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特開2024-28624睡眠生理学を使用した生体識別のシステムおよび方法
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  • 特開-睡眠生理学を使用した生体識別のシステムおよび方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028624
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】睡眠生理学を使用した生体識別のシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/117 20160101AFI20240226BHJP
   A61B 5/113 20060101ALI20240226BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240226BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
A61B5/117 200
A61B5/113
A61B5/00 G
A61B5/00 102A
A61B5/0245 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024009399
(22)【出願日】2024-01-25
(62)【分割の表示】P 2022062437の分割
【原出願日】2017-11-22
(31)【優先権主張番号】62/425,977
(32)【優先日】2016-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515327166
【氏名又は名称】ライフキュー グローバル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス リチャード オリバー
(57)【要約】
【課題】睡眠生理学を使用した生体識別のシステムおよび方法の提供。
【解決手段】請求する発明は、生理に関する入力を、生物数学モデリングおよび機械学習法と共に使用することで、個人および/または個人群の生体プロファイルを生成することによる、ユーザの継続性および生理学的状態変化に関する評価に対するソフトウェア方式を含む。限定するものではないが、心拍、心拍変動、拍動波形およびその派生物、血圧、呼吸数、心肺連関、アクティグラフィー、ならびに概日リズム特性を含む、生理学的変数の個人内差を利用する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、2016年11月23日出願の仮特許出願第62/425,977号の優先権を主張し、参照することによってその全体に依拠し、本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、生体測定の様式および技術、生理学的信号処理、ならびに生物学的データの演算の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
世界保健機関によると、ヘルスケアは、米国一国の経済において主要価格区分の一つである。この部門における支出の大きさに関わらず、金銭上の投資を実際の健康転帰と比較すると、米国は提供されるケアの品質において最下位となっている。さらに、医療および保険金詐欺、すなわち、受取人による私的利益のための医療費請求に関する意図的な虚偽情報の提示が、毎年何十億ドルと推定される損失と関連付けられ、これらの費用の大半は吸収されて納税者に降りかかる。
【0004】
生理学的データの取集およびその適用における近年の発展と同じくして、ウェアラブルデバイスの動作における大きな進歩により、ユーザは、個人の健康および健康になるための必要条件についてより良く理解するだけでなく、私的利益のためにデータ収集の条件を操作できるようになってきた。例えば、ユーザはデバイスを交換して、所定の運動および食事に関する目標到達に対して恩恵を提供する医療スキームの受益者となることができる。
【0005】
セキュリティおよびプライバシーだけでなく利便性も強化し、受益者、医療機関および保険会社の費用も同様に減らしながら、医療および保険金詐欺を防止するために、患者の同一性を認証する単純なソリューションには大きなニーズがある。
【0006】
医療および保険部門で現在用いられている生体識別システムは、煩雑で時間がかかり高価で、固有の署名を作成するために、個人の指紋、手の静脈および顔によるアクセスが必要とされる。
【0007】
得られたデータの使用および/または適用の方法だけでなく、生理学的データの採取を可能にする近年の技術進化で、限定するものではないが、睡眠、運動および休息など事象中に、限定するものではないが、フィットネスメトリクス、睡眠パターン、心拍および心拍変動を含む個人の複数データメトリクスを、研究者が同時に集めることが可能になってきた。
【0008】
発明者は、生体識別に使用される既存の生体測定技術が、法外に高価で時間がかかり侵襲的であり、ユーザが技術革新を使って迂回できることを認識した。そのため、生理学的状態変化をモニターし、生体測定のユーザ継続性を評価するのに使用される、目立たず簡便に、正確にかつ高い信頼性をもってユーザをモニターおよび/または特定するシステムならびに方法へのニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求する発明は、個人および/または個人群の生体プロファイルを生成するように、睡眠、休息および自由生活の段階中に獲得される、生理に関する入力を使用するソフトウェアシステムおよび方式から成る。これらのシステムおよび方法により、ウェアラブルデバイスの使用を通して、そのような入力が獲得され得る。そのような態様では、プロファイルは、睡眠、休息および自由生活の段階中のユーザの生理の状態および差異について記述する、1セットのパラメータを対象にする。例えば、プロファイルは、ユーザの心拍、通常の高/低周波数のHRV比率、ならびに標準偏差手段および標準偏差をそれぞれ含み得る。
【0010】
神経系が大部分非活動で、目は閉じられ、姿勢筋が緩和している、不動が自然に周期的に繰り返され状態である睡眠中、生理は大部分において、意識的行動にも環境刺激にも影響されない。異なる睡眠段階(例えば、REM、NREMの段階1、NREMの段階2、およびNREMの段階3)もまた、心臓および肺の活動に現れる、異なる生理学的状態を表すため、この境界線により、心肺生理学を解読し得る範囲が広がる。この活動、および結果得られたバイタルサインのパターンは、非常に類似する生理によって生成され、個人に固有であり、さらに個人間で非常に異なる。これらのパターンは、被験者が自身の環境で眠っている間に、非侵襲型ウェアラブルデバイスを使用してモニターすることができる。
【0011】
ウェアラブルデバイスから獲得される生理に関する入力に加えて、例えば、限定するものではないが、医療デバイスおよびデータベースからも、入力を獲得してもよい。睡眠、休息および自由生活の段階中に獲得される生理学的メトリクスより現れる個人内差は、生体プロファイルを生成するのに利用される。生理学的メトリクスは、限定するものではないが、心拍、心拍変動、血圧、呼吸数、心肺連関、アクティグラフィー、加速度測定、概日リズム特性、および拍動波形、その派生物、ならびに脈波指標、左室駆出時間(LVET:)、光電式容積脈波記録法(PPG)の前面立ち上がり(PPGRF:photoplethysmographic rising front)、左室1回拍出勾配(LVSS:left ventricular stroke slope)および脈波伝播速度など、関連する脈波形特性を含み得る。
【0012】
発明のシステムおよび方法は、a)ユーザの継続性を評価、すなわち、同じユーザが継続してデバイスを身に着けおよび/または操作しているかを評価し、b)生理学的状態変化をモニターする、すなわち、ユーザに異常な生理学的変化が起こっているかを判定するために、入力として個人からの生理学的データストリームを活用する。データストリームは、限定するものではないが、心拍、心拍変動、血圧、呼吸数、心肺連関、アクティグラフィー、加速度測定、概日リズム特性、および拍動波形、その派生物、ならびに脈波指標、LVSS、LVET、PPGRFおよび脈波伝播速度など、関連する脈波形特性により例示される、データを含み得る。一態様では、ユーザの継続性評価および生理学的状態変化のモニタリングは、獲得した生理学的ストリームを、生成された個人の生体プロファイルと照合することで行われる。一態様では、システムおよび方法は、個人に対する生体プロファイルの初期生成を含み、その後、生体プロファイルは、後に個人から獲得した生理学的ストリームと比較され得る。一態様では、生体プロファイルは、ユーザの典型的な睡眠セッション1回のみから生成することができ、上に開示したユーザ関するデータタイプの長く続く連続データストリームを含む。一態様では、そのようなデータストリームを、データ獲得ウェアラブルデバイスで収集する。さらに、データ獲得ウェアラブルデバイスによるデータストリームの収集は、データ獲得ウェアラブルデバイス、モバイルデバイスおよび/またはクラウドベースのコンピュータプラットフォームと、総体的な生理学的ユーザプロファイルの記憶用データベースとの間で中継されてもよい。
【0013】
生成される生理学的プロファイルは、個人および/または個人群の生理学的状態変化のモニタリングおよび/またはユーザの継続性生体評価に使用されてもよい。ある特定の実施形態では、バイタルサインのパターンで観察される、個人内の違いを使用して、固有の生理学的ユーザプロファイルを構築する。加えて、方法は、受信データストリームと比較される、ユーザプロファイルのリアルタイム訓練に対して提示される。ある特定の実施形態では、睡眠段階、拍動波形および概日リズム由来の入力は、固有のユーザプロファイルを構築するのに使用され、そのプロファイルは続いて、潜在的な疾患状態の検出および/またはユーザの継続性評価のために、異常な生理学的状態変化をモニターするのに使用される。
【0014】
一態様では、発明は、睡眠および関係する段階中に生成される生理学的データから、個人および/または個人群の生体プロファイルを生成するソフトウェア方式を対象にし、その方式で、限定するものではないが、心拍(HR)、心拍変動(HRV)の判定元となるRR間隔、呼吸数(BR)、一過性頻脈(ACC)の特徴、派生物および関連する脈波形特性(例えば、脈波指標)を伴う動脈拍動波形、左室1回拍出勾配(LVSS)、および脈波伝播速度、血圧、心肺連関情報、アクティグラフィー、ならびに概日リズム由来の特徴により例示される、二つ以上の生理学的特徴のうちの一つまたはそれらの組み合わせより現れる個人内差を、生体プロファイルに対して利用する。別の態様では、発明は、生体プロファイルが生成された元の個人/個人群の同一性の検証または反証のいずれかを行うために、個人および/または個人群から取得される一つの生理学的特徴の最小値を、生成された生体プロファイルと照合することを対象とする。別の態様では、発明は、二つ以上の生理学的特徴のうちの一つまたはそれらの組み合わせを、生体プロファイルと照合することによって、a)電子デバイスの起動および停止、ならびに/またはb)電子デバイスのアクセスおよび使用を認証するために、ユーザおよび/またはユーザ群を特定するように、生体プロファイルを適用する方法を対象とし、電子デバイスは、限定するものではないが、ウェアラブルデバイス、医療デバイス、コンピュータデバイス、ゲームデバイス、スマートデバイスおよび埋め込み型デバイスが例示される。
【0015】
一態様では、発明は、発信元のデバイスまたはプラットフォームから遠隔デバイスへの、ユーザおよび/またはユーザ群の作成された生体プロファイルの無線伝達を対象とし、デバイスは、限定するものではないが、ウェアラブルデバイス、医療デバイス、コンピュータデバイス、ゲームデバイス、スマートデバイスおよび埋め込み型デバイス、ならびに/または限定するものではないが、医療データベース、保険データベースおよび小売りデータベースにより例示される、クラウドベースのプラットフォームおよびデータベースが例示される。
【0016】
一態様では、発明は、限定するものではないが、心拍、心拍変動、拍動波形およびその派生物、脈波指標、脈波伝播速度、血圧、呼吸数、心肺連関、アクティグラフィー、ならびに概日リズムの特徴により例示される、二つ以上の生理的睡眠段階または関係するデータストリームのうちの一つもしくはそれらの組み合わせを獲得し、生体プロファイルを生成するように、クラウドベースのプラットフォームへ獲得したデータストリームを伝達し、デバイス、ならびに/または他のデバイス、データベース、もしくは限定するものではないが、医療データベース、保険データベースもしくは小売りデータベースにより例示される、クラウドベースのプラットフォーム、ウェアラブルデバイス、コンピュータデバイス、スマートデバイスおよび埋め込み型デバイスに、プロファイルおよび/または凝縮されたプロファイルを伝達し戻すデバイスを対象とする。
【0017】
一態様では、発明は、限定するものではないが、心拍、心拍変動、拍動波形およびその派生物、脈波指標、脈波伝播速度、血圧、呼吸数、心肺連関、アクティグラフィー、ならびに概日リズムの特徴により例示される、二つ以上の生理的睡眠段階または関係する特徴のうちの一つもしくはそれらの組み合わせを獲得し、特徴を使用して生体プロファイルを生成することができ、次の、クラウドベースのプラットフォーム、限定するものではないが保険データベース、医療データベースおよび小売りデータベースにより例示されるデータベース、ウェアラブルデバイス、コンピュータデバイス、スマートデバイス、ならびに埋め込み型デバイスのうちの一つまたは二つ以上の組み合わせへ、生体プロファイルを伝達し得るデバイスを対象とする。
【0018】
一態様では、発明は、終日(24h)段階中に取得される生理学的特徴より現れる個人内差を、睡眠および関係する段階中に取得される生理学的特徴と共に活用して、生体プロファイル、ならびに/または個人および/もしくは個人群のユーザの継続性および生理学的状態変化に関する評価を生成する方法を対象とする。
【0019】
一態様では、発明は、睡眠および関係する段階中に生成される生理学的データから、個人および/または個人群の生体プロファイルを生成する、ソフトウェア方式を対象とし、その方式は、二つ以上の生理学的特徴のうちの一つまたはそれらの組み合わせより現れる個人内差を利用し、一つの生理学的特徴の最小値をプロファイルと照合することによって、限定するものではないが、妊娠、成長または病態生理学的変化により例示される個人の急性および/または慢性の生理学的状態変化を評価するように、生成された生体プロファイルを活用する。別の態様では、発明によって、ユーザおよび/またはユーザ群の生理学的状態変化を評価する生体プロファイル、またはプロファイルの凝縮版を活用することができ、それらは、発信元のデバイスまたはプラットフォームから遠隔デバイスへ無線で伝達され、デバイスは、限定するものではないが、ウェアラブルデバイス、医療デバイス、コンピュータデバイス、ゲームデバイス、スマートデバイスおよび埋め込み型デバイス、ならびに/または限定するものではないが、医療データベース、保険データベースおよび小売りデータベースにより例示される、クラウドベースのプラットフォームおよびデータベースが例示される。
【0020】
一態様では、発明は、二つ以上の生理的睡眠段階または関係する特徴のうちの一つまたはそれらの組み合わせを獲得し、プロファイルまたは凝縮されたプロファイルを形成する、クラウドベースのプラットフォームへ獲得した特徴を伝達し、デバイス、ならびに/または他のデバイス、データベース、もしくは限定するものではないが、医療データベース、保険データベースおよび小売りデータベースにより例示される、クラウドベースのプラットフォーム、ウェアラブルデバイス、コンピュータデバイス、スマートデバイスおよび埋め込み型デバイスに、プロファイルまたは凝縮されたプロファイルを伝達して戻し得るデバイスを対象とする。
【0021】
一態様では、発明は、二つ以上の生理的睡眠状態または関係する特徴のうちの一つもしくはそれらの組み合わせを獲得し、特徴を使用して生体プロファイルを生成し、次の、クラウドベースのプラットフォーム、限定するものではないが、保険データベース、医療データベースおよび小売りデータベースにより例示されるデータベース、ウェアラブルデバイス、コンピュータデバイス、スマートデバイス、ならびに埋め込み型デバイスのうちの一つまたは二つ以上の組み合わせへ、生体プロファイルを伝達するデバイスを対象とする。
【0022】
発明のこれらおよびその他目的ならびに利点は、発明の好ましい実施形態に関する、以下の発明を実施するための形態より明らかとなるであろう。
【0023】
前述の全般的な記述および以下の発明を実施するための形態の両方は、例示および説明であるのみで、請求する発明のさらなる説明を提供することを意図している。添付の図面は、発明のさらなる理解を促すために含まれ、本明細書の一部に組み込まれてそれを構成し、発明のいくつかの実施形態を図示し、明細書と共に発明の原理を説明する働きをする。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
睡眠および関係する段階中に生成される生理学的データから、少なくとも一人の個別の個人および/または一つの個人群の、少なくとも一つの生体プロファイルを生成する方法であって、限定するものではないが、心拍(HR)、心拍変動(HRV)の判定元となるRR間隔、呼吸数(BR)、一過性頻脈(ACC)の特徴、派生物および関連する脈波形特性(例えば、脈波指標、左室1回拍出勾配(LVSS)LVET、PPGRFおよび脈波伝播速度を伴う動脈拍動波形、血圧、心肺連関情報、アクティグラフィー、ならびに概日リズム由来の特徴により例示される二つ以上の生理学的特徴のうちの一つ、またはそれらの組み合わせより現れる個人内差を利用する、方法。
(項目2)
個人および/または個人群から取得される一つの生理学的特徴の最小値を、項目1に記載の前記方法により生成される生体プロファイルと照合することであって、生成された前記生体プロファイルの元となる個人/個人群の同一性に対して、検証または反証のいずれかを行うために、前記生理学的データの特徴は、心拍(HR)、心拍変動(HRV)の判定元となるRR間隔、呼吸数(BR)、一過性頻脈(ACC)の特徴、派生物および関連する脈波形特性(例えば、脈波指標、左室1回拍出勾配(LVSS)、LVET、PPGRFおよび脈波伝播速度)を伴う動脈拍動波形、血圧、心肺連関情報、アクティグラフィー、ならびに概日リズム由来の特徴を含む、こと。
(項目3)
生体プロファイルが、限定するものではないが、心拍(HR)、心拍変動(HRV)の判定元となるRR間隔、呼吸数(BR)、一過性頻脈(ACC)の特徴、派生物および関連する脈波形特性(例えば、脈波指標、左室1回拍出勾配(LVSS)、LVET、PPGRFおよび脈波伝播速度)を伴う動脈拍動波形、血圧、心肺連関情報、アクティグラフィー、ならびに概日リズム由来の特徴により例示される、二つ以上の生理学的特徴のうちの一つまたはそれらの組み合わせを、前記生体プロファイルと照合することによって、a)電子デバイスの起動および停止、ならびに/またはb)電子デバイスのアクセスおよび使用を認証するよう、ユーザおよび/またはユーザ群を特定するためにに適用され、前記電子デバイスは、限定するものではないが、ウェアラブルデバイス、医療デバイス、コンピュータデバイス、ゲームデバイス、スマートデバイスおよび埋め込み型デバイスが例示される、項目1に記載の方法。
(項目4)
ユーザおよび/またはユーザ群の生体プロファイルは、発信元のデバイスまたはプラットフォームから遠隔デバイスへ無線で伝達され、前記デバイスは、限定するものではないが、ウェアラブルデバイス、医療デバイス、コンピュータデバイス、ゲームデバイス、スマートデバイスおよび埋め込み型デバイス、ならびに/または限定するものではないが、医療データベース、保険データベースおよび小売りデータベースにより例示されるクラウドベースのプラットフォームおよびデータベースによって例示される、項目1に記載の方法。
(項目5)
限定するものではないが、心拍、心拍変動、拍動波形およびその派生物、脈波指標、脈波伝播速度、血圧、呼吸数、心肺連関、アクティグラフィー、ならびに概日リズムの特徴により例示される、二つ以上の生理的睡眠段階または関係するデータストリームのうちの一つもしくはそれらの組み合わせを獲得し、項目1に記載の前記方法が、生体プロファイルを生成するように実行されるクラウドベースのプラットフォームへ、前記獲得したデータストリームを伝達し、前記デバイス、および/または他のデバイス、データベース、もしくは限定するものではないが、医療データベース、保険データベースおよび小売りデータベースにより例示されるクラウドベースのプラットフォーム、ウェアラブルデバイス、コンピュータデバイス、スマートデバイスならびに埋め込み型デバイスに、前記プロファイルおよび/または凝縮されたプロファイルを伝達し戻す、デバイス。
(項目6)
限定するものではないが、心拍、心拍変動、拍動波形およびその派生物、脈波指標、脈波伝播速度、血圧、呼吸数、心肺連関、アクティグラフィー、ならびに概日リズムの特徴により例示される、二つ以上の生理的睡眠段階または関係する特徴のうちの一つもしくはそれらの組み合わせを獲得し、前記特徴を使用して生体プロファイルを生成するように、前記デバイス上で項目1に記載の前記方法を実行し、次の、クラウドベースのプラットフォーム、限定するものではないが、保険データベース、医療データベースおよび小売りデータベースにより例示されるデータベース、ウェアラブルデバイス、コンピュータデバイス、スマートデバイス、ならびに埋め込み型デバイスのうちの一つまたは二つ以上の組み合わせへ、前記生体プロファイルを伝達する、デバイス。
(項目7)
限定するものではないが、心拍、心拍変動、歩行分析、呼吸数および拍動波形により例示される、終日(24h)段階中に取得される生理学的特徴より現れる個人内差を、睡眠および関係する段階中に取得される生理学的特徴と共に活用して、生体プロファイル、ならびに/または個人および/もしくは個人群のユーザの継続性および生理学的状態変化に関する評価を生成する、項目1に記載の方法。
(項目8)
睡眠および関係する段階中に生成される生理学的データから、個人および/または個人群の生体プロファイルを生成するソフトウェア方式であって、限定するものではないが、心拍(HR)、心拍変動(HRV)の判定元となるRR間隔、呼吸数(BR)、一過性頻脈(ACC)の特徴、派生物および関連する脈波形特性(例えば、脈波指標、左室1回拍出勾配(LVSS)、LVET、PPGRFおよび脈波伝播速度)を伴う動脈拍動波形、血圧、心肺連関情報、アクティグラフィー、ならびに概日リズム由来の特徴により例示される、二つ以上の生理学的特徴のうちの一つまたはそれらの組み合わせより現れる個人内差を利用し、一つの生理学的特徴の最小値を、前記プロファイルと照合することによって、限定するものではないが、妊娠、成長または病態生理学的変化により例示される個人の急性および/または慢性の生理学的状態変化を評価するように、生成された生体プロファイルを活用する、ソフトウェア方式。
(項目9)
ユーザおよび/もしくはユーザ群の生理学的状態変化を評価する生体プロファイル、または前記プロファイルの凝縮版が、発信元のデバイスまたはプラットフォームから遠隔デバイスへ無線で伝達され、前記デバイスは、限定するものではないが、ウェアラブルデバイス、医療デバイス、コンピュータデバイス、ゲームデバイス、スマートデバイスおよび埋め込み型デバイス、ならびに/または限定するものではないが、医療データベース、保険データベースおよび小売りデータベースにより例示されるクラウドベースのプラットフォームおよびデータベースが例示される、項目8に記載の方式。
(項目10)
限定するものではないが、心拍、心拍変動、拍動波形およびその派生物、脈波指標、脈波伝播速度、血圧、呼吸数、心肺連関、アクティグラフィー、ならびに概日リズムの特徴により例示される、二つ以上の生理的睡眠段階または関係する特徴のうちの一つもしくはそれらの組み合わせを獲得し、項目8に記載の前記方式が実行されるクラウドベースのプラットフォームへ、前記獲得した特徴を伝達し、前記デバイス、ならびに/または他のデバイス、データベース、もしくは限定するものではないが、医療データベース、保険データベースもしくは小売りデータベースにより例示されるクラウドベースのプラットフォーム、ウェアラブルデバイス、コンピュータデバイス、スマートデバイスおよび埋め込み型デバイスに、前記プロファイルおよび/または凝縮されたプロファイルを伝達し戻す、デバイス。
(項目11)
限定するものではないが、心拍、心拍変動、拍動波形およびその派生物、脈波指標、脈波伝播速度、血圧、呼吸数、心肺連関、アクティグラフィー、ならびに概日リズムの特徴により例示される、二つ以上の生理的睡眠段階または関係する特徴のうちの一つもしくはそれらの組み合わせを獲得し、前記特徴を使用して生体プロファイルを生成するように、前記デバイス上で項目8に記載の前記方法を実行し、次の、クラウドベースのプラットフォーム、限定するものではないが、保険データベース、医療データベースおよび小売りデータベースにより例示されるデータベース、ウェアラブルデバイス、コンピュータデバイス、スマートデバイス、ならびに埋め込み型デバイスのうちの一つまたは二つ以上の組み合わせへ、前記生体プロファイルを伝達する、デバイス。
(項目12)
限定するものではないが、心拍、心拍変動、歩行分析、呼吸数および拍動波形により例示される、終日(24h)に取得される生理学的特徴より現れる個人内差を、睡眠段階中に取得される生理学的特徴と共に活用して、生体プロファイル、ならびに/または個人および/もしくは個人群のユーザの継続性および生理学的状態変化に関する評価を生成する、項目8に記載の方式。
(項目13)
睡眠および関係する段階中に生成される生理学的データから、少なくとも一人の個人の少なくとも一つの生体プロファイルを生成するシステムであって、
a.前記少なくとも一人の個人から、生理学的特徴のデータを獲得および/または提供するように構成される、少なくとも一つのデバイスと、
b.
i.前記少なくとも一人の個人の前記生理学的特徴の前記獲得したデータから、前記少なくとも一人の個人の前記少なくとも一つの生体プロファイルを生成し、
ii.後に使用するために、前記少なくとも一つの生体プロファイルを記憶する
ように構成される、演算手段と、を備える、システム。
(項目14)
前記少なくとも一つの生体プロファイルを生成するように使用される、前記生理学的データが、前記少なくとも一人の個人の睡眠段階から生成される、項目13に記載のシステム。
(項目15)
前記生体プロファイルが、前記生理学的特徴の前記獲得されたデータより現れる個人内差を利用することによって生成される、項目13に記載のシステム。
(項目16)
前記生理学的特徴の前記獲得されたデータは、24時間にわたって蓄積される、項目15に記載のシステム。
(項目17)
少なくとも前記生体プロファイルは、前記個人の少なくとも一つの生理学的特徴の前記獲得されたデータから生成され、前記少なくとも一つの生理学的特徴は、心拍(HR)、心拍変動(HRV)の判定元となるRR間隔、呼吸数(BR)、一過性頻脈(ACC)の特徴、派生物および関連する脈波形特性を伴う動脈拍動波形、血圧、心肺連関情報、アクティグラフィー、概日リズム由来の特徴、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つを備える、項目16に記載のシステム。
(項目18)
前記脈波形特性は、脈波指標、左室1回拍出勾配(LVSS)LVET、PPGRFおよび/または脈波伝播速度を含む、項目17に記載のシステム。
(項目19)
前記少なくとも一つの生体プロファイルが、前記生理学的特徴のうちの二つ以上の組み合わせから生成される、項目17に記載のシステム。
(項目20)
前記演算手段はさらに、前記少なくとも一つのデバイスから、前記少なくとも一人の個人の現生理学的特徴のデータを取得し、前記少なくとも一人の個人の前記同一性を確認するために、前記現生理学的特徴の前記データを、前記少なくとも一人の個人の前記少なくとも一つの生体プロファイルと比較するように構成される、項目13に記載のシステム。
(項目21)
検証の際、前記システムによって、前記少なくとも一人の個人が、前記少なくとも一つのデバイスと関連付けられた電子デバイスを使用することを可能にできる、項目20に記載のシステム。
(項目22)
前記演算手段を備える、クラウドベースのプラットフォームをさらに備え、前記少なくとも一つのデバイスは、前記生理学的特徴を前記クラウドベースのプラットフォームへ伝達するように構成される、項目13に記載のシステム。
(項目23)
前記少なくとも一つのデバイスは、少なくとも一つのウェアラブルデバイスを備える、項目22に記載のシステム。
(項目24)
前記少なくとも一つのデバイスはさらに、医療デバイスおよび/またはデータベースを備える、項目23に記載のシステム。
(項目25)
前記クラウドベースのプラットフォームはさらに、前記少なくとも一つの生体プロファイルを、複数の遠隔デバイスへ伝達するように構成される、項目24に記載のシステム。
(項目26)
前記演算手段はさらに、前記少なくとも一つのデバイスから、前記少なくとも一人の個人の現生理学的特徴のデータを取得し、前記少なくとも一人の個人の生理学的状態の変化をモニターするために、前記現生理学的特徴の前記データを、前記生成された生体プロファイルと比較するように構成される、項目13に記載のシステム。
(項目27)
前記システムはさらに、複数の個人に対して生体プロファイルを生成するように構成される、項目13に記載のシステム。
(項目28)
前記複数の生体プロファイルは、前記複数の個人を特定するように適用される、項目27に記載のシステム。
(項目29)
個人の生理学的特徴から生体プロファイルを生成する方法であって、
a.睡眠および関係する状態中に生成される、前記個人の生理学的データを獲得することであって、前記獲得されたデータは、継続する24時間にわたって蓄積される、ことと、
b.生理学的特徴のうちの一つまたはそれらの組み合わせの前記データより現れる前記個人内の差から、前記生体プロファイルを生成することと、
c.前記個人の現生理学的特徴のデータを獲得することと、
d.前記獲得した現生理学的特徴のデータを、前記生成された生体プロファイルと比較することと、を含む、方法。
(項目30)
前記生理学的特徴は、心拍(HR)、心拍変動(HRV)の判定元となるRR間隔、呼吸数(BR)、一過性頻脈(ACC)の特徴、派生物および関連する脈波形特性を伴う動脈拍動波形、血圧、心肺連関情報、アクティグラフィー、概日リズム由来の特徴、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つを含む、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記獲得した現生理学的特徴のデータを、前記生成された生体プロファイルと比較した後、前記現生理学的特徴を生成した前記個人は、前記生成された生体プロファイルと関連付けられた同じ個人であると証明する、項目29に記載の方法。
(項目32)
前記個人の生理学的状態の変化をモニターすることを、さらに含む、項目29に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、デバイス通信に関する情報の流れを伴う、好ましい実施形態が動作する場合がある、エコシステムの略図である。
【0025】
図2図2は、2夜にわたって収集した、異なる二人の被験者の睡眠中の心拍分布の変動を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明のシステムおよび方法の態様を示す。示す通り、システムは、ユーザと関連付けられるデバイス101を含む。一態様では、デバイス101はウェアラブルデバイス101である。デバイス101は、限定するものではないが、光電式容積脈波記録法(PPG)センサ、温度センサ、皮膚電位(EDA)センサおよび加速度計(ACC)センサを含み得る。一態様では、そのようなセンサを使用して、睡眠、休息および自由生活の段階中に表される、個人に固有のバイタルサインのパターンを判定するために、心臓信号、動作信号および温度信号を測定する。一態様では、ウェアラブルデバイス101は、バイタルサイン(信号として捕捉)を取り入れてデジタル処理し、心拍および関係するメトリクスにするように構成される、処理手段を備える。一態様では、ウェアラブルデバイス101は、米国特許第14/128,675号、名称「Personalized Nutritional and Wellness Assistant」に開示されるウェアラブルデバイスを含むことができ、この特許は、参照することによってその全体が完全に本明細書に援用される。他の態様では、ウェアラブルデバイス101はいかなるウェアラブルデバイス101でもあり得る。
【0027】
さらなる生物学に基づく処理を、続けてウェアラブルデバイス101内で行うか、または通信ネットワーク102(例えば、無線ネットワーク)上で心拍および関係するメトリクスを、異なるデバイスもしくはクラウドベースのプラットフォーム103へ送信してから行ってもよい。一態様では、プラットフォーム103上で、獲得された生理学的データストリームがカテゴリーに分割される。分類器104によって、データストリームをカテゴリーに分割し得る。一態様では、分類器104は、限定するものではないが、ランダムフォレストモデル、ロジスティック回帰またはニューラルネットワークにより例示される、分類アルゴリズムを活用し得る。一態様では、分類器104によって、データストリームを生物学的状態に分割し得る。例示的態様では、生物学的状態は、1.睡眠105、2.休息106、および3.自由生活107を含む。
【0028】
一態様では、特徴のリストが、限定するものではないが、心拍変動(HRV)の判定元となるRR間隔、呼吸数(BR)、一過性頻脈(ACC)の特徴、派生物および関連する脈波形特性(例えば、脈波指標(すなわち、上行大動脈圧波形に由来する全身動脈硬化)、LVSS、LVET、PPGRFおよび脈波伝播速度)を伴う動脈拍動波形、血圧、心肺連関情報、アクティグラフィー、ならびに概日リズム由来のデータを含む、各生物学的状態に対して作成される。一態様では、LVET~=k1/LVSSおよびLVET~=k2/PPGRFであり、式中、k1およびk2は一定である。方程式は、LVETとPPGRFとの間に逆線形関係(inverse linear relationship)があることを示す。例示的態様では、正規化振幅が1の脈拍でPPGRFを計算すると、k2も値1を有するであろう。他の態様では、k2は、測定された単位では脈拍の高さとなるであろう。
【0029】
クラウドベースの生物学的処理のためのさらなる入力も、他のデバイス、例えば、限定するものではないが、医療デバイス108(例えば、血圧デバイスおよびパルスオキシメータ)およびデータベース109(例えば、個々のもしくは一般的な情報、または両方に関連付けられた情報を含み得る、医療データベースおよび遺伝データベース)から取得されてもよい。
【0030】
睡眠、休息および自由生活の状態に関係する特徴のリストが、生理学的データストリームから抽出され、特徴のベクトル(すなわち、対象のn次元的表現)を作成してもよい。この特徴のベクトルおよび特徴間の関係を、いかなる生成モデリング技法110を使用してモデル化してもよい。そのようなモデリング技法の例は、特徴のベクトルへの多変量正規分布のフィッティングである。非常に類似の生理に起因し、個人に固有でさらに個人間で非常に異なる、バイタルサインの観察可能なパターンは、モデルから判定してもよい。各特徴のユーザに特有な典型値を、特徴間のユーザに特有な相互作用と共に説明するように、分布をモデル化してもよい。そのようなモデルは、所与の個人に対する固有のユーザプロファイル111を形成する。上述した多変量正規分布のフィッティングなど単純化されたモデルを、カーネル法などのより複雑な手法と共に使用して、非線形関係を捕捉してもよい。特徴に関する非線形変換の研究もまた、非線形関係を捕捉するのに使用されてもよい。続いて、固有のユーザプロファイル111が観察可能なパターンから構築されてもよい。
【0031】
構築されたユーザプロファイルを使用して、a)ウェアラブルデバイスから取得されたデータが、個人間でやり取りされているか否かに関係なく、デバイスの所定の所有者と関連付けられているかを検証し、b)ユーザの生理学的状態に変化が起こっているかを示し、限定するものではないが、妊娠、成長または病態生理学的変化などの発生を指し示す手がかりを判定してもよい。続いて、いずれのそのような手がかりを生かして、特定の診断に先だって、さらなる情報の収集を動機付けてもよい。
【0032】
固有のユーザプロファイルを生成する方法
請求する発明のある特定の実施形態では、例えば、限定するものではないが、ウェアラブルデバイス101に包含されるPPG、ACC、EDAおよび温度センサによって取得される生理学的データストリームは、クラウドベースのプラットフォーム103へ無線で伝達される(102)。データベース109、および医療デバイス108などの他のデバイス108から取得される、さらなる生理学的データストリームもまた、同じプラットフォーム103へ伝達されてもよい。獲得された生理学的データストリームは、プラットフォーム103上で、限定するものではないが、ランダムフォレストモデルアルゴリズム、ロジスティック回帰アルゴリズム、ニューラルネットワークアルゴリズムなどを含む、様々な分類アルゴリズムを使用し得る分類器104を通過し、データストリームを三つの生物学的状態、すなわち、1.睡眠105、2.休息106、3.自由生活107に分類する。以下に記載する通り、さらに、固有のユーザプロファイル111を作成する、生物学に基づく処理およびモデリング110が続き得る。
【0033】
1.睡眠
生物学に基づく処理(ウェアラブルデバイス101上、またはクラウドベースのプラットフォーム103上のいずれか)によって、限定するものではないが、心拍(HR)、RR間隔、心拍変動(HRV)、呼吸数(BR)および一過性頻脈(ACC)により例示されるメトリクスがもたらされる。クラウドベースのプラットフォーム上で、限定するものではないが、HR特徴、HRV特徴、ACC特徴、心肺連関(CPC:cardio-pulmonary coupling)および睡眠段階特徴を含む、いくつかの特徴は、双方向長短期記憶(LSTM)ニューラルネットワークなどの機械学習モデルの訓練により、HR、RR間隔およびACCなどの測定値から作成される、個人の睡眠段階へのマッピングによって導き出される。特徴の典型的な差異および特徴間の相互作用は、多変量正規分布のフィッティングによって定量化されてもよい。その結果得られる分布によって、特徴間の相互作用と共に、特徴の各々の典型値が説明される。そのようなモデルによって、所与の個人に対する固有のプロファイルが形成される。上述した多変量正規分布のフィッティングは、非線形関係の捕捉のためのカーネル法などのより複雑な手法、および/または特徴に関する非線形変換の研究を組み込むことで改良され得る。
【0034】
図2は、個別の生体ユーザプロファイル111が、睡眠中の心拍により例示される、睡眠段階の生理学的データストリームからどのように生成され、生理学的に異常な状態の識別および/または検出にどのように適用できるのかの例を実証する。潜在的な生理によって、毎晩個人に対して生成されるパターンは非常に類似するが、個人間で大きく異なる。この図は、個別の生体プロファイルが、心拍により例示される生理学的データストリームからどのように生成されるか、および生理学的に異常な状態の検出だけでなく識別にも適用することを実証する。
【0035】
2夜にわたって収集した、異なる二人の被験者の睡眠中の心拍分布の変動を示す。被験者1(201)と被験者2(202)との間に観察される通り、潜在的な生理によって、毎晩個人に対して生成されるパターンは非常に類似する(201a対201bおよび202a対202b)が、個人間で大きく異なる(201aおよびb対202aおよびb)。二人の個人被験者201、202の心拍は、二晩の睡眠中、それぞれ毎秒測定された(201a、201b、202a、202b)。その後、値の範囲は値域ごとにまとめられ(x軸)、ある心拍から成る観測値の数に対してプロットされる(y軸)。同様に、特徴間の相互作用と共に、睡眠中の心拍以外のさらなる特徴が、ユーザに特有のプロファイルに寄与するようにモデル化されてもよい。
【0036】
2.休息:
心拍のたびに、脈波は身体の血管系を伝播する。この脈拍の性質は、血圧、脈波伝播速度、動脈硬化および年齢などの因子によって異なる。これらの因子は、個人間で著しく異なるが、一個人ではほぼ一定のままである。発明のある特定の実施形態では、これら固有の脈波が、ウェアラブルデバイス101に包含される、光電式容積脈波(PPG)センサを使用して検出される。一態様では、ウェアラブルデバイス101にはインターネット接続機能がある。オンデバイス信号処理によって、限定するものではないが、第1および第2派生物、脈波指標、LVSS、LVET、PPGRF、元の波の振幅、反射波の振幅、ならびに血管拡張により例示される、特徴抽出元となる、典型的な測定脈波形をもたらす。抽出された特徴は、血圧、脈波伝播速度、動脈硬化および年齢などの因子と強く相関する。これによって、脈波形を個人間の理想的な区別因子にする。さらに、脈波形の差異を心拍の差異と比較すると、異なる心拍が著しいが予測可能な効果を脈波形に発揮するという意味で、強い関係が観察され、異なるHRの脈波への影響は、必要に応じモデル化され補正され得る。
【0037】
上述したすべての特徴から、多変量正規分布、またはカーネル法などのより複雑な非線形方法および非線形変換の研究を、固有でユーザに特有のプロファイルを作り出すように適合させてもよい。
【0038】
3.自由生活
概日リズムは、おおよそ24時間サイクルを忠実に守る、行動、身体および精神的変化である。a)概日周期、b)概日性最小値および最大値、ならびにc)概日性振幅など、いくつかの概日リズムのある特性を活用することによって、概日リズムプロファイルと名付けられた固有のユーザプロファイルを、個人に対して生成し得る。これらの概日リズムの特性の各々は、生理学的過程間だけでなく、個人間でも明確に異なるため、複数の概日リズムデータ点を使用して、より大きな集団から複数の個人、すなわち個人群を特定するのに使用される、ユーザプロファイルを生成してもよい。ユーザプロファイルはまた、潜在的な生理学的状態変化を検出するのに使用されてもよい。例えば、変化は疾患状態を判定する助けと成り得る。睡眠および休息段階で生成されるユーザプロファイルを組み合わせて使用して、ユーザは、臨床疾患のリスクステータスおよび/または潜在的な疾患状態の有無の検証を取得してもよい。例は、内在する(気が付き診断するのが難しい)心臓の電気生理学的障害を持つユーザとする。RR間隔および心拍変動などの測定したメトリクスが、正常なプロファイルと比較すると、異常な心臓のQRS群の指標を提示する場合がある。
【0039】
ある特定の実施形態では、ウェアラブルデバイス101および/または医療デバイス108で、概日リズム関係の生理学的データを一日24時間、特定のサンプリングレートで収集する。概日リズム関係の生理学的データは、限定するものではないが、心拍、皮膚温度、深部体温および心拍変動を含み得る。記録されるデータは、処理のために直接デバイス101に記憶され、および/または生物学に基づく処理のために、クラウドベースのプラットフォーム103へアップロードされてもよい。クラウドベースのプラットフォーム103上で、限定するものではないが、概日周期、概日性最小値および最大値、概日性振幅、HR、HRV特徴、ACC特徴、ならびに血管拡張特徴を含むいくつかの特徴が、限定するものではないが、双方向LSTMニューラルネットワークモデルなどの機械学習モデルの訓練により、HR、RR間隔およびACCなどの測定値から作成される、個人の自由生活段階へのマッピングによって導き出される。概日リズム関係のデータに由来する特徴は、X軸上に表される時刻、およびY軸上に表される1サイクルにわたる相対的変化により、24時間にわたり検討されてもよい。生成される生理学的交点は、個人に固有の概日プロファイルを共に構成する。
【0040】
特徴の典型的な差異および特徴間の相互作用(すなわち、二つ以上の特徴セットの一つのプロット上での定量化、異なる二つの特徴セットがどのように相互作用するか)が、多変量正規分布のフィッティングによって定量化されてもよい。そのような分布によって、所与の個人に固有のプロファイルを形成して、特徴間の相互作用と共に、特徴の各々の典型値が説明される。上述したすべての特徴から、多変量正規分布、すなわちより複雑な非線形方法を、固有でユーザに特有のプロファイルを作り出すように調整し得る。そのようなモデルの例には、限定するものではないが、多変量正規分布のフィッティングなどの単純化されたモデル、ならびに非線形関係の捕捉のためのカーネル法などのより複雑な手法、および/または特徴に関する非線形変換の研究を含む。
【0041】
ユーザの継続性および生理学的状態変化を評価する方法
a)ユーザの継続性を評価(すなわち、同じユーザが継続してデバイスを着用および/または操作しているかを評価する、個人間比較)し、b)生理学的状態変化をモニター(すなわち、ユーザに異常な生理学的変化が起こっているかを判定する、個人内比較)するために、受信する生理学的データストリームは、生成されるユーザプロファイルのリアルタイム訓練を通して、睡眠、休息および自由生活状態中に取得されるデータから生成されるユーザプロファイル(前のセクションに記載した通り)と継続的に比較されてもよい。ある特定の実施形態では、受信する生理学的データストリームは、限定するものではないが、双方向ニューラルネットワークなどの機械学習モデルのリアルタイム訓練を通して、睡眠、休息および自由生活状態と関連付けられるデータストリームから特徴のリストを作成することによって、生成されるユーザプロファイルにマッピングされる。生理学的データストリームは、限定するものではないが、HRVの判定元となるRR間隔、BR、ACC特徴、派生物および関連する脈波形特性(例えば、脈波指標、LVSS、エントロピー計算などのHR派生物、LVET、PPGRFおよび脈波伝播速度)を伴う動脈拍動波形、血圧、心肺連関情報、アクティグラフィー、ならびに概日リズム由来のデータを含み得る。睡眠、休息および自由生活状態と関連付けられる特徴のベクトルは、生理学的データストリームから抽出される。特徴のベクトルおよび特徴間の関係は、例えば、限定するものではないが、特徴のベクトルへの多変量正規分布のフィッティングなどの単純化されたモデリングといった、いずれかの生成モデリング技法を、非線形関係を捕捉するカーネル法などのより複雑な手法と共に使用してモデル化される。特徴に関する非線形変換の研究は、非線形関係を捕捉するのに使用され得る。上述の技法を使用することによって、ユーザに特有の各特徴の典型値を、ユーザに特有の特徴間の相互作用と共に説明するように、分布をモデル化してもよい。受信する生理学的データストリームからの特徴は、例えば、限定するものではないが、ユーザに特有の適合性および/または異常な生理学的状態を判定するように、ベイジアンモデリング技法を使用して分布と比較される。
【0042】
健康対策用のプロファイル
一態様では、部門内の差は、特定されたユーザの履歴データに基づく、以前に生成された(またはベースライン)生体プロファイル/指紋に対する、そのとき収集された生体プロファイル/指紋の偏差を図示する。そのような偏差は、ユーザが慢性疾患状態であると示すことができる、プロファイルの傾向(すなわち、変化)特定する助けとなるように使用し得る。例えば、ユーザのHRV高周波:低周波比率は、その人の生体指紋の一部を形成することができ、年齢と共に減少するであろう。インフルエンザ感染により、交感神経系の緊張が高まる人は、この値がより一層早く減少する可能性があり、ユーザの生理が個人ごとの変動の通常範囲を逸脱しようとしている警告として使用し得る。
【0043】
セキュリティ対策用のプロファイル
一旦個人の生体プロファイルが作成されると、生体プロファイルは、セキュリティのためにユーザを識別(個人間の比較)するのに使用され得る。一態様では、様々な電子デバイスが、権限を与えられた個人のみが利用可能となるように構成される。ある生体プロファイルは電子デバイスに付与され得る。生体プロファイルが合致すると、電子デバイスは、その中の1台に依存して起動、停止および/またはアクセスが可能になる。一態様では、電子デバイス自体が、記憶された生体プロファイルと比較するために、生体プロファイルを生成し得る。他の態様では、電子デバイスは、ユーザを確認するように構成される、別のデバイスと通信し得る。電子デバイスは、限定するものではないが、ウェアラブルデバイス、医療デバイス、コンピュータデバイス、ゲームデバイス、スマートデバイスおよび埋め込み型デバイスを含み得る。
【0044】
本発明の開示を理解または完成する必要のある程度において、本明細書で言及したすべての出版物、特許および特許出願は、参照することにより、各々が個別に援用されるのと同じ程度まで、本明細書で明示的に援用される。
【0045】
本発明の例示的実施形態について上に記載してきたものの、当業者は、開示内は例示のみであり、その様々な他の代替、改造および変形が、本発明の範囲内においてなされてもよいことは理解するであろう。したがって、本発明は本明細書で説明する特定の実施形態に限定されない。
図1
図2
【外国語明細書】