(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028281
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】シート体験システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20240226BHJP
A63F 13/24 20140101ALI20240226BHJP
A63F 13/218 20140101ALI20240226BHJP
A63F 13/428 20140101ALI20240226BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
G06F3/01 510
A63F13/24
A63F13/218
A63F13/428
A47C7/62 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215413
(22)【出願日】2023-12-21
(62)【分割の表示】P 2019223427の分割
【原出願日】2019-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】草野 惇至
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智
(72)【発明者】
【氏名】古和 宗高
(57)【要約】
【課題】シートの新たな価値を提案するべく、端末の画面上の操作対象をシートで操作することができるシート体験システムを提供することを目的とする。
【解決手段】シート体験システム1は、シート本体S10と、シート本体S10に座っている着座者の動作を検出するための情報を取得する複数のセンサ(圧力センサ21~26)を有するシートSと、センサから情報を取得する制御部(ECU100)と、画面(ディスプレイDSP)を有する端末(スマートフォンSP)と、を備える。制御部は、センサから取得した情報に基づいて、画面上の操作対象を動作させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションおよびシートバックを有するシート本体と、前記シート本体に座っている着座者の動作を検出するための情報を取得する複数のセンサを有するシートと、
前記センサから前記情報を取得する制御部と、
画面を有する端末と、を備えたシート体験システムであって、
前記複数のセンサは、
前記シートバックに設けられる第2センサであって、前記着座者の姿勢が標準姿勢であるときに第2標準圧力値を出力し、前記着座者の姿勢が前記標準姿勢よりも前に体重をかけた前傾姿勢であるときに前記第2標準圧力値よりも小さな第2低圧力値を出力する第2圧力センサを有し、
前記制御部は、
前記第2圧力センサから前記第2低圧力値を取得した場合に、前記着座者の姿勢が前記前傾姿勢であると判定し、
前記前傾姿勢であると判定した場合に、第1コマンドを設定し、
前記第1コマンドに基づいて前記画面上の操作対象を動作させることを特徴とするシート体験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサを有するシートを備えたシート体験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗員の着座姿勢を検出するために、シート上に複数の圧力センサを配置した車両用シートが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の車両用シートは、運転者の着座姿勢を評価して提示するだけであるので、あまり有効に利用できないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、シートの新たな価値を提案するべく、端末の画面上の操作対象をシートで操作することができるシート体験システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決する本発明は、シート本体と、前記シート本体に座っている着座者の動作を検出するための情報を取得する複数のセンサを有するシートと、前記センサから前記情報を取得する制御部と、画面を有する端末と、を備えたシート体験システムである。
前記制御部は、前記センサから取得した情報に基づいて、前記画面上の操作対象を動作させる。
【0007】
この構成によれば、制御部がセンサから取得した情報に基づいて画面上の操作対象を動作させるので、シート上の着座者の動きに応じて、端末の画面上の操作対象をシートで操作することができる。
【0008】
また、前記制御部は、前記シート本体に設けられ、前記センサから取得した情報に基づいて、前記操作対象を動作させるためのコマンドを設定するとともに、前記コマンドを前記端末に出力し、前記端末は、前記コマンドに基づいて前記操作対象を動作させてもよい。
【0009】
これによれば、センサからの情報をコマンドに変更するための処理を端末側で行う必要がないので、端末での処理速度を早くすることができるとともに、例えば、端末で実行するゲームにおいて、シートとは別のコントローラと、シートとを併用することができる。
【0010】
また、前記制御部は、前記端末に設けられ、前記センサから取得した情報に基づいて、前記操作対象を動作させるためのコマンドを設定し、前記コマンドに基づいて前記操作対象を動作させてもよい。
【0011】
これによれば、センサからの情報をコマンドに変更するための処理をシート側で行う必要がないので、シートでの処理速度を早くすることができる。
【0012】
また、前記制御部は、複数の前記センサからの情報に基づいて、前記着座者の姿勢が、標準姿勢よりも前に体重をかけた前傾姿勢、または、前記標準姿勢よりも後ろに体重をかけた後傾姿勢であるかを判定可能であり、前記前傾姿勢であると判定した場合に、第1コマンドを設定し、前記後傾姿勢であると判定した場合に、第2コマンドを設定してもよい。
【0013】
また、複数の前記センサは、前記着座者の姿勢が前記標準姿勢であるときに第1標準圧力値を出力し、前記着座者の姿勢が前記前傾姿勢であるときに前記第1標準圧力値よりも大きな第1高圧力値を出力し、前記着座者の姿勢が前記後傾姿勢であるときに前記第1標準圧力値よりも小さな第1低圧力値を出力する第1圧力センサ、または、前記着座者の姿勢が前記標準姿勢であるときに第2標準圧力値を出力し、前記着座者の姿勢が前記前傾姿勢であるときに前記第2標準圧力値よりも小さな第2低圧力値を出力し、前記着座者の姿勢が前記後傾姿勢であるときに前記第2標準圧力値よりも大きな第2高圧力値を出力する第2圧力センサを備え、前記制御部は、前記第1圧力センサから前記第1高圧力値を取得した場合、または、前記第2圧力センサから前記第2低圧力値を取得した場合に、前記着座者の姿勢が前記前傾姿勢であると判定してもよい。
【0014】
また、複数の前記センサは、前記着座者の姿勢が前記標準姿勢であるときに第1標準圧力値を出力し、前記着座者の姿勢が前記前傾姿勢であるときに前記第1標準圧力値よりも大きな第1高圧力値を出力し、前記着座者の姿勢が前記後傾姿勢であるときに前記第1標準圧力値よりも小さな第1低圧力値を出力する第1圧力センサ、または、前記着座者の姿勢が前記標準姿勢であるときに第2標準圧力値を出力し、前記着座者の姿勢が前記前傾姿勢であるときに前記第2標準圧力値よりも小さな第2低圧力値を出力し、前記着座者の姿勢が前記後傾姿勢であるときに前記第2標準圧力値よりも大きな第2高圧力値を出力する第2圧力センサを備え、前記制御部は、前記第1圧力センサから前記第1低圧力値を取得した場合、または、前記第2圧力センサから前記第2高圧力値を取得した場合に、前記着座者の姿勢が前記後傾姿勢であると判定してもよい。
【0015】
また、前記第1コマンドは、前記画面上の前記操作対象に対して上向きの操作がなされたことを示すコマンドであり、前記第2コマンドは、前記画面上の前記操作対象に対して下向きの操作がなされたことを示すコマンドであってもよい。
【0016】
また、前記第1コマンドは、前記画面上の前記操作対象を第1高さでジャンプさせるためのコマンドであり、前記第2コマンドは、前記画面上の前記操作対象を前記第1高さよりも大きい第2高さでジャンプさせるためのコマンドであってもよい。
【0017】
また、前記制御部は、複数の前記センサからの情報に基づいて、前記着座者の姿勢が、標準姿勢よりも左に体重をかけた左傾姿勢、または、前記標準姿勢よりも右に体重をかけた右傾姿勢であるかを判定可能であり、前記左傾姿勢であると判定した場合に、第3コマンドを設定し、前記右傾姿勢であると判定した場合に、第4コマンドを設定してもよい。
【0018】
また、複数の前記センサは、前記着座者の姿勢が前記標準姿勢であるときに第3標準圧力値を出力し、前記着座者の姿勢が前記左傾姿勢であるときに前記第3標準圧力値よりも大きな第3高圧力値を出力し、前記着座者の姿勢が前記右傾姿勢であるときに前記第3標準圧力値よりも小さな第3低圧力値を出力する第3圧力センサ、または、前記着座者の姿勢が前記標準姿勢であるときに第4標準圧力値を出力し、前記着座者の姿勢が前記左傾姿勢であるときに前記第4標準圧力値よりも小さな第4低圧力値を出力し、前記着座者の姿勢が前記右傾姿勢であるときに前記第4標準圧力値よりも大きな第4高圧力値を出力する第4圧力センサを備え、前記制御部は、前記第3圧力センサから前記第3高圧力値を取得した場合、または、前記第4圧力センサから前記第4低圧力値を取得した場合に、前記着座者の姿勢が前記左傾姿勢であると判定してもよい。
【0019】
また、複数の前記センサは、前記着座者の姿勢が前記標準姿勢であるときに第3標準圧力値を出力し、前記着座者の姿勢が前記左傾姿勢であるときに前記第3標準圧力値よりも大きな第3高圧力値を出力し、前記着座者の姿勢が前記右傾姿勢であるときに前記第3標準圧力値よりも小さな第3低圧力値を出力する第3圧力センサ、または、前記着座者の姿勢が前記標準姿勢であるときに第4標準圧力値を出力し、前記着座者の姿勢が前記左傾姿勢であるときに前記第4標準圧力値よりも小さな第4低圧力値を出力し、前記着座者の姿勢が前記右傾姿勢であるときに前記第4標準圧力値よりも大きな第4高圧力値を出力する第4圧力センサを備え、前記制御部は、前記第3圧力センサから前記第3低圧力値を取得した場合、または、前記第4圧力センサから前記第4高圧力値を取得した場合に、前記着座者の姿勢が前記右傾姿勢であると判定してもよい。
【0020】
また、前記第3コマンドは、前記画面上の前記操作対象に対して左向きの操作がなされたことを示すコマンドであり、前記第4コマンドは、前記画面上の前記操作対象に対して右向きの操作がなされたことを示すコマンドであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、端末の画面上の操作対象をシートで操作することができる。
【0022】
また、センサから取得した情報に基づいて操作対象を動作させるためのコマンドを設定する制御部をシート本体に設けることで、センサからの情報をコマンドに変更するための処理を端末側で行う必要がないので、端末での処理速度を早くすることができるとともに、例えば、端末で実行するゲームにおいて、シートとは別のコントローラと、シートとを併用することができる。
【0023】
また、センサから取得した情報に基づいて操作対象を動作させるためのコマンドを設定する制御部を端末に設けることで、センサからの情報をコマンドに変更するための処理をシート側で行う必要がないので、シートでの処理速度を早くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】一実施形態に係るシート体験システムを示す図である。
【
図2】ECUでの処理を示すフローチャートである。
【
図3】スマートフォンでの処理を示すフローチャートである。
【
図4】スタート画面を示す図(a)と、標準姿勢を設定する画面を示す図(b)である。
【
図5】楽曲を選択する画面を示す図(a)と、ダンスゲーム中の画面を示す図(b)である。
【
図7】ECUでの処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のシート体験システム1は、シートSと、シート体験装置10とを含んでなる。
シートSは、シート本体S10と、圧力センサ21~26とを備えてなる。シート本体S10は、一例として、車両などの乗物に設置される乗物用シートであり、シートクッションS1、シートバックS2およびヘッドレストS3を有する。シートクッションS1とシートバックS2には、表皮の下に複数の圧力センサ21~26が設けられている。圧力センサ21~26は、シート本体S10に座っている着座者の動作を検出するためのセンサである。
【0026】
圧力センサ21~26は、シート本体S10に着座する着座者に対向する座面の状態を検知可能に配置され、シート本体S10に座っている着座者からの圧力値を取得する。ECU(電子制御ユニット)100は、シート本体S10の動作(例えば、図示しない電動リクライニングのモータやヒータなど)を制御する装置であり、各圧力センサ21~26から、測定値を取得可能に圧力センサ21~26と接続されている。
【0027】
各圧力センサ21~26は、シートSの左右の中心に対して左右対称に1対ずつ設けられている。なお、以下の説明や図面においては、左側に配置される圧力センサ21~26については、符号の末尾に「L」を付し、右側に配置される圧力センサ21~26については、符号の末尾に「R」を付して区別することもある。
【0028】
シートクッションS1には、圧力センサ21~23が設けられている。
圧力センサ21は、着座者の坐骨の最下部に対応する位置に設けられている。この位置では、着座者の荷重が最も大きくかかる。
【0029】
圧力センサ22は、圧力センサ21の少し前に配置されている。
【0030】
圧力センサ21および圧力センサ22は、いずれも、着座者の臀部からの圧力を測定するためのものであり、いずれか一方のみが設けられていてもよい。
【0031】
圧力センサ23は、圧力センサ21および圧力センサ22から前方に大きく離れて配置されている。圧力センサ23は、着座者の大腿の下に位置し、着座者の大腿からの圧力値を測定可能である。
【0032】
シートバックS2には、圧力センサ24~26が設けられている。圧力センサ24は、着座者の腰の後ろに対応する位置に設けられている。
【0033】
圧力センサ25は、圧力センサ24の少し上に配置されている。
【0034】
圧力センサ24および圧力センサ25は、いずれも、着座者の腰からの圧力を測定するためのものであり、いずれか一方のみが設けられていてもよい。
【0035】
圧力センサ26は、圧力センサ24および圧力センサ25から上方に大きく離れて配置されている。圧力センサ26は、着座者の肩に対応して位置し、着座者の肩からの圧力値を測定可能である。
【0036】
本実施形態においては、シート体験システム1は、各圧力センサ21~26を使用したダンスゲームを提供するものとする。本実施形態においては、各圧力センサ21~26は、シート本体S10に座っている着座者の動作を検出するための測定値を取得するセンサの一例である。ダンスゲームは、シート本体S10に座った着座者が、スマートフォンSPの画面であるディスプレイDSP上に表示された矢印のアイコンの指示に従って動くことで、ディスプレイDSP上のキャラクターを踊らせるゲームとする。
【0037】
シート本体S10には、スマートフォンSPを保持するためのホルダ4が設けられている。ホルダ4は、ワイヤを屈曲させて形成され、一端がシートバックS2に固定され、他端にスマートフォンSPを固定する固定部4Aが設けられている。固定部4AにスマートフォンSPを固定することで、着座者は、スマートフォンSPを手に持たなくても、スマートフォンSPのディスプレイDSPを見ることができる。このため、着座者は、ディスプレイDSPを見ながら、ダンスゲームで指示されている動きを、全身を使って行うことができる。
【0038】
シート体験装置10は、制御部の一例としてのECU100と、端末の一例としてのスマートフォンSPとを有してなる。
ECU100には、ブルートゥース(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信を可能にする近距離通信機3Aが接続されている。また、ECU100は、圧力センサ21~26と接続されている。本実施形態では、ECU100と近距離通信機3Aは、シート本体S10に設けられている。
【0039】
ECU100およびスマートフォンSPは、図示しないCPU、ROM、RAM、書換可能な不揮発性メモリ等を有し、予め記憶されたプログラムを実行する。なお、スマートフォンSPは、ディスプレイDSPをさらに備えている。スマートフォンSPは、プログラムに従って動作することで、ダンスゲームを実行するための各手段として機能する。
【0040】
ECU100は、各圧力センサ21~26から取得した測定値に基づいて、スマートフォンSPのディスプレイDSP上の操作対象を動作させる機能を有している。詳しくは、ECU100は、各圧力センサ21~26から取得した情報に基づいて、操作対象を動作させるためのコマンドを設定し、設定したコマンドをスマートフォンSPに出力することで、スマートフォンSPのディスプレイDSP上の操作対象を動作させる。
【0041】
具体的に、ECU100は、各圧力センサ21~26からの測定値に基づいて、着座者の姿勢が、標準姿勢よりも前に体重をかけた前傾姿勢、または、標準姿勢よりも後ろに体重をかけた後傾姿勢であるかを判定可能となっている。また、ECU100は、各圧力センサ21~26からの測定値に基づいて、着座者の姿勢が、標準姿勢よりも左に体重をかけた左傾姿勢、または、標準姿勢よりも右に体重をかけた右傾姿勢であるかを判定可能となっている。
【0042】
ECU100は、シートクッションS1の前側に配置された2つの圧力センサ23(以下、「前側クッションセンサSE1」とも称する。)から取得した測定値に基づいて、着座者の姿勢が前傾姿勢であるか否かを判断する。ここで、前側クッションセンサSE1は、第1センサの一例であり、着座者の姿勢が標準姿勢であるときに第1標準圧力値を出力し、着座者の姿勢が前傾姿勢であるときに第1標準圧力値よりも大きな第1高圧力値を出力し、着座者の姿勢が後傾姿勢であるときに第1標準圧力値よりも小さな第1低圧力値を出力する。
【0043】
ここで、第1標準圧力値は、ある程度幅を持った値である。詳しくは、後述するようなダンスゲーム中における標準姿勢の設定処理、つまりキャリブレーション時において、圧力センサ23から出力された値に対してプラス側とマイナス側とにマージンをとった標準範囲内に入る値を、第1標準圧力値とする。また、第1高圧力値は、標準範囲よりも大きい値であり、第1低圧力値は、標準範囲よりも小さな値である。なお、後述するその他の標準圧力値、高圧力値、低圧力値(例えば第2標準圧力値、第2高圧力値、第2低圧力値)も同様である。
【0044】
ECU100は、前側クッションセンサSE1から第1高圧力値を取得した場合には、着座者の姿勢が前傾姿勢であると判定する。ここで、本実施形態において、前側クッションセンサSE1から取得した圧力値とは、複数の前側クッションセンサSE1から取得した測定値のうち大きい方の値とする。なお、前側クッションセンサSE1から取得した圧力値としては、例えば、複数の前側クッションセンサSE1から取得した複数の測定値の平均値などであってもよい。なお、なお、後述するその他のセンサ(例えば、後述する後側クッションセンサSE2)から取得した圧力値も同様である。
【0045】
ECU100は、シートクッションS1の後側に配置された2つの圧力センサ21(以下、「後側クッションセンサSE2」とも称する。)から取得した測定値に基づいて、着座者の姿勢が後傾姿勢であるか否かを判断する。ここで、後側クッションセンサSE2は、第2センサの一例であり、着座者の姿勢が標準姿勢であるときに第2標準圧力値を出力し、着座者の姿勢が前傾姿勢であるときに第2標準圧力値よりも小さな第2低圧力値を出力し、着座者の姿勢が後傾姿勢であるときに第2標準圧力値よりも大きな第2高圧力値を出力する。ECU100は、後側クッションセンサSE2から第2高圧力値を取得した場合に、着座者の姿勢が後傾姿勢であると判定する。
【0046】
ECU100は、シートバックS2の左側に配置された3つの圧力センサ24L,25L,26L(以下、「左側バックセンサSE3」とも称する。)から取得した測定値に基づいて、着座者の姿勢が左傾姿勢であるか否かを判断する。ここで、左側バックセンサSE3は、第3センサの一例であり、着座者の姿勢が標準姿勢であるときに第3標準圧力値を出力し、着座者の姿勢が左傾姿勢であるときに第3標準圧力値よりも大きな第3高圧力値を出力し、着座者の姿勢が右傾姿勢であるときに第3標準圧力値よりも小さな第3低圧力値を出力する。ECU100は、左側バックセンサSE3から第3高圧力値を取得した場合に、着座者の姿勢が左傾姿勢であると判定する。
【0047】
ここで、左傾姿勢とは、着座者の重心が身体の中心よりも左にずれた姿勢をいい、例えば着座者が身体を左に捻った姿勢も含む。後述する右傾姿勢も同様であり、右傾姿勢は、着座者の重心が身体の中心よりも右にずれた姿勢をいい、例えば着座者が身体を右に捻った姿勢も含む。
【0048】
ECU100は、シートバックS2の右側に配置された3つの圧力センサ24R,25R,26R(以下、「右側バックセンサSE4」とも称する。)から取得した測定値に基づいて、着座者の姿勢が右傾姿勢であるか否かを判断する。ここで、右側バックセンサSE4は、第4センサの一例であり、着座者の姿勢が標準姿勢であるときに第4標準圧力値を出力し、着座者の姿勢が左傾姿勢であるときに第4標準圧力値よりも小さな第4低圧力値を出力し、着座者の姿勢が右傾姿勢であるときに第4標準圧力値よりも大きな第4高圧力値を出力する。ECU100は、右側バックセンサSE4から第4高圧力値を取得した場合に、着座者の姿勢が右傾姿勢であると判定する。
【0049】
ECU100は、前傾姿勢であると判定した場合に、第1コマンドを設定し、後傾姿勢であると判定した場合に、第2コマンドを設定する。また、ECU100は、左傾姿勢であると判定した場合に、第3コマンドを設定し、右傾姿勢であると判定した場合に、第4コマンドを設定する。
【0050】
各コマンドは、スマートフォンSPのディスプレイDSP上で実行されるダンスゲームにおける操作対象を動かすための指令である。具体的に、第1コマンドは、ディスプレイDSP上の操作対象に対して上向きの操作がなされたことを示すコマンドである。第2コマンドは、ディスプレイDSP上の操作対象に対して下向きの操作がなされたことを示すコマンドである。第3コマンドは、ディスプレイDSP上の操作対象に対して左向きの操作がなされたことを示すコマンドである。第4コマンドは、ディスプレイDSP上の操作対象に対して右向きの操作がなされたことを示すコマンドである。以下の説明では、第1コマンドを「上コマンド」、第2コマンドを「下コマンド」、第3コマンドを「左コマンド」、第4コマンドを「右コマンド」とも称する。
【0051】
スマートフォンSPは、ECU100から受信したコマンドに基づいて、ダンスゲームを実行する機能を有している。詳しくは、スマートフォンSPは、ECU100からコマンドを受信すると、受信したコマンドに基づいてディスプレイDSP上の操作対象を動作させる機能を有している。ここで、ダンスゲームにおける操作対象は、
図5(a)に示すダンスゲームでの楽曲を選択する画面においては、楽曲を選択するためのカーソルCSであり、
図5(b)に示すダンスゲーム実行中の画面(以下、「ゲーム画面」ともいう。)においては、画面の下から上に移動する矢印アイコンIC1,IC2,IC3,IC4である。
【0052】
スマートフォンSPは、楽曲を選択する画面を表示している際に、シートSから下コマンドを受信するとカーソルCSを画面の下に移動させ、シートSから上コマンドを受信するとカーソルCSを画面の上に移動させる。
【0053】
ゲーム画面においては、4つの矢印アイコンIC1~IC4に対応した4つの目標アイコンT1,T2,T3,T4が表示されている。スマートフォンSPは、ダンスゲームの実行中には、矢印アイコンIC1~IC4のうち所定の矢印アイコン(例えばIC2)が、所定の矢印アイコンに対応した目標アイコン(例えばT2)と重なる位置まで移動したときに、所定の矢印アイコンに対応したコマンド(例えば下コマンド)を受信すると、所定の矢印アイコンを変化させる。ここで、所定の矢印アイコンの変化としては、例えば、所定の矢印アイコンの色または形状を変えることを含む他、所定の矢印アイコンを画面から消滅させることなどを含む。本実施形態では、所定の矢印アイコンを画面から消滅させることとする。
【0054】
次に、ECU100およびスマートフォンSPの動作について詳細に説明する。ECU100は、
図2に示す処理を常時繰り返し実行している。
【0055】
図2に示すように、ECU100は、各センサSE1~SE4から圧力値を取得する(S11)。ステップS11の後、ECU100は、左側バックセンサSE3から取得した第3検出値が、第3標準圧力値よりも大きいか否か、つまり第3高圧力値であるか否かを判定する(S12)。
【0056】
ステップS12において第3検出値が第3標準圧力値よりも大きいと判定した場合には(Yes)、ECU100は、着座者の姿勢が左傾姿勢であると判定する(S13)。ステップS13の後、ECU100は、第3コマンドとしての左コマンドを設定し、設定した左コマンドをスマートフォンSPに出力して(S14)、本処理を終了する。
【0057】
ステップS12において第3検出値が第3標準圧力値よりも大きくないと判定した場合には(No)、ECU100は、右側バックセンサSE4から取得した第4検出値が、第4標準圧力値よりも大きいか否か、つまり第4高圧力値であるか否かを判定する(S15)。
【0058】
ステップS15において第4検出値が第4標準圧力値よりも大きいと判定した場合には(Yes)、ECU100は、着座者の姿勢が右傾姿勢であると判定する(S16)。ステップS16の後、ECU100は、第4コマンドとしての右コマンドを設定し、設定した右コマンドをスマートフォンSPに出力して(S17)、本処理を終了する。
【0059】
ステップS15において第4検出値が第4標準圧力値よりも大きくないと判定した場合には(No)、ECU100は、前側クッションセンサSE1から取得した第1検出値が、第1標準圧力値よりも大きいか否か、つまり第1高圧力値であるか否かを判定する(S18)。
【0060】
ステップS18において第1検出値が第1標準圧力値よりも大きいと判定した場合には(Yes)、ECU100は、着座者の姿勢が前傾姿勢であると判定する(S19)。ステップS19の後、ECU100は、第1コマンドとしての上コマンドを設定し、設定した上コマンドをスマートフォンSPに出力して(S20)、本処理を終了する。
【0061】
ステップS18において第1検出値が第1標準圧力値よりも大きくないと判定した場合には(No)、ECU100は、後側クッションセンサSE2から取得した第2検出値が、第2標準圧力値よりも大きいか否か、つまり第2高圧力値であるか否かを判定する(S21)。
【0062】
ステップS21において第2検出値が第2標準圧力値よりも大きいと判定した場合には(Yes)、ECU100は、着座者の姿勢が後傾姿勢であると判定する(S22)。ステップS22の後、ECU100は、第2コマンドとしての下コマンドを設定し、設定した下コマンドをスマートフォンSPに出力して(S23)、本処理を終了する。ステップS21において第2検出値が第2標準圧力値よりも大きくないと判定した場合には(No)、ECU100は、そのまま本処理を終了する。
【0063】
スマートフォンSPは、着座者がダンスゲームを行うためのアプリケーションを立ち上げると、
図3に示す処理を開始する(START)。この処理において、スマートフォンSPは、まず、シートSと通信可能な状態であるか否かを判断する(S41)。
【0064】
ステップS41において通信可能な状態でないと判断した場合には(No)、スマートフォンSPは、本処理を終了する。ステップS41において通信可能な状態であると判断した場合には(Yes)、スマートフォンSPは、ダンスゲームのスタート画面(
図4(a)参照)をディスプレイDSP上に表示する(S42)。
【0065】
なお、
図4(a)に示すスタート画面では、ダンスゲームを開始するためのスタートボタンB1と、ダンスゲームを終了するためのボタンB2とが表示されている。
【0066】
ステップS42の後、スマートフォンSPは、スタートボタンB1が選択されたか否かを判断する(S43)。ステップS43においてスタートボタンB1が選択されたと判断した場合には(Yes)、スマートフォンSPは、ダンスゲームにおける標準姿勢設定モードが過去に既に実行されているかを示すフラグFが0であるか否かを判断する(S44)。
【0067】
ここで、標準姿勢設定モードとは、着座者の通常時の着座姿勢を標準姿勢として設定するモードである。スマートフォンSPは、標準姿勢設定モードにおいて、着座者の標準姿勢における各圧力値をECU100から取得し、各圧力値から、ダンスゲームにおける各コマンドを設定するための各標準圧力値を設定する。また、スマートフォンSPは、設定した各標準圧力値をECU100に出力する。なお、ECU100は、スマートフォンSPから受信した各標準圧力値に基づいて、前述した
図2の処理を実行する。
【0068】
ステップS44においてF=0でないと判定した場合(No)、つまり標準姿勢設定モードが過去に実行されている場合には、スマートフォンSPは、標準姿勢設定モード(S45~S47)を飛ばして、ダンスゲームを開始する(S48)。ステップS44においてF=0と判定した場合(Yes)、つまり標準姿勢設定モードが過去に一度も実行されていない場合には、スマートフォンSPは、標準姿勢設定モードを開始する(S45)。
【0069】
スマートフォンSPは、標準姿勢設定モードを開始すると、
図4(b)に示す画面を、ディスプレイDSP上に表示する。
図4(b)の画面では、「シートに深く座りましょう。腿、尻、腰、背中、肩をシートにくっつけましょう」というメッセージと、各センサSE1~SE4から圧力値を取得するための時間を表示するカウントダウン表示とが、表示されている。本実施形態では、16拍のカウントダウンを示す「16」という数字が、標準姿勢設定モード開始時のカウントダウン表示として表示される。
【0070】
スマートフォンSPは、16拍のカウントダウンの実行中において、各センサSE1~SE4から圧力値を取得する。詳しくは、スマートフォンSPは、最初の8拍においては圧力値を取得せず、残りの8拍をカウントダウンする間に圧力値を取得する。つまり、スマートフォンSPは、標準姿勢設定モードを開始してから所定時間の間、圧力値を取得せず、所定時間の経過後に圧力値を取得する。このように、スマートフォンSPが、標準姿勢設定モードの開始から所定時間の間、圧力値を取得しないことで、例えば着座者がシートSに座り直している際の不安定な圧力値を排除することができ、より正確な圧力値を取得することが可能となっている。
【0071】
詳しくは、スマートフォンSPは、8拍をカウントダウンする間に、各センサSE1~SE4から所定の周期で圧力値を取得する。ここで、例えば、スマートフォンSPが圧力値を取得する周期が20Hzであり、1拍が1秒である場合には、1つの圧力センサから取得される圧力値の数は、161個となる。
【0072】
図3に示すように、スマートフォンSPは、各センサSE1~SE4で取得した各圧力値の平均値に対してプラス側とマイナス側とにマージンをとった数値範囲を、各センサSE1~SE4での各標準圧力値として設定する(S46)。
【0073】
スマートフォンSPは、ステップS46の後、フラグFを1にして(S47)、ダンスゲームを開始する(S48)。ダンスゲームにおいては、スマートフォンSPは、まず、
図5(a)に示す楽曲選択画面を表示する。楽曲選択画面を表示している際において、スマートフォンSPは、ECU100から上コマンドまたは下コマンドを受信すると、画面上のカーソルCSを画面の上または下に移動させる。
【0074】
なお、カーソルCSで選択した楽曲を決定する方法は、どのような方法であってもよい。例えば、スマートフォンSPは、ECU100から左コマンドまたは右コマンドを受信した場合に、カーソルCSで選択した楽曲をダンスゲームに使用する楽曲として決定することができる。
【0075】
楽曲を選択した後、スマートフォンSPは、
図5(b)に示すゲーム画面を表示する。ゲーム画面においては、選択した楽曲を流すとともに、前述した目標アイコンT1~T4および矢印アイコンIC1~IC4の他、楽曲に合わせて踊るキャラクターCTなどを表示する。ゲーム画面において、スマートフォンSPは、ECU100から出力されてくるコマンドを受信するタイミングと、目標アイコンに対して矢印アイコンが重なるタイミングとに応じて、矢印アイコンを画面から消滅させたり、消滅させなかったりする。
【0076】
具体的には、ECU100からのコマンドが示す操作方向(例えば右)と、重なった状態となる目標アイコンおよび矢印アイコンの向き(例えば右)とが一致した場合には、スマートフォンSPは、矢印アイコンを画面から消滅させる。また、ECU100からのコマンドが示す操作方向(例えば右)と、重なった状態となる目標アイコンおよび矢印アイコンの向き(例えば左)とが一致していない場合には、スマートフォンSPは、矢印アイコンを消滅させずに、そのまま目標アイコンを通りすぎるように移動させる。
【0077】
矢印アイコンを画面から消滅させる場合において、スマートフォンSPは、ECU100から出力されてくるコマンドを受信したときの、目標アイコンに対する矢印アイコンの重なり度合に応じて、「Bad」、「Good」、「Great」、「Excellent」といった着座者の操作を評価する評価値を画面にメッセージとして表示する。スマートフォンSPは、目標アイコンに対する矢印アイコンの重なり度合が大きいほど、よい評価値を表示する。
【0078】
ダンスゲームが終了すると、スマートフォンSPは、
図4(a)に示すスタート画面を表示する。
図3に戻って、ステップS48の後、または、ステップS43においてNoと判断した場合には、スマートフォンSPは、ダンスゲームを終了するためのボタンB2が選択されたか否かを判断する(S49)。ステップS49においてボタンB2が選択されていないと判断した場合には(No)、スマートフォンSPは、ステップS42の処理に戻る。ステップS49においてボタンB2が選択されたと判断した場合には(Yes)、スマートフォンSPは、本処理を終了する。
【0079】
次に、シート体験システム1の具体的な動作の一例を詳細に説明する。
図1に示すように、シート体験システム1を構成する各機器(S,SP)が通信可能な状態において、着座者がスマートフォンSPを操作してダンスゲームを立ち上げると、
図3に示す処理において、ステップS41:Yes→ステップS42の処理が順次実行される。これにより、
図4(a)に示すスタート画面が、ディスプレイDSP上に表示される。
【0080】
着座者がスタートボタンB1を選択すると、ステップS43でYesと判断されて、ステップS44の処理に移行する。ここで、着座者が標準姿勢設定モード等を過去に一度も行っていない場合には、ステップS44でYesと判断されて、標準姿勢設定モードが実行される(S45~S47)。
【0081】
標準姿勢設定モードにおいては、
図4(b)に示す画面がディスプレイDSP上に表示される。着座者は、画面の指示に従って、身体全体をシートSに密着させるように座り直す。そして、画面中のカウントダウン表示が16から0までカウントダウンされる間、着座者が姿勢を保つことで、各センサSE1~SE4から圧力値がスマートフォンSPで取得される。
【0082】
スマートフォンSPは、標準姿勢設定モードにおいて取得した圧力値に基づいて、ダンスゲームにおける各コマンドを設定するための各標準圧力値を設定し、各標準圧力値をECU100に送信する。スマートフォンSPは、各標準圧力値を送信した後、
図5(a)に示す楽曲選択画面をディスプレイDSP上に表示する(S48)。
【0083】
楽曲選択画面においては、シートSに座っている着座者が身体を前傾させるとカーソルCSが画面の上に移動し、後傾させるとカーソルCSが画面の下に移動する。この際、カーソルCSの移動方向と、着座者の姿勢とが、人間の感覚に合っているので、着座者が直感的にカーソルCSの操作を行うことができる。
【0084】
楽曲が選択された後、スマートフォンSPは、
図5(b)に示すゲーム画面をディスプレイDSPに表示する。ゲーム画面において、スマートフォンSPは、着座者によって選択された楽曲を流すとともに、矢印アイコンIC1~IC4を楽曲に応じた順序で画面の下から上に移動させる。
【0085】
ゲーム画面において、例えば、下向きの矢印アイコンIC2が下向きの目標アイコンT2と重なる位置まで移動してくると、着座者はシートS上で身体を後傾させる。これにより、ECU100から下コマンドが出力される。
【0086】
スマートフォンSPは、ECU100から下コマンドを受信したタイミングにおいて、下向きの矢印アイコンIC2が下向きの目標アイコンT2と重なっている場合には、矢印アイコンIC2を消滅させ、矢印アイコンIC2と目標アイコンT2の重なり度合に応じて評価値を表示する。
【0087】
このようにして、着座者は、矢印アイコンが目標アイコンに重なったタイミングで、身体を前傾、後傾、左傾、右傾させることで、ダンスゲームをシートSに座った状態で楽しむことができる。そのため、例えば脚力の弱い老人などであっても、身体を十分に動かして、ダンスゲームを楽しむことができる。また、ダンスゲーム中における矢印アイコンIC1~IC4の向きと、着座者の姿勢とが、人間の感覚に合っているので、着座者が直感的にダンスゲームを楽しむことができる。
【0088】
以上のような本実施形態の車両用シートにおいて、次の各効果を奏することができる。
ECU100が各センサSE1~SE4から取得した情報に基づいてコマンドを出力することで画面上の操作対象(カーソルCS、矢印アイコンIC1~IC4)を動作させるので、シートS上の着座者の動きに応じて、スマートフォンSPの画面上の操作対象をシートSで操作することができる。
【0089】
シート本体S10に設けたECU100でコマンドを設定するので、各センサSE1~SE4からの圧力値をコマンドに変更するための処理をスマートフォンSP側で行う必要がない。そのため、スマートフォンSPでの処理速度を早くすることができるとともに、ダンスゲームにおいて、シートSとは別のコントローラと、シートSとを併用することができる。
【0090】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以下の他の形態に示すように、適宜変形して実施することが可能である。なお、以下の説明において、前記実施形態と略同様の構成については、同一符号を付し、説明を省略する。
【0091】
前記実施形態では、シートSから出力されるコマンドをダンスゲームで利用したが、本発明はこれに限定されず、どのようなゲームで利用してもよい。例えば、
図6に示すように、車をモチーフとしたキャラクターCRが、障害物BL1,BL2,BL3を避けてゴールを目指す障害物ゲームで、シートSから出力されるコマンドを利用してもよい。
【0092】
障害物ゲームでは、障害物BL1~BL3を含む背景が画面の左に自動的に流れていくことで、キャラクターCRが背景に対して相対的に右に移動する。キャラクターCRは、障害物BL1~BL3に応じて、大きいジャンプと小さいジャンプをすることで、障害物BL1~BL3を避ける。
【0093】
第1障害物BL1は、高さの大きなビルなどの障害物である。キャラクターCRは、第1障害物BL1が近づいたタイミングで、大きなジャンプをすることで、第1障害物BL1を避けることができる。
【0094】
第2障害物BL2は、第1障害物BL1よりも高さの小さな木などの障害物である。第3障害物BL3は、空中を飛んでいる鳥などの障害物であり、第2障害物BL2の右上に配置される。キャラクターCRは、第2障害物BL2が近づいたタイミングで、小さなジャンプをすることで、第2障害物BL2を飛び越えた後、第3障害物BL3の下をくぐり抜けることができる。
【0095】
このような障害物ゲームにおいては、第1コマンドを、画面上のキャラクターCRを第1高さでジャンプさせるためのコマンドとすることができる。また、第2コマンドを、画面上のキャラクターCRを第1高さよりも大きい第2高さでジャンプさせるためのコマンドとすることができる。
【0096】
この形態では、例えば
図7に示すコマンド設定処理を、ECU100に実行させることができる。
コマンド設定処理において、ECU100は、まず、前側クッションセンサSE1および後側クッションセンサSE2から圧力値を取得する(S61)。ステップS61の後、ECU100は、後側クッションセンサSE2で検出した第2検出値が、第2標準圧力値よりも小さいか否かを判定する(S62)。
【0097】
ステップS62において第2検出値が第2標準圧力値よりも小さいと判定した場合には(Yes)、ECU100は、着座者の姿勢が前傾姿勢であると判定する(S63)。つまり、この形態では、後側クッションセンサSE2を使用して、前傾姿勢を判定している。ステップS63の後、ECU100は、第1コマンドを設定し、設定した第1コマンドをスマートフォンSPに出力して(S64)、本処理を終了する。
【0098】
ステップS62において第2検出値が第2標準圧力値よりも小さくないと判定した場合には(No)、ECU100は、前側クッションセンサSE1で検出した第1検出値が、第1標準圧力値よりも小さいか否かを判定する(S65)。
【0099】
ステップS65において第1検出値が第1標準圧力値よりも小さいと判定した場合には(Yes)、ECU100は、着座者の姿勢が後傾姿勢であると判定する(S66)。つまり、この形態では、前側クッションセンサSE1を使用して、後傾姿勢を判定している。ステップS66の後、ECU100は、第2コマンドを設定し、設定した第2コマンドをスマートフォンSPに出力して(S67)、本処理を終了する。また、ステップS65において第1検出値が第1標準圧力値よりも小さくないと判定した場合には(No)、ECU100は、コマンドを設定せずに、本処理を終了する。
【0100】
この形態でも、キャラクターCRのジャンプの大小と、着座者の姿勢とが、人間の感覚に合っているので、着座者が直感的に障害物ゲームを楽しむことができる。
【0101】
シートSに設けた複数の圧力センサ21~26から取得される圧力値を利用した着座者の姿勢判定は、前述した各実施形態の方法に限定されるものではない。例えば、ECU100は、右側バックセンサSE4から第4低圧力値を取得した場合に、着座者の姿勢が左傾姿勢であると判定してもよい。また、ECU100は、左側バックセンサSE3から第3低圧力値を取得した場合に、着座者の姿勢が右傾姿勢であると判定してもよい。
【0102】
また、1つのセンサからの圧力値に基づいて、前傾と後傾の判定をしてもよいし、左傾と右傾の判定をしてもよい。例えば、前側クッションセンサSE1から第1高圧力値を取得した場合に前傾と判定し、前側クッションセンサSE1から第1低圧力値を取得した場合に後傾と判定してもよい。
【0103】
また、第1センサ、第2センサ、第3センサおよび第4センサは、前述した各実施形態に限定されない。例えば、シートバックS2に設けたセンサを、第2センサとしてもよいし、シートクッションS1に設けたセンサを、第3センサまたは第4センサとしてもよい。
【0104】
前記実施形態では、シートSに制御部(ECU100)を設けたが、本発明はこれに限定されず、制御部は、端末に設けられていてもよい。この場合、制御部は、センサから取得した情報に基づいて、操作対象を動作させるためのコマンドを設定し、コマンドに基づいて操作対象を動作させる。
【0105】
これによれば、センサからの情報をコマンドに変更するための処理をシートS側で行う必要がないので、シートSでの処理速度を早くすることができる。
【0106】
コマンドの内容は、前述した各実施形態に限定されない。例えば、第1コマンドを、シューティングゲームにおける戦闘機から弾丸を発射させるためのコマンドとしてもよい。
【0107】
前述した各ゲームの結果は、クラウドにあげてもよい。この場合、クラウドを介して、世界ランキングなどを見ることができる。また、自分の記録をクラウドに蓄積し、後で振り返ることができる。さらに、他人の記録を見ることもできる。また、自分と他人の記録を比較することができる。
【0108】
前述したシート体験システムは、自動運転車にも適用することができる。この場合、自動運転時に、シート体験システムを使用可能な設定にするとよい。また、シート体験システムの使用中においては、自動運転解除前に、シート体験システムの使用を制限するとよい。なお、この場合、突然に使用制限とならないように、事前案内手段を作動させて、音声案内や表示案内によって、所定時間後に使用制限となる旨を通知してもよい。
【0109】
また、車両の停車時のみに、シート体験システムを使用可能に設定してもよい。なお、停車の判定は、車速が0であるかや、シフトレバーがパーキングレンジに位置するかなどで、判定すればよい。
【0110】
シート体験システムの制御部は、外部環境やシート体験システム自体の異常を取得可能となっていてもよい。この場合、異常を取得したときに、シート体験システムの使用を制限するとよい。シート体験システム自体の異常としては、例えば、センサの異常、ハーネスの異常(断線)、ECU異常、通信異常(端末の異常を含む)、シートに設けたヒータやファンなどの温度調整装置の異常や、シートの一部または全部を動かすアクチュエータの異常や、シートウェイトセンサや温度センサなどの他のセンサの異常や、シートに用いられる芳香剤の容量が少ないなど、消耗品の残量や使用状況に関する異常や、シート制御部自体の異常等が含まれる。また、外部環境の異常としては、例えば、アプリを実行するのに望ましくない状況であり、他の車が接近しているとか、道路状況が悪い、車速が高い、地震が発生した、目的地が近い、目的地に着いた、目的地に着くまでゲームが終わらないことが予測される、残燃料が少ない、バッテリーの残容量が少ない、車内または車外の温度や湿度が高い、等が含まれる。
【0111】
使用を制限する方法は、一度の異常で制限する方法や、複数回の異常で制限する方法などが挙げられる。制限の仕方も何段階か設定可能である。例えば、第1段階では、使用を止めたほうが好ましいことを勧めることをメッセージや音声等で報知し、第2段階では、使用の禁止を強く提案することをメッセージや音声等で報知し、第3段階では、システムを強制終了する。
【0112】
また、所定箇所のセンサの異常を検出したときには、異常が検出されていないセンサを使ったゲームを推奨するように、シート体験システムを構成することもできる。例えば、シートクッションの座面のセンサが異常である場合には、シートクッションの座面の左右両側にある座面から盛り上がった側部のセンサを使ったゲームを推奨する。
【0113】
前記実施形態では、センサとして圧力センサ21~26を例示したが、本発明はこれに限定されず、センサは、例えば光センサや静電容量センサなどであってもよい。
【0114】
また、センサは、シートクッションまたはシートバックの左右の側部(座面から突出した部分)、ヘッドレスト、アームレスト、または、シート周りの部品(インパネ、ドア、フロア)などに設けられていてもよい。
【0115】
前記実施形態では、シートSとして、自動車で使用される車両用シートを例示したが、本発明はこれに限定されず、その他の乗物用シート、例えば、船舶や航空機などで使用されるシートに適用することもできる。また、シートは、乗物用シートに限らず、例えば、座椅子などであってもよい。
【0116】
前記実施形態では、端末としてスマートフォンSPを例示したが、本発明はこれに限定されず、端末は、例えばタブレットなどのスマートフォンSP以外の携帯端末であってもよい。また、端末は、シートに備え付けの端末であり、シートに一体に設けられていてもよい。また、端末は、カーナビゲーションシステムを構成する端末であってもよい。
【0117】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0118】
1 シート体験システム
21~26 圧力センサ
100 ECU
DSP ディスプレイ
S シート
S1 シートクッション
S10 シート本体
SP スマートフォン