(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028592
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】カテーテル先端部を介した熱伝達
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240226BHJP
A61B 18/12 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B18/12
【審査請求】有
【請求項の数】27
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024008643
(22)【出願日】2024-01-24
(62)【分割の表示】P 2019097408の分割
【原出願日】2019-05-24
(31)【優先権主張番号】15/990,532
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・トーマス・ビークラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・トーマス・キース
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】イギル・ウルチン
(72)【発明者】
【氏名】メイル・バル-タル
(57)【要約】
【課題】アブレーションカテーテルを提供すること。
【解決手段】説明される実施形態は、内表面及び外表面を有し、(i)内表面と外表面との間を通過する複数の幅狭なチャネルと、(ii)内表面と外表面との間を通過する1本以上の幅広なチャネルとを画定するように成形された可撓性電気絶縁性基材を備える装置を含む。装置は、外表面の少なくとも一部を被覆する導電性金属の外側層と、内表面の少なくとも一部を被覆する導電性金属の内側層と、外側層を内側層に接続するように、幅広なチャネルをめっきする、導電性金属のめっき層と、外側層を内側層に接続するように幅狭なチャネルを充填する導電性金属のそれぞれのカラムとを更に備える。他の実施形態もまた記載されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
アブレーション電極であって、
内表面及び外表面を有し、(i)前記内表面と前記外表面との間を通過する複数の幅狭なチャネル及び(ii)前記内表面と前記外表面との間を通過する1本以上の幅広なチャネルを画定するように成形された可撓性電気絶縁性の基材と、
前記外表面の少なくとも一部を被覆する導電性金属の外側層と、
前記内表面の少なくとも一部を被覆する前記導電性金属の内側層と、
前記外側層を前記内側層に接続するように、前記幅広なチャネルをめっきする、前記導電性金属のめっき層と、
前記外側層を前記内側層に接続するように、前記幅狭なチャネルを充填する前記導電性金属のそれぞれのカラムと、を備えるアブレーション電極と、を備えており、
前記装置は、カテーテルの先端においてドーム形状の遠位部分を有する支持構造体を更に備え、
前記内側層は、前記支持構造体の前記ドーム形状の遠位部分に結合され、
前記基材は、互いに連続した、遠位側円形部分と近位側矩形部分とを備え、前記支持構造体は、互いに連続した、複数のスポークを含む遠位側支持部分と近位側支持部分とを備えている、装置。
【請求項2】
前記基材が、少なくとも1,000本の幅狭なチャネルを画定するように成形されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記幅狭なチャネルのそれぞれの外側開口部の総面積が、前記外表面の面積の少なくとも10%である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記導電性金属が金を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記内表面上に配設され、前記内側層から電気的に絶縁された、少なくとも1つのコンスタンタントレースと、
前記内表面上に配設され、前記内側層から電気的に絶縁され、熱電対接合部で前記コンスタンタントレースを被覆する、少なくとも1つの金トレースと、を更に備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記基材及び前記支持構造体は、内部ルーメンを画定するように成形されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記基材及び前記支持構造体が、前記内部ルーメンを含むシンブルを画定するように成形されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
被験者の身体内に挿入するように構成された前記カテーテルを更に備え、
前記支持構造体が、前記カテーテルの遠位端に連結されている、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記カテーテルの前記遠位端が、前記カテーテルの近位端から受容された流体の向きを変えさせるように構成されたフローダイバータを備え、
前記支持構造体は、前記フローダイバータが前記内部ルーメンの内部に配設されるように、前記フローダイバータに連結されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記幅狭なチャネルのそれぞれの平均直径が、5~50マイクロメートルである、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記幅狭なチャネルのそれぞれの、幅狭なチャネル平均直径が、前記幅広なチャネルのそれぞれの、幅広なチャネル平均直径の50%未満である、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記基材の厚さが、5~75マイクロメートルである、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記内表面上に配設され、前記内側層から電気的に絶縁された、1つ以上の導電性トレースを更に備え、
前記基材が、前記導電性トレースの反対側のそれぞれの孔を画定するように成形され、
前記外側層が、
主要部分と、
前記主要部分から電気的に絶縁され、前記孔を少なくとも部分的に充填することによって前記導電性トレースにそれぞれ接触する1つ以上の島と、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置を製造する方法であって、
前記複数の幅狭なチャネル及び前記1本以上の幅広なチャネルを、前記基材を貫通させて、前記基材の前記内表面と前記基材の前記外表面との間を通過するようにドリル加工することと、
導電性金属を使用して、前記内表面及び前記外表面を少なくとも部分的に被覆し、前記幅狭なチャネルを完全に充填し、前記幅広なチャネルをめっきすることと、を含む方法。
【請求項15】
前記幅狭なチャネルをドリル加工することが、少なくとも1,000本の幅狭なチャネルをドリル加工することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記幅狭なチャネルのそれぞれの外側開口部の総面積が、前記外表面の面積の少なくとも10%である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記導電性金属が金を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つのコンスタンタントレースを前記内表面上に堆積させることを更に含み、
前記内表面を少なくとも部分的に被覆することは、前記内表面上に少なくとも1つの金トレースを堆積させて、前記金トレースに前記コンスタンタントレースを被覆させ、それにより熱電対接合部を形成することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記幅狭なチャネルのそれぞれの平均直径が、5~50マイクロメートルである、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記幅狭なチャネルのそれぞれの、幅狭なチャネル平均直径が、前記幅広なチャネルのそれぞれの、幅広なチャネル平均直径の50%未満である、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記基材の厚さが、5~75マイクロメートルである、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記内表面及び前記外表面を少なくとも部分的に被覆し、前記幅狭なチャネルを完全に充填し、前記幅広なチャネルをめっきすることが、
前記導電性金属を前記基材の前記内表面上及び前記外表面上、並びに前記幅狭なチャネル内及び前記幅広なチャネル内に堆積させることと、
前記導電性金属を前記基材の前記内表面上に堆積させることに続いて、前記基材の前記外表面が被覆されている間に、前記基材を前記導電性金属のめっき槽内で第1の時間間隔にわたってめっきすることと、
前記基材を前記第1の時間間隔にわたってめっきすることに続いて、前記基材の前記外表面から少なくとも部分的に被覆を剥がすことと、
前記基材の前記外表面から少なくとも部分的に被覆を剥がすことに続いて、前記基材を第2の時間間隔にわたって前記めっき槽内でめっきすることと、
によって、前記内表面及び前記外表面を少なくとも部分的に被覆し、前記幅狭なチャネルを完全に充填し、前記幅広なチャネルをめっきすることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記内表面を被覆する前記導電性金属を前記支持構造体に結合することと、
前記基材及び前記支持構造体を成形して、内部ルーメンを画定することと、を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記基材及び前記支持構造体を成形することが、前記基材及び前記支持構造体を成形して、前記内部ルーメンを含むシンブルを画定することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記支持構造体を、被験者の身体内に挿入するように構成された前記カテーテルの遠位端に連結することを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記カテーテルの前記遠位端が、前記カテーテルの近位端から受容された流体の向きを変えるように構成されたフローダイバータを備え、
前記支持構造体を前記カテーテルの前記遠位端に連結することは、前記フローダイバータが前記内部ルーメンの内部に配設されるように、前記支持構造体を前記フローダイバータに連結することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記基材の前記内表面上に1つ以上の導電性トレースをエッチングすることを更に含み、
前記導電性金属を前記基材の前記内表面上に堆積させることは、前記導電性トレースが前記導電性金属から電気的に絶縁されたままであるように、前記導電性金属を前記基材の前記内表面上に堆積させることを含み、
前記方法が、前記基材内の前記導電性トレースの反対側にそれぞれ孔を形成することを更に含み、
前記導電性金属を前記基材の前記外表面上に堆積させることは、前記導電性金属を前記基材の前記外表面上に堆積させて、(i)主要部分と、(ii)前記主要部分から電気的に絶縁され、前記孔を少なくとも部分的に充填することによって前記導電性トレースにそれぞれ接触する1つ以上の島と、を形成することを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アブレーションカテーテル及びアブレーション処置におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかのアブレーション処置では、アブレーションカテーテルの先端部に配設された電極を組織と接触させ、次いで、高周波(RF)エネルギーを電極から組織内に通す。RFエネルギーは、組織の温度を上昇させ、したがって組織内に損傷を生じさせる。
【0003】
その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2018/0110562号は、挿入チューブ、可撓性基材、及び1つ以上の電気装置を含むカテーテルを記載している。挿入チューブは、患者身体内へ挿入するよう構成されている。可撓性基材は、挿入チューブの遠位端を包み込むよう構成され、電気的相互接続部を含む。電気装置は可撓性基材に連結されており、電気的相互接続部に接続されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のいくつかの実施形態によれば、内表面及び外表面を有し、(i)内表面と外表面との間を通過する複数の幅狭なチャネルと、(ii)内表面と外表面との間を通過する1本以上の幅広なチャネルと、を画定するように成形された可撓性電気絶縁性基材を備える装置が提供される。装置は、外表面の少なくとも一部を被覆する導電性金属の外側層と、内表面の少なくとも一部を被覆する導電性金属の内側層と、外側層を内側層に接続するように、幅広なチャネルをめっきする、導電性金属のめっき層と、外側層を内側層に接続するように幅狭なチャネルを充填する導電性金属のそれぞれのカラムとを更に備える。
【0005】
いくつかの実施形態では、基材は、少なくとも1,000本の幅狭チャネルを画定するように成形される。
【0006】
いくつかの実施形態では、幅狭なチャネルのそれぞれの外側開口部の総面積が、外表面の面積の少なくとも10%である。
【0007】
いくつかの実施形態では、導電性金属は金を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、この装置は、内表面上に配設され、内側層から電気的に絶縁された少なくとも1つのコンスタンタントレースと、内表面上に配設され、内側層から電気的に絶縁され、熱電対接合部でコンスタンタントレースを被覆する、少なくとも1つの金トレースとを更に備える。
【0009】
いくつかの実施形態では、装置が、内側層に結合された支持構造体を更に備え、基材及び支持構造体が、内部ルーメンを画定するように成形されている。
【0010】
いくつかの実施形態では、基材及び支持構造体が、内部ルーメンを含むシンブルを画定するように成形されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、装置が、被験者の身体内に挿入するように構成されたカテーテルを更に備え、支持構造体は、カテーテルの遠位端に連結される。
【0012】
いくつかの実施形態では、カテーテルの遠位端が、カテーテルの近位端から受容された流体の向きを変えさせるように構成されたフローダイバータを備え、支持構造体は、フローダイバータが内部ルーメンの内部に配設されるように、フローダイバータに連結されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、幅狭なチャネルのそれぞれの平均直径が、5~50マイクロメートルである。
【0014】
いくつかの実施形態では、幅狭なチャネルのそれぞれの、幅狭なチャネル平均直径が、幅広なチャネルのそれぞれの、幅広なチャネル平均直径の50%未満である。
【0015】
いくつかの実施形態では、基材の厚さは、5~75マイクロメートルである。
【0016】
いくつかの実施形態では、装置は、内表面上に配設され、内側層から電気的に絶縁された1つ以上の導電性トレースを更に備え、基材が、トレースの反対側のそれぞれの孔を画定するように成形され、外側層が、主要部分と、主要部分から電気的に絶縁され、孔を少なくとも部分的に充填することによってトレースにそれぞれ接触する1つ以上の島とを備える。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態によれば、被験者の身体内に、基材を含むカテーテルの遠位端を挿入することであって、基材は、内側金属層によって少なくとも部分的に被覆されている内表面と、外側金属層によって少なくとも部分的に被覆されている外表面とを有し、(i)内表面と外表面との間を通過し、金属カラムによって充填される複数の幅狭なチャネルと、(ii)内表面と外表面との間を通過する1本以上のめっきされた幅広のチャネルとを画定するように成形されている、ことを含む方法が更に提供される。本方法は、カテーテルの遠位端を被験者の身体内に挿入することに続いて、被験者の組織を外側金属層と接触させることを更に含む。本方法は、組織に接触している間に、組織内に熱を生成し、金属カラムを介して内側金属層に伝達させるように、外側金属層を介して電流を組織内に通過させることと、を更に含む。本方法は、めっきされた幅広なチャネルに灌注流体を通すことによって、熱を、内側金属層から被験者の血液中に排出することを更に含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、組織は、被験者の心組織を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、本方法は、外側金属層が、主要部分と、前記主要部分から電気的に絶縁された1つ以上の島と、を含み、かつ本方法が、前記島を使用して、前記心組織からの電気記録図信号を感知することを更に含む。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態によれば、複数の幅狭なチャネル及び1本以上の幅広なチャネルを、可撓性の電気絶縁性基材を貫通させて、前記基材の内表面と前記基材の外表面との間を通過するようにドリル加工することを含む方法が更に提供される。本方法は、導電性金属を使用して、内表面及び外表面を少なくとも部分的に被覆し、幅狭なチャネルを完全に充填し、幅広なチャネルをめっきすることを更に含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記内表面及び前記外表面を少なくとも部分的に被覆し、前記幅狭なチャネルを完全に充填し、前記幅広なチャネルをめっきすることが、前記導電性金属を前記基材の前記内表面上及び前記外表面上、並びに前記幅狭なチャネル内及び前記幅広なチャネル内に堆積させることと、前記導電性金属を前記基材の前記内表面上に堆積させることに続いて、前記基材の前記外表面が被覆されている間に、前記基材を前記導電性金属のめっき槽内で第1の時間間隔にわたってめっきすることと、前記基材を前記第1の時間間隔にわたってめっきすることに続いて、前記基材の前記外表面から少なくとも部分的に被覆を剥がすことと、前記基材の前記外表面から少なくとも部分的に被覆を剥がすことに続いて、前記基材を第2の時間間隔にわたって前記めっき槽内でめっきすることとによって、前記内表面及び前記外表面を少なくとも部分的に被覆し、前記幅狭なチャネルを完全に充填し、前記幅広なチャネルをめっきすることと、を含む。
【0022】
幾つかの実施形態では、本方法は、内表面を被覆する導電性金属を支持構造体に結合することと、基材及び支持構造体を成形して、内部ルーメンを画定することと、を更に含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、基材及び支持構造体を成形することが、基材及び支持構造体を成形して、内部ルーメンを含むシンブルを画定することを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、本方法は、基材の内表面上に1つ以上の導電性トレースをエッチングすることを更に含む方法であって、導電性金属を基材の内表面上に堆積させることは、導電性トレースが導電性金属から電気的に絶縁されたままであるように、導電性金属を基材の内表面上に堆積させることを含む。更に本方法は、基材内のトレースの反対側にそれぞれ孔を形成することを更に含み、導電性金属を基材の外表面上に堆積させることは、導電性金属を基材の外表面上に堆積させて、(i)主要部分と、(ii)主要部分から電気的に絶縁され、孔を少なくとも部分的に充填することによってトレースにそれぞれ接触する1つ以上の島とを形成することを含む。
【0025】
本発明は、その実施形態の以下の詳細な説明を図面と併せ読むことによって一層十分な理解がなされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態による、被験者の組織をアブレーションするためのシステムを図示した概略図である。
【
図2A】本発明のいくつかの実施形態による、カテーテルの遠位先端部を図示する概略図である。
【
図2B】本発明のいくつかの実施形態による、先端電極の一部分を通る断面を概略的に図示する。
【
図3】本発明のいくつかの実施形態による、
図2Aに示す遠位先端部を通る長手方向断面を概略的に図示する。
【
図4】本発明のいくつかの実施形態による、先端電極を製造するための方法のフローチャートである。
【
図5】本発明のいくつかの実施形態による、変形前の先端電極を図示する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
概説
本発明の実施形態は、接着剤によって金属製支持シートに結合された少なくとも1つのフレキシブルプリント基板(PCB)を備えるアブレーション電極を含む。フレキシブルPCBは、可撓性の電気絶縁性基材を含み、その可撓性の電気絶縁性基材は、例えば金、パラジウム、又は白金などの導電性(及び生体適合性)金属の外側層によってコーティングされている外表面と、同じ(及び/又は別の)導電性金属の内側層によってコーティングされている内表面とを備える。内表面は、内側金属層から電気的に絶縁された、センサ(例えば、熱電対)及びトレースなどの1つ以上の電気部品を更に支持してもよい。電気部品の堆積、基材のコーティング、及びPCBの支持シートへの結合に続いて、フレキシブルPCB(支持シートと共に)を任意の好適な形状に変形させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、フレキシブルPCBは、以下で「先端電極」と称される、シンブル形状の電極に変形される。電極は、カテーテルの遠位端に結合される。
【0028】
アブレーション処置中、外側金属層をアブレーションされる組織と接触させ、次いで、アブレーション電流を外側金属層を介して組織内に通す。アブレーション電流が組織に印加される間、センサは、組織から任意の関連する生理学的指数を取得してもよい。典型的には、電極を貫通する、めっきされた開放バイアスは、内側金属層と外側金属層との間の電気的接続を提供し、その結果、アブレーション電流はめっきされたバイアスを外方向に通過することができ、組織からの電位信号は、めっきされたバイアスを内方向に通過し得る。電気的接続はまた、ブラインドバイアスによっても提供され得るが、それぞれのブラインドバイアスは、外側金属層がその下にあるトレースに直接接触するように、基材の一部分を除去することによって形成される。
【0029】
前述のめっきされたバイアスはまた、灌注流体(例えば、生理食塩水)がめっきされたバイアスを通過して周囲の血液の中に入ることができるように、電極の内表面と外表面との間に流体の連通を提供する。灌注流体は、電極の内部から血液内へと熱を排出し、更に組織と電極との界面で血液を希釈して、凝塊が形成されたり、焦げ付きが起こる可能性を低減する。めっきされたバイアスがその内部を通る灌注流体の通過を提供するという事実により、めっきされたバイアスはまた、「灌注チャネル」又は「灌注孔」と呼ばれることもある。
【0030】
上述の種類の電極を使用する場合の問題としては、基材が著しい熱抵抗を提供し、組織と電極との界面から電極の内部に伝達される熱の量を制限する場合があるということである。このようなことが起こると、灌注流体によって排出され得る熱の量が制限されてしまう。
【0031】
この問題に対処するために、本明細書に記載される実施形態は、小さい閉じたバイアス(以下「熱バイアス」と称す)を多数(例えば、数万個)設けて、電極の2つの表面間の熱接続性を増加させる。このような熱バイアスは、例えば、外側金属層を内側金属層に接続する、金などの導電性金属のカラムを含んでもよい。典型的には、熱バイアスは、電極の表面全体にわたって分散される。熱バイアスは、電極の内部に伝達される熱の量を増加させ、したがって灌注流体による熱の排出を容易にする。
【0032】
本発明の実施形態はまた、電極の製造プロセスを含む。典型的には、基材の両面は、最初に銅でコーティングされ、したがって典型的には、電極の製造は、基材の内表面上に銅トレースが必要とされる場所を除いて、この銅をエッチングすることで開始される。次に、熱電対に使用されるコンスタンタントレースが、内表面上に堆積される。続いて、1つ以上の幅広なチャネル、多数の比較的幅狭なチャネル、及び任意選択的に、1つ以上のブラインドバイアスが、基材を貫通してドリル加工される。
【0033】
続いて、基材の内表面上に、マスクが、トレースの上、及び、内側金属層からトレースを絶縁するトレースの周囲の排除ゾーンの上に適用される。(ただしマスクは、熱電対接合部として指定されるコンスタンタントレースの部分の上には適用されない。)同様に、外表面上に、別のマスクが、微小電極「島」を外側金属層の残りの部分から絶縁する排除ゾーン上に適用される。
【0034】
次に、金属(典型的には金)の薄層が、チャネル内及び基材の両面上にスパッタリングされる。内表面上にスパッタリングされた金属は、コンスタンタントレースと交差するトレースを含み、したがって熱電対接合部を形成する。金属のスパッタリングに続いて、マスクを除去し、内部トレース及び排除ゾーンを別のマスクで被覆し、更に外表面全体もマスクする。
【0035】
続いて、基材をめっき槽内に一定時間置いて、(i)基材の内表面の任意の残りの露出部分を金属によって被覆させ、すなわち、金属の層を内表面の上で横方向に伸展させ、(ii)内側層の厚さを増加させ、(iii)幅狭なチャネルを封止させて熱バイアスとし、(iv)幅広なチャネルを狭小化して、めっきされた灌注チャネルとする。次いで、内面及び外面のマスクを取り外す。次に、内部トレース及び排除ゾーンは、少なくとも1つのカバーレイによって被覆される。
【0036】
続いて、基材を、更に一定時間にわたってめっき槽に戻し、外側層及び内側層の両方の厚さを増加させ、めっきされた灌注チャネルを狭小化させる。典型的には、基材がめっき槽内に入れられている合計時間は、内側層の厚さがカバーレイの厚さに達するような時間に設定される。(典型的には、外側層の厚さは著しく増加させないが、それは、基材がその最終形状に折り畳まれたときに外側層のひび割れが生じてしまうリスクを低減させるためである。)
【0037】
次に、例えばコバルトクロムの合金を含む金属の支持シートに、灌注孔の直径以上の直径を有する開口部をドリル加工する。次いで、支持シートを、支持シート内の開口部が基材内の灌注チャネルと位置揃えされるように、内側金属層及びカバーレイに結合する。続いて、めっきされた基材及び支持シートを、それらの所望の形状に変形する。最後に、電極に関連するワイヤを接続し、次いで電極をカテーテルに連結する。
【0038】
システムの説明
まずここで
図1を参照するが、この図は、本発明のいくつかの実施形態による、被験者26の組織をアブレーションするためのシステム20の概略図である。
【0039】
図1には、アブレーションカテーテル22を使用して、被験者26に対してユニポーラーアブレーション処置を実施する医師28を図示している。この処置では、医師28はまず、カテーテル22の遠位先端部32を被験者に挿入し、次いで、アブレーションされるべき組織に遠位先端部32を誘導する。例えば、医師は、遠位先端部が被験者の心臓24に属する心組織と接触するまで、遠位先端部を被験者の脈管構造を通して前進させ得る。次に、遠位先端部32が組織に接触している間、医師は、遠位先端部32と、被験者の外部に、例えば被験者の背中に連結された中性極パッチ30との間に高周波(RF)電流を流す。
【0040】
カテーテルの誘導を容易にするため、カテーテル22は、1つ以上の電磁位置センサを備えていてよく、この電磁位置センサは、外部磁場の存在下では、センサの位置によって変化する信号を生成する。代替的に又は追加的に、インピーダンスに基づく追跡システムなどの任意の他の好適な追跡システムが使用されてもよい。例えば、電磁トラッキング及びインピーダンスに基づく追跡の両方が、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,456,182号に記載されているように使用されてもよい。
【0041】
カテーテル22は、その近位側がコンソール34に接続され、そのコンソール34は、例えばプロセッサ(PROC)23、ポンプ25、及び信号発生器(GEN)27を備える。(電極パッチ30はまた典型的には、ワイヤ42を介してコンソール34に接続される。)アブレーション処置中、信号発生器27は、前述のアブレーション電流を生成する。これらの電流は、1本以上のワイヤを介して、遠位先端部32までカテーテル22を通って運ばれる。加えて、ポンプ25は、
図2A及び
図2B、並びに
図3を参照して以下で更に説明するように、生理食塩水などの灌注流体をカテーテルの遠位先端部に供給する。
【0042】
コンソール34は、アブレーション電流のパラメータを制御するために医師によって使用され得る操作つまみ35を更に備える。特に、医師28による操作つまみ35の操作に応答して、プロセッサ23は、任意の好適な有線又は無線通信インターフェースを介して、信号発生器27に適切な命令を出力することによって、アブレーション電流のパラメータを調整し得る。プロセッサ23は同様に、任意の適切な有線又は無線のインターフェースを介して、ポンプ25を制御し得る。加えて、プロセッサは、本明細書に記載されるセンサのいずれかから受信した信号など、カテーテルの遠位先端部からの任意の関連する信号を受信及び処理し得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、システム20は、処置中に、関連する出力を医師28に対して表示し得るディスプレイ38を更に備える。
【0044】
図1には特定の種類の処置が図示されているが、本明細書に記載される実施形態は、任意の好適なタイプのアブレーション処置、又はフレキシブルPCBを介した熱の伝達を必要とする任意の他の処置に適用され得るものであることに留意されたい。
【0045】
カテーテルの遠位先端部
ここで
図2Aを参照するが、この図は、本発明のいくつかの実施形態による、遠位先端部32の概略図である。また、ここで更に
図3を参照するが、この図は、本発明のいくつかの実施形態による、遠位先端部32を通る長手方向断面の模式図である。
【0046】
遠位先端部32は、
図2A及び
図3に図示されている先端電極などの、少なくとも1つのアブレーション電極40を備える。電極40は、接着剤によって、カテーテル22の遠位端で、支持構造体36に結合された、めっきされた可撓性のある電気絶縁性基材41を備える。基材41は、可撓性ポリマー(例えば、ポリイミド)又は液晶ポリマー(LCP)などの任意の好適な、可撓性のある電気絶縁性材料で作製され得る。支持構造体36は、コバルトクロム、ステンレス鋼、マグネシウム、及び/又は上記のいずれかの合金などの、任意の、好適な強度のある材料で作製され得る。例えば、支持構造体36は、L-605コバルト-クロム-タングステン-ニッケル合金を含み得る。
【0047】
一般に、電極40は、任意の好適な形状を有し得る。いくつかの実施形態では、
図2A及び
図3に示すように、電極40は、ドーム形状部分40aによってキャップがされた、円筒形部分40bを含むシンブル形状である。典型的には、電極の近位端にあるタブ47は、電極とカテーテルの近位端との間の電気的接続を確立するために、カテーテルの全長にわたって延びるワイヤがはんだ付けされ得るはんだ付け用パッドを備える。これらのはんだ付けパッドは、
図4及び
図5を参照して、以下で更に詳細に説明される。
【0048】
図2Aの「A-A」断面図に示すように、基材41は、支持構造体36に面する内表面76と、支持構造体36から離れる側に面する外表面45とを有する。典型的には、基材の厚さT0(すなわち、基材の内表面と外表面との間の距離)は、5~75(例えば、12~50)マイクロメートルである。内表面の少なくとも一部は、金などの導電性金属の内側層70によって被覆されている。典型的には、内側層70は、10~50マイクロメートルの厚さT1を有する。同様に、外表面45の少なくとも一部は、金属の外側層50によって被覆されている。典型的には、外側層50は、1~5マイクロメートルの厚さT2を有する。
【0049】
典型的には、外側層50が主要部分54と、基材の露出部分によって主要部分54から電気的に絶縁された、1つ以上の絶縁部分とを含むという点で、外側層50は不連続である。これらの絶縁部分は、感知微小電極56として機能する1つ以上の「島」を含み得る。例えば、外側層50は、遠位先端部の周囲に分布した3~7個の微小電極56を含み得る。代替的に又は追加的に、絶縁部分は、例えば遠位先端部32の近位端付近に配設され得る、感知リング電極43を含み得る。
【0050】
内表面76の露出部分によって内側層70から電気的に絶縁されたそれぞれの導電性トレース78が、感知電極のそれぞれの下に配設される。
図4を参照して以下で更に説明するように、感知電極が形成されるのに先立って、本明細書ではブラインドバイアス80と称される孔が、トレース78の上方の基材内に形成される(例えば、ドリル加工される)。続いて、感知電極が基材の外表面上に堆積されると、感知電極が、少なくとも部分的にブラインドバイアス80に充填され、それによってトレースに接触する。したがって、処置中に、感知電極によって感知された、被験者の心組織からの電位信号が、カテーテル22を通ってカテーテルの近位端まで延びるワイヤに、トレース78を介して搬送され得る。このようにして信号は、分析のためにプロセッサ23に送達され得る。
【0051】
ここで更に
図2Bを参照するが、この図は、本発明のいくつかの実施形態による電極40の一部分の断面の概略図である。
図2Bは、
図2Aに示す「B-B」断面に対応する。
【0052】
基材41は、基材の内表面と外表面との間を通過する、複数のチャネルを画定するように成形され、その複数のチャネルには、複数の幅狭なチャネル46と、1つ以上のより幅広なチャネル44とが含まれる。典型的には、各チャネルは、チャネルの長さ方向に沿ってテーパ状であり、基材の内表面におけるチャネルの断面積は、外表面における断面積よりもわずかに大きい。各幅狭なチャネル46の断面積(又は平均断面積)は、各幅広なチャネル44の断面積よりも小さい。
【0053】
いくつかの実施形態において、チャネルは、円形の断面を有する。このような実施形態では、幅狭なチャネルのそれぞれの平均直径d0は、幅広なチャネルそれぞれの平均直径d1の50%未満(例えば、25%未満)であり得る。代替的に又は追加的に、直径d0は、5~50マイクロメートル(例えば、5~30マイクロメートル)であってもよく、かつ/又は、直径d1は、50~300マイクロメートルであってもよい。他の実施形態では、チャネルの少なくとも一部は、正方形の形状、又は任意の他の好適な形状を有する断面を有していてもよい。(このような実施形態では、チャネルのそれぞれの平均断面積は、d0及びd1の範囲によって上記に示唆されたものに対応し得る。)
【0054】
典型的には、電極は、30~100本の幅広なチャネルを含む。各幅広なチャネル44は、導電性金属のめっき層52によってめっきされ、そのめっき層52は、外側層50を内側層70に接続する。めっきされた幅広なチャネルは、このようにして、金属の外側層と内側層との間に電気伝導性及び熱伝導性を提供する。更に、めっきされた幅広なチャネルは、遠位先端部32の内部と外部との間に流体通路を提供し、ポンプ25(
図1参照)によって供給される灌注流体39が、その流体通路を通って流れることができる。したがって、めっきされた幅広なチャネルは、「灌注孔」72と称され得る。(各灌注孔の直径は、めっき層52の厚さの約2倍の長さに相当する分だけ、直径d1よりも小さい。)支持構造体36は、灌注孔72と位置揃えされる開口部62を画定するように成形され、支持構造体が灌注孔を妨害することがないようになっている。
【0055】
典型的には、幅狭なチャネル46の数が比較的多い。例えば、基材41は、少なくとも1000、5000、10000、又は20000本の幅狭なチャネルを画定するように成形され得る。代替的に又は追加的に、幅狭なチャネルの数の幅広なチャネルの数に対する比は、少なくとも300:1であり得る。代替的に又は追加的に、幅狭なチャネルのそれぞれの外側開口部(すなわち、基材の外表面における、幅狭なチャネルの開口部)の総面積は、基材の外表面の面積の少なくとも10%、20%、又は30%であり得る。したがって、例えば、基材の外表面(幅狭なチャネルを含む)の面積が27mm2であり、各幅狭なチャネルが、25マイクロメートルの直径を有する(したがって、0.0005mm2の面積)を有する円形外側開口部を含む場合、幅狭なチャネルの数は、約16500本(合計面積8.1mm2)であり、幅狭なチャネルの外側開口部が外表面の約30%を占め得る。
【0056】
幅広なチャネルとは対照的に、幅狭なチャネル46は単にめっきされているというだけではなく、むしろ、外側層50を内側層70に接続する導電性金属のそれぞれのカラム48によって充填される。(カラム48は必ずしも円筒形ではないが、これは、上述したように、幅狭なチャネル46は必ずしも円形の断面を有さないためである。更に、上述したように、各カラムの断面積は、カラムの長さ方向に沿って変化し得る。外側層50、内側層70、めっき層52、及びカラム48は、まとめて、基材を被覆する金属の単一体として説明され得るということに留意されたい。)多数のチャネル46により、かつこれらのチャネルの各々が充填されることにより、大量の熱がチャネル46を介して伝達され得る。したがって、充填された幅狭なチャネルは、「熱バイアス」74と称され得る。(図示を容易にするために、
図2Aの「A-A」断面には、熱バイアスは示されていない。)
【0057】
上記のことにもかかわらず、いくつかの実施形態では、幅狭なチャネルは充填されず、むしろ、幅広なチャネルと同様に単にめっきされているということに留意されたい。このような実施形態においても、大量の熱が電極の内部に伝達され得る。
【0058】
典型的には、カテーテル22は、カテーテル22の管状本体22mの全長を通って延びる流体供給管(図示せず)を備える。流体供給管はその遠位側が、1つ以上の流体流開口64を画定するように成形されたフローダイバータ60に連結される。フローダイバータ60は、カテーテルの近位端から流体供給管を介して受容される流体39の向きを、流体流開口64を通して変えさせる。このような実施形態では、電極40は、フローダイバータが電極の内部ルーメンの内側に配設されるように、フローダイバータ60の基部58に連結され得る。例えば、支持構造体36は、基部58に結合され得る。代替的に又は追加的に、基部58は、複数の突出部を画定するように成形されてもよく、支持構造体36は、突出部が孔にスナップ嵌めされるように、複数の相補的孔を画定するように成形されてもよい。
【0059】
図1を参照して既に述べたように、アブレーション処置中に、医師28は、遠位先端部32特に外側層50を、被験者26の組織に接触させる。外側層50で組織を接触させている間、医師は、外側層を介して組織内に電流を流す。電流は、組織内に損傷が形成されるように、組織内に熱を発生させる。この熱は、熱バイアス74を介して(すなわち、カラム48を介して)、内側層70に伝達される。同時に、ポンプ25(
図1)は、流体供給管を通して灌注流体39を送り込み、流体を、フローダイバータ60の流体流開口64を通して電極の内部に流入させる。次いで、この流体は、開口部62及び灌注孔72を通って、遠位先端部から流出し、その結果、内側層70から被験者の血液へと熱を排出する。
【0060】
遠位先端部の製造
次に、
図4を参照するが、この図は、本発明のいくつかの実施形態により、電極40を製造する方法82の、フローチャートである。ここで更に
図5を参照するが、この図は、本発明のいくつかの実施形態による、変形させる前の電極40の概略図である。(
図5は、電極40の内部、すなわち、基材41の内面に連結されている様々な要素を示す。)
【0061】
図4は、基材の少なくとも内表面が銅の層で最初にコーティングされていると仮定している。したがって、方法82は、電極の外部の感知電極に接続される銅トレース114を除いて、全ての銅が内表面からエッチング除去されるエッチング工程84から開始する。(外表面上の銅もエッチング除去される。)このエッチングは、例えば、トレース114用に指定された銅の部分の上にマスクを配置し、次いで、露出した銅を化学的に除去することによって実行され得る。あるいは、最初に基材の内表面が露出されている場合、銅トレース114は、内表面上に堆積され得る。
【0062】
続いて、トレース堆積工程86において、熱電対に使用されるコンスタンタントレース118が、基材の内表面上に堆積される。トレース堆積工程86は、例えば、スパッタリング蒸着などの物理蒸着(PVD)によって実行され得る。例えば、コンスタンタントレース118用に指定された内表面の部分を除いて、内表面全体にマスクを配置し得る。続いて、チタンタングステンなどのベース金属のシード層を、基材上にスパッタリングし得る。最後に、コンスタンタンを、ベース金属上にスパッタリングし得る。
【0063】
典型的には、必要となる配線を最小化するために、コンスタンタントレースは、共通のコンスタンタントレースはんだ付けパッド120で終端する。いくつかの実施形態では、コンスタンタンの堆積前に、はんだ付けパッド120の場所で、孔(又は「杭バイアス」)が基材にドリル加工される。続いて、堆積されたコンスタンタンを孔に充填し、次いで孔の上に、はんだ付けパッド120を形成する。あるいは、基材を完全に貫通して孔をドリル加工する代わりに、窪みを基材にドリル加工して、堆積されたコンスタンタンをその窪みに充填し得る。いずれの場合も、はんだ付けパッド120は、はんだ付けパッドの下のコンスタンタンによって基材に「杭で固定」される。(孔又は窪みの充填を容易にする目的で、幅狭なチャネル及び幅広なチャネルについてすぐ下に説明するように、孔又は窪みを先細りにするために、抜き勾配を使用してもよい。)
【0064】
次に、ドリル加工工程88では、典型的にはレーザードリル加工技術を使用して、複数の幅狭なチャネル及び1つ以上の幅広なチャネル44を基材にドリル加工する。(幅狭のチャネルは
図5に見ることができるが、幅狭なチャネルは同図には見ることができない。)典型的には、チャネルは、チャネルが外表面に近づくにつれて狭くなるように抜け勾配を使用して、基材の内表面から穿設される。これにより、後続のスパッタリングプロセス中に、チャネルの壁上への金属の集めることが容易になる。加えて、定義部として銅トレース114を使用して、感知電極用に指定された外表面の部分に、ブラインドバイアス80が、基材を貫通して基材の外表面からドリル加工(例えば、レーザードリル加工)され得る。(換言すれば、銅トレース上に配設された基材の部分を除去して、銅トレースを露出させることができる。)典型的には、ブラインドバイアスが基材の内表面に近づくにつれて狭くなるように、抜き勾配がブラインドバイアスに使用される。これにより、ブラインドバイアスの壁上へ金属を集めることが容易になる。
【0065】
次に、第1のマスキング工程90において、銅トレース及びコンスタンタントレースが、これらのトレースを絶縁するために指定された排除ゾーン91(すなわち、基材の内表面の露出部分)と共に、マスクされる。(ただし、熱電対接合部用に指定されるコンスタンタントレースの部分は、マスクされない。)コンスタンタントレースと交差する金トレース(したがって、コンスタンタン金熱電対を形成する)を絶縁するために指定された追加の排除ゾーンもまた、マスクされる。加えて、感知電極を絶縁するために指定された外表面上の排除ゾーンがマスクされる。
【0066】
その後、堆積工程92において、金の薄層が、基材の内表面及び外表面上に堆積され、チャネル内にも堆積される。堆積工程92は、例えば、スパッタリング蒸着などの物理蒸着(PVD)によって実行され得る。(典型的には、チタン-タングステンなどのベース金属のシード層が、金のスパッタリングの前に、基材上にスパッタリングされる。)マスクのおかげで、金はトレース上又は排除ゾーン上に堆積されない。
【0067】
堆積された金は、内側層70、外側層50、めっき層52、及びカラム48のための初期化層を含む。堆積される金は、熱電対接合部124でコンスタンタントレースを被覆する、金トレース122を更に含む。各金トレース122は、それぞれの金トレースはんだ付けパッド126で終端する。堆積された金は、銅トレースのそれぞれに対するそれぞれの銅トレースはんだ付けパッド116を更に含む。いくつかの実施形態では、銅トレースはんだ付けパッド116及び/又は金トレースはんだ付けパッド126は、コンスタンタントレースはんだ付けパッドに関して既に説明したように、基材に杭で固定される。堆積された金は、内側層70に接続された、少なくとも1つの金はんだ付けパッド128を更に含む。金はんだ付けパッド128はまた、基材に杭で固定されてもよい。
【0068】
蒸着の後、マスク(マスク上に蒸着されたすべての金と共に)を、マスク除去工程93で除去する。続いて、第2のマスキング工程94において、トレースと、トレースを取り囲む内表面排除ゾーンと、基材の外表面全体とがマスクされる。
【0069】
第2のマスキング工程94に続いて、トレース及び外表面がマスクされたまま、第1のメッキ工程98において、基材を金のめっき槽内で、第1の時間間隔の間、めっきする。基材をめっきすることにより、金内の任意の間隙が充填され、金の厚さを更に増加させるが、その結果、例えば、内側層70が5~40マイクロメートルの厚さに達する一方で、幅広なチャネルの直径は、30~200マイクロメートルに減少する。また、幅狭なチャネルは、完全に充填され得る。
【0070】
典型的には、基材のめっきは電気化学的であり、そのため、基材を既にコーティングしている金を通る電流の流れによって、この金がめっき槽内で金イオンを引き寄せる。電流の振幅及び持続時間は、金が所望の厚さに達するように制御されてもよい。
【0071】
第1のメッキ工程98に続いて、マスク取り外し工程100で、感知電極を絶縁するように指定された前述の排除ゾーンを除いて、基材の内表面及び外表面のマスクを取り外す。次に、カバーレイ適用工程101において、少なくとも1つのカバーレイ130がトレース上及び内表面排除ゾーンの上に適用される。(いくつかの実施形態では、
図5の挿入部分に図示されるように、カバーレイ130は透明又はほぼ透明である。)
【0072】
典型的には、タブ47を被覆するカバーレイ130の近位部分は、はんだ付けパッドを露出させる窓132を画定するように成形され、それにより、後続のめっき処理中に、はんだ付けパッドを厚くすることができる。(窓132と位置揃えされた窓を有する追加のカバー142は、カバーレイの近位部分を被覆し得る。)典型的には、はんだ付けパッドは完全に露出してはおらず、むしろ、各はんだ付けパッドの1つ以上の縁部が窓132のリムによって被覆されているという点で、カバーレイ130によって「捕捉」状態に維持される。したがって、カバーレイ130は、後続のはんだ付けプロセス中に、はんだ付けパッドを基材41に押さえつけるのに役立つ。
【0073】
続いて、第2のメッキ工程102において、基材は、第2の時間間隔にわたってめっき槽内でめっきされ、外側層50内のあらゆる間隙が充填され、内側層、外側層、及びめっき層が厚くなる。例えば、第2のメッキは、内側層の厚さを10~50マイクロメートルに増加させつつ、幅広なチャネルの直径を15~150マイクロメートルに減少させることができる。典型的には、内側層の最終的な厚さは、平滑な内面を得るためのカバーレイの厚さと同じである。(いかなる混乱をも避けるため、用語「内面」は本明細書では、カバーレイ及び内側金層によって形成される表面を指すのに使用されるが、用語「内表面」は、基材の、下方にある表面を指すために使用される。)加えて、第1のメッキ工程98中に幅狭なチャネルが、完全には充填されなかった場合、これらのチャネルは、第2のメッキ工程102中に完全に充填される。第1のメッキ工程98の場合と同様に、めっき槽内の電流の振幅及び持続時間は、所望の厚さが得られるように制御され得る。
【0074】
(いくつかの実施形態では、堆積工程92中に金が外表面上に堆積されないように、堆積工程92の前に外表面をマスクする。このような実施形態では、マスク取り外し工程100の後かつ第2のメッキ工程102の前に、金の薄層が外表面上に堆積される。)
【0075】
第2のメッキ工程102に続いて、開口部ドリル加工工程104で、開口部62を支持構造体36を貫通してドリル加工する。(ドリル加工に代えて、化学エッチングなどの任意の他の好適な技術を使用して開口部を形成してもよい。)次に、結合工程106で、支持構造体36と、カバーレイ130及び内側層70によって形成される平滑な内面との間に好適な接着剤を適用することによって、開口部62を灌注孔72と位置揃えしながら、支持構造体を内面に結合する。典型的には、開口部の面積は灌注孔の面積よりも大きく、支持構造体を結合する際に、いかなる小さい位置ずれをも補正するようになっている。
【0076】
次に、変形工程108において、電極40を所望の形状に変形させる。例えば、好適な芯棒の周囲に電極を形成する形成治具に、電極を挿入してもよい。治具に電極を挿入した後、治具を炉の中に定置する。続いて、炉は、電極に圧力が印加されている間、好適な温度に電極を加熱する。熱と圧力との組み合わせによって、電極を、所望の形状でそれ自体に結合させる。
【0077】
一般に、基材及び支持構造体は、任意の所望の形状に変形され得る。しかしながら、典型的には、変形工程108の間、基材及び支持構造体は、内部ルーメンを画定するように成形され、例えば、基材及び支持構造体は、
図2A及び
図3を参照して既に述べたように、内部ルーメンを含むシンブルを画定するように成形され得る。あるいは、例えば、基材及び支持構造体は、環を画定するように成形されてもよい。
【0078】
典型的には、シンブル形状の電極の製造を容易にするために、基材41は、互いに連続した2つの部分、すなわち、遠位側の円形部分41aと、近位側の矩形部分41bとを備える。同様に、支持構造体36は、互いに連続的な2つの部分、すなわち、中央ハブ136から放射状に広がる複数のスポーク134を含む遠位側支持部分36aと、近位側支持部分36bとを備える。結合工程106の間、遠位側支持部分36aは、円形部分41aの内面に結合され、接着剤がスポーク134の外表面に適用される。(これらの表面は、
図5に示される表面と反対側である。)加えて、近位側支持部分36bは、矩形部分41bの内面に結合されるが、この内面のうち、一部の遠位部分は露出した状態のままである。接着剤は、近位側支持部分36bの張出しタブ138の外表面に適用されるが、この張出しタブ138は、矩形部分41bの側部の上に張出している。(近位側支持部分36bはまた、矩形部分41bの近位端の上に張出してもよい。)
【0079】
続いて、変形工程108の間、遠位側支持部分36a及び円形部分41aは、芯棒の上部の上に折り畳まれ、一方、近位側支持部分36b及び矩形部分41bは、芯棒の周りに巻かれる。この構成を維持するために、スポーク134の外表面は、矩形部分41bの内面の露出した遠位部分に結合され、タブ138の外表面は近位側支持部分36bの反対側の端部に結合される。(また、スポークのうちの少なくとも1つの内表面は、タブ138に結合され得る。)したがって、遠位側支持部分36a及び円形部分41aはドーム形状部分40a(
図2A参照)に形成され、一方、近位側支持部分36b及び矩形部分41bは円筒形部分40bに形成される。
【0080】
その後、はんだ付け工程110で、はんだ付けパッド上にワイヤをはんだ付けする。具体的には、発生器27(
図1参照)からRF電流を送達するワイヤは、金はんだ付けパッド128上にはんだ付けされる一方、プロセッサ23に信号を送達する他のワイヤは、他のはんだ付けパッドにはんだ付けされる。
【0081】
最後に、連結工程112では、電極がカテーテルに連結される。例えば、近位側支持部分36bは、フローダイバータ(
図3参照)の基部58に結合され得る。代替的に又は追加的に、
図3を参照して既に述べたように、基部58に属する突出部は、近位側支持部分36b内の相補的な孔140にスナップ嵌めされてもよい。続いて、フローダイバータは、カテーテルに属する流体供給管に連結されてもよい。(あるいは、フローダイバータは、電極がフローダイバータに連結される前に、流体供給管に連結されてもよい。)
【0082】
一般に、マスクが必要とされる工程のそれぞれにおいて、任意の好適なマスキング技術が使用されてもよい。好適なマスクの例としては、液体及びフィルム状のフォトレジストが挙げられる。
【0083】
上に説明したトレースの代わりに、又はそれに加えて、任意の他の好適な電気又は電子構成要素が、基材の内表面上に堆積されてもよい。そのような構成要素は、組織の温度を測定するためのサーミスタ、カテーテルの遠位端に印加される圧力を測定するための圧力センサ、及び/又はカテーテルをナビゲートするための電磁センサを含んでもよい。これらの構成要素(好適な周囲の排除ゾーンと共に)は、トレースについて既に説明したように、マスキング又は被覆が必要なときはいつでも、マスキング又は被覆されてもよい。
【0084】
本開示の範囲は、当業者には明らかとなるように、実行される工程の順番に関する、及び/又は使用される様々な材料に関して、方法82に対して施される任意の好適な修正を含むことに留意されたい。例えば、任意の好適な導電性金属を、銅、金、又はコンスタンタンの代わりに使用することができる。
【0085】
一般に、本明細書に記載される実施形態は、それぞれの開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2018/0110562号又は米国特許出願第15/793126号に記載されている実施形態のいずれかと組み合わせることができる。
【0086】
本発明が、本明細書上に具体的に示されて記載されたものに限定されない点が、当業者により理解されよう。むしろ、本発明の実施形態の範囲は、本明細書上に記載されている様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、及び上記の説明を一読すると当業者には想起されると思われる、従来技術には存在しない特徴の変更例及び改変例を含む。参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0087】
〔実施の態様〕
(1) 内表面及び外表面を有し、(i)前記内表面と前記外表面との間を通過する複数の幅狭なチャネル及び(ii)前記内表面と前記外表面との間を通過する1本以上の幅広なチャネルを画定するように成形された可撓性電気絶縁性基材と、
前記外表面の少なくとも一部を被覆する導電性金属の外側層と、
前記内表面の少なくとも一部を被覆する前記導電性金属の内側層と、
前記外側層を前記内側層に接続するように、前記幅広なチャネルをめっきする、前記導電性金属のめっき層と、
前記外側層を前記内側層に接続するように、前記幅狭なチャネルを充填する前記導電性金属のそれぞれのカラムと、を備える装置。
(2) 前記基材が、少なくとも1,000本の幅狭なチャネルを画定するように成形されている、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記幅狭なチャネルのそれぞれの外側開口部の総面積が、前記外表面の面積の少なくとも10%である、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記導電性金属が金を含む、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記内表面上に配設され、前記内側層から電気的に絶縁された、少なくとも1つのコンスタンタントレースと、
前記内表面上に配設され、前記内側層から電気的に絶縁され、熱電対接合部で前記コンスタンタントレースを被覆する、少なくとも1つの金トレースと、を更に備える、実施態様4に記載の装置。
【0088】
(6) 前記内側層に結合された支持構造体を更に備え、
前記基材及び前記支持構造体は、内部ルーメンを画定するように成形されている、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記基材及び前記支持構造体が、前記内部ルーメンを含むシンブルを画定するように成形されている、実施態様6に記載の装置。
(8) 被験者の身体内に挿入するように構成されたカテーテルを更に備え、
前記支持構造体が、前記カテーテルの遠位端に連結されている、実施態様6に記載の装置。
(9) 前記カテーテルの前記遠位端が、前記カテーテルの近位端から受容された流体の向きを変えさせるように構成されたフローダイバータを備え、
前記支持構造体は、前記フローダイバータが前記内部ルーメンの内部に配設されるように、前記フローダイバータに連結されている、実施態様8に記載の装置。
(10) 前記幅狭なチャネルのそれぞれの平均直径が、5~50マイクロメートルである、実施態様1に記載の装置。
【0089】
(11) 前記幅狭なチャネルのそれぞれの、幅狭なチャネル平均直径が、前記幅広なチャネルのそれぞれの、幅広なチャネル平均直径の50%未満である、実施態様1に記載の装置。
(12) 前記基材の厚さが、5~75マイクロメートルである、実施態様1に記載の装置。
(13) 前記内表面上に配設され、前記内側層から電気的に絶縁された、1つ以上の導電性トレースを更に備え、
前記基材が、前記トレースの反対側のそれぞれの孔を画定するように成形され、
前記外側層が、
主要部分と、
前記主要部分から電気的に絶縁され、前記孔を少なくとも部分的に充填することによって前記トレースにそれぞれ接触する1つ以上の島と、を備える、実施態様1に記載の装置。
(14) 被験者の身体内に、基材を含むカテーテルの遠位端を挿入することであって、前記基材は、内側金属層によって少なくとも部分的に被覆されている内表面と、外側金属層によって少なくとも部分的に被覆されている外表面とを有し、(i)前記内表面と前記外表面との間を通過し、金属カラムによって充填される複数の幅狭なチャネルと、(ii)前記内表面と前記外表面との間を通過する1本以上のめっきされた幅広のチャネルと、を画定するように成形されている、ことと、
前記カテーテルの前記遠位端を前記被験者の前記身体内に挿入することに続いて、前記被験者の組織を前記外側金属層と接触させることと、
前記組織に接触している間に、前記組織内に熱を生成し、前記金属カラムを介して前記内側金属層に伝達させるように、前記外側金属層を介して電流を前記組織内に通すことと、
前記めっきされた幅広なチャネルに灌注流体を通すことによって、前記熱を、前記内側金属層から前記被験者の血液中に排出することと、を含む方法。
(15) 前記組織は、前記被験者の心組織を含む、実施態様14に記載の方法。
【0090】
(16) 前記外側金属層が、
主要部分と、
前記主要部分から電気的に絶縁された1つ以上の島と、を含み、
前記方法が、前記島を使用して、前記心組織からの電気記録図信号を感知することを更に含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 複数の幅狭なチャネル及び1本以上の幅広なチャネルを、可撓性の電気絶縁性基材を貫通させて、前記基材の内表面と前記基材の外表面との間を通過するようにドリル加工することと、
導電性金属を使用して、前記内表面及び前記外表面を少なくとも部分的に被覆し、前記幅狭なチャネルを完全に充填し、前記幅広なチャネルをめっきすることと、を含む方法。
(18) 前記幅狭なチャネルをドリル加工することが、少なくとも1,000本の幅狭なチャネルをドリル加工することを含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記幅狭なチャネルのそれぞれの外側開口部の総面積が、前記外表面の面積の少なくとも10%である、実施態様17に記載の方法。
(20) 前記導電性金属が金を含む、実施態様17に記載の方法。
【0091】
(21) 少なくとも1つのコンスタンタントレースを前記内表面上に堆積させることを更に含み、
前記内表面を少なくとも部分的に被覆することは、前記内表面上に少なくとも1つの金トレースを堆積させて、前記金トレースに前記コンスタンタントレースを被覆させ、それにより熱電対接合部を形成することを含む、実施態様20に記載の方法。
(22) 前記幅狭なチャネルのそれぞれの平均直径が、5~50マイクロメートルである、実施態様17に記載の方法。
(23) 前記幅狭なチャネルのそれぞれの、幅狭なチャネル平均直径が、前記幅広なチャネルのそれぞれの、幅広なチャネル平均直径の50%未満である、実施態様17に記載の方法。
(24) 前記基材の厚さが、5~75マイクロメートルである、実施態様17に記載の方法。
(25) 前記内表面及び前記外表面を少なくとも部分的に被覆し、前記幅狭なチャネルを完全に充填し、前記幅広なチャネルをめっきすることが、
前記導電性金属を前記基材の前記内表面上及び前記外表面上、並びに前記幅狭なチャネル内及び前記幅広なチャネル内に堆積させることと、
前記導電性金属を前記基材の前記内表面上に堆積させることに続いて、前記基材の前記外表面が被覆されている間に、前記基材を前記導電性金属のめっき槽内で第1の時間間隔にわたってめっきすることと、
前記基材を前記第1の時間間隔にわたってめっきすることに続いて、前記基材の前記外表面から少なくとも部分的に被覆を剥がすことと、
前記基材の前記外表面から少なくとも部分的に被覆を剥がすことに続いて、前記基材を第2の時間間隔にわたって前記めっき槽内でめっきすることと、
によって、前記内表面及び前記外表面を少なくとも部分的に被覆し、前記幅狭なチャネルを完全に充填し、前記幅広なチャネルをめっきすることを含む、実施態様17に記載の方法。
【0092】
(26) 前記内表面を被覆する前記導電性金属を支持構造体に結合することと、
前記基材及び前記支持構造体を成形して、内部ルーメンを画定することと、を更に含む、実施態様17に記載の方法。
(27) 前記基材及び前記支持構造体を成形することが、前記基材及び前記支持構造体を成形して、前記内部ルーメンを含むシンブルを画定することを含む、実施態様26に記載の方法。
(28) 前記支持構造体を、被験者の身体内に挿入するように構成されたカテーテルの遠位端に連結することを更に含む、実施態様26に記載の方法。
(29) 前記カテーテルの前記遠位端が、前記カテーテルの近位端から受容された流体の向きを変えるように構成されたフローダイバータを備え、
前記支持構造体を前記カテーテルの前記遠位端に連結することは、前記フローダイバータが前記内部ルーメンの内部に配設されるように、前記支持構造体を前記フローダイバータに連結することを含む、実施態様28に記載の方法。
(30) 前記基材の前記内表面上に1つ以上の導電性トレースをエッチングすることを更に含み、
前記導電性金属を前記基材の前記内表面上に堆積させることは、前記導電性トレースが前記導電性金属から電気的に絶縁されたままであるように、前記導電性金属を前記基材の前記内表面上に堆積させることを含み、
前記方法が、前記基材内の前記トレースの反対側にそれぞれ孔を形成することを更に含み、
前記導電性金属を前記基材の前記外表面上に堆積させることは、前記導電性金属を前記基材の前記外表面上に堆積させて、(i)主要部分と、(ii)前記主要部分から電気的に絶縁され、前記孔を少なくとも部分的に充填することによって前記トレースにそれぞれ接触する1つ以上の島と、を形成することを含む、実施態様17に記載の方法。
【外国語明細書】