(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028588
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】便座および便器装置
(51)【国際特許分類】
A47K 13/12 20060101AFI20240226BHJP
E03D 9/08 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
A47K13/12
E03D9/08 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024008581
(22)【出願日】2024-01-24
(62)【分割の表示】P 2019215529の分割
【原出願日】2019-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】佃 和磨
(72)【発明者】
【氏名】樋口 恒太
(72)【発明者】
【氏名】安藤 良彦
(57)【要約】
【課題】側面の意匠性に優れた便座および便器装置を提供すること。
【解決手段】左右両側端部から後方に向けて突出した一対のヒンジ部を有し、前記ヒンジ部は、天面部と、外側面部と、を有して構成され、前記天面部は、前記外側面部に向かって下り傾斜する、便座および便器装置である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右両側端部から後方に向けて突出した一対のヒンジ部を有し、
前記ヒンジ部は、天面部と、外側面部と、を有して構成され、
前記天面部は、前記外側面部に向かって下り傾斜する、便座。
【請求項2】
前記ヒンジ部はさらに、前記天面部と前記外側面部との間に介在する側方曲面部を有して構成され、
前記側方曲面部の第1の部位の曲率半径は、前記側方曲面部において前記第1の部位よりも前方に位置する第2の部位の曲率半径よりも大きい、請求項1に記載の便座。
【請求項3】
前記ヒンジ部はさらに、後方端部に背面部と、前記背面部と前記外側面部との間に介在する後方曲面部を有して構成され、
前記後方曲面部の第3の部位の曲率半径は、前記後方曲面部において前記第3の部位よりも上方に位置する第4の部位の曲率半径よりも小さい、請求項1または2に記載の便座。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の便座を有する、便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、便座および便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、便器装置は、温水洗浄機能や便座の自動開閉機能、暖房便座機能等の様々な機能を備えるものが普及している。多機能便器装置の構成としては、特許文献1に開示されるように、便器装置の機能を発揮するための機能部が便器の上部に搭載され、機能部に便座がヒンジ部を介して回転可能に取り付けられる構成が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、便座装置をコンパクトにするために、ヒンジ部の下方に機能部を覆うカバー部材の容積を大きく確保する技術が開示されている。しかしながら、ヒンジ部の天面の形状については詳細な開示はない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、左右両側端部から後方に向けて突出した一対のヒンジ部を有し、前記ヒンジ部は、天面部と、外側面部と、を有して構成され、前記天面部は、前記外側面部に向かって下り傾斜する、便座、および前記便座を有する便器装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図4】側方曲面部および後方曲面部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の一実施形態に係る便器装置100について、図面を参照しながら説明する。本実施形態においては、便座11について便器15の上部に水平に配置された場合に、一対のヒンジ部9側を後方といい、一対のヒンジ部9と反対側を前方という。前方を向いた際の左右の向きを左右方向または側方という。
【0008】
図1に示すように、便器装置100は、トイレ本体10と、機能部1と、使用頻度の高い機能を集約した第1リモコン装置20と、第1リモコン装置20よりも多くの機能を操作可能な第2リモコン装置21と、制御部3と、を備える。便器装置100は、一体型便器装置である。第1リモコン装置20および第2リモコン装置21は、便器装置100が設けられるトイレルームの壁面Wに配置される。第2リモコン装置21は、トイレ本体10の内部の収容部14に収容可能である。
【0009】
トイレ本体10は、便座11と、便蓋12と、トップカバー13と、収容部14と、便器15と、を備える。トイレ本体10は、上記以外にタンク等を備えている(不図示)。
【0010】
便座11は、ユーザが着座する部分である。便座11は、便器15の環状の開口上に配置され、環状の形状を有する。便蓋12は、便座11および便器15の開口を開閉可能に覆う蓋である。トップカバー13は、トイレ本体10の外形の上部を覆う部材である。収容部14は、トイレ本体10の内部に形成され、第2リモコン装置21を収容可能な凹部である。第2リモコン装置21は、使用時以外は収容部14に収容されることができる。便器15は、上方に開口し、底部に排水口が構成される。便器15は、例えば陶器からなる部材である。
【0011】
機能部1は、便器15の上部に設置される。機能部1は、便器洗浄装置や人体の臀部を洗浄する装置を内部に備える。機能部1は、後述する制御部3によって制御される。機能部1は、例えば便器洗浄機能および人体洗浄機能のほか、便座11および便蓋12の開閉等の各種機能を実行する。機能部1は、これらの機能を全て備えていてもよいし、これらの機能のうち少なくとも1つを備えていてもよい。
【0012】
機能部1は、内部に備える機能部材が多い。よって、機能部1の容積を大きく設計することが好ましい。相反する要求として、便器装置100をコンパクトに設計することも望まれている。機能部1の容積と便器装置のコンパクトな設計を両立するために、機能部1の一部は便座4のヒンジ部43の下方にも位置している。
【0013】
リモコン装置2は、便器装置100の各種機能を遠隔操作可能な装置である。機能部1および他のリモコン装置に向けて、赤外線通信、BLE(登録商標)等の通信方式で信号を発信し、各種機能を遠隔操作する。リモコン装置2は、外面に操作部を有するほか、制御部や通信部を有する。リモコン装置2は乾電池式であってもよいし、充電池式であってもよい。ブラケット30を介した壁掛け状態や、収容部14に収容された状態で充電可能であってもよい。
【0014】
制御部3は、機能部1とトイレ本体10との何れかの内部に収容される(不図示)。制御部3は、第1リモコン装置20および第2リモコン装置21から発信される信号を受信し、受信した信号に基づいて機能部1の操作を制御する。
【0015】
便座11は、環状の底面部と、底面部の内外周に沿って立ち上がる両側壁部と、両側壁部にまたがって形成される天面部と、によって構成される。便座11は、さらに環状の便座11の左右両側端部から後方に向けて突出する一対のヒンジ部9を有する。
【0016】
一対のヒンジ部9に挿通される電気モータの回転軸部材(不図示)等を介して、便座11と機能部1が連結される。これにより、便座11は機能部1に対して回転可能に取り付けられる。他にも、便座11の内部には、暖房便座機能用のヒータ等の機能部材が収容されてもよい。
【0017】
便座11の材質および製造方法は特に限定されない。便座11は、従来公知の材質や方法により製造されてよい。例えば便座11は樹脂成型品であってもよいし、例えば座面および外側面部を形成する座表部と、裏面を形成する座裏部(不図示)とを接合することによって製造されてもよい。
【0018】
便座11は、便座11を降ろした状態において便器15に当接する少なくとも1つ以上の脚部(不図示)を裏面に有することが好ましい。脚部は例えばゴム等の弾性体で構成されることで、便座11の開閉に伴う便器15との衝突を緩衝可能である。
【0019】
ヒンジ部9は、上述の通り便器装置100をコンパクトな構成にするために、後方に上り傾斜して一部が機能部1の上に乗り上げるように配置される。ヒンジ部9の内部には、便座電動開閉用電気モータの回転軸部材等の機能部材が収容されている。
【0020】
図2に示すようにヒンジ部9は、天面部91と、外側面部92と、を有して構成される。天面部91は、外側面部92に向かって下り傾斜して構成される。ヒンジ部9の一部を機能部1の上に配置した場合には、側面視においてヒンジ部の上部と座面の高さの差が大きくなり便座の意匠性が低下することがある。天面部91の下り傾斜によってヒンジ部9の外側面部92の上端が低い位置に形成できるので、便座11の側面視において座面との高さの差が小さくなり、意匠性が向上する。
【0021】
図3に示すようにヒンジ部9はさらに、天面部91および外側面部92との間に介在する側方曲面部93を有して構成される。側方曲面部93は、天面部91と外側面部92とを滑らかに結ぶ曲面によって構成される。これにより、天面部91と外側面部92とが角を形成する場合と比べて、便座11の側面視において外側面部92の上端が低く形成されて見えるため、より意匠性が向上する。便座11は、ユーザの肌が直に接触する部材である。このため、便座11の外形部が曲面によって構成されることで、使用感も向上する。
【0022】
側方曲面部93の曲率半径は、便座11の後方ほど大きくなるように構成される。ヒンジ部9は便座11の後方ほど上へ延びるため、後方ほど側方曲面部93の曲率半径を大きくして外側面部92の上端部を低い位置に形成することが有効である。これにより、便座11の側面視においてさらに意匠性が向上する。
【0023】
ヒンジ部9はさらに、後方端部に背面部94と、背面部94と外側面部92との間に介在する後方曲面部95を有するとともに、後方曲面部95の曲率半径は、下方ほど小さくなるようにして構成される。後方曲面部95は、背面部94と外側面部92とを滑らかに結ぶ曲面によって構成される。これにより、便座11の側面視においてさらに意匠性が向上する。
【0024】
側方曲面部93は、第1の部位931および第2の部位932を有する。
図4に示すように、第1の部位931は、第2の部位932よりも後方に位置する。したがって、第1の部位931の曲率半径は、第2の部位932の曲率半径よりも大きい。
図5Aおよび
図5Bに示すように、第1の部位931の曲率半径R1および第2の部位932の曲率半径R2の関係は、R1>R2である。
【0025】
後方曲面部95は、第3の部位953および第4の部位954を有する。
図4に示すように、第3の部位953は、第4の部位954よりも下方に位置する。したがって、第3の部位953の曲率半径は、第4の部位954の曲率半径よりも小さい。
図6Aおよび
図6Bに示すように、第3の部位953の曲率半径R3および第4の部位954の曲率半径R4の関係は、R3<R4である。
【0026】
天面部91と背面部94は隣り合って配置されてもよいし、その間に他の部分を介して配置されてもよい。例えば本実施形態のヒンジ部9では天面部91と背面部94は隣り合って配置されており、それに伴い側方曲面部93と後方曲面部95は隣り合って配置される。意匠性の観点から、天面部91と背面部94および側方曲面部93と後方曲面部95は、それぞれ滑らかにひと続きとなって構成されることが好ましい。
【0027】
天面部91と背面部94との間には、例えば他に中間部が介在していてもよい。その場合、対応して中間部と外側面部92との間に介在し、中間部と外側面部92とを滑らかに結ぶ曲面によって構成される中間曲面部を有していることが好ましい。意匠性の観点から、中間部と天面部91および背面部94、中間曲面部と側方曲面部93および後方曲面部95は、それぞれ滑らかにひと続きとなって構成されることが好ましい。
【0028】
以上、本実施形態の便座11および便器装置100について説明した。便座11および便器装置100によれば、以下の効果が奏される。
【0029】
本実施形態の便座11は、左右両側端部から後方に向けて突出した一対のヒンジ部9を有し、ヒンジ部9は、天面部91と、外側面部92と、を有して構成され、天面部91は、外側面部92に向かって下り傾斜する。これにより、ヒンジ部9の外側面部92の上端が低い位置に形成できるので、便座11の側面視において座面との高さの差が小さくなり、意匠性が向上する。
【0030】
ヒンジ部9はさらに、天面部91と外側面部92との間に介在する側方曲面部93を有して構成され、側方曲面部93の第1の部位931の曲率半径は、側方曲面部93において第1の部位931よりも前方に位置する第2の部位932の曲率半径よりも大きい。これにより、便座11の側面視においてさらに意匠性が向上する。
【0031】
ヒンジ部9はさらに、後方端部に背面部94と、背面部94と外側面部92との間に介在する後方曲面部95を有して構成され、後方曲面部95の第3の部位953の曲率半径は、後方曲面部95において第3の部位953よりも前方に位置する第4の部位954の曲率半径よりも小さい。これにより、便座11の側面視においてさらに意匠性が向上する。
【0032】
便器装置100は、上記の便座11を有して構成される。これにより、便器装置100が優れた意匠性を有する便座11を備えるとともに、便器装置100全体の側面の意匠性が向上する。
【0033】
以上、本開示の好ましい一実施形態について説明した。本開示は上述した実施形態に限定されるものでなく、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0034】
100…便器装置、1…機能部、10…トイレ本体、11…便座、12…便蓋、13…トップカバー、14…収容部、15…便器、2…リモコン装置、20…第1リモコン装置、21…第2リモコン装置、30…ブラケット、3…制御部、9…ヒンジ部、91…天面部、92…外側面部、93…側方曲面部、931…第1の部位、932…第2の部位、94…背面部、95…後方曲面部、953…第3の部位、954…第4の部位