(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028331
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】ハイドロキシアパタイト
(51)【国際特許分類】
C01B 25/32 20060101AFI20240226BHJP
A61L 27/12 20060101ALN20240226BHJP
A61L 27/50 20060101ALN20240226BHJP
【FI】
C01B25/32 P
A61L27/12
A61L27/50
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023220019
(22)【出願日】2023-12-26
(62)【分割の表示】P 2020515552の分割
【原出願日】2019-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2018087430
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517450703
【氏名又は名称】株式会社バイオアパタイト
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100169236
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 貴史
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘一
(72)【発明者】
【氏名】酒井 有紀
(72)【発明者】
【氏名】川本 忠
(57)【要約】
【課題】食品添加物、化粧品原料、医薬品原料、人工骨などの用途において好適な、生体親和性が高いハイドロキシアパタイトを提供する。
【解決手段】本発明のハイドロキシアパタイトは、Mgを含有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Mgを含有するハイドロキシアパタイト。
【請求項2】
微小結晶のハイドロキシアパタイトを含む請求項1記載のハイドロキシアパタイト。
【請求項3】
化学式(Ca:Mg)10(PO4)6(OH)2
(上式において、(Ca:Mg)10はCaとMgとの合計元素数が10であることを意味し、Caは9~7、Mgは1~3である。)
で表される請求項1又は2記載のハイドロキシアパタイト。
【請求項4】
生物由来の材料からなる請求項1~3のいずれか一項に記載のハイドロキシアパタイト。
【請求項5】
さらに、Na、K及びSiから選ばれる少なくとも一種のミネラルを含む請求項1~4のいずれか一項に記載のハイドロキシアパタイト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体親和性の高いハイドロキシアパタイトに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)は、骨や歯の主成分であり、生体親和性が高く、pHも中性で安全性が高い生体材料であることから、工業用原料、食品添加物、化粧品原料、医薬品原料、人工骨などの生体材料等に用いられている。
【0003】
ハイドロキシアパタイトを製造する方法に関し、水酸アパタイト結晶を析出させるためのサイトが導入された基材を、水酸アパタイト成分を含有する水溶液に浸漬することにより、上記基材の表面に水酸アパタイト結晶を析出させる方法がある(特許文献1)。また、所定のハイドロキシアパタイト分散液を基材に塗布又は印刷した後に、当該基材からハイドロキシアパタイト分散液に含まれる溶媒を蒸発させて、当該基材の表面に低結晶型ハイドロキシアパタイト粒子を生成させる方法がある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-31409号公報
【特許文献2】特開2016-147799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハイドロキシアパタイトは、上述のとおり生体親和性が高いものであるが、食品添加物、化粧品原料、医薬品原料、人工骨などの用途においては、生体親和性が高いものについての要望は止むことがなかった。
そこで本発明は、従来よりも生体親和性が高いハイドロキシアパタイトを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意検討を重ね、Mgを含有するハイドロキシアパタイトが、生体親和性が高いことを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち本発明は、
[1]Mgを含有するハイドロキシアパタイト、
[2]微小結晶のハイドロキシアパタイトを含む、[1]のハイドロキシアパタイト、
[3]化学式(Ca:Mg)10(PO4)6(OH)2
(上式において、(Ca:Mg)10はCaとMgとの合計元素数が10であることを意味し、Caは9~7、Mgは1~3である。)
で表される、[1]又は[2]のハイドロキシアパタイト、
[4]生物由来の材料からなる、[1]~[3]のいずれかのハイドロキシアパタイト、
[5]さらに、Na、K及びSiから選ばれる少なくとも一種のミネラルを含む、[1]~[4]のいずれかのハイドロキシアパタイト、
である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のハイドロキシアパタイトは、Mgを含むことにより高い生体親和性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例における卵殻由来のハイドロキシアパタイト及び比較用のハイドロキシアパタイトの、疑似体液におけるハイドロキシアパタイト増加量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のハイドロキシアパタイトを、より具体的に説明する。
本発明のハイドロキシアパタイトは、Mg(マグネシウム)を含む。Mgは、生体骨に含まれているミネラルの一種であり、生体骨においてMgは、骨芽細胞や破骨細胞を活性化し、骨細胞を促進させる作用を有している。このような作用を有するMgを含んでいる本発明のハイドロキシアパタイトは、従来のハイドロキシアパタイトに比べて、食品添加物、化粧品原料、医薬品原料、人工骨などの生体材料の用途において、より高い生体親和性を有しているのである。
【0011】
Mg含有量は、後述する化学式で含み得る範囲内で、100~20000質量ppm程度の範囲とすることが好ましい。Mg含有量が100質量ppm以上であるとMgを含有させることの効果が良く現れる。Mg含有量の上限は特に限定されないが、およそ20000質量ppmもあれば生体親和性の観点からは十分である。Mg含有量は、500~6000質量ppmであることがより好ましい。
【0012】
本発明のハイドロキシアパタイトは、好ましくは微小結晶のハイドロキシアパタイトを含む。微小結晶のハイドロキシアパタイトとは、微小な結晶化したハイドロキシアパタイトのみのものであること、又は微小な結晶化したハイドロキシアパタイトと結晶の形状が歪んだり、結晶が欠損したり等で結晶化の程度が低い、低結晶型のハイドロキシアパタイトとが混合されたものであることを意味する。すなわち、「微小結晶のハイドロキシアパタイト」とは、微小な結晶化したハイドロキシアパタイトのみの態様に限定されず、微小な結晶化したハイドロキシアパタイトに、低結晶型ハイドロキシアパタイトが混在している態様も含まれるものである。そして、低結晶型ハイドロキシアパタイトは、本発明の本発明のハイドロキシアパタイト中に50質量%程度以下の割合で含み得るものである。
【0013】
Mgを含み、かつ、微小結晶を含むハイドロキシアパタイトは、分子ひとつひとつは凝集しているだけで固く結びついているのではないため、他の物質に対して柔軟な反応を示し、また、吸着力が結晶型に比べて大きい。さらに、粒子が細かく、肌触りもなめらかで刺激を与えない。
【0014】
微小結晶のハイドロキシアパタイト、すなわち、微小な結晶化したハイドロキシアパタイトのみのものであること、又は微小な結晶化したハイドロキシアパタイトと結晶化の程度が低い、低結晶型ハイドロキシアパタイトとが混合されたものであるものは、X線構造解析によって特定することができる。
具体的にX線構造解析において、2θが31.500~32.500°に現れるピークにおける結晶子サイズが10~200Åであるハイドロキシアパタイトは、微小な結晶化したハイドロキシアパタイトのみのものであること、又は微小な結晶したハイドロキシアパタイトと結晶化の程度が低い、低結晶型ハイドロキシアパタイトとが混合されたものであるといえる。
なお、結晶子サイズとは、結晶粒の大きさを表し、結晶性を表す目安となる数値である。結晶子サイズの数値が大きいほど、測定対象である物質の結晶性が高いことを意味する。逆に言えば、結晶子サイズの数値が小さいほど、ハイドロキシアパタイトは低結晶又は微小な結晶化したものであることを意味する。結晶子サイズは、例えば、株式会社リガク社製のX線解析装置である、型番:RINT2200V/PCにより測定できる。
好ましくは、2θが31.500~32.500°に現れるピークの結晶子サイズが30~150Å、より好ましくは50~120Åである。
【0015】
X線構造解析において、2θが31.500~32.500°に現れるピークの結晶子サイズが上記範囲内にあるハイドロキシアパタイトであることにより、ハイドロキシアパタイトの表面が複雑で、表面電位を帯びている。これにより吸着力が大きく、蛋白質や脂質、さらには細菌や、花粉等の吸着率に優れているのでフィルター等に用いて好適であり、また、色素を吸着するので、歯の白化に有効である。また、結晶子サイズが上記範囲内にあるハイドロキシアパタイトは、粒子が細かく、肌触りもなめらかで刺激の少ないハイドロキシアパタイトとすることができる。
【0016】
Mgを含むハイドロキシアパタイトは、化学式で、
(Ca:Mg)10(PO4)6(OH)2
(上式において、(Ca:Mg)10はCaとMgとの合計元素数が10であることを意味し、Caは9~7、Mgは1~3である。)
で表されるものであることが好ましい。つまり、ハイドロキシアパタイトを構成するCaの一部がMgと置換された構造のものであることが好ましい。
【0017】
本発明のハイドロキシアパタイトは、生物由来の材料からなることが好ましい。従来公知のハイドロキシアパタイトは、鉱物由来の消石灰を主原料として、種々の製法により合成されて製造されている。そして、鉱物由来の消石灰を主原料としたハイドロキシアパタイトはMgを代表例とするミネラル成分をほとんど含まず、よって、生体親和性が本発明のハイドロキシアパタイトよりも低いものである。これに対して、生物由来の材料からなる本発明のハイドロキシアパタイトは、Mgを適量に含むことができ、本発明のハイドロキシアパタイトの上述した効果を得ることができる。例えば、生物由来の材料を、焼成することにより、酸化カルシウムを得て、それを、下記するような方法により処理することによって、本発明のハイドロキシアパタイトを得ることができる。焼成条件は特に限定されず公知の条件を採用することができるが、焼成条件としては、例えば、電気炉等を用いて、温度900~1300℃で1~72時間焼成することが挙げられる。
また、生物由来の材料からなることにより、カルシウム補給剤として用途のような、経口して服用する用途や食用としても人体に安全なハイドロキシアパタイトとすることができる。
【0018】
生物由来の材料とは、例えば卵殻や、サンゴが挙げられる。なかでも、卵殻は、Mg含有量が他の生体材料よりも多いので、より好ましい。
【0019】
本発明のハイドロキシアパタイトは、更に、Na、K、及びSiから選ばれる少なくとも一種のミネラルを含むことが好ましい。Na(ナトリウム)は、骨の代謝や再吸収プロセス、細胞接着に関与するミネラルであり、K(カリウム)は、生化学反応において多くの機能に関与するミネラルであり、Si(けい素)は、骨形成に関与する代謝機構に作用し、骨細胞や係合細胞の発現に関与するミネラルである。したがって、これらのミネラルの少なくとも一種を含むハイドロキシアパタイトは、生体親和性がより向上する。生物由来の材料からなるハイドロキシアパタイトは、Mgを含有し、かつ、Na、K、及びSiから選ばれる少なくとも一種のミネラルを含む。したがって、Mgを100質量ppm以上含有し、かつ、Na、K、及びSiから選ばれる少なくとも一種のミネラルを含むハイドロキシアパタイトは、上記の生物由来の材料からなるものであると推定される。
【0020】
Na、K、及びSiの各含有量は、特に限定されないが、例えばNaは100~5000質量ppm程度、Kは10~100質量ppm程度、Siは10~100質量ppm程度をそれぞれ含有することが、上記の効果を十分に得られることから好ましい。また、生物由来の材料からなるハイドロキシアパタイトは、ミネラルバランスによりMg含有量に対して、上記の範囲でNa、K、及びSiの少なくとも一種を含み得るので、上記の効果を十分に得られ、この点でも好ましい材料である。
【0021】
Na、K、及びSiから選ばれる少なくとも一種のミネラルは、例えば、Na、K、及びSiを含む前述した生体由来の材料を用いてハイドロキシアパタイトを製造することにより、ハイドロキシアパタイトに含有させることができる。
【0022】
本発明のハイドロキシアパタイトの製造方法は、特に限定されないが、例えば、上記の生物由来の材料を焼成して得られた酸化カルシウムの水又はアルコール懸濁液にリン酸の水又はアルコール溶液を添加し、又はリン酸の水又はアルコール溶液に酸化カルシウムの水又はアルコール懸濁液を添加することにより、ハイドロキシアパタイトスラリーを得て、このハイドロキシアパタイトスラリーを基材に塗布又は印刷して蒸発させるか、スラリーをそのまま蒸発させて、ハイドロキシアパタイト粒子を得ることができる。このとき、酸化カルシウム懸濁液の酸化カルシウムの原料として、生物由来の材料を用いることにより、Mgを含有するハイドロキシアパタイトを容易に製造することができる。
【0023】
ハイドロキシアパタイトスラリーの調製の際に、pH調整をする必要はない。また、酸化カルシウム懸濁液中の酸化カルシウムの総量と、リン酸溶液中のリン酸の総量の比率は、例えば、モル比でカルシウムイオン:リン酸イオンが10:6となるようにすることが好ましい。勿論、反応条件等によって、前記比率を変更することも可能である。かかるモル比率の調整は、添加液及び被添加液の濃度及び量を調整することにより調整できる。
【0024】
添加液を被添加液に添加する際の温度条件は、例えば、添加液及び被添加液の温度を5~90℃の範囲とすることが好ましく、15~60℃の範囲とすることがより好ましく、20~40℃の範囲とすることがさらに好ましい。添加液及び被添加液の温度をかかる範囲とすることにより、ハイドロキシアパタイトの結晶化を抑制し、かつハイドロキシアパタイトを得るための反応をスムーズに進行させるという効果が得られる。なお、被添加液を攪拌しながら添加液を添加することも可能である。
【0025】
ハイドロキシアパタイトスラリーを蒸発させる際には特に加熱する必要は無く、環境温度において自然乾燥させることにより蒸発させて良い。しかしながら、良好な生産効率を達成し、かつ、微小な結晶化したアパタイトの低結晶化を促進するために、溶媒を蒸発させる際及び/又は蒸発させた後に、基材又はスラリーを加熱しても良い。基材を加熱する際の加熱温度は、40~300℃であることが好ましく、40~180℃であることがより好ましく、80~150℃であることがさらに好ましい。加熱温度を上記範囲とすることにより、適切な粒径の低結晶型ハイドロキシアパタイト粒子を基材表面に生成でき、基材表面からの低結晶型ハイドロキシアパタイト粒子の脱落を抑制できる。加熱時間には特に制限が無く、基材表面に低結晶型ハイドロキシアパタイト粒子が生成するまで行えば良い。但し、塗布又は印刷後の基材を過度に加熱すると、低結晶型ハイドロキシアパタイトが結晶型ハイドロキシアパタイトに変化してしまうおそれがある。低結晶型ハイドロキシアパタイトは、結晶型ハイドロキシアパタイトよりも、細菌及び花粉等の微小な生物由来物質並びに重金属物質等を吸着する性能に優れていることから、加熱条件の一つの目安として、例えば、100℃以上の温度で加熱する場合には、加熱時間を720分以下にして、低結晶型ハイドロキシアパタイトの結晶型ハイドロキシアパタイトへの変化を抑制することが好ましい。
【実施例0026】
以下、実施例により本発明の内容をさらに詳しく説明する。なお、実施例により、本発明の範囲が限定されないことはいうまでもない。
【0027】
(試験1)
CaOの原料として卵殻を1000℃で20時間焼成したものを用いて製造したハイドロキシアパタイトとCaOの原料としてサンゴを1000℃で20時間焼成したものを用いて製造したハイドロキシアパタイトを用意した。また、比較のために市販のハイドロキシアパタイト(試薬)を用意した。これらのハイドロキシアパタイトをICP発光分析装置(島津製作所(株)製 ICPS-8100)を用いて微量元素の分析を行った。分析に当たって、試薬には和光純薬社製の標準液 Mg、Na、Kのそれぞれ1000ppmのものを用いた。また、各試料は1.00gを50mLメスフラスコにとり、少量の塩酸で溶かしたのち、50mLにメスアップしたものを測定した。
分析結果を表1に示す。なお、表1中の数値は、質量ppm(mg/kg)を示している。
【0028】
【0029】
表1から分かるように、生物由来の原料からなるハイドロキシアパタイトは、Mgを含んでおり、特に卵殻由来のハイドロキシアパタイトは、Mg含有量が多く、人骨中のMg含有量の一例である5500ppmに近く、生体親和性が高いことが推察される。
【0030】
(実験2)
卵殻由来のハイドロキシアパタイトについて、疑似体液(SBF)を用いた生体活性評価を行った。この評価は、試料を疑似体液(SBF)中に浸漬し、一定時間後試料表面へのハイドロキシアパタイト生成量を測定したものである。ここに、疑似体液は、ヒトの体液とほぼ等しい無機イオン濃度を有するものであり、以下の成分により調製された。
【0031】
NaCl:7.996g、NaHCO3:0.350g、KCl:0.224g、K2HPO4・3H2O:0.228g、MgCl2・6H2O:0.350g、1M HCl:40mL、CaCl2・2H2O:0.278g、NaSO4:0.071g、トリス(緩衝剤、トリスヒドロキシメチルアミノメタン):6.057g。これらの試薬を蒸留水700mLに加え、pH7.4に調整後、蒸留水を加えて1000mLにした。
【0032】
生体活性評価を行うハイドロキシアパタイトとして、CaOの原料として卵殻を1000℃で20時間焼成したものを用いて製造したハイドロキシアパタイト(ハイドロキシアパタイトA。Mgを1974ppm含む。)のスラリーと、CaOの原料として試薬のCa(OH)2(和光純薬製、純度99%)を1000℃で20時間焼成したものを用いて製造したハイドロキシアパタイト(ハイドロキシアパタイトB。Mgを含有しない。)のスラリーを用意した。
【0033】
ハイドロキシアパタイトA及びハイドロキシアパタイトBのスラリーを、それぞれ1cm×5cmの大きさのフェルト布の6枚にそれぞれ塗布し、120℃で2時間乾燥させて、当該フェルト布にハイドロキシアパタイト粒子を生成させて試料とした。生成前後のフェルト布の質量測定により、生成したハイドロキシアパタイト粒子の質量を計算した。
【0034】
各試料を疑似体液50mLに一つずつ浸漬し、37℃で7日間置いた。その後、試料を疑似体液から取り出し、130℃で2時間乾燥させた後、デシケータに入れて保管した。
その後、各試料の質量を測定して、ハイドロキシアパタイトの質量増加量を計算した。
ハイドロキシアパタイトAの測定結果を表2に示す。
【0035】
【0036】
ハイドロキシアパタイトBの測定結果を表3に示す。
【表3】
【0037】
浸漬前のハイドロキシアパタイトの質量に対する浸漬後の質量増加量の百分率を増加率と定義する。表2に示した卵殻由来のハイドロキシアパタイトAは増加率平均が1.84%であり、表3に示したハイドロキシアパタイトBの増加率平均が1.06%であることに比べて疑似体液中でのハイドロキシアパタイトの生成量が多かった。これは、Mgを含むハイドロキシアパタイトAはMgを含まないハイドロキシアパタイトBに比べて生体親和性が高いことを意味している。
表2及び表3の結果を
図1にグラフで示す。