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特開2024-28551電気泳動材料を備える感圧式書き込み媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028551
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】電気泳動材料を備える感圧式書き込み媒体
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1673 20190101AFI20240226BHJP
   G02F 1/167 20190101ALN20240226BHJP
【FI】
G02F1/1673
G02F1/167
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024007286
(22)【出願日】2024-01-22
(62)【分割の表示】P 2022144424の分割
【原出願日】2019-11-12
(31)【優先権主張番号】62/773,891
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エル. チューマ
(72)【発明者】
【氏名】アラン サドゥン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジェイ. テルファー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ブル
(72)【発明者】
【氏名】スニル クリシュナ サイニス
(72)【発明者】
【氏名】セス ジェイ. ビショップ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ジェイ. パオリニ ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】コスタ ラダバック
(57)【要約】
【課題】感圧式電気泳動ディスプレイまたは感圧式電磁泳動ディスプレイのためのシステムおよび方法を提供すること
【解決手段】感圧式電気泳動ディスプレイのためのシステムおよび方法が開示され、感圧式電気泳動ディスプレイは、随意に、触知フィードバックを含み得る。ディスプレイは、感圧伝導性を有する第1の伝導性層と、第1の伝導性層に隣接して位置付けられる電気泳動層とを備え得、電気泳動層は、第1の伝導性層と電気連通し、第1の伝導性層に印加される圧力に基づいて、状態を局所的に変化させるように構成される。ディスプレイの局所的および大域的な書き込みおよび消去も、達成され得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感圧式電磁泳動ディスプレイであって、前記ディスプレイは、
磁場を生み出すように構成される磁気層と、
電気的かつ磁気的にアドレス指定可能なインク媒体を備える電磁泳動層であって、前記電磁泳動層は、印加される圧力に基づいて、状態を局所的に変化させるように構成される、電磁泳動層と、
前記磁気層と前記電磁泳動層との間に位置する変形可能層と
を備え、圧力を前記感圧式電磁泳動ディスプレイ上の場所に印加することが、前記変形可能層の少なくとも一部の変位を引き起こし、それによって、前記電磁泳動層が前記磁気層のより近くに移動することを引き起こし、それによって、前記場所に位置する前記電磁泳動層の部分によって被られる前記磁場の変化を引き起こし、それによって、前記電磁泳動層内の状態の局所的変化を引き起こす、感圧式電磁泳動ディスプレイ。
【請求項2】
前記磁気層は、永久磁石のポリマ複合材を備える、請求項1に記載の感圧式電磁泳動ディスプレイ。
【請求項3】
前記磁気層は、電流搬送ワイヤのコイルが周囲に巻き付けられた磁化可能材料のシートを備える、請求項1に記載の感圧式電磁泳動ディスプレイ。
【請求項4】
前記電磁泳動層は、前記印加される圧力と、前記磁場の大きさまたは方向とに基づいて、第1の状態から第2の状態へ、または前記第2の状態から前記第1の状態へ局所的に変化するように構成される、請求項1に記載の感圧式電磁泳動ディスプレイ。
【請求項5】
前記電磁泳動層は、前記電磁泳動層に電圧パルスを印加することによって、均一状態へ大域的に変化するように構成される、請求項1に記載の感圧式電磁泳動ディスプレイ。
【請求項6】
前記電磁泳動層は、前記磁場の大きさを変化させることによって、均一状態へ大域的に変化するように構成される、請求項1に記載の感圧式電磁泳動ディスプレイ。
【請求項7】
前記電磁泳動層は、電気泳動移動性を有する第1の粒子群と、電気泳動移動性を有する第2の粒子群とを備え、前記第1の粒子群は、前記第2の粒子群の色とは異なる色を有する、請求項1に記載の感圧式電磁泳動ディスプレイ。
【請求項8】
前記変形可能層は、誘電流体を備える、請求項1に記載の感圧式電磁泳動ディスプレイ。
【請求項9】
前記誘電流体は、ゲル、発泡体、または粘性液体から成る群から選択される、請求項8に記載の感圧式電磁泳動ディスプレイ。
【請求項10】
前記誘電流体は、シリコーン油、シリコーンゲル、ポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリエステル発泡体、非伝導性グリース、および重油から成る群から選択される、請求項8に記載の感圧式電磁泳動ディスプレイ。
【請求項11】
請求項10に記載の感圧式電磁泳動ディスプレイを使用する方法であって、前記方法は、
A)前記ディスプレイに接触することによって、増加させられた圧力の領域を生成することであって、前記増加させられた圧力の領域は、前記ディスプレイの状態の局所的変化を生み出す、ことと、
B)前記ディスプレイの状態の大域的変化を生み出すことと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願)
本願は、2018年11月30日に出願された米国仮特許出願第62/773,891号の優先権を主張し、その出願は、参照することによってその全体として本明細書に援用される。
【0002】
本書内で参照される全ての特許、特許出願、および刊行物は、参照することによってその全体として援用される。
【0003】
(発明の背景)
本発明は、電気光学ディスプレイに関する。より具体的には、本発明は、感圧式電気泳動ディスプレイまたは感圧式電磁泳動ディスプレイのためのシステムおよび方法に関する。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、触知フィードバックを含む。説明されるディスプレイは、安価に製造され得、書き込みおよび描画のために使用され得、またはそれらは、表面、タッチパネル等に組み込まれ得る。
【0004】
触知フィードバックが、電子デバイス産業においてますます使用されている。これらのフィードバックスキームのほとんどは、いくつかのコンテキストにおいて印加される力を感知し、次いで、その力をアクチュエータ(圧電気、音響等)を介してユーザに中継することに依拠している。受動触知フィードバック機構も、当技術分野において公知である。これらの機構は、付加的制御回路網または付加的機械的中継器を要求しない。ばねまたは堅度を有する任意のシステムが、このアイデアの優れた例である。ばねが圧縮/伸長させられるにつれて、ばねが取り付けられる表面にばねによって付与される復元力は、大きくなる。ばねを圧縮/伸長させるユーザが、注意を払っている限り、ばねの堅度は、触知フィードバックを提供する。
【0005】
最近では、受動触知フィードバックが、増加させられたフィードバックおよび制御をディスプレイのユーザに提供するために、種々のディスプレイに組み込まれている。そのような受動触知フィードバックは、多くの場合、ユーザが、ディスプレイ上に書き込み、ディスプレイの状態の変化を生み出すことを可能にするインタフェースに組み込まれる。例えば、電気製品におけるタッチパネルディスプレイは、ボタンまたは機能がアクティブ化されていることを示すための光学フィードバックおよび触覚フィードバックの両方を含み得る。ユーザ間には、視覚的健康状態および聴覚的健康状態において大きなばらつきが存在するため、そのような二重フィードバックシステムは、特に、家庭用電気製品において重要である。例えば、視覚的に障害があるユーザは、電子レンジをプログラムすることに成功したことを把握するために、触知フィードバックを必要とする。
【0006】
本明細書で使用される場合、「ディスプレイ」は、ピクセル化されたバックプレーンを使用して出力画像がレンダリングされる(典型的には、能動マトリクスまたは受動マトリクスのいずれかとしてアドレス指定される)視覚的ディスプレイと、モジュール全体が単一「ピクセル」である視覚的ディスプレイとの両方を含む。前者の事例では、ディスプレイ上での書き込みは、デジタル化されたスタイラス運動をディスプレイのピクセルにマッピングすることによって、ストロークの能動的再現と組み合わせられたデジタイザと相互作用するスタイラスを含み得る。代替として、特に、後者の単一ピクセルディスプレイでは、書き込み具は、直接、媒体と相互作用し、光学的性質の局所的変化として直接現れるいくつかの物理的変化を引き起こし得る。この直接的相互作用は、時として、直接書き込みとして説明される。
【0007】
後者のカテゴリのディスプレイは、Fisher Price MAGNA DOODLEおよびKent Displays BOOGIE BOARDを含む。MAGNA DOODLEの事例では、磁気スタイラスが、磁気粒子を視認表面に引動し、そのことが、書き込みとして現れる。BOOGIE BOARDでは、圧力の局所的変化(硬質プラスチックのスタイラス先端部を用いた書き込みによって引き起こされる)が、黒色背景上の光の散乱につながるコレステリック液晶材料の状態の変化を生じさせる。BOOGIE BOARDでは、付与された画像は、ディスプレイ全体にわたる電場の印加によって消去され得る。これが行われると、ディスプレイ全体が、暗状態に戻る;したがって、この種の消去手順は、「大域的」消去と称される。しかしながら、現在利用可能なBOOGIE BOARD製品では、書き込みを「局所的に」消去することが不可能である;すなわち、ユーザは、書き込みまたは描画全体を消去することができるが、その一部のみを消去することができない。
【0008】
上記に照らして、状態の真の変化を使用して局所的および大域的な書き込みおよび消去の両方が可能なディスプレイは、向上させられた自然な書き込み体験をユーザに提供するであろう。加えて、この書き込みの機能性が触知フィードバックとともに利用可能である場合、体験がさらに向上させられるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記に照らして、新規の受動触知フィードバック構成と、複数の状態間の局所的消去および大域的消去とを提供し得るディスプレイのニーズが存在する。本開示は、受動触知フィードバックを有する感圧式電気泳動ディスプレイに関連するシステムおよび方法を提供することによって、以前の電気泳動ディスプレイ技術における拡張に努める。いくつかの側面では、本開示のシステムおよび方法は、電気泳動ディスプレイが局所的および大域的の両方で状態を変化させる能力を提供する。先行技術と異なり、状態のこの変化は、第1の状態から第2の状態への変化または逆の変化であり得る。いずれの様相での書き込みも可能であるため、書き込みおよび消去が、より自然に達成され得る。
【0010】
一側面では、本開示は、感圧式電気泳動ディスプレイを提供する。ディスプレイは、感圧伝導性を有する(例えば、圧電抵抗材料を備える)第1の伝導性層と、第1の伝導性層に隣接して位置付けられる電気泳動層とを備え得、電気泳動層は、第1の伝導性層と電気連通し、第1の伝導性層に印加される圧力に基づいて、状態を局所的に変化させるように構成される。
【0011】
別の側面では、本開示は、感圧式電気泳動ディスプレイを提供する。ディスプレイは、第1の電極層と第2の電極層とを備え得、第1の電極および第2の電極は、第1の電極および第2の電極にわたる電圧の印加に応じた電位差を提供するように構成される。ディスプレイはまた、電気泳動層を備え得、電気泳動層は、第1の電極と第2の電極との間に位置付けられる。ディスプレイは、加えて、誘電流体層を含み得、誘電流体層は、第1の電極と電気泳動材料との間に位置付けられる。圧力を感圧式電気泳動ディスプレイ上の場所に印加することは、誘電流体層の少なくとも一部の変位を引き起こし、それによって、その場所に位置する電気泳動層の部分によって被られる電場の変化を引き起こし、それによって、電気泳動層内の状態の局所的変化を引き起こす。
【0012】
一側面では、本開示は、感圧式電気泳動ディスプレイを提供する。ディスプレイは、磁場を生み出すように構成される磁気層と、印加される圧力に基づいて状態を局所的に変化させるように構成される電気的かつ磁気的にアドレス指定可能なインク媒体を備える電気泳動層とを備え得る。ディスプレイはまた、磁気層と電気泳動層との間に位置する変形可能層を備え得、圧力を感圧式電気泳動ディスプレイ上の場所に印加することは、変形可能層の少なくとも一部の変位を引き起こし、それによって、その場所にある電気泳動層の部分によって被られる磁場の変化を引き起こす。磁場の変化は、電気泳動層内の状態の局所的変化を引き起こす。
【0013】
別の側面では、本開示は、本明細書で説明される感圧式電気泳動ディスプレイのいずれかを使用する方法を提供する。方法は、ディスプレイに接触することによって、増加させられた圧力の領域を生成するステップであって、増加させられた圧力の領域は、ディスプレイの状態の局所的変化を生み出す、ステップと、ディスプレイの状態の大域的変化を生み出すステップとを含み得る。ステップのうちの1つは、電気泳動層に印加される電場または磁場を変化させるステップを含み得る。ディスプレイの状態の局所的変化は、ディスプレイの状態の以前の変化の局所的消去であり得る。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
感圧式電気泳動ディスプレイであって、前記ディスプレイは、
第1の感圧伝導性を有する第1の伝導性層と、
前記第1の伝導性層に隣接して位置付けられる電気泳動層であって、前記電気泳動層は、前記第1の伝導性層と電気連通し、前記第1の伝導性層に印加される圧力に基づいて、状態を局所的に変化させるように構成される、電気泳動層と
を備える、ディスプレイ。
(項目2)
前記第1の伝導性層は、復元力を提供するように構成され、前記復元力は、前記第1の伝導性層を初期状態に戻すように作用する、項目1に記載のディスプレイ。
(項目3)
前記第1の伝導性層は、圧電抵抗材料を備える、項目1に記載のディスプレイ。
(項目4)
前記第1の伝導性層は、前記電気泳動層へ電気的に並列または直列に接続される、項目1に記載のディスプレイ。
(項目5)
電極層をさらに備え、前記電極層は、前記第1の伝導性層および前記電気泳動層の両方に接触する、項目1に記載のディスプレイ。
(項目6)
第2の伝導性層をさらに備え、前記第2の伝導性層は、第2の感圧伝導性を有し、前記電気泳動層へ電気的に並列に接続される、項目1に記載のディスプレイ。
(項目7)
前記第1の伝導性層の機械的性質は、前記第2の伝導性層の機械的性質と異なる、項目6に記載のディスプレイ。
(項目8)
前記第1の伝導性層に印加される前記圧力の大きさまたは持続時間のうちの少なくとも1つが、前記電気泳動層の状態の前記変化に影響を及ぼす、項目1に記載のディスプレイ。
(項目9)
低減させられた圧力の印加が、前記電気泳動層を初期状態に戻す、項目1に記載のディスプレイ。
(項目10)
前記第1の伝導性層または前記電気泳動層のうちの少なくとも1つと電気連通する固定電流制限抵抗器をさらに備える、項目1に記載のディスプレイ。
(項目11)
感圧式電気泳動ディスプレイであって、前記ディスプレイは、
第1の電極層と、
第2の電極層であって、前記第1の電極および前記第2の電極は、前記第1の電極および前記第2の電極にわたる電圧の印加に応じた電位差を提供するように構成される、第2の電極層と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置付けられる電気泳動層と、
誘電流体を備える誘電流体層であって、前記誘電流体層は、前記第1の電極と前記電気泳動層との間に位置付けられる、誘電流体層と、
を備え、圧力を前記感圧式電気泳動ディスプレイ上の場所に印加することは、前記誘電流体層の少なくとも一部の変位を引き起こし、それによって、前記場所に位置する前記電気泳動層の部分によって被られる電場の変化を引き起こし、それによって、前記電気泳動層内の状態の局所的変化を引き起こす、ディスプレイ。
(項目12)
前記電気泳動層はさらに、状態を局所的に変化させて初期状態に戻すように構成される、項目11に記載のディスプレイ。
(項目13)
前記電気泳動層は、前記印加される圧力と、印加される電位差の変更とに基づいて、第1の状態から第2の状態へ、または前記第2の状態から前記第1の状態へ、状態を局所的に変化させるように構成される、項目12に記載のディスプレイ。
(項目14)
1または複数の構造部材をさらに備え、前記1または複数の構造部材は、前記第1の電極層と前記電気泳動層との間に位置付けられる、項目11に記載のディスプレイ。
(項目15)
前記電気泳動層は、電気泳動移動性を有する第1の粒子群と、電気泳動移動性を有する第2の粒子群とを備え、前記第1の粒子群は、前記第2の粒子群と異なる色を有する、項目11に記載のディスプレイ。
(項目16)
感圧式電気泳動ディスプレイであって、前記ディスプレイは、
磁場を生み出すように構成される磁気層と、
電気的かつ磁気的にアドレス指定可能なインク媒体を備える電気泳動層であって、前記電気泳動層は、印加される圧力に基づいて、状態を局所的に変化させるように構成される、電気泳動層と、
前記磁気層と前記電気泳動層との間に位置する変形可能層と
を備え、圧力を前記感圧式電気泳動ディスプレイ上の場所に印加することが、前記変形可能層の少なくとも一部の変位を引き起こし、それによって、前記場所に位置する前記電気泳動層の部分によって被られる前記磁場の変化を引き起こし、それによって、前記電気泳動層内の状態の局所的変化を引き起こす、ディスプレイ。
(項目17)
前記電気泳動層は、前記印加される圧力と、前記磁場の大きさまたは方向とに基づいて、第1の状態から第2の状態へ、または前記第2の状態から前記第1の状態へ局所的に変化するように構成される、項目16に記載のディスプレイ。
(項目18)
前記変形可能層は、ゲル、発泡体、または粘性液体から成る群から選択される材料を備える、項目16に記載のディスプレイ。
(項目19)
前記電気泳動層は、電気泳動移動性を有する第1の粒子群と、電気泳動移動性を有する第2の粒子群とを備え、前記第1の粒子群は、異なる色および前記第2の粒子群を有する、項目16に記載のディスプレイ。
(項目20)
項目1に記載の感圧式電気泳動ディスプレイを使用する方法であって、前記方法は、
A)前記ディスプレイに接触することによって、増加させられた圧力の領域を生成することであって、前記増加させられた圧力の領域は、前記ディスプレイの状態の局所的変化を生み出す、ことと、
B)前記ディスプレイの状態の大域的変化を生み出すことと
を含む、方法。
(項目21)
項目11に記載の感圧式電気泳動ディスプレイを使用する方法であって、
A)前記ディスプレイに接触することによって、増加させられた圧力の領域を生成することであって、前記増加させられた圧力の領域は、前記ディスプレイの状態の局所的変化を生み出す、ことと、
B)前記ディスプレイの状態の大域的変化を生み出すことと
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A図1Aは、非圧縮状態にある伝導性層を有する感圧式電気泳動ディスプレイ構築の例示的例証である。
【0015】
図1B図1Bは、圧縮状態にある伝導性層を有する感圧式電気泳動ディスプレイ構築の例示的例証である。
【0016】
図2A図2Aは、非圧縮状態にある伝導性層を有する感圧式電気泳動ディスプレイ構築の別の例示的例証である。
【0017】
図2B図2Bは、圧縮状態にある伝導性層を有する感圧式電気泳動ディスプレイ構築の別の例示的例証である。
【0018】
図3A図3Aは、両方とも非圧縮状態にある2つの伝導性層を有する感圧式電気泳動ディスプレイ構築の例示的例証である。
【0019】
図3B図3Bは、2つの伝導性層を有する感圧式電気泳動ディスプレイ構築の例示的例証であり、第1の伝導性層は、圧縮状態にある一方、第2の伝導性層は、非圧縮状態にある。
【0020】
図3C図3Cは、2つの伝導性層を有する感圧式電気泳動ディスプレイ構築の例示的例証であり、第1の伝導性層は、非圧縮状態にある一方、第2の伝導性層は、圧縮状態にある。
【0021】
図4A図4Aは、初期状態にある感圧式電気泳動ディスプレイの別の例示的例証である。
【0022】
図4B図4Bは、圧縮力がディスプレイに印加され、電気泳動層の上方の電極および下方の電極をともにより近くに移動させ、それによって、ディスプレイ状態の変化を生み出した後の、図4Aの感圧式電気泳動ディスプレイを例証する。
【0023】
図5A図5Aは、磁気基板と圧縮性媒体とを含む感圧式電磁泳動ディスプレイの例示的例証である。
【0024】
図5B図5Bは、圧縮力が図5Aの電磁泳動ディスプレイに印加されるときの結果として生じる状態変化を示す。
【0025】
図6図6は、感圧式電気泳動ディスプレイを使用するための方法フローチャートである。
【0026】
図7図7は、指を用いてアドレス指定された後の、実験的感圧式電気泳動ディスプレイの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
「電気光学」という用語は、材料またはディスプレイに適用される場合、画像化技術分野におけるその従来の意味で本明細書中において使用され、少なくとも1つの光学特性が異なる第1の表示状態および第2の表示状態を有する材料であって、材料への電場の印加によって、その第1の表示状態からその第2の表示状態に変化させられる、材料を指す。光学特性は、典型的には、ヒトの眼に知覚可能な色であるが、光学透過率、反射率、ルミネッセンス、または機械読取のために意図されるディスプレイの場合、可視範囲外の電磁波長の反射の変化の意味での擬似色等の別の光学特性であり得る。
【0028】
いくつかの電気光学材料は、材料が固体外部表面を有するという意味で固体であるが、材料は、内部の液体で充填された空間または気体で充填された空間を有し得、多くの場合、それを有する。固体電気光学材料を使用するそのようなディスプレイは、以降、便宜上、「固体電気光学ディスプレイ」と称され得る。したがって、「固体電気光学ディスプレイ」という用語は、回転二色部材ディスプレイ、カプセル化された電気泳動ディスプレイ、マイクロセル電気泳動ディスプレイ、およびカプセル化された液晶ディスプレイを含む。
【0029】
「双安定」および「双安定性」という用語は、当技術分野におけるそれらの従来の意味で本明細書中において使用され、少なくとも1つの光学特性が異なる第1の表示状態および第2の表示状態を有する表示要素を備えるディスプレイであって、その第1の表示状態または第2の表示状態のうちのいずれか一方を呈するように有限持続時間のアドレス指定パルスを用いて任意の所与の要素が駆動されてから、アドレス指定パルスが終了した後に、表示要素の状態を変化させるために必要とされるアドレス指定パルスの最小持続時間の少なくとも数倍(例えば、少なくとも4倍)その状態が続くようなディスプレイを指す。米国特許第7,170,670号では、グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、それらの極限の黒色状態および白色状態においてだけではなく、それらの中間のグレー状態においても安定しており、同じことがいくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが示されている。本タイプのディスプレイは、適切には、双安定性ではなく「多安定性」と呼ばれるが、便宜上、「双安定性」という用語が、本明細書では、双安定性ディスプレイおよび多安定性ディスプレイの両方を網羅するように使用され得る。
【0030】
長年にわたり熱心な研究および開発の対象である1つのタイプの電気光学ディスプレイは、粒子ベースの電気泳動ディスプレイであり、粒子ベースの電気泳動ディスプレイでは、複数の荷電粒子が、電場の影響下で流体を通って移動する。電気泳動ディスプレイ(電気泳動ディスプレイとも称される)は、液晶ディスプレイと比較したときに、良好な輝度およびコントラスト、広視野角、状態双安定、ならびに低電力消費の属性を有し得る。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期の画像品質に関する問題が、それらの広範な利用を妨げてきた。例えば、電気泳動ディスプレイを構成する粒子は、沈降する傾向があり、そのことが、これらのディスプレイの不十分な使用可能寿命をもたらす。
【0031】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)およびE Ink Corporationに譲渡された多数の特許および出願、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化された電気泳動媒体および他の電気光学媒体で使用される種々の技術を説明している。カプセル化された電気泳動媒体は、多数の小型カプセルを備え、その各々自体は、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含有する内相と、内相を包囲するカプセル壁とを備える。典型的には、カプセル自体が、ポリマ結合剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられるコヒーレント層を形成する。代替として、マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されないが、代わりに、担体媒体、典型的には、ポリマフィルム内に形成される複数の空洞内に保有される。「マイクロ空洞電気泳動ディスプレイ」という用語は、カプセル化された電気泳動ディスプレイおよびマイクロセル電気泳動ディスプレイの両方を網羅するように使用され得る。これらの特許および出願で説明される技術としては、以下が挙げられる。
【0032】
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および米国特許第7,679,814号参照)
【0033】
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および米国特許第7,411,719号参照)
【0034】
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および米国特許第9,279,906号参照)
【0035】
(d)マイクロセルを充填および封止するための方法(例えば、米国特許第7,144,942号および米国特許第7,715,088号参照)
【0036】
(e)電気光学材料を含有するフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および米国特許第7,839,564号参照)
【0037】
(f)バックプレーン、接着剤層、および他の補助層、ならびにディスプレイにおいて使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および米国特許第7,535,624号参照)
【0038】
(g)色形成および色調節(例えば、米国特許第7,075,502号および米国特許第7,839,564号参照)
【0039】
(h)ディスプレイを駆動するための方法(例えば、米国特許第7,012,600号および米国特許第7,453,445号参照)
【0040】
(i)ディスプレイの用途(例えば、米国特許第7,312,784号および米国特許第8,009,348号参照)
【0041】
(j)非電気泳動ディスプレイ(米国特許第6,241,921号、ならびに米国特許出願公開第2015/0277160号、米国特許出願公開第2015/0005720号、および米国特許出願公開第2016/0012710号で説明される)
【0042】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化された電気泳動媒体内の個別のマイクロカプセルを囲繞する壁が、連続相で置換され得、したがって、これが、いわゆるポリマ分散型電気泳動ディスプレイを生み出し、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の個別の液滴と、ポリマ材料の連続相とを備え、そのようなポリマ分散型電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の個別の液滴は、個別のカプセルの膜が各々の個々の液滴と関連付けられない場合でも、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認めている。故に、本願の目的のために、そのようなポリマ分散型電気泳動媒体は、カプセル化された電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0043】
「インパルス」という用語は、時間に関する電圧の積分のその従来の意味で本明細書で使用される。しかしながら、いくつかの双安定性電気光学媒体は、電荷変換器として作用する。そのような媒体では、インパルスの代替定義、すなわち、経時的な電流の積分(印加される総電荷に等しい)が、使用され得る。インパルスの適切な定義は、媒体が電圧-時間インパルス変換器か、または電荷インパルス変換器として作用するかどうかに応じて使用されるべきである。
【0044】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化された電気泳動媒体内の個別のマイクロカプセルを囲繞する壁が、連続相で置換され、したがって、これが、いわゆるポリマ分散型電気泳動ディスプレイを生み出し得、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の個別の液滴と、ポリマ材料の連続相とを備え、そのようなポリマ分散型電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の個別の液滴は、個別のカプセルの膜が各々の個々の液滴と関連付けられない場合でも、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認めている;例えば、前述の米国特許第6,866,760号を参照されたい。故に、本願の目的のために、そのようなポリマ分散型電気泳動媒体は、カプセル化された電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0045】
関連タイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されないが、代わりに、担体媒体、典型的には、ポリマフィルム内に形成される複数の空洞内に保有される。例えば、米国特許第6,672,921号および第6,788,449号を参照されたい(両方とも、Sipix Imaging, Incに譲渡されている)。
【0046】
(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子は、ディスプレイを通る可視光の透過を実質的に遮断するので)多くの場合、電気泳動媒体は不透明であり、反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「シャッタモード」で動作するように作製され得、シャッタモードでは、1つの表示状態が実質的に不透明であり、1つは、光透過性である。例えば、米国特許第5,872,552号、第6,130,774号、第6,144,361号、第6,172,798号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。電気泳動ディスプレイと同様であるが電場強度の変動に依存する誘電泳動ディスプレイは、同様のモードで動作し得る;米国特許第4,418,346号を参照されたい。他のタイプの電気光学ディスプレイも、シャッタモードで動作することが可能であり得る。シャッタモードで動作する電気光学媒体は、フルカラーディスプレイ用の多層構造で使用され得る;そのような構造では、ディスプレイの視認表面に隣接する少なくとも1つの層は、シャッタモードで動作して、視認表面からより遠くにある第2の層を暴露または隠蔽する。他のタイプの電気光学媒体も、本発明のディスプレイにおいて使用され得る。
【0047】
カプセル化された電気泳動ディスプレイは、典型的には、従来的な電気泳動デバイスのクラスタ化および沈降故障モードに悩まされることがなく、多様な可撓性基板および剛性基板上にディスプレイを印刷またはコーティングする能力等のさらなる利点を提供する。(「印刷」という語の使用は、全ての形態の印刷およびコーティングを含むことが意図され、限定ではないが、前計量コーティング(パッチダイコーティング、スロットコーティングまたは押出コーティング、スライドコーティングまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング等)、ロールコーティング(ナイフオーバーロールコーティング、フォワードおよびリバースロールコーティング等)、グラビアコーティング、浸漬コーティング、吹き付けコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電気印刷プロセス、熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動析出(米国特許第7,339,715号参照)、ならびに他の同様の技術を含む。)したがって、結果的なディスプレイは、可撓性であり得る。さらに、ディスプレイ媒体は種々の方法を使用して印刷され得るため、ディスプレイ自体は、安価に作製され得る。
【0048】
他のタイプの電気光学材料も、本発明で使用され得る。
【0049】
電気泳動ディスプレイは、通常、電気泳動材料の層と、電気泳動材料の両側に配置される少なくとも2つの他の層(これらの2つの層のうちの1つは、電極層である)とを備える。ほとんどのそのようなディスプレイでは、両層が、電極層であり、電極層の一方または両方が、ディスプレイのピクセルを画定するようにパターン化される。例えば、一方の電極層は、細長の行電極にパターン化され得、他方は、行電極に対して直角に延設される細長の列電極にパターン化され得、ピクセルは、行電極および列電極の交差によって画定される。代替として、かつより一般的には、一方の電極層は、単一連続電極の形態を有し、他方の電極層は、ピクセル電極の行列にパターン化され、その各々が、ディスプレイの1ピクセルを画定する。ディスプレイと別個のスタイラス、印字ヘッド、または同様の可動電極との併用が意図される別のタイプの電気泳動ディスプレイでは、電気泳動層に隣接する層のうちの1つのみが、電極を備え、電気泳動層の反対側の層は、典型的には、可動電極が電気泳動層に損傷を及ぼすのを防止することが意図される保護層である。
【0050】
米国特許第6,704,133号に説明されるようなさらに別の実施形態では、電気泳動ディスプレイは、2つの連続電極と、電極間の電気泳動層と、電極間の光伝導性層とから構築され得る。光伝導性材料は、光子の吸収に伴って抵抗率を変化させるため、入射光が、電気泳動媒体の状態を改変するために使用され得る。そのようなデバイスが、図1に図示される。米国特許第6,704,133号に説明されるように、図1のデバイスは、視認表面からディスプレイの反対側に位置する放出源(LCDディスプレイ等)によって駆動されるとき、最良に機能する。いくつかの実施形態では、米国特許第6,704,133号のデバイスは、特殊障壁層を正面電極と光伝導性材料との間に組み込み、反射性電気光学媒体を越えて漏出するディスプレイの正面からの入射光によって引き起こされる「暗電流」を低減させていた。
【0051】
前述の米国特許第6,982,178号は、大量生産に非常に適した固体電気光学ディスプレイ(カプセル化された電気泳動ディスプレイを含む)を組み立てる方法を説明している。本質的に、この特許は、いわゆる「フロントプレーンラミネート」(「FPL」)を説明しており、フロントプレーンラミネートは、光透過性導電性層と、導電性層に電気的に接触している固体電気光学媒体の層と、接着剤層と、剥離シートとを順に備える。典型的には、光透過性導電性層は、光透過性基板上に担持され、光透過性基板は、好ましくは、基板が永久的な変形を伴わずに、(例えば)直径10インチ(254mm)のドラムの周囲に手で巻き付けられ得るという意味で可撓性である。「光透過性」という用語は、本明細書では、そのように指定される層が、その層を通して見ている観察者が電気光学媒体の表示状態の変化を観察することを可能にするために十分な光を透過させ、表示状態の変化が、通常導電性層および隣接する基板(存在する場合)を通して視認され得ることを意味するように使用される。電気光学媒体が非可視波長での反射の変化を表示する場合、「光透過性」という用語は、関連する非可視波長の透過を指すように解釈されるべきである。基板は、典型的には、ポリマフィルムであり、通常、約1~約25ミル(25~634μm)、好ましくは、約2~約10ミル(51~254μm)の範囲内の厚さを有する。導電性層は、便宜上、例えば、アルミニウムもしくはITOの薄金属層または金属酸化物層であるか、または伝導性ポリマであり得る。アルミニウムまたはITOでコーティングされたポリ(エチレンテレフタレート)(PET)フィルムは、例えば、E.I. du Pont de Nemours & Company(Wilmington DE)からの「アルミ被覆Mylar」(「Mylar」は、登録商標である)として商業上利用可能であり、そのような商業的材料は、フロントプレーンラミネートにおける良好な結果と併用され得る。
【0052】
多くのタイプの電気光学媒体は、任意の所与の媒体が、2つの極限光学状態と、2つの極限光学状態間にあるグレーレベルの範囲とを有するという意味で、本質的に単色である。しかしながら、今日、小型ポータブルディスプレイに対しても、フルカラーディスプレイの需要がますます高まっている;例えば、携帯電話におけるほとんどのディスプレイが、今日、フルカラーである。単色媒体を使用してフルカラーディスプレイを提供するために、カラーフィルタアレイを設置する(ディスプレイがカラーフィルタアレイを通して視認され得る)か、または異なる色を表示可能な異なる電気光学媒体の領域を相互に隣接して設置するかのいずれかが必要である。
【0053】
電気泳動ディスプレイは、通常、電気泳動材料の層と、電気泳動材料の両側上に配置される少なくとも2つの他の層とを備え、これらの2つの層のうちの1つは、電極層である。ほとんどのそのようなディスプレイでは、両層が電極層であり、電極層の一方または両方が、ディスプレイのピクセルを画定するようにパターン化される。例えば、一方の電極層は、細長の行電極にパターン化され、もう一方の電極層は、行電極に対して直角で延設される細長の列電極にパターン化され得、ピクセルは、行電極と列電極との交差によって画定される。代替として、より一般に、1つの電極層は、単一連続電極の形態を有し、もう一方の電極層は、ピクセル電極の行列にパターン化され、ピクセル電極の各々が、ディスプレイの1ピクセルを画定する。ディスプレイと別個のスタイラス、印字ヘッド、または同様の可動電極との併用を意図される別のタイプの電気泳動ディスプレイでは、電気泳動層に隣接する層のうちの1つのみが、電極を備える;電気泳動層の反対側の層は、典型的には、可動電極が電気泳動層に損傷を及ぼすのを防止するように意図される保護層である。
【0054】
カプセル化された電気泳動媒体は、典型的には、ポリマ結合剤内に配置される電気泳動カプセルを備え、ポリマ結合剤は、個別のカプセルをコヒーレント層の中に形成する役割を果たす。ポリマ分散型電気泳動媒体内の連続相およびマイクロセル媒体のセル壁は、同様の機能を果たす。E INKの研究者によって、電気泳動媒体内の結合剤として使用される特定の材料が、媒体の電気光学性質に影響を及ぼし得ることが見出されている。その中でも、結合剤の選択肢によって影響される電気泳動媒体の電気光学性質は、いわゆる「滞留時間依存性」である。少なくともある場合では、双安定電気泳動ディスプレイの2つの特定の光学状態間の遷移のために必要なインパルスは、ピクセルのその初期光学状態での滞在時間に伴って変動することが見出されており、この現象は、「滞留時間依存性」または「DTD」と称される。明らかに、DTDが、ディスプレイを駆動することの困難度および生み出される画像の品質に影響を及ぼし得るので、DTDを可能な限り小さく保つことが望ましい;例えば、DTDは、均一な灰色の領域を形成することが予定されるピクセルを、グレーレベルにおいて互いに若干異ならせ得る;これは、ヒトの眼がそのような変動に非常に敏感であるため、問題となり得る。結合剤の選択肢がDTDに影響を及ぼすことが公知であるが、任意の特定の電気泳動媒体のために適切な結合剤を選定することは、これまで、試行錯誤に基づいており、本質的に、DTDと結合剤の化学的性質との間の関係は、理解されていない。
【0055】
本明細書で使用される場合、「受動触知フィードバック」は、力をユーザに印加することによってタッチの感知を再現するフィードバックと見なされ得、付加的制御回路網または付加的機械的中継器の使用を伴わずに、これを遂行する。この触知フィードバックは、ユーザによって体験される可変レベルの力を提供し得る。
【0056】
本明細書で使用される場合、「局所的書き込み」および「局所的消去」という用語は、感圧式ディスプレイの特定の領域内でのみ生じる状態の変化を指す。多くの場合、この領域は、圧力がその領域に印加された領域と重複し、そこから生じ得る。状態の局所的変化が検討されるかどうかにかかわらず、書き込みまたは消去は、多くの場合、ユーザの意図および状況的コンテキストに依存する。
【0057】
本明細書で使用される場合、「大域的書き込み」および「大域的消去」という用語は、感圧式ディスプレイの広い領域または感圧式ディスプレイの全ての領域で生じる状態の変化を指す。多くの場合、大域的消去は、電気泳動層全体によって被られる電場または磁場の変化から生じ得る。状態の大域的変化が検討されるかどうかにかかわらず、書き込みまたは消去は、多くの場合、ユーザの意図および状況的コンテキストに依存する。
【0058】
本開示の感圧式ディスプレイシステムおよび方法は、たいてい、電子ライタにおいて使用されるものとして解釈されるが、当業者は、本明細書に開示される教示が、光学フィードバックおよび触知フィードバックの両方を要求する多数の状況に適用され得ることがを認識するであろう。
【0059】
文脈によって別様に示されない限り、本明細書で説明される感圧式ディスプレイの電気泳動層は、上記で説明される構造のいずれかを備え得る。電気泳動層は、マイクロセル電気泳動ディスプレイ構造を備え得る。電気泳動層は、カプセル化された電気泳動ディスプレイ構造を備え得る。電気泳動層は、電気泳動移動性を有する第1の粒子群と、電気泳動移動性を有する第2の粒子群とを備え得、第1の粒子群は、第2の粒子群と異なる色を有する。電気泳動層はまた、第1の群および第2の群の色と異なる色を有する電気泳動移動性を有する第3の粒子群を備え得る。
【0060】
電気泳動媒体の粒子は、典型的には、1または複数の顔料タイプを含む。顔料は、電気的および磁気的の両方で制御可能であり得る(すなわち、電磁泳動)。複数顔料ディスプレイでは、顔料タイプのみが、電気的および磁気的の両方で制御可能であり得る。複数顔料ディスプレイの例は、白色顔料粒子および黒色顔料粒子を含むディスプレイである。黒色顔料粒子は、例として、電気的および磁気的の両方で制御可能であり得る。Bayferrox8600、8610;Northern Pigments604、608;Magnox104、TMB-100;Columbian Mapico Black;Pfizer CX6368およびCB5600、ならびに同等物等の商業的に利用可能な磁気粒子が、単独で、または他の顔料と組み合わせて使用され、電気的および磁気的の両方で制御可能な顔料を生成し得る。白色顔料は、例えば、二酸化チタンであり得る。
【0061】
顔料は、顔料の電荷および立体性質を制御するために、ポリマで表面官能化され得る。加えて、典型的には、電荷制御剤が、顔料タイプのための所望のゼータ電位を達成するために、電気泳動媒体内に含まれる。したがって、例えば、本発明の電気泳動媒体は、典型的には、種々の粒子における電荷を制御するための少なくとも1つの電荷制御剤を備える。電気泳動流体は、ポリマを分解し、または流体内にポリマを分散し得、ポリマは、例えば、米国特許第7,170,670号に説明されるように、ディスプレイの双安定性を向上させるために、約20,000超の平均分子量数を有し、本質的に、粒子において非吸収性である。
【0062】
一側面では、本開示は、感圧式電気泳動ディスプレイを提供する。ディスプレイは、感圧伝導性を有する第1の伝導性層と、第1の伝導性層に隣接して位置付けられる電気泳動層とを備え得、電気泳動層は、第1の伝導性層と電気連通し、第1の伝導性層に印加される圧力に基づいて状態を局所的に変化させるように構成され得る。
【0063】
第1の伝導性層の伝導性は、印加される圧力および結果として生じる体積変化を受けると、変化し得る。例えば、第1の伝導性層は、圧縮の間、より伝導性となり得る。第1の伝導性層は、復元力を提供するように構成され得、復元力は、第1の伝導性層を初期状態に戻すように作用する。この復元力は、受動触知フィードバックを、第1の伝導性層の機械的性質の結果として、ディスプレイの任意のユーザに提供し得る。このようにして、ディスプレイの任意のユーザは、光学フィードバックおよび触知フィードバックの両方を体験し得る。
【0064】
下記に説明されるように、感圧式ディスプレイ内の「伝導性層」が、例えば変形または圧縮に伴って変化する伝導性を有することが理解される。例えば、ドープされたゲルマニウム等の圧電抵抗材料が、感圧式導体として使用され得る。代替として、配向される伝導性粒子を有するポリマが、使用され得る。(例えば、変形または圧力に起因して)ポリマの形状または密度が変化させられると、材料の伝導性が変化する。ポリマは、ポリエチレンまたはポリエステルであり得、配向される伝導性粒子は、カーボンナノチューブまたは金属ウィスカであり得る。代替として、垂直配向性伝導性ブロックコポリマフィルム等の特別な機械加工がなされたされた材料が、使用され得る。例えば、Singh et al., “Large-Scale Roll-to-Roll Fabrication of Vertically Oriented Block Copolymer Thin Films,”ACS Nano, 2013,7(6), pp5291-5299を参照されたい。
【0065】
感圧式電気泳動ディスプレイの事例では、第1の伝導性層が圧縮を受けると、圧縮された層は、印加された電荷をより良好に伝導し得、これは、結果として生じる電気泳動層の状態の変化を生み出し得る。印加される電荷の電気的に接続された源は、バッテリまたは電圧供給源等の当技術分野において任意の一般に公知のものであり得る。電気泳動層の状態の変化は、第1の状態から1または複数のさらなる状態への明確に異なる変化であり得る。例えば、白色から黒色である。代替として、変化は、2以上の状態間で徐々に生じ得る。例えば、状態の変化は、第1の状態から、印加される圧力の大きさおよび伝導性層の後続する圧縮に基づいて、色、反射率、明度、または他の光学性質を徐々に変化させる。
【0066】
図1Aは、第1の伝導性層102と、電気泳動層104とを有する感圧式電気泳動ディスプレイ100を描写する。第1の伝導性層は、非圧縮状態で描写される。この描写では、第1の伝導性層および電気泳動層は、事実上、電気的に直列に接続されていると見なされ得る。図1Bは、第1の伝導性層102が圧縮を受けた後の時間における同一ディスプレイ100を描写する。そのような圧縮は、十分な電流が第1の伝導性層102を通って流動し、電気泳動画像化デバイス104の状態の変化を生み出すことを可能にする。ディスプレイの状態のこの変化および電気泳動ディスプレイの種々の他の構成要素は、明確にする理由から描写されていない。存在する電荷は、描写されていないが、むしろ、記号「V」によって表される。非圧縮(図1A)状態から圧縮(図1B)状態への遷移は、印加される電荷「V」の源と電気泳動層との間の抵抗の低減をもたらす。減少させられた抵抗に起因して、電気泳動層104は、より強い電場を被り、これは、電気泳動層104に表示状態を変化させるために十分である。第1の伝導性層が圧縮に対する抵抗を有する事例(一般的である)では、ディスプレイ100は、例えば、ボタンに組み込まれ、視覚的フィードバックおよび触知フィードバックの両方をユーザに提供し得る。
【0067】
図2Aは、第1の伝導性層202と、電気泳動層204とを有する感圧式電気泳動ディスプレイ200の第2の実施形態を描写する。これら2層間に介在させられ、2層に電気的に接続されているのは、第1の電極層206である。この第1の電極層は、固定電流制限抵抗器210に電気的に接続される。この描写では、第1の伝導性層および電気泳動層は、事実上、電気的に並列に接続されていると見なされ得る。図2Bは、第1の伝導性層202が圧縮を受けた後の時間における同一ディスプレイ200を描写する。そのような圧縮は、十分な電流が、第1の伝導性層202を通って流動し、電気泳動ディスプレイ204の状態の変化を生み出すことを可能にする。この構成では、印加される圧力の大きさは、電気泳動層204によって被られる電荷電位を増加または減少させ得る。ディスプレイの状態の変化および電気泳動ディスプレイ200の種々の他の構成要素は、明確性の理由から描写されない。存在する電荷は、描写されていないが、むしろ、「V」およびさらなるより低い「-V」によって表される。
【0068】
図3Aは、第1の伝導性層302と、第2の伝導性層303と、電気泳動層304とを有する感圧式電気泳動ディスプレイ300の第3の実施形態を描写する。第1の伝導性層302と第2の伝導性層303との間に介在させられているのは、第1の層302と接触および電気連通する第1の電極層306である。第2の電極層308も、第1の伝導性層302と第2の伝導性層303との間に介在させられ、第2の伝導性層303と接触および電気連通する。絶縁層307が、第1の電極層306と第2の電極層308との間に位置付けられる。第3の電極309は、第2の伝導性層303と電気泳動層304との間に介在させられ、その両方と接触および電気連通する。第1の固定電流制限抵抗器310が、第2の電極層308に電気的に接続される。第2の固定電流制限抵抗器311は、第1の電極層306および第3の電極層309の両方に電気的に接続される。この描写では、第1の伝導性層302および電気泳動層304は、事実上、電気的に直列に接続されていると見なされ得る。第2の伝導性層303および電気泳動層304は、事実上、電気的に並列に接続されていると見なされ得る。存在する電荷は、描写されていないが、むしろ、「V」およびさらなるより低い「-V」によって表される。
【0069】
図3Bは、第1の伝導性層302が圧縮を受けた後の時間における同一のディスプレイ300を描写する。第1の伝導性層302における変形は、第2の伝導性層303の変形に優越するので、電気泳動層304によって被られる電荷電位は、「-V」に向かって引動される。そのような隔離された圧縮を層のうちの1つのみにおいて生み出すために、第1の伝導性層302は、第2の伝導性層303より低い降伏強度および/または堅度を有し得る。この機械的性質における差異は、小さい大きさおよび/または短い持続時間の印加される圧力が、第1の伝導性層302のみを圧縮することを可能にする。印加される圧力の低減は、ディスプレイ300が図3Aに描写される初期状態に戻ることを可能にし得る。
【0070】
図3Cは、再び、第2の伝導性層303が圧縮を受けた後の時間における同一のディスプレイ300を描写する。第2の伝導性層303における変形は、第1の伝導性層302の変形に優越するので、電気泳動層304によって被られる電荷電位は、「V」に向かって引動される。そのような隔離された圧縮を生み出すために、第1の伝導性層302は、さらに、第2の伝導性層303より高い降伏強度および/または堅度を有し得る。この機械的性質における差異は、大きい大きさおよび/または長い持続時間の印加される圧力が、第2の伝導性層303を圧縮することを可能にする。印加される圧力の低減は、ディスプレイ300が図3Aに描写される初期状態に戻ることを可能にし得る。
【0071】
1または複数の伝導性層の材料性質は、ディスプレイが使用されることを意図される用途に具体的に合わせられ得る。種々の用途は、印加される圧力の大きさ、持続時間、および周波数から生じる可変感度要件を必要とし得る。1または複数の伝導性層が、特有の圧縮強度、弾性、堅度、引張強度、靭性、または降伏強度性質を有するように要求され得る。1または複数の伝導性層は、圧電抵抗材料を備え得る。
【0072】
図1A図3Cは、多くの場合線形配列で相互に接触するようなディスプレイの要素を描写するが、当業者は、これらの教示を、1または複数の伝導性層が電気泳動画像化ディスプレイから空間的に分離される配列を含む、多様な構成に適用し得る。加えて、電気泳動層は、低い画像安定性を有し、それによって、高速状態変化を可能にするように設計され得る。
【0073】
別の側面では、本開示は、感圧式電気泳動ディスプレイを提供する。ディスプレイは、第1の電極層と、第2の電極層とを備え得、第1の電極および第2の電極は、電位差を提供するように構成される。ディスプレイはまた、電気泳動層を備え得、電気泳動層は、第1の電極と第2の電極との間に位置付けられ、第1の電極層に印加される圧力に基づいて、状態を局所的に変化させるように構成される。本実施形態では、圧縮性層(圧電抵抗性ではない)が非圧縮状態にあるとき、圧縮性層が電極を分離する。圧縮性層は、誘電流体層であり得、誘電流体層は、誘電流体を備え、第1の電極と電気泳動材料との間に位置付けられる。
【0074】
電気泳動層はさらに、状態を局所的に変化させて初期状態に戻すように構成され得る。例えば、状態の初期変化が、ディスプレイの局所的領域における白色から黒色である場合、この同一の局所的領域は、電極の極性を逆転させることによって、黒色から白色に変えられ得る。この局所的消去はまた、印加される圧力の大きさおよび/または持続時間の変化からも生じ得る。印加される圧力の大きさおよび/または持続時間のそのような変化はまた、第1の電極層および第2の電極層からの電位差の変化を伴い得る。加えて、電気泳動層は、電位差を変化させることによって、またはクリア化波形(印加されるパルス)を印加することによって、均一状態へ大域的に変化し得る。この大域的消去は、事実上、ディスプレイを所望の状態にリセットするために使用され得る。例えば、ディスプレイは、局所的白色状態および局所的黒色状態の両方がディスプレイ上に存在する状態から、完全白色状態へ大域的に変化させられ得る。
【0075】
図4Aは、第1の電極層401と、第2の電極層402と、第1の電極層と第2の電極層との間に位置付けられる電気泳動層404とを有する感圧式電気泳動ディスプレイ400を描写する。電気泳動層404は、典型的には、例えばゼラチン内にカプセル化される。代替として、電気泳動層404は、電気泳動材料で充填された複数の事前に製作されたマイクロセルを含み得る。電気泳動層はまた、(すなわち、上記に列挙された特許に説明されるように)ポリマ分散型電気泳動媒体を含み得る。電極層は、1または複数の電荷源および電子構成要素(描写されていない)に電気的に接続され得る。電極層は、酸化インジウムスズ、PEDOT(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン))、または他のポリマ(例えば、伝導性マトリクス材料(例えば、金属薄片、ウィスカ、もしくはフィブリル)をさらに含むポリエチレン、またはフラーレン型化合物(例えば、カーボンナノチューブもしくはグラフェン))を備え得る。2つのみの電極が描写されるが、付加的電極が、ディスプレイ400内に存在し、明確に異なる電位差を生成するために使用され得る。
【0076】
誘電流体層403である圧縮性層が、第1の電極層401と電気泳動層404との間に位置する。誘電流体層403、第1の電極層401、および第2の電極層402は、透明またはほぼ透明であり得る。誘電流体は、炭化水素、塩素化炭化水素、およびフルオロカーボン等の低相対誘電率を有する誘電溶媒を備え得る。誘電流体は、ナフサ、C-C11イソアルカン、ペルフルオロカーボン、パラフィン、PTFE、ポリエチレン、シリコーン油、またはそれらの組み合わせから成る群から選択され得る。誘電流体は、相対誘電率を最適値に変化させるために、塩または伝導性モノマもしくはポリマ等のイオン電荷担体でドープされ得る。誘電流体層は、2~6の相対誘電率を有し得、例えば、誘電流体層は、2~4の相対誘電率を有し得る。
【0077】
図4Aのディスプレイ400には、第1の(透明)電極401に接触する可撓性カバー406も描写される。可撓性カバー406は、当技術分野において一般に公知の他のディスプレイカバー光学性質を有することに加え、透明またはほぼ透明であり得る。ディスプレイ400はまた、誘電流体層403および電気泳動層404に接触し得る側壁412を備え得る。基板層408が、第2の電極層402および背面プレート410に接触し得る。基板408は、可撓性であり得、背面プレート410は、基板408およびディスプレイ400の他の構成要素に構造支持を提供するように構成され得る。例えば、背面プレート410は、ディスプレイ400の全体的堅度を向上させ得る。接着剤層(描写されず)が、構成要素層のいずれかの間に存在し、層間の接触を維持することを補助し得る。例えば、導電性接着剤層が、第2の電極402と電気泳動画像化材料404との間に位置付けられ得る。
【0078】
1または複数の構造部材414が、誘電流体層403内に位置し得る。構造部材414は、任意の印加される圧力に対する復元力または抵抗を提供することによって、誘電流体層403の均一な高さを維持するように構成され得る。構造部材414は、ビーズ、糸、メッシュ、およびそれらの組み合わせから成る群から選択され得る。構造部材404は、ポリマ材料を備え得る。
【0079】
図4Bは、再び、圧力が物体416によって印加された後の時間における同一のディスプレイ400を描写する。物体416は、変形させられた領域を誘電流体層403内に生成するために十分な圧力を生成することが可能な指、スタイラス、または他のアイテムであり得る。可撓性カバー406および第1の(透明)電極401は、物体416から印加される圧力の結果として、屈曲し、変形させられた領域を誘電流体層403内に生み出す。ディスプレイ400内でのこの動きは、第1の電極層401が、電気泳動層404のより近くに移動することを可能にする。第1の401電極層および/または第2の402電極層に供給される電荷に基づいて、電気泳動層404は、状態を局所的に変化させ得る。この状態の変化は、初期状態から第2の状態への変化または第2の状態から初期状態へ戻る変化であり得る。例えば、ディスプレイ400は、白色から黒色へ局所的に変化させられ得、これは、局所的書き込みと見なされ得る。第1の401電極層および/または第2の402電極層に供給される電荷の変化を用いることで、ディスプレイ400は、次いで、黒色から白色へ局所的に変化させられ得、これは、局所的消去と見なされ得る。加えて、電気泳動層404は、第1の401電極層および/または第2の402電極層に供給される電荷の大きさを変化させることによって、均一状態へ大域的に変化させられ得る。この変化は、パルスの形態であり得る。大域的変化に関して、印加される圧力は、必要ではないこともある。
【0080】
一側面では、本開示は、感圧式電磁泳動ディスプレイを提供する。ディスプレイは、磁場を生み出すように構成される磁気層と、アドレス指定可能インク媒体を備える電磁泳動層とを備え得、アドレス指定可能インク媒体は、電場および磁場の両方に応答し、印加される圧力に基づいて、状態を局所的に変化させるように構成され得る。ディスプレイはまた、磁気層と電気泳動層との間に位置する変形可能層を備え得、圧力を感圧式電気泳動ディスプレイ上のある場所に印加することが、変形可能層の少なくとも一部の変位を引き起こし、それによって、その場所に位置する電気泳動層の部分によって被られる磁場の変化を引き起こし、それによって、電気泳動層内の状態の局所的変化を引き起こす。
【0081】
電気泳動層はさらに、状態を局所的に変化させて初期状態に戻すように構成され得る。例えば、状態の初期変化が、ディスプレイの局所的領域における白色から黒色である場合、この同一の局所的領域が、黒色から白色へ変えられ得る。この局所的消去は、印加される圧力の大きさおよび/または持続時間の変化から生じ得る。印加される圧力の大きさおよび/または持続時間のそのような変化はまた、磁気層によって生み出される磁場の磁気および/または方向の変化を伴い得る。加えて、ディスプレイは、電圧パルスを電気泳動層に印加することによって、均一状態へ大域的に変化し得る。この大域的消去は、事実上、ディスプレイを所望の状態にリセットするために使用され得る。例えば、ディスプレイは、局所的白色状態および局所的黒色状態の両方がディスプレイ上に存在する状態から、完全白色状態へ大域的に変化させられ得る。
【0082】
図5Aは、磁気層501と、電磁泳動層504と、それらの間に位置する変形可能層503とを有する感圧式電磁泳動ディスプレイ500を描写する。描写される電磁泳動層504は、カプセル化された電気泳動ディスプレイ構成と一致するが、他の電気泳動ディスプレイ構成も、容易に代用され得る。磁気層501は、永久磁石、または磁場を生み出すためのシステムを備え得る。例えば、磁気層501は、永久磁石のポリマ複合材、または電流搬送ワイヤのコイルが周囲に巻き付けられた磁化可能材料のシートを備え得る。変形可能層503は、ポリマ、流体、または容易に圧縮され得るいくつかの他の材料を備え得る。変形可能層503は、ゲル、発泡体、または粘性液体から成る群から選択される材料を備える。例えば、変形可能層は、誘電流体、例えば、シリコーン油、シリコーンゲル、ポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリエステル発泡体、非伝導性グリース、または重油を備え得る。可撓性カバー、背面プレート、電極層、1または複数の電荷源、および電子構成要素等の付加的構成要素も、ディスプレイ内に存在し得る。
【0083】
図5Bは、再び、圧力が物体516によって印加された後の時間における同一のディスプレイ500を描写する。物体516は、変形させられた領域を変形可能層503内に生成するために十分な圧力を生成することが可能な指、スタイラス、または他のアイテムであり得る。電磁泳動層504は、物体516からの印加される圧力の結果として、屈曲し、変形させられた領域を変形可能層503内に生み出し得る。ディスプレイ内でのこの動きは、電磁泳動層504が、磁気層501のより近くに移動することを可能にする。磁気層501とのより近い近接性を有する局所的領域は、増加させられた磁力を被り、状態を局所的に変化させ得る。加えて、電気パルスが、電磁泳動層504に印加され得る。状態の変化は、初期状態から第2の状態への変化または第2の状態から初期状態へ戻る変化であり得る。例えば、ディスプレイ500は、白色から黒色へ局所的に変化させられ得、これは、局所的書き込みと見なされ得る。磁気層501によって生み出される磁場の変化および/または電磁泳動層504への電気パルスの印加を用いることで、印加される圧力は、ディスプレイ500を黒色から白色へ局所的に変化させ得、これは、局所的消去と見なされ得る。加えて、電磁泳動層504は、磁場の大きさ、または電磁泳動層504に印加される電荷の大きさを変化させることによって、均一状態へ大域的に変化させられ得る。大域的変化に関して、印加される圧力は、必要ではないこともある。
【0084】
別の側面では、本開示は、本明細書で説明される感圧式ディスプレイのいずれかを使用するための方法を提供する。方法は、ディスプレイに接触することによって、増加させられた圧力の領域を生成する第1のステップであって、増加させられた圧力の領域は、ディスプレイの状態の局所的変化を生み出す、第1のステップを含み得る。
【0085】
図6は、感圧式電気泳動ディスプレイを使用するための方法フローチャート700を描写する。方法は、ディスプレイに接触することによって増加させられた圧力の領域を生成する第1のステップ601を含む。
【0086】
方法では、増加させられた圧力の領域を生成することは、十分な圧力を生成することが可能な指、スタイラス、または他のアイテムを用いて、ディスプレイに接触することを含み得る。ディスプレイの状態の局所的変化は、ディスプレイの状態の以前の変化の局所的消去であり得る。方法はさらに、ディスプレイの状態の大域的変化を生み出す第2のステップを含み得る。大域的変化または局所的変化を生み出すことはまた、電気泳動層に印加される電場または磁場を変化させることを含み得る。
【実施例0087】
以下の実施例は、本開示のある実施形態および側面を実証し、それらをさらに例証するために提供され、本開示の範囲の限定として解釈されるべきではない。
【0088】
(実施例1)
図7は、本開示の教示に従って構築された実験的感圧式電気泳動ディスプレイの画像である。図7のデバイスの全体的構造は、図4Aおよび図4Bと同様である。この実験的ディスプレイは、透明電極および黒鉛電極ならびに誘電流体層を使用して、受動触知フィードバックならびに局所的および大域的な書き込みおよび消去を提供する。「Hello,
world!」というメッセージを、指でディスプレイ上に書き込むことに成功した。誘電流体(シリコーン油、Dow-Corning)を有する領域は、メッセージを境界するより小さくより明るく着色された長方形である。より大きい長方形基板は、実際には、種々の電子リーダを構築するために使用されるような「標準的」E INKフロントプレーンラミネートである。可撓性カバーは、ポリエチレンであり、透明電極層は、PET-ITOである。電気泳動媒体は、ナフサ中に分散させられた白色荷電粒子および黒色荷電粒子を含み、電気泳動媒体は、ゼラチン-アカシアカプセル内にカプセル化される。
【0089】
したがって、本開示は、受動触知フィードバックを有する感圧式電気泳動ディスプレイに関するシステムおよび方法を提供する。
【0090】
本発明は、ある実施形態を参照してかなり詳細に説明されたが、当業者は、本発明が、説明される実施形態以外によっても実践され得、説明される実施形態は、例証目的のために提示され、限定のためではないことを認識するであろう。したがって、添付の請求項の範囲は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるべきではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
【外国語明細書】