(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028195
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】心臓年齢を予測する方法
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20240222BHJP
G06N 3/045 20230101ALI20240222BHJP
G06N 20/20 20190101ALI20240222BHJP
G16H 50/20 20180101ALI20240222BHJP
【FI】
G16H50/30
G06N3/045
G06N20/20
G16H50/20
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132437
(22)【出願日】2023-08-16
(31)【優先権主張番号】10-2022-0103387
(32)【優先日】2022-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520047532
【氏名又は名称】ビュノ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VUNO, INC.
【住所又は居所原語表記】9F, 479, Gangnam-daero, Seocho-gu, Seoul 06541 REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュ ソンフン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ミネオク
(72)【発明者】
【氏名】キム キョングン
(72)【発明者】
【氏名】イ ソンジェ
(72)【発明者】
【氏名】ナ ヨンヨン
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA00
(57)【要約】
【課題】心臓年齢を予測する方法を提供する。
【解決手段】
本開示の一実施例に基づき、事前学習された神経回路網モデルを活用し、心臓年齢を推定する方法が開示される。具体的に、本開示によると、コンピューティング装置が、ユーザーの生体信号データを取得し、事前学習された神経回路網モデルを活用し、上記ユーザーの生体信号データを基に、上記ユーザーの心臓年齢を推定するが、上記事前学習された神経回路網モデルは、心臓疾患に係る情報を基に事前学習された神経回路網モデルに対応する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓年齢を推定するためにコンピューティング装置により実行される方法であって、
ユーザーの生体信号データを取得する段階;及び
事前学習された神経回路網モデルを活用し、前記ユーザーの生体信号データを基に、前記ユーザーの心臓年齢を推定する段階;
を含み、
前記事前学習された神経回路網モデルは、
心臓疾患に係る情報を基に事前学習された神経回路網モデルと対応する、
方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記事前学習された神経回路網モデルは、教師あり学習により事前学習された神経回路網モデルと対応し、
前記教師あり学習のための学習データは、
測定された生体信号データを含む入力データ;及び
前記測定された生体信号データと紐づけられているユーザーの年齢情報を含む正解ラベル(Label)を含む、
方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記事前学習された人工神経回路網モデルは、心臓疾患を予測するように作られた心臓疾患モデルに基づき、転移学習を通じて学習された人工神経回路網モデルと対応する、
方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記事前学習された神経回路網モデルは、
学習が完了した前記心臓疾患モデルを取得する段階;及び
年齢推定に係る学習データを用いて、前記心臓疾患モデルの重みを調整(tuning)する段階;
に基づき転移学習された人工神経回路網モデルと対応する、
方法。
【請求項5】
請求項3において、
前記事前学習された人工神経回路網モデルは、複数の心臓疾患をそれぞれ予測するように作られた複数の心臓疾患モデルに基づき転移学習を通じて学習された複数の人工神経回路網モデルを含み、且つ
前記事前学習された人工神経回路網モデルの構造(architecture)は、前記複数の人工神経回路網モデルをアンサンブルする構造を含む、
方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記複数の人工神経回路網モデルをアンサンブルする構造は、
前記複数の心臓疾患に係る複数の確率を重みとして指定し、且つ
前記重みを用いて、前記複数の人工神経回路網モデルの出力値を加重平均するための人工神経回路網構造を含む、
方法。
【請求項7】
請求項1において、
前記方法は、
前記事前学習された神経回路網モデルにより推定されたユーザーの心臓年齢に係る分析情報を生成する段階をさらに含み、
前記分析情報は、
前記事前学習された神経回路網モデルにより推定されたユーザーの心臓年齢に係る情報;
同じ年齢層の複数のユーザーの心臓年齢分布における前記ユーザーの位置に係る情報;及び
主要心臓疾患を患っているユーザーグループとの比較に係る情報;
を含む、
方法。
【請求項8】
請求項1において、
前記事前学習された神経回路網モデルを活用し、前記ユーザーの推定された心臓年齢に基づき、前記ユーザーの将来の心臓年齢に係る予測情報を生成する段階;
をさらに含む、
方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記事前学習された神経回路網モデルを活用し、前記ユーザーの推定された心臓年齢に基づき、前記ユーザーの将来の心臓年齢に係る予測情報を生成する段階は、
前記事前学習された神経回路網モデルを活用し、前記推定された心臓年齢情報及び過去の生体信号データを基に、将来の心臓年齢に係る予測情報を生成する段階;
を含む、
方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記過去の生体信号データは、
相異なる時間間隔で測定されることが可能な、
方法。
【請求項11】
請求項9において、
前記事前学習された神経回路網モデルは、教師あり学習により事前学習された神経回路網モデルと対応し、
前記教師あり学習のための学習データは、
特定の期間において測定された複数の生体信号データを含む入力データ;及び
前記特定の期間から任意の時間が経過した時点に係る心臓年齢情報を含む正解ラベル(Label);
を含む、
方法。
【請求項12】
請求項9において、
前記事前学習された神経回路網モデルは、
補間ネットワーク(interpolation)を利用して前記ユーザーの前記過去の生体信号データを補間(imputation)して学習に反映する段階;又は
前記人工神経回路網モデルの入力層と隠れ層に減衰率(Decay rate)を導入する段階;
のうち少なくとも1つを含めて事前学習された神経回路網モデルと対応する、
方法。
【請求項13】
コンピューティング装置が動作を実行するようにする命令を含むコンピューター可読保存媒体に保存されているコンピュータープログラムであって、
前記動作は、
ユーザーの生体信号データを取得する動作;及び
事前学習された神経回路網モデルを活用し、前記ユーザーの生体信号データを基に、前記ユーザーの心臓年齢を推定する動作;
を含み、
前記事前学習された神経回路網モデルは、
心臓疾患に係る情報を基に事前学習された神経回路網モデルと対応する、
コンピューター可読保存媒体に保存されているコンピュータープログラム。
【請求項14】
コンピューティング装置であって、
1つ以上のコアを含むプロセッサー;
1つ以上の生体信号データを受信するネットワーク部;及び
メモリー;
を含み、
前記プロセッサーは、
ユーザーの生体信号データを取得し、且つ
事前学習された神経回路網モデルを活用し、前記ユーザーの生体信号データを基に、前記ユーザーの心臓年齢を推定するが、
前記事前学習された神経回路網モデルは、
心臓疾患に係る情報を基に事前学習された神経回路網モデルと対応する、
コンピューティング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓年齢を予測する方法(METHOD TO PREDICT HEART AGE)に係り、具体的には心臓疾患に係る情報に基づき、事前学習された神経回路網モデルにユーザーの生体信号データを入力して心臓年齢を予測する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光電式容積脈波(PPG)、心電図(ECG)のような生体信号データを利用して、多様な心血管疾患を探知且つ予測する方法に関する研究が盛んに行われている。しかし、当該方法は、主に特定の種類の心血管疾患に対する分類結果を示すだけにとどまっており、ユーザーの心臓全般の健康状態に係る情報を提供するものではない。
【0003】
一方、心臓全般の健康状態に係る情報を提供できる指標として、心臓年齢(heart age)が用いられることが可能である。心臓年齢は、ユーザーの暦年齢(chronological age)との差異を利用して、ユーザーの心臓全般の健康状態に関する直観的な情報を提供することが可能である。例えば、推定された心臓年齢がユーザーの暦年齢より高い場合、心臓の健康状態が自身の暦年齢に対して不健康であり、且つ、そのユーザーは心血管疾患のリスクが比較的高いという情報として用いられることが可能である。
【0004】
心臓年齢を測定する従来の手法として、ユーザーが心血管疾患を発病させる可能性のあるリスク要素を持っているか否かを調べたうえで、所定の数式に適用し、ユーザーの心臓年齢を間接的に計算する測定方法、又は侵襲的な測定方法だけが考案されている。しかし、かかる方法は、心臓年齢の推定の正確度が低いだけでなく、ユーザーの心臓年齢と関連付けて心臓疾患の可能性、心臓年齢の今後の変化に関する予測のように多角的な分析を提供することは不可能である。
【0005】
従って、ユーザーの心臓全般の健康状態に係る情報を提供するために、従来の技術より正確で非侵襲的な心臓年齢予測方法及び心臓年齢情報を関連情報と多角的に関連付ける方法に対するニーズが当業界に存在する。
【0006】
韓国登録特許第2309022号(2021年9月29日)は、人工知能に基づく生体信号遠隔モニタリングシステムについて開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、前述の背景技術に対応して案出されたものであり、心臓疾患に係る情報に基づき事前学習された神経回路網モデルを通じて、ユーザーの生体信号データを入力として受け取り、ユーザーの心臓年齢をより正確に推定し、推定された心臓年齢情報を分析し、将来の心臓年齢に係る予測情報を生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述のような課題を解決するための本開示の実施例に基づき、心臓年齢を推定するためにコンピューティング装置により実行される方法が開示される。上記方法は、ユーザーの生体信号データを取得する段階;及び事前学習された神経回路網モデルを活用し、上記ユーザーの生体信号データを基に、上記ユーザーの心臓年齢を推定する段階を含み、上記事前学習された神経回路網モデルは、心臓疾患に係る情報を基に事前学習された神経回路網モデルと対応することが可能である。
【0009】
代替の実施例において、上記事前学習された神経回路網モデルは、教師あり学習により事前学習された神経回路網モデルと対応し、上記教師あり学習のための学習データは、測定された生体信号データを含む入力データ;及び上記測定された生体信号データと紐づけられているユーザーの年齢情報を含む正解ラベル(Label)を含む。
【0010】
代替の実施例において、上記事前学習された人工神経回路網モデルは、心臓疾患を予測するように作られた心臓疾患モデルに基づき、転移学習を通じて学習された人工神経回路網モデルと対応することが可能である。
【0011】
代替の実施例において、上記事前学習された人工神経回路網モデルは、学習が完了した上記心臓疾患モデルを取得する段階;及び年齢推定に係る学習データを用いて、上記心臓疾患モデルの重みを調整(tuning)する段階を通じて転移学習された人工神経回路網モデルと対応することが可能である。
【0012】
代替の実施例において、上記事前学習された人工神経回路網モデルは、複数の心臓疾患をそれぞれ予測するように作られた複数の心臓疾患モデルに基づき転移学習を通じて学習された複数の人工神経回路網モデルを含み、上記事前学習された人工神経回路網モデルの構造(architecture)は、上記複数の人工神経回路網モデルをアンサンブルする構造を含むことが可能である。
【0013】
代替の実施例において、上記複数の人工神経回路網モデルをアンサンブルする構造は、上記複数の心臓疾患に係る複数の確率を重みとして指定し、且つ、上記重みを用いて、上記複数の人工神経回路網モデルの出力値を加重平均するための人工神経回路網構造を含むことが可能である。
【0014】
代替の実施例において、上記事前学習された神経回路網モデルにより推定されたユーザーの心臓年齢に係る分析情報を生成する段階をさらに含み、上記分析情報は、上記事前学習された神経回路網モデルにより推定されたユーザーの心臓年齢に係る情報;同じ年齢層の複数のユーザーの心臓年齢分布における上記ユーザーの位置に係る情報;及び主要心臓疾患を患っているユーザーグループとの比較に係る情報を含むことが可能である。
【0015】
代替の実施例において、上記事前学習された神経回路網モデルを活用し、上記ユーザーの推定された心臓年齢に基づき、上記ユーザーの将来の心臓年齢に係る予測情報を生成する段階をさらに含むことが可能である。
【0016】
代替の実施例において、上記事前学習された神経回路網モデルを活用し、上記ユーザーの推定された心臓年齢に基づき、上記ユーザーの将来の心臓年齢に係る予測情報を生成する段階は、上記ユーザーの過去の生体信号データが存在するか否かを確認する段階;及び上記事前学習された神経回路網モデルを活用し、上記推定された心臓年齢情報及び上記過去の生体信号データを基に、将来の心臓年齢に係る予測情報を生成する段階を含むことが可能である。
【0017】
代替の実施例において、上記過去の生体信号データは、相異なる時間間隔で測定されることが可能である。
【0018】
代替の実施例において、上記事前学習された人工神経回路網モデルは、教師あり学習により事前学習された人工神経回路網モデルと対応し、上記教師あり学習のための学習データは、特定の期間において測定された複数の生体信号データを含む入力データ;及び上記特定の期間から任意の時間が経過した時点に係る心臓年齢情報を含む正解ラベル(Label)を含めて将来の心臓年齢に係る予測情報を出力するように学習された人工神経回路網モデルと対応することが可能である。
【0019】
代替の実施例において、上記事前学習された神経回路網モデルは、ゲート付き回帰型ユニット(Gated Recurrent Unit);又は長・短期記憶(Long Short-term Memory);のうち少なくとも1つを含むことが可能である。
【0020】
代替の実施例において、上記事前学習された人工神経回路網モデルは、補間ネットワーク(interpolation)を利用して上記ユーザーの上記過去の生体信号データを補間(imputation)して学習に反映する段階;又は上記人工神経回路網モデルの入力層と隠れ層に減衰率(Decay rate)を導入する段階;のうち少なくとも1つを含めて事前学習された人工神経回路網モデルと対応することが可能である。
【0021】
前述のような課題を実現するための本開示の一実施例に基づき、心臓年齢を推定するためのコンピュータープログラムが開示される。上記プログラムは、ユーザーの生体信号データを取得する動作;及び事前学習された神経回路網モデルを活用し、上記ユーザーの生体信号データを基に、上記ユーザーの心臓年齢を推定する動作を含み、上記事前学習された神経回路網モデルは、心臓疾患に係る情報を基に事前学習された神経回路網モデルと対応することが可能である。
【0022】
前述のような課題を実現するための本開示の一実施例に基づき、心臓年齢を推定するためのコンピューティング装置が開示される。上記コンピューティング装置は、1つ以上のコアを含むプロセッサー;1つ以上の生体信号データを受信するネットワーク部;及びメモリーを含み、上記プロセッサーはユーザーの生体信号データを取得し、且つ事前学習された神経回路網モデルを活用し、上記ユーザーの生体信号データを基に、上記ユーザーの心臓年齢を推定するが、上記事前学習された神経回路網モデルは、心臓疾患に係る情報を基に事前学習された神経回路網モデルと対応することが可能である。
【発明の効果】
【0023】
本開示は、ユーザーの生体信号を人工神経回路網に入力してユーザーの心臓年齢を推定し、それに係る分析結果を提供し、ユーザーの将来の心臓年齢に係る予測情報を出力することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示の実施例の説明に用いられるために添付されている以下の図面は、あくまでも本開示の実施例の一部に過ぎず、本開示が属する技術分野において通常の知識を有する者(以下、「通常の技術者」という)にとっては、新規の発明に想到する努力なしにも、これらの図面に基づき他の図面を得ることが可能である。
【0025】
【
図1】
図1は、本開示の一実施例における心臓年齢を推定するためのコンピューティング装置のブロック構成図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施例におけるネットワーク関数を示す概略図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施例において人工神経回路網モデルを転移学習させる過程を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本開示の一実施例において1つ以上の人工神経回路網モデルをアンサンブルする過程を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本開示の一実施例において1つ以上の人工神経回路網モデルをアンサンブルしたモデルを示す概略図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施例において人工神経回路網モデルにより推定されたユーザーの心臓年齢に係る分析情報を生成する過程を示す概念図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施例におけるユーザーの心臓年齢に係る分析情報の例を示す概念図である。
【
図8】
図8は、本開示の一実施例におけるユーザーの将来の心臓年齢に係る予測情報を示す概念図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施例が具現化できる例示的なコンピューティング環境に係る簡略且つ一般的な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示は心臓疾患に係る情報に基づき、人工神経回路網が生体信号の入力を受け、それを基に心臓年齢を推定する方法について開示するものである。
【0027】
多様な実施例が以下に図面を参照しながら説明されるが、図面を通して類似の図面番号は類似の構成要素を表すために使われる。本明細書において多様な説明が本開示に対する理解を容易にするために示される。しかし、これらの実施例がこれらの具体的な説明がなくても間違いなく実施されることができる。
【0028】
本明細書において、「コンポーネント」、「モジュール」、「システム」等の用語は、コンピューター関連エンティティ、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、またはソフトウェアの実行を指す。例えば、コンポーネントは、プロセッサー上で実行される処理手順(procedure)、プロセッサー、オブジェクト、実行スレッド、プログラム、及び/またはコンピューターになり得るが、これらに限定されるものではない。例えば、コンピューティング装置で実行されるアプリケーションとコンピューティング装置は、両方ともコンポーネントになり得る。1つ以上のコンポーネントは、プロセッサー及び/または実行スレッドの中に常駐することができ、1つのコンポーネントは1つのコンピューターの中でローカル化されることができ、または2つ以上のコンピューターに配分されることもできる。また、このようなコンポーネントは、その内部に保存されている多様なデータ構造を持つ、多様なコンピューター可読媒体から実行することができる。コンポーネントは、例えば1つ以上のデータパケットを持つ信号(例えば、ローカルシステム、分散システムにおいて他のコンポーネントと相互作用する1つのコンポーネントからのデータ及び/または信号を通じて、他のシステムと、インターネットのようなネットワークを介して伝送されるデータ)によってローカル及び/または遠隔処理等を通じて通信することができる。
【0029】
用語「または」は、排他的な「または」ではなく、内包的な「または」を意味する意図で使われる。つまり、特に特定されておらず、文脈上明確ではない場合、「XはAまたはBを利用する」は、自然な内包的置換のうち1つを意味するものとする。つまり、XがAを利用したり;XがBを利用したり;またはXがA及びBの両方を利用する場合、「XはAまたはBを利用する」は、これらのいずれにも当てはまるとすることができる。また、本明細書における「及び/または」という用語は、取り挙げられた関連アイテムのうち、1つ以上のアイテムの可能なすべての組み合わせを指し、含むものと理解されるべきである。
【0030】
また、述語としての「含む(含める)」及び/または修飾語として「含む(含める)」という用語は、当該特徴及び/または構成要素が存在することを意味するものと理解されるべきである。ただし、述語としての「含む(含める)」及び/または修飾語として「含む(含める)」という用語は、1つ以上の他のさらなる特徴、構成要素及び/またはこれらのグループが存在すること、または追加されることを排除しないものと理解されるべきである。また、特に数が特定されていない場合や、単数の形を示すことが文脈上明確でない場合、本明細書と請求範囲において単数は、一般的に「1つまたはそれ以上」を意味するものと解釈されるべきである。
【0031】
そして、「A又はBのうち少なくとも1つ」という用語については、「Aだけを含む場合」、「Bだけを含む場合」、「AとBの組み合わせの場合」を意味するものと解釈されたい。
【0032】
当業者は、さらに、ここに開示される実施例に係るものとして説明された多様な例示的論理的ブロック、構成、モジュール、回路、手段、ロジック及びアルゴリズム段階が、電子ハードウェア、コンピューターソフトウェア、またはその両方の組み合わせによって実現されることができることを認識すべきである。ハードウェアとソフトウェアとの相互交換性を明確に例示するために、多様な例示的コンポーネント、ブロック、構成、手段、ロジック、モジュール、回路及び段階が、それらの機能性の側面で一般的に上述された。そのような機能性がハードウェアとして実装されるか或いはソフトウェアとして実装されるかは、全般的なシステムに係る特定のアプリケーション(application)及び設計制限によって決まる。熟練した技術者は、個々の特定アプリケーションのために多様な方法で説明された機能性を実現できる。ただし、そのような実現に係る決定が本開示内容の領域を逸脱するものと解釈されてはならない。
【0033】
ここに示す実施例に係る説明は、本開示の技術分野において通常の知識を持つ者が本発明を利用したり、または実施できるように提供される。このような実施例に対する多様な変形は、本開示の技術分野において通常の知識を持つ者にとっては明確であり、ここに定義された一般的な原理は、本開示の範囲を逸脱することなく他の実施例に適用されることができる。従って、本開示はここに示す実施例によって限定されるものではなく、ここに示す原理及び新規な特徴と一貫する最広義の範囲で解釈されるべきである。
【0034】
本明細書の全体を通して、演算モデル、神経回路網、ネットワーク関数、ニューラルネットワーク(neural network)は、同一の意味で用いることができる。
【0035】
本開示において、実年齢と身体年齢及び暦年齢(Chronological age)は、相互置換可能に用いられることが可能である。
【0036】
図1は、本開示の一実施例における心臓年齢を推定するためのコンピューティング装置のブロック構成図である。
【0037】
図1に図示されたコンピューティング装置(100)の構成は、簡略化して示した例示に過ぎない。本開示の一実施例において、コンピューター装置(100)には、コンピューター装置(100)のコンピューティング環境を実装するための他の構成が含まれることが可能であり、開示されている構成のうち一部だけでコンピューター装置(100)を構成することも可能である。
【0038】
コンピューター装置(100)は、プロセッサー(110)、メモリー(130)、ネットワーク部(150)を含むことができる。
【0039】
本開示の一実施例において、プロセッサー(100)は、1つ以上のコアで構成されることが可能であり、コンピューティング中央処理装置(CPU:central processing unit)、汎用グラフィック処理装置(GPGPU:general purpose graphics processing unit)、テンサー処理装置(TPU:tensor processing unit)等のデータ分析、ディープラーニングのためのプロセッサーを含むことができる。プロセッサー(110)は、メモリー(130)に保存されたコンピュータープログラムを読み取り、本開示の一実施例における機械学習のためのデータ処理を実行することができる。本開示の一実施例に基づき、プロセッサー(110)は、ニューラルネットワークの学習のための演算を行うことができる。プロセッサー(110)は、ディープラーニング(DL:deep learning)において、学習のための入力データの処理、入力データからのフィーチャーの抽出、誤差計算、逆伝播(backpropagation)を利用したニューラルネットワークの重みの更新等のニューラルネットワークの学習のための計算を実行することができる。
【0040】
プロセッサー(110)のCPUとGPGPUとTPUとのうち、少なくとも1つが、ネットワーク関数の学習を処理できる。例えば、CPUとGPGPUとがともにネットワーク関数の学習やネットワーク関数を利用したデータの分類を行うことができる。なお、本開示の一実施例において、複数のコンピューティング装置のプロセッサーを一緒に使ってネットワーク関数の学習やネットワーク関数を利用したデータ分類を行うことができる。また、本開示の一実施例における、コンピューティング装置において実行されるコンピュータープログラムは、CPU、GPGPU又はTPUで実行可能なプログラムになり得る。
【0041】
本開示の一実施例によると、プロセッサー(110)は、心臓疾患に係る情報を基に事前学習された神経回路網モデルを活用し、ユーザーの生体信号データを基に、ユーザーの心臓年齢を推定することが可能である。そのためにプロセッサー(110)は、ユーザーの生体信号データを取得することが可能である。例えば、プロセッサー(110)は、メモリー(130)に保存されているユーザーの生体信号データを使用することが可能であり、ネットワーク(150)を介してユーザーの生体信号を受信することが可能であり、生体信号測定装備(図示は省略)からユーザーの生体信号を直接取得することが可能である。しかし、本開示は、例として取り挙げている生体信号の取得方法に限られるものではない。
【0042】
プロセッサー(110)は、心臓年齢を推定するための人工神経回路網モデルを教師あり学習、転移学習、モデルアンサンブル等の手法を活用し、目的に敵う性能が発揮できるように事前学習させることが可能である。人工神経回路網モデルを事前学習させる具体的な過程に関する説明は、
図3乃至
図5を用いて後述する。
【0043】
本開示の追加の実施例において、プロセッサー(110)は、事前学習された神経回路網モデルにより推定されたユーザーの心臓年齢に係る分析情報を生成することが可能である。この場合、心臓年齢に係る分析情報は、推定されたユーザーの心臓年齢に係る情報、同じ年齢層の複数のユーザーの心臓年齢分布における上記ユーザーの位置に係る情報、又は主要心臓疾患を患っているユーザーグループとの比較に係る情報を含むことが可能であるが、本開示はこれに限定されない。ユーザーの心臓年齢に係る分析情報を生成する具体的な過程は、
図6を用いて後述する。
【0044】
本開示の追加の実施例において、プロセッサー(110)は、事前学習された神経回路網モデルを活用し、ユーザーの推定された心臓年齢に基づき、ユーザーの将来の心臓年齢に係る予測情報を生成することが可能である。ユーザーの将来の心臓年齢に係る予測情報を生成する具体的な方法及び予測情報を生成するための人工神経回路網モデルの学習方法は、
図7を用いて後述する。
【0045】
本開示の一実施例において、メモリー(130)は、フラッシュメモリータイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、カードタイプのメモリー(例えばSD又はXDメモリー等)、ラム(Random Access Memory、RAM)、SRAM(Static Random Access Memory)、ロム(Read-Only Memory、ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、PROM(Programmable Read-Only Memory)、磁気メモリー、磁気ディスク、光ディスクのうち少なくとも1つのタイプの保存媒体を含むことができる。コンピューティン装置(100)は、インターネット(internet)上で前記メモリー(130)の保存機能を実行するウェブストレージ(web storage)と連携して動作することも可能である。前述のメモリーに係る記述は、例示に過ぎず、本開示はこれらに限定されない。
【0046】
本開示の一実施例におけるネットワーク部(150)は、公衆電話交換網(PSTN:Public Switched Telephone Network)、xDSL(x Digital Subscriber Line)、RADSL(Rate Adaptive DSL)、MDSL(Multi Rate DSL)、VDSL(Very High Speed DSL)、UADSL(Universal Asymmetric DSL)、HDSL(High Bit Rate DSL)及び近距離通信網(LAN)等のような多様な有線通信システムを使用することが可能である。
【0047】
また、本明細書におけるネットワーク部(150)は、CDMA(Code Division Multi Access)、TDMA(Time Division Multi Access)、FDMA(Frequency Division Multi Access)、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multi Access)、SC-FDMA(Single Carrier-FDMA)及びその他のシステムのような多様な無線通信システムを利用することが可能である。
【0048】
本開示において、ネットワーク部(150)は、任意の形態の有・無線通信システムを利用することが可能である。
【0049】
本明細書において説明された技術は、上記のネットワークだけでなく、他のネットワークで使われることも可能である。
【0050】
図2は、本開示の一実施例において、医療データに対する診断関連情報を提供するために用いられるネットワーク関数を示す概略図である。
【0051】
本明細書の全体を通して、演算モデル、神経回路網、ネットワーク関数、ニューラルネットワーク(neural network)は、同一の意味で用いることができる。神経回路網は、一般的にノードと呼ばれる相互連結された計算単位の集合で構成されることが多い。このようなノードは、ニューロン(neuron)と称することもできる。神経回路網は、少なくとも1つ以上のノードを含めて構成される。神経回路網を構成するノード(またはニューロン)は1つ以上のリンクによって相互連結されることが可能である。
【0052】
神経回路網において、リンクを介して繋がっている1つ以上のノードは、相対的に入力ノード及び出力ノードの関係を形成することができる。入力ノード及び出力ノードの概念は相対的なものであり、あるノードに対して出力ノードとなる任意のノードは、他のノードとの関係においては入力ノードになり得るが、その逆も成立する。前述のように、入力ノードと出力ノードとの関係はリンクを中心にして成立することができる。1つの入力ノードに1つ以上の出力ノードがリンクを介して繋がることができ、その逆も成立する。
【0053】
1つのリンクを介して繋がっている入力ノード及び出力ノードの関係において、出力ノードのデータは入力ノードに入力されたデータに基づきその値が決められることが可能である。ここで入力ノードと出力ノードとを相互連結するノードは加重値(weight)を持つことができる。加重値は可変的なものになり得るが、神経回路網が所望の機能を行うために、利用者またはアルゴリズムによって変わることが可能である。例えば、1つの出力ノードに1つ以上の入力ノードが各リンクによって相互連結されている場合、出力ノードは前記出力ノードに繋がっている入力ノードに入力された値及び各入力ノードに対応するリンクに設定された加重値に基づき出力ノードの値を決定することができる。
【0054】
前述のように、神経回路網は、1つ以上のノードが1つ以上のリンクを介して相互連結され神経回路網の中で入力ノードと出力ノードの関係を形成する。神経回路網において、ノードとリンクの数及びノードとリンクとの間の相関関係、各リンクに付与された加重値の値によって、神経回路網の特性が決まることが可能である。例えば、同数のノード及びリンクが存在し、リンクの加重値の値がそれぞれ異なる2つの神経回路網が存在する場合、その2つの神経回路網を、相異なるものと認識することができる。
【0055】
神経回路網は、1つ以上のノードの集合で構成することができる。神経回路網を構成するノードの部分集合は、レイヤー(layer)を構成できる。神経回路網を構成する複数のノードのうち一部は、第1入力ノードからの距離に基づき、1つのレイヤー(layer)を構成することができる。例えば、第1入力ノードからの距離がnであるノードの集合は、nレイヤーを構成することができる。第1入力ノードからの距離は、第1入力ノードから当該ノードに到達するために経由しなければならないリンクの最小限の数を基に定義することができる。しかし、このようなレイヤーの定義は、説明のために任意に取り挙げたものであり、神経回路網の中におけるレイヤーの構成は、前述の説明と異なる方法で定義されることができる。例えば、ノードのレイヤーは、最終出力ノードからの距離を基に定義することもできる。
【0056】
第1入力ノードは、神経回路網の中のノードのうち、他のノードとの関係においてリンクを経由せずにデータが直接入力される1つ以上のノードを意味することができる。または、神経回路網のネットワークの中で、リンクを基準にしたノード間の関係において、リンクを介して繋がっている他の入力ノードを持たないノードを意味することができる。これと同様に、最終出力ノードは、神経回路網の中のノードのうち、他のノードとの関係において、出力ノードを持たない1つ以上のノードを意味することができる。また、ヒドンノードは、第1入力ノード及び最終出力ノードではないノードで、神経回路網を構成するノードを意味することができる。
【0057】
本開示の一実施例による神経回路網は、入力レイヤーのノードの数が、出力レイヤーのノードと同数で、入力レイヤーからヒドゥンレイヤー(隠れ層)へと進むにつれ、ノードの数が一度減ってから、再び増加する形の神経回路網になり得る。本開示の一実施例による神経回路網は、入力レイヤーのノードの数が、出力レイヤーのノードの数より少なく、入力レイヤーからヒドゥンレイヤーへと進むにつれ、ノードの数が減少していく形の神経回路網になり得る。また、本開示の他の一実施例による神経回路網は、入力レイヤーのノードの数が、出力レイヤーのノードの数より多く、入力レイヤーからヒドゥンレイヤーへと進むにつれ、ノードの数が増加していく形の神経回路網になり得る。本開示の他の一実施例における神経回路網は、上述の神経回路網を組み合わせた形の神経回路網になり得る。
【0058】
ディープニューラルネットワーク(DNN:deep neural network、深層神経回路網)は、入力レイヤーと出力レイヤー以外に複数のヒドゥンレイヤーを含む神経回路網を意味することができる。ディープニューラルネットワークを利用するとデータの潜在的な構造(latent structures)を把握することができる。つまり、写真、文章、ビデオ、音声、音楽の潜在的な構造(例えば、ある物が写真に映っているか、文章の内容と感情はどのようなものなのか、音声の内容と感情はどのようなものなのか等)を把握することができる。ディープニューラルネットワークは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:convolutional neural network)、リカレントニューラルネットワーク(RNN;:recurrent neural network)、オートエンコーダー(auto encoder)、GAN(Generative Adversarial Networks)、制限ボルツマンマシン(RBM:restricted boltzmann machine)、深層信頼ネットワーク(DBN:deep belief network)、Qネットワーク、Uネットワーク、シャムネットワーク、敵対的生成ネットワーク(GAN:Generative Adversarial Network)等を含むことができる。前述のディープニューラルネットワークは、例示に過ぎず本開示はこれらに限定されない。
【0059】
本開示の一実施例において、ネットワーク関数は、オートエンコーダー(autoencoder)を含むこともできる。オートエンコーダーは、入力データに類似した出力データを出力するための人工神経回路網の一種になり得る。オートエンコーダーは、少なくとも1つのヒドゥンレイヤーを含むことができ、奇数個のヒドゥンレイヤーが入出力レイヤーの間に配置されることができる。各レイヤーのノード数は、入力レイヤーのノード数から、ボトルネックレイヤー(エンコード)という中間レイヤーに向かって減っていき、ボトルネックレイヤーから出力レイヤー(入力レイヤーと対称を成す)に向かって、縮小と対照する形で、拡張することもできる。オートエンコーダーは、非線形次元減少を行うことができる。入力レイヤー及び出力レイヤーの数は、入力データの前処理後に次元に対応することができる。オートエンコーダー構造において、エンコーダーに含まれたヒドゥンレイヤーのノードの数は、入力データから遠くなるほど減っていく構造を持つことができる。ボトルネックレイヤー(エンコーダーとデコーダーの間に位置する、ノードの数が最も少ないレイヤー)のノードの数が少なすぎる場合、十分な量の情報が伝わらない可能性があるため、特定の数以上(例えば、入力レイヤーの半分以上等)に維持されることもあり得る。
【0060】
ニューラルネットワークは、教師あり学習(supervised learning)、教師なし学習(unsupervised learning)、半教師あり学習(semi supervised learning)、または、強化学習(reinforcement learning)のうち、少なくともいずれか1つの方式で学習されることができる。ニューラルネットワークの学習は、ニューラルネットワークが特定の動作を行うための知識をニューラルネットワークに提供する過程になり得る。
【0061】
ニューラルネットワークは、出力のエラーを最小化する方向で学習されることが可能である。ニューラルネットワークの学習において、繰り返し学習データをニューラルネットワークに入力させ、学習データに関するニューラルネットワークの出力とターゲットのエラーを計算し、エラーを減らすための方向としてニューラルネットワークのエラーをニューラルネットワークの出力レイヤーから入力レイヤーの方向へ逆伝播(back propagation)してニューラルネットワークの各ノードの加重値を更新するプロセスが行われる。教師あり学習の場合、個々の学習データに正解がラベリングされている学習データを使い(つまり、ラベリングされた学習データ)、教師なし学習の場合は、個々の学習データに正解がラベリングされていない場合がある。つまり、例えばデータ分類に関する教師あり学習における学習データは、学習データの各々にカテゴリがラベリングされたデータになり得る。ラベリングされた学習データがニューラルネットワークに入力され、ニューラルネットワークの出力(カテゴリ)と学習データのラベルを比較することでエラー(error)を計算することが可能である。他の例として、データ分類に関する教師なし学習の場合、入力である学習データをニューラルネットワークの出力と比較することでエラーを計算することが可能である。計算されたエラーは、ニューラルネットワークにおいて逆方向(つまり、出力レイヤーから入力レイヤー方向)へ逆伝播され、逆伝播を通じてニューラルネットワークの各レイヤーの各ノードの連結加重値を更新することが可能である。更新される各ノードの連結加重値は、学習率(learing rate)によって変化量が決まることが可能である。入力データに対するニューラルネットワークの計算とエラーの逆伝播は、学習のサイクル(epoch)を構成することができる。学習率は、ニューラルネットワークの学習のサイクルの反復回数によって適用方式が変わることが可能である。例えば、ニューラルネットワークの学習初期においては、学習率を高くしてニューラルネットワークが早く一定のレベルの性能を確保するようにすることで効率を高め、学習の後半においては学習率を低くして精度を上げることが可能である。
【0062】
ニューラルネットワークの学習において、一般的に学習データは実際のデータ(つまり、学習されたニューラルネットワークを利用して処理しようとするデータ)の部分集合であることが可能であり、そのため学習データに係るエラーは減少するが、実際のデータに係るエラーは増加する学習サイクルが存在し得る。過剰適合(over fitting)は、このように学習データについて過度に学習したため、実際のデータにおいてエラーが増加する現象である。例えば、黄色い猫を見て猫を学習したニューラルネットワークが、黄色以外の色の猫を見ると猫であることを認識できない現象が過剰適合の一種になり得る。過剰適合は、マシンラーニングアルゴリズムのエラーを増加させる原因になり得る。このような過剰適合を防ぐために、多様な最適化方法を適用できる。過剰適合を防ぐためには、学習データを増加させる方法、正則化(regulaization)、学習の過程でネットワークのノードの一部を非活性化するドロップアウト(drop out)、バッチ正規化レイヤー(batch normalization layer)の活用等の方法を適用できる。
【0063】
図3は、本開示の一実施例において人工神経回路網モデルを転移学習させる過程を示すフローチャートである。
【0064】
本開示において、心臓年齢を推定するための人工神経回路網モデルの学習方法として教師あり学習(supervised learning)が用いられることが可能である。人工神経回路網モデルを教師あり学習で学習させる場合、人工神経回路網モデルを学習させるためにラベリングされたデータ(Labeled data)は、生体信号になり得るが、生体信号には、ユーザーの暦年齢情報がラベリングされることが可能である。かかる方式の教師あり学習を通じ、心臓年齢を推定するための人工神経回路網モデルは、ユーザーの生体信号パターンを学習し、人工知能モデルの推論段階において生体信号の入力を受け、心臓年齢を推論することが可能である。
【0065】
他の実施例として、本開示において、心臓年齢を推定するための人工神経回路網モデルの学習方法として、教師あり学習と共に転移学習(Transfer Learning)が用いられることが可能である。転移学習とは、類似の若しくは全く異なる分野の問題を解決するために、特定の分野において学習された神経回路網の能力の一部を学習に利用することを意味する。例えば、犬を判別するように学習されたモデルを、ネコを判別するようにさらに学習させる場合、それは転移学習に該当する。一般的にデータが不足している状況において、転移学習方法を通じて学習された人工神経回路網モデルは、教師あり学習だけを通じて学習された人工神経回路網モデルより高い性能が得られるとされている。
【0066】
上述の本開示の教師あり学習に基づく実施例とともに、不健康なユーザーの生体信号データも人工神経回路網モデルの学習に用いることができるように、人工神経回路網モデルの構造を設計することが可能である。
【0067】
本開示の一実施例において、予め学習が完了した人工神経回路網モデルは、ユーザーの心臓年齢を推定するように転移学習されることが可能である。例えば、学習が完了した人工神経回路網モデルとして、生体信号を基に特定の心臓疾患に係る情報を予測するように作られた、心臓疾患モデルが用いられることが可能である。しかし、本開示において、特定の心臓疾患に係る情報を予測するモデル以外にも、転移学習に適合した他のモデルが用いられることが可能であることは、通常の技術者にとって自明なことである。
【0068】
段階S310において、プロセッサー(110)は、ユーザーの生体信号情報から心臓疾患を予測するように事前学習された心臓疾患モデルを取得することが可能である。例えば、事前学習された心臓疾患モデルは、ユーザーの生体信号の入力を受け、ユーザーが心不全に該当する確率を出力するモデルになり得る。この場合、心臓疾患の種類には不整脈、心筋梗塞、心不全等が含まれることが可能であるが、本開示はそれに限らない。
【0069】
段階S320において、プロセッサー(110)は、事前学習された心臓疾患モデルを、年齢推定に係る学習データを用いて転移学習させることが可能である。この場合、転移学習された人工神経回路網モデルは、年齢推定に係る学習データを追加で学習することで、予め学習されているモデルの重みが調整(tuning)され、結果的に心臓年齢と心臓疾患の相関関係を把握することが可能である。
【0070】
段階S330において、プロセッサー(110)は、転移学習されたモデルを活用し、心臓年齢を推定することが可能である。
【0071】
かかる方法によって転移学習された人工神経回路網モデル(300)は、健康なユーザーの生体信号データだけでなく、特定の心臓疾患を患っているユーザーの生体信号データも学習データとして用いることが可能である。結論として、本開示のように転移学習された人工神経回路網モデルは、推論段階においてより多様なタイプの生体信号情報の入力に対応し、心臓年齢を正確に推論する、頑健性のある(robust)モデルになり得る。
【0072】
図4は、本開示の一実施例において1つ以上の人工神経回路網モデルをアンサンブルする過程を示すフローチャートである。
【0073】
アンサンブル学習とは、複数の決定木(Decision Tree)を結合し、1本の決定木より良い性能が得られるようにする機械学習の手法を意味する。アンサンブル学習の代表的な例として、バギング(Bagging)とブースティング(Boosting)及びボウティング(Voting)がよく知られている。
【0074】
特定の心臓疾患を予測するように予め学習された人工神経回路網モデルを活用し、心臓年齢を推定するように転移学習された人工神経回路網モデルは、当該特定の疾患を患っている可能性があるユーザーの生体信号の入力に対しては、単純な教師あり学習された人工神経回路網モデルより頑健性がある(robust)が、他の疾患を患っている可能性のあるユーザーの生体信号の入力に対しては、当該人工神経回路網モデルが推定した心臓年齢情報の正確度が低くなる可能性がある。
【0075】
段階S410において、プロセッサー(110)は、心臓の年齢を推定できるように転移学習された複数の人工神経回路網モデルを取得することが可能である。例えば、ユーザーが不整脈に該当する確率を出力するように事前学習されたモデルで、心臓の年齢を推定できるように転移学習させたモデルが取得されることが可能である。
【0076】
段階S420において、プロセッサー(110)によって、複数の人工神経回路網モデルは、それぞれ特定の疾患に該当する確率情報と心臓年齢を出力することが可能である。例えば、不整脈に該当する確率を出力するように事前学習されたモデルで転移学習させたモデルは、複数の人工神経回路網モデルの一つとして、ユーザーの生体信号を基に、ユーザーが不整脈に該当する確率情報及びユーザーの心臓年齢を出力することが可能である。
【0077】
段階S430において、プロセッサー(110)は、段階S420において複数の人工神経回路網モデルが出力した確率情報に基づき、各モデルの重みを決定することが可能である。例えば、ユーザーが不整脈に該当する確率が40%であり、不整脈に該当する確率を出力するように事前学習されたモデルで転移学習させたモデルが出力したユーザーの心臓年齢が42歳である、モデルの出力値である42歳に40%の重みが付与されることが可能である。
【0078】
段階S440において、プロセッサー(110)は、決定された重みを用いて、各人工神経回路網モデルの出力値をアンサンブルすることが可能である。例えば、ユーザーが不整脈に該当する確率が40%であり、不整脈に該当する確率を出力するように事前学習されたモデルで転移学習させたモデルが出力したユーザーの心臓年齢が42歳であり、ユーザーが心筋梗塞に該当する確率が10%であり、心筋梗塞に該当する確率を出力するように事前学習されたモデルで転移学習させたモデルが出力したユーザーの心臓年齢が50歳である場合を仮定することが可能である。この場合、アンサンブルされたモデルの出力値は、42歳と50歳に各重みを反映し、加重平均した43.6歳になり得る。しかし、本開示において、モデルの出力値をアンサンブルする方法は、本例示のような加重平均の方式に限らない。
【0079】
図5は、本開示の一実施例において1つ以上の人工神経回路網モデルをアンサンブルしたモデルを示す概略図である。
【0080】
本開示の追加の実施例において、心臓年齢を推定する人工神経回路網モデルは、特定の心臓疾患を予測するように事前学習された人工神経回路網モデルを基に転移学習された複数の人工神経回路網モデルをアンサンブルしたモデルになり得る。例えば、心臓年齢を推定する人工神経回路網モデルは、不整脈を予測するように事前学習されたモデルで転移学習させたモデル(510)、心筋梗塞を予測するように事前学習されたモデルで転移学習させたモデル(520)、心不全を予測するように事前学習されたモデルで転移学習させたモデル(530)をアンサンブルしたモデルになり得る。
【0081】
具体的に、心臓年齢を推定する人工神経回路網モデルの出力(540)は、特定の疾患を予測するように作られた複数の心臓疾患モデルに基づき、転移学習を通じて学習された複数の人工神経回路網モデル(510、520及び530)の出力値を結合した値になり得る。
【0082】
例えば、複数の転移学習された人工神経回路網モデル(510、520及び530)の各々は、入力された生体信号から特定の疾患に該当する確率情報と心臓年齢情報を導出することが可能である。その後、複数の転移学習された人工神経回路網モデル(510、520及び530)は、上記確率情報に基づき、各モデルの重み(514、515及び516)を指定することが可能である。そして、確率情報に基づいて指定された重みを用いて、複数の転移学習された人工神経回路網モデル(510、520及び530)の各々が推定した心臓年齢(511、512及び513)が加重平均され、最終モデルの出力値(540)になることが可能である。本開示において、複数の転移学習された人工神経回路網モデルをアンサンブルする構造は、上述の例示における方法に限らず、他の方式のバギング、ボウティング、ブースティング等の手法が用いられることが可能である。
【0083】
上記の例示によると、ユーザーが特定の疾患の可能性が高い場合、例えば、不整脈である可能性が高い場合、全体のモデルの出力において、不整脈予測モデルで転移学習されたモデル(510)の重み(514)が大きく計算されるため、不整脈予測モデルで転移学習されたモデル(510)が推定した心臓年齢(511)が、全体のモデルの出力において高いウェイトを占めることが可能である。
【0084】
上記のように、複数の転移学習されたモデルをアンサンブルすることで最終的に完成された心臓年齢推定モデルは、多様な種類の疾患を患っている複数のユーザーの生体信号の入力に対して、より頑健性のある(robust)ものになることが可能であり、結果的にモデルの性能が高くなることが可能である。
【0085】
図6は、本開示の一実施例において人工神経回路網モデルにより推定されたユーザーの心臓年齢に係る分析情報を生成する過程を示す概念図である。
【0086】
プロセッサー(110)は、ユーザーの心臓年齢と関連付けて、ユーザーの心臓疾患に対するリスクの度合い及び管理の必要性に係る分析情報を提供することが可能である。
【0087】
具体的に、人工神経回路網モデルの学習段階において、プロセッサー(110)は、生体信号に疾患及び暦年齢がラベリングされたデータで、人工神経回路網を学習させることが可能である。例えば、プロセッサー(110)は、人工神経回路網モデルが心臓年齢を推定し、推定した心臓年齢とユーザーの暦年齢との差異を計算し、その差異と各疾患との相関関係を把握するように学習(640)させることが可能である。
【0088】
人工神経回路網モデルの推論段階において、プロセッサー(110)は、人工神経回路網モデルを活用し、生体データの入力を受けて人工神経回路網モデルの出力(620)を通じて、心臓年齢を推定することが可能である。プロセッサー(110)は、このように推定された心臓年齢を実年齢(610)、即ち暦年齢と比較して、差異(Delta age)(630)を計算することが可能である。人工神経回路網は、差異と各疾患との相関関係を把握するように学習(640)されているため、人工神経回路網は、入力を受けた生体信号データについて、疾患の可能性(650)を分析することが可能である。上述のような人工神経回路網モデルの分析結果は、
図6のような形態に視覚化され、ユーザーにディスプレイされることが可能である。
【0089】
図7は、本開示の一実施例におけるユーザーの心臓年齢に係る分析情報の例を示す概念図である。
【0090】
分析情報の例示として、プロセッサー(110)は、人工神経回路網モデルが推定したユーザーの心臓年齢とユーザーの暦年齢、ユーザーの心臓年齢と暦年齢の差異を示すことが可能である。
【0091】
また、プロセッサー(110)は、同じ年齢層のユーザーの心臓年齢推定結果を収集して作成した、正規化された分布において、ユーザーの心臓年齢がどれくらいの位置にあるかを計算し、ユーザーにディスプレイすることが可能である。例えば、プロセッサー(110)は、「推定された心臓年齢が暦年齢より9.8歳高く、これは同じ年齢層のユーザーの中で下位17%に該当する数値」のような形態の分析情報を、ユーザーにディスプレイすることが可能である。
【0092】
また、プロセッサー(110)は、主要心臓疾患を患っているユーザーグループの心臓年齢と比較して、ユーザーの心臓年齢がどの程度のレベルかをディスプレイすることが可能である。例えば、プロセッサー(110)は、
図6に示すように、ユーザーの推定された心臓年齢が暦年齢より9.8歳高いことを示すグラフを作成し、参考用に心房細動を患っている患者等、心臓疾患を患っている複数の患者の数値を共に図示する分析結果を提供することが可能である。このように、ユーザーの推定された心臓年齢と暦年齢との差異を利用した情報をディスプレイし、且つ、他のユーザーと比較することで、ユーザー又は医療関係者がユーザーの心臓疾患の可能性及び措置を取る必要性の有無等の行動を決定するときに役立てることが可能である。
【0093】
図8は、本開示の一実施例におけるユーザーの将来の心臓年齢に係る予測情報を示す概念図である。
【0094】
プロセッサー(110)は、人工神経回路網モデルを活用し、ユーザーの推定された心臓年齢に基づき、ユーザーの将来の心臓年齢に係る予測情報を生成することが可能である。この場合、予測情報を生成する具体的な段階として、先ず過去にユーザーの生体信号を測定したデータが存在するか否かを確認することが可能である。ユーザーの過去の生体信号データが存在する場合、プロセッサー(110)は、人工神経回路網モデルを活用し、過去の生体信号データから、過去の各測定時点における心臓年齢を推定し、現在の心臓年齢を推定することが可能である。その後、人工神経回路網は、過去の心臓年齢及び現在の心臓年齢から将来の心臓年齢に係る予測情報を生成することが可能である。予測情報は、特定の時点の特定のポイントで表現することが可能であり、可能な勾配の数値を図示した領域として表現されることも可能であるが、本開示はこれに限定されない。
【0095】
プロセッサー(110)は、過去の心臓年齢の推定値を基に、ここ数年間の推定心臓年齢の変化図、各時点における暦年齢と心臓年齢との差異等の数値と共に計算して、ユーザーにディスプレイすることが可能である。例えば、
図7に示すように、プロセッサー(110)は、ここ1年間、年に8.6歳程度に増加しており、ここ5年間は、年に3.5歳程度に増加しているという情報をユーザーに提供することが可能である。
【0096】
同一のユーザーから、過去の生体信号データは、一定の周期で収集されることも可能であり、不定期、即ちデータ間で相異なる時間間隔で収集されることも可能である。このように時系列データを構成する各ポイント間の時間間隔が相異なる場合、未来の情報を予測するための人工神経回路網モデルが必要となる可能性がある。
【0097】
本開示において、プロセッサー(110)により将来の心臓年齢に係る予測情報を生成する人工神経回路網モデルは、教師あり学習を通じて学習されることが可能である。教師あり学習のための学習データは、特定の期間において測定された複数の生体信号データを含むことが可能であり、学習データに紐づけられる正解ラベルは、当該特定の期間から任意の時間が経過した時点に係る心臓年齢情報を含むことが可能である。かかる入力データと正解ラベルのペアを学習のためのデータで構築したうえで、長・短期記憶(LTSM:Long Short-Term Memory)又はゲート付き回帰型ユニット(GRU:Gated Recurrent Unit)を含む人工神経回路網モデルを学習させることで、人工神経回路網モデルは過去のデータから未来の推定値を計算することが可能である。
【0098】
時系列データを取り扱うモデルにおいて、データに欠測値があったり、データの測定時間の間隔が不規則なため、空いているデータポイントがある場合、当該データを用いたモデルのトレーニング過程において性能が低下するということは、よく知られている。本開示及び他の生体信号分野における発明では、ユーザーの生体信号が不規則な時間間隔で測定される場合がほとんどであるため欠測値、又は、空いているデータの問題を解決することがモデルの性能向上のために重要な課題となり得る。この問題を解決するために、データに学習効果を高めることのできる前処理を行う方法、又は、別途の前処理なしに性能の低下を防ぐことができるように、人工神経回路網のモデルを構成して学習させる方法、又は2つの方法を結合した方法が用いられることが可能である。
【0099】
例えば、本開示の将来の心臓年齢に係る予測情報を生成する人工神経回路網モデルが補間ネットワーク(interpolation)を含むように設計することが可能である。この場合、人工神経回路網モデルは、空いているポイントのデータを補間(imputation)してから、補間されたデータ及び既存のデータを通じて学習することが可能である。
【0100】
さらに他の例として、不規則な周期で測定された時系列データでトレーニングされる人工神経回路網モデルの入力層と隠れ層に減衰率(Decay rate)メカニズムを導入することが可能である。減衰率は、実際に測定された他のデータが、時間間隔に係る情報によって、欠測値又は空いているデータにどれくらい影響を及ぼしているかに係る事前知識、モデリング、又は、学習可能なパラメータ(learnable parameter)として、データに基づく学習を通じて決定されることが可能である。通常の技術者にとって、本開示に記載されている補間ネットワーク及び減衰率メカニズムに係る説明に基づき、当該特徴を有する人工神経回路網モデルを構成することは、困難なことではないと考えられる。
【0101】
本開示のかかる前処理及びモデル構造を通じて、ユーザーの生体信号が不規則な時間間隔に測定されたデータを使用しているにも関わらず、モデルの学習が適切に行われることが可能である。
【0102】
本開示の一実施例に基づき、データ構造を保存したコンピューター可読保存媒体が開示される。
【0103】
データ構造は、データに効率的なアクセスおよび修正を可能にするデータの組織、管理、保存を意味することができる。データ構造は、特定の問題(例えば、最短時間でデータ検索、データ保存、データ修正)を解決するためのデータ組織を意味することができる。データ構造は、特定のデータ処理機能をサポートするように設計されたデータ要素間の物理的または論理的な関係と定義することもできる。データ要素間の論理的な関係は、ユーザーが考えるデータ要素間の連結関係を含むことができる。データ要素間の物理的な関係は、コンピューター可読保存媒体(例えば、ハードディスク)に物理的に保存されているデータ要素間の実際の関係を含むことができる。データ構造は具体的にデータの集合、データ間の関係、データに適用できる関数またはコマンドを含むことができる。効果的に設計されたデータ構造により、コンピューティング装置はコンピューティング装置のリソースを最小限に使用しながら計算を行うことができる。具体的にコンピューティング装置は効果的に設計されたデータ構造を通じて演算、読み取り、挿入、削除、比較、交換、検索の効率性を高めることができる。
【0104】
データ構造はデータ構造の形態によって線形データ構造と非線形データ構造に区分されることができる。線形データ構造は、一つのデータの後に一つのデータだけが連結される構造である可能性がある。線形データ構造はリスト(List)、スタック(Stack)、キュー(Queue)、デッキ(Deque)を含むことができる。リストは、内部的に順序が存在する一連のデータセットを意味することが可能である。リストは連結リスト(Linked List)を含むことができる。連結リストはそれぞれのデータがポインタを持って一列に連結されている方式でデータが連結されたデータ構造でありうる。連結リストでポインタは、次や以前のデータとの連結情報を含むことができる。連結リストは形態によって単一連結リスト、二重連結リスト、円形連結リストで表現できる。スタックは制限的にデータにアクセスできるデータリスト構造である可能性がある。スタックは、データ構造の片端でのみデータを処理(例えば、挿入または削除)できる線形データ構造である可能性がある。スタックに保存されたデータは、遅く入るほど早く出てくるデータ構造(LIFO-Last in First Out)である可能性がある。 キューは制限的にデータにアクセスできるデータ羅列構造であり、スタックとは異なり遅く保存されたデータほど遅く出てくるデータ構造(FIFO-FirstinFirstOut)であることができる。デッキはデータ構造の両端でデータを処理できるデータ構造になり得る。
【0105】
非線形データ構造は、一つのデータの後に複数のデータが連結される構造である可能性がある。非線形データ構造はグラフ(Graph)データ構造を含むことができる。グラフデータ構造は頂点(Vertex)と幹線(Edge)で定義でき、幹線は互いに異なる二つの頂点を連結する線を含むことができる。グラフデータ構造ツリー(Tree)データ構造を含むことができる。ツリーデータ構造はツリーに含まれる複数の頂点のうち、互いに異なる2つの頂点を連結させる経路が一つのデータ構造になり得る。すなわち、グラフデータ構造でループ(loop)を形成しないデータ構造になり得る。
【0106】
本明細書にかけて、演算モデル、神経回路網、ネットワーク関数、ニューラルネットワークは同じ意味で使用できる。(以下ではニューラルネットワークで統一して記述する。)データ構造はニューラルネットワークを含むことができる。そして、ニューラルネットワークを含むデータ構造は、コンピューター可読保存媒体に保存されることができる。ニューラルネットワークを含むデータ構造はまた、ニューラルネットワークに入力されるデータ、ニューラルネットワークの加重値、ニューラルネットワークのハイパーパラメータ、ニューラルネットワークから獲得したデータ、ニューラルネットワークの各ノードまたはレイヤーに関連する活性関数、ニューラルネットワークの学習のための損失関数を含むことができる。ニューラルネットワークを含むデータ構造は、前記開示された構成のうち任意の構成要素を含むことができる。すなわち、ニューラルネットワークを含むデータ構造は、ニューラルネットワークに入力されるデータ、ニューラルネットワークの加重値、ニューラルネットワークのハイパーパラメータ、ニューラルネットワークから獲得したデータ、ニューラルネットワークの各ノードまたはレイヤーに関連する活性関数、ニューラルネットワークのトレーニングのための損失関数など、全部またはこれらの任意の組み合わせを含んで構成されることができる。前述した構成以外にも、ニューラルネットワークを含むデータ構造は、ニューラルネットワークの特性を決定する任意の他の情報を含むことができる。また、データ構造は、ニューラルネットワークの演算過程で使用されたり、発生するすべての形態のデータを含むことができ、前述の事項に制限されるわけではない。コンピューター可読保存媒体は、コンピューター可読記録媒体および/またはコンピューター可読伝送媒体を含むことができる。ニューラルネットワークは、一般的にノードと呼ばれる相互接続された計算単位の集合で構成されることができる。このようなノードはニューロン(neuron)と呼ばれることができる。ニューラルネットワークは、少なくとも1つ以上のノードを含んで構成される。
【0107】
データ構造は、ニューラルネットワークに入力されるデータを含むことができる。ニューラルネットワークに入力されるデータを含むデータ構造は、コンピューター可読保存媒体に保存されることができる。ニューラルネットワークに入力されるデータは、ニューラルネットワークの学習過程で入力される学習データおよび/または学習が完了したニューラルネットワークに入力される入力データを含むことができる。ニューラルネットワークに入力されるデータは、前処理(pre-processing)を経たデータおよび/または前処理対象となるデータを含むことができる。前処理はデータをニューラルネットワークに入力させるためのデータ処理過程を含むことができる。したがって、データ構造は前処理対象となるデータおよび前処理で発生するデータを含むことができる。前述のデータ構造は例示に過ぎず、本開示はこれに限定されない。
【0108】
データ構造は、ニューラルネットワークの加重値を含むことができる。(本明細書で加重値、パラメータは同じ意味で使用できる。)そして、神経回路網の加重値を含むデータ構造はコンピューター可読保存媒体に保存されることができる。ニューラルネットワークは、複数の加重値を含むことができる。加重値は可変的であり、ニューラルネットワークが望む機能を遂行するために、ユーザーまたはアルゴリズムによって可変することができる。例えば、一つの出力ノードに一つ以上の入力ノードがそれぞれのリンクによって相互接続された場合、出力ノードは前記出力ノードと連結された入力ノードに入力された値及びそれぞれの入力ノードに対応するリンクに設定されたパラメータに基づいて出力ノード値を決定することができる。前述のデータ構造は例示に過ぎず、本開示はこれに限定されない。
【0109】
制限ではなく例として、加重値は神経回路網学習過程で可変する加重値および/または神経回路網学習が完了した加重値を含むことができる。ニューラルネットワーク学習過程で可変される加重値は、学習サイクルが始まる時点の加重値および/または学習サイクルの間に可変される加重値を含むことができる。ニューラルネットワーク学習が完了した加重値は、学習サイクルが完了した加重値を含むことができる。したがって、ニューラルネットワークの加重値を含むデータ構造は、ニューラルネットワーク学習過程で可変される加重値および/またはニューラルネットワーク学習が完了した加重値を含むデータ構造を含むことができる。したがって、上述した加重値および/または各加重値の組み合わせは、神経回路網の加重値を含むデータ構造に含まれるものとする。前述のデータ構造は例示に過ぎず、本開示はこれに限定されない。
【0110】
ニューラルネットワークの加重値を含むデータ構造は、直列化(serialization)過程を経た後、コンピューター可読保存媒体(例えば、メモリ、ハードディスク)に保存されることができる。直列化は、データ構造を同一または他のコンピューティングデバイスに保存し、後で再構成して使用できる形態に変換する過程である可能性がある。コンピューティングデバイスは、データ構造を直列化し、ネットワークを介してデータを送受信することができる。直列化されたニューラルネットワークの加重値を含むデータ構造は、逆直列化(deserialization)を通じて同じコンピューティング装置または他のコンピューティング装置で再構成されることができる。ニューラルネットワークの加重値を含むデータ構造は、シリアル化に限定されるものではない。さらに、神経回路網の加重値を含むデータ構造は、コンピューティング装置の資源を最小限に使用しながら演算の効率を高めるためのデータ構造(例えば、非線形データ構造で B-Tree、Trie、m-way search tree、AVLtree、Red-Black Tree)を含むことができる。前述の事項は例示に過ぎず、本開示はこれに限定されない。
【0111】
データ構造は、ニューラルネットワークのハイパーパラメータ(Hyper-parameter)を含むことができる。そして、ニューラルネットワークのハイパーパラメータを含むデータ構造は、コンピューター可読保存媒体に保存されることができる。ハイパーパラメータは、ユーザーによって可変される変数である可能性がある。ハイパーパラメータは、例えば、学習率(learning rate)、コスト関数(cost function)、学習サイクル反復回数、加重値初期化(例えば、加重値初期化対象となる加重値の範囲設定)、Hidden Unit個数(例えば、ヒドゥンレイヤーの個数、ヒドゥンレイヤーのノード数)を含むことができる。前述のデータ構造は例示に過ぎず、本開示はこれに限定されない。
【0112】
図9は、本開示の実施例が具現化されることのできる例示的なコンピューティング環境に係る簡略で一般的な概略図である。
【0113】
本開示が一般的にコンピューティング装置により具現化されることができると前述されているが、当業者であれば本開示が一つ以上のコンピューター上で実行されることのできるコンピューター実行可能命令及び/またはその他のプログラムモジュールと結合して及び/またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせとして具現化されることができるということをよく理解できるだろう。
【0114】
一般的に、本明細書におけるモジュールは、特定のタスクを実行したり、特定の抽象的なデータ類型を実装するルーティン、プログラム、コンポーネント、データ構造、その他等々を含む。また、当業者なら本開示の方法がシングルプロセッサーまたはマルチプロセッサーコンピューターシステム、ミニコンピューター、メインフレームコンピューターはもちろん、パーソナルコンピューター、ハンドヘルド(handheld)コンピューティング装置、マイクロプロセッサー基盤、またはプログラム可能な家電製品、その他等々(これらは、それぞれ1つ以上の関連する装置と繋がって動作することができる)をはじめとする、他のコンピューターシステムの構成によって実施されることができることをよく理解できるだろう。
【0115】
本開示において説明された実施例は、さらに、あるタスクが通信ネットワークを通じて繋がっている遠隔処理装置によって実行される分散コンピューティング環境で実施されることができる。分散コンピューティング環境において、プログラムモジュールは、ローカルや遠隔メモリー保存装置の両方に位置することができる。
【0116】
コンピューターは、多様なコンピューター可読媒体を含む。コンピューターによってアクセス可能な媒体はいずれもコンピューター可読媒体になり得るが、このようなコンピューター可読媒体は揮発性及び非揮発性媒体、一時的(transitory)及び非一時的(non-transitory)媒体、移動式及び非-移動式媒体を含む。制限ではなく例として、コンピューター可読媒体は、コンピューター可読保存媒体及びコンピューター可読伝送媒体を含むことができる。コンピューター可読保存媒体は、コンピューター可読命令、データ構造、プログラムモジュール又はその他のデータのような情報を保存する任意の方法又は技術により実装される揮発性及び非揮発性媒体、一時的及び非-一時的媒体、移動式及び非移動式媒体を含む。コンピューター可読保存媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリーまたはその他のメモリー技術、CD-ROM、DVD(digital video disk)またはその他の光ディスク保存装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク保存装置またはその他の磁気保存装置、またはコンピューターによってアクセスされることができ、情報を保存するのに使われることのできる任意のその他の媒体を含むが、これに限定されない。
【0117】
コンピューター可読伝送媒体は、通常、搬送波(carrier wave)またはその他の伝送メカニズム(transport mechanism)のような被変調データ信号(modulated data signal)にコンピューター可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたはその他のデータ等を実装し、すべての情報伝達媒体を含む。被変調データ信号という用語は、信号の中で情報をエンコードするように、その信号の特性のうち1つ以上を設定または変更した信号を意味する。制限ではなく例として、コンピューター可読伝送媒体は、有線ネットワークまたは直接配線接続(direct-wired connection)のような有線媒体、そして音響、RF、赤外線、その他の無線媒体のような無線媒体を含む。前述の媒体のいずれかによる任意の組み合わせもまたコンピューター可読伝送媒体の範囲に含まれるものとする。
【0118】
コンピューター(1102)を含む本開示の多様な側面を実現する例示的な環境(1100)が示されており、コンピューター(1102)は、処理装置(1104)、システムメモリー(1106)、システムバス(1108)を含む。システムバス(1108)は、システムメモリー(1106)(これに限定されない)をはじめとするシステムコンポーネントを処理装置(1104)につなげる。処理装置(1104)は、多様な商用プロセッサーのうち任意のプロセッサーになり得る。デュエルプロセッサーとその他のマルチプロセッサーアーキテクチャもまた処理装置(1104)として利用されることができる。
【0119】
システムバス(1108)は、メモリーバス、周辺装置バス、そして多様な商用バスアーキテクチャの中から、任意のものを使用するローカルバスにさらに相互連結されることのできる複数の類型のバス構造のうちいずれかになり得る。システムメモリー(1106)は、読み取り専用メモリー(ROM)(1110)やランダムアクセスメモリー(RAM)(1112)を含む。基本的な入出力システム(BIOS)は、ROM、EPROM、EEPROM等の非揮発性メモリー(1110)に保存され、このBIOSは、起動中の時等にコンピューター(1102)の中の複数の構成要素間の情報のやりとりをサポートする基本的なルーティンを含む。RAM(1112)は、またデータをキャッシュするための静的RAM等の高速RAMを含むことができる。
【0120】
コンピューター(1102)においては、また、内蔵型ハードディスクドライブ(HDD)(1114)(例えば、EIDE、SATA)―この内蔵型ハードディスクドライブ(1114)はまた適切なシャシー(図示は省略)の中で外付け型の用途で構成されることができる―、磁気フロッピーディスクドライブ(FDD)(1116)(例えば、移動式ディスケット(1118)から読み取ったりそれに書き込むためのものである)及び光ディスクドライブ(1120)(例えば、CD-ROMディスク(1122)を読み取ったり、DVD等のその他の高容量光媒体から読み取ったり、それに書き込むためのものである)を含む。ハードディスクドライブ(1114)、磁気ディスクドライブ(1116)及び光ディスクドライブ(1120)は、それぞれハードディスクドライブインターフェース(1124)、磁気ディスクドライブインターフェース(1126)及び光ドライブインターフェース(1128)によってシステムバス(1108)に繋がることができる。外付け型ドライブの実装のためのインターフェース(1124)は、例えば、USB(Universal Serial Bus)やIEEE1394インターフェース技術のうち、少なくとも1つまたはその両方を含む。
【0121】
これらのドライブ及びこれらに係るコンピューター可読媒体は、データ、データ構造、コンピューターで実行可能な命令、その他等々の非揮発性保存を提供する。コンピューター(1102)の場合、ドライブ及び媒体は、任意のデータを適切なデジタル形式に保存することに対応する。前述におけるコンピューター可読保存媒体に係る説明が、HDD、移動式磁気ディスク及びCDまたはDVD等の移動式光媒体について触れているが、当業者ならジップドライブ(zip drive)、磁気カセット、フラッシュメモリーカード、カートリッジ、その他等々のコンピューターにより読み取り可能な他の類型の保存媒体もまた例示的な運営環境で使われることができ、さらに、このような媒体のうち任意のある媒体が、本開示の方法を実行するためのコンピューターで実行可能な命令を含むことができることをよく理解できるだろう。
【0122】
運営システム(1130)、1つ以上のアプリケーションプログラム(1132)、その他のプログラムモジュール(1134)及びプログラムデータ(1136)をはじめとする多数のプログラムモジュールが、ドライブ及びRAM(1112)に保存されることができる。運営システム、アプリケーション、モジュール及び/またはデータの全部またはその一部分がまたRAM(1112)にキャッシュされることができる。本開示が商業的に利用可能な様々な運営システムまたは複数の運営システムの組み合わせにより実装されることができることをよく理解できるだろう。
【0123】
ユーザーは、1つ以上の有線・無線の入力装置、例えば、キーボード(1138)及びマウス(1140)等のポインティング装置を通じてコンピューター(1102)に命令及び情報を入力することができる。その他の入力装置(図示は省略)としてはマイク、IRリモコン、ジョイスティック、ゲームパッド、スタイラスペン、タッチスクリーン、その他等々があり得る。これら及びその他の入力装置が、よくシステムバス(1108)に繋がっている入力装置インターフェース(1142)を通じて処理装置(1104)に繋がることがあるが、並列ポート、IEEE1394直列ポート、ゲームポート、USBポート、IRインターフェース、その他等々のその他のインターフェースによって繋がることができる。
【0124】
モニター(1144)または他の類型のディスプレイ装置も、ビデオアダプター(1146)等のインターフェースを通じてシステムバス(1108)に繋がる。モニター(1144)に加えて、コンピューターは一般的にスピーカー、プリンター、その他等々のその他の周辺出力装置(図示は省略)を含む。
【0125】
コンピューター(1102)は、有線及び/または無線通信による(複数の)遠隔コンピューター(1148)等の1つ以上の遠隔コンピューターへの論理的接続を利用し、ネットワーク化された環境で動作することができる。(複数の)遠隔コンピューター(1148)は、ワークステーション、サーバーコンピューター、ルーター、パーソナルコンピューター、携帯用コンピューター、マイクロプロセッサー基盤の娯楽機器、ピア装置またはその他の通常のネットワークノードになることができ、一般的にコンピューター(1102)について述べられた構成要素のうち、多数またはその全部を含むが、簡略化するために、メモリー保存装置(1150)のみ図示されている。図示されている論理的接続は、近距離通信網(LAN)(1152)及び/または、より大きいネットワーク、例えば、遠距離通信網(WAN)(1154)における有線・無線の接続を含む。このようなLAN及びWANのネットワーキング環境は、オフィスや会社では一般的なもので、イントラネット等の全社的コンピューターネットワーク(enterprise-wide computer network)を容易にし、これらはすべて全世界のコンピューターネットワーク、例えば、インターネットに繋がることができる。
【0126】
LANネットワーキング環境で使われるとき、コンピューター(1102)は、有線及び/または無線通信ネットワークインターフェース、または、アダプター(1156)を通じてローカルネットワーク(1152)に繋がる。アダプター(1156)は、LAN(1152)への有線または無線通信を容易にすることができ、このLAN(1152)は、また無線アダプター(1156)と通信するためにそれに設置されている無線アクセスポイントを含む。WANネットワーキング環境で使われるとき、コンピューター(1102)は、モデム(1158)を含むことができたり、WAN(1154)上の通信サーバーに繋がったり、またはインターネットを通じる等、WAN(1154)を通じて通信を設定するその他の手段を持つ。内蔵型又は外付け型、そして、有線または無線装置になり得るモデム(1158)は、直列ポートインターフェース(1142)を通じてシステムバス(1108)に繋がる。ネットワーク化された環境において、コンピューター(1102)について説明されたプログラムモジュールまたはその一部分が、遠隔メモリー/保存装置(1150)に保存されることができる。図示されたネットワーク接続が例示的なものであり、複数のコンピューター間で通信リンクを設定する他の手段が使われることができるということは容易に理解できることである。
【0127】
コンピューター(1102)は、無線通信で配置されて動作する任意の無線装置またはユニット、例えば、プリンター、スキャナー、デスクトップ及び/または携帯用コンピューター、PDA(portable data assistant)、通信衛星、無線で検出可能なタグに係る任意の装備または場所及、及び電話と通信する動作をする。これは、少なくともWi-Fi及びブルートゥース(登録商標)無線技術を含む。従って、通信は、従来のネットワークのように予め定義された構造であったり、単純に少なくとも2つの装置の間でのアドホック通信(ad hoc communication)になり得る。
【0128】
Wi-Fi(Wireless Fidelity)は、有線で繋がっていなくても、インターネット等への接続を可能にする。Wi-Fiは、このような装置、例えば、コンピューターが室内及び室外で、つまり基地局の通話圏内のどこからでもデータを送受信できるようにするセル電話のような無線技術である。Wi-Fiネットワークは、安全で信頼性があり、高速である無線接続を提供するためにIEEE802.11(a、b、g、その他)という無線技術を使う。コンピューターを互いに、インターネット及び有線ネットワーク(IEEE802.3またはイーサネットを使う)に接続するためにWi-Fiが使われることができる。Wi-Fiネットワークは、非認可2.4や5GHzの無線帯域において、例えば、11Mbps(802.11a)または54Mbps(802.11b)のデータレートで動作したり、両帯域(デュエル帯域)を含む製品において動作することができる。
【0129】
本開示の技術分野における通常の知識を持つ者は情報及び信号が任意の多様な異なる技術及び手法を利用して示されることができることを理会できる。例えば、前記の説明において参照できるデータ、指示、命令、情報、信号、ビット、シンボル及びチップは、電圧、電流、電磁気派、磁場等または粒子、光学場等または粒子、またはこれらの任意の組み合わせによって示されることができる。
【0130】
本開示の技術分野において通常の知識を持つ者は、ここに開示された実施例に係る説明で取り挙げられた多様な例示的な論理ブロック、モジュール、プロセッサー、手段、回路、アルゴリズム段階が電子ハードウェア、(利便性のために、ここでは「ソフトウェア」と称される)多様な形のプログラムまたは設計コード、またはこれらすべての結合により実装されることができることを理解できるだろう。ハードウェア及びソフトウェアのこのような相互互換性を明確に説明するために、多様な例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、及び段階がこれらの機能に着目して前記で一般的に説明された。このような機能がハードウェアやソフトウェアで実装されるかどうかは、特定のアプリケーションおよび全体システムに対して付与される設計上の制限によって決まる。本開示の技術分野において通常の知識を持つ者は、個々の特定のアプリケーションについて多様な手法で説明された機能を実現することができるが、このような実現の決定は、本開示の範囲を逸脱するものと解釈されてはならない。
【0131】
ここに示された多様な実施例は、方法、装置、または標準プログラミング及び/またはエンジニアリング技術を使った製造物品(article)によって実現できる。用語「製造物品」は、任意のコンピューターで可読な装置からアクセス可能なコンピュータープログラム、キャリアー、または媒体(media)を含む。例えば、コンピューターで可読保存媒体は、磁気保存装置(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ等)、光学ディスク(例えば、CD、DVD等)、スマートカード及びフラッシュメモリー装置(例えば、EEPROM、カード、スティック、キードライブ等)を含むが、これらに限定されるものではない。また、ここに示されている多様な保存媒体は、情報を保存するための1つ以上の装置及び/または他の機械可読媒体を含む。
【0132】
示されたプロセスにおける複数の段階の特定の順番または階層構造は、例示的なアプローチの一例であることを理解すべきである。設計上の優先順位に基づき、本開示の範囲内で、プロセスにおける段階の特定の順番または階層構造が再配列されることができることを理解すべきである。添付の方法請求項は、サンプルとしての順番で、多様な段階のエレメントを提供するが、示された特定の順番または階層構造に限定されることを意味するわけではない。
【0133】
示された実施例に関する説明は、任意の本開示の技術分野において通常の知識を持つ者が、本開示を利用したり、または実施できるように提供される。このような実施例に対する多様な変形は、本開示の技術分野において通常の知識を持つ者には明確に理解できるものであり、ここに定義された一般的な原理は、本開示の範囲を逸脱することなく他の実施例に適用されることができる。従って、本開示はここに示す実施例によって限定されるものではなく、ここに示す原理及び新規な特徴と一貫する最広義の範囲で解釈されるべきである。