(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028233
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20240222BHJP
【FI】
G06Q10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023167807
(22)【出願日】2023-09-28
(62)【分割の表示】P 2022130203の分割
【原出願日】2022-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】516314228
【氏名又は名称】丸市倉庫株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】堀内 信
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】物流側のみならず荷主側に対してもCO2排出量の削減量の見える化を図ることで、CO2排出量を効率的に削減する運送計画の立案を実現すること。
【解決手段】荷主側情報取得部101は、荷主側情報を取得する。物流側情報取得部102は、物流側情報を取得する。CO2排出量予測部103は、荷主側情報及び物流側情報の少なくとも一部に基づいて、運送元から運送先までの移動ルートを含む所定の前提条件を設定して、当該前提条件で前記移動体が移動した場合における、重量又は容積についての単位量当たりの二酸化炭素排出量を予測する。立案部104は、前提条件を変化した場合に予測される夫々の二酸化炭素排出量に基づいて、運送計画を1以上立案する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷主の商品を運送元から運送先まで移動体で運送させるための計画を運送計画として立案する情報処理装置において、
前記荷主側の情報であって、前記商品の重量又は容積、並びに前記運送元及び前記運送先を少なくとも含む情報を、荷主側情報として取得する荷主側情報取得手段と、
前記移動体の運送を管理する物流側の情報であって、前記移動体の特徴を示す移動体特徴量を少なくとも含む情報を、物流側情報として取得する物流側情報取得手段と、
前記荷主側情報及び前記物流側情報の少なくとも一部に基づいて、前記運送元から前記運送先までの移動ルートを含む所定の前提条件を設定して、当該前提条件で前記移動体が移動した場合における、重量又は容積についての単位量当たりの二酸化炭素排出量を予測する二酸化炭素排出量予測手段と、
前記前提条件を変化した場合に予測される夫々の前記二酸化炭素排出量に基づいて、前記運送計画を1以上立案する立案手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
立案された1以上の前記運送計画、及び夫々の前記単位量当たりの二酸化炭素排出量の予測値を、前記荷主側及び前記物流側の夫々の端末に提示する提示手段
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記二酸化炭素排出量予測手段は、
前記前提条件で前記移動体が移動した場合における移動距離及び燃費に基づいて、前記移動体当たりの二酸化炭素排出量を演算し、
当該移動体当たりの二酸化炭素排出量、及び、前記商品の重量又は容積に基づいて、前記単位量当たりの二酸化炭素排出量を演算する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記運送元及び前記運送先を拠点として、拠点が3拠点以上存在する場合、
前記二酸化炭素排出量予測手段は、拠点間の2以上の移動ルート毎に前記前提条件を設定して、
前記2以上の移動ルート毎に、前記単位量当たりの二酸化炭素排出量を夫々予測する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記二酸化炭素排出量予測手段は、
実際の前記前提条件で前記移動体が移動した場合における実際の二酸化炭素排出量に基づいて機械学習がなされた結果得られたモデルであって、前記荷主側情報及び前記物流側情報の少なくとも一部を入力すると、前記単位量当たりの二酸化炭素排出量を出力するモデルを取得して、
当該モデルを用いて、前記単位量当たりの二酸化炭素排出量を演算する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
荷主の商品を運送元から運送先まで移動体で運送させるための計画を運送計画として立案する情報処理装置が実行する情報処理方法において、
前記荷主側の情報であって、前記商品の重量又は容積、並びに前記運送元及び前記運送先を少なくとも含む情報を、荷主側情報として取得する荷主側情報取得ステップと、
前記移動体の運送を管理する物流側の情報であって、前記移動体の特徴を示す移動体特徴量を少なくとも含む情報を、物流側情報として取得する物流側情報取得ステップと、
前記荷主側情報及び前記物流側情報の少なくとも一部に基づいて、前記運送元から前記運送先までの移動ルートを含む所定の前提条件を設定して、当該前提条件で前記移動体が移動した場合における、重量又は容積についての単位量当たりの二酸化炭素排出量を予測する二酸化炭素排出量予測ステップと、
前記前提条件を変化した場合に予測される夫々の前記二酸化炭素排出量に基づいて、前記運送計画を1以上立案する立案ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項7】
荷主の商品を運送元から運送先まで移動体で運送させるための計画を運送計画として立案するコンピュータに、
前記荷主側の情報であって、前記商品の重量又は容積、並びに前記運送元及び前記運送先を少なくとも含む情報を、荷主側情報として取得する荷主側情報取得ステップと、
前記移動体の運送を管理する物流側の情報であって、前記移動体の特徴を示す移動体特徴量を少なくとも含む情報を、物流側情報として取得する物流側情報取得ステップと、
前記荷主側情報及び前記物流側情報の少なくとも一部に基づいて、前記運送元から前記運送先までの移動ルートを含む所定の前提条件を設定して、当該前提条件で前記移動体が移動した場合における、重量又は容積についての単位量当たりの二酸化炭素排出量を予測する二酸化炭素排出量予測ステップと、
前記前提条件を変化した場合に予測される夫々の前記二酸化炭素排出量に基づいて、前記運送計画を1以上立案する立案ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、物流拠点となる倉庫で保有される在庫を管理する技術は存在する。例えば、特許文献1には、販売店が受注した顧客からの製品の注文に対して在庫製品を引当て、販売店に注文に対する引当結果及び納期を送信する物流管理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、運送側の物流活動(配送、保管、作業等)で発生するCO2の削減が要求されているが、特許文献1に記載された技術を含め従来からある物流管理システムでは、CO2排出量の削減には限界がある。
これは、運送(例えば、物流業者)側が、荷主側から一方的に要求される情報に基づいて運送計画が立案されるため、このような運送計画は、CO2排出量の削減をするための効率的なものとなっていなかったためである。
即ち、物流側のみならず荷主側に対してもCO2排出量の削減量の見える化を図ることで、CO2排出量を効率的に削減する運送計画の立案が実現されるとこと、特許文献1に記載された技術を含め従来からある物流管理システムでは荷主側に対しては何ら情報が開示されていなかった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、物流側のみならず荷主側に対してもCO2排出量の削減量の見える化を図ることで、CO2排出量を効率的に削減する運送計画の立案を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様である情報処理装置は、
荷主の商品を運送元から運送先まで移動体で運送させるための計画を運送計画として立案する情報処理装置において、
前記荷主側の情報であって、前記商品の重量又は容積、並びに前記運送元及び前記運送先を少なくとも含む情報を、荷主側情報として取得する荷主側情報取得手段と、
前記移動体の運送を管理する物流側の情報であって、前記移動体の特徴を示す移動体特徴量を少なくとも含む情報を、物流側情報として取得する物流側情報取得手段と、
前記荷主側情報及び前記物流側情報の少なくとも一部に基づいて、前記運送元から前記運送先までの移動ルートを含む所定の前提条件を設定して、当該前提条件で前記移動体が移動した場合における、重量又は容積についての単位量当たりの二酸化炭素排出量を予測する二酸化炭素排出量予測手段と、
前記前提条件を変化した場合に予測される夫々の前記二酸化炭素排出量に基づいて、前記運送計画を1以上立案する立案手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、物流側のみならず荷主側に対してもCO2排出量の削減量の見える化を図ることで、CO2排出量を効率的に削減する運送計画の立案を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバが実行する各種処理により実現できる本サービスの概要を示すイメージ図である。
【
図2】
図1の本サービスに適用されるCO2排出量の算出手法の一例を示す図である。
【
図3】荷物量当たりの配送単価推移の一例を示している。
【
図4】
図1のサーバを含む、情報処理システムの構成を示す図である。
【
図5】
図2のサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】
図3のサーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図7】
図2の例のCO2排出量の予測手法が採用された場合における、所定ルートのトラック1台当たりのCO2排出量の一例を示す図である。
【
図8】
図7のトラック1台当たりのCO2排出量の予測結果が採用された場合における、荷物量(1パレット及び1ケース)当たりのCO2排出量の予測結果の一例である。
【
図9】本サービスにより立案される運送計画の例であって、
図7及び
図8の例とは異なる例における、前提条件を示す図である。
【
図10】本サービスにより立案される運送計画の例であって、
図7及び
図8の例とは異なる例における、荷物量(1パレット及び1ケース)当たりのCO2排出量の予測結果の一例である。
【
図11】本サービスにより立案される運送計画の例であって、
図9及び
図10の例とは異なる例における、マッチングサイトにより見つけられた運送会社を活用した前提条件を示す図である。
【
図12】本サービスにより立案される運送計画の例であって、
図9及び
図10の例とは異なる例における、荷物量(1パレット及び1ケース)当たりのCO2排出量の予測結果の一例である。
【
図13】CO2排出量を予測するために必要な燃費が変動する要素の一例を示す図である。
【
図14】AIモデルとしてのCO2排出量予測モデルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0010】
図1は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバが実行する各種処理により実現できる本サービスの概要を示すイメージ図である。
【0011】
図1に示すように、本サービスでは、消費者Cは、企業、小売卸業者、個人(エンドユーザ)等からなり、荷主Sに対して商品の注文を行う。
本サービスでは、消費者Cから荷主Sに対する注文があると、その内容が「注文情報」として管理される。
【0012】
荷主Sは、製造業者、個人、企業等からなり、注文情報に基づいて、供給者Vに対して、商品の供給を発注する。本サービスでは、荷主Sから供給者Vに対する発注があると、その内容が「発注情報」として管理される。
【0013】
供給者Vは、製造業者やメーカ等からなり、発注情報に基づいて、物流業者Lに商品を供給する。物流業者Lからすると、供給者Vから商品が入荷されることになる。また、荷主Sの観点からすると、発注情報に基づいて、物量業者Lに対して商品の調達を依頼することと等価である。そこで、本サービスでは、荷主Sから物流業者Lに対する商品の調達の依頼があると(供給者Vから物流業者Lに対して商品の入荷があると)、その内容が「調達情報(入荷情報)」として管理される。
【0014】
また、本サービスでは、物流業者Lが業務上保有する各種情報が管理される。具体的には、商品の運送に用いられる貨物運搬車両(以下、「トラック」と呼ぶ)に関する情報(以下、「車両情報」と呼ぶ)として、貨物運搬車両毎の車両番号、積載量、車格、運転手に関する情報(例えば名前、年齢、労働時間、残業時間等)等が管理される。
【0015】
本サービスでは、物流業者Lは、注文情報に基づいて、供給者Vから入荷(調達)した商品を出荷して、消費者Cに配送する。ここで、荷主Sの観点からすると、注文情報に基づいて、商品を消費者Cに販売することと等価である。そこで、本サービスでは、荷主Sから物流業者Lに対する商品の販売の依頼があると(物流業者Lが商品を出荷すると)、その内容が「販売情報(出荷情報)」として管理される。
【0016】
本サービスでは、上述した注文情報、発注情報、調達情報(入荷情報)、車両情報、販売情報(出荷情報)が一括で管理され、これらの情報が考慮された柔軟な運送計画が立案される。
即ち、本サービスによれば、物流業者Lが従来管理していた情報(調達情報(入荷情報)、車両情報、及び販売情報(出荷情報))と、荷主Sが従来管理していた情報(注文情報及び発注情報)とに基づく実効的な運送計画の立案が可能となる。つまり、物流業者側の情報と、荷主側の情報とに基づく実効的な運送計画の立案が可能となる。その結果、無駄のない効率的な運送を実現させることができる。
【0017】
ここで、近年、物流業者L側の物流活動(配送、保管、作業等)で発生するCO2の削減が要求されている。
そこで、物流業者L自体も、CO2の削減を行うべく、各種各様な活動を行ってきてはいる。
しかしながら、上述したように、物流活動の基礎となる商品の調達(入荷)は、荷主Sから供給者Vに対する発注に応じて決定されるものである。また、物流活動の基礎となる商品の販売(出荷)は、消費者Cから荷主Sに対する注文に応じて決定されるものである。即ち、消費者Cと荷主Sとの間の意思決定である注文情報、及び荷主Sと供給者Vとの間の意思決定である発注情報とにより、物流業者L側の物流活動が決定される。
従って、物流業者Lだけでは、CO2の削減にも限界がある。
そこで、本サービスでは、消費者Cと荷主Sとの間の意思決定である注文情報、及び荷主Sと供給者Vとの間の意思決定である発注情報の生成段階から、CO2の削減の活動を行えるようになされている。即ち、本サービスでは、商品の調達(入荷)及び販売(出荷)における運送計画として、CO2排出量が考慮された運送計画が立案され、そのCO2排出量が荷主S及び物流業者L側に対して提示されて共有される。
換言すると、荷主Sや運送業者L等のうち少なくとも一部は、提示されたCO2排出量が削減目標に到達するか否かを視認しながら、自身にとって最適な運送計画を立案することが可能になる。残りの一部は、立案された運送計画を、そのCO2排出量と共に視認することが可能になる。
【0018】
以下、本サービスに適用される、CO2排出量を考慮した運送計画の概要について説明する。
【0019】
図2は、
図1の本サービスに適用されるCO2排出量の算出手法の一例を示す図である。
図2に示すように、トラック1台当たりのCO2排出量(tCO2)は、次の式に示すようになる。
CO2排出量=燃料使用量(kl)×2.58(tCO2/Kl)
【0020】
ここで、2.58(tCO2/Kl)とは、軽油の1klあたりのCO2排出係数であり、次の式により算出される。
2.58(tCO2/kl)=単位発熱量(GJ/Kl)×排出係数(tC/GJ)×22/12(tCO2/tC)
単位発熱量は、経済産業省告示第66号(平成18年3月29日)によれば、37.7である。
排出係数は、環境省地球環境局、事業者からの温室効果ガス排出量算定方法ガイドライン(試案ver.1.6) 燃料法によるCO2排出量算定式、経済産業省・(社)日ロジスティクスシステム協会「2003年度環境調和型ロジスティクス推進マニュアル」によれば、0.0187である。
【0021】
一方、燃料使用量(kl)は、次の式により算出される。
燃料使用量(kl)=走行距離(km)÷燃費(km/kl)
ここで、燃費は、一般道や高速道路等のルートによっては異なるが、トラックの積載量(重量や容積)、即ち荷物量(ケースやパレットの量)によってはさほど変化がないことが知られている。
【0022】
即ち、同一ルートで移動するならば、最大積載量のトラックも、空のトラックも燃費は変わらず、その結果、トラック1台当たりのCO2排出量も変わらない。即ち、トラック1台当たりのCO2排出量は、トラックの荷物量に依存しない。
換言すると、トラック1台当たりではなく、1台のトラックに運搬される荷物量当たり(ケースやパレットを1単位とした場合の1単位当たり)のCO2排出量という点では、積載効率が悪い程多くなっていくことになる。例えばトラック1台当たりのCO2排出量が100である場合において、荷物量が100単位ならば、荷物量1単位当たりのCO2排出量は1である。これに対して、荷物量が10単位ならば、荷物量1単位当たりのCO2排出量は10と、10倍も多くなってしまう。
そこで、本サービスでは、1台のトラックに運搬される荷物量当たり(ケースやパレットを1単位とした場合の1単位当たり)のCO2排出量で、運送計画の立案がなされる。
即ち、本サービスでは、1台のトラックに運搬される荷物量当たり(ケースやパレットを1単位とした場合の1単位当たり)のCO2排出量を下げるべく、運送効率を上げるような運送計画の立案がなされるのである。
【0023】
ここで、
図3を参照して、運送効率と物流コストという観点で考えてみる。
図3は、荷物量当たりの配送単価推移の一例を示している。
図3において、基本情報の運賃は、4トン車や10トン車の貸切便の運賃(物流コスト)であり、いわゆるトン×キロが採用されている。
トンとは、トラックの車格(4トン車又は10トン車)で決定される単価である。実際に運べる物品(商品)は、トラック毎の最大積載量以内が原則であり、軽い物品の場合に限りトラックの箱の容積以内である。即ち、車格の最大積載量以内であれば、何トンの物品(商品)を積んでも運賃は一緒である。
キロとは、トラックの移動距離である。ただし、厳密な走行距離(山梨県甲府市から東京都三鷹市)ではなく、都道府県単位でおおよその距離(山梨県から東京都で100km)で一律運賃が採用される。
例えば、10t車で山梨から東京まで荷物が運送される際には、その荷物量によらず、一定額、例えば50,000円となる。
例えば10トン車では、最大16パレットの1920ケースまでの商品を運送可能であり、この場合、運送効率(
図3中積載率)は100%である。運送効率100%のケース単価は26円となる。一方、4パレットの480ケースであれば4トン車で運送可能であるので、5パレットの600ケースが最小の運送効率となり、31%になる。運送効率31%のケース単価は83円と、運送効率100%の場合と比較して3倍以上も高価になる。
【0024】
このように、物流コストという点でも、1台のトラックに運搬される荷物量当たり(ケースやパレットを1単位とした場合の1単位当たり)の単価を指標とする好適であり、運送効率が高くなる程、その単価も低くなる。
以上まとめると、本サービスは、運送効率という観点で運送計画を立案できるので、CO2排出量削減と物流コスト削減を共に実現することが可能になる。
【0025】
次に、本サービスを提供するための各種処理を実行するサーバ1を含む、情報処理システムの構成について説明する。
図4は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバを含む、情報処理システムの構成を示す図である。
【0026】
図4に示す情報処理システムは、サーバ1と、物流業者側端末2-1乃至2-n(nは1以上の整数値)と、荷主側端末3-1乃至3-m(mは1以上の整数値)が、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されることで構成される。
【0027】
本実施形態における物流者業者側端末2-1乃至2-nの夫々は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等で構成される。物流者業者側端末2-1乃至2-nの夫々は、nの物流業者Lの夫々の担当者によって操作される。
なお、以下、物流業者側端末2-1乃至2-nの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「物流業者側端末2」と呼ぶ。
【0028】
本実施形態における荷主側端末3-1乃至3-mの夫々は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等で構成される。荷主側端末3-1乃至3-mの夫々は、mの荷主Sの夫々の担当者によって操作される。
なお、以下、荷主側端末3-1乃至3-mの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「荷主側端末3」と呼ぶ。
【0029】
次に、本サービスを提供するための各種処理を実行するサーバ1のハードウェア構成について説明する。
図5は、
図4のサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0030】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0031】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0032】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0033】
入力部16は、各種ハードウェア鉛等で構成され、各種情報を入力する。
出力部17は各種液晶ディスプレイ等で構成され、各種情報を出力する。
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(例えば
図4の物流業者側端末2-1乃至2-nや荷主側端末3-1乃至3-m)との間で行う通信を制御する。
【0034】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア30が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア30から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。またリムーバブルメディア30は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0035】
なお、図示はしないが、物流業者側端末2や荷主側端末3も
図5に示すハードウェア構成を有している。
【0036】
次に、このようなハードウェア構成を持つサーバ1の機能について、
図6を参照して説明する。
図6は、
図5のサーバ1の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0037】
図6に示すように、サーバ1のCPU11においては、荷主側情報取得部101と、物流側情報取得部102と、CO2排出量予測部103と、立案部104と、提示部105とが機能する。
記憶部18の一領域には、荷主側DB401と、物流側DB402と、CO2排出量予測モデル403とが設けられている。
【0038】
荷主側情報取得部101は、注文情報と発注情報とを含む荷主側情報を取得する。
荷主側情報取得部101により取得された荷主側情報は、荷主側DB401に記憶されて管理される。
【0039】
物流側情報取得部102は、物流業者Lが管理している情報のうち、車両情報等の運送計画の立案に必要となる情報(例えば、車両情報、ルートを決定するための各拠点の情報等)を、物流業者側情報として取得する。
物流側情報取得部102により取得された物流側情報は、物流側DB402に記憶されて管理される。
【0040】
ここで、CO2排出量予測モデル403は、1以上の入力パラメータの各値を入力すると、荷物量(パレット/ケース)単位のCO2排出量を予測して出力するモデルである。
CO2排出量予測モデル403は、CO2排出量の予測手法に応じて個別に設けられる。例えば上述の
図2に示す予測手法に対応するモデルであって、高速道路と一般道の2種類で燃費が異なることが前提とされたモデルである場合には、車格(4トン車であるのか10トン車であるのか)、ルート情報(高速道路と一般道路に分けたルートであって、夫々の距離が特定可能なルートの情報)、及び荷物重量が入力パラメータとして夫々の値が入力される。
なお、CO2排出量予測モデル403の具体例については、
図7以降の図面を参照して後述する。
【0041】
CO2排出量予測部103は、荷主側情報及び物流側情報から各入力パラメータの夫々の値を抽出し、CO2排出量予測モデル403に代入し、その出力を、荷物量単位のCO2排出量の予測結果として出力する。
【0042】
立案部104は、荷主側情報、物流側情報、及び荷物量単位のCO2排出量の予測結果に基づいて、CO2排出量が所定量以下となるように、入荷又は出荷についての運送計画を立案する。
例えば、上述の
図2の例のCO2排出量の予測手法が適用される場合においては、立案部104は、積載効率を良くすることでCO2排出量が減少するように(それと共に荷物単価の物流コストが低減するように)運送計画を立案する。
運送計画の立案の具体例については、
図7乃至
図12を参照して後述する。
【0043】
提示部104は、立案された運送計画を、物流業者側端末2を通じて物流業者Lに提示すると共に、荷主側端末3を通じて荷主Sに提示する。
ここで、運送計画には、CO2排出量(予測結果)も提示される。このようにして、物流業者Lのみならず荷主Sにも、CO2排出量の情報が提示されて共有化されるようになる。その結果、物流業者Lのみならず荷主Sも併せて、物流活動で発生するCO2の削減活動に参加できるようになる。
【0044】
以上まとめると、サーバ1のCPU101においては、荷主Sの商品を運送元から運送先までトラックで運送させるための計画を運送計画として立案すべく、荷主側情報取得部101と、物流側情報取得部102と、CO2排出量予測部103と、立案部104と、提示部105とが機能する。
荷主側情報取得部101は、荷主S側の情報であって、商品の重量又は容積、並びに運送元及び運送先を少なくとも含む情報を、荷主側情報として取得する。
物流側情報取得部102は、トラックの運送を管理する物流側の情報であって、車格等のトラックの特徴を示すトラック特徴量を少なくとも含む情報を、物流側情報として取得する。
CO2排出量予測部103は、荷主側情報及び物流側情報の少なくとも一部に基づいて、運送元から運送先までの移動ルートを含む所定の前提条件を設定して、当該前提条件で移動体が移動した場合における、重量又は容積についての単位量(ケースやパレット)当たりのCO2排出量を予測する。
立案部104は、前提条件を変化した場合に予測される夫々のCO2排出量に基づいて、運送計画を1以上立案する。
提示部105は、立案された1以上の運送計画、及び夫々の単位量当たりのCO2排出量の予測値を、物流業者側端末2及び荷主側端末3の夫々に提示する。
【0045】
次に、
図7乃至
図12を参照して、本サービスにより立案される運送計画の具体例について説明する。
【0046】
図7は、
図2の例のCO2排出量の予測手法が採用された場合における、所定ルートのトラック1台当たりのCO2排出量の一例を示す図である。
図7の例では、10トン車(最大積載量12,000kgのトラック)が山梨県北杜市から大阪府吹田市まで移動する。具体的には、山梨県吹田市から小淵沢ICまでの12kmの一般道、小淵沢ICから吹田ICまでの373kmの高速道路、及び、吹田ICから大阪府吹田市までの15kmの一般道からなるルートが
図7の例では採用されている。
このような移動ルート、即ち、
図7の表における一般道及び高速道路の夫々についての走行距離は、荷主側情報の注文情報若しくは発注情報、並びに、物流側情報のうち拠点情報等から取得可能である。
ここで、燃費は、
図7の下方の表の固定値が採用されており、ここでは荷物(商品)を積むことが前提とされるので、実車燃費が採用される。
また、今回の移動ルートのトラックが、10トン車であることは、物流側情報のうち車両情報から取得可能である。
即ち、CO2排出量予測部103は、荷主側情報及び物流側情報から、10トン車であること、並びに、一般道路及び高速道路の夫々の走行距離を入力パラメータの夫々の値として抽出し、CO2排出量予測モデル403に代入する。すると、CO2排出量予測モデル403は、
図7の表の結果を出力する。即ち、CO2排出量予測部103は、トラック(10トン車)1台当たりのCO2排出量の予測結果として、
図7の表を出力する。
【0047】
図8は、
図7のトラック1台当たりのCO2排出量の予測結果が採用された場合における、荷物量(1パレット及び1ケース)当たりのCO2排出量の予測結果の一例である。
【0048】
図8において、1)基本情報は、
図7の例の前提条件に基づくものであり、運賃は、
図3を参照して上述した10トン車の貸切運賃を示している。
2)基本情報をもとに配送した場合のCO2の排出量についての表は、
図7の予測結果の表と同一である。
【0049】
3)物品の物流量による1パレット、1ケース当たりのCO2排出量の違いについてのうち、左側の表は、荷物量(1パレット及び1ケース)当たりの物流コスト(単価)を示しており、右側の表は、荷物量(1パレット及び1ケース)当たりのCO2の排出量を示している。
ここで、10トン車の最大積載量は12,000kgであるが、実際に積み込める物品(商品)は、パレット単位で積み込むため、16パレットの11,920kgである。
【0050】
CO2排出量予測部103は、
図7の表(
図8の2)の表)の結果を得た後に、さらに、荷主側情報等から荷物量を入力パラメータの値として抽出し、CO2排出量予測モデル403に代入する。すると、CO2排出量予測モデル403は、
図8の3)の右方の表に従って、1パレット及び1ケース当たりの夫々のCO2排出量を予測結果として出力する。例えば、16パレットであれば、1パレット当たりのCO2排出量は22.23t-CO2であり、1ケース当たりのCO2排出量は0.19t-CO2である。
即ち、CO2排出量予測部103は、荷物量(1パレット及び1ケース)当たりのCO2排出量の予測結果を出力する。
【0051】
ここで、入力パラメータの値としての荷物量は、荷主側情報等から抽出されると記載したのは、原則、注文情報や発注情報から得られるものであるが、物流側情報も使用される場合があるからである。即ち、他の荷物と混載して運搬したり、逆に2以上のトラックに分配させて運搬したり、運送業者Lの拠点に在庫としてある商品も荷物として載せたり等自由な運送計画が立てる際には物流側情報も必要となるからである。
具体的には例えば、荷主側情報から得られる荷物量が5パレットであるとする。この場合、1パレット当たりのCO2排出量は71.12t-CO2であり、1ケース当たりのCO2排出量は0.59t-CO2である。即ち、積載効率が悪いため、CO2排出量が多くなってしまっている。
このような場合、山梨から大阪まで移動するトラックであって、別の物品を11パレット運搬する予定のトラックがあることを物流情報から取得できたならば、当該別の物品の11パレットと、荷主側情報から得られた5パレットを併せた16パレットを入力パラメータの値とすれば、1パレット当たりのCO2排出量は22.23t-CO2であり、1ケース当たりのCO2排出量は0.19t-CO2であると予測される。即ち、5パレットで運ぶよりも積載効率が良くなり、CO2排出量がより少なくて済む(削減量が多くなる)。
このような各種条件でCO2排出量予測部103に予測させるために、荷主側情報のみならず、物流側情報も含めて総合的に参照されるのである。
【0052】
即ち、CO2排出量予測部103は、荷主側情報及び物流側情報を用いて、各種各様な条件(ルートを変えたり、トラックを変更したり、荷物を混載させたり分配させたりといった条件)で、荷物量単位のCO2排出量の予測結果を算出する。
立案部104は、このような各種各様な条件についての、荷物量単位のCO2排出量の夫々の予測結果に基づいて、入荷又は出荷についての最適な運送計画を立案することができる。
【0053】
図9は、本サービスにより立案される運送計画の例であって、
図7及び
図8の例とは異なる例における、前提条件を示す図である。
なお、本例でも、
図2の例のCO2排出量の予測手法が採用されている。
A会社(荷主Sの一例)は、B顧客(消費者Cの一例)から、納期:2022年2月10日までにD物品(720ケース)を大阪のY納品先にお届けするという内容の注文を受けた。即ち、荷主側情報の注文情報は、このような内容であったものとする。
ここで、D物品が出荷(販売)される拠点は、東京都江東区であることが、物流側情報の拠点情報に示されていたとする。
CO2排出量予測部103は、このような
図9に示す情報に基づいて、
図10に示すように、1ケース当たりのCO2排出量を予測した。
【0054】
図10は、本サービスにより立案される運送計画の例であって、
図7及び
図8の例とは異なる例における、荷物量(1パレット及び1ケース)当たりのCO2排出量の予測結果の一例である。
【0055】
図10において、1)基本情報は、
図9の例の前提条件に基づくものであり、運賃は、
図3を参照して上述した10トン車の貸切運賃を示している。
2)基本情報をもとに配送した場合のCO2の排出量についての表は、トラック(10トン車)1台当たりのCO2排出量の予測結果を示している。
即ち、CO2排出量予測部103は、
図9に示すようにD物品の重量は4,470kgであるので10トン車で運ぶ必要があると認識する。そして、CO2排出量予測部103は、
図9の情報から、10トン車であること、並びに、一般道路及び高速道路の夫々の走行距離を入力パラメータの夫々の値として抽出し、CO2排出量予測モデル403に代入する。すると、CO2排出量予測モデル403は、
図10の2)の表の結果を出力する。即ち、CO2排出量予測部103は、トラック(10トン車)1台当たりのCO2排出量の予測結果として、
図10の2)の表を出力する。
【0056】
図10において、3)物品の物流量による1パレット、1ケース当たりのCO2排出量の違いについてのうち、左側の表は、荷物量(1パレット及び1ケース)当たりの物流コスト(単価)を示しており、右側の表は、荷物量(1パレット及び1ケース)当たりのCO2の排出量を示している。
ここで、10トン車の最大積載量は12,000kgであるが、実際に積み込める物品(商品)は、パレット単位で積み込むため、16パレットの11,920kgである。
【0057】
CO2排出量予測部103は、
図10の2)の表の結果を得た後に、さらに、荷主側情報等から荷物量を入力パラメータの値として抽出し、CO2排出量予測モデル403に代入する。すると、CO2排出量予測モデル403は、
図8の3)の右方の表に従って、1パレット及び1ケース当たりの夫々のCO2排出量を予測結果として出力する。
即ち、CO2排出量予測部103は、荷物量(1パレット及び1ケース)当たりのCO2排出量の予測結果を出力する。
具体的には例えば
図9の例ではD物品の重量は4,470kgであるので、6パレット、即ち720ケースになるので、1ケース当たりのCO2排出量は、
図10の3)の右方の表に従って、0.61tCO2である。
そこで、立案部104は、立案した運送計画として、
図9に示す内容及び、CO2排出量の予測結果が0.61tCO2である旨を荷主側端末3を介してA会社(荷主Sの一例)に提示した。
【0058】
A会社は、年次方針で、1ケース当たりのCO2排出量について東京から大阪間は0.33tCO2以下にすることを目標としていたので、提示された運送計画では、CO2排出量の予測結果が0.61tCO2と目標を達成できず、かなり環境負荷のかかる配送計画であることがわかった。
そこで、A会社は、物流のリードタイム含めて3日もあるので、いつもお願いしているT運送会社でなく、よりCO2排出量を抑えられる運送会社を検索すべく、別の運送会社を活用した運送計画の立案を立案部104に依頼した。
【0059】
その結果として、立案部104は、新たに立案した運送計画として、
図11に示す内容(黒丸2乃至黒丸4のルート)、及び、
図12に示すCO2排出量の予測結果(黒丸2乃至黒丸4のルートの予測結果)を、荷主側端末3を介してA会社(荷主Sの一例)に提示した。
【0060】
図11は、本サービスにより立案される運送計画の例であって、
図9及び
図10の例とは異なる例における、マッチングサイトにより見つけられた運送会社を活用した前提条件を示す図である。
即ち、立案部104は、運送会社を検索するマッチングサイト(C会社が運営するサイト)を活用して、O運送会社の10トン車(最大積載量11,300kg)であって、静岡のX納品先から大阪のW納品先まで5200kgのF物品を運搬するトラックを検索した。
立案部104は、O運送会社のトラックの最大積載量は11,300kgであることから残り6,100kgの荷物を積むことができ、かつ、A会社のD物品のY納品先がW納品先よりも手前であることを認識した。
そこで、立案部104は、前提条件として、
図11に示す、黒丸2のルート→黒丸3のルート→黒丸4のルートを設定した。
黒丸2のルートは、東京都江東区の拠点から静岡県富士市のX納品先までのルートであって、元々のT運送会社の10トン車でD物品のみを運搬させるルートである。黒丸2のルートでは、一般道の走行距離が10kmであり、高速道路の走行距離が138kmである。
黒丸3のルートは、静岡県富士市のX納品先から大阪府大阪市のY納品先までのルートであって、O運送会社の10トン車にF物品とD物品とを混在させて運搬させるルートである。黒丸3のルートでは、一般道の走行距離が3kmであり、高速道路の走行距離が361kmである。
黒丸4のルートは、大阪府大阪市のY納品先から大阪府大阪市のW納品先までのルートであって、O運送会社の10トン車にF物品のみを運搬させるルートである。黒丸4のルートは、一般道の走行距離が27kmである。
【0061】
CO2排出量予測部103は、黒丸2乃至4のルートの夫々について、10トン車当たりのCO2排出量を予測し、その予測結果に基づいて1ケース当たりのCO2排出量を予測した。その予測結果は、
図12に示すとおりである。
図12は、本サービスにより立案される運送計画の例であって、
図9及び
図10の例とは異なる例における、荷物量(1パレット及び1ケース)当たりのCO2排出量の予測結果の一例である。
図12の表では、左方の項目から、(10トン車当たりの)CO2排出量、1ケース当たりのCO2排出量、(10トン車の)運賃、及び1ケース当たりの運賃の夫々の項目があり、黒丸1乃至黒丸4のルートの夫々の結果(数値)が代入されている。
ここで、黒丸1のルートは、参考として掲載したものであって
図9の例のルート(当初の運送計画のルート)を示している。
黒丸1のルートの結果(当初の
図9及び
図10の例の運送計画)と、黒丸2乃至4のルートの総計の結果(
図11の例の2回目の運送計画)とを比較するに、1ケース当たりのCO2排出量は、2回目の運送計画でも年次方針の0.33tCO2には届かないが、限られた車両情報(マッチングサイトによる検索結果)の中で、0.22tCO2の改善がみられた。
また、運賃(物流コスト)についても、1ケース当たりの単価が250円から179円と改善がみられた。
そこで、A会社は、2回目の運送計画(
図11及び
図12の例の運送計画)を採用することに決定した。
このように、A会社は、1ケース当たりのCO2の排出量や単価を見比べることができるので、複数の運送計画から適切な運送計画を選択することができる(適切な運送計画が存在しない場合、さらなる運送計画の立案をすることができる)。
【0062】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0063】
例えば上述の例では、運送計画の対象はトラックとされたが、特にこれに限定されず、乗用車、自動二輪車、飛行機、船舶等、移動時にCO2を排出する移動体であれば任意のものを採用することができる。
【0064】
例えば上述の例では、荷物の重量が取得され、当該重量から換算された1パレット及び1ケース当たりのCO2排出量が算出されたが特にこれに限定されない。
即ち、荷物の重量又は容積が取得され、当該重量又は容積から換算された任意の単位量当たりのCO2排出量が算出されてもよい。
【0065】
例えばCO2排出量予測モデル403は、上述の実施形態では
図2に示す予測手法に対応するモデルが採用されたが特にこれに限定されない。
【0066】
具体的には例えば、
図2に示す予測手法では、トラック1台当たりのCO2排出量は燃費に基づいて演算され、当該燃費が変動する要素は一般道と高速道路のみとされた。即ち、燃費を変動させるための入力パラメータとしては、一般道か高速道路のみとされた。
しかしながら、
図13に示すように、燃費を変動させるための入力パラメータ(要素)としては、各種各様な要素を採用することができる。
図13は、CO2排出量を予測するために必要な燃費が変動する要素の一例を示している。
例えば、お盆/年始年末のような季節の要素、時間帯の要素、運転手の癖、天候等を、燃費を変動させるための入力パラメータ(要素)として採用してもよい。
【0067】
また例えばCO2排出量予測モデル403は、
図14に示すように、配車マンの経験則をAI化したモデルであってもよい。
図14は、AIモデルとしてのCO2排出量予測モデルの一例を示す図である。
即ち、図示はしないが、サーバ1又は他の情報処理装置は、学習部を備えることもできる。
学習部は、配車マンが、自身でルートの意思決定をしたうえでトラックを実際に運転した際には、ルートの意思決定と燃料使用実績を収集すると共に、実際のCO2排出量のデータを収集する。
ここで、ルートの意思決定、燃料使用実績、及びCO2排出量の夫々のデータ収集ツールは、特に限定されず、例えば既存の配車システム(運送計画)、デジタルタコグラフ(運行状況)、ドライブレコーダ(画像データ等)、燃料タンク計器(燃費データ)、配車マンが携帯する端末等各種各様なものを採用することができる。
学習部は、上記を繰り返すことで、CO2排出量のデータを蓄積していき、CO2排出量(燃料使用量)の予定と実績、その誤差補正をしたデータを蓄積していく。
学習部は、このようにして蓄積されたデータを学習用データとして用いて、機械学習をすることで、CO2排出量の抑制最適化を提案できるAIモデルを、CO2排出量予測モデル403として生成又は更新することができる。
CO2排出量予測部103及び立案部104は、このようなAIモデルを用いて最適な運送計画を立案することができる。
このようにして、配車マンの経験則をAI化して最適化(最適な運送計画)を提案することが可能になる。
【0068】
また、
図5に示す各ハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0069】
また、
図6に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは、特に
図6の例に限定されない。
【0070】
また、機能ブロックの存在場所も、
図6に限定されず、任意でよい。例えばサーバ1側の機能ブロックの少なくとも一部を、物流業者側端末2、荷主側端末3、又は図示せぬ情報処理装置に設けてもよいし、その逆でもよい。
そして、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体との組み合わせで構成してもよい。
【0071】
各機能ブロックの処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0072】
このようなプログラムを含む記録媒体は、各ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される、リムーバブルメディアにより構成されるだけではなく、装置本体に予め組み込まれた状態で各ユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0073】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に添って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0074】
以上まとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば
図4のサーバ1)は、
荷主(
図1の荷主S)の商品を運送元から運送先まで移動体で運送させるための計画を運送計画として立案する情報処理装置において、
前記荷主側の情報であって、前記商品の重量又は容積、並びに前記運送元及び前記運送先を少なくとも含む情報を、荷主側情報(例えば
図1の荷主側の情報)として取得する荷主側情報取得手段(例えば
図6の荷主側情報取得部101)と、
前記移動体の運送を管理する物流側の情報であって、前記移動体の特徴を示す移動体特徴量(例えば
図1の車両情報)を少なくとも含む情報を、物流側情報(例えば
図1の物流側の情報)として取得する物流側情報取得手段(例えば
図6の物流側情報取得部102)と、
前記荷主側情報及び前記物流側情報の少なくとも一部に基づいて、前記運送元から前記運送先までの移動ルートを含む所定の前提条件(例えば
図7に示す前提条件)を設定して、当該前提条件で前記移動体が移動した場合における、重量又は容積についての単位量当たりの二酸化炭素排出量(例えば
図8に示す1パレット当たり及び1ケース当たりのCO2排出量)を予測する二酸化炭素排出量予測手段(例えば
図6のCO2排出量予測部103)と、
前記前提条件を変化した場合に予測される夫々の前記二酸化炭素排出量に基づいて、前記運送計画を1以上立案する立案手段(例えば
図6の立案部104)と、
を備える。
【0075】
立案された1以上の前記運送計画、及び夫々の前記単位量当たりの二酸化炭素排出量の予測値を、前記荷主側及び前記物流側の夫々の端末に提示する提示手段(例えば
図6の提示部105)
をさらに備えることができる。
【0076】
前記二酸化炭素排出量予測手段は、
前記前提条件で前記移動体が移動した場合における移動距離及び燃費に基づいて、前記移動体当たりの二酸化炭素排出量を演算し(例えば
図2、
図7、
図8の2)に示すように演算し)、
当該移動体当たりの二酸化炭素排出量、及び、前記商品の重量又は容積に基づいて、前記単位量当たりの二酸化炭素排出量を演算する(例えば、
図8の3)に示すように演算する)
ことができる。
【0077】
前記運送元及び前記運送先を拠点として、拠点が3拠点以上存在する場合(例えば
図11のような場合)、
前記二酸化炭素排出量予測手段は、拠点間の2以上の移動ルート毎に前記前提条件を設定して(例えば
図11のように設定して)、
前記2以上の移動ルート毎に、前記単位量当たりの二酸化炭素排出量を夫々予測する(例えば
図12のように予測する)
ことができる。
【0078】
前記二酸化炭素排出量予測手段は、
実際の前記前提条件で前記移動体が移動した場合における実際の二酸化炭素排出量に基づいて機械学習がなされた結果得られたモデルであって、前記荷主側情報及び前記物流側情報の少なくとも一部を入力すると、前記単位量当たりの二酸化炭素排出量を出力するモデル(例えば
図14のようにAI化された
図6のCO2排出量予測モデル403)を取得して、
当該モデルを用いて、前記単位量当たりの二酸化炭素排出量を演算する、
ことができる。
【符号の説明】
【0079】
1:サーバ、2,2-1,2-n:物流業者側端末、3,3-1,3-m:荷主側端末、11:CPU、12:ROM、13:RAM、14:バス、15:入出力インターフェース、16:出力部、17:入力部、18:記憶部、19:通信部、20:ドライブ、30:リムーバブルメディア、101:荷主側情報取得部、102:物流側情報取得部、103:CO2排出量予測部、104:立案部、105:提示部、401:荷主側DB、402:物流側DB、403:CO2排出量予測モデル、C:消費者、S:荷主、V:供給者、L:物流業者