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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002841
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】バルブ駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/695 20060101AFI20231228BHJP
   H01F 7/18 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
H03K17/695
H01F7/18 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022110818
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】510070809
【氏名又は名称】三原 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】三原 雅昭
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX02
5J055AX12
5J055AX56
5J055AX66
5J055BX16
5J055CX13
5J055DX13
5J055DX55
5J055EX02
5J055EY01
5J055EY05
5J055EY12
5J055EY13
5J055EY21
5J055EZ23
5J055EZ63
5J055GX01
5J055GX05
(57)【要約】
【課題】バルブ駆動用誘導負荷駆動する際に、PWM制御する際の電力損失を抑制しつつ、PWM制御を停止した際の、バルブ閉鎖時の速やかな応答時間を得られる電子回路を提供する。
【解決手段】バルブ駆動用誘導負荷回路は、第1半導体スイッチング素子がPWM制御されて、誘導負荷回路が駆動される回路であり、還流ダイオードとツェナーダイオードが直列に接続された回路が、誘導負荷回路に並列に接続され、ツェナーダイオードには第2半導体スイッチング素子が並列に接続されており、PWM制御時は、第2半導体スイッチング素子はオン状態で動作し、PWM制御時が停止すると、第2半導体スイッチング素子がオフ状態で動作する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源に一端が接続される誘導負荷と、前記誘導負荷の他端に接続される第1半導体スイッチング素子を有し、誘導負荷は前記第1半導体スイッチング素子がPWM制御されており、還流ダイオードとツェナーダイオードが直列に接続された回路は、誘導負荷に並列に接続され、第2半導体スイッチング素子がツェナーダイオードに並列接続されて、前記第1半導体スイッチング素子がPWM制御されており、第2半導体スイッチング素子がオン状態で動作し、還流電流は第2半導体スイッチング素子に流れる事で、還流電流がツェナーダイオードに流れる事を抑制し、前記第1半導体スイッチング素子のPWM制御が停止した時に、第2半導体スイッチング素子がオフ状態で動作して、還流電流を前記ツェナーダイオードに流す誘導負荷駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体式ロケットエンジンのバルブ駆動回路に関し、電力損失を改善し、バルブ駆動用誘導負荷の応答速度を制御するための、半導体を用いた回路技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の燃料バルブ駆動回路では、バルブ駆動用誘導負荷をスイッチング素子で駆動する際に、バルブ駆動用誘導負荷にツェナーダイオードと還流ダイオードを直列に接続した回路を、並列に接続されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の、燃料バルブ駆動用誘導負荷を駆動する回路では、PWMスイッチング時に、誘導負荷に蓄えられたエネルギーをツェナーダイオードで殆どが消費されるため、ツェナーダイオードの発熱と多くの電力が必要であり、搭載電池の重量も大きかった。
また、ツェナーダイオードを用いず、還流ダイオードだけの場合、PWM制御を停止した時に誘導負荷に蓄えられたエネルギーの消失が遅れ、バルブ制御時間に遅れが発生し、姿勢制御には補正が必要な問題があった。
【0004】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、PWM制御時のエネルギー損失を抑制しつつ、PWM制御が停止した場合でも、応答速度を改善する、燃料バルブ制御する駆動回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記目的を達成するために、第1半導体スイッチング素子がPWM制御されて誘導負荷を駆動する回路であり、還流ダイオードとツェナーダイオードが直列接続された回路が誘導負荷に接続し、ツェナーダイオードには第2半導体スイッチング素子が並列に接続され、PWM制御中の状態では第2半導体スイッチング素子がオン状態に駆動し、PWM制御が停止した状態では第2半導体スイッチング素子がオフ状態で駆動する。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、PWM制御中の損失を抑制し、PWM制御が停止した時に充分な応答速度が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の、誘導負荷を駆動する回路図である。
図2】本発明の、誘導負荷駆動回路を駆動する動作を説明するための、タイムチャートである。
図3】PWM制御される誘導負荷に、還流ダイオードが並列接続された、誘導負荷駆動回路である。
図4】PWM制御される誘導負荷に、還流ダイオードが並列接続された、誘導負荷駆動回路の、タイムチャートである。
図5】PWM制御される誘導負荷に、還流ダイオードとツェナーダイオードが直列に接続された回路が、並列に接続された誘導負荷駆動回路である。
図6】PWM制御される誘導負荷に、還流ダイオードとツェナーダイオードが直列に接続された回路が、並列に接続された誘導負荷駆動回路の、動作タイムチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図1に基づいて説明する。
【0009】
図1は、誘導負荷駆動回路の一態様を示す回路図であり、図中のPWM制御回路は、誘導負荷動作信号が、HiレベルでPWM制御を開始する論理構成での説明である。
【0010】

図1の誘導負荷駆動回路100は、例えば、ロケットエンジンの燃料供給バルブ駆動用誘導負荷に適用される駆動回路であり、燃料供給バルブ駆動用の誘導負荷10に対して、外部の誘導負荷駆動回路100は、制御信号を出力することができる。
但し、本発明の誘導負荷駆動回路は、ロケットエンジンの燃料供給バルブ駆動用誘導負荷に限定されることなく、広く適用できることは明らかである。
【0011】
図1において、電源VBの正極側に誘導負荷10の一端が接続され、誘導負荷10の他端には、駆動素子である第1半導体スイッチング素子20が接続される。
nチャンネル型FETである第1半導体スイッチング素子20は、ドレイン端子Dが誘導負荷10の他端に接続され、ソース端子Sは接地される。
つまり、第1半導体スイッチング素子20はローサイドスイッチである。
また、第1半導体スイッチング素子20は、接地側から誘導負荷10に向けて電流を流す寄生ダイオード20aを有する。
【0012】
第1半導体スイッチング素子20のゲート端子Gには、図示を省略したゲート駆動回路が、PWM信号に基づいたゲート電圧を第1半導体スイッチング素子20のゲート信号に供給し、第1半導体スイッチング素子20は、誘導負荷10の通電をPWM制御する。
【0013】
第一半導体スイッチング素子20のゲート~ソース間電圧VGSとして、閾値電圧よりも高い電圧が印加されると、第1半導体スイッチング素子20はオン状態となり、ドレイン端子Dからソース端子Sに向かって電流(ドレイン電流)が流れ、
誘導負荷10は磁場を発生する。
【0014】
一方、第1半導体スイッチング素子20のゲート~ソース間電圧VGSとして閾値電圧よりも低い電圧が印加されると、第1半導体スイッチング素子20はオフ状態となり、ドレイン~ソース端子間に電流(ドレイン電流)が流れず、誘導負荷10は磁場の発生を停止する。
【0015】
ここで、ゲート電圧信号のPWM制御におけるデューティー比(PWM周期当たりのオン時間割合)に応じて、誘導負荷10に印加される平均電圧(誘導負荷10に流れる平均電流)が制御される。
【0016】
誘導負荷10はインダクタンスと抵抗から構成されており、供給電源をオフしたときに、誘導負荷に流れていた向きと逆方向に電流を流そうとする還流電流が生じる。
【0017】
以下で、誘導負荷還流回路40の詳細を説明する。
誘導負荷還流回路40は、還流ダイオード60、ツェナーダイオード50、還流電流を流すための第2半導体スイッチング素子30から構成される。
【0018】
誘導負荷還流回路40は、第1半導体スイッチング素子20をオフした時に、誘導負荷10から流れようとする電流を、電源VBの正極側に還流させるため、第1ダイオード、還流ダイオードD1のアノード端が、第1半導体スイッチング素子20のドレイン端に接続され、還流ダイオードD1のカソード端に、ツェナーダイオードD2のカソード端が接続される。
【0019】
ツェナーダイオードD2のアノード端は電源VBに接続され、更にツェナーダイオードD2のカソード端には、pチャンネル型FET第2半導体スイッチング素子30のソース端が接続している。pチャンネル型FET第2半導体スイッチング素子30のドレイン端は電源VBの正極に接続される。
第2半導体スイッチング素子30は、ドレイン端からソース端に電流を流す寄生ダイオード30aを有する。
【0020】
一方、PWM制御時には、誘導負荷からの還流電流が、ツェナーダイオード50に流れないように、pチャンネル型FET第2半導体スイッチング素子30へ電流を流すため、pチャンネル型FET第2半導体スイッチング素子30をオン状態にする。
【0021】
pチャンネル型FET第2半導体スイッチング素子30をオン状態にするため、pチャンネル型FET第2半導体スイッチング素子30のゲート~ソース間に、VGSとして閾値電圧よりも高い電圧を印加するように、第2半導体制御スイッチ300は、nチャンネル型FET第3半導体スイッチング素子80で構成されている。
【0022】
第3半導体スイッチング素子80のドレインと、第2半導体スイッチング素子のソース間に抵抗器R1とR2が直列に接続されており、抵抗器R1とR2の接続点から第2半導体スイッチング素子のゲートに接続され、第3半導体スイッチング素子80がオン状態になると、直列接続された抵抗器R1とR2に電圧が発生する。
【0023】
抵抗器R2には、pチャンネル型FET第2半導体スイッチング素子30が、充分にオン状態になるように電圧を発生させるため、抵抗器R1とR2は任意の比率で抵抗値が設定される。
【0024】
ツェナーダイオード70は、pチャンネル型FET第2半導体スイッチング素子30のゲート~ソース電圧が許容最大値を超えないように、許容値以下のツェナーダイオードが接続される。
【0025】
PWM制御が停止し、nチャンネル型FET第1半導体スイッチング素子20がオフ状態となり、誘導負荷10の電流供給が停止される。誘導負荷10に蓄えられていたエネルギーが、電流として還流ダイオードD1のアノードからカソード方向に流れる。この時、PWM制御が停止と同時に、還流電流を流していたpチャンネル型FET第2半導体スイッチング素子30の制御していたnチャンネル型FET第3半導体スイッチング素子80もオフ状態となる。
【0026】
そのため、pチャンネル型FET第2半導体スイッチング素子30がオン状態になるように、pチャンネル型FET第2半導体スイッチング素子30のゲート~ソース間に電圧を発生させていた抵抗器に電流が流れず、pチャンネル型FET第2半導体スイッチング素子30のゲート~ソース間は同電位となり、pチャンネル型FET第2半導体スイッチング素子30はオフ状態となる。
【0027】
よって、還流ダイオードD1からFET第2半導体スイッチング素子30に流れていた還流電流は、ツェナーダイオーD2のカソードからアノードに流れ、ツェナーダイオーD2のクランプ電圧を保持した状態で還流電流が流れるために、エネルギーのほとんどはツェナーダイオードD2で消費される。
【0028】
還流電流によるエネルギーは、ツェナーダイオードD2で消費されるため、誘導負荷10に蓄えられていたエネルギーは、図2のT1の様に急速に消失し、燃料バルブは速やかに閉鎖される。
【0029】
図3は、第1半導体スイッチング素子20の、ドレイン側に接続された誘導負荷10に、並列に還流ダイオードD1が並列に接続された例である。
【0030】
図4は、図3のタイムチャートとして説明した図であり、PWM駆動が停止した時は、誘導負荷10の還流電流は、第1半導体スイッチング素子20がオフ期間でも電流が流れる。
【0031】
そのため、PWM期間が終了しても、誘導負荷10に流れる電流が、T2の長い期間維持されている。
【0032】
図5は、PWM制御される誘導負荷に、還流ダイオードとツェナーダイオードが直列に接続された回路が、並列に接続された回路例である。
【0033】
図6は、図5のタイムチャートとして説明した図であり、PWM駆動時は誘導負荷10の還流電流は、第1半導体スイッチング素子20がオフ期間に、還流電流がツェナーダイオードD2で消費される。
【0034】
そのため、PWM期間が終了すると、誘導負荷10の還流電流はT3の短い期間で消失するが、PWM期間の平均電流は低いため、より多くの電流が誘導負荷電流として必要である。
【符号の説明】
【0035】
10 誘導負荷
20 第1半導体スイッチング素子
30 第2半導体スイッチング素子
40 誘導負荷還流回路
50 ツェナーダイオード
60 還流ダイオード
70 ツェナーダイオード
80 第3半導体スイッチング素子
100 誘導負荷駆動回路
200 第2半導体制御スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6