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特開2024-28591履物物品に装飾的デザイン及び構造的特徴を付与する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028591
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】履物物品に装飾的デザイン及び構造的特徴を付与する方法
(51)【国際特許分類】
   A43D 8/16 20060101AFI20240226BHJP
   B23K 26/00 20140101ALN20240226BHJP
【FI】
A43D8/16
B23K26/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024008637
(22)【出願日】2024-01-24
(62)【分割の表示】P 2022000457の分割
【原出願日】2015-11-11
(31)【優先権主張番号】14/538,343
(32)【優先日】2014-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500262119
【氏名又は名称】ニュー バランス アスレティックス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】New Balance Athletics,Inc.
【住所又は居所原語表記】100 Guest Street,Boston,MA 02135 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー、マイケル ダウニング
(72)【発明者】
【氏名】トロイ シューベルト
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ダブリュ スピース
(72)【発明者】
【氏名】トーマス サーバルズ
(72)【発明者】
【氏名】ワン アダン
(72)【発明者】
【氏名】ラオ キングスリー
(57)【要約】
【課題】履物物品に装飾的デザイン及び構造的特徴を付与する方法の提供。
【解決手段】本発明は、構造的特徴及び装飾的デザインを有する履物及びその一部分に関し、これを製造するためのシステム及び方法に関する。物体の表面上に特徴を付与するための例示的な方法は、物体の表面近傍にレーザ(20)を位置決めするステップと、レーザ(20)から物体の表面にレーザビーム(25)を誘導し、物体の表面の少なくとも一部分にマーキングする又はエングレービングするステップと、レーザ(20)及び物体の少なくとも1つを移動し、物体の表面上にパターンを作成するステップであって、パターンは、審美的特徴及び構造的特徴の少なくとも1つを物体の表面上に付与する、ステップと、を含む。
【選択図】図3I
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年11月11日に出願された、米国特許出願第14/538,343号明細書(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に対する利益及び優先権を主張する。
【0002】
本発明は、全般的に、履物の分野に関し、より具体的には、構造的特徴及び装飾的デザインをその上に有する履物及びその一部分、並びにこれを製造するための関連方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
履物物品への複雑な構造的特徴及び装飾的デザインの組み込みには、複雑且つ高価な製造プロセス及び材料、時間がかかり且つ大きな労働力を要する製造工程、並びに高い人件費、製造コスト及び材料コストの使用を必要とすることが多い。これらプロセスには、例えば、非常に複雑且つ高価な複数構成要素の型の製造及び使用、並びに時間がかかり且つ困難な手作業加工工程及び後処理工程の必要を含む場合がある。
【0004】
加えて、履物物品の性能、快適性及び見た目の多くの側面は、履物の着用者のパフォーマンス及び身体的特徴並びにニーズに依存するものであり、アスリートは、多くの場合、自身のパフォーマンス、快適性及び審美的要件、並びに実施する特定の行為に特別に適応させた履物を求めている。異なるアスリート及び運動ニーズに特化したパフォーマンスアスレチック用履物の製造は、複雑且つ多くの場合高価な製造プロセス、構造的要素、材料及び/又は他の特徴の使用なしには困難であることが多い。このことに対する1つの可能な解決策は、本件における譲受人/出願人によって2015年2月12日に出願され、(特許文献1)として公開された「履物の底並びにこれを設計及び製造するためのシステム及び方法(Sole for Footwear,and Systems and Methods for Designing and Manufacturing Same)」という名称の(特許文献2)、並びに本件における譲受人/出願人によって2013年12月19日に出願され、(特許文献3)として公開された「カスタマイズされた履物並びにこれを設計及び製造するためのシステム及び方法(Customized Footwear,and Systems and Methods for Designing and Manufacturing Same)」という名称の(特許文献4)に記載されている。これら両開示の内容全体は参照により本明細書中に組み込まれる。これらの件は、特定のユーザ又は特定の運動行為に関連するパラメータを決定し、このパラメータの分析に基づき性能測定基準を決定し、この性能測定基準に基づき履物物品の適切な構造的特徴を形成することによって履物物品の少なくとも一部分(例えば、ミッドソール)を形成する方法及びシステムの記載を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0223560号明細書
【特許文献2】米国特許出願第14/620,539号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2014/0182170号明細書
【特許文献4】米国特許出願第14/134,948号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
履物の高度な製造、カスタマイズ、個別化及び個人化において、装飾的デザイン及び構造的特徴を含むように改良することは、履物の製造業者と消費者の両方にとって特に魅力的なものとなる。したがって、履物物品、及び例えば、運動履物のミッドソールに、性能及び審美性の向上をもたらす一方で製造コストも最小にする構造的特徴並びに/又は装飾的デザインを付与するための種々の方法並びにシステムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、したがって、少なくとも部分的に、複雑な複数構成要素及び/又は複数材料構造を履物に組み込む必要なく履物の最適な性能特性を付与するためにその壁に組み込まれた構造的要素を有する履物及びその一部分に関し、更に、審美的特徴(カスタマイズされた、個別化及び個人化された審美的特徴を含むが、これらに限定されない)を付与するためにその壁上に組み込まれた装飾的デザインを有する履物及びその一部分に関する。
【0008】
本発明の第1の態様は、履物物品の少なくとも一部分などの物体の表面上に特徴を付与するための方法、並びに当該方法によって製造される履物物品を含む。あるいは、物体は、衣料物品であっても保護具物品であってもよい。当該方法は、物体の表面近傍にレーザを位置決めするステップと、レーザから物体の表面にレーザビームを誘導し、物体の表面の少なくとも一部分にマーキングする又はエングレービングするステップと、レーザ及び/又は物体を移動し、物体の表面上にパターンを作成するステップであって、パターンは、物体の表面上に審美的特徴及び物体の表面内に構造的特徴の少なくとも1つを付与する、ステップと、を含む。レーザは、例えば、UVレーザであってもCOレーザであってもよい。一実施形態において、物体は、履物物品のアウトソール、ミッドソール、インソール及び/若しくはアッパーの少なくとも1つ、又はその一部分を含み、例えば、ミッドソールの側壁部分を含んでもよい。
【0009】
物体の表面にマーキングするステップは、物体の表面上に審美的特徴を付与するために、物体の表面の少なくとも一部分の色を、物体の表面から材料を除去することなく変化させるステップを含んでもよく、一実施形態においては、レーザに暴露したときに物体の表面の所望の外部色を実現するために、物体は、エネルギー吸収性色感応添加物(energy-absorving,color-sensitive additive)及び着色剤の少なくとも1つを含んでもよい。
【0010】
当該方法は、レーザの駆動前に物体の表面の少なくとも一部分にマスキング媒体を塗布するステップと、マスキング媒体を通して物体の表面にマーキングする又はエングレービングするステップと、マスキング媒体を除去するステップと、を更に含んでもよい。当該方法は、レーザの駆動前又はレーザの駆動中、物体の表面に流体を塗布するステップを含んでもよく、流体は、物体の表面のマーキング又はエングレービングを補助するように機能し、一実施形態においては、マーキング又はエングレービングプロセス中、1つ以上の段階において、マーキング又はエングレービングされた表面に流体の塗布を繰り返すステップを含んでもよい。流体は水溶液であってもよく、例えば、水を含んでも水のみから実質的になってもよい。水溶液は、また、界面活性剤(例えば、セッケン)などの添加物を含んでもよい。
【0011】
一実施形態において、物体の表面にエングレービングするステップは、物体の表面上に審美的特徴及び/又は構造的特徴を付与するために、物体の表面から1つ以上の既定の深さまで材料を除去するステップを含む。既定の深さは、例えば、約0mm~約15mmであってもよく、特定の実施形態においては、表面上の異なる位置において異なっていてもよい。深さの変化は、作成される特定の構造的特徴及び/又は審美的特徴に合わせて適宜、急激及び/又は漸進的であってもよい。例えば、構造的特徴は、第1の深さを有する第1の領域と、第2の深さを有する第2の領域と、一実施形態においては、深さが第1の深さから第2の深さに変化する移行領域と、を含んでもよい。移行領域は、深さの急激な及び/又は漸進的な変化を含んでもよい。一実施形態においては、構造的特徴は、連続的に変化する深さを有する造形表面を含む又は連続的に変化する深さを有する造形表面のみから実質的になる。
【0012】
特定の実施形態において、当該方法は、エングレービング後の物体にプライマーを施すステップ(例えば、エングレービング後の物体をプライマー溶液中に浸漬してエングレービング後の物体にプライマーを施すことによって)と、プライマーを施した物体を乾燥するステップ(例えば、熱の印加によって)と、プライマーを施した物体を硬化するステップ(例えば、プライマーを施した物体に紫外光を印加することによって)と、少なくとも1つのエングレービング済み部分に着色するために着色剤を塗布するステップと、物体上の着色剤を乾燥するステップ(例えば、熱の印加によって)と、を含んでもよい。当該方法は、また、レーザ処理中及び/又はレーザ処理後に物体の表面から残留物を除去するステップを含んでもよい。残留物を除去するステップは、物体のエングレービング中に生じた残留物を洗浄するステップ(例えば、水を使用して)と、物体の表面を乾燥するステップと、を含んでもよい。
【0013】
本発明の別の態様は、物体の表面上に審美的特徴を付与する方法と、当該方法によって製造される物体と、を含む。当該方法は、物体の表面近傍にUVレーザを位置決めするステップと、レーザから物体の表面にレーザビームを誘導し、物体の表面の少なくとも一部分の色を、物体の表面から材料を除去することなく変化させるステップと、レーザ及び/又は物体を移動し、物体の表面上にパターンを作成するステップであって、パターンは、物体の表面上に審美的特徴を付与し、物体は、履物物品のアウトソール、ミッドソール、インソール及び/又はアッパーの少なくとも1つを含む、ステップと、を含む。
【0014】
本発明の更に別の態様は、物体の表面上に審美的特徴及び/又は構造的特徴を付与する方法と、当該方法によって製造される物体と、を含む。当該方法は、物体の表面にマスキング媒体を塗布するステップであって、物体が、履物物品のアウトソール、ミッドソール、インソール及び/又はアッパーの少なくとも1つを含む、ステップと、物体の表面近傍にレーザを位置決めするステップと、レーザから物体の表面にレーザビームを誘導し、物体の表面から材料及びマスキング媒体を除去し、物体の表面の少なくとも一部分上に審美的特徴及び/又は構造的特徴を付与するステップと、マスキング媒体を除去するステップと、を含む。一実施形態においては、マスキング媒体を除去するステップの前に物体の表面に少なくとも1つの色を塗布し、これにより、周囲のマスクされた領域に着色することなく構造的特徴を着色してもよい。色を塗布するステップは、例えば、エングレービング後の物体にプライマーを施すステップ(例えば、物体をプライマー溶液中に浸漬して物体の表面のマスクされていない部分にプライマーを施すことによって)と、プライマーを施した物体を乾燥するステップ(例えば、熱の印加によって)と、プライマーを施した物体を硬化するステップ(例えば、プライマーを施した物体に紫外光を印加することによって)と、物体の表面のマスクされていない部分の少なくとも一部分に着色するステップ(例えば、塗料などの着色剤を塗布することによって)と、物体上の着色剤を乾燥するステップ(例えば、熱の印加によって)と、を含んでもよい。プライマー溶液は、紫外線プライマーを含んでもよい又は紫外線プライマーのみから実質的になってもよい。
【0015】
図面においては、全般的に、異なる図の全体を通して同様の参照符号は同じ部品を意味する。また、図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、代わりとして、全般的に、本発明の原理を示すことに重きを置く。以下の説明では、本発明の種々の実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本発明のいくつかの実施形態による、靴のレーザマーキング又はエングレービング用システムの側面図である。
図1B図1Aのシステムの頂面図である。
図1C図1Aのシステムの第1の斜視図である。
図2A】本発明のいくつかの実施形態による靴の側面図である。
図2B図2Aの靴の側面からの第1の斜視図である。
図2C図2Aの靴の側面からの第2の斜視図である。
図2D図2Aの靴のアウトソールの底面図である。
図3A】本発明のいくつかの実施形態による装飾的及び/又は構造的設計の第1の変形形態を有する靴底の側面図である。
図3B】本発明のいくつかの実施形態による装飾的及び/又は構造的設計の第2の変形形態を有する靴底の側面図である。
図3C】本発明のいくつかの実施形態による装飾的及び/又は構造的設計の第3の変形形態を有する靴底の側面図である。
図3D】本発明のいくつかの実施形態による装飾的及び/又は構造的設計の第4の変形形態を有する靴底の側面図である。
図3E】本発明のいくつかの実施形態による装飾的及び/又は構造的設計の第5の変形形態を有する靴底の側面図である。
図3F】本発明のいくつかの実施形態による装飾的及び/又は構造的設計の第6の変形形態を有する靴底の側面図である。
図3G】本発明のいくつかの実施形態による装飾的及び/又は構造的設計の第7の変形形態を有する靴底の側面図である。
図3H】本発明のいくつかの実施形態による装飾的及び/又は構造的設計の第8の変形形態を有する靴底の側面図である。
図3I】本発明のいくつかの実施形態による装飾的及び/又は構造的設計の第9の変形形態を有する靴底の側面図である。
図3J】本発明のいくつかの実施形態による装飾的及び/又は構造的設計の第10の変形形態を有する靴底の側面図である。
図3K図3Jの靴底の底面図である。
図3L】本発明のいくつかの実施形態による装飾的及び/又は構造的設計の第11の変形形態を有する靴底の側面図である。
図3M】本発明のいくつかの実施形態による装飾的及び/又は構造的設計の第12の変形形態を有する靴底の側面図である。
図4】本発明のいくつかの実施形態による、履物物品の表面上に装飾的デザイン及び/又は構造的特徴の少なくとも1つを作製する方法の例証的な実施形態のフローチャートを示す。
図5】本発明のいくつかの実施形態による、物体の表面にエングレービングされた審美的特徴及び/又は構造的特徴を着色する方法の例証的な実施形態のフローチャートを示す。
図6】本発明のいくつかの実施形態による、物体の表面上に審美的特徴及び/又は構造的特徴を作成する方法の例証的な実施形態のフローチャートを示す。
図7】本発明のいくつかの実施形態による、物体の表面上に審美的特徴及び/又は構造的特徴を塗装する方法の例証的な実施形態のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
これら及び他の目的は本明細書中に開示される本発明の利点及び特徴とともに、以下の説明、添付の図面及び特許請求の範囲の参照を通じて更に明らかとなろう。更に、本明細書中に記載される種々の実施形態の特徴は相互排他的でなく、種々の組み合わせ及び順列において存在し得ることは理解されよう。
【0018】
靴、及び例えば、運動靴の靴底に構造的特徴及び装飾的デザインを付与する従来の方法は、多くの場合、複雑且つ高価な靴型の使用、多くの切断、バフ仕上げ、スカイビング仕上げ、塗装又は他の後処理、並びに底に複数の材料及び複雑な機械的構造を使用することを伴う。これは、多くの場合、時間がかかり、コストがかかり、靴の製造がかなり複雑になる場合がある。したがって、複数の材料及び/若しくは複雑な機械的構造から又は複雑且つ費用のかかる製造技術により靴底を製造する必要なく、靴の優れた審美的特性及び性能特性を付与する、改良された装飾的デザイン及び/又は構造的要素を有する靴が必要とされている。
【0019】
本明細書中に記載される本発明は、複雑な成形、後処理、又は更なる材料若しくは別個の構造的要素の付加を必要とすることなく、改良された審美的特性及び/又は性能特性を有する靴並びにその要素を提供するとともに、更に、カスタマイズされた、個別化された及び/又は個人化された装飾的デザイン並びに構造的特徴の製造の向上を可能にする。本発明のいくつかの態様において、これは、1つ以上のレーザを使用し、靴の1つ以上の表面(及び、例えば、靴の底の少なくとも一部分)上に、正確に配置され且つ成形された構造的特徴及び/若しくは選択的に配置され且つ成形された装飾的特徴を作成すること、並びに/又は靴の全体若しくは一部を選択的に着色することにより実現される。審美的特徴及び/又は構造的特徴の構成、位置並びに分配は、レーザマーキング及び/又はエングレービング法を用いて容易に靴に適用されてもよい。加えて、レーザマーキング及び/又はエングレービングを、表面に色を塗布する種々の手段と組み合わせて、固有の審美的デザインを作成してもよい。このため、特定の使用者又は特定の運動行為のために最適化された性能特性並びに特有の装飾的特徴を有する靴要素、並びに例えば、単純な一体型の靴ミッドソール(又は他の簡単明瞭な底構造を有するミッドソール)を、コスト効果的、効率的且つ繰り返し可能な手法で形成することができる。
【0020】
本明細書中に記載される靴底又は底要素(例えば、アウトソール、ミッドソール及び/又はインソール)は、任意の適切な技術により製造してもよい。例えば、靴ミッドソール又はその一部分は、発泡成形、ダイカット、発泡材料の造形、圧縮成形、及び/又は3D印刷若しくは付加製造(例えば、選択的なレーザ焼結による)などであるがこれらに限定されない成形法により製造してもよい。本明細書中に記載される底及び底要素に使用される材料は、ポリマー、エラストマー及び/若しくは熱可塑性プラスチックを含んでもよい、又はポリマー、エラストマー及び/若しくは熱可塑性プラスチックのみから実質的になってもよい高分子材料を含んでもよいが、これに限定されない。例えば、高分子材料は、エチレン酢酸ビニル(EVA)、EVA共重合体、ポリエチレン(PE)、塩素化ポリエチレン(CPE)、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、DuPont(商標)Surlyn(登録商標)、又はゴム(ノーマルゴム、ブラウンゴム、熱可塑性ゴム(TPR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、ニトリルゴム、ブタジエンゴム又はイソプレンゴムなどであるが、これらに限定されない)であってもよい。1つの例示的実施形態では、高分子材料は、グランドコンタクトEVA(すなわち、特に、適切な性能、摩耗及び耐久特性を付与し、靴底の接地面として使用することを可能にするために作製されたEVA)である。
【0021】
(例えば、ミッドソールの側壁、上面及び/若しくは下面、接地側壁、又はアウトソールの上面、又はインソールの上面及び/若しくは下面などの)その1つ以上の表面上に構造的特徴及び/又は審美的特徴を有する靴底を形成することは、運動行為中のアスリートのパフォーマンスを向上させる、着用時の履物物品の快適性を向上させる、特有のデザイン特徴を提供する、並びに/又はアスリートの個人のパフォーマンス及び/若しくは審美的嗜好を満足するためのある程度のカスタマイズ及び個別化を提供するという、運動行為及び/又は特定のアスリート若しくはアスリートグループの1つ以上のニーズを満たすように特にカスタマイズされた履物若しくは履物要素の作成を可能にする性能特性及び装飾的特性を付与する可能性がある。履物のカスタマイズは、例えば、エリートアスリート(自身の履物によるパフォーマンスの最適化を求めている)、病態を有する人々(自身の特定の状態に対するより良いクッション性、サポート及び/又は治療を提供するように特別に設計された履物を求めている)、及びカジュアルなランナー若しくはウォーカー(多くの場合、改良及びカスタマイズされた性能利点並びに/又はカスタマイズされた審美的外観(例えば、装飾的要素、トレードマーク、名前、イメージ、グラフィック等を含む)の両方を有する履物を求めている)などであるが、これらに限定されない多くのグループにとって有益となり得る。
【0022】
本明細書中に記載される本発明の一態様は、履物物品(例えば、靴、ビーチサンダル、サンダル、ソックス、圧迫支持要素などの運動用サポータ等)及び/又は完成履物物品に組み込むための要素(物品及びその製造に大きなコスト若しくは複雑さを付加することなく優れた性能及び/又は装飾的特徴(カスタマイズされた、個別化された及び個人化された特徴を含む)を提供する)の作成を可能にする。例示的な履物要素としては、靴のアウトソール、ミッドソール及び/若しくはインソール、又はアウトソール、ミッドソール及び/若しくはインソール内に配置するための要素、例えば、靴の底の、その特定の領域(例えば、ヒール、足中央部及び/若しくは足前部領域内)に挿入するための、若しくは靴の底の、その特定の領域(例えば、ヒール、足中央部及び/若しくは足前部領域内)に取り付けるための(例えば、機械的な取り付け、接着若しくは他の適切な取付手段によって)、緩衝若しくは安定要素、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書中に記載される方法及びシステムによって制御、改良又はそうでなければ適応させてもよい履物若しくは履物要素の性能特徴は、個人若しくは個人のグループに関連するいくつかの身体的性能(例えば、運動性能)及び/又はユーザの嗜好特性に基づいてもよい。例えば、着地位置(例えば、歩行サイクル又は他の運動動作中の足の初期接地時におけるヒールストライク、ミッドフットストライク又はフォアフットストライク)、ストライド長、ストライド率(すなわち歩行率)、着地時の足の回内若しくは回外、接地時及びつま先が離れる際の足の旋回、走行スタイル、走行速度、並びに/又は1つ以上の関節の柔軟性などであるがこれらに限定されない特定のアスリート又はアスリートの部分集合の性能側面に、慎重に選択した履物の構造的要素を作成することにより対処してもよい。履物の構造的要素には、運動行為時のアスリートのパフォーマンスを向上させるように、及び/又は運動行為中、着用される履物の快適性を向上させるように、必要に応じて特定の性能特性が支持されている又は補償されている。
【0024】
加えて、特定のアスリート又はアスリートの部分集合のための履物の壁要素(及び例えば、履物の底又は要素又はその一部分)を成形、位置決め及び配向する際に、特定の運動行為の性能要件を考慮に入れることができる。例えば、ランナー(トラックランナー、ロードランナー又はクロスカントリーランナーなど)の性能及び牽引力要件は、ランナーが短距離ランナーであるか長距離ランナーであるか、及び/又はランナーがコーナの走行に対処する履物を必要とするかどうか(例えば、標準的な屋内若しくは屋外運動トラックで)、又は走行が主に直線で実施されるかどうか(例えば、ロードレース又はジョギング時)に応じて異なる可能性がある。履物の設計は、天候、地形、及びアスリートがパフォーマンスを行う足元の条件にも依存する場合があり、例えば、ウェット/ドライ条件又は柔らかい/硬い足元条件には異なる牽引力要件が必要である。加えて、異なるスポーツでは、構造的要素の異なる形状、大きさ及び構成を必要とする場合があり、例えば、サッカー、アメリカンフットボール、フィールドホッケー、野球等の靴はすべて異なる構造的性能要件を必要とする。
【0025】
構造的特徴及び/又は審美的デザイン要素は種々のスポーツ及び運動の動きに合わせて最適化することができる。例示的なスポーツとしては、バスケットボール、野球、ソフトボール、サッカー、アメリカンフットボール、フィールドホッケー、アイスホッケー、アイススケート、スピードスケート、ラグビー、テニス、スカッシュ、ラケットボール、スケートボード、サイクリング、短距離、中距離若しくは長距離競走、クロスカントリーランニング並びに/又は任意のトラック及びフィールドイベントが挙げられるが、これらに限定されない。履物要素が最適化され得る運動行為としては、例えば、走ること、方向転換すること、ジャンプすること、かがむこと、蹴ること、投げること、ターンすること、及び/又は回転することが挙げられる。
【0026】
本発明の一実施形態は、表面から材料を除去することなく及び/又は下にある材料の構造的特性を変化させることなく物体の表面にマーキングすることにより物体の表面(及び例えば、履物物品又はその構成要素の表面)上に審美的デザインを作成することにおける1つ以上のレーザの使用を含む。このようなマーキング(レーザビームのパラメータは、大きくエングレービングする、エッチングする、切除する又はそれ以外の手法で物体の表面から材料を除去することなく物体の表面の色の永久的変化を生じさせるように選択される)は、物体の構造完全性に影響を及ぼすことなく物体の表面上に審美的パターンを作成することを可能にする。
【0027】
一実施形態において、物体(例えば、履物物品のミッドソール及び/若しくはアウトソール)は、物体内に埋め込まれた及び/又は物体に塗布されたエネルギー吸収性色感応添加物若しくは着色剤を有してもよく、これはレーザへの暴露時に物体の表面の色を変化するのを補助するため、及びレーザへの暴露時に物体の表面上に特定の所望の外部色が作成されるようにするためである。例えば、一実施形態においては、レーザ(例えば、低温UVレーザ又はファイバレーザ)は、表面上に光を集束し、複合材料中のピグメントを、光化学反応などであるが必ずしもこれに限定されない機構によって色を変更するように変化させることができる。有利には、この着色は化学物質なしで実施することができ、材料を過度に加熱又は燃焼する必要をなくし、着色された領域が非着色領域と同じ物性を有して変化されないままとする。別の実施形態においては、物体は、あらゆる添加物又は着色剤を物体内に埋め込む又は物体に塗布する必要なく、求められる色の変化を可能にする材料で形成してもよい。色は、例えば、白色、黒色又はグレースケール色であってもよいが、使用する材料の特定の化学的特性に応じて他の色を作成してもよい。例えば、物体の材料並びに/又は物体の組成物上若しくは中の適切な着色剤及び/若しくは添加剤は、任意の適切な色が生成され得るように選択してもよい。
【0028】
一実施形態においては、1つ以上の熱反応性塗料、ピグメント又は他の着色剤(例えば、特定の温度の又は特定の温度を超える熱を印加すると色を永久的に変化させる塗料、例えば、永久歪サーモクロミック塗料)を物体(及び例えば、靴底のミッドソール、アウトソール及び/若しくはアッパー又はその一部分)に組み込み、適切な温度に曝されたときに物体の色の変化を引き起こすことができる。塗料は、物体を形成する材料(例えば、ポリマー)中に成形前に組み込むことも、成形後に物体に塗布することもできる。例えば、色変化材料を、任意の適切なコーティング手段(例えば、ディップコーティング、噴霧、ブラッシング等)によって形成後の物体の表面に塗布することができ、特定の実施形態においては、プライマー若しくはベース層が塗装前に塗布される、及び/又は被覆層(例えば、透明保護被覆層)が塗料上に塗布される。一実施形態においては、物体全体に色変化塗料を組み込んでもよい一方で、他の実施形態では、物体の一部分のみに色変化塗料を組み込む。
【0029】
熱の印加は、例えば、集束レーザ(例えば、UVレーザ)を用いて物体の特定領域を選択的に加熱することにより局所的としてもよく、又は例えば、物体をオーブン若しくは他の加熱システム内に挿入することによって物体に全体的に印加してもよい。一実施形態においては、熱を全体的に印加してもよいが、物体の特定領域が色を変化することを防止するために物体の特定部分は処理される(例えば、包まれる、被覆される又はそれ以外の手法で保護される)一方で、他の露出した領域の色の変化は生じさせる。
【0030】
一実施形態においては、塗料は、設定パラメータ(例えば、特定の波長、パワー、強度等)を有する光を印加すると色を永久的に変化する光反応塗料(永久歪フォトクロミック材料など)であってもよい。例えば、レーザ(例えば、UVレーザ)を物体の表面に向かって誘導し、材料の特定部分に高度に局所化された紫外線の印加を行うことができる。別の実施形態においては、例えば、必要な特性を広範な方向に有する光を与えるライトボックス内に物体を配置することによって光を全体的に印加してもよい。一実施形態においては、熱又は光学処理によって引き起こされる色の変化が単に一時的であり、時間の経過とともに色がその本来の色に戻るように、色変化材料は永久歪材料でない場合がある。
【0031】
一実施形態においては、物体は、第1の色を有する材料から形成され、この材料内に又はこの材料に対し、永久歪サーモクロミック又はフォトクロミック色変化材料が組み込まれている。この色変化材料は、任意の色変化前の材料にベースの色を与えるために、処理前の物体と同じ色を有してもよく、又は処理前の物体と異なる色のものであってもよい。熱/光の印加時(例えば、UVレーザによるビームの局所的印加による)、物体内の色変化材料は第2の色に永久に変化し、これにより、着色された装飾的特徴を物体の表面上に付与する。
【0032】
一実施形態においては、色変化塗料は、特定の熱又は光強度を印加すると第1の色から第2の色へと変化するように構成されており、例えば、約100℃~約200℃を超える若しくは約100℃~約200℃、又は約120℃~約180℃を超える若しくは約120℃~約180℃、又は約140℃~約160℃を超える若しくは約140℃~約160℃、又は例えば、約150℃若しくは約150℃を超える表面温度を生成するレーザビームに暴露すると色を変化するように適合されている。別の実施形態においては、色変化材料は、使用される特定の色変化材料に応じて、色変化を引き起こすために任意の適切な温度又は温度範囲を必要とし得るように設定することができる。材料の温度は、例えば、物体の表面上に誘導されるレーザビームの1つ以上のパラメータを調整することにより(例えば、波長、ビームサイズ、レーザパワー又は強度を変更することによって)及び/又は物体の表面をレーザビームに暴露する時間を制御することによって制御することができる。
【0033】
色変化材料は、材料に既定の温度が印加されると既定の第1の色が既定の第2の色に変化する2色変化(binary color change)を生じるように構成してもよい。したがって、
物体は、表面が第1の特定の色を有し、その上に、第2の特定の色を持つ審美的パターンが組み込まれるように処理され得る。あるいは、色の変化は、印加される温度、暴露時間及び/又は物体の表面上に誘導されるレーザビームの1つ以上のパラメータに応じて異なってもよく、これにより、物体の異なる領域への特定の暴露に応じて表面上に様々な色(又は色の様々な強度)が適用される審美的処理を生じさせる。
【0034】
一実施形態においては、物体は、物体中に又は物体上に組み込まれた複数の着色変化塗料を有してもよく、これら塗料のそれぞれは、適切なサーモクロミック及び/又はフォトクロミック条件に暴露すると異なる色に永久に変化するように構成されている(例えば、異なる塗料は異なる活性化温度及び/又は異なる活性化波長に反応する)。したがって、適切な設定条件への選択的な暴露時に異なる色に変化する複数の異なる色変化材料を組み込むことによって、複数色の審美的要素を作成することができる。一実施形態では、1つ以上の色変化着色剤の組み込みを、本明細書中に記載される他のシステム及び方法とともに用いて、物体の表面上に特有の構造的及び/又は審美的複数色デザインを形成してもよい。
【0035】
一実施形態においては、第1の色変化材料(又は第1の材料セット)を物体の材料中に組み込むことができ、第2の色変化材料(又は材料セット)は物体上にコーティングされる。この第1の色変化材料及び第2の色変化材料は、同じ又は異なる温度において色を永久に変化するように適合され得る。操作中、第2の色変化材料は物体に保護層を付与することができ、この層は、物体中の第1の色変化材料を露出させるとともに活性化させるために除去されねばならない。このため、UVレーザなどの熱/光源を、表面上にコーティングされた第2の色変化材料上に誘導し、その領域の色を変化することができる、又は必要に応じて、UVレーザなどの熱/光源を用いて、第2の色変化材料を除去する若しくはその他の手法で取り除き(例えば、レーザのパワーを増加すること若しくは暴露時間を第2の色変化材料が除去されるまで増すことによって)、その領域の第1の色変化材料を露出させることができるとともに、その領域の第2の色を活性化することができる。
【0036】
一実施形態においては、物体の材料は、物体(靴の底など)の表面をレーザビームに暴露することで、レーザに暴露した領域に近接する材料の物理的性質及び/又は化学的性質を変化することができるように選択され得る及び/又は処理され得る。例えば、ミッドソール材料は、ミッドソールの一部分をレーザに暴露することで、暴露した材料の密度、剛性及び/又は他の構造的性質を変化し、これにより、ミッドソールのその領域における材料の少なくとも1つの性能特性を変化するように選択され得る。加えて又はあるいは、材料をレーザビームに暴露することで、暴露した材料の化学的性質を変化してもよく、暴露した材料の水又は別の液体に対する親和性を変化する(例えば、材料を疎水性材料から親水性材料に変化する)などであるが、これに限定されない。これは、例えば、塗装又はそれ以外の手法で靴に色を付与するために、レーザに暴露した部分のみ(又はあるいは、レーザに暴露していない部分のみ)が塗料を保持し、その結果、着色される、靴の後処理を可能とする際に有利であり得る。
【0037】
本発明の別の実施形態は、物体(及び例えば、履物物品の表面)上に、表面のエングレービングによって構造的及び/又は審美的表面特徴を作成することにおける、1つ以上のレーザの使用を含む。エングレービングにはレーザビームのパラメータの選択を含み、パラメータの選択は特に、慎重且つ正確にエングレービングする、切断する、造形する、物理的にエッチングする、切除する、溶解する又はそれ以外の手法で物体の元の表面から材料を除去し、新たな造形表面を作成し、それにより、物体の造形表面上及び物体の造形表面内に3次元の審美的及び/又は構造的パターン(すなわち、物体の少なくとも1つの構造的性質の変化を生じさせるパターン)を作成する目的のためである。
【0038】
靴のミッドソールにマーキング及び/又はエングレービングするための例示的な方法及びシステムを図1A図1Cに示す。この実施形態では、アッパー105と底110とを有する靴100が取付システム10上に配置されている。一実施形態においては、図1A及び図1Bに示すように、取付システム10はプレート15を含み、プレート15上に靴100が配置されている。別の実施形態では、取付システム10は靴100を保持するための任意の適切な機構を含んでもよく、例えば、靴100又は靴型を保持するための1つ以上のクランプ要素を含んでもよい。靴型上には靴100が配置され且つ保持される。取付システム10は、靴100のどの特定部分がエングレービングされるか及び/又はマーキングされるかに応じて、靴100の表面の任意の適切な部分を露出させるように構成されていてもよい。
【0039】
エングレービング/マーキングシステムは、1つ以上のレーザ20を更に含む。レーザ20は、レーザビーム25を靴100の適切な表面領域に向かって誘導し、靴100の表面を必要に応じてエングレービング及び/又はマーキングする。レーザ20は、任意の適切な手法で取り付けられてもよい。一実施形態において、靴100の表面のマーキングに使用するためのレーザ20は紫外線(「UV」)レーザ(及び例えば、約355nmの波長を有する低温UVレーザ、及び例えば、UVレーザマーキングマシン-型式番号8W-8W Air Cooling-GD Han’s Yueming Laser Tech Co.,Ltd.によって製造)である。一実施形態においては、靴100の表面へのエングレービングに使用するためのレーザ20は、COレーザ(及び例えば、10600nmCOレーザ)である。別の実施形態において、靴100のマーキング、着色及び/又はエングレービングにおいて、ファイバレーザ又は固体レーザ、例えば、Nd:YAGレーザ(例えば、約1064nmの波長を有するファイバレーザ又は固体レーザ)、ガスレーザ、エキシマレーザ、色素レーザ又は半導体レーザなどの、適切な電力、波長、ビームサイズ等を有するビームを生成する任意の適切な定常状態又はパルスレーザ源を使用してもよい。
【0040】
レーザ20は固定位置に維持してもよく、取付システム10は、靴100の位置及び向きをレーザビーム25に対して移動させるように設計された可動固定具を含む。別の実施形態では、取付システム10は靴100を固定位置に維持し、必要なエングレービング及び/又はマーキングパターンを靴100上に作成するために、レーザ20の位置及び向きを移動させることができる。更なる実施形態では、靴100及びレーザ20の両方を可動取付具内に保持し、靴100及びレーザ20の両方を互いに対し移動させることを可能にしてもよい。例えば、レーザ20を固定具内に保持し、レーザ20と靴100との間の角度又は向き30と距離35との両方を変化することを可能にすることができる一方で、取付システム10を、また、配向角40と、靴100とレーザ20との間の距離35と、を適宜変化させるように適合してもよい。
【0041】
レーザは、処理される物体の表面に向かって任意の適切な固定角又は可変角で誘導されてもよいとともに、例えば、表面に垂直に(すなわち、表面に対して90°で)又は表面に対し鋭角で(例えば、表面から約90°~約30°又はこれを下回る角度で)位置決めされてもよい。加えて、レーザは表面に向かって任意の適切なパワー及び/又はビーム径で誘導されてもよいとともに、表面から任意の適切な距離に配置してもよい。レーザのパラメータ(レーザパワー、ビームサイズ、ウエスト径及び位置、周波数、コリメーション、パルス速度、物体までの距離並びに物体に対する角度などであるが、これらに限定されない)を制御することで、物体の表面にエングレービングされる及び/又は物体の表面上にマーキングされる要素の大きさ及び形状の非常に正確な制御を可能にすることができる。加えて、レーザパワー、ビームサイズ、物体までの距離及び物体に対する角度の1つ以上の変化を可能にすることで、物体の異なる領域にマーキング及び/又はエングレービングされるパターンの特性の精密な変更を可能にできる。加えて、異なる材料はその上に必要なマーキング及び/又はエングレービングパターンを作製するために異なるレーザ特性を必要としてもよく、マーキング及び/又はエングレービングプロセス全体を通じたレーザ特性の変化を可能にすることで、上に複数の異なる表面材料を有する物体(例えば、EVAミッドソールとゴムアウトソールとを有する靴底)上にパターンの均一な形成を可能にする。
【0042】
一実施形態においては、物体をレーザに暴露する前に及び/又は物体をレーザに暴露する間1種以上の流体を物体の表面に塗布してもよい。流体は、物体の表面のマーキング又はエングレービングを補助するように機能し、例えば、マーキング及び/又はエングレービングプロセス中にレーザが材料を焼損させたり、そうでなければ損傷したりしないようにする。この流体塗布は、マーキング及び/又はエングレービングプロセス中、必要に応じて適切な間隔で繰り返してもよい。流体は、物体に噴霧しても、塗り広げても、ブラシで塗布しても、塗装しても、そうでなければ塗布してもよく、又は物体は、物体の表面への流体の適切なコーティングを確実とするために流体中に浸漬してもよい。流体は、水などであるが、これに限定されない水溶液を含んでもよい又は水などであるが、これに限定されない水溶液のみから実質的になってもよく、特定の実施形態においては、添加物(例えば、セッケンなどであるが、これに限定されない界面活性剤)を含んでもよい。
【0043】
図2A図2Dに、上に構造的特徴が作成された例示的な靴100を示す。靴100は、アッパー105を含み、アッパー105はその下部分115に取り付けられた底110を有する。靴100は、足前部領域120と、足中央部領域125と、ヒール領域130と、足を受け入れることができる開口部135と、を含む。靴100は、側面140と内側面145とを更に含む。底110はミッドソール150を含み、ミッドソール150は、靴100の内部に面する上面210と靴100が地面に接しているときに地面に面する下面155とを有する。一実施形態においては、ミッドソール150は、EVA、及び例えば、グランドコンタクトEVAなどであるが、これらに限定されない、靴底110の接地面として使用することを可能にする適切な性能、牽引力、摩耗及び耐久特性を有する材料から形成してもよい。別の実施形態においては、1つ以上のアウトソール要素(例えば、ゴムアウトソール要素)を下面155に取り付け、靴100に適切な接地特性を付与してもよい。
【0044】
ミッドソール150は、ミッドソール150の周縁部に延在する側壁160を更に含む。いくつかの実施形態及び変形形態では、幾何学的構造的特徴及び/又は装飾的デザインがレーザマーキング及び/又はエングレービングによって側壁160及び/又はアウトソールに組み込まれ、側壁160及びミッドソール150の種々の領域に特定の構造的特性、性能特性及び審美的特性を付与する。これら幾何学的特徴は、例えば、1つ以上の構造的要素(例えば、空洞、溝若しくはその他の穴、例えば、側壁160内へと延びる凹状要素165、及び/又は1つ以上の上昇構造、例えば、側壁160から外に延びる凸状要素170。凸状要素170は、表面の一部分の周りの材料を除去し、それにより表面上に上昇要素を残すことによって形成してもよい)を含んでもよい。構造的要素は任意の数及び配置のものであってもよいとともに、任意の適切な形状、大きさ、向き及び深さのものであってもよく、更に、必要な又は所望の特定の構造特性、性能特性及び審美的特性に応じて任意の適切な状態で配置されてもよい。例えば、凹状要素165及び凸状要素170は、側壁160内へと又は側壁160から外へと延びる離散的楕円体の一部分(例えば、扁球、長球若しくは球状体の一部分)、又は離散的多面体要素の一部分として形成してもよい。例示的な多面体要素は、四面体(すなわち、4つの三角形面を有する多面体)、立方体、八面体、十二面体、二十面体等などであるが、これらに限定されない多面体形状、及び例えば、三角形、四角形、矩形、五角形、六角形又はより高次の断面を有する3次元形状を含んでもよい。要素は規則的若しくは不規則な形状であってもよい及び/又は対称若しくは非対称であってもよい。
【0045】
種々の実施形態において、構造的要素は物体の表面(例えば、靴底)から任意の適切な程度内側及び外側に延出してもよいとともに(すなわち、構造的要素は任意の適切な厚さ/深さを有してもよい)、構造的要素の側壁は任意の鋭角(例えば、約5°~約90°、若しくは10°~80°、若しくは20°~70°)若しくは鈍角(例えば、約90°~約135°)で延びてもよい、又は側壁160の周辺表面に垂直に若しくは実質的に垂直に延びてもよい。いくつかの実装形態においては、構造的要素の断面形状は各要素の厚さ/深さにわたって実質的に一定のままであってもよい。他の実装形態においては、断面形状は要素の厚さ/深さにわたって変化してもよい(各要素の厚さ/深さにわたって断面の面積が変化することに加えて又はその代わりに)。構造的要素の厚さ/深さは靴壁の範囲にわたって一定であっても変化してもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、側壁160に1つ以上の凹状要素165を配置することで、側壁160のその部分の材料の量を低減し、それによって、その側壁160の部分における材料の密度を低下させることによりその部分における側壁160の剛性を低下させることができる。したがって、このことにより、側壁160のその部分の圧縮性を増加させることができ、したがって、より高い又は柔らかい緩衝性を持つ局所的領域をその領域に設ける。凹状要素165が凹状要素165の位置に近接するミッドソール150の緩衝性を変化させることができる程度は、側壁160領域内における凹状要素165の大きさ、厚さ/深さ、形状、向き及び/又は分布などであるが、これらに限定されない要因次第であってもよい。加えて、外側スキン層の構造特性(例えば、スキン層の厚さ、層の剛性、及び/又はミッドソール150の内部発泡体に対するスキン層の剛性の差)などであるがこれに限定されないミッドソール150に使用される材料の特性は、要素165に近接するミッドソール150の緩衝特性を凹状要素165が変化させる程度に影響する場合がある。一実施形態においては、凹状要素165の厚さ/深さを増加させる(すなわち、凹状要素165が延びるミッドソール150内への距離を増加させる)と、凹状要素165の周りにおけるミッドソールの剛性が低下し、これによって、ミッドソール150をその領域において事実上より柔らかくする。
【0047】
同様に、側壁160の一部分における1つ以上の凸状要素170の大きさ、厚さ/深さ、形状、向き及び/又は分布が凸状要素170に近接するミッドソール150の緩衝特性に影響する可能性がある。例えば、側壁160上の凸状要素170は、底の圧縮及び/又は撓みに対し付加的な抵抗を付与することができ、したがって、凸状要素170が付加された領域における側壁160(及び側壁160のその部分に近接するミッドソール150)の構造特性に影響し得る。
【0048】
このようにして形成してもよい他の構造的特徴としては、溝(例えば、フレックス溝)、穴、空洞、スロット、トラクション要素及び/又は任意の他の適切な離散的若しくは結合した表面構造が挙げられる。例えば、任意の適切な大きさ、形状及び又は向きのフレックス溝を靴のミッドソールの表面に形成し、ミッドソールのその領域に適切な可撓性を付与してもよい。種々の実施形態においては、エングレービングされた要素の大きさ、形状、向き、深さ及び他の構造的特徴(並びに/又はマーキングされた要素の大きさ、形状及び向き)は処理される表面の領域にわたって変化する又は一定のままである、のいずれかであってもよい。一実施形態においては、本明細書中に記載される方法及びシステムを使用し、一定の若しくは変化する幾何学的パターン、文字及び/若しくは数、並びに/又はトレードマーク、スポーツチームを識別する印、マップ、顔等などであるがこれらに限定されない審美的デザイン及びイメージを含むがこれらに限定されない任意の適切なマーキング又はエングレービングされた形状を作成してもよい。より具体的には、本明細書中に記載される方法及びシステムの実施形態は、パワー、時間、角度及びエングレービング用レーザビーム(又はビーム)から物体の表面までの距離などの要素の変化を慎重に制御しながら、物体の表面への多様で複雑な3次元造形特徴のエングレービングを可能にし、非常に複雑且つ細密な3次元表面を有するエングレービングされた表面特徴の作成を可能にする。
【0049】
いくつかの実施形態では、審美的要素及び/又は構造的要素の組み込みに加えて、レーザを用いて、靴の表面(及び例えば、側壁160及び/又はアウトソール)の質感表現を加えてもよい。質感表現(すなわち、審美的目的のため、浅い表面パターン又は粗さを壁の表面に付加するもの)を、側壁160の領域に、構造的要素の周りに若しくは構造的要素から離して加えてもよく、又は周囲側壁160に加えて若しくは周囲側壁160の代わりに、構造的要素の表面にわたって加えてもよい。質感表現から生じる浅い表面パターン及び/又は表面粗さのすべて又は一部もまた、審美性を更に高めるために着色(例えば、塗装)してもよい。
【0050】
靴底110の一部分の例証的な構造的特徴及び/又は装飾的デザインを図3A図3Mに示す。当業者であれば、図3A図3Mに示す構造的特徴及び装飾的デザインは、限定のためではなく説明のために示されることは理解することができる。
【0051】
例えば、図3Aは、側壁160を有するミッドソール150を示す。側壁160は、ヒール領域130の小さな浅い穴200が足前部領域120では大きく深い穴202に移行している、様々な穴の大きさ、深さ及び密度を持つくぼみ又は穴のパターンを組み込む。別の実施形態において、穴は任意の適切な一定の若しくは異なる大きさ、深さ、形状及び/又は密度のものであってもよく、パターンは任意の適切な状態でランダム化されていても組織化されていてもよい。側壁160の異なる領域の穴の大きさ、深さ及び/又は密度を変えることは、一実施形態では、穴に近接するミッドソール150の可撓性及び/又は緩衝特性を変化させるにあたり有利であってもよく、より大きな、より深い及び/又はより接近して配置された穴はその領域におけるミッドソール150の密度を低下し、したがって、ミッドソール150をその領域においてより柔らかく且つより圧縮可能にする。
【0052】
図3Bは、側壁160を有するミッドソール150を示す。側壁160は、ヒール領域130におけるより大きな、より低密度の山形205が足前部領域120ではより小さな、より高密度の山形205に移行している、異なる大きさ、深さ及び/又は密度を持つ一連の山形特徴205を組み込む。同じく、山形205の大きさ、深さ及び密度は山形205に近接するミッドソール150の可撓性及び/又は緩衝性を変化させることができる。加えて、山形205の向きは、一実施形態において、1つ以上の特定方向におけるミッドソール150の圧縮を優先的に支持してもよく、山形205は、例えば、着地イベント時に靴が地面に最初に接触する(第1の角度で)際にはミッドソール150のより大きな圧縮(又は緩衝)を支持し、着地イベントのつま先が離れる部分(第2の異なる角度で)の最中には、より少ない圧縮、したがって、アスリートが踏み切ることができるより剛性の高い表面を提供する方向に向けられる。
【0053】
穴、くぼみ、フレックス溝又は他の表面特徴は、靴底110(若しくはその一部分)にわたって均一な(若しくは実質的に均一な)深さのものであってもよく、又は靴底110の異なる領域間において深さが変化してもよい。深さの変化は、必要とされる特定の構造的及び/又は審美的効果に応じて急激若しくは漸進的のいずれであってもよい。例えば、図3Cは、実質的に均一な深さ(この場合、約5mm)の穴208の組織化されたパターンを示し、図3Dは、穴208の深さが、ミッドソール160の長さにわたって約1mm(側壁160の外側領域210)と、約3mm(側壁160の中間領域215)と、約5mm(側壁160の中心領域220)との間で変化する穴パターンを示す。種々の実施形態において、靴の壁にエングレービングされた特徴の深さは、0mmから25mmまでの範囲又はこれを超えてもよい。一実施形態においては、特徴は、物体(例えばミッドソール)内を1つの表面から別の表面まで(例えば、通風目的又は付加的な構造の取り付けを可能にするため)完全に貫通するチャネルであってもよい。
【0054】
構造的特徴は靴底110の全長にわたって又はその一部分のみにわたって延在してもよい。このことは、例えば、(エングレービングされた特徴に近接する)靴底110の特定の領域内のより低密度の、したがって、より緩衝性のある底部分と、エングレービングされた壁領域のない領域に近接するより高密度の、したがって、より硬い底部分と、の提供において有利であってもよい。例えば、ヒール領域130にはエングレービングされた壁部分を有し、足前部領域120にはエングレービングされた領域を有しない単一の一体材料のミッドソール150を有する靴を作成することで、ヒール領域130において増加した緩衝性(足の着地時に有利であり得る)と、より硬い足前部領域120(つま先が離れる際に性能の利点を提供することができる)とを有するミッドソール150を作成する。加えて、本明細書中に記載されるシステム及び方法は、高い可撓性が要求される領域においてより深いフレックス溝及び/又はより多数のフレックス溝の提供を可能にする一方で、より低い可撓性を必要とする領域はより少数の及び/若しくはより浅いフレックス溝を有することができる、又は更にはフレックス溝を有し得ない。
【0055】
特定の実施形態では、このような構造的特徴は靴の限定部分に制限することができる。例えば、靴の種々の実施形態は、エングレービングされた特徴を、内側面又は側面(又は側面と内側面とに異なるエングレービングされた特徴を有する)にのみ含み得る、並びに/又はエングレービングされた構造的特徴を足前部、足中央部及び/若しくはヒール領域(若しくはその一部分)にのみ有し得る。例えば、安定性及び回内制御用の靴は、より硬い内側面(少なくとも足中央部領域において)と、より柔らかい、より緩衝性のある側面(多くの場合、ヒール領域及び足中央部領域において)と、を必要とすることが多い。本明細書中に記載される方法及びシステムは、これら領域における足中央部の緩衝性を靴の内側面に対して増すため、側方ヒール領域と側方足中央部領域とにエングレービングされた部分を有する単一材料のミッドソールの作成を可能にする。
【0056】
本明細書中に記載される方法及びシステムは、任意の適切な形状及び配置を有する複雑な幾何学的構造の壁特徴を作成するための手段を提供する。ヒール領域130におけるより大きな、より低密度の特徴が、足前部領域120においてより小さな、より高密度の特徴に移行する、異なる大きさ及び密度を持つ一連の様式化された三角形のくぼんだ特徴220を含む側壁160を有する例示的なミッドソール150が図3E(くぼんだ特徴220はミッドソール150のほぼ全長に延在している)に示されている一方、異なる大きさ及び均一な深さを持つ一連の様式化された三角形の上昇した特徴225を含む側壁160を有するミッドソール150が図3Fに示されており、この実施形態では、特徴225はヒール領域130に限定されている。
【0057】
図3Gは、側壁160を有するミッドソール150を示す。側壁160は、異なる大きさ及び形状のグリッド255を含むパターンを含み、グリッド255は、各グリッドスクエアに異なる大きさの円形又は実質的に円形の特徴230を有し、より小さな、より高密度のグリッド及び円形の特徴230を足中央部領域125及び後部ヒール領域235及びつま先領域240に有するとともに、より大きな、より低密度のグリッド及び円形の特徴230を足の中足骨頭に近接する領域245内と、足の踵球に近接する領域250内とに有する。
【0058】
図3Hは、側壁160を有するミッドソール150を示す。側壁160は、異なる大きさ及び形状の溝(及び例えば、可撓性を高める溝又はフレックス溝)のグリッド255を含むパターンを含み、グリッド255は、複数の実質的に垂直な溝260と、複数の実質的に長手方向に延在する溝265と、を含む。種々の実施形態では、溝260、265は互いに対して及び靴の長手方向の軸線に対して任意の適切な角度で配向されてもよい。
【0059】
図3Iは、側壁160を有するミッドソール150を示す。側壁160は、靴底110の実質的に全長にわたって延在する異なる大きさの円形の又は実質的に円形の特徴270を含むパターンを含む。
【0060】
一実施形態においては、本明細書中に記載されるシステム及び方法を使用して、側壁160と靴底110(又はその1つ以上の部分)の接地する下面155との両方にわたって延在するパターンを有する靴底を作成することができる。これは、パターンが複数の材料にわたって延在し、例えば、パターンがEVAミッドソール150の表面とゴムアウトソール280の表面とにわたって延在することを要してもよい。図3J及び図3Kは、例えば、側壁160と接地する下面155との両方にわたって延在する多角形285(表面に溝287をエングレービングすることによって形成された)のランダム化パターンを有する靴底110を示す。更なる実施形態では、エングレービングされた及び/又はマーキングされたパターンが靴の任意の部分にわたって、及び例えば、靴のアッパー及び底部分の少なくとも一部分にわたって延在し得る。
【0061】
図3Lは、側壁160を有するミッドソール150を示す。側壁160は、ミッドソール150の中間足中央部領域125にわたって延在する一連のX字形の空洞を含むパターンを含む。空洞は大きさ及び密度が異なり、より大きな、より高密度の空洞295はエングレービングされた領域の中心部分290にあり、より小さな、より低密度のX字形の空洞297はエングレービングされた領域の縁端へと移行している。一実施形態においては、更なる審美的及び/又は構造的利点を付与するために、空洞(又は空洞のいくつか)に、材料が充填されてもよい又は材料が少なくとも部分的に充填されてもよい。例えば、空洞295に、周囲のミッドソール150の密度よりも高い密度を有する材料を充填することができ、これにより、密度を増加した領域を提供し、靴のミッドソール150に安定性領域を提供する。加えて又はあるいは、ミッドソール150に固有の視覚態様を付与するために、充填材料はミッドソール150の色と対照的な色を有してもよい。一実施形態においては、充填材料は蛍光材料(例えば、フォトルミネセンス材料)を含み得る。充填材料は空洞295内に固体として挿入してもよく、又は空洞295に、後にそこで固化する液体若しくはゲルとして適用してもよい。一実施形態においては、充填材料は塗料を含んでもよい又は塗料のみから実質的になってもよい。
【0062】
図3Mは、側壁160を有するミッドソール150を示す。側壁160は、異なる大きさ及び密度を持つ一連のエングレービングされた鋸歯波状特徴300を含み、足中央部領域125のより大きな、より低密度の波状特徴は足前部領域120においてかなり小さな、より高密度の波状特徴に移行しており、ヒール領域130においてはわずかに小さな、より高密度の波状特徴に移行している。
【0063】
図3A図3Mに示すパターンは、靴のミッドソール及びアウトソールの種々の部分に配置されており、種々の構成にあるエングレービングされた構造的特徴の例である。別の実施形態においては、ミッドソールの特定の性能特性及び審美的要件に応じて構造壁特徴の任意の適切な配置を作成してもよい。エングレービングされた構造的特徴に加えて、本明細書中に記載される方法及びシステムを用いて、図3A図3Mに示すパターン又は任意の他の適切な審美的デザインを有する審美的表面マーキングを作成することができる。
【0064】
本発明の一態様は、このようにして作成したエングレービングされた壁部分に1つ以上の色を適用することにより、靴の壁に固有の審美的デザインを作成するための方法及びシステムを含む。これは、例えば、底(若しくはその一部分)を全体的に又は実質的に第1の色を有する材料から形成し、その後、エングレービングされた特徴に第2の、対照的な色を選択的に付加し、構造の差を示す視覚効果を靴底の領域にわたって作成することによって実現してもよい。一実施形態においては、3つ以上の色を使用してより複雑なシェーディング及び着色を作成してもよい。
【0065】
一実施形態においては、色は、物体(例えば、靴のミッドソール)の表面を1つ以上の対照的な色で塗装する又はそれ以外で着色し、その後、表面にレーザエングレービングし、対照的な色の外部塗装済み壁と、下にある色のエングレービングされたパターンと、を残すことによって適用される。別の実施形態では、エングレービングされた構造的要素の表面のいくつかの部分のみが第2の色で被覆される一方で、残りの表面部分は第1の、下にある色を維持するように、エングレービングされた構造的特徴を有する表面上に、第2の、対照的な色を、表面に対し非垂直角度で噴霧してもよい。
【0066】
別の実施形態では、マスキング要素の適用及び除去により、複数色の表面を形成してもよい。より具体的には、マスキング要素はエングレービング前に(及びいくつかの実施形態では、表面に第1の塗料を塗布後)表面に適用してもよい。レーザを、その後、マスクされた表面上に誘導し、マスクされた表面の部分及びその下の壁をエングレービング除去し、これにより、未露光の領域(マスキング要素によって被覆された)と造形領域(マスキング要素によって被覆されていない)とを含む造形表面を作成する。別の実施形態では、レーザは、目標位置において物体自体の壁をエングレービングすることなくマスキング材料のみを除去するように適合されてもよい。
【0067】
表面にパターンをエングレービングした後、造形表面(より具体的には、マスクされ、エングレービングされていない表面部分と、エングレービングされた、造形表面部分との両方)に塗料又は他の着色剤を塗布することができ、塗料はエングレービングされた壁領域に接着するとともにそれをコーティングするが、マスキング要素によって被覆された表面領域には接着もコーティングもされない。その後、マスキング要素を除去し、第1の色を有するエングレービングしていない部分と、塗料によってコーティングされ、したがって、第2の色を有するエングレービング済み部分と、を有する壁表面を残すことができる。塗料は、噴霧、塗装、ディップコーティング又は任意の他の適切なコーティング法によって塗布してもよい。一実施形態においては、異なる色の塗料が表面の異なる領域に塗布され、したがって、複数色のエングレービングされたパターンをその上に有する物体を作成する。
【0068】
一実施形態においては、レーザによる物体の表面及び/又はマスキング要素の焼傷若しくは他の損傷を防ぐために、レーザエングレービングプロセスの前、最中及び/又は直後に、マスキング要素(及び物体の表面の任意の露出部分)に流体を塗布してもよい。より具体的には、流体は、エングレービング中及びエングレービング後の、壁材料及び/又マスキング材料の不要な焼傷及び/若しくは変色を防ぐための冷却剤として機能してもよい。流体は、噴霧、塗装、ディップコーティング又は任意の他の適切なコーティング法により塗布してもよい。一実施形態においては、流体は表面上にブラシで塗布され、表面上における流体の実質的に均一なコーティングを確実とする。
【0069】
マスキング要素は、接着剤又は他の適切な接着方法(例えば、静電気、真空等)の使用により表面に取り外し可能に付着させた材料シート(例えば、接着剤マスキングテープ、プラスチックフィルム、テキスタイルシート等)を含んでもよい又はこの材料シートのみから実質的になってもよい。あるいは、マスキング要素は、表面に塗布されるとともに、エングレービング後に除去することができる(例えば、洗い流される)マスキング液若しくはゲル(例えば、低接着塗料、離型液、ゴムのり等)を含んでもよい又はそれらのみから実質的になってもよい。マスキング液は噴霧、塗装、ディップコーティング又は任意の他の適切なコーティング法により塗布してもよい。
【0070】
物体(例えば、靴のミッドソール側壁、アウトソール表面等)の表面に装飾的デザイン及び/又は構造的特徴を作成する例示的な方法を、図4のフローチャートに示す。当該方法は、処理される物体の表面にマスキング媒体を塗布するステップ(ステップ1)と、マスキング媒体を通して物体の表面を既定のパターンに(例えば、レーザを使用して)エングレービングするステップ(ステップ2)と、エングレービングプロセス中、エングレービング済み表面に既定の間隔で流体(例えば、石鹸溶液)を塗布するステップ(ステップ3A)と、流体を有する表面にブラッシングするステップ(ステップ3B)と、エングレービングするステップ(ステップ2)を繰り返すステップと、流体を塗布するステップ(ステップ3A)と、表面内において1つ以上の既定の深さを有する既定のパターンに達する(ステップ4)までブラッシングする(ステップ3B)操作と、を含む。
【0071】
例えば、第1のステップにおいて、マスキング媒体を、マスキング媒体中にしわも隙間もないことを確実にして、物体の表面(例えば、ミッドソールの側壁)に塗布してもよい。いくつかの実装形態においては、マスキング材料は、エングレービングプロセスを容易にするために予め印刷されたパターンを含んでもよい(例えば、エングレービング時にレーザが追従するパターンを提供することによって)。あるいは、パターン画像をマスキング媒体上に投影してもよい。自動化実装形態では、レーザは多軸位置決めデバイスとともに使用してもよい。多軸位置決めデバイスは、適切な制御部によって、側壁内に所望のへこみ及び空洞を作成するためのパターン(例えば、データストレージ媒体に保存されている)を生成するように制御され、へこみ及び空洞の位置、大きさ、形状及び深さはレーザと位置決めデバイスとによって厳密に制御されてもよい。
【0072】
発光デバイスのビーム(例えば、COレーザ)は、その後、ミッドソールの側壁上の別々の区域及び領域に誘導され、マスキング材料を切断するとともに、ミッドソールの側壁のパターン及び既定の深さにしたがって、ミッドソール材料を選択的にエングレービング(ステップ2)してもよい。有利には、エングレービングされないミッドソールの側壁の区域及び領域は、マスキング材料によってマスクされた(すなわち被覆された)ままであり、これにより、これら区域及び領域を、任意の後に塗布される塗料から保護する。
【0073】
材料の除去(ステップ2)を、既定の時間(エングレービングされた要素及びエングレービングされる材料の大きさ及び深さに応じてわずか1秒以下から数分であってもよい)にわたり、及び/又はエングレービングされた空洞が壁表面の既定の深さに達するまで(例えば、0.01mm以下から、15mm以下の間、又は更には25mm以上の間)継続してもよい。
【0074】
一実施形態においては、エングレービングプロセス全体における1つ以上の間隔において、マスキング要素と物体表面とを冷却する及び/又はそうでなければ保護するために、並びにレーザエングレービングプロセスによって生成された任意の廃棄物を除去するために、表面を処理してもよい。一実施形態においては、(例えば、液体の塗布により)レーザ処理中にマスキング要素と物体表面とを冷却及び保護することもまた、表面からデブリを清掃するための手段を有利に提供してもよい。別の実施形態においては、冷却/保護ステップは清掃ステップから分離することができる。
【0075】
清掃ステップは、洗出(例えば、圧縮空気による)、洗浄、ブラッシング及び/若しくはふき取り(例えば、布による)を含んでもよい又はこれらのみから実質的になってもよい。例えば、流体(例えば、水などの洗浄剤)を、エングレービング済みの区域及び領域に、表面が液体で薄く被覆されるまで塗布してもよく(ステップ3A)、その後、濡れた区域を(例えば、布又はブラシを使用して)優しく拭き取って清掃し、壁表面又はマスキング材料を損傷することなくデブリを除去する(ステップ3B)。洗浄後、(例えば、圧縮空気による)洗出又は任意の他の適切な方法によって任意の過剰な液体を除去してもよい。いくつかの実装形態においては、洗浄剤は、例えば、物体の表面上における液体の均一な分散を確実にするのを助けることができる界面活性剤(例えばセッケン)を含む水溶液である。洗浄/清掃剤は、例えば、水とセッケンとを含む水溶液であってもよく、セッケンの割合は、約0.1%~約50%の範囲であり、一実施形態においては、約0.5%~約5%であり、例えば、約1%である。
【0076】
後に続くアブレーション/材料除去(ステップ2)及び流体塗布(ステップ3A)及びブラッシング(ステップ3B)は、所望の最終深さ及びパターンに達するまで、対応する既定の時間及び/又は既定の深さ継続される。したがって、プロセスは、いくつかの「パス」を含んでもよい。有利には、側壁の表面上と、前のパス中に作成された凹状開口部又はソケット内とに洗浄剤が吸着された状態で、それぞれの後のパスにおいて、アブレーション/材料除去(ステップ2)が実施される。その結果、洗浄剤は更に、アブレーションゾーンに近接するミッドソールの複合材料をレーザによって生成される熱から保護する。
【0077】
構造的特徴及び/又は所望の装飾物がミッドソールの側壁に、その必要な深さまで及びその必要なパターンで適用されると、アブレーション/材料除去による、ミッドソールの側壁上の及び側壁内の開口部又はソケットのいずれかの内部の残留物が除去されてもよい(ステップ5)。これは、ふき取り、洗出及び/又は洗浄により実施してもよく、一実施形態においては、液体(例えば、水を含む又は水のみから実質的になる)、及び例えば、液体のジェットを用いたエングレービング済み空洞の洗い流しを伴ってもよい(ステップ5)。材料は、その後、自然乾燥させてもよく(ステップ6)、任意の適切な乾燥法(例えば、熱乾燥、空気乾燥等)により乾燥させてもよい。その後、ミッドソールの側壁の又はミッドソールの側壁上の別々の区域及び領域に着色を選択的に施すことによってミッドソールの審美性を高めてもよい。有利には、一実施形態では、ステップ1~6によって作成した構造的特徴及び所望の装飾物を着色してもよい(例えば、塗装によって)(ステップ7)一方で、表面の残りの部分はマスクされたままである。
【0078】
例えば、図5を参照すると、構造的特徴及び所望の装飾物は任意の従来の手段によって(例えば、浸漬、噴霧、ブラッシング等により)、1つ以上の色で及び/又は選択的に可変の色密度で塗装されてもよい(ステップ7)。いくつかの実装形態においては、塗装は、浸漬、噴霧、ブラッシング又はそうでなければミッドソールの側壁をプライマーでコーティングすることによって(及び例えば、物体をプライマー溶液中に浸漬して物体の表面のマスクされていない部分にプライマーを施すことによって)ミッドソールの側壁に1つ以上のプライマー剤を施すことにより開始してもよい(例えば、UVベースプライマーを用いて)(図7A)。その後、プライマーを施したミッドソールに熱を加えて(ステップ7B)、乾燥しプライマーを施したミッドソールが硬化する前にプライマーを乾燥させてもよい(ステップ7C)。例えば、プライマーを施したミッドソールは、必要な乾燥時間(例えば、特定のプライマーでは、2分以下から5分以上の間の乾燥時間)にわたり適切な温度で(例えば、特定のプライマーでは、約40℃~約80℃、又はより具体的には約45℃~約60℃、及び例えば、約50℃の温度)ミッドソールを加熱することによって乾燥させてもよい(ステップ7B)。プライマーを施し、乾燥させたミッドソールは、その後、照明源(例えば、UVランプなどのUV発光デバイスを用いて)に暴露することによって硬化/活性化させてもよく、(ステップ7C)プライマーを硬化させる。その後、塗料又は別の着色剤を、硬化しプライマーを施したミッドソールに(例えば、浸漬、噴霧、ブラッシング等により)塗布してもよい(ステップ7D)。その後、塗装されたミッドソールに熱を印加し、(ステップ7E)塗料を乾燥させてもよい。例えば、塗装したミッドソールは、使用される特定の塗料並びに特定の加熱温度及び使用するシステムに応じて、任意の適切な時間にわたって加熱してもよく、この時間は、一実施形態においては、約50℃(約122°F)の温度で2~5分の時間である(ステップ7E)。
【0079】
ミッドソールの側壁が塗装され(ステップ7D)、塗料が乾燥した(ステップ7E)後、残ったマスキング媒体を除去してもよく(ステップ8)、清浄な外部表面を有するが着色された空洞を有するミッドソールを残し、魅力的且つ望ましい審美的効果を提供してもよい。残留塗料は、その後、着色された空洞から任意の適切な手法で、例えば、ブラッシング、ふき取り及び/又は洗出(例えば、圧縮空気の適用による)によって除去してもよい(ステップ9)。
【0080】
別の実施形態においては、上記のステップのすべて又はいくつかの任意の組み合わせを、使用するシステム及び材料の特定の要件並びに所望する特定の結果に応じて使用してもよい。
【0081】
いくつかの変形形態において、上述のように、本明細書中に記載される方法は、表面から材料を除去せずに、発光デバイスを用いるミッドソールの側壁の表面の選択的なマーキング/着色において使用してもよい。これはマスキング要素を塗布する必要を有して又は有さず実施してもよい。例えば、一実施形態においては、この着色はマスキング材料を通して行ってもよい(マスキング要素が色マーキングを支持するために使用される場合)。あるいは、マーキングは物体の表面のマスキング要素を全く使用することなく行ってもよい。
【0082】
審美的パターン及び/又は構造的パターンを物体上に作成するためにレーザマーキング/エングレービングシステムを使用する別の例証的な方法を図6及び図7に示す。この実施形態では、当該方法は、マーキングシステム又はエングレービングシステムのいずれかの選択を可能にするとともに、塗装がある又は塗装がない状態のいずれかにおいてエングレービングを行うことを更に可能にする。エングレービングした物体を塗装する例証的な方法が図7に示される。
【0083】
一実施形態においては、レーザ処理中、物体は大気に開放されている。別の実施形態では、レーザマーキング/エングレービングシステムは、物体を不活性環境内(例えば、窒素、アルゴン又は他の不活性ガスに富んだ環境内)に保持することを可能にする筐体を含む。このことは、レーザ処理中、材料の黄変を低減し、マーキング又はエングレービングプロセスの加工時間を向上させるのに有利であり得る。あるいは、レーザ処理中、(例えば、ガスジェットノズルから)物体又はその一部分に窒素又は別の不活性ガスの流れを適用することができる。
【0084】
実施形態又は別の実施形態の作成に用いられる材料及び工程段階は、本明細書中に記載される他の実施形態に適用可能であることは理解すべきである。また、本明細書中に記載される実施形態は全般的に靴の構造的特徴及び/又は審美的特徴の作成に関するが、特定の実施形態においては、本明細書中に記載される方法及びシステムは、他の適切な物体にも使用してよいことは理解すべきである。例えば、本明細書中に記載されるシステム及び方法は、衣料(及び例えば、運動用衣料)、又は保護具若しくは保護衣料(例えば、ヘルメット、詰物、肩パッド、アームスリーブ、膝パッド、シンガード等)、ホッケー用スティック、ラクロス用スティック、テニスラケット等などであるが、これらに限定されない運動用具に構造的特徴及び/又は装飾的特徴を付与するために使用してもよい。一実施形態においては、レーザエングレービングは、衣料に(例えば、多層材料の上層に溝をエングレービングすることによって)又はアスリートにより着用される保護用衣料にフレックス溝を加えるために使用され得る。
【0085】
本発明は、その趣旨又は必須の特徴から逸脱することなく、他の特定形態において具現化してもよい。前述の実施形態は、したがって、あらゆる点において、本明細書中に記載される本発明を限定するよりもむしろ例証するものとみなされる。本発明の範囲は、したがって、前述の明細書よりもむしろ添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と等価の意味及び範囲内のあらゆる変更は本発明に包含されるものとする。
本発明の実施形態の一部の例として、以下の項目が挙げられる。
(項目1)
物体の表面上に特徴を付与する方法であって、
前記物体の前記表面近傍にレーザを位置決めするステップと、
前記レーザから前記物体の前記表面にレーザビームを誘導し、前記物体の前記表面の少なくとも一部分にマーキングする又はエングレービングするステップと、
前記レーザ及び前記物体の少なくとも1つを移動し、前記物体の前記表面上にパターンを作成するステップであって、前記パターンは、前記物体の前記表面上に審美的特徴及び構造的特徴の少なくとも1つを付与する、ステップと、
を含む、方法。
(項目2)
前記物体は、履物物品のアウトソール、ミッドソール、インソール及びアッパーの少なくとも1つを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記物体の前記表面は前記ミッドソールの側壁を含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記レーザは、UVレーザ及びCO2レーザの少なくとも1つを含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記物体の前記表面にマーキングするステップは、前記物体の前記表面上に前記審美的特徴を付与するために、前記物体の前記表面の少なくとも一部分の色を、前記物体の前記表面から材料を除去することなく変化させるステップを含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記物体は、前記レーザに暴露したときに前記物体の前記表面の所望の外部色を実現するために、エネルギー吸収性色感応添加物及び着色剤の少なくとも1つを含む、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記レーザの駆動前に前記物体の前記表面の少なくとも一部分にマスキング媒体を塗布するステップと、
前記マスキング媒体を通して前記物体の前記表面にマーキングする又はエングレービングするステップと、
前記マスキング媒体を除去するステップと、
を更に含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記レーザの駆動前に前記物体の前記表面に流体を塗布するステップを更に含み、前記流体は、前記物体の前記表面の前記マーキング又はエングレービングを補助するように機能する、項目1に記載の方法。
(項目9)
マーキング又はエングレービング中、マーキング又はエングレービングされた前記表面に流体の塗布を繰り返すステップを更に含む、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記流体は、添加物を含む水溶液である、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記添加物は、界面活性剤を含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記水溶液は水を含む、項目10に記載の方法。
(項目13)
前記物体の前記表面にエングレービングするステップは、前記物体の前記表面上に前記審美的特徴及び前記構造的特徴の少なくとも1つを提供するために、前記物体の前記表面から1つ以上の既定の深さまで材料を除去するステップを含む、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記既定の深さは約0mm~約15mmである、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記構造的特徴は、第1の深さを有する第1の領域と、第2の深さを有する第2の領域と、を含む、項目13に記載の方法。
(項目16)
前記構造的特徴は、前記深さが前記第1の深さから前記第2の深さに変化する移行領域を更に含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記移行領域は深さの急激な変化を含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記移行領域は深さの漸進的な変化を含む、項目16に記載の方法。
(項目20)
前記構造的特徴は、連続的に変化する深さを有する造形表面を含む、項目13に記載の方法。
(項目21)
前記エングレービング後の物体にプライマーを施すステップと、
前記プライマーを施した物体を乾燥するステップと、
前記プライマーを施した物体を硬化するステップと、
少なくとも1つのエングレービング済み部分に着色剤を塗布するステップと、
前記物体上の前記着色剤を乾燥するために熱を印加するステップと、
を更に含む、項目13に記載の方法。
(項目22)
前記物体の前記表面から残留物を除去するステップを更に含む、項目1に記載の方法。
(項目23)
残留物を除去するステップは、
前記物体のエングレービング中に生じた残留物を洗浄するステップと、
前記物体の前記表面を乾燥するステップと、
を含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記洗浄するステップは水を使用する、項目23に記載の方法。
(項目25)
物体の表面上に審美的特徴を作成する方法であって、
前記物体の前記表面近傍にUVレーザを位置決めするステップと、
前記レーザから前記物体の前記表面にレーザビームを誘導し、前記物体の前記表面の少なくとも一部分の色を、前記物体の前記表面から材料を除去することなく変化させるステップと、
前記レーザ及び前記物体の少なくとも1つを移動し、前記物体の前記表面上にパターンを作成するステップであって、前記パターンは、前記物体の前記表面上に審美的特徴を付与し、前記物体は、履物物品のアウトソール、ミッドソール、インソール及びアッパーの少なくとも1つを含む、ステップと、
を含む、方法。
(項目26)
物体の表面上に審美的特徴又は構造的特徴を付与する方法であって、
前記物体の前記表面にマスキング媒体を塗布するステップであって、前記物体は、履物物品のアウトソール、ミッドソール、インソール及びアッパーの少なくとも1つを含む、ステップと、
前記物体の前記表面近傍にレーザを位置決めするステップと、
前記レーザから前記物体の前記表面にレーザビームを誘導し、前記物体の前記表面から材料及びマスキング媒体を除去し、前記物体の前記表面の少なくとも一部分に審美的特徴及び構造的特徴の少なくとも1つを付与する、ステップと、
前記マスキング媒体を除去するステップと、
を含む、方法。
(項目27)
前記マスキング媒体を除去するステップの前に前記物体の前記表面に少なくとも1つの色を塗布するステップを更に含む、項目26に記載の方法。
(項目28)
少なくとも1つの色を塗布するステップは、
前記物体をプライマー溶液中に浸漬して前記物体の前記表面のマスクされていない部分にプライマーを施すステップと、
前記プライマーを施した物体を乾燥するステップと、
前記プライマーを施した物体を硬化するステップと、
前記物体の前記表面の前記マスクされていない部分の少なくとも一部分に着色剤を塗布するステップと、
前記物体上の前記着色剤を乾燥するステップと、
を含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記プライマー溶液は紫外線プライマーを含む、項目28に記載の方法。
(項目30)
項目1に記載の方法により製造される履物物品。
(項目31)
項目1に記載の方法により製造される衣料物品。
(項目32)
項目1に記載の方法により製造される保護具物品。
(項目33)
項目25に記載の方法により製造される履物物品。
(項目34)
項目26に記載の方法により製造される履物物品。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図3M
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】