(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028594
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】強化ポリオレフィン複合材料
(51)【国際特許分類】
C08L 23/00 20060101AFI20240226BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240226BHJP
【FI】
C08L23/00
C08K3/013
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024008685
(22)【出願日】2024-01-24
(62)【分割の表示】P 2020552303の分割
【原出願日】2019-03-29
(31)【優先権主張番号】10201802637R
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(71)【出願人】
【識別番号】503231882
【氏名又は名称】エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ
(71)【出願人】
【識別番号】514163756
【氏名又は名称】エスシージー ケミカルズ カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ティットサーターン、ワリントーン
(72)【発明者】
【氏名】ホー、チャオビン
(72)【発明者】
【氏名】ヨー、チー チュアン ジェイベン
(72)【発明者】
【氏名】ポンタマチャイ、ノッパワン
(72)【発明者】
【氏名】ツリータマクール、スパキット
(72)【発明者】
【氏名】スカチョンマクール、タナポン
(57)【要約】
【課題】強化ポリオレフィン複合材料を提供する。
【解決手段】強化ポリオレフィン複合材料は、ポリオレフィンと、ポリオレフィン中に分散されたフィラーとを含み、フィラーは、硬質のマイクロフィラー、及び少なくとも1つのナノフィラーを含む。ポリオレフィン及びポリオレフィン中に分散されたフィラーを含む強化ポリオレフィン複合材料を提供する方法も提供され、ここで、フィラーは、硬質のマイクロフィラー、及び少なくとも1つのナノフィラーを含む。この方法は、(i)ポリオレフィン、硬質マイクロフィラー、及び少なくとも1つのナノフィラーを混合して混合物を形成する工程と、(ii)混合物を溶融して溶融混合物を形成する工程と、(iii)溶融した混合物を混練する工程とを備える。この方法によって製造された強化ポリオレフィン、ならびに本明細書で定義された強化ポリオレフィンの使用が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィンと、前記ポリオレフィン中に分散されたフィラーであって、前記フィラーは、硬質のマイクロフィラー、及び少なくとも1つのナノフィラーを含んでなるフィラーとからなる、強化ポリオレフィン複合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な実施形態は、強化ポリオレフィン複合材料及び強化ポリオレフィン複合材料を調製する方法、ならびに強化ポリオレフィン複合材料の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンは、低温でも加工性に優れ、柔軟性が高く、耐薬品性に優れ、軽量で費用対効果に優れていることから、成形材料として広く使用されている。一方、それらの欠点のいくつかは、低強度、低靭性、及び低耐熱性である。機械部品や構造部品などの一部の用途にポリオレフィンを使用する場合、より高い硬さと耐熱性が要求される。上記の欠点を克服するための1つの解決策は、タルク、マイカ、ガラス繊維などの無機フィラーを大量に組み込むことである。しかしながら、大量に使用すると、得られるポリオレフィン複合材料の不十分なフィラー分散又はフィラー凝集、重量の増加、大きな反り、及び不十分な加工性(特にガラス又は炭素からなるフィラーの場合)などの問題につながる可能性がある。上記の問題に対する別の解決策は、反応性配合である。しかし、これはしばしば制御不能であり、得られたポリマーのリサイクルの困難を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、改善されたポリオレフィン複合材料、及び上記の問題の1つ以上に対処するか、又は少なくとも軽減するポリオレフィン複合材料を調製する方法の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様では、ポリオレフィン及びポリオレフィン中に分散されたフィラーを含む強化ポリオレフィン複合材料が提供され、フィラーは、硬質マイクロフィラー、及び少なくとも1つのナノフィラーを含む。
【0005】
第2の態様では、ポリオレフィン及びポリオレフィン中に分散されたフィラーを含む強化ポリオレフィン複合材料を提供する方法が提供され、フィラーは、硬質マイクロフィラー、及び少なくとも1つのナノフィラーを含む。
この方法は、(i)ポリオレフィン、硬質マイクロフィラー、及び少なくとも1つのナノフィラーを混合して混合物を形成する工程と、(ii)混合物を溶融して溶融混合物を形成する工程と(iii)溶融した混合物を混練する工程とを備える。
【0006】
第3の態様では、第2の態様で定義された方法によって提供される強化ポリオレフィン複合材料が提供される。
第4の態様では、輸送、インフラストラクチャ、消費財、及び/又は建設において、第1の態様又は第3の態様で定義された強化ポリオレフィン複合材料の使用が提供される。
【0007】
本発明は、非限定的な例及び添付の図面と併せて検討される場合、詳細な説明を参照することにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明及び比較例による強化ポリオレフィン複合材料、ならびにそれらの機械的特性の比較を示す表。
【
図2】実施例1で得られた強化ポリオレフィン複合材料中のフィラーの分散を示す透過型電子顕微鏡(TEM)画像。スケールバーは1μmの長さを表す。
【
図3】実施例2で得られた強化ポリオレフィン複合材料中のフィラーの分散を示すTEM画像。スケールバーは1μmの長さを表す。
【
図4】実施例3で得られた強化ポリオレフィン複合材料中のフィラーの分散を示すTEM画像。スケールバーは1μmの長さを表す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に開示される様々な実施形態は、強化ポリオレフィン複合材料に関する。その最も広い意味で、本発明の複合材料は、(a)ポリオレフィン、(b)硬質マイクロフィラー、及び(c)少なくとも1つのナノフィラーを含む。
【0010】
したがって、第1の態様では、ポリオレフィン及びポリオレフィン中に分散されたフィラーを含む強化ポリオレフィン複合材料が提供され、フィラーは、硬質マイクロフィラー、及び少なくとも1つのナノフィラーを含む。
【0011】
有利なことに、硬質マイクロフィラーと少なくとも1つのナノフィラーを組み合わせることによって、ポリオレフィンを強化するのに役立ち、強化ポリオレフィン複合材料内の高度のフィラーの分散を維持しながら、全体的に低いフィラー含有量(15重量%以下であり得る)を有する強化ポリオレフィン複合材料をもたらす。さらに、少なくとも1つのナノフィラーの添加により、ポリオレフィンによって形成されるマトリクス内の硬質マイクロフィラーの量を減らすことが可能である。これは、強化ポリオレフィン複合材料の全体的な密度を下げるために重要であり、したがって、例えば産業用樹脂よりも軽量になる。したがって、様々な実施形態による強化ポリオレフィン複合材料は約0.9g/cm3~0.97g/cm3の範囲の密度を示し、フィラーの重量は同じであるが、フィラーはガラス繊維のみで構成されている強化ポリプロピレンについて得られた約1.2g/cm3~1.4g/cm3の密度と対照的である。全体的な密度のこの減少は、硬質のマイクロフィラーの例としてのガラス繊維の密度と比較して、少なくとも1つのナノフィラーの密度が低いことに起因する可能性がある。さらに、少なくとも1つのナノフィラーの形態で追加のタイプのフィラーを使用しているにもかかわらず、加工性を維持することができる。使用されるナノフィラーに応じて、物理的特性は少なくとも維持されることができ、いくつかの実施形態では、フィラーとして硬質マイクロフィラーと少なくとも1つのナノフィラーの組み合わせを使用することによって改善されることすらある。
【0012】
例えば、ポリオレフィンマトリクスに少なくとも1つのナノフィラーを添加することにより、ガラスフィラー(硬質マイクロフィラーの一例)の量を減らすことが可能であり、これは強化ポリオレフィン複合材料の密度を低下させる。大量のガラスフィラーが処理装置に害を及ぼすことが見出されたので、(例えば)ガラスフィラーの量の減少もまた、加工性において有益であることが発明者によって見出された。
【0013】
したがって、ポリオレフィンを強化するための硬質マイクロフィラー及び少なくとも1つのナノフィラーを含むフィラーの使用は、硬質マイクロフィラーのみが使用される既存の技術に勝る利点を有する。これらの技術は、高い補強を得るためにポリオレフィンマトリクスの軽量性と加工性を犠牲にしている。驚くべきことに、ポリオレフィンを強化するためのフィラーとして硬質マイクロフィラーと少なくとも1つのナノフィラーを組み合わせて使用すると、軽量で加工可能でありながら、ポリオレフィンのより高度の強化が観察されるという相乗効果が得られることが発明者によって見出された。この相乗効果は、硬質のマイクロフィラーと少なくとも1つのナノフィラーの態様における様々なタイプのフィラーに基づいている可能性があり、これらは、フィラーのサイズの違いにより、機械的強化及びフィラーとポリオレフィンマトリクス間の良好な接着のさまざまなメカニズムを実行するのに役立つ。例えば、少なくとも1つのナノフィラーは、実質的に極性のある硬質マイクロフィラーと実質的に非極性のポリオレフィンマトリクスとの間の異なる極性を橋渡しする効果を有し得る。
【0014】
本明細書に開示される様々な実施形態によれば、硬質のマイクロフィラー及び少なくとも1つのナノフィラーを含むフィラーを分散させるためのマトリクスを形成するポリオレフィンが提供される。様々な実施形態において、ポリオレフィンは、フィラーと化学的に反応せず、したがって、フィラーと共有結合を形成しない。通常、ポリオレフィンは非極性又は疎水性の材料である。ポリオレフィンは、置換ポリオレフィン又は非置換ポリオレフィンであり得る。例えば、ポリオレフィンは、非置換ポリオレフィンであり、これは、ポリオレフィンの重合モノマーから形成されたポリマー骨格のみを含み、その上に追加の部分がグラフトされていない。例えば、ポリオレフィンはポリプロピレンであり得る。別の例では、ポリオレフィンは、ポリオレフィンにグラフトされた官能基を含む置換ポリオレフィンであり得る。官能基は、重合前にポリオレフィンのモノマー上に存在し得、その結果、官能基は、得られるポリオレフィン上にも存在するか、又はポリオレフィンのモノマーの重合後にポリオレフィン上にグラフトされ得る。例えば、ポリオレフィンは、無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンであり得る。
【0015】
様々な実施形態によれば、ポリオレフィンは、C2~20アルキレン、C4~20アルキルジエン、C6~20アルキルトリエン、C3~20シクロアルキレン、C4~20シクロアルキルジエン、C5~20シクロアルキルトリエン、C8~20フェニルアルキレン、及びそれらの組み合わせのポリマー又はランダムコポリマー又はブロックコポリマーからなる群から選択され得る。様々な実施形態において、ポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、1-ペンテン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、スチレン、エチリデンノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、ジシクロペンタジエン及びエチレン-プロピレン-ジエンモノマーのポリマー、又はランダムコポリマー、又はブロックコポリマーからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンはポリエチレンであり得る。他の実施形態では、ポリオレフィンはポリプロピレンであり、任意選択でプラストマー及び/又はエラストマーと組み合わせて、任意選択でエチレン-α-オレフィンコポリマーから選択される。
【0016】
いくつかの実施形態では、ポリオレフィンは、2.16kgの重量で、230℃の温度で約5g/10分~50g/10分のメルトフローレートを有し得る。
様々な実施形態によれば、ポリオレフィンは、強化ポリオレフィン複合材料の総重量に対して、約30重量%~約95重量%、又は約40重量%~約95重量%、又は約50重量%~約95重量%、又は約50重量%~約90重量%、又は約50重量%~約80重量%、又は約50重量%~約70重量%の重量パーセント範囲で存在し得る。
【0017】
特定の実施形態では、ポリオレフィンは、その上にグラフトされた極性官能基ポリマーを有し得る。極性官能基は、酸無水物、エステル、アクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。有利には、ポリオレフィン上にグラフトされた極性官能基の存在により、マイクロフィラーと少なくとも1つのナノフィラーとの組み合わせとの相互作用が増強され得、それにより、ポリオレフィン複合材料の改善された強度及びより良好な分散をもたらす。
【0018】
いくつかの実施形態において、極性官能基は、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、エンド-ビ-シクロ[2,2,1]-1,4,5,6,7,7-ヘキサ-クロロ-5ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物、エンド-ビ-シクロ[2,2,1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物、シス-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される酸無水物であり得る。あるいは、極性官能基は、マレイン酸塩モノエステル、マレイン酸塩ジエステル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるエステルであり得る。さらに代替的に、極性官能基は、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるアクリレートであり得る。
【0019】
ポリオレフィンが非置換である場合、すなわち、ポリオレフィン上にグラフトされた官能基を含まない場合、それは実質的非極性、又は非極性であり得る。ほとんどのフィラー材料は極性があるため、ポリオレフィンとフィラー材料の間の良好な相互作用を実現するのは難しい場合がある。このため、極性官能基がグラフトされたポリマーとして本明細書で定義される修飾ポリマーを、強化ポリマー複合材料にさらに添加することができる。修飾ポリマーにグラフトされ得る官能基の例は、すでに上記に記載した。したがって、特定の実施形態では、強化ポリマー複合材料は、修飾ポリマーをさらに含む。有利なことに、修飾ポリマーは、実質的に疎水性の主鎖によるポリオレフィンの非極性特性、ならびにその上にグラフトされている極性官能基による極性特性を有する。したがって、ポリオレフィンとフィラー材料の間の極性及び非極性の相互作用を強化する相溶化剤として機能する。
【0020】
いくつかの実施形態では、その上にグラフトされた極性官能基を有する修飾ポリマーは、修飾ポリオレフィンであり得る。修飾ポリオレフィンは、C2~20アルキレン、C4~20アルキルジエン、C6~20アルキルトリエン、C3~20シクロアルキレン、C4~20シクロアルキルジエン、C5~20シクロアルキルトリエン、C8~20フェニルアルキレン、及びそれらの組み合わせのポリマー又はランダムコポリマー又はブロックコポリマーからなる群から選択されるポリオレフィンからなり得る。様々な実施形態において、修飾ポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、1-ペンテン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、スチレン、エチリデンノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、ジシクロペンタジエン及びエチレン-プロピレン-ジエンモノマーのポリマー又はランダムコポリマー又はブロックコポリマーからなる群から選択され得る。一実施形態では、修飾ポリオレフィンは、修飾ポリプロピレンである。一例では、修飾ポリオレフィンは、無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンである。
【0021】
修飾ポリマーは、強化ポリオレフィン複合材料の総重量に対して、最大約50重量%、又は約0.1重量%~約50重量%、又は約0.001重量%~約30重量%、又は約1重量%~約30重量%、又は約4重量%~約10重量%、又は約4重量%~約6重量%の重量パーセント範囲で存在し得る。
【0022】
硬質マイクロフィラーと少なくとも1つのナノフィラーを含むフィラーは、ポリオレフィンに分散されている。この意味で、ポリオレフィンは、フィラーが分散されているポリマーマトリクスとして機能し得る。この明細書における「硬質マイクロフィラー」という用語は、ポリオレフィンを強化するために使用され得、約0.1μm~約10,000μmの最大寸法を有する任意の硬質材料を指す。「最大寸法」という用語は、あらゆる方向のうち最大の寸法で測定した、硬質マイクロフィラーのサイズを指す。複数のマイクロフィラーが存在し、ポリオレフィン中にマイクロフィラーの凝集体を形成し、凝集体の最大寸法が約10,000μmを超える可能性がある実施形態では、マイクロフィラーの凝集体においても、凝集体のそれぞれが約0.1μm~約10,000μmの最大寸法を有する場合には、凝集体であるとはいえ、マイクロフィラーであるマイクロフィラーの成分がマイクロフィラーと見なされる。この意味で、「凝集体」という用語は、ファンデルワールス力によってのみ互いに可逆的に付着するマイクロフィラーの集合体を指す。様々な実施形態において、硬質マイクロフィラーは、別個の形態で存在し、ポリオレフィン中に分散されている。様々な実施形態において、硬質マイクロフィラーは、約0.1μm~約1000μm、又は約0.1μm~約800μm、又は約0.1μm~約500μm、又は約0.1μm~約100μm、又は約1μm~約1000μm、又は約1μm~約100μm、又は約100μm~約800μm、又は約200μm~約700μm、又は約300μm、又は約650μmのサイズを有し得る。硬質マイクロフィラーの寸法は、それらの処理段階に依存する場合がある。例えば、強化ポリオレフィン複合材料を作製するためのコンパウンド工程の前に、マイクロフィラーは、マイクロフィラーの第1の寸法(例えば、直径)が約50μm~約200μm、又は約100μmであるようなものであり得る。第2の寸法(例えば、長さ)は、約1000μm~約10,000μm、又は約5000μmであり得る。硬質マイクロフィラー材料は、強化ポリオレフィン複合材料の強度を高めるという条件を満たせば、任意の材料から選択できる。したがって、これは硬質材料と呼ばれる。硬さは、硬質マイクロフィラーのヤング率で表すことができる。例えば、ガラス材料が硬質マイクロフィラーとして使用される場合、ヤング率は、約50GPa~約90GPaの範囲、又は約70GPa~約90GPaの範囲であり得る。硬質マイクロフィラーに使用される材料は、少なくとも1つのナノフィラーの材料よりも比較的硬い、つまりヤング率が高いことは明らかである。さらに、硬質マイクロフィラーは、ポリオレフィン複合材料の他の成分と化学的に反応しないため、他の成分と共有結合を形成しない。上記にもかかわらず、硬質マイクロフィラーが、硬質マイクロフィラーと他の成分、例えば、修飾ポリマーとの間のイオン相互作用など、他のタイプの相互作用を形成することは依然として可能である。
【0023】
硬質マイクロフィラーの材料は、ガラス、炭素、セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
いくつかの実施形態では、硬質マイクロフィラーの材料はガラスであり得る。ガラスマイクロフィラーは、ガラスロービング、ガラスチョップドストランド、ガラスの硬質の棒状粒子、又はガラス粉砕繊維として存在し得る。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、硬質マイクロフィラーは、強化ポリオレフィン複合材料の総重量に対して、最大約60重量%、最大約50重量%、最大約40重量%、最大約30重量%、最大約20重量%、最大約10重量%、又は約1重量%~約60重量%、又は約0.1重量%~約40重量%、又は約0.1重量%~約30重量%、又は約10重量%~約20重量%の重量パーセント範囲で存在し得る。
【0025】
少なくとも1つのナノフィラーがポリオレフィンに分散している。本開示による「ナノフィラー」という用語は、最大約100nmの最大寸法を有する任意の適切な材料を指す。したがって、ナノフィラーは、ナノ粒子を含むか、又はナノ粒子から形成され得る。複数のナノフィラーが存在し、ポリオレフィン中にナノフィラーの凝集体を形成し、凝集体の最大寸法が100nmを超える可能性がある実施形態でのナノフィラーの凝集体は、凝集体は、凝集体の成分の最大寸法がそれぞれ約100nm以下のナノフィラーである場合に、凝集体にもかかわらず、ナノフィラーと見なされる。様々な実施形態において、少なくとも1つのナノフィラーは、個別のナノ粒子であり、各ナノ粒子は、最大約100nmの最大寸法を有する。様々な実施形態において、ナノフィラー材料は、少なくとも1つの寸法に関して、約0.01nm~約100nm、又は約0.1nm~約100nm、又は約1nm~約100nm、又は約10nm~約100nm、又はその約1nm~約90nm、又は約1nm~約80nm、又は約1nm~約70nm、又は約1nm~約60nmのサイズを有し得る。特定の実施形態では、少なくとも1つのナノフィラーの粒子サイズは、ポリオレフィンの鎖間距離よりも小さい。ポリオレフィンの鎖間距離は、互いに隣接して整列している2つの主要な主骨格間の平均距離を指す。少なくとも1つのナノフィラーのサイズが小さいことにより、ポリオレフィン複合材料の性能を改善すると同時に、製造方法における硬質マイクロフィラーの使用量を減らすことができる。理論に拘束されることを望まないが、少なくとも1つのナノフィラーを含む強化ポリオレフィン複合材料の機械的特性は、分子表面再配列、粒子変位、粒子間鎖切断、及び強い結合及び弱い結合などの現象を利用する強化効果によって改善され得る。例から明らかになるように、ナノフィラーの種類、サイズ分布、及び充填量を注意深く選択することで、他の側面を変更することなく、物理的性能の個々の側面を具体的に変更できる。したがって、特定の用途のための強化ポリオレフィン複合材料のカスタマイズは、本発明の利益を伴って可能である。
【0026】
少なくとも1つのナノフィラーは、強化ポリオレフィン複合材料の総重量に対して、最大約90重量%、最大約70重量%、最大約50重量%、最大約30重量%、最大約20重量%、最大約10重量%、又は約0.1重量%~約90重量%、又は約1重量%~約60重量%、又は約0.1重量%~約40重量%、又は約0.1重量%~約30重量%、又は約5重量%~約10重量%の重量パーセント範囲で存在し得る。
【0027】
少なくとも1つのナノフィラーの材料は粘土であり得る。粘土は、硬質マイクロフィラーのヤング率よりもヤング率が低い場合がある。例えば、使用する粘土の種類に応じて、ヤング率は約0.1MPa~約100MPaの間になる可能性がある。粘土が有機シランで修飾されている場合、以下でさらに述べるように、少なくとも1つのナノフィラーの材料は、「修飾粘土」と呼ばれ得る。
【0028】
粘土は、アクリレートで表面処理することができる。アクリレートは、2-アミノエチルメタクリレートヒドロクロリド、N-(3-アミノプロピル)メタクリルアミドヒドロクロリド、(2-Boc-アミノ)エチルメタクリレート、メチル3-(3-アミノ-5-メトキシピリジン4-イル)アクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、2-[[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチルアクリレート、エチル3-(2-アミノ-5-ブロモ-3-ピリジル)アクリレート、[2-(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド又はメチル2-[(5-クロロ-2-ニトロフェノキシ)メチル]アクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。一例では、アクリレートは、2-アミノエチルメタクリレートヒドロクロリドである。
【0029】
粘土は、有機ケイ酸塩をさらに含み得る。有機ケイ酸塩は、式Si-(OR3)4で表すことができ、ここで、Rは、C1~20アルキルである。一例では、有機ケイ酸塩はテトラエチルオルトケイ酸塩(TEOS)である。
【0030】
粘土は、無機ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、ペレット状の金属酸化物及び水酸化物、陰イオン及び陽イオンの層状金属酸化物及び水酸化物、モンモリロナイト(MMT)、カオリナイト、ディッカイト、ハロイサイト、及びナクル石、ノントロナイト、バイデライト、サポナイト、イライト、ビオタイト、レピドライト、フロゴパイト、クリントンナイト、セピオライト、ジンワルダイト、フェンジャイト、マイカ、層状金属酸化物、層状金属水酸化物、アタパルジャイト(AT)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含み得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、無機ケイ酸塩は、ケイ酸カルシウムであり得る。
粘土は、少なくとも1つの酸素原子及び少なくとも1つの金属から構成される層状及び/又はペレット状の金属酸化物を含み得る。層状及び/又はペレット状の金属酸化物は、SiO2,TiO2,ZnO,CaO,Al2O3,Fe2O3、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0032】
硬質マイクロフィラー及び少なくとも1つのナノフィラーは、同一の材料又は互いに異なる材料を含むか、又はそれらから作製され得る。
強化ポリオレフィン複合材料では、サイズや材料が異なる場合がある、複数のタイプのナノフィラー、例えば2種類、3種類、又は4種類の異なるナノフィラーを使用できる。
【0033】
硬質マイクロフィラー又は少なくとも1つのナノフィラー、あるいはその両方は、有機シランでさらに修飾することができる。硬質マイクロフィラー又は少なくとも1つのナノフィラーを修飾することにより、修飾された硬質マイクロフィラー又は修飾ナノフィラーを得ることができる。有利なことに、有機シランによるフィラーの一方又は両方の修飾は、フィラー材料の表面をより疎水性にし、それにより、ポリオレフィンを含むポリマーマトリクスとの相互作用を高め、マトリクスに含まれるポリオレフィンに対する親和性を改善し得る。あるいは、又はさらに、耐衝撃性を高めるために、有機シランによる修飾を耐衝撃性改良剤として使用することができる。
【0034】
様々な実施形態において、有機シランは、式(X-R1)Si-(OR2)3によって表され得、ここで、R1及びR2は、C1~20アルキルから独立して選択され、Xは、水素又は-NH2である。有利なことに、少なくともナノフィラーが、Xが-NH2である有機シランで修飾される場合、このアミン基は、少なくとも1つのナノフィラーと硬質マイクロフィラーとの間の相互作用を増強し得る。他方、少なくともナノフィラーが、Xが水素である有機シランで修飾される場合、これは、少なくとも1つのナノフィラーとポリオレフィンとの間の相互作用を増強し得る。したがって、有機シランによる修飾は、ポリオレフィン複合材料内の極性を柔軟に調整し、それによって強力な分散を可能にする。
【0035】
有機シランは、トリメトキシアミノアルキルシランであり得る。一例では、トリメトキシアミノアルキルシランは、3-アミノプロピルトリメトキシシランであり得る。あるいは、有機シランは、トリエトキシアルキルシランであり得る。一例では、トリエトキシアルキルシランは、トリエトキシ(オクチル)シランであり得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、有機シランは、オクチル、アミン、ビニル、ヒドロキシル、及びチオールからなる群から選択される活性官能基を含み得る。
いくつかの実施形態では、強化ポリオレフィン複合材料は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される安定剤をさらに含み得る。安定剤は、ヒンダードフェノール、ホスファイト、チオエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、及びそれらの組み合わせを含み得る。酸化防止剤は、強化ポリオレフィン複合材料の総重量に対して、約0.01重量%~約1.0重量%の重量パーセント範囲で存在し得る。
【0037】
強化ポリオレフィン複合材料は、滑り剤、帯電防止剤、顔料、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤をさらに含み得る。顔料は、無機顔料、有機顔料、又はそれらの組み合わせから選択することができる。
【0038】
強化ポリオレフィン複合材料は、スチレンベースのポリマーをさらに含み得る。スチレンベースのポリマーは、副相ポリマー樹脂と呼ばれることもある。スチレン系ポリマーは、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル樹脂、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0039】
第2の態様では、ポリオレフィン及びポリオレフィン中に分散されたフィラーを含む強化ポリオレフィン複合体を提供する方法が提供され、フィラーは、硬質マイクロフィラー、及び少なくとも1つのナノフィラーを含み、この方法は、(i)ポリオレフィン、硬質マイクロフィラー、及び少なくとも1つのナノフィラーを混合して混合物を形成する工程と、(ii)混合物を溶融して溶融混合物を形成する工程と、(iii)溶融した混合物を混練する工程とを備える。
【0040】
少なくとも1つのナノフィラーを得るために、この方法は、少なくとも1つのナノフィラーを調製する第1の工程をさらに備え得る。少なくとも1つのナノフィラーは、マスターバッチプロセスで調製することができる。少なくとも1つのナノフィラーの合成を含むマスターバッチプロセスは、ポリオレフィン、修飾ポリマー、スチレンベースのポリマー、例えばポリスチレンなどの副相ポリマー樹脂、又はそれらの組み合わせを含む媒体中で実施することができる。いくつかの実施形態では、マスターバッチは、上記のポリマー媒体中に少なくとも1つのナノフィラーを含み得る。他の実施形態では、ナノフィラーは、粉末形態でマスターバッチプロセスから得ることができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、マスターバッチプロセスは、溶融ポリマー媒体中で実施することができる。他の実施形態では、マスターバッチプロセスは、溶媒ベースの媒体中で実施することができる。
【0042】
マスターバッチプロセスが溶媒ベースの媒体で実施される場合、プロセスは、粘土などの前駆体材料を、アクリレートを含む水性溶媒に分散させる第1のステップを含み得る。これにより、前駆体材料の粒子上に正に帯電したイオンが形成され得る。このように表面処理された粒子は、有機溶媒に溶解することができる。続いて、表面処理粒子を含む分散液を、さらに上で定義した有機ケイ酸塩と接触させて上記のように有機シランで修飾し、塩基性液体触媒の存在下で、前駆体材料の表面処理をした粒子にシリカの層を形成することができ、それによってナノフィラーを形成する。上記のプロセス工程において、塩基性液体触媒は、アンモニア、水酸化アンモニウム、又はアルキルアミンを含み得る。アルキルアミンには、メチルアミン及びエチルアミンが含まれ得るが、これらに限定されない。有利には、塩基は、有機ケイ酸塩及びシラン化合物のゾルゲル反応のための触媒の役割を果たす。
【0043】
ナノフィラーを形成した後、媒体からの析出により、溶媒ベースの媒体から粉末形態でナノフィラーを得ることができる。析出は、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒を使用することによって促進され得る。
【0044】
ポリオレフィン、硬質マイクロフィラー、及び少なくとも1つのナノフィラーを混合して混合物を形成する方法の混合工程i)は、ポリオレフィン、硬質マイクロフィラー、及び少なくとも1つのナノフィラーをミキサー又はドラムタンブラーで混合することを含み得る。
【0045】
ポリオレフィン、硬質マイクロフィラー及び少なくとも1つのナノフィラーの混合物を溶融して溶融混合物を形成し、及び溶融混合物を混練する、上記の溶融及び混練工程ii)及びiii)は、それぞれ、ミキサー、少なくとも1つのローラー、ツイン押出機、又はそれらの組み合わせで混合物を物理的に攪拌することを含み得る。
【0046】
第3の態様では、上記の方法によって提供される強化ポリオレフィン複合材料が提供される。
第4の態様では、輸送、インフラストラクチャ、消費財、及び/又は建設において、本明細書に記載される強化ポリオレフィン複合材料の使用が提供される。輸送における用途は、航空宇宙、自動車、列車、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。インフラストラクチャでの使用は、パイプ、タンク、及びそれらの組み合わせで構成される群から選択できる。消費財での使用は、包装、スポーツ用品、電子機器、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0047】
本発明は、上記の課題を最小限に抑える改善された機械的特性を有するポリオレフィン複合材料に関する。様々な実施形態において、ガラス繊維、修飾ケイ酸塩ナノフィラー及びコアシェルナノフィラーを含む3つのフィラー系が使用された。驚くべきことに、ポリオレフィンを上記の3つのフィラーと混合すると、3つのフィラーは、複合材料に改善された硬さ及び強度を提供することにおいて相乗効果を示すことが見出された。さらに、複合材料の耐衝撃性が向上している。様々な実施形態において、本発明の複合材料は、(a)低含有量の修飾ポリマーをもって任意選択で修飾されたポリオレフィン、(b)開示される修飾ガラス繊維、及び(c)ナノフィラーのマスターバッチ(すなわち、修飾粘土、修飾ケイ酸塩又はハイブリッドケイ酸塩)からなるものであってもよい。
【0048】
本発明の組成物は、射出成形における成形能力及び離型性において優れ、また、押出成形にも使用できる。得られた成形品は、ポリオレフィンに固有の耐薬品性に加えて、機械的強度、溶接強度、反り、耐熱性、硬さ、滑らかな外観に優れている。特に自動車のダッシュボード、機械部品、セルフタッピングボスや高い溶接強度を必要とする複雑な形状の構造部材など、多くの応用分野での用途が期待されている。
【0049】
本明細書に例示的に記載されている発明は、本明細書に具体的に開示されていない1つ以上の要素、制限又は制限がない状態で適切に実施することができる。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containg)」などの用語は、広範かつ限定的でなく読まれるものとする。さらに、本明細書で使用される用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用されており、そのような用語及び表現の使用において、例示され、説明される特徴又はその一部の同等物を除外する意図はないが、クレームされた発明の範囲内で様々な変更が可能であることを認識するべきである。したがって、本発明は、好適な実施形態及び任意の特徴によって具体的に開示されてきたが、本明細書に開示された本明細書に具体化された発明の修正及び変形は、当業者によって再現することができ、そのような修正及び変形は、本発明の範囲内であると見なされる。
【0050】
以下、本開示は、本発明の例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照してより完全に説明される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載の例示的な実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が的確かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。図面では、明確にするために、層及び領域の長さ及びサイズが誇張されている場合がある。
【0051】
(実験)
本明細書に従って調製された少なくとも1つのナノフィラーを含む複合配合物は、ポリマーマトリクス中によく分散されたナノフィラーを形成し、ポリマーマトリクスとの良好な適合性を与える。それらは多機能フィラーとして機能する可能性があり、それによって複合樹脂の機械的特性と難燃性やバリア特性などの機能特性との両方を改善する。本発明の複合配合物は、既存の市販のポリプロピレン(PP)コンパウンド技術(PP/ガラス繊維(GF)、PP/タルコム)よりも軽量であり、複合ポリアミド(PA)で最もよく使用される工業プラスチックよりも軽い。
【0052】
材料:本発明の組成物に使用可能なポリオレフィンには、広範囲のポリオレフィン、すなわち、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度及び高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン、エチレン-プロピレンブロック又はランダムコポリマー、エチレン-1-ブテンコポリマー、プロピレン-1-ブテンコポリマー、及びそれらの混合物が含まれる。これらのポリオレフィンは好適には、230℃、2.16kgで5~50のMFRを有する。
【0053】
ポリオレフィン鎖にグラフトされた極性官能基には、例えば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、エンド-ビ-シクロ[2,2,1]-1,4,5,6,7,7-ヘキサクロロ-5ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物、エンド-ビシクロ[2,2,1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物、シス-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、及びマレイン酸エステル(モノエステル及びジエステル)などの酸無水物及びエステルが含まれる。上記の群の中で好適なのは無水マレイン酸である。修飾ポリオレフィンは、好適には、0.001~30重量%、好適には4~10重量%の量でポリオレフィン混合物に添加されるべきである。
【0054】
硬質繊維フィラーとして、本発明で使用されるガラス繊維は、樹脂の強化に一般的に使用されるガラスロービング、ガラスチョップドストランド、又はガラスミルド繊維である。それらは、好適には、例えば、樹脂に対する親和性を改善するために有機シラン、及び/又は耐衝撃性を高めるために耐衝撃性改良剤で表面処理されるべきである。
【0055】
本発明で使用される金属酸化物ナノフィラーには、例えば、モンモリロナイト(MMT)、カオリナイト、ディッカイト、ハロイサイト、ナクライト、ノントロナイト、バイデライト、サポナイト、イライト、ビオタイト、レピドライト、フロゴパイト、クリントンナイト、セピオライト、ジンワルダイト、フェンジャイト、マイカ、層状二重水酸化物(LDH)、又はアタパルジャイト(AT)などの天然物、及び/又は、SiO2,TiO2,ZnO,CaO,Al2O3,Fe2O3などの少なくとも1つの酸素原子と他の1つの元素で構成される金属酸化物、及び/又はそれらの混合物が含まれる。
【0056】
方法論:本発明の組成物は、ヘンシェルミキサー又はドラムタンブラーを使用して、予備修飾ポリオレフィン、未修飾ポリオレフィン、ガラス繊維、繊維状ケイ酸カルシウム、少なくとも1つのナノフィラー及びエチレン-α-オレフィンコポリマーゴムを混合し、次いでバンバリーミキサー、ロール、ツイン押出機などを使用して混合物を溶融及び混練することによって調製することができる。しかしながら、本発明はこれらの方法に限定されない。本発明の組成物には、抗酸化剤及び紫外線吸収剤などの安定剤、ならびに滑り剤、帯電防止剤、及び顔料などの添加剤を組み込むことができる。本発明の組成物は、射出成形における成形能力及び離型性において優れ、また、押出成形にも使用できる。得られた成形品は、ポリオレフィン固有の耐薬品性に加えて、機械的強度、溶接強度、反り、耐熱性、硬さ、滑らかな外観、及び優れている。特に自動車のダッシュボード、機械部品、セルフタッピングボスや高い溶接強度を必要とする複雑な形状の構造部材など、多くの応用分野での用途が期待されている。
【0057】
特性評価:高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)顕微鏡写真は、フィリップスCM300を使用して300kVで撮影された。約100nmの厚さのサンプルは、ダイヤモンドナイフを使用して室温でマイクロトミングされ、200メッシュの銅グリッド上に収集された。
【0058】
電界放出型走査電子顕微鏡(FESEM)の顕微鏡写真は、FESEM,JEOL-6700Fを使用して、200kVにて大きな対物レンズ開口部を備えた高解像度モードで撮影された。
【0059】
機械的性質:曲げ弾性率は、ASTM規格D790-96に準拠した3点曲げ試験によって決定された。射出成形されたサンプルの試験片サイズは60×10×1mm3である。試験は、クロスヘッド速度1mm/min、スパン長25.4mmで実施された。
【0060】
引張試験用の射出成形サンプルは、ASTM D638-03に従って実施された。タイプVの寸法は63.5×3.14×3.2mm3であった。試験は、インストロン5569テーブルユニバーサル試験機を使用して、1mm/分の引張速度で実施された。
【0061】
実施例1
ポリプロピレン(SCGケミカルズ)をマレイン酸無水グラフト化ポリプロピレン(ポリオン)と全混合物の5重量%で混合した。さらに、PP化合物には、(1)10%の長いチョップドグラスファイバー、及び(2)以下に詳細に記載する方法を使用して調製された粘土マスターバッチも含まれている。
【0062】
未処理の粘土(10g)を脱イオン水(300ml)と混合し、45分間超音波処理した後、24時間激しく攪拌して均一なスラリーを形成した。次にアセトン(800ml)をゆっくりとスラリーに加え、白い綿状の生成物を沈殿させた。遠心分離し、アセトンで数回洗浄した後、沈殿物を3-アミノプロピル-トリメトキシシラン(未処理の粘度の5重量%)のアセトン溶液に移した。アセトン/粘土/シランスラリーを30分間超音波処理した後、攪拌してシランと粘土表面の反応を促進し、シラン修飾粘土(SMC)を作成した。SMC溶液を、ホモジナイザーを使用して、室温でエポキシ樹脂(40g)に14000回転/分(rpm)で分散させた。2時間混合した後、ブレンドを48時間以上真空に保ち、アセトンを除去して、20重量%の粘土含有量のマスターバッチを生成した。
【0063】
このようにして得られたナノフィラーをi-クレイと呼び、全混合物の5重量%及び10重量%の量で添加した。
実施例2
ポリプロピレン(SCGケミカルズ)をマレイン酸無水グラフト化ポリプロピレン(ポリオン)と全混合物の5重量%で混合した。さらに、PP化合物には、(1)10%の長いチョップドグラスファイバー、及び(2)以下に詳細に記載する方法を使用して調製された粘土マスターバッチも含まれている。
【0064】
粘土(サザンクレイプロダクツから入手可能なクロイサイト20)(2g)を、マグネチックスターラーによってキシレン(40ml)中で3時間撹拌して、粘土の層をインターカレートした。その後、インターカレートされた粘土/キシレン懸濁液を30分間超音波処理し、8000rpmのインペラー速度を15分間使用する均質化プロセスによって室温で高度に分散させ、次に室温で一晩撹拌した。粘土の表面を修飾するためにトリエトキシ(オクチル)シランを選択し、粘土/キシレン懸濁液を15分間均質化し、0.2mlのトリエトキシ(オクチル)シランを粘土/キシレン懸濁液に加え、80℃で4時間加熱し、15分間均質化し、室温で一晩撹拌した。
【0065】
ナノクレイマスターバッチ(Clay-MB)は、高温のポリプロピレン溶液に高温のトリエトキシ(オクチル)シラン修飾粘土(80℃)を加え、120℃で2時間撹拌することによって調製した。ポリプロピレンがキシレンに完全に溶解するまで、ポリプロピレン4.0gをキシレン40mlに120℃で溶解することにより、高温ポリプロピレン溶液を調製した。
【0066】
続いて、Clay-MBの懸濁液をエタノールで沈殿させ、エタノールで3回洗浄して、残留キシレンを除去した。Clay-MB沈殿物をオーブン空気で乾燥し、粉砕機で粉砕してClay-MB粉末を生成した。
このようにして得られたナノフィラーは、s-クレイと呼ばれ、全混合物の5重量%及び10重量%の量で添加された。
【0067】
実施例3
ポリプロピレン(SCGケミカルズ)をマレイン酸無水グラフト化ポリプロピレン(ポリオン)と全混合物の5重量%で混合した。さらに、PP化合物には、(1)10%の長いチョップドグラスファイバー、及び(2)以下に詳細に記載する方法を使用して調製されたシリカ-クレイハイブリッドも含まれている。5gの未処理の粘土を、200mgの2-アミノエチルメタクリレートヒドロクロリドの存在下で100mLの脱イオン水に分散させ、80℃で1時間撹拌した。ゲル状の懸濁液を9000rpmで1時間遠心分離して、修飾粘土から水を分離し、後で使用するために50mLのアセトンに再分散させた。
【0068】
アセトンに分散させた修飾粘土を50℃で激しく攪拌した。(3-アミノプロピル)-トリメトキシシラン(APTMS)及びテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を撹拌溶液に加え、続いて濃水酸化アンモニウム(NH4OH)を加えた。粘土:APTMS:TEOS:NH4OHの重量比は1:0.2:1:0.62であった。固体粘土とTEOSの重量比は、1:0.1~1:1まで変化させることができる。混合物を1時間激しく撹拌した。次に、溶媒又は媒体及び過剰の触媒を真空システム下で除去した。湿った生成物を、ロータリーエバポレーターを使用してさらに乾燥させ、80℃のオーブンで一晩乾燥させた。得られたナノフィラーは粉末状に保たれた。ナノフィラー生成物は、コアシェルナノフィラー(CS)と呼ばれる。
【0069】
CSナノフィラーはマスターバッチ粉末で調製され、全混合物の5重量%及び10重量%の量で添加された。
比較例1
ポリプロピレン(SCGケミカルズ)をマレイン酸無水グラフト化ポリプロピレン(ポリオン)と全混合物の5重量%で混合した。
【0070】
比較例2
ポリプロピレン(SCGケミカルズ)を、全混合物の5重量%のマレイン酸無水グラフト化ポリプロピレン(ポリオン)及び全混合物の10~30重量%の長いチョップドガラス繊維と混合した。
【0071】
表1(
図1)に一組の結果は、開発したフィラーシステムを追加することにより、機械的特性が著しく向上することを示している。一般的に使用されるシステムである比較例のサンプル2と比較すると、開発されたPP化合物(特に実施例2,3)の機械的特性は、PPマトリクス内のフィラーの良好な分散により同等であり(
図2,3,4を参照)、フィラーとマトリクス間の強い相互作用が見られる。開発したシステムを使用すると、一般的に使用されるシステムに比べて多くの利点がある。まず、開発されたシステムには、より低いGF含有量が含まれている。したがって、化合物の重量は軽くなる(つまり、PP/GF化合物の密度は約1.2~1.4g/cm
3だが、開発されたPP化合物の密度は0.9~0.97g/cm
3である)。GFは、硬質フィラーが押出機のスクリューとチャンバーの表面を傷つけ、高いメンテナンスコストにつながる可能性があるため、処理に比較的「適している」わけではないことも知られている。開発されたフィラーシステムを使用すると、この問題を軽減するのに役立つ。
【0072】
本発明は、その例示的な実施形態を参照して特に示され、説明されてきたが、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の様々な変更を行うことができることが当業者によって理解されるであろう。
本開示は以下の項によっても定義される:
1. ポリオレフィンと、前記ポリオレフィン中に分散されたフィラーであって、前記フィラーは、硬質のマイクロフィラー、及び少なくとも1つのナノフィラーを含んでなるフィラーとからなる、強化ポリオレフィン複合材料。
2. 前記硬質マイクロフィラーの材料が、少なくとも1つのナノフィラーの材料とは異なる、項1に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
3. 前記ポリオレフィンが、C2~20アルキレン、C4~20アルキルジエン、C6~20アルキルトリエン、C3~20シクロアルキレン、C4~20シクロアルキルジエン、C5~20シクロアルキルトリエン、C8~20フェニルアルキレン、及びそれらの組み合わせのポリマー又はランダムコポリマー又はブロックコポリマーからなる群から選択され、任意選択で、エチレン、プロピレン、1-ペンテン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、スチレン、エチリデンノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、ジシクロペンタジエン及びエチレン-プロピレン-ジエンモノマーのポリマー又はランダムコポリマー又はブロックコポリマーからなる群から選択される、項1又は2に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
4. 前記ポリオレフィンがポリエチレンである、項1~4のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
5. 前記ポリオレフィンがポリプロピレンであり、任意選択でエチレン-α-オレフィンコポリマーと組み合わせである、項1~3のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
6. 前記ポリオレフィンが、2.16kgの重量で、230℃の温度で約5g/10分~50g/10分のメルトフローレートを有する、項1~5のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
7. ポリオレフィンが、強化ポリオレフィン複合材料の総重量に対して約30重量%~約95重量%の重量パーセント範囲で存在する、項1~6のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
8. 前記ポリオレフィンがその上にグラフトされた極性官能基を有する、項1~7のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
9. 前記強化ポリオレフィン複合材料が、修飾ポリマーをさらに含む、項1~9のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
10. 前記修飾されたポリマーが、その上にグラフトされた官能基を有する、項9に記載の強化ポリオレフィン複合体。
11. 前記極性官能基が、酸無水物、エステル、アクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、項8~10のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
12. 前記極性官能基が、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、エンド-ビ-シクロ[2,2,1]-1,4,5,6,7,7-ヘキサ-クロロ-5ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物、エンド-ビ-シクロ[2,2,1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸酸無水物、シス-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される酸無水物である、項8~11のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合体。
13. 前記極性官能基が、マレアートモノエステル、マレアートジエステル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるエステルである、項8~11のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
14. 前記極性官能基が、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるアクリレートである、項8~11のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
15. 前記極性官能基がグラフトされた修飾ポリマーが、修飾ポリオレフィンである、項9~14のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
16. 前記修飾ポリオレフィンが、C2~20アルキレン、C4~20アルキルジエン、C6~20アルキルトリエン、C3~20シクロアルキレン、C4~20シクロアルキルジエン、C5~20シクロアルキルトリエン、C8~20フェニルアルキレン、及びそれらの組み合わせのポリマー又はランダムコポリマー又はブロックコポリマーからなる群から選択されるポリオレフィン、任意選択で、エチレン、プロピレン、1-ペンテン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、スチレン、エチリデンノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、ジシクロペンタジエン及びエチレン-プロピレン-ジエンモノマーのポリマー又はランダムコポリマー又はブロックコポリマーからなる群から選択されるポリオレフィンを含む、項15に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
17. 修飾ポリオレフィンが修飾ポリプロピレンである、項16に記載の強化ポリオレフィン複合体。
18. 前記修飾ポリマーが、前記強化ポリオレフィン複合材料の総重量に対して最大約50重量%の重量パーセント範囲で存在する、項9~17のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
19. 前記硬質マイクロフィラーが、強化ポリオレフィン複合材料の総重量に対して最大約60重量%の重量パーセント範囲で存在する、項1~9のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
20. 前記硬質マイクロフィラーの材料が、ガラス、炭素、セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、項1~19のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
21. 前記硬質マイクロフィラーの材料がガラスである、項20に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
22. 前記少なくとも1つのナノフィラーが、強化ポリオレフィン複合材料の総重量に対して最大約90重量%の重量パーセント範囲で存在する、項1~21のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
23. 前記少なくとも1つのナノフィラーの材料が粘土を含む、項1~22のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
24. 前記粘土が有機シランで修飾されている、項23に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
25. 前記有機シランがトリメトキシアミノアルキルシランである、項24に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
26. 前記有機シランがトリエトキシアルキルシランである、項24に記載の強化ポリオレフィン複合体。
27. 前記有機シランが、オクチル、アミン、ビニル、ヒドロキシル、及びチオールからなる群から選択される活性官能基を含む、項24に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
28. 前記粘土がさらにアクリレートで表面処理されている、項23~27のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
29. 前記粘土が、無機ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、ペレット状の金属酸化物及び水酸化物、陰イオン及び陽イオンの層状金属酸化物及び水酸化物、モンモリロナイト(MMT)、カオリナイト、ディッカイト、ハロイサイト、ナクル石、ノントロナイト、バイデライト、サポナイト、イライト、ビオタイト、レピドライト、フロゴパイト、クリントンナイト、セピオライト、ジンワルダイト、フェンジャイト、マイカ、層状金属酸化物、層状金属水酸化物、アタパルジャイト(AT)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、項23~28のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
30. 前記無機ケイ酸塩がケイ酸カルシウムである、項29に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
31. 前記粘土が、層状及びペレット状のうちの少なくとも一方の金属酸化物を含む、項23~30のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
32. 前記層状及びペレット状のうちの少なくとも一方の金属酸化物は、SiO2,TiO2,ZnO,CaO,Al2O3,Fe2O3、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、項31記載の強化ポリオレフィン複合材料。
33. 抗酸化剤、紫外線吸収剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される安定剤をさらに含む、項1~32のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
34. 前記安定剤が、ヒンダードフェノール、ホスファイト、チオエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、項33に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
35. 前記酸化防止剤が、前記強化ポリオレフィン複合材料の総重量に対して約0.01重量%~約1.0重量%の重量パーセント範囲で存在する、項33に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
36. 滑り剤、帯電防止剤、顔料、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤をさらに含む、項1~35のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
37. スチレンベースのポリマーをさらに含む、項1~36のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
38. 前記スチレンベースのポリマーが、ポリスチレン及びスチレン-アクリロニトリル樹脂、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、項37に記載の強化ポリオレフィン複合材料。
39. ポリオレフィンとポリオレフィンに分散されたフィラーとを含んでなり、前記フィラーが硬質マイクロフィラーと少なくとも1つのナノフィラーを含む、強化ポリオレフィン複合材料を提供する方法において、
(i)ポリオレフィン、硬質マイクロフィラー、及び少なくとも1つのナノフィラーを混合して混合物を形成する工程と、
(ii)混合物を溶融して溶融混合物を形成する工程と、
(iii)溶融した混合物を混練する工程とを備える、方法。
40. 少なくとも1つのナノフィラーを調製する初期の工程をさらに備える、項39に記載の方法。
41. 少なくとも1つのナノフィラーがマスターバッチプロセスで調製される、項40に記載の方法。
42. 前記マスターバッチプロセスは、ナノフィラー材料をアクリレートを含む水性溶媒に分散させて、前記ナノフィラー材料の粒子上に正に帯電したイオンを形成する工程と、正に帯電した粒子を有機溶媒に分散させる工程と、前記粘土の修飾粒子の分散液を、塩基性液体触媒の存在下で有機ケイ酸塩及び有機シランと接触させて、前記ナノフィラー材料の正に帯電した粒子上にシリカの層を形成する工程とを備える、項41に記載の方法。
43. 混合する工程が、前記ポリオレフィン、前記硬質マイクロフィラー、及び前記少なくとも1つのナノフィラーをミキサー又はドラムタンブラー内で混合することを含む、項39~42のいずれか一項に記載の方法。
44. 溶融する工程及び混練する工程が、ミキサー、少なくとも1つのローラー、ツイン押出機、又はそれらの組み合わせにおいて混合物を物理的に攪拌することを含む、項39~43のいずれか一項に記載の方法。
45. 項39~44のいずれか一項に記載の方法によって与えられる、強化ポリオレフィン複合材料。
46. 輸送、インフラストラクチャ、消費財、及び建設のうちの少なくとも1つにおける、項1~38又は項45のいずれか一項に記載の強化ポリオレフィン複合材料の使用。
47. 前記輸送手段は、航空宇宙、自動車、列車、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、項46に記載の使用。
48. 前記インフラストラクチャが、パイプ、タンク、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、項46に記載の使用。
49. 前記消費財は、包装、スポーツ用品、電子機器、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、項46に記載の使用。