(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028226
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】二次電池のセパレータから回収した高密度ポリエチレンを含む中小型容器製造用の高分子組成物および高分子組成物を成形して製造される中小型容器
(51)【国際特許分類】
C08L 23/06 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
C08L23/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133630
(22)【出願日】2023-08-18
(31)【優先権主張番号】10-2022-0104064
(32)【優先日】2022-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】515215276
【氏名又は名称】エスケー ジオ セントリック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】イ ヒェ ジン
(72)【発明者】
【氏名】パク ジョン サン
(72)【発明者】
【氏名】ホン デ シグ
(72)【発明者】
【氏名】カン サン モク
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB031
4J002BB032
4J002GG01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】二次電池のセパレータから回収した高密度ポリエチレンを含み、優れた機械的物性を有する、中小型容器製造用の高分子組成物を提供する。
【解決手段】二次電池のセパレータから回収した第1高密度ポリエチレンと、密度が0.930~0.970g/cm
3である第2高密度ポリエチレンとを含み、下記式を満たす、中小型容器製造用の高分子組成物とする。
(上記式1において、x及びyは、それぞれ、高分子組成物における前記第1及び第2の高密度ポリエチレンの重量百分率であり、MIa及びMIbは、それぞれ、前記第1及び第2の高密度ポリエチレンのメルトフローインデックスであり、前記メルトフローインデックスは、ASTM D1238(190℃,2.16kg)に準じて測定したものである。)
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池のセパレータから回収した第1高密度ポリエチレンと、密度が0.930~0.970g/cm
3である第2高密度ポリエチレンとを含み、
下記式1を満たす、中小型容器製造用の高分子組成物。
[式1]
【数1】
(上記式1において、
xは、前記中小型容器製造用の高分子組成物における前記第1高密度ポリエチレンの重量百分率であり、yは、前記中小型容器製造用の高分子組成物における前記第2高密度ポリエチレンの重量百分率であり、
MI
aは、前記第1高密度ポリエチレンのメルトフローインデックスであり、MI
bは、前記第2高密度ポリエチレンのメルトフローインデックスであり、前記メルトフローインデックスは、ASTM D1238(190℃,2.16kg)に準じて測定したものである。)
【請求項2】
前記二次電池のセパレータは、廃リチウム二次電池または二次電池不良製品から回収したセパレータから無機物コーティング層を除去した廃セパレータ、二次電池のセパレータ製造工程で発生するスクラップ、およびトリミング後に回収したセパレータの端部から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の廃セパレータである、請求項1に記載の中小型容器製造用の高分子組成物。
【請求項3】
前記二次電池のセパレータから回収した第1高密度ポリエチレンは、ASTM D1238(190℃,2.16kg)に準じて測定されたメルトフローインデックスが0.01~0.2g/10minである、請求項2に記載の中小型容器製造用の高分子組成物。
【請求項4】
前記二次電池のセパレータから回収した第1高密度ポリエチレンは、曲げ弾性率が5,000~15,000kg/cm2であり、引張強度が200~400kg/cm2であり、伸び率が300%以上である、請求項2に記載の中小型容器製造用の高分子組成物。
【請求項5】
前記二次電池のセパレータから回収した第1高密度ポリエチレン20~60重量%および前記第2高密度ポリエチレン40~80重量%を含む、請求項2に記載の中小型容器製造用の高分子組成物。
【請求項6】
下記式1-1を満たす、請求項3に記載の中小型容器製造用の高分子組成物。
[式1-1]
【数2】
(上記式1-1において、
xは、前記中小型容器製造用の高分子組成物における前記第1高密度ポリエチレンの重量百分率であり、yは、前記中小型容器製造用の高分子組成物における前記第2高密度ポリエチレンの重量百分率であり、
MI
aは、前記第1高密度ポリエチレンのメルトフローインデックスであり、MI
bは、前記第2高密度ポリエチレンのメルトフローインデックスであり、前記メルトフローインデックスは、ASTM D1238(190℃,2.16kg)に準じて測定したものである。)
【請求項7】
前記第1高密度ポリエチレンのメルトフローインデックス(MIa)および前記第2高密度ポリエチレンのメルトフローインデックス(MIb)は、下記式2を満たし、前記メルトフローインデックスは、ASTM D1238(190℃,2.16kg)に準じて測定されたものである、請求項3に記載の中小型容器製造用の高分子組成物。
[式2]
0.15≦MIb-MIa≦5
【請求項8】
前記第2高密度ポリエチレンは、ASTM D1238(190℃,2.16kg)に準じて測定されたメルトフローインデックスが0.25~1.5g/10minである、請求項7に記載の中小型容器製造用の高分子組成物。
【請求項9】
前記第2高密度ポリエチレンは、多分散性指数(PDI,Mw/Mn)が6以上である、請求項8に記載の中小型容器製造用の高分子組成物。
【請求項10】
前記第2高密度ポリエチレンは、曲げ弾性率が9,000kg/cm2以上である、請求項1に記載の中小型容器製造用の高分子組成物。
【請求項11】
ASTM D1238(190℃,2.16kg)に準じて測定されたメルトフローインデックスが0.1~0.5g/10minである、請求項1に記載の中小型容器製造用の高分子組成物。
【請求項12】
引張強度が240kg/cm2以上であり、伸び率が300%以上である、請求項11に記載の中小型容器製造用の高分子組成物。
【請求項13】
ASTM D1693に準じて測定した環境応力亀裂抵抗が30時間以上である、請求項12に記載の中小型容器製造用の高分子組成物。
【請求項14】
23±2℃の温度で測定したアイゾット衝撃強度が20kgf・cm/cm以上であり、曲げ弾性率が10,000kg/cm2以上である、請求項12に記載の中小型容器製造用の高分子組成物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の中小型容器製造用の高分子組成物を含む、成形用のペレット。
【請求項16】
請求項1~14のいずれか1項に記載の中小型容器製造用の高分子組成物を成形して製造される、中小型容器。
【請求項17】
(a)二次電池のセパレータから第1高密度ポリエチレンを回収し、下記式1を満たす第2高密度ポリエチレンを選定するステップと、
(b)前記第1高密度ポリエチレンおよび前記第2高密度ポリエチレンを含む中小型容器製造用の高分子組成物から予備成形体を製造するステップと、
(c)前記予備成形体を成形して中小型容器を製造するステップとを含み、
前記第2高密度ポリエチレンは、密度が0.930~0.970g/cm
3である第2高密度ポリエチレンを含み、
前記中小型容器製造用の高分子組成物は、下記式1を満たす、二次電池用の廃セパレータをリサイクルした中小型容器の製造方法。
[式1]
【数3】
(上記式1において、
xは、前記中小型容器製造用の高分子組成物における前記第1高密度ポリエチレンの重量百分率であり、yは、前記中小型容器製造用の高分子組成物における前記第2高密度ポリエチレンの重量百分率であり、
MI
aは、前記第1高密度ポリエチレンのメルトフローインデックスであり、MI
bは、前記第2高密度ポリエチレンのメルトフローインデックスであり、前記メルトフローインデックスは、ASTM D1238(190℃,2.16kg)に準じて測定したものである。)
【請求項18】
前記ステップ(a)において、前記二次電池のセパレータは、廃リチウム二次電池または二次電池不良製品から回収したセパレータから無機物コーティング層を除去した廃セパレータ、二次電池のセパレータ製造工程で発生するスクラップ、およびトリミング後に回収したセパレータの端部から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の廃セパレータである、請求項17に記載の二次電池用の廃セパレータをリサイクルした中小型容器の製造方法。
【請求項19】
前記ステップ(c)において、成形は、射出成形(Injection Molding)、中空成形(Blow Molding)または押出成形(profile extrusion)により行われる、請求項17に記載の二次電池用の廃セパレータをリサイクルした中小型容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二次電池のセパレータから回収した高密度ポリエチレンを含む中小型容器製造用の高分子組成物および高分子組成物を成形して製造される中小型容器に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池の使用の大衆化に伴い、寿命が尽きて捨てられる二次電池も増加している。よって、廃二次電池をリサイクルするための様々な方法が研究されているが、例えば、廃二次電池を回収して放電、破砕、選別工程を含む前処理作業を行うことにより、外装缶、セパレータ、負/正極などを分類し、その後コバルト、ニッケル、リチウム、マンガンなどの金属を回収することができる。
【0003】
しかし、前記廃二次電池から回収した廃セパレータや、不良製品からの廃セパレータ、または製造工程で発生するセパレータスクラップは、再生することができず、焼却または破砕後、海外搬出などの適切でない方法により処理されており、資源の無駄遣いであり、環境汚染の原因であると指摘されている。
【0004】
よって、上記問題を解決するために、廃セパレータをリサイクルするための様々な努力がなされているが、廃セパレータ自体の物性や加工性が不足するため、用途および成形方法に適するように調整する必要がある。
【0005】
一般的に、セパレータは、ポリエチレンで製造されるので、前記廃セパレータから回収したポリエチレンを用いて様々な製品を成形することができる。特に、生活用品などの中小型製品は、環境応力亀裂抵抗、引張強度、曲げ弾性率などの機械的物性に優れる必要があり、効率的な作業性のために、加工性が良い必要がある。しかし、前記廃セパレータから回収したポリエチレンの場合、衝撃強度は優れているが、環境応力亀裂抵抗が悪く、伸び率および曲げ弾性率も不足し、低いメルトインデックスにより加工性も良くないため、成形が困難であるという問題がある。
【0006】
よって、廃セパレータからリサイクルしたポリエチレンを含み、優れた加工性を有することから様々な形状に成形することができ、優れた機械的物性を実現することができる、環境にやさしい高分子組成物に関する開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、上記問題を解決するために、二次電池のセパレータから回収した高密度ポリエチレンを含み、曲げ弾性率、引張強度、伸び率などの機械的物性に優れ、加工性が卓越した、環境にやさしい中小型容器製造用の高分子組成物を提供することを目的とする。
【0008】
本開示の他の目的は、中小型容器製造用の高分子組成物を成形して製造される中小型容器を提供することにある。
【0009】
本開示のさらに他の目的は、二次電池用の廃セパレータをリサイクルして優れた加工性を有する高分子組成物を製造し、それを成形して優れた機械的物性を有する中小型容器を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、上記目的を達成するために、二次電池のセパレータから回収した高密度ポリエチレンを含む、環境にやさしい中小型容器製造用の高分子組成物を製造するために絶え間ない研究を重ねた結果、特定の条件を満たす新材を含む場合、中小型容器を製造する上で、優れた加工性と卓越した曲げ弾性率、引張強度、伸び率などの機械的物性を有する高分子組成物を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本開示は、二次電池のセパレータから回収した第1高密度ポリエチレンと、密度が0.930~0.970g/cm3である第2高密度ポリエチレンとを含み、下記式1を満たす、中小型容器製造用の高分子組成物を提供する。
【0012】
[式1]
【数1】
(上記式1において、
xは、前記中小型容器製造用の高分子組成物における前記第1高密度ポリエチレンの重量百分率であり、yは、前記中小型容器製造用の高分子組成物における前記第2高密度ポリエチレンの重量百分率であり、
MI
aは、前記第1高密度ポリエチレンのメルトフローインデックスであり、MI
bは、前記第2高密度ポリエチレンのメルトフローインデックスであり、前記メルトフローインデックスは、ASTM D1238(190℃,2.16kg)に準じて測定したものである。)
【0013】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記二次電池のセパレータは、廃リチウム二次電池または二次電池不良製品から回収したセパレータから無機物コーティング層を除去した廃セパレータ、二次電池のセパレータ製造工程で発生するスクラップ、トリミング後に回収したセパレータの端部などから選択されるいずれか1つまたは2つ以上の廃セパレータであってもよい。
【0014】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記二次電池のセパレータから回収した第1高密度ポリエチレンは、ASTM D1238(190℃,2.16kg)に準じて測定されたメルトフローインデックスが0.01~0.20g/10minであってもよい。
【0015】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記二次電池のセパレータから回収した第1高密度ポリエチレンは、曲げ弾性率が5,000~15,000kg/cm2であり、引張強度が200~400kg/cm2であり、伸び率が300%以上であってもよい。
【0016】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記中小型容器製造用の高分子組成物は、前記二次電池のセパレータから回収した第1高密度ポリエチレン20~60重量%および前記第2高密度ポリエチレン40~80重量%を含んでもよい。
【0017】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記中小型容器製造用の高分子組成物は、下記式1-1を満たすものであってもよい。
【0018】
[式1-1]
【数2】
(上記式1-1において、
xは、前記中小型容器製造用の高分子組成物における前記第1高密度ポリエチレンの重量百分率であり、yは、前記中小型容器製造用の高分子組成物における前記第2高密度ポリエチレンの重量百分率であり、
MI
aは、前記第1高密度ポリエチレンのメルトフローインデックスであり、MI
bは、前記第2高密度ポリエチレンのメルトフローインデックスであり、前記メルトフローインデックスは、ASTM D1238(190℃,2.16kg)に準じて測定したものである。)
【0019】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第1高密度ポリエチレンのメルトフローインデックス(MIa)および前記第2高密度ポリエチレンのメルトフローインデックス(MIb)は、下記式2を満たすものであってもよく、前記メルトフローインデックスは、ASTM D1238(190℃,2.16kg)に準じて測定されたものであってもよい。
【0020】
[式2]
0.15≦MIb-MIa≦5
【0021】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第2高密度ポリエチレンは、ASTM D1238(190℃,2.16kg)に準じて測定されたメルトフローインデックスが0.25~1.5g/10minであってもよい。
【0022】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第2高密度ポリエチレンは、多分散性指数(PDI,Mw/Mn)が6以上であってもよい。
【0023】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第2高密度ポリエチレンは、曲げ弾性率が9,000kg/cm2以上であってもよい。
【0024】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記中小型容器製造用の高分子組成物は、ASTM D1238(190℃,2.16kg)に準じて測定されたメルトフローインデックスが0.1~0.5g/10minであってもよい。
【0025】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記中小型容器製造用の高分子組成物は、引張強度が240kg/cm2以上であり、伸び率が300%以上であってもよい。
【0026】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記中小型容器製造用の高分子組成物は、ASTM D1693に準じて測定した環境応力亀裂抵抗が30時間以上であってもよい。
【0027】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記中小型容器製造用の高分子組成物は、23±2℃の温度で測定したアイゾット衝撃強度が20kgf・cm/cm以上であり、曲げ弾性率が10,000kg/cm2以上であってもよい。
【0028】
本開示は、上述の中小型容器製造用の高分子組成物を含む成形用のペレットを提供することができる。
【0029】
本開示は、上述の中小型容器製造用の高分子組成物を成形して製造される中小型容器を提供することができる。
【0030】
本開示は、(a)二次電池のセパレータから第1高密度ポリエチレンを回収し、下記式1を満たす第2高密度ポリエチレンを選定するステップと、
(b)前記第1高密度ポリエチレンおよび前記第2高密度ポリエチレンを含む中小型容器製造用の高分子組成物から予備成形体を製造するステップと、
(c)前記予備成形体を成形して中小型容器を製造するステップとを含み、
前記第2高密度ポリエチレンは、密度が0.930~0.970g/cm3である第2高密度ポリエチレンを含み、
前記中小型容器製造用の高分子組成物は、下記式1を満たす、二次電池用の廃セパレータをリサイクルした中小型容器の製造方法を提供することができる。
【0031】
[式1]
【数3】
(上記式1において、
xは、前記中小型容器製造用の高分子組成物における前記第1高密度ポリエチレンの重量百分率であり、yは、前記中小型容器製造用の高分子組成物における前記第2高密度ポリエチレンの重量百分率であり、
MI
aは、前記第1高密度ポリエチレンのメルトフローインデックスであり、MI
bは、前記第2高密度ポリエチレンのメルトフローインデックスであり、前記メルトフローインデックスは、ASTM D1238(190℃,2.16kg)に準じて測定したものである。)
【0032】
一実施形態による二次電池用の廃セパレータをリサイクルした中小型容器の製造方法において、前記ステップ(a)において、前記二次電池のセパレータは、廃リチウム二次電池または二次電池不良製品から回収したセパレータから無機物コーティング層を除去した廃セパレータ、二次電池のセパレータ製造工程で発生するスクラップ、トリミング後に回収したセパレータの端部などから選択されるいずれか1つまたは2つ以上の廃セパレータであってもよい。
【0033】
一実施形態による二次電池用の廃セパレータをリサイクルした中小型容器の製造方法において、前記ステップ(c)において、成形は、射出成形(Injection Molding)、中空成形(Blow Molding)、押出成形(profile extrusion)などにより行われてもよい。
【発明の効果】
【0034】
本開示は、二次電池のセパレータから回収した高密度ポリエチレンを含み、優れた機械的物性を有する中小型容器製造用の高分子組成物を提供することができる。具体的には、二次電池用の廃セパレータをリサイクルして優れた加工性を有する高分子組成物を製造することができ、それを成形して環境応力亀裂抵抗、曲げ弾性率、伸び率、衝撃強度などの機械的物性に優れ、環境親和性に優れた中小型容器を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】実施例1~3の高分子組成物を中空成形して製造した中小型成形品の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本開示をより詳細に説明する。ただし、下記実施例または実施形態は、本開示を詳細に説明するための1つの参照にすぎず、本開示は、それに限定されるものではなく、様々な形態で実現することができる。
【0037】
なお、他に定義されない限り、すべての技術用語および科学用語は、本開示の属する技術の分野における当業者の一人に一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0038】
本明細書で説明に用いられる用語は、単に特定の実施形態を効果的に記述するためのものであり、本開示の限定を意図するものではない。
【0039】
また、明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる単数の形態は、文脈で特に示さない限り、複数の形態も含むものと意図することができる。
【0040】
さらに、本明細書で特に言及なしに用いられる単位は、重量を基準とし、一例として、%または比の単位は、重量%または重量比を意味し、重量%は、他に定義されない限り、全組成物のいずれか1つの成分が組成物中に占める重量%を意味する。
【0041】
さらに、ある部分がある構成要素を「含む」とすると、それは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0042】
さらに、本明細書で用いられる用語「中小型容器」は、20L未満の製品容器、生活用品ケース、密閉容器、プラスチックボトル/容器などの日常生活に用いられる中小型構造体を含み得るが、それに限定されるものではない。
【0043】
さらに、本明細書で用いられる数値範囲は、下限値および上限値とその範囲内でのすべての値、定義される範囲の形態および幅から論理的に誘導される増分、それらのうちの限定されたすべての値、並びに互いに異なる形態に限定された数値範囲の上限および下限のすべての可能な組み合わせを含むことができる。本発明の明細書において、特に定義されない限り、実験誤差または値の四捨五入により発生する可能性がある数値範囲外の値も定義された数値範囲に含まれる。
【0044】
以下、本開示についてより具体的に説明する。
【0045】
本開示は、上記目的を達成するために、二次電池のセパレータから回収した第1高密度ポリエチレンと、密度が0.930~0.970g/cm3である第2高密度ポリエチレンとを含み、下記式1を満たす、中小型容器製造用の高分子組成物を提供する。具体的には、下記式1-1を満たすものであってもよい。
【0046】
【0047】
[式1-1]
【数5】
(上記式1および式1-1において、
xは、前記中小型容器製造用の高分子組成物における前記第1高密度ポリエチレンの重量百分率であり、yは、前記中小型容器製造用の高分子組成物における前記第2高密度ポリエチレンの重量百分率であり、MI
aは、前記第1高密度ポリエチレンのメルトフローインデックスであり、MI
bは、前記第2高密度ポリエチレンのメルトフローインデックスであり、前記メルトフローインデックスは、ASTM D1238(190℃,2.16kg)に準じて測定したものである。)
【0048】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記二次電池のセパレータは、廃リチウム二次電池または二次電池不良製品から回収したセパレータから無機物コーティング層を除去した廃セパレータ、二次電池のセパレータ製造工程で発生するスクラップ、トリミング後に回収したセパレータの端部などから選択されるいずれか1つまたは2つ以上の廃セパレータであってもよい。上述の二次電池のセパレータから回収した第1高密度ポリエチレン(以下、第1高密度ポリエチレン)は、低いメルトインデックスにより加工性が悪く、伸び率や曲げ弾性率などの機械的物性が不足することから、リサイクルしにくいが、一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物は、前記第1高密度ポリエチレンを含むにもかかわらず、優れた加工性および卓越した機械的強度を実現することができるという利点がある。
【0049】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第1高密度ポリエチレンは、重量平均分子量(Mw)が100,000~1,000,000g/mol、具体的には150,000~700,000g/mol、より具体的には200,000~500,000g/molであってもよく、数平均分子量(Mn)が10,000~500,000g/mol、具体的には20,000~400,000g/mol、より具体的には30,000~300,000g/molであってもよく、多分散性指数(PDI)が2~30、具体的には3~25、より具体的には4~20であってもよいが、上述の二次電池のセパレータから回収した第1高密度ポリエチレンであれば、それに限定されない。
【0050】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記二次電池のセパレータから回収した第1高密度ポリエチレンは、ASTM D1238(190℃,2.16kg)に準じて測定されたメルトフローインデックスが0.001~0.5g/10min、具体的には0.01~0.20g/10min、より具体的には0.01~0.10g/10minであってもよい。一実施形態による高分子組成物は、上記範囲のメルトフローインデックスを有する第1高密度ポリエチレンを含むにもかかわらず、中小型容器の製造に適したメルトフローインデックスを実現することができるという利点がある。
【0051】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第1高密度ポリエチレンは、密度が0.920~0.990g/cm3、具体的には0.930~0.970g/cm3、より具体的には0.940~0.960g/cm3であってもよい。
【0052】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第1高密度ポリエチレンは、融点(Tm)が100℃以上、具体的には120℃以上、より具体的には130~150℃であってもよいが、それに限定されるものではない。
【0053】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第1高密度ポリエチレンは、引張強度(Tensile Strength at Yield)が150~450kg/cm2、具体的には200~400kg/cm2、より具体的には220~350kg/cm2であってもよいが、それに限定されるものではない。
【0054】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第1高密度ポリエチレンは、破断するまでの伸び率(Elongation)が300%以上、具体的には350~2000%、より具体的には400~1500%であってもよいが、それに限定されるものではない。
【0055】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第1高密度ポリエチレンは、曲げ弾性率(Flexural Modulus)が2,000~25,000kg/cm2、具体的には3,000~20,000kg/cm2、より具体的には5,000~15,000kg/cm2であってもよい。一実施形態による高分子組成物は、上記範囲の曲げ弾性率を有する第1高密度ポリエチレンを含むにもかかわらず、中小型容器の製造に適した曲げ弾性率を実現することができるという利点がある。
【0056】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第1高密度ポリエチレンは、常温(23±2℃)アイゾット衝撃強度(IZod)が50kgf・cm/cm以上、具体的には80kgf・cm/cm以上であってもよく、上限は特に限定されないが、200kgf・cm/cm以下であってもよい。
【0057】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第2高密度ポリエチレンは、重量平均分子量(Mw)が50,000~500,000g/mol、具体的には80,000~400,000g/mol、より具体的には100,000~300,000g/molであってもよく、数平均分子量(Mn)が10,000~250,000g/mol、具体的には15,000~200,000g/mol、より具体的には20,000~150,000g/molであってもよいが、それに限定されるものではなく、市販の製品を使用することができる。
【0058】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第1高密度ポリエチレンのメルトフローインデックス(MIa)および前記第2高密度ポリエチレンのメルトフローインデックス(MIb)は、下記式2、具体的には下記式2-1を満たすものであってもよい。ここで、前記メルトフローインデックスは、ASTM D1238(190℃,2.16kg)に準じて測定されたものである。
【0059】
[式2]
0.15≦MIb-MIa≦5
【0060】
[式2-1]
0.25≦MIb-MIa≦1.5
【0061】
上記式2、具体的には上記式2-1を満たす第1高密度ポリエチレンおよび第2高密度ポリエチレンを含む高分子組成物の場合、中小型容器の製造に適したメルトフローインデックスを示すことができ、よって、さらに向上した作業効率、低い不良率を実現することができる。
【0062】
また、前記第2高密度ポリエチレンは、ASTM D1238(190℃,2.16kg)に準じて測定されたメルトフローインデックスが上記式2、具体的には上記式2-1を満たすものであれば特に限定されないが、具体的には0.1~5g/10min、具体的には0.25~1.5g/10min、より具体的には0.5~1g/10minであってもよい。
【0063】
さらに、前記第1高密度ポリエチレンおよび前記第2高密度ポリエチレンは、上記式1および上記式2を同時に満たすものであってもよく、具体的には、上記式1-1および上記式2-1を同時に満たすものであってもよい。その場合、中小型容器製造用の高分子組成物は、中小型容器の製造に適したメルトフローインデックスを示し、さらには、優れた伸び率、曲げ弾性率、衝撃強度などの機械的物性を効果的に実現することができるので好ましい。
【0064】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第2高密度ポリエチレンは、密度が0.930~0.970g/cm3、具体的には0.940~0.970g/cm3、より具体的には0.950~0.970g/cm3であってもよい。
【0065】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第2高密度ポリエチレンは、多分散性指数(PDI,Mw/Mn)が3以上、具体的には4以上、より具体的には5~20であってもよい。
【0066】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第2高密度ポリエチレンは、融点(Tm)が100℃以上、具体的には120℃以上、より具体的には125~150℃であってもよいが、それに限定されるものではない。
【0067】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第2高密度ポリエチレンは、引張強度(Tensile Strength at Yield)が100~500kg/cm2、具体的には200~400kg/cm2、より具体的には250~350kg/cm2であってもよいが、それに限定されるものではない。
【0068】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第2高密度ポリエチレンは、破断するまでの伸び率(Elongation)が300%以上、具体的には350~2000%または400~1500%、より具体的には400~1000%であってもよいが、それに限定されるものではない。
【0069】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第2高密度ポリエチレンは、常温(23±2℃)アイゾット衝撃強度(IZod)が1kgf・cm/cm以上、具体的には5kgf・cm/cm以上であってもよく、上限は特に限定されないが、200kgf・cm/cm以下であってもよい。
【0070】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第2高密度ポリエチレンは、曲げ弾性率(Flexural Modulus)が5000~50000kg/cm2、具体的には7000~30000kg/cm2、より具体的には9000~15000kg/cm2または9000kg/cm2以上であってもよい。
【0071】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第2高密度ポリエチレンは、環境応力亀裂抵抗(ESCR)が10時間以上、具体的には50時間以上であってもよく、上限は特に限定されない。
【0072】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、上述の物性を満たす第2高密度ポリエチレンを含む中小型容器製造用の高分子組成物の場合、微粉やヒュームなどの発生が抑制されて優れた工程安定性を実現することができ、廃セパレータから回収した第1高密度ポリエチレンを相当量含有するにもかかわらず、中小型容器の製造に適したメルトフローインデックスを示して作業効率がさらに向上し、卓越した伸び率、曲げ弾性率などの機械的物性を有する、環境にやさしい中小型容器を製造することができるという利点がある。
【0073】
従来、廃セパレータから回収したポリエチレンをリサイクルするために、それを単独でまたは他のポリエチレンと混合して使用したが、それを過量含む場合、高いメルトフローインデックスと不足する機械的物性が問題となった。それを解決するために、本開示においては、特定の条件を満たす新材のポリエチレンを適用した場合、中小型容器に適した機械的物性および加工性を示した。
【0074】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記第1高密度ポリエチレン20~60重量%および前記第2高密度ポリエチレン40~80重量%を含んでもよく、具体的には、前記第1高密度ポリエチレン30~50重量%および前記第2高密度ポリエチレン50~70重量%を含んでもよい。上述の範囲を満たす場合、中小型容器の製造に適したメルトフローインデックスを示して優れた作業効率を有し、微粉やヒュームなどの発生が減少して優れた工程安定性を実現すると共に機械的物性が向上した中小型容器を製造することができるという利点がある。さらには、前記第1高密度ポリエチレンの含有量が高くなるほどリサイクル効率が高くなり、環境親和性をより効果的に実現することができる。
【0075】
具体的には、一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物は、二次電池のセパレータから回収した第1高密度ポリエチレンを30重量%以上含有するにもかかわらず、中小型容器の製造に適したメルトフローインデックスを示して優れた作業効率を示し、アイゾット衝撃強度、伸び率、曲げ弾性率などの機械的物性が卓越した中小型容器を製造することができると共に、リサイクルした高密度ポリエチレンを30重量%以上含有することにより、環境親和性を効果的に実現することができる。
【0076】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記中小型容器製造用の高分子組成物は、密度が0.930~0.990g/cm3、具体的には0.940~0.980g/cm3、より具体的には0.945~0.970g/cm3であってもよい。
【0077】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記中小型容器製造用の高分子組成物は、ASTM D1238(190℃,2.16kg)に準じて測定されたメルトフローインデックスが0.1~1.0g/10min、具体的には0.1~0.7g/10min、より具体的には0.1~0.5g/10minであってもよい。上記範囲を満たす場合、中小型容器の製造工程に適切な加工性を付与することで、より向上した作業効率および低い不良率を実現することができる。
【0078】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記中小型容器製造用の高分子組成物は、引張強度が180kg/cm2以上、具体的には220kg/cm2以上、より具体的には250kg/cm2以上または260kg/cm2以上であってもよく、上限は特に限定されないが、2000kg/cm2以下であってもよい。
【0079】
また、前記中小型容器製造用の高分子組成物は、破断するまでの伸び率が300%以上、具体的には350%以上または400%以上、より具体的には500%以上であってもよく、上限は特に限定されないが、2000%以下であってもよい。
【0080】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記中小型容器製造用の高分子組成物は、環境応力亀裂抵抗(ESCR)が10時間以上、具体的には30時間以上、より具体的には50時間以上または100時間以上であってもよく、上限は特に限定されず、環境応力亀裂抵抗が長いほど優れた物性として評価される。
【0081】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記中小型容器製造用の高分子組成物は、23±2℃の温度で測定したアイゾット衝撃強度が10kgf・cm/cm以上、具体的には20kgf・cm/cm以上、より具体的には20~50kgf・cm/cmであってもよい。
【0082】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記中小型容器製造用の高分子組成物は、曲げ弾性率が7,500kg/cm2以上、具体的には9,000kg/cm2以上、より具体的には10,000kg/cm2以上であってもよく、上限は特に限定されないが、100,000kg/cm2以下であってもよい。
【0083】
一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物において、前記高分子組成物は、目的および用途に応じて、当該技術分野において一般的に使用される添加剤をさらに含んでもよい。例えば、酸化防止剤、UV吸収剤、UV安定剤、滑剤、顔料、着色剤、充填剤、可塑剤、流動剤、帯電防止剤、難燃剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤などをさらに含んでもよく、前記添加剤は、目的とする物性を阻害しない範囲で適切な含有量で含まれてもよい。
【0084】
前記UV吸収剤は、ベンゾトリアジン系またはベンゾトリアゾール系UV吸収剤であってもよく、さらに、ジブチルヒドロキシトルエン、ノニルフェニルホスファイト、ジブチルメチルフェノールなどの一次、二次酸化防止剤またはHALS系UV安定剤と混合して使用してもよいが、それらの種類および含有量は、目的とする物性を阻害しないものであれば特に限定されない。
【0085】
非制限的な例として、前記ベンゾトリアゾール系UV吸収剤は、2-(2’-ヒドロメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ビス(α,α-ジメチルベンジルフェニル))ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-di-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられ、前記ベンゾトリアジン系UV吸収剤としては、例えばビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンなどが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0086】
また、前記滑剤は、押出成形時に流動性を高めて摩擦熱を抑制する役割を果たすものであって、炭化水素系、カルボン酸系、アルコール系、アミド系、エステル系化合物、およびそれらの混合物などから選択される1つ以上の組み合わせであってもよいが、それらの種類および含有量は、目的とする物性を阻害しないものであれば特に限定されない。
【0087】
本開示は、上述の中小型容器製造用の高分子組成物を含む成形用のペレットを提供することができる。前記ペレットは、成形品を製造する前に均一な大きさに裁断された予備成形体をいい、押出や射出などの通常かつ公知の方法により製造することができる。また、前記ペレットの大きさおよび形態は、限定されず、通常使用される添加剤または公知の添加剤をさらに含んでもよい。
【0088】
本開示は、上述の中小型容器製造用の高分子組成物を成形して製造される中小型容器を提供することができる。前記成形は、通常、中小型容器を製造するために用いる成形方法や公知の成形方法であってもよく、例えば、射出成形(Injection Molding)、中空成形(Blow Molding)、押出成形(profile extrusion)などから選択される1つ以上を選択して使用することができるが、それに限定されるものではない。一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物は、中小型容器の成形方法に適したメルトフローインデックスを示して効率的な作業が可能であり、それにより、作業時の不良率も減少させることができる。
【0089】
また、前記中小型容器は、低容量容器、貯蔵用または保管用容器、密閉容器、包装容器などの成形品であってもよいが、それらに限定されるものではない。一実施形態による中小型容器は、引張強度、伸び率、曲げ弾性率、衝撃強度、ESCRなどの物性が卓越であり、中小型製品への適用に適しており、何よりも二次電池のセパレータから回収した第1高密度ポリエチレンをリサイクルして製造するという点で、環境親和性に優れているという利点がある。
【0090】
以下、一実施形態による二次電池用の廃セパレータをリサイクルした中小型容器の製造方法についてより具体的に説明する。本開示は、(a)二次電池のセパレータから第1高密度ポリエチレンを回収し、下記式1を満たす第2高密度ポリエチレンを選定するステップと、
(b)前記第1高密度ポリエチレンおよび前記第2高密度ポリエチレンを含む中小型容器製造用の高分子組成物から予備成形体を製造するステップと、
(c)前記予備成形体を成形して中小型容器を製造するステップとを含み、
前記第2高密度ポリエチレンは、密度が0.930~0.970g/cm3である第2高密度ポリエチレンを含み、
前記中小型容器製造用の高分子組成物は、下記式1を満たす、二次電池用の廃セパレータをリサイクルした中小型容器の製造方法を提供することができる。
【0091】
[式1]
【数6】
(上記式1において、
xは、前記中小型容器製造用の高分子組成物における前記第1高密度ポリエチレンの重量百分率であり、yは、前記中小型容器製造用の高分子組成物における前記第2高密度ポリエチレンの重量百分率であり、
MI
aは、前記第1高密度ポリエチレンのメルトフローインデックスであり、MI
bは、前記第2高密度ポリエチレンのメルトフローインデックスであり、前記メルトフローインデックスは、ASTM D1238(190℃,2.16kg)に準じて測定したものである。)
【0092】
一実施形態による二次電池用の廃セパレータをリサイクルした中小型容器の製造方法において、前記ステップ(a)において、前記二次電池のセパレータは、廃リチウム二次電池または二次電池不良製品から回収したセパレータから無機物コーティング層を除去した廃セパレータ、二次電池のセパレータ製造工程で発生するスクラップ、トリミング後に回収したセパレータの端部などから選択されるいずれか1つまたは2つ以上の廃セパレータであってもよい。また、前記ステップ(a)は、前記二次電池のセパレータから第1高密度ポリエチレンではなく不純物を除去するために、通常用いられる方法または公知の方法による化学的、物理的前処理過程をさらに含んでもよいが、それに限定されるものではない。
【0093】
なお、前記第1高密度ポリエチレン、第2高密度ポリエチレンおよび中小型容器製造用の高分子組成物についての具体的な説明および化合物の例示は、上述のとおりであるので省略する。
【0094】
前記ステップ(a)において、上記式1、具体的には上記式1-1または上記式2、具体的には上記式2-1を満たす第2高密度ポリエチレンを選定するステップを行うことができ、選定された第2高密度ポリエチレンを含むことにより、上述の物性を有する中小型容器製造用の高分子組成物を製造することができる。
【0095】
一実施形態による中小型容器または中小型容器製造用の高分子組成物は、上述の二次電池用の廃セパレータをリサイクルすることから環境にやさしく、さらには、二次電池のセパレータから回収した第1高密度ポリエチレンの場合、成形方法が難しく、物性が不足するが、そのような問題を解決するために、特定の条件を基準として選定された第2高密度ポリエチレンを含むことで、より向上した加工性および卓越した機械的物性を有する中小型容器を製造することができるという利点がある。
【0096】
一実施形態による二次電池用の廃セパレータをリサイクルした中小型容器の製造方法において、前記ステップ(b)は、前記中小型容器製造用の高分子組成物からステップ(c)における成形のための予備成形体を製造するステップであり、具体的には、前記予備成形体は、押出または射出成形のための成形用のペレットや中空成形のためのパリソン(Parison)などの形態で製造されてもよいが、通常または公知のものであれば特に限定されない。
【0097】
一実施形態による二次電池用の廃セパレータをリサイクルした中小型容器の製造方法において、前記ステップ(c)において、成形は、射出成形(Injection Molding)、中空成形(Blow Molding)、押出成形(profile extrusion)などにより、具体的には中空成形(Blow Molding)により行われてもよい。前記成形は、中小型容器を製造するために用いられる通常または公知の成形方法であれば、特に限定されることなく用いることができる。一実施形態による中小型容器製造用の高分子組成物は、物性および加工性が不足した二次電池のセパレータから回収した高密度ポリエチレンを含むにもかかわらず、特定の条件に応じて選定された第2高密度ポリエチレンを共に含むことにより、中小型容器の製造に適した加工性および卓越した機械的物性を示すことができる。
【0098】
以下、実施例および比較例に基づいて本開示をより詳細に説明する。ただし、下記実施例および比較例は、本開示をより詳細に説明するための一例にすぎず、下記実施例および比較例に限定されるものではない。
【0099】
下記実施例および比較例の物性は以下の方法で測定した。
【0100】
[物性評価方法]
1.密度[g/cm3]:垂直カラム(Column)を用いた線形密度勾配管に、密度が既知な標準試験片を基準として高さに応じた密度値の検量線(Calibration Curve)を作成し、その後前記準備した密度測定試験片をカラムに浮かべて試料が止まった高さを記録し、前記検量線と対照することで試験片の密度を記録した。
【0101】
2.分子量(Mw,Mn)[g/mol]:GPC(Agilent社製,Infinity1260)を用いて重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。GPCカラムの温度は160℃にした。溶剤はトリクロロベンゼン、標準物はポリスチレンを使用し、常温、1mL/minの流速(flow rate)で分析した。また、前記Mw、Mnから多分散性指数(PDI)の値を計算した。その他の具体的な条件は下記のとおりである。
【0102】
-分析機器:3個のカラム(モデル名:Agilent社製,PLgel Olexis 7.5×300mm,13μm)と1個のガードカラム(モデル名:Agilent社製,PLgel Olexis 7.5×50mm,13μm)が連結され、温度160℃、GPC流量1mL/minに設定されており、屈折率検出器(Refractive Index Detector)が連結されたGPCシステム(モデル名:Agilent社製,1260 Infinity II High-Temperature GPC System)を使用した。
【0103】
-試料の準備:2~5mgのサンプルをBHT200ppmの1,2,4-トリクロロベンゼン1mlに使用して溶解した。この際、試料は、前処理器(Agilent PL-SP 260 VS Sample Preparation System)を使用して150℃で4時間撹拌して製造し、製造された溶液を前記GPCに200μL注入して分析した。
【0104】
3.メルトフローインデックス(MI)[g/10min]:ASTM D1238に準じて測定し、190℃、2.16kgの条件で10分当たり溶離されるグラム(g/10min)でメルトフローインデックスを測定した。測定値が0.05以下である再生の二次電池のセパレータ製品に対しては、21.6kg測定した後にFRR(Flow rate ratio)ファクターである95で割って計算した。
【0105】
4.引張強度(Tensile Strength at Yield)および伸び率(Elongation(at break))[kg/cm2,%]:ASTM D638 Type IVに準じて測定し、具体的には、試験片の厚さは2.0mmであり、前記試験片を23℃の温度条件および50%の湿度環境で40時間コンディショニング(Conditioning)した後、50mm/minの速度条件で測定した。
【0106】
5.アイゾット衝撃強度(IZod)[kgf・cm/cm]:ASTM D256に準じて、Dimension Aの条件(10.16±0.05mm)で試験片を製作し、前記試験片を23℃の温度条件および50%の湿度環境で40時間コンディショニングした後、23±2℃の温度で常温アイゾット衝撃強度を測定した。
【0107】
6.曲げ弾性率[kg/cm2]:試験片を23℃の温度条件および50%の湿度環境で40時間コンディショニングした後、ASTM D790のProcedure Bの条件(0.1mm/mm/min)に準じて測定した。
【0108】
7.環境応力亀裂抵抗(ESCR)[時間]:ASTM D1693のCondition B、F50(Bath温度50℃)に準じて測定した。
【0109】
8.下記計算式1による値を計算して下記表3に示した。
【0110】
【0111】
[製造例1]
高密度ポリエチレンを原料とする二次電池のセパレータ製造工程で発生するスクラップやトリミング後に回収したセパレータの端部試料を5cm×5cm以下の大きさに粉砕し、加工温度230℃で押出機によりペレットを取得し、それを十分に乾燥して第1高密度ポリエチレンペレットを製造し、物性を測定して下記表1に示した。
【0112】
[実施例1~4および比較例1および2]
下記表2により製造された高分子組成物を二軸押出機に投入し、加工温度230℃で十分な時間溶融押出して再生樹脂ペレットを取得し、前記再生樹脂ペレットを十分に乾燥し、その後加工温度220℃で新材の樹脂と溶融混合して押出機により成形用のペレットを製造した。前記成形用のペレットを射出または押出して各物性評価規格に適した試験片を製造し、物性を測定して下記表3に示した。
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
上記表2および3から、上記実施例による高分子組成物は、二次電池のセパレータから回収した第1高密度ポリエチレンを30重量%以上含有するにもかかわらず、中小型容器の製造において好まれるメルトフローインデックスを示すことにより、優れた加工性を実現することができ、製造された成形品の場合、優れた引張強度および衝撃強度だけでなく、二次電池のセパレータから回収した製造例1の第1高密度ポリエチレンより著しく向上した伸び率および曲げ弾性率を示すと共に、二次電池のセパレータをリサイクルすることで環境親和性を効果的に実現できることを確認した。
【0117】
また、実際に中小型容器の製造時に使用されている製品の物性と一実施形態による高分子組成物の物性とが同等または類似することを示すことにより、一実施形態による高分子組成物の場合、二次電池の廃セパレータから回収した高密度ポリエチレンをリサイクルし、卓越した物性を有する中小型容器を製造できることを確認した。
【0118】
以上、本発明は特定の事項と限定された実施例により説明されたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものにすぎず、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような記載から様々な修正および変形が可能である。
【0119】
よって、本発明の思想は、上述の実施例に限定して定められてはならず、添付の特許請求の範囲だけでなく、当該特許請求の範囲と均等であるかまたは等価的変形があるすべてが本発明の思想の範疇に属するといえる。