(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000284
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】学習用データ生成装置、学習用データ生成方法、および、プログラム、並びに、検査装置
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20231225BHJP
G06V 10/774 20220101ALI20231225BHJP
【FI】
G06T7/00 350B
G06T7/00 610Z
G06V10/774
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098997
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】522246991
【氏名又は名称】株式会社JTG
(74)【代理人】
【識別番号】100131406
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 正寿
(72)【発明者】
【氏名】星野 仁
(72)【発明者】
【氏名】清水 康孝
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA06
5L096CA04
5L096CA17
5L096CA21
5L096DA01
5L096FA67
5L096FA77
5L096GA34
5L096HA11
5L096JA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置に適用するための学習用データの生成において、正確なアノテーションを簡易に実現すること。
【解決手段】背景bgのみを抽出した背景画像Ibg、複数の良品Pgの画像のみを抽出した良品抽出画像Ige、および、不良品Pdの画像のみを抽出した不良品抽出画像Ideを生成し、これらを合成することで学習用画像ILを生成する(ステップS10~S16)。これにより、学習用画像ILにおける不良品抽出画像Ideの配置を容易に特定することができる。そして、特定された不良品抽出画像Ideの配置に基づいてアノテーションを自動で付与する。これにより、複数の検査対象90の中から不良品Pdを検出可能な検査装置1に適用するための学習用データの生成において、正確なアノテーションを簡易に実現することができる。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置に適用するための学習用データを生成可能な学習用データ生成装置であって、
背景を含む複数の良品のみの画像である良品画像、および、前記背景を含む少なくとも一つの前記不良品のみの画像である不良品画像を取得可能な画像取得部と、
前記不良品画像から前記背景を除く前記不良品の画像のみを抽出した画像である不良品抽出画像を生成する不良品抽出画像生成部と、
前記良品画像および前記不良品抽出画像を合成することによって、学習用画像を生成する学習用画像生成部と、
前記学習用画像における前記不良品抽出画像の配置に基づき前記学習用画像にアノテーションを付与するアノテーション付与部と、
を備える学習用データ生成装置。
【請求項2】
前記良品画像から前記背景を除く複数の前記良品の画像のみを抽出した画像である良品抽出画像を生成する良品抽出画像生成部をさらに備え、
前記画像取得部は、前記背景のみの画像である背景画像を取得可能であり、
前記学習用画像生成部は、前記背景画像、前記良品抽出画像、および、前記不良品抽出画像を合成することによって、前記学習用画像を生成すると共に、該学習用画像を生成する際、前記良品抽出画像と前記不良品抽出画像との重ね合わせの順序を変更可能である
請求項1に記載の学習用データ生成装置。
【請求項3】
前記良品画像から前記背景を除く複数の前記良品の画像のみを抽出した画像である良品抽出画像を生成する良品抽出画像生成部をさらに備え、
前記画像取得部は、前記背景のみの画像である背景画像を取得可能であり、
前記学習用画像生成部は、前記背景画像、前記良品抽出画像、および、前記不良品抽出画像を合成することによって、前記学習用画像を生成すると共に、該学習用画像を生成する際、前記良品抽出画像と前記不良品抽出画像との重ね合わせの度合いを変更可能である
請求項1に記載の学習用データ生成装置。
【請求項4】
前記学習用画像生成部は、前記学習用画像を生成する際、前記良品抽出画像と前記不良品抽出画像との重ね合わせの度合いを変更可能である
請求項2に記載の学習用データ生成装置。
【請求項5】
前記良品画像から前記背景を除く複数の前記良品の画像のみを抽出した画像である良品抽出画像を生成する良品抽出画像生成部をさらに備え、
前記画像取得部は、前記背景のみの画像である背景画像を取得可能であり、
前記学習用画像生成部は、前記背景画像、前記良品抽出画像、および、前記不良品抽出画像を合成することによって、前記学習用画像を生成すると共に、該学習用画像を生成する際、前記良品抽出画像に対して前記不良品抽出画像を任意の位置に配置可能である
請求項1に記載の学習用データ生成装置。
【請求項6】
前記学習用画像生成部は、前記学習用画像を生成する際、前記良品抽出画像に対して前記不良品抽出画像を任意の位置に配置可能である
請求項2ないし4のいずれか1項に記載の学習用データ生成装置。
【請求項7】
少なくとも前記不良品画像を撮像する際の撮像タイミングを判定可能なタイミング判定部をさらに備え、
該タイミング判定部は、少なくとも前記不良品画像を撮像する際、撮像領域と前記背景画像とを比較して、前記撮像領域の少なくとも外周部分において、前記背景画像と差がない場合に、前記撮像タイミングであると判定する
請求項2ないし5のいずれか1項に記載の学習用データ生成装置。
【請求項8】
前記タイミング判定部は、前記撮像領域の少なくとも前記外周部分において、前記背景画像と差がある場合には、該差が所定時間の間で変化するか否かを判定し、変化しない場合には、前記撮像タイミングであると判定し、変化する場合には、前記撮像タイミングでないと判定する
請求項7に記載の学習用データ生成装置。
【請求項9】
前記画像取得部は、異なる姿勢で撮像された前記不良品の画像である変更姿勢不良品画像を取得可能であり、
前記不良品抽出画像生成部は、前記変更姿勢不良品画像から前記背景を除く前記不良品の画像のみを抽出した画像である変更姿勢不良品抽出画像を生成可能であり
前記学習用画像生成部は、前記背景画像、前記良品抽出画像、および、前記変更姿勢不良品抽出画像を合成することによって学習用画像を生成可能である
請求項2ないし5のいずれか1項に記載の学習用データ生成装置。
【請求項10】
前記画像取得部は、異なる撮像態様で撮像された前記背景,前記良品および前記不良品の画像である撮像態様変更背景画像,撮像態様変更良品画像および撮像態様変更不良品画像を取得可能であり、
前記不良品抽出画像生成部は、前記撮像態様変更不良品画像から前記撮像態様変更背景画像を除く前記不良品の画像のみを抽出した画像である撮像態様変更不良品抽出画像を生成可能であり、
前記良品抽出画像生成部は、前記撮像態様変更良品画像から前記撮像態様変更背景画像を除く前記良品の画像のみを抽出した画像である撮像態様変更良品抽出画像を生成可能であり、
前記学習用画像生成部は、前記撮像態様変更背景画像,前記撮像態様変更良品抽出画像および前記撮像態様変更不良品抽出画像を合成することによって学習用画像を生成可能である
請求項2ないし5のいずれか1項に記載の学習用データ生成装置。
【請求項11】
複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置であって、
前記複数の検査対象の画像である検査用画像を撮像可能な撮像部と、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の前記学習用データ生成装置により生成された学習用データを用いて予め学習を行った学習済モデルと、
該学習済モデルを用いて前記検査用画像から特徴量を抽出する特徴量抽出器と、
前記特徴量に基づいて前記複数の検査対象の中に前記不良品があるか否かを判定する判定器と、
を備える検査装置。
【請求項12】
少なくとも前記不良品を撮像領域まで搬送可能な搬送部と、該搬送部を介して少なくとも前記撮像領域における前記不良品に振動を付与可能な振動部と、をさらに備え、
前記撮像部は、前記振動部による振動によって姿勢が変更された前記不良品を撮像可能であり、
前記画像取得部は、異なる姿勢で撮像された前記不良品の画像である変更姿勢不良品画像を取得可能であり、
前記不良品抽出画像生成部は、前記変更姿勢不良品画像から前記背景を除く前記不良品の画像のみを抽出した画像である変更姿勢不良品抽出画像を生成可能であり
前記学習用画像生成部は、前記背景画像、前記良品抽出画像、および、前記変更姿勢不良品抽出画像を合成することによって学習用画像を生成可能である
請求項2に従属する請求項11に記載の検査装置。
【請求項13】
少なくとも前記不良品を撮像領域まで搬送可能な搬送部と、該搬送部を介して少なくとも前記撮像領域における前記不良品に振動を付与可能な振動部と、をさらに備え、
前記撮像部は、前記振動部による振動によって姿勢が変更された前記不良品を撮像可能であり、
前記画像取得部は、異なる姿勢で撮像された前記不良品の画像である変更姿勢不良品画像を取得可能であり、
前記不良品抽出画像生成部は、前記変更姿勢不良品画像から前記背景を除く前記不良品の画像のみを抽出した画像である変更姿勢不良品抽出画像を生成可能であり
前記学習用画像生成部は、前記背景画像、前記良品抽出画像、および、前記変更姿勢不良品抽出画像を合成することによって学習用画像を生成可能である
請求項3に従属する請求項11に記載の検査装置。
【請求項14】
前記撮像部は、前記背景、前記良品、および、前記不良品を異なる撮像態様で撮像可能であり、
前記画像取得部は、異なる撮像態様で撮像された前記背景,前記良品および前記不良品それぞれの画像である撮像態様変更背景画像,撮像態様変更良品画像および撮像態様変更不良品画像を取得可能であり、
前記不良品抽出画像生成部は、前記撮像態様変更不良品画像から前記撮像態様変更背景画像を除く前記不良品の画像のみを抽出した画像である撮像態様変更不良品抽出画像を生成可能であり、
前記良品抽出画像生成部は、前記撮像態様変更良品画像から前記撮像態様変更背景画像を除く前記良品の画像のみを抽出した画像である撮像態様変更良品抽出画像を生成可能であり、
前記学習用画像生成部は、前記撮像態様変更背景画像,前記撮像態様変更良品抽出画像および前記撮像態様変更不良品抽出画像を合成することによって学習用画像を生成可能である
請求項12または13に記載の検査装置。
【請求項15】
複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置に適用するための学習用データを生成可能な学習用データ生成方法であって、
(a)背景を含む複数の良品のみの画像である良品画像、および、前記背景を含む少なくとも一つの前記不良品のみの画像である不良品画像を取得し、
(b)取得した前記不良品画像から前記背景を除く前記不良品の画像のみを抽出した画像である不良品抽出画像を生成し、
(c)前記良品画像と前記不良品抽出画像とを合成することによって、学習用画像を生成し、
(d)生成した前記学習用画像にアノテーションを付与することによって、前記学習用データを生成する
学習用データ生成方法。
【請求項16】
前記良品画像から前記背景を除く複数の前記良品の画像のみを抽出した画像である良品抽出画像を生成するステップをさらに備え、
前記ステップ(a)は、前記背景のみの画像である背景画像を取得するステップを含み、
前記ステップ(c)は、前記背景画像、前記良品抽出画像、および、前記不良品抽出画像を合成することによって、前記学習用画像を生成すると共に、該学習用画像を生成するに際し、前記良品抽出画像と前記不良品抽出画像との重ね合わせの順序を変更するステップを含む
請求項15に記載の学習用データ生成方法。
【請求項17】
前記良品画像から前記背景を除く複数の前記良品の画像のみを抽出した画像である良品抽出画像を生成するステップをさらに備え、
前記ステップ(a)は、前記背景のみの画像である背景画像を取得するステップを含み、
前記ステップ(c)は、前記背景画像、前記良品抽出画像、および、前記不良品抽出画像を合成することによって、前記学習用画像を生成すると共に、該学習用画像を生成するに際し、前記良品抽出画像と前記不良品抽出画像との重ね合わせの度合いを変更するステップを含む
請求項15に記載の学習用データ生成方法。
【請求項18】
複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置に適用するための学習用データを生成するためのプログラムであって、
請求項15ないし17のいずれか1項に記載の学習用データ生成方法の各ステップを1又は複数のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置に適用するための学習用データを生成可能な学習用データ生成装置および学習用データ生成方法、これに用いるプログラム、並びに、学習用データ生成装置により生成された学習用データを用いて学習を行った学習モデルを備える検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2019-211288号公報(特許文献1)には、複数の検査対象を一列に配列して搬送しながらカメラによって一つずつ撮像を行うと共に、撮像した画像一枚ずつについて、畳み込みニューラルネットワークにより生成した学習済の学習器を用いて特徴量を抽出し、抽出した当該特徴量に基づいて、搬送されてくる検査対象が良品であるか否かの判定を行う検査装置が記載されている。当該検査装置は、検査対象の良否判定をリアルタイムで自動的に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、学習器は、良品であるか不良品であるかの教師信号が付与された複数の画像に基づいて予め学習が行われるが、良品および不良品の判定精度の向上を図るためには、当該画像に正確なアノテーションを付与することが重要となる。ここで、上述した公報に記載の検査装置のように、一つずつ搬送されてくる検査対象が良品であるのか不良品であるのかを判定する構成の場合、判定の結果が不良品である場合に、当該不良品と判定された検査対象の画像において、欠陥部等の位置を特定してアノテーションを付与することになる。この場合、当該検査対象が不良品であることが分かっているため、当該検査対象の画像において欠陥部等の位置を特定すれば良い。したがって、比較的容易にアノテーションを付与することができる。
【0005】
これに対して、同時に搬送されてくる複数の検査対象の中から不良品を検出する構成の場合、検査対象同士が重なり合っている場合があるなど、撮像された画像の中から不良品の位置等を特定する必要が困難となる場合がある。これにより、アノテーションに要する工数負荷が高くなるばかりでなく、誤ったアノテーションを付与する確率も高くなってしまう。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置に適用するための学習用データの生成において、正確なアノテーションを簡易に実現可能な技術を提供することを目的の一つとする。また、本発明は、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置において、学習の効率化や検査精度の向上に資する技術を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る学習用データ生成装置の好ましい形態によれば、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置に適用するための学習用データを生成可能な学習用データ生成装置が構成される。当該学習用データ生成装置は、画像取得部と、不良品抽出画像生成部と、学習用画像生成部と、アノテーション付与部と、を備えている。画像取得部は、背景を含む複数の良品のみの画像である良品画像、および、背景を含む少なくとも一つの不良品のみの画像である不良品画像を取得可能である。不良品抽出画像生成部は、不良品画像から背景を除く不良品の画像のみを抽出した画像である不良品抽出画像を生成する。学習用画像生成部は、良品画像および不良品抽出画像を合成することによって、学習用画像を生成する。そして、アノテーション付与部は、学習用画像における不良品抽出画像の配置に基づき当該学習用画像にアノテーションを付与する。ここで、本発明における「正常品」は、典型的には欠陥を有さない(所望の品質を有する)ものがこれに該当し、「不良品」は、欠陥を有する(所望の品質を有さない)ものがこれに該当するが、異なる品種・仕様を含む複数の検査対象から所望の品種・仕様以外のものを検出する態様の場合には、「正常品」は、所望の品種・仕様のものがこれに該当し、「不良品」は、所望の品種・仕様でないものがこれに該当する。
【0008】
本発明によれば、背景を含む複数の良品画像および不良品の画像のみを抽出した不良品抽出画像を合成することで学習用画像を生成するため、当該学習用画像における不良品抽出画像の配置を容易に特定することができる。そして、特定された不良品抽出画像の配置に基づいてアノテーションを自動で付与するため、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置に適用するための学習用データの生成において、正確なアノテーションを簡易に付与することができる。この結果、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置において、学習の効率化や検査精度の向上を図ることができる。
【0009】
本発明に係る学習用データ生成装置の更なる形態によれば、良品画像から背景を除く複数の良品の画像のみを抽出した画像である良品抽出画像を生成する良品抽出画像生成部をさらに備えている。画像取得部は、背景のみの画像である背景画像を取得可能である。そして、学習用画像生成部は、背景画像、良品抽出画像、および、不良品抽出画像を合成することによって、学習用画像を生成すると共に、当該学習用画像を生成する際、良品抽出画像と不良品抽出画像との重ね合わせの順序を変更可能である。
【0010】
本形態によれば、良品抽出画像と不良品抽出画像との重ね合わせの順序を変更した複数の学習用画像を生成することができる。これにより、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置において、学習をより効率化できると共に検査精度をより向上することができる。
【0011】
本発明に係る学習用データ生成装置の更なる形態によれば、良品画像から背景を除く複数の良品の画像のみを抽出した画像である良品抽出画像を生成する良品抽出画像生成部をさらに備えている。画像取得部は、背景のみの画像である背景画像を取得可能である。そして、学習用画像生成部は、背景画像、良品抽出画像、および、不良品抽出画像を合成することによって、学習用画像を生成すると共に、当該学習用画像を生成際、良品抽出画像と不良品抽出画像との重ね合わせの度合いを変更可能である。
【0012】
本形態によれば、良品抽出画像と不良品抽出画像との重ね合わせの度合いを変更した複数の学習用画像を生成することができる。これにより、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置において、学習をより効率化できると共に検査精度をより向上することができる。
【0013】
本発明に係る学習用データ生成装置の更なる形態によれば、良品画像から背景を除く複数の良品の画像のみを抽出した画像である良品抽出画像を生成する良品抽出画像生成部をさらに備えている。画像取得部は、背景のみの画像である背景画像を取得可能である。そして、学習用画像生成部は、背景画像、良品抽出画像、および、不良品抽出画像を合成することによって、学習用画像を生成すると共に、当該学習用画像を生成する際、良品抽出画像に対して不良品抽出画像を任意の位置に配置可能である。
【0014】
本形態によれば、良品抽出画像に対する不良品抽出画像の位置を変更した複数の学習用画像を生成することができる。これにより、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置において、学習をより効率化できると共に検査精度をより向上することができる。
【0015】
本発明に係る学習用データ生成装置の更なる形態によれば、少なくとも不良品画像を撮像する際の撮像タイミングを判定可能なタイミング判定部をさらに備えている。当該タイミング判定部は、少なくとも不良品画像を撮像する際、撮像領域と背景画像とを比較して、撮像領域の少なくとも外周部分において、背景画像と差がない場合に、撮像タイミングであると判定する。
【0016】
本形態によれば、作業者の手など不要なものが撮像領域に映り込んだ状態で、不良品を撮像することを防止できる。これにより、適切な学習用画像の生成を実現できる。
【0017】
タイミング判定部を備える態様の本発明に係る学習用データ生成装置の更なる形態によれば、タイミング判定部は、撮像領域の少なくとも外周部分において、背景画像と差がある場合には、当該差が所定時間の間で変化するか否かを判定する。そして、タイミング判定部は、当該差が所定時間の間で変化しない場合には、撮像タイミングであると判定し、当該差が所定時間の間で変化する場合には、撮像タイミングでないと判定する。
【0018】
本形態によれば、撮像領域の少なくとも外周部分において、背景画像と差がある場合に、当該差が、作業者の手などの不要なものが撮像領域に映り込んだことに起因するものか否かを正確に判定することができる。これにより、より適切な学習用画像を生成することができる。
【0019】
本発明に係る学習用データ生成装置の更なる形態によれば、画像取得部は、異なる姿勢で撮像された不良品の画像である変更姿勢不良品画像を取得可能である。不良品抽出画像生成部は、変更姿勢不良品画像から背景を除く不良品の画像のみを抽出した画像である変更姿勢不良品抽出画像を生成可能である。そして、学習用画像生成部は、背景画像、良品抽出画像、および、変更姿勢不良品抽出画像を合成することによって学習用画像を生成可能である。
【0020】
本形態によれば、不良品の姿勢を変更した複数の学習用画像を生成することができる。これにより、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置において、学習をより効率化できると共に検査精度をより向上することができる。
【0021】
本発明に係る学習用データ生成装置の更なる形態によれば、画像取得部は、異なる撮像態様で撮像された背景,良品および不良品の画像である撮像態様変更背景画像,撮像態様変更良品画像および撮像態様変更不良品画像を取得可能ある。不良品抽出画像生成部は、撮像態様変更不良品画像から撮像態様変更背景画像を除く不良品の画像のみを抽出した画像である撮像態様変更不良品抽出画像を生成可能である。また、良品抽出画像生成部は、撮像態様変更良品画像から撮像態様変更背景画像を除く良品の画像のみを抽出した画像である撮像態様変更良品抽出画像を生成可能である。そして、学習用画像生成部は、像態様変更背景画像,撮像態様変更良品抽出画像および撮像態様変更不良品抽出画像を合成することによって学習用画像を生成可能である。ここで、本発明における「異なる撮像態様」とは、異なる波長の光で撮像可能な各種カメラと、異なる波長の光を照射可能な照明と、の組み合わせで撮像する態様(例えば、マルチスペクトル画像)や、異なるカメラの位置や異なる照明の位置で撮像する態様、カメラの露光時間や光の照射時間を変えた異なる撮像モードで撮像する態様、異なるパターンの光を検査対象に照射して撮像する態様、光や音波などの反射時間を計測して検査対象の物体形状を画像化する態様などがこれに該当する。
【0022】
本形態によれば、撮像態様を変更して撮像した背景,良品および不良品の複数の画像を用いて複数の学習用画像を生成することができる。即ち、複数の不良品を準備しなくても複数の学習用画像を生成することができる。これにより、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置において、学習をより効率化できると共に検査精度をより向上することができる。
【0023】
本発明に係る検査装置の好ましい形態によれば、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置が構成される。当該検査装置は、撮像部と、学習済モデルと、特徴量抽出器と、判定器と、を備えている。撮像部は、複数の検査対象の画像である検査用画像を撮像可能である。学習済モデルは、上述したいずれかの態様の本発明に係る学習用データ生成装置により生成された学習用データを用いて予め学習が行われる。特徴量抽出器は、学習済モデルを用いて検査用画像から特徴量を抽出する。判定器は、特徴量抽出器によって抽出された特徴量に基づいて、複数の検査対象の中に不良品があるか否かを判定する。
【0024】
本発明によれば、上述したいずれかの態様の本発明に係る学習用データ生成装置を備えるため、本発明の学習用データ生成装置が奏する効果と同様の作用効果、例えば、正確なアノテーションを簡易に付与することができるといった効果を奏することができる。この結果、学習の効率化や検査精度の向上を図ることができる。
【0025】
本発明に係る検査装置の更なる形態によれば、少なくとも不良品を撮像領域まで搬送可能な搬送部と、当該搬送部を介して少なくとも撮像領域における不良品に振動を付与可能な振動部と、をさらに備えている。撮像部は、振動部による振動によって姿勢が変更された不良品を撮像可能である。画像取得部は、異なる姿勢で撮像された不良品の画像である変更姿勢不良品画像を取得可能である。不良品抽出画像生成部は、変更姿勢不良品画像から背景を除く不良品の画像のみを抽出した画像である変更姿勢不良品抽出画像を生成可能である。そして、学習用画像生成部は、背景画像、良品抽出画像、および、変更姿勢不良品抽出画像を合成することによって学習用画像を生成可能である。
【0026】
本形態によれば、振動部によって搬送部を振動させるのみであるため、不良品の姿勢を容易に変更することができる。また、不良品の姿勢を変更した複数の学習用画像を生成することができる。これにより、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置において、学習をより効率化できると共に検査精度をより向上することができる。
【0027】
本発明に係る検査装置の更なる形態によれば、撮像部は、背景,良品および不良品を異なる撮像態様で撮像可能である。また、画像取得部は、異なる撮像態様で撮像された背景,良品および不良品それぞれの画像である撮像態様変更背景画像,撮像態様変更良品画像および撮像態様変更不良品画像を取得可能である。不良品抽出画像生成部は、撮像態様変更不良品画像から撮像態様変更背景画像を除く不良品の画像のみを抽出した画像である撮像態様変更不良品抽出画像を生成可能である。良品抽出画像生成部は、撮像態様変更良品画像から撮像態様変更背景画像を除く良品の画像のみを抽出した画像である撮像態様変更良品抽出画像を生成可能である。そして、学習用画像生成部は、撮像態様変更背景画像,前記撮像態様変更良品抽出画像および撮像態様変更不良品抽出画像を合成することによって学習用画像を生成可能である。ここで、本発明における「異なる撮像態様」とは、異なる波長の光で撮像可能な各種カメラと、異なる波長の光を照射可能な照明と、の組み合わせで撮像する態様(例えば、マルチスペクトル画像)や、異なるカメラの位置や異なる照明の位置で撮像する態様、カメラの露光時間や光の照射時間を変えた異なる撮像モードで撮像する態様、異なるパターンの光を検査対象に照射して撮像する態様、光や音波などの反射時間を計測して検査対象の物体形状を画像化する態様などがこれに該当する。
【0028】
本形態によれば、撮像態様を変更して撮像した背景,良品および不良品の複数の画像を用いて複数の学習用画像を生成することができる。即ち、複数の不良品を準備しなくても複数の学習用画像を生成することができる。これにより、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置において、学習をより効率化できると共に検査精度をより向上することができる。
【0029】
本発明に係る検査方法の好ましい形態によれば、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置に適用するための学習用データを生成可能な学習用データ生成方法が構成される。当該学習用データ生成方法は、(a)背景を含む複数の良品のみの画像である良品画像、および、背景を含む少なくとも一つの不良品のみの画像である不良品画像を取得し、(b)取得した不良品画像から背景を除く不良品の画像のみを抽出した画像である不良品抽出画像を生成し、(c)良品画像と不良品抽出画像とを合成することによって、学習用画像を生成し、(d)生成した学習用画像にアノテーションを付与することによって、学習用データを生成する。
【0030】
本発明によれば、背景のみを抽出した背景画像、複数の良品の画像のみを抽出した良品抽出画像、および、不良品の画像のみを抽出した不良品抽出画像を合成することで学習用画像を生成するため、当該学習用画像における不良品抽出画像の配置を容易に特定することができる。そして、特定された不良品抽出画像の配置に基づいてアノテーションを自動で付与するため、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置に適用するための学習用データの生成において、正確なアノテーションを簡易に付与することができる。この結果、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置において、学習の効率化と検査精度の向上を図ることができる。
【0031】
本発明に係る検査方法の更なる形態によれば、良品画像から背景を除く複数の良品の画像のみを抽出した画像である良品抽出画像を生成するステップをさらに備えている。また、ステップ(a)は、背景のみの画像である背景画像を取得するステップを含んでいる。そして、ステップ(c)は、背景画像、良品抽出画像、および、不良品抽出画像を合成することによって、学習用画像を生成すると共に、当該学習用画像を生成するに際し、良品抽出画像と不良品抽出画像との重ね合わせの順序を変更するステップを含んでいる。
【0032】
本形態によれば、良品抽出画像と不良品抽出画像との重ね合わせの順序を変更した複数の学習用画像を生成することができる。これにより、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置において、学習をより効率化できると共に検査精度をより向上することができる。
【0033】
本発明に係る検査方法の更なる形態によれば、良品画像から背景を除く複数の良品の画像のみを抽出した画像である良品抽出画像を生成するステップをさらに備えている。また、ステップ(a)は、背景のみの画像である背景画像を取得するステップを含んでいる。そして、ステップ(c)は、背景画像、良品抽出画像、および、不良品抽出画像を合成することによって、学習用画像を生成すると共に、当該学習用画像を生成するに際し、良品抽出画像と不良品抽出画像との重ね合わせの度合いを変更するステップを含んでいる。
【0034】
本形態によれば、良品抽出画像と不良品抽出画像との重ね合わせの度合いを変更した複数の学習用画像を生成することができる。これにより、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置において、学習をより効率化できると共に検査精度をより向上することができる。
【0035】
本発明に係るプログラムの好ましい形態によれば、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置に適用するための学習用データを生成するためのプログラムが構成される。当該プログラムは、上述したいずれかの態様の本発明に係る学習用データ生成方法の各ステップを1又は複数のコンピュータに実行させるためのものである。当該プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体、例えば、ハードディスクやROM、SSD、フラッシュメモリ(USBメモリ、SDカードなど)、フロッピーディスク、CD、DVDなどに記録されていても良いし、伝送媒体、例えば、インターネットやLANなどの通信網を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されても良いし、あるいは、その他如何なる態様で授受されても良い。
【0036】
本形態によれば、プログラムを一つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させることによって、上述したいずれかの態様の本発明に係る学習用データ生成方法の各ステップが実行されるため、上述した本発明に係る学習用データ生成方法と同様の作用効果、例えば、正確なアノテーションを簡易に付与することができるといった効果や、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置において、学習の効率化や検査精度の向上を図ることができるという効果などを得ることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置に適用するための学習用データの生成において、正確なアノテーションを簡易に実現することができる。また、本発明によれば、複数の検査対象の中から不良品を検出可能な検査装置において、学習の効率化や検査精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の実施の形態に係る検査装置1の構成の概略を示す構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る学習用データ生成装置として機能するコンピュータ10の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】不良品画像Idpの一例を示す説明図である。
【
図6】良品抽出画像Igeの一例を示す説明図である。
【
図7】不良品抽出画像Ideの一例を示す説明図である。
【
図9】良品Pgと不良品Pdとの重ね合わせの順序の様子を示す説明図である。
【
図10】良品Pgと不良品Pdとの重ね合わせの度合いの様子を示す説明図である。
【
図11】学習用画像ILにおいて不良品抽出画像Ideを任意に配置する様子を示す説明図である。
【
図12】ユーザ(作業者)によって、不良品Pdが撮像領域Icaに置かれる様子を示す説明図である。
【
図13】学習用データ生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】撮像処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】不良品検出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】検査用画像Iiの一例を示す説明図である。
【
図17】変形例の検査装置100の構成の概略を示す構成図である。
【
図18】複数の不良品Pdが撮像された不良品画像Idpの一例を示す説明図である。
【
図19】複数の不良品Pdが配置された学習用画像ILの一例を示す説明図である。
【
図20】複数の不良品Pdが撮像された不良品画像Idpの一例を示す説明図である。
【
図21】不良品抽出画像Ideを任意の配置で合成することで生成された学習用画像ILの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例0040】
本実施の形態に係る検査装置1は、
図1に示すように、複数の検査対象90を搬送可能なベルトコンベアBCと、当該ベルトコンベアBCによって搬送されてくる複数の検査対象90を撮像可能なカメラ70と、当該カメラ70の撮像領域Icaに所定の光(例えば、白色光)を所定方向から照射する照明72と、コンピュータ10と、を備えている。検査装置1は、ベルトコンベアBCによって搬送されてくる複数の検査対象90を、照明72からの光を照射した状態でカメラ70によって撮像し、当該複数の検査対象90が撮像された画像を用いて当該複数の検査対象90の中から不良品Pdを検出する。ここで、ベルトコンベアBCは、本発明における「搬送部」に対応し、カメラ70および照明72は、本発明における「撮像部」に対応する実施構成の一例である。また、コンピュータ10は、本発明における「学習用データ生成装置」に対応する実施構成の一例である。
【0041】
コンピュータ10は、
図1に示すように、CPU2を中心とするマイクロプロセッサや、処理プログラムを記憶するROM4、データを一時的に記憶するRAM6、画像処理を行う際に必要な計算処理や行列演算処理を行うGPU7、各種アプリケーションプログラム(単にプログラムと称する)や画像を含む各種データを記憶する大容量メモリであるハードディスク(HDD)8、カメラ70などの外部機器とのデータの入出力を行う入出力インターフェイス(I/F)9などを備えている。
【0042】
コンピュータ10は、ユーザが各種指令を入力するキーボードおよびマウス等の入力装置14や、各種情報を表示するディスプレイ60などを備えている。CPU2やROM4、RAM6、GPU7、HDD8、I/F9などは、バス80によって電気的に接続され、互いに各種制御信号やデータのやり取りができるように構成されている。
【0043】
当該コンピュータ10は、ディスプレイ60に表示されたカーソル等をユーザが入力装置14を介して入力操作すると、その入力操作に応じた動作を実行する機能を有している。また、当該コンピュータ10は、HDD8に格納されたプログラム、具体的には、学習済モデルの学習に用いる学習用データを生成するための学習用データ生成処理を実行する学習用データ生成プログラムや、複数の検査対象90の中から不良品Pdを検出する不良品検出処理を実行する不良品検出プログラムなどによって各種処理が実行されることで、本実施の形態に係る検査装置1を機能させたり、学習用データ生成装置として機能したりする。なお、本実施の形態では、検査装置1あるいは学習用データ生成装置をコンピュータ10によって実現可能な構成としたが、専用装置として実現しても良い。
【0044】
また、コンピュータ10には、
図2に示すように、CPU2や、ROM4、RAM6、GPU7、HDD8、I/F9、入力装置14、ディスプレイ60、カメラ70、照明72、ベルトコンベアBCなど(
図1参照)の前述したハードウェア資源と、本実施の形態に係る学習用データ生成プログラムや不良品検出プログラムなどのソフトウェアと、の一方または双方の協働により、画像取得部20や、画像表示制御部22、抽出画像生成部24、学習用画像生成部26、アノテーション付与部28、タイミング判定部30、特徴量抽出器32、判定器34、記憶部36等が機能ブロックとして構成されている。換言すれば、これらの各部(画像取得部20や、画像表示制御部22、抽出画像生成部24、学習用画像生成部26、アノテーション付与部28、タイミング判定部30、特徴量抽出器32、判定器34、記憶部36等)は、HDD8からRAM6上に展開されたプログラムを実行するCPU2からの命令によって、
図1に示す各構成要素(CPU2やROM4、RAM6、GPU7、HDD8、I/F9、入力装置14、ディスプレイ60、カメラ70、照明72、ベルトコンベアBCなど)が単独あるいは協働して動作することにより実現される機能であると言うことができる。なお、画像取得部20や、画像表示制御部22、抽出画像生成部24、学習用画像生成部26、アノテーション付与部28、タイミング判定部30、特徴量抽出器32、判定器34、記憶部36等は、アドレスバスやデータバスなどのバスライン82によって電気的に接続されている。
【0045】
画像取得部20は、背景bgのみの画像である背景画像Ibg(検査対象90が存在しない状態の背景のみの画像、
図3参照)や、背景bgを含む複数の良品Pgのみの画像である良品画像Igp(
図4参照)、および、背景bgを含む少なくとも1つの不良品Pdのみの画像である不良品画像Idp(
図5参照)を撮像するように、カメラ70や照明72に撮像指示信号を出力すると共に、カメラ70によって撮像されたこれら画像(背景画像Ibg、良品画像Igp、不良品画像Idp)を取得し、取得したこれら画像(背景画像Ibg、良品画像Igp、不良品画像Idp)を、抽出画像生成部24や記憶部36に供給する。また、画像取得部20は、抽出画像生成部24によって生成された良品抽出画像Ige(
図6)や不良品抽出画像Ide(
図7)を取得して、学習用画像生成部26や記憶部36に供給する。さらに、画像取得部20は、学習用画像生成部26によって生成された学習用画像IL(
図8)を取得して、アノテーション付与部28や、特徴量抽出器32、判定器34、記憶部36に供給する。また、画像取得部20は、複数の検査対象90の中から不良品Pdを検出するための画像である検査用画像Iiを取得して、特徴量抽出器32や判定器34、記憶部36に供給する。なお、画像取得部20は、必要に応じて、背景画像Ibg、良品画像Igp、不良品画像Idp、良品抽出画像Ige、不良品抽出画像Ide、学習用画像IL、検査用画像Iiを記憶部36から取得する。
【0046】
画像表示制御部22は、判定器による判定結果をディスプレイ60に表示したり、ユーザの操作に応じて、各種画像(背景画像Ibg、良品画像Igp、不良品画像Idp、良品抽出画像Ige、不良品抽出画像Ide、学習用画像IL、検査用画像Ii)をディスプレイ60に表示したりする。なお、画像表示制御部22は、学習用画像ILをディスプレイ60に表示する際に、アノテーション付与部28によって付与されたアノテーションも同時にディスプレイ60に表示することができる。
【0047】
抽出画像生成部24は、画像取得部20が取得した良品画像Igpおよび不良品画像Idpを画像処理することで、良品画像Igpおよび不良品画像Idpから背景を除いた画像である良品Pgのみの画像および不良品Pdのみの画像を抽出した画像である良品抽出画像Igeおよび不良品抽出画像Ideを生成すると共に記憶部36に供給する。
【0048】
学習用画像生成部26は、背景画像Ibgと、抽出画像生成部24が生成した良品抽出画像Igeおよび不良品抽出画像Ideと、を合成した学習用画像ILを生成すると共に記憶部36に供給する。ここで、学習用画像生成部26は、学習用画像ILを生成する際、
図9に示すように、良品抽出画像Igeと不良品抽出画像Ideの重ね合わせの順序を変更したり(
図9(a)は、良品抽出画像Igeが不良品抽出画像Ideの上側となるように配置した図であり、
図9(b)は、良品抽出画像Igeを不良品抽出画像Ideの下側となるように配置した図である)、
図10に示すように、良品抽出画像Igeと不良品抽出画像Ideとの重ね合わせの度合いを変更したり(
図10(a)は、良品抽出画像Igeと不良品抽出画像Ideとの重ね合わせの度合を大きくした状態を示した図であり、
図10(b)は、良品抽出画像Igeと不良品抽出画像Ideとの重ね合わせの度合いを小さくした状態を示した図である)、あるいは、
図11に示すように、学習用画像ILにおける不良品抽出画像Ideの配置を変更したりすることができる(
図11(a)は、学習用画像ILにおいて不良品抽出画像Ideを左寄りに配置した様子を示す図であり、
図11(b)は、学習用画像ILにおいて不良品抽出画像Ideを右寄りに配置した様子を示す図である)。なお、良品抽出画像Igeと不良品抽出画像Ideとの重ね合わせの度合いおよび重なり順序は、乱数により自動で選択することもできる。
【0049】
アノテーション付与部28は、学習用画像生成部26によって生成された学習用画像ILにアノテーションを付与する。具体的には、アノテーション付与部28は、背景画像Ibg、良品抽出画像Ige、および、不良品抽出画像Ideから学習用画像ILを合成する際、不良品抽出画像Ideの背景画像Ibgおよび良品抽出画像Igeにおける配置位置に基づき、アノテーションを自動的に付与する。より具体的には、アノテーション付与部28によるアノテーション付与は、学習用画像ILの中から不良品抽出画像Ideの配置位置を自動的に特定すると共に不良品Pdである旨(例えば、「印」)を当該学習用画像ILに自動的に入力することにより行う。なお、アノテーション付与部28によって付与されたアノテーションは、学習用画像ILと一体に記憶部36に記憶される。
【0050】
タイミング判定部30は、カメラ70によって不良品Pdを撮像する際に、撮像タイミングであるか否かの判定を行い、撮像タイミングであると判定した際に、カメラ70に撮像指示信号を出力する。ここで、撮像タイミングであるか否かの判定は、本実施の形態では、
図3および
図12に示すように、カメラ70の撮像領域Icaと、背景画像Ibgと、を比較して、少なくとも外周部Peにおいて差があるか否かを判定することにより行う構成とした。より具体的には、タイミング判定部は、撮像領域Icaの少なくとも外周部Peと背景画像Ibgの少なくとも外周部Peとの間に差がない場合には、撮像タイミングであると判定する。一方、タイミング判定部は、撮像領域Icaの少なくとも外周部Peと背景画像Ibgの少なくとも外周部Peとの間に差がある場合には、当該差のある状態が所定時間の間変化するか否かを判定する。そして、当該差のある状態が所定時間の間、変化しない場合には、撮像タイミングであると判定し、当該差のある状態が所定時間の間で変化した場合には、作業者の手など不要なものが映り込んでいるものとして、撮像タイミングでないと判定する。タイミング判定部30は、撮像タイミングであると判定したときには、撮像指示信号をカメラ70に出力する。ここで、所定時間は、本実施の形態では、作業者が不良品Pdを配置する作業に必要な時間以上に設定する構成とした。
【0051】
特徴量抽出器32は、学習用画像ILや検査用画像Iiについて特徴量を抽出する。本実施の形態では、複数の検査対象90の中から不良品Pdを精度よく検出することが可能な特徴量を抽出することができるように、機械学習、より具体的には、ディープメトリックラーニングを用いて演算パラメータを修正して学習を行う構成とした。即ち、特徴量抽出器32は、抽出した特徴量間の距離を算定して、算定した当該距離に基づき誤差逆伝搬法および勾配降下法によりパラメータの修正を行う一連の処理にディープメトリックラーニングを適用した。なお、特徴量抽出器32は、アノテーションが付与された(教師信号付きの)複数の学習用画像ILを用いて予め学習を行って、1つの学習済モデルMLとして記憶部36に記憶される。
【0052】
判定器34は、特徴量抽出器32によって抽出された特徴量に基づいて、複数の検査対象90の中に不良品Pdがあるか否かの判定を行う。なお、当該判定結果は、ディスプレイ60に表示される。判定器34には、例えば、勾配ブースティングや、サポートベクターマシーン、ランダムフォレスト、ニューラルネットワーク、ガウス正規化、アンサンブル検査など、深層学習を含むニューラルネットワークを用いた機械学習以外の機械学習である所謂統計的機械学習を用いることができる。
【0053】
記憶部36は、RAM6およびHDD8の少なくとも一方に確保され、カメラ70によって撮像された背景画像Ibg,良品画像Igp,不良品画像Idp,検査用画像Iiや、抽出画像生成部24によって生成された良品抽出画像Ige,不良品抽出画像Ide、学習用画像生成部26によって生成された学習用画像IL、学習済モデルMLを記憶する。学習用画像ILは、アノテーション付与部によって付与されたアノテーションと共に記憶される。
【0054】
次に、学習用データ生成プログラムが起動されたときに本実施の形態に係る学習用データ生成装置としてのコンピュータ10において実施される学習用データ生成処理について説明する。
図13は、学習用データ生成処理の一例を示すフローチャートである。学習用データ生成処理は、例えば、ユーザがディスプレイ60上に表示される各種コマンドボタンの中から「学習用データ生成」ボタンを押したときに実行される。学習用データ生成処理は、主にコンピュータ10の画像取得部20、画像表示制御部22、抽出画像生成部24,学習用画像生成部26,アノテーション付与部28、タイミング判定部30、および、記憶部36により実行される。なお、本実施の形態では、複数の検査対象90の中から所望品でないもの(異物)を検出する場合を例に説明する。したがって、以下では、「良品」とは、所望品を指し、「不良品」とは、所望品でないもの(異物)を指す。
【0055】
学習用データ生成処理が実行されると、
図13に示すように、まず、画像取得部20は、背景bg、良品Pg、および、不良品Pdを撮像する処理を実行する(ステップS10)。当該撮像は、
図14に示す撮像処理に基づいて実行される。この処理が実行されると、画像取得部20は、まず、撮像対象が背景bgであるのか、良品Pgであるのか、あるいは、不良品Pdであるのかの判定を行う処理を実行する(ステップS20)。撮像対象の判定は、例えば、ユーザ(作業者)が各種コマンドボタンの中から「背景の撮像」や、「良品の撮像」、あるいは、「不良品の撮像」のいずれを選択したかに基づき判定することができる。
【0056】
即ち、ユーザ(作業者)が各種コマンドボタンの中から「背景の撮像」を選択した場合には、画像取得部20は、撮像対象が背景bgであると判定し、ユーザ(作業者)が各種コマンドボタンの中から「良品の撮像」を選択した場合には、撮像対象が良品Pgであると判定し、ユーザが各種コマンドボタンの中から「不良品の画像」を選択した場合には、撮像対象が不良品Pdであると判定するのである。なお、本実施の形態では、「良品の撮像」の場合、複数の検査対象90の中から予め抽出された複数の良品Pgが、撮像領域Icaよりも搬送方向の上流側において、ベルトコンベアBC上に載せられ、当該ベルトコンベアBCによって撮像領域Icaまで搬送される構成とし、「不良品の撮像」の場合、複数の検査対象90の中から予め抽出された不良品Pdが、ユーザによって、撮像毎に一つずつベルトコンベアBCの撮像領域Icaに載せられる構成とした。
【0057】
ステップS20において、撮像対象が背景bgまたは良品Pgであると判定した場合には、背景bgまたは良品Pgを撮像するように、カメラ70へ撮像指示信号を出力すると共に、撮像された背景画像Ibg(
図3)または良品画像Igp(
図4)を記憶して(ステップS22)、本処理を終了する。ここで、本実施の形態では、背景bgの撮像は、ユーザ(作業者)からの「背景の撮像」ボタンの入力があった後、直ちに実行される構成とした。また、良品Pgの撮像は、ユーザ(作業者)からの「良品の撮像」ボタンの入力があった後、当該良品Pgが撮像領域Icaに搬送されたタイミングで実行される構成とした。
【0058】
一方、ステップS20において、撮像対象が不良品Pdであると判定した場合には、撮像タイミングであるか否かの判定を行う処理を実行する(ステップS24)。撮像タイミングであるか否かの判定は、タイミング判定部30からの出力の有無に基づいて行うことができる。このように、タイミング判定部30によって撮像タイミングか否かを判定し、撮像タイミングであると判定したときのみ撮像する構成とすることで、ユーザ(作業者)が不良品PdをベルトコンベアBCに載置する際の手などが映り込むことを良好に防止することができる。これにより、適切な不良品画像Idpの撮像を実現することができる。
【0059】
そして、ステップS24において、撮像タイミングであると判定した場合に、不良品Pdを撮像するように、カメラ70へ撮像指示信号を出力すると共に、撮像された不良品画像Idp(
図5)を記憶して(ステップS22)、本処理を終了する。なお、ステップS24において、撮像タイミングでないと判定した場合は、撮像タイミングとなるまでステップS24の判定を繰り返し実行する。
【0060】
こうして撮像処理が終了すると、画像取得部20は、当該撮像処理によって撮像された背景画像Ibgや良品画像Igp、不良品画像Idpを読み込む処理を実行する(ステップS12)。続いて、抽出画像生成部24が、画像処理によって、読み込まれた良品画像Igp(
図4)および不良品画像Idp(
図5)から良品抽出画像Ige(
図6)および不良品抽出画像Ide(
図7)を生成する処理を実行する(ステップS14)。
【0061】
そして、学習用画像生成部26が、読み込まれた背景画像Ibg(
図3)と、抽出画像生成部24によって生成された良品抽出画像Ige(
図6)および不良品抽出画像Ide(
図7)と、を合成することによって、学習用画像IL(
図8)を生成する処理を実行すると共に(ステップS16)、アノテーション付与部28が、当該学習用画像ILにアノテーションを付与して(ステップS18)、本処理を終了する。
【0062】
このように、本実施の形態に係る学習データ生成装置によれば、背景画像Ibg、良品抽出画像Ige、および、不良品抽出画像Ideを合成することで学習用画像ILを生成する構成であるため、当該学習用画像ILにおける不良品抽出画像Ideの配置を容易に特定することができる。そして、特定された不良品抽出画像Ideの配置に基づいてアノテーションを自動で付与するため、複数の検査対象90の中から不良品Pdを検出可能な検査装置に適用するための学習用データの生成において、正確なアノテーションを簡易に実現することができる。
【0063】
こうして正確なアノテーションが付された学習用画像ILを用いて、特徴量抽出器32を学習することができるため、複数の検査対象90の中から不良品Pdを正確に検出可能な学習済モデルMLを構築することができる(学習の効率化を図ることができる)。
【0064】
次に、本実施の形態に係る検査装置1の動作、特に、学習済モデルMLを用いて、複数の検査対象90の中から不良品Pdを検出する際の動作について説明する。
図15は、不良品検出処理の一例を示すメインフローチャートである。不良品検出処理は、不良品検出プログラムが起動されたときに実施され、主にコンピュータ10の画像取得部20、画像表示制御部22、特徴量抽出器32、判定器34、および、記憶部36により実行される。
【0065】
不良品検出処理が実行されると、
図15に示すように、まず、画像取得部20は、複数の検査対象90を撮像するように、カメラ70へ撮像指示信号を出力すると共に(ステップS30)、撮像された検査用画像Iiを読み込む処理を実行する(ステップS32)。ここで、検査用画像Iiは、
図16に示すように、背景bgと、複数の良品Pgや不良品Pd(不良品Pdは含まれない場合もある)を含む複数の検査対象90と、を撮像した画像である。
【0066】
検査用画像Iiが読み込まれると、特徴量抽出器32が、学習済モデルMLを用いて当該検査用画像Iiについて特徴量を抽出する処理を実行する(ステップS34)。続いて、判定器34が、抽出された特徴量に基づき、複数の検査対象90の中に不良品Pdが存在するか否かの判定を行うと共に(ステップS36)、画像表示制御部22が、当該判定結果を出力する処理を実行して(ステップS38)、本処理を終了する。
【0067】
このように、本実施の形態に係る検査装置1によれば、正確なアノテーションが付された学習用データにより適切に学習された学習済モデルMLを用いて、検査用画像Iiの特徴量を抽出すると共に、当該抽出した特徴量に基づき判定するため、複数の検査対象90の中に不良品Pdが有るか否かを精度良く検出することができる。
【0068】
本実施の形態では、学習用画像ILを生成する際に、不良品Pdの撮像は、当該不良品Pdの姿勢が一定(姿勢を変更させない状況)の下で一回のみ行う構成としたが、これに限らない。例えば、不良品Pdの撮像は、当該不良品Pdの姿勢を変更させながら複数回行う構成としても良い。この場合、
図17の変形例の検査装置100に示すように、ベルトコンベアBCに振動モータなどの振動装置92を機械的に接続し、当該振動装置92によってベルトコンベアBC上の不良品Pdに振動を与える構成とすることができる。当該構成によれば、同一の不良品Pdについて、姿勢が異なる複数の不良品画像Idpを生成することができるため、アノテーションが付与された(教師信号付き)複数の学習用画像ILを容易に確保することができる。これにより、学習済モデルMLの学習時の検出精度の向上を効率良く図ることができる。なお、不良品Pdの姿勢は、少なくとも撮像領域Icaにおいて変更されれば良く、例えば、不良品Pdが撮像領域Icaに到達したときのみ、振動装置92によってベルトコンベアBC上の不良品Pdに振動を与える構成としても良い。また、不良品Pdの撮像のみならず良品Pgの撮像においても、良品Pgの姿勢を変更させながら複数回行う構成としても良い。ここで、姿勢が異なる複数の不良品画像Idpは、本発明における「変更姿勢不良品画像」に対応し、当該不良品画像Idpから背景bgを除いた不良品Pdのみの画像(不良品抽出画像Ide)は、本発明における「変更姿勢不良品抽出画像」に対応する実施構成の一例である。
【0069】
本実施の形態および上述した変形例では、学習用画像ILを生成する際に、一つの不良品Pdのみが撮像された不良品画像Idpを用いる構成としたが、これに限らない。例えば、
図18に示すように、複数の不良品Pdが撮像された不良品画像Idpを用いる構成としても良い。この場合、
図19に示すように、複数の不良品Pdが配置された学習用画像ILが生成されると共に、当該不良品Pdの配置箇所にアノテーションが付与される。なお、複数の不良品Pdが撮像された不良品画像Idpからは、
図20に示すように、複数の不良品抽出画像Ideが生成されるが、学習用画像ILを生成する場合に、当該複数の不良品抽出画像Ideは、不良品画像Idpにおける配置のまま合成する構成としても良いし(
図19参照)、
図21に示すように、任意の配置で合成する構成としても良い。
【0070】
本実施の形態では、所定の撮像態様、即ち、所定の位置に固定された照明72によって、所定の光(例えば、白色光)が所定方向から照射された撮像領域Icaを、所定の位置に固定されたカメラ70によって、所定の撮像モードで撮像する構成としたが、撮像態様を異ならせると共に当該撮像態様を異ならせる毎に撮像する構成としても良い。異なる撮像態様としては、例えば、照明72によって複数のパターン光(例えば、複数の角度からの照射や、複数の格子状や縞状の光)を順次切替え照射し、パターン光が切替えられる毎にカメラ70によって撮像する構成や、照明72によって異なる波長の光を順次切替え照射し、波長が切替えられる毎にカメラ70によって撮像する構成、照明72による光の照射方向を異ならせ、照射方向を異ならせる毎にカメラ70によって撮像する構成、カメラ70の撮像方向を異ならせ、撮像方向を異ならせる毎にカメラ70によって撮像する構成、カメラ70の撮像モード(例えば、露光時間)を変更させ、当該撮像モードを変更する毎にカメラ70によって撮像する構成が考えられる。なお、照射方向を異ならせる態様としては、照明72の角度を変更する構成の他、照明72自体の配置を変更する構成や、複数の照明72を用いる構成が考えられる。また、撮像方向を異ならせる態様としては、カメラ70の角度を変更する構成の他、カメラ70自体の配置を変更する構成、複数のカメラ70を用いる構成が考えられる。なお、この場合、学習用画像ILを生成する際には、同じ撮像態様で撮像した背景画像Ibg,良品画像Igpおよび不良品画像を合成する必要があることは勿論のことである。当該構成によれば、複数の不良品を準備しなくても複数の学習用画像を生成することができるため、学習の効率化を図ることができる。また、複数の不良品を準備して撮像する場合に比べて、撮像に要する作業工数や作業時間を短縮することができるため、コスト低減を図ることができる。なお、異なる撮像態様毎に生成した学習用画像を用いた学習結果を比較することで、検査精度の向上に資する撮像態様を容易に知ることができる。これにより、検査精度の向上に資する撮像態様を選択して学習用画像を生成することができるため、学習をより効率化できると共に検査精度をより向上することができる。ここで、異なる撮像態様で撮像された背景画像Ibg,良品画像Igpおよび不良品画像Idpは、それぞれ本発明における「撮像態様変更背景画像」,「撮像態様変更良品画像」および、撮像態様変更不良品画像」に対応し、異なる撮像態様で撮像された良品画像Igpから背景bgを除いた良品Pgのみの画像(良品抽出画像Ige)、および、異なる撮像態様で撮像された不良品画像Idpから背景bgを除いた不良品Pdのみの画像(不良品抽出画像Ide)は、それぞれ本発明における「撮像態様変更良品抽出画像」および「撮像態様変更不良品抽出画像」に対応する実施構成の一例である。
【0071】
本実施の形態では、複数の検査対象90の中から所望品でないもの(異物)を検出する場合に適用したが、これに限らない。例えば、複数の検査対象90の中から欠陥品を検出する場合などに適用することができる。
【0072】
本実施の形態では、不良品検出プログラムや学習用データ生成プログラムを含む各種プログラムをHDD8に記憶する構成としたが、これに限らない。例えば、不良品検出プログラムや学習用データ生成プログラムを含む各種プログラムは、伝送媒体、例えば、インターネットやLANなどの通信網を介して他コンピュータから本実施の形態に係る検査装置としてのコンピュータ10へ配信される構成としても良い。
【0073】
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。