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特開2024-28216読み出し回路、放射線検出器、撮像装置、及び入射放射線を処理する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028216
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】読み出し回路、放射線検出器、撮像装置、及び入射放射線を処理する方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/17 20060101AFI20240222BHJP
   A61B 6/42 20240101ALI20240222BHJP
【FI】
G01T1/17 H
G01T1/17 G
A61B6/42 500S
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023132924
(22)【出願日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】2250970-7
(32)【優先日】2022-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(31)【優先権主張番号】23172736
(32)【優先日】2023-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521265793
【氏名又は名称】ダイレクト コンバージョン エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウルバーグ クリスター
【テーマコード(参考)】
2G188
4C093
【Fターム(参考)】
2G188AA02
2G188BB02
2G188CC29
2G188DD05
2G188EE12
2G188EE17
2G188EE27
2G188EE31
2G188FF04
4C093AA22
4C093CA13
4C093EA07
4C093EB13
4C093EB17
4C093EB20
4C093FD09
4C093FD11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の画素を備えた放射線検出器のための画素間で電荷を共有する光子を二重にカウントするリスクを軽減することができる読み出し回路。
【解決手段】読み出し回路36は、複数の画素のうち、読み出し回路に対する一次画素からの入力信号42を処理するように構成され、少なくとも1つの電荷共有補正回路82と、非共有回路90とを備え、各電荷共有補正回路は、複数の画素のうち、読み出し回路に対する少なくとも1つの二次画素を含む画素の集合からの放射線エネルギーの合計を表す電荷共有電気信号を処理するように構成され、非共有回路は、少なくとも1つの電荷共有補正回路による電荷共有電気信号の処理と同時に、一次画素のみに関連付けられ、かつ一次画素からの放射線エネルギーを表す一次電気信号70を処理するように構成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を備えた放射線検出器のための読み出し回路であって、
前記読み出し回路は、前記複数の画素のうち、前記読み出し回路に対する一次画素からの入力信号を処理するように構成され、
前記複数の画素のうち、前記読み出し回路に対する少なくとも1つの二次画素を含む画素の集合からの放射線エネルギーの合計を表す電荷共有電気信号を処理するように、それぞれが構成された少なくとも1つの電荷共有補正回路と、
前記少なくとも1つの電荷共有補正回路による前記電荷共有電気信号の前記処理と同時に、前記一次画素のみに関連付けられ、かつ前記一次画素からの放射線エネルギーを表す一次電気信号を処理するように構成された非共有回路と、
を備える、読み出し回路。
【請求項2】
共通入力信号に応じて、前記非共有回路は、非共有データを提供するように構成され、前記少なくとも1つの電荷共有補正回路のうちの1つ以上は、共有データを提供するように構成される、請求項1に記載の読み出し回路。
【請求項3】
前記少なくとも1つの二次画素は、前記一次画素に隣接している、請求項1に記載の読み出し回路。
【請求項4】
各電荷共有補正回路は、前記電荷共有電気信号を固有の共有閾値と比較するように構成された共有比較器を備える、請求項1に記載の読み出し回路。
【請求項5】
各電荷共有補正回路は、前記共有比較器に関連付けられた共有データをカウントするように構成された共有カウンタを備える、請求項4に記載の読み出し回路。
【請求項6】
各電荷共有補正回路は、前記共有カウンタに関連付けられ、かつ前記関連する共有カウンタからの共有カウントデータを処理するように構成された共有レジスタを備える、請求項5に記載の読み出し回路。
【請求項7】
各非共有回路は、前記一次電気信号を非共有閾値と比較するように構成された非共有比較器を備える、請求項1に記載の読み出し回路。
【請求項8】
各非共有回路は、前記非共有比較器に関連付けられた非共有データをカウントするように構成された非共有カウンタを備える、請求項7に記載の読み出し回路。
【請求項9】
各非共有回路は、前記非共有カウンタに関連付けられ、かつ前記関連する非共有カウンタからの非共有カウントデータを処理するように構成された非共有レジスタを備える、請求項8に記載の読み出し回路。
【請求項10】
前記複数の画素と、請求項1による少なくとも1つの読み出し回路とを備えた放射線検出器であって、各読み出し回路は、前記複数の画素のうち、固有の画素に関連付けられる、放射線検出器。
【請求項11】
前記放射線検出器は、前記少なくとも1つの電荷共有補正回路から共有カウントデータを読みだすことと、前記非共有回路から非共有カウントデータを読みだすこととを、前記読み出し回路ごとに同時に行うように構成される、請求項10に記載の放射線検出器。
【請求項12】
請求項10または11に記載の放射線検出器を備えた撮像装置。
【請求項13】
少なくとも1つのデータ処理デバイスと、少なくとも1つのコンピュータプログラムを格納した少なくとも1つのメモリと、を含む制御システムをさらに備えた、請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つのコンピュータプログラムは、プログラムコードを有し、前記プログラムコードは、前記少なくとも1つのデータ処理デバイスにより実行されると、前記少なくとも1つのデータ処理デバイスに、前記少なくとも1つの非共有回路のうちの1つ以上からの非共有カウントデータに基づいて、前記少なくとも1つの電荷共有補正回路のうちの1つ以上からの共有カウントデータを修正させる、請求項13に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つのコンピュータプログラムは、プログラムコードを有し、前記プログラムコードは、前記少なくとも1つのデータ処理デバイスにより実行されると、前記少なくとも1つのデータ処理デバイスに、
前記非共有回路からの非共有カウントデータに基づいて、出力カウントレートを特定することと、
前記出力カウントレートに基づいて、入力カウントレートを特定することと、
前記入力カウントレートに基づいて、少なくともいくつかの共有カウントデータを無視することと、
を、読み出し回路ごとに実行させる、請求項13に記載の撮像装置。
【請求項16】
入射放射線を処理する方法であって、
入射放射線の放射線エネルギーを検出するように構成された複数の画素を設けることと、
読み出し回路を設けることであって、前記読み出し回路は、前記複数の画素のうち、前記読み出し回路に対する一次画素からの入力信号を処理するように構成される、設けることと、
前記読み出し回路の少なくとも1つの電荷共有補正回路により、前記複数の画素のうち、前記読み出し回路に対する少なくとも1つの二次画素を含む画素の集合からの放射線エネルギーの合計を表す電荷共有電気信号を処理することと、
前記少なくとも1つの電荷共有補正回路による前記電荷共有電気信号の前記処理と同時に、前記読み出し回路内の非共有回路により、前記一次画素のみに関連付けられ、かつ前記一次画素からの放射線エネルギーを表す一次電気信号を処理することと、
を含む、方法。
【請求項17】
各電荷共有補正回路内の共有比較器により、前記電荷共有電気信号を共有閾値と比較することと、
各電荷共有補正回路内の共有カウンタにより、前記各自の共有比較器に関連付けられた共有データをカウントして、共有カウントデータを提供することと、
各電荷共有補正回路内の共有レジスタにより、前記各自の共有カウンタからの前記共有カウントデータを処理することと、
前記非共有回路内の非共有比較器により、前記一次電気信号を非共有閾値と比較することと、
前記非共有回路内の非共有カウンタにより、前記非共有カウンタに関連付けられた非共有データをカウントして、非共有カウントデータを提供することと、
前記非共有回路内の非共有レジスタにより、前記非共有カウンタからの前記非共有カウントデータを処理することと、
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記非共有カウントデータに基づいて、前記共有カウントデータを修正することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記読み出し回路ごとに、
前記非共有回路からの非共有カウントデータ基づいて、出力カウントレートを特定することと、
前記出力カウントレートに基づいて、入力カウントレートを特定することと、
前記入力カウントレートに基づいて、少なくともいくつかの共有カウントデータを無視することと、
をさらに含む、請求項17または18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、放射線検出に関する。具体的には、放射線検出器のための読み出し回路、複数の画素及び少なくとも1つの読み出し回路を備えた放射線検出器、放射線検出器を備えた撮像装置、ならびに入射放射線を処理する方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
当技術分野では、電離放射線を検出するための様々な放射線検出器が知られている。放射線源は、患者などの対象に放射線を透過させ、放射線検出器が減衰した放射線を測定する。放射線は、電気信号に変換され、制御システムがこれらの信号を処理して、所望の画像が提供され得る。
【0003】
複数の画素を備えた放射線検出器の場合、パルスは、局所的な画素クラスタにわたり合計され得る。このようにして、画素間で電荷を共有する光子を二重にカウントするリスクを軽減することができる。合計は、1つ以上のエネルギー閾値と比較され得、ヒット(及びエネルギー)は、最大エネルギー蓄積を有する画素に即応し得る。この技術は、電荷共有補正と称される。このような電荷共有補正の一例は、参考文献1に記載されており、参考文献1は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0004】
参考文献1:「Medipix2, a 64k pixel read out chip with 55 μm square elements working in single photon counting mode」;X. Llopart、M. Campbell、D. San Segundo、E. Pernigotti、R. Dinapoli;IEEE 2002 0‐7803‐7324‐3/02。
【発明の概要】
【0005】
本開示の1つの目的は、改良された読み出し回路を提供することである。
【0006】
本開示のさらなる目的は、改良された放射線検出器を提供することである。
【0007】
本開示のさらなる別の目的は、改良された撮像装置を提供することである。
【0008】
本開示のさらなる別の目的は、入射放射線を処理する改良された方法を提供することである。
【0009】
これらの目的は、添付の特許請求項1に記載の読み出し回路、添付の特許請求項10に記載の放射線検出器、添付の特許請求項12に記載の撮像装置、及び添付の特許請求項16に記載の方法により、達成される。
【0010】
第1の態様によれば、複数の画素を備えた放射線検出器のための読み出し回路が提供され、読み出し回路は、複数の画素のうち、読み出し回路に対する一次画素からの入力信号を処理するように構成され、少なくとも1つの電荷共有補正回路と、非共有回路とを備え、各電荷共有補正回路は、複数の画素のうち、読み出し回路に対する少なくとも1つの二次画素を含む画素の集合からの放射線エネルギーの合計を表す電荷共有電気信号を処理するように構成され、非共有回路は、少なくとも1つの電荷共有補正回路による電荷共有電気信号の処理と同時に、一次画素のみに関連付けられ、かつ一次画素からの放射線エネルギーを表す一次電気信号を処理するように構成される。
【0011】
第2の態様によれば、複数の画素と、第1の態様による少なくとも1つの読み出し回路とを備えた放射線検出器が提供され、各読み出し回路は、複数の画素のうち、固有の画素に関連付けられる。
【0012】
第3の態様によれば、第2の態様による放射線検出器を備えた撮像装置が提供される。
【0013】
第4の態様によれば、入射放射線を処理する方法が提供され、方法は、入射放射線の放射線エネルギーを検出するように構成された複数の画素を設けることと、複数の画素のうち、読み出し回路に対する一次画素からの入力信号を処理するように構成された読み出し回路を設けることと、読み出し回路内の少なくとも1つの電荷共有補正回路により、複数の画素のうち、読み出し回路に対する少なくとも1つの二次画素を含む画素の集合からの放射線エネルギーの合計を表す電荷共有電気信号を処理することと、少なくとも1つの電荷共有補正回路による電荷共有電気信号の処理と同時に、読み出し回路内の非共有回路により、一次画素のみに関連付けられ、かつ一次画素からの放射線エネルギーを表す一次電気信号を処理することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】放射線検出器を備えた撮像装置を概略的に表す。
図2】放射線検出器の上面図を概略的に表す。
図3図2のA‐A断面における放射線検出器の部分的断面側面図を概略的に表す。
図4】放射線検出器の読み出し回路を概略的に表す。
図5図4の読み出し回路のより詳細な実施態様の一例を概略的に表す。
図6】読み出し回路の電荷共有補正セクションの一部を概略的に表す。
図7】2つの異なる読み出し回路の電荷共有補正回路及び非共有回路により処理される電荷を概略的に示す。
図8】異なる入力カウントレートに対する電荷共有補正回路及び非共有回路の出力カウントレートを概略的に示す。
図9】方法の全体的なステップを概説するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
下記では、放射線検出器のための読み出し回路、複数の画素及び少なくとも1つの読み出し回路を備えた放射線検出器、放射線検出器を備えた撮像装置、ならびに入射放射線を処理する方法が説明される。同じまたは同様の構造的特徴を示すために、同じまたは同様の参照番号が使用される。
【0016】
従来技術による既知の電荷共有補正の実施態様はすべて、入力カウントレートを増加させるパルスパイルアップにより、最大出力カウントレートが低下していた。単一画素カウントと電荷共有補正カウントを同時に取得できる放射線検出器の読み出し回路を提供することにより、放射線検出器の性能を向上させることができる。
【0017】
図1は、撮像装置10の一例を概略的に表す。撮像装置10は、放射線検出器12と、制御システム14とを備える。撮像装置10は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンに使用され得る。
【0018】
撮像装置10はさらに、X線を放出するX線管などの放射線源16を備え、例えば患者の身体などの撮像する対象18にX線を透過させる。X線は、対象18を透過した後、放射線検出器12に到達し、放射線検出器12にて、X線は検出され、対象18の空間分解投影画像を表す信号に変換される。
【0019】
制御システム14は、放射線検出器12に動作可能に接続される。制御システム14は、放射線検出器12から放射線データを読み取るように構成される。制御システム14は、2D投影画像を取得するように構成され得る。取得された2D画像は、特にコンピュータ断層撮影の既知の原理を用いて、対象18の例えば3D画像を再構築するために使用され得る。
【0020】
制御システム14は、データ処理デバイス20と、メモリ22とを備える。メモリ22には、コンピュータプログラムが格納されている。コンピュータプログラムは、プログラムコードを含み、プログラムコードは、データ処理デバイス20により実行されると、データ処理デバイス20に、本明細書に記載の様々なステップを実行させる、またはその実行を命令させる。
【0021】
図2は、放射線検出器12の上面図を概略的に表す。放射線検出器12は、複数の画素24‐11から24‐nmを備える。放射線検出器12は、例えば、少なくとも1000個の画素24‐11から24‐nmを備え得る。各画素24‐11から24‐nmは、参照番号「24」で言及される場合もある。画素24は、放射線検出器12全体など、放射線検出器12の少なくとも大部分にわたり分散配置される。この実施例では、画素24は、二次元配列を形成する。放射線検出器12は、n行の画素24と、m列の画素24とを備え、n及びmのそれぞれは正の整数である。
【0022】
図2はさらに、画素24‐22及び24‐23のクラスタすなわち集合26を示す。集合26では、画素24‐22は一次画素であり得、画素24‐23は、一次画素24‐22に対する二次画素であり得る。図2に示されるように、二次画素24‐23は、一次画素24‐22に隣接している。図2の集合26は、多数の実施例のうちの1つにすぎない。図2のような正方形の形状を有する画素24の場合、集合26は、一次画素24‐22に並んで配置される1つ以上の隣接画素24(画素24‐12、24‐21、24‐23、及び24‐32など)、及び/または一次画素24‐22の対角方向に隣接して配置される1つ以上の隣接画素24(画素24‐11、24‐13、24‐31、及び24‐33など)を含み得る。また画素24は、正方形の形状である必要はない。画素24の代替形状の例には、非正方形の長方形形状及び六角形形状が含まれる。
【0023】
放射線検出器12の各画素24は、画素24の固有の集合26に関連付けられ得、その画素24は、一次画素24であり、その集合26の他の画素24は、二次画素24である。本明細書で説明されるように、集合26は、画素24間の電荷共有補正に使用される。
【0024】
図3は、図2の断面A‐Aにおける放射線検出器12の部分的断面側面図を概略的に表す。放射線検出器12は、変換素子28と、例えば読み出し特定用途向け集積回路(ASIC)基板などの読み出し基板30とを備える。放射線検出器12はさらに、支持基板32を備える。画素24は、変換素子28に設けられる。
【0025】
変換素子28は、テルル化カドミウム(CdTe)またはテルル化カドミウム亜鉛(CdZnTeまたはCZT)の基板など、少なくとも1つの半導体基板により構築され得る。変換素子28は、1つの連続した変換基板またはいくつかの別々の変換部分を備え得る。
【0026】
この実施例の変換素子28はさらに、ここでは接触パッドとして実装される複数の電荷収集電極34を備える。各画素24は、電荷収集電極34により画定される。
【0027】
X線(または他の種類の電離放射線)が変換素子28に衝突すると、吸収されたエネルギーに応じて、変換素子28の内部に電子正孔対が生成される(よって用語「直接変換」が使用される)。変換素子28にわたり印加された電界の影響を受けて、これらの電子(正孔)は、関連する電荷収集電極34へ転送される。よって、変換素子28は、入射放射線に応じて1つ以上の電荷キャリアを生成するように構成される。例えば、変換素子28は、入射X線光子を捕捉し、直接、電荷に変換することができる。
【0028】
読み出し基板30は、複数の読み出し回路36‐21、36‐22、及び36‐23から36‐2mを備える。各読み出し回路36‐21、36‐22、及び36‐23から36‐2mは、参照番号「36」で言及される場合もある。各読み出し回路36は、ここでは接触パッドとして実装される読み出し電極38を備える。放射線検出器12は、各画素24に関連付けられた1つの読み出し回路36を備える。
【0029】
放射線検出器12はさらに、複数の相互接続40を備える。1つの画素24と、1つの読み出し回路36との各対は、相互接続40により接続される。図2では、相互接続40は、電荷収集電極34と、関連する読み出し電極38との間のはんだバンプとして例示される。これにより、各読み出し電極38は、関連する読み出し回路36への入力として機能する。しかしながら、他の種類の相互接続40もあり得る。
【0030】
各読み出し回路36は、関連する画素24に特有の機能を有する電子装置を備える。読み出し回路36は、変換素子28に入射する放射線により生成される信号を処理するように配置される。
【0031】
図4は、放射線検出器12の読み出し回路36のうちの1つを概略的に表す。示されるように、読み出し電極38は、関連する画素24から電気入力信号42を受信する。読み出し回路36が入力信号42を受信する画素24は、読み出し回路36に対する一次画素24である。放射線検出器12は、例えば、少なくとも1000個の画素24と、各画素24に関連付けられた、図4による読み出し回路36とを備え得る。読み出し回路36は、読み出し回路36に対する一次画素24からの入力信号42を処理するように構成される。読み出し回路36はまた、下記に説明されるように、集合26のうち、読み出し回路36に対する1つ以上の二次画素24からの入力信号42(または入力信号42から導出される信号)を処理するように構成される。
【0032】
この実施例の読み出し回路36は、電荷感知増幅器80を備える。電荷感知増幅器80は、読み出し回路36に関連付けられた一次画素24から入力信号42を受信して増幅し、一次電気信号70を出力するように構成される。
【0033】
読み出し回路36はさらに、電荷共有補正セクション50を備える。電荷共有補正セクション50は、電荷共有補正機能を実行し、異なる画素24間のイベントを処理する。
【0034】
電荷共有補正セクション50は、加算器52を備える。加算器52は、読み出し回路36に対する一次画素24からの一次電気信号70と、一次画素24に隣接する二次画素24など、一次画素24に対するそれぞれの二次画素24からの1つ以上の入力一次電気信号54‐1及び54‐2とを合計する。各入力一次電気信号54‐1及び54‐2は、参照番号「54」で言及される場合もある。加算器52は、電荷共有電気信号56を出力する。
【0035】
電荷共有補正セクション50はさらに、少なくとも1つの共有比較器58を備える。電荷共有補正セクション50は、p個の共有比較器58‐1及び58‐2から58‐pなど、複数の共有比較器を備え得、pは正の整数である。各共有比較器58‐1、58‐2から58‐pは、参照番号「58」で言及される場合がある。各共有比較器58は、固有の共有閾値60‐1及び60‐2から60‐pを有する。例えば、第1の共有比較器58‐1は、第1の共有閾値60‐1を有し、第2の共有比較器58‐2は、第1の共有閾値60‐1とは異なる第2の共有閾値60‐2を有する。各共有比較器58は、電荷共有電気信号56を、関連する共有閾値60と比較するように構成される。
【0036】
電荷共有補正セクション50はさらに、各共有比較器58に関連付けられた1つの共有カウンタ62を備える。例えば、各共有比較器58の出力は、共有カウンタ62の入力に接続される。図4には、p個の共有カウンタ62‐1及び62‐2から62‐pが示される。各共有カウンタ62‐1及び62‐2から62‐pは、参照番号「62」で言及される場合もある。各共有カウンタ62は、各自の共有比較器58から直接的または間接的に到来するパルスをカウントする。
【0037】
電荷共有補正セクション50はさらに、各共有カウンタ62に関連付けられた1つの共有レジスタ64を備える。例えば、各共有カウンタ62の出力は、共有レジスタ64の入力に接続される。図4には、p個の共有レジスタ64‐1及び64‐2から64‐pが示される。各共有レジスタ64‐1及び64‐2から64‐pは、参照番号「64」で言及される場合もある。
【0038】
読み出し回路36はさらに、非共有比較器66を備える。読み出し回路36は、任意で複数の非共有比較器66を備え得る。非共有比較器66は、非共有閾値68を有する。この実施例では、一次電気信号70が非共有比較器66に送信される。一次電気信号70は、一次画素24のみの放射線エネルギーを表し、集合26の二次画素24のうちのいずれの放射線エネルギーも表さない。非共有比較器66は、一次電気信号70を非共有閾値68と比較するように構成される。非共有閾値68は、いずれの値に設定されてもよいが、通常は低い値に設定される。各共有閾値60は、非共有閾値68とは無関係に、個別に設定され得る。
【0039】
読み出し回路36はさらに、非共有比較器66に関連付けられた非共有カウンタ72を備える。例えば、非共有比較器66の出力は、非共有カウンタ72の入力に接続される。非共有カウンタ72は、非共有比較器66から直接的または間接的に到来するパルスをカウントする。
【0040】
読み出し回路36はさらに、非共有カウンタ72に関連付けられた非共有レジスタ74を備える。例えば、非共有カウンタ72の出力は、非共有レジスタ74の入力に接続される。各共有レジスタ64及び非共有レジスタ74は、ここではシフトレジスタとして例示される。
【0041】
図4にはさらに、信号線76が示される。読み出し回路36は、信号線76を介して、放射線検出器12の1つ以上の他の読み出し回路36から、シリアルデータを受信する。その後、シリアルデータに対し、1つ以上の共有レジスタ64からのデータ及び非共有レジスタ74からのデータの両方が加えられ、次の読み出し回路36に渡され、最後の読み出し回路36からシリアルデータ78が読み出されるまで、同様に繰り返される。
【0042】
図5は、図4の読み出し回路36のより詳細な実施態様の一例を概略的に表す。この実施例の読み出し回路36はさらに、グローバル比較器44を備える。グローバル閾値46がグローバル比較器44に設定される。グローバル比較器44は、入力信号42または入力信号42から導出される信号を、グローバル閾値46と比較し、二次電気信号48を出力する。この実施例では、グローバル比較器44は、電荷感知増幅器80からの一次電気信号70を、グローバル閾値46と比較する。二次電気信号48のパルス長は、一次画素24に蓄積された電荷に比例する。グローバル閾値46は、例えば、ノイズレベルの3倍など、ノイズレベルよりわずかに高いレベルに設定され得る。
【0043】
この実施例の電荷共有補正セクション50は、少なくとも1つの電荷共有補正回路82を備える。電荷共有補正セクション50は、p個の電荷共有補正回路82‐1及び82‐2から82‐pなど、複数の電荷共有補正回路を備え得る。各電荷共有補正回路82‐1及び82‐2から82‐pは、参照番号「82」で言及される場合もある。各電荷共有補正回路82は、複数の画素24のうちの画素24の集合26からの放射線エネルギーの合計を表す各自の電荷共有電気信号56を処理するように構成される。
【0044】
各電荷共有補正回路82は、比較器セクション84‐1及び84‐2から84‐pを備える。各比較器セクション84‐1及び84‐2から84‐pは、参照番号「84」で言及される場合もある。各比較器セクション84は、共有比較器58のうちの1つを備える。さらに、各電荷共有補正回路82は、共有カウンタ62のうちの1つと、共有レジスタ64のうちの1つとを備える。
【0045】
各比較器セクション84は、各自の共有データ86‐1及び86‐2から86‐pを出力するように構成される。共有データ86‐1及び86‐2から86‐pは、参照番号「86」で言及される場合もある。
【0046】
各共有カウンタ62は、共有データ86をカウントし、各自の共有カウントデータ88‐1及び88‐2から88‐pを出力するように構成される。共有カウントデータ88‐1及び88‐2から88‐pは、参照番号「88」で言及される場合もある。各共有レジスタ64は、関連する共有カウンタ62から各自の共有カウントデータ88を受信し、処理するように構成される。
【0047】
図5ではさらに、読み出し回路36が非共有回路90を備えることが示される。非共有回路90は、非共有比較器66、非共有カウンタ72、及び非共有レジスタ74を備える。非共有回路90は、追加のコンポーネントを含んでもよく、または含まなくてもよい。非共有回路90は、一次画素24のみに関連付けられた一次電気信号70を処理するように構成される。
【0048】
非共有比較器66は、非共有データ92を出力するように構成される。非共有カウンタ72は、非共有データ92をカウントし、非共有カウントデータ94を出力するように構成される。非共有レジスタ74は、非共有カウントデータ94を受信し、処理するように構成される。共有データ86及び非共有データ92は、共通の入力信号42に応じて、少なくとも1つの比較器セクション84及び非共有比較器66により、それぞれ提供される。
【0049】
この実施例では、二次画素24からの入力一次電気信号54‐1から54‐qのそれぞれは、一次画素24の一次電気信号70に対応する。すなわち、一次電気信号70と、一次画素24との関係は、入力一次電気信号54‐1から54‐qと、関連する二次画素24との各関係に対応する。
【0050】
図5ではさらに、この実施例の読み出し回路36が、少なくとも1つの出力一次電気信号96‐1から96‐qを有することが示される。よって、読み出し回路36は、q個の出力一次電気信号を有し得、qは正の整数である。各出力一次共有電気信号96‐1から96‐qは、参照番号「96」で言及される場合もある。各出力一次電気信号96は、ここでは一次電気信号70により構築される。
【0051】
図5ではさらに、この実施例の読み出し回路36が、少なくとも1つの入力二次電気信号97‐1から97‐qと、少なくとも1つの出力二次電気信号99‐1から99‐qを有することが示される。各入力二次電気信号97‐1から97‐q及び各出力二次電気信号99‐1から99‐qは、それぞれ参照番号「97」及び「99」で言及される場合もある。
【0052】
図5ではさらに、入力一次電気信号54の数、出力一次電気信号96の数、入力二次電気信号97の数、及び出力二次電気信号99の数が同じであり得ることが示される。入力一次電気信号54、出力一次電気信号96、入力二次電気信号97、及び出力二次電気信号99の各グループは、一次画素24に関連付けられた読み出し回路36と、集合26内の二次画素24に関連付けられた読み出し回路36との間でルーティングされ得る。各出力一次電気信号96は、集合26内の二次画素24に一次電気信号70を出力する。各入力一次電気信号54は、集合26内の二次画素24から一次電気信号70を入力する。各出力二次電気信号99は、集合26内の二次画素24に二次電気信号48を出力する。各入力二次電気信号97は、集合26内の二次画素から二次電気信号48を入力する。
【0053】
放射線検出器12の各画素24は、電荷共有補正セクション50と、非共有回路90とを備える。電荷共有補正セクション50及び非共有回路90は、それ自体、放射線検出器12内の読み出し回路36ごとに同一であり得る。しかし、各電荷共有補正セクション50は画素24の固有の集合26と通信するという点で、電荷共有補正セクション50は異なる。したがって、第1の画素24の第1の電荷共有補正セクション50は、入力一次電気信号54及び入力二次電気信号97を受信するが、これらは、別の画素24の第2の電荷共有補正セクション50に対する入力一次電気信号54及び入力二次電気信号97とは異なる。
【0054】
図6は、電荷共有補正セクション50の一部を概略的に表す。この具体的かつ非限定的な実施態様では、各比較器セクション84は、ORゲート98、割り当て比較器100、加算器101、共有比較器58、及びANDゲート102を備える。よって、読み出し回路36全体に対する共通の加算器52の代わりに、加算器101が各比較器セクション84に実装され得る。
【0055】
複数の比較器セクション84が使用される事例では、すなわち、読み出し回路36が複数の電荷共有補正回路82を備える場合、比較器セクション84は、固有の共有閾値60のみ、互いに異なり得る。
【0056】
下記では、比較器セクション84‐1が説明される。この説明は、読み出し回路36内のさらなる比較器セクション84‐2から84‐pのそれぞれにも当てはまる。
【0057】
ORゲート98‐1は、集合26内のすべての二次画素24の読み出し回路36からの1つ以上の入力二次電気信号97を受信するように構成される。ORゲート98‐1は、ORゲート出力信号104‐1を出力するように構成される。
【0058】
加算器101‐1は、一次電気信号70と、集合26内のすべての二次画素24の読み出し回路36からの1つ以上の入力一次電気信号54とを受信するように構成される。加算器101‐1は、入力信号を加算し、加算値を電荷共有電気信号56‐1として出力するように構成される。
【0059】
割り当て比較器100‐1は、ORゲート出力信号104‐1を受信し、ORゲート出力信号104‐1に基づいて割り当て閾値を設定するように構成される。割り当て比較器100‐1は、二次電気信号48を割り当て閾値と比較し、二次電気信号48がORゲート出力信号104‐1より大きい場合に、割り当て出力信号106‐1を出力するように構成される。
【0060】
共有比較器58‐1は、電荷共有電気信号56‐1を共有閾値60‐1と比較し、電荷共有電気信号56‐1が共有閾値60‐1よりも大きい場合に、電荷共有出力信号108‐1を出力するように構成される。
【0061】
ANDゲート102‐1は、割り当て出力信号106‐1と電荷共有出力信号108‐1の両方がハイである場合にのみ、ハイ出力を共有データ86‐1として出力するように構成される。
【0062】
このようにして、電荷共有補正回路82は、集合26のすべての画素24からの単一光子ヒットの放射線エネルギーを合計し、集合26のうち最も高い電荷が割り当てられる画素24にのみ、放射線エネルギーの合計を割り当て得る(この放射線エネルギーの合計が各自の共有閾値60を上回ることを所与とする)。したがって、最も高い電荷を受ける画素24においてのみ、イベントはカウントされ、同時にその電荷のレベルは、集合26内のすべての電荷の合計である。
【0063】
一変形例形態によれば、1つ以上の入力二次電気信号97は、1つ以上の入力一次電気信号54の代わりに加算器101‐1に入力される。このようにしてまた、集合26のすべての画素24からの単一光子ヒットの放射線エネルギーが加算され得る。入力二次電気信号97及び出力二次電気信号99ではなく、出力一次電気信号96及び入力一次電気信号54を利用して、集合26のうち最も高い電荷が割り当てられる画素24にのみ、放射線エネルギーの合計を割り当てることも可能である。
【0064】
電荷共有補正は、入射放射線から改良されたエネルギーレベル情報を提供することができるが、下記に詳述されるように、各電荷共有補正回路82は、パルスパイルアップが原因で、非共有回路90よりも遅い。電荷共有補正回路82及び非共有回路90のそれぞれでは、新たなパルスをトリガーできるようになるまでに、パルスが共有閾値60及び非共有閾値68をそれぞれ下回る必要がある。所与の共有閾値60の集合に関して、集合26内の画素24の数が増加するにつれて、集合26に関連付けられた電荷共有補正回路82のデッドタイムも、通常、増加する。
【0065】
電荷共有補正を行わない非共有回路90を設けることにより、読み出し回路36は、共有カウントデータ88と、非共有カウントデータ94とを同時に取得することができる。非共有回路90による処理は、1つ以上の電荷共有補正回路82の処理よりも高速であるため、非共有回路90からの非共有カウントデータ94を使用して、1つ以上の電荷共有補正回路82からの共有カウントデータ88を修正することができる。したがって、高束によりパルスパイルアップが生じ得るすべての放射線検出器は、このソリューションの恩恵を受けるであろう。
【0066】
図7は、入射放射線からの電荷により生成されるパルスの非限定的な例を概略的に示す。パルスは、2つの異なる読み出し回路36の電荷共有補正回路82‐1及び82‐2ならびに非共有回路90により処理され、ここでは、1つの読み出し回路36は、集合26の第1の画素24‐22に関連付けられ、1つの読み出し回路36は、集合26の第2の画素24‐23に関連付けられる。放射線検出器12は、測定フレーム内で繰り返し放射線を検出するように構成され、各測定フレームは、データ取得期間と、読み出し期間とを含む。図7は、データ取得期間中のカウントを示す。データ取得期間の後に、読み出し期間が続く。各読み出し期間中に、すべての共有レジスタ64からの共有カウントデータ88と、非共有レジスタ74からの非共有カウントデータ94とが、制御システム14に同時に読み出される。データ取得期間と読み出し期間とのペアで、フレームが形成される。
【0067】
図7は、6つのグラフAからグラフFを示す。グラフAは、第1の画素24‐22の第1の電荷共有補正回路82‐1によるカウントと、第1の共有閾値60‐1とを示す。グラフBは、第1の画素24‐22の第2の電荷共有補正回路82‐2によるカウントと、第2の共有閾値60‐2とを示す。グラフCは、第1の画素24‐22の非共有回路90によるカウントと、非共有閾値68とを示す。グラフDは、第2の画素24‐23の第1の電荷共有補正回路82‐1によるカウントと、第1の共有閾値60‐1とを示す。グラフEは、第2の画素24‐23の第2の電荷共有補正回路82‐2によるカウントと、第2の共有閾値60‐2とを示す。グラフFは、第2の画素24‐23の非共有回路90によるカウントと、非共有閾値68とを示す。
【0068】
時刻t1にて、光子からの電荷は、第1の画素24‐22に記録されるが、第2の画素24‐23には記録されない。グラフCに示されるように、対応パルスは非共有閾値68より大きいため、第1の画素24‐22の非共有カウンタ72は、1にインクリメントされる。さらに、グラフAに示されるように、集合26における対応パルスの合計も第1の共有閾値60‐1より大きいため、かつパルスは第1の画素24‐22において最大であるため、第1の画素24‐22の第1の共有カウンタ62‐1は、1にインクリメントされる。
【0069】
第2の画素24‐23にはパルスが記録されないため、第2の画素24‐23の非共有カウンタ72は、インクリメントされない(グラフF)。さらに、集合26における対応パルスの合計は第1の共有閾値60‐1より大きいが、第2の画素24‐23より第1の画素24‐22の方がパルスは大きいため、第2の画素24‐23の第1の共有カウンタ62‐1は、インクリメントされない(グラフD)。
【0070】
時刻t2にて、光子からの電荷は、第1の画素24‐22に記録されるが、第2の画素24‐23には記録されない。対応パルスは、時刻t1のパルスより大きい。グラフCに示されるように、対応パルスは非共有閾値68より大きいため、第1の画素24‐22の非共有カウンタ72は、2にインクリメントされる。さらに、グラフA及びグラフBに示されるように、集合26における対応パルスの合計も第1の共有閾値60‐1及び第2の共有閾値60‐2の両方より大きいため、かつパルスは第1の画素24‐22において最大であるため、第1の画素24‐22の第1の共有カウンタ62‐1は、2にインクリメントされ、第1の画素24‐22の第2の共有カウンタ62‐2は、1にインクリメントされる。
【0071】
時刻t3にて、光子からの電荷は、第1の画素24‐22及び第2の画素24‐23のそれぞれに記録される。第2の画素24‐23より第1の画素24‐22の方が、対応パルスは大きい。第1の画素24‐22及び第2の画素24‐23のそれぞれにおいて、対応パルスは非共有閾値68より大きいため、グラフCに示されるように、第1の画素24‐22の非共有カウンタ72は、3にインクリメントされ、グラフFに示されるように、第2の画素24‐23の非共有カウンタ72は、1にインクリメントされる。さらに、対応パルスの合計は第1の共有閾値60‐1及び第2の共有閾値60‐2の両方より大きいため、かつパルスは第1の画素24‐22において最大であるため、グラフAに示されるように、第1の画素24‐22の第1の共有カウンタ62‐1は、3にインクリメントされ、グラフBに示されるように、第1の画素24‐22の第2の共有カウンタ62‐2は、2にインクリメントされる。
【0072】
時刻t4にて、光子からの電荷は、第1の画素24‐22及び第2の画素24‐23のそれぞれに記録される。第1の画素24‐22より第2の画素24‐23の方が、対応パルスは大きい。第1の画素24‐22及び第2の画素24‐23のそれぞれにおいて、対応パルスは非共有閾値68より大きいため、グラフCに示されるように、第1の画素24‐22の非共有カウンタ72は、4にインクリメントされ、グラフFに示されるように、第2の画素24‐23の非共有カウンタ72は、2にインクリメントされる。さらに、対応パルスの合計は第1の共有閾値60‐1及び第2の共有閾値60‐2の両方より大きいため、かつパルスは第2の画素24‐23において最大であるため、グラフDに示されるように、第2の画素24‐23の第1の共有カウンタ62‐1は、1にインクリメントされ、グラフEに示されるように、第2の画素24‐23の第2の共有カウンタ62‐2は、1にインクリメントされる。
【0073】
時刻t5にて、光子からの電荷は、第2の画素24‐23に記録されるが、第1の画素24‐22には記録されない。グラフFに示されるように、対応パルスは非共有閾値68より大きいため、第2の画素24‐23の非共有カウンタ72は、3にインクリメントされる。さらに、グラフDに示されるように、集合26における対応パルスの合計も第1の共有閾値60‐1より大きいため、かつパルスは第2の画素24‐23において最大であるため、第2の画素24‐23の第1の共有カウンタ62‐1は、2にインクリメントされる。
【0074】
時刻t6にて、光子からの電荷は、第1の画素24‐22に記録されるが、第2の画素24‐23には記録されない。グラフCに示されるように、対応パルスは非共有閾値68より大きいため、第1の画素24‐22の非共有カウンタ72は、5にインクリメントされる。さらに、集合26における対応パルスの合計も第1の共有閾値60‐1及び第2の共有閾値60‐2より大きいため、かつパルスは第1の画素24‐22において最大であるため、グラフAに示されるように、第1の画素24‐22の第1の共有カウンタ62‐1は、4にインクリメントされ、グラフBに示されるように、第1の画素24‐22の第2の共有カウンタ62‐2は、3にインクリメントされる。
【0075】
時刻t7にて、光子からの電荷は、第2の画素24‐23に記録されるが、第1の画素24‐22には記録されない。グラフFに示されるように、時刻t7における光子からの対応パルスは非共有閾値68より大きいため、第2の画素24‐23の非共有カウンタ72は、4にインクリメントされる。しかし、時刻t6における光子からの電荷が、時刻t7において第1の画素24‐22に依然として記録されているため、合計パルスは、第1の共有閾値60‐1及び第2の共有閾値60‐2のいずれも下回らない。その結果、パルスが第1の共有閾値60‐1及び第2の共有閾値60‐2を上回っているにもかかわらず、及び第1の画素24‐22より第2の画素24‐23の方がパルスは大きいにもかかわらず、時刻t7において、第1の共有カウンタ62‐1及び第2の共有カウンタ62‐2のいずれもインクリメントされない。このようにして、電荷共有補正のデッドタイムにより、電荷共有補正セクション50からの情報が見過ごされ得る。
【0076】
時刻t8にて、光子からの電荷が第1の画素24‐22に記録される一方、t7からのパルスが第2の画素24‐23に依然として記録されている。グラフCに示されるように、時刻t8におけるパルスにより、第1の画素24‐22の非共有カウンタ72は、6にインクリメントされる。さらに、グラフBに示されるように、時刻t7のパルスと時刻t8のパルスとの合計は、第2の共有閾値60‐2よりわずかに下回るため、かつ時刻t8にてパルスは第1の画素24‐22において最大であるため、第1の画素24‐22の第2の共有カウンタ62‐2は、4にインクリメントされる。しかし、時刻t7のパルスと時刻t8のパルスとの合計は、時刻t8にて第1の共有閾値60‐1を下回らないため、パルスは第1の画素24‐22において最大ではあるが、第1の画素24‐22の第1の共有カウンタ62‐1は、インクリメントされない。このようにしてまた、電荷共有補正のデッドタイムにより、電荷共有補正セクション50からの情報が見過され得る。
【0077】
パルスが検出閾値を上回るまでには一定の時間がかかるため、時間的に近い別のパルスが必ずしもカウントされない場合もある。よって、2つのパルスは、デッドタイムよりも近い場合、1つとしてカウントされる場合がある。
【0078】
図8は、共通の読み出し回路36内の電荷共有補正回路82のうちの1つ及び非共有回路90に関する、異なる入力カウントレート112に対する出力カウントレート110の具体的かつ非限定的な例を概略的に示す。入力カウントレート112及び出力カウントレート110の単位は、カウント/s×mm(平方ミリメートルあたりの毎秒カウント)である。入力カウントレート112は通常、異なる画素24間で、その画素24の放射線曝露に応じて異なる。例えば、対象18と相互作用していない放射線を受ける画素24の入力カウントレート112は通常、対象18と相互作用した放射線を受ける画素24の入力カウントレート112よりも、実質的に高い。
【0079】
この具体的かつ非限定的な例における非共有曲線114は、15keVの非共有閾値68及び41nsのシミュレートデッドタイムを有する非共有回路90における出力カウントレート110を表す。この具体的かつ非限定的な例における電荷共有補正曲線116は、15keVの共有閾値60及び117nsのシミュレートデッドタイムを有する電荷共有補正回路82における出力カウントレート110を表す。電荷共有補正は、低い入力カウントレート112では良好に機能するが、電荷共有補正回路82のデッドタイムがより長いため、非共有回路90よりも電荷共有補正回路82の方が、より低い入力カウントレート112で飽和問題が発生する。電荷共有補正曲線116により示されるように、記録されたイベントが減少すると同時に、入力カウントレート112は増加し得る。
【0080】
図8に示されるように、非共有曲線114上の出力カウントレート110の値は、ゼロから少なくとも比較的高い入力カウントレート112まで(図8の具体的な例ではゼロから少なくとも4×10カウント/s×mmまで)、入力カウントレート112の値に一意に対応する。対照的に、電荷共有補正曲線116では、出力カウントレート110の値は、実質的により低い入力カウントレート112まで(図8の具体的な例ではゼロから約1.8×10カウント/s×mmまで)、入力カウントレート112の値に一意に対応する。約1.8×10カウント/s×mmを上回る入力カウントレート112では、入力カウントレート112が増加するのに対して、電荷共有補正曲線116上の出力カウントレート110は減少する。この理由は、非共有回路90よりも電荷共有補正回路82の方が、デッドタイムが長いためである。電荷共有補正回路82のうちのいずれかで記録されたイベントに基づくのではなく、非共有回路90で記録されたイベントに基づいて、出力カウントレート110を特定することにより、より高い入力カウントレート112に対する出力カウントレート110を正確に特定することができる。入力カウントレート112が増加するのに対して、電荷共有補正回路82のうちのいずれかにおける出力カウントレート110は減少する入力カウントレート112に、カウントレート閾値118が設定され得る。入力カウントレート112が増加するのに対して、電荷共有補正回路82のうちのいずれかにおける出力カウントレート110は減少するような入力カウントレート112の検出は、シミュレーション、計算、及び/または実験により行われ得る。例えば、図8に関して、電荷共有補正曲線116のピークレベル、ここでは入力カウントレート112に関する出力カウントレート110の導関数がゼロである入力カウントレート112のレベルに、カウントレート閾値118が設定されていることが分かる。カウントレート閾値118は、制御システム14により設定され得る。各読み出し回路36は同じハードウェアを有することから、すべての読み出し回路36でカウントレート閾値118は同じであり得る。
【0081】
撮像装置10、例えばその制御システム14は、非共有カウントデータ94に基づいて、各読み出し回路36の入力カウントレート112を特定し得る。入力カウントレート112がカウントレート閾値118を上回る場合、その読み出し回路36に関して、共有カウントデータ88は無視され得る。この方法は、非共有回路90からの非共有カウントデータ94に基づいて、少なくとも1つの電荷共有補正回路82からの共有カウントデータ88を修正する一例を構成する。
【0082】
出力カウントレートCRoutput(または110)は、次のように特定され得る。
【数1】
nscは、非共有回路90によりカウントされるカウント数(データ取得期間中のカウント数など)であり、tは、期間(データ取得期間など)であり、Aは、非共有回路90に関連付けられた一次画素24の面積である。次いで、出力カウントレート110に基づいて、入力カウントレート112が特定され得る。例えば、非共有回路90の出力カウントレート110と入力カウントレート112との関係、すなわち図8の非共有曲線114を表す数式またはシミュレーションに基づいて、入力カウントレート112は特定され得る。読み出し回路36のうちの1つ、いくつか、またはすべてに関する入力カウントレート112が特定され得る。
【0083】
対象18を通過するX線の数がより少ないため、対象18を通過しない放射線の入力カウントレート112は、対象18を通過する放射線の入力カウントレート112よりも実質的に高くあり得る。よって、例えば、対象18を通過しない放射線の入力カウントレート112がカウントレート閾値118を上回り、かつ対象18を通過する放射線の入力カウントレート112がカウントレート閾値118を下回るように、カウントレート閾値118は設定され得る。カウントレート閾値118を上回る入力カウントレート112を有する画素24からの共有カウントデータ88を、例えば再構成中に制御システム14が無視する場合、画像処理を高速化することができる。さらに、対象18を通過しない放射線は関心対象のいずれのスペクトル情報も含み得ないことから、画質を劣化させることなく、画像処理を高速化することができる。
【0084】
さらに、電荷共有補正回路82よりも短いデッドタイムを有する非共有回路90から非共有カウントデータ94を読み出すことにより、1つ以上の電荷共有補正回路を備えるが非共有回路は備えない従来の放射線検出器と比較して、放射線検出器12には、はるかに高い入力カウントレート112の範囲で優れた分解能がもたらされる。
【0085】
したがって、放射線検出器12は、対象18と相互作用していない放射線を受ける画素24における高い入力カウントレート112を処理することと、対象18と相互作用した低い入力カウントレート112の放射線を受ける画素24において、電荷共有補正により高いエネルギー分解能を提供することとを、同時に行うことができる。
【0086】
図9は、入射放射線を処理する方法の全体的なステップを概説するフローチャートである。方法は、入射放射線の放射線エネルギーを検出するように構成された複数の画素24を設けることS10を含む。方法はさらに、複数の画素24のうち、読み出し回路36に対する一次画素24からの入力信号42を処理するように構成された読み出し回路36を設けることS12を含む。方法はさらに、読み出し回路36内の少なくとも1つの電荷共有補正回路82により、複数の画素24のうち、読み出し回路36に対する少なくとも1つの二次画素24を含む画素24の集合26からの放射線エネルギーの合計を表す電荷共有電気信号56を処理することS14を含む。方法はさらに、少なくとも1つの電荷共有補正回路82による電荷共有電気信号56の処理S14と同時に、読み出し回路36内の非共有回路90により、一次画素24のみに関連付けられ、かつ一次画素24からの放射線エネルギーを表す一次電気信号70を処理することS16を含む。
【0087】
この実施例の方法はさらに、各電荷共有補正回路82内の共有比較器58により、電荷共有電気信号56を共有閾値60と比較することS18を含む。この実施例の方法はさらに、各電荷共有補正回路82内の共有カウンタ62により、各自の共有比較器58に関連付けられた共有データ86をカウントして、共有カウントデータ88を提供することS20を含む。この実施例の方法はさらに、各電荷共有補正回路82内の共有レジスタ64により、各自の共有カウンタ62からの共有カウントデータ88を処理することS22を含む。
【0088】
この実施例の方法はさらに、非共有回路90内の非共有比較器66により、一次電気信号70を非共有閾値68と比較することS24を含む。この実施例の方法はさらに、非共有回路90内の非共有カウンタ72により、非共有カウンタ72に関連付けられた非共有データ92をカウントして、非共有カウントデータ94を提供することS26を含む。この実施例の方法はさらに、非共有回路90内の非共有レジスタ74により、非共有カウンタ72からの非共有カウントデータ94を処理することS28を含む。この実施例では、比較S18、カウントS20、及び処理S22は、比較S24、カウントS26、及び処理S28と、同時に実行される。
【0089】
この実施例の方法はさらに、非共有カウントデータ94に基づいて共有カウントデータ88を修正することS30を含む。この実施例では、修正S30は、読み出し回路36ごとに、非共有回路90からの非共有カウントデータ94に基づいて、出力カウントレート110を特定することS32と、出力カウントレート110に基づいて、入力カウントレート112を特定することS34と、入力カウントレート112に基づいて、少なくともいくつかの共有カウントデータ88を無視することS36と、を含む。
【0090】
いくつかの実施形態は、複数の画素24を備えた放射線検出器12のための読み出し回路36を含み、読み出し回路36は、複数の画素24のうち、読み出し回路36に対する一次画素24からの入力信号42を処理するように構成され、少なくとも1つの電荷共有補正回路82と、非共有回路90とを備え、各電荷共有補正回路82は、複数の画素24のうち、読み出し回路36に対する少なくとも1つの二次画素24を含む画素24の集合26からの放射線エネルギーの合計を表す電荷共有電気信号56を処理するように構成され、非共有回路90は、少なくとも1つの電荷共有補正回路82による電荷共有電気信号56の処理と同時に、一次画素24のみに関連付けられ、かつ一次画素24からの放射線エネルギーを表す一次電気信号70を処理するように構成される。
【0091】
読み出し回路36は、少なくとも1つの電荷共有補正回路82による電荷共有電気信号56の処理が、非共有回路90による一次電気信号70の処理と同時に実行されるように構成され得る。したがって、少なくとも1つの電荷共有補正回路82と非共有回路90は、同時に活動状態になり得る。
【0092】
各画素24は、画素24の固有の集合26に関連付けられ得る。画素24の各集合26は、一次画素24と少なくとも1つの二次画素24との対応関係を有し得る。画素24の各集合26は、一次画素24に加えて、一次画素24に対する複数の二次画素24を含み得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、共通入力信号42に応じて、非共有回路90は、非共有データ92を提供するように構成され、少なくとも1つの電荷共有補正回路82のうちの1つ以上は、共有データ86を提供するように構成される。
【0094】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの二次画素24は、一次画素24に隣接している。2つの隣接する画素24は、並んで配置されてもよく、または互いに斜めに隣接してもよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、各電荷共有補正回路82は、電荷共有電気信号56を固有の共有閾値60と比較するように構成された共有比較器58を備える。
【0096】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの電荷共有補正回路82は、第1の共有比較器58‐1を有する第1の電荷共有補正回路82‐1と、第2の共有比較器58‐2を有する第2の電荷共有補正回路82‐2とを備え、第1の共有比較器58‐1は、電荷共有電気信号56‐1を第1の共有閾値60‐1と比較するように構成され、第2の共有比較器58‐2は、電荷共有電気信号56‐2を、第1の共有閾値60‐1とは異なる第2の共有閾値60‐2と比較するように構成される。
【0097】
いくつかの実施形態では、各電荷共有補正回路82は、共有比較器58に関連付けられた共有データ86をカウントするように構成された共有カウンタ62を備える。
【0098】
いくつかの実施形態では、各電荷共有補正回路82は、共有カウンタ62に関連付けられ、かつ関連する共有カウンタ62からの共有カウントデータ88を処理するように構成された共有レジスタ64を備える。
【0099】
いくつかの実施形態では、各非共有回路90は、一次電気信号70を非共有閾値68と比較するように構成された非共有比較器66を備える。
【0100】
いくつかの実施形態では、非共有閾値68は、各共有閾値60よりも低くあり得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、各非共有回路90は、非共有比較器66に関連付けられた非共有データ92をカウントするように構成された非共有カウンタ72を備える。
【0102】
いくつかの実施形態では、各非共有回路90は、非共有カウンタ72に関連付けられ、かつ関連する非共有カウンタ72からの非共有カウントデータ94を処理するように構成された非共有レジスタ74を備える。
【0103】
いくつかの実施形態は、複数の画素24と、本開示による少なくとも1つの読み出し回路36とを備えた放射線検出器12を含み、各読み出し回路36は、複数の画素24のうち、固有の画素24に関連付けられる。放射線検出器12は、それぞれが固有の画素24に関連付けられた、少なくとも100個の読み出し回路36などの複数の読み出し回路36を備え得る。非共有閾値68は、すべての読み出し回路36で同じであり得、及び/または各共有閾値60(例えば第1の共有閾値60‐1及び第2の共有閾値60‐2)は、すべての読み出し回路36で同じであり得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、放射線検出器12は、少なくとも1つの電荷共有補正回路82から共有カウントデータ88を読みだすことと、非共有回路90から非共有カウントデータ94を読みだすこととを、読み出し回路36ごとに同時に行うように構成される。
【0105】
いくつかの実施形態は、本開示による放射線検出器12を備えた撮像装置10を含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、撮像装置10はさらに、制御システム14を備え、制御システム14は、少なくとも1つのデータ処理デバイス20と、少なくとも1つのコンピュータプログラムを格納した少なくとも1つのメモリ22とを含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのコンピュータプログラムは、プログラムコードを有し、プログラムコードは、少なくとも1つのデータ処理デバイス20により実行されると、少なくとも1つのデータ処理デバイス20に、少なくとも1つの非共有回路90のうちの1つ以上からの非共有カウントデータ94に基づいて、少なくとも1つの電荷共有補正回路82のうちの1つ以上からの共有カウントデータ88を修正させる。
【0108】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのコンピュータプログラムは、プログラムコードを有し、プログラムコードは、少なくとも1つのデータ処理デバイス20により実行されると、少なくとも1つのデータ処理デバイス20に、非共有回路90からの非共有カウントデータ94に基づいて、出力カウントレート110を特定することと、出力カウントレート110に基づいて、入力カウントレート112を特定することと、入力カウントレート112に基づいて、少なくともいくつかの共有カウントデータ88を無視することとを、読み出し回路36ごとに実行させる。
【0109】
出力カウントレート110は、非共有回路90によりカウントされたカウント数を時間で割り、それを非共有回路90に関連付けられた一次画素24の面積で割ることで、特定され得る。次に、出力カウントレート110に基づいて、例えば数式またはシミュレーションにより、入力カウントレート112が特定され得る。読み出し回路36のうちの1つ、いくつか、またはすべてに関する入力カウントレート112が特定され得る。
【0110】
共有カウントデータ88のうちの少なくともいくつかを無視することは、読み出し回路36ごとに、その読み出し回路36の入力カウントレート112がカウントレート閾値118より高い場合、共有カウントデータ88を無視することを含み得る。カウントレート閾値118は、1つ以上の電荷共有補正回路82のうちの少なくとも1つで飽和が生じる入力カウントレート112に設定され得る。
【0111】
いくつかの実施形態は、入射放射線を処理する方法を含み、方法は、入射放射線の放射線エネルギーを検出するように構成された複数の画素24を設けることS10と、複数の画素24のうち、読み出し回路36に対する一次画素24からの入力信号42を処理するように構成された読み出し回路36を設けることS12と、読み出し回路36内の少なくとも1つの電荷共有補正回路82により、複数の画素24のうち、読み出し回路36に対する少なくとも1つの二次画素24を含む画素24の集合26からの放射線エネルギーの合計を表す電荷共有電気信号56を処理することS14と、少なくとも1つの電荷共有補正回路82による電荷共有電気信号56の処理S14と同時に、読み出し回路36内の非共有回路90により、一次画素24のみに関連付けられ、かつ一次画素24からの放射線エネルギーを表す一次電気信号70を処理することS16と、を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、方法はさらに、各電荷共有補正回路82内の共有比較器58により、電荷共有電気信号56を共有閾値60と比較することS18と、各電荷共有補正回路82内の共有カウンタ62により、各自の共有比較器58に関連付けられた共有データ86をカウントして、共有カウントデータ88を提供することS20と、各電荷共有補正回路82内の共有レジスタ64により、各自の共有カウンタ62からの共有カウントデータ88を処理することS22と、非共有回路90内の非共有比較器66により、一次電気信号70を非共有閾値68と比較することS24と、非共有回路90内の非共有カウンタ72により、非共有カウンタ72に関連付けられた非共有データ92をカウントして、非共有カウントデータ94を提供することS26と、非共有回路90内の非共有レジスタ74により、非共有カウンタ72からの非共有カウントデータ94を処理することS28と、を含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、方法はさらに、非共有カウントデータ94に基づいて、共有カウントデータ88を修正することS30を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、方法はさらに、読み出し回路36ごとに、非共有回路90からの非共有カウントデータ94に基づいて、出力カウントレート110を特定することS32と、出力カウントレート110に基づいて、入力カウントレート112を特定することS34と、入力カウントレート112に基づいて、少なくともいくつかの共有カウントデータ88を無視することS36と、を含む。
【0115】
本開示は例示的な実施形態を参照して説明されたが、前述されたことに本発明は限定されないことを理解されたい。例えば、必要に応じて部品の寸法を変えてもよいことを理解されたい。したがって、本発明は、本明細書に添付される特許請求の範囲によってのみ制限され得ることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】