(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028358
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】マンノース単糖と組み合わされた少なくとも1つのオリゴ糖及び/又は多糖の組合せを含む化粧用組成物並びに皮膚細菌フローラのバランスの維持におけるその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20240226BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20240226BHJP
A61K 8/99 20170101ALI20240226BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/60
A61K8/99
A61Q19/00
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023222902
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2021576381の分割
【原出願日】2020-06-22
(31)【優先権主張番号】1906838
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】オードリー・ゲニシュ
(57)【要約】
【課題】1つには、特に共生フローラを保護することにより、微生物皮膚フローラ上で活性であり、且つ皮膚及び/又は粘膜の細菌フローラのバランスの維持及び/又は回復を可能にする新規成分を提供すること。
【解決手段】本発明は、局所適用のための化粧用組成物であって、生理的に許容可能な媒体中において、- イヌリン、フルクトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、大豆誘導オリゴ糖、ピロデキストリン、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、トランスガラクトオリゴ糖及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのオリゴ糖及び/又は多糖と、- 少なくとも1つのマンノース単糖とを含む化粧用組成物に関する。本発明は、皮膚及び/又は粘膜のケアのための美容的治療の方法であって、前記組成物の、特に外部攻撃を受けた皮膚及び/又は粘膜への適用を含む方法にも関し、且つその美容的使用にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所適用のための化粧用組成物であって、生理的に許容可能な媒体中において、
- イヌリン、フルクトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、大豆誘導オリゴ糖、ピロデキストリン、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、トランスガラクトオリゴ糖及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのオリゴ糖及び/又は多糖と、
- 少なくとも1つのマンノース単糖と
を含む化粧用組成物。
【請求項2】
シリコーン油、ガム及びワックスなどのシリコーン脂肪物質;植物、鉱物、動物及び/又は合成由来の油、ペースト及びワックスなどの非シリコーン脂肪物質;8~32個の炭素原子を有する脂肪酸;特に式R1COOR2及びR1OR2(式中、R1は、8~29個の炭素原子を含む脂肪酸の残基を表し、及びR2は、3~30個の炭素原子を含有する分枝状又は非分枝状炭化水素系鎖を表す)の合成エステル及びエーテル;鉱物又は合成由来の線形又は分枝状炭化水素;8~26個の炭素原子を有する脂肪アルコール;水;C2~C6モノアルコール;プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコールから選択されるグリコール;ケトン;増粘剤、乳化剤、界面活性剤、ゲル化剤、芳香剤、充填剤、着色剤、モイスチャライザー、ビタミンA、E、B3から選択されるビタミン、ポリマーから選択される少なくとも1つの成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記オリゴ糖及び/又は多糖は、イヌリン、フルクトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、イヌリンとグルコオリゴ糖との混合物又はグルコオリゴ糖とフルクトオリゴ糖との混合物である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記オリゴ糖及び/又は多糖は、前記組成物の全質量に対して0.01質量%~20質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%の濃度で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記マンノース単糖は、前記組成物の全質量に対して0.01質量%~20質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、最も好ましくは0.1質量%~5質量%の濃度で存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記オリゴ糖及び/又は多糖は、
- 少なくとも1つのグルコオリゴ糖(GOS)と、
- 少なくとも1つのフルクトオリゴ糖(FOS)と
を含む混合物の形態であり、前記グルコオリゴ糖(GOS)は、本発明による前記組成物中において、前記組成物の全質量に対して0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、さらにより良好には0.1質量%~1質量%、さらにより好ましくは0.2質量%~0.8質量%の濃度で存在し、
前記フルクトオリゴ糖(FOS)は、本発明による前記組成物中において、前記組成物の全質量に対して0.001質量%~5質量%、好ましくは0.01質量%~1質量%、さらにより良好には0.01質量%~0.5質量%、さらにより好ましくは0.05質量%~0.3質量%の濃度で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
特にラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)、ラクトバチルス・クルヴァトゥス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・デルブルキイー亜種ラクティス(Lactobacillus delbruckii subsp.Lactis)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ラムノースス(Lactobacillus rhamnosus)(ラクトバチルスGG(Lactobacillus GG))、ラクトバチルス・サケ(Lactobacillus sake)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、L.デルブルエッキイー(L.delbrueckii)、L.ヘルベティカス(L.helveticus)、L.サリバリウス(L.salivarius)、L.カルバタス(L.curvatus)、L.プランタルム(L.plantarum)、L.サケイ(L.sakei)、L.ブレビス(L.brevis)、L.ブチネリ(L.buchneri)、L.ファーメンタム(L.fermentum)、L.ロイテリ(L.reuteri)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ロンガム(Lactobacillus longum)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus lactis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つのプロバイオティック微生物をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記プロバイオティック微生物は、前記組成物の全質量に対して0.0001質量%~10質量%、好ましくは0.001質量%~5質量%、さらにより好ましくは0.001質量%~1質量%の濃度で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
皮膚及び/又は粘膜のケアのための美容的治療の方法であって、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物の、特に外部攻撃を受けた皮膚及び/又は粘膜への適用を含む方法。
【請求項10】
皮膚及び/又は粘膜の細菌フローラのバランスを維持し、且つ/又は回復させるためのものである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
敏感肌を予防及び/又は治療するためのものである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
皮膚及び/又は粘膜の美的特質からの損失、特に乾燥肌及び/又は肌荒れを予防及び/又は治療するためのものである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
皮膚、特に外部攻撃を受けた皮膚のケアのための、請求項1、3、4又は6のいずれか一項に記載の少なくともオリゴ糖及び/又は多糖と、請求項1又は5に記載の少なくとも1つのマンノース単糖と、任意選択的に、請求項7又は8に記載の少なくとも1つのプロバイオティック微生物との局所的な美容的使用。
【請求項14】
皮膚及び/又は粘膜の細菌フローラのバランスを維持し、且つ/又は回復させるためのものである、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
敏感肌を予防及び/又は治療するためのものである、請求項13に記載の使用。
【請求項16】
皮膚及び/又は粘膜の美的特質からの損失、特に乾燥肌及び/又は肌荒れを予防及び/又は治療するためのものである、請求項13に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局所適用のための化粧用組成物であって、生理的に許容可能な媒体中において、マンノース単糖と組み合わされた少なくとも1つのオリゴ糖及び/又は多糖の組合せを含む化粧用組成物に関する。本発明は、皮膚及び/又は粘膜の細菌フローラのバランスの維持及び/又は回復においてこの組合せを利用する美容的治療の使用及び方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚は、2つの区画、すなわち深部区画の真皮及び表面区画の表皮から構成される。
【0003】
皮膚は、外部からの攻撃、例えば環境からの攻撃、気候的な悪影響(熱、寒さ、UV、タバコなど)、汚染、アレルゲン、病原性細菌、機械的攻撃(脱毛、シェービング、研磨洗浄)及び化学的攻撃(洗剤)からの保護において主要な役割を有する。バリア機能と呼ばれるこの特性は、主に表皮の最も外部の層、すなわち角層又は角質層によって実行される。
【0004】
皮膚は、細菌及び真菌などの数種類の微生物が増殖する複雑な生態系も表す。これらの微生物は、微生物皮膚細菌フローラとも呼ばれる皮膚フローラを構成する。
【0005】
現在まで、500以上の細菌種が健康な皮膚上で検出されており、200万以上の遺伝子が含まれる。皮膚1cm2あたり約106の細菌が存在する。健常者の皮膚のマイクロバイオームは、3種類の領域:湿性、乾性、油性によって特異性を示すことが記載されている。
【0006】
特に以下が識別される:
- 共生の有益な常在細菌フローラは、皮膚からそれらの栄養を得て、既知の利点を皮膚に提供し、健康な皮膚上で慣例通りに且つ永久に増殖する微生物からなり;特定の代表は、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)株である。この菌株は、健康な皮膚上において表面で特に見られ、共生皮膚フローラのバランスの維持に関与する。
- 例えば、汚染要素との接触による、異常状態下の皮膚上に存在する一過性フローラ;それが増殖する場合、このフローラは、病原性になり得る。可能性のある例は、ヒト皮膚に関して潜在的に病原性である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)である。
【0007】
例えば、外部攻撃後にバリアが悪影響を受ける場合又は共生生物及び病原体のバランスが妨げられる場合、例えば、炎症、刺痛、引張、赤み、かゆみ又はさらに皮膚疾患、例えばアトピー性皮膚炎、にきび又は皮膚感染症などの皮膚の特質の劣化及び/又は皮膚疾患が生じ得る(非特許文献1;非特許文献2)。
【0008】
さらに、皮膚バリア及び粘膜の特質は、刺激物(洗剤、界面活性剤、酸、塩基、酸化剤、還元剤、濃縮溶媒)、機械的応力(摩擦、スクラビング、シェービング若しくは脱毛)又は熱若しくは気候的不均衡(寒さ、乾燥)からの外部攻撃のため、毎日影響を受けることが明らかである。
【0009】
したがって、特に以下[1]~[9]に対するそれらの効果により、共生皮膚フローラの有益な微生物による皮膚の(再)コロニー形成は、皮膚の生理学及び免疫の基本であるように思われる:
- (抗微生物ペプチドを刺激すること又は競争的接着による)病原性微生物の接着の制限;
- 炎症及び免疫の変調;
- 瘢痕形成;
- 特に上記の外部攻撃に続くバリア機能の復元/回復。
【0010】
微生物皮膚フローラに作用することが知られている美容的溶液がすでに存在する。
【0011】
(特許文献1)は、特にプレバイオティック脂質の組成物と、ディスバイオシス(病原性微生物のコロニー形成)を補正するため又は存在する有益な共生フローラのバランスを維持するためのプロバイオティクス、例えばバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、ビフィドバクテリウム・ブレーべ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ラムノースス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)及びスタフィロコッカス・キシローサス(Staphylococcus xylosus)を含有する組成物とを含む生成物を記載している。
【0012】
さらに、(特許文献2)は、微生物皮膚及び/又は粘膜フローラのバランスを維持及び/又は保持するための、プルラン又はその誘導体或いはヒアルロン酸又はその塩若しくは誘導体の1つ、アルギン酸、その塩若しくは誘導体の1つ及びこれらの多糖の混合物から選択される多糖とのその組合せの使用を開示している。
【0013】
(特許文献3)は、特に健康な皮膚フローラの存在を強化し、病原体による皮膚のコロニー形成を防ぐための、アルファグルコオリゴ糖、イヌリン、イースト及び乳酸桿菌(Lactobacillus)属のバクテリアを含むプレバイオティックスキンケアマスクを開示している。
【0014】
それにもかかわらず、消費者の間では、皮膚、特に皮膚フローラの丁寧な治療に対する必要性が絶えず増大しており、これは、細菌皮膚及び/又は粘膜フローラのバランスを維持するか又は回復させるうえで活性である新規化合物の探索を導いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許出願公開第20180325968号明細書
【特許文献2】仏国特許第3064473号明細書
【特許文献3】中国特許出願公開第107412045号明細書
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Functions of the skin microbiota in health and disease.James A.Sanford,Richard L.Gallo.Seminars in Immunology 25(2013)370-377
【非特許文献2】The human skin microbiome.Allyson L.Byrd,Yasmine Belkaid and Julia A.Segre.Nature Reviews Microbiology,16,143-155,2018
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、特に共生フローラを保護することにより、微生物皮膚フローラ上で活性であり、且つ皮膚及び/又は粘膜の細菌フローラのバランスの維持及び/又は回復を可能にする新規成分を提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
予想外にも、本発明者らは、イヌリン、フルクトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、大豆誘導オリゴ糖、ピロデキストリン、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、トランスガラクトオリゴ糖及びそれらの混合物からなる群から選択されるオリゴ糖及び/又は多糖と、マンノース単糖との組合せが、特に外部攻撃の場合に減少する2つのパラメーター、特に皮膚上での細菌の適切な量(すなわち細菌負荷)並びにまた皮膚上の細菌の多様性(すなわちアルファ及びベータ多様性)を回復させることにより、微生物皮膚及び/又は粘膜フローラのバランスを維持し、且つ/又は回復させる性能を有することを見出した。
【0019】
さらに、この組合せは、皮膚及び/又は粘膜の美的特質からの損失の予防及び/又は治療、特に乾燥肌及び/又は肌荒れの予防及び/又は治療を可能にする。
【0020】
「皮膚の美的特質からの損失」は、その美的外観を損失した皮膚、好ましくは顔の皮膚、特に頬及び/又は額の特に粗いきめの外観及び/又は皮膚乾燥の徴候の存在への全ての変化を指す。
【0021】
さらに、この組合せは、敏感肌の予防及び/又は治療、特に例えば皮膚が引っ張られる感覚などの敏感肌の不快感の予防及び/又は治療を可能にする。
【0022】
したがって、本発明の主題は、局所適用のための化粧用組成物であって、生理的に許容可能な媒体中において、
- イヌリン、フルクトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、大豆誘導オリゴ糖、ピロデキストリン、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、トランスガラクトオリゴ糖及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのオリゴ糖及び/又は多糖と、
- 少なくとも1つのマンノース単糖と
を含む化粧用組成物である。
【0023】
特に、前記オリゴ糖及び/又は多糖並びに前記マンノース単糖は、プレバイオティクスである。
【0024】
本発明は、皮膚及び/又は粘膜のケアのための美容的治療の方法であって、本発明による組成物の、特に外部攻撃を受けた皮膚及び/又は粘膜への適用を含む方法にも関する。
【0025】
特に、本発明による美容的治療方法は、皮膚及び/又は粘膜の細菌フローラのバランスを維持し、且つ/又は回復させることを可能にする。
【0026】
さらに、本発明による美容的治療方法は、皮膚及び/又は粘膜の美的特質からの損失の予防及び/又は治療、特に乾燥肌及び/又は肌荒れの予防及び/又は治療を可能にする。
【0027】
本発明による美容的治療方法は、敏感肌の予防及び/又は治療、特に敏感肌の不快感の予防及び/又は治療も可能にする。
【0028】
本発明は、皮膚、特に外部攻撃を受けた皮膚のケアのための、前記組合せと、任意選択的に、少なくとも1つのプロバイオティック微生物との局所的な美容的使用にも関する。
【0029】
本発明は、皮膚及び/又は粘膜の細菌フローラのバランスを維持し、且つ/又は回復させるための前記組合せの使用にも関する。
【0030】
さらに、本発明は、敏感肌の予防及び/又は治療、特に敏感肌の不快感の予防及び/又は治療のための前記組合せの使用にも関する。
【0031】
最後に、本発明は、皮膚及び/又は粘膜の美的特質からの損失の予防及び/又は治療、特に乾燥肌及び/又は肌荒れの予防及び/又は治療のための前記組合せの使用にも関する。
【0032】
定義
「プレバイオティクス」という用語は、健康のための利益を生じるようにホスト微生物によって選択的に使用される基質を指す[Gibson,Glenn R.;Hutkins,Robert;Sanders,Mary Ellen;Prescott,Susan L.;Reimer,Raylene A.;Salminen,Seppo J.;Scott,Karen;Stanton,Catherine;Swanson,Kelly S.;Cani,Patrice D.;Verbeke,Kristin;Reid,Gregor(2017).“Expert consensus document:The International Scientific Association for Probiotics and Prebiotics(ISAPP)consensus statement on the definition and scope of prebiotics”.Nature Reviews Gastroenterology&Hepatology.14(8):491-502]。
【0033】
プレバイオティクスは、特に有益内因性皮膚フローラの成長に有利である環境を維持するために使用される。プレバイオティクスは、特に、特定の病原性細菌の成長を促進することなく、皮膚フローラの良好なバランスを維持するように皮膚フローラの全代謝を方向付けるために使用される。この目的のために、本発明に関連して利用されるプレバイオティクスは、皮膚フローラの有益細菌によって代謝され得る。1つの特に好ましい実施形態によると、本発明の組成物で使用されるプレバイオティックは、皮膚の有益細菌によって代謝されるが、美容的治療が望ましい皮膚疾患の原因となる望ましくない細菌によって代謝されないプレバイオティックである。この実施形態によると、プレバイオティクスは、皮膚に対してプラスの効果を及ぼすそれらの微生物を促進することにより、天然生態系の組成及び/又は活性を変調する。
【0034】
オリゴ糖及び多糖は、炭水化物である。
【0035】
オリゴ糖及び/又は多糖は、特にグルコース、ガラクトース、キシロース、マルトース、サッカロース、ラクトース、澱粉、キシラン、ヘミセルロース、イヌリン、ガム、特にアカシアガム又はそれらの混合物から製造され得る。
【0036】
「オリゴ糖」という用語は、オリゴホロシド又はオリゴシドを意味するように意図される。それは、1つ以上のアルファ又はベータグリコシド結合を通して数nの単糖から構成されるオリゴマーであり、数nは、2~10、好ましくは2~6である。特に、フルクトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、大豆から誘導されたオリゴ糖、ピロデキストリン、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖及びトランスガラクトオリゴ糖が記載され得る。
【0037】
「多糖」という用語は、ポリオシド、ポリホロシド又は他の複合炭水化物を意味するように意図される。これらは、糖結合によって一緒に結合したいくつかの単位nの単糖からなるポリマーであり、数nは、11以上、好ましくは11~200、さらにより良好には11~100、さらにより好ましくは20~80である。特にイヌリンが記載され得る。
【0038】
「生理的に許容可能な媒体を含む組成物」という表現は、皮膚との適合性を有する媒体を含む組成物を意味するように意図される。
【0039】
1つの特定の実施形態によると、化粧用組成物のpHは、4~7.5、とりわけ4.5~7、特に4.7~6である。
【0040】
「皮膚」という用語は、ヒトの体の全ての皮膚、好ましくは顔の皮膚、頭皮、首回り、首、腕及び前腕の皮膚又はより好ましくは顔の皮膚、特に額、鼻、頬、あご及び眼の周囲の領域の皮膚を意味するように意図される。
【0041】
本発明によると、「予防する」又は「予防」という用語は、所与の現象の発生の危険性を減少するか、又は発生を遅くすることを意味するように意図される。
【0042】
「治療する」又は「治療」という用語は、個人の快適さ又は幸福を改善することを目的とするいずれの作用も意味するように意図され、したがって、この用語は、減少させること、軽減すること及び治療することを含む。
【0043】
本発明の意味において、「外部攻撃」という用語は、環境的攻撃、気候的攻撃(熱、寒さ、UV、タバコなど)、汚染、アレルゲン、病原性細菌、機械的攻撃(脱毛、シェービング、研磨洗浄)及び化学的攻撃(洗剤)を指す。
【0044】
「細菌負荷」という用語は、細菌の量、特に皮膚及び/又は粘膜上で見られる細菌DNAの量を指す。
【0045】
「相対的な存在量」という用語は、調査中の試料又は個体群での各属/細菌の割合を指す。
【0046】
「アルファ多様性」又は「シャノン指数」という用語は、調査中の試料又は個体群での異なる細菌種/属の数を指し、異なる細菌種/属の数が大きいほど、試料又は個体群が豊富であり、且つ多様である。
【0047】
特に、シャノン指数は、調査中の試料又は個体群ごとに算出され、以下の3つの異なるパラメーターに基づくものである。
- 異なる細菌種/属の数;
- 特に細菌が試料若しくは個体群の全ての個体に存在するか、又は個体の少数のみに存在するかどうかにかかわらず、調査中の試料又は個体群中の問題の細菌の発生率;
- 調査中の試料又は個体群で確認されるそれぞれ細菌種/属の質量(計算では、上記で定義される相対的な存在量を考慮する)。
【0048】
「ベータ多様性」という用語は、2つの試料又は個体群間での異なる細菌種/属の数、換言すると、2つの試料又は個体群が共通して有さない細菌種/属の数を指す。したがって、アルファ多様性とは逆に、ベータ多様性は、2つの試料又は個体群に基づいて算出される。
【0049】
ベータ多様性は、(UniFrac距離などの)3つの異なるパラメーターに基づく:
- 異なる細菌種/属の数;
- それらの相対的な存在量(すなわちそれぞれ細菌種/属の質量);
- これらの細菌種/属の系統学的相違点。
【発明を実施するための形態】
【0050】
オリゴ糖、多糖
本発明による組成物は、イヌリン、フルクトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、大豆誘導オリゴ糖、ピロデキストリン、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、トランスガラクトオリゴ糖及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのオリゴ糖及び/又は多糖を含む。
【0051】
一例として、以下のオリゴ糖及び/又は多糖が記載される。
【0052】
イヌリン
イヌリンは、植物、特にキクイモ(Jerusalem artichoke)及びチコリ(chicory)の根茎で特に豊富であり、それらから工業的に抽出される。それは、キクイモ(Jerusalem artichoke)又はダリアオニオン(dahlia onion)及びゴボウ(burdock)などのキク科(Asteraceae)に属する他の植物でも見られる。それは、可溶性食物繊維と考えられる。
[化学式1]
【化1】
【0053】
イヌリンは、一般式(I):GFn(G=グルコース、F=フルクトース、nは、2~60以上の範囲である)の多分散系線形ポリマーであり、フルクトース単位は、β(2→1)結合によって一緒に結合している。したがって、イヌリンは、グルコース単位を末端とするフルクトース単位の鎖に対応する。
【0054】
使用可能であり、且つ商業的に入手可能であるイヌリンの中で、OraftiからのInutec H25P(n=2~7)及びInutec N25(平均n=25)が記載され得る。
【0055】
フルクトオリゴ糖
オリゴフルクトース又はオリゴフルクタンとも呼ばれるフルクトオリゴ糖(又はFOS)は、β-1,2結合によって一緒に結合したフルクトースの短鎖である。
【0056】
フルクトオリゴ糖(又はFOS)は、一般式(II):G(F)n(Gは、グルコース単位であり、Fは、フルクトース単位であり、及びnは、1~10の範囲である)に対応する。
[化学式2]
【化2】
【0057】
フルクトオリゴ糖(FOS)は、
- イヌリン(例えば、Orafti-BelgiqueからのRaftilose(登録商標))の部分的な酵素加水分解、又は
- サッカロース(例えば、Beghin Meiiji industries-FranceからのActilight(登録商標))からの酵素合成、又は
- ヤーコン(yacon)若しくはヒカマ(jicama)(Polymnia sonchifolia、同義語:Smallanthus sonchifolia)からの抽出
によって製造され、特に、抽出は、溶媒の不在下でヤーコン(yacon)塊茎の常温圧縮によって実行される。
【0058】
本発明で使用されるFOSは、FOSの混合物であり得る。特に、Quantum hi-TechからのQuantom FOS95又はBeghin Meiiji industries-FranceからのActilight(登録商標)などのGF2+GF3+GF4混合物が記載され得、後者は、37%のGF2、53%のGF3及び10%のGF4の混合物に対応する。
【0059】
グルコオリゴ糖GOS
グルコオリゴ糖(GOS)又はオリゴグルカンは、α-1,2;α-1,3;α-1,4結合を含有することもできるα-1,6-結合グルコース単位のシークエンスから構成されるオリゴ糖である。それらは、グルカンスクラーゼ系統群の酵素によって触媒作用を及ぼされる糖転移反応によって合成される。
【0060】
好ましくは、グルコオリゴ糖は、α-1,6-及びα-1,2-結合グルコース単位のシークエンスから構成されるオリゴ糖である。
【0061】
有利には、グルコース単位の数は、2~10、さらにより良好には4~6であり、より好ましくは、グルコース単位の数は、4である。
【0062】
加えて、グルコオリゴ糖は、グルコース分子の重合、リゥコノストック・メゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)の細菌株から抽出及び精製される糖転移酵素型の特異的酵素によって触媒作用を及ぼされる反応によって合成されることができる。この反応は、受容体:マルトース(グルコース-グルコース)の使用と、グルコース供与体:サッカロース(グルコース-フルクトース)の使用とを必要とする。
【0063】
好ましい実施形態において、グルコオリゴ糖(GOS)は、以下の式(III):
[化学式3]
【化3】
を有する。
【0064】
使用可能であり、且つ商業的に入手可能であるGOSの中で、SolabiaからのBioecolia(登録商標)が記載され得る。
【0065】
大豆誘導オリゴ糖
それらは、直接大豆から抽出されて、酵素処理を全く必要としない。それらは、天然でラフィノース及びスタキオースを含有し、その式は、[α-D-Gal-(1→6)-]m-α-D-Glu-(1→2)-β-D-Fru(ラフィノースに関してm=1であり、且つスタキオースに関してm=2である)である。
【0066】
使用可能である誘導オリゴ糖は、カルピス食品工業株式会社(日本)からのSoya-oligoを含む。
【0067】
ピロデキストリン
ピロデキストリンは、澱粉の加水分解からのオリゴ糖の混合物である。
【0068】
イソマルトオリゴ糖
それらは、澱粉から製造される。これらは、2~5の重合度を有するα-(1,6)-結合グルコースオリゴマーである。一例として、Showa SangoからのIsomalto900Pが使用され得る。
【0069】
キシロオリゴ糖
キシロオリゴ糖は、β-(1,4)-結合キシロースからなるオリゴ糖である。一例として、サントリー株式会社からのXylo 95Pが使用され得る。
【0070】
トランスガラクトオリゴ糖
これらは、ラクトースの発酵によって得られる化学構造α-D-グルコース-(1→4)-[β-D-ガラクトース-(1→6)]n(2<n<5)のガラクトースの線形オリゴマーである。一例として、株式会社ヤクルト本社(日本)からのTOS 100が使用され得る。
【0071】
本発明によるオリゴ糖及び/又は多糖は、本発明による組成物中において、組成物の全質量に対して0.01質量%~20質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、さらにより良好には0.05質量%~5質量%の濃度で存在する(すなわち本発明による組成物中のオリゴ糖及び/又は多糖の全濃度)。
【0072】
オリゴ糖及び/又は多糖の混合物
本発明の1つの好ましい実施形態によると、オリゴ糖及び/又は多糖は、本発明による組成物中において混合物の形態で使用される。
【0073】
本発明の第1の実施形態において、それは、同じ種類のオリゴ糖の混合物であり得る。例えば、上記の通り、FOSの混合物が使用され得、特にQuantum hi-TechからのQuantom FOS95又はBeghin Meiiji industries-FranceからのActilight(登録商標)などのGF2+GF3+GF4の混合物が使用され得、後者は、37%のGF2、53%のGF3及び10%のGF4の混合物に対応する。
【0074】
本発明の第2の実施形態によると、それは、異なる種類のオリゴ糖及び/又は多糖の混合物であり得る。本発明は、特にイヌリンと、GOS、FOS、大豆誘導オリゴ糖、ピロデキストリン、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖及び/又はトランスガラクトオリゴ糖との混合物の使用に関する。1つの特定の実施形態によると、イヌリンと、Gova IngredientsからのBiolineなどのGOSとの混合物が使用される。本発明は、GOSとFOSとの混合物の使用にも関する。
【0075】
好ましくは、この第2の態様において、本発明による組成物は、
- 少なくとも1つのグルコオリゴ糖(GOS)と、
- 少なくとも1つのフルクトオリゴ糖(FOS)と
を含むオリゴ糖の混合物を含み、前記グルコオリゴ糖(GOS)は、本発明による組成物中において、組成物の全質量に対して0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、さらにより良好には0.1質量%~1質量%、さらにより好ましくは0.2質量%~0.8質量%の濃度で存在し、
前記フルクトオリゴ糖(FOS)は、本発明による組成物中において、組成物の全質量に対して0.001質量%~5質量%、好ましくは0.01質量%~1質量%、さらにより良好には0.01質量%~0.5質量%、さらにより好ましくは0.05質量%~0.3質量%の濃度で存在する。
【0076】
有利には、本発明の第2の実施形態において、本発明による組成物は、
- 少なくとも1つのグルコオリゴ糖(GOS)と、
- 少なくとも1つのフルクトオリゴ糖(FOS)と
を含むオリゴ糖の混合物を含み、[GOS/FOS]質量比は、少なくとも2、好ましくは2~4、さらにより良好には3~4である。
【0077】
プレバイオティックオリゴ糖と、SolabiaによってEcoskin(登録商標)の名称で販売されるプロバイオティック微生物との混合物が特に使用され得る。
【0078】
前記混合物は、特に、
- 混合物の全質量に対して60質量%~80質量%の少なくとも1つのグルコオリゴ糖(GOS)と、
- 混合物の全質量に対して10質量%~25質量%の少なくとも1つのフルクトオリゴ糖(FOS)と
を含む。
【0079】
特に、前記混合物は、70質量%のグルコオリゴ糖(GOS)、19質量%のヤーコン(Polymnia sonchifolia)塊茎汁、1質量%のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)及びラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、10質量%のマルトデキストリンを含む。
【0080】
プロバイオティクス
上述の2つの異形とは独立して、本発明による組成物は、少なくとも1つのプロバイオティック微生物も含むことができる。
【0081】
本発明の目的では、「プロバイオティック微生物」という用語は、適切な量で消費される場合、そのホストの健康に対してプラスの効果を有し(「Joint FAO/WHO Expert Consultation on Evaluation of Health and Nutritional Properties of Probiotic in Food Including Powder Milk with Live Lactic Acid Bacteria,6 October 2001」)、且つ特に腸内微生物バランスを改善し得る、生きている微生物を意味するように意図される。
【0082】
皮膚の場合、前記プロバイオティック微生物は、適切な量で皮膚に適用される場合、皮膚及び粘膜の美的特質に対してプラスの効果を有するプロバイオティック微生物である。
【0083】
より詳細には、それらは、特にラクトバチルス属(Lactobacillus)などの乳酸菌の群からのプロバイオティック微生物である。これらの乳酸菌の例証として、より詳細には、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)及びそれらの混合物が記載され得る。
【0084】
プロバイオティック微生物の具体的な例は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)、ラクトバチルス・クルヴァトゥス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・デルブルキイー亜種ラクティス(Lactobacillus delbruckii subsp.Lactis)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ラムノースス(Lactobacillus rhamnosus)(ラクトバチルス GG(Lactobacillus GG))、ラクトバチルス・サケ(Lactobacillus sake)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、L.デルブルエッキイー(L.delbrueckii)、L.ヘルベティカス(L.helveticus)、L.サリバリウス(L.salivarius)、L.カルバタス(L.curvatus)、L.プランタルム(L.plantarum)、L.サケイ(L.sakei)、L.ブレビス(L.brevis)、L.ブチネリ(L.buchneri)、L.ファーメンタム(L.fermentum)、L.ロイテリ(L.reuteri)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ロンガム(Lactobacillus longum)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus lactis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)及びそれらの混合物である。
【0085】
一般に、本発明による組成物は、組成物の全質量に対して0.0001~20質量%の少なくとも1つのプロバイオティック微生物を一般に含む。
【0086】
有利には、プロバイオティック微生物は、本発明による組成物中において、組成物の全質量に対して0.0001質量%~10質量%、好ましくは0.001質量%~5質量%、さらにより好ましくは0.001質量%~1質量%の濃度で存在する。
【0087】
微生物は、生存、半活性又は不活性、枯死の状態において、本発明による組成物中に含まれ得る。
【0088】
それらは、細胞成分のフラクションの形態又は代謝物質の形態でも含まれ得る。微生物、代謝物質又はフラクションは、凍結乾燥粉末、培養上清の形態及び/又は適切な場合には濃縮した形態でも導入され得る。
【0089】
本発明の1つの好ましい実施形態によると、これらの微生物は、特に熱又は高圧によって不活化された不活性型である。
【0090】
「不活性型」、「再生不可能型」及び「枯死型」という用語は、本明細書において同義である。
【0091】
「半活性型」の細菌は、それらの増殖特性を部分的に又は完全に失った細菌である。
【0092】
微生物が生存型で組成物中に配合される場合、生きている微生物の量は、103~1015cfu/g、特に105~1015cfu/gまで、より特に107~1012cfu/gの組成物1グラムあたりの微生物の範囲であり得る。
【0093】
1つの特に好ましい実施形態において、本発明による組成物は、
- 少なくとも1つのグルコオリゴ糖(GOS)と、
- 少なくとも1つのフルクトオリゴ糖(FOS)と
を含むオリゴ糖の混合物を含み、前記グルコオリゴ糖(GOS)は、本発明による組成物中において、組成物の全質量に対して0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、さらにより良好には0.1質量%~1質量%、さらにより好ましくは0.2質量%~0.8質量%の濃度で存在し、
前記フルクトオリゴ糖(FOS)は、本発明による組成物中において、組成物の全質量に対して0.001質量%~5質量%、好ましくは0.01質量%~1質量%、さらにより良好には0.01質量%~0.5質量%、さらにより好ましくは0.05質量%~0.3質量%の濃度で存在し、
本発明による組成物は、加えて、組成物の全質量に対して0.0001質量%~10質量%、好ましくは0.001質量%~5質量%、さらにより良好には0.001質量%~1質量%である、ラクトバチルス(Lactobacillus)属の細菌、特にラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つのプロバイオティック微生物も含む。
【0094】
有利には、本発明による組成物は、
- 少なくとも1つのグルコオリゴ糖(GOS)と、
- 少なくとも1つのフルクトオリゴ糖(FOS)と
を含むオリゴ糖の混合物を含み、[GOS/FOS]質量比は、少なくとも2、好ましくは2~4、さらにより良好には3~4である。
【0095】
プレバイオティックオリゴ糖と、SolabiaによってEcoskin(登録商標)の名称で販売されるプロバイオティック微生物との混合物が特に使用され得る。
【0096】
前記混合物は、特に、
- 混合物の全質量に対して60質量%~80質量%の少なくとも1つのグルコオリゴ糖(GOS)と、
- 混合物の全質量に対して10質量%~25質量%の少なくとも1つのフルクトオリゴ糖(FOS)と、
- 混合物の全質量に対して0.001質量%~15質量%の、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つのプロバイオティック微生物と
を含む。
【0097】
特に、前記混合物は、70質量%のグルコオリゴ糖(GOS)、19質量%のヤーコン(Polymnia sonchifolia)塊茎汁、1質量%のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)及びラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、10質量%のマルトデキストリンを含む。
【0098】
マンノース
本発明による組成物は、マンノース単糖を含む。
【0099】
マンノースは、6個の炭素からなる単糖(単純な非加水分解性糖)であり;それは、ヘキソースである。その経験式は、グルコースと同一のC6H12O6であり、C2エピマーである(すなわちグルコースと比較して逆である炭素2上の置換基を除いて、その空間配置が厳密に同一である)。
【0100】
本発明による問題の単糖は、以下の式(IV)に対応する。
[化学式4]
【化4】
【0101】
当然のことながら、マンノースの鏡像異性型の全てが本発明によって考慮される。
【0102】
マンノースは、(水和物を含む)溶媒和型でもあり得、またD及びL立体異性体の混合物の形態:DL-マンノースでもあり得る。
【0103】
1つの好ましい実施形態によると、マンノース単糖は、以下の式(V)のD-マンノースである。
[化学式5]
【化5】
【0104】
D-マンノースは、植物中、特にクランベリーを含む特定の果物中又は硬材(ブナノキ及びカバノキ)中に天然で存在する。
【0105】
本発明に関して適切なD-マンノースの例として、Danisco Sweeteners(登録商標)社又はSymrise(登録商標)社によって販売されるD-マンノースが記載され得る。
【0106】
一般に、マンノース単糖は、それを含有する組成物の全質量に対して0.01質量%~20質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、最も好ましくは0.1質量%~5質量%で使用され得る。
【0107】
上記のように、本発明による組成物は、生理的に許容可能な媒体を含む。より詳細には、前記生理的に許容可能な媒体は、水並びに/又はエタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール若しくはn-ブタノールなどの線形若しくは分枝状C1~C6モノアルコール、);グリセロール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール(又は2-メチル-2,4-ペンタンジオール)及びポリエチレングリコールなどのポリオール;ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのポリオールエーテル;及びそれらの混合物から選択可能である1つ以上の水溶性有機溶媒を含み得る。
【0108】
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の全質量に対して20質量%~95質量%、さらにより良好には40質量%~90質量%の範囲の含水量を有する。
【0109】
有利には、組成物は、組成物の全質量に対して0.5質量%~25質量%、好ましくは5質量%~20質量%、さらにより良好には10質量%~15質量%の範囲の含有量で1つ以上の水溶性有機溶媒を含む。
【0110】
提示形態
本発明による化粧用組成物は、局所的に適用される。
【0111】
外部局所投与のために意図される組成物は、水性、水性-アルコール性若しくは油性溶液、ローション若しくは乳清型の溶液若しくは分散体、水性相中脂肪性相(O/W)又はその逆(W/O)の分散によって得られるミルク型の液体若しくは半液体粘稠のエマルジョン又はクリーム型の軟質、半固体若しくは固体粘稠の懸濁液若しくはエマルジョン、水性若しくは無水性ゲル、マイクロエマルジョン、マイクロカプセル、微粒子又はイオン及び/若しくは非イオン型の多孔状分散体であり得る。
【0112】
これらの組成物は、通常の方法によって調製される。
【0113】
本発明による局所用組成物は、特に顔又は体のクレンジング、保護、治療又はケアのためのクリームの形態、皮膚若しくは毛髪に配置されたままにされるマスクの形態、化粧除去ミルクの形態、ボディ保護若しくはケアミルクの形態、スキンケア用のローション、ゲル又はフォームの形態、例えばクレンジングローション、浴用剤組成物の形態のスキンケア用に適切ないずれかの提示形態で有利に配合され得る。
【0114】
代わりに、本発明による局所用組成物は、特にヘアローションの形態、シャンプー、特にフケ予防シャンプーの形態、コンディショナーの形態、もつれ除去剤(disentangler)、ヘアクリーム又はゲルの形態、トリートメントローションの形態、毛髪損失予防ローション又はゲルの形態、抗寄生虫性シャンプーの形態又はトリートメントシャンプー、特に抗脂漏シャンプーの形態、頭皮ケアの形態、特に抗刺激性、老化防止、体質改善製品の形態のヘアケア用に適切ないずれかの提示形態で有利に配合され得る。
【0115】
補助剤
既知の方法では、局所投与のために意図される提示形態は、美容、製薬及び/又は皮膚病学の分野で共通である補助剤、例えば親水性若しくは親油性ゲル化剤、親水性若しくは親油性活性剤、保存剤、酸化防止剤、溶媒、芳香剤、充填剤、スクリーニング剤、脂肪物質、例えば油、乳化剤、臭気吸収剤及び着色剤も含有し得る。これらの種々の補助剤の量は、例えば、組成物の全質量の0.01%~20%までの、検討される分野で慣例通りに使用される量である。それらの性質に従い、これらの補助剤は、脂肪性相及び/又は水性相に導入され得る。
【0116】
本発明による組成物中で使用可能である親水性ゲル化剤としては、変性又は未変性のカルボキシビニルポリマー、例えばGoodrich社によってCarbopol(INCI名:カルボマー)及びPemulen(INCI名:アクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマー)の名称で販売される製品又はCognis社によってCosmedia SP(INCI名:ポリアクリル酸ナトリウム)の名称で販売される架橋ポリアクリル酸ナトリウム;ポリアクリルアミド;2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマー、例えばClariantによってHostacerin AMPS(INCI名:アンモニウムポリアクリルジメチルタウレート)の名称で販売される製品;エマルジョンの形態で提供されるアクリルアミド及びAMPSの架橋アニオンコポリマー、例えばSEPPIC社によってSepigel 305(CTFA名:ポリアクリルアミド/C13-14イソパラフィン/Laureth-7)及びSimulgel 600(CTFA名:アクリルアミド/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー/イソヘキサデカン/Polysorbate 80)の名称で販売されるもの;アクリレート/アクリロニトリルコポリマー、例えばKingston社によって販売されるHypan SS201;合成中性ポリマー、例えばポリ-N-ビニルピロリドン;多糖、例えばグアーガム、キサンタンガム及びセルロース系誘導体が記載され得る。これらのポリマーの量は、組成物の全質量に対して例えば0.05質量%~5質量%、さらにより良好には0.1質量%~3質量%の範囲であり得る。
【0117】
記載され得る親油性ゲル化剤としては、変性粘土、例えばベントン、脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸アルミニウム及び疎水性シリカ又は代わりにエチルセルロース及びポリエチレンが挙げられる。
【0118】
本発明の組成物がエマルジョンである場合、脂肪性相の割合は、組成物の全質量に対して5質量%~80質量%、好ましくは10質量%~50質量%の範囲であり得る。エマルジョンの形態の組成物中に使用される油、乳化剤及び共乳化剤は、化粧品及び/又は皮膚科学において慣例通りに使用されるものから選択される。乳化剤及び共乳化剤は、組成物の全質量に対して0.3質量%~30質量%、好ましくは0.5質量%~20質量%の範囲の割合で組成物中に存在し得る。
【0119】
本発明の組成物が油性溶液又はゲルである場合、脂肪性相は、組成物の全質量の90%以上を表し得る。
【0120】
使用され得る油として記載され得る例としては、以下が挙げられる:
- 植物由来の炭化水素系油、例えば4~10個の炭素原子を含む液体脂肪酸トリグリセリド、例えばヘプタン酸若しくはオクタン酸トリグリセリド又は例えばヒマワリ油、トウモロコシ油、大豆油、マロー油、グレープシード油、セサミシード油、ヘイゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社によって販売されるもの又はDynamit Nobel社によってMiglyol 810、812及び818の名称で販売されるもの、ホホバ油及びシアバター油;
- 特に脂肪酸の合成エステル及びエーテル、例えば式R1COOR2及びR1OR2(式中、R1は、8~29個の炭素原子を含有する脂肪酸残基を表し、及びR2は、3~30個の炭素原子を含有する分枝状又は非分枝状炭化水素系鎖を表す)の油、例えばパーセリン(purcellin)油、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル又はイソステアリン酸イソステアリル;水酸化エステル、例えば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリイソセチル及び脂肪アルコールヘプタノエート、オクタノエート及びデカノエート;ポリオールエステル、例えばプロピレングリコールジオクタノエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート及びジエチレングリコールジイソノナノエート;並びにペンタエリトリトールエステル、例えばペンタエリスリチルテトライソステアレート;
- 鉱物又は合成由来の線形又は分枝状炭化水素、例えば揮発性又は不揮発性であり得る液体パラフィン及びその誘導体、ワセリン、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、例えばパールリーム(parleam)油、8~26個の炭素原子を有する脂肪アルコール、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール及びそれらの混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、10 2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコール又はリノレイルアルコール;シリコーン油、例えば周囲温度で液体又はペーストである、線形又は環式シリコーン鎖を有する揮発性又は不揮発性ポリメチルシロキサン(PDMS)、特にシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコン)、例えばシクロヘキサシロキサン;ペンダント基又はシリコーン鎖末端にあり、2~24個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシル又はフェニル基を含むポリジメチルシロキサン;フェニル化シリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート及びポリメチルフェニルシロキサン;及び
- それらの混合物。
【0121】
上記の油のリストにおいて、「炭化水素系油」という用語は、主に炭素及び水素原子、場合によりエステル、エーテル、フルオロ、カルボン酸及び/又はアルコール基を含むいずれの油も意味する。
【0122】
乳化剤としては、両性、カチオン性、アニオン性又は非イオン性界面活性剤が記載され得、これは、単独で又は混合物中において任意選択的に共乳化剤と一緒に使用される。
【0123】
O/Wエマルジョンに関して、例えば、乳化剤として、非イオン乳化剤、例えばグリセロールのオキシアルキレン化(より特にポリオキシエチレン化)脂肪酸エステル;ソルビタンのオキシアルキレン化脂肪酸エステル;オキシアルキレン化(オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化)脂肪酸エステル;オキシアルキレン化(オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化)脂肪アルコールエーテル;糖エステル、特にオキシアルキレン化糖エステル、リン酸及び脂肪アルコールのエステル;並びにそれらの混合物が記載され得る。
【0124】
1つの好ましい実施形態において、本発明による組成物は、シリコーン油、ガム及びワックスなどのシリコーン脂肪物質;植物、鉱物、動物及び/又は合成由来の油、ペースト及びワックスなどの非シリコーン脂肪物質;8~32個の炭素原子を有する脂肪酸;特に式R1COOR2及びR1OR2(式中、R1は、8~29個の炭素原子を含む脂肪酸の残基を表し、及びR2は、3~30個の炭素原子を含有する分枝状又は非分枝状炭化水素系鎖を表す)の合成エステル及びエーテル;鉱物又は合成由来の線形又は分枝状炭化水素;8~26個の炭素原子を有する脂肪アルコール;水;C2~C6モノアルコール;プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコールから選択されるグリコール;ケトン;増粘剤、乳化剤、界面活性剤、ゲル化剤、芳香剤、充填剤、着色剤、モイスチャライザー、ビタミンA、E、B3から選択されるビタミン、ポリマーから選択される少なくとも1つの成分を含む。
【0125】
これらの種々の成分の量は、例えば、組成物の全質量の0.01%~20%までの、検討される分野で慣例通りに使用される量である。
【0126】
美容的治療法及び美容的使用
本発明は、皮膚及び/又は粘膜の美容的ケア治療の方法であって、本発明による組成物の、特に外部攻撃を受けた皮膚及び/又は粘膜への適用を含む方法にも関する。
【0127】
特に、本発明による美容的治療方法は、皮膚及び/又は粘膜の細菌フローラのバランスを維持し、且つ/又は回復させることを可能にする。
【0128】
さらに、本発明による美容的治療方法は、皮膚及び/又は粘膜の美的特質からの損失の予防及び/又は治療、特に乾燥肌及び/又は肌荒れの予防及び/又は治療を可能にする。
【0129】
本発明による美容的治療方法は、敏感肌の予防及び/又は治療、特に敏感肌の不快感の予防及び/又は治療も可能にする。
【0130】
本発明は、皮膚、特に外部攻撃を受けた皮膚のケアのための、上記で定義された前記組合せと、任意選択的に、上記で定義された少なくとも1つのプロバイオティック微生物との局所的な美容的使用にも関する。
【0131】
本発明は、皮膚及び/又は粘膜の細菌フローラのバランスを維持し、且つ/又は回復させるための前記組合せの使用にも関する。
【0132】
さらに、本発明は、敏感肌の予防及び/又は治療、特に敏感肌の不快感の予防及び/又は治療のための前記組合せの使用にも関する。
【0133】
不快感に関して、これらは、典型的に、かゆみ、熱又は刺痛及び/若しくは引張の感覚であり得る。特に記載され得る代表的な可視の皮膚徴候には、そう痒、ドライパッチ、紅斑及び/又は赤みが含まれる。
【0134】
これらの現象は、体のほとんどの暴露領域、すなわち手、足、顔及び頭皮においてより一般的である。
【0135】
したがって、原因となる因子との個々の接触から数分後に現れる不快徴候の出現は、敏感肌の本質的な特徴の1つである。これには、主に、感覚神経徴候であるジアステリックな感覚が関連する。ジアステリックな感覚とは、刺痛、ヒリヒリした感覚、かゆみ又はそう痒、熱、不快、引張などのような感覚であることが理解される。これらの自覚徴候は、通常、落屑などの目に見える臨床的徴候がない状態で存在する。現在では、これらの皮膚不耐性反応は、特に表皮及び真皮の神経終末によるニューロペプチドの放出と関連することが知られている。
【0136】
さらに、本発明は、敏感肌のジアステリックな感覚の徴候を予防及び/又は治療することに関する。
【0137】
本発明は、特に敏感肌を有する人の、例えば刺痛、ヒリヒリした感覚、かゆみ又はそう痒、熱、不快、紅斑及び/又は引張などの皮膚不快感の感覚を予防及び/又は低減させることを提案する。
【0138】
「アレルギー」であると認められる皮膚とは対照的に、敏感肌の反応性は、免疫学的プロセスではなく、すなわち、それは、アレルゲンの存在に応じて生じるものではない。
【0139】
さらに、その応答機構は、「非特異性である」と言われている。この点に関して、それは、皮膚病、湿疹及び/又は魚鱗癬などの炎症及びアレルギー反応を示す皮膚と異なる。
【0140】
本発明の目的では、「敏感肌」という用語は、過敏性の肌及び不耐性の肌を含む。
【0141】
本発明に関連して、考察中の敏感肌は、いずれの炎症性質も示さない。
【0142】
最後に、本発明は、皮膚及び/又は粘膜の美的特質からの損失の予防及び/又は治療、特に乾燥肌及び/又は肌荒れの予防及び/又は治療のための前記組合せの使用にも関する。
【0143】
乾燥肌は、本質的に引張及び/又は緊張の感覚などの不快な感覚に現れる。このような乾燥肌は、触ると粗く、且つ/又は鱗で覆われているようにも見える。皮膚がわずかに乾燥している場合、鱗は、多数あるが、肉眼にはほとんど見えない。それらは、次第に少なくなるが、この障害が悪化すると、肉眼で一層見えるようになる。
【0144】
この肌乾燥の原因は、先天的又は後天的であり得る。
【0145】
前記組合せは、好ましくは、非病理学的先天的乾燥肌又は非病理学的後天的乾燥肌を治療することを目的とする。
【0146】
後天的乾燥肌の場合、化学薬剤、厳しい気象条件若しくは太陽又は他の特定の治療処置(例えば、レチノイドによる)への曝露などの外部パラメーターの関与が決定因子である。これらの外部からの影響により、皮膚は、瞬間的且つ局所的に乾燥し得る。
【0147】
非病理学的先天的乾燥肌は、その深刻度が、すでに示される外部因子次第であり得る乾燥肌である。この皮膚区分には、高齢者の皮膚(年齢と共に皮膚代謝が一般に減少することを特徴とする)、デリケートな肌(外部因子に対して非常に敏感であり、多くの場合に紅斑を伴う)及び通常の乾燥症(遺伝的原因による場合が多く、顔、手足及び手の甲に主に表れる)が含まれる。
【0148】
以下の実施例は、本発明を示すものであり、純粋に非限定的な例証として挙げられる。
【0149】
以下の本文を通して、他に記載されない限り、百分率は、質量基準で与えられる。
【0150】
「少なくとも1つ」という表現は、「1つ以上」と同義語である。
【0151】
「...~...」という表現及び「...~...の範囲の」、「少なくとも...」又は「最大で」という表現は、特に明記されない限り、包括的な限定であると理解されなければならない。
【0152】
以下の実施例及び図面は、本発明の分野を限定しない例証として提供される。
【実施例0153】
実施例1 - 攻撃的クレンザーの使用後の本発明による組成物の適用後の皮膚細菌フローラの回復の評価
30~50才の30人の女性の群が選択された。本調査において、攻撃的クレンザーを使用して対象の顔の皮膚のクレンジングを実行した。
【0154】
クレンザーの組成物の成分は、水、トリエタノールアミン、グリセリン、ミリスチン酸、ラウリン酸、コカミドプロピルベタイン、リン酸ラウリル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、三リン酸五ナトリウム、O-シメン-5-オール(イソプロピルメチルフェノール)、ベンゾフェノン-4、ブチルヒドロキシトルエンを含むものであった。
【0155】
対象の頬の皮膚を以下の通りに評価した:
- 素肌で(D0):T0be、T0af、T3h及びT6h;
- 組成物1の適用の直後(D5):T3h及びT6h;
- 組成物1による治療の14日後(D19):T3h及びT6h。
【0156】
T0be:クレンジング前;
T0af:クレンジング直後;
T3h:クレンジングの3時間後;
T6h:クレンジングの6時間後。
【0157】
評価は、以下の基準上で実行される:
粗さ:
- 粗さは、臨床スコアによって評価された:臨床医は、サンプリングが実行された頬の領域に触れることなく、接触に対する皮膚の粗さを評価した;
- スケールは、以下の通り0~4である:
0=不在:完全に滑らかで弾力性のある表面
1=軽度:接線方向の接触時にわずかな不規則性及び粗さ
2=中程度:垂直接触によって検出される、皮膚の著しい不規則性、粗い外観及びわずかな硬化
3=重度:皮膚の硬化と組み合わされるより顕著な不規則性及び粗さ
4=極度:非常に著しい不規則性及びより著しい徴候による皮膚模様の主要な障害。
【0158】
乾燥:
- 乾燥は、臨床スコアによって評価された:臨床医は、顔の皮膚の乾燥を調査した。
- スケールは、以下の通り0~3である:
0=乾燥のない皮膚
1=軽度の乾燥(軽度の粗さ)
2=中程度の乾燥(中程度の粗さ、特定の落屑)
3=重度の乾燥(著しい粗さ及び著しい落屑)。
【0159】
不快感:
- 不快(刺痛、かゆみ、熱、引張)の感覚は、自己評価によって評価された:質問者は、ボランティアに、集中的なクレンジングの直後且つ3時間後及び6時間後の動力学中、自己評価を実行するように依頼し、以下の0~4のスケールを使用した:
0=全くない
1=軽度:
2=中程度:
3=重度:
4=非常に重度。
【0160】
細菌負荷及び細菌集団の分析:
- 全細菌負荷は、QPCR(SYBER Green nを用いた三重(プライマーセット27F/534R)KAPA BiosystemsキットのV1-V3 16S rRNAでのQPCR)によって評価され、
- 細菌集団のメタゲノム解析は、次世代シーケンシング(Illumina MiSeqプラットホームでのV1-V3の増殖(プライマーセット27F/534R))を用いて実行し、分類学的割り当ては、SILVA塩基を使用して実行され、QIIME(オープンリファレンス)によってOTUを分析し、このようにしてアルファ多様性(シャノン指数)及びベータ多様性(UniFrac距離)を算出することが可能となる。
【0161】
本発明による以下の組成物1を調製した。
【0162】
【0163】
組成物1は、以下の通りに調製される:水性相の成分を撹拌しながら均質化し、且つ全体を60℃の温度まで加熱する。この加熱された混合物に、事前に混合されて60℃の温度まで加熱された脂肪性相の成分を添加する。その後、ゲル化剤を添加する。乳化するまで全体を撹拌下に保持し、且つ継続的に撹拌しながら、混合物を22℃~23℃の温度まで冷却する。
【0164】
組成物1を顔全体に適用した。
【0165】
皮膚の粗さの評価
【0166】
【0167】
上記の表2に列挙される値は、上記で詳述されるスケールによって評価された皮膚の粗さスコアの平均(n=30)を表す。
【0168】
結論:曲線の下の面積を使用して、治療の14日間後(D19)、本発明による組成物1の適用により、組成物の不適用と比較して皮膚の粗さの有意な減少が示される(p<0.001)。
【0169】
皮膚の乾燥の評価
【0170】
【0171】
上記の表3に列挙される値は、上記で詳述されるスケールによって評価された皮膚の乾燥スコアの平均(n=30)を表す。
【0172】
結論:
- 曲線の下の面積を使用して、治療の14日間後(D19)、本発明による組成物1の適用により、組成物の不適用と比較して皮膚の乾燥の有意な減少が示され(p=0.0001)、
- 治療の14日間後(D19)、本発明による組成物1の適用により、D5での組成物の単一適用と比較して皮膚の乾燥の有意な減少が示される(p<0.0001)。
【0173】
不快感の評価
【0174】
【0175】
上記の表4に報告される値は、上記で詳述されるスケールによって評価された皮膚の不快感スコアの平均(n=30)を表す。
【0176】
結論:
- 曲線の下の面積を使用して、本発明による組成物1の適用により、組成物の不適用と比較して、D5での単一適用後、皮膚の不快感の有意な減少が示される(p<0.001)。
- また、治療の14日間後(D19)、本発明による組成物1の適用により、D5での組成物の単一適用と比較して皮膚の不快感の有意な減少が示される(p<0.001)。
- 最後に、治療の14日間後(D19)、本発明による組成物1の適用により、組成物の不適用と比較して皮膚の不快感の有意な減少が示される(p<0.001)。
【0177】
常用対数細菌負荷の評価
【0178】
【0179】
上記の表5に報告される値は、上記で詳述される評価方法を使用する細菌負荷に関する平均(n=30)を表す。
【0180】
結論:
- 曲線の下の面積を使用して、本発明による組成物1の適用により、組成物の不適用と比較して、D5での単一適用後、細菌負荷の有意な増加が示される(p<0.001)。
- また、治療の14日間後(D19)、本発明による組成物1の適用により、組成物の不適用と比較して細菌負荷の有意な増加が示され(p<0.001)、細菌負荷の完全な回復が示される。
【0181】
アルファ多様性(シャノン指数)の評価
【0182】
【0183】
上記の表6に報告される値は、上記で詳述される評価方法を使用する中央アルファ多様性を表す。
【0184】
結論
- クレンジング後、アルファ多様性の有意な減少が見られる(p<0.05)。多様性の有意な減少(p<0.05)があった素肌では、クレンジングの3時間後及び6時間後に依然として回復が見られない。
- D5における本発明による組成物1の初期適用から、アルファ多様性の回復の開始が観察され(p=0.024)、回復の開始を告げる。
- 14日後(D19)、本発明による組成物1の適用により、アルファ多様性の有意な増加が示され、アルファ多様性の回復が示され、クレンジング後のT6hの多様性は、クレンジング前のT0と全く異ならず(p>0.05)、これは、アルファ多様性の完全な回復の指標である。
- また、14日後(D19)、本発明による組成物1の適用により、組成物の不適用と比較してアルファ多様性の有意に異なる回復が示される(p=0.023)。
【0185】
ベータ多様性/UniFrac距離の評価 - 値Rは、クレンジング前のT0と比較した系統学的距離を表す。
【0186】
【0187】
上記の表7に報告される値は、上記で詳述される評価方法を使用するベータ多様性の平均(n=30)を表す。値Rの減少が大きいほど、クレンジング前のT0と比較した系統学的距離が小さく、且つ細菌集団の回復性能が大きい。
【0188】
結論:
- 攻撃的クレンザーによるクレンジングにより、皮膚の細菌集団の構造のかなりの変性がもたらされる。T3h後の変化がクレンジング後のT0におけるよりも大きいことに留意することが重要である。これは、皮膚細菌の回復が困難であることを意味する。
- 非治療と比較して、本発明による組成物1の単一のみの適用後、より低いR値がすでに観察されており、これは、回復の開始を意味する。
- 本発明による組成物1の14日適用により、クレンジング直後のより小さい変化が導かれ、そのうえ、単一適用:クレンジングの3時間後と比較してより低いR値も導かれ、Rの値は、非常に低く、値pは、もはや有意に異ならず、細菌集団がクレンジング前のものと類似であることを示唆し、細菌のベータ多様性の全体的な回復を示す。
【0189】
実施例2 - 攻撃的クレンザーの使用後の本発明による組成物及び本発明以外の組成物間の適用後の皮膚細菌フローラの回復の比較
55~65才の30人の女性の群が選択された。本調査において、攻撃的クレンザーを使用して対象の顔の皮膚のクレンジングを実行した。適用されるプロトコルは、上記の実施例1で明らかにされたものと同じであるが、組成物1が組成物2(本発明による)及び3(本発明以外)と置き換えられている。
【0190】
クレンザーの組成物の成分は、水、トリエタノールアミン、グリセリン、ミリスチン酸、ラウリン酸、コカミドプロピルベタイン、リン酸ラウリル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、三リン酸五ナトリウム、O-シメン-5-オール(イソプロピルメチルフェノール)、ベンゾフェノン-4、ブチルヒドロキシトルエンを含むものであった。
【0191】
対象の頬の皮膚を以下の通りに評価した:
- 素肌で(D0):T0be、T0af、T3h及びT6h;
- 組成物の適用の直後(D3):T3h及びT6h;
- 組成物による治療の15日後(D18):T3h及びT6h。
【0192】
T0be:クレンジング前;
T0af:クレンジング直後;
T3h:クレンジングの3時間後;
T6h:クレンジングの6時間後。
【0193】
評価は、以下の基準上で実行される。
- 引張感覚
- 細菌負荷
- アルファ多様性(シャノン指数)
- ベータ多様性
【0194】
使用されるスコアスケールは、実施例1で示されるものと同一である。
【0195】
以下の本発明による組成物2及び本発明以外の組成物3を調製した。
【0196】
【0197】
組成物2及び3は、以下の通りに調製された:化合物は、冷却状態で不溶性であるため、混合し、80℃まで加熱して、プレエマルジョンを形成する。次いで、組成物2及び3を35℃まで冷却する。その後、ゲル化剤を添加して、溶解する。プロバイオティックフラクションは、周囲温度で添加される。
【0198】
組成物2及び3を顔全体に適用した。
【0199】
引張感覚の評価
【0200】
【0201】
【0202】
結論:2つの組成物2及び3の1回目の適用から、素肌(D0)と比較して、攻撃的クレンザーによって誘因される引張の例において有意により急速な減少が観察される(p<0.001)。2つの組成物2及び3の適用の15日後、素肌と比較して、それらは、攻撃的クレンザーによって誘因される引張感覚に対して有意な保護を提供する(p<0.001)。
【0203】
細菌負荷の評価
【0204】
【0205】
【0206】
結論:2つの組成物2及び3の適用により、細菌負荷は、3時間から有意により迅速に且つ完全に回復することが可能であり(p<0.0001);この有効性は、適用の15日後にも確認され、そこでは、2つの配合物は、3時間から全細胞負荷の有意に完全且つより迅速な回復を可能にする(p<0.0001)。
【0207】
アルファ多様性(シャノン指数)の評価
【0208】
【0209】
上記の表13(組成物3)に報告される値は、上記で詳述される方法によって評価されるアルファ多様性の平均を表す。
【0210】
D3で観察される回復は、より良好であるが、D0と比較して有意な差異がなく、D0(素肌)、D3(1回適用)及びD18(適用14日)間で細菌多様性の回復において有意な差異が観察されない。したがって、素肌と比較してより良好な回復がない。
【0211】
【0212】
上記の表14(本発明による組成物2)で報告される値は、上記で詳述される方法によって評価されるアルファ多様性の平均を表す。
【0213】
D0(T6h)と比較して、D18(T6h)で有意な回復が観察される(p<0.005)。使用の15日後、細菌皮膚多様性は、攻撃後2.73倍急速に回復する。回復は、D0の素肌と比較して且つD3の組成物2の単一適用と比較してD18でより大きく、より急速である。
【0214】
ベータ多様性の評価 - 値Rは、クレンジング前のT0と比較した系統学的距離を表す。
【0215】
【0216】
上記の表15(組成物3)に報告される値は、上記で詳述される方法によって評価されるベータ多様性の平均(n=30)を表す。値Rの減少が大きいほど、クレンジング前のT0と比較した系統学的距離が小さく、且つ細菌集団の回復性能が大きい。
【0217】
クレンジング前(素肌)のT0における参照データに基づいて、R値の増加が見られる。これは、細菌集団の変化及び距離を示す。D3及びD18において、値Rは、減少したが、D0と比較して有意に異なるままであり、再びD0及びD3及びD18で細菌集団の変化及び回復の欠如を示す。
【0218】
【0219】
上記の表16(組成物2)に報告される値は、上記で詳述される方法によって評価されるベータ多様性の平均(n=30)を表す。値Rの減少が大きいほど、クレンジング前のT0と比較した系統学的距離が小さく、且つ細菌集団の回復性能が大きい。
【0220】
洗浄前からの参照データに基づいて、回復は、D0では見られない。Rの値は、洗浄後(R=0.071)及びT6h(R=0.057)間で実質的に不変である。
【0221】
D3では、回復は、観察されない。Rの値は、洗浄直後(R=0.097)及びT6h(R=0.079)間で実質的に不変である。
【0222】
D18で急速な回復が観察される。R値は、クレンジング(R=0.100)及びT3h(R=0.036)及びT6h(R=0.018)後で迅速に減少する。有意な全回復は、T3hからのD18で観察される。
【0223】
一般的な結論:
組成物2(本発明による)及び3(本発明以外)は、引張感覚の減少を可能にする。
【0224】
オリゴ糖とマンノースとの組合せを含む本発明による組成物2のみ、攻撃的クレンザーの使用後、アルファ及びベータ多様性におけるより急速且つより実質的な回復を可能にする。
【0225】
文献参照:
[1]Lai Y,Di Nardo A,Nakatsuji T,et al.Commensal bacteria regulate Toll-like receptor 3-dependent inflammation after skin injury.Nature Medicine 2009,15:1377-1382
[2]Nakatsuji T,Gallo RL.Antimicrobial Peptides:Old Molecules with New Ideas J Invest Dermatol 2012,132,3:887-895
[3]Yuki T,Yoshida H,Akazawa Y et al.Activation of TLR2 Enhances Tight Junction Barrier in Epidermal Keratinocytes.J Immunol 2011,187,6,3230-3237
[4]Byrd AL,Belkaid Y,Segre JA.The human skin microbiome.Nature Reviews Microbiology 2018,16:143-155
[5]Stacy A,Belkaid Y.Microbial guardians of skin health.Sciences 2019,363,6424:227-228
[6]Linehan JL,Harrison OJ,Seong-JI et al.Non-classical Immunity Controls Microbiota Impact on Skin Immunity and Tissue Repair.Cell 2018,172:784-796
[7]Lee SE,Kim JM,Jeong SK,et al.Protease-activated receptor-2 mediates the expression of inflammatory cytokines,antimicrobial peptides,and matrix metalloproteinases in keratinocytes in response to Propionibacterium acnes.Archives of Dermatol Res 2010,302,10,745-756
[8]Iinuma K,Sato T,Akimoto N,et aI.Involvement of Propionibacterium acnes in the Augmentation of Lipogenesis in Hamster Sebaceous Glands In Vivo and In Vitro.J Invest Dermatol 2009,129,9:2113-2119
[9]Allhorn M,Arve S,Brueggemann H et al.A novel enzyme with antioxidant capacity produced by the ubiquitous skin colonizer Propionibacterium acnes.Sci Rep.2016;6:36412