(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028224
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】乳剤組成物及び水中油型日焼け止め乳液
(51)【国際特許分類】
A61K 8/37 20060101AFI20240222BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20240222BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
A61K8/37
A61Q17/04
A61K8/06
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133523
(22)【出願日】2023-08-18
(31)【優先権主張番号】111131376
(32)【優先日】2022-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】515102242
【氏名又は名称】百達精密化學股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100122448
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 賢一
(72)【発明者】
【氏名】シー ホウコアン
(72)【発明者】
【氏名】リアン アンホン
(72)【発明者】
【氏名】パン ユィツー
(72)【発明者】
【氏名】リン チアイン
(72)【発明者】
【氏名】ホン ロンツォン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ チェンシアン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB242
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC212
4C083AC342
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC682
4C083AD352
4C083BB04
4C083BB46
4C083CC19
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】乳剤組成物を提供する。
【解決手段】親水性親油性バランス値が10を超えるポリグリセロールエステル乳化剤と、親水性親油性バランス値が10以下にあるポリグリセロールエステル共乳化剤と、を含み、前記ポリグリセロールエステル乳化剤は、重合度が4~20にあるポリグリセロールと酸とを含む第1の反応組成物の反応物であり、前記ポリグリセロールエステル共乳化剤は、ポリオールと酸とを含む第2の反応組成物の反応物であり、前記ポリオールは、グリセロールまたは重合度が2~10にあるポリグリセロールであり、前記ポリグリセロールエステル乳化剤の総量の前記ポリグリセロールエステル共乳化剤の総量に対する重量の比の値は、0.75~8の範囲内にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の、親水性親油性バランス値が10を超えるポリグリセロールエステル乳化剤と、
少なくとも1種類の、親水性親油性バランス値が10以下にあるポリグリセロールエステル共乳化剤と、を含み、
前記ポリグリセロールエステル乳化剤は、重合度が4~20にあるポリグリセロールと酸とを含む第1の反応組成物の反応物であり、
前記ポリグリセロールエステル共乳化剤は、ポリオールと酸とを含む第2の反応組成物の反応物であり、
前記ポリオールは、グリセロールまたは重合度が2~10にあるポリグリセロールであり、
前記ポリグリセロールエステル乳化剤の総量の前記ポリグリセロールエステル共乳化剤の総量に対する重量の比の値は、0.75~8の範囲内にある、ことを特徴とする乳剤組成物。
【請求項2】
前記ポリグリセロールエステル乳化剤の親水性親油性バランス値は、10を超え且つ20以下にある、ことを特徴とする請求項1に記載の乳剤組成物。
【請求項3】
前記ポリグリセロールエステル共乳化剤の親水性親油性バランス値は、1~10にある、ことを特徴とする請求項1に記載の乳剤組成物。
【請求項4】
前記ポリグリセロールエステル乳化剤の総量の前記ポリグリセロールエステル共乳化剤の総量に対する重量の比の値は、0.75~7の範囲内にある、ことを特徴とする請求項1に記載の乳剤組成物。
【請求項5】
前記ポリグリセロールエステル乳化剤の総量の前記ポリグリセロールエステル共乳化剤の総量に対する重量の比の値は、0.75~6の範囲内にある、ことを特徴とする請求項1に記載の乳剤組成物。
【請求項6】
水中油型日焼け止め製品に使用される、ことを特徴とする請求項1~5のいずれかの一項に記載の乳剤組成物。
【請求項7】
前記水中油型日焼け止め製品は、日焼け止めケア用品と日焼け止め化粧品とからなる群から少なくとも1者が選ばれる、ことを特徴とする請求項6に記載の乳剤組成物。
【請求項8】
請求項1~5のいずれかの一項に記載の乳剤組成物と、
少なくとも1種類の日焼け止め剤と、
少なくとも1種類の油脂と、
水と、を含み、
総量を100wt%として、前記乳剤組成物の総量が3wt%を超え且つ30wt%以下にある、ことを特徴とする水中油型日焼け止め乳液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日光や他の放射線を防ぐ局所製剤に関し、特に乳剤組成物及び水中油型(oil in water type)日焼け止め乳液に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1.5重量部~4重量部の乳化剤と、1重量部~6重量部のアルキルポリビニルピロリドンと、3重量部~40重量部の油脂/脂肪性物質と、0.1重量部~4重量部の増粘剤と、防腐剤と、水とを含む耐水性乳剤組成物が開示されている。該乳化剤は、ベヘニルアルコール、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10及びステアリル乳酸ナトリウムを含む。
【0003】
特許文献1に開示されている耐水性乳剤組成物は、個人ケア用化粧品に応用でき、且つ、乳化剤とアルキルポリビニルピロリドンとのコンビネーションにより、良い耐水効果を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許第103585040号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている耐水性乳剤組成物は、良い耐水効果を有するが、日焼け防止指数(sun protection factor、略称:SPF)が優れていなく、日焼け防止効果が良くない問題点があり、また、アルキルポリビニルピロリドンが天然由来の物ではないので、天然コスメチックス市場の需要に合致しなく、コスメチックス市場の永続的な発展にも不利である。
【0006】
故に、耐水性及び高い日焼け防止効果を有すると共に、完全天然由来成分を使用することは、本技術領域における技術者にとって更に突破することができる課題である。
【0007】
従って、本発明は、乳剤組成物及び水中油型日焼け止め乳液を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、本発明は、
少なくとも1種類の、親水性親油性バランス値(hydrophile-lipophile balance number、略称:HLB値)が10を超えるポリグリセロールエステル乳化剤と、
少なくとも1種類の、親水性親油性バランス値が10以下にあるポリグリセロールエステル共乳化剤と、を含み、
前記ポリグリセロールエステル乳化剤は、重合度(degree of polymerization)が4~20にあるポリグリセロール(polyglycerol)と酸とを含む第1の反応組成物の反応物であり、
前記ポリグリセロールエステル共乳化剤(co-emulsifier)は、ポリオール(polyols)と酸とを含む第2の反応組成物の反応物であり、
前記ポリオールは、グリセロールまたは重合度が2~10にあるポリグリセロールであり、
前記ポリグリセロールエステル乳化剤の総量の前記ポリグリセロールエステル共乳化剤の総量に対する重量の比の値は、0.75~8の範囲内にある、ことを特徴とする乳剤組成物を提供する。
【0009】
また、本発明は、
上記の乳剤組成物と、
少なくとも1種類の日焼け止め剤と、
少なくとも1種類の油脂と、
水と、を含み、
総量を100wt%として、前記乳剤組成物の総量が3wt%を超え且つ30wt%以下にある、ことを特徴とする水中油型日焼け止め乳液を提供する。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成により、本発明の乳剤組成物は、該乳剤組成物におけるポリグリセロールエステル乳化剤及びポリグリセロールエステル共乳化剤により、水中油型日焼け止め製品や水中油型日焼け止め組成物に使用すると、水中油型日焼け止め製品や水中油型日焼け止め組成物に優れた日焼け防止指数及び耐水性を与える。また、ポリグリセロールエステル乳化剤及びポリグリセロールエステル共乳化剤におけるポリグリセロールとグリセロールと酸とは天然由来のものであるので、本発明の乳剤組成物は、天然コスメチックス市場の需要に合致し、コスメチックス市場の永続的な発展に有利である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<乳剤組成物>
本発明の乳剤組成物は、少なくとも1種類のポリグリセロールエステル乳化剤と、少なくとも1種類のポリグリセロールエステル共乳化剤とを含む。
【0012】
ポリグリセロールエステル乳化剤は、親水性親油性バランス値が10を超えるものであり、ポリグリセロールエステル共乳化剤は、親水性親油性バランス値が10以下にあるものである。
【0013】
また、ポリグリセロールエステル乳化剤の総量のポリグリセロールエステル共乳化剤の総量に対する重量の比の値(即ち、ポリグリセロールエステル乳化剤の総量の重量/ポリグリセロールエステル共乳化剤の総量の重量)は、0.75~8の範囲内にある。
【0014】
一部の実施形態において、ポリグリセロールエステル乳化剤の総量の前記ポリグリセロールエステル共乳化剤の総量に対する重量の比の値は、0.75~7の範囲内にある。
【0015】
一部の実施形態において、ポリグリセロールエステル乳化剤の総量の前記ポリグリセロールエステル共乳化剤の総量に対する重量の比の値は、0.75~6の範囲内にある。
【0016】
一部の実施形態において、ポリグリセロールエステル乳化剤の総量の前記ポリグリセロールエステル共乳化剤の総量に対する重量の比の値は、0.75~5の範囲内にある。
【0017】
一部の実施形態において、ポリグリセロールエステル乳化剤の総量の前記ポリグリセロールエステル共乳化剤の総量に対する重量の比の値は、0.75~4の範囲内にある。
【0018】
一部の実施形態において、ポリグリセロールエステル乳化剤の総量の前記ポリグリセロールエステル共乳化剤の総量に対する重量の比の値は、0.75~3の範囲内にある。
【0019】
一部の実施形態において、ポリグリセロールエステル乳化剤の総量の前記ポリグリセロールエステル共乳化剤の総量に対する重量の比の値は、0.75~2の範囲内にある。
【0020】
乳剤組成物が水中油型日焼け止め製品や水中油型日焼け止め乳液に更に優れた耐水性を与えるために、一部の実施形態において、ポリグリセロールエステル乳化剤の総量とポリグリセロールエステル共乳化剤の総量との重量の比の値は、1~2の範囲内にある。
【0021】
一部の実施形態において、ポリグリセロールエステル乳化剤の親水性親油性バランス値は、10を超え且つ20以下にある。
【0022】
一部の実施形態において、ポリグリセロールエステル乳化剤の親水性親油性バランス値は、10を超え且つ18未満にある。
【0023】
一部の実施形態において、ポリグリセロールエステル乳化剤の親水性親油性バランス値は、11を超え且つ17未満にある。
【0024】
ポリグリセロールエステル乳化剤は、重合度が4~20にあるポリグリセロールと酸とを含む第1の反応組成物の反応物である。
【0025】
一部の実施形態において、第1の反応組成物におけるポリグリセロールの重合度は、4~10にある。
【0026】
一部の実施形態において、第1の反応組成物における酸は、例えば脂肪酸(fatty acid)または芳香族酸(aromatic acid)などが挙げられる。
【0027】
脂肪酸は、例えば置換基を含有しない脂肪酸または置換基を含有する脂肪酸が挙げられる。
【0028】
置換基は、例えばヒドロキシル基(hydroxyl group)やアミノ基(amino group)などが挙げられるが、それらに限らない。
【0029】
第1の反応組成物における脂肪酸は、例えばC8~C20の脂肪酸が挙げられるが、それらに限らない。
【0030】
C8~C20の脂肪酸は、例えばラウリン酸(lauric acid)、デカン酸(decanoic acid)、ステアリン酸(stearic acid)が挙げられるが、それらに限らない。
【0031】
一部の実施形態において、ポリグリセロールエステル乳化剤は、重合度が4~20にあるポリグリセロールと脂肪酸とを含む第1の反応組成物のエステル化反応物である。
【0032】
ポリグリセロールエステル乳化剤は、例えばラウリン酸ポリグリセリル-10(polyglyceryl-10 laurate)、ラウリン酸ポリグリセリル-4(polyglyceryl-4 laurate)、カプロン酸ポリグリセリル-4(polyglyceryl-4 caprate)、または、ステアリン酸ポリグリセリル-10(polyglyceryl-10 stearate)などが挙げられるが、それらに限らない。
【0033】
ラウリン酸ポリグリセリル-10は、例えば親水性親油性バランス値(以下、略称してHLB値とも)が15.8であるラウリン酸ポリグリセリル-10が挙げられる。
【0034】
ラウリン酸ポリグリセリル-4は、例えばHLB値が12.2であるラウリン酸ポリグリセリル-4が挙げられる。
【0035】
カプロン酸ポリグリセリル-4は、例えばHLB値が16.4であるカプロン酸ポリグリセリル-4が挙げられる。
【0036】
一部の実施形態において、ポリグリセロールエステル乳化剤は、HLB値が15.8であるラウリン酸ポリグリセリル-10、HLB値が12.2であるラウリン酸ポリグリセリル-4、及び、HLB値が16.4であるカプロン酸ポリグリセリル-4からなる群から少なくとも1種が選ばれるものである。
【0037】
一部の実施形態において、ポリグリセロールエステル共乳化剤のHLB値は、1~10にある。
【0038】
一部の実施形態において、ポリグリセロールエステル共乳化剤のHLB値は、1を超え且つ8以下にある。
【0039】
一部の実施形態において、ポリグリセロールエステル共乳化剤のHLB値は、1を超え且つ7未満にある。
【0040】
一部の実施形態において、ポリグリセロールエステル共乳化剤のHLB値は、1を超え且つ6未満にある。
【0041】
一部の実施形態において、ポリグリセロールエステル共乳化剤のHLB値は、1を超え且つ5未満にある。
【0042】
一部の実施形態において、ポリグリセロールエステル共乳化剤のHLB値は、1を超え且つ4未満にある。
【0043】
ポリグリセロールエステル共乳化剤は、ポリオールと酸とを含む第2の反応組成物の反応物であり、該ポリオールは、グリセロールまたは重合度が2~10にあるポリグリセロールである。
【0044】
一部の実施形態において、第2の反応組成物におけるポリオールは、重合度が2~8にあるポリグリセロールである。
【0045】
一部の実施形態において、第2の反応組成物におけるポリオールは、重合度が2~6にあるポリグリセロールである。
【0046】
一部の実施形態において、第2の反応組成物におけるポリオールは、重合度が2~4にあるポリグリセロールである。
【0047】
一部の実施形態において、第2の反応組成物における酸は、例えば脂肪酸または芳香族酸などが挙げられる。
【0048】
脂肪酸は、例えば置換基を含有しない脂肪酸または置換基を含有する脂肪酸が挙げられる。
【0049】
置換基は、例えばヒドロキシル基やアミノ基などが挙げられるが、それらに限らない。
【0050】
第2の反応組成物における脂肪酸は、例えばC14~C20の脂肪酸が挙げられるが、それらに限らない。
【0051】
C14~C20の脂肪酸は、例えばステアリン酸が挙げられるが、それに限らない。
【0052】
一部の実施形態において、ポリグリセロールエステル共乳化剤は、ポリオールと脂肪酸とを含む第2の反応組成物のエステル化反応物であり、且つ、ポリオールは、グリセロールまたは重合度が2~10にあるポリグリセロールである。
【0053】
ポリグリセロールエステル共乳化剤は、例えばイソステアリン酸ポリグリセリル-2(polyglyceryl-2 isostearate)、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2(polyglyceryl-2 diisostearate)、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2(polyglyceryl-2 triisostearate)、ステアリン酸グリセリル(glyceryl stearate)、または、イソステアリン酸ポリグリセリル-3(polyglycery-3 isostearate)などが挙げられるが、それらに限らない。
【0054】
イソステアリン酸ポリグリセリル-2は、例えばHLB値が6.5であるイソステアリン酸ポリグリセリル-2が挙げられる。
【0055】
ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2は、例えばHLB値が4.5であるジイソステアリン酸ポリグリセリル-2が挙げられる。
【0056】
トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2は、例えばHLB値が3.2であるトリイソステアリン酸ポリグリセリル-2が挙げられる。
【0057】
一部の実施形態において、ポリグリセロールエステル乳化剤は、HLB値が6.5であるイソステアリン酸ポリグリセリル-2、HLB値が4.5であるジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、及び、HLB値が3.2であるトリイソステアリン酸ポリグリセリル-2からなる群から少なくとも1種が選ばれるものである。
【0058】
<乳剤組成物の用途>
乳剤組成物の用途は、本発明の乳剤組成物を水中油型日焼け止め製品に使用することである。
【0059】
該水中油型日焼け止め製品は、例えば日焼け止めケア用品や日焼け止め化粧品が挙げられるが、それらに限らない。
【0060】
日焼け止めケア用品は、例えば日焼け止め乳液、日焼け止めクリーム、日焼け止めスプレーまたはCC(complete correction)クリームなどが挙げられるが、それらに限らない。
【0061】
日焼け止め化粧品は、例えばBB(blemish balm)クリームなどが挙げられるが、それらに限らない。
【0062】
<水中油型日焼け止め乳液>
本発明の水中油型日焼け止め乳液は、本発明の乳剤組成物と、少なくとも1種類の日焼け止め剤と、少なくとも1種類の油脂と、水とを含み、該水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、該乳剤組成物の総量が3wt%を超え且つ30wt%以下にある。
【0063】
本発明の乳剤組成物は、上記の通りのものである。
【0064】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、乳剤組成物の総量が3wt%を超え且つ7wt%以下にある。
【0065】
日焼け止め剤は、例えば化学系日焼け止め剤または物理系日焼け止め剤である。
【0066】
化学系日焼け止め剤は、例えばブチルメトキシジベンゾイルメタン(butyl methoxydibenzoylmethane)またはメトキシケイヒ酸エチルヘキシル(ethylhexyl methoxycinnamate)などが挙げられるが、それらに限らない。
【0067】
物理系日焼け止め剤は、例えば二酸化チタンまたは酸化亜鉛などが挙げられるが、それらに限らない。
【0068】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、日焼け止め剤の総量が0.1wt%~50wt%にある。
【0069】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、日焼け止め剤の総量が0.1wt%~30wt%にある。
【0070】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、日焼け止め剤の総量が0.1wt%~20wt%にある。
【0071】
油脂は、例えば安息香酸C12~C15アルキル(C12-C15 alkyl benzoate)、イソノナン酸イソノニル(isononyl isononanoate)またはトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(caprilic/capric triglyceride)などが挙げられるが、それらに限らない。
【0072】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、油脂の総量が0.1wt%~50wt%にある。
【0073】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、油脂の総量が0.1wt%~40wt%にある。
【0074】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、油脂の総量が0.1wt%~30wt%にある。
【0075】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、油脂の総量が0.1wt%~20wt%にある。
【0076】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液は、少なくとも1種類の保湿剤を更に含む。
【0077】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、保湿剤の総量が0.1wt%~30wt%にある。
【0078】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、保湿剤の総量が0.1wt%~20wt%にある。
【0079】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、保湿剤の総量が0.1wt%~10wt%にある。
【0080】
保湿剤は、例えばグリセロール、プロパンジオール(propanediol)、ブタンジオール(butanediol)、ペンタンジオール(pentanediol)、ヘキサンジオール(hexanediol)、オクタンジオール(octanediol)、ジグリセロール(diglycerol)、トリグリセロール(triglycerol)、テトラグリセロール(tetraglycerol)、ヘキサグリセロール(hexaglycerol)、オクタグリセロール(octaglycerol)またはデカグリセロール(decaglycerol)などが挙げられるが、それらに限らない。
【0081】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液は、少なくとも1種類の増粘剤を更に含む。
【0082】
増粘剤は、例えばキサンタンガム(xanthan gum)、アルギン酸ナトリウム(sodium alginate)、ケイ酸塩(silicate)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethyl cellulose)、カルボキシメチルセルロース(carboxy methyl cellulose)またはカルボキシビニルポリマー(carboxyvinyl polymer)などが挙げられるが、それらに限らない。
【0083】
ケイ酸塩は、例えばケイ酸アルミニウムマグネシウム(magnesium aluminum silicate)などが挙げられる。
【0084】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、増粘剤の総量が0.01wt%~10wt%にある。
【0085】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、増粘剤の総量が0.01wt%~5wt%にある。
【0086】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、増粘剤の総量が0.01wt%~3wt%にある。
【0087】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、増粘剤の総量が0.01wt%~2wt%にある。
【0088】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、増粘剤の総量が0.01wt%~1wt%にある。
【0089】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液は、少なくとも1種類の防腐剤を更に含む。
【0090】
防腐剤は、例えば有機酸、塩類、ポリオール、ホルムアルデヒドリリース型防腐剤(formaldehyde-releasing preservatives)またはハロゲン化物などが挙げられるが、それらに限らない。
【0091】
防腐剤としてのポリオールは、例えばエチルヘキシルグリセリン(ethylhexylglycerin)などが挙げられる。
【0092】
ハロゲン化物は、例えばクロルフェネシン(chlorphenesin)などが挙げられる。
【0093】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、防腐剤の総量が0.001wt%~10wt%にある。
【0094】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、防腐剤の総量が0.001wt%~5wt%にある。
【0095】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、防腐剤の総量が0.001wt%~3wt%にある。
【0096】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、防腐剤の総量が0.001wt%~2wt%にある。
【0097】
一部の実施形態において、水中油型日焼け止め乳液の総量を100wt%として、防腐剤の総量が0.001wt%~1wt%にある。
【0098】
以下、実施例で本発明を説明する。これらの実施例は、例示的かつ説明的なものであり、且つ、本発明を限定するものと解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0099】
実施例1:水中油型日焼け止め乳液
第1の原料組成物と第2の原料組成物との総量を100wt%として、ブチルメトキシジベンゾイルメタンが2wt%、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルが4wt%、二酸化チタンが6wt%、安息香酸アルキル混合物(台湾PATECH FINE CHEMICALS CO., LTD社製、型番:PaesterTM AB、INCI名:安息香酸C12~C15アルキル) が5wt%、イソノナン酸イソノニルが5wt%、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルが5wt%、HLB値が15.8であるラウリン酸ポリグリセリル-10が4.2wt%、HLB値が3.2であるトリイソステアリン酸ポリグリセリル-2が2.8wt%、になるように、80℃の条件で混合して第1の原料組成物を得た。
【0100】
水が62.2wt%、グリセロールが3wt%、キサンタンゴムが0.3wt%、防腐剤が0.5wt%[米ACTIVON CO., LTD.社製、型番:Activonol-PAFC、成分:フェノキシエタノール(phenoxyethanol)、エチルヘキシルグリセリン(ethylhexylglycerin)、クロルフェネシン(Chlorphenesin)]、になるように、80℃の条件で混合して第2の原料組成物を得た。
【0101】
そして、第1の原料組成物を第2の原料組成物に徐々に添加し、且つ撹拌して混合し、そして、回転速度を5000rpmに設定したホモジナイザー(homogenizer)を使用して5分間の均質化(homogenization)処理を行った後、穏やかに攪拌しながら40℃に冷却し、水中油型日焼け止め乳液を得た。
【0102】
実施例2及び比較例1~比較例4
実施例2及び比較例1~比較例4は、表1に示されるように、各成分の種類及び使用量以外、実施例1と同じである。
【0103】
評価項目
親水性親油性バランス値(HLB値)の計算:
ポリグリセロールエステル乳化剤のHLB値の計算は、第1の反応組成物において、以下の通りである。[重合度が4~20にあるポリグリセロールの使用量/(重合度が4~20にあるポリグリセロールの使用量及び脂肪酸の使用量の和)]×20。
【0104】
ポリグリセロールエステル共乳化剤のHLB値の計算は、第2の反応組成物において、以下の通りである。[グリセロールまたは重合度が2~10にあるポリグリセロールの使用量/(グリセロールまたは重合度が2~10にあるポリグリセロールの使用量及び脂肪酸の使用量の和)]×20。
【0105】
乳化有無の分析:
実施例1~実施例2の水中油型日焼け止め乳液及び比較例1~比較例4の日焼け止め液に、層に分離する現象の有無や不均一で浮き油がある現象の有無を、肉眼で観察する。「〇」の場合、層に分離する現象や不均一で浮き油がある現象がなく完全に乳化したことを表す。「×」の場合、層に分離する現象や不均一で浮き油がある現象があって乳化不完全または未乳化であることを表す。
【0106】
乳化形態の分析:
実施例1~実施例2の水中油型日焼け止め乳液及び比較例1~比較例4の日焼け止め液を水に滴下し、水に均一に分散するか否かを肉眼で観察する。
【0107】
水中油型(O/W型)の乳化形態は、水に均一に分散する。
【0108】
油中水型(W/O型)の乳化形態は、凝集して水に分散しなく、水面に浮いたり、水底に沈んだりする。
【0109】
日焼け防止指数(SPF)及び耐水性の保持率(water resistance retention、略称:WRR、単位:%)の測定:
39mg~40mgの実施例1~実施例2の水中油型日焼け止め乳液及び比較例1~比較例4の日焼け止め液のそれぞれを6枚のポリアクリル酸メチル板(polymethacrylates、ドイツSchonberg社製)に塗布して、各ポリアクリル酸メチル板に単位面積(cm2)当たりに0.7mg~1.3mgの日焼け止めを有する塗膜を形成し、それにより複数のサンプルを得た。
【0110】
各サンプルを遮光環境で15分間静置し、そして、ISO(国際標準化機構)24443(2012年)に記載のインビトロでの紫外線A放射(UVA)光損傷防護日焼け止めクリーム含有量測定の国際標準方法を参照し、紫外可視分光光度計(島津製作所製、型番:UV-2600i)を使用して各サンプルを測定して、第1の日焼け防止指数を得た。
【0111】
そして、各サンプルを3リットルの水に浸入し、回転速度を5000rpmに設定した撹拌器を使用して15分間の撹拌を行った後、水から各サンプルを取り出して、サンプルに残留する水を除去した後、該紫外可視分光光度計を使用して各サンプルを測定して、第2の日焼け防止指数を得た。
【0112】
以下の公式で耐水性の保持率(WRR)を計算する。
WRR(%)=[(第2の日焼け防止指数-1)/(第1の日焼け防止指数-1)]×100%
【0113】
【0114】
上記の結果によれば、乳剤組成物におけるポリグリセロールエステル乳化剤及びポリグリセロールエステル共乳化剤により、水中油型日焼け止め乳液に使用すると、水中油型日焼け止め乳液に優れた日焼け防止指数及び耐水性を与える。
【0115】
また、ポリグリセロールエステル乳化剤及びポリグリセロールエステル共乳化剤におけるポリグリセロールと脂肪酸とは天然由来のものであるので、本発明の乳剤組成物は、天然コスメチックス市場の需要に合致し、コスメチックス市場の永続的な発展に有利である。
【0116】
従って、本発明の目的を確実に達成できる。
【0117】
上記実施形態は例示的に本発明の原理及び効果を説明するものであり、本発明を制限するものではない。本技術を熟知する当業者であれば本発明の精神及び範囲から離れないという前提の下、上記の実施形態に対して若干の変更や修飾が可能で有る。従って、当業者が本発明の主旨から離れないという前提の下、行った全ての変更や修飾も本発明の保護範囲に含まれるものとされるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明の乳剤組成物は、水中油型日焼け止め乳液に使用することに適する。