(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028328
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】路面描画装置及び車両
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/50 20060101AFI20240226BHJP
F21S 41/63 20180101ALI20240226BHJP
F21S 43/20 20180101ALI20240226BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20240226BHJP
F21W 103/60 20180101ALN20240226BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
F21S41/63
F21S43/20
F21V5/04 650
F21V5/04 400
F21W103:60
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023219796
(22)【出願日】2023-12-26
(62)【分割の表示】P 2019234957の分割
【原出願日】2019-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 壮宜
(57)【要約】
【課題】 少ない部品点数で描画像を形成し、当該描画像を動かすことが可能な路面描画装置、及び車両を提供することを目的とする。
【解決手段】 路面描画装置50Fは、自動車1に搭載可能である。この路面描画装置50Fは、光Lを出射する光源51Fと、光Lが入射する入射面54及び光Lが出射する出射面55を有する描画レンズ52と、描画レンズ52の光軸の傾きが変化するように描画レンズ52を回転させる駆動部80と、を備える。入射面54及び出射面55の少なくとも一方は、光Lによる所定のキャラクターを示す描画像70が路面に投影されるように光Lを屈折させる描画寄与領域53を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載可能な路面描画装置であって、
光を出射する光源と、
前記光が入射する入射面及び前記光が出射する出射面を有するレンズと、
前記レンズの光軸の傾きが変化するように前記レンズを回転させる駆動部と、
を備え、
前記入射面及び前記出射面の少なくとも一方は、前記光による所定のキャラクターを示す描画像が路面に投影されるように前記光を屈折させる描画寄与領域を含む
ことを特徴とする路面描画装置。
【請求項2】
前記駆動部は、前記光軸に対して垂直な軸中心に前記レンズを回転させる
ことを特徴とする請求項1に記載の路面描画装置。
【請求項3】
前記駆動部は、前記描画像が前記車両の前後方向に移動するように前記レンズを回転させる
ことを特徴とする請求項1に記載の路面描画装置。
【請求項4】
前記描画寄与領域が前記出射面に位置する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の路面描画装置。
【請求項5】
前記出射面は、凸形状である
ことを特徴とする請求項4に記載の路面描画装置。
【請求項6】
前記描画像は、前記路面に互いに離間して投影される複数の像を含み、
前記描画寄与領域は、前記複数の像の各像を個別に形成する複数の領域を含む
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の路面描画装置。
【請求項7】
前記複数の領域は、曲率の異なる曲面同士が交わる交線によって区切られる
ことを特徴とする請求項6に記載の路面描画装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の路面描画装置を備える
ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面描画装置及び車両に関し、具体的には、車両に設置可能な路面描画装置及び当該路面描画装置を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、安全の観点等から、車両には、所定の形状を有する描画像を路面に描画可能な路面描画装置が設けられることがある。例えば、下記特許文献1には、このような路面描画装置を備えた車両が開示されている。この特許文献1に記載された路面描画装置は、光源と、投影レンズと、光源と投影レンズとの間に配置されるシェードと、を備えている。このシェードには所定の形状を有する開口部が設けられており、光源から出射する光がこの開口部を通過することにより、所定の形状を有する描画像が路面に描画される。また、この路面描画装置のシェードは、軸中心に回転可能に構成されている。このため、シェードを回転させることで、描画像を進行方向に対して左右に移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載されたような路面描画装置では、所定の形状の描画像を形成したり、当該描画像を動かしたりするために、光源とレンズとの間にシェードを設ける必要があるため、部品点数が増加する傾向がある。
【0005】
そこで、本発明は、少ない部品点数で描画像を形成することが可能で、少ない部品点数で上記描画像を動かすことが可能な路面描画装置、及び少ない部品点数で路面描画を行うことが可能で、少ない部品点数で路面描画における描画像を動かすことが可能な車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的の達成のため、本発明は、車両に設置可能な路面描画装置であって、光を出射する光源と、前記光が入射する入射面及び前記光が出射する出射面を有するレンズと、前記レンズの光軸の傾きが変化するように前記レンズを回転させる駆動部と、前記駆動部を所定のタイミングで駆動させる制御部と、を備え、前記入射面及び前記出射面の少なくとも一方は、前記光による所定のキャラクターを示す描画像が路面に投影されるように前記光を屈折させる描画寄与領域を含むことを特徴とするものである。
【0007】
本発明の路面描画装置によれば、レンズの入射面及び出射面の少なくとも一方が、レンズから出射する光による所定のキャラクターを示す描画像が路面に投影されるように光を屈折させる描画寄与領域を含んでいる。本明細書において、キャラクターとは、車両の動作状態を想起させ得る図形、記号、及び文字等を意味する。このため、この描画寄与領域に光を照射することによって、路面に車両の動作状態を想起させ得る描画像を形成し得る。したがって、本発明の路面描画装置によれば、このような描画像を形成するために光源とレンズとの間にシェードなどの光学部品を設ける必要がなく、部品点数を削減し得る。
【0008】
また、本発明の路面描画装置は、駆動部によってレンズの光軸の傾きを変化させることができる。すなわち、本発明の路面描画装置によれば、レンズの光軸と路面との間の角度を所定のタイミングで変えることができ、これによって、路面に投影される描画像を所定のタイミングで動かし得る。このように、本発明の路面描画装置によれば、少ない部品点数で上記描画像を動かし得る。
【0009】
なお、前記駆動部は、前記光軸に対して垂直な軸中心に前記レンズを回転させることが好ましい。
【0010】
このような構成によれば、光軸に対して非垂直な軸中心にレンズを回転させる場合に比べて、レンズの光軸の傾きを大きく変化させることができ、描画像の動きを大きくし得る。
【0011】
また、前記描画寄与領域が前記出射面に位置することが好ましい。
【0012】
この場合、光がレンズから出射する段階で当該光を描画像の形状に成型することができる。このため、描画寄与領域が上記入射面に存在する場合と比較して、描画寄与領域の形状の設計が容易になり得る。
【0013】
また、前記描画像は、前記路面に互いに離間して投影される複数の像を含み、前記描画寄与領域は、前記複数の像の各像を個別に形成する複数の領域を含んでもよい。
【0014】
このような構成によれば、領域ごとに個別に像を形成することができるため、複数の像からなる描画像を比較的容易に形成し得る。また、描画像を複数の像から形成することで、描画像が単一の像からなる場合に比べて、視認者に与えるインパクトがより強い描画像にし得る。
【0015】
また、描画像が互いに離間して投影される複数の像を含む場合、前記複数の領域は、曲率の異なる曲面同士が交わる交線によって区切られてもよい。
【0016】
このように描画寄与領域を構成することで、交線を挟んで一方側に位置する領域における光の屈折の方向と、他方側に位置する領域における光の屈折の方向とを効果的に変えることができるため、路面に互いに離間して投影される複数の像を形成することが容易になり得る。
【0017】
また、前記制御部は、方向指示器の動作時に前記駆動部を駆動させてもよい。
【0018】
この場合、方向指示器が動作するタイミングで描画像を動かすことができる。
【0019】
また、前記制御部は、ステアリングの操舵角が所定の角度以上である場合に前記駆動部を駆動させてもよい。
【0020】
この場合、車両が右又は左に旋回するタイミングで描画像を動かすことができる。
【0021】
また、前記制御部は、前記車両のアクセルが所定の閾値以上に踏み込まれた場合に前記駆動部を駆動させてもよい。
【0022】
この場合、車両のアクセルが踏み込まれたタイミングで描画像を動かすことができる。
【0023】
また、前記制御部は、前記車両のブレーキが所定の閾値以上に踏み込まれた場合に前記駆動部を駆動させてもよい。
【0024】
この場合、車両のブレーキが踏み込まれたタイミングで描画像を動かすことができる。
【0025】
また、前記車両は、前記車両の周囲に存在する人を検知するセンサを備え、前記制御部は、前記センサが前記人を検知した場合に前記駆動部を駆動させてもよい。
【0026】
この場合、センサが人を検知したタイミングで描画像を動かすことができる。
【0027】
また、上記目的の達成のため、本発明の車両は、上記いずれかに記載した路面描画装置を備えることを特徴とするものである。
【0028】
上述のように、本発明の路面描画装置によれば、少ない部品点数で描画像を形成し得、また、少ない部品点数で上記描画像を動かすことが可能になり得る。したがって、このような路面描画装置を備える本発明の車両によれば、少ない部品点数で路面描画を行うことが可能になり得、また、少ない部品点数で路面描画における描画像を動かすことが可能になり得る。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明によれば、少ない部品点数で描画像を形成することが可能で、少ない部品点数で上記描画像を動かすことが可能な路面描画装置、及び少ない部品点数で路面描画を行うことが可能で、少ない部品点数で路面描画における描画像を動かすことが可能な車両が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施形態における車両を、当該車両によって描画された描画像とともに概念的に示す平面図である。
【
図2】
図1に示す車両の一部の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示す前方路面描画装置を概念的に示す側面図である。
【
図4】前方路面描画装置を描画レンズの出射面側から見た正面図であり、前方路面描画装置の構成を概念的に示す図である。
【
図7】制御部の第1の制御を示すフローチャートである。
【
図8】制御部の第2の制御を示すフローチャートである。
【
図9】制御部の第3の制御を示すフローチャートである。
【
図10】制御部の第4の制御を示すフローチャートである。
【
図11】制御部の第5の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る路面描画装置及び車両を実施するための形態が添付図面とともに例示される。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、以下の実施形態から変更、改良することができる。また、上記添付図面では、理解を容易にするために各部材の寸法が誇張して示されている場合がある。
【0032】
図1は、実施形態における車両を概念的に示す平面図である。
図1に示すように、本実施形態における車両は4輪の自動車1である。
【0033】
図2は、自動車1の構成の一部を示すブロック図である。
図1及び
図2に示すように、自動車1は、フロントライト10と、右方向指示器20と、左方向指示器30と、バックライト40と、前方路面描画装置50Fと、後方路面描画装置50Bと、制御部60と、ステアリング61と、アクセル62と、ブレーキ63と、検知センサ65と、記憶部90と、を主な構成として備える。なお、本明細書において「右」とは自動車1の進行方向に対して右側を意味し、「左」とは自動車1の進行方向に対して左側を意味する。
【0034】
フロントライト10は、右フロントライト11及び左フロントライト12を有している。右フロントライト11及び左フロントライト12は、例えば、不図示のライトスイッチが操作されることによって同時に発光する。フロントライト10は、例えば、自動車1の運転者の操作により、又は自動制御により、ロービームやハイビーム、あるいはデイライトに切り替えることができるように構成される。
【0035】
右方向指示器20は、右フロントターンランプ21と、右サイドミラーターンランプ22と、右リアターンランプ23とを有している。右フロントターンランプ21は、例えば、右フロントライト11の右側に右フロントライト11と近接して設けられる。右サイドミラーターンランプ22は、例えば、右サイドミラーカバー24の前面に設けられる。また、右リアターンランプ23は、例えば、右バックライト41の右側に右バックライト41と近接して設けられる。右フロントターンランプ21、右サイドミラーターンランプ22、及び右リアターンランプ23は、例えば不図示の右ターンスイッチが操作されることによって同時に発光する。このように右方向指示器20が発光することによって、自動車1が右に旋回することが周囲の人に周知される。その後、運転者がステアリング61を基準位置から右回りに所定の操舵角だけ回転させることで、自動車1がその操舵角に応じて右に旋回する。
【0036】
また、右方向指示器20は、制御部60に接続されており、右フロントターンランプ21、右サイドミラーターンランプ22、及び右リアターンランプ23が発光した際に信号を制御部60に出力する。
【0037】
左方向指示器30は、左フロントターンランプ31と、左サイドミラーターンランプ32と、左リアターンランプ33とを有している。左フロントターンランプ31は、例えば、左フロントライト12の左側に左フロントライト12と近接して設けられる。左サイドミラーターンランプ32は、例えば、左サイドミラーカバー34の前面に設けられる。また、左リアターンランプ33は、例えば、左バックライト42の左側に左バックライト42と近接して設けられる。左フロントターンランプ31、左サイドミラーターンランプ32、及び左リアターンランプ33は、例えば不図示の左ターンスイッチが操作されることによって同時に発光する。このように左方向指示器30が発光することによって、自動車1が左に旋回することが周囲の人に周知される。その後、運転者がステアリング61を基準位置から左回りに所定の操舵角だけ回転させることで、自動車1がその操舵角に応じて左に旋回する。
【0038】
また、左方向指示器30は、制御部60に接続されており、左フロントターンランプ31、左サイドミラーターンランプ32、及び左リアターンランプ33が発光した際に信号を制御部60に出力する。
【0039】
バックライト40は、右バックライト41及び左バックライト42を有している。右バックライト41及び左バックライト42は、例えば、不図示のブレーキが操作されることによって、又は上記ライトスイッチが操作されることによって同時に発光する。
【0040】
前方路面描画装置50Fは、自動車1から所定の距離だけ前方に離れた路面上に所定の形状の描画像を描画する装置である。本実施形態において、前方路面描画装置50Fは、例えば、左フロントライト12の右側に左フロントライト12と近接して設置され、自動車1の中央よりも左側に設置されている。
【0041】
この前方路面描画装置50Fは、光軸が概ね前方を向く光源51Fと、制御部60と、制御部60及び後述するモータ83Fに接続される第1モータ駆動回路91Mと、制御部60及び光源51Fに接続される第1光源駆動回路91Lと、を備えている。
【0042】
後方路面描画装置50Bは、自動車1から所定の距離だけ後方に離れた路面上に所定の形状の描画像を描画する装置である。本実施形態において、後方路面描画装置50Bは、例えば、右バックライト41の左側に右バックライト41と近接して設置されている。なお、後方路面描画装置50Bは、右バックライト41及び右リアターンランプ23とともに、不図示の光透過性の筐体に覆われた灯室内に配置されてもよい。
【0043】
この後方路面描画装置50Bは、光軸が概ね後方を向く光源51Bと、制御部60と、制御部60及び後述するモータ83Bに接続される第2モータ駆動回路92Mと、制御部60及び光源51Bに接続される第2光源駆動回路92Lと、を備えている。
【0044】
左路面描画装置50Lは、自動車1から所定の距離だけ左側に離れた路面上に所定の形状の描画像を描画する装置である。本実施形態において、左路面描画装置50Lは、例えば、左フロントターンランプ31の後方に左フロントターンランプ31と近接して設置されている。なお、左路面描画装置50Lは、左フロントライト12及び左フロントターンランプ31、前方路面描画装置50Fとともに、不図示の光透過性の筐体に覆われた灯室内に配置されてもよい。
【0045】
この左路面描画装置50Lは、光軸が概ね左を向く光源51Lと、制御部60と、制御部60及び後述するモータ83Lに接続される第3モータ駆動回路93Mと、制御部60及び光源51Lに接続される第3光源駆動回路93Lと、を備えている。
【0046】
右路面描画装置50Rは、自動車1から所定の距離だけ右側に離れた路面上に所定の形状の描画像を描画する装置である。本実施形態において、右路面描画装置50Rは、例えば、右フロントターンランプ21の後方に右フロントターンランプ21と近接して設置されている。なお、右路面描画装置50Rは、右フロントライト11及び右フロントターンランプ21とともに、不図示の光透過性の筐体に覆われた灯室内に配置されてもよい。
【0047】
この右路面描画装置50Rは、光軸が概ね右を向く光源51Rと、制御部60と、制御部60及び後述するモータ83Rに接続される第4モータ駆動回路94Mと、制御部60及び光源51Rに接続される第4光源駆動回路94Lと、を備えている。
【0048】
上述のように、路面描画装置50F,50B,50L,50Rは、制御部60を共通して備えている。この制御部60は、所定のタイミングで上記モータ83F,83B,83L,83Rを駆動させる。制御部60は、例えば、自動車1の電子制御装置(ECU)の一部とされてもよく、ECUとは別に設けられてもよい。このような制御部60としては、例えば、マイクロコントローラ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large-scale
Integrated Circuit)、ASIC(Application Specific
Integrated Circuit)などの集積回路、或いはNC(Numerical Control)装置を挙げることができる。また、制御部60は、NC装置を用いた場合、機械学習器を用いたものであってもよく、機械学習器を用いないものであってもよい。
【0049】
ステアリング61は、自動車1の前方右側に設けられており、不図示の舵角センサを含んでいる。この舵角センサは、制御部60に接続されており、ステアリング61の基準位置からの操舵角に応じた信号を制御部60に出力する。
【0050】
アクセル62は、ステアリング61の前方右側に設けられており、不図示の踏み込み量センサを含んでいる。この踏み込み量センサは、制御部60に接続されており、アクセル踏み込み量に応じた信号を制御部60に出力する。
【0051】
ブレーキ63は、ステアリング61の前方左側に設けられており、不図示の踏み込み量センサを含んでいる。この踏み込み量センサは、制御部60に接続されており、ブレーキ踏み込み量に応じた信号を制御部60に出力する。
【0052】
検知センサ65は、自動車1の中央よりも左側に設置されており、人感センサとして構成されている。この検知センサ65の構成として、例えば、不図示のカメラ、画像処理部、検知部等を備える構成が挙げられる。例えば、カメラは車両の周囲を撮影可能に構成される。また、画像処理部は、カメラによって撮影された画像に画像処理を施す。また、検知部は、画像処理部によって画像処理された情報に基づいて車両の周囲に存在する人を検知する。このような構成により、検知センサ65は、自動車1の周囲の所定距離以内に位置する人を検知することができる。検知センサ65は、制御部60に接続されており、自動車1の周囲の所定距離以内に存在する人を検知した際に、信号を制御部60に出力する。
【0053】
ところで、歩行者などはステアリングが配置される側とは反対側に存在する傾向が強い。例えば、本実施形態のようにステアリング61が自動車1の右側に配置されることが主流の国や地域では、歩道が自動車1の左側に設けられる等の理由によって、歩行者が自動車1の左側に存在する傾向が強い。そこで、本実施形態のように人感センサである検知センサ65を自動車1の左側に配置することで、自動車1の右側に検知センサ65を配置する場合に比べて、人を検知し易くし得る。ただし、人感センサを設置する位置は、自動車1の前方左側に限られるものではない。
【0054】
記憶部90は、制御部60に接続されており、上記モータ83F,83B,83L,83Rを制御するためのテーブルなどを格納している。このような記憶部90として、例えば半導体メモリなどを用いてもよい。
【0055】
次に、前方路面描画装置50Fについてより詳細に説明する。
【0056】
図3は、前方路面描画装置50Fを概念的に示す側面図である。
図3に示すように、前方路面描画装置50Fは、光Lを出射する光源51Fと、描画レンズ52と、制御部60とを主な構成として備える。光源51F及び描画レンズ52は、水平面に対してやや下方に傾いた状態で配置されている。
【0057】
光源51Fは、不図示の構成によって自動車1の車体に固定されている。光源51Fは、描画レンズ52の概ね焦点上に配置されており、光Lを前方に出射する。したがって、光Lは、光源51Fから前方斜め下方に向かって出射して、描画レンズ52に入射する。
【0058】
描画レンズ52は、後述する構成によって、自動車1の車体に固定されるとともに、描画レンズ52の光軸LAに対して垂直な回転軸中心に回転可能である。描画レンズ52は、光Lが入射する入射面54と、光Lが出射する出射面55とを有している。本実施形態において、入射面54は概ね平面状の形状を有する。一方、出射面55は、光Lの出射方向に向かって凸となる形状を有している。
【0059】
図4は、前方路面描画装置50Fを描画レンズ52の出射面55側から見た正面図であり、前方路面描画装置50Fの構成を概念的に示す図である。
図4に示すように、前方路面描画装置50Fは、駆動部80をさらに備えている。描画レンズ52は、駆動部80の駆動に伴って
図4に示す基準状態から回転する。この駆動部80については後に詳細に説明する。なお、
図3では、図が複雑化することを避けるために、駆動部80の図示が省略されている。また、
図3は、
図4に示す基準状態に対応する側面図である。
【0060】
図3及び
図4に示すように、描画レンズ52の出射面55は、出射面55の外縁に位置する描画非寄与領域57と、当該描画非寄与領域57の内側に位置する描画寄与領域53とを含んでいる。描画非寄与領域57は、光源51Fからの光Lが殆ど出射しない領域、或いは、当該領域から光Lが出射する場合でもこの光Lの拡散角が大きくなり、路面への投影像として殆ど現れない領域であり、路面描画に寄与しない領域である。一方、描画寄与領域53は、光Lの大部分が出射する領域であり、路面描画に寄与する領域である。
【0061】
なお、出射面55の全体が描画寄与領域53となるように描画レンズ52を形成してもよい。
【0062】
描画寄与領域53は、異なる曲率を有する3つの曲面が連結して形成されており、下部に位置する曲面からなる第1領域53aと、中央に位置して最も突出する曲面からなる第2領域53bと、上部に位置する曲面からなる第3領域53cとに区切られている。すなわち、第1領域53aと第2領域53bとは、異なる曲率を有する曲面同士が交わる交線CL1により区切られており、第2領域53bと第3領域53cとは、異なる曲率を有する曲面同士が交わる交線CL2により区切られている。
【0063】
図4に示すように、交線CL1及び交線CL2は、上記基準状態において上方に凸となる略逆V字状の軌跡を有している。このような交線CL1,CL2により領域53a,53b,53cの境界が画定されることによって、本実施形態の3つの領域53a,53b,53cは、いずれも正面視において概ね略逆V字状の形状を有する領域となる。
【0064】
このような構成を有する前方路面描画装置50Fにおいて、描画レンズ52が上記基準状態にある際に光源51Fから光Lが出射すると、光Lは、前方斜め下方に向かって伝搬して、描画レンズ52の入射面54に入射する。その後、光Lのうち下方に位置する成分は、描画レンズ52の概ね下側の部分を透過して、第1領域53aから前方斜め下方に出射する。本実施形態において、第1領域53aの形状は、当該領域53aから出射する光が当該領域53aの形状と概ね同じ形状になるように屈折する形状とされる。上述のように、第1領域53aは概ね略逆V字状の形状を有している。したがって、第1領域53aから出射する光Lの成分は、第1領域53aの略逆V字状の形状に基づいて成型され、概ね略逆V字状の形状を有する光Laとなる。
【0065】
また、光Lのうち中央に位置する成分は、描画レンズ52の概ね中央の部分を透過して、第2領域53bから前方斜め下方に出射する。本実施形態において、第2領域53bの形状は、当該領域53bから出射する光が当該領域53bの形状と概ね同じ形状になるように屈折する形状とされる。上述のように、第2領域53bは概ね略逆V字状の形状を有している。したがって、第2領域53bから出射する光Lの成分は、この略逆V字状の形状に基づいて成型され、概ね略逆V字状の形状を有する光Lbとなる。
【0066】
また、光Lのうち上方に位置する成分は、描画レンズ52の概ね上側の部分を透過して、第3領域53cから前方斜め下方に出射する。本実施形態において、第3領域53cの形状は、当該領域53cから出射する光が当該領域53cの形状と概ね同じ形状になるように屈折する形状とされる。上述のように、第3領域53cは概ね略逆V字状の形状を有している。したがって、第3領域53cから出射する光Lの成分は、この略逆V字状の形状に基づいて成型され、概ね略逆V字状の形状を有する光Lcとなる。
【0067】
こうして、光La~Lcが自動車1から前方斜め下方に出射する結果、
図3に示すように、自動車1から前方に所定の距離離れた路面RFに描画像70が描画される。この描画像70は、光Laが路面RFに投影された像71と、光Lbが路面RFに投影された像72と、光Lcが路面RFに投影された像73とを含んでいる。なお、上記所定の距離は、例えば、自動車1から1m以上5m以下の距離であってもよい。
【0068】
以下、像71,72,73について説明する。
【0069】
上述のように、第1領域53aと第2領域53bとは、異なる曲率を有する曲面同士が交わる交線CL1によって区切られている。このため、交線CL1を挟んで下方の領域である第1領域53aから出射する光Laが屈折する方向と、交線CL1を挟んで上方の領域である第2領域53bから出射する光Lbが屈折する方向とは互いに異なる。本実施形態では、第1領域53aを形成する曲面及び第2領域53bを形成する曲面は、光Laと光Lbとが個別に前方斜め下方に伝搬する形状に形成されている。より具体的には、第1領域53aの曲面は、光Laが路面RFの自動車1に最も近い第1位置R1に到達するように形成されている。また、第2領域53bの曲面は、第1位置R1から離間して第1位置R1の前方に位置する第2位置R2に光Lbが到達するように形成されている。したがって、光Laによる路面RFにおける像71と、光Lbによる路面RFにおける像72とは、路面RFに互いに離間して個別に投影される。
【0070】
また、上述のように、第2領域53bと第3領域53cとは、異なる曲率を有する曲面同士が交わる交線CL2によって区切られている。このため、交線CL2を挟んで下方の領域である第2領域53bから出射する光Lbが屈折する方向と、交線CL2を挟んで上方の領域である第3領域53cから出射する光Lcが屈折する方向とは互いに異なる。本実施形態では、第2領域53bを形成する曲面及び第3領域53cを形成する曲面は、光Lbと光Lcとが個別に前方斜め下方に伝搬する形状に形成されている。より具体的には、第3領域53cの曲面は、第2位置R2から離間して第2位置R2の前方に位置する第3位置R3に光Lcが到達するように形成されている。したがって、光Lbによる路面RFにおける像72と、光Lcによる路面RFにおける像73とは、路面RFに互いに離間して個別に投影される。
【0071】
このように、描画レンズ52が上記基準状態にある場合、略逆V字状に成型された光La,Lb,Lcが前方斜め下方に伝搬して、路面RFに互いに離間して到達する。その結果、路面RFに描画される描画像70は、
図1に示すように、光Laが第1位置R1に投影されてなる略逆V字状の像71と、光Lbが第2位置R2に投影されてなる略逆V字状の像72と、光Lcが第3位置R3に投影されてなる略逆V字状の像73とが互いに離間して前後方向に並んだ描画像となる。すなわち、前方路面描画装置50Fによって描画される描画像70は、自動車1から遠い側である前方側に凸となるキャラクターを示す。このように、描画像70は、略逆V字状の像71,72,73が前後方向に並んだキャラクターを示すため、描画像70の視認者は、例えば自動車1が走行中であることなどを想起し得る。
【0072】
このような略逆V字状の像71,72,73が3つ連なった描画像70を形成するためには、例えば、上述の第1領域53a、第2領域53b、及び第3領域53cの正面視における大きさの比率を概ね1:1:1にすることが好ましい。また、このような描画像70を形成する描画寄与領域53の形状は、概ね球面を基調とする形状であることが好ましい。
【0073】
なお、描画像70の形状及び寸法は、
図1に示すものに限定されるものではない。
【0074】
次に、前方路面描画装置50Fの上記駆動部80について詳細に説明する。
【0075】
図4に示すように、駆動部80は、レンズホルダ81と、回転軸84と、モータ83Fとを備えている。モータ83Fは、不図示の構成により自動車1の車体に固定されている。
【0076】
レンズホルダ81は、描画レンズ52の外周面に固定されている。レンズホルダ81は、正面視において板状の外形を有している。
【0077】
回転軸84は、レンズホルダ81に固定されており、モータ83Fのモータ軸に接続されている。また、回転軸84は、描画レンズ52の光軸LAに対して垂直に延びており、具体的には左右方向に延びている。本実施形態において、回転軸84が固定される位置は、描画レンズ52の中心の上下方向における位置と概ね同一である。また、回転軸84のうち上記モータ軸と接続する側と反対側の端部は、自動車1の車体に固定された不図示の軸受けに回転可能に固定されている。
【0078】
なお、回転軸84がレンズホルダ81に固定される位置は、上記に限られない。例えば、レンズホルダ81の上端部に固定されてもよい。ただし、回転軸84が固定される位置を描画レンズ52の中心の上下方向における位置にすることによって、回転軸84が描画レンズ52の重心付近を通り得る。したがって、回転軸84への負荷が軽減され得るとともに、描画レンズ52の不要な回転が効果的に抑制され得る。
【0079】
モータ83Fは、制御部60に接続されており、この制御部60の制御に基づいて回転する。また、モータ83Fは、制御部60に接続された不図示のエンコーダを含んでいる。このエンコーダは、モータ83Fのモータ軸の回転位置を検知して、所定の信号を制御部60に出力する。制御部60は、エンコーダからの信号に基づいて、モータ83Fの回転数を制御する。このようなモータ83Fの種類は特に限定されないが、例えばステッピングモータであってもよい。
【0080】
このような駆動部80によって、描画レンズ52は例えば以下のように動作する。
【0081】
制御部60がモータ83Fを駆動させると、モータ83Fの回転に伴って回転軸84が回転する。上述のように、レンズホルダ81及び描画レンズ52は、回転軸84に固定されている。このため、モータ83Fが駆動すると、
図5に示すように、レンズホルダ81及び描画レンズ52は回転軸84を中心として回転する。例えば、
図5において破線で示した第2状態から実線で示した第1状態まで、描画レンズ52が回転する。描画レンズ52の回転範囲は、0.3°以上20°以下であってもよく、0.3°以上15°以下が好ましく、0.3°以上5°以下がより好ましく、0.3°以上3°以下がさらに好ましい。これにより、描画レンズ52の光軸LAの傾きが変化する。具体的には、光軸LAの傾きが変化して、光軸LAと路面RFとの間の角度αが変化する。
【0082】
図5に示すように、上記第1状態における光軸LAと路面RFとの間の角度αは、例えば、
図3に示す基準状態における角度αよりも小さい。このように角度αが小さくなることによって、描画レンズ52から出射する光は、上記基準状態に比べて自動車1から遠い位置に照射される。例えば、
図1において路面RFに描画される位置よりも前方側に、光Lが照射される。こうして、第1状態では、例えば
図6において実線で示すように、描画像70が、
図1における位置よりも前方側に投影される。
【0083】
一方、上記第2状態における光軸LAと路面RFとの間の角度αは、例えば、
図3に示す基準状態における角度αよりも大きい。このように角度αが大きくなることによって、描画レンズ52から出射する光は、上記基準状態に比べて自動車1に近い位置に照射される。例えば、
図1において路面RFに描画される位置よりも後方側に、光Lが照射される。こうして、第2状態では、例えば
図6において破線で示すように、描画像70が、
図1における位置よりも後方側に投影される。
【0084】
なお、上記駆動部80の構成は例示的なものであり、描画レンズの光軸LAの傾きを変化させるように描画レンズを回転させることができるのであれば、その他の構成を用いてもよい。
【0085】
本実施形態において、路面描画装置50B,50L,50Rは、光Lをそれぞれ後方、左、右に出射する点、及び、描画レンズ52の出射面55がそれぞれ後方、左、右に向いている点を除いて、前方路面描画装置50Fと概ね同様の構成を有する。すなわち、
図1に示すように、後方路面描画装置50Bによって描画される描画像70は、自動車1から遠い側である後方側に凸となるキャラクターを示し、この描画像70は、駆動部80の駆動に伴って、後方側及び自動車1に近い側である前方側に移動する。また、左路面描画装置50Lによって描画される描画像70は、自動車1から遠い側である左側に凸となるキャラクターを示し、この描画像70は、駆動部80の駆動に伴って、左側及び自動車1に近い側である右側に移動する。また、右路面描画装置50Rによって描画される描画像70は、自動車1から遠い側である右側に凸となるキャラクターを示し、この描画像70は、駆動部80の駆動に伴って、右側及び自動車1に近い側である左側に移動する。
【0086】
なお、上述のように、路面描画装置50B,50L,50Rは前方路面描画装置50Fと概ね同様の構成を有するため、これら路面描画装置50B,50L,50Rの詳細な構成に関する説明は省略する。
【0087】
次に、路面描画装置50F,50B,50L,50Bの動作の一例について説明する。
【0088】
まず、制御部60による第1の制御について説明する。
【0089】
図7は、制御部60の前方路面描画装置50Fに対する第1の制御フローの一例を示すフローチャートである。
図7に示すように、この前方路面描画装置50Fの制御フローは、ステップSP11~ステップSP15を含んでいる。
【0090】
この第1の制御では、自動車1のイグニッション電源がオンになると、制御部60による前方路面描画装置50Fの制御がスタートする。なお、このスタート状態では、描画レンズ52は
図3に示す基準状態にあり、光源51Fは発光していない。
【0091】
(ステップSP11)
まず、制御部60は、アクセル62の踏み込み量センサから所定の信号が入力する否か判断する。上述のように、制御部60には、踏み込み量センサから、アクセル踏み込み量に応じた信号が入力する。アクセル踏み込み量が閾値以上である旨の信号が踏み込み量センサから入力する場合、制御部60は、ステップをステップSP12に進める。
【0092】
一方、踏み込み量センサから制御部60に入力する信号が、アクセル踏み込み量が閾値以上でない旨の信号であるときは、制御部60は本ステップを繰り返す。すなわち、この場合、光源51Fは発光しない。
【0093】
なお、本明細書において「判断」とは、制御部60がステップを進めたり戻したり、あるいは、繰り返したりすることをいう。
【0094】
(ステップSP12)
本ステップにおいて、制御部60は、第1光源駆動回路91Lに制御信号を出力する。これにより、第1光源駆動回路91Lから光源51Fに電力が供給され、光源51Fから光Lが出射する。その結果、前方路面描画装置50Fによって自動車1の前方の路面RFに、
図1に示す描画像70が描画される。
【0095】
制御部60は、第1光源駆動回路91Lに制御信号を出力すると、ステップをステップSP13に進める。
【0096】
(ステップSP13)
本ステップにおいて、制御部60は、以下の制御に基づいて、描画レンズ52を前後方向に揺動させる。
【0097】
具体的には、制御部60は、まず、第1制御信号を第1モータ駆動回路91Mに出力する。これにより、モータ83Fが所定の回転数だけ回転し、上述のように、描画レンズ52が回転軸84を中心として回転する。その結果、描画レンズ52が、基準状態から例えば
図5において実線で示す上記第1状態まで回転する。これにより、描画レンズ52と路面RFとの間の角度αが基準状態に比べて小さくなり、
図6に示すように、描画像70が基準状態における位置よりも前方側に移動する。
【0098】
描画レンズ52が第1状態となり、モータ83Fの上記エンコーダから、モータ軸の回転位置が第1状態に対応する回転位置である旨の信号が制御部60に入力すると、制御部60は、第1制御信号に代えて、当該第1制御信号とは異なる第2制御信号を第1モータ駆動回路91Mに出力する。これにより、描画レンズ52は、回転軸84を中心として逆回転する。その結果、描画レンズ52が、第1状態から例えば
図5において破線で示す第2状態まで回転する。これにより、描画レンズ52と路面RFとの間の角度αが基準状態に比べて大きくなり、
図6に示すように、描画像70が基準状態における位置よりも後方側に移動する。
【0099】
描画レンズ52が第2状態となり、モータ83Fの上記エンコーダから、モータ軸の回転位置が第2状態に対応する回転位置である旨の信号が制御部60に入力すると、制御部60は、第2制御信号に代えて、上記第1制御信号を第1モータ駆動回路91Mに再び出力する。これにより、モータ83Fが所定の回転数だけ回転し、上述のように、描画レンズ52が回転軸84を中心として回転する。その結果、描画レンズ52が
図3に示す基準状態に戻る。
【0100】
描画レンズ52が基準状態に戻り、モータ83Fの上記エンコーダから、モータ軸の回転位置が基準状態に対応する回転位置である旨の信号が制御部60に入力すると、制御部60は、制御信号の出力を中断して、ステップをステップSP14に進める。
【0101】
こうして、本ステップにおいて、描画レンズ52が前後方向に揺動し、この描画レンズ52の動作に伴って、描画像70が前後方向に揺動する。これにより、自動車1の周囲に存在する人、特に、自動車1の前方に存在する人は、自動車1が加速して接近することなどを想起し得、例えば安全性が向上し得る。
【0102】
なお、本ステップにおいて、基準状態よりも前方側に移動した描画レンズ52が後方側に移動する際に、当該描画レンズ52が基準状態に戻った時点で、第2制御信号の出力を中断してもよい。この場合、描画レンズ52が基準状態よりも後方側に移動することなく本ステップが終了する。すなわち、この場合、描画レンズ52が基準状態よりも後方側に移動して上記第2状態になる場合に比べて、描画像70の前後方向における移動幅が小さくなる。一方、上記のように、描画レンズ52が基準状態よりも後方側に移動するように第2制御信号を出力する場合、描画像70の前後方向における移動幅が大きくなり、描画像70の動きがダイナミックになり得る。
【0103】
(ステップSP14)
次に、制御部60は、アクセル62の踏み込み量センサから所定の信号が入力するか否か再び判断する。本ステップにおいて、アクセル踏み込み量が閾値以上である旨の信号が入力したときは、制御部60は、ステップをステップSP13に戻す。これにより、制御部60によって第1制御信号及び第2制御信号が再び出力され、上記のように、描画レンズ52が前後方向に再び揺動し、描画像70の前後方向の揺動が継続される。
【0104】
一方、アクセル踏み込み量が閾値以上でない旨の信号が制御部60に入力したときは、制御部60は、ステップをステップSP15に進める。
【0105】
(ステップSP15)
本ステップにおいて、制御部60は、第1光源駆動回路91Lに制御信号を出力することを中断する。これにより、光源51Fに電力が供給されなくなり、路面RFに描画された描画像70が消失する。
【0106】
制御部60は、第1光源駆動回路91Lに制御信号を出力することを中断すると、ステップをステップSP11に戻す。
【0107】
本実施形態において、制御部60は、自動車1のイグニッション電源がオンの間上記ステップSP11~ステップSP15を繰り返す。
【0108】
このような第1の制御によれば、アクセル62が所定の踏み込み量以上踏み込まれたタイミングで、前方の路面に描画される描画像70を前後方向に揺動させることができる。したがって、自動車1の周囲に存在する人、特に自動車1の前方に存在する人は、自動車1が加速して接近することなどを想起し得、例えば安全性が向上し得る。
【0109】
なお、この第1の制御において、光源51Fを点滅させてもよい。こうすることで、点滅する描画像を路面に描画することができ、描画像のインパクトをより強くし得る。
【0110】
次に、制御部60による第2の制御について説明する。
【0111】
図8は、制御部60の前方路面描画装置50Fに対する第2の制御フローの一例を示すフローチャートである。
図8に示すように、この前方路面描画装置50Fの制御フローは、ステップSP21~ステップSP25を含んでいる。
【0112】
この第2の制御では、自動車1のイグニッション電源がオンになると、制御部60による前方路面描画装置50Fの制御がスタートする。なお、このスタート状態では、描画レンズ52は
図3に示す基準状態にあり、光源51Fは発光していない。
【0113】
(ステップSP21)
まず、制御部60は、検知センサ65から信号が入力するか否か判断する。上述のように、人感センサである検知センサ65は、自動車1の周囲の所定距離以内に存在する人を検知した際に信号を制御部60に出力する。本ステップにおいて、検知センサ65からの信号が制御部60に入力しない場合、制御部60は本ステップを繰り返す。一方、検知センサ65からの信号が制御部60に入力すると、制御部60はステップをステップSP22に進める。
【0114】
(ステップSP22)
本ステップにおいて、制御部60は、第1光源駆動回路91Lに制御信号を出力する。これにより、第1光源駆動回路91Lから光源51Fに電力が供給され、光源51Fから光Lが出射する。その結果、前方路面描画装置50Fによって自動車1の前方の路面RFに、
図1に示す描画像70が描画される。
【0115】
制御部60は、第1光源駆動回路91Lに制御信号を出力すると、ステップをステップSP23に進める。
【0116】
(ステップSP23)
本ステップにおいて、制御部60は、上記第1の制御におけるステップSP13と同様の制御を行う。これにより、描画レンズ52が回転軸84を中心として揺動し、この描画レンズ52の動作に伴って、描画像70が前後方向に揺動する。これにより、検知センサ65によって検知された人は、近傍に自動車1が存在することを想起し得、例えば安全性が向上し得る。
【0117】
(ステップSP24)
次に、制御部60は、検知センサ65から信号が入力するか否か再び判断する。本ステップにおいて、検知センサ65からの信号が制御部60に入力する場合、制御部60は、ステップをステップSP13に戻す。これにより、制御部60によって第1制御信号及び第2制御信号が再び出力され、上記のように、描画レンズ52が再び揺動し、描画像70の前後方向の揺動が継続される。
【0118】
一方、検知センサ65からの信号が制御部60に入力しない場合、制御部60は、ステップをステップSP25に進める。
【0119】
(ステップSP25)
本ステップは、上記ステップSP15と同様である。すなわち、本ステップにおいて、第1光源駆動回路91Lに制御信号が出力されることが中断され、路面RFに描画された描画像70が消失する。
【0120】
制御部60は、第1光源駆動回路91Lに制御信号を出力することを中断すると、ステップをステップSP21に戻す。
【0121】
本実施形態において、制御部60は、自動車1のイグニッション電源がオンの間上記ステップSP21~ステップSP25を繰り返す。
【0122】
このような第2の制御によれば、検知センサ65が人を検知したタイミングで、前方の路面に描画される描画像70を前後方向に揺動させることができる。したがって、自動車1の周囲に存在する人は、当該人の周囲に自動車1が存在することなどを想起し得、例えば安全性が向上し得る。
【0123】
なお、この第2の制御において、光源51Fを点滅させてもよい。こうすることで、点滅する描画像を路面に描画することができ、描画像のインパクトをより強くし得る。
【0124】
次に、制御部60による第3の制御について説明する。
【0125】
図9は、制御部60の後方路面描画装置50Bに対する第3の制御フローの一例を示すフローチャートである。
図9に示すように、この後方路面描画装置50Bの制御フローは、ステップSP31~ステップSP35を含んでいる。
【0126】
この第3の制御では、自動車1のイグニッション電源がオンになると、制御部60による後方路面描画装置50Bの制御がスタートする。なお、このスタート状態では、描画レンズ52は
図3に示す基準状態にあり、光源51Bは発光していない。
【0127】
(ステップSP31)
まず、制御部60は、ブレーキ63の踏み込み量センサから所定の信号が入力する否か判断する。上述のように、制御部60には、踏み込み量センサから、ブレーキ踏み込み量に応じた信号が入力する。ブレーキ踏み込み量が閾値以上である旨の信号が踏み込み量センサから入力する場合、制御部60は、ステップをステップSP32に進める。一方、踏み込み量センサから制御部60に入力する信号が、ブレーキ踏み込み量が閾値以上でない旨の信号であるときは、制御部60は本ステップを繰り返す。
【0128】
(ステップSP32)
本ステップにおいて、制御部60は、第2光源駆動回路92Lに制御信号を出力する。これにより、第2光源駆動回路92Lから光源51Bに電力が供給され、光源51Bから光Lが出射する。その結果、後方路面描画装置50Bによって自動車1の後方の路面RBに、
図1に示す描画像70が描画される。
【0129】
制御部60は、第2光源駆動回路92Lに制御信号を出力すると、ステップをステップSP33に進める。
【0130】
(ステップSP33)
本ステップにおいて、制御部60は、上記第1の制御におけるステップSP13と同様の制御を行う。これにより、描画レンズ52が揺動し、この描画レンズ52の動作に伴って、描画像70が前後方向に揺動する。これにより、自動車1の周囲に存在する人、特に自動車1の後方に存在する人は、自動車1が減速することなどを想起し得、例えば安全性が向上し得る。
【0131】
(ステップSP34)
次に、制御部60は、ブレーキ63の踏み込み量センサから所定の信号が入力するか否か再び判断する。本ステップにおいて、ブレーキ踏み込み量が閾値以上である旨の信号が入力したときは、制御部60は、ステップをステップSP33に戻す。これにより、制御部60によって第1制御信号及び第2制御信号が再び出力され、上記のように、描画レンズ52が再び揺動し、描画像70の前後方向の揺動が継続される。
【0132】
一方、ブレーキ踏み込み量が閾値以上でない旨の信号が制御部60に入力したときは、制御部60は、ステップをステップSP35に進める。
【0133】
(ステップSP35)
本ステップにおいて、制御部60は、第2光源駆動回路92Lに制御信号を出力することを中断する。これにより、光源51Bに電力が供給されなくなり、路面RBに描画された描画像70が消失する。
【0134】
制御部60は、第2光源駆動回路92Lに制御信号を出力することを中断すると、ステップをステップSP31に戻す。
【0135】
本実施形態において、制御部60は、自動車1のイグニッション電源がオンの間上記ステップSP31~ステップSP35を繰り返す。
【0136】
このような第3の制御によれば、ブレーキ63が所定の踏み込み量以上踏み込まれたタイミングで、後方の路面に描画される描画像70を前後方向に揺動させることができる。したがって、自動車1の周囲に存在する人、特に自動車1の後方に存在する人は、自動車1が減速することなどを想起し得、例えば安全性が向上し得る。
【0137】
なお、この第3の制御において、光源51Bを点滅させてもよい。こうすることで、点滅する描画像を路面に描画することができ、描画像のインパクトをより強くし得る。
【0138】
次に、制御部60による第4の制御について説明する。
【0139】
図10は、制御部60の左路面描画装置50Lに対する第4の制御フローの一例を示すフローチャートである。
図10に示すように、この左路面描画装置50Lの制御フローは、ステップSP41~ステップSP45を含んでいる。
【0140】
この第4の制御では、自動車1のイグニッション電源がオンになると、制御部60による左路面描画装置50Lの制御がスタートする。なお、このスタート状態では、描画レンズ52は
図3に示す基準状態にあり、光源51Lは発光していない。
【0141】
(ステップSP41)
まず、制御部60は、左方向指示器30からの信号が入力するか否か判断する。上述のように、左方向指示器30は、左ターンスイッチが操作されたときに信号を制御部60に出力する。本ステップにおいて、制御部60は、左方向指示器30から上記信号が入力しない場合、本ステップを繰り返す。一方、左方向指示器30から上記信号が入力する場合、制御部60は、ステップをステップSP42に進める。
【0142】
(ステップSP42)
本ステップにおいて、制御部60は、第3光源駆動回路93Lに制御信号を出力する。これにより、第3光源駆動回路93Lから光源51Lに電力が供給され、光源51Lから光Lが出射する。その結果、左路面描画装置50Lによって自動車1の左側の路面RLに、
図1に示す描画像70が描画される。
【0143】
制御部60は、第3光源駆動回路93Lに制御信号を出力すると、ステップをステップSP43に進める。
【0144】
(ステップSP43)
本ステップにおいて、制御部60は、上記第1の制御におけるステップSP13と同様の制御を行う。これにより、描画レンズ52が揺動し、この描画レンズ52の動作に伴って、描画像70が左右方向に揺動する。これにより、自動車1の周囲に存在する人、特に自動車1の左側に存在する人は、自動車1が左旋回することなどを想起し得、例えば安全性が向上し得る。より具体的には、自動車1が左折する際の巻きこみ事故などが抑制され得る。
【0145】
(ステップSP44)
次に、制御部60は、左方向指示器30からの信号が入力するか否か再び判断する。本ステップにおいて、左方向指示器30からの信号が入力したときは、制御部60は、ステップをステップSP43に戻す。これにより、制御部60によって第1制御信号及び第2制御信号が再び出力され、描画レンズ52が再び揺動し、描画像70の左右方向の揺動が継続される。
【0146】
一方、左方向指示器30からの信号が制御部60に入力したときは、制御部60は、ステップをステップSP45に進める。
【0147】
(ステップSP45)
本ステップにおいて、制御部60は、第3光源駆動回路93Lに制御信号を出力することを中断する。これにより、光源51Lに電力が供給されなくなり、路面RLに描画された描画像70が消失する。
【0148】
制御部60は、第3光源駆動回路93Lに制御信号を出力することを中断すると、ステップをステップSP41に戻す。
【0149】
本実施形態において、制御部60は、自動車1のイグニッション電源がオンの間上記ステップSP41~ステップSP45を繰り返す。
【0150】
このような第4の制御によれば、左方向指示器30が発光するタイミングで、左側の路面に描画される描画像70を左右方向に揺動させることができる。したがって、自動車1の周囲に存在する人、特に自動車1の左側に存在する人は、自動車1が左旋回することなどを想起し得、例えば安全性が向上し得る。
【0151】
なお、この第4の制御において、光源51Bを点滅させてもよい。こうすることで、点滅する描画像を路面に描画することができ、描画像のインパクトをより強くし得る。
【0152】
また、この第4の制御を、左ターンスイッチからの信号に加えて、又は左ターンスイッチからの信号に代えて、上記検知センサ65からの信号に基づいて行ってもよい。このようにすることで、自動車1の左折時における上記巻きこみ事故などをより効果的に抑制し得る。
【0153】
次に、制御部60による第5の制御について説明する。
【0154】
図11は、制御部60の右路面描画装置50Rに対する第5の制御フローの一例を示すフローチャートである。
図11に示すように、この右路面描画装置50Rの制御フローは、ステップSP51~ステップSP56を含んでいる。
【0155】
この第5の制御では、自動車1のイグニッション電源がオンになると、制御部60による右路面描画装置50Rの制御がスタートする。なお、このスタート状態では、描画レンズ52は
図3に示す基準状態にあり、光源51Rは発光していない。
【0156】
(ステップSP51)
まず、制御部60は、右方向指示器20からの信号が入力するか否か判断する。上述のように、右方向指示器20は、右ターンスイッチが操作されたときに信号を制御部60に出力する。本ステップにおいて右方向指示器20から上記信号が入力しない場合、制御部60は本ステップを繰り返す。一方、右方向指示器20から上記信号が入力する場合、制御部60は、ステップをステップSP52に進める。
【0157】
(ステップSP52)
本ステップにおいて、制御部60は、第4光源駆動回路94Lに制御信号を出力する。これにより、第4光源駆動回路94Lから光源51Rに電力が供給され、光源51Rから光Lが出射する。その結果、右路面描画装置50Rによって自動車1の右側の路面RRに、
図1に示す描画像70が描画される。
【0158】
制御部60は、第4光源駆動回路94Lに制御信号を出力すると、ステップをステップSP53に進める。
【0159】
(ステップSP53)
本ステップにおいて、制御部60は、右回りの操舵角が所定の角度以上である旨の信号がステアリング61の舵角センサから入力するか否か判断する。上述のように、ステアリング61は、不図示の舵角センサを含んでおり、当該舵角センサは、ステアリング61の基準位置からの操舵角に応じた信号を制御部60に出力する。本ステップにおいて、舵角センサから右回りの操舵角が所定の角度以上である旨の信号が入力する場合、制御部60はステップをステップSP54に進める。一方、舵角センサから上記信号が入力しない場合、制御部60はステップをSP55に進める。
【0160】
(ステップSP54)
本ステップにおいて、制御部60は、描画レンズ52がステアリング61の操舵角に応じた揺動をするようにモータ83Rを制御する。具体的には、制御部60は、基準状態から上記第1状態までの描画レンズ52の回転角が操舵角に応じて変化するように、モータ83Rを制御する。
【0161】
上述のように、制御部60に接続された記憶部90には、モータ83Rを制御するテーブルが格納されている。具体的には、記憶部90には、ステアリング61の操舵角と、当該操舵角に対応する基準状態からの回転角とを対応付ける第1テーブル、及び、描画レンズ52の回転角と、モータ83Rの回転数とを対応付ける第2テーブルが格納されている。本実施形態において、第1テーブルは、大きな操舵角ほど大きな回転角が対応付けられるように構成されている。
【0162】
制御部60は、舵角センサから信号が入力されると、記憶部90から第1テーブルを読み出し、当該第1テーブルに基づいて、舵角センサから入力された信号に対応する描画レンズ52の回転角を求める。次に、制御部60は、記憶部90から第2テーブルを読み出し、当該第2テーブルに基づいて、求めた描画レンズ52の回転角に対応するモータ83Rの回転数を求める。そして、制御部60は、求めたモータ83Rの回転数データと、モータ83Rのエンコーダから入力する信号とに基づいて、操舵角に応じた回転を描画レンズ52にさせるためのモータ83Rの回転数を決定する。こうして、制御部60は、決定した回転数に対応する上記第1制御信号を第4モータ駆動回路94Mに出力する。これにより、モータ83Rが決定された回転数だけ回転し、描画レンズ52がステアリング61の操舵角に応じた回転をする。その結果、基準状態にある描画レンズ52が、操舵角に応じた回転角だけ回転し、上記第1状態となる。その後、モータ軸の回転位置が所定の回転位置である旨の信号が制御部60に入力すると、制御部60は、第4モータ駆動回路94Mに上記第2制御信号を出力し、上記決定した回転数だけモータ83Rを逆回転させる。こうして、制御部60は、モータ83Rを基準状態に戻す。このように、基準状態から第1状態に移動した後第1状態から基準状態に戻る揺動を描画レンズ52がすることによって、描画像70は、操舵角に応じた距離だけ右方に移動した後、基準状態の位置である
図1に示す位置に戻る。
【0163】
そして、モータ軸の回転位置が基準状態に対応する回転位置である旨の信号が制御部60に入力すると、制御部60は、ステップをステップSP53に戻す。したがって、制御部60は、操舵角が所定の角度以上である場合には、2回目のステップSP54を行い、新たな操舵角に対応する回転数を再び決定する。例えば、2度目のステップSP54における操舵角が1度目のステップSP54における操舵角よりも大きい場合には、描画レンズ52は1回目のステップSP54よりも大きく揺動し、これに伴い、描画像70が1回目のステップSP54よりも大きく揺動する。このように、この第5の制御によれば、制御部60は、操舵角に応じて描画レンズ52を搖動させ、その結果、描画像70が操舵角に応じて揺動する。
【0164】
(ステップSP55)
本ステップにおいて、制御部60は、右ターンスイッチからの信号が入力するか否か再び判断する。上記信号が制御部60に入力する場合、制御部60はステップをステップSP53に戻す。こうして、右方向指示器20が発光している間、描画像70は操舵角に応じて左右方向に揺動する。
【0165】
一方、右ターンスイッチからの信号が制御部60に入力しない場合、制御部60はステップをステップSP56に進める。
【0166】
(ステップSP56)
本ステップにおいて、制御部60は、第4光源駆動回路94Lに制御信号を出力することを中断する。これにより、光源51Rに電力が供給されなくなり、路面RRに描画された描画像70が消失する。
【0167】
制御部60は、第4光源駆動回路94Lに制御信号を出力することを中断すると、ステップをステップSP51に戻す。
【0168】
本実施形態において、制御部60は、自動車1のイグニッション電源がオンの間上記ステップSP51~ステップSP56を繰り返す。
【0169】
このような第5の制御によれば、右方向指示器20が動作するタイミング、または自動車1が右旋回するタイミングで、右側の路面RRに描画像70が路面に描画される。したがって、自動車1の周囲に存在する人、特に自動車1の右側に存在する人は、自動車1の右旋回を想起し得、例えば安全性が向上し得る。
【0170】
また、この第5の制御によれば、上述のように、自動車1が右旋回するに従って描画像70が搖動する幅を大きくすることができる。したがって、自動車1の周囲に存在する人に対して、自動車1が右旋回しているインパクトをより強く与え得る。
【0171】
なお、この第2の制御において、光源51F,51Bを点滅させてもよい。こうすることで、点滅する描画像を路面に描画することができ、描画像のインパクトをより強くし得る。
【0172】
以上説明したように、本実施形態に係る路面描画装置50F,50B,50L,50Rのそれぞれは、光Lを出射する光源と、光Lが入射する入射面54及び光Lが出射する出射面55を有する描画レンズ52と、描画レンズ52の光軸LAの傾きが変化するように描画レンズ52を回転させる駆動部80と、駆動部80を所定のタイミングで駆動させる制御部60と、を備え、出射面55は、光Lによる所定のキャラクターを示す描画像70が路面に投影されるように光Lを屈折させる描画寄与領域53を含む。
【0173】
このような構成によれば、描画寄与領域53に光Lを照射することによって、路面に自動車1の動作状態を想起させ得る描画像を形成し得る。したがって、本実施形態の路面描画装置50F,50B,50L,50Rによれば、このような描画像70を形成するために光源とレンズとの間にシェードなどの光学部品を設ける必要がなく、部品点数を削減し得る。
【0174】
また、本実施形態の路面描画装置50F,50B,50L,50Rによれば、駆動部80によって描画レンズ52の光軸LAの傾きを変化させることができる。したがって、描画レンズ52の光軸LAと路面との間の角度αを所定のタイミングで変えることができ、これによって、路面に投影される描画像70を所定のタイミングで動かし得る。このように、路面描画装置50F,50B,50L,50Rによれば、少ない部品点数で描画像70を動かし得る。
【0175】
また、本実施形態の路面描画装置50F,50B,50L,50Rによれば、駆動部80が描画レンズ52の光軸LAに対して垂直な軸中心に描画レンズ52を回転させる。このような構成によれば、光軸LAに対して非垂直な軸中心に描画レンズ52を回転させる場合に比べて、光軸LAの傾きを大きく変化させることができ、描画像70の動きを大きくし得る。
【0176】
また、本実施形態に係る路面描画装置50F,50B,50L,50Rによれば、上述のように、描画寄与領域53が描画レンズ52の出射面55に位置するため、光Lが描画レンズ52から出射する段階で当該光Lを描画像70の形状に成型することができる。したがって、本実施形態の路面描画装置50F,50B,50L,50Rによれば、描画寄与領域53が入射面54に存在する場合と比較して、描画寄与領域53の形状の設計が容易になり得る。ただし、描画寄与領域53が入射面54に位置してもよいし、入射面54及び出射面55の双方に位置してもよい。
【0177】
また、上述のように、本実施形態の描画像70は、路面に互いに離間して投影される複数の像71,72,73を含んでおり、描画像70を形成する描画寄与領域53は、上記複数の像71,72,73の各像を個別に形成する複数の領域53a,53b,53cを含んでいる。このような構成によれば、領域ごとに個別に像を形成することができるため、複数の像からなる描画像を比較的容易に形成し得る。また、描画像を複数の像から形成することで、描画像が単一の像からなる場合に比べて、視認者に与えるインパクトがより強い描画像が形成され得る。
【0178】
また、上述のように、本実施形態の描画寄与領域53において、互いに離間して路面に投影される3つの像71,72,73を形成する領域53a,53b,53cは、曲率の異なる曲面同士が交わる交線CL1,CL2によって区切られる。このような構成によれば、交線を挟んで一方側に位置する領域における光の屈折の方向と、他方側に位置する領域における光の屈折の方向とを効果的に変えることができるため、路面に互いに離間して投影される複数の像を形成することが容易になり得る。
【0179】
また、本実施形態において、制御部60は、右方向指示器20又は左方向指示器30の動作時に駆動部80を駆動させる。したがって、本実施形態の路面描画装置によれば、右方向指示器20又は左方向指示器30が動作するタイミングで描画像70を動かすことができる。
【0180】
また、本実施形態において、制御部60は、ステアリング61の操舵角が所定の角度以上である場合に駆動部80を駆動させる。したがって、本実施形態の路面描画装置によれば、自動車1が右又は左に旋回するタイミングで描画像を動かすことができる。
【0181】
また、本実施形態において、制御部60は、アクセル62が所定の閾値以上に踏み込まれた場合に駆動部80を駆動させる。したがって、本実施形態の路面描画装置によれば、自動車1のアクセル62が踏み込まれたタイミングで描画像70を動かすことができる。
【0182】
また、本実施形態において、制御部60は、アクセル62が所定の閾値以上に踏み込まれた場合に駆動部80を駆動させる。したがって、本実施形態の路面描画装置によれば、自動車1のアクセル62が踏み込まれたタイミングで描画像70を動かすことができる。
【0183】
また、本実施形態において、制御部60は、検知センサ65が人を検知した場合に駆動部80を駆動させる。したがって、本実施形態の路面描画装置によれば、検知センサが人を検知したタイミングで描画像70を動かすことができる。
【0184】
また、本実施形態の自動車1は、上記のような路面描画装置50F,50B,50L,50Rを備える。上述のように、路面描画装置50F,50B,50L,50Rによれば、少ない部品点数で描画像を形成することが可能で、少ない部品点数で描画像を動かすことが可能である。したがって、本実施形態の自動車1によれば、少ない部品点数で路面描画を行うことが可能で、少ない部品点数で路面描画における描画像を動かすことが可能である。
【0185】
以上、本発明について上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0186】
例えば、上述の実施形態では、路面描画装置50F,50B,50L,50Rのそれぞれの駆動部80が共通の制御部60によって制御される例を説明したが、路面描画装置50F,50B,50L,50Rのそれぞれが、駆動部80を所定のタイミングで動作させる制御部を個別に備えてもよい。
【0187】
また、上述の実施形態では、右路面描画装置50Rの駆動部80が右方向指示器20及びステアリング61の操舵角に基づいて制御される例を説明したが、当該駆動部80が、右方向指示器20及びステアリング61の操舵角のいずれか一方に基づいて制御されてもよい。
【0188】
また、制御部60が駆動部80を駆動させるタイミングは上述の実施形態に限られない。例えば、制御部60は、自動車1の後退時に後方路面描画装置50Bの駆動部80を駆動させてもよい。また、制御部60が自動車1の後退時に路面描画装置50Bの駆動部80を駆動させる場合、制御部60は、自動車1が後退する間、描画像70が前後方向に揺動するように駆動部80を制御してもよい。自動車1が後退する間、前後方向に揺動する描画像70が後方の路面RBに描画されることで、例えば、自動車1の後方に位置する人に注意喚起を促し得る。
【0189】
また、上述の実施形態において説明した描画寄与領域53の形状は例示的なものであり、描画寄与領域53の形状は上述の実施形態において説明した形状に限られない。描画寄与領域53の形状を変更することによって、異なるキャラクターを示す描画像70を形成し得る。例えば、複数の像の各像71,72,73を個別に形成する上記領域53a,53b,53cを区切る交線CL1,CL2の軌跡を上述の実施形態における軌跡とは異なるものとしてもよい。
【0190】
また、領域53a,53b,53cは曲率の異なる曲面同士が交わる交線CL1,CL2によって区切られる必要はなく、領域53a,53b,53cによって複数の像71,72,73の各像が個別に形成されるのであれば、曲率の異なる曲面同士が交わる交線CL1,CL2によって区切られる必要はない。また、描画寄与領域53は複数の像の各像を個別に形成する複数の領域に区切られる必要もなく、区切りのない単一の領域であってもよい。
【0191】
また、上述の実施形態では、自動車1に路面描画装置50F,50B,50L,50Rを設ける例を説明したが、これら路面描画装置50F,50B,50L,50Rの少なくとも1つを設けてもよい。また、路面描画装置50F,50Bと異なる位置に、路面描画装置50F,50B,50L,50Rに加えて、あるいは、路面描画装置50F,50B,50L,50Rに代えて、他の路面描画装置を設けてもよい。
【0192】
また、上述の実施形態では、駆動部80が描画レンズ52の光軸LAに対して垂直な回転軸84を中心として描画レンズ52を回転させる例を説明したが、光軸LAの傾きが変化するのであれば、光軸LAに対して非垂直な回転軸を中心として描画レンズ52を回転させるように駆動部80を構成してもよい。
【0193】
また、上述の実施形態で説明した第1~第5の制御は例示的なものであり、描画像70を回転させるタイミング等に応じて、その他の制御を行ってもよい。例えば、制御部は、加速度の絶対値が所定の値以上のときに描画像70が前方又は後方に移動するように制御してもよい。
【0194】
また、上述の実施形態では、車両が4輪の自動車である場合を説明したが、路面を走行可能であればこれに限られない。例えば、滑走路などの路面を車輪によって走行するのであれば航空機であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0195】
本発明によれば、少ない部品点数で描画像を形成することが可能で、少ない部品点数で上記描画像を動かすことが可能な路面描画装置、及び少ない部品点数で路面描画を行うことが可能で、少ない部品点数で路面描画における描画像を動かすことが可能な車両が提供され、自動車や航空機等、路面を走行可能な車両の分野などにおいて利用可能である。
【符号の説明】
【0196】
1・・・自動車(車両)
20・・・右方向指示器
30・・・左方向指示器
50F・・・前方路面描画装置
50B・・・後方路面描画装置
50L・・・左路面描画装置
50R・・・右路面描画装置
51F,51B,51R,51L・・・光源
52・・・描画レンズ
52U・・・上端部
53・・・描画寄与領域
53a・・・第1領域
53b・・・第2領域
53c・・・第3領域
54・・・入射面
55・・・出射面
57・・・描画非寄与領域
60・・・制御部
61・・・ステアリング
62・・・アクセル
63・・・ブレーキ
65・・・検知センサ
70・・・描画像
71,72,73・・・像
80・・・駆動部
83F,83B,83L,83R・・・モータ
84・・・回転軸
LA・・・光軸