(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028371
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】集風型垂直軸風車
(51)【国際特許分類】
F03D 3/04 20060101AFI20240226BHJP
【FI】
F03D3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024000064
(22)【出願日】2024-01-04
(62)【分割の表示】P 2022122434の分割
【原出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】521518910
【氏名又は名称】合同会社加速流グリーンパワー研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100133411
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 龍郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067677
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 彰司
(72)【発明者】
【氏名】浅井 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 邦光
(72)【発明者】
【氏名】清徳 則雄
(72)【発明者】
【氏名】吉場 康隆
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩司
(57)【要約】
【課題】
羽根の回転に有効な羽根車の面である羽根の受風面に風を効率よく誘導し、風力を効率よく利用し、羽根車の回転及び発電効率を高めた集風型垂直軸風車を提供する。
【解決手段】
垂直軸2に適数の羽根3が形成された羽根車1と、該羽根車1を覆い風流入口5及び風流出口6が形成されたケーシング4と、からなり、風向きに対して羽根3が逆向きとなる羽根車1の外周部のケーシング4を円弧状に形成するとともに該円弧状部7の外周に風流入路8を形成し、該風流入路8を風向きに対して羽根3が逆向きとなるケーシング4の内部に延長して該延長部9の端部に第2の風流出口10を形成してなる集風型垂直軸風車。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直軸に適数の羽根が形成された羽根車と、該羽根車を覆い風流入口及び風流出口が形成されたケーシングと、からなり、風向きに対して羽根が逆向きとなる羽根車の外周部のケーシングを円弧状に形成するとともに該円弧状部の外周に風流入路を形成し、該風流入路を風向きに対して羽根が逆向きとなるケーシングの内部に延長して該延長部の端部に第2の風流出口を形成したことを特徴とする集風型垂直軸風車。
【請求項2】
前記第2の風流出口にラバール管を転結したことを特徴とする請求項1に記載の集風型垂直軸風車。
【請求項3】
外側の周囲に外側集風体を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の集風型垂直軸風車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は羽根の回転に有効な羽根車の面である羽根の受風面に風を効率よく誘導し、風力を効率よく利用し、発電効率を高めた集風型垂直軸風車に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止が叫ばれて、新しいクリーンエネルギーの開発が急務となっている。該クリーンエネルギーの一つとして注目されているのがCO2を排出しない風力発電システムである。しかしながら、風力発電は現状では石油代替えエネルギーとしての位置は低い。風力エネルギーを有効に捕捉する手段の開発が望まれる。
【0003】
現状の風力発電システムは揚力型のプロペラ式風車(水平軸風車)が主流となっている。このプロペラ式風車の場合は長大なブレード(プロペラ翼)を必要とするとともに、そのエネルギー効率は40%前後であり、風力エネルギーの40%前後を捕捉しているのが現状である。ちなみに理論的最高効率は59.3%(ベッツの法則)である。
【0004】
従来、垂直軸風車では、効率が20乃至40%と低いことを改良する目的で、向きに直角な軸の周囲にバケット型の羽根を任意数突設し、風向きに対してバケットが逆向きとなる羽根車の外周部を円弧状の遮蔽板で遮蔽すると共に分流路を設けて羽根の背面にも噴射加速するようにした風塔装置を塔形フレームに取り付け、風車装置に取り付けた垂直尾翼により風向きに風車装置を対向誘導して羽根車を高速回転させながら発電機を回転させて電力を得る風力発電装置が提案されている(特許文献1)。
【0005】
この提案は風の主流路の他に分流路を設けて二流路を合流させることにより風車の効率アップを目的としている。さらに風向きに風車装置を対向誘導するために垂直尾翼を構成している。
【0006】
他に、風向きに対向するように一点で支えたフレームに、2つの1対の縦型の風車をフードプレートとウエッジノーズとで風の増速流路を構成してセットし、両方の風車に出て来る出力を傘歯車によって1本の軸に合流して発電機を駆動させるツイン風車式発電装置が提案されている(特許文献2)。しかし、特許文献1や2に記載の提案では、羽根の回転に有効な受風面の効率を上げることが十分にできない、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭52-1251号公報
【特許文献2】特開平9-242658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、上述の従来技術の問題点を解決することにあり、羽根の回転に有効な受風面の効率を上げた集風型垂直軸風車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の集風型垂直軸風車は、垂直軸に適数の羽根が形成された羽根車と、該羽根車を覆い風流入口及び風流出口が形成されたラバール管状のケーシングと、からなり、風向きに対して羽根が逆向きとなる羽根車の外周部のケーシングを円弧状に形成するとともに該円弧状部の外周に風流入路を形成し、該風流入路を風向きに対して羽根が逆向きとなるケーシングの内部に延長して該延長部の端部に第2の風流出口を形成したことを特徴とする(請求項1)。
【0010】
本発明によれば、ケーシングがラバール管状に形成されていることから風がケーシングの風流入口から羽根車の設置された位置までの間で直線的若しくは曲線的に縮小するように形成されている風流入口とその縮小した位置から風流出口までの間で直線的若しくは拡大するように形成された風流出口に供給されてケーシングの風車に当たる部分の風速を上げて羽根車の回転効率を向上せしめて発電電力が高められる。
【0011】
同時に風分流路からの風が風向きに対して逆向きの羽根に供給されて羽根車の回転に寄与して第2の風流出口から排出される。すなわち、前記風流入路からの風は前記風流入口に供給される加速された風に合流させられることなく羽根車の回転に寄与した後に第2の風流出口から排出されて羽根車の回転効率を向上させる。この発明は、ラバール管状のケーシングによって加速された風に風分流路からの加速されていない風を合流させないことを特徴とする。
【0012】
本発明の実施の一形態は、前記第2の風流出口にラバール管を連結したことを特徴とする(請求項2)。この実施の一形態によれば。第2の風流出口に連結したラバール管の高められた風速の働きで該第2の風流出口からの風が吸引排出される。したがって、風向きに対して逆向きの羽根が加速されて羽根車の回転効率を向上させるものである。
【0013】
本発明の実施の一形態は、前記集風型垂直軸風車の外側の周囲に外側集風体を設けたことを特徴とする(請求項3)。外側集風体を設けることにより、集風型垂直軸風車の集風及び排出効果が高められて羽根車の回転効率が向上させられる。
なお、外側集風体は集風型垂直軸風車を覆う形状とされ、該形状としては途中の断面積を縮小したラバール管状、途中の断面積を縮小しないストレート管形状、その他、集風型垂直軸風車の集風及び排出効果を高める形状とされる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、回転に有効な羽根車の面である羽根の受風面に風を効率よく誘導し、風力を効率よく利用し、羽根車の回転及び発電効率を高めた集風型垂直軸風車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の集風型垂直軸風車の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図面に基づいて本発明の実施の一形態を説明する。
【0017】
図1は本発明の集風型垂直軸風車の正面断面図、
図2は同右側面図である。
図中、1は垂直軸2に適数の羽根3が形成された羽根車であり、図中、4は該羽根車1を覆うケーシングである。まず、該ケーシング4には前記羽根車1を形成する4分の1の羽根の受風面に向けて風流入口5が形成される。図中、6は風流出口である。
【0018】
本発明は、垂直軸2に適数の羽根3が形成された羽根車1と該羽根車1を覆い風流入口5及び風流出口6が形成されたラバール管状のケーシンク4からなる。すなわち、該ケーシング4を形成する風流入口5は該風流入口5から羽根車1の設置された位置までの間で直線的若しくは曲線的に縮小するように形成され、該縮小した位置から風流出口6までの間で直線的若しくは曲線的に拡大するように形成されて風速を向上させて羽根車1の回転効率を上げる構成になっている。
【0019】
さらに、風向きに対して羽根3が逆向きとなる羽根車1の外周部のケーシング4に円弧状部7を形成するとともに該円弧状部7の外周に風流入路8を形成し、該風流入路8を風向きに対して羽根3が逆向きとなるケーシング4の内部に延長して該延長部9の端部に第2の風流出口10を形成した構成である。
【0020】
前記の構成にあっては、風流入路8からの風がその延長部9を通って風向きに対して逆向きの羽根3の背面に供給されて羽根車1の回転に寄与して第2の風流入口10から排出される。すなわち、羽根車1の回転に寄与した風を風流入口5に供給される加速された風に合流させることなく第2の風流出口10からは排出するものである。
【0021】
図2は前記第2の風流出口10にラバール管11を連結した側面図である。この構成によれば、第2の風流出口10に連結したラバール管11によって高められた風速によって該第2の風流出口10からの風が吸引排出される。したがって、風向きに対して逆向きの羽根3が加速されて羽根車1の回転効率が向上させられるものである。
【0022】
さらに、前記実施例の集風型垂直軸風車の外側周囲に前記の外側集風体を設けて集風及び排出効果を高めることが好ましい。
【産業上の利用範囲】
【0023】
本発明は、回転に有効な羽根車の面である羽根の受風面に風を効率よく誘導し、風力を効率よく利用し、羽根車の回転及び発電効率を高めるもので風力発電分野での利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0024】
1 羽根車
2 垂直軸
3 羽根
4 ケーシング
5 風流入口
6 風流出口
8 風流入路
10 第2の風流出口