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▶ ケアフュージョン 303、インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028615
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】支持部材を備える無針コネクタ
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/10 20060101AFI20240226BHJP
   A61M 39/26 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
A61M39/10 120
A61M39/26
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009189
(22)【出願日】2024-01-25
(62)【分割の表示】P 2022029206の分割
【原出願日】2014-02-21
(31)【優先権主張番号】13/829,187
(32)【優先日】2013-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イェー、ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ゾリンガー、クリストファー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マンスール、ジョージ ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】クワック、マシュー
(57)【要約】
【課題】無針コネクタを提供する。
【解決手段】無針コネクタは、第1のポート、及び内部空洞を形成する内側表面を含む本体と、上部にリム、底部に第2のポート、上部まで延在するリセス、及び支持部材を含む基部であって、リムが、基部の中心長手方向軸を横断する平面において上面を含み、支持部材が、リムからリセスに突出し、空気通路が、リセスを通って延在する、基部と、バルブ壁、及びバルブ壁から径方向に外側に突出するフランジを含む圧縮可能バルブであって、圧縮可能バルブが基部と結合される場合に、フランジが、本体とリムとの間にあり、フランジの底面が、本体とフランジとの間に流体流経路が形成されるように、基部に対して係合され、圧縮可能バルブが、圧縮可能バルブのリセスへの移動に抵抗するように、支持部材に対して係合するように構成されている、圧縮可能バルブとを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポート、及び内部空洞を形成する内側表面を含む本体と、
上部にリム、底部に第2のポート、前記上部まで延在するリセス、及び支持部材を含む基部であって、前記リムが、前記基部の中心長手方向軸を横断する平面において上面を含み、前記支持部材が、前記リムから前記リセスに突出し、空気通路が、前記リセスを通って延在する、基部と、
バルブ壁、及び前記バルブ壁から径方向に外側に突出するフランジを含む圧縮可能バルブであって、前記圧縮可能バルブが前記基部と結合される場合に、前記フランジが、前記本体と前記リムとの間にあり、前記フランジの底面が、前記本体と前記フランジとの間に流体流経路が形成されるように、前記基部に対して係合され、前記圧縮可能バルブが、前記圧縮可能バルブの前記リセスへの移動に抵抗するように、前記支持部材に対して係合するように構成されている、圧縮可能バルブと
を備える無針コネクタ。
【請求項2】
前記バルブ壁は、前記圧縮可能バルブの内側表面に形成された第1のディンプル及び第2のディンプルを含む、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項3】
前記リセスは、前記リムと前記第2のポートとの間にある、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項4】
前記基部が、前記リムと前記基部の前記底部との間で、前記基部の外側表面を通って延在する流体通路を含み、前記流体通路が、前記第2のポートを通って延在する、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項5】
前記支持部材が、前記空気通路を遮断しない、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項6】
前記支持部材が、前記基部の前記リムに合う高さを有する、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項7】
前記支持部材の少なくとも一部が、前記リムの上に延在する、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項8】
前記支持部材が、前記リムの上に0.13cm(0.05インチ)延在する高さを有する、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項9】
前記支持部材が、同じ長手方向の長さで前記リセスに延在する、請求項6に記載の無針コネクタ。
【請求項10】
前記支持部材が、前記基部の中心長手方向軸の一方の側に配置されている、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項11】
前記支持部材が、前記リムの第1の部分から前記リムの第2の部分まで前記基部の前記リセスを横切って延在する、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項12】
前記支持部材が、前記基部の前記リセスによって画定され、且つ前記基部を通る2つの空気通路の間に画定された底面に対して近位の開口を含む、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項13】
前記支持部材が、前記リム、及び前記基部の前記リセスによって画定された底面の何れかによって形成されている、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項14】
前記支持部材が、前記リムの一部に沿って配置されている、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項15】
前記支持部材の少なくとも一部が、前記リムの下に窪んでいる、請求項1に記載の無針コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般にコネクタに関し、より詳細には無針コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
医療は、静脈内(IV:intravenous)カテーテルを用いる、患者に対する医療用流体(たとえば、食塩液又は液剤)の注入を含むことが多く、このIVカテーテルは、通常「IVセット」と呼ばれる可撓性の配管及び取付部の装置を介して、たとえばIVバッグなどの流体源に連結される。ある種の無針コネクタはIVセットで使用され得、そのような無針コネクタから嵌合する医療器具が分離されるときに流体が漏出するのを防ぐための自動密閉ポートを有してよい。加えて、無針コネクタは、たとえば、自動密閉ポートを設け、IVセット内部の流体の流れを制御するための可撓性材料を備える折り畳み可能なバルブなど、機械バルブを含んでよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2013/099261号
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0028914号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第2075032号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無針コネクタがIVセットで使用されるがアクセスされていない(すなわち、嵌合する医療器具が自動密閉ポートに結合されていない)とき、この無針コネクタは、IVセット内部の流体の流れから背圧を受けることがある。たとえば、背圧は、患者の血圧、IVセット内の別のコネクタで行われる注入、又はIVセット内で利用されるポンプによって起こり得る。無針コネクタに加えられる背圧によって、自動密閉ポートの密閉が破られることがある。アクセスされていない無針コネクタの密閉が背圧によって破られれば、その結果、IVセットからの医療用流体は、望ましくなく自動密閉ポートのネック部分に溜まり、又はシステムから放出されることがある。
特許文献1は、中間の文献であり、無針コネクタを開示している。ハウジングに形成された収容部に対して薬液流路の出口側に向かって開口する有底筒状の中空弾性体が収容配置されている。更に、中央突部が、中空弾性体の底壁の中央部分から薬液流路の入口側に向かって設けられている。
特許文献2は、側方に少なくとも1つのディンプルを備える第1部分と、第2部分と、を備え、第2部分は第1部分よりも狭く、第1部分の軸方向寸法に沿って設けられており、第2部分は切り込みを有する、コラプシブルバルブを開示している。
特許文献3は、ロック溶液送達デバイスとともに使用するためのキャップアセンブリを開示している。キャップアセンブリは、レセプタクルを画定し、そして入口端部及び出口端部を有するハウジングを含んでいる。プランジャーが、レセプタクルの中を退却位置から進行位置まで軸方向に移動可能であり、レセプタクルの中に、第1の位置から第2の位置まで回転可能な状態で支持されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示される主題は、折り畳み可能なバルブのための支持部材を有するコネクタに関する。ある実施例では、本体と、外側に延在するフランジを遠位端部に有する円筒部を備える、少なくとも部分的に本体内部に配置されるバルブ素子であって、フランジが外側区域及び内側区域に分割された底部表面を有して、外側区域と内側区域が位置合わせされている、バルブ素子と、バルブ素子のフランジの外側区域の少なくとも一部分と接触する上部表面を有するリムであって、このリムの上部表面から遠位方向に隔てられた底部表面を備えるリセス(recess)を画定するリム、及び、フランジの底部表面の内側区域に接触するようにリムからリセスに向かって横方向に延在する少なくとも1つの支持部材を備える基部とを備え、基部が、リセスの底部表面から基部を通って周囲環境へと延在する空気チャネルをさらに備える無針コネクタが開示される。
【0006】
ある実施例では、近位端部及び遠位端部、近位端部にポートを備える雌型取付部を有する本体、遠位端部に雄型取付部を有する基部、並びに内部空洞を備えるハウジングと、内部空洞の内部に配置され、且つ、スマイリー・カット(smiley cut)を有する近位部分、この近位部分の遠位端部に結合される円筒部、及び、この円筒部の遠位端部に結合される、外側に延在するフランジを備えるバルブ素子であって、フランジが外側区域及び内側区域に分割された底部表面を有して、外側区域と内側区域が位置合わせされている、バルブ素子と、バルブ素子のフランジの底部表面の外側区域の少なくとも一部分と接触する上部表面を有するリムであって、このリムの上部表面から遠位方向に隔てられた底部表面を有するリセスを基部内で画定するリム、及び、フランジの底部表面の内側区域に接触するようにリムからリセスに向かってそれぞれが延在する複数の突出部を備える基部であって、リセスの底部表面から基部を通って周囲環境へと延在する空気チャネルをさらに備える基部とを備える無針コネクタであって、この無針コネクタの雌型取付部が適合する雄型コネクタと嵌合されないとき、バルブ素子の近位部分がポートを塞ぐ無針コネクタが開示される。
【0007】
本開示から、主題技術のさまざまな構成が当業者には容易に明らかとなるであろうことが理解され、本開示には主題技術のさまざまな構成が例証として図示及び記述される。理解される通り、主題技術の範囲から全く逸脱することなく、主題技術は他の構成及び異なる構成が可能であり、そのいくつかの詳細はさまざまな他の点において修正形態が可能である。したがって、概要、図面及び詳細な説明は本質的に例証であり、限定的なものではないと考えられるべきである。
【0008】
さらなる理解を得るために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、開示される実施例を例証し、説明と共に、開示される実施例の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】従来の無針コネクタの断面を示す図である。
図1B】従来の無針コネクタの断面を示す図である。
図1C図1Aに示す従来のコネクタの基部の斜視図である。
図1D】適合する雄型コネクタと嵌合されるときの、図1Aに示す従来のコネクタの断面を示す図である。
図1E図1Dの一部分の拡大図である。
図1F図1Aに示す従来のコネクタが流体的には連結されるがアクセスされていない状態であるときの、従来のコネクタの断面を示す図である。
図2】本開示のさまざまな態様による、例示の無針コネクタの分解図である。
図3】本開示のさまざまな態様による、図2に示す基部の上面図である。
図4】本開示のさまざまな態様による、基部の他の実施例の上面図である。
図5】本開示のさまざまな態様による、基部の他の実施例の上面図である。
図6A】本開示のさまざまな態様による、組み立てられた、図2に示す無針コネクタの破断斜視図である。
図6B】本開示のさまざまな態様による、図6Aに示す位置における完全なコネクタの破断斜視図である。
図6C】本開示のさまざまな態様による、図6Aに示す位置における完全なコネクタの破断斜視図である。
図6D】本開示のさまざまな態様による、図6Aに示す位置における完全なコネクタの破断斜視図である。
図7】本開示のさまざまな態様による、図2に示す例示の無針コネクタが流体的には連結されるがアクセスされていない状態であるときの、例示の無針コネクタの断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
開示される自動密閉の無針コネクタは、コネクタの本体内部に配置される可撓性の折り畳み可能なバルブを含む。この折り畳み可能なバルブの底部表面は、背圧が無針コネクタに加えられるときに折り畳み可能なバルブが基部に向かって変形するのを防ぐために、折り畳み可能なバルブを支持する基部の支持部材と接触する。折り畳み可能なバルブが基部に向かって変形するのを防ぐことによって、背圧は、アクセスされていない状態のときの無針コネクタの密閉をさらに向上させる方法で折り畳み可能なバルブを変形させる。
【0011】
下記の詳細な説明は、主題技術のさまざまな構成についての説明であることを意図し、主題技術が実施され得る唯一の構成を表すことを意図するものではない。詳細な説明は、主題技術の十分な理解を得る目的で特定の詳細を含む。しかしながら、これらの特定の詳細がなくても主題技術が実施され得ることは、当業者には明らかであろう。いくつかの例において、主題技術の概念を曖昧にしないようにするために、周知の構造及び構成要素はブロック図の形式で示される。理解を容易にするために、同様の構成要素は同一の要素番号で示される。参照番号は、接尾の文字を持たない同一の番号によって一般的に参照がなされる一方、共通の要素の別個の例を示すために付加される接尾の文字を有してもよい。
【0012】
以下の説明は、開示される無針コネクタを用いる、医療従事者による患者への医療用流体の投与に向けられたものであるが、この説明は利用法の実例にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではないことを理解されたい。開示される無針コネクタのさまざまな態様は、コネクタがアクセスされていない状態であるときにバルブが一次密閉(primary seal)を破るのを妨げることが望ましい任意の用途に用いられてよい。
【0013】
開示される無針コネクタは、ある種の従来のコネクタに関して見つけられたいくつかの課題を克服する。ある従来の無針自動密閉コネクタに関する1つの課題は、自動密閉コネクタがIVセット内部の流体の流れから背圧を受けるときに一次密閉が破られ得ることである。一次密閉がそのように破れることは、コネクタの不調及び医療用流体の投与の失敗を招き得るので、そのような破れは望ましくない。
【0014】
それゆえ、本開示により、無針コネクタの空気チャネルを過度に制限することなく、使用中に無針コネクタ内部で生じ得る背圧関連の問題を排除又は実質的に軽減する、本明細書において記述するような無針コネクタを提供することが有利である。開示される無針コネクタは、可撓性のバルブが基部のリセスに向かって延在することを実質的に防ぐ支持部材を基部上に設ける。
【0015】
図1A及び図1Bは、従来の無針コネクタ100の断面を示す図である。コネクタ100は、近位端部に雌型ルアー取付部101を有するハウジング120と、遠位端部に雄型ルアー取付部102を有する基部130と、バルブ素子103とを含む。このバルブ素子103は、ハウジング部120の内部且つ基部130の上部に位置する。バルブ素子102の近位部分は「スマイリー・カット」106を有する。空気チャネル172は、バルブ素子103の内部空洞104から基部130を通って雄型ルアー取付部102の周辺の空間へと通過する。バルブ素子103は、ハウジング120の内部においてリッジ(ridge)122と連続的に接触する肩部107を有して、無針コネクタ100がアクセスされていない(すなわち、嵌合する医療器具が自動密閉ポートに結合されていない)ときに流体流チャネル174の流体が雌型ルアー取付部101を介して無針コネクタ100から出るのを妨げる一次密閉を形成する。
【0016】
図1Bに示す断面は、図1Aに示す断面に対して垂直に取られたものである。この図では、バルブ素子103の外部表面に形成される2つのディンプル(dimple)106が見える。流体流チャネル174は、ハウジング120内部の空洞22から基部130を通って雄型ルアー取付部102内部の流路132へと通過する。
【0017】
図1Cは、図1Aに示す従来のコネクタ100の基部130の斜視図である。基部130は、底部表面160を備えるリセス140を取り囲むリム150を有する。バルブ素子102のバルブ基部105(図1Cに図示せず)はリム150の上にぴったり合う。空気チャネル172への入口は空洞140内部に見ることができる。流体流チャネル174の1つへの入口は、基部130の側面に見ることができる。
【0018】
図1Dは、適合する雄型コネクタ20と嵌合されるときの、図1Aに示す従来のコネクタ100の断面を示す図である。動作中、コネクタ100の雌型取付部101が雄型取付部20にアクセスされるとき、バルブ素子103は、経路の外に曲がって流体の流れを可能にし、雄型取付部20が分離された後で元の形に戻ることができるように、十分な弾性を有する。折り畳み可能なバルブ素子103は、雌型取付部101に雄型コネクタ20が挿入された後の折り畳まれた位置で示される。流体は、コネクタ100から出るために、雄型コネクタ20から折り畳まれたバルブ素子103の周囲を流れ、基部130の流体流チャネル174を含むチャネルへ、そして雄型ルアー取付部102へと流れることができる。雄型コネクタ20の圧力を受けて変形したバルブ素子103のバルブ基部105は、図1Eに関してより詳細に記述される変形を伴う。
【0019】
コネクタ100は容積式デバイスである。雌型取付部101で新たな連結がなされると、内部空洞104は縮小し、コネクタ100は、流体チャネル222を介して、雌型取付部101又は基部130の雄型取付部102を通じて流体を引き入れる。雌型ルアー取付部101において分離がなされると、コネクタ100は流体チャネル222から流体を放出し、コネクタ100を効果的に流し、取付部101又は102に取り付けられたラインの1つが患者に繋がれている場合、このラインに血液を引き込むことを防ぐ。
【0020】
図1Fは、雄型コネクタ20(図1Dに示す)が取り外され、背圧134が基部130の雄型取付部102に取り付けられたライン(図示せず)に流体的に連結される流体チャネル222からバルブ素子103に加えられるときの、図1Aに示す従来のコネクタ100の断面を示す図である。背圧134がハウジング120の内部において加えられるとき、バルブ素子103の一般に円筒形である形状は、一般に楕円管状の形状に変形される。近位の力136及び遠位の力138は、その可撓性及び折り畳み可能な性質に起因するバルブ素子103の変形によって生じる。遠位の力138が近位の力136に実質的に反作用する場合、肩部107’は、ハウジング120の内部においてリッジ122と接触しなくなることがあり、それによって無針コネクタ100の一次密閉の破れを生じさせる。図1Cにおいて雄型コネクタ20によって加えられる力に関して同様に記述したように、バルブ素子103のバルブ基部105は、流路132に流入する流体の背圧134によって生じる遠位の力138の圧力を受けて、図1Eに関してより詳細に記述される変形を伴って変形する。
【0021】
図1Eは、図1D及び図1Fの一部分の拡大図である。雄型取付部20からの圧縮負荷(図1D参照)、又は背圧134によって生じる遠位の力138(図1F参照)は、バルブ素子103の壁によってバルブ基部105に送られ、次いでリム150へと送られる。しかしながら、バルブ素子103の可撓性の性質のために、バルブ基部105の内部角部110は、図1Eに見られるように、変形し、空洞140に突出する可能性がある。
【0022】
ここで、使用中のバルブ素子の望ましくない変形を排除し、又は実質的に低減する無針コネクタの実例について記述する。
【0023】
図2は、本開示のさまざまな態様による、例示の無針コネクタ200の分解図である。このコネクタ200は、内部空洞204を画定し、且つ雌型取付部201を有する本体220と、円筒部204の遠位端部において外側に延在するフランジ205及び内部容積213を備える円筒部を有する可撓性のバルブ素子203と、基部230とを含む。この基部230は、リセス240から本体230を通って雄型取付部(図2では見えず)周辺の周囲環境へと通過する2つの空気通路272と共にリセス240を画定するリム250と、リム250からリセス240に向かって横方向に延在する1つ又は複数の支持部材280とを有する。組み立てられると、リム250の上部表面はバルブ基部すなわちフランジ105と接触する。リセス240は、リム250の上部表面から遠位方向に隔てられた底部表面260を有する。2つの通路274(図2では、1つだけ見える)は、基部230を通過し、図1B及び図1Cにおける通路174と同様に構成される。
【0024】
ある実施例では、基部230はポリカーボネート材を備える。しかしながら、コネクタ100の基部230及び本体220は、これらに限定するものではないが、ポリエステル、ポリエチレン及び/又は他の熱可塑性物質を含む1つ又は複数の材料を備えてよい。加えて、基部230と本体220の一方又は両方は透明又は半透明であってよく、それによって、コネクタ200内部の流体を部分的に可視化することができる。ある実施例では、可撓性のバルブ素子203はシリコンを備える。
【0025】
ある実施例では、無針コネクタ200は、従来のコネクタ100のものに類似する、ある種の同様の特性及び機能性を有してよい。たとえば、ある実施例では、無針コネクタ200は、より短い全長、より小さいポート径、より小さい流体経路チャネル、より小さい全径、異なるバルブ操作、異なる材料組成など、コネクタ100とは異なるある種の態様を含む。たとえば、ある実施例では、基部230は基部130よりも小さい。この点において、ある実施例は、支持部材を有する基部から利点を得る。
【0026】
図示の通り、基部230のリセス240は、組立時に可撓性のバルブ素子203の内部容積213と相互作用するように調整される。支持部材280の実施例は、可撓性のバルブ素子203がリセス240に侵入するのを排除又は実質的に低減するための機構をもたらす。支持部材280の構成のさまざまな実例について、図3から図5に関して記述する。図6に関してより詳細に記述するように、組み立てられると、可撓性のバルブ素子203のフランジ205は、本体220と基部230との間に捉えられる。
【0027】
図3は、本開示のさまざまな態様による、図2に示す基部230の上面図である。この例示の実施例においては、6つの突出部282A~282Fはリム250の部分に沿って配置され、リセス240に向かって長手方向に延在する。ある実施例では、突出部280はより多く、又はより少なくてもよい。ある実施例では、突出部282A~282Fは、図3に示すような丸みのある先端を有する。ある実施例では、突出部282A~282Fは、鋭利な角又は直線の縁部を有してよい。突出部282A~282Fの1つ又は複数は、底部表面260の上に配置されてよい。図3に示す実例では、6つの突出部282A~282F全てが完全に底部表面260の上にあり、すなわち、流路272のいずれかの上に突き出る突出部282A~282Fの部分はない。この点で、突出部280A~280Fは、バルブ部材203のフランジ205を支持する一方で、空気通路272の横断面積が縮小又は遮断されないように配置される。空気通路272の横断面積を遮断又は縮小することは、たとえば、折り畳まれる間又は広がる間それぞれに、空気がバルブ部材203の内部容積213から速やかに流出する又はここに流入する必要があるときなどの実施例において、バルブ部材203の性能を低下させる可能性がある。いくつかの実施例において、1つ又は複数の突出部280は、部分的又は完全に空気通路272の1つの上に延在してよい。突出部280A~280Fによって得られるフランジ205の支持については、図6Dに関してより詳細に記述する。
【0028】
図4及び図5は、本開示のさまざまな態様による、基部の他の実施例231、232の上面図である。図4は、中心軸301の一方の側のリム250の一部の上に配置される突出部282A~282Cを有し、軸301の他方の側には突出部を有しない、別の実例である基部231を示す。一方の側のみに突出部282A~282Cを備えることで、たとえば、可撓性のバルブ素子203の折り畳みの改良された制御をもたらすことができる。
【0029】
図5は、別の実例である基部232を示す。ある実施例によれば、基部232は1つ又は複数の支持リブ(rib)285A~285Cを備える。この実例では、リブ285A~285Cのそれぞれは、リム250の第1の部分からリム250の第2の部分まで、リセス240を横切って延在する。いくつかの実施例では、リブ285A~285Cはリム250の高さ一杯であり、それぞれのリブ285A~285Cの全長にわたって連続する。他の実施例では、リブ285A~285Cの1つ又は複数は、底部表面260の近位に開いた部分を有して、2つの開口272の間において底部表面260を横切る空気の通路を容易にしてよい。ある実施例では、各リブ285A~285Cは、基部230の壁部250及び/又は底部260と一体であってよい。
【0030】
いくつかの実施例では、支持部材280、たとえば、図3に示す突出部282及び/又は図5に示すリブ285は、リム250の上で0.0254cm(0.01インチ)から0.381cm(0.15インチ)延在してよい。ある実施例では、支持部材280は、リム250の上で0.127cm(0.05インチ)延在してよい。ある実施例では、支持部材280は長手方向に同じ長さ延在してよい。他の実施例では、支持部材280は長手方向に異なる長さであってよい。ある実施例では、支持部材280は、リム250の上部表面よりも下方にくぼんでいる、リム250の上部表面と同一平面である、又はリム250の上部表面よりも高くなっているなど、さまざまな部分を有してよい。
【0031】
図6Aは、本開示のさまざまな態様による、組み立てられた、図2に示す無針コネクタ200の破断斜視図である。フランジ205は基部230のリム250を係合していて、本体220は可撓性のバルブ素子203を覆って配置され、且つ本体230に密閉して結合され、それによって、本体220と基部230との間にフランジ205の一部を捉える。それぞれ異なる部分B-B、C-C及びD-Dが図6Bから図6Dに、それぞれ示される。空気チャネル272の1つへの上部開口が、底部表面260に近接して見える。バルブ素子203のこの実施例は、内部容積213の表面の外周の一部を覆って延在する内部ディンプル215を有する。
【0032】
図6Bから図6Dは、本開示のさまざまな態様による、図6Aに示す位置における完全なコネクタ200の破断斜視図である。図6Bは、フランジ205の上方で破断され、本体220の内部に配置されるバルブ素子203の円筒部を示す。内部容積213はバルブ素子203の内部に見え、一方、流体チャネル222は本体220の内部壁の中に、且つバルブ素子203の外側に形成されて見える。
【0033】
図6Cは、フランジ205の底部表面で破断された横断面を示す。フランジ205の外径は、内部容積213に合う内径を維持しつつ、径方向外側に延在している。流体チャネル222の下方部分が見えるが、これはフランジ205の周囲に流体流経路を設ける。破線の円216は、横断面の表面上への円筒部204の外側表面の突出を示す。ある実施例では、円216は、フランジ205の底部表面を内側区域207Aと外側区域207Bとに分割する。
【0034】
図6Dは、フランジ205の底部表面のすぐ下で突出部280A~280Fを貫いて破断された横断面を示す。突出部280A~280Fがどのように内側区域207Aを越えて、及びフランジ205の内径を越えて内側に延在するか、それによって、フランジ205を完全に支持するか、及び、たとえば図1Eに示されるような従来のコネクタ100に見られる変形を防止するか、を見ることができる。ある実施例では、突出部280A~280Fは、バルブ素子203のディンプル215との関連で定められた関係において位置が調整され、又は向きが定められてよい。ある実施例では、突出部280A~280Fの1つ又は複数は、フランジ205の内径を越えて延在しなくてもよい。
【0035】
図7を参照すると、無針コネクタ200が流体的には連結されるがアクセスされていない状態であるときの、例示の無針コネクタ200が示される。図示の通り、無針コネクタ200は、基部230の雄型取付部202に取り付けられるライン(図示せず)に流体的に連結される流体チャネル322からバルブ素子203に加えられる背圧234を受けている。基部230は突出部280A~280Fを有し、これらの突出部280A~280Fは、本体220内部でバルブ素子203に背圧234が加えられるとき、バルブ素子203、特にフランジ205を支持する。このように、基部230の突出部280A~280Fは、基部230のリセス240に向かってフランジ205が変形することを排除し、又は実質的に防止する。その結果、図1Fとは対照的に、背圧234によって生じる近位の力236は増大し、遠位の力238は排除され、又は実質的に低減される。したがって、バルブ素子203の動きは雌型取付部201に向かって近位の方向に起こり、それによって、流体的には連結されるがアクセスされていない状態で背圧234を受けるときの、バルブ素子203の肩部307と本体220の内部リッジ323との間の無針コネクタ200の一次密閉をさらに向上させる。
【0036】
本開示は、本明細書に記述するさまざまな態様を当業者が実施できるようにするために提供される。本開示は主題技術のさまざまな実例を提供し、この主題技術はこれらの実例に限定されるものではない。これらの態様のさまざまな修正形態は当業者には容易に明らかになり、本明細書において定義される一般原理は他の態様にも適用され得る。
【0037】
単数形での素子への言及は、特にそのように記述されない限り「1つ、及び1つだけ」を意味する意図ではなく、むしろ「1つ又は複数」を意味する。特に記述のない限り、「いくつかの」という用語は1つ又は複数を指す。男性形の代名詞(たとえば、彼の)は女性形及び中性形(たとえば、彼女の及びその)を含み、逆の場合も同様である。表題及び副題は、もしあれば、便宜上使用されるにすぎず、本発明を限定するものではない。
【0038】
本明細書において用いられる「例示の」という語は、「実例又は例証としての役割を果たす」ことを意味する。本明細書において「例示の」として記述する任意の態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計と比較して好ましい、又は有利であると解釈されるわけではない。一態様において、本明細書に記述するさまざまな代替的な構成及び動作は、少なくとも同等であると考えられてよい。
【0039】
「態様」などの語句は、そのような態様が主題技術にとって不可欠である、又はそのような態様が主題技術の全ての構成に適用されるということを意味するものではない。態様に関する開示は全ての構成、又は1つ若しくは複数の構成に適用されてよい。態様は、1つ又は複数の実例を提供することができる。態様などの語句は、1つ又は複数の態様を指すことができ、逆の場合も同様である。「実施例」などの語句は、そのような実施例が主題技術にとって不可欠である、又はそのような実施例が主題技術の全ての構成に適用されるということを意味するものではない。実施例に関する開示は全ての実施例、又は1つ若しくは複数の実施例に適用されてよい。実施例は、1つ又は複数の実例を提供することができる。実施例などの語句は、1つ又は複数の実施例を指すことができ、逆の場合も同様である。「構成」などの語句は、そのような構成が主題技術にとって不可欠である、又はそのような構成が主題技術の全ての構成に適用されるということを意味するものではない。構成に関する開示は全ての構成、又は1つ若しくは複数の構成に適用されてよい。構成は、1つ又は複数の実例を提供することができる。構成などの語句は、1つ又は複数の構成を指すことができ、逆の場合も同様である。
【0040】
一態様において、特に記述のない限り、寸法、値、率、位置、規模、大きさ、及び、以下に続く特許請求の範囲を含む本明細書に記述する他の仕様は全て、近似のものであって正確なものではない。一態様において、これらは、その関連する機能、及びその属する技術分野の慣例であるものに一致する合理的範囲を有することが意図される。
【0041】
一態様において、「結合される」又は同種の用語は、直接的に結合されることを指すことができる。別の態様においては、「結合される」又は同種の用語は、間接的に結合されることを指すことができる。
【0042】
「上部」、「底部」、「前部」、「後部」及び同種の用語は、本開示において用いられる場合、通常の重力の視点ではなく、任意の視点を指すものとして理解されるべきである。それゆえ、上部表面、底部表面、前部表面及び後部表面は、重力の視点で上方向に、下方向に、斜め方向に又は水平方向に延在することができる。
【0043】
主題技術の範囲から全く逸脱することなく、さまざまなアイテムが異なって配置され得る(たとえば、異なる順序で配置される、又は、異なる方法で分割されるなど)。当業者に知られている、又は後に知られるようになる、本開示を通して記述されるさまざまな態様の素子に対する全ての構造的及び機能的均等物は、参照により本明細書に明確に組み込まれ、特許請求の範囲によって包含されると意図される。さらに、本明細書において開示されるものには、このような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かに関わらず、公衆に提供されるように意図されるものはない。請求項のいずれの要素も、「~する手段(means for)」という語句を用いて、その要素が明確に記載されていない限り、又は、方法のクレームの場合において「~するステップ(step for)」という語句を用いて、その要素が記載されていない限り、解釈されるべきものではない。さらに、「含む」、「有する」又は同種の用語が用いられる限り、このような用語は、「備える」が請求項において移行語として用いられるときに解釈されるように、「備える」という用語と類似する方法で包括的であることが意図される。
【0044】
本開示の名称、背景、概要、図面の簡単な説明及び要約は、これによって本開示に組み入れられ、本開示の限定的な説明としてではなくではなく、例証となる実例として示される。本開示は、これらが特許請求の範囲の範囲又は趣旨を限定するように用いられるわけではないとの理解で提出される。加えて、詳細な説明においては、説明は例証となる実例を示し、本開示を合理化する目的でさまざまな実施例においてさまざまな特徴がまとめられることが分かる。本開示の方法は、特許請求の主題が各請求項で明確に記載されるよりも多くの特徴を要するという意図を示すと解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が示すように、発明の主題は、個々の開示される構成又は動作の全ての特徴よりも小さい。以下の特許請求の範囲は、これによって詳細な説明に組み入れられ、各請求項は、個別的に特許請求される主題としてそれ自体に基づく。
【0045】
特許請求の範囲は、本明細書に記述する態様に限定される意図ではなく、言語による特許請求の範囲と一致する完全な範囲を与えられるべきであり、全ての法的均等物を包含する意図である。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポート、及び内部空洞を形成する内側表面を含む本体と、
上面を有するリム、底部にある第2のポート、前記リムから前記底部に向かって延在するリセス、前記リムから延在する支持部材、及び前記リセスを通って延在する空気通路を含む基部と、
前記リムに接触する遠位端部を有するバルブ壁を含むバルブ素子であって、前記バルブ素子は、少なくとも部分的に前記内部空洞内に配置され、前記バルブ素子の前記遠位端部は、前記本体と前記基部との間に捉えられて、前記支持部材は、前記バルブ素子が前記基部の前記リセスに向かって延在するのに抵抗する、バルブ素子と
を備える無針コネクタ。
【請求項2】
前記バルブ素子は、前記バルブ壁から離れる方向において径方向に外側に突出するフランジを含む、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項3】
前記フランジは、前記バルブ壁の前記遠位端部に結合されている、請求項2に記載の無針コネクタ。
【請求項4】
前記リムの前記上面は、前記フランジに対して係合されている、請求項2に記載の無針コネクタ。
【請求項5】
前記バルブ壁は、前記バルブ素子の内側表面に形成されたディンプルを含む、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項6】
前記リセスは、前記リムと前記第2のポートとの間にある、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項7】
前記基部が、前記リムと前記基部の前記底部との間で、前記基部の外側表面を通って延在する流体通路を含み、前記流体通路が、前記第2のポートを通って延在する、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項8】
前記支持部材の少なくとも一部が、前記リムの上に延在する、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項9】
前記基部の前記リセスは、前記バルブ素子の内部容積と相互作用するように調整されている、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項10】
前記空気通路は、前記バルブ素子の内部容積と周囲環境との間で延在している、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項11】
前記本体の前記内側表面は、前記バルブ素子の前記遠位端部の周囲に流体流路を提供する流体チャネルを画定する、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項12】
前記第1のポートが適合するコネクタと嵌合されていない場合に、前記バルブ素子の近位部分が、前記第1のポートを遮断する、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項13】
前記基部は、前記基部の底部に前記第2のポートを形成している雄型ルアー取付部を備える、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項14】
前記本体は、前記第1のポートを形成している雌型ルアー取付部を備える、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項15】
前記リムの前記上面は、前記基部の中心長手方向軸を横断する平面を画定する、請求項1に記載の無針コネクタ。