(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002850
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】歩車道境界ブロックによるセミフラット街渠
(51)【国際特許分類】
E01C 11/22 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
E01C11/22 B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022112056
(22)【出願日】2022-06-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】503234115
【氏名又は名称】大嶋 正剛
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 正剛
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AB03
2D051AC05
2D051AC06
2D051AF03
(57)【要約】
【課題】 段差のある歩車道境界において歩道と自転車通行帯の環境に適したセミフラット街渠を形成する。
【解決手段】 越流縁石と車止縁石とが交互する縁石部で一定長さに成型した歩車道境界ブロックを連続布設し、歩道と自転車通行帯に適したセミフラット街渠を設ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車通行帯とそれより高い段差のある歩道との境界を区分する歩車道境界ブロックのセミフラット街渠であって、
越流縁石と車止縁石とが交互する縁石部で一定長さに成型した歩車道境界ブロックを連続して用い、歩道面と一致する高さの前記越流縁石上面にて布設するセミフラット街渠において、
前記越流縁石は自転車乗入可能幅で前記車止縁石の連立間隔ごとに自転車通行帯に沿って連続状態で配置されてなり、
前記越流縁石が連続状態で歩道からの雨水流出水を滞留することなく、エプロンへ傾斜排水することと併せ、走行自転車のみ歩道へ徐行乗入を街渠沿いに自由とする。
起立する前記車止縁石は台形断面によって座りがよく、とりわけ基部が越流縁石として両端に一体延在し、安定を高め、
加えて、前記歩車道境界ブロック自体がスリム化によってセメント由来のCO2排出量が低減することを特徴とする歩車道境界ブロックによるセミフラット街渠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の車道側帯と段差のある歩道との境界に設置する歩車道境界ブロックによるセミフラットL形街渠に関する。
【背景技術】
【0002】
プレキャストコンクリート街渠用歩車道境界ブロックは台形断面によって座りがよく現場打コンクリートエプロン側面、又は自転車通行帯、車道アスファルトの舗装止とし、一方の縁石側面を歩道止として、一般にエプロン幅50cmがL形状通水断面となる雨水排水施設を形成し、車道と歩道面の雨水を道路縦断勾配に沿って集水桝へ排水する。
【0003】
歩道はおおむね1%の横断勾配で縁石に接し、かまぼこ状断面の車道は路肩がおおむね2%の横断勾配でL形排水部と接し、エプロンが幅50cm6%傾斜面の通水断面となっている。
近時、車道の側帯を自転車通行帯とする道路構造令が施行され、加えて国が示す「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」では、エプロン部横断勾配をも2%に規定して車道からの急変緩和とともに全体をアスファルト舗装とすることが求められる。
【0004】
そして、従来の歩道幅1m~1.5mから、現在では広い歩道の都市計画道路になってきて、例えば幅員12m(車道7m歩道各2.5m)や、対面2車線幅員18m(車道9m歩道各4.5m)など道路空間における利活用の多様化を目指し、歩行者中心に再構築するとして、
広い歩道と自転車通行帯等の柔軟な使い方を推進すべきとの流れとなっている。
【0005】
加えて、国が目指す脱炭素社会では、プレキャストコンクリート製品においても、原材料が製品工程で大量のCO2を排出するセメントであり、さらに蒸気養生や製品運搬を通じてCO2を排出していて、いわば化石燃料の利用の上に成り立っているので、現場打や従来製品と比較してスリム化が図られ、CO2排出量低減の取組みが不可欠とされる。
【先行技術文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3060219号公報
【特許文献2】特開平9-137498号公報
【特許文献3】特開2002-61105号公報
【特許文献4】特開2003-253611号公報
【特許文献5】特開2014-66057号公報
【特許文献6】特開2017-31780号公報
【特許文献7】特開2019-100166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、歩道のバリアフリー化において、国が示す「道路の移動円滑化整備ガイドライン」で、車道からの歩道面の高さを標準5cmと定めてあり、
エプロン渠底とそれより高い歩道面との5cm段差境界のセミフラット街渠においては、起立した横長な縁石が車止構造として歩道面からさらに10cm~20cm高く設置されるので、
歩道面の雨水排水を連続する起立境界縁石が遮るため、水抜きに設けた穴明開口からのみエプロンに排出しており、
道路空間の利活用においては、長時間の雨水滞留による支障も生じ、広い歩道幅員による雨水流出量に対し水はけが十分でなく、
また、連続する歩車道境界縁石に沿って路肩通行帯を走行する自転車が、前方に駐停車中の車両を避けて隣の車道車線に入らざるを得ない場合が生じる危険性も常に伴っているので、歩道面への一時回避による安全向上の必要も課題とされている。
【0008】
エプロン部傾斜面が6%から2%に平坦化した場合の排水断面減少によるセミフラット街渠の排水能力低下分に対しては、道路縦断勾配沿いの集水ます設置間隔短縮等で吸収して補うが、
その上で、道路空間の利活用等においては、歩道面からの雨水流出に対し、水はけが速く、長時間の滞留が生じないこととされる。
【0009】
大雨時の水たまりや歩行者への水はね抑制のため、穴明開口箇所を増やすか開口面積、幅の拡大は、歩車道境界縁石の障壁構造を維持することが条件であり、歩車道境界ブロック自体のスリム化、CO2低減にはつながらなく、別の対策が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため本発明の歩車道境界ブロックは、一般の街渠と同じくエプロン斜面6%や自転車通行帯に合わせる2%とする場合等も含めて、縁石高を歩道面に一致する低い自転車乗り入れも可能の排水越流縁石と、それより高い歩車道境界車止縁石とが、交互にエプロン面から立上る縁石構造とする。
【0011】
自転車通行帯においては、L形排水部エプロン幅50cmをアスファルト舗装部分に代替した場合においても、掃流性をもつL形街渠断面の通水能力が維持される
その上で、
自転車通行帯とそれより高い歩道面との段差境界の歩車道境界ブロックを縁石とする街渠において、
連続する縁石部が歩道面と一致する低い越流縁石と起立する高い車止縁石が、おおむね各1m交互に設置されて、歩道面の雨水が道路沿い連続状態でL形排水部エプロンに越流排水できるとともに、走行中の自転車のみが歩道面へのずい時徐行乗り入れ可能となる。
【0012】
縁石部を歩道面と一致する低い越流縁石と、それより高い起立する車止縁石とが交互することにより、歩車道境界ブロック自体がスリム化する。
起立する車止縁石は基部が越流縁石として両端に一体延在し、安定を高める構造とする。
【発明の効果】
【0013】
越流縁石と車止縁石が交互し、連続するL形街渠によって、車止縁石は通行車両が乗り入れできない高さに形成され、越流縁石が広い歩道面の雨水をエプロンへ排水するための十分な落下帯となり、さらに自転車のみ徐行乗り入れにも適し、歩車道空間の利活用に資すものとなる。
【0014】
車止縁石が越流縁石と交互に連続する歩車道境界沿い自転車通行帯においては、断続する歩車道境界ラインが自転車歩行者の視線に入り、アクセントにもなり、さらに、自転車走通中に前方に駐停車中の車両を避けて、危険回避のため、一時的に歩道内に徐行進入する場合も安全性が確保でき、安全で快適な自転車通行帯を創出するものとなる。
【0015】
越流縁石部と車止縁石部が交互する歩車道境界ブロックで連続する縁石が形成されることによって、安全性を確保しながら実質的に縁石起立部分の延長を半減するため、コンクリートの使用量とともにセメント由来のCO2を削減し、脱炭素にも貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】 歩車道境界ブロックの実施例を示す斜面図である。
【
図2】
図1に示す歩車道境界ブロックにより自転車通行帯沿いセミフラット街渠を形成した実施例を示す切欠斜面図である。
【
図4】 通常の長尺2mを分割し、長さ1mとする歩車道境界ブロックで、越流縁石のみ、又は車止縁石のみの2種類を示す斜面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
一般に歩車道境界ブロックは、段差5cmのセミフラット境界におおむね現場打コンクリートでエプロン幅50cm、渠底に向かって6%の傾斜、内高3cmの三角形通水とするほかエプロン幅50cmを10cm、渠底に向かって2%傾斜、内高2cmの自転車通行帯を兼ねる三角形通水とするアスファルト舗装に代替して街渠エプロン面渠底を形成する。
セミフラット街渠断面縁石部は、歩道面と一致する段差5cmの越流縁石と、それより高い車止縁石を歩道面より10cmから20cmの高さに設置する。
長さは1m、2m等とするプレキャストコンクリートで供給され、道路縦断勾配に沿い、基礎上に固定勾配で布設する。
【実施例0018】
図1に縁石部(3)を形成する長尺2mの歩車道境界ブロック(1)の実施例を示す。
縁石部は両端各0.5mの越流縁石(3A)と中央1mの車止縁石(3B)が一体となっている。
【0019】
図2は
図1に示す歩車道境界ブロック(1)により自転車通行帯(5)沿いセミフラット街渠(10)とした実施例であり、傾斜面(4)付き越流縁石(3A)と車止縁石(3B)が1m交互に連続する縁石部(3)が形成される。
越流縁石(3A)が連続状態で歩道(15)からの雨水流出水を滞留なくエプロン(2)へ傾斜排水することと併せ、自転車の歩道への徐行乗入れも街渠(10)沿いに自由となる。
走行中の自転車の乗入れ幅は車止縁石(3B)(3B)間毎交互に連続しているので自転車通行帯に沿い自由となる反面、四輪自動車等は進入不可能である。
なお車止縁石(3B)の越流縁石(3A)寄り端面角部に丸味と面取を施してある。
【0020】
図3は
図2のA~A線にそった断面図に示すとおりエプロン(2)は渠底(25)の舗装止め(7)からの通水幅で車道上面舗装(9)と連続し、自転車通行帯(5)に最適の横断勾配とアスファルト舗装面に形成される。
【0021】
図4は、通常の長尺2mを分割し、長さ1mとする越流縁石(3A)のみ、および車止縁石(3B)のみの2種類が各単品で供給される歩車道境界ブロック(1)を示す。
セミフラット街渠曲線部等において交互に連続して縁石部(3)を形成するものである。
一般に歩車道境界ブロックは、段差5cmのセミフラット境界におおむね現場打コンクリートでエプロン幅50cm、渠底に向かって6%の傾斜、内高3cmの三角形通水とするほかエプロン幅50cmを100cm、渠底に向かって2%傾斜、内高2cmの自転車通行帯を兼ねる三角形通水とするアスファルト舗装に代替して街渠エプロン面渠底を形成する。
セミフラット街渠断面縁石部は、歩道面と一致する段差5cmの越流縁石と、それより高い車止縁石を歩道面より10cmから20cmの高さに設置する。
長さは1m、2m等とするプレキャストコンクリートで供給され、道路縦断勾配に沿い、基礎上に固定勾配で布設する。