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特開2024-28490ロキソプロフェンを含有する医薬組成物<陸>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028490
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】ロキソプロフェンを含有する医薬組成物<陸>
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/192 20060101AFI20240226BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20240226BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240226BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20240226BHJP
   A61K 47/08 20060101ALI20240226BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240226BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240226BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240226BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240226BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240226BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
A61K31/192
A61K9/06
A61K9/08
A61K47/06
A61K47/08
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/22
A61K47/26
A61K47/32
A61P29/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024004291
(22)【出願日】2024-01-16
(62)【分割の表示】P 2022074889の分割
【原出願日】2013-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2012075995
(32)【優先日】2012-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2013034155
(32)【優先日】2013-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕明
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 透
(72)【発明者】
【氏名】大田 光郎
(57)【要約】
【課題】ロキソプロフェン又はその塩と、テルペン類との間の相互作用が抑制された医薬組成物の提供。
【解決手段】
願書に記載の発明。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
願書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロキソニン(登録商標)の有効成分としても知られるロキソプロフェンを含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ロキソプロフェンは、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)の一種であり(非特許文献1)、変形性関節症、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛等の疾患並びに症状の消炎・鎮痛を効能効果とするゲル剤、パップ剤やテープ剤等の外用剤の有効成分として用いられている(非特許文献2)。
一方、メントール、ハッカ油等のテルペン類は、冷却感を与える目的で外用消炎鎮痛剤等に配合されており、ロキソプロフェンと共に配合された外用剤も知られている(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-120560号公報
【特許文献2】特開2001-199883号公報
【特許文献3】国際公開第2006/48939号パンフレット
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】第十六改正日本薬局方解説書 株式会社廣川書店 第C-5359~5364頁
【非特許文献2】ロキソニン(登録商標)ゲル1%医薬品インタビューフォーム 第一三共株式会社 2010年10月改訂(第3版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ロキソプロフェン又はその塩と、l-メントールなどを包含するテルペン類との間に、保存安定性に影響を与えるような相互作用が生じるか否かについては、知られていない。
そこで、本発明者らは、まず、ロキソプロフェン又はその塩と種々の成分の保存安定性について検討したところ、ロキソプロフェン又はその塩と、l-メントールなどを包含するテルペン類とを含有する組成物を調製すると、意外にも、これらの成分の間に相互作用が生じ、安定性に問題が生じ得ることを見出した。
【0006】
従って、本発明の課題は、ロキソプロフェン又はその塩と上記テルペン類との間の相互作用が抑制された医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者らは、この問題を解決すべくさらに検討したところ、ロキソプロフェン又はその塩及びテルペン類に、さらに下記の(C-1)、(C-2)のうちいずれか:
【0008】
(C-1)クロルフェニラミン又はその塩などを包含する、下記一般式(1)
【0009】
【化1】
【0010】
[式(1)中、Xは単結合又は酸素原子を示し、Yはメチン基又は窒素原子を示し、R1は水素原子、水酸基又はアルキル基を示し、R2は置換基を有してもよい環状アミノ基、又は置換基を有してもよいアミノアルキル基を示し、R3は水素原子又はハロゲン原子を示す。]
で表される化合物又はその塩
(C-2)多価アルコール
(なお、本明細書において、上記(C-1)及び(C-2)から選ばれる成分の1種以上を「相互作用抑制成分」と称することがある。)
を共存せしめることにより、相互作用を抑制することができることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ロキソプロフェン又はその塩
(B)テルペン類
(C)次の成分(C-1)及び(C-2)からなる群より選ばれる1種以上
(C-1)下記一般式(1)
【0012】
【化2】
【0013】
[式(1)中、Xは単結合又は酸素原子を示し、Yはメチン基又は窒素原子を示し、R1は水素原子、水酸基又はアルキル基を示し、R2は置換基を有してもよい環状アミノ基、又は置換基を有してもよいアミノアルキル基を示し、R3は水素原子又はハロゲン原子を示す。]
で表される化合物又はその塩
(C-2)多価アルコール
を含有する医薬組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ロキソプロフェン又はその塩とテルペン類との相互作用を抑制できる。従って、保存安定性が優れた、ロキソプロフェン又はその塩、及びテルペン類を含有する医薬組成物を提供することができる。
また、複雑な工程を経ることなく、簡便かつ安価に、ロキソプロフェン又はその塩、及びテルペン類を含有する、相互作用が抑制された医薬組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<成分(A)>
本発明において、「ロキソプロフェン又はその塩」には、ロキソプロフェンそのもののほか、ロキソプロフェンの薬学上許容される塩、さらにはロキソプロフェンやその薬学上許容される塩と水やアルコール等との溶媒和物も含まれる。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。本発明において、ロキソプロフェン又はその塩としては、ロキソプロフェンナトリウム水和物(化学名: Monosodium 2-[4-[(2-oxocyclopentyl)methyl]phenyl]propanoate dihydrate)が好ましい。
【0016】
本発明の医薬組成物におけるロキソプロフェン又はその塩の含有量は特に限定されず、所望の消炎鎮痛効果に応じて適宜検討すればよい。本発明においては、ロキソプロフェン又はその塩を医薬組成物全質量に対して、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で0.01~10質量%含有するのが好ましく、0.1~5質量%含有するのがより好ましく、0.5~3質量%含有するのが特に好ましい。
【0017】
<成分(B)>
本発明において、「テルペン類」は特に限定されるものでなく、環式又は鎖式の、モノテルペンやセスキテルペン等が挙げられる。
斯様なテルペン類としては、具体的には例えば、イソボルネオール、イロン、オシメン、カルベオール、カルボタナセトン、カルボメントン、カルボン、カレン、カロン、カンフェン、カンフル、ゲラニオール、サビネン、サフラナール、シクロシトラール、シトラール、シトロネラール、シトロネル酸、シトロネロール、シネオール、シメン、シルベストレン、チモール、イソツジョール、ツジョン、テルピネオール、テルピネン、テルピノレン、トリシクレン、ネロール、ピネン、ピノカンフェオール、ピノール、ピペリテノン、フェランドラール、フェランドレン、フェンチェン、フェンチルアルコール、ペリリルアルコール、ペリリルアルデヒド、ボルネオール、ミルセン、メントール、メントン、ヨノール、ヨノン、リナロール、リモネン等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。なお、これらのテルペン類が光学異性を有する場合、本発明においてはいずれの光学異性体をも含み、単一の光学異性体でもよく、各種光学異性体の混合物でもよい。
これらの中でも、カンフル、ゲラニオール、シトロネラール、テルピネオール、ボルネオール、メントール、リモネン等が好ましく、d-カンフル、dl-カンフル、チモール、ボルネオール、l-メントール、dl-メントールがより好ましく、l-メントール、dl-カンフルが特に好ましい。
【0018】
また、上記テルペン類を医薬組成物に含有せしめる場合、上述のようなテルペン類を含む精油を用いてもよい。
斯様な精油としては、例えば、アニス油、イランイラン油、イリス油、ウイキョウ油、オレンジ油、カナンガ油、カミツレ油、カヤプト油、カラウェー油、クベブ油、グレープフルーツ油、ケイヒ油、コリアンダー油、サフラン油、サンショウ油、シソ油、シトリオドラ油、シトロネラ油、ショウキョウ油、ショウズク油、樟脳油、ジンジャーグラス油、スペアミント油、セイヨウハッカ油、ゼラニウム油、ダイウイキョウ油、チョウジ油、テレビン油、トウヒ油、ネロリ油、バジル油、ハッカ油、パルマローザ油、ピメント油、プチグレン油、ベイ油、ペニローヤル油、ヘノポジ油、ベルガモット油、ボアドローズ油、ホウショウ油、マジョラン油、マンダリン油、メリッサ油、ユーカリ油、ライム油、ラベンダー油、リナロエ油、レモン油、レモングラス油、ローズ油、ローズマリー油、ローマカミツレ油等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、イランイラン油、ウイキョウ油、オレンジ油、カミツレ油、ケイヒ油、シソ油、シトロネラ油、ショウキョウ油、樟脳油、セイヨウハッカ油、ゼラニウム油、チョウジ油、テレビン油、トウヒ油、ネロリ油、ハッカ油、パルマローザ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ラベンダー油、リナロエ油、レモン油、ローズ油、ローズマリー油、ローマカミツレ油等が好ましく、樟脳油、セイヨウハッカ油、テレビン油、ハッカ油、ユーカリ油がより好ましく、ハッカ油が特に好ましい。
【0019】
本発明の医薬組成物におけるテルペン類の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよい。本発明においては、テルペン類を医薬組成物全質量に対して0.01~15質量%含有するのが好ましく、0.1~10質量%含有するのがより好ましく、0.5~7質量%含有するのが特に好ましい。また、上記精油を用いる場合、医薬組成物全質量に対し、精油として、0.1~40質量%含有するのが好ましく、0.5~30質量%含有するのがより好ましく、1~20質量%含有するのが特に好ましい。
【0020】
本発明の医薬組成物に含まれるロキソプロフェン又はその塩とテルペン類の含有比は特に限定されず、適宜検討して決定すればよいが、ロキソプロフェン又はその塩をロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、テルペン類を、0.01~15質量部含有するものが好ましく、0.1~10質量部含有するものがより好ましく、0.5~7質量部含有するものが特に好ましい。また、上記精油を用いる場合、ロキソプロフェン又はその塩をロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、精油を0.1~40質量部含有するものが好ましく、0.5~30質量部含有するものがより好ましく、1~20質量部含有するものが特に好ましい。
【0021】
<成分(C-1)>
本発明において、一般式(1)
【0022】
【化3】
【0023】
[式(1)中、Xは単結合又は酸素原子を示し、Yはメチン基又は窒素原子を示し、R1は水素原子、水酸基又はアルキル基を示し、R2は置換基を有してもよい環状アミノ基、又は置換基を有してもよいアミノアルキル基を示し、R3は水素原子又はハロゲン原子を示す。]
で表される化合物又はその塩には、上記一般式(1)で表される化合物そのもののほか、一般式(1)で表される化合物の薬学上許容される塩も含まれる。一般式(1)で表される化合物又はその塩の具体例としては例えば、一般式(1)で表される化合物、一般式(1)で表される化合物の無機酸塩や有機酸塩(例えば、塩酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、ジフェニルジスルホン酸塩、テオクル酸塩、サリチル酸塩、タンニン酸塩、ベシル酸塩、リン酸塩など)等が挙げられる。また、一般式(1)で表される化合物の化学構造中、不斉炭素が存する場合は、種々の光学異性体を有するが、本発明においては、いずれの光学異性体をも含み、単一の光学異性体でもよく、各種光学異性体の混合物でもよい。さらに、一般式(1)で表される化合物又はその塩は溶媒和物の状態にあってもよく、一般式(1)で表される化合物やその塩と水やアルコール等との溶媒和物も「一般式(1)で表される化合物又はその塩」に含まれる。
【0024】
上記R1において、アルキル基としては、直鎖又は分枝鎖の炭素数1~3のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基が挙げられるが、メチル基が好ましい。
また、上記R1としては、水素原子、メチル基が好ましい。
【0025】
上記R2において、置換基を有してもよい環状アミノ基における「環状アミノ基」とは、環構成原子として窒素原子を少なくとも1個、好適には1又は2個有する5~7員の脂環式基を意味する。
このような環状アミノ基としては、具体的には例えば、ピロリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ホモピペリジニル基、ホモピペラジニル基等が挙げられる。中でも、ピペリジニル基、ピペラジニル基、ホモピペラジニル基が好ましく、ピペリジニル基、ピペラジニル基がより好ましい。
【0026】
また、置換基を有してもよい環状アミノ基における「置換基」としては、例えば、アルキルベンゾイル基、1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン-1-イル基、カルボキシアルコキシ基、カルボキシル基、カルボキシアルキルフェニル基及び水酸基から選ばれる1種以上の基が置換していてもよいアルキル基等が挙げられる。中でも、アルキル基、カルボキシアルコキシアルキル基、カルボキシアルキルフェニル(ヒドロキシ)アルキル基が好ましい。
上記「置換基」の具体例としては、例えば、メチル基、3-(4-tert-ブチルベンゾイル)プロピル基、3-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン-1-イル)プロピル基、2-(カルボキシメトキシ)エチル基、4-[4-(2-カルボキシプロパン-2-イル)フェニル]-4-ヒドロキシブチル基、3-カルボキシプロピル基等が挙げられる。
【0027】
上記R2において、「置換基を有してもよい環状アミノ基」としては、1-メチルピペリジン-4-イル基、4-メチルホモピペラジン-1-イル基、1-[3-(4-tert-ブチルベンゾイル)プロピル]ピペリジン-4-イル基、4-[3-(1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン-1-イル)プロピル]ピペラジン-1-イル基、4-[2-(カルボキシメトキシ)エチル]ピペラジン-1-イル基、1-{4-[4-(2-カルボキシプロパン-2-イル)フェニル]-4-ヒドロキシブチル}ピペリジン-4-イル基、1-(3-カルボキシプロピル)ピペリジン-4-イル基が好ましい。
【0028】
上記R2において、置換基を有してもよいアミノアルキル基における「アミノアルキル基」は、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基又は環状アミノ基(当該「環状アミノ基」は、上記した「置換基を有してもよい環状アミノ基」における「環状アミノ基」と同義である。)が置換したアルキル基を意味する。中でも、ジアルキルアミノ基又は環状アミノ基が置換したアルキル基が好ましい。なお、当該環状アミノ基としては、ピロリジニル基が好ましい。
このようなアミノアルキル基としては、具体的には例えば、2-(ジメチルアミノ)エチル基、2-(ピロリジン-2-イル)エチル基、2-[(イソプロピル)(メチル)アミノ]エチル基等が挙げられる。また、置換基を有してもよいアミノアルキル基における「置換基」としては、例えば、水酸基、フェニル基、アルキル基等が挙げられる。
【0029】
上記R2において、「置換基を有してもよいアミノアルキル基」としては、2-(ジメチルアミノ)エチル基、2-(1-メチルピロリジン-2-イル)エチル基、2-[(メチル)(1-フェニル-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ]エチル基が好ましい。
【0030】
なお、上記R2において、「アルキル基」、「アルキルベンゾイル基」、「カルボキシアルキルフェニル基」、「アミノアルキル基」、「モノアルキルアミノ基」、「ジアルキルアミノ基」におけるアルキル基部分としては、炭素数1~6の直鎖又は分枝鎖のアルキル基が好ましく、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
また、上記R2において、「カルボキシアルコキシ基」におけるアルコキシ基部分としては、炭素数1~6の直鎖又は分枝鎖のアルコキシ基が好ましく、具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0031】
上記R3において、「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、本発明においては、塩素原子が好ましい。また、一般式(1)においてR3のフェニル基上の置換位置は特に限定されないが、4位に置換するのが好ましい。
【0032】
本発明において、一般式(1)で表される化合物又はその塩としては、具体的には例えば、エバスチン又はその塩;オキサトミド又はその塩;カルビノキサミンジフェニルジスルホン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩等のカルビノキサミン又はその塩;クレマスチンフマル酸塩等のクレマスチン又はその塩;d-クロルフェニラミンマレイン酸塩、dl-クロルフェニラミンマレイン酸塩等のクロルフェニラミン又はその塩;ジフェテロール塩酸塩、ジフェテロールリン酸塩等のジフェテロール又はその塩;ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩等のジフェニルピラリン又はその塩;ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、ジフェンヒドラミンタンニン酸塩等のジフェンヒドラミン又はその塩;セチリジン塩酸塩等のセチリジン又はその塩;フェキソフェナジン又はその塩;ベポタスチンベシル酸塩等のベポタスチン又はその塩;ホモクロルシクリジン塩酸塩等のホモクロルシクリジン又はその塩等が挙げられる。なお、これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記一般式(1)で表される化合物及びその塩、特に上記した化合物及びその塩は公知であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
【0033】
本発明の医薬組成物における一般式(1)で表される化合物又はその塩の合計含有量は特に限定されず、相互作用抑制の観点から適宜検討して決定すればよい。本発明においては、相互作用抑制作用の観点から、一般式(1)で表される化合物又はその塩を医薬組成物全質量に対して0.01~10質量%含有するのが好ましく、0.05~5質量%含有するのがより好ましく、0.1~3質量%含有するのが特に好ましい。
【0034】
本発明の医薬組成物に含まれるロキソプロフェン又はその塩、及び一般式(1)で表される化合物又はその塩の含有比は特に限定されず、相互作用抑制の観点から適宜検討して決定すればよいが、相互作用抑制作用の観点から、ロキソプロフェン又はその塩をロキソプロフェン無水物換算で1質量部に対し、一般式(1)で表される化合物又はその塩を合計で0.01~10質量部含有するものが好ましく、0.05~5質量部含有するものがより好ましく、0.1~3質量部含有するものが特に好ましい。
【0035】
本発明においては、一般式(1)で表される化合物又はその塩として、「クロルフェニラミン又はその塩」又は「ジフェンヒドラミン又はその塩」を用いるのが好ましく、「クロルフェニラミン又はその塩」が特に好ましい。
【0036】
本発明において、「クロルフェニラミン又はその塩」には、クロルフェニラミンそのもののほか、クロルフェニラミンの薬学上許容される塩も含まれる。なお、クロルフェニラミンは、下記式
【0037】
【化4】
【0038】
で表される化合物である。
クロルフェニラミンには不斉炭素が存するため、光学異性体を有するが、本発明においては、いずれの光学異性体をも含み、単一の光学異性体でもよく、各種光学異性体の混合物でもよい。これらのうち、本発明においては、d-体、dl-体が好ましい。当該クロルフェニラミン又はその塩の具体例としては例えば、クロルフェニラミン、クロルフェニラミンマレイン酸塩、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩、dl-クロルフェニラミンマレイン酸塩等が挙げられる。本発明においては、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩、dl-クロルフェニラミンマレイン酸塩が好ましく、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩が特に好ましい。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
【0039】
本発明の医薬組成物におけるクロルフェニラミン又はその塩の含有量は特に限定されず、相互作用抑制の観点から適宜検討して決定すればよい。本発明においては、相互作用抑制作用の観点から、クロルフェニラミン又はその塩を医薬組成物全質量に対して0.01~5質量%含有するのが好ましく、0.05~3質量%含有するのがより好ましく、0.1~2質量%含有するのが特に好ましい。
【0040】
本発明の医薬組成物に含まれるロキソプロフェン又はその塩、及びクロルフェニラミン又はその塩の含有比は特に限定されず、相互作用抑制の観点から適宜検討して決定すればよいが、相互作用抑制作用の観点から、ロキソプロフェン又はその塩をロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、クロルフェニラミン又はその塩を0.01~5質量部含有するものが好ましく、0.05~3質量部含有するものがより好ましく、0.1~2質量部含有するものが特に好ましい。
【0041】
本発明において、「ジフェンヒドラミン又はその塩」には、ジフェンヒドラミンそのもののほか、ジフェンヒドラミンの薬学上許容される塩も含まれる。なお、ジフェンヒドラミンは、下記式
【0042】
【化5】
【0043】
で表される化合物である。当該ジフェンヒドラミン又はその塩の具体例としては例えば、ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、ジフェンヒドラミンタンニン酸塩等が挙げられる。本発明においては、ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩が好ましく、ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩がより好ましい。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
【0044】
本発明の医薬組成物におけるジフェンヒドラミン又はその塩の含有量は特に限定されず、相互作用抑制の観点から適宜検討して決定すればよい。本発明においては、相互作用抑制作用の観点から、ジフェンヒドラミン又はその塩を医薬組成物全質量に対して0.05~10質量%含有するのが好ましく、0.1~5質量%含有するのがより好ましく、0.3~3質量%含有するのが特に好ましい。
【0045】
本発明の医薬組成物に含まれるロキソプロフェン又はその塩、及びジフェンヒドラミン又はその塩の含有比は特に限定されず、相互作用抑制の観点から適宜検討して決定すればよいが、相互作用抑制作用の観点から、ロキソプロフェン又はその塩をロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、ジフェンヒドラミン又はその塩を0.05~10質量部含有するものが好ましく、0.1~5質量部含有するものがより好ましく、0.3~3質量部含有するものが特に好ましい。
【0046】
<成分(C-2)>
本発明において、「多価アルコール」とは、同一分子内に水酸基を2個以上有するアルコールを意味し、具体的には例えば、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、ジプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、マクロゴール等が挙げられる。多価アルコールとしては、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、ジプロピレングリコール、ポリビニルアルコールが好ましい。
【0047】
本発明の医薬組成物における多価アルコールの合計含有量は特に限定されず、相互作用の抑制の観点から適宜検討して決定すればよい。本発明においては、相互作用抑制作用の観点から、多価アルコールを医薬組成物全質量に対して5~80質量%含有するのが好ましく、10~70質量%含有するのがより好ましく、20~60質量%含有するのが特に好ましい。
【0048】
本発明の医薬組成物に含まれるロキソプロフェン又はその塩、及び多価アルコールの含有比は特に限定されず、相互作用の抑制の観点から適宜検討して決定すればよいが、相互作用抑制作用の観点から、ロキソプロフェン又はその塩をロキソプロフェン無水物換算で1質量部に対し、多価アルコールを合計で0.1~80質量部含有するものが好ましく、0.5~70質量部含有するものがより好ましく、1~60質量部含有するものが特に好ましい。
【0049】
本発明において、多価アルコールとしては、ポリビニルアルコールが好ましい。「ポリビニルアルコール」は、ポリ酢酸ビニルをけん化して得られる重合物であり、公知の方法で製造することができ、また、市販品を用いることもできる。ポリビニルアルコールの原料となる酢酸ビニルの重合度は適宜調整することができ、また、けん化度も適宜調整することができる。
【0050】
酢酸ビニルの重合度及びけん化度は、特に限定されるものではなく、適宜検討して決定すればよい。重合度としては、200~3500程度が好ましく、300~2200程度が特に好ましい。また、けん化度としては、65mоl%以上が好ましく、78mоl%以上がより好ましい。中でも、けん化度が78~96mоl%のもの(ポリビニルアルコール(部分けん化物)と称される。)及び97mоl%以上のもの(ポリビニルアルコール(完全けん化物)と称される。)が更に好ましく、78~96mоl%のものが特に好ましい。
【0051】
本発明の医薬組成物におけるポリビニルアルコールの含有量は特に限定されず、相互作用の抑制の観点から適宜検討して決定すればよい。本発明においては、相互作用抑制作用の観点から、ポリビニルアルコールを医薬組成物全質量に対して0.05~10質量%含有するのが好ましく、0.1~7質量%含有するのがより好ましく、0.2~5質量%含有するのが特に好ましい。
【0052】
本発明の医薬組成物に含まれるロキソプロフェン又はその塩、及びポリビニルアルコールの含有比は特に限定されず、相互作用の抑制の観点から適宜検討して決定すればよいが、相互作用抑制作用の観点から、ロキソプロフェン又はその塩をロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、ポリビニルアルコールを0.05~10質量部含有するものが好ましく、0.1~7質量部含有するものがより好ましく、0.2~5質量部含有するものが特に好ましい。
【0053】
本発明の医薬組成物は、例えば、第十六改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の方法により製造することができる。また、剤形は、特に限定されるものではなく、固形状、半固形状、液状のいずれの形状であってもよく、その利用目的等に応じて医薬品において通常利用される形状とすることができる。具体的には例えば、経口投与する製剤(錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、経口液剤、シロップ剤、経口ゼリー剤等)、膣に適用する製剤(膣錠、膣用坐剤等)、皮膚等に適用する製剤(外用固形剤、外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤等)などの、第十六改正日本薬局方 製剤総則に記載の剤形とすることができる。
本発明においては、半固形状又は液状の製剤であるのが好ましく、特に、経口液剤、シロップ剤、外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤及び貼付剤から選ばれる剤形であるのが好ましく、リニメント剤、ローション剤、外用エアゾール剤、ポンプスプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、テープ剤及びパップ剤から選ばれる剤形であるのが特に好ましい。
【0054】
また、別の観点から、本発明の医薬組成物は、半固形又は液状の組成物であるのが好ましく、含水組成物(より詳細には、組成物中に水を1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10~80質量%含有する組成物)であるのがより好ましい。後記実施例に具体的に開示の通り、相互作用抑制成分が、溶液中におけるロキソプロフェン又はその塩とテルペン類との間の相互作用を抑制することが確認されている。
【0055】
本発明の医薬組成物の服用経路としては、経口及び経皮、経膣等の非経口が挙げられ、本発明においては、非経口が好ましく、経皮投与が特に好ましい。
【0056】
本発明の医薬組成物には、医薬成分として、ロキソプロフェン又はその塩、テルペン類、及び相互作用抑制成分以外の薬物、例えば、鎮痛成分、抗炎症成分、抗ヒスタミン成分、殺菌成分、収れん・保護成分、血行促進成分、温感成分、局所麻酔成分、鎮咳剤、ノスカピン類、気管支拡張剤、去痰剤、催眠鎮静剤、ビタミン類、胃粘膜保護剤、制酸剤、抗コリン剤、生薬類、漢方処方等からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含んでいてもよい。
【0057】
鎮痛成分としては、例えば、アスピリン、アスピリンアルミニウム、アセトアミノフェン、イソプロピルアンチピリン、イブプロフェン、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、サリチル酸、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸グリコール、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸メチル、チアラミド塩酸塩、ラクチルフェネチジン等が挙げられる。
抗炎症成分としては、例えば、グアイアズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸及びその誘導体並びにそれらの塩類(例えば、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等)、グリチルレチン酸、セアプローゼ、セミアルカリプロティナーゼ、セラペプターゼ、プロクターゼ、プロナーゼ、ブロメライン等が挙げられる。
【0058】
抗ヒスタミン成分としては、例えば、アゼラスチン塩酸塩、アリメマジン酒石酸塩、イソチペンジル塩酸塩、イプロヘプチン塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、エメダスチンフマル酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、トリプロリジン塩酸塩、トリペレナミン塩酸塩、トンジルアミン塩酸塩、フェネタジン塩酸塩、プロメタジン塩酸塩、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、メキタジン、メトジラジン塩酸塩、メブヒドロリンナパジシル酸塩等が挙げられる。
【0059】
殺菌成分としては、例えば、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。収れん・保護成分としては、例えば、酸化亜鉛等が挙げられる。血行促進成分としては、酢酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ヘパリン類似物質、ポリエチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。温感成分としては、例えば、ノナン酸バニリルアミド、カプサイシン、トウガラシ等が挙げられる。局所麻酔成分としては、例えば、リドカイン、チョウジ油、ベラドンナエキス等が挙げられる。
【0060】
鎮咳剤としては、例えば、アロクラミド塩酸塩、エプラジノン塩酸塩、カルベタペンタンクエン酸塩、クロペラスチン塩酸塩、クロペラスチンフェンジゾ酸塩、ジブナートナトリウム、ジメモルファンリン酸塩、チペピジンクエン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩等が挙げられる。
【0061】
ノスカピン類としては、例えば、ノスカピン塩酸塩、ノスカピン等が挙げられる。
気管支拡張剤としては、例えば、トリメトキノール塩酸塩、フェニレフリン塩酸塩、メトキシフェナミン塩酸塩等が挙げられる。
【0062】
去痰剤としては、例えば、アンモニア・ウイキョウ精、塩化アンモニウム等が挙げられる。
【0063】
催眠鎮静剤としては、アリルイソプロピルアセチル尿素やブロムワレリル尿素等が挙げられる。
ビタミン類としては、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類等(例えば、チアミン、チアミン塩化物塩酸塩、チアミン硝化物、ジセチアミン塩酸塩、セトチアミン塩酸塩、フルスルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩、オクトチアミン、シコチアミン、チアミンジスルフィド、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステル、リボフラビン酪酸エステル、リン酸リボフラビンナトリウム、パンテノール、パンテチン、パントテン酸ナトリウム、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキサールリン酸エステル、シアノコバラミン、メコバラミン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、ヘスペリジン等)が挙げられる。
【0064】
胃粘膜保護剤としては、ゲファルナート、セトラキサート塩酸塩、ソファルコン、テプレノン、メチルメチオニンスルホニウムクロリド等が挙げられる。
制酸剤としては、アミノ酢酸、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、乾燥水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、沈降炭酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、烏賊骨、石決明、ボレイ等が挙げられる。
【0065】
抗コリン薬としては、オキシフェンサイクリミン塩酸塩、ジサイクロミン塩酸塩、メチキセン塩酸塩、チペピジウム臭化物、メチルベナクチジウム臭化物、ピレンゼピン塩酸塩、ヨウ化イソプロパミド、ヨウ化ジフェニルピペリジノメチルジオキソラン等が挙げられる。
【0066】
生薬類としては、アカメガシワ(赤芽柏)、アセンヤク(阿仙薬)、アルニカ、インヨウカク(淫羊霍)、ウイキョウ(茴香)、ウコン(鬱金)、エンゴサク(延胡索)、オウゴン(黄岑)、オウセイ(黄精)、オウバク(黄柏)、オウヒ(桜皮)、オウレン(黄連)、オンジ(遠志)、ガジュツ(我朮)、カノコソウ(鹿子草)、カミツレ、カロニン(か楼仁)、キキョウ(桔梗)、キョウニン(杏仁)、クコシ(枸杞子)、クコヨウ(枸杞葉)、ケイガイ(荊芥)、ケイヒ(桂皮)、ケツメイシ(決明子)、ゲンチアナ、ゲンノショウコ(現証拠)、コウカ(紅花)、コウブシ(香附子)、ゴオウ(牛黄)、ゴミシ(五味子)、サイシン(細辛)、サンシシ(山梔子)、サンショウ(山椒)、シオン(紫苑)、ジコッピ(地骨皮)、シコン(紫根)、シャクヤク(芍薬)、ジャコウ(麝香)、シャジン(沙参)、シャゼンシ(車前子)、シャゼンソウ(車前草)、獣胆(ユウタン(熊胆)を含む)、ショウキョウ(生姜)、ジリュウ(地竜)、シンイ(辛夷)、セイヨウトチノキ、セキサン(石蒜)、セネガ、センキュウ(川きゅう)、ゼンコ(前胡)、センブリ(千振)、ソウジュツ(蒼朮)、ソウハクヒ(桑白皮)、ソヨウ(蘇葉)、タイサン(大蒜)、チクセツニンジン(竹節人参)、チンピ(陳皮)、トウキ(当帰)、トコン(吐根)、ナンテンジツ(南天実)、ニンジン(人参)、バイモ(貝母)、バクモンドウ(麦門冬)、ハンゲ(半夏)、バンコウカ(番紅花)、ハンピ(反鼻)、ビャクシ(白し)、ビャクジュツ(白朮)、ブクリョウ(茯苓)、ボタンピ(牡丹皮)、ヨウバイヒ(楊梅皮)、ロクジョウ(鹿茸)等の生薬及びこれらの抽出物(エキス、チンキ、乾燥エキス等)等が挙げられる。
【0067】
漢方処方としては、ケイシトウ(桂枝湯)、コウソサン(香蘇散)、サイコケイシトウ(柴胡桂枝湯)、ショウサイコトウ(小柴胡湯)、バクモンドウトウ(麦門冬湯)、ハンゲコウボクトウ(半夏厚朴湯)等が挙げられる。
【0068】
本発明の医薬組成物は、NSAIDの一種であるロキソプロフェン又はその塩を含有することから、医療用医薬品やOTC医薬品として用いることができ、具体的には例えば、変形性関節症、筋肉痛及び外傷後の腫脹・疼痛から選ばれる疾患並びに症状の消炎・鎮痛等の効能又は効果を有し、鎮痛・抗炎症剤等として有用である。
【実施例0069】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
[試験例1]ロキソプロフェンナトリウム水和物とl-メントールの相互作用の検討 その1
ブリトン-ロビンソン広域緩衝液(Buritton Robinson's Buffer)(pH7.0)と無水エタノールを等量混合して得た混液に、表1記載の各成分を同表記載の濃度(w/w%)となるよう溶解せしめた後、希塩酸又は10%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH8.0に調整して、各サンプル溶液を調製した。得られた各サンプル溶液は、それぞれ10mlずつ、ガラス瓶(10K規格瓶)に充填した。
相互作用の有無は、得られた各サンプル溶液の調製直後(調製の1時間後)の外観を目視により評価することで判定した。なお、外観が澄明であったものを○、不溶物の生成が認められたものを×とした。
結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
表1記載の試験結果から明らかな通り、ロキソプロフェンナトリウム水和物、l-メントールそれぞれ単独で含有するサンプル溶液(参考例1及び2)は澄明な外観を呈したにも拘わらず、ロキソプロフェンナトリウム水和物とl-メントールを共に含有するサンプル溶液(比較例1)では不溶物の生成が認められ、両成分の間に相互作用が確認された。
一方、ロキソプロフェンナトリウム水和物、l-メントールに、さらにクロルフェニラミンマレイン酸塩を含有する実施例1のサンプル溶液においては、参考例1、2と同様、澄明な外観を呈することが明らかとなった。なお、実施例1のサンプル溶液を25℃で1週間保存した後も、澄明な外観を維持していた。
以上の試験結果から、クロルフェニラミン又はその塩を包含する上記一般式(1)で表される化合物又はその塩が、ロキソプロフェン又はその塩とテルペン類との相互作用を抑制する作用を有することが明らかとなった。
【0072】
[試験例2]ロキソプロフェンナトリウム水和物とl-メントールの相互作用の検討 その2
マレイン酸クロルフェニラミンをポリビニルアルコール(部分けん化物:商品名 ゴーセノールEG-05(日本合成化学工業製))に変更したほかは試験例1と同様の方法により、相互作用を検討した。結果を表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
表2記載の試験結果から明らかな通り、ポリビニルアルコールを含有する実施例2のサンプル溶液も、上記実施例1のサンプル溶液と同様、澄明な外観を呈することが明らかとなった。なお、実施例2のサンプル溶液を25℃で1週間保存した後も、澄明な外観を維持していた。
以上の試験結果から、多価アルコールは、ロキソプロフェン又はその塩とテルペン類との相互作用を抑制する作用を有することが明らかとなった。
【0075】
製造例1(ゲル剤)
常法により、100mg中に以下の成分を含有するゲル剤を製造した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 1.13mg
l-メントール 3mg
クロルフェニラミンマレイン酸塩 0.1mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 1mg
カルボキシビニルポリマー 1.2mg
1,3-ブチレングリコール 5mg
トリエタノールアミン 1.5mg
エタノール 20mg
精製水 全量100mg
【0076】
製造例2(テープ剤)
常法により、100mg中に以下の成分を含有するテープ剤(プラスター剤)を製造した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 1.13mg
l-メントール 6mg
クロルフェニラミンマレイン酸塩 0.1mg
SIS共重合体 20mg
ポリイソブチレン 7.5mg
水素添加ロジングリセリンエステル 25mg
流動パラフィン 36.77mg
ジブチルヒドロキシトルエン 0.5mg
リン酸 1mg
クロタミトン 2mg
精製水 全量100mg
【0077】
製造例3(ゲル剤)
常法により、100mg中に以下の成分を含有するゲル剤(ゲルクリーム剤)を製造した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 1.13mg
l-メントール 2mg
ポリビニルアルコール 0.2mg
サリチル酸グリコールエステル 2mg
カルボキシビニルポリマー 1mg
グリセリン 10mg
オクチルドデカノール 10mg
モノステアリン酸グリセリン 0.5mg
ステアリン酸ポリオキシル 0.5mg
ミリスチン酸イソプロピル 5mg
ラウロマクロゴール 1.5mg
トリエタノールアミン 1mg
精製水 全量100mg
【0078】
製造例4(パップ剤)
常法により、100mg中に以下の成分を含有するパップ剤を製造した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 1.13mg
l-メントール 3mg
ポリビニルアルコール 0.8mg
ポリアクリル酸部分中和物 7mg
カルメロースナトリウム 5mg
クロタミトン 2mg
濃グリセリン 25mg
ポリソルベート80 0.3mg
水酸化アルミニウムゲル 0.05mg
酸化チタン 1mg
タルク 2mg
酒石酸 0.6mg
エデト酸ナトリウム水和物 0.1mg
カオリン 2.5mg
亜硫酸水素ナトリウム 0.3mg
精製水 全量100mg
【0079】
製造例5(ローション剤)
常法により、100mg中に以下の成分を含有するローション剤を製造した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 1.13mg
ハッカ油 6mg
ノナン酸バニリルアミド 0.1mg
クロルフェニラミンマレイン酸塩 0.5mg
アジピン酸ジイソプロピル 5mg
イソプロパノール 40mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.1mg
ポリエチレングリコール 1mg
亜硫酸水素ナトリウム 0.2mg
精製水 全量100mg
【0080】
製造例6(テープ剤)
常法により、100mg中に以下の成分を含有するテープ剤(プラスター剤)を製造した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 1.13mg
l-メントール 1mg
ノナン酸バニリルアミド 0.12mg
クロルフェニラミンマレイン酸塩 0.5mg
SIS共重合体 20mg
ポリイソブチレン 7.5mg
水素添加ロジングリセリンエステル 25mg
流動パラフィン 42.25mg
ジブチルヒドロキシトルエン 0.5mg
リン酸 1mg
クロタミトン 2mg
精製水 全量100mg
【0081】
製造例7(クリーム剤)
常法により、100mg中に以下の成分を含有するクリーム剤を製造した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 1.13mg
dl-カンフル 4mg
ノナン酸バニリルアミド 0.12mg
ポリビニルアルコール 0.2mg
カルボキシビニルポリマー 0.8mg
エデト酸ナトリウム水溶液 1mg
亜硫酸水素ナトリウム 0.1mg
ミリスチン酸オクチルドデシル 10mg
アジピン酸ジイソプロピル 5mg
モノステアリン酸グリセリン 2mg
モノステアリン酸ソルビタン 0.5mg
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1mg
パラベン 0.2mg
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 0.1mg
水酸化ナトリウム 0.1mg
精製水 全量100mg
【0082】
製造例8(パップ剤)
常法により、100mg中に以下の成分を含有するパップ剤を製造した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 1.13mg
l-メントール 3mg
ノナン酸バニリルアミド 0.1mg
ポリビニルアルコール 1mg
ポリアクリル酸部分中和物 7mg
カルメロースナトリウム 5mg
クロタミトン 2mg
濃グリセリン 25mg
ポリソルベート80 0.3mg
水酸化アルミニウムゲル 0.05mg
酸化チタン 1mg
タルク 2mg
酒石酸 0.6mg
エデト酸ナトリウム水和物 0.1mg
カオリン 2.5mg
亜硫酸水素ナトリウム 0.3mg
精製水 全量100mg
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明によれば、ロキソプロフェン又はその塩とテルペン類との相互作用を抑制できる。従って、保存安定性が優れた、ロキソプロフェン又はその塩、及びテルペン類を含む医薬組成物を提供することができる。本発明の医薬組成物は、NSAIDの一種であるロキソプロフェンを含有することから、例えば、変形性関節症、筋肉痛及び外傷後の腫脹・疼痛から選ばれる疾患並びに症状の消炎・鎮痛等に有効な医薬組成物として好適に利用できる。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ロキソプロフェン又はその塩
(B)メントール
(C)マクロゴール
を含有する、半固形状又は液状の含水医薬組成物(但し、貼付剤を除く)。
【請求項2】
剤形が、リニメント剤、ローション剤、外用エアゾール剤、軟膏剤、クリーム剤又はゲル剤である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
剤形がローション剤である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
クロタミトンを含まないものである、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物。