(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028366
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240226BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20240226BHJP
B65H 3/52 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
H04N1/00 L
H04N1/12 Z
B65H3/52 330B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023223356
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2022133287の分割
【原出願日】2017-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】▲杢▼尾 智之
(72)【発明者】
【氏名】小柳 紀幸
(72)【発明者】
【氏名】福枡 恵一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮内 敬輔
(72)【発明者】
【氏名】坂元 直樹
(57)【要約】
【課題】原稿の種類に応じた適切な分離状態をより確実に選択することで、原稿を適切に給送する。
【解決手段】原稿を読み取る読み取り部と、原稿を載置する原稿載置部と、前記原稿載置部から原稿を送り出す給送ローラーと、前記給送ローラーとの間で原稿をニップするローラーであって、原稿の分離を行う分離状態と、原稿の分離を行わない非分離状態と、を切り換え可能な分離ローラーと、原稿の給送を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、読み取りを行う原稿の種類の選択と読み取りの開始を指示する為のユーザインタフェースを介して設定された原稿の種類に基づき、前記分離状態で給送を行うか前記非分離状態で給送を行うかを決定する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの層で構成される単層原稿と、複数の層で構成される複層原稿とを読み取り可能な読み取り部と、
原稿を載置する原稿載置部と、
前記原稿載置部から原稿を送り出す給送ローラーと、
前記給送ローラーとの間で原稿をニップするローラーであって、原稿の分離を行う分離状態と、原稿の分離を行わない非分離状態と、を切り換え可能な分離ローラーと、
前記給送ローラーの下流側に設けられ、原稿の重送を検出する重送検出部と、
原稿の給送を制御する制御部と、
読み取りを行う原稿の種類の選択と読み取りの開始を指示する為のユーザインタフェースが前記制御部の制御のもと実現される操作パネルと、
を備え、
前記ユーザインタフェースには、読み取りを行う原稿の種類として前記単層原稿とともに前記複層原稿が選択可能に表示され、
前記単層原稿と前記複層原稿は写真であり、
前記単層原稿と前記複層原稿とが表示される前記ユーザインタフェースは、読み取りを行う原稿の種類として写真か文書かを選択する前記ユーザインタフェースにおいて写真が選択された場合に実現され、
前記制御部は、
読み取りを行う原稿の種類として文書が選択されると、前記重送検出部により得られた信号レベルをもとに重送か否かを判定する為に用いる閾値として、文書用閾値を用いて重送か否かを判定し、
読み取りを行う原稿の種類として写真が選択されると、写真用の前記閾値であって、前記文書用閾値より低い写真用閾値を用いて重送か否かを判定し、
更に前記制御部は、前記ユーザインタフェースを介して原稿の種類が選択され、読み取りの開始が指示された場合、原稿種別毎の給送条件が定められた条件テーブルに基づき、
選択された原稿が前記単層原稿の場合、前記重送検出部を使用し、前記分離ローラーの状態を前記分離状態として、前記原稿載置部にセットされた複数枚の原稿を前記分離ローラーにより分離した上で連続して給送するモードを実行し、
選択された原稿が前記複層原稿の場合、前記重送検出部を使用せず、前記分離ローラーの状態を前記非分離状態として、前記原稿載置部に一枚のみセットされた原稿を給送し、次の一枚の原稿がセットされる迄給送待機状態とするモードを実行する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置において、前記制御部の制御のもと、前記分離状態と前記非分離状態とを切り換える切り換え手段を備え、
前記制御部は、前記ユーザインタフェースを介して選択された原稿の種類に基づき、前記切り換え手段を制御する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像読取装置において、前記単層原稿の読み取り実行中において読み取りの中止を選択するアイコンが前記ユーザインタフェースに表示され、
前記複層原稿の読み取り実行中において読み取りの中止を選択するアイコンが前記ユーザインタフェースに表示されない、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
写真であって一つの層で構成される単層原稿と、写真であって複数の層で構成される複層原稿とを読み取り可能な読み取り部と、
原稿を載置する原稿載置部と、
前記原稿載置部から原稿を送り出す給送ローラーと、
前記給送ローラーとの間で原稿をニップするローラーであって、原稿の分離を行う分離状態と、原稿の分離を行わない非分離状態と、を切り換え可能な分離ローラーと、
前記給送ローラーの下流側に設けられ、原稿の重送を検出する重送検出部と、
原稿の給送を制御する制御部であって、前記重送検出部により得られた信号レベルをもとに閾値に基づいて重送か否かを判定する制御部と、
読み取りを行う原稿の種類の選択と読み取りの開始を指示する為のユーザインタフェースが前記制御部の制御のもと実現される操作パネルと、
を備えた画像読取装置において、前記制御部が実行する制御プログラムであって、
前記ユーザインタフェースに、読み取りを行う原稿の種類として写真か文書かを選択可能に表示するステップと、
読み取りを行う原稿の種類として前記写真が選択された場合に、前記ユーザインタフェースに、読み取りを行う原稿の種類として前記単層原稿とともに前記複層原稿を選択可能に表示するステップと、
前記ユーザインタフェースを介して原稿の種類が選択され、読み取りの開始が指示された場合、原稿種別毎の給送条件が定められた条件テーブルに基づき、
選択された原稿が前記文書の場合、前記閾値として文書用閾値を選択して前記重送検出部を使用し、前記分離ローラーの状態を前記分離状態として、前記原稿載置部にセットされた複数枚の原稿を前記分離ローラーにより分離した上で連続して給送するモードを実行するステップと、
選択された原稿が前記単層原稿の場合、前記閾値として前記文書用閾値より低い写真用閾値を選択して前記重送検出部を使用し、前記分離ローラーの状態を前記分離状態として、前記原稿載置部にセットされた複数枚の原稿を前記分離ローラーにより分離した上で連続して給送するモードを実行するステップと、
選択された原稿が前記複層原稿の場合、前記重送検出部を使用せず、前記分離ローラーの状態を前記非分離状態として、前記原稿載置部に一枚のみセットされた原稿を給送し、次の一枚の原稿がセットされる迄給送待機状態とするモードを実行するステップと、
を実現させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項5】
写真であって一つの層で構成される単層原稿と、写真であって複数の層で構成される複層原稿とを読み取り可能な読み取り部と、
原稿を載置する原稿載置部と、
前記原稿載置部から原稿を送り出す給送ローラーと、
前記給送ローラーとの間で原稿をニップするローラーであって、原稿の分離を行う分離状態と、原稿の分離を行わない非分離状態と、を切り換え可能な分離ローラーと、
前記給送ローラーの下流側に設けられ、原稿の重送を検出する重送検出部と、
原稿の給送を制御する制御部であって、前記重送検出部により得られた信号レベルをもとに閾値に基づいて重送か否かを判定する制御部と、
読み取りを行う原稿の種類の選択と読み取りの開始を指示する為のユーザインタフェースが前記制御部の制御のもと実現される操作パネルと、
を備えた画像読取装置において、前記制御部により実現される制御方法であって、
前記ユーザインタフェースに、読み取りを行う原稿の種類として写真か文書かを選択可能に表示するステップと、
読み取りを行う原稿の種類として前記写真が選択された場合に、前記ユーザインタフェースに、読み取りを行う原稿の種類として前記単層原稿とともに前記複層原稿を選択可能に表示するステップと、
前記ユーザインタフェースを介して原稿の種類が選択され、読み取りの開始が指示された場合、原稿種別毎の給送条件が定められた条件テーブルに基づき、
選択された原稿が前記文書の場合、前記閾値として文書用閾値を選択して前記重送検出部を使用し、前記分離ローラーの状態を前記分離状態として、前記原稿載置部にセットされた複数枚の原稿を前記分離ローラーにより分離した上で連続して給送するモードを実行するステップと、
選択された原稿が前記単層原稿の場合、前記閾値として前記文書用閾値より低い写真用閾値を選択して前記重送検出部を使用し、前記分離ローラーの状態を前記分離状態として、前記原稿載置部にセットされた複数枚の原稿を前記分離ローラーにより分離した上で連続して給送するモードを実行するステップと、
選択された原稿が前記複層原稿の場合、前記重送検出部を使用せず、前記分離ローラーの状態を前記非分離状態として、前記原稿載置部に一枚のみセットされた原稿を給送し、次の一枚の原稿がセットされる迄給送待機状態とするモードを実行するステップと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を読み取る画像読取装置、及び当該画像読取装置における原稿の給送を制御する制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
以下、画像読取装置の一例であるスキャナーを例に説明する。スキャナーには、媒体の一例である原稿を自動送りする給送装置(ADF(Auto Document Feeder)とも呼ばれる)が設けられ、複数枚の原稿の自動送りと読み込みとを行える様に構成される場合がある。
【0003】
その様な給送装置の構成としては、特許文献1に示される様に、原稿を載置するトレイ(特許文献1では「シュータ14」)と、当該トレイにセットされた原稿の面に接触して回転することにより、前記原稿を送り出す給送ローラー(特許文献1では「セットローラ2」)と、当該給送ローラーに接して原稿を分離する分離ローラー(特許文献1では「分離ローラ12」)と、を備えたものがある。
【0004】
特許文献1記載の給送ローラーは、トレイに積載された複数枚の原稿(用紙束)のうち、下側の用紙、すなわちトレイの載置面側の用紙から順に送るように構成されている。そして上側の用紙、すなわち分離されるべき用紙は、その先端が分離ローラーに当接して下流側への進行が妨げられる様になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで原稿には種々の種類のものがあり、その中には、複数の層で構成された原稿もあり、その様な原稿に分離ローラーによる分離力を通常の原稿と同じ様に作用させると層が分離してしまい大きなダメージを与えてしまう虞がある。その様な原稿には、例えば、インスタントカメラで使用されるフィルム(以下「インスタントフィルム」)と言う)がある。
しかしながらその様な原稿がセットされたことは、スキャナーの制御部側としては把握することは困難である。また、ユーザー側に対しても、その様な原稿を他の原稿と同じようにそのまま給送すると大きなダメージが生じることを把握させることは困難である。
【0007】
そこで本発明は上記の状況に鑑み成されたものであり、その目的は、原稿の種類に応じた適切な分離状態をより確実に選択することで、原稿を適切に給送することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する為の、本発明の第1の態様に係る画像読取装置は、原稿を読み取る読み取り部と、原稿を載置する原稿載置部と、前記原稿載置部から原稿を送り出す給送ローラーと、前記給送ローラーとの間で原稿をニップするローラーであって、原稿の分離を行う分離状態と、原稿の分離を行わない非分離状態と、を切り換え可能な分離ローラーと、原稿の給送を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、読み取りを行う原稿の種類の選択と読み取りの開始を指示する為のユーザインタフェースを介して設定された原稿の種類に基づき、前記分離状態で給送を行うか前記非分離状態で給送を行うかを決定することを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、分離ローラーは、原稿の分離を行う分離状態と、原稿の分離を行わない非分離状態とを切り換え可能であり、そして原稿の給送を制御する制御部は、読み取りを行う原稿の種類の選択と読み取りの開始を指示する為のユーザインタフェースを介して設定された原稿の種類に基づき、前記分離状態で給送を行うか前記非分離状態で給送を行うかを決定するので、原稿の種類に応じた適切な分離状態を確実に選択でき、原稿を適切に給送することができる。
加えて、ユーザー側はユーザインタフェースにより原稿の種類の選択と読み取りの開始を指示するだけで、分離ローラーの前記分離状態と前記非分離状態との選択を行う必要が無いので、ユーザーフレンドリーであるとともに、ユーザーによる設定ミスも回避することができる。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記制御部の制御のもと、前記分離状態と前記非分離状態とを切り換える切り換え手段を備え、前記制御部は、設定された原稿の種類に基づき、前記切り換え手段を制御することを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、前記制御部の制御のもと、前記分離状態と前記非分離状態とを切り換える切り換え手段を備え、前記制御部は、設定された原稿の種類に基づき、前記切り換え手段を制御する、即ち、前記分離状態と前記非分離状態との切り換えがユーザーの手によらず自動で行われるので、ユーザー操作性が向上する。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1の態様において、ユーザー操作により前記分離状態と前記非分離状態とを切り換える切り換え手段を備え、前記制御部は、前記分離ローラーの状態が、設定された原稿の種類に対応しない場合、アラートを発することを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、ユーザー操作により前記分離状態と前記非分離状態とを切り換える切り換え手段を備え、前記制御部は、前記分離ローラーの状態が、設定された原稿の種類に対応しない場合、アラートを発するので、ユーザーに対し正しい操作を促すことができ、ひいては原稿の給送実行に移ることができる。
【0014】
本発明の第4の態様は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、前記給送ローラーの下流側に、原稿の重送を検出する重送検出部を備え、前記制御部は、第1の原稿を給送する第1給送モードと、第2の原稿を給送する第2給送モードと、を切り換え可能であり、前記第1給送モードは、前記分離ローラーの状態を前記非分離状態として給送するモードであり、前記第2給送モードは、前記分離ローラーの状態を前記分離状態として給送するモードであり、前記制御部は、前記第1給送モードにおいて前記重送検出部を使用せず、前記第2給送モードにおいて前記重送検出部を使用することを特徴とする。
【0015】
前記分離ローラーを前記非分離状態として給送する原稿は、複数の層で構成される場合があり、その為原稿の重送を検出する重送検出部を利用すると非重送であるにも拘わらず重送と判定してしまい、ジョブを停止してしまう虞がある。
本態様によれば、前記制御部は、前記非分離状態とする前記第1給送モードにおいて前記重送検出部を使用せず、前記分離状態とする前記第2給送モードにおいて前記重送検出部を使用するので、上述の問題を回避できる。
また、前記第1給送モードにより、複数の層で構成される様な原稿、即ち前記分離ローラーにより分離を行うとダメージが生じる様な原稿を適切に給送することができる。
【0016】
本発明の第5の態様に係る画像読取装置は、第4の態様において、前記第1給送モードは、前記原稿載置部に一枚のみセットされた原稿を給送し、次の一枚の原稿がセットされる迄給送待機状態とする給送モードであり、前記第2給送モードは、前記原稿載置部にセットされた複数枚の原稿を前記分離ローラーにより分離した上で連続して給送する給送モードであることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、前記第1給送モードにより、複数の層で構成される様な原稿、即ち前記分離ローラーにより分離を行うとダメージが生じる様な原稿を適切に給送することができる。
【0018】
本発明の第6の態様に係る制御プログラムは、原稿を読み取る読み取り部と、原稿を載置する原稿載置部と、前記原稿載置部から原稿を送り出す給送ローラーと、前記給送ローラーとの間で原稿をニップするローラーであって、原稿の分離を行う分離状態と、原稿の分離を行わない非分離状態と、を切り換え可能な分離ローラーと、備えた画像読取装置における原稿の給送を制御する制御プログラムであって、読み取りを行う原稿の種類の選択と読み取りの開始を指示する為のユーザインタフェースを介して設定された原稿の種類に基づき、前記分離状態で給送を行うか前記非分離状態で給送を行うかを決定する処理を含むことを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、分離ローラーは、原稿の分離を行う分離状態と、原稿の分離を行わない非分離状態とを切り換え可能であり、そして原稿の給送を制御する制御プログラムは、読み取りを行う原稿の種類の選択と読み取りの開始を指示する為のユーザインタフェースを介して設定された原稿の種類に基づき、前記分離状態で給送を行うか前記非分離状態で給送を行うかを決定する処理を含むので、原稿の種類に応じた適切な分離状態を確実に選択でき、原稿を適切に給送することができる。
加えて、ユーザー側はユーザインタフェースにより原稿の種類の選択と読み取りの開始を指示するだけで、分離ローラーの前記分離状態と前記非分離状態との選択を行う必要が無いので、ユーザーフレンドリーであるとともに、ユーザーによる設定ミスも回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】本発明に係るスキャナーを
図1とは別角度から見た斜視図。
【
図3】本発明に係るスキャナーにおける原稿搬送経路を示す側断面図。
【
図4】本発明に係るスキャナーの制御系統を示すブロック図。
【
図5】分離ローラーの分離状態と非分離状態とを切り換える切り換え手段の平面図。
【
図6】原稿種別毎の給送条件を示す条件テーブル図。
【
図7】通常写真を読み取る際のユーザインタフェースの遷移例を示す図。
【
図8】パノラマ写真を読み取る際のユーザインタフェースの遷移例を示す図。
【
図9】インスタント写真を読み取る際のユーザインタフェースの遷移例を示す図。
【
図10】通常写真を読み取る際のユーザインタフェースの遷移例を示す図。
【
図11】インスタント写真を読み取る際のユーザインタフェースの遷移例を示す図。
【
図12】本発明に係るスキャナーを示す外観斜視図(第2実施形態)。
【
図13】分離ローラーの分離状態と非分離状態とを切り換える切り換え手段の斜視図(第2実施形態)。
【
図14】分離ローラーの分離状態と非分離状態とを切り換える切り換え手段の斜視図(第2実施形態)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る画像読取装置の一実施形態及び制御プログラムの一実施例について説明する。本実施形態では画像読取装置の一例として、媒体の一例である原稿の表面及び裏面の少なくとも一面を読み取り可能なドキュメントスキャナー(以下、単にスキャナー1と称する)を例に挙げる。
【0022】
図1は本発明に係るスキャナーを示す外観斜視図、
図2は本発明に係るスキャナーを
図1とは別角度から見た斜視図、
図3は本発明に係るスキャナーにおける原稿搬送経路を示す側断面図、
図4は本発明に係るスキャナーの制御系統を示すブロック図、
図5は分離ローラーの分離状態と非分離状態とを切り換える切り換え手段の平面図である。
また、
図6は原稿種別毎の給送条件を示す条件テーブル図、
図7は通常写真を読み取る際のユーザインタフェースの遷移例を示す図、
図8はパノラマ写真を読み取る際のユーザインタフェースの遷移例を示す図、
図9はインスタント写真を読み取る際のユーザインタフェースの遷移例を示す図、
図10は通常写真を読み取る際のユーザインタフェースの遷移例を示す図、
図11はインスタント写真を読み取る際のユーザインタフェースの遷移例を示す図である。
【0023】
また、
図12は本発明に係るスキャナーを示す外観斜視図(第2実施形態)、
図13及び
図14は分離ローラーの分離状態と非分離状態とを切り換える切り換え手段の斜視図(第2実施形態)である。
【0024】
尚、各図において示すX-Y-Z座標系はX方向が装置幅方向であり原稿幅方向、Y方向が原稿搬送方向である。Z方向はY方向と交差する方向であって、概ね搬送される原稿の面と直交する方向を示している。また、+Y方向側を装置前面側とし、-Y方向側を装置背面側とする。また、装置前面側から見て左側を+X方向、右側を-X方向とする。また、+Z方向を装置上方(上部、上面等を含む)とし、-Z方向側を装置下方(下部、下面等を含む)とする。また、原稿Pが給送されていく方向(+Y方向側)を「下流」といい、これと反対の方向(-Y方向側)を「上流」という。
【0025】
■■■スキャナーの概要■■■
以下、主として
図1及び
図2を参照して、本発明に係るスキャナー1について説明する。
スキャナー1は、原稿Pの画像を読み取る読取部20(
図3)を内部に備える装置本体2を備えている。
装置本体2は、下部ユニット3及び上部ユニット4を備えて構成されている。上部ユニット4は下部ユニット3に対して原稿搬送方向下流側を回動支点として開閉可能に取り付けられており、上部ユニット4を装置前面側に回動して開き、原稿Pの原稿搬送経路を露呈させて原稿Pの紙詰まりの処理を容易に行うことができる様に構成されている。
【0026】
装置本体2の装置背面側(-Y軸方向側)には、給送される原稿Pを載置する載置面11aを有する原稿載置部11が設けられている。原稿載置部11は、装置本体2に対して着脱可能に設けられている。
また、原稿載置部11には、原稿Pの給送方向(Y軸方向)と交差する幅方向(X軸方向)の側縁をガイドするガイド面13を備える左右一対のエッジガイド12、12が設けられている。
【0027】
原稿載置部11は、第1ペーパーサポート8及び第2ペーパーサポート9を備えている。第1ペーパーサポート8及び第2ペーパーサポート9は、
図2に示す様に原稿載置部11の内部に収納可能であり、且つ、
図1に示す様に原稿載置部11から引き出し可能に構成され、載置面11aの長さを調整可能になっている。
【0028】
装置本体2は、上部ユニット4の装置前面側に、各種読み取り設定や読み取り実行の操作を行ったり、読み取り設定内容等を示すユーザインタフェース(UI)が実現される操作パネル7を備えている。操作パネル7は、本実施形態では表示と入力の双方が行える所謂タッチパネルである。
上部ユニット4の上部には装置本体2内部に連なる給送口6が設けられており、原稿載置部11に載置される原稿Pは、給送口6から装置本体2内部に設けられる読取部20に向けて送られる。
また、下部ユニット3の装置前面側には、後述する排紙トレイ5が設けられている。
【0029】
■■■スキャナーにおける原稿搬送経路について■■■
次に、
図3を参照して、スキャナー1における原稿搬送経路について説明する。尚、
図3において符号Tで示す点線は原稿搬送経路を示している。
原稿載置部11の下流側には、原稿載置部11の載置面11aに載置された原稿Pを読取部20に向けて送る給送ローラー14と、給送ローラー14との間で原稿Pをニップして分離する分離ローラー15を備えている。
【0030】
原稿載置部11の載置面11aに載置された原稿Pは、下部ユニット3に対して回転可能に設けられた給送ローラー14により下流側(+Y方向側)に給送される。したがって、スキャナー1において複数枚の原稿Pを原稿載置部11にセットした場合には、載置面11a側の原稿Pから順に下流側に向けて給送される。
尚、原稿載置部11には、原稿載置部11上に原稿Pが存在するか否かを検出する為のセンサー(不図示)が設けられている。
【0031】
給送ローラー14は、給送ローラー用モーター45(
図4)により回転駆動される。給送ローラー用モーター45から回転トルクを得て、給送ローラー14は
図3において反時計回り方向に回転する。
分離ローラー15には、搬送ローラー用モーター46(
図4)から、不図示のトルクリミッタを介して回転トルクが伝達される。
【0032】
給送ローラー14と分離ローラー15との間に原稿Pが介在しない場合、或いは1枚のみ介在する場合、分離ローラー15は、不図示のトルクリミッタにおいて滑りが生じることにより、搬送ローラー用モーター46から受ける回転トルクに拘わらず従動回転する(
図3において時計回り方向)。
給送ローラー14と分離ローラー15との間に、給送されるべき原稿Pに加えて更に2枚目以降の原稿Pが入り込むと、原稿間で滑りが生じることにより、分離ローラー15は搬送ローラー用モーター46から受ける回転トルクにより、
図3の反時計回り方向に回転する。これにより、原稿Pの重送が防止される。
尚、搬送ローラー用モーター46から分離ローラー15への駆動力伝達経路には分離切換手段68A(
図4、
図5)が設けられているが、これについては後に説明する。
【0033】
給送ローラー14の下流側には、搬送ローラー対16と、画像を読み取る読取部20と、排出ローラー対17とが設けられている。給送ローラー14及び分離ローラー15によりニップされて下流側に給送された原稿Pは搬送ローラー対16にニップされて、搬送ローラー対16の下流側に位置する読取部20に搬送される。
搬送ローラー対16は、搬送ローラー用モーター46(
図4)により回転駆動される。
【0034】
給送ローラー14と読取部20との間の原稿搬送経路には、重送検出部33を構成する超音波発信部31と超音波受信部32とが設けられている。より具体的には、重送検出部33は、超音波を発信する超音波発信部31、及び超音波発信部31から発信された超音波を受信して、受信した超音波に応じた検出信号を出力する超音波受信部32を備えている。
超音波発信部31と超音波受信部32とは、原稿搬送経路を挟んで上側と下側に設けられている。より具体的には、超音波発信部31は上部ユニット4側に設けられ、超音波受信部32は下部ユニット3側に設けられている。
重送検出部33によって、搬送される原稿Pの重送や折り目や皺等のある原稿Pの検出を行うことができる。
【0035】
読取部20は、上部ユニット4側に設けられた上部読取センサー20aと、下部ユニット3側に設けられた下部読取センサー20bとを備えている。本実施形態において、上部読取センサー20a及び下部読取センサー20bは一例として密着型イメージセンサーモジュール(CISM)として構成されている。
【0036】
尚、原稿搬送経路において重送検出部33と、給送ローラー14との間には、原稿Pの先端或いは後端の通過を検出する原稿検出部47が設けられている。スキャナー1の制御部40は、原稿検出部47から送られる信号をもとに、原稿搬送経路における原稿Pの位置を把握することができる。
【0037】
原稿Pは、読取部20において原稿Pの表面及び裏面の少なくとも一方の面の画像を読み取られた後、読取部20の下流側に位置する排出ローラー対17にニップされて、下部ユニット3の装置前面側に設けられた排出口18から排出される。
尚、排出ローラー対17は、搬送ローラー用モーター46(
図4)により回転駆動される。
【0038】
下部ユニット3には、排出口18から装置前面側に向けて引き出し可能に構成された排紙トレイ5が設けられている。排紙トレイ5は、下部ユニット3の底部に収納された状態(
図1)と、図示を省略する装置前面側に引き出した状態とを取り得る。排紙トレイ5を引き出した状態において、排出口18から排出された原稿Pを排紙トレイ5上に積載することができる。
【0039】
■■■スキャナーにおける制御系統について■■■
図4において、制御部40は原稿Pの給送制御を含め、その他スキャナー1の各種制御を行う。制御部40には操作パネル7からの信号が入力され、また、操作パネル7の表示、特にユーザインタフェース(UI)を実現する為の信号が制御部40から操作パネル7に送信される。
制御部40は、給送ローラー用モーター45と搬送ローラー用モーター46を制御する。上述したように給送ローラー用モーター45は、給送ローラー14の駆動源であり、搬送ローラー用モーター46は、分離ローラー15、搬送ローラー対16、排出ローラー対17、のこれらの駆動源である。
制御部40には、読取部20からの読み取りデータが入力され、また、読取部20を制御する為の信号が制御部40から読取部20に送信される。
制御部40には、重送検出部33及び原稿検出部47からの信号も入力される。
【0040】
制御部40は、CPU41、ROM42、メモリ43を備えている。CPU41はROM42に格納された制御プログラムに従って各種演算処理を行い、スキャナー1全体の動作を制御する。尚、記憶部の一例であるメモリ43は読み出し及び書き込みが可能な不揮発性メモリであり、後述する重送検出に必要な各データが格納されている。
ROM42には、本発明の一実施例に係る、原稿Pの給送を制御する制御プログラム44が格納されている(詳細は後述)。
【0041】
またスキャナー1は外部コンピュータ60と接続可能に構成されており、制御部40には、外部コンピュータ60から情報が入力される。外部コンピュータ60は、表示部62を備えている。表示部62には、不図示の記憶手段に格納された制御プログラムによりユーザインタフェース(UI)が実現される。
【0042】
また制御部40は、搬送ローラー用モーター46から分離ローラー15への動力伝達経路に設けられた分離切換手段68Aを制御する。以下、
図5を参照して分離切換手段68Aについて説明する。
図5において符号22は、搬送ローラー用モーター46から分離ローラー15へ駆動力を伝達する伝達軸を示しており、伝達軸22へは、駆動ギア71、スライドギア72、ギア群70、のこれらを介して搬送ローラー用モーター46からの駆動力が伝達される。
駆動ギア71、スライドギア72、ギア群70、伝達軸22、後述する分離切換手段68A、のこれらは、搬送ローラー用モーター46から分離ローラー15へ駆動力を伝達する動力伝達機構69を構成する。
【0043】
スライドギア72は回転軸線方向(
図5の左右方向)にスライド可能に設けられており、スライドすることにより、駆動ギア71と噛合してギア群70に駆動力を伝達する状態(実線)と、駆動ギア71から外れてギア群70に駆動力を伝達しない状態(二点鎖線)と、切り換え可能となっている。以下では、駆動ギア71からギア群70に駆動力が伝達される状態、即ち分離ローラー15に搬送ローラー用モーター46の駆動力が伝達される状態を、原稿Pの分離を行う「分離状態」と称する。また、駆動ギア71からギア群70に駆動力が伝達されない状態、即ち分離ローラー15に搬送ローラー用モーター46の駆動力が伝達されない状態を、原稿Pの分離を行わない「非分離状態」と称する。非分離状態では、分離ローラー15は軽い力で自由回転可能な状態となる。
【0044】
分離切換手段68Aは、上記分離状態と非分離状態との切り換えを行う。分離切換手段68Aは、電磁プランジャ74と、この電磁プランジャ74によって
図5の左右方向に変位動作するギア係合部材73Aとを備えて構成されている。ギア係合部材73Aは、スライドギア72を挟む形状を成しており、電磁プランジャ74の動作により、スライドギア72が変位動作し、上記分離状態と非分離状態との切り換えが行われる。
【0045】
■■■スキャナーにおける給送制御について■■■
続いて
図6以降を参照しつつ、原稿種別に応じて切り換えられる給送制御について説明する。
制御部40が備える制御プログラム44(
図4)は、
図7~
図9、或いは
図10及び
図11に示すユーザインタフェース(UI)を実現する。
図7~
図9、或いは
図10及び
図11に示すユーザインタフェースは、操作パネル7に実現されるユーザインタフェースであり、読み取りを行う為の操作メニューである。
【0046】
図7において操作メニューU-1は、原稿Pの一例である各種写真を読み取る際に実現される操作メニューである。尚、操作メニューU-1は、図示しないが、写真を読み取るかドキュメント(文書)を読み取るかを選択する操作メニューで、写真が選択された場合に実現される操作メニューである。
本実施例では、写真種別として、「通常写真」、「パノラマ写真」、「インスタント写真」、のこれら三種類の選択が可能に設定されている。インスタント写真は、例えば、ポラロイド(ポラロイド社の登録商標)写真のように、複数の層で構成される写真であり、分離ローラー15を分離状態にして分離を行うと層が分離してしまいダメージが生じる虞のある写真である。
【0047】
図7に示す様に操作メニューU-1において「通常写真」が選択された場合、操作メニューU-1Aに遷移する。操作メニューU-1Aでは、「原稿をセットしてください」のガイドが表示され、また、「スタート」、「ストップ」、「キャンセル」の三つの操作アイコンが表示されるとともに、「ストップ」アイコンは選択不可に設定されている。
操作メニューU-1Aで「キャンセル」が選択されると、操作メニューU-1に戻る。
操作メニューU-1Aで「スタート」が選択されると、操作メニューU-1Bに遷移し、通常写真の給送と読み取りが開始される。
操作メニューU-1Bでは、「読み取り中」のガイドが表示されるとともに、「スタート」、「キャンセル」アイコンは選択不可に設定される。操作メニューU-1Bで「ストップ」が選択されると、読み取りが中止され、操作メニューU-1Aに戻る。操作メニューU-1Bで「ストップ」が選択されずに読み取りが終了すると、操作メニューU-1に戻る。
尚、操作メニューU-1A、U-1Bの「キャンセル」アイコンは省略しても良い。
【0048】
尚、操作メニューU-1で「通常写真」が選択された場合、制御部40は原稿Pの給送に際して適用する給送条件として、
図6のテーブルNo.3を選択する。
図6において「重送検閾値」とは、重送検出部33により得られた信号レベルをもとに重送か否かを判定する為に用いる閾値であり、原稿厚が厚いほど信号レベルが低くなる為、閾値も低くする。ここでは、「写真用」の閾値を用いる。
また、「重送検」の「ON」は、重送判定を行うことを示し、「OFF」は、重送判定を行わないことを示している。ここでは、「ON」となり、重送判定を行う。
「1枚給紙モード」とは、原稿Pを複数枚セットせずに、1枚ずつセットと給送を行う給紙モードであり、「ON」はその適用を示し、「OFF」は非適用を示す。ここでは「OFF」となり、複数枚の原稿Pのセットが可能となり、セットされた複数枚の原稿のうち一番下のものから順次給送される。
「分離モード」とは、分離ローラー15の上記分離状態と非分離状態とのいずれかを示すものである。ここでは「分離」となり、分離ローラー15が分離状態とされて原稿分離が行われる。
【0049】
次に、
図8に示す様に操作メニューU-1において「パノラマ」が選択された場合、操作メニューU-2Aに遷移する。操作メニューU-2Aでは、「原稿をセットしてください」のガイドが表示され、また、「スタート」、「ストップ」、「キャンセル」の三つの操作アイコンが表示されるとともに、「ストップ」アイコンは選択不可に設定されている。
操作メニューU-2Aで「キャンセル」が選択されると、操作メニューU-1に戻る。
操作メニューU-2Aで「スタート」が選択されると、操作メニューU-2Bに遷移し、パノラマ写真の給送と読み取りが開始される。
操作メニューU-2Bでは、「読み取り中」のガイドが表示されるとともに、「スタート」、「キャンセル」アイコンは選択不可に設定される。操作メニューU-2Bで「ストップ」が選択されると、読み取りが中止され、操作メニューU-2Aに戻る。操作メニューU-2Bで「ストップ」が選択されずに読み取りが終了すると、操作メニューU-1に戻る。
尚、操作メニューU-2A、U-2Bの「キャンセル」アイコンは省略しても良い。
【0050】
尚、操作メニューU-1で「パノラマ」が選択された場合、制御部40は原稿Pの給送に際して適用する給送条件として、
図6のテーブルNo.1を選択する。テーブルNo.1の給送条件で実現される給送モードが、「第2給送モード」となる。
ここでは、「重送検閾値」には「写真用」の閾値が適用され、「重送検」は「ON」が選択されて重送判定を行う。「1枚給紙モード」は「OFF」が選択され、複数枚の原稿のセットが可能となり、セットされた複数枚の原稿のうち一番下のものから順次給送される。
「分離モード」は「分離」が選択され、分離ローラー15が分離状態とされ、原稿分離が行われる。
【0051】
次に、
図9に示す様に操作メニューU-1において「インスタント」が選択された場合、操作メニューU-3Aに遷移する。操作メニューU-3Aでは、「最初の原稿を1枚セットしてください」のガイドが表示され、また、「スタート」、「キャンセル」の二つの操作アイコンが表示される。操作メニューU-3Aで「キャンセル」が選択されると、操作メニューU-1に戻る。
操作メニューU-3Aで「スタート」が選択されると、インスタント写真の給送と読み取りが開始され、そして操作メニューU-3Bに遷移する。
操作メニューU-3Bが表示された時点では、1枚目のインスタント写真の読み取りは終了しており、「スタート」アイコンは選択不可に設定されているとともに、「次の原稿を1枚セットして下さい」のガイドが表示される。
この状態で次の原稿を1枚セットすると、不図示のセンサーがそのセットを検出し、自動で給送と読み取りが行われる。即ち、「スタート」アイコンは最初の一枚目のみタッチする必要があるが、以降は、原稿Pのセットにより自動で給送と読み取りが行われる。
操作メニューU-3A、U-3Bで「キャンセル」が選択されると、操作メニューU-1に戻る。
尚、操作メニューU-3A、U-3Bの「キャンセル」アイコンは省略しても良い。
【0052】
尚、操作メニューU-1で「インスタント」が選択された場合、制御部40は原稿の給送に際して適用する給送条件として、
図6のテーブルNo.2を選択する。テーブルNo.2の給送条件で実現される給送モードが、「第1給送モード」となる。
ここでは、「重送検」は「OFF」が選択されて重送判定は行わず、「1枚給紙モード」は「ON」が選択される。「分離モード」は「非分離」が選択され、分離ローラー15は非分離状態とされて、原稿分離は行われない。
【0053】
尚、操作メニューU-1に遷移する前の操作メニュー(不図示)で「ドキュメント」が選択された場合、制御部40は原稿Pの給送に際して適用する給送条件として、
図6のテーブルNo.4を選択する。
ここでは、「重送検閾値」には「ドキュメント用」の閾値が適用され、「重送検」は「ON」が選択されて重送判定を行う。「1枚給紙モード」は「OFF」が選択され、複数枚の原稿Pのセットが可能となり、セットされた複数枚の原稿Pのうち一番下のものから順次給送される。「分離モード」は「分離」が選択され、分離ローラー15は分離状態とされて、原稿分離が行われる。
【0054】
図7~
図9に示したUIは、
図10及び
図11に示す様に変更することもできる。
図10及び
図11に示す操作メニューU-2では、所謂ラジオボタンで原稿種類を選択する形式であり、「スタート」アイコンを選択すると、ラジオボタンで選択された原稿Pの給送と読み取りが開始される。「通常写真」の場合(及び「パノラマ写真」の場合)は、「原稿をセットして下さい」のガイドが表示され、「スタート」アイコンを選択すると、原稿Pの給送と読み取りが開始されるとともに、操作メニューU-4Aに遷移する。
操作メニューU-4Aでは、「ストップ」アイコンが表示される。読み取りが終了した場合、或いは「ストップ」アイコンが選択された場合には、操作メニューU-2に戻る。
「パノラマ」が選択された場合も、「通常写真」と同様なメニュー遷移となる。
【0055】
一方、「インスタント」が選択された場合は、
図11に示す様に、「最初の原稿を1枚セットしてください」のガイドが表示される。ユーザーが原稿Pを1枚セットし、「スタート」アイコンを選択すると、インスタント写真の給送と読み取りが開始され、そして操作メニューU-5Cに遷移する。
操作メニューU-5Cが表示された時点では、1枚目のインスタント写真の読み取りは終了しており、「次の原稿を1枚セットして下さい」のガイドが表示される。
この状態で次の原稿Pを1枚セットすると、不図示のセンサーがそのセットを検出し、自動で給送と読み取りが行われる。即ち、二枚目以降は、原稿Pのセットにより自動で給送と読み取りが行われる。
操作メニューU-5Cで「キャンセル」が選択されと、操作メニューU-2に戻る。
尚、各原稿種類を選択して原稿Pが給送される際の給送設定は、既に説明した実施例と同様に、
図6の内容に従う。
尚、「キャンセル」の表示は、例えば「インスタントモードを抜けて写真選択に戻る」等の具体的内容表示にしても良い。
【0056】
以上のスキャナー1の特徴を纏めると以下の通りとなる。即ちスキャナー1は、原稿Pを読み取る読取部20と、原稿Pを載置する原稿載置部11と、原稿載置部11から原稿Pを送り出す給送ローラー14と、給送ローラー14との間で原稿Pをニップするローラーであって、原稿Pの分離を行う分離状態と、原稿Pの分離を行わない非分離状態と、を切り換え可能な分離ローラー15と、原稿Pの給送を制御する制御部40と、を備えている。そして制御部40は、読み取りを行う原稿Pの種類の選択と読み取りの開始を指示する為のユーザインタフェース(
図7~11)を介して設定された原稿Pの種類に基づき、分離状態で給送を行うか非分離状態で給送を行うかを決定する。
制御プログラム44(
図4)は、読み取りを行う原稿Pの種類の選択と読み取りの開始を指示する為のユーザインタフェース(
図7~11)を介して設定された原稿Pの種類に基づき、分離状態で給送を行うか非分離状態で給送を行うかを決定する処理を含む。
【0057】
これにより、原稿Pの種類に応じた適切な分離状態を確実に選択でき、原稿Pを適切に給送することができる。加えて、ユーザー側はユーザインタフェースにより原稿Pの種類の選択と読み取りの開始を指示するだけで、分離ローラー15の分離状態と非分離状態との選択を行う必要が無い(意識する必要がない)ので、ユーザーフレンドリーであるとともに、ユーザーによる設定ミスも回避することができる。
【0058】
またスキャナー1は、制御部40の制御のもと、分離ローラー15の分離状態と非分離状態とを切り換える分離切換手段68A(
図4、
図5)を備え、制御部40は、設定された原稿Pの種類に基づき、分離切換手段68Aを制御する。これにより、前記分離状態と前記非分離状態との切り換えがユーザーの手によらず自動で行われるので、ユーザー操作性が向上し、また、適切な給送の確実性が確保される。
【0059】
またスキャナー1は、給送ローラー14の下流側に、原稿Pの重送を検出する重送検出部33を備え、制御部40は、第1の原稿の一例であるインスタント写真を給送する第1給送モード(
図6のテーブルNo.2)と、第2の原稿の一例であるパノラマ写真を給送する第2給送モード(
図6のテーブルNo.1)と、を切り換え可能であり、前記第1給送モードは、分離ローラー15の状態を前記非分離状態として給送するモードであり、第2給送モードは、分離ローラー15の状態を前記分離状態として給送するモードであり、制御部40は、第1給送モードにおいて重送検出部33を使用せず、第2給送モードにおいて重送検出部33を使用する。
【0060】
分離ローラー15を前記非分離状態として給送する原稿Pは、複数の層で構成される場合があり、その為原稿Pの重送を検出する重送検出部33を利用すると非重送であるにも拘わらず重送と判定してしまい、ジョブを停止してしまう虞がある。
しかし制御部40は、前記非分離状態とする第1給送モードにおいて重送検出部33を使用せず、前記分離状態とする第2給送モードにおいて重送検出部33を使用するので、上述の問題を回避できる。
【0061】
また、第1の原稿の一例であるインスタント写真を給送する第1給送モード(
図6のテーブルNo.2)は、原稿載置部11に一枚のみセットされた原稿Pを給送し、次の一枚の原稿Pがセットされる迄給送待機状態とする給送モードであり、第2の原稿の一例であるパノラマ写真を給送する第2給送モード(
図6のテーブルNo.1)は、原稿載置部11にセットされた複数枚の原稿を分離ローラー15により分離した上で連続して給送する給送モードである。
これにより、複数の層で構成され、分離ローラー15により分離を行うとダメージが生じる様な原稿、即ち上記の例ではインスタント写真を適切に給送することができる。
【0062】
以上説明した実施形態は、以下の様に変更することもできる。
(1)上記実施形態では、分離ローラー15の分離状態と非分離状態との切り換えが、制御部40の制御のもと、ユーザー操作によらず自動で行われる構成であるが、ユーザー操作により分離状態と非分離状態とを切り換える様に構成しても良い。
図12~
図14はその様な実施形態を示す為の図であり、スキャナー100は、
図12に示す様に装置前面において操作パネル7の横に、操作部(スライドスイッチ)73cを備えている。操作部73cは、左右方向にスライド可能である。
【0063】
操作部73cは、
図13及び
図14に示す様に、ギア係合部材73Bに一体に形成されており、このギア係合部材73Bは、スライドギア72を挟む形状を成すギア係合部73dを一体に備えている。
以上の構成により、操作部73cをスライドさせると、スライドギア72がスライド変位し、スライドギア72が駆動ギア71と噛合してギア群70に駆動力が伝達される分離状態と、スライドギア72が駆動ギア71から外れてギア群70に駆動力を伝達しない非分離状態と、の切り換えが行われる。
本実施形態に係る分離切換手段68Bは、以上のようにギア係合部材73Bを備えて構成される。
尚、
図13及び
図14において伝達軸22にはギア24が設けられており、このギア24からギア23を介して分離ローラー15に駆動トルクが伝達される。符号21は分離ローラー15を備える分離ローラーユニット、符号25は分離ローラーユニット21を給送ローラー14に向けて付勢する付勢手段としてのコイルばねである。
【0064】
この様にユーザー操作により前記分離状態と前記非分離状態とを切り換える分離切換手段68Bを備える構成において、スライドギア72の位置を検出する検出手段(不図示)を設け、制御部40は、分離ローラー15の状態が、設定された原稿Pの種類に対応しない場合(
図6で示す給送条件に適合しない場合)、アラートを発する様にしても良い。このアラートは、例えば、操作パネル7に表示しても良いし、外部コンピュータ60(
図4)が備える表示部62(
図4)に表示しても良い。このアラートは、より具体的には、「装置前面の操作つまみを反対側にスライドさせてください」などのメッセージとすることができる。
これにより、ユーザーに対し正しい操作を促すことができ、ひいては原稿Pの給送実行に移ることができる。
【0065】
(2)
図12~
図13に示した様な、ユーザー操作により前記分離状態と前記非分離状態とを切り換える分離切換手段68Bを備える構成において、スライドギア72の位置を検出する検出手段(不図示)を設け、制御部40が、スライドギア72の位置、即ち分離状態であるか非分離状態であるかに基づいて、給送モード(給送条件)を選択する様に構成しても良い。これにより、分離ローラー15の状態に基づいた適切な給送制御を行うことができる。
【0066】
(3)読み取りを行う原稿Pの種類の選択と読み取りの開始を指示する為のユーザインタフェース(
図7~11)を介して設定された原稿Pの種類に基づき、分離状態で給送を行うか非分離状態で給送を行うかを決定する処理を含む制御プログラムを、スキャナー1に接続された外部コンピュータ60(
図4)の記憶手段(不図示)に格納し、外部コンピュータ60において実行し、前記ユーザインタフェースを外部コンピュータ60(
図4)の表示部62に実現させても良い。
【符号の説明】
【0067】
1…スキャナー(画像読取装置)、2…装置本体、3…下部ユニット、4…上部ユニット、5…排紙トレイ、6…給送口、7…操作パネル、8…第1ペーパーサポート、9…第2ペーパーサポート、11…原稿載置部、12…エッジガイド、13…ガイド面、14…給送ローラー、15…分離ローラー、16…搬送ローラー対、17…排出ローラー対、18…排出口、20…読取部、20a…上部読取センサー、20b…下部読取センサー、21…分離ローラーユニット、22…伝達軸、23、24…ギア、25…コイルばね、31…超音波発信部、32…超音波受信部、33…重送検出部、40…制御部、41…CPU、42…ROM、43…メモリ、44…制御プログラム、45…給送ローラー用モーター、46…搬送ローラー用モーター、47…原稿検出部、60…外部コンピュータ、62…表示部、68A、68B…分離切換手段、69…動力伝達機構、70…ギア群、71…駆動ギア、72…スライドギア、73A、73B…ギア係合部材、73c…操作部、73d…ギア係合部、74…電磁プランジャ、P…原稿(媒体)
【手続補正書】
【提出日】2024-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取り可能な読み取り部と、
原稿を載置する原稿載置部と、
前記読み取り部に原稿を搬送する搬送ローラーと、
前記原稿載置部から原稿を送り出す給送ローラーと、
前記給送ローラーとの間で原稿をニップするローラーであって、原稿の分離を行う分離状態と、原稿の分離を行わない非分離状態と、を切り換え可能な分離ローラーと、
前記搬送ローラー及び前記分離ローラーを回転駆動する搬送ローラー用モーターと、
原稿の給送を制御する制御部と、
前記制御部の制御のもと、前記分離状態と前記非分離状態とを切り換える切り換え手段と、
を備え、
前記分離状態は、前記分離ローラーに前記搬送ローラー用モーターの駆動力が伝達される状態であり、
前記非分離状態は、前記分離ローラーに前記搬送ローラー用モーターの駆動力が伝達されない状態であって、前記分離ローラーが自由回転可能な状態であり、
前記制御部は、読み取りを行う原稿の種類の選択と読み取りの開始を指示する為のユーザインタフェースを介して設定された原稿の種類に基づき、前記分離状態で給送を行うか前記非分離状態で給送を行うかを決定し、決定された前記分離状態及び前記非分離状態のいずれかへ、前記切り換え手段により切り換える、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置において、
前記給送ローラーの下流側に、原稿の重送を検出する重送検出部を備え、
前記制御部は、
第1の原稿を給送する第1給送モードと、
第2の原稿を給送する第2給送モードと、
を切り換え可能であり、
前記第1給送モードは、前記分離ローラーの状態を前記非分離状態として給送するモードであり、
前記第2給送モードは、前記分離ローラーの状態を前記分離状態として給送するモードであり、
前記制御部は、前記第1給送モードにおいて前記重送検出部を使用せず、前記第2給送モードにおいて前記重送検出部を使用する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像読取装置において、
前記第1給送モードは、前記原稿載置部に一枚のみセットされた原稿を給送し、次の一枚の原稿がセットされる迄給送待機状態とする給送モードであり、
前記第2給送モードは、前記原稿載置部にセットされた複数枚の原稿を前記分離ローラーにより分離した上で連続して給送する給送モードである、
ことを特徴とする画像読取装置。