スライダ要素を複数の異なる位置に捕捉することにより、機能を向上させている。
【0028】
ラッチ要素を、パネルアダプタおよび/またはスライダ要素に配置することができる。したがって、ラッチ要素をそれぞれ、スライダ要素またはパネルアダプタのそれぞれの相補ラッチ要素に係合するように構成することができる。スライダ要素のラッチ要素を、電気コネクタの相補ラッチ要素に係合するように構成することもできる。
【0029】
パネルアダプタのラッチ要素を、フレーム要素および/またはガイド構造体に配置することができる。視認性の向上のために、ラッチ要素を支承面に配置することができる。例えば、ラッチ要素はラッチカムであってよく、ラッチカムは、支承面において突出し、スライダ要素のためのラッチ切欠きを一緒に形成する。
【0030】
あるいはまたは加えて、ラッチ要素はそれぞれ、それぞれのガイド構造体によって形成された可撓性のラッチプロングであってよい。特に、各ラッチプロングは、第1の摺動面または第2の摺動面の一部を形成することができる。これにより、空間の節約となる実施形態が得られる。
【0031】
エラー防止の目的で、スライダ要素は、固定位置においてフレーム開口部の少なくとも一部を覆うことができ、解放位置において前記覆われた部分から離れることができる。特に、スライダ要素が解放位置にない限り、スライダ要素は、フレーム開口部への電気コネクタの挿入を阻止することができる。このために、スライダ要素は、スライダ要素が固定位置にあるときに、挿入方向においてフレーム開口部に重なる少なくとも1つのロック部を含むことができる。これにより、不注意による電気コネクタの挿入を防ぎ、したがってポカヨケ機能を果たすことができる。
【0032】
場合により、スライダ要素は、中間位置においてフレーム開口部をまだ部分的に覆っていてもよい。アダプタアセンブリの輸送中に、中間位置を使用することができる。解放位置と固定位置との間にある中間位置で、スライダ要素は、固定位置にある場合よりも解放位置に近接しているが、フレーム開口部への電気コネクタの挿入を依然として阻止する。したがって、アダプタアセンブリがその装着ポイントに到達すると、上記のポカヨケ機能が有効になり、少ない労力で動作停止させることができる。
【0033】
最初の目的は、上記実施形態のうちのいずれか1つによるアダプタアセンブリと、電気コネクタとを備える接続セットによっても達成される。電気コネクタは、特に、フレーム開口部に挿入方向に少なくとも部分的に挿入されるように構成されているパネル取付コネクタであってよい。パネル取付コネクタは、スライダ要素を少なくとも部分的に受け入れるための少なくとも1つの凹部を含むことができ、凹部は、挿入方向に対して交差して延びる。凹部は、並進方向に平行に延びることが好ましい。
【0034】
接続セットは、アダプタアセンブリ、特にパネルアダプタの上記の機能および利点により効果を有する。フレーム開口部に対する可動性により、固定位置におけるスライダ要素は、解放位置におけるスライダ要素よりも、フレーム開口部に挿入されたパネル取付コネクタに近接している。さらに、スライダ要素は、挿入方向に作用する形状嵌合でパネル取付コネクタに係合するように構成されてもよい。特に、スライダ要素を、スライダ要素が固定位置にあるときに、凹部に前記形状嵌合で係合するように構成することができる。したがって、パネル取付コネクタを、スライダ要素によってパネルアダプタに選択的に固定することができる。
【0035】
製造が容易な実施形態によれば、凹部を、挿入方向に対して交差して(横切って)に、好ましくは挿入方向に垂直に延びる溝またはスロットとして設計することができる。パネル取付コネクタがフレーム開口部に受け入れられたときに、スロットがガイド溝および/またはダクトに平行に延びることができることがより好ましい。パネル取付コネクタがフレーム開口部に受け入れられたときに、スロットがガイド溝および/またはダクトの伸長部を形成することがより好ましい。
【0036】
スライダ要素のロック部を、スロットに相補的に形成することができる。安定性の向上のために、スライダ要素は、フレーム開口部に関して互いに反対に配置された2つのロック部を含むことができる。特に、スライダ要素は、支承面に平行な断面においてU字形であってよく、2つのロック部は相互に鏡面反転している。
【0037】
したがって、パネル取付コネクタは、各ロック部のための2つのスロットを含むことができる。さらに、固定位置におけるスライダ要素は、フレーム開口部に挿入されたパネル取付コネクタを取り囲むことができ、2つのロック部は、2つのスロットにおいてパネル取付コネクタに形状嵌合で係合する。
【0038】
より簡単な設計を有する代替実施形態によれば、スライダ要素は、1つのロック部のみを有して略直線状であってよい。さらに、本実施形態において、スライダ要素を、ガイド構造体によって係留および案内されるスライドボルト方式で構成することができる。
【0039】
場合により、パネル取付コネクタは、スロットから離間したフランジを含むことができる。特に、フランジとスロットとの間の距離は、挿入方向に測定されたフレーム要素の高さに等しいか、それよりも大きくてよい。言い換えると、フレーム要素は、フランジとスロットとの間の空間に嵌入する。フランジは、フレーム開口部へのパネル取付コネクタの挿入深さを制限する止め部として作用することができる。
【0040】
場合により、パネル取付コネクタは、フランジとスロットとの間に位置するシールリングをさらに含むことができる。シールリングは、フランジに着座され、スロットから離間することができる。特に、シールリングとスロットとの間の距離は、挿入方向に測定されたフレーム要素の高さに等しいか、それよりも小さくてよい。すなわち、シールリングがフレーム要素に当接し、必要に応じて、フランジとフレーム要素との間で圧縮された場合のみ、フレーム要素はシールリングとスロットとの間の空間に嵌入する。
【0041】
スライダ要素およびガイド構造体との干渉を防ぐために、フランジおよび/またはシールリングは、ガイド構造体の反対側で、フレーム要素に当接することができる。これにより、フレーム要素をフランジとスライダ要素との間に挟んで、形状嵌合を実現することもできる。スライダ要素がガイド構造体によって係留される場合、パネル取付コネクタからフランジを省くことができる。
【0042】
適用範囲の広い実施形態によれば、フレーム要素は、1つのパネル取付コネクタをそれぞれ受け入れる複数のフレーム開口部を含むことができる。さらに、パネルアダプタは、フレーム開口部ごとに1つ、好ましくは2つのガイド構造体を備えることができる。したがって、アダプタアセンブリは、複数のスライダ要素、好ましくはフレーム開口部ごとに1つのスライダ要素を備えることができる。あるいは、いくつかのフレーム開口部を単一のスライダ要素に割り当てることができる。さらに、接続セットは、複数のパネル取付コネクタ、好ましくはフレーム開口部ごとに1つのパネル取付コネクタを備えることができる。
【0043】
別の可能な実施形態によれば、フレーム要素を、ヘッダコネクタのハウジングによって形成することができる。言い換えると、パネルアダプタは、ヘッダコネクタの一体部分であってよい。これにより、パネルアダプタの製造業者が自身の所有するコネクタを組み込むことができ、第三者の供給業者のコネクタを含む可能性も作り出すことができる。
【0044】
最初の目的は、パネルに取り付けられた電気コネクタをロックするように構成されているスライダ要素を摺動可能に保持するための、パネルにおけるガイド構造体の使用によって達成される。特に、スライダ要素を、上記の実施形態のうちのいずれか1つによって構成することができる。ガイド構造体を、上記の実施形態によるパネルアダプタの一部として設けることができる。あるいは、ガイド構造体を、パネル自体の一部として設けることができる。
【0045】
これにより、任意の種類のパネルに取り付けられた任意の種類の電気コネクタをロックするために使用されるほぼ(virtually)すべてのスライダ要素を案内することができ有利である。したがって、本発明による使用は、広い適用範囲を示す。
【0046】
以下で、図面を参照しながら、本発明の例示的な実施形態について説明する。図示し記載する実施形態は、説明のためのものに過ぎない。実施形態に示す機構の組合せを、前述の説明に従って変更することができる。例えば、実施形態には示さないが前述した機構に関連する技術的効果が特定の適用に有利であれば、その機構を追加することができる。逆に、実施形態の一部として示される機構に関連する技術的効果が特定の適用に不要であれば、前述したようにその機構を省略することができる。
【0047】
図中、機能および/または構造に関して互いに対応する要素は、同じ参照数字で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本開示の1つの可能な実施形態によるパネルアダプタの概略斜視図である。
【
図2】本開示の1つの可能な実施形態によるアダプタアセンブリの概略側面図である。
【
図3】本開示の1つの可能な実施形態による接続セットの概略分解図である。
【
図4】
図3に示す実施形態による接続セットの概略斜視図である。
【
図5】
図3に示す実施形態による接続セットの別の概略斜視図である。
【
図6】本開示の別の可能な実施形態によるアダプタアセンブリの概略上面図である。
【
図7】本開示の別の可能な実施形態によるパネルアダプタの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下で、
図1~
図7に示す例示的な実施形態を参照しながら、電気車両(図示せず)のパネル取付コネクタ4などの電気コネクタ2をパネル6に取り付けるためのパネルアダプタ1の可能な実施形態の構造について説明する。さらに、
図2~
図6は、本発明によるアダプタアセンブリ8および接続セット10の構造を説明するために使用される。
【0050】
図1は、パネルアダプタ1の1つの可能な実施形態の斜視図である。パネルアダプタ1は、少なくとも1つのフレーム開口部14を有するフレーム要素12を備え、フレーム開口部14は、電気コネクタ2を挿入方向16に少なくとも部分的に受け入れるように構成されている(
図4参照)。図示の実施形態において、フレーム要素12が有する1つのフレーム開口部14は、電気コネクタ2の外側輪郭に相補的な内側輪郭を有する、周方向に閉じた貫通開口部18として構成されている。特に、フレーム開口部14は、フレーム要素12を挿入方向16に貫通する。
【0051】
フレーム要素12の支承面20は、フレーム開口部14を完全に取り囲む。支承面20は、フレーム要素12の平坦面22によって形成され、挿入方向16に垂直に延びることができる。図示しない別の実施形態によれば、支承面20は、湾曲していても、波状であっても、平坦でないパネル(図示せず)の形状に合わせて調節されたフレーム要素12により形成された凹凸のある外形を有していてもよい。さらに、支承面20は、フレーム開口部14の周囲部、例えば、フレーム開口部14の周囲の75%未満のみを取り囲むことができる。すなわち、フレーム開口部14は、周方向に閉じる代わりに、横方向に開いていてもよい。
【0052】
図1に見られるように、フレーム要素12は、互いに反対に配置された2つの平坦面22を有する略板状であってよい。すなわち、挿入方向16に平行に測定されたフレーム要素12の高さは、挿入方向16に垂直に測定されたフレーム要素12の長さおよび幅の数分の1であってよい。
【0053】
図1で、パネルアダプタ1は、パネル6に取り付けられ、特に、パネル6のカットアウト24上に取り付けられているように図示されている。このために、フレーム要素12を、パネル6に溶接、はんだ付け、接着、または他の方法で固定することができる。
図7に示す別の可能な実施形態によれば、パネルアダプタ1は、フレーム要素12をパネル6に固定するための手段を備えることができる。例えば、フレーム要素12は、ねじまたはボルトなどの締結要素(図示せず)を通す少なくとも1つのアイレット26、好ましくは複数のアイレット26を含むことができる。図示しないさらに別の実施形態において、フレーム要素12は、パネル6の一体部分であってよい。すなわち、パネル6とフレーム要素12とを、例えば、圧延、鍛造、延伸、打抜きなどによって、単一部品として製造することができる。
【0054】
パネル6は、パネルアダプタ1およびスライダ要素28(
図2~
図6参照)によって電気コネクタ2を取り付ける、一般的なパネル、仕切壁、ハウジング壁、またはシャーシの一部であってよい。
図1で、パネル6のカットアウト24は、フレーム開口部14よりも大きい。図示しない代替実施形態によれば、カットアウト24は、フレーム開口部14に一致するか、それより小さくてもよい。カットアウト24の内側輪郭が、フレーム要素12の外側輪郭よりも小さいか、それに等しいことが好ましい。
【0055】
スライダ要素を摺動可能に案内するための少なくとも1つのガイド構造体30が、フレーム要素12の支承面20に配置されている。ガイド構造体30を、フレーム要素12に一体に接続することができる。すなわち、ガイド構造体30とフレーム要素12とは、例えば、射出成形、付加製造などによって形成された単一部品であってよい。あるいは、ガイド構造体30を、別個の部品として設けて、フレーム要素12に、またはパネル6に直接、ねじ留め、ボルト締め、溶接、はんだ付け、接着などによって固定することができる。
【0056】
ガイド構造体30は、支承面20に沿って並進方向32に可動なスライダ要素28のガイドとして機能する。特に、ガイド構造体30は、挿入方向16に対して交差して(横切って)、好ましくは挿入方向16に垂直かつ並進方向32に平行に延びる。詳細には、ガイド構造体30は、フレーム開口部14に隣接して位置し、少なくとも部分的にフレーム開口部14を越えて延びることができる。
【0057】
図1に示す例示的な実施形態において、ガイド構造体30は、支承面20において並進方向32に延びるレール34として設計されている。さらに、
図1に示す例示的な実施形態において、パネルアダプタ1は、フレーム開口部14に関して互いに反対に配置された2つのガイド構造体30を備える。特に、2つのガイド構造体30は、相互に鏡面反転している。
【0058】
スライダ要素28を案内するために、各ガイド構造体30は、少なくとも1つの摺動面36、好ましくは複数の摺動面36a、36bを含むことができる。第1の摺動面36aは、ある角度、好ましくは90°の角度で支承面20に接することができる。さらに、第1の摺動面36aは、2つのガイド構造体30において相互に平行に延びることができる。スライダ要素28を、2つのガイド構造体30間、特に第1の摺動面36a間に少なくとも部分的に配置することができる。さらに、第1の摺動面36aと支承面20とは一緒に、スライダ要素28のためのガイド溝38(
図2参照)を画定することができる。それにより、スライダ要素28とパネルアダプタ1とは、スライダ要素28がパネルアダプタ1によって案内される直動滑り軸受40を形成することができる。
【0059】
他方、第2の摺動面36bは、支承面20から離間していてもよい。さらに、第2の摺動面36bは、支承面20の方を向いていてもよい。第2の摺動面36bが、支承面20に平行に延び、第1の摺動面36aおよび支承面20とともに、スライダ要素28のためのダクト42(
図2参照)を画定することが好ましい。スライダ要素28を、ガイド構造体30とフレーム要素12との間、特に第2の摺動面36bと支承面20との間に少なくとも部分的に配置することができる。それにより、スライダ要素28をパネルアダプタ1によって係留することができる。
【0060】
図2~
図5に、アダプタアセンブリ8の可能な実施形態が示されている。アダプタアセンブリ8は、上記の実施形態のうちのいずれか1つによるパネルアダプタ1と、スライダ要素28とを備える。前述したように、スライダ要素28は、ガイド構造体30によって、解放位置44(
図4参照)と固定位置46(
図5参照)との間で可動に案内される。解放位置44におけるスライダ要素28と比較して、固定位置46におけるスライダ要素28は、フレーム開口部14に近接している。
【0061】
図3は、本開示の1つの可能な実施形態による接続セット10の分解斜視図をさらに示す。接続セット10は、アダプタアセンブリ8と電気コネクタ2とを備える。電気コネクタ2は、フレーム開口部14に少なくとも部分的に挿入されるように構成されているパネル取付コネクタ4であってよい(
図4参照)。したがって、固定位置46におけるスライダ要素28は、解放位置44におけるスライダ要素28よりも、フレーム開口部14に挿入されたパネル取付コネクタ4に近接している。
【0062】
パネル取付コネクタ4は、スライダ要素28を少なくとも部分的に受け入れるための少なくとも1つの凹部50を含むことができる。特に、凹部50を、スライダ要素28が固定位置46にあるときに、スライダ要素28に係合するように構成することができる。凹部50を、挿入方向16に対して交差して(横切って)、好ましくは挿入方向16に垂直に延びる溝52またはスロット54として設計することができる。パネル取付コネクタ4がフレーム開口部14に受け入れられたときに、スロット54がガイド溝38およびダクト42に平行に延びることがより好ましい。パネル取付コネクタ4がフレーム開口部14に受け入れられたときに、スロット54がガイド溝38およびダクト42の伸長部を形成することが最も好ましい。
【0063】
図3および
図4に見られるように、スライダ要素28は、好ましくはスロット54に相補的に形成された少なくとも1つのロック部56を含むことができる。スライダ要素28が固定位置46にあるときに、ロック部56はフレーム開口部14に重なることができる。特に、スライダ要素28が固定位置46にあるときに、ロック部56とフレーム開口部14とは、挿入方向16に互いに重なることができる。
【0064】
パネル取付コネクタ4は、スロット54から離間したフランジ58を含むことができる。特に、フランジ58とスロット54との距離は、挿入方向16に測定されたフレーム要素12の高さに等しいか、それよりも大きくてよい。言い換えると、フレーム要素12は、フランジ58とスロット54との間の空間に嵌入する。
【0065】
場合により、パネル取付コネクタ4は、フランジ58とスロット54との間に位置するシールリング60をさらに含むことができる。シールリング60は、フランジ58に着座され、スロット54から離間することができる。特に、シールリング60とスロット54との間の距離は、挿入方向16に測定されたフレーム要素12の高さに等しいか、それよりも小さくてよい。すなわち、シールリング60がフレーム要素12に当接し、必要に応じて、フランジ58とフレーム要素12との間で圧縮された場合のみ、フレーム要素12はシールリング60とスロット54との間の空間に嵌入する。
【0066】
図示の実施形態において、スライダ要素28は、フレーム開口部14に関して互いに反対に配置された2つのロック部56を含む(
図6参照)。したがって、パネル取付コネクタ4は、各ロック部56のための2つのスロット54を含む。
図5に見られるように、固定位置46におけるスライダ要素28は、フレーム開口部14に挿入されたパネル取付コネクタ4を取り囲むことができ、2つのロック部56は、2つのスロット54においてパネル取付コネクタ4に形状嵌合で係合する。このために、スライダ要素28は、支承面20に平行な断面においてU字形である。しかしながら、スライダ要素28は、略直線状であってもよく、ガイド構造体30によって係留および案内されるスライドボルト方式で構成されてもよい。
【0067】
アダプタアセンブリ8は、スライダ要素28を解放位置44に捕捉するための少なくとも1つのラッチ要素62を備えることができる。あるいは、ラッチ要素62は、スライダ要素28を固定位置46に捕捉するように構成されてもよい。さらにあるいは、ラッチ要素62は、スライダ要素28を解放位置44と固定位置46との間の中間位置64に捕捉するように構成されてもよい(
図6参照)。
【0068】
図6の左上に見られるように、固定位置におけるスライダ要素28は、フレーム開口部14の少なくとも一部分66を覆う。中間位置64において、スライダ要素28は、フレーム開口部14をまだ部分的に覆っている(
図6の左下および右下参照)。解放位置44にあるときに、スライダ要素28は、フレーム開口部、特に前に覆われた部分66から離れる(
図6の右上参照)。
【0069】
ラッチ要素62を、パネルアダプタ1またはスライダ要素28に配置することができる。したがって、ラッチ要素62を、スライダ要素28またはパネルアダプタ1のそれぞれの相補ラッチ要素68に係合するように構成することができる。加えてまたはあるいは、スライダ要素28のラッチ要素68を、パネル取付コネクタ4の相補ラッチ要素70に係合するように構成することができる(
図5参照)。
【0070】
パネルアダプタ1のラッチ要素62を、フレーム要素12またはガイド構造体30に配置することができる。特に、ラッチ要素62は、支承面20において突出するラッチカム72であってよく、スライダ要素28はラッチ切欠き(図示せず)を含む。場合により、2つのラッチカム72が設けられ、スライダ要素28のためのラッチ切欠き74を一緒に形成することができる。この場合、スライダ要素28自体はラッチ切欠きを必要としない。
【0071】
あるいはまたは加えて、ラッチ要素62は、それぞれのガイド構造体30によって形成された可撓性のラッチプロング76であってよい。場合により、各ラッチプロング76は、第1の摺動面36aまたは第2の摺動面36bの一部を形成することができる。さらに、各ラッチプロング76は、スライダ要素28に係合するためのフック(図示せず)を自由端に含むことができる。
【0072】
場合により、アダプタアセンブリ8は、スライダ要素を解放位置44、固定位置46、および/または中間位置64のそれぞれに捕捉するために、互いに離間した2つ以上のラッチ要素62を備えることができる。
【0073】
さらに場合により、フレーム要素12は、1つの電気コネクタ2をそれぞれ受け入れるための複数のフレーム開口部14を含むことができる(
図6および
図7参照)。したがって、アダプタアセンブリ8は、複数のスライダ要素28、好ましくは、
図6に示すように、フレーム開口部14ごとに1つのスライダ要素28を備えることができる。さらに、接続セット10は、複数のパネル取付コネクタ4、好ましくはフレーム開口部14ごとに1つのパネル取付コネクタ4を備えることができる。
【0074】
図7に見られるように、フレーム要素12を、ヘッダコネクタ80のハウジング78によって形成することができる。言い換えると、パネルアダプタ1は、ヘッダコネクタ80の一体部分であってよい。
【符号の説明】
【0075】
1 パネルアダプタ
2 電気コネクタ
4 パネル取付コネクタ
6 パネル
8 アダプタアセンブリ
10 接続セット
12 フレーム要素
14 フレーム開口部
16 挿入方向
18 貫通開口部
20 支承面
22 平坦面
24 カットアウト
26 アイレット
28 スライダ要素
30 ガイド構造
32 並進方向
34 レール
36、36a、36b 摺動面
38 ガイド溝
40 直動滑り軸受
42 ダクト
44 解放位置
46 固定位置
50 凹部
52 溝
54 スロット
56 ロック部
58 フランジ
60 シールリング
62 ラッチ要素
64 中間位置
66 部分
68 相補ラッチ要素
70 相補ラッチ要素
72 ラッチカム
74 ラッチ切欠き
76 ラッチプロング
78 ハウジング
80 ヘッダコネクタ
【手続補正書】
【提出日】2023-10-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気コネクタ(2)をパネル(6)に取り付けるためのパネルアダプタ(1)であって、前記パネルアダプタ(1)は、
- 前記電気コネクタ(2)を挿入方向(16)に少なくとも部分的に受け入れるように構成されている少なくとも1つのフレーム開口部(14)と、前記フレーム開口部(14)を取り囲む支承面(20)とを有するフレーム要素(12)と、
- 前記支承面(20)に沿って並進方向(32)に可動なスライダ要素(28)を摺動可能に案内するための少なくとも1つのガイド構造体(30)とを備え、
前記フレーム開口部(14)は前記フレーム要素(12)を前記挿入方向(16)に貫通し、
前記ガイド構造体(30)は前記支承面(20)に配置され、
前記並進方向(32)は前記挿入方向(16)に対して交差して延びる、
パネルアダプタ(1)。
【請求項2】
前記ガイド構造体(30)は、前記支承面(20)から離間した少なくとも1つの摺動面(36、36a、36b)、かつ/または前記支承面(20)の方を向く少なくとも1つの摺動面(36、36a、36b)を含む、
請求項1に記載のパネルアダプタ(1)。
【請求項3】
前記ガイド構造体(30)は前記フレーム要素(12)に一体に接続されている、
請求項1に記載のパネルアダプタ(1)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のパネルアダプタ(1)と、
スライダ要素(28)と
を備えるアダプタアセンブリ(8)であって、
前記スライダ要素(28)は、前記ガイド構造体(30)によって、解放位置(44)と固定位置(46)との間で前記並進方向(32)に可動に案内され、前記スライダ要素(28)は、前記固定位置(46)において前記解放位置(44)よりも前記フレーム開口部(14)に近接している、
アダプタアセンブリ(8)。
【請求項5】
前記スライダ要素(28)と前記パネルアダプタ(1)とは、直動滑り軸受(40)を形成する、
請求項4に記載のアダプタアセンブリ(8)。
【請求項6】
前記スライダ要素(28)は、前記ガイド構造体(30)と前記支承面(20)との間に少なくとも部分的に配置されている、
請求項4に記載のアダプタアセンブリ(8)。
【請求項7】
前記アダプタアセンブリ(8)は、前記スライダ要素(28)を前記解放位置(44)、前記固定位置(46)、および/または前記解放位置(44)と前記固定位置(46)との間の中間位置(64)に捕捉するための少なくとも1つのラッチ要素(62、68)を備える、
請求項4に記載のアダプタアセンブリ(8)。
【請求項8】
前記アダプタアセンブリ(8)は、互いに離間した少なくとも2つのラッチ要素(62、68)を備える、
請求項7に記載のアダプタアセンブリ(8)。
【請求項9】
前記ラッチ要素(62)は、前記ガイド構造体(30)および/または前記支承面(20)に配置されている、
請求項8に記載のアダプタアセンブリ(8)。
【請求項10】
前記スライダ要素(28)は、前記固定位置(46)において前記フレーム開口部(14)の少なくとも一部分(66)を覆い、前記解放位置(44)において前記覆われた一部分(66)から離れる、
請求項4に記載のアダプタアセンブリ(8)。
【請求項11】
前記スライダ要素(28)は、前記スライダ要素(28)が前記固定位置(46)にあるときに、前記挿入方向(16)において前記フレーム開口部(14)に重なる少なくとも1つのロック部(56)を含む、
請求項4に記載のアダプタアセンブリ(8)。
【請求項12】
前記スライダ要素(28)は、2つのロック部(56)を含み、かつ/または、前記パネルアダプタ(1)は、前記フレーム開口部(14)に関して互いに反対に配置された2つのガイド構造体(30)を含む、
請求項11に記載のアダプタアセンブリ(8)。
【請求項13】
前記スライダ要素(28)は、前記支承面(20)に平行な断面においてU字形である、
請求項4に記載のアダプタアセンブリ(8)。
【請求項14】
請求項4に記載のアダプタアセンブリ(8)と、
前記フレーム開口部(14)に前記挿入方向(16)において少なくとも部分的に挿入されるように構成されている電気コネクタ(2)と
を備える接続セット(10)であって、
前記電気コネクタ(2)は、前記スライダ要素(28)を少なくとも部分的に受け入れるための少なくとも1つの凹部(50)を含み、前記凹部(50)は、前記挿入方向(16)に対して交差して延びる、
接続セット(10)。
【請求項15】
パネル(6)に取り付けられた電気コネクタ(2)をロックするように構成されているスライダ要素(28)を摺動可能に保持するための、前記パネル(6)におけるガイド構造体(30)の使用。
【外国語明細書】