(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002859
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】押し具
(51)【国際特許分類】
A41D 13/08 20060101AFI20231228BHJP
A41D 13/05 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
A41D13/08 107
A41D13/05 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130685
(22)【出願日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】P 2022101464
(32)【優先日】2022-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】518042800
【氏名又は名称】高橋 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100145861
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 薫
(72)【発明者】
【氏名】高橋 隆
【テーマコード(参考)】
3B011
3B211
【Fターム(参考)】
3B011AA06
3B011AB00
3B011AC00
3B011AC17
3B011AC22
3B011AC23
3B011AC24
3B211AA06
3B211AB00
3B211AC00
3B211AC17
3B211AC22
3B211AC23
3B211AC24
(57)【要約】
【課題】利便性が高く、不特定多数の人が触れる機器を直接触れることなく押圧操作することが可能な釦押し具の提供。
【解決手段】ユーザが機器の機器21を押圧するために用いる押し具1であって、装着部2と突出部3とを備える。装着部2は、リング状の指挿入部4を有し、ユーザの手の指20が指挿入部4に挿入されることによりユーザの手の指20に装着される。突出部3は、装着部2に設けられ、指挿入部4の径方向外側に突出する。突出部3の先端側には、機器21を押圧するための押圧部8が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが機器を押圧するために用いる押し具であって、
指挿入部を有し、前記ユーザの手の指が前記指挿入部に挿入されることにより前記ユーザの手の指に装着される装着部と、
前記装着部に設けられ、前記指挿入部の外側に突出する突出部と、を備え、
前記突出部の先端側には、前記機器を押圧するための押圧部が設けられている
ことを特徴とする押し具。
【請求項2】
少なくとも前記突出部は、導電性を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の押し具。
【請求項3】
前記押圧部の幅寸法は、前記指挿入部のリング幅よりも大きい
ことを特徴とする請求項1に記載の押し具。
【請求項4】
前記突出部は、前記装着部に着脱可能に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の押し具。
【請求項5】
前記突出部は、前記装着部に取り付けられる基端側が開口し、前記先端側が閉止する有底筒形状であり、前記装着部から取外された分離状態で、前記基端側から前記ユーザの手の指先を挿入可能な指挿入空間を内側に区画する
ことを特徴とする請求項4に記載の押し具。
【請求項6】
前記突出部は、弾性材によって形成され、前記指挿入空間に前記ユーザの手の指先を挿入したときおよび/または前記押圧部が前記機器を押圧したときに弾性変形可能である
ことを特徴とする請求項5に記載の押し具。
【請求項7】
前記装着部は、前記指挿入部の外周側に固定される基台と、前記基台から前記指挿入部の外側に突出する支持部と、を有し、
前記支持部は、弾性材によって形成され、前記基端側から前記指挿入空間に挿入されることにより弾性変形して前記突出部を保持し、
前記装着部への前記突出部の取付状態は、前記支持部の弾性力によって維持され、
前記装着部に取り付けられた前記突出部は、前記押圧部が前記機器を押圧したときに弾性変形可能である
ことを特徴とする請求項5に記載の押し具。
【請求項8】
前記装着部に前記突出部を取り付けた状態で、前記支持部の上面と前記突出部の内部上面との間に空間が存在する
ことを特徴とする請求項7に記載の押し具。
【請求項9】
前記支持部の先端側には、前記機器を押圧するための押圧部が設けられ、前記装着部から前記突出部を外した状態で、前記支持部は、前記押圧部が前記機器を押圧したときに弾性変形可能である
ことを特徴とする請求項7に記載の押し具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの手の指に装着されて使用される押し具に関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウイルス感染症などに対する予防のため、不特定多数の人が触れる機器を直接触れることなく押圧操作する対策が提案されている。例えば、特許文献1には、抗菌生地を使用した柔らかい布によって手袋のように構成され使用される接触感染予防用のグッズが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の接触感染防止用のグッズを使用する場合、ユーザは、ポケット等にグッズを収納して携行し、機器を押圧操作する際にポケット等からグッズを取出して手に装着し、押圧操作後にグッズを手から外してポケット等に収納しなければならず、利便性が低い。
そこで本発明は、利便性が高く、不特定多数の人が触れる機器を直接触れることなく押圧操作することが可能な押し具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成すべく、本発明の第1の態様は、ユーザが機器を押圧するために用いる押し具であって、装着部と突出部とを備える。装着部は、指挿入部を有し、ユーザの手の指が指挿入部に挿入されることによりユーザの手の指に装着される。突出部は、装着部に設けられ、指挿入部の外側に突出する。突出部の先端側には、機器を押圧するための押圧部が設けられている。
【0006】
本発明の第2の態様は、第1の態様の押し具であって、少なくとも突出部は、導電性を有する。
本発明の第3の態様は、第1の態様の押し具であって、押圧部の幅寸法は、指挿入部のリング幅よりも大きい。
【0007】
本発明の第4の態様は、第1の態様の押し具であって、突出部は、装着部に着脱可能に取り付けられる。
本発明の第5の態様は、第4の態様の押し具であって、突出部は、装着部に取り付けられる基端側が開口し、先端側が閉止する有底筒形状であり、装着部から取外された分離状態で、基端側からユーザの手の指先を挿入可能な指挿入空間を内側に区画する。
【0008】
本発明の第6の態様は、第5の態様の押し具であって、突出部は、弾性材によって形成され、指挿入空間にユーザの手の指先を挿入したときおよび/または押圧部が機器を押圧したときに弾性変形可能である。
【0009】
本発明の第7の態様は、第5の態様の押し具であって、装着部は、指挿入部の外周側に固定される基台と、基台から指挿入部の外側に突出する支持部と、を有する。支持部は、弾性材によって形成され、基端側から指挿入空間に挿入されることにより弾性変形して突出部を保持する。装着部への突出部の取付状態は、支持部の弾性力によって維持される。装着部に取り付けられた突出部は、押圧部が機器を押圧したときに弾性変形可能である。
【0010】
本発明の第8の態様は、第7の態様の押し具であって、装着部に突出部を取り付けた状態で、支持部の上面と突出部の内部上面との間に空間が存在する。
【0011】
本発明の第9の態様は、第7の態様の押し具であって、支持部の先端側には、機器を押圧するための押圧部が設けられ、装着部から突出部を外した状態で、支持部は、押圧部が機器を押圧したときに弾性変形可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザは、手の指に装着した押し具によって、不特定多数の人が触れる機器を直接触れることなく押圧操作することができる。また、外出する際等に手の指に押し具を装着すればよく、機器の押圧操作の際に押し具を都度着脱する必要がないので、利便性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)は本発明の第1実施形態に係る押し具の側面図、(b)は(a)の押し具を矢印Ib方向から視た側面図、(c)は(a)の押し具を矢印Ic方向から視た上面図、(d)は(a)の押し具を矢印Id方向から視た下面図である。
【
図3】
図1の押し具の分離状態を示す側面図である。
【
図6】
図1の装着部の第1係止溝の拡大斜視図である。
【
図7】
図1の装着部の第2係止溝の拡大斜視図である。
【
図8】
図1の押し具の他の使用態様を示す図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る押し具の側面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る押し具の他の使用形態を示す図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る押し具の別の側面図である。
【
図12】本発明の第3実施形態に係る押し具の側面図である。
【
図13】本発明の第3実施形態に係る押し具の他の使用形態を示す図である。
【
図14】本発明の第3実施形態に係る押し具の別の側面図である。
【
図15】本発明の第4実施形態に係る押し具の側面図である。
【
図16】本発明の第4実施形態に係る押し具の他の使用形態を示す図である。
【
図17】本発明の第4実施形態に係る押し具の別の側面図である。
【
図18】本発明の変形例に係る押し具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、上下方向は、装着部2の鉛直上方に突出部3が位置する姿勢での上下方向を意味する。また、各部材に関する方向は、突出部3を装着部2に組み付けた状態での方向である。
【0015】
図1~
図3に示すように、押し具1は、ユーザが機器21を押圧するために用いる押し具1である。押し具1は、装着部2と突出部3とを備え、突出部3は、装着部2に設けられている。より詳しくは、突出部3は、装着部2に着脱可能に取り付けられる。押し具1は、突出部3がユーザの手の外側(甲側)を向く姿勢で、ユーザの手の指20に装着され使用される。
【0016】
装着部2は、指挿入部4と基台5と支持部6とを有する。指挿入部4と基台5と支持部6とは、金属や樹脂などの導電性を有する任意の素材によって形成される。ユーザの手の指20が指挿入部4に挿入されることにより、装着部2がユーザの手の指20に装着される。
【0017】
指挿入部4は、リング状に形成されている。リング状には、全周が連続する完全な環形状(例えば円環形状、楕円環形状、多角環形状など)の他、全周の一部が切欠かれた不完全な環形状(C形状)が含まれる(指挿入部4は、リング状の他ユーザが指20を挿入することができる各種の形状を採用することができる)。本実施形態の指挿入部4は、下部が切欠かれた不完全な円環形状であり、可撓性を有する硬質樹脂によって形成されている。可撓性を有し、且つ不完全な環形状であるため、ユーザの個人差により指20の太さが異なる場合であっても柔軟に対応することができる。
【0018】
基台5は、円板形状であり、指挿入部4の上部(頂部)の外周側に固定される。基台5の形状は円板形状に限定されず、他の形状であってもよい。指挿入部4と基台5とを一体に形成してもよく、別体に形成して両者を固定してもよい。別体に形成する場合、指挿入部4とは異なる材料で基台5を形成してもよい。
【0019】
支持部6は、基台5の外径よりも小さい外径を有する円筒形状であり、基台5の上面から上方(指挿入部4の径方向外側)に突出する。基台5と支持部6とを一体に形成してもよく、別体に形成して両者を固定してもよい。別体に形成する場合、基台5とは異なる材料で支持部6を形成してもよい。支持部6の形状は上記に限定されず、他の形状(例えば円柱形状等)であってもよい。
【0020】
突出部3は、装着部2に取り付けられる下端側(基端側)が開口し、上端側(先端側)が閉止する有底筒形状より詳しくは有底円筒形状(外観は円柱形状)であり、金属や樹脂などの導電性を有する任意の素材によって形成される。本実施形態の突出部3は、可撓性を有する硬質樹脂によって形成されている。突出部3の内径は、基台5の外径よりも小さく、且つ支持部6の外径よりも僅かに大きい。突出部3が装着部2から取り外された分離状態で、突出部3の内側には、下端側(基端側)からユーザの手の指先(指20の先端部)を挿入可能な指挿入空間7が区画される(
図8参照)。この分離状態で、指先を指挿入空間7に挿入することにより、指先に突出部3が装着される。なお、突出部3の形状は上記に限定されず。他の形状(例えば上部外面が半球面状であるドーム形状など)であってもよい。
【0021】
突出部3は、支持部6が指挿入空間7に下端側から挿入されることにより、装着部2(支持部6)に着脱可能に取り付けられる。突出部3を装着部2に取り付けた状態(突出部3の取付状態)で、突出部3は、上方(指挿入部4の径方向外側)に突出する。
【0022】
突出部3の上面3a(先端側の外面)には、釦等の機器21を押圧するための押圧部8が設けられている。本実施形態の押圧部8の上面は、上方へ膨出する湾曲面状(本実施形態では、球面の一部領域である円弧面状)である。押圧部8は、突出部3と一体に形成してもよく、押圧部8と突出部3とを別体に形成し、両者を固定してもよい。押圧部8は、金属や樹脂などの導電性を有する任意の素材(ゴム例えば導電性シリコンゴムなどの導電性を有する弾性材を含む)によって形成される。押圧部8の上面の形状は上記に限定されず、平坦面を含む他の形状であってもよい。また、
図3に示すように、突出部3の上面3a側(先端側の面)を単に押圧部8とすることとしてもよい。つまり、「突出部3の先端側には、機器21を押圧するための押圧部8が設けられている」とは、「突出部3の先端側は、機器21を押圧するための押圧部8となっている」場合を含む。
【0023】
図1(b)に示すように、突出部3の取付状態において、押圧部8の幅寸法(外径)W1は、指挿入部4のリング幅W2よりも大きい。押圧部8の幅寸法W1が指挿入部4のリング幅W2よりも大きいので、押圧部8を、押圧操作に好適な所望の大きさに設定することができる。
【0024】
次に、突出部3を装着部2に取り付ける構造について、
図4~
図7を参照して説明する。
突出部3の下部の内周面には、径方向内側へ突出する第1係止突起9と第2係止突起10とが設けられている。第1係止突起9と第2係止突起10とは、約180°ずれて配置され、第1係止突起9の幅(周方向の長さ)は、第2係止突起10の幅(周方向の長さ)よりも大きい。
【0025】
支持部6の外周面には、径方向内側へ凹む第1係止溝11と第2係止溝12とが設けられている。第1係止溝11および第2係止溝12は、上端が開口して上下方向に延びる縦溝部の下端から横溝部が周方向一側へ延びるL形状を有する。第1係止溝11の溝幅は、第1係止突起9の幅よりも僅かに大きく設定され、第2係止溝12の溝幅は、第2係止突起10の幅よりも僅かに大きく設定される。第2係止溝12の縦溝部の上端の開口幅は、第2係止突起10の進入を許容し、且つ第1係止突起9の進入を阻止する大きさを有する。第2係止溝12の横溝部の中間位置には、溝底面から径方向外側へ突出する係合突部13が設けられている。
【0026】
突出部3を装着部2に取り付ける場合、第1係止突起9と第2係止突起10とを、第1係止溝11の上端の開口と第2係止溝12の上端の開口とにそれぞれ合わせ、支持部6に対して突出部3を下方へ移動させる。支持部6に対して突出部3が下方へ移動すると、支持部6が指挿入空間7に下端側から挿入され、突出部3の下面が基台5の外縁部の上面に当接し、第1係止突起9が第1係止溝11の縦溝部の下端に達し、第2係止突起10が第2係止溝12の縦溝部の下端に達する。係る状態から、突出部3を装着部2に対して周方向一側(図示の例では時計回り)へ回すと、第1係止突起9が第1係止溝11の横溝部を移動し、第2係止突起10が第2係止溝12の横溝部を移動する。第2係止溝12の横溝部を移動する第2係止突起10は、突出部3の周面部の撓み変形によって係合突部13を乗り越えて、第2係止溝12の奥部に達する。第2係止突起10が第2係止溝12の奥部に達することにより、突出部3が装着部2に取り付けられる(突出部3の取付状態)。突出部3の取付状態では、第1係止突起9の上下方向の移動は第1係止溝11の横溝部によって規制され、第2係止突起10の上下方向の移動は第2係止溝12の横溝部によって規制され、第2係止突起10の周方向の移動は、第2係止溝12の横溝部の奥端面と係合突部13とによって規制され、突出部3が装着部2に保持される。突出部3を装着部2から取り外す場合には、上記取り付け手順を逆に行なえばよい。
【0027】
なお、突出部3を装着部2に取り付ける構造は上記に限定されず、他の構造(例えば、突出部3の下部の内周面に雌ネジを形成し、支持部6の外周面に雄ネジを形成し、突出部3を支持部6に螺合して取り付ける等)であってもよい。また、押し具1はユーザの指20に装着され使用されるため、装飾性に優れた外観を有することが好適である。
【0028】
本実施形態によれば、ユーザは、手の指20に装着した押し具1によって、不特定多数の人が触れる機器21を直接触れることなく押圧操作することができる。押し具1の被操作部となる機器21は、特に限定されるものではなく、エレベータの釦、自動販売機の釦、タッチパネルの画面上の釦などの釦の他、画面自体、各種の操作部など、様々な形態の機器を含む(機器21は、釦等の押圧操作される各種の機器を含む)。
【0029】
ユーザは、外出する際等に手の指20に押し具1を装着すればよく、機器21の押圧操作の際に押し具1を都度着脱する必要がないので、利便性が高い。
【0030】
押し具1が導電性を有しているので、抵抗膜方式のタッチパネルの他、静電容量方式のタッチパネルであっても操作することができる。
【0031】
また、タッチパネルへの入力操作などのように複数の被操作部を複数回連続的に操作する場合には、装着部2を手の指20に装着したまま突出部3を装着部2から取り外し、取り外した突出部3を手の指先に装着し(
図8参照)、押圧部8によって被操作部を押圧操作することができる。すなわち、ユーザは、2種類の使用態様(装着部2に突出部3を取り付けた状態での使用と取り外した状態での使用)から、操作形態に応じて好ましい態様を選択して機器21の押圧操作を行うことができる。
【0032】
次に、本発明の第2実施形態について、
図9および
図10を参照して説明する。本実施形態の押し具1aは、弾性を有する突出部14を用いた例であり、第1実施形態と同様の構成および同一の符号が付された構成については、第1実施形態と同様であるとしてその説明を省略することがあるものとする。
【0033】
突出部14は、ゴム、例えば、導電性シリコンゴムなどの導電性を有する弾性材によって形成される。
図9および
図10には、上部外面14aが半球面状であり、内部上面14bが平坦面である有底筒形状で外観がドーム形状の突出部14の例を図示している(第2実施形態においては、突出部14の上部外面14a側(先端側の面)が単に押圧部8となっているが、別体としての押圧部8を突出部14の上部外面14a側に設けてもよく、「突出部14の先端側には、機器21を押圧するための押圧部8が設けられている」とは、「突出部8の先端側は、機器21を押圧するための押圧部8となっている」場合も含む)。支持部15は、非弾性材(硬質材)によって円筒形状または円柱形状に形成され、支持部15の上端縁部15aには、支持部15の上端を先細りさせる直線状の傾斜面15bが設けられている(直線状の傾斜面15bは外側に突出する湾曲面状の傾斜面とすることとしてもよい)。突出部14の内径は、支持部15の外径よりも僅かに小さい。突出部14は上述した第1係止突起9および第2係止突起10を有さず、支持部15は上述した第1係止溝11および第2係止溝12を有さない(突出部14は、導電性を有する弾性材によって形成される点、ドーム状である点、突出部14の上部外面14a側(先端側の面)が単に押圧部8となっている点、第1係止突起9および第2係止突起10を有さない点等以外は上述した第1実施形態の突出部3と同様の構成である)。
【0034】
突出部14を装着部2に取り付ける場合、支持部15を突出部14の指挿入空間7に下端側から挿入する。支持部15の上端縁部15aに傾斜面15bを設けているので、支持部15を容易に挿入することができる。支持部15の挿入によって突出部14が拡径方向に弾性変形する。突出部14の下面が基台5の外縁部の上面に近接または接触し、支持部15の上面15cが突出部14の内部上面14bに近接又は接触するまで、支持部15を指挿入空間7に挿入する。突出部14の弾性変形によって突出部14が支持部15に保持され、装着部2に取り付けられる(突出部14の取付状態)。突出部14の取付状態は、突出部14の弾性力によって維持され、突出部14の取付状態では、指挿入空間7の略全域に支持部15が充填される(支持部15は、突出部14の取付状態で指挿入空間7の略全域に充填される点、上端縁部15aに傾斜面15bを設けている点、第1係止溝11および第2係止溝12を有さない点等以外は上述した第1実施形態の支持部6と同様の構成である)。突出部14は、指挿入空間7にユーザの手の指先を挿入したとき、および/または押圧部8が機器21を押圧したときに、弾性変形可能である。突出部14が弾性変形するので、ユーザは滑らかな操作感を得ることができる。
【0035】
なお、例えば
図11に示すように、突出部14の内部上面14bを外面と同様の半球面状とする等によって、装着部2に突出部14を取り付けた状態で、支持部15の上面15cと突出部14の内部上面14bとの間に空間14´が存在するように、突出部14および支持部15を構成してもよい。すなわち、支持部15の上面15cと突出部14の内部上面14bとの間に空間14´が存在するように、突出部14および支持部15を構成することにより、突出部14を装着部2に取り付けた状態でユーザが押圧部8により機器21を押圧したときに、突出部14が更に弾性変形し易くなり、機器21を損傷することを防止することができる。
【0036】
次に、本発明の第3実施形態について、
図12および
図13を参照して説明する。本実施形態の押し具1bは、弾性を有する支持部17を用いた例であり、第1実施形態および第2実施形態と同様の構成および同一の符号が付された構成については、第1実施形態および第2実施形態と同様であるとしてその説明を省略することがあるものとする。
【0037】
支持部17は、ゴム、例えば、導電性シリコンゴムなどの導電性を有する弾性材によって形成される。
図12および
図13には、円筒形状または円柱形状の支持部17の例を図示している。支持部17の上端縁部17aには、支持部17の上端を先細りさせる外側に突出する湾曲面状の傾斜面17bが設けられている(湾曲面状の傾斜面17bは直線状の傾斜面とすることとしてもよい)。支持部17の上面17c(支持部17の先端側)には、機器21を押圧するための押圧部18が設けられ、装着部2から突出部16を外した状態で、支持部17は、押圧部18が機器21を押圧したときに弾性変形可能である(第3実施形態においては、支持部17の上面17c側(先端側の面)が単に押圧部18となっているが、別体としての押圧部18を支持部17の上面17cに設けてもよく、「支持部17の先端側には、機器21を押圧するための押圧部18が設けられている」とは、「支持部17の先端側は、機器21を押圧するための押圧部18となっている」場合も含む)。突出部16は、非弾性材(硬質材)によって形成され、突出部16の内径は、支持部17の外径よりも僅かに小さい(第3実施形態においては、突出部16の上部外面16a´側(先端側の面)が単に押圧部8となっているが、別体としての押圧部8を突出部16の上部外面16a´側に設けてもよく、「突出部16の先端側には、機器21を押圧するための押圧部8が設けられている」とは、「突出部16の先端側は、機器21を押圧するための押圧部8となっている」場合も含む)。突出部16は上述した第1係止突起9および第2係止突起10を有さず、支持部17は上述した第1係止溝11および第2係止溝12を有さない(突出部16は、第1係止突起9および第2係止突起10を有さない点等以外は上述した第1実施形態の突出部3と同様の構成である)。
【0038】
突出部16を装着部2に取り付ける場合、支持部17を突出部16の指挿入空間7に下端側から挿入する。支持部17の上端縁部17aに傾斜面17bを設けているので、支持部17を容易に挿入することができる。指挿入空間7への挿入によって支持部17が縮径方向に弾性変形する。突出部16の下面が基台5の外縁部の上面に近接または接触し、支持部17の上面17cが突出部16の内部上面16aに近接又は接触するまで、支持部17を指挿入空間7に挿入する。支持部17の弾性変形によって突出部16が支持部17に保持され、装着部2に取り付けられる(突出部14の取付状態)。突出部14の取付状態は、支持部17の弾性力によって維持され、突出部14の取付状態では、指挿入空間7の略全域に支持部17が充填される(支持部17は、導電性を有する弾性材によって形成される点、突出部14の取付状態で指挿入空間7の略全域に充填される点、上端縁部17aに傾斜面17bを設けている点、第1係止溝11および第2係止溝12を有さない点等以外は上述した第1実施形態の支持部6と同様の構成である)。装着部2に取り付けられた突出部16は、押圧部8が機器21を押圧したときに弾性変形可能である。支持部17が弾性変形するので、ユーザは滑らかな操作感を得ることができる。なお、例えば
図14に示すように、装着部2に突出部16を取り付けた状態で、支持部17の上面17cと突出部16の内部上面16aとの間に空間16´が存在するように、突出部16および支持部17を構成してもよい。
【0039】
次に、本発明の第4実施形態について、
図15および
図16を参照して説明する。本実施形態の押し具1cは、弾性を有する突出部19および支持部30を用いた例であり、第1実施形態乃至第3実施形態と同様の構成および同一の符号が付された構成については、第1実施形態乃至第3実施形態と同様であるあるとしてその説明を省略することがあるものとする。
【0040】
突出部19は、ゴム、例えば、導電性シリコンゴムなどの導電性を有する弾性材によって形成される。
図15および
図16には、下端側(基端側)が開口し、上端側(先端側)が閉止する有底円筒形状の突出部19の例を図示している(第4実施形態においては、突出部19の上部外面19a´側に押圧部8が別体として設けられているが、突出部19の上部外面19a´側(先端側の面)を単に押圧部8とすることとしてもよく、「突出部19の先端側には、機器21を押圧するための押圧部8が設けられている」とは、「突出部19の先端側は、機器21を押圧するための押圧部8となっている」場合も含む)。支持部30は、ゴム、例えば、導電性シリコンゴムなどの導電性を有する弾性材によって形成される。支持部30の上端縁部30aには、支持部20の上端を先細りさせる外側に突出する湾曲面状の傾斜面30bが設けられている(湾曲面状の傾斜面30bは直線状の傾斜面とすることとしてもよい)。支持部30の上面30c(支持部30の先端側)には、機器21を押圧するための押圧部31が設けられ、装着部2から突出部19を外した状態で、支持部30は、押圧部31が機器21を押圧したときに弾性変形可能である(第4実施形態においては、支持部30の上面30c側(先端側の面)が単に押圧部31となっているが、別体としての押圧部31を支持部30の上面30cに設けてもよく、「支持部30の先端側には、機器21を押圧するための押圧部31が設けられている」とは、「支持部30の先端側は、機器21を押圧するための押圧部31となっている」場合も含む)。突出部19の内径は、支持部30の外径よりも僅かに小さい。突出部19は上述した第1係止突起9および第2係止突起10を有さず、支持部30は上述した第1係止溝11および第2係止溝12を有さない(突出部19は、弾性材によって形成される点、第1係止突起9および第2係止突起10を有さない点等以外は上述した第1実施形態の突出部3と同様の構成である)。
【0041】
突出部19を装着部2に取り付ける場合、支持部30を突出部19の指挿入空間7に下端側から挿入する。支持部30の上端縁部30aに傾斜面30bを設けているので、支持部30を容易に挿入することができる。支持部30の挿入によって突出部19が拡径方向に弾性変形し、支持部30が縮径方向に弾性変形する。突出部19の下面が基台5の外縁部の上面に近接または接触し、支持部30の上面30cが突出部19の内部上面19bに近接又は接触するまで、支持部19を指挿入空間7に挿入する。突出部19および支持部30の弾性変形によって突出部19が支持部30に保持され、装着部2に取り付けられる(突出部19の取付状態)。突出部19の取付状態は、突出部19および支持部30の弾性力によって維持され、突出部19の取付状態では、指挿入空間7の略全域に支持部30が充填される(支持部30は、突出部19の取付状態で指挿入空間7の略全域に充填される点、上端縁部30aに傾斜面30bを設けている点、第1係止溝11および第2係止溝12を有さない点等以外は上述した第1実施形態の支持部6と同様の構成である)。突出部19は、指挿入空間7にユーザの手の指先を挿入したとき、および押圧部8が機器21を押圧したときに、弾性変形可能である。突出部19が弾性変形するので、ユーザは滑らかな操作感を得ることができる。
【0042】
なお、例えば
図17に示すように、装着部2に突出部19を取り付けた状態で、支持部30の上面30cと突出部19の内部上面19bとの間に空間19´が存在するように、突出部19および支持部30を構成してもよい。すなわち、支持部30の上面30cと突出部19の内部上面19bとの間に空間19´が存在するように、突出部19および支持部30を構成することにより、突出部19を装着部2に取り付けた状態でユーザが押圧部8により機器21を押圧したときに、突出部19が更に弾性変形し易くなり、機器21を損傷することを防止することができる。
【0043】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【0044】
例えば、押し具1に、所定の処理を実行可能なICチップ22(
図3参照)を内蔵させて有することとしてもよい。所定の処理とは、通信によって外部との間で情報を送受信する処理、情報を記憶する処理、記憶した情報を書き換えて更新する処理、GPSを介して位置情報を取得する処理等の少なくともいずれかの処理を含む。
【0045】
ICチップ22は、
図18に示すように、通信によって外部との間で情報を送受信する処理を行う情報送受信部22A、情報を記憶する処理を行う情報記憶部22B、記憶した情報を書き換えて更新する処理を行う記憶情報更新部22C、およびGPSを介して位置情報を取得する処理を行う位置情報取得部22Dの少なくともいずれかの機能部を有する。ICチップ22は、これら機能部22A,22B,22C,22Dを有することにより、上記の処理を実行することができる。ICチップ22は、CPUやメモリを搭載している。
【0046】
押し具1は、このようなICチップ22を有することにより、ホテルや自宅等のドアの電子鍵、自動車キー、交通系ICカード、マラソン競技等で競技者(ランナー)の靴等に装着され自動タイム計測に用いられるICチップ(競技用計時システムに用いられるICチップ)、キャッシュカード、電子マネーカード、および位置検知システムの少なくともいずれかとして使用可能に構成されている。すなわち、押し具1は、所定の処理を実行可能なICチップ22を有することにより、各種の用途に利用することができる。
【0047】
押し具1を電子鍵や自動車キーとして使用する場合は、ICチップ22の情報送受信部22Aから鍵を開閉するための信号情報が送信されるとともに、ホテルや自宅、自動車等のドアに取り付けられた受信機により信号情報が受信され鍵の開閉が行われる。
【0048】
押し具1を交通系ICカードとして使用する場合は、情報記憶部22Bに利用者が利用する経路情報、有効期限が記憶され、定期として利用することができる。情報記憶部22Bに記憶された利用者が利用する経路情報、有効期限は、情報送受信部22Aにより受信された所定の情報に基づいて記憶情報更新部22Cにより更新することができる。
【0049】
押し具1をマラソン等の競技用計時システムに用いられるICチップとして使用する場合は、情報記憶部22Bに利用者(競技に参加する選手)の氏名や番号が記憶されるとともに、情報送受信部22Aから信号情報が送信されるとともに、スタートおよびゴール付近に設けられた受信機により信号情報が受信され利用者のタイムが計測される。
【0050】
押し具1をキャッシュカードとして使用する場合は、情報記憶部22Bに個人情報や暗証番号が記憶される。
【0051】
押し具1を電子マネーカードとして使用する場合は、情報記憶部22Bにチャージされている金額情報が記憶される。情報記憶部22Bに記憶された金額情報は、情報送受信部22Aにより受信された所定の金額情報に基づいて記憶情報更新部22Cにより更新することができる。
【0052】
押し具1を位置検知システムとして使用する場合は、情報送受信部22AによりGPSからの位置情報を受信するとともに、位置情報取得部22Dにより受信した位置情報を取得することができる。
【0053】
なお、押し具1を
図18の如く使用する場合には、機器を押圧する押圧部を有すればよく、装着部2、指挿入部4、突出部3,14,16,19等は省略することとしてもよい。この場合においては、ICチップ22は押し具1のいずれかの部位に内蔵される。
【0054】
また、上述した押し具1は、装着部2および突出部3のいずれも導電性を有することとしているが、突出部3のみを導電性を有することとしてもよい。すなわち、タッチパネル操作は、突出部3を装着部2から外して突出部3にユーザの指を挿入した状態でのみ極力行うように、装着部2は導電性を有さない構成としてもよい(タッチパネル操作は、ユーザが押圧力や接触を調整し易い指でのみ行うことで、タッチパネルの損傷を防止することができる)。つまり、押し具1は、少なくとも突出部3に導電性を有する構成とすることができる。
【符号の説明】
【0055】
1, 1a,1b,1c:押し具、2:装着部、3,14,16,19:突出部、14a,16a´,19a´:上部外面、14b,16a:内部上面、14´,16´,19´:空間、4:指挿入部、5:基台、6,15,17,30:支持部、15a,17a,30a:上端縁部、15b,17b,30b:傾斜面、15c,17c,30c:上面、7:指挿入空間、8:押圧部、9:第1係止突起、10:第2係止突起、11:第1係止溝、12:第2係止溝、13:係合突部、18,31:押圧部、20:ユーザの手の指、21:機器、22:ICチップ,22A:情報送受信部,22B:情報記憶部,22C:記憶情報更新部,22D:位置情報取得部