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  • 特開-インクジェットプリンタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028534
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240226BHJP
【FI】
B41J2/01 129
B41J2/01 307
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024006294
(22)【出願日】2024-01-18
(62)【分割の表示】P 2020024737の分割
【原出願日】2020-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 大希
(57)【要約】
【課題】迷光によるインクの目詰まりを抑制できるインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】インクジェットプリンタは、紫外線硬化型のインクを記録媒体に吐出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドが記録媒体に対して相対移動する主走査方向において、インクジェットヘッドに隣接して設けられ、インクに紫外線を照射する紫外線照射器と、紫外線照射器を制御する制御部と、を備え、紫外線照射器は、主走査方向においてインクジェットヘッド側に設けられる内側照明領域と、主走査方向において内側照明領域を挟んで、インクジェットヘッドの反対側に設けられる外側照明領域と、を含み、制御部は、内側照明領域の照度を外側照明領域の照度より低下させて点灯する内側低下照射モードと、内側照明領域と外側照明領域とを同じ照度で点灯する内外同一照射モードとを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線硬化型のインクを記録媒体に吐出するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドが前記記録媒体に対して相対移動する主走査方向において、前記インクジェットヘッドに隣接して設けられ、前記インクに紫外線を照射する紫外線照射器と、
前記紫外線照射器を制御する制御部と、を備え、
前記紫外線照射器は、
前記主走査方向において前記インクジェットヘッド側に設けられる内側照明領域と、
前記主走査方向において前記内側照明領域を挟んで、前記インクジェットヘッドの反対側に設けられる外側照明領域と、を含み、
前記制御部は、
前記内側照明領域の照度を前記外側照明領域の照度より低下させて点灯する内側低下照射モードと、前記内側照明領域と前記外側照明領域とを同じ照度で点灯する内外同一照射モードとを有することを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記制御部は、
前記記録媒体と前記インクジェットヘッドとの隙間であるヘッドギャップを調整するギャップ制御部を有し、
前記ヘッドギャップがしきい値以上であるときに、前記内側低下照射モードを実行し、
前記ヘッドギャップがしきい値よりも小さいときに、前記内外同一照射モードを実行する請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記記録媒体は、反射率が異なる複数種のものが用意され、
前記制御部は、
前記記録媒体の反射率がしきい値以上であるときに、前記内側低下照射モードを実行し、
前記記録媒体の反射率がしきい値よりも小さいときに、前記内外同一照射モードを実行する請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記制御部は、
前記インクジェットヘッドの走査速度を調整する速度制御部を有し、
前記インクジェットヘッドの走査速度がしきい値以下であるときに、前記内側低下照射モードを実行し、
前記インクジェットヘッドの走査速度がしきい値よりも速いときに、前記内外同一照射モードを実行する請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記紫外線照射器は、前記主走査方向において、前記インクジェットヘッドを挟んで両側にそれぞれ設けられ、
2つの前記紫外線照射器は、同一構造となっており、前記主走査方向及び前記主走査に直交する副走査方向を含む平面内において、対称点を中心に180度分だけ位相を異ならせた点対称な配置となっている請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型のインクを吐出するインクジェットプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットプリンタとして、紫外線硬化型のインクを吐出するインクジェットヘッドと、インクに紫外線を照射する紫外線照射手段とを備えるインクジェット記録装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このインクジェット記録装置は、インクジェットヘッドにおけるインクの目詰まりを抑制すべく、紫外線照射手段は、所定の間隔を隔てて、インクジェットヘッドに隣接して配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-284141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、インクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドと記録媒体との間に形成される隙間であるヘッドギャップを調整している。ヘッドギャップは、例えば、記録媒体の表面粗さに応じて調整されており、記録媒体の表面粗さが粗いほど、ヘッドギャップを大きくとっている。このとき、ヘッドギャップを大きくするほど、記録媒体に対してインクジェットヘッドが離れることになる。この場合、紫外線照射手段により照射された紫外線の一部は、記録媒体での反射等により、インクジェットヘッドに照射される、いわゆる迷光が生じる。このように、ヘッドギャップを大きくするほど、迷光が増えてしまうことにより、インクジェットヘッドにおけるインクの目詰まりが発生し易いものとなる。
【0005】
そこで、本発明は、迷光によるインクの目詰まりを抑制することができるインクジェットプリンタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のインクジェットプリンタは、紫外線硬化型のインクを記録媒体に吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドが前記記録媒体に対して相対移動する主走査方向において、前記インクジェットヘッドに隣接して設けられ、前記インクに紫外線を照射する紫外線照射器と、前記紫外線照射器を制御する制御部と、を備え、前記紫外線照射器は、前記主走査方向において前記インクジェットヘッド側に設けられる内側照明領域と、前記主走査方向において前記内側照明領域を挟んで、前記インクジェットヘッドの反対側に設けられる外側照明領域と、を含み、前記制御部は、前記内側照明領域を消灯すると共に前記外側照明領域を点灯する第1照射モードと、前記内側照明領域を点灯すると共に前記外側照明領域を点灯する第2照射モードと、を有することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、迷光が生じる場合、第1照射モードとすることで、紫外線照射器の内側照明領域を消灯することができる。つまり、インクジェットヘッドに近い側の照明領域を消灯できるため、インクジェットヘッドへの紫外線の照射を抑制することができる。このため、インクジェットヘッドへの迷光を低減することができ、迷光によるインクの目詰まりを抑制することができる。なお、迷光によるインクの目詰まりが発生しない場合、第2照射モードとすることで、インクを迅速に硬化させることができる。
【0008】
本発明のインクジェットプリンタは、紫外線硬化型のインクを記録媒体に吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドが前記記録媒体に対して相対移動する主走査方向において、前記インクジェットヘッドに隣接して設けられ、前記インクに紫外線を照射する紫外線照射器と、前記紫外線照射器を制御する制御部と、を備え、前記紫外線照射器は、前記主走査方向において前記インクジェットヘッド側に設けられる内側照明領域と、前記主走査方向において前記内側照明領域を挟んで、前記インクジェットヘッドの反対側に設けられる外側照明領域と、を含み、前記制御部は、前記内側照明領域の照度を前記外側照明領域の照度より低下させて点灯する第3照射モードと、前記内側照明領域と前記外側照明領域とを同じ照度で点灯する第4照射モードとを有することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、迷光が生じる場合、第3照射モードとすることで、紫外線照射器の内側照明領域の照度を低下することができる。つまり、インクジェットヘッドに近い側の照明領域の照度を低下できるため、インクジェットヘッドへの紫外線の照射を抑制することができる。このため、インクジェットヘッドへの迷光を低減することができ、迷光によるインクの目詰まりを抑制することができる。なお、迷光によるインクの目詰まりが発生しない場合、第4照射モードとすることで、インクを迅速に硬化させることができる。
【0010】
また、前記制御部は、前記記録媒体と前記インクジェットヘッドとの隙間であるヘッドギャップを調整するギャップ制御部を有し、前記ヘッドギャップがしきい値以上であるときに、前記第1照射モードまたは前記第3照射モードを実行し、前記ヘッドギャップがしきい値よりも小さいときに、前記第2照射モードまたは前記第4照射モードを実行することが、好ましい。
【0011】
この構成によれば、ヘッドギャップが大きい分だけ迷光も増えることから、第1照射モードまたは第3照射モードとすることで、インクジェットヘッドへの迷光を低減することができる。一方で、ヘッドギャップが小さい場合、迷光が生じ難いことから、第2照射モードまたは第4照射モードとすることで、インクを迅速に硬化させることができる。なお、しきい値は、迷光によるインクの目詰まりが発生するか否かの値となっている。
【0012】
また、前記記録媒体は、反射率が異なる複数種のものが用意され、前記制御部は、前記記録媒体の反射率がしきい値以上であるときに、前記第1照射モードまたは前記第3照射モードを実行し、前記記録媒体の反射率がしきい値よりも小さいときに、前記第2照射モードまたは前記第4照射モードを実行することが、好ましい。
【0013】
この構成によれば、記録媒体の反射率が大きい分だけ迷光も増えることから、第1照射モードまたは第3照射モードとすることで、インクジェットヘッドへの迷光を低減することができる。一方で、記録媒体の反射率が小さい場合、迷光が生じ難いことから、第2照射モードまたは第4照射モードとすることで、インクを迅速に硬化させることができる。なお、この場合も、しきい値は、迷光によるインクの目詰まりが発生するか否かの値となっている。
【0014】
また、前記制御部は、前記インクジェットヘッドの走査速度を調整する速度制御部を有し、前記インクジェットヘッドの走査速度がしきい値以下であるときに、前記第1照射モードまたは前記第3照射モードを実行し、前記インクジェットヘッドの走査速度がしきい値よりも速いときに、前記第2照射モードまたは前記第4照射モードを実行することが、好ましい。
【0015】
この構成によれば、インクジェットヘッドの走査速度が遅い場合、積算光量が増える分だけ迷光も増えることから、第1照射モードまたは第3照射モードとすることで、インクジェットヘッドへの迷光を低減することができる。一方で、インクジェットヘッドの走査速度が速い場合、迷光が生じ難いことから、第2照射モードまたは第4照射モードとすることで、インクを迅速に硬化させることができる。なお、この場合も、しきい値は、迷光によるインクの目詰まりが発生するか否かの値となっている。
【0016】
また、前記紫外線照射器は、前記主走査方向において、前記インクジェットヘッドを挟んで両側にそれぞれ設けられ、2つの前記紫外線照射器は、同一構造となっており、前記主走査方向及び前記主走査に直交する副走査方向を含む平面内において、対称点を中心に180度分だけ位相を異ならせた点対称な配置となっていることが、好ましい。
【0017】
この構成によれば、2つの紫外線照射器を点対称に配置することで、2つの紫外線照射器を同一構造にできるため、装置コストの増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施形態1に係るインクジェットプリンタの斜視図である。
図2図2は、インクジェットヘッド周り構成を模式的に表した概略図である。
図3図3は、インクジェットヘッドのノズル面側を示す平面図である。
図4図4は、実施形態3に係るインクジェットヘッドのノズル面側を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせることも可能である。
【0020】
[実施形態1]
実施形態1に係るインクジェットプリンタ1(以下、単にプリンタ1ともいう)は、インクジェット方式により記録媒体としてのメディア2に画像を印刷する装置である。メディア2としては、例えば、インクに対して非浸透性となる金属、樹脂等を用いた非浸透性メディア、またはインクに対して浸透性を有する布帛、紙等を用いた浸透性メディアが適用可能であり、画像形成が可能なメディア2であれば、いずれの材料を適用することが可能である。このようなメディア2は、種類に応じて、インクが吐出される印刷面(表面)の反射率が異なるものとなっている。また、メディア2は、ロール・ツー・ロール(Roll to Roll)方式により搬送されており、繰出ロールから繰り出されたメディア2に対して印刷が行われ、印刷後のメディア2が巻取ロールにより巻き取られる。また、インクは、例えば、紫外線により硬化する紫外線硬化型インク(UVインク)が適用される。UVインクは、常温(例えば、15℃~25℃)の温度範囲において、高粘度となるインクとなっている。
【0021】
次に、図1から図3を参照して、プリンタ1について説明する。図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンタの斜視図である。図2は、インクジェットヘッド周り構成を模式的に表した概略図である。図3は、インクジェットヘッドのノズル面側を示す平面図である。
【0022】
図1及び図2に示すように、プリンタ1は、インクジェットヘッド3(以下、単にヘッド3ともいう)と、キャリッジ4と、プラテン5と、紫外線照射器7と、キャリッジ駆動部8と、ガイドレール9と、インクタンク10と、制御部15と、を備えている。ここで、図1及び図2において、X方向は、メディア2を搬送する方向であり、副走査方向となっている。また、図3において、メディア2は、図3の上側から下側へ向かって搬送される。Y方向は、インクジェットヘッド3を移動させる方向であり、主走査方向となっている。Z方向は、主走査方向及び副走査方向に直交する方向となっており、例えば、主走査方向及び副走査方向を含む平面が水平面である場合、鉛直方向となっている。
【0023】
ヘッド3は、キャリッジ4上に設けられ、UVインクをメディア2へ向かって吐出する。図3に示すように、ヘッド3は、キャリッジ4上に2つ設けられている。2つのヘッド3は、その一方がCMYKの4色分のインクを吐出するカラーヘッド3aとなっており、その他方がクリアインクを吐出するクリアヘッド3bとなっている。プリンタ1は、2つのヘッド3として、カラーヘッド3aとクリアヘッド3bとを有することから、カラーインクにクリアインクを重ねた印刷を行うことが可能となっている。このような印刷としては、例えば、グロス調印刷があり、グロス調印刷では、クリアインクが平滑となるように印刷が行われる。カラーヘッド3aは、メディア2の搬送方向において、クリアヘッド3bよりも上流側に配置される。カラーヘッド3a及びクリアヘッド3bは、X方向(副走査方向)に並ぶ複数のノズルからなるノズル列21を有している。また、カラーヘッド3aにおいて、ノズル列21は、使用するカラーの種類に応じて複数設けられ、例えば、CMYKの4色分のノズル列21が、Y方向に並べて設けられている。クリアヘッド3bにおいて、ノズル列21は、カラーヘッド3aと同じ列数設けられ、Y方向に並べて設けられる。
【0024】
プラテン5は、Z方向において、ヘッド3に対向して設けられている。プラテン5には、メディア2が載置される。プラテン5は、載置されたメディア2を加熱し、メディア2に吐出されたインクを、メディア2を介して加熱することで、インクの乾燥を促す。
【0025】
キャリッジ4は、ヘッド3の他、紫外線照射器7を搭載している。キャリッジ駆動部8は、キャリッジ4をガイドレール9に沿って移動させる。ガイドレール9は、Y方向に延在して設けられている。このため、キャリッジ駆動部8は、キャリッジ4を、Y方向に沿って移動させる。また、キャリッジ駆動部8は、キャリッジ4を、Z方向に沿って移動させることで、ヘッド3とメディア2との隙間であるヘッドギャップを調整している。このとき、キャリッジ駆動部8によって移動するキャリッジ4は、ヘッド3及び紫外線照射器7を一体に移動させる。なお、ヘッド3、紫外線照射器7は、ヘッドユニット11として一体に構成されており、インクタンク10から、インク供給ライン12を介してヘッドユニット11にインクが供給される。
【0026】
紫外線照射器7は、Y方向において、2つのヘッド3の両側に設けられている。2つの紫外線照射器7は、キャリッジ4上に設けられ、メディア2へ向かって紫外線を照射することで、メディア2に付着したインクを硬化させる。図3に示すように、紫外線照射器7は、X方向に延在して設けられており、X方向の一方側(図3の上側)に設けられるヘッド側照射部7aと、X方向の他方側(図3の下側)に設けられるヘッド外照射部7bと、を有している。
【0027】
ヘッド側照射部7aは、Y方向から見たときに、X方向においてヘッド3と重なる位置に設けられている。一方で、ヘッド外照射部7bは、Y方向から見たときに、X方向においてヘッド3と重ならない位置に設けられている。
【0028】
また、ヘッド側照射部7aは、2つに分割されており、内側照明領域7a2と、外側照明領域7a1とを含んでいる。内側照明領域7a2は、Y方向において、ヘッド側に設けられる照明領域となっている。また、外側照明領域7a1は、Y方向において、内側照明領域7a2を挟んで、ヘッド3の反対側に設けられる照明領域となっている。内側照明領域7a2及び外側照明領域7a1は、制御部15によって所定の照射モードで制御可能な照明領域となっている。また、内側照明領域7a2は、X方向において分割された複数の照射ブロックBxを含んで構成されている。同様に、外側照明領域7a1は、X方向において分割された複数の照射ブロックBxを含んで構成されている。照射ブロックBxは、発光素子の素子数が所定の個数となる照射ブロックであり、制御部15によって個別に制御可能な最小制御単位となっている。内側照明領域7a2の照射ブロックBxは、例えば、素子数が同じ数(例えば、4個)となる照射ブロックBxを、X方向に11ブロック並べたものとなっている。つまり、内側照明領域7a2の照射ブロックBxは、同じ素子数となる照射ブロックBxを、X方向に複数並べたものとなっている。一方で、外側照明領域7a1の照射ブロックBxは、異なる素子数となる照射ブロックBxを、X方向に複数ブロック並べたものとなっている。具体的に、外側照明領域7a1は、カラーヘッド3a側からクリアヘッド3b側に向かって順に、12個の素子数となる照射ブロックBx(12)と、4個の素子数となる照射ブロックBx(4)と、4個の素子数となる照射ブロックBx(4)と、8個の素子数となる照射ブロックBx(4)と、12個の素子数となる照射ブロックBx(4)と、がX方向に並べて設けられている。
【0029】
ヘッド外照射部7bは、複数の照射ブロックByを含んで構成されている。照射ブロックByは、発光素子の素子数が所定の個数となる照射ブロックであり、制御部15によって個別に制御可能な最小制御単位となっている。ヘッド外照射部7bの照射ブロックByは、Y方向に延在する照射ブロックとなっている。具体的に、照射ブロックByは、X方向から見たときに、外側照明領域7a1及び内側照明領域7a2と重なる範囲に亘って、Y方向に延在している。また、照射ブロックByは、例えば、素子数が同じ数(例えば、8個)となる照射ブロックByを、X方向に3ブロック並べたものとなっている。つまり、ヘッド外照射部7bの照射ブロックByは、同じ素子数となる照射ブロックByを、X方向に複数並べたものとなっている。
【0030】
ここで、2つのヘッド3と2つの紫外線照射器7の位置関係について説明する。2つのヘッド3のノズル列21は、メディア2の搬送方向(X方向)において、外側照明領域7a1の下流側の照射ブロックBx(4)を挟んで両側に設けられている。具体的に、カラーヘッド3aのノズル列21は、X方向において、外側照明領域7a1の上流側の照射ブロックBx(12)から下流側の照射ブロックBx(4)の範囲に亘って設けられる。また、カラーヘッド3aのノズル列21は、X方向において、内側照明領域7a2の4個分の照射ブロックBxの範囲に亘って設けられる。クリアヘッド3bのノズル列21は、X方向において、外側照明領域7a1の下流側の照射ブロックBx(4)から下流側の照射ブロックBx(12)の範囲に亘って設けられる。また、クリアヘッド3bのノズル列21は、X方向において、内側照明領域7a2の4個分の照射ブロックBxの範囲に亘って設けられる。
【0031】
制御部15は、ヘッド3、紫外線照射器7及びキャリッジ駆動部8に接続されている。制御部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の集積回路を含んでいる。一例として、制御部15は、ヘッド3を制御することで、インクの吐出制御を行う。また、制御部15は、紫外線照射器7を制御することで、紫外線の照射制御を行う。また、制御部15は、キャリッジ駆動部8を制御することで、ヘッド3の主走査方向による速度制御を行う。また、制御部15は、キャリッジ駆動部8を制御することで、ヘッド3のヘッドギャップの調整制御を行う。
【0032】
制御部15は、ギャップ制御部25と、速度制御部26と、を有している。ギャップ制御部25は、プラテン5に設置されるメディア2の種類に応じて、ヘッドギャップを調整している。例えば、ギャップ制御部25は、印刷面の表面粗さが粗いメディア2の場合、ヘッドギャップを大きくする一方で、印刷面の表面粗さが平滑なメディア2の場合、ヘッドギャップを小さくする。ギャップ制御部25は、例えば、段階的にヘッドギャップの大きさを調整している。具体的に、ギャップ制御部25は、メディア2の種類に応じて、「ヘッドギャップ小」、「ヘッドギャップ中」、「ヘッドギャップ大」の三段階に、ヘッドギャップを調整している。なお、ギャップ制御部25は、ヘッドギャップの大きさを連続的に調整してもよい。速度制御部26は、ヘッド3の主走査方向における走査速度を制御している。
【0033】
また、制御部15は、第1照射モードと、第2照射モードとを有しており、しきい値に基づいて、第1照射モード及び第2照射モードを選択的に切り替えて実行している。第1照射モードは、各照射ブロックBxを制御して、内側照明領域7a2を消灯すると共に外側照明領域7a1を点灯するモードである。第2照射モードは、内側照明領域7a2を点灯すると共に外側照明領域7a1を点灯するモードである。しきい値は、迷光によるヘッド3のインクの目詰まりが発生するか否かの値となっている。制御部15は、しきい値に基づいて、ヘッド3のインクの目詰まりが発生すると判定した場合、第1照射モードを実行する。一方で、制御部15は、しきい値に基づいて、ヘッド3のインクの目詰まりが発生しないと判定した場合、第2照射モードを実行する。
【0034】
具体的に、制御部15は、ヘッドギャップ、メディア2の印刷面における反射率、及びヘッド3の走査速度の少なくとも一つの状態に応じて、第1照射モード及び第2照射モードを選択的に実行している。ヘッドギャップに関し、制御部15は、ギャップ制御部25によって調整したヘッドギャップがしきい値以上であるときに、第1照射モードを実行する。一方で、制御部15は、ヘッドギャップがしきい値よりも小さいときに、第2照射モードを実行する。また、メディア2の印刷面における反射率に関し、制御部15は、選択されたメディア2の反射率がしきい値以上であるときに、第1照射モードを実行する。一方で、制御部15は、反射率がしきい値よりも小さいときに、第2照射モードを実行する。さらに、ヘッド3の走査速度に関し、制御部15は、速度制御部26によって制御されるヘッド3の走査速度がしきい値以下であるときに、第1照射モードを実行する。一方で、制御部15は、ヘッド3の走査速度がしきい値よりも速いときに、第2照射モードを実行する。
【0035】
また、制御部15は、外側照明領域7a1においても印刷条件に応じて、各照射ブロックBxを制御している。制御部15は、例えば、グロス調印刷を行う場合、X方向において、カラーヘッド3aのノズル列21と同じ位置にある外側照明領域7a1の照射ブロックBxのうち、クリアヘッド3b側にある2つの照射ブロックBx(4)を消灯する。また、制御部15は、グロス調印刷を行う場合、X方向において、クリアヘッド3bのノズル列21と同じ位置にある外側照明領域7a1の照射ブロックBx(8)及び照射ブロックBx(12)を消灯する。なお、制御部15は、グロス調印刷を行う場合、内側照明領域7a2も消灯する。制御部15は、上記の照射ブロックBxを消灯することで、クリアヘッド3bから吐出されてメディア2に着弾したクリアインクに対して、カラーヘッド3a側の照射ブロックBxから紫外線が照射されることを抑制する。これにより、制御部15は、クリアインクの硬化を抑制して、クリアインクの濡れ広がりによる平滑化を促す。
【0036】
以上のように、実施形態1によれば、ヘッド3に迷光が生じる場合、第1照射モードとすることで、紫外線照射器7の内側照明領域7a2を消灯することができる。つまり、ヘッド3に近い側の照明領域を消灯できるため、ヘッド3への紫外線の照射を抑制することができる。このため、ヘッド3への迷光を低減することができ、迷光によるインクの目詰まりを抑制することができる。一方で、迷光によるインクの目詰まりが発生しない場合、第2照射モードとすることで、インクを迅速に硬化させることができる。
【0037】
また、実施形態1によれば、ヘッドギャップがしきい値以上である場合、ヘッドギャップが大きい分だけ迷光も増えることから、第1照射モードとすることで、ヘッド3への迷光を低減することができる。一方で、ヘッドギャップがしきい値よりも小さい場合、迷光が生じ難いことから、第2照射モードとすることで、インクを迅速に硬化させることができる。
【0038】
また、実施形態1によれば、メディア2の反射率がしきい値以上である場合、反射率が大きい分だけ迷光も増えることから、第1照射モードとすることで、インクジェットヘッドへの迷光を低減することができる。一方で、メディア2の反射率がしきい値よりも小さい場合、迷光が生じ難いことから、第2照射モードとすることで、インクを迅速に硬化させることができる。
【0039】
また、実施形態1によれば、ヘッド3の走査速度がしきい値以下である(遅い)場合、インクへの積算光量が増える分だけ迷光も増えることから、第1照射モードとすることで、ヘッド3への迷光を低減することができる。一方で、ヘッド3の走査速度が速い場合、迷光が生じ難いことから、第2照射モードとすることで、インクを迅速に硬化させることができる。
【0040】
なお、実施形態1では、UVインクに適用して説明したが、UVインクに特に限定されない。
【0041】
また、本実施形態では、ヘッド側照射部7aをY方向において2つに分割したが、3つに分割してもよい。つまり、ヘッド側照射部7aは、内側照明領域7a2と、外側照明領域7a1とを含むものであれば、分割数は特に限定されない。
【0042】
[実施形態2]
次に、実施形態2に係るインクジェットプリンタ1について説明する。なお、実施形態2では、実施形態1と異なる部分について説明し、同じ部分については、同じ符号を付して説明する。
【0043】
実施形態2のプリンタ1において、制御部15は、実施形態1の第1照射モード及び第2照射モードに代えて、第3照射モード及び第4照射モードを実行している。具体的に、制御部15は、第3照射モードと、第4照射モードとを有しており、しきい値に基づいて、第3照射モード及び第4照射モードを選択的に切り替えて実行している。第3照射モードは、内側照明領域7a2の照度を外側照明領域7a1の照度より低下させて点灯するモードである。また、制御部15は、第3照射モードにおいて、内側照明領域7a2の照度を50μW以下としている。第4照射モードは、内側照明領域7a2と外側照明領域7a1とを同じ照度で点灯するモードである。しきい値は、実施形態1と同様に、迷光によるヘッド3のインクの目詰まりが発生するか否かの値となっている。制御部15は、しきい値に基づいて、ヘッド3のインクの目詰まりが発生すると判定した場合、第3照射モードを実行する。一方で、制御部15は、しきい値に基づいて、ヘッド3のインクの目詰まりが発生しないと判定した場合、第4照射モードを実行する。
【0044】
具体的に、制御部15は、実施形態1と同様に、ヘッドギャップ、メディア2の印刷面における反射率、及びヘッド3の走査速度の少なくとも一つの状態に応じて、第3照射モード及び第4照射モードを選択的に実行している。ヘッドギャップに関し、制御部15は、ギャップ制御部25によって調整したヘッドギャップがしきい値以上であるときに、第3照射モードを実行する。一方で、制御部15は、ヘッドギャップがしきい値よりも小さいときに、第4照射モードを実行する。また、メディア2の印刷面における反射率に関し、制御部15は、選択されたメディア2の反射率がしきい値以上であるときに、第3照射モードを実行する。一方で、制御部15は、反射率がしきい値よりも小さいときに、第4照射モードを実行する。さらに、ヘッド3の走査速度に関し、制御部15は、速度制御部26によって制御されるヘッド3の走査速度がしきい値以下であるときに、第3照射モードを実行する。一方で、制御部15は、ヘッド3の走査速度がしきい値よりも速いときに、第4照射モードを実行する。
【0045】
以上のように、実施形態2によれば、ヘッド3に迷光が生じる場合、第3照射モードとすることで、紫外線照射器7の内側照明領域7a2の照度を低下することができる。つまり、ヘッド3に近い側の照明領域の照度を低下できるため、ヘッド3への紫外線の照射を抑制することができる。このため、ヘッド3への迷光を低減することができ、迷光によるインクの目詰まりを抑制することができる。一方で、迷光によるインクの目詰まりが発生しない場合、第4照射モードとすることで、インクを迅速に硬化させることができる。
【0046】
また、実施形態2によれば、ヘッドギャップがしきい値以上である場合、ヘッドギャップが大きい分だけ迷光も増えることから、第3照射モードとすることで、ヘッド3への迷光を低減することができる。一方で、ヘッドギャップがしきい値よりも小さい場合、迷光が生じ難いことから、第4照射モードとすることで、インクを迅速に硬化させることができる。
【0047】
また、実施形態2によれば、メディア2の反射率がしきい値以上である場合、反射率が大きい分だけ迷光も増えることから、第3照射モードとすることで、インクジェットヘッドへの迷光を低減することができる。一方で、メディア2の反射率がしきい値よりも小さい場合、迷光が生じ難いことから、第4照射モードとすることで、インクを迅速に硬化させることができる。
【0048】
また、実施形態2によれば、ヘッド3の走査速度がしきい値以下である(遅い)場合、インクへの積算光量が増える分だけ迷光も増えることから、第3照射モードとすることで、ヘッド3への迷光を低減することができる。一方で、ヘッド3の走査速度が速い場合、迷光が生じ難いことから、第4照射モードとすることで、インクを迅速に硬化させることができる。
【0049】
なお、実施形態1と実施形態2とを組み合わせてもよい。つまり、制御部15は、第1照射モード、第2照射モード、第3照射モード及び第4照射モードを実行してもよい。このとき、第2照射モード及び第4照射モードは、ほぼ同じ照射モードとなっているため、統一してもよい。
【0050】
[実施形態3]
次に、図4を参照して、実施形態3に係るインクジェットプリンタ1について説明する。図4は、実施形態3に係るインクジェットヘッドのノズル面側を示す平面図である。なお、実施形態3では、実施形態1及び実施形態2と異なる部分について説明し、同じ部分については、同じ符号を付して説明する。
【0051】
実施形態3のプリンタ1は、キャリッジ4上に設けられた2つの紫外線照射器7が同一構造となっている。図4に示すように、紫外線照射器7は、同一構造となっており、X方向及びY方向を含む平面内において、対称点Pを中心に180度分だけ位相を異ならせた点対称な配置となっている。つまり、一方の紫外線照射器7は、X方向及びY方向を含むXY面内において、他方の紫外線照射器7に対して、対称点Pを中心に、180度分だけ回転させた位置となっている。このため、2つの紫外線照射器7における内側照明領域7a2及び外側照明領域7a1も、対称点Pを中心に180度分だけ位相を異ならせた点対称な配置となっている。
【0052】
ここで、外側照明領域7a1は、XY面内において、X方向の両端側の照射領域が、Y方向のヘッド3側に延在する領域となっており、凹字状の領域となっている。内側照明領域7a2は、凹字状となる外側照明領域7a1の内側に配置され、内側照明領域7a2のX方向の両端が、外側照明領域7a1に接している。
【0053】
以上のように、実施形態3によれば、2つの紫外線照射器7を点対称に配置することで、2つの紫外線照射器7を同一構造にできるため、装置コストの増大を抑制することができる。
【0054】
なお、外側照明領域7a1及び内側照明領域7a2は、実施形態1と同様に、X方向に延在する領域であってもよく、2つの紫外線照射器7を点対称な配置としたときに、左右対称の構造となれば、いずれの形状となる領域であってもよい。
【0055】
また、実施形態1から3では、紫外線照射器7のヘッド側照射部7aは、内側照明領域7a2及び外側照明領域7a1を含んでいたが、外側照明領域7a1による紫外線の照射でインクを十分に硬化可能であれば、内側照明領域7a2を省いた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 インクジェットプリンタ
2 メディア
3 インクジェットヘッド
4 キャリッジ
5 プラテン
7 紫外線照射器
7a ヘッド側照射部
7b ヘッド外照射部
7a1 外側照明領域
7a2 内側照明領域
8 キャリッジ駆動部
9 ガイドレール
10 インクタンク
11 ヘッドユニット
12 インク供給ライン
15 制御部
21 ノズル列
Bx 照射ブロック
By 照射ブロック
図1
図2
図3
図4