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特開2024-28199タイヤ位置特定のための受信信号強度インジケータ(RSSI)シグネチャ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028199
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】タイヤ位置特定のための受信信号強度インジケータ(RSSI)シグネチャ
(51)【国際特許分類】
   G01S 11/06 20060101AFI20240222BHJP
   B60C 23/04 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
G01S11/06
B60C23/04 140E
B60C23/04 140D
B60C23/04 130D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023132489
(22)【出願日】2023-08-16
(31)【優先権主張番号】17/890,170
(32)【優先日】2022-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】507364997
【氏名又は名称】サイプレス セミコンダクター コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Cypress Semiconductor Corporation
【住所又は居所原語表記】198 Champion Court, San Jose, CA 95134, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクター シミレイスキー
(72)【発明者】
【氏名】キラン ウルン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル カンドラー
(72)【発明者】
【氏名】イゴール コリチ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車両の安全な動作を保証するために、TPMS用途におけるタイヤ位置特定のコスト、性能および信頼性を改善する。
【解決手段】1つまたは複数の無線ホストデバイスを使用して、ホストデバイスと各TPMSセンサとの間の無線通信チャネルに固有の受信信号強度インジケータ(RSSI)シグネチャを決定することによって、TPMSセンサデータのタイヤ位置特定を行う。RSSIシグネチャは、車体上のホストデバイスと回転タイヤ内のTPMSセンサとの間の無線通信チャネルの周期的変動を表す。通信チャネルの特性は車輪角度の関数であり、車輪の回転に伴って周期的である。RSSIシグネチャは、TPMSセンサからホストデバイスによって受信されたパケットのRSSI測定値を、アンチロックブレーキシステム(ABS)の車輪速度センサ(WSS)データから導出された車輪角度と照合することによって作成され得る。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線デバイスによる動作の方法であって、前記方法は、
複数の無線センサのうちの1つの無線センサから受信された複数のデータパケットの各々に関連付けられた受信時刻および受信信号強度インジケータ(RSSI)を決定するステップであって、前記複数の無線センサのうちの1つの無線センサから受信されたデータパケットの前記RSSIは、前記1つの無線センサに関連付けられた第2のセンサの角度位置に依存し、前記複数の無線センサの各々は、複数の第2のセンサのうちのそれぞれの1つに関連付けられるステップと、
前記受信された複数のデータパケットの各々について、前記データパケットが受信されたときに前記複数の第2のセンサの推定角度位置を生成するために前記データパケットの前記受信時刻における前記複数の第2のセンサの各1つの角度位置を決定するステップと、
前記複数のデータパケットの前記RSSIおよび前記複数の第2のセンサの前記推定角度位置に基づいて、前記角度位置の範囲にわたる前記RSSIの分散のRSSIシグネチャを決定するステップと、
前記RSSIシグネチャに基づいて、前記複数の無線センサと前記複数の第2のセンサとの間の推定関連付けを決定するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記複数の無線センサは、タイヤ空気圧監視システム(TPMS)の複数のタイヤセンサを含み、前記タイヤセンサの各々は、車両のタイヤの動作状態を測定するために前記タイヤに配置され、前記複数の第2のセンサは、前記車両の複数の車輪速度センサを含み、前記車輪速度センサの各々は、前記車両の車輪の角速度を測定する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の無線センサと前記複数の第2のセンサとの間の前記推定関連付けは、前記複数のタイヤセンサの各々と、前記車両の異なる車輪と、のペアリングを含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記データパケットの前記受信時刻における前記複数の第2のセンサの各1つの角度位置を決定するステップは、
前記複数の車輪速度センサから複数の車輪速度測定値を受信するステップと、
前記データパケットが前記無線デバイスによって受信されたときに前記複数の車輪速度測定値に基づいて、前記車両の各車輪の車輪角度を推定するステップと、
を含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記角度位置の範囲にわたる前記RSSIの分散のRSSIシグネチャを決定するステップは、
前記タイヤセンサのうちの1つから受信された前記複数のデータパケットの各々の前記RSSIを、前記車両の各車輪の推定された前記車輪角度とペアリングするステップを含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の無線センサの各々が前記複数の第2のセンサの各1つに関連付けられると仮定して、前記RSSIシグネチャの数は、前記複数の無線センサの数と、前記複数の第2のセンサの数と、の積を含み、前記RSSIシグネチャに基づいて、前記複数の無線センサと前記複数の第2のセンサとの間の推定関連付けを決定するステップは、
前記RSSIシグネチャの各々に対して1つのメトリックとして、複数のメトリックを決定するステップと、
前記複数のメトリックに基づいて、前記複数の無線センサと前記複数の第2のセンサとの間の前記推定関連付けを決定するステップと、
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の無線センサのうちの1つの無線センサおよび前記複数の第2のセンサのうちの1つの第2のセンサに対する前記RSSIシグネチャに対する前記メトリックは、前記第2のセンサの前記推定角度位置の範囲にわたる、前記1つの無線センサから受信された前記複数のデータパケットの前記RSSIの分散を含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のメトリックに基づいて、前記複数の無線センサと前記複数の第2のセンサとの間の前記推定関連付けを決定するステップは、
前記複数の無線センサと前記複数の第2のセンサとを関連付けるすべての可能な組み合わせに対する合計された分散を生成するために、前記複数の無線センサの各々を前記第2のセンサのうちの異なる1つに関連付けることに対応する前記RSSIシグネチャに対する前記分散を加算するステップと、
前記複数の無線センサと前記複数の第2のセンサとを関連付けるすべての可能な組み合わせに対する複数の合計された分散のうちの最小値に対応するものとして、前記推定関連付けを決定するステップと、
を含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のメトリックに基づいて、前記複数の無線センサと前記複数の第2のセンサとの間の前記推定関連付けを決定するステップは、
前記複数のメトリックに基づいて、前記推定関連付けの信頼性レベルを決定するステップと、
前記信頼性レベルを閾値レベルと比較するステップと、
前記信頼性レベルが前記閾値レベルを超過したことに応答して、前記推定関連付けを決定するステップと、
前記信頼性レベルが前記閾値レベルを超過しなかったことに応答して、前記推定関連付けの前記信頼性レベルを増大させるために前記複数の無線センサから追加のデータパケットを受信するステップと、
を含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記角度位置の範囲にわたる前記RSSIの分散のRSSIシグネチャを決定するステップは、
前記複数のデータパケットの各々が受信されたときに、以前に記憶されたRSSIシグネチャと、前記複数の無線センサから受信された前記複数のデータパケットと、前記複数の第2のセンサの前記推定角度位置と、から前記RSSIシグネチャを決定するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
複数の無線センサから複数のデータパケットを受信するように構成されたトランシーバと、
処理システムと、
を備える装置であって、
前記処理システムは、
前記複数の無線センサのうちの1つの無線センサから受信された前記複数のデータパケットの各々に関連付けられた受信時刻および受信信号強度インジケータ(RSSI)を決定するように構成され、前記複数の無線センサのうちの1つの無線センサから受信されたデータパケットの前記RSSIは、前記1つの無線センサに関連付けられた第2のセンサの角度位置に依存し、前記複数の無線センサの各々は、複数の第2のセンサのうちのそれぞれの1つに関連付けられ、
前記処理システムは、
前記受信された複数のデータパケットの各々について、前記データパケットの前記受信時刻における前記複数の第2のセンサの推定角度位置を生成するために、または前記複数の第2のセンサの仮説的な測定周期を生成するために、前記複数の第2のセンサの各1つの角度位置を決定し、
前記複数のデータパケットの前記RSSIおよび前記複数の第2のセンサの前記推定角度位置または前記仮説的な測定周期に基づいて、前記RSSIの分散のRSSIシグネチャを決定し、
前記RSSIシグネチャに基づいて、前記複数の無線センサと前記複数の第2のセンサとの間の推定関連付けを決定する、
ように構成される、
装置。
【請求項12】
前記複数の無線センサは、タイヤ空気圧監視システム(TPMS)の複数のタイヤセンサを含み、前記タイヤセンサの各々は、車両のタイヤの動作状態を測定するために前記タイヤに配置され、前記複数の第2のセンサは、前記車両の複数の車輪速度センサを含み、前記車輪速度センサの各々は、前記車両の車輪の角速度を測定する、
請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記複数の無線センサと前記複数の第2のセンサとの間の前記推定関連付けは、前記複数のタイヤセンサの各々と、前記車両の異なる車輪と、のペアリングを含む、
請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記データパケットの前記受信時刻における前記複数の第2のセンサの各1つの角度位置を決定するために、前記装置は、前記複数の車輪速度センサから複数の車輪速度測定値を受信するように構成され、
前記処理システムは、
前記データパケットが前記装置によって受信されたときに前記複数の車輪速度測定値に基づいて、前記車両の各車輪の車輪角度を推定するようにさらに構成される、
請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記RSSIの分散のRSSIシグネチャを決定するために、前記処理システムは、
前記タイヤセンサのうちの1つから受信された前記複数のデータパケットの各々の前記RSSIを、前記車両の各車輪の推定された前記車輪角度とペアリングするようにさらに構成される、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記複数の無線センサの各々が前記複数の第2のセンサの各1つに関連付けられると仮定して、前記RSSIシグネチャの数は、前記複数の無線センサの数と、前記複数の第2のセンサの数と、の積を含み、前記RSSIシグネチャに基づいて、前記複数の無線センサと前記複数の第2のセンサとの間の推定関連付けを決定するために、前記処理システムは、
前記RSSIシグネチャの各々に対して1つのメトリックとして、複数のメトリックを決定し、
前記複数のメトリックに基づいて、前記複数の無線センサと前記複数の第2のセンサとの間の前記推定関連付けを決定する、
ようにさらに構成される、
請求項11に記載の装置。
【請求項17】
前記複数の無線センサのうちの1つの無線センサおよび前記複数の第2のセンサのうちの1つの第2のセンサに対する前記RSSIシグネチャに対する前記メトリックは、前記第2のセンサの前記推定角度位置の範囲にわたる、前記1つの無線センサから受信された前記複数のデータパケットの前記RSSIの分散を含む、
請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記複数のメトリックに基づいて、前記複数の無線センサと前記複数の第2のセンサとの間の推定関連付けを決定するために、前記処理システムは、
前記複数の無線センサと前記複数の第2のセンサとを関連付けるすべての可能な組み合わせに対する合計された分散を生成するために、前記複数の無線センサの各々を前記第2のセンサのうちの異なる1つに関連付けることに対応する前記RSSIシグネチャに対する前記分散を加算し、
前記複数の無線センサと前記複数の第2のセンサとを関連付けるすべての可能な組み合わせに対する複数の合計された分散のうちの最小値に対応するものとして、前記推定関連付けを決定する、
ようにさらに構成される、
請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記複数のメトリックに基づいて、前記複数の無線センサと前記複数の第2のセンサとの間の前記推定関連付けを決定するために、前記処理システムは、
前記複数のメトリックに基づいて、前記推定関連付けの信頼性レベルを決定し、
前記信頼性レベルを閾値レベルと比較し、
前記信頼性レベルが前記閾値レベルを超過したことに応答して、前記推定関連付けを決定する、
ようにさらに構成され、または、
前記信頼性レベルが前記閾値レベルを超過しなかったことに応答して、前記トランシーバは、前記推定関連付けの前記信頼性レベルを増大させるために前記複数の無線センサから追加のデータパケットを受信するように構成される、
請求項16に記載の装置。
【請求項20】
複数の無線センサから複数のデータパケットを受信するように構成された無線トランシーバと、
前記複数の無線センサに関連付けられた複数の第2のセンサから測定値を受信するように構成されたインタフェースと、
プロセッサシステムと、
を備えるシステムであって、
前記プロセッサシステムは、
前記複数の無線センサのうちの1つの無線センサから受信された前記複数のデータパケットの各々に関連付けられた受信時刻および受信信号強度インジケータ(RSSI)を決定するように構成され、前記複数の無線センサのうちの1つの無線センサから受信されたデータパケットの前記RSSIは、前記1つの無線センサに関連付けられた前記複数の第2のセンサのうちの1つの角度位置に依存し、前記複数の無線センサの各々は、前記複数の第2のセンサのうちのそれぞれの1つに関連付けられ、
前記プロセッサシステムは、
前記受信された複数のデータパケットの各々について、前記データパケットの前記受信時刻における前記複数の第2のセンサの推定角度位置を生成するために、または前記複数の第2のセンサの仮説的な測定周期を生成するために、前記複数の第2のセンサの各1つの角度位置を決定し、
前記複数のデータパケットの前記RSSIおよび前記複数の第2のセンサの前記推定角度位置または前記仮説的な測定周期に基づいて、前記RSSIの分散のRSSIシグネチャを決定し、
前記RSSIシグネチャに基づいて、前記複数の無線センサと前記複数の第2のセンサとの間の推定関連付けを決定する、
ように構成される、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、無線センサの位置を決定するための技術に関し、より詳細には、Bluetooth技術などの狭帯域無線を使用する車両タイヤ空気圧監視システム(TPMS)用途におけるセンサのタイヤ位置特定のための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
TPMSは、現代の車両に必要な安全機能になっている。圧力センサおよび温度センサなどのタイヤ内のセンサは、タイヤの動作状態を測定し、センサデータをTPMSのホストコントローラに無線で送信する。タイヤ位置特定により、TPMSのホストコントローラは、センサデータに基づいて、車両のどの車輪が低圧、高温などの重大事象に遭遇しているかを判定し、重大事象を運転者に知らせることができる。次いで、TPMSの安全支援機能または運転者は、重大事象に対処するための是正措置をとり得る。各ドライブの前または開始時にタイヤ位置特定を行うことが望ましい。これは、均一なトレッドウェアを維持するためにタイヤを定期的に回転させることが推奨され、サービス中にタイヤの車輪への割り当てが頻繁にスキップされ得るため、タイヤの位置が変化し得るという理由からである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
タイヤ位置特定は、2つの異なる手法を使用して行われ得る。第1の手法は、アンチロックブレーキシステム(ABS)およびTPMSセンサの内部に配置された加速度計からのデータを使用する。加速度計は、タイヤの角速度を測定し得る。ある時間間隔における車輪の回転数は、ABSデータから抽出されてもよく、ABSデータは、ABSデータに関連付けられた車輪を識別してもよく、また車輪の回転数は、タイヤのTPMSセンサ内の加速度計によって行われた測定値から抽出されてもよい。車輪の回転速度の差が小さいため、車輪のABSデータから導出された回転データをタイヤの加速度計から導出された回転データと一致させて、タイヤ位置特定を行い得る。しかしながら、この手法では、加速度計を各TPMSセンサに配置する必要があり、TPMSセンサのコストおよび電力消費が増加する。
【0004】
タイヤ位置特定を行うための第2の手法は、TPMSセンサデータを受信するために各TPMSセンサの近くに車両上の無線ホストデバイスを配置する。無線ホストデバイスは、さまざまなTPMSセンサの車輪位置を決定するために、異なるTPMSセンサからのTPMSセンサデータ通信の信号強度を測定し得る。しかしながら、この手法は、異なる車輪からの信号強度のレベルを区別するために、各TPMSセンサのためのホストデバイスなどの2つ以上の無線ホストデバイスを必要とする。コストの増加に加えて、解決策は、異なるTPMSセンサからホストデバイスによって受信された通信の信号強度を測定および比較することに依存するため、この手法はまた、さまざまな環境条件の影響を受けやすい。したがって、車両の安全な動作を保証するために、TPMS用途におけるタイヤ位置特定のコスト、性能および信頼性を改善する必要がある。
【0005】
記載される実施形態およびその利点は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって最もよく理解され得る。これらの図面は、記載される実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、記載される実施形態に対して当業者によってなされ得る形態および詳細の変更を決して限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の一態様による、タイヤからのTPMSセンサデータが車両の右前輪に位置特定されるタイヤ位置特定を示す図である。
図2】本開示の一態様による、タイヤ位置特定を行うためにアンチロックブレーキ(ABS)システムデータから導出された車輪角度に基づいて、TPMSセンサ通信の受信信号強度インジケータ(RSSI)シグネチャを決定する単一の無線ホストデバイスのブロック図である。
図3】本開示の一態様による、異なるタイヤからのTPMSセンサ通信のRSSI測定値をABSシステムの車輪速度センサから導出された車輪角度と照合してタイヤ位置特定を行うことによってRSSIシグネチャを生成するための技術を示す図である。
図4】本開示の一態様による、タイヤからのTPMSセンサ通信のRSSI測定値が車輪の車輪角度と正確に一致するときの明確なRSSIシグネチャの生成、およびタイヤからのTPMSセンサ通信のRSSI測定値が右車輪の車輪角度と一致しないときの明確なRSSIシグネチャの欠如を示す図である。
図5】本開示の一態様による、タイヤ位置特定のために使用される異なる車輪の固有のRSSIシグネチャの特性を示す図である。
図6】本開示の一態様による、無線ホストデバイスがTPMSセンサからパケットを、およびABSシステムから推定車輪角度を受信し、TPMSパケットの受信時間に基づいてRSSIシグネチャおよびRSSIシグネチャの分類を生成してタイヤ位置特定を行うTPMSアプリケーションのブロック図である。
図7】本開示の一態様による、TPMSパケットのRSSI測定値とABSセンサから導出された車輪角度とのすべての組み合わせをペアリングすることによってRSSIシグネチャを生成し、タイヤ位置特定のためにTPMSデバイスと車輪のABSセンサとの正しいペアリングを決定するためにRSSIシグネチャに基づいてメトリックを生成するように無線ホストデバイスを動作させるための方法の流れ図である。
図8】本開示の一態様による、分散がタイヤ位置特定を行うためのメトリックとして使用され得るように、TPMSデバイスが車輪と正しくまたは誤ってペアリングされたときのRSSIシグネチャのノイズの違いを示す図である。
図9】本開示の一態様による、TPMSパケットのRSSI測定値と4輪車両用のABSセンサから導出された車輪角度との16個すべての組み合わせをペアリングすることによってRSSIシグネチャを生成するための方法、およびタイヤ位置特定を行うためのメトリックとしてのRSSIシグネチャの分散の使用の流れ図である。
図10】本開示の一態様による、信頼性レベルを改善するためにTPMSセンサの追加のRSSI測定値が必要であるかどうかを判定するために、TPMSセンサと車輪のABSセンサとの正しいペアリングに関連する信頼性レベルを生成するための方法の流れ図である。
図11】本開示の一態様による、タイヤ位置特定を行うためのメトリックの計算を支援するために車両の以前の動作から生成されたRSSIシグネチャテンプレートを使用するための方法の流れ図である。
図12】本開示の一態様による、TPMSパケットのRSSI測定値と4輪車両用のABS車輪速度センサから導出された車輪角度との16個すべての組み合わせを独立にペアリングするように各無線ホストデバイスを動作させ、タイヤ位置特定を行うためのメトリックとして複数の無線ホストデバイスからのRSSIシグネチャの分散を合計することによって、複数の無線ホストデバイスがある場合にRSSIシグネチャを生成するための方法の流れ図である。
図13】本開示の一態様による、タイヤ位置特定を行うためにABS WSSデータから導出された車輪角度に基づいて、TPMSセンサ通信の受信信号強度インジケータ(RSSI)シグネチャを決定するデバイスのブロック図である。
図14】本開示の一態様による、第1のセットの無線センサから受信されたデータパケットのRSSIが対応する第2のセンサの角度位置に依存する場合に、第1のセットの無線センサから受信されたパケットのRSSIシグネチャを用いて第1のセットの無線センサを第2のセットのセンサに関連付けるための方法の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本技術のさまざまな態様および変形の例は、本明細書に記載され、添付の図面に示される。以下の説明は、本発明をこれらの実施形態に限定することを意図するものではなく、むしろ当業者が本発明を作製および使用することを可能にすることを意図する。
【0008】
単一(または複数)の無線ホストデバイスを使用して、ホストデバイスと各TPMSセンサとの間の無線通信チャネルに固有の受信信号強度インジケータ(RSSI)シグネチャを決定することによって、TPMSセンサデータのタイヤ位置特定を行うためのシステムおよび方法が記載される。RSSIシグネチャは、車体上のホストデバイスと回転タイヤ内のTPMSセンサとの間の無線通信チャネルの周期的変動を表す。通信チャネルの特性は車輪角度(例えば、車体に対する車輪の角度)の関数であり、したがって車輪の回転に伴って周期的である。一態様では、RSSIシグネチャは、TPMSセンサからホストデバイスによって受信されたパケットのRSSI測定値を、アンチロックブレーキシステム(ABS)の車輪速度センサ(WSS)データから導出された車輪角度と照合することによって作成され得る。各TPMSセンサのアンテナに対する車体上のホストデバイスのアンテナの非対称性に起因して、RSSIシグネチャは、タイヤの位置特定のためにTPMSセンサの位置を識別するために使用され得る各車輪の固有のマーカである。一態様では、各車輪のWSSデータによって与えられる車輪回転の周期との、TPMSセンサからホストデバイスによって受信されたパケットのRSSI測定値の自己相関を使用して、タイヤ位置特定のためのTPMSセンサの位置を識別し得る。自己相関はまた、TPMSセンサを車輪に関連付けるための固有のシグネチャを表し得る。TPMS通信は、例えばBluetooth Low Energy(BLE)、IEEE 802.15.4、IEEE 802.11、またはその他の短距離狭帯域無線技術(TPMSデータを受信するために現在使用されている高周波(HF)無線を含む)のような狭帯域無線を使用し得る。
【0009】
TPMSセンサとホストデバイスとの間の通信事象は、時間的にランダムに発生し、したがって、TPMSセンサを埋め込むタイヤの回転から独立しており、同期していない。結果として、ホストデバイスは、未知の車輪角度を有する複数のTPMSセンサからデータパケットを受信し得る。しかしながら、TPMSセンサとの通信チャネルの特性は、TPMSセンサを埋め込むタイヤの車輪角度位置に依存する。一態様では、車輪角度の関数としてTPMSセンサのRSSIシグネチャを取得するために、ホストデバイスは、ABSによって提供される情報を活用することによって、TPMSセンサから受信したデータパケットのRSSI測定値に対応する車輪角度を推定し得る。ホストデバイスは、車輪のABS WSSデータを使用して、データパケットの受信時刻に基づいてデータパケットに対応する車輪角度を推定し得る。ホストデバイスは、TPMSセンサからのデータパケットのRSSI測定値の集合を、車輪の対応するデータパケットについて推定された車輪角度とペアリングすることによって、TPMSセンサのRSSIシグネチャを生成し得る。複数の無線ホストデバイスの場合、各ホストデバイスは、各ホストデバイスによって受信されたTPMSセンサからのデータパケットのRSSI測定値に基づいてRSSIシグネチャを独立に生成し得るが、データパケットに対応する車輪角推定値は、複数のホストデバイス間で共有され得る。一態様では、ホストデバイスは、TPMSセンサからのデータパケットのRSSI測定値の自己相関をとってもよく、自己相関関数のために使用されるRSSI測定値は、車輪のWSSデータから決定されたホイール回転周期の仮説的な測定値によって分離される。例えば、車輪の第1の回転周期のRSSI測定値は、同じ車輪の第2の(後続の)回転周期のRSSI測定値と乗算されてもよく、積は、自己相関を生成するために積分される。一態様では、自己相関は、ホイールの複数の回転周期にわたって積分されてもよい。車輪の仮説的な車輪回転周期がRSSI測定の周期と一致する場合、自己相関関数の最大値が期待され、RSSI測定値と車輪が正しくペアリングされていることを示す。
【0010】
WSSデータは、ABSによって車輪毎に生成される。ホストデバイスは、TPMSセンサのタイヤ位置特定を行っており、TPMSセンサと車輪との間のペアリングをまだ知らないので、ホストデバイスは、TPMSセンサからのRSSI測定値と各車輪の推定車輪角度とのすべての可能なペアリングに対するRSSIシグネチャを生成し得る。TPMSセンサの数Nが車輪の数と同じである場合、N個のTPMSセンサからのRSSI測定値とN個の車輪からの車輪角度とのすべての可能なペアリングに対して生成されたRSSIシグネチャの総数はNである。RSSIシグネチャがTPMSセンサと車輪との正しいペアリングを表す場合、RSSI測定値は車輪角度の関数であるため、RSSI測定値と車輪角度とのペアリングは、車輪の360°回転にわたって識別可能な周期的変動を示し得る。他方、TPMSセンサが車輪と正しくペアリングされていない場合、RSSI測定値は他の車輪からのランダムな車輪角度とペアリングされているため、RSSIシグネチャは識別可能な特性を示さないことがある。したがって、ホストデバイスは、タイヤ位置特定を行うためにRSSIシグネチャを使用し得る。
【0011】
一態様では、ホストデバイスは、TPMSセンサおよび車輪の正しいペアリングを決定するために、RSSIシグネチャに基づいてメトリックを計算し得る。メトリックは、RSSIシグネチャのノイズレベルに基づいてもよい。ホストデバイスは、車輪角度の360°の範囲にわたるRSSIシグネチャのノイズ分散を計算し得る。正しくペアリングされたTPMSセンサ-車輪のRSSIシグネチャは、低いノイズ分散を示す傾向がある。誤ってペアリングされたTPMSセンサ-車輪のRSSIシグネチャは、ランダムなプロセスで期待されるように大きなノイズ分散を有し得る。ホストデバイスは、N個のTPMSセンサとN個の車輪とのこの特定の組み合わせについて合計されたノイズ分散を計算するために、TPMSセンサ-車両のN個のペアリングについてノイズ分散を合計し得る。ホストデバイスは、TPMSセンサとN個の車輪とのN個のペアリングのすべての可能な組み合わせの中で最小の合計ノイズ分散を見つけることによって、タイヤ位置特定の結果を決定し得る。一態様では、TPMSセンサとN個の車輪とのN個のペアリングのすべての可能な組み合わせを表す探索空間は、N!(Nの階乗)であり得る。いくつかのホストデバイスの場合、可能な組み合わせの数は同じであるが、TPMSセンサ-車輪のN個のペアリングのノイズ分散は、各ホストの独立なチャネルのためにすべてのホストについて合計され得る。
【0012】
一態様では、ホストデバイスは、探索空間内のTPMSセンサ-車輪のN個のペアリングの合計されたノイズ分散に明確な最小値があるかどうかを判定し得る。例えば、ホストデバイスは、探索空間内のTPMSセンサ-車輪のN個のペアリングの2つの最小合計ノイズ分散間の正規化された差を決定し得る。正規化された差が閾値よりも大きい場合、タイヤ位置特定の結果に対する十分な信頼性が宣言され得る。そうでなければ、ホストデバイスは、TPMSセンサ-車輪の正しいN個のペアリングにおける十分な信頼性が達成されるまで、追加のRSSI測定値を収集し得る。
【0013】
一態様では、ホストデバイスは、ドライブの開始時にRSSIシグネチャを決定し得る。ホストデバイスは、次のドライブで使用するために現在のドライブのRSSIシグネチャを記憶して、次のドライブのタイヤ位置特定のためのRSSI測定値の数を減らし得る。例えば、ホストデバイスは、前のドライブからのTPMSセンサ-車輪ペアリングのために記憶されたRSSIシグネチャを、現在のドライブの開始時のRSSIシグネチャテンプレートとして使用し得る。ホストデバイスは、TPMSセンサからデータパケットのRSSI測定値を収集し、RSSIシグネチャテンプレートのTPMSセンサ-車輪ペアリングに対応する車輪のデータパケットの車輪角度を推定して、RSSIシグネチャテンプレートを更新し得る。更新されたRSSIシグネチャテンプレートが結果において十分な信頼性レベルを達成しない場合、ホストデバイスは、収集されたRSSI測定値および現在のドライブ中に推定された車輪角度のみに基づいて新しいRSSIシグネチャを抽出し得る。一態様では、RSSIシグネチャテンプレートを更新する代わりに、ホストデバイスは、現在のドライブから抽出されたRSSIシグネチャを前のドライブからのRSSIシグネチャテンプレートと比較して、それらの間に十分な相関があるかどうかを判定し得る。現在のドライブから抽出されたRSSIシグネチャと前のドライブからのRSSIシグネチャテンプレートとの間の高い相関は、タイヤ位置特定のために抽出されたRSSIシグネチャを使用する際に十分な信頼性レベルを示し得る。
【0014】
図1は、本開示の一態様による、タイヤからのTPMSセンサデータが車両の右前輪115に位置特定されるタイヤ位置特定を示す図である。TPMSセンサは、各タイヤの内部に配置され、車両の運転時のタイヤの圧力または温度などの動作状態を測定する。TPMSセンサは、センサ測定値をデータパケットとして車両内の無線ホストデバイス(図示せず)に無線で送信し得る。ホストデバイスまたは他の車載コンピュータは、報告されたセンサ測定値を監視して、運転者に異常なタイヤ状態を警告し、および/または重大事象に対処するための是正措置を実施し得る。車両の安全な動作は、各TPMSセンサを車輪に適合させるためにタイヤ位置特定動作を行うことによって、どのタイヤが何らかの異常状態に遭遇しているかを車両が正確に識別することに依存する。
【0015】
図2は、本開示の一態様による、タイヤ位置特定を行うためにアンチロックブレーキシステム(ABS)データから導出された車輪角度に基づいて、TPMSセンサ通信の受信信号強度インジケータ(RSSI)シグネチャを決定する単一の無線ホストデバイスのブロック図を示す。右前タイヤのTPMSセンサ230は、圧力(および温度)測定値のデータパケットを、無線チャネル235を介して車体に配置された無線ホストデバイス240に送信し得る。一態様では、TPMSセンサ230と無線ホストデバイス240との間の通信は、BLE無線技術を使用して実施され得る。TPMSセンサ230からのデータパケットは、無線ホストデバイス240が車両の4つのタイヤ内の各センサから受信したデータパケットを区別することを可能にする識別情報を含み得る。無線チャネル235は、データパケットが送信されるときの車輪角度とも呼ばれる、回転しているタイヤ上のTPMSセンサ230の位置の関数であり、したがって右前輪の回転とともに周期的である。しかしながら、データパケットの送信のタイミングは、通信事象が時間的にランダムに発生し得るため、車輪の回転と同期しない。
【0016】
無線ホストデバイス240は、受信した各データパケットのRSSIを決定し得る。車輪角度の関数としてTPMSセンサ通信のRSSIシグネチャを決定するために、無線ホストデバイス240は、ABSコントローラ220からABSデータ225を受信して、受信したデータパケットに対応する車輪角度およびそのRSSI測定値を推定し得る。ABSデータ225は、各車輪上の車輪速度センサ(WSS)210によって測定されてもよい。WSSデータは、専用時間中の角度変化または各車輪の回転速度を示してもよい。一態様では、WSSデータは、車輪の毎分回転数(RPM)などの車輪回転数をカウントし得る。TPMSセンサからの各データパケットの受信時刻に基づいて、無線ホストデバイス240は、データパケットがTPMSセンサによって送信されたときの車輪角度を推定するためにWSSデータを使用し得る。無線ホストデバイス240は、TPMSセンサからのデータパケットのRSSI測定値の集合を、車輪から受信されたWSSデータに基づいてデータパケットについて推定された対応する車輪角度とペアリングすることによって、車輪に関連付けられたTPMSセンサに対するRSSIシグネチャを生成し得る。
【0017】
図3は、本開示の一態様による、異なるタイヤからのTPMSセンサ通信のRSSI測定値をABSシステムの車輪速度センサから導出された車輪角度と照合してタイヤ位置特定を行うことによってRSSIシグネチャを生成するための技術を示す。
【0018】
無線ホストデバイス240は、右前タイヤのTPMSセンサからのデータパケット333および左前タイヤのTPMSセンサからのデータパケット335を含む、4つすべてのタイヤからのセンサ測定値のデータパケットを受信し得る。無線ホストデバイス240は、各データパケットのRSSIおよび受信時刻、ならびにデータパケットを送信するTPMSの識別情報を決定し得る。上述したように、TPMSセンサ通信は車輪回転と同期されず、時間的にランダムに発生し得る。右前タイヤからのデータパケットの時間の関数としてのRSSIのプロットがダイアグラム353に示され、左前タイヤからのデータパケットの時間の関数としてのRSSIのプロットがダイアグラム355に示されている。
【0019】
無線ホストデバイス240は、右前輪の速度センサによって測定されたABSデータ343および左前輪の速度センサによって測定されたABSデータ345を含む4つの車輪すべてからのABSデータを受信し得る。無線ホストデバイス240へのABSデータ通信は、有線バスまたは無線チャネルを介してもよい。無線ホストデバイス240は、ABSデータによって提供される車輪の回転速度の情報から、TPMSセンサからのデータパケットの受信時(または送信時)の車輪の車輪角度を推定し得る。TPMSデータパケットの受信時刻とABSデータの受信時刻との間の不一致に起因する推定車輪角度の誤差は、RSSIシグネチャの生成またはタイヤ位置特定のためのそれらの使用に影響を及ぼすことは期待されない。一態様では、無線ホストデバイス240は、時間不一致および推定車輪角度の誤差を低減または制御するためにTPMSセンサ通信のタイミングを制御する要求をTPMSセンサに送信し得る。右前輪からのデータパケットの受信時刻の関数としての右前輪の推定車輪角度のプロットがダイアグラム363に示され、左前輪からのデータパケットの受信時刻の関数としての左前輪の推定車輪角度のプロットがダイアグラム365に示されている。
【0020】
無線ホストデバイス240は、TPMSセンサからの複数のデータパケットのRSSI測定値と、データパケットの受信時刻に対応する推定車輪角度と、を組み合わせて、TPMSセンサ-車輪ペアのRSSIシグネチャを生成し得る。例えば、右前輪のTPMSセンサと右前輪の推定角度とのペアリングに対するRSSIシグネチャのプロットがダイアグラム373に示され、左前輪のTPMSセンサと左前輪の推定角度とのペアリングに対するRSSIシグネチャのプロットがダイアグラム375に示されている。車両上のすべての車輪がわずかに異なる速度で回転し、無線ホストデバイス240が車体の中心からずれて配置されたときの各TPMSセンサのアンテナに対する無線ホストデバイス240のアンテナの非対称性に起因して、RSSIシグネチャは、タイヤ位置特定のためにTPMSセンサの位置を識別するために使用され得る各車輪の固有のマーカである。
【0021】
車両は、複数の無線ホストデバイス240を有し得る。各無線ホストデバイス240は、TPMSセンサからのデータパケットのRSSI測定値に基づいて、TPMSセンサ-車輪ペアのRSSIシグネチャを独立に生成し得る。一態様では、データパケットの受信時刻に対応する車輪角度推定値は、複数の無線ホストデバイス240間で共有または再利用されてもよい。一態様では、TPMSセンサ-車輪の同じペアリングについて各無線ホストデバイス240によって計算されたノイズ分散は、タイヤ位置特定を行うときに合計されてもよい。
【0022】
図4は、本開示の一態様による、タイヤからのTPMSセンサ通信のRSSI測定値が車輪の車輪角度と正確に一致するときの明確なRSSIシグネチャの生成、およびタイヤからのTPMSセンサ通信のRSSI測定値が車輪の車輪角度と正確に一致しないときの明確なRSSIシグネチャの欠如を示す。
【0023】
4つの車輪を有する車両では、TPMSセンサパケットの受信時刻に対応する4つすべての車輪のABSデータから車輪角度が推定される。データパケットを生成し得る4つのTPMSセンサも、各タイヤに1つずつ存在する。結果として、4つのTPMSセンサのRSSI測定値と4つの車輪の推定車輪角度との16個の可能なペアリングがあり、16個のRSSIシグネチャが得られる。より一般的には、N個の車輪およびN個のTPMSセンサがある場合、RSSIシグネチャの総数はNである。タイヤ位置特定は、N個の車輪についての推定された車輪角度を有するN個のTPMSセンサについてのRSSI測定値のすべての可能なペアリングから生成されたN個のRSSIシグネチャに作用することによって、すべてのTPMSセンサについてのTPMSセンサと車輪の正しいペアリングを見つけようと試みる。
【0024】
RSSIシグネチャがTPMSセンサと車輪との正しいペアリングを表す場合、TPMSセンサのRSSI測定値は車輪角度の関数であるため、RSSIシグネチャは、車輪の360°回転にわたって識別可能な周期的変動を示し得る。他方、TPMSセンサが車輪と正しくペアリングされていない場合、TPMSセンサのRSSI測定値は他の車輪からのランダムな車輪角度とペアリングされているため、RSSIシグネチャは識別可能な特性を示さないことがある。一態様では、無線ホストデバイス240は、TPMSセンサおよび車輪の正しいペアリングを決定するために、RSSIシグネチャに基づいてメトリックを計算し得る。メトリックは、RSSIシグネチャのノイズレベルに基づいてもよい。ホストデバイスは、車輪角度の360°の範囲にわたるRSSIシグネチャのノイズ分散を計算し得る。正しくペアリングされたTPMSセンサ-車輪のRSSIシグネチャは、より低いノイズ分散を示す傾向がある。誤ってペアリングされたTPMSセンサ-車輪のRSSIシグネチャは、ランダムなプロセスで期待されるようにより大きなノイズ分散を有し得る。
【0025】
図4では、4つの車輪は、車輪1、2、3および4とラベル付けされており、これらはそれぞれ、TPMSセンサパケットの受信時刻に対応する推定車輪角度(t)411、角度(t)412、角度(t)413および角度(t)414を有し得る。4つのTPMSセンサは、A、B、CおよびDとラベル付けされ、それぞれRSSI測定値RSSI(t)421、RSSI(t)422、RSSI(t)423およびRSSI(t)424を有し得る。TPMSセンサCが車輪2上のタイヤの内側にあると仮定すると、TPMSセンサCのRSSI測定値(RSSI(t)423)および車輪2の車輪角度(角度(t)412)から生成されたRSSIシグネチャ430は、明確なシグネチャおよび小さなノイズ分散を示す。TPMSセンサA、B、またはD(RSSI(t)421、RSSI(t)422およびRSSI(t)424)のRSSI測定値および車輪2の車輪角度(角度(t)412)から生成されたRSSIシグネチャ440は、明確なシグネチャを示さず、ノイズの分散が大きくなる。4つの車輪の場合、無線ホストデバイス240は、TPMSセンサ-車輪の4つのペアリングに対応する4つのRSSIシグネチャのノイズ分散を合計することによって、4つのTPMSセンサを4つの車輪とペアリングするためのメトリックを計算し得る。4つのTPMSセンサを4つの車輪とペアリングする24個の異なる可能な方法がある。より一般的には、N個の車輪およびN個のTPMSセンサについて、N個の車輪とN個のTPMSセンサとをペアリングするN!個の異なる可能な方法がある。無線ホストデバイス240は、N個の車輪とN個のTPMSセンサをペアリングする全部でN!個の組み合わせのうちで、合計されたノイズ分散の最小値を見つけることによって、タイヤ位置特定を行い得る。
【0026】
図5は、本開示の一態様による、タイヤ位置特定のために使用される異なる車輪の固有のRSSIシグネチャの特性を示す。RSSIシグネチャは、複数のデータパケットのRSSIを測定し、ドライブ開始時に対応する車輪角度を推定することによって生成される。
【0027】
左側のダイアグラムは、車輪1のタイヤのTPMSセンサと正しくペアリングされているときの車輪1のRSSIシグネチャ511を示す。車輪角度の範囲は、車輪の360°回転をカバーする。RSSIシグネチャ上の各点は、TPMSセンサからのデータパケットの測定されたRSSI値とデータパケットが受信されたときの車輪1の推定角度とのベクトル513を表す。RSSIシグネチャを構成する数百のRSSI-車輪角度ベクトルが存在し得る。
【0028】
右側のダイアグラムは、車輪2のタイヤのTPMSセンサと正しくペアリングされているときの車輪2のRSSIシグネチャ521を示す。RSSIシグネチャ上の各点は、TPMSセンサからのデータパケットの測定されたRSSI値とデータパケットが受信されたときの車輪2の推定角度とのベクトル523を表す。
【0029】
車輪1のRSSIシグネチャ511または車輪2のRSSIシグネチャ521は、フィルタリング演算によってRSSI-車輪角度ベクトルのそれぞれの集合から抽出されてもよい。一態様では、抽出動作は、RSSIシグネチャを抽出するために、平均化ウィンドウにおいてRSSI-車輪角度ベクトルを平均化し得る。平均化演算は、以下によって表され得る:
Signatureij(a)=mean(RSSIij[a-Δ/2,a+Δ/2])(式1)
ここで、Signatureij(a)は、TPMSセンサiからのデータパケットの測定されたRSSIおよび車輪jの推定角度から生成されたベクトルに対する車輪角度aの抽出されたRSSIシグネチャを表し、RSSIij[a-Δ/2,a+Δ/2]は、TPMSセンサiからのデータパケットおよび車輪角度aを中心とするΔの平均化ウィンドウ内にある車輪jの推定角度のRSSI-車輪角度ベクトルの測定されたRSSIを表す。
【0030】
一態様では、抽出動作は、RSSIシグネチャを抽出するために、ベクトルのウィンドウに対してより一般的な有限インパルス応答(FIR)フィルタを使用し得る。フィルタリング演算は、以下によって表され得る:
【数1】
ここで、W(d)は、角度距離dの関数としての重み関数であり、NはRSSI-車輪角度ベクトルの数であり、|Angle(t)-a|は、重み関数W(d)の中心における車輪角度aとRSSI-車輪角度ベクトルの車輪角度との間の角度距離であり、RSSI[Angle(t)]は、|Angle(t)-a|で参照されるRSSI-車輪角度ベクトルの測定されたRSSIを表す。分母は、重み関数の正規化(平均化)を表す。
【0031】
一態様では、平均化演算、FIRフィルタ、または重み関数は、RSSI-車輪角度ベクトルのスライディングウィンドウに作用し得る。一態様では、平均化演算、FIRフィルタ、または重み関数は、車輪角度の360°にわたるいくつかの離散角度aに作用し得る。RSSIシグネチャを生成するために、離散角度aに対する抽出されたRSSIシグネチャの補間が使用され得る。一態様では、ニューラルネットワークが、時間的特徴などの他の特性を示すためにRSSIシグネチャを抽出し得る。
【0032】
車輪1の抽出されたRSSIシグネチャ511および車輪2の抽出されたRSSIシグネチャ521は、最大値と最小値との間のRSSIの差などの異なる特性を示す。2つのRSSIシグネチャにおいてはまた、異なる数の最大値と最小値があり、極値間の距離も異なる。RSSIシグネチャの一意性により、それらをタイヤ位置特定に使用することができる。有利には、RSSIシグネチャの特徴的な特性は、絶対的なRSSI値とは無関係である。したがって、RSSIシグネチャは、雨や雪などのさまざまな環境条件に対して脆弱ではない。それらはまた、TPMSセンサまたは無線ホストデバイスのデバイス較正を必要としない。
【0033】
一態様では、TPMSセンサからの測定されたRSSI値と各車輪のWSSデータによって与えられる車輪回転の周期との自己相関を使用して、タイヤ位置特定のための固有のシグネチャを生成し得る。例えば、自己相関は、TPMSセンサからのRSSI測定値の自己相関をとることによって生成されてもよく、自己相関関数のために使用されるRSSI測定値は、車輪のWSSデータから決定されたホイール回転周期の仮説的な測定値によって分離される。例えば、車輪の第1の回転周期のRSSI測定値は、同じ車輪の第2の(後続の)回転周期のRSSI測定値と乗算されてもよく、積は、自己相関を生成するために積分される。一態様では、自己相関は、ホイールの複数の回転周期にわたって積分されてもよい。車輪の車輪回転周期の仮説的な測定値がRSSI測定の周期と一致する場合、自己相関関数の最大値が期待され、RSSI測定値と車輪が正しくペアリングされていることを示す。自己相関関数は、以下によって表され得る:
【数2】
ここで、RSSIは、RSSI信号の周期にわたる離散的なRSSI測定値であり、pは、車輪のWSSデータから決定された車輪回転周期の仮説的な測定値である。
【0034】
図6は、本開示の一態様による、無線ホストデバイス640がTPMSセンサからパケットを、およびABSシステムから推定車輪角度を受信し、TPMSパケットの受信時間に基づいてRSSIシグネチャおよびRSSIシグネチャの分類を生成してタイヤ位置特定を行うTPMSアプリケーションのブロック図を示す。図6は、BLEを使用するTPMS通信を示しているが、他の無線技術も適用可能である。
【0035】
ホストBLEデバイス640は、TPMSデバイス1(601)からのデータパケット621およびTPMSデバイスN(604)からのデータパケット624を含むいくつかのTPMSセンサからのBLEデータパケットを受信し得る。ホストBLEデバイス640は、RSSI測定および受信時刻決定動作642を行い、受信されたデータパケットのRSSIおよび受信時刻を測定し得る。動作642は、TPMSセンサiから時刻tに受信されたデータパケットの測定されたRSSIを表すRSSI(t)653を生成し得る。ホストBLEデバイス640は、TPMSセンサiからのデータパケットの受信時刻(t)651をABSコントローラ660に出力して、ABSコントローラ660は、データパケットが受信されたときの車輪の車輪角度を推定し得る。
【0036】
ABSコントローラ660は、各車輪上の速度センサによって測定されたWSSデータなど、いくつかのABSセンサからABSセンサデータを受信し得る。センサデータは、ABS WSS1(611)からのABSセンサ1データ631およびABS WSS N(614)からのABSセンサNデータ634を含み得る。WSSデータは、専用時間中の角度変化または各車輪の回転速度を示してもよい。ABSコントローラ660は、ABSセンサデータとTPMSセンサiからのデータパケットの受信時刻(t)651とに基づいて車輪角度推定動作662を行い、TPMSセンサiからのデータパケットが受信されたときに車輪jの車輪角度Angle(t)671を推定し得る。ABSコントローラ660は、ホストBLEデバイス640への出力のために各車輪について車輪角度Angle(t)671を推定し得る。一態様では、ABSコントローラ660が車輪角度を推定する代わりに、ホストBLEデバイス640が、車輪角度を推定するためにABSコントローラ660からセンサデータを受信してもよい。
【0037】
ホストBLEデバイス640は、TPMSセンサiからのデータパケットのRSSI測定値RSSI(t)653および車輪jについての対応する車輪角度Angle(t)671に基づいて、TPMSセンサiと車輪jとのペアリングを表すRSSIシグネチャRSSI[Angle(t)]655を抽出するためにRSSIシグネチャおよび特徴抽出動作644を実行し得る。ホストBLEデバイス640は、N個のTPMSセンサとN個の車輪とのすべての可能なペアリングについてRSSIシグネチャRSSI[Angle(t)]を抽出して、N個のRSSIシグネチャを生成し得る。RSSIシグネチャおよび特徴抽出動作644は、図5に記載された方法を使用して実施され得る。
【0038】
ホストBLEデバイス640は、分類動作646を行い、N個すべてのTPMSセンサに対するTPMSセンサと車輪の正しいペアリングを決定し得る。分類動作646は、車輪角度の360°の範囲にわたるRSSIシグネチャのノイズ分散など、N個のRSSIシグネチャのそれぞれに対するメトリックを計算し得る。分類動作646は、N個のTPMSセンサとN個の車輪との特定のペアリングについて計算されたメトリックを合計して、この特定の組み合わせについて合計されたメトリックを生成し得る。N個のRSSIシグネチャに基づいて、N個の車輪とN個のTPMSセンサとをペアリングするN!個の異なる可能な方法がある。分類動作646は、タイヤ位置特定結果657を生成するために、N個の車輪とN個のTPMSセンサとのN!個の異なるペアリングのうちで合計されたメトリックの最小値を見つけ得る。
【0039】
図7は、本開示の一態様による、TPMSパケットのRSSI測定値とABSセンサから導出された車輪角度とのすべての組み合わせをペアリングすることによってRSSIシグネチャを生成し、タイヤ位置特定のためにTPMSデバイスと車輪のABSセンサとの正しいペアリングを決定するためにRSSIシグネチャに基づいてメトリックを生成するように無線ホストデバイスを動作させるための方法700の流れ図を示す。方法700は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを利用する無線ホストデバイスなどのデバイスによって行われてもよい。
【0040】
動作701で、無線ホストデバイスは、時刻(t)においてTPMSデバイスiからBLEパケットを受信する。車両の各タイヤに1つずつ、最大N個のTPMSデバイスが存在してもよい。
【0041】
動作703で、無線ホストは、時刻(t)においてTPMSデバイスiから受信されたBLEパケットのRSSI測定値RSSI(t)を決定する。
【0042】
動作705で、無線ホストは、ABS WSSjからWSSデータを受信する。各車輪に1つずつ、最大N個のABS車輪速度センサが存在してもよい。車輪のWSSデータは、専用時間中の角度変化または車輪の回転速度を示してもよい。
【0043】
動作707において。無線ホストデバイスは、BLEパケットの受信時刻(t)における車輪j上のABS WSSjの車輪角度Angle(t)を決定する。動作707は、N個の車輪の各々の車輪角度Angle(t)を決定し得る。
【0044】
動作709で、無線ホストデバイスは、RSSI(t)およびAngle(t)を組み合わせて、TPMSデバイスiからのBLEパケットのRSSI測定値と車輪j上のABS WSSjの車輪角度とのすべての可能なペアリングに対するRSSI-角度ベクトルRSSI[Angle(t)]を生成する。
【0045】
動作711で、無線ホストデバイスは、TPMSデバイスiと車輪j上のABS WSSjとの各ペアリングについてRSSI[Angle(t)]のRSSIシグネチャijを抽出するか、または利用可能であれば以前に抽出されたRSSIシグネチャijを使用する。無線ホストデバイスは、RSSIシグネチャijを生成するために、ドライブの開始時にいくつかのRSSI[Angle(t)]を収集してもよい。N個のTPMSデバイスおよびN個の車輪上のN個のABS WSSの場合、無線ホストデバイスはN個のRSSIシグネチャijを生成し得る。以前に抽出されたRSSIシグネチャijは、以前のドライブから生成されてもよい。無線ホストデバイスは、以前に抽出されたRSSIシグネチャijと現在のドライブの収集されたRSSI[Angle(t)]とを使用して現在のドライブのRSSIシグネチャijを抽出して、タイヤ位置特定のためのRSSI測定の数を減らし得る。
【0046】
動作713で、無線ホストデバイスは、収集されたRSSI[Angle(t)]および抽出されたRSSIシグネチャijに基づいて、TPMSデバイスiと車輪j上のABS WSSjとのペアリングのすべての組み合わせに対するメトリックを決定する。動作713は、車輪角度の360°の範囲にわたるノイズ分散を計算することによって、N個のRSSIシグネチャijの各々に対するメトリックを計算し得る。正しくペアリングされたTPMSデバイスiおよび車輪j上のABS WSSjに対するRSSIシグネチャijは、明確なシグネチャおよび小さなノイズ分散を示し得る。一方、正しくペアリングされていないTPMSデバイスiおよび車輪j上のABS WSSjに対するRSSIシグネチャijは、明確なシグネチャを示さず、ノイズ分散が大きくなり得る。
【0047】
動作715で、無線ホストデバイスは、メトリックに基づいて、N個のTPMSデバイスとN個の車輪上のN個のABS WSSとの正しいペアリングを決定する。動作715は、N個のTPMSセンサとN個の車輪上のN個のABS WSSとの特定のペアリングについて計算されたメトリックを合計して、この特定の組み合わせについて合計されたメトリックを生成し得る。N個のRSSIシグネチャijに対応するN個のメトリックに基づいて、N個のTPMSデバイスをN個の車輪上のN個のABS WSSとペアリングするN!個の異なる可能な方法がある。動作715は、タイヤ位置特定のための正しいペアリングを識別するために、N個のTPMSデバイスとN個の車輪上のN個のABS WSSとのN!個の異なるペアリングのうちで、合計されたメトリックの最小値を見つけ得る。
【0048】
図8は、本開示の一態様による、分散がタイヤ位置特定を行うためのメトリックとして使用され得るように、TPMSデバイスが車輪と正しくまたは誤ってペアリングされたときのRSSIシグネチャのノイズの違いを示す。
【0049】
TPMSセンサiと車輪jとのペアリングを表すRSSI-角度ベクトルRSSI[Angle(t)]のノイズは、車輪角度Angle(t)で抽出されたRSSIシグネチャijを減算することによって計算され得る。ノイズは、抽出されたRSSIシグネチャijからのRSSI[Angle(t)]の偏差を表し、以下によって表され得る:
Noise[Angle(t)]=RSSI[Angle(t)]-Signatureij(Angle(t))
(式4)
ここで、Noise[Angle(t)]は、RSSI[Angle(t)]のノイズを表す。
【0050】
TPMSセンサiと車輪jとが正しくペアリングされている場合、RSSIシグネチャijは、図3図4および図5に示すように、車輪の360°の回転にわたって明確なシグネチャを示すので、ノイズは小さい傾向がある。図8のダイアグラム811は、TPMSセンサiと車輪jとが正しくペアリングされているときにRSSIシグネチャijを生成するために使用されるRSSI-角度ベクトルの集合についてのノイズの分布を示す。ノイズは一般に小さく、RSSIシグネチャijの分散も小さい。RSSIシグネチャijの分散は、以下によって表され得る:
ij=var{RSSI[Angle(t)]-Signatureij(Angle(t))}
(式5)
ここで、VijはRSSIシグネチャijの分散を表す。
【0051】
TPMSセンサiと車輪jとが正しくペアリングされていない場合、車輪角度Angle(t)は、TPMSセンサiからのデータパケットが受信されたときの車輪の真の角度に対応しない。RSSIシグネチャijはランダムなプロセスと見なされ、図4に示すようにノイズが増加する。図8のダイアグラム813は、TPMSセンサiと車輪jとが正しくペアリングされていないときにRSSIシグネチャijを生成するために使用されるRSSI-角度ベクトルの集合についてのノイズの分布を示す。ノイズは一般に大きく、RSSIシグネチャijの分散もダイアグラム811に比べてより大きい。結果として、RSSIシグネチャijの分散は、タイヤ位置特定のためのメトリックとして使用され得る。
【0052】
図9は、本開示の一態様による、TPMSパケットのRSSI測定値と4輪車両用のABS車輪速度センサから導出された車輪角度との16個すべての組み合わせをペアリングすることによってRSSIシグネチャを生成するための方法900およびタイヤ位置特定を行うためのメトリックとしてのRSSIシグネチャの分散の使用の流れ図を示す。方法900は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを利用する無線ホストデバイスなどのデバイスによって行われてもよい。
【0053】
動作901で、デバイスは、RSSI(t)とAngle(t)とを組み合わせて、TPMSデバイスiと4輪車両上のABS車輪速度センサjとの16個のijペアリングに対するRSSI-角度ベクトルRSSI[Angle(t)]を生成する。
【0054】
動作903で、デバイスは、360°にわたる車輪角度について、TPMSデバイスiと車輪jのABS車輪速度センサjの16個のijペアリングの各々に対するRSSI[Angle(t)]のRSSIシグネチャijを抽出する。
【0055】
動作905で、デバイスは、360°にわたる車輪角度について、TPMSデバイスiと車輪jのABS車輪速度センサjの16個のijペアリングの各々に対するRSSIシグネチャijからRSSI[Angle(t)]の分散Vijを決定する。
【0056】
動作907で、デバイスは、TPMSデバイスiと車輪jのABS車輪速度センサjとの4輪ペアリングの24個の可能な組み合わせすべてをカバーする、TPMSデバイスiと車輪jのABS車輪速度センサjとの4個のijペアリングに対する分散Vijの和Vを決定する。
【0057】
動作909で、デバイスは、合計された分散Vの24個の値のうちの最小値に対応するものとして、TPMSデバイスiと車輪jのABS車輪速度センサjとの正しい4輪ペアリングを決定する。デバイスは、正しい4輪ペアリングをタイヤ位置特定結果として報告し得る。
【0058】
一態様では、デバイスは、N個のペアリングのN!個の可能な組み合わせのうちでTPMSセンサ-車輪のN個のペアリングの合計された分散Vにおいて明確な最小値があるかどうかを判定し得る。例えば、ホストデバイスは、N!個の値のうちでTPMSセンサ-車輪のN個のペアリングの2つの最小の合計された分散V間の正規化された差を決定し得る。一態様では、そのような正規化された差は、以下のように計算され得る:
【数3】
ここで、TPMSセンサ-車輪のN個のペアリングの2つの最小の合計された分散Vは、VC,1およびVC,2として表される。
【0059】
正規化された差が閾値よりも大きい場合、タイヤ位置特定の結果に対する十分な信頼性が宣言され得る。そうでなければ、ホストデバイスは、TPMSセンサ-車輪の正しいN個のペアリングにおける十分な信頼性が達成されるまで、追加のRSSI測定値を収集し得る。
【0060】
図10は、本開示の一態様による、信頼性レベルを改善するためにTPMSセンサの追加のRSSI測定値が必要であるかどうかを判定するために、TPMSセンサと車輪のABSセンサとの正しいペアリングに関連する信頼性レベルを生成するための方法1000の流れ図を示す。方法1000は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを利用する無線ホストデバイスなどのデバイスによって行われてもよい。
【0061】
動作1001で、デバイスは、TPMSデバイスiからの1つまたは複数のパケットの新しいRSSI(t)を収集する。
【0062】
動作1003で、デバイスは、TPMSデバイスiからのパケットの受信時刻(t)において、4輪車両の4つの車輪上の4つのABS車輪速度センサ(WSS)jのAngle(t)を決定する。
【0063】
動作1005で、デバイスは、TPMSデバイスiと車輪j上の4つのABS WSSjとの4個のijペアリングに対するRSSI-角度ベクトルRSSI[Angle(t)]を生成する。
【0064】
動作1007で、デバイスは、TPMSデバイスiと車輪j上の4つのABS WSSjとの4個のijペアリングの各々に対するRSSI[Angle(t)]のRSSIシグネチャijを更新する。
【0065】
動作1009で、デバイスは、TPMSデバイスiと車輪j上の4つのABS WSSjとの4個のijペアリングの各々に対するRSSIシグネチャijからRSSI[Angle(t)]の分散Vijを更新する。
【0066】
動作1011で、デバイスは、更新された分散Vijに基づいて、TPMSデバイスと車輪上のABS WSSとの4輪ペアリングの24個の可能な組み合わせをカバーする分散Vijの合計Vを更新する。
【0067】
動作1013で、デバイスは、更新されたVに基づいて、TPMSデバイスと車輪上のABS WSSとの正しい4輪ペアリングの信頼性レベルを更新する。一態様では、信頼性レベルは、24個の合計された分散値のうちの2つの最小の合計された分散値Vの間の正規化された差であり得る。
【0068】
動作1015で、デバイスは、信頼性レベルが閾値を超えるかどうかを判定する。信頼性レベルが閾値を超える場合、動作1017で、デバイスは、24個の合計された分散値のうちで最小の合計された分散値Vに対応するTPMSデバイスと車輪上のABS WSSとの4輪ペアリングを正しい4輪ペアリングとして決定する。信頼性レベルが閾値を超えない場合、デバイスは動作1001に戻って、TPMSデバイスiについて追加のRSSI(t)を収集する。その後、動作1003、1005、1007、1009、1011、1013および1015が繰り返され得る。
【0069】
一態様では、ホストデバイスは、ドライブの開始時にRSSIシグネチャを決定し得る。ホストデバイスは、次のドライブで使用するために現在のドライブのRSSIシグネチャを記憶して、次のドライブのタイヤ位置特定のためのRSSI測定値の数を減らし得る。例えば、ホストデバイスは、前のドライブからのTPMSセンサ-車輪ペアリングのために記憶されたRSSIシグネチャを、現在のドライブの開始時のRSSIシグネチャテンプレートとして使用し得る。ホストデバイスは、TPMSセンサからデータパケットのRSSI測定値を収集し、RSSIシグネチャテンプレートのTPMSセンサ-車輪ペアリングに対応する車輪に対するデータパケットの車輪角度を推定して、RSSIシグネチャテンプレートを更新し得る。更新されたRSSIシグネチャテンプレートがTPMSセンサ-車輪の正しいN個のペアリングにおいて十分な信頼性レベルを達成しない場合、ホストデバイスは、収集されたRSSI測定値および現在のドライブ中に推定された車輪角度のみに基づいて新しいRSSIシグネチャを抽出し得る。
【0070】
図11は、本開示の一態様による、タイヤ位置特定を行うためのメトリックの計算を支援するために車両の以前の動作から生成されたRSSIシグネチャテンプレートを使用するための方法1100の流れ図を示す。方法1100は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを利用する無線ホストデバイスなどのデバイスによって行われてもよい。
【0071】
動作1101で、デバイスは、時刻(t)においてTPMSデバイスiから受信された1つまたは複数のパケットのRSSI(t)を収集する。一態様では、1つまたは複数のパケットは、BLEパケットであり得る。
【0072】
動作1103で、デバイスは、ABS WSSjからのWSSデータに基づいて、TPMSデバイスiからのパケットの受信時刻(t)における車輪j上のABS車輪速度センサ(WSS)jの車輪角度Angle(t)を決定する。
【0073】
動作1105で、デバイスは、RSSI(t)およびAngle(t)を組み合わせて、TPMSデバイスiからのパケットのRSSI測定値と車輪j上のABS WSSjの車輪角度とのすべての可能なペアリングに対するRSSI-角度ベクトルRSSI[Angle(t)]を生成する。
【0074】
動作1107で、デバイスは、TPMSデバイスiからのパケットのRSSI測定値と、車輪j上のABS WSSjの車輪角度と、をペアリングするRSSIシグネチャijについて、以前に生成されたテンプレートが利用可能であるかどうかを判定する。RSSIシグネチャijについて以前に生成されたテンプレートは、以前のドライブから抽出されてもよい。
【0075】
RSSIシグネチャijについて以前に生成されたテンプレートが利用可能である場合、動作1109で、デバイスは、RSSI[Angle(t)]およびRSSIシグネチャijについて以前に生成されたテンプレートに基づいて、TPMSデバイスiと車輪j上のABS WSSjとのペアリングのすべての組み合わせに対するメトリックを決定する。一態様では、TPMSデバイスiと車輪j上のABS WSSjとのペアリングの各組み合わせに対するメトリックは、RSSI[Angle(t)]およびRSSIシグネチャijについて以前に生成されたテンプレートから決定されたRSSIシグネチャijの分散として計算され得る。
【0076】
動作1111で、デバイスは、メトリックの信頼性レベルを計算し、信頼性レベルが閾値を超えるかどうかを判定する。信頼性レベルが閾値を超える場合、動作1113で、デバイスは、メトリックに基づいてTPMSデバイスiと車輪センサjのABS WSSjの正しいN個のペアリングをタイヤ位置特定結果として報告する。一態様では、利用可能であれば、RSSI[Angle(t)]およびRSSIシグネチャijについて以前に生成されたテンプレートに基づいてメトリックを生成する代わりに、デバイスは、収集されたRSSI[Angle(t)]に基づいてRSSIシグネチャijを抽出して、現在のドライブから抽出されたRSSIシグネチャを以前のドライブからのRSSIシグネチャテンプレートと比較して、それらの間に十分な相関があるかどうかを判定してもよい。現在のドライブから抽出されたRSSIシグネチャと前のドライブからのRSSIシグネチャテンプレートとの間の高い相関は、タイヤ位置特定のために抽出されたRSSIシグネチャを使用する際に十分な信頼性レベルを示し得る。
【0077】
メトリックの信頼性レベルが閾値を超えない場合、または動作1107で、RSSIシグネチャijについて以前に生成されたテンプレートが利用可能でないと判定された場合、動作1115で、デバイスは、TPMSデバイスiと車輪j上のABS WSSjとの各ペアリングについて収集されたRSSI[Angle(t)]のみに基づいてRSSIシグネチャijを抽出する。
【0078】
動作1117で、デバイスは、収集されたRSSI[Angle(t)]および抽出されたRSSIシグネチャijに基づいて、TPMSデバイスiと車輪j上のABS WSSjとのペアリングのすべての組み合わせに対するメトリックを決定する。一態様では、TPMSデバイスiと車輪j上のABS WSSjとのペアリングの各組み合わせに対するメトリックは、RSSI[Angle(t)]および抽出されたRSSIシグネチャijから決定されたRSSIシグネチャijの分散として計算され得る。
【0079】
動作1119で、デバイスは、メトリックの信頼性レベルを計算し、信頼性レベルが閾値を超えるかどうかを判定する。信頼性レベルが閾値を超える場合、動作1113で、デバイスは、メトリックに基づいてTPMSデバイスiと車輪センサjのABS WSSjの正しいN個のペアリングをタイヤ位置特定結果として報告する。信頼性レベルが閾値を超えない場合、デバイスは動作1101に戻って、TPMSデバイスiからのパケットの追加のRSSI(t)を収集する。その後、動作1103、1105、1115、1117および1119が繰り返され得る。
【0080】
図12は、本開示の一態様による、TPMSパケットのRSSI測定値と4輪車両用のABSセンサから導出された車輪角度との16個すべての組み合わせを独立にペアリングするように各無線ホストデバイスを動作させ、タイヤ位置特定を行うためのメトリックとして複数の無線ホストデバイスからのRSSIシグネチャの分散を合計することによって、複数の無線ホストデバイスがある場合にRSSIシグネチャを生成するための方法1200の流れ図を示す。方法1200は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを利用する複数の無線ホストデバイス1、2、...kによって行われてもよい。
【0081】
動作1201で、無線ホストデバイス1は、無線ホストデバイス1によって受信されたパケットのRSSI(t)をAngle(t)と組み合わせて、TPMSデバイスiと4輪車両上のABS車輪速度センサjとの16個のijペアリングに対する無線ホストデバイス1のRSSI-角度ベクトルRSSI[Angle(t)]を生成する。
【0082】
動作1203で、無線ホストデバイス1は、360°にわたる車輪角度について、TPMSデバイスiと車輪jのABS車輪速度センサjの16個のijペアリングの各々に対する無線ホストデバイス1のRSSI[Angle(t)]のRSSIシグネチャijを抽出する。
【0083】
動作1205で、無線ホストデバイス1は、360°にわたる車輪角度について、TPMSデバイスiと車輪jのABS車輪速度センサjの16個のijペアリングの各々に対する無線ホストデバイス1のRSSIシグネチャijから無線ホストデバイス1のRSSI[Angle(t)]の分散Vijを決定する。
【0084】
動作1201、1203および1205は、複数の無線ホストデバイスの各々によって独立に行われてもよい。
【0085】
例えば、動作1207で、無線ホストデバイスkは、無線ホストデバイスkによって受信されたパケットのRSSI(t)をAngle(t)と組み合わせて、TPMSデバイスiと4輪車両上のABS車輪速度センサjとの16個のijペアリングに対する無線ホストデバイスkのRSSI-角度ベクトルRSSI[Angle(t)]を生成する。
【0086】
動作1209で、無線ホストデバイスkは、360°にわたる車輪角度について、TPMSデバイスiと車輪jのABS車輪速度センサjの16個のijペアリングの各々に対する無線ホストデバイスkのRSSI[Angle(t)]のRSSIシグネチャijを抽出する。
【0087】
動作1211で、無線ホストデバイスkは、360°にわたる車輪角度について、TPMSデバイスiと車輪jのABS車輪速度センサjの16個のijペアリングの各々に対する無線ホストデバイスkのRSSIシグネチャijから無線ホストデバイスkのRSSI[Angle(t)]の分散Vijを決定する。
【0088】
動作1213で、無線ホストデバイスのうちの1つまたは別個のコントローラは、k個の無線ホストデバイスからのTPMSデバイスiおよびABS車輪速度センサjの対応するペアリングについての分散Vijを合計することによって、TPMSデバイスiおよび車輪jのABS車輪速度センサjの4輪ペアリングの24個すべての可能な組み合わせをカバーする、TPMSデバイスiおよび車輪jのABS車輪速度センサjの4個のijペアリングについての分散Vijの合計Vを決定する。
【0089】
動作1215で、1つの無線ホストデバイスまたはコントローラは、合計された分散Vの24個の値のうちの最小値に対応するものとして、TPMSデバイスiと車輪jのABS車輪速度センサjとの正しい4輪ペアリングを決定する。デバイスまたはコントローラは、正しい4輪ペアリングをタイヤ位置特定結果として報告し得る。
【0090】
図13は、本開示の一態様による、タイヤ位置特定を行うためにABS WSSデータから導出された車輪角度に基づいて、TPMSセンサ通信の受信信号強度インジケータ(RSSI)シグネチャを決定するデバイス1300のブロック図を示す。一態様では、デバイス1300は、図2の無線ホストデバイス240であってもよい。
【0091】
デバイス1300は、無線機1302、アンテナサブシステム1310、デバイスコントローラ1304およびI/Oサブシステム1306を含み得る。無線機1302は、TPMSデバイスによって送信されたセンサデータパケットを受信するために、および/または制御パケットをTPMSデバイスに送信するために、アンテナサブシステム1310に結合されたアンテナコントローラ1308を含み得る。無線機1302は、Bluetooth Low Energy(BLE)、IEEE 802.15.4、IEEE 802.11、またはその他の無線アクセス技術を実施する短距離狭帯域無線機であり得る。アンテナサブシステム1310は、アンテナ利得を増加させるためのビームフォーミング能力または指向能力を有するアンテナのアレイを含み得る。アンテナコントローラ1308は、RSSI測定動作1320において、TPMSデバイスから受信された各受信データパケットのRSSIを測定し得る。
【0092】
デバイスコントローラ1304は、I/Oサブシステム1306を介してABSコントローラからWSSデータ1324を受信し、TPMSデバイスからの受信されたデータパケットに対応する複数の車輪の車輪角度を推定し得る。WSSデータ1324は、各車輪上のWSSによって測定され得る。WSSデータは、専用時間中の角度変化または各車輪の回転速度を示してもよい。TPMSデバイスから受信された各データパケットの受信時刻(1322)に基づいて、コントローラ1304は、WSSデータ1324を使用して、データパケットがTPMSデバイスによって送信されたときの各車輪の車輪角度を推定し得る。コントローラ1304は、TPMSデバイスからのデータパケットのRSSI測定値の集合を、RSSIシグネチャおよびタイヤ位置特定動作1326において車輪から受信されたWSSデータに基づいてデータパケットについて推定された対応する車輪角度とペアリングすることによって、車輪に関連付けられたTPMSデバイスに対するRSSIシグネチャを生成し得る。RSSIシグネチャは、タイヤ位置特定のためにTPMSデバイスの位置を識別するために使用され得る各車輪の固有のマーカである。
【0093】
一態様では、RSSIシグネチャを改善するために、アンテナサブシステム1310は、地上からの反射を弱く受信して、TPMSデバイスからの送信のマルチパス効果を低減する偏波アンテナを含み得る。マルチパス効果をさらに低減するために、アンテナサブシステム1310および無線機1302は、TPMSデバイスに視線を提供するために車両の底側に配置されてもよい。そのような配置はまた、シャドーイング効果を活用して、改善されたRSSIシグネチャのRSSIシグネチャ変動を増加させ得る。一態様では、アンテナコントローラ1308は、無線機1302とTPMSデバイスとの間の無線通信チャネルの特性に関する追加情報を取得するために、パケットの途中で2つの指向性アンテナを切り換え得る。
【0094】
TPMSセンサから受信されたデータパケットのRSSIから導出されたRSSIシグネチャおよび車輪の車輪角度に基づいて車両上の車輪に対するTPMSセンサのペアリングを決定するための記載された技術は、デバイス位置特定の他の用途に適用され得る。一態様では、記載された技術は、RSSIが対応する第2のセンサの角度位置の関数である場合、第1のセンサのセットから受信されたパケットのRSSIシグネチャを使用して、第1のセンサのセットを第2のセンサのセットとペアリングすることに適用され得る。
【0095】
図14は、本開示の一態様による、第1のセットの無線センサから受信されたデータパケットのRSSIが対応する第2のセンサの角度位置に依存する場合に、第1のセットの無線センサから受信されたパケットのRSSIシグネチャを用いて第1のセットの無線センサを第2のセットのセンサに関連付けるための方法1400の流れ図を示す。方法1400は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを利用する無線ホストデバイスなどのデバイスによって行われてもよい。
【0096】
動作1401で、無線デバイスは、第1のセットの無線センサのうちの1つから受信された複数のデータパケットの各々に関連付けられた受信時刻および受信信号強度インジケータ(RSSI)を決定する。第1のセットの無線センサのうちの1つから受信されたデータパケットのRSSIは、無線センサに関連付けられた第2のセンサの角度位置に依存する。第1のセットの無線センサの各々は、第2のセットからの第2のセンサのそれぞれ1つに関連付けられる。
【0097】
動作1403で、受信された複数のデータパケットの各々について、無線デバイスは、データパケットが受信されたときに第2のセンサのセットの推定角度位置を生成するために、データパケットの受信時刻に第2のセンサの各1つの角度位置を決定する。
【0098】
動作1405で、無線デバイスは、角度位置の範囲にわたってRSSIの分散のRSSIシグネチャを決定する。RSSIシグネチャは、第1のセットの無線センサから受信された複数のデータパケットのRSSIと、複数のデータパケットの各々が受信されたときの第2のセットのセンサの推定角度位置と、に基づいて決定される。
【0099】
動作1407で、無線デバイスは、RSSIシグネチャに基づいて、第1のセットの無線センサと第2のセットの第2のセンサとの間の関連付けを決定する。
【0100】
TPMSセンサを車両上の車輪にペアリングするためのタイヤ位置特定のさまざまな実施形態、またはより一般的には、本明細書に記載される第1のセットのセンサからの通信のRSSIシグネチャおよび対応する第2のセンサの角度位置に基づいて第1のセットのセンサを第2のセットのセンサとペアリングするための技術は、さまざまな動作を含み得る。これらの動作は、ハードウェア構成要素、デジタルハードウェアおよび/またはファームウェア/プログラマブルレジスタ(例えば、コンピュータ可読媒体で実施される)および/またはそれらの組み合わせによって行われ、および/または制御され得る。例えば、これらの動作は、コンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータプログラムを実行する汎用コンピュータまたは処理システムによって行われてもよい。本明細書に記載の方法および例示的な例は、いかなる特定のデバイスまたは他の装置にも本質的に関連しない。本明細書に記載の教示に従ってさまざまなシステム(例えば、近距離または遠距離環境で動作する無線機器、ピコエリアネットワーク、広域ネットワークなど)が使用されてもよく、または必要な方法ステップを実行するためのより特殊化された装置を構築することが好都合であることが判明し得る。さまざまなこれらのシステムに必要な構造は、上記の説明に記載されているように現れる。
【0101】
本開示のさまざまな態様の動作を実施するために使用されるコンピュータ可読媒体は、限定はしないが、電磁記憶媒体、光磁気記憶媒体、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブルメモリ(例えば、EPROMおよびEEPROM)、フラッシュメモリ、または構成情報を記憶するのに適した他の現在知られているもしくは後に開発される非一時的なタイプの媒体を含み得る非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
【0102】
上記の説明は例示を意図しており、限定を意図していない。本開示は、特定の例示的な実施例を参照して説明されたが、本開示は、説明された実施例に限定されないことが認識されるであろう。本開示の範囲は、以下の請求項を参照し、請求項が権利を有する均等物の全範囲とともに決定されるべきである。
【0103】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含み得る(may include)」および/または「含む(including)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解されよう。したがって、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではない。
【0104】
いくつかの代替の実装形態では、記載された機能/動作は、図に記載された順序から外れて行われてもよいことにも留意されたい。例えば、連続して示される2つの図は、実際には、関与する機能/動作に応じて、実質的に同時に実行されてもよく、または時には逆の順序で実行されてもよい。
【0105】
方法動作は特定の順序で説明されたが、記載された動作の間に他の動作が行われてもよく、記載された動作は、それらがわずかに異なる時間に発生するように調整されてもよく、または記載された動作は、処理に関連するさまざまな間隔で処理動作の発生を可能にするシステムに分散されてもよいことを理解されたい。例えば、特定の動作は、少なくとも部分的に、逆の順序で、他の動作と同時におよび/または並行して行われてもよい。
【0106】
さまざまなユニット、回路、または他の構成要素は、1つまたは複数のタスクを行う「ように構成される」または「ように構成可能な」として記載または特許請求され得る。そのような文脈では、「ように構成される」または「ように構成可能な」という語句は、ユニット/回路/構成要素が動作中に1つまたは複数のタスクを行う構造(例えば、回路)を含むことを示すことによって構造を暗示するために使用される。したがって、ユニット/回路/構成要素は、指定されたユニット/回路/構成要素が現在動作していない(例えば、オンではない)場合でも、タスクを行うように構成されている、またはタスクを行うように構成可能であると言うことができる。「ように構成される」または「ように構成可能な」という言語とともに使用されるユニット/回路/構成要素は、ハードウェア、例えば、回路、動作を実施するために実行可能なプログラム命令を記憶するメモリなどを含む。ユニット/回路/構成要素が、1つまたは複数のタスクを行う「ように構成される」、または1つまたは複数のタスクを行う「ように構成可能な」ことを明記することは、米国特許法第112条第6項をそのユニット/回路/構成要素について発動しないことを明示的に意図している。
【0107】
さらに、「ように構成される」または「ように構成可能な」は、問題のタスクを行うことができるように動作するようにファームウェア(例えば、FPGA)によって操作される一般構造(例えば、汎用回路)を含むことができる。「ように構成される」はまた、製造プロセス(例えば、半導体製造設備)を、1つまたは複数のタスクを実施または行うように適合されたデバイス(例えば、集積回路)を製造するように適合させることを含み得る。「ように構成可能な」は、開示された機能を行うように構成されるようにプログラムされていないデバイスに能力を与えるプログラムされた媒体を伴わない限り、ブランク媒体、プログラムされていないプロセッサ、またはプログラムされていないプログラマブル論理デバイス、プログラマブルゲートアレイ、または他のプログラムされていないデバイスに適用されないことが明確に意図されている。
【0108】
上記の説明は、説明を目的として、特定の実施形態を参照して説明されている。しかしながら、上記の例示的な説明は、網羅的であること、または本発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。上記の教示を考慮して、多くの修正および変形が可能である。実施形態は、実施形態の原理およびその実際の用途を最もよく説明し、それによって、他の当業者が、企図される特定の用途に適し得る実施形態およびさまざまな修正を最もよく利用することを可能にするために選択および説明された。したがって、本実施形態は、例示的であり、限定的ではないと考えられるべきであり、本発明は、本明細書に与えられた詳細に限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲および均等物の範囲内で修正され得る。
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【外国語明細書】