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▶ ジェイテクト ベアリングス ノースアメリカ、エルエルシーの特許一覧

特開2024-28230ウォブル・ジョイントを有するリニア・アクチュエータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028230
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】ウォブル・ジョイントを有するリニア・アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/24 20060101AFI20240222BHJP
   F16H 25/22 20060101ALI20240222BHJP
   B60T 13/74 20060101ALI20240222BHJP
   F16D 65/18 20060101ALI20240222BHJP
   F16D 121/24 20120101ALN20240222BHJP
   F16D 125/40 20120101ALN20240222BHJP
【FI】
F16H25/24 A
F16H25/22 F
B60T13/74 G
F16D65/18
F16D121:24
F16D125:40
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023134244
(22)【出願日】2023-08-21
(31)【優先権主張番号】63/399,343
(32)【優先日】2022-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523318512
【氏名又は名称】ジェイテクト ベアリングス ノースアメリカ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン ケイ. ブルベイカー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム エイ. ダルメス
【テーマコード(参考)】
3D048
3J058
3J062
【Fターム(参考)】
3D048BB21
3D048CC49
3D048HH18
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA63
3J058AA69
3J058AA78
3J058AA87
3J058BA01
3J058CC15
3J058CC63
3J062AA01
3J062AB22
3J062AC07
3J062BA16
3J062BA31
3J062BA35
3J062CD12
3J062CD45
(57)【要約】
【課題】従来のねじ式アクチュエータにおけるジョイントの課題を解決解決すること。
【解決手段】本発明によれば、ねじ式リニア・アクチュエータが、支持構造と、支持構造に対して軸方向において固定され、しかし回転可能に駆動可能であるねじシャフトとを有する。ナットがねじシャフトの上に設置され、それにより、ねじシャフトの回転が、ねじシャフトに沿ったナットの軸方向移動を生じさせる。加えて、ねじシャフトが、第1の半径を有する球形プロフィールを有する第1の環状接触面を画定する。スラスト・フランジが、ねじシャフトと共に回転するためにねじシャフトの上に位置しており、またスラスト・フランジが第2の半径を有する第2の環状接触面を有しており、第1の環状接触面が第2の環状接触面に係合する。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造と、
前記支持構造に対して軸方向において固定され、しかし回転可能に駆動可能であるねじシャフトと、
前記ねじシャフト上に取り付けられるナットであって、それにより、前記ねじシャフトの回転が、前記ねじシャフトに沿った前記ナットの軸方向移動を生じさせる、ナットと、
第1の半径を有する球形プロフィールを有する第1の環状接触面を画定する前記ねじシャフトと、
前記ねじシャフトと共に回転するために前記ねじシャフトの上に位置付けられたスラスト・フランジであって、前記スラスト・フランジは、第2の半径を有する第2の環状接触面を有し、前記第1の環状接触面が前記第2の環状接触面に係合する、スラスト・フランジと
を有する、ねじ式リニア・アクチュエータ。
【請求項2】
前記第1の半径が、前記ねじシャフトの長手方向中心軸に一致する第1の中心点を有する、請求項1に記載のねじ式リニア・アクチュエータ。
【請求項3】
前記第2の半径が、前記ねじシャフトの前記長手方向中心軸からオフセットされた第2の中心点を有する、請求項2に記載のねじ式リニア・アクチュエータ。
【請求項4】
前記第2の半径が前記第1の半径より大きい、請求項3に記載のねじ式リニア・アクチュエータ。
【請求項5】
前記スラスト・フランジと前記支持構造との間に位置するスラスト軸受をさらに有する、請求項1に記載のねじ式アクチュエータ。
【請求項6】
前記支持構造に固定された軸受ディスクをさらに有する、請求項5に記載のねじ式アクチュエータ。
【請求項7】
前記リニア・アクチュエータがボールねじ組立体を有し、前記ボールねじ組立体が、前記ねじシャフト内及び前記ナット内に画定された対向するボール・トラックの間に位置する複数のボールを有する、請求項1に記載のねじ式リニア・アクチュエータ。
【請求項8】
前記ボールねじ組立体が非再循環ボールねじ組立体を有する、請求項7に記載のねじ式アクチュエータ。
【請求項9】
前記ナットにより軸方向に移動可能であるブレーキ・ピストンをさらに有する、請求項1に記載のねじ式リニア・アクチュエータ。
【請求項10】
支持構造と、
前記支持構造に対して軸方向において固定され、しかし回転可能に駆動可能であるねじシャフトと、
前記ねじシャフト上に取り付けられるナットであって、それにより、前記ねじシャフトの回転が、前記ねじシャフトに沿った前記ナットの軸方向移動を生じさせる、ナットと、
第1の半径を有する球形プロフィールを有する第1の環状接触面を画定する前記ねじシャフトと、
前記ねじシャフトと共に回転するために前記ねじシャフトの上に位置付けられたスラスト・フランジであって、前記スラスト・フランジは、第2の半径を有する第2の環状接触面を有し、前記第1の環状接触面が前記第2の環状接触面に係合する、スラスト・フランジと、
前記スラスト・フランジと前記支持構造との間に位置するスラスト軸受と
を有する、ねじ式リニア・アクチュエータであって、
前記第1の半径が、前記ねじシャフトの長手方向中心軸に一致する第1の中心点を有し、前記第2の半径が、前記ねじシャフトの前記長手方向中心軸からオフセットされた第2の中心点を有する、ねじ式リニア・アクチュエータ。
【請求項11】
前記第2の半径が前記第1の半径より大きい、請求項10に記載のねじ式リニア・アクチュエータ。
【請求項12】
前記支持構造に固定された軸受ディスクをさらに有する、請求項11に記載のねじ式アクチュエータ。
【請求項13】
前記リニア・アクチュエータがボールねじ組立体を有し、前記ボールねじ組立体が、前記ねじシャフト内及び前記ナット内に画定された対向するボール・トラックの間に位置する複数のボールを有する、請求項10に記載のねじ式リニア・アクチュエータ。
【請求項14】
前記ボールねじ組立体が非再循環ボールねじ組立体を有する、請求項13に記載のねじ式アクチュエータ。
【請求項15】
ブレーキ・シリンダを有するボディを有するブレーキ・キャリパーと、
前記ブレーキ・シリンダ内に位置するピストンと、
前記ピストンの端部に対して固定された第1のパッドと、
前記第1のパッドに対向する第2のパッドと、
ねじ式リニア・アクチュエータと
を有するブレーキ装置であって、
前記ねじ式リニア・アクチュエータが、
前記ブレーキ・キャリパーに対して軸方向において固定され、しかし回転可能に駆動可能であるねじシャフトと、
前記ねじシャフト上に取り付けられたナットであって、それにより前記ねじシャフトの回転が前記ねじシャフトに沿ったナットの軸方向移動を生じさせ、また前記ナットは、前記ピストンの軸方向移動を生じさせるように前記ピストンに接続されている、ナットと、
第1の半径を有する球形プロフィールを有する第1の環状接触面を画定する前記ねじシャフトと、
前記ねじシャフトと共に回転するために前記ねじシャフト上に位置付けられたスラスト・フランジであって、前記スラスト・フランジは、第2の半径を有する第2の環状接触面を有し、前記第1の環状接触面が前記第2の環状接触面に係合する、スラスト・フランジと、
前記スラスト・フランジと前記ブレーキ・キャリパーとの間に位置するスラスト軸受とを有し、
前記第1の半径が、前記ねじシャフトの長手方向中心軸に一致する第1の中心点を有し、前記第2の半径が、前記ねじシャフトの前記長手方向中心軸からオフセットされた第2の中心点を有する、ブレーキ装置。
【請求項16】
前記第1の半径が、前記ねじシャフトの長手方向中心軸に一致する第1の中心点を有し、前記第2の半径が、前記ねじシャフトの前記長手方向中心軸からオフセットされた第2の中心点を有する、請求項15に記載のブレーキ装置。
【請求項17】
前記第2の半径が前記第1の半径より大きい、請求項16に記載のブレーキ装置。
【請求項18】
前記ブレーキ・キャリパーに固定された軸受ディスクをさらに有する、請求項15に記載のブレーキ装置。
【請求項19】
前記リニア・アクチュエータが、前記ねじシャフト内及び前記ナット内に画定された対向するボール・トラック内に位置する複数のボールを有するボールねじ組立体を有する、請求項15に記載のブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりあらゆる目的のために本明細書に完全に組み込まれる、2022年8月19日に出願した米国仮特許出願第63/399,343号に基づき、その優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、一般に、リニア・アクチュエータに関する。より詳細には、本発明の観点(aspect)は、ボールねじなどのねじ式アクチュエータに関連している。
【背景技術】
【0003】
多様な用途でねじ式アクチュエータなどのリニア・アクチュエータが利用される。例えば、一般的な電気機械制動システムは、直線力を提供することができるアクチュエータを必要とする。例としてのリニア・アクチュエータとして、ボールねじシャフトの外側表面の中に形成されたボール・トラックとボールねじナットの内側表面の中に形成されたボール・トラックとの間に挿置されたボール・トレインを有するボールねじ組立体がある。再循環ボール・タイプの及び非再循環ボール・タイプのボールねじ組立体が知られている。
【0004】
このようなリニア・アクチュエータは、シャフト上において球形形状を有し、球形形状に係合されるフランジ上において円錐接触部を有する、ウォブル(wobble;首振り)・ジョイントを有することができる。このような配置構成の例が図7A及び7Bに示され、ここでは、ウォブル・ジョイント(A)が、シャフト(C)の上に形成された球形形状を有する環状面(B)を有することが分かる。球形形状がフランジ(E)の上に形成された円錐台形接触面(D)に係合される。この構成では、より大きい軸方向荷重を受けるときにしばしば摩擦によりジョイントが完全な作業荷重及び撓みの前に動かなくなるため、ずれを軽減することが制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第11,536,335号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明は従来技術の構成及び方法の考慮すべき事項を認識し、それに対処するものである。
【0007】
本開示の一実施例がねじ式リニア・アクチュエータを提供し、このねじ式リニア・アクチュエータが、支持構造と、支持構造に対して軸方向において固定されるが回転可能に駆動可能であるねじシャフトと、を有する。ナットが、ねじシャフトの回転によりねじシャフトに沿ってナットを軸方向に移動させるように、ねじシャフトの上に設置される。加えて、ねじシャフトが、第1の半径を有する球形プロフィールを有する第1の環状接触面を画定する。スラスト・フランジがねじシャフトと共に回転するためにねじシャフトの上に位置し、スラスト・フランジが第2の半径を有する第2の環状接触面を有し、第1の環状接触面が第2の環状接触面に係合する。
【0008】
いくつかの例示の実施例によれば、第1の半径が、ねじシャフトの長手方向中心軸に一致する第1の中心点を有する。加えて、第2の半径が、ねじシャフトの長手方向中心軸からオフセットされた第2の中心点を有することができる。第2の半径が第1の半径より大きくてよい。
【0009】
いくつかの例示の実施例によれば、スラスト軸受がスラスト・フランジと支持構造との間に位置することができる。加えて、軸受ディスクが支持構造に固定され得る。
【0010】
いくつかの例示の実施例によれば、リニア・アクチュエータが、ねじシャフト内に及びナット内に画定された対向するボール・トラックの間に位置する複数のボールを有するボールねじ組立体を有することができる。例えば、ボールねじ組立体が非再循環ボールねじ組立体を有することができる。
【0011】
本発明の別の観点がねじ式リニア・アクチュエータを提供し、このねじ式リニア・アクチュエータが、支持構造と、支持構造に対して軸方向において固定されるが回転可能に駆動可能であるねじシャフトと、を有する。ナットが、ねじシャフトの回転によりねじシャフトに沿ってナットを軸方向に移動させるように、ねじシャフトの上に設置される。加えて、ねじシャフトが、第1の半径を有する球形プロフィールを有する第1の環状接触面を画定する。スラスト・フランジがねじシャフトと共に回転するためにねじシャフトに上に位置し、スラスト・フランジが第2の半径を有する第2の環状接触面を有し、第1の環状接触面が第2の環状接触面に係合する。加えて、スラスト軸受がスラスト・フランジと支持構造との間に位置する。第1の半径が、ねじシャフトの長手方向中心軸に一致する第1の中心点を有し、第2の半径が、ねじシャフトの長手方向中心軸からオフセットされた第2の中心点を有する。
【0012】
本発明の別の観点が、ブレーキ・シリンダを備えるボディを有するブレーキ・キャリパーを有するブレーキ装置を提供する。ピストンがブレーキ・シリンダ内に位置する。第1のパッドがピストンの端部に対して固定され、第2のパッドが第1のパッドに対向する。
【0013】
ブレーキ装置が、ブレーキ・キャリパーに対して軸方向において固定されるが回転可能に駆動可能であるねじシャフトを有するねじ式リニア・アクチュエータをさらに有する。ナットが、ねじシャフトの回転によりねじシャフトに沿ってナットを軸方向に移動させるように、ねじシャフトの上に設置され、ナットが、ピストンを軸方向に移動させるためにピストンに接続される。ねじシャフトが、第1の半径を有する球形プロフィールを有する第1の環状接触面を画定する。スラスト・フランジがねじシャフトと共に回転するためにねじシャフトの上に位置し、スラスト・フランジが第2の半径を有する第2の環状接触面を有し、第1の環状接触面が第2の環状接触面に係合する。スラスト軸受がスラスト・フランジとブレーキ・キャリパーとの間に位置する。第1の半径が、ねじシャフトの長手方向中心軸に一致する第1の中心点を有し、第2の半径が、ねじシャフトの長手方向中心軸からオフセットされた第2の中心点を有する。
【0014】
本明細書の一部分に組み込まれて本明細書の一部分を構成する添付図が本発明の1つ又は複数の実施例を示しており、本記述と共に、本発明の原理を説明する働きをする。
【0015】
当業者を対象とする、最良の形態を含めた本発明の完全であり且つ授権的である開示が、添付図面を参照する形で本明細書に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の実施例によるボールねじ組立体の観点を利用することができるブレーキ組立体を示す概略図である。
図2図1のブレーキ組立体で利用され得るボールねじ組立体を示す斜視部分断面図である。
図3図2に示されるボールねじ組立体のボール・ナットを示す斜視断面図である。
図4図2に示されるボールねじ組立体を示す部分側断面図である。
図5A】ウォブル・ジョイントの細部を示している、図2から4に示されるボールねじ組立体を示す部分断面図である。
図5B】ウォブル・ジョイントの細部を示している、図2から4に示されるボールねじ組立体を示す部分断面図である。
図6図5A及び5Bに示されるボールねじ組立体のウォブル・ジョイントを示す概略図である。
図7A】従来技術のボールねじ組立体内にあるウォブル・ジョイントを示す図である。
図7B】従来技術のボールねじ組立体内にあるウォブル・ジョイントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書及び図面での参照符号の繰り返しの使用は、本開示による本発明の等しい又は類似の特徴又は要素を表すことを意図される。
【0018】
次に、本発明の現在好適である実施例を詳細に参照する。本発明の現在好適である実施例の1つ又は複数の実例が添付図面に示されている。各実例が本発明の説明により非限定的に提示される。実際には、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本発明において変更形態及び変形形態が作られ得ることが当業者には明らかとなる。例えば、1つの実施例の一部として示されて説明される特徴は、さらに別の実施例を生み出すために別の実施例でも使用され得る。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内にあるような変更形態及び変形形態を包含することを意図される。
【0019】
本発明の観点は特には種々のねじ式アクチュエータに適用可能であり、ここでは、軸方向移動可能部分が軸方向固定部分に対して直線的に移動する。例えば、軸方向移動可能部分が、ねじシャフトの回転方向に応じてねじシャフトに沿って前後に移動するナットの形態であってよい。ボールねじ(再循環ボールねじ及び非再循環ボールねじ)、送りねじ(planetary lead screwを含む)、及びローラーねじを含めた種々のねじ式アクチュエータが本発明の教示を利用することができる。
【0020】
これに関して、図1が、本発明の原理が採用され得る例示の用途を示す。示されるように、ブレーキ組立体1が、ボールねじ組立体100の形態であるリニア・アクチュエータを有する。ブレーキ組立体1が、自動車などのホイールと一体に回転するディスク2に摩擦制動力を選択的に加える。ブレーキ装置1が、キャリパー3と、第1のバックアップ・プレート4及び第2のバックアップ・プレート5と、第1のパッド6及び第2のパッド7と、を有する。キャリパー3がナックル継手(図示せず)により運動可能に支持され、第1のバックアップ・プレート4及び第2のバックアップ・プレート5がキャリパー3の上に配置され、それによりそれらの間でブレーキ・ディスク2を挟む。第1のパッド6及び第2のパッド7が第1のバックアップ・プレート4及び第2のバックパップ・プレート5にそれぞれ固定され、ディスク2のそれぞれの側面を押圧することができる。
【0021】
キャリパー3が、第1のボディ8と、第2のボディ9と、カバー10とを有する。第1のボディ8及び第2のボディ9が一体に固定される。カバー10が第2のボディ9に固定される。第1のボディ8がボディ部分11及びアーム部分12を有する。第2のボディ9の一方の端部がボディ部分11に固定される。アーム部分12がボディ部分11に直角に結合される。第2のバックアップ・プレート5がアーム部分12に固定される。第2のボディ9がブレーキ・シリンダ13及び延長プレート14を有する。シリンダ13が第1のボディ8のボディ部分11に固定される。延長プレート14がシリンダ13から延在する。
【0022】
シリンダ13が、軸方向において互いに反対側にある第1の端部41及び第2の端部42を有する。シリンダ13が、第1の端部41のところで開いている円筒形部分15と、円筒形部分15の第2の端部42に結合される端面プレート16とを有する。軸方向STに移動可能であるピストン17がシリンダ13の中に収容される。ピストン17の端部73が、シリンダ13の端部(円筒形部分15の第1の端部41に対応する方)のところにある開口を通ってディスク2の方に突出する。第1のバックアップ・プレート4はピストン17の端部73に固定されている。
【0023】
シール部材18がピストン17の円筒形外側表面67とシリンダ13の内側表面(円筒形部分15の内側表面69に対応する)との間に挿置され、それにより外側表面67と内側表面69との間の隙間を塞ぐ。シール部材18が、シリンダ13の内側表面69内に形成される収容溝の中に収容されるOリングであってよい。ピストン17の外側表面67及びシリンダ13の内側表面69が、外側表面67及び内側表面69の中に形成されるキー溝の中に設けられるキー19を介して一体に結合される。キー19を使用するキー結合により、軸方向STにおけるピストン17の動きが誘導されることが可能となり、シリンダ13を基準としたピストン17の回転は不可能となる。
【0024】
キャリパー3がディスク2に対してパッド6及び7の両方を押圧するように機能し、それにより制動力を発生させる。この目的のため、ブレーキ組立体1が、ピストン17を軸方向に移動させるように機能するリニア・アクチュエータを有する。この事例では、リニア・アクチュエータがねじ式アクチュエータつまり非再循環ボールねじ組立体100の形態である。この目的のため、キャリパー3が電気モータ20及び減速装置21をさらに有する。減速装置21が電気モータ20の回転速度を低下させる。ボールねじ組立体100が、電気モータ20からの回転モーションを、減速装置21を介して、軸方向STにおけるピストン17の線形モーションへと変換する。
【0025】
電気モータ20がモータ・ハウジング23及び出力シャフト24を有する。モータ・ハウジング23が第2のボディ9の延長プレート14に固定される。減速装置21が、駆動ギア25と、遊びギア26と、被動ギア27とを有する。駆動ギア25が電気モータ20の出力シャフト24の一方の端部に取り付けられ、それにより出力シャフト24と共に回転する。遊びギア26が駆動ギア25と噛合する。被動ギア27が遊びギア26と噛合する。遊びギア26が第2のボディ9によって枢動可能に支持され、それにより回転可能となる。カバー10が、減速装置21を覆うように第2のボディ9に固定される。
【0026】
ボールねじ組立体100がボールねじシャフト110及びボール・ナット130を有する。ボールねじシャフト110が入力部材である。ボール・ナット130が、複数のメイン・ボール140を介してボールねじシャフト110上にねじ込まれる出力部材である。示されるように、ボールねじシャフト110がボール・ナット130を通して延在する。ボールねじシャフト110が、軸方向において移動不可であるが回転可能となるように、第2のボディ9によって支持される。ボール・ナット130が、ボールねじシャフト110が回転するときに軸方向において移動可能となるようにピストン17によって支持されるが、ボール・ナット130は非回転可能である。
【0027】
見ることができるように、ねじシャフト10の端部が、ボディ9の端面プレート16内に形成された孔31を通って延在する。軸受32がねじシャフト110とシリンダ13との間の回転を支援する。軸受32はこの概略図では単純な玉軸受として示されるが、種々のニードル軸受及び/又はスラスト軸受が後で示されるようにしばしば使用される。被動ギア27がボールねじシャフト110の端部112に結合され、それによりボールねじシャフト110と共に回転する。示されるように、ボール・ナット130が円筒形外側表面132及び内側表面134を有する。ボール・トラック136が内側表面134内に形成される。ボールねじシャフト110が円筒形外側表面114を有し、円筒形外側表面114の中にボール・トラック116が形成される。ボール・トレインを形成するメイン・ボール140が、ボール・トラック116とボール・トラック136との間に画定されるボール・レース150(図4)の中に配置される。
【0028】
ボール・ナット130の外側表面132がピストン17の円筒形内側表面部分の中に嵌め込まれる。好適には、ピストン17に対してボール・ナット130を回転させることがないように構造部(キー、スプラインなど)が設けられることを当業者であれば認識するであろう。(ピストン17及びナット130はここでは別個の部片として示されるが、ナット130及びピストン17が単一部片として形成される実施例も企図される。)ボール・ナット130が、ディスク2の近くにある第1の端部137と、ボール・ナットの軸方向Xにおいて第1の端部137の反対の第2の端部139とを有する。示される実施例において、ピストン17の内側表面77の中に形成される環状溝の中に嵌め込まれる保持リング(冠状部材)40が、ボール・ナット130の第2の端部139の端面に係合される。しかし、このような保持リング40を利用しない実施例も企図される。
【0029】
電気モータ20の出力シャフト24の回転が減速装置21を介してボールねじシャフト110に伝達されてそれによりボールねじシャフト110を回転させるとき、ボール・ナット130がボール・ナットの軸方向X(軸方向ST)に動く。このとき、ピストン17がキー19によって誘導されて軸方向STにおいてボール・ナット130と共に動く。
【0030】
図2~4が、本発明の種々の実施例で使用され得る例示のボールねじ組立体100の特定の観点を示す。この事例では、ボールねじ組立体100が、参照によりあらゆる目的のためにその全体が本明細書に完全に組み込まれている米国特許第11,536,335号に開示されるものにいくつかの点で類似する非再循環ボールねじとして形成される。示されるように、複数のメイン・ボール140がボール・レース150内で保持され、それによりボール・トレイン160を形成する。ボール・トレイン160が第1の端部162(図4)及び第2の端部164を有する。1つ又は複数のリンクばね197が、ボール・トレイン160の隣接するメイン・ボール140の間に配置され得る。ボールねじ組立体100が、レース150の中のボール・トレイン160の両側に配置される、メイン・コイルばね組立体170及び戻しコイルばね180を有する。
【0031】
図3及び4で最も良好に見られるように、メイン・コイルばね組立体170が第1の端部170a及び第2の端部170bを有する。第1の端部170aがボール・トレイン160の第1の端部162のところでメイン・ボール140aに係合される。メインばね組立体170の第2の端部170bが、ボール・ナット130内に形成される凹部193内で受けられるストッパ・ピン190に係合され、その結果、ストッパ・ピン190がボール・レース150の中まで延在する。戻しコイルばね180が第1の端部180a及び第2の端部180bを有する。第1の端部180aが、ボール・トレイン160の第2の端部164のところでメイン・ボール140bに係合される。戻しばね180の第2の端部180bが、ボール・ナット130内に形成される凹部(図示せず)内で受けられるストッパ・ピン195に係合され、その結果、ストッパ・ピン195がボール・レース150の中まで延在する。代替的実施例では、ボールねじ装置100が、ストッパ・ピンではなく、ボール・ナット130の窪み部分の中で保持される一対のストッパ・ボール(図示せず)を有することができる、ことに留意されたい。通常、ストッパ・ボールはメイン・ボール140の直径より大きい直径を有し、したがってボール・レースの中に全体が嵌め込まれるわけではない。しかし、対応する凹部及びボール・レース150の構成に応じて、ストッパ・ボールの直径がメイン・ボール140の直径と等しくもよいか又はメイン・ボール140の直径より小さくてもよい。
【0032】
継続して図3及び4を参照すると、メインばね組立体170が、多様なばね定数を有する複数のコイルばね部分によって形成されることができ、それによりメインばね組立体170の長さにわたってのばね圧縮を安定させるのを支援する。示されるように、この実施例におけるメインばね組立体170が、第1のばね定数(k)を有する第1のばね部分172と、第2のばね定数(k)を有する第2のばね部分174と、第3のばね定数(k)を有する第3のばね部分178とを有する。第1のばね部分172がボール・トレイン160の第1の端部162に隣接して配置され、第1のリンク・ボール191aにより第2のばね部分174から分離される。第3のばね部分178がストッパ・ピン190に隣接して配置され、第2のリンク・ボール191bにより第2のばね部分から分離される。リンク・ボール191a及び191bが、変形を低減しながら、レース内でのばね部分172、174、及び178のモーションを支援する。
【0033】
図5A及び5Bが、本発明の観点によるウォブル・ジョイント200の好適な実施例を示す。見ることができるように、ウォブル・ジョイント200が、ボールねじシャフト110と、ボールねじ組立体100の軸方向荷重を支持するスラスト・フランジ220との間に形成される。好適には、ウォブル・ジョイント200が、ボールねじシャフト110の環状接触面202とスラスト・フランジ220の環状接触面222との間にある適合する球形ジョイントである。好適には、スラスト・フランジ220が、スラスト・フランジ220及びシャフト110が一体に回転するように、シャフト110にスプラインとして付けられるが、シャフト110に対して揺動することができる。複数のローラー232を有するスラスト軸受230が、スラスト・フランジ220と軸受ディスク218などの固定された表面との間の回転を支援する。軸受ディスク218が端面プレート16の一体部分であってよいか又は端面プレート16に固定される別個の部片であってもよい。
【0034】
ここでさらに図6を参照すると、接触面202及び222の両方が、好適には、球形プロフィールを有する(つまり、それらの表面形状が、より大きい仮想球の一部分に適合する)。これに関して、接触面202及び222がそれぞれの半径R1及びR2を有することができる。しばしば、R2がR1よりわずかに大きいことが望ましい。加えて、半径R1が好適にはシャフト110の長手方向中心軸204の中央に配置される。示されるように、対照的に、スラスト・フランジ220の環状接触面222の曲率半径の中心点240が、好適には、シャフトの長手方向中心軸204からオフセット距離Dでオフセットされる。環状接触面222のオフセット曲率半径(offset radius of curvature)はしばしばゴシック・アーチと称される。この接触部のジオメトリにより、シャフト110と、フランジ220と、スラスト軸受230と、システムと、の間のずれを制御するのを可能にするための移動を容易にすることが可能となる。例えば、スラスト・フランジ220が、スラスト軸受ローラー232に対してより均一に荷重を加えるように支持壁と協働して変形することができる。従来技術と比較して接触のストレスが低減されることにより大きい荷重下でより容易に移動することが可能となる。
【0035】
本発明の1つ又は複数の好適な実施例を上で説明したが、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本発明において多様な変更形態及び変形形態が作られ得ることが当業者には認識されよう。本発明は添付の特許請求の範囲及び精神並びにそれらの均等物の範囲内にあるような変更形態及び変形形態を包含することを意図される。
【符号の説明】
【0036】
1 ブレーキ装置
2 ディスク
3 キャリパー
4 第1のバックアップ・プレート
5 第2のバックアップ・プレート
6 第1のパッド
7 第2のパッド
8 第1のボディ
9 第2のボディ
10 カバー
11 ボディ部分
12 アーム部分
13 ブレーキ・シリンダ
14 延長プレート
15 円筒形部分
16 端面プレート
17 ピストン
18 シール部材
19 キー
20 電気モータ
21 減速装置
23 モータ・ハウジング
24 出力シャフト
25 駆動ギア
26 遊びギア
27 被動ギア
32 転がり軸受
41 円筒形部分の第1の端部
42 円筒形部分の第2の端部
67 ピストンの円筒形外側表面
69 円筒形部分の内側表面
73 ピストンの端部
77 ピストンの内側表面
100 ボールねじ組立体
100a ボールねじ組立体
110 ボールねじシャフト
112 ボールねじシャフトの端部
130 ボール・ナット
132 ボール・ナットの円筒形外側表面
134 ボール・トラックの内側表面
136 ボール・トラック
137 ボール・ナットの第1の端部
139 ボール・ナットの第2の端部
140 メイン・ボール
140a メイン・ボール
140b メイン・ボール
150 ボール・レース
160 ボール・トレイン
162 ボール・トレインの第1の端部
164 ボール・トレインの第2の端部
170 コイルばね組立体
170a コイルばね組立体の第1の端部
170b コイルばね組立体の第2の端部
172 第1のばね部分
174 第2のばね部分
178 第3のばね部分
180 戻しコイルばね
180a 戻しコイルばねの第1の端部
180b 戻しコイルばねの第2の端部
190 ストッパ・ピン
191a 第1のリンク・ボール
191b 第2のリンク・ボール
195 ストッパ・ピン
193 凹部
197 リンクばね
第1のばね定数
第2のばね定数
第3のばね定数
ST 軸方向
X 軸方向
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
【外国語明細書】