IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッドの特許一覧 ▶ ピーピージー パウダー コーティングス (シャンハイ) カンパニー, リミテッドの特許一覧

<>
  • 特開-誘電体コーティング 図1
  • 特開-誘電体コーティング 図2
  • 特開-誘電体コーティング 図3
  • 特開-誘電体コーティング 図4
  • 特開-誘電体コーティング 図5
  • 特開-誘電体コーティング 図6A
  • 特開-誘電体コーティング 図6B
  • 特開-誘電体コーティング 図6C
  • 特開-誘電体コーティング 図7
  • 特開-誘電体コーティング 図8
  • 特開-誘電体コーティング 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028209
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】誘電体コーティング
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20240222BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20240222BHJP
   C09D 5/03 20060101ALI20240222BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20240222BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
B32B27/00 B
B32B27/00 D
B05D7/24 301P
C09D5/03
C09D201/00
C09J201/00
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023132800
(22)【出願日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2022/113045
(32)【優先日】2022-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(71)【出願人】
【識別番号】523313447
【氏名又は名称】ピーピージー パウダー コーティングス (シャンハイ) カンパニー, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マ, リアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, バオリン
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ツイピン
(72)【発明者】
【氏名】ファン, ナイヨン
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
4J038
4J040
【Fターム(参考)】
4D075DA04
4D075DB01
4D075DB02
4D075DB04
4D075DB05
4D075DB06
4D075DB07
4D075DC11
4D075DC21
4D075EB22
4D075EB32
4D075EB33
4D075EB35
4D075EB37
4D075EB38
4D075EB39
4D075EB43
4F100AA00A
4F100AA19A
4F100AA37A
4F100AB10B
4F100AK25A
4F100AK33A
4F100AK41A
4F100AK46A
4F100AK51A
4F100AK52A
4F100AK53A
4F100AK54A
4F100AT00B
4F100AT00C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100CA02A
4F100CA23A
4F100CB00A
4F100CC00A
4F100GB31
4F100GB32
4F100GB41
4F100JB16A
4F100JG04A
4F100JJ01A
4F100JJ07A
4J038CG001
4J038DB001
4J038DD001
4J038DG001
4J038DL031
4J038MA02
4J038NA21
4J038PB07
4J038PB09
4J040EF001
4J040GA05
4J040GA07
4J040GA08
4J040GA14
4J040GA20
4J040GA24
4J040KA42
4J040LA08
4J040NA15
4J040NA19
(57)【要約】
【課題】誘電体コーティング、基材をコーティングするためのシステム、基材をコーティングするための方法、及びコーティングされた基材を提供すること。
【解決手段】コーティング層と、コーティング層の少なくとも一部上に形成された接着剤と、を含むコーティングされた基材が、本明細書に開示される。コーティング層は、粉末コーティング組成物から堆積され得、かつASTM D149-09(電圧限度12.0kV DC、Imax限度0.1mA、19秒ランプ、20秒ドウェル、2秒フォール)に従って測定された少なくとも50kV/mmの絶縁耐力、及びASTM D5470(定常状態法)に従って測定された少なくとも0.3W/K.mの熱伝導率、を含む。接着剤は、接着剤組成物から形成され得、ASTM D5470に従って測定された少なくとも1.0W/K.mの熱伝導率を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング層と、前記コーティング層の少なくとも一部に形成された接着剤と、を含む、コーティングされた基材であって、前記コーティング層が、粉末コーティング組成物から堆積され、かつASTM D149-09(電圧限度12.0kV DC、Imax限度0.1mA、19秒ランプ、20秒ドウェル、2秒フォール)に従って測定された少なくとも50kV/mmの絶縁耐力、及びASTM D5470(定常状態法)に従って測定された少なくとも0.3W/Kmの熱伝導率を含み、前記接着剤が、接着剤組成物から形成され、かつASTM D5470に従って測定された少なくとも0.7 W/Kmの熱伝導率を含む、コーティングされた基材。
【請求項2】
前記コーティングが、ASTM D149-09(電圧限度12.0kV DC、Imax限度0.1mA、19秒ランプ、20秒ドウェル、2秒フォール)に従って測定された少なくとも12kV/mmの絶縁破壊を含み、前記接着剤が、ASTM D149-09(電圧限度12.0kV DC、Imax限度0.1mA、19秒ランプ、20秒ドウェル、2秒フォール)に従って測定された少なくとも6kV/mmの絶縁破壊を含み、そして/又は前記接着剤が、1mm/分の引上速度を有する引張モードのInstron 5567機械を使用してASTM D1002-10に従って測定された少なくとも3MPaのラップせん断強度を含む、請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項3】
前記接着剤組成物が、熱伝導性充填剤を含み、そして/又は前記粉末組成物が、電気絶縁性充填剤を含む、請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項4】
前記基材が、蓄電デバイスの一部である、請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項5】
前記蓄電デバイスが、バッテリー又はバッテリー構成部品を含む、請求項4に記載のコーティングされた基材。
【請求項6】
前記接着剤と接触する第2の基材を更に含む、請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項7】
前記コーティングされた基材が、ASTM D5470(定常状態法)に従って、TIM耐熱性及び伝導率測定装置(モデルLW-9389)を使用して測定された場合、2.0℃/W以下、例えば、0.5℃/W~2.0℃/Wの耐熱性を有する、請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項8】
電気絶縁性充填剤を含む粉末コーティング組成物と、熱伝導性充填剤を含む接着剤コーティング組成物と、を含む基材をコーティングするためのシステムであって、前記2つの層が、基材上に堆積され、硬化された場合、ASTM D5470(定常状態法)に従って、TIM耐熱性及び伝導率測定装置(モデルLW-9389)を使用して測定された場合、2.0℃/W以下、例えば、0.5℃/W~2.0℃/Wの耐熱性を有する、システム。
【請求項9】
前記接着剤層が、堆積され、硬化された場合、1mm/分の引上速度を有する引張モードのInstron 5567機械を使用して、ASTM D1002-10に従って測定された少なくとも3MPa、例えば、3MPa~30MPa、例えば、8MPa~12MPaのラップせん断強度を有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記接着剤組成物が、
(a)前記接着剤組成物の総重量に基づいて、60重量%~90重量%の前記熱伝導性充填剤を含み、
(b)非熱伝導性充填剤、電気絶縁性充填剤、及び/又は難燃性充填剤を更に含み、かつ/あるいは
(c)求電子官能基、チオール末端化合物、熱可塑性ポリマー、又はそれらの任意の組み合わせを更に含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記粉末組成物が、
(a)前記粉末組成物の総重量に基づいて、30重量%~90重量%の電気絶縁性充填剤を含み、
(b)非熱伝導性充填剤、電気絶縁性充填剤、及び/又は難燃性充填剤を更に含み、
(c)(メタ)アクリレート樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリシロキサン、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、それらのコポリマー、又はそれらの任意の組み合わせを含むフィルム形成樹脂を更に含む、請求項8に記載のシステム
【請求項12】
基材をコーティングする方法であって、粉末組成物を前記基材の表面上に塗布してコーティングを形成することと、接着剤組成物を前記コーティングの少なくとも一部に塗布して接着剤を形成することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記コーティング層が、マルチアプリケーションプロセスを介して形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記粉末組成物が、前記接着剤組成物の塗布前に、少なくとも部分的に硬化される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
バッテリーセルと、請求項1に記載のコーティングされた基材と、を含む、バッテリー。
【請求項16】
前記バッテリーセル及び前記コーティングが、モジュールに格納される、請求項15に記載のバッテリー。
【請求項17】
前記バッテリー及び前記コーティングが、パックに格納される、請求項15に記載のバッテリー。
【請求項18】
前記モジュールが、パックに格納される、請求項16に記載のバッテリー。
【請求項19】
車両のシャーシに隣接する、請求項16に記載のバッテリー。
【請求項20】
バッテリー構成部品を更に含む、請求項1に記載のバッテリー。
【請求項21】
請求項15に記載のバッテリーを備える、車両。
【請求項22】
前記車両が、陸上車両、航空機、又は自転車を含む、請求項21に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「Dielectric Coatings」と題され、2022年8月17日に出願されたPCT出願番号PCT/CN2022/113045の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、誘電体コーティング、基材をコーティングするためのシステム、基材をコーティングするための方法、及びコーティングされた基材を対象とする。
【背景技術】
【0003】
背景
粉末コーティング組成物から形成されたものを含むコーティング、及び接着剤は、熱伝達システムにおける構造的完全性及び熱管理を管理するための界面材料としての使用を含む、多種多様な用途で利用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
コーティング層と、コーティング層の少なくとも一部に形成された接着剤と、を含む、コーティングされた基材であって、コーティング層が、粉末コーティング組成物から堆積され、かつASTM D149-09(電圧限度12.0kV DC、Imax限度0.1mA、19秒ランプ、20秒ドウェル、2秒フォール)に従って測定された少なくとも50kV/mm、例えば、少なくとも60kV/mm、例えば、120kV/mm以下、例えば、100kV/mm以下、例えば、50kV/mm~120kV/mm、例えば、60kV/mm~100kV/mmの絶縁耐力、及びASTM D5470(定常状態法)に従って測定された少なくとも0.3W/K.m、例えば、少なくとも0.35W/K.m、例えば、0.5W/K.m以下、例えば、0.45W/K.m以下、例えば、0.3W/K.m~0.5W/K.m、例えば、0.35W/K.m~0.45W/K.mの熱伝導率を含み、接着剤が、接着剤組成物から形成され、かつASTM D5470に従って測定された少なくとも0.7W/K.m、例えば、少なくとも0.8W/K.m、例えば、少なくとも0.9W/K.m、例えば、少なくとも1.0W/K.m、例えば、少なくとも1.5W/K.m、例えば、2.5W/K.m以下、例えば、2.0W/K.m以下、例えば、0.7W/K.m~2.5W/K.m、例えば、0.8W/K.m~2.5W/K.m、例えば、0.9W/K.m~2.5W/K.m、例えば、1.0W/K.m~2.5W/K.m、例えば、1.5W/K.m~2.5W/K.m、例えば、0.7W/K.m~2.0W/K.m、例えば、0.8W/K.m~2.0W/K.m、例えば、0.9W/K.m~2.0W/K.m、例えば、1.0W/K.m~2.0W/K.m、例えば、1.5W/K.m~2.0W/K.mの熱伝導率を含む、コーティングされた基材が、本明細書に開示される。
【0005】
電気絶縁性充填剤を含む粉末コーティング組成物と、熱伝導性充填剤を含む接着剤コーティング組成物と、を含む基材をコーティングするためのシステムであって、2つの層が、基材上に堆積され、硬化された場合、ASTM D5470(定常状態法)に従って、TIM耐熱性及び伝導率測定装置(モデルLW-9389)を使用して測定された場合、2.0℃/W以下、例えば、0.5℃/W~2.0℃/Wの耐熱性を有する、システムも、本明細書に開示される。
【0006】
基材をコーティングする方法であって、粉末組成物を基材の表面上に塗布してコーティングを形成することと、接着剤組成物をコーティングの少なくとも一部に塗布して接着剤を形成することと、を含む、方法もまた、開示される。
1つの実施形態において、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1A)
コーティング層と、前記コーティング層の少なくとも一部に形成された接着剤と、を含む、コーティングされた基材であって、前記コーティング層が、粉末コーティング組成物から堆積され、かつASTM D149-09(電圧限度12.0kV DC、Imax限度0.1mA、19秒ランプ、20秒ドウェル、2秒フォール)に従って測定された少なくとも50kV/mm、例えば、少なくとも60kV/mm、例えば、120kV/mm以下、例えば、100kV/mm以下、例えば、50kV/mm~120kV/mm、例えば、60kV/mm~100kV/mmの絶縁耐力、及びASTM D5470(定常状態法)に従って測定された少なくとも0.3W/K.m、例えば、少なくとも0.35W/K.m、例えば、0.5W/K.m以下、例えば、0.45W/K.m以下、例えば、0.3W/K.m~0.5W/K.m、例えば、0.35W/K.m~0.45W/K.mの熱伝導率を含み、前記接着剤が、接着剤組成物から形成され、かつASTM D5470に従って測定された少なくとも0.7W/K.m、例えば、少なくとも0.8W/K.m、例えば、少なくとも0.9W/K.m、例えば、少なくとも1.0W/K.m、例えば、少なくとも1.5W/K.m、例えば、2.5W/K.m以下、例えば、2.0W/K.m以下、例えば、0.7W/K.m~2.5W/K.m、例えば、0.8W/K.m~2.5W/K.m、例えば、0.9W/K.m~2.5W/K.m、例えば、1.0W/K.m~2.5W/K.m、例えば、1.5W/K.m~2.5W/K.m、例えば、0.7W/K.m~2.0W/K.m、例えば、0.8W/K.m~2.0W/K.m、例えば、0.9W/K.m~2.0W/K.m、例えば、1.0W/K.m~2.0W/K.m、例えば、1.5W/K.m~2.0W/K.mの熱伝導率を含む、コーティングされた基材。
(項目2A)
前記コーティングが、ASTM D149-09(電圧限度12.0kV DC、Imax限度0.1mA、19秒ランプ、20秒ドウェル、2秒フォール)に従って測定された少なくとも12kV/mm、例えば、少なくとも15kV/mm、例えば、少なくとも20kV/mm、例えば、少なくとも25kV/mm、例えば、少なくとも30kV/mmの絶縁破壊を含み、前記接着剤が、ASTM D149-09(電圧限度12.0kV DC、Imax限度0.1mA、19秒ランプ、20秒ドウェル、2秒フォール)に従って測定された少なくとも6kV/mm、例えば、少なくとも10kV/mm、例えば、20kV/mm以下、例えば、17kV/mm以下、例えば、6kV/mm~20kV/mm、例えば、10kV/mm~17kV/mmの絶縁破壊を含み、そして/又は前記接着剤が、1mm/分の引上速度を有する引張モードのInstron 5567機械を使用してASTM D1002-10に従って測定された少なくとも3MPa、例えば、少なくとも8MPa、例えば、30MPa以下、例えば、12MPa以下、例えば、3MPa~30MPa、例えば、8MPa~12MPaのラップせん断強度を含む、先行項目に記載のコーティングされた基材。
(項目3A)
前記コーティング層が、50ミクロン、例えば、少なくとも75ミクロン、例えば、少なくとも100ミクロン、例えば、300ミクロン以下、例えば、250ミクロン以下、例えば、220ミクロン以下、例えば、200ミクロン以下、例えば、50ミクロン~300ミクロン、例えば、75ミクロン~250ミクロン、例えば、100ミクロン~220ミクロン、例えば、100ミクロン~200ミクロンの乾燥フィルム厚さを含む、先行項目のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
(項目4A)
前記接着剤層が、少なくとも0.2mm、例えば、少なくとも0.3mm、例えば、少なくとも0.4mm、例えば、3.0mm以下、例えば、1.5mm以下、例えば、1.0mm以下、例えば、0.2mm~3.0mm、例えば、0.3mm~1.5mm、例えば、0.4mm~1.0mmの乾燥フィルム厚さを含む、先行項目のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
(項目5A)
前記接着剤組成物が、前記接着剤組成物の総重量に基づいて、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも75重量%、例えば、90重量%以下、例えば、86重量%以下、例えば、60重量%~90重量%、例えば、75重量%~86重量%の量で熱伝導性充填剤を含む、先行項目のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
(項目6A)
前記粉末組成物が、前記粉末組成物の総重量に基づいて、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも45重量%、例えば、少なくとも50重量%、例えば、60重量%以下、例えば、55重量%以下、例えば、50重量%以下、例えば、30重量%~60重量%、例えば、45重量%~55重量%、例えば、45重量%~55重量%、例えば、45重量%~50重量%、例えば、50重量%~55重量%の量で電気絶縁性充填剤を含む、先行項目のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
(項目7A)
前記接着剤組成物が、非熱伝導性充填剤、電気絶縁性充填剤、難燃性充填剤、又はそれらの任意の組み合わせを更に含む、先行項目のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
(項目8A)
前記粉末組成物が、熱伝導性充填剤、非熱伝導性充填剤、難燃性充填剤、又はそれらの任意の組み合わせを更に含む、先行項目のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
(項目9A)
前記接着剤組成物が、求電子官能基を含む化合物、チオール末端化合物、熱可塑性ポリマー、又はそれらの任意の組み合わせを更に含む、先行項目のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
(項目10A)
前記粉末組成物が、(メタ)アクリレート樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリシロキサン、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、それらのコポリマー、又はそれらの任意の組み合わせを含むフィルム形成樹脂を更に含む、先行項目のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
(項目11A)
前記基材が、蓄電デバイスの一部である、先行項目のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
(項目12A)
前記蓄電デバイスが、バッテリー又はバッテリー構成部品を含む、先行項目のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
(項目13A)
前記バッテリー又はバッテリー構成部品が、バッテリーセル、バッテリーシェル、バッテリーモジュール、バッテリーパック、バッテリーボックス、バッテリーセルケーシング、パックシェル、バッテリー蓋及びトレイ、熱管理システム、バッテリーハウジング、モジュールハウジング、モジュールラッキング、バッテリーサイドプレート、バッテリーセルエンクロージャ、冷却モジュール、冷却管、冷却フィン、冷却プレート、バスバー、バッテリーフレーム、電気接続、金属線、銅若しくはアルミニウム導体若しくはケーブル、又はそれらの任意の組み合わせを含む、先行項目のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
(項目14A)
前記接着剤と接触する第2の基材を更に含む、先行項目のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
(項目15A)
前記第1の基材が、冷却プレートであり、前記第2の基材が、バッテリーセルである、先行項目のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
(項目16A)
前記コーティングされた基材が、ASTM D5470(定常状態法)に従って、TIM耐熱性及び伝導率測定装置(モデルLW-9389)を使用して測定された場合、2.0℃/W以下、例えば、0.5℃/W~2.0℃/Wの耐熱性を有する、先行項目のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
(項目17A)
電気絶縁性充填剤を含む粉末コーティング組成物と、熱伝導性充填剤を含む接着剤コーティング組成物と、を含む基材をコーティングするためのシステムであって、前記2つの層が、基材上に堆積され、硬化された場合、ASTM D5470(定常状態法)に従って、TIM耐熱性及び伝導率測定装置(モデルLW-9389)を使用して測定された場合、2.0℃/W以下、例えば、0.5℃/W~2.0℃/Wの耐熱性を有する、システム。
(項目18A)
前記接着剤層が、堆積され、硬化された場合、1mm/分の引上速度を有する引張モードのInstron 5567機械を使用して、ASTM D1002-10に従って測定された少なくとも3MPa、例えば、3MPa~30MPa、例えば、8MPa~12MPaのラップせん断強度を有する、先行項目に記載のシステム。
(項目19A)
前記接着剤組成物が、前記接着剤組成物の総重量に基づいて、60重量%~90重量%、例えば、75重量%~86重量%の前記熱伝導性充填剤を含む、先行項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目20A)
前記粉末組成物が、前記粉末組成物の総重量に基づいて、30重量%~90重量%、例えば、45重量%~55重量%の電気絶縁性充填剤を含む、先行項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目21A)
前記接着剤組成物が、非熱伝導性充填剤、電気絶縁性充填剤、及び/又は難燃性充填剤を更に含む、先行項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目22A)
前記粉末組成物は、熱伝導性充填剤、非熱伝導性充填剤、及び/又は難燃性充填剤を更に含む、先行項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目23A)
前記接着剤組成物が、求電子官能基を含む化合物、チオール末端化合物、熱可塑性ポリマー、又はそれらの任意の組み合わせを更に含む、先行項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目24A)
前記粉末組成物が、(メタ)アクリレート樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリシロキサン、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、それらのコポリマー、又はそれらの任意の組み合わせを含むフィルム形成樹脂を更に含む、先行項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目25A)
基材をコーティングする方法であって、粉末組成物を前記基材の表面上に塗布してコーティングを形成することと、接着剤組成物を前記コーティングの少なくとも一部に塗布して接着剤を形成することと、を含む、方法。
(項目26A)
前記コーティング層が、マルチアプリケーションプロセスを介して形成される、先行項目に記載の方法。
(項目27A)
前記粉末組成物が、前記接着剤組成物の塗布前に、少なくとも部分的に硬化される、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目28A)
前記得られるコーティングされた基材が、先行項目のいずれか一項に記載の任意のコーティングされた基材を含む、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目29A)
バッテリーセルと、先行項目のいずれか一項に記載のコーティングされた基材と、を含む、バッテリー。
(項目30A)
前記バッテリーセル及び前記コーティングが、モジュールに格納される、先行項目に記載のバッテリー。
(項目31A)
前記バッテリー及び前記コーティングが、パックに格納される、先行項目のいずれか一項に記載のバッテリー。
(項目32A)
前記モジュールが、パックに格納される、先行項目のいずれか一項に記載のバッテリー。
(項目33A)
車両のシャーシに隣接する、先行項目のいずれか一項に記載のバッテリー。
(項目34A)
バッテリー構成部品を更に含む、先行項目のいずれか一項に記載のバッテリー。
(項目35A)
先行項目のいずれか一項に記載のバッテリーを備える、車両。
(項目36A)
前記車両が、陸上車両、航空機、又は電動自転車などの自転車を含む、先行項目に記載の車両。
別の実施形態において、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1B)
コーティング層と、前記コーティング層の少なくとも一部に形成された接着剤と、を含む、コーティングされた基材であって、前記コーティング層が、粉末コーティング組成物から堆積され、かつASTM D149-09(電圧限度12.0kV DC、Imax限度0.1mA、19秒ランプ、20秒ドウェル、2秒フォール)に従って測定された少なくとも50kV/mmの絶縁耐力、及びASTM D5470(定常状態法)に従って測定された少なくとも0.3W/Kmの熱伝導率を含み、前記接着剤が、接着剤組成物から形成され、かつASTM D5470に従って測定された少なくとも0.7 W/Kmの熱伝導率を含む、コーティングされた基材。
(項目2B)
前記コーティングが、ASTM D149-09(電圧限度12.0kV DC、Imax限度0.1mA、19秒ランプ、20秒ドウェル、2秒フォール)に従って測定された少なくとも12kV/mmの絶縁破壊を含み、前記接着剤が、ASTM D149-09(電圧限度12.0kV DC、Imax限度0.1mA、19秒ランプ、20秒ドウェル、2秒フォール)に従って測定された少なくとも6kV/mmの絶縁破壊を含み、そして/又は前記接着剤が、1mm/分の引上速度を有する引張モードのInstron 5567機械を使用してASTM D1002-10に従って測定された少なくとも3MPaのラップせん断強度を含む、先行項目に記載のコーティングされた基材。
(項目3B)
前記接着剤組成物が、熱伝導性充填剤を含み、そして/又は前記粉末組成物が、電気絶縁性充填剤を含む、先行項目のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
(項目4B)
前記基材が、蓄電デバイスの一部である、先行項目のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
(項目5B)
前記蓄電デバイスが、バッテリー又はバッテリー構成部品を含む、先行項目のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
(項目6B)
前記接着剤と接触する第2の基材を更に含む、先行項目のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
(項目7B)
前記コーティングされた基材が、ASTM D5470(定常状態法)に従って、TIM耐熱性及び伝導率測定装置(モデルLW-9389)を使用して測定された場合、2.0℃/W以下、例えば、0.5℃/W~2.0℃/Wの耐熱性を有する、先行項目のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
(項目8B)
電気絶縁性充填剤を含む粉末コーティング組成物と、熱伝導性充填剤を含む接着剤コーティング組成物と、を含む基材をコーティングするためのシステムであって、前記2つの層が、基材上に堆積され、硬化された場合、ASTM D5470(定常状態法)に従って、TIM耐熱性及び伝導率測定装置(モデルLW-9389)を使用して測定された場合、2.0℃/W以下、例えば、0.5℃/W~2.0℃/Wの耐熱性を有する、システム。
(項目9B)
前記接着剤層が、堆積され、硬化された場合、1mm/分の引上速度を有する引張モードのInstron 5567機械を使用して、ASTM D1002-10に従って測定された少なくとも3MPa、例えば、3MPa~30MPa、例えば、8MPa~12MPaのラップせん断強度を有する、先行項目に記載のシステム。
(項目10B)
前記接着剤組成物が、
(a)前記接着剤組成物の総重量に基づいて、60重量%~90重量%の前記熱伝導性充填剤を含み、
(b)非熱伝導性充填剤、電気絶縁性充填剤、及び/又は難燃性充填剤を更に含み、かつ/あるいは
(c)求電子官能基、チオール末端化合物、熱可塑性ポリマー、又はそれらの任意の組み合わせを更に含む、先行項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目11B)
前記粉末組成物が、
(a)前記粉末組成物の総重量に基づいて、30重量%~90重量%の電気絶縁性充填剤を含み、
(b)非熱伝導性充填剤、電気絶縁性充填剤、及び/又は難燃性充填剤を更に含み、
(c)(メタ)アクリレート樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリシロキサン、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、それらのコポリマー、又はそれらの任意の組み合わせを含むフィルム形成樹脂を更に含む、先行項目のいずれか一項に記載のシステム
(項目12B)
基材をコーティングする方法であって、粉末組成物を前記基材の表面上に塗布してコーティングを形成することと、接着剤組成物を前記コーティングの少なくとも一部に塗布して接着剤を形成することと、を含む、方法。
(項目13B)
前記コーティング層が、マルチアプリケーションプロセスを介して形成される、先行項目に記載の方法。
(項目14B)
前記粉末組成物が、前記接着剤組成物の塗布前に、少なくとも部分的に硬化される、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目15B)
バッテリーセルと、先行項目のいずれか一項に記載のコーティングされた基材と、を含む、バッテリー。
(項目16B)
前記バッテリーセル及び前記コーティングが、モジュールに格納される、先行項目に記載のバッテリー。
(項目17B)
前記バッテリー及び前記コーティングが、パックに格納される、先行項目のいずれか一項に記載のバッテリー。
(項目18B)
前記モジュールが、パックに格納される、先行項目のいずれか一項に記載のバッテリー。
(項目19B)
車両のシャーシに隣接する、先行項目のいずれか一項に記載のバッテリー。
(項目20B)
バッテリー構成部品を更に含む、先行項目のいずれか一項に記載のバッテリー。
(項目21B)
先行項目のいずれか一項に記載のバッテリーを備える、車両。
(項目22B)
前記車両が、陸上車両、航空機、又は自転車を含む、先行項目に記載の車両。
要約
コーティング層と、コーティング層の少なくとも一部上に形成された接着剤と、を含むコーティングされた基材が、本明細書に開示される。コーティング層は、粉末コーティング組成物から堆積され得、かつASTM D149-09(電圧限度12.0kV DC、Imax限度0.1mA、19秒ランプ、20秒ドウェル、2秒フォール)に従って測定された少なくとも50kV/mmの絶縁耐力、及びASTM D5470(定常状態法)に従って測定された少なくとも0.3W/K.mの熱伝導率、を含む。接着剤は、接着剤組成物から形成され得、ASTM D5470に従って測定された少なくとも1.0W/K.mの熱伝導率を含む。基材をコーティングするためのシステムもまた、本明細書に開示される。基材をコーティングする方法も、開示される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、円筒バッテリーセルのトップダウン図の略図である。
【0008】
図2図2は、プリズムバッテリーセルのアレイの分解等角図の略図である。
【0009】
図3図3は、パウチバッテリーセルのアレイの正面図の略図である。
【0010】
図4図4は、バッテリーモジュール内に配置された円筒セルの等角図の略図である。
【0011】
図5図5は、複数のバッテリーセルを含むバッテリーパックの分解斜視図の略図である。
【0012】
図6A図6は、(A)バッテリーセル、(B)バッテリーモジュール、及び(C)バッテリーパックの等角図の略図である。
図6B】同上。
図6C】同上。
【0013】
図7図7は、バッテリーパックの斜視図の略図である。
【0014】
図8図8は、セルからバッテリーパック構成の略図である。
【0015】
図9図9は、セルからシャーシバッテリーアセンブリの等角切り抜き図の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
この詳細な説明の目的のために、本開示は、反対の内容が明示される場合を除き、代替の変形例及びステップ順序を想定し得ることが理解されよう。更に、任意の操作例、又は別途示された場合を除いて、例えば、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量を表す全ての数値は、全ての例で「約」という用語によって修正されるものと理解されたい。したがって、反対が示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に示される数値パラメータは、本開示によって得られる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。最低限でも、特許請求の範囲に対する均等論の原理の適用を制限しようとするものではないが、各数値パラメータは、報告される有効数字の桁数に照らしてかつ通常の丸め技法を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。
【0017】
本開示の広範な範囲を示す数値範囲及びパラメータが近似値であるにも関わらず、特定の例に示される数値は、可能な限り精密に報告される。しかしながら、任意の数値は、そのそれぞれの試験測定値に見出される標準偏差から必然的に得られたある特定の誤差を本質的に含有する。
【0018】
また、本明細書に列挙される任意の数値範囲は、その中に含まれる全てのサブ範囲を含むことが意図されることを理解すべきである。例えば、「1~10」の範囲は、列挙された最小値1と列挙された最大値10との間の(及びそれを含む)全てのサブ範囲、すなわち、1に等しい又は1より大きいの最小値及び10に等しい又は10未満の最大値を含むことを意図される。
【0019】
本明細書で使用される場合、「含むこと(including)」、「含有すること(containing)」などの用語は、本出願の文脈では「含むこと(comprising)」と同義であると理解され、したがって、オープンエンドであり、追加の記載されていない又は列挙されていない要素、材料、成分、又は方法ステップの存在を排除しない。
【0020】
本明細書で使用される場合、「~からなること(consisting of)」は、本出願の文脈において、任意の特定されていない要素、成分、又は方法ステップの存在を排除すると理解される。
【0021】
本明細書で使用される場合、「~から本質的になること(consisting essentially of)」は、本出願の文脈において、特定の要素、材料、成分、又は方法ステップ「及び記載されているものの基本的及び新規の特徴に実質的に影響を与えないもの(and those that do not materially affect the basic and novel characteristic(s))」を含むと理解される。本明細書で使用される場合、オープンエンド用語は、「~から本質的になること(consisting essentially)」及び「~からなること(consisting of)」などの閉じた用語を含む。
【0022】
本出願において、単数形の使用は、特に明記しない限り、複数形を含み、複数形は、単数形を包含する。例えば、本明細書では「a」コーティング又は「an」充填剤材料を参照するが、これらの構成部品の組み合わせ(すなわち、複数の)が使用され得る。
【0023】
加えて、本出願では、「又は(or)」の使用は、「及び/又は(and/or)」が特定の例で明示的に使用され得るとしても、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。
【0024】
本明細書で使用される場合、「上に(on)」、「上に(onto)」、「上に塗布された(applied on)」、「上に塗布された(applied onto)」、「上に形成された(formed on)」、「上に堆積された(deposited on)」、「上に堆積された(deposited onto)」などの用語は、基材表面上に形成された、オーバーレイされた、堆積された、又は提供されたが、必ずしも基材表面と接触していないことを意味する。例えば、基材表面「上に塗布された(applied onto)」組成物は、組成物と基材表面との間に位置する同じ若しくは異なる組成物の1つ又は1つより多くの他の介在するコーティング層又はフィルムの存在を排除しない。
【0025】
本明細書で使用される場合、「コーティング組成物」は、基材表面の少なくとも一部に、フィルム、層などを生成することができる組成物、例えば、混合物又は分散物を指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、「粉末コーティング組成物」は、液体形態とは対照的に、固体粒子形態で具現化されたコーティング組成物を指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、「接着剤」という用語は、1.3mm/分の引上速度を有する引張モードでINSTRON 5567機械によって測定される、1.6mmの厚さの2024-T3アルミニウム基材を使用してASTM D1002-10に従って測定された、3.0MPa超のラップせん断強度を有する耐荷重接合部を生成する接着剤を意味する。
【0028】
本明細書で定義されるように、「1K」又は「1成分」コーティング組成物は、全ての成分が予め混合されて保管され得、反応性成分が周囲又はわずかな熱条件下で容易に反応せず、代わりに外部エネルギー源による活性化時にのみ反応する組成物である。外部エネルギー源からの活性化がない場合、組成物は、大部分未反応のままである(未硬化状態で十分な加工性を維持し、25℃で8カ月間保存した後、硬化状態で組成物の初期ラップせん断強度の70%超維持する)。硬化反応(すなわち、エポキシ成分及び硬化剤の架橋)を促進するために使用され得る外部エネルギー源には、例えば、放射線(すなわち、化学線)及び/又は熱が含まれる。
【0029】
「周囲」条件は、一般に、室温及び湿度条件を指し、10℃~32℃及び20%の相対湿度~80%の相対湿度であり得るが、わずかに熱条件は、周囲温度をわずかに上回る(例えば、32℃~35℃)が、1K組成物の場合、一般に、コーティング組成物の硬化温度を下回り、すなわち、一般に、反応性成分が容易に反応して硬化するものを下回る。
【0030】
本明細書で使用される場合、「2成分」又は「2K」という用語は、反応性成分の少なくとも一部が容易に会合して相互作用を形成するか、又は反応して接着(物理的又は化学的に)を形成し、混合されたときに、周囲又はわずかな熱的条件などの外部エネルギー源からの活性化なしに、少なくとも部分的に硬化する組成物を指す。当業者は、本組成物の2つの成分が互いに別々に保管され、本組成物の塗布直前に混合されることを理解する。2成分組成物は、以下に記載されるように、必要に応じて加熱又は焼成されてもよい。
【0031】
本明細書で使用される場合、「硬化する(cure)」又は「硬化すること(curing)」という用語は、本組成物を形成する成分が架橋されて、コーティング、層、ポッタント、パッドなどの材料を形成することを意味する。本明細書で使用される場合、「少なくとも部分的に硬化された」という用語は、本組成物を形成する成分の少なくとも一部が相互作用し、反応し、及び/又は架橋されて、材料を形成することを意味する。本組成物は、組成物の成分が混合されるときに、少なくとも部分的に硬化又は硬化され、本組成物の成分の反応性官能基の少なくとも部分的な反応をもたらす。
【0032】
例えば、硬化性組成物に関連して使用される「硬化性」という用語は、示されている組成物が、例えば、周囲又はわずかな熱的条件下での硬化及び/又は触媒曝露を含むが、これらに限定されない手段によって、官能基を介して重合可能又は架橋可能であることを意味する。
【0033】
「周囲条件下で硬化可能」とは、本組成物が、例えば、熱又は他のエネルギーの助けを借りずに、例えば、オーブンでの焼成、強制空気の使用などなしに、室温及び湿度条件下で熱硬化性反応を受けることを意味する。
【0034】
本明細書で使用される場合、別段に示されない限り、「実質的に含まない」という用語は、特定の材料が、それぞれ、混合物又は組成物に意図的に添加されず、それぞれ、混合物又は組成物の総重量に基づいて5重量%未満の微量の不純物としてのみ存在することを意味する。本明細書で使用される場合、別段に示されない限り、「本質的に含まない」という用語は、特定の材料が、それぞれ、混合物又は組成物の総重量に基づいて2重量%未満の量でのみ存在することを意味する。本明細書で使用される場合、別段に示されない限り、「完全に含まない」という用語は、混合物又は組成物が、それぞれ、特定の材料を含まないこと、すなわち、混合物又は組成物がそのような材料の0重量%を含むことを意味する。
【0035】
コーティング及びコーティングされた基材
コーティング層と、コーティング層の少なくとも一部に形成された接着剤と、を含むコーティングされた基材が、本明細書に開示される。以下でより詳細に説明されるように、コーティング層は、粉末コーティング組成物から堆積され得、接着剤は、接着剤組成物から堆積され得る。
【0036】
コーティング層は、ASTM D149-09に従って、Sefelec絶縁耐力テスター(RMG12AC-DC;電圧限度12.0kV DC、Imax限度0.1mA、19秒ランプ、20秒ドウェル、2秒フォール)を使用して測定された少なくとも50kV/mm、例えば、少なくとも60kV/mmの絶縁耐力を含み得る。コーティング層は、ASTM D149-09に従って、Sefelec絶縁耐力テスター(RMG12AC-DC;電圧限度12.0kV DC、Imax限度0.1mA、19秒ランプ、20秒ドウェル、2秒フォール)を使用して測定された120kV/mm以下、例えば、100kV/mm以下の絶縁耐力を含み得る。コーティング層は、ASTM D149-09に従って、Sefelec絶縁耐力テスター(RMG12AC-DC;電圧限度12.0kV DC、Imax限度0.1mA、19秒ランプ、20秒ドウェル、2秒フォール)を使用して測定された50kV/mm~120kV/mm、例えば、60kV/mm~100kV/mmの絶縁耐力を含み得る。
【0037】
コーティング層は、ASTM D5470(定常状態法)に従って、TIM耐熱性及び伝導率測定装置(モデルLW-9389)を使用して測定された少なくとも0.3W/K.m、例えば、少なくとも0.35W/K.mの熱伝導率を含み得る。コーティング層は、ASTM D5470(定常状態法)に従って、TIM耐熱性及び伝導率測定装置(モデルLW-9389)を使用して測定された0.5W/K.m以下、例えば0.45W/K.m以下の熱伝導率を含み得る。コーティング層は、ASTM D5470(定常状態法)に従って、TIM耐熱性及び伝導率測定装置(モデルLW-9389)を使用して測定された0.3W/K.m~0.5W/K.m、例えば、0.35W/K.m~0.45W/K.mの熱伝導率を含み得る。
【0038】
コーティング層は、ASTM D149-09に従って、Sefelec絶縁耐力テスター(RMG12AC-DC;電圧限度12.0kV DC、Imax限度0.1mA、19秒ランプ、20秒ドウェル、2秒フォール)を使用して測定された少なくとも12kV/mm、例えば、少なくとも15kV/mm、例えば、少なくとも20kV/mm、例えば、少なくとも25kV/mm、例えば、少なくとも30kV/mmの絶縁破壊を含み得る。
【0039】
粉末コーティング組成物は、噴霧、静電噴霧、流動層プロセスなどの当該技術分野で標準的な任意の手段によって塗布することができる。粉末コーティング組成物は、基材上の複数のアプリケーション(「マルチアプリケーションプロセス」)に適用することもできる。例えば、第1の粉末コーティング組成物は、基材の少なくとも一部に塗布することができる。第2の粉末コーティング組成物は、第1のコーティング組成物の少なくとも一部に塗布することができる。第1の粉末コーティング組成物は、第2の粉末コーティング組成物を塗布する前に、必要に応じて、硬化させることができるか、又は少なくとも部分的に硬化させることができる。代替的に、第2の粉末コーティング組成物は、第1のコーティング組成物の少なくとも一部に塗布することができる。次いで、第1及び第2の粉末コーティング組成物は、同時に一緒に硬化させることができる。
【0040】
粉末コーティング組成物は、対流加熱及び赤外線放射の両方などの複数のタイプの熱源で硬化させることができることが理解される。例えば、粉末コーティング組成物は、対流加熱又は赤外線放射で部分的に硬化させ、次いで、対流加熱及び赤外線放射から選択される異なる熱源で完全に硬化させることができる。
【0041】
いくつかの例では、粉末コーティング組成物は、熱で硬化させることができ、そのような対流加熱は、120℃~260℃、例えば、160℃~240℃、例えば、180℃~200℃の範囲内で、1分~40分間硬化させることができる。粉末コーティング組成物はまた、ピーク金属温度が約10秒で200℃~260℃に達することができる赤外線放射で硬化させることができる。赤外線による高温ランピングは、迅速な硬化時間が可能になる。いくつかの例では、粉末コーティング組成物は、組成物を140℃~180℃の範囲内で1~20分間加熱するために、赤外線放射で硬化させられる。
【0042】
単一の粉末コーティング組成物から形成されたコーティングは、任意の所望の乾燥フィルム厚さで塗布することができる。例えば、乾燥フィルム厚さは、少なくとも50ミクロン、例えば、少なくとも75ミクロン、例えば、少なくとも100ミクロンであってもよく、例えば、乾燥フィルム厚さは、300ミクロン以下、例えば、250ミクロン以下、例えば、200ミクロン以下であってもよい。乾燥フィルム厚さは、50ミクロン~300ミクロン、例えば、75ミクロン~250ミクロン、例えば、100ミクロン~200ミクロン、例えば、100ミクロン~220ミクロンであってもよい。複数の粉末コーティング組成物を塗布する場合、各組成物は、塗布して、前述の乾燥フィルム厚さのうちのいずれかを別々に提供することができることが理解される。例えば、2つの別個の粉末コーティング組成物を塗布する場合、各々の個々の粉末コーティング組成物は、前述の乾燥フィルム厚さのうちのいずれかで塗布することができる。
【0043】
接着剤は、ASTM D5470(定常状態法)に従って、TIM耐熱性及び伝導率測定装置(モデルLW-9389)を使用して測定された少なくとも0.7W/K.m、例えば、少なくとも0.8W/K.m、例えば、少なくとも0.9W/K.m、例えば、少なくとも1.0W/K.m、例えば、少なくとも1.5W/K.mの熱伝導率を含み得る。コーティング層は、ASTM D5470(定常状態法)に従って、TIM耐熱性及び伝導率測定装置(モデルLW-9389)を使用して測定された2.5W/K.m以下、例えば2.0W/K.m以下の熱伝導率を含み得る。コーティング層は、ASTM D5470(定常状態法)に従って、TIM耐熱性及び伝導率測定装置(モデルLW-9389)を使用して測定された0.7W/K.m~2.5W/K.m、例えば、0.8W/K.m~2.5W/K.m、例えば、0.9W/K.m~2.5W/K.m、例えば、1.0W/K.m~2.5W/K.m、例えば、1.5W/K.m~2.5W/K.m、例えば、0.7W/K.m~2.0W/K.m、例えば0.8W/K.m~2.0W/K.m、例えば、0.9W/K.m~2.0W/K.m、例えば、1.0W/K.m~2.0W/K.m、例えば、1.5W/K.m~2.0W/K.mの熱伝導率を含み得る。
【0044】
接着剤は、ASTM D149-09に従って、Sefelec絶縁耐力テスター(RMG12AC-DC;電圧限度12.0kV DC、Imax限度0.1mA、19秒ランプ、20秒ドウェル、2秒フォール)を使用して測定された少なくとも6kV/mm、例えば、少なくとも6kV/mmの絶縁破壊を含み得る。接着剤は、ASTM D149-09に従って、Sefelec絶縁耐力テスター(RMG12AC-DC;電圧限度12.0kV DC、Imax限度0.1mA、19秒ランプ、20秒ドウェル、2秒フォール)を使用して測定された20kV/mm以下、例えば、17kV/mm以下の絶縁破壊を含み得る。接着剤は、ASTM D149-09に従って、Sefelec絶縁耐力テスター(RMG12AC-DC;電圧限度12.0kV DC、Imax限度0.1mA、19秒ランプ、20秒ドウェル、2秒フォール)を使用して測定された6kV/mm~20kV/mm、例えば、10kV/mm~17kV/mmの絶縁破壊を含み得る。
【0045】
接着剤は、1mm/分の引上速度を有する引張モードのInstron 5567機械を使用して、ASTM D1002-10に従って測定された少なくとも3MPa、例えば、少なくとも8MPaのラップせん断強度を含み得る。接着剤は、1mm/分の引上速度を有する引張モードのInstron 5567機械を使用して、ASTM D1002-10に従って測定された30MPa以下、例えば、12MPa以下のラップせん断強度を含み得る。接着剤は、1mm/分の引上速度を有する引張モードのInstron 5567機械を使用して、ASTM D1002-10に従って測定された3MPa~30MPa、例えば、8MPa~12MPaのラップせん断強度を含み得る。
【0046】
接着剤組成物は、上記のコーティングの少なくとも一部にコーティングを形成するために、ブラシ、ローラー、フィルム、ペレット、こて、へら、ディップ、スプレーガン、及びアプリケーターガンなどの当該技術分野で標準的な任意の手段によって塗布され得る。接着剤は、典型的には、基材表面の少なくとも一部上に堆積される組成物が、当業者に既知の方法(例えば、周囲条件下で、又は熱加熱への曝露によって)によって少なくとも部分的に乾燥又は硬化させられる場合に形成される。
【0047】
例えば、接着剤組成物は、室温若しくはわずかな熱的条件で硬化させることが許容され得、及び/又は本組成物は、基材(単数又は複数)上の組成物を少なくとも部分的に硬化させるのに十分な任意の所望の時間(例えば、5分~1時間)の間、昇温、例えば、180℃以下、例えば、130℃又は130℃未満、例えば、110℃または110℃未満、例えば、100℃又は100℃未満、例えば、90℃又は90℃未満、例えば、80℃又は80℃未満、例えば、70℃又は70℃未満であるが、周囲よりも大きい、例えば、40℃超、例えば、50℃超で焼成及び/又は硬化することによって硬化させられ得る。代替的に、接着剤組成物は、周囲条件又は周囲条件よりわずかに高い条件で硬化することができ、必要に応じて、上記のような昇温で焼成及び/又は更に硬化させられ得る。
【0048】
接着剤組成物から形成された接着剤は、任意の所望の乾燥フィルム厚さで塗布することができる。例えば、乾燥フィルム厚さは、少なくとも0.2mm、例えば、少なくとも0.3mm、例えば、少なくとも0.4mmであってもよい。乾燥フィルム厚さは、3.0mm以下、例えば1.5mm以下、例えば1.0mm以下であってもよい。乾燥フィルム厚さは、0.2mm~3.0mm、例えば、0.3mm~1.5mm、例えば、0.4mm~1.0mmであってもよい。
【0049】
システム
粉末コーティング組成物及び接着剤組成物を含む基材をコーティングするためのシステムもまた、本明細書に開示される。以下でより詳細に説明されるように、粉末コーティング組成物は、電気絶縁性充填剤を含み得、接着剤組成物は、熱伝導性充填剤を含み得る。
【0050】
粉末コーティング組成物
コーティングは、電気絶縁性充填剤、並びに(メタ)アクリレート樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリシロキサン、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、それらのコポリマー、及び/又はそれらの組み合わせを含むか、又は本質的にそれらからなるか、又はそれらからなる粉末コーティング組成物から堆積され得る。
【0051】
粉末コーティング組成物は、結合剤を含む。結合剤は、コーティング層を形成するために使用することができる1つ又は1つより多くのフィルム形成樹脂を含む。粉末コーティング組成物は、当該技術分野で既知の様々な熱硬化性粉末コーティング組成物のうちのいずれかを含む。粉末コーティング組成物はまた、熱可塑性粉末コーティング組成物も含むことができる。
【0052】
粉末コーティング組成物の結合剤の少なくとも一部を形成する好適な膜形成樹脂の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリシロキサン、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、それらのコポリマー、及びそれらの組み合わせが挙げられる。本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリレート」及び同様の用語は、アクリレート及び対応するメタアクリレートの両方を指す。更に、膜形成樹脂は、カルボン酸基、アミン基、エポキシド基、ヒドロキシル基、チオール基、カルバメート基、アミド基、尿素基、イソシアネート基(ブロックされたイソシアネート基を含む)、エチレン系不飽和基、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、様々な官能基のうちのいずれかを有することができる。
【0053】
熱硬化性コーティング組成物は、典型的には、粉末コーティング組成物中で使用される1つ又は1つより多くの膜形成樹脂の官能性と反応するために、当該技術分野で既知の架橋剤のうちのいずれかから選択され得る架橋剤を含む。架橋剤の非限定的な例としては、フェノール樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、ベータ-ヒドロキシ(アルキル)アミド、アルキル化カルバメート、(メタ)アクリレート、環状アミジンとのポリカルボン酸の塩、o-トリルビグアナイド、イソシアネート、ブロックイソシアネート、ポリ酸、無水物、有機金属酸官能性材料、ポリアミン、ポリアミド、アミノプラスト、カルボジイミド、オキサゾリン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0054】
粉末コーティング組成物に有用な樹脂の好適な例は、PCT公開第2021/173941(A1)号、段落[0006]~[0042]、[0057]~[0068]、[0088]~[0105]、及び[0128]~[0139]において論じられ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
電気絶縁性充填剤は、熱伝導性充填剤又は非熱伝導性充填剤であってもよい。本明細書で使用される場合、「電気絶縁性充填剤」という用語は、少なくとも10Ω・mの体積抵抗率(ASTM D257、C611、又はB193に従って測定された)を有する顔料、充填剤、又は無機粉末を意味する。例えば、電気絶縁性充填剤は、少なくとも10Ω.m(ASTM D257、C611、又はB193に従って測定された)、例えば、少なくとも20Ω.m、例えば、少なくとも30Ω.m、例えば、少なくとも40Ω.m、例えば、少なくとも50Ω.m、例えば、少なくとも60Ω.m、例えば、少なくとも60Ω.m、例えば、少なくとも70Ω.m、例えば、少なくとも80Ω.m、例えば、少なくとも80Ω.m、例えば、少なくとも90Ω.m、例えば、少なくとも100Ω.mの体積抵抗率を有し得る。
【0056】
電気絶縁性充填剤は、熱伝導性電気絶縁性充填剤材料を含み得る。本明細書で使用される場合、「熱伝導性電気絶縁性充填剤」又は「TC/EI充填剤」という用語は、25℃で少なくとも5W/m.Kの熱伝導率(ASTM D7984に従って測定された)及び少なくとも10Ω.mの体積抵抗率(ASTM D257、C611、又はB193に従って測定された)を有する顔料、充填剤、又は無機粉末を意味する。TC/EI充填剤材料は、有機若しくは無機材料を含み得、単一のタイプの充填剤材料の粒子を含み得、又は2つ若しくは2つより多くのタイプのTC/EI充填剤材料の粒子を含み得る。すなわち、TC/EI充填剤材料は、第1のTC/EI充填剤材料の粒子を含み得、第1のTC/EI充填剤材料とは異なる少なくとも第2の(すなわち、第2の、第3の、第4のなどの)TC/EI充填剤材料の粒子を更に含み得る。充填剤材料の種類に関して本明細書で使用される場合、「第1の」、「第2の」などへの言及は、便宜上のみであり、添加の順序などを指すものではない。
【0057】
TC/EI充填剤材料は、25℃で少なくとも5W/m.K(ASTM D7984に従って測定された)、例えば、少なくとも18W/m.K、少なくとも55W/m.Kの熱伝導率を有し得る。TC/EI充填剤材料は、25℃で少なくとも3,000W/m.K以下(ASTM D7984に従って測定された)、例えば、1,400W/m.K以下、例えば、450W/m.K以下の熱伝導率を有し得る。TC/EI充填剤材料は、25℃で5W/m.K~3,000W/m.K(ASTM D7984に従って測定された)、例えば、18W/m.K~1,400W/m.K、例えば、55W/m.K~450W/m.Kの熱伝導率を有し得る。
【0058】
TC/EI充填剤材料は、少なくとも10Ω.m(ASTM D257、C611、又はB193に従って測定された)、例えば、少なくとも20Ω.m、例えば、少なくとも30Ω.m、例えば、少なくとも40Ω.m、例えば、少なくとも50Ω.m、例えば、少なくとも60Ω.m、例えば、少なくとも60Ω.m、例えば、少なくとも70Ω.m、例えば、少なくとも80Ω.m、例えば、少なくとも80Ω.m、例えば、少なくとも90Ω.m、例えば、少なくとも100Ω.mの体積抵抗率を有し得る。
【0059】
TC/EI充填剤材料の好適な非限定的な例としては、窒化物、金属酸化物、半金属酸化物、金属水酸化物、ヒ化物、炭化物、鉱物、セラミック、及びダイヤモンドが挙げられる。例えば、TC/EI充填剤材料は、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ヒ化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、死焼酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化銅、酸化スズ、水酸化アルミニウム(すなわち、アルミニウム三水和物)、水酸化マグネシウム、ヒ化ホウ素、炭化ケイ素、アゲート、エメリー、セラミック微小球、ダイヤモンド、又はそれらの任意の組み合わせを含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなることができる。窒化ホウ素の市販のTC/EI充填剤材料の非限定的な例としては、例えば、Saint-GobainからのCarboTherm、MomentiveからのCoolFlow及びPolarTherm、並びにPanadyneから入手可能な六方晶窒化ホウ素粉末が挙げられ;窒化アルミニウムの非限定的な例としては、例えば、Micron Metals Inc.から入手可能な窒化アルミニウム粉末、及びToyalからのToyalniteが挙げられ;酸化アルミニウムの非限定的な例としては、例えば、Micro AbrasivesからのMicrogrit、NabaltecからのNabalox、EvonikからのAeroxide、及びImerysからのAlodurが挙げられ;死焼酸化マグネシウムの非限定的な例としては、例えば、Martin Marietta Magnesia SpecialtiesからのMagChem(登録商標)P98が挙げられ;水酸化アルミニウムの非限定的な例としては、例えば、Nabaltec GmbHからのAPYRAL及びSibelcoからの水酸化アルミニウムが挙げられ、セラミック微小球の非限定的な例としては、例えば、Zeeospheres Ceramics又は3Mからのセラミック微小球が挙げられる。これらの充填剤はまた、表面修飾することもできる。例えば、Kyowa Chemical Industry Co.,Ltdから入手可能なPYROKISUMA 5301Kとして入手可能な表面修飾酸化マグネシウム。代替的に、TC/EI充填剤材料は、任意の表面修飾を含まない場合がある。
【0060】
本明細書で使用される場合、「死焼酸化マグネシウム」という用語は、高温(例えば、高温シャフトキルンで1500℃~2000℃の範囲)で焼成され、焼成されていない酸化マグネシウムと比較して反応性が非常に低い材料を得る酸化マグネシウムを指す。
【0061】
TC/EI充填剤材料は、単一のTC/EI充填剤材料として含まれ得るか、又は上述のTC/EI充填剤材料のうちの2つ若しくは2つより多くの組み合わせとして含まれ得る。
【0062】
電気絶縁性充填剤は、非熱伝導性電気絶縁性充填剤材料を含み得る。本明細書で使用される場合、「非熱伝導性電気絶縁性充填剤」又は「NTC/EI充填剤」という用語は、25℃で少なくとも5W/m.K(ASTM D7984に従って測定された)の熱伝導率及び少なくとも10Ω.m(ASTM D257、C611、又はB193に従って測定された)の体積抵抗率を有する顔料、充填剤、又は無機粉末を意味する。例えば、NTC/EI充填剤は、25℃で5W/m.K未満(ASTM D7984に従って測定された、例えば3W/m.K以下、例えば1W/mK以下、例えば0.1W/mK以下、例えば0.05W/mK以下の熱伝導率を有し得る。例えば、NTC/EI充填剤は、少なくとも10Ω.m(ASTM D257、C611、又はB193に従って測定された)、例えば、少なくとも20Ω.m、例えば、少なくとも30Ω.m、例えば、少なくとも40Ω.m、例えば、少なくとも50Ω.m、例えば、少なくとも60Ω.m、例えば、少なくとも60Ω.m、例えば、少なくとも70Ω.m、例えば、少なくとも80Ω.m、例えば、少なくとも80Ω.m、例えば、少なくとも90Ω.m、例えば、少なくとも100Ω.mの体積抵抗率を有し得る。NTC/EI充填剤材料は、有機又は無機であり得る。
【0063】
NTC/EI充填剤材料の好適な非限定的な例として、マイカ、シリカ、珪灰石、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ガラス微小球、粘土、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
本明細書で使用される場合、「マイカ」という用語は、一般に、層状ケイ酸塩(フィロケイ酸塩)鉱物を指す。マイカは、モスコバイトマイカを含み得る。モスコバイトマイカは、式KAl(AlSi10)(F,OH)又は(KF)(Al(SiO(HO)のアルミニウム及びカリウムのフィロケイ酸塩鉱物を含む。例示的な非限定的な市販のモスコバイトマイカには、Pacer Mineralsから入手可能な商標名DakotaPURE(商標)、例えば、DakotaPURE(商標)700、DakotaPURE(商標)1500、DakotaPURE(商標)2400、DakotaPURE(商標)3000、DakotaPURE(商標)3500、及びDakotaPURE(商標)4000で販売されている製品が含まれる。
【0065】
シリカ(SiO)は、三次元構造を形成するために炎で処理されたシリカを含むヒュームドシリカを含み得る。ヒュームドシリカは、未処理であり得るか、又は例えば、ポリジメチルシロキサンなどのシロキサンで表面処理され得る。例示的な非限定的な市販のヒュームドシリカとしては、Evonik Industriesから入手可能な商標名AEROSIL(登録商標)、例えば、AEROSIL(登録商標)R104、AEROSIL(登録商標)R106、AEROSIL(登録商標)R202、AEROSIL(登録商標)R208、AEROSIL(登録商標)R972で販売されている製品、並びにWacker Chemie AGから市販されている商標名HDK(登録商標)、例えば、HDK(登録商標)H17及びHDK(登録商標)H18で販売されている製品が挙げられる。
【0066】
珪灰石は、少量の鉄、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、チタニウム、及び/又はカリウムを含有し得るカルシウムイノケイ酸塩鉱物(CaSiO)を含む。例えば、珪灰石は、1.5~2.1m/g、例えば1.8m/gのB.E.T.表面積、及び6ミクロン~10ミクロン、例えば8ミクロンの中央粒径を有し得る。市販の珪灰石の非限定的な例としては、NYCO Minerals, Inc.から入手可能なNYAD 400が挙げられる。
【0067】
炭酸カルシウム(CaCO)は、沈殿した炭酸カルシウム又は粉砕した炭酸カルシウムを含み得る。炭酸カルシウムは、ステアリン酸で表面処理されていても、表面処理されていなくてもよい。市販の沈殿した炭酸カルシウムの非限定的な例としては、Specialty Mineralsから入手可能なUltra-Pflex(登録商標)、Albafil(登録商標)、及びAlbacar HO(登録商標)、並びにSolvayから入手可能なWinnofil(登録商標)SPTが挙げられる。市販の粉砕した炭酸カルシウムの非限定的な例としては、IMERYSから入手可能なDuramite(商標)及びSpecialty Mineralsから入手可能なMarblewhite(商標)が挙げられる。
【0068】
有用な粘土鉱物としては、タルク、パイロフィライト、亜塩素酸塩、バーミキュライト、又はそれらの組み合わせなどの非イオン性板状充填剤が挙げられる。
【0069】
ガラス微小球は、中空のホウケイ酸ガラスであり得る。市販のガラス微小球の非限定的な例としては、3Mから入手可能な3MグラスバブルズタイプVS、Kシリーズ、及びSシリーズが挙げられる。
【0070】
電気絶縁性充填剤材料は、任意の粒子形状又は幾何学形状を有し得る。例えば、電気絶縁性充填剤材料は、規則的又は不規則な形状であってもよく、球状、楕円体、立方体、板状、針状(細長い又は繊維状)、棒状、円盤状、プリズム状、フレーク状の、岩石状など、それらの凝集体、及びそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0071】
電気絶縁性充填剤材料の粒子は、製造業者によって報告されたように、少なくとも0.01ミクロン、例えば、少なくとも2ミクロン、例えば、少なくとも10ミクロンの少なくとも1つの寸法において報告された平均粒径を有し得る。電気絶縁性充填剤材料の粒子は、製造業者によって報告されたように、500ミクロン以下、例えば、300ミクロン以下、200ミクロン以下、150ミクロン以下の少なくとも1つの寸法において報告された平均粒径を有し得る。電気絶縁性充填剤材料の粒子は、製造業者によって報告されたように、0.01ミクロン~500ミクロン、例えば0.1ミクロン~300ミクロン、例えば、2ミクロン~200ミクロン、例えば、10ミクロン~150ミクロンの少なくとも1つの寸法において報告された平均粒径を有し得る。平均粒径を測定する好適な方法としては、Quanta 250 FEG SEMなどの器具又は同等の器具を使用した測定が挙げられる。
【0072】
粉末コーティング組成物の電気絶縁性充填剤材料の粒子は、少なくとも1(モース硬度スケールに基づいて)、例えば、少なくとも2、例えば、少なくとも3の報告されたモース硬度を有し得る。粉末コーティング組成物の電気絶縁性充填剤材料の粒子は、10以下、例えば、8以下、例えば、7以下の報告されたモース硬度を有し得る。粉末コーティング組成物の電気絶縁性充填剤材料の粒子は、1~10、例えば、2~8、例えば、3~7の報告されたモース硬度を有し得る。
【0073】
粉末コーティング組成物は、電気絶縁性充填剤材料を、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて少なくとも30重量%、例えば、少なくとも45重量%、例えば、少なくとも50重量%の量で含み得る。粉末コーティング組成物は、電気絶縁性充填剤材料を、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて60重量%以下、例えば、55重量%以下、例えば、50重量%以下の量で含み得る。粉末コーティング組成物は、電気絶縁性充填剤材料を、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて30重量%~60重量%、例えば、45重量%~55重量%、例えば、45重量%~50重量%、例えば、50重量%~55重量%の量で含み得る。
【0074】
粉末コーティング組成物は、難燃剤又は難燃剤の組み合わせを含むことができる。例えば、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムなどの上記の特定のTC材料も、難燃剤であり得る。本明細書で使用される場合、「難燃剤」は、火災の広がりを遅らせる、若しくは止める、又はその強度を低下させる材料を指す。難燃剤は、組成物、発泡体、又はゲルと混合され得る粉末として利用可能であり得る。例では、粉末コーティング組成物が難燃剤を含む場合、そのような組成物は、基材表面にコーティングを形成し得、そのようなコーティングは、難燃剤として機能し得る。
【0075】
以下により詳細に記載されるように、難燃剤は、鉱物、有機化合物、有機ハロゲン化合物、有機リン化合物、又はそれらの組み合わせを含むことができる。鉱物の好適な例としては、ハンタイト、ハイドロマグネサイト、様々な水和物、赤リン、ホウ酸塩などのホウ素化合物、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムなどの炭酸塩、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。有機ハロゲン化合物の好適な例としては、有機塩素、例えば、クロレンド酸誘導体及び塩素化パラフィン、有機臭素、例えば、デカブロモジフェニルエーテル(decaBDE)、デカブロモジフェニルエタン(decaBDEの代替物)、高分子臭素化化合物、例えば、臭素化ポリスチレン、臭素化カーボネートオリゴマー(BCO)、臭素化エポキシオリゴマー(BEO)、テトラブロモフタル酸無水物、テトラブロモビスフェノールA(TBBPA)、及びヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)が挙げられる。そのようなハロゲン化難燃剤は、それらの効率を高めるために相乗剤と併せて使用され得る。他の好適な例としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、及びアンチモン酸ナトリウムが挙げられる。有機リン化合物の好適な例としては、トリフェニルホスフェート(TPP)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)(RDP)、ビスフェノールAジフェニルホスフェート(BADP)、及びトリクレシルホスフェート(TCP);ホスホネート、例えば、ジメチルメチルホスホネート(DMMP);並びにホスフィネート、例えば、アルミニウムジエチルホスフィネートが挙げられる。難燃剤の1つの重要なクラスにおいて、化合物は、リン及びハロゲンの両方を含有する。そのような化合物としては、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート(臭素化トリス)及び塩素化有機ホスフェート、例えば、トリス(1,3-ジクロロ-2-プロピル)ホスフェート(塩素化トリス又はTDCPP)及びテトラキス(2-クロロエチル)ジクロロイソペンチルジホスフェート(V6)が挙げられる。有機化合物の好適な例としては、カルボン酸、ジカルボン酸、メラミン、及び有機窒素化合物が挙げられる。他の好適な難燃剤としては、ポリリン酸アンモニウム及び硫酸バリウムが挙げられる。
【0076】
接着剤組成物
接着剤は、熱伝導性充填剤と、求電子官能基を含む化合物、チオール末端化合物、熱可塑性ポリマー又はそれらの任意の組み合わせとを含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなる接着剤組成物から堆積され得る。
【0077】
接着剤組成物は、1成分接着剤組成物、2成分組成物、又は多成分組成物(すなわち、2つより多くの成分)であり得る。
【0078】
本明細書に開示される接着剤組成物に有用な好適な求電子官能基としては、エポキシド官能基、カーボネート官能基、イソシアネート官能基、ケト官能基、アジリジン官能基、チイラン官能基、環状ラクトン官能基、及びカルボジイミド官能基が挙げられる。接着剤組成物は、求核性官能基を含む第2の化合物を更に含み得る。第2の分子は、単官能性又は多官能性であり得る。第2の分子は、モノマー、小分子、又はポリマーであり得る。好適な求核性官能基としては、アミン官能基、ヒドロキシ官能基、チオール官能基、カルボキシ官能基、無水物官能基、アセトアセテート(ACAC)官能基、及びそれらの組み合わせを含む活性水素官能基が挙げられる。求核性官能基を含む好適な分子は、アミン、チオール、アルコール、ポリオール、カルボン酸、無水物、又はそれらの組み合わせを含み得る。求核性官能基は、ブロックされていても、ブロックされていなくても、カプセル化されていても、カプセル化されていなくてもよい。
【0079】
接着剤組成物に使用され得る好適なチオール末端化合物としては、モノマー、ポリマー、及び/又はオリゴマーが挙げられる。
【0080】
本組成物は、熱可塑性ポリマーを含み得る。好適な熱可塑性ポリマーとしては、ポリアミド、例えば、ナイロン及びアラミド;ポリオレフィン、例えば、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、非晶質ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、エチレンプロピレンコポリマー、ポリ塩化ビニル、及び塩化ビニルコポリマー;ポリウレタン;スチレンブロックコポリマー、例えば、スチレン-ブタジエン、スチレン-イソプレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン、スチレン-エチレン/プロピレン;ポリエーテル、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリオキシメチレン、ポリ(p-フェニレンエーテル);エチレン-ビニルアセテート;ポリベンゾイミダゾール;ポリフェニルスルフィド;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;クロロプレン;アクリロニトリルブタジエン;ポリカーボネート;ポリアクリレート、例えば、ポリ(メタ)アクリレート、又はそれらの組み合わせが挙げられる。例では、有用な非反応性エラストマーとしては、エボニックから入手可能なPolyvest(登録商標)ポリブタジエンが挙げられる。反応性エラストマーの例としては、Emerald Performance Materialsから入手可能なHypro(登録商標)ATBNアミン官能性ブタジエンコポリマーが挙げられる。熱可塑性エラストマーの好適な例としては、オレフミック熱可塑性エラストマー、ポリエーテルブロックアミドポリブタジエン熱可塑性エラストマー、ポリエステル熱可塑性エラストマー、スチレン熱可塑性エラストマー、及びビニル熱可塑性エラストマー、並びにゴム、例えば、ブタジエンゴム、ブチルゴム、ブロモブチルゴム、クロロブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、クロロスフロネートポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン-プロピレンゴム、フルオロエラストマー(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー)、天然ゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、ポリスルフィドゴム、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、スチレン-ブタジエンゴムが挙げられる。
【0081】
接着剤組成物は、加水分解性成分を含み得る。加水分解性成分は、シラン含有ポリマー、シリル含有ポリマー、イミン、又はそれらの組み合わせを含み得る。シラン含有ポリマーは、ポリチオエーテル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイソシアネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、ポリ尿素、ポリウレタン、又はそれらの組み合わせを含み得る。シラン含有ポリマーは、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン基、アミノ基、又はそれらの組み合わせを含み得る。シリル含有ポリマーは、アルキル基、フェニル基、又はそれらの組み合わせを含み得る。シリル含有ポリマーは、ポリチオエーテル、ポリスルフィド、チオールエステル、チオールポリアクリレート、又はそれらの組み合わせを含み得る。イミンは、ケチミン、アルジミン、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0082】
接着剤組成物は、必要に応じて、当該技術分野で既知の様々な促進剤、エラストマー粒子、添加剤、可塑剤、溶媒などのうちのいずれかを含み得る。
【0083】
接着剤組成物に有用な化合物の好適な例は、PCT公開第2021/211694(A1)号、段落[0022]~[0046]、[0055]~[0059]、[0062]~[0138]、[0204]、及び[0206];PCT公開第2021/211184(A1)号、段落[0019]~[0035]、[0044]~[0051]、[0056]、[0061]~[0080]、[0110]~[0127]、[0135]~[0141]、[0144]~[0146]、及び[0150]~[0152];PCT公開第2021/211183(A1)号、段落[0017]~[0030]、[0040]~[0043]、[0046]~[0050]、[0081]~[0093]、[0101]~[0107]、及び[0111]~[0113];並びにPCT公開第2021/211722(A1)号、段落[0018]~[0035]、[0044]~[0056]、[0061]、[0062]、[0068]~[0172]、[0203]~[0225]、[0233]~[0240]、及び[0245]において論じられ、これらの全ては参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
接着剤組成物は、熱伝導性充填剤を含み得る。熱伝導性充填剤は、電気絶縁性充填剤であり得る。好適なTC/EI充填剤としては、粉末コーティング組成物に関して上述されるもののうちのいずれかが挙げられる。
【0085】
熱伝導性充填剤は、接着剤組成物中に、接着剤組成物の総重量に基づいて少なくとも60重量%、例えば少なくとも75重量%の量で存在し得る。熱伝導性充填剤は、接着剤組成物中に、本組成物の総重量に基づいて90重量%以下、例えば86重量%以下の量で存在し得る。熱伝導性充填剤は、接着剤組成物中に、接着剤組成物の総重量に基づいて60重量%~90重量%、例えば、75重量%~86重量%の量で存在し得る。
【0086】
接着剤組成物は、非熱伝導性電気絶縁性充填剤を更に含み得る。接着剤組成物に有用な好適なNTC/EI充填剤としては、粉末コーティング組成物に関して上述したNTC/EI充填剤のうちのいずれかが挙げられる。
【0087】
接着剤組成物は、難燃剤を更に含み得る。接着剤組成物に使用するための好適な難燃剤としては、粉末コーティング組成物に関して上述した難燃剤のうちのいずれかが挙げられる。
【0088】
基材
基材は、多種多様な基材及びそれらの組み合わせから選択され得る。基材の非限定的な例としては、自動車用基材を含む車両、工業用基材、船舶、大型船、並びに陸上及び海上設備などの海洋用基材及び構成部品、貯蔵タンク、包装用基材、建築用基材、航空機及び航空宇宙構成部品、蓄電デバイス、バッテリー及びバッテリー構成部品、バスバー、金属線、銅又はアルミニウム導体、ニッケル導体、木製のフローリング及び家具、ファスナー、コイル状金属、熱交換器、通気口、押出成形、屋根材、ホイール、格子、ベルト、コンベア、穀物又は種子のサイロ、金網、ボルト又はナット、スクリーン又はグリッド、HVAC機器、フレーム、タンク、コード、ワイヤー、アパレル、ハウジング及び回路基材を含む電子機器及び電子部品、ガラス、ゴルフボールを含むスポーツ用品、スタジアム、建物、橋、食品及び飲料容器などの容器、などが挙げられる。
【0089】
前述の基材のうちのいずれかを含む基材は、金属又は非金属であり得る。金属基材としては、スズ、鋼、冷延61鋼、熱延鋼、亜鉛金属でコーティングされた鋼、亜鉛化合物、亜鉛合金、電気亜鉛めっき鋼、溶融亜鉛めっき鋼、ガルバニール鋼、ガルバリウム、亜鉛合金でめっきされた鋼、ステンレス鋼、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金コーティング鋼、亜鉛-アルミニウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金、アルミニウムめっき鋼、アルミニウム合金めっき鋼、亜鉛-アルミニウム合金でコーティングされた鋼、マグネシウム、マグネシウム合金、ニッケル、ニッケルめっき、青銅、スズめっき、スズめっき、クラッド、チタン、真鍮、銅、銀、金、3Dプリント金属、鋳造又は鍛造金属及び合金、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
本明細書で使用される場合、「車両」又はその変形例としては、民間、商業、及び軍事航空機、並びに/又は飛行機、ヘリコプター、自動車、オートバイ、トラック、及び/若しくは自転車、例えば、電子自転車の陸上車両が挙げられるが、これらに限定されない。基材の形状は、シート、プレート、バー、ロッド、又は所望の任意の形状の形態であってもよい。
【0091】
上述したように、基材は、バッテリー又はバッテリー構成部品を含み得る。バッテリーは、例えば、電気車両のバッテリーであってもよく、バッテリー構成部品は、電気車両のバッテリー構成部品であってもよい。バッテリー構成部品は、バッテリーセル、バッテリーシェル、バッテリーモジュール、バッテリーパック、バッテリーボックス、バッテリーセルケーシング、パックシェル、バッテリー蓋及びトレイ、熱管理システム、インバーター、バッテリーハウジング、モジュールハウジング、モジュールラッキング、バッテリーサイドプレート、バッテリーセルエンクロージャ、冷却モジュール、冷却管、冷却フィン、冷却プレート、バスバー、バッテリーフレーム、電気接続、金属線、銅若しくはアルミニウム導体若しくはケーブル、定置型エネルギー貯蔵システムの任意の部分、又はそれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。
【0092】
上述のように、接着剤コーティング組成物及び粉末コーティング組成物は、これらの基材のうちのいずれかに塗布して、本明細書に記載されるように、電気絶縁性コーティング(すなわち、誘電体コーティング)、熱伝導性コーティング、又は電気絶縁性及び熱伝導性コーティングを形成し得る。
【0093】
図1図9に示されるように、コーティング層は、本明細書に開示される粉末コーティング組成物のうちの1つから基材の表面上に堆積され得る。接着剤は、接着剤がコーティング層と第2の基材の表面との間にあるように、コーティング層の少なくとも一部に本明細書に開示される接着剤組成物のうちの1つを塗布することによって形成され得る。
【0094】
図1図9は、バッテリーアセンブリ構成部品及び構造体、並びに当該バッテリーアセンブリにおける本明細書に開示される組成物の非限定的な適用又は使用の非限定的な例を示す。図1図9は、セル形状及びセル配列の具体的な例を示すが、セルは、当業者に既知の任意の構成で配列され得る。追加的に、硬化された組成物は、バッテリーセル間、バッテリーモジュール内、及び/又はバッテリーパック内に熱保護を提供するために、パッド、接着剤、コーティング、ポッタントなどを形成するために使用され得る。これらの材料は、そのようなバッテリーアセンブリ内の任意の表面に又は任意の空間で使用され得る。例えば、本明細書に開示される組成物は、セルからモジュール(図3図4図6B)、モジュールからパック(図6C図7)、セルからパック(図8)、及びセルからシャーシバッテリーアセンブリ(図9)を含むが、これらに限定されない、バッテリーアセンブリにおいても有用であり得る。任意の前述の適用であるが、これらに限定されない適用において、そのようなバッテリーアセンブリが、使用され得る。
【0095】
バッテリーアセンブリは、1つ又は1つより多くのバッテリーセル、それらの間に電気伝導性を提供する相互接続、並びに非限定的な例では、特定のバッテリーの動作に必要な構造的機械的及び環境的要件を確実にする制御電子機器及び構成部品(例えば、限定されないが、ワイヤーなどのセル相互接続器、トレイ及び蓋を含むバッテリーパックエンクロージャ、モジュールエンクロージャ、モジュールフレーム及びフレームプレート、モジュールラック、冷却プレート、冷却フィン、及び冷却管を含む冷却及び加熱構成部品、電気バスバー、バッテリー管理システム、バッテリー熱管理システム、充電器、インバーター及びコンバーター)などの補助構成部品の任意の組み合わせであり得る。
【0096】
バッテリーセル10は、概して、直列に又は並列に接続され得る単一ユニットのエネルギー貯蔵容器である。バッテリーセルは、円筒(図1図4、及び図9)、プリズム(図2図5図8)及び/又はパウチ(図3)などであるが、これらに限定されない、当業者に既知の任意の好適なサイズ又は形状であってもよい。バッテリーセル10は、セルの所望の機械的保護及び環境分離を提供するために囲まれている。例えば、円筒及びプリズムセルは、金属缶、ケース、及び蓋に封入されてもよく、一方、パウチセルは、多層ラミネートホイルに封入されてもよい。バッテリー端子1は、一方が正端子であり、もう一方が負端子である、バッテリーセル内の電極をバッテリーセル外の電気回路に接続する。図4に示されるように、バッテリーセル10は、電流がセル10間を流れることを可能にするために、他のバッテリーセル10と直列又は並列にインターコネクタワイヤー5によって接続され得る。
【0097】
図3図4図5図6B図6C、及び図7に示されるように、バッテリーセル10は、直列に又は並列に接続された複数のセル10を含むモジュール100に配列され得る。モジュール100は、配列されたセル10の部分エンクロージャを含み得る。前述のものなどの補助構成部品が含まれ得る。任意の寸法の空隙は、複数のセル、補助構成部品、ベース、及び/又はモジュール壁若しくは他のエンクロージャ120の任意の内面の間に位置し得る。
【0098】
図1は、端子1を有する円筒バッテリーセル10のトップダウン図を示す。示されるように、セルは、それらの間に冷却管3又は誘電体及び断熱紙(絶縁紙)4のいずれかを有する列に配列される。示されるように、本明細書に開示される組成物から形成された粉末コーティング及び接着剤6などの材料は、それぞれ、セル10、冷却管3、及び/又は絶縁紙4の間に配置され得る。
【0099】
図2は、プリズムバッテリーセル10のアレイの分解等角図を示す。示されるように、各プリズムセル10は、上部11、底部、及び上部と底部との間に配置された壁13を含み得、各々が、表面を有する。示されるように、本明細書に開示される組成物から形成されたコーティング(すなわち、粉末コーティング及び接着剤)8は、隣接セル10のセル壁13の表面の間に配置され得る。
【0100】
図3は、モジュール100内のパウチバッテリーセル10のアレイの切り取り正面図を示す。モジュール壁120は、セル10を部分的に包み込んでもよい。示されるように、本明細書に開示される組成物から形成されたコーティング(すなわち、粉末コーティング及び接着剤)8などの材料は、セル10の表面の間に配置され得る。
【0101】
図4は、バッテリーモジュール100内の円筒セル10の等角図を示す。各セルは、上部11、底部12、及び上部と底部との間に配置された壁13を含み得、各々が、表面を有する。上部11及び底部12は、一方が正端子1であり、もう一方が負端子(図示せず)である、逆帯電した端子であり得る。バッテリーセルは、電流が電気セル間を流れることを可能にするために、ワイヤー5などのインターコネクタによってそれらの端子で接続され得る。モジュール100又はモジュール壁120は、容積を有する空隙を形成し得る。セル10は、容積の一部を消費するように空隙内に配置され得る。本明細書に開示される組成物から形成された粉末コーティング及び接着剤7などの材料は、材料がセル壁13の表面及び/又はモジュール100の壁120のうちの1つの内面に隣接するように、容積の一部を消費するように空隙内に配置され得る。
【0102】
図5は、バッテリーセル10、冷却フィン230、及び/又は冷却プレート240の1つ又は1つより多くのアレイから構成されるバッテリーモジュール100の分解斜視図を示す。本明細書に開示される組成物から形成されたコーティング(すなわち、粉末コーティング及び接着剤)8などの材料は、セル10の間に配置され得る。追加のコーティング8は、セル10、冷却フィン230、及び/又は冷却プレート240の間に配置され得る。追加のコーティングは、バッテリーセルアレイと壁120の内面との間に配置され得る。他のコーティング8は、壁120の外面に隣接して配置され得る。
【0103】
図6は、バッテリーセル10(図6A)からバッテリーモジュール100(図6B)へ、バッテリーパック200(図6C)バッテリーアセンブリへの等角図を示す。バッテリーモジュール100は、複数のバッテリーセル10を含み、バッテリーパック200は、複数のバッテリーモジュール100を含む。
【0104】
図7は、バッテリーパック200の切り抜きの斜視図を示す。バッテリーパックは、複数のバッテリーモジュール100及び各モジュール100内のセル10を含む。バッテリーパック200のベースは、冷却プレート240を含む。本明細書に開示される組成物から形成された粉末コーティング及び接着剤などの材料9は、冷却プレート240とバッテリーパック200の壁の内面との間に配置され得る。本明細書に開示される組成物から形成された粉末コーティング及び接着剤8などの材料は、モジュール100内のセル10の間に配置され得る。
【0105】
図8は、セル10からバッテリーパック200アセンブリへの等角図を示す。セル10は、パック200内に配列される(別個のモジュール内にあることなく)。
【0106】
他の場合には、バッテリーセルは、図9に示されるように、セルからシャーシバッテリーアセンブリなどであるが、これらに限定されない、物品上又は物品内に配列され得、1つ又は1つより多くのセルは、セルをモジュール及び/又はパックに事前に組み立てることなく、バッテリーアセンブリを構築するために使用される。図9は、セルからシャーシバッテリーアセンブリ300への等角切り抜き図を示す。セル10は、下部構造体55を含むベース上に配列され、車両フレーム45によって、車両内部床35の下に支持される。
【0107】
任意のバッテリーアセンブリは、液体ベース(例えば、グリコール溶液)又は直接冷媒ベースであり得る空気又は流体回路を含む熱管理システム(図示せず)を更に含み得る。難燃性材料は、バッテリーアセンブリのこれらの構成部品のうちのいずれかに隣接され得る。
【0108】
驚くべきことに、コーティングされた基材は、ASTM D5470(定常状態法)に従って、TIM耐熱性及び伝導率測定装置(モデルLW-9389)を使用して測定された場合、2.0℃/W以下、例えば、0.5℃/W~2.0℃/Wの耐熱性を有し得ることが発見されている。
【0109】
以下の実施例は、例示のみを目的としているが、これは限定的なものとはみなされない。
【実施例0110】
粉末コーティング組成物
実施例1では、0.6グラムのカーボンブラック、25.44グラムの硫酸バリウム、及び0.15グラムの酸化アルミニウムを、フェノール硬化剤と架橋したエポキシ含有粉末コーティング組成物に添加した。実施例2では、0.6グラムのカーボンブラック、50グラムの三水酸化アルミニウム、及び0.15グラムの酸化アルミニウムを、フェノール硬化剤と架橋したエポキシ含有粉末コーティング組成物に添加した。
【0111】
電気絶縁性充填剤を、粉末コーティング組成物のチップに組み入れた。次いで、チップを、Dongyuan ACM(登録商標)-05空気分類ミルで粉砕して、細かい粉末を得、続いて160メッシュでタップふるいにかけて、5~100ミクロンの範囲の最終粒径を達成し、粒子の大部分は、30~52ミクロンの体積である。実施例1及び2の各々について得られたコーティング組成物は、自由流動性の固体微粒子粉末コーティング組成物であった。
【0112】
誘電性能の評価
実施例1及び2の各々の粉末コーティング組成物を、3mmフラットスプレーノズルを備えたEncore Nordson粉末コーティングカップガンを用いて、以下のパラメータ:60kVの電圧、20μAのアンペア数制限、10psiの噴霧、及び10psiの搬送空気流で、アルミニウム基材(AQT-412パネルの合金3003、Q-LABからの裸ミル仕上げ)上に静電的に塗布した。
【0113】
絶縁破壊電圧を試験するために、150~200μmの乾燥フィルム厚さを有するコーティングを、実施例1又は2の粉末コーティング組成物からアルミニウムパネル上に形成した。パネルを、190℃で20分間焼成し、次いで室温で冷却して、最終試料を得た。各試料の絶縁破壊電圧は、ASTM D149-09絶縁破壊電圧及び絶縁耐力試験に従って、Sefelec絶縁耐力テスターRMG12AC-DCを使用して測定された。測定は、以下のパラメータ:電圧限度12.0kV DC、Imax限度:0.1mA、10秒ランプ、20秒ドウェル、及び2秒フォール、を採用した。
【0114】
具体的には、測定は、以下のステップ:(1)試料(コーティングされたアルミニウムパネル)を絶縁耐力テスターの電気絶縁ボックスに入れ、黄銅の平らな上部シリンダー電気接点上に置き、試料のコーティング側を接点に向けた、(2)黄銅の凸状の先端を下げて試料の裏側(コーティング側の反対側)に置き、次いでボックスを密封した、(3)絶縁耐力テスターを3回実行し、値を平均した(表2に報告)、が含まれた。
【0115】
熱伝導率の評価
実施例1及び2の各々の粉末コーティング組成物を、3mmフラットスプレーノズルを備えたEncore Nordson粉末コーティングカップガンを用いて、以下のパラメータ:60kVの電圧、20μAのアンペア数制限、10psiの噴霧、及び10psiの搬送空気流で、アルミニウム基材(AQT-412パネルの合金3003、Q-LABからの裸ミル仕上げ)上に静電的に塗布した。
【0116】
熱伝導率を試験するために、100μm、160μm、又は220μmの乾燥フィルム厚さを有する粉末コーティングを、実施例1又は2の粉末コーティング組成物からアルミニウムパネル上に形成した。160μm又は220μmのいずれかの厚さを有する粉末コーティングを、2つのステップの塗布プロセスを使用して形成して、最終的に所望のコーティング厚さに達した。全てのパネルを、190℃で20分間焼成し、次いで室温で冷却した。形成されたコーティングを、パネルから除去して「遊離」フィルムを得、これを測定のために26mm*26mmの正方形の試料に切断した。
【0117】
各試料の熱伝導率は、TIM耐熱性及び伝導率測定装置(モデルはLW-9389である)によって、ASTM D5470(定常状態法)に従って測定した。実施例1及び2の絶縁破壊電圧及び熱伝導率の試験結果を、表2に要約する。
【表2】
【0118】
熱伝導性接着剤(TCA)
実施例3では、194.65グラムの酸化アルミニウムを、2成分ポリウレタン系接着剤組成物のA部(イソシアネート含有成分)に添加した。B部は、ポリオール及び促進剤からなった。実施例4では、40グラムの酸化アルミニウム及び40グラムの水酸化アルミニウムを、2成分ポリウレタン系接着剤組成物のA部(イソシアネート含有成分)に添加した。B部は、ポリオール及び促進剤からなった。
【0119】
TCA組成物を調製するための方法は、以下を含んだ:
【0120】
(i)熱伝導性充填剤の脱水:熱伝導性充填剤S403Z及びAPYRAL 20Xは、使用前に脱水した:各充填剤の含水率が1000ppm未満になるまで、S403Z及びAPYRAL 20Xを秤量し、105℃のオーブン中に置いた。
【0121】
(ii)A部の混合プロセス:接着剤成分及び熱伝導性充填剤を、遊星撹拌ケトル中で秤量し、撹拌パドルの速度を35RPM、分散プレートの速度を359RPMとし、ケトル中で25分間混合した。5分間の撹拌から、ケトルを、真空ポンプを介して-0.99~1の真空度に真空化した。撹拌後、真空ポンプをオフにし、窒素ガスをケトルに投入して空気圧バランスを補った。次いで、混合物Aをケトルから取り出し、プレス機によってカートリッジに梱包した。
【0122】
(iii)B部の混合プロセス:接着剤成分を、遊星撹拌ケトル中で秤量し、撹拌パドルの速度を35RPM、分散プレートの速度を359RPMとし、ケトル中で25分間混合した。5分間の撹拌から、ケトルを、真空ポンプを介して-0.99~1の真空度に真空化した。撹拌後、真空ポンプをオフにし、窒素ガスをケトルに投入して空気圧バランスを補った。次いで、混合物Bをケトルから取り出し、プレス機によってカートリッジに梱包した。
【0123】
熱伝導率の評価
A部及びB部のカートリッジを、SULZER DP2X400グルーガンを用いて3~6バールの空気圧でPETフィルム上に塗布し、別のPETフィルムで覆った。試料を、錠剤機に入れて圧力をかけ、0.2~3.0mmの厚さのフレームをスペーサーとして厚さを制御した。フィルムが完全に硬化した後、それらを除去し、熱伝導率をASTM D5470に従って熱伝導率テスターで試験した。
【0124】
2層システム
実施例1及び2の粉末コーティングを、上記と同じ手順に従って、基材(Al3003パネル)に塗布し、実施例3及び4の熱伝導性接着剤コーティングを、上記と同じ手順に従って、粉末コーティングの上に塗布した。熱伝導性接着剤コーティングの塗布中、直径0.5mmのステンレス鋼ボールをスペーサーとして使用して、熱伝導性接着剤コーティングの厚さを制御した。別のAl3003パネルを、熱伝導性接着剤コーティングで覆い、クランプを使用して、コーティングが完全に硬化するまで2つのAl3003パネルをしっかりと結合した。
【0125】
熱伝導性接着剤のラップせん断強度は、引張速度が1.3mm/分の引張モードでINSTRON 5567機械によって測定されるように、1.6mmの厚さの2024-T3アルミニウム基材を使用して、ASTM D1002-10に従って測定した。接着強度は、GB/T5210に従って、100*10*10mmのアルミニウムカラムを使用して、引張速度が5mm/分の万能引張試験機によって測定した。
【0126】
2層システムの耐熱性は、ASTM D5470(定常状態法)に従って、TIM耐熱性及び伝導率測定装置(モデルはLW-9389である)によって測定した。
【表3】
【0127】
これらのデータは、熱伝導性誘電性粉末コーティングとより低い熱伝導性接着剤との組み合わせが、より高度に充填されたシステム(実施例2+4)と比較して、良好な接着性能(ラップせん断及び接着強度)並びに低い耐熱性(すなわち、実施例2+3)を有するコーティングスタックをもたらし、より低いラップせん断性能を有したことを実証する。
【0128】
本開示の特定の例が、例示のために、上に説明されたが、当業者には、本開示の詳細の多数の変形が、添付の特許請求の範囲に定められるものから逸脱することなく、なされ得ることが明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
【外国語明細書】