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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028630
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20240226BHJP
【FI】
E02F9/26 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009577
(22)【出願日】2024-01-25
(62)【分割の表示】P 2020157038の分割
【原出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】段口 将志
(72)【発明者】
【氏名】緒方 永博
(57)【要約】
【課題】オペレータが操縦姿勢を解除して目視による作業箇所の確認作業を行う場合でも、警報による煩わしさを感じることなく、上記確認作業を満足して行えるようにする。
【解決手段】作業車両は、作業車両の周囲を監視する監視装置と、監視装置の監視結果に基づいて、警報を出力する警報装置と、オペレータが作業車両の操縦席に着座して作業車両を操縦する操縦姿勢にあるか否かを検知する姿勢検知部と、姿勢検知部の検知結果に基づいて、警報装置を制御する制御部と、操作部と、を備える。操作部の操作による有効状態、無効状態にかかわらず、制御部は、オペレータが操縦姿勢にあることが姿勢検知部によって検知されたときに、監視装置の監視結果に基づく警報の出力を警報装置に実行させる一方、オペレータの操縦姿勢が解除されたことが姿勢検知部によって検知されたときに、監視装置の監視結果に基づく、警報装置による警報の出力の実行を停止させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業を行う作業車両であって、
前記作業車両の周囲を監視する監視装置と、
前記監視装置の監視結果に基づいて、警報を出力する警報装置と、
オペレータが前記作業車両の操縦席に着座して前記作業車両を操縦する操縦姿勢にあるか否かを検知する姿勢検知部と、
前記姿勢検知部の検知結果に基づいて、前記警報装置を制御する制御部と、
前記作業車両を動作させるための油圧アクチュエータ駆動するための操作部と、を備え、
前記操作部の操作による前記油圧アクチュエータを駆動する有効状態、前記油圧アクチュエータの駆動を無効にする無効状態にかかわらず、
前記制御部は、前記オペレータが前記操縦姿勢にあることが前記姿勢検知部によって検知されたときに、前記監視装置の監視結果に基づく前記警報の出力を前記警報装置に実行させる一方、前記オペレータの前記操縦姿勢が解除されたことが前記姿勢検知部によって検知されたときに、前記監視装置の監視結果に基づく、前記警報装置による前記警報の出力の実行を停止させる、作業車両。
【請求項2】
前記制御部は、前記監視装置が前記作業車両の周囲に障害物を検知したときに、前記オペレータが前記操縦姿勢にあることが前記姿勢検知部によって検知された場合には、前記警報装置によって前記警報の出力を実行させる一方、前記監視装置が前記作業車両の周囲に障害物を検知したときに、前記オペレータの前記操縦姿勢の解除が前記姿勢検知部によって検知された場合には、前記警報装置による前記警報の出力の実行を停止させる、請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記有効状態と前記無効状態を切り替えるためのカットオフレバーを備え、
前記制御部は、前記カットオフレバーによって前記操作部の操作が前記無効状態であるときに、前記監視装置の監視結果に基づく、前記警報装置による前記警報の出力の実行を停止させる、請求項1または2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記制御部は、前記監視装置が前記作業車両の周囲に障害物を検知したときに、前記オペレータが前記操縦姿勢にあることが前記姿勢検知部によって検知された場合には、前記警報装置によって前記警報の出力を実行させる一方、前記監視装置が前記作業車両の周囲に障害物を検知したときに、前記オペレータの前記操縦姿勢の解除が前記姿勢検知部によって検知され、かつ、前記カットオフレバーによって前記操作部の操作が前記無効状態である場合には、前記警報装置による前記警報の出力の実行を停止させる、請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
前記制御部は、前記カットオフレバーによって前記操作部の操作が前記無効状態であるときに、前記油圧アクチュエータを停止させる、請求項3または4に記載の作業車両。
【請求項6】
前記カットオフレバーの回動位置を検知するカットオフスイッチをさらに備え、
前記制御部は、前記カットオフスイッチによって検知される前記カットオフレバーの前記回動位置に基づいて、前記操作部の操作が前記有効状態であるか前記無効状態であるかを判断する、請求項3から5のいずれかに記載の作業車両。
【請求項7】
前記警報装置が前記監視装置の監視結果に基づく前記警報の出力の実行を停止したときに、前記警報の出力の実行を停止したことを報知する停止報知部をさらに備える、請求項1から6のいずれかに記載の作業車両。
【請求項8】
前記操縦席が配置され、前記オペレータが乗車する操縦部をさらに備え、
前記停止報知部は、前記操縦部に設けられる、請求項7に記載の作業車両。
【請求項9】
前記姿勢検知部は、前記操縦席のシートにおける前記オペレータの着座を検知する着座検知スイッチを含む、請求項1から8のいずれかに記載の作業車両。
【請求項10】
前記姿勢検知部は、前記操縦席に設けられたシートベルトの装着を検知するベルト装着検知スイッチを含む、請求項1から9のいずれかに記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、油圧ショベルなどの作業車両が種々提案されている。例えば、特許文献1の作業車両では、カットオフレバーの切替位置によって、作業機による作業を行うことが可能であるか否かの状態を検出し、作業可能状態と作業不可状態とで、障害物検出の際の報知の方法を変更している。具体的には、作業可能状態では、障害物検出の際に連続した報知音を鳴らし、作業不可状態では、障害物検出の際に断続的な報知音を鳴らすようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-63568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、障害物を検出したときに一律に警報出力を行う構成では、オペレータの行動に支障が生じる場合がある。例えば、作業車両のエンジンをかけたまま、オペレータが着座を解除するなどして、作業車両を操縦する姿勢を解除し、作業箇所を目視で確認しようとする場合において、障害物検出に基づいて警報を出力すると、オペレータは警報による煩わしさを感じ、目視による確認作業を満足して行うことができなくなる。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、オペレータが操縦姿勢を解除して目視による作業箇所の確認作業を行う場合でも、警報による煩わしさを感じることなく、上記確認作業を満足して行うことができる作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る作業車両は、作業を行う作業車両であって、前記作業車両の周囲を監視する監視装置と、前記監視装置の監視結果に基づいて、警報を出力する警報装置と、オペレータが前記作業車両の操縦席に着座して前記作業車両を操縦する操縦姿勢にあるか否かを検知する姿勢検知部と、前記姿勢検知部の検知結果に基づいて、前記警報装置を制御する制御部と、前記作業車両を動作させるための油圧アクチュエータ駆動するための操作部と、を備え、前記操作部の操作による前記油圧アクチュエータを駆動する有効状態、前記油圧アクチュエータの駆動を無効にする無効状態にかかわらず、前記制御部は、前記オペレータが前記操縦姿勢にあることが前記姿勢検知部によって検知されたときに、前記監視装置の監視結果に基づく前記警報の出力を前記警報装置に実行させる一方、前記オペレータの前記操縦姿勢が解除されたことが前記姿勢検知部によって検知されたときに、前記監視装置の監視結果に基づく、前記警報装置による前記警報の出力の実行を停止させる。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、オペレータが操縦姿勢を解除して目視による作業箇所の確認作業を行う場合でも、警報による煩わしさを感じることがなくなる。その結果、目視による確認作業を満足して(快適に)行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の一形態に係る作業車両の一例である油圧ショベルの概略の構成を示す側面図である。
図2】上記油圧ショベルの主要部の構成を示す説明図である。
図3】上記油圧ショベルにおける動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図4】上記油圧ショベルにおける動作の流れの他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0010】
〔1.作業車両〕
図1は、本実施形態の作業車両の一例である油圧ショベル1の概略の構成を示す側面図である。油圧ショベル1は、作業を行う作業車両であり、下部走行体2と、作業機3と、上部旋回体4と、を備える。
【0011】
ここで、図1において、方向を以下のように定義する。まず、下部走行体2が直進する方向を前後方向とし、そのうちの一方側を「前」とし、他方側を「後」とする。図1では、例として、ブレード23に対して走行モータ22側を「前」として示す。また、前後方向に垂直な横方向を左右方向とする。このとき、操縦席41aに座ったオペレータ(操作者)から見て左側を「左」とし、右側を「右」とする。さらに、前後方向および左右方向に垂直な重力方向を上下方向とし、重力方向の上流側を「上」とし、下流側を「下」とする。
【0012】
下部走行体2は、左右一対のクローラ21と、左右一対の走行モータ22と、を備える。各走行モータ22は、油圧モータである。左右の走行モータ22が、左右のクローラ21をそれぞれ駆動することにより、油圧ショベル1を前後進させることができる。下部走行体2には、整地作業を行うためのブレード23と、ブレードシリンダ23aとが設けられる。ブレードシリンダ23aは、ブレード23を上下方向に回動させる油圧シリンダである。
【0013】
作業機3は、ブーム31、アーム32、およびバケット33を備える。ブーム31、アーム32、およびバケット33を独立して駆動することにより、土砂等の掘削作業を行うことができる。すなわち、油圧ショベル1は、作業を行う作業機3を備える。
【0014】
ブーム31は、ブームシリンダ31aによって回動される。ブームシリンダ31aは、基端部が上部旋回体4の前部に支持され、伸縮自在に可動する。アーム32は、アームシリンダ32aによって回動される。アームシリンダ32aは、基端部がブーム31の先端部に支持され、伸縮自在に可動する。バケット33は、バケットシリンダ33aによって回動される。バケットシリンダ33aは、基端部がアーム32の先端部に支持され、伸縮自在に可動する。ブームシリンダ31a、アームシリンダ32a、およびバケットシリンダ33aは、油圧シリンダCY(図2参照)によって構成される。
【0015】
上部旋回体4は、下部走行体2に対して旋回ベアリング(不図示)を介して旋回可能に構成される。上部旋回体4には、操縦部41、旋回台42、旋回モータ43、機関室44等が配置される。上部旋回体4は、油圧モータである旋回モータ43の駆動により、旋回ベアリングを介して旋回する。上部旋回体4の後部には、各部に動力を提供するエンジン40のほか、複数の油圧ポンプP0(図2参照)が配置されている。
【0016】
各油圧ポンプP0は、油圧モータ(例えば左右の走行モータ22、旋回モータ43)、および油圧シリンダCY(例えばブレードシリンダ23a、ブームシリンダ31a、アームシリンダ32a、バケットシリンダ33a)に作業油(圧油)を供給する。任意の油圧ポンプP0から作動油が供給されて駆動される油圧モータおよび油圧シリンダを、まとめて油圧アクチュエータAC(図2参照)と呼ぶ。
【0017】
オペレータが乗車する操縦部41には、操縦席41aが配置される。すなわち、油圧ショベル1は、操縦席41aが配置され、オペレータが乗車する操縦部41を備える。操縦席41aの周囲(特に前方、左右)には、操作部41bが配置される。
【0018】
操作部41bは、油圧アクチュエータACを駆動するための操作レバー、スイッチ、ボタン等で構成される。オペレータが操縦席41aに着座して操作部41bを操作することにより、油圧アクチュエータACが駆動される。これにより、下部走行体2の走行、ブレード23による整地作業、作業機3による掘削作業、上部旋回体4の旋回、等を行うことができる。すなわち、油圧ショベル1は、作業車両(油圧ショベル1)を動作させるための油圧アクチュエータACと、油圧アクチュエータACを駆動するための操作部41bと、を備える。
【0019】
また、操縦席41aの近傍には、上下に回動可能なカットオフレバー41cが設けられる。オペレータがカットオフレバー41cを押し下げると、後述するカットオフスイッチ90(図2参照)がONとなり、操作部41bを操作して所定の油圧アクチュエータACを駆動することが可能な状態(有効状態)となる。一方、オペレータがカットオフレバー41cを引き上げると、カットオフスイッチ90がOFFとなり、オペレータが操作部41bを操作しても油圧アクチュエータACの駆動が不可能な状態(無効状態)となる。オペレータは、操縦部41から降りようとするとき、カットオフレバー41cを引き上げて油圧アクチュエータACを駆動不能にしてから、操縦席41aから退座する。このように、油圧ショベル1は、操作部41bの操作を、油圧アクチュエータACを駆動する有効状態と、油圧アクチュエータACの駆動を無効にする無効状態とで切り替えるためのカットオフレバー41cを備える。
【0020】
〔2.油圧ショベルの主要部の構成〕
図2は、油圧ショベル1の主要部の構成を模式的に示している。油圧ショベル1は、監視装置50と、警報装置60と、姿勢検知部70と、制御部80と、カットオフスイッチ90と、停止報知部100と、をさらに備えている。
【0021】
(2-1.監視装置)
監視装置50は、油圧ショベル1の周囲の障害物の有無を検出することによって周囲を監視する障害物センサを有する。障害物には、人、物、動物などの監視対象物が含まれる。本実施形態では、障害物センサは、油圧ショベル1の右方、左方、後方をそれぞれ撮影する右カメラ、左カメラ、後方カメラで構成されている。このように、油圧ショベル1は、油圧ショベル1の周囲を監視する監視装置50を備える。
【0022】
監視装置50において、所要の範囲内で障害物を検出できる限り、障害物センサの個数や設置箇所、設置方法は特に限定されない。障害物センサとしては、上記のカメラのほかに、障害物の距離情報を取得可能な公知の測距装置を適用することができる。例えば、超音波を用いた超音波レーダ、ミリ波帯の電波を用いたミリ波レーダ、レーザー照射に対する散乱光を測定して距離を求めるライダー(LIDER)、複数台のカメラ機能を一体に備え、撮影画像から対象物までの距離を測定するステレオカメラなどを、障害物センサとして用いることができる。また、撮影画像に対して画像処理を行って監視領域への侵入物の検知を行う構成であってもよい。
【0023】
(2-2.警報装置)
警報装置60は、表示部61と、回転灯62と、発報部63と、を有する。表示部61は、例えば液晶表示装置で構成され、監視装置50が障害物を検知したときに、障害物を検知したことを示す情報を表示する。表示部61は、操縦席41aにおいて、オペレータが視認できる位置に設置される(図1参照)。
【0024】
回転灯62は、監視装置50が障害物を検知したときに回転するランプで構成される。発報部63は、監視装置50が障害物を検知したときに音を出力するブザーで構成される。なお、発報部63は、監視装置50が障害物を検知したときに音声(電子音)を出力する音声出力部で構成されてもよい。回転灯62のランプの回転、および発報部63によるブザー音または音声の出力による発報により、監視装置50が障害物を検知したことをオペレータに認識させることができる。
【0025】
なお、監視装置50が障害物を検知していない場合には、警報装置60は警報を出力しない。つまり、表示部61には警報が表示されず、回転灯62は回転せず、発報部63はブザー音または音声を出力しない。このことから、油圧ショベル1は、監視装置50の監視結果に基づいて、警報を出力する警報装置60を備えると言える。
【0026】
(2-3.姿勢検知部)
姿勢検知部70は、着座検知スイッチ71と、ベルト装着検知スイッチ72と、を有する。着座検知スイッチ71は、操縦席41aのシート41a1(図1参照)におけるオペレータの着座と、着座の解除とを検知するセンサである。つまり、姿勢検知部70は、操縦席41aのシート41a1におけるオペレータの着座を検知する着座検知スイッチ71を含む。
【0027】
着座検知スイッチ71は、オペレータが操縦席41aのシート41a1に着座したときにOFFとなり、オペレータがシート41a1に着座していないときに(着座が解除されたときに)ONとなる検知信号を出力する。これにより、制御部80は、着座検知スイッチ71からの検知信号に基づいて、オペレータの着座状態(着座/非着座)を判断することができる。
【0028】
ベルト装着検知スイッチ72は、操縦席41aに設けられたシートベルトのタングプレートがバックルに差し込まれたか否かを検知することにより、オペレータがシートベルトを装着したか否かを検知するセンサである。つまり、姿勢検知部70は、操縦席41aに設けられたシートベルトの装着を検知するベルト装着検知スイッチ72を含む。なお、姿勢検知部70は、着座検知スイッチ71と、ベルト装着検知スイッチ72とのうち、どちらか一方のみを有する構成であってもよい。
【0029】
ベルト装着検知スイッチ72は、オペレータがシートベルトを装着したときにOFFとなり、オペレータがシートベルトの装着を解除したときにONとなる検知信号を出力する。これにより、制御部80は、ベルト装着検知スイッチ72からの検知信号に基づいて、オペレータによるシートベルトの装着状態(装着/非装着)を判断することができる。
【0030】
オペレータは、操作部41bを操作するとき、通常、操縦席41aのシート41a1に着座した状態で操作を行う。また、オペレータは、操作部41bを操作するとき、シート41a1に着座した状態でシートベルトを装着してから操作を行う。したがって、オペレータがシート41a1に着座しているか否かを検知する、または、オペレータがシートベルトを装着しているか否かを検知することにより、オペレータが油圧ショベル1を操縦する姿勢(以下、「操縦姿勢」とも称する)にあるか否かを検知することができる。このことから、油圧ショベル1は、オペレータが油圧ショベル1の操縦席41aに着座して油圧ショベル1を操縦する操縦姿勢にあるか否かを検知する姿勢検知部70を備えると言える。
【0031】
(2-4.制御部)
制御部80は、油圧ショベル1の各部の動作を制御する。本実施形態では、特に、制御部80は、姿勢検知部70におけるオペレータの操縦姿勢の検知結果に基づいて、警報装置60における警報の出力を制御する。つまり、油圧ショベル1は、姿勢検知部70の検知結果に基づいて警報装置60を制御する制御部80を備える。このような制御部80は、ECU(Electronic Control Unit)と呼ばれる電子制御ユニットで構成される。
【0032】
なお、制御部80には、記憶部が含まれていてもよい。記憶部は、制御部80を動作させるためのプログラムや各種の情報を記憶する。このような記憶部としては、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリ等を用いることができる。
【0033】
制御部80は、オペレータが操縦姿勢にあることが姿勢検知部70によって検知されたときに、監視装置50の監視結果に基づく警報の出力を警報装置60に実行させる一方、オペレータの操縦姿勢が解除されたことが姿勢検知部70によって検知されたときに、監視装置50の監視結果に基づく、警報装置60による警報の出力の実行を停止させる。なお、制御部80の制御による動作の詳細については後述する。
【0034】
(2-5.カットオフスイッチ)
カットオフスイッチ90は、上述したカットオフレバー41cの回動位置を検知するセンサである。すなわち、油圧ショベル1は、カットオフレバー41cの回動位置を検知するカットオフスイッチ90を備える。カットオフスイッチ90は、カットオフレバー41cが押し下げられている(下方に回動されている)とONとなり、カットオフレバー41cが引き上げられている(上方に回動されている)とOFFとなる。
【0035】
制御部80は、カットオフスイッチ90によって検知されるカットオフレバー41cの回動位置に基づいて、操作部41bの操作が有効状態であるか無効状態であるかを判断する。カットオフレバー41cが押し下げられているとき、上述のように操作部41bは有効状態となり、油圧アクチュエータACの駆動が可能となる。この場合、オペレータが操縦席41aに着座していることが考えられる。一方、カットオフレバー41cが引き上げられているとき、操作部41bは無効状態となり、油圧アクチュエータACの駆動が不可能となる。この場合、オペレータが操縦席41aから降車している、または降車しようとしていることが考えられる。
【0036】
したがって、制御部80は、カットオフレバー41cの回動位置に基づいて、操作部41bの操作が有効状態であるか無効状態であるかを判断することにより、オペレータが操縦部41に乗車しているか否か(操縦部41から降車しているか否か)を判断することができる。
【0037】
(2-6.停止報知部)
停止報知部100は、制御部80の制御により、警報装置60が監視装置50の監視結果に基づいて、警報の出力の実行を停止したときに、そのことを報知する。つまり、油圧ショベル1は、警報装置60が監視装置50の監視結果に基づく警報の出力の実行を停止したときに、警報の出力の実行を停止したことを報知する停止報知部100を備える。
【0038】
停止報知部100は、操縦部41に設けられる。例えば、停止報知部100は、操縦部41において、操縦席41aに着座したオペレータが視認できる位置(例えば着座したオペレータから見て右斜め前方)に設けられる。このような停止報知部100は、表示部101と、ランプ102と、を有する。
【0039】
表示部101は、各種の情報を表示する液晶表示装置で構成される。表示部101は、警報の出力の実行停止を示す情報を表示することにより、上記実行停止の報知を行う。本実施形態では、上述した警報装置60の表示部61が、停止報知部100の表示部101を兼ねているが、互いに別体で構成されてもよい。ランプ102は、例えば発光ダイオード(LED)で構成される。ランプ102は、例えば点灯または点滅することにより、警報の出力の実行停止を報知する。
【0040】
〔3.油圧回路について〕
次に、油圧ショベル1の油圧回路について、図1および図2に基づいて説明する。油圧ショベル1は、複数の油圧アクチュエータACと、複数の油圧アクチュエータACに圧油を圧送する油圧ポンプP0と、パイロットポンプPPと、を備える。なお、図2では、便宜的に、1つの油圧アクチュエータACに対応する油圧回路を示しているが、他の油圧アクチュエータACについても同様の油圧回路が構成されている。
【0041】
複数の油圧アクチュエータACは、下部走行体2を駆動させる走行用油圧アクチュエータである左右の走行モータ22、ブレード23を上下回動させる油圧アクチュエータであるブレードシリンダ23a、上部旋回体3を駆動させる旋回用油圧アクチュエータである旋回モータ43、作業機3を駆動させる作業用油圧アクチュエータであるブームシリンダ31a、アームシリンダ32a、バケットシリンダ33aを含む。ブレードシリンダ23a、ブームシリンダ31a、アームシリンダ32a、バケットシリンダ33aをまとめて、油圧シリンダCYと呼ぶ。
【0042】
なお、油圧ショベル1は、上部旋回体4に対して作業機3(ブーム31)を左右にスイングさせる、所謂ブームスイング機能を有して構成されてもよい。油圧ショベル1がブームスイング機能を有する場合、油圧シリンダCYには、ブーム31をスイングさせる油圧アクチュエータであるスイングシリンダも含まれる。一般に、ブームスイング機能は、狭隘な場所での施工に供されるミニショベル(小型油圧ショベル)に装備される。
【0043】
複数の油圧ポンプP0は、可変容量型ポンプと、固定容量型ポンプと、を含み、エンジン40によって駆動される。可変容量型ポンプは、左右の走行モータ22、ブームシリンダ31a、アームシリンダ32aおよびバケットシリンダ33aに圧油を圧送する。固定容量型ポンプは、ブレードシリンダ23a、旋回モータ43およびスイングシリンダ(図示せず)に圧油を圧送する。
【0044】
複数のアクチュエータACには、それぞれ対応する方向切換弁CVが設けられている。この方向切換弁CVは、油圧ポンプP0(可変容量型ポンプまたは固定容量型ポンプ)から圧送された圧油の方向および流量を切り換え可能なパイロット式の方向切換弁であり、コントロールバルブとも呼ばれる。本実施形態の方向切換弁CVには、左右の走行モータ22に対応する方向切換弁、ブームシリンダ31aに対応する方向切換弁、アームシリンダ32aに対応する方向切換弁、バケットシリンダ33aに対応する方向切換弁、ブレードシリンダ23aに対応する方向切換弁、旋回モータ43に対応する方向切換弁、およびスイングシリンダに対応する方向切換弁が含まれる。
【0045】
パイロットポンプPPは、方向切換弁CVに対する入力指令となるパイロット油を吐出する。エンジン40によって駆動されるパイロットポンプPPは、圧油を吐出することにより、パイロット油路内にパイロット圧を発生させる。油圧ショベル1では、パイロットポンプPPから方向切換弁CVの各々に至るパイロット油路が設けられる。
【0046】
操作部41bは、方向切換弁CVに供給される圧油の向きおよび圧力を切り換えるためのリモコン弁RVを有する。リモコン弁RVには、パイロットポンプPPから吐出された圧油が供給される。リモコン弁RVは、操作部41bの操作方向および操作量に応じてパイロット圧を生成する。操作部41bは、例えば油圧ショベル1を走行させるための走行レバーおよび作業機3等を操縦するための操縦レバーなどを含む。
【0047】
パイロットポンプPPと各リモコン弁RVとの間の油路には、電磁弁SVが設けられている。電磁弁SVは、制御部80からの制御指令に応じて、パイロットポンプPPによって発生するパイロット圧を調整する。パイロット圧を調整することにより、例えば、複数の油圧アクチュエータACの駆動を一斉に停止することができるとともに、複数の油圧アクチュエータACの駆動速度を一律に制御することができる。
【0048】
〔4.動作について〕
次に、上記構成の油圧ショベル1の動作について説明する。図3は、制御部80の制御による油圧ショベル1の動作の流れの一例を示すフローチャートである。オペレータが油圧ショベル1の操縦部41に乗り込み、操縦席41aのシート41a1に着座して操作部41bを操作して(例えばイグニションキーを回転させ)、エンジン40をかけると、着座検知スイッチ71がオペレータの着座を検知する。また、オペレータが着座した状態でシートベルトを装着すると、ベルト装着検知スイッチ72がオペレータによるシートベルトの装着を検知する。つまり、オペレータが油圧ショベル1を操縦する姿勢にあることが、姿勢検知部70によって検知される(S1)。
【0049】
続いて、オペレータによってカットオフレバー41cが押し下げられると、カットオフスイッチ90がONとなる。つまり、カットオフスイッチ90により、操作部41bが操作可能な有効状態であることが検知される(S2)。操作部41bが有効状態であることにより、オペレータは操作部41bを操作して所定の油圧アクチュエータACを駆動させ、油圧ショベル1に走行、旋回、掘削作業等を実行させることが可能となる。
【0050】
油圧ショベル1による作業中に、油圧ショベル1の周囲に障害物があることを監視装置50が検知した場合において(S3でYes)、姿勢検知部70がオペレータの操縦姿勢の解除を検知していなければ(S4でNo)、制御部80は警報装置60を制御して、監視装置50が障害物を検知した旨の警報を出力する(S5)。例えば、警報装置60の表示部61に、『障害物を検知しました。注意してください。』の文字情報を表示することにより、警報が出力される。このとき、回転灯62を点灯させながら回転させることにより、警報出力を行ってもよい。また、発報部63からブザー音を出力する、または障害物を検知した旨を音声で出力することにより、警報出力を行ってもよい。なお、表示部61、回転灯62、発報部63による3通りの警報出力は、3つ同時に行われてよいし、いずれか1つ、あるいは2つ併せて行われてもよい。
【0051】
S5での警報出力は、監視装置50が障害物を検知している限り行われる(S6でYes)。障害物が監視装置50の監視領域から退出するなどにより、監視装置50が障害物を検知しなくなった場合には(S6でNo)、制御部80は警報装置60を制御して、警報出力を停止させる(S7)。
【0052】
その後、油圧ショベル1による作業が終了すると(S8)、一連の処理を終了する。なお、作業が終了したかどうかは、例えば、操作部41bによりエンジン40を停止させる操作(イグニションキーをOFF位置に回転させる操作)を行ったときに、図示しないセンサから出力される検知信号に基づいて、制御部80が判断することができる。S8にて、作業が終了していないと制御部80が判断した場合には、S1以降の処理を繰り返す。
【0053】
一方、S3で監視装置50が障害物を検知した場合において、姿勢検知部70がオペレータの操縦姿勢の解除を検知すると(S4でYes)、制御部80は警報装置60を制御して、監視装置50が障害物を検知した旨の警報の出力を停止させる(S9)。例えば、オペレータが作業箇所を目視で確認すべく、シートベルトを外して立ち上がった場合、ベルト装着検知スイッチ72がシートベルトの非装着を検知し、着座検知スイッチ71がオペレータの着座の解除を検知する。この場合、姿勢検知部70がオペレータの操縦姿勢の解除を検知したとして、制御部80は警報装置60による警報の出力を停止させる。
【0054】
その後、制御部80は、停止報知部100を制御して、警報装置60が警報の出力の実行を停止したことを示す情報を表示部101に表示させる(S10)。例えば、表示部101に、『障害物検知に基づく警報出力を停止しました。』の文字情報を表示させる。このとき、同時に、または表示部101での表示の代わりに、ランプ102を点灯させて、障害物検知に基づく警報出力を停止したことを報知してもよい。その後は、S8に移行し、上記と同様の処理が行われる。
【0055】
〔5.効果〕
以上のように、制御部80は、オペレータが操縦姿勢にあることが姿勢検知部70によって検知されたときに(S4でNo)、監視装置50の監視結果に基づく警報の出力を警報装置60に実行させる(S5)。これにより、例えば作業中の油圧ショベル1にオペレータ以外の人が近づいた場合には、その人(侵入者)に対して注意を促して危険を察知させる、またはオペレータに油圧ショベル1の操縦停止、つまり、油圧ショベル1による作業停止を促すことができる。
【0056】
一方、制御部80は、オペレータの操縦姿勢が解除されたことが姿勢検知部70によって検知されたとき(S4でYes)、監視装置50の監視結果に基づく、警報装置60による警報の出力の実行を停止させる(S9)。この場合、オペレータが操縦姿勢を解除して目視による確認作業を行う際に、監視装置50が周囲の異常(例えば障害物あり)を検知したとしても、警報装置60から警報が出力されないため、オペレータが警報による煩わしさを感じることが全くない。その結果、オペレータは、目視による確認作業を満足して(快適に)行うことができる。
【0057】
なお、オペレータは、操縦姿勢を解除して作業箇所を目視で確認するとき、操作部41bの操作を一時的に中断する。このため、監視装置50の監視領域に障害物がある場合でも、油圧ショベル1がその障害物に接触する動作を行うことはない。また、例えばオペレータが操縦席41aから降車したとき、警報装置60から警報が出力されなくても、オペレータは目視で障害物を認識することができるため、その障害物に対して適切に対処することができる。例えば、オペレータが侵入者を目視で確認した場合には、その侵入者に対してその場から離れるよう呼び掛けて注意することができる。
【0058】
特に、本実施形態では、制御部80は、監視装置50が油圧ショベル1の周囲に障害物を検知したときに(S3でYes)、オペレータが操縦姿勢にあることが姿勢検知部70によって検知された場合には(S4でNo)、警報装置60によって警報の出力を実行させる(S5)。一方、制御部80は、監視装置50が油圧ショベル1の周囲に障害物を検知したときに(S3でYes)、オペレータの操縦姿勢の解除が姿勢検知部70によって検知された場合には(S4でYes)、警報装置60による警報の出力の実行を停止させる(S9)。
【0059】
このような制御部80の制御により、油圧ショベル1による作業中に障害物を検知した場合には、警報装置60による警報出力によって作業の安全を確保することができる。一方、オペレータが操縦姿勢を解除して作業箇所を目視で確認する場合には、障害物を検知しても警報が出力されないため、オペレータは警報による煩わしさを感じることなく、目視による確認作業を集中して行うことができる。
【0060】
また、停止報知部100は、警報装置60が監視装置50の監視結果に基づく警報の出力の実行を停止したときに、警報の出力の実行を停止したことを報知する(S10)。この場合、オペレータは、操縦姿勢の解除という自分の行為に起因して、警報装置60による警報出力の実行が停止されたことを、停止報知部100の報知によって認識することができる。
【0061】
また、停止報知部100は、操縦席41aが配置された操縦部41に設けられる(図1参照)。これにより、オペレータは、操縦部41から降車して作業箇所を確認し、再度操縦部41に乗り込んだときに、自分の行為に起因して警報出力の実行が停止されたことを、操縦部41に設けられた停止報知部100の報知によって認識することができる。したがって、その後の運転(油圧ショベル1の操縦)において、オペレータに注意を促して、安全な作業を実行させることが可能となる。
【0062】
特に、停止報知部100は表示部101を含むため、オペレータは、表示部101に表示される情報に基づいて、警報出力の実行が停止されたことを容易に認識することができる。
【0063】
また、姿勢検知部70は着座検知スイッチ71を含む。オペレータのシート41a1への着座を着座検知スイッチ71によって検知することにより、油圧ショベル1の操縦席41aにおいて、オペレータが操縦姿勢にあるか否かを確実に検知することができる。
【0064】
また、姿勢検知部70はベルト装着検知スイッチ72を含む。オペレータによるシートベルトの装着をベルト装着検知スイッチ72によって検知することにより、油圧ショベル1の操縦席41aにおいて、オペレータが操縦姿勢にあるか否かを確実に検知することができる。
【0065】
〔6.他の動作について〕
図4は、制御部80の制御による油圧ショベル1の動作の流れの他の例を示すフローチャートである。S1~S8までの処理は、図3と同様である。以下、図3と異なる部分について説明する。
【0066】
S3で監視装置50が障害物を検知し、姿勢検知部70がオペレータの操縦姿勢の解除を検知し(S4でYes)、さらに、オペレータによるカットオフレバー41cの回動(引き上げ動作)によって操作部41bの操作が無効状態であることがカットオフスイッチ90によって検知されると(S4-1)、制御部80は警報装置60を制御して、監視装置50が障害物を検知した旨の警報の出力を停止させる(S9)。
【0067】
その後、制御部80は、停止報知部100を制御して、警報装置60が警報の出力の実行を停止したことを示す情報を表示部101に表示させる(S10)。続いて、制御部80は、油圧アクチュエータACを停止させる(S11)。例えば、制御部80は、電磁弁SVに流れる電流を遮断する制御を行うことにより、方向切換弁CVに対して、リモコン弁RVから送られるパイロット圧を遮断することができる。これにより、油圧アクチュエータACをロックする(停止させる)ことができる。その後は、S8に移行する。
【0068】
以上のように、制御部80は、カットオフレバー41cによって操作部41bの操作が無効状態であるときに、監視装置50の監視結果に基づく、警報装置60による警報の出力の実行を停止させる(S4-1、S9)。
【0069】
オペレータが操縦席41aから降車するとき、通常、オペレータはカットオフレバー41cを操作して操作部41bの操作を無効状態にした後、降車する。カットオフレバー41cによって操作部41bの操作が無効状態であるときに、監視装置50の監視結果に基づく、警報装置60による警報出力の実行を停止させることにより、オペレータが操縦席41aから降車しても、警報出力が実行されないため、オペレータは警報による煩わしさを感じることなく目視による確認作業を行うことができる。つまり、オペレータは、操縦席41aから降車して目視による確認作業を満足して行うことができる。
【0070】
特に、制御部80は、監視装置50が油圧ショベル1の周囲に障害物を検知したときに(S3でYes)、オペレータが操縦姿勢にあることが姿勢検知部70によって検知された場合には(S4でNo)、警報装置60によって警報の出力を実行させる(S5)。一方、制御部80は、監視装置50が油圧ショベル1の周囲に障害物を検知したときに(S3でYes)、オペレータの操縦姿勢の解除が姿勢検知部70によって検知され、かつ、カットオフレバー41cによって操作部41bの操作が無効状態である場合には(S4-1でYes)、警報装置60による警報の出力の実行を停止させる(S9)。
【0071】
このような制御部80の制御により、油圧ショベル1による作業中に障害物を検知した場合には、警報装置60による警報出力によって作業の安全を確保することができる。一方、オペレータが操縦姿勢を解除し、かつ、カットオフレバー41cによって操作部41bの操作を無効状態にした場合には、障害物を検知しても警報が出力されないため、オペレータは、操縦席41aから降車して目視による確認作業を集中して行うことができる。
【0072】
また、制御部80は、カットオフレバー41cによって操作部41bの操作が無効状態であるときに、油圧アクチュエータACを停止させる(S11)。操作部41bの操作が無効状態であるときに油圧アクチュエータACを停止させることにより、油圧ショベル1の動作(例えば走行、旋回、掘削作業など)が停止する。これにより、オペレータは操縦席41aから降車して、安全に作業(例えば目視による確認作業)を行うことができる。
【0073】
〔7.その他〕
本実施形態では、姿勢検知部70として、着座検知スイッチ71およびベルト装着検知スイッチ72を用いているが、赤外線センサを用いてもよい。赤外線センサによってシート41a1上のオペレータの存在(着座)を検知することにより、オペレータが操縦姿勢にあるか否かを検知することができる。また、姿勢検知部70として、静電容量を検出するセンサを用いてもよい。例えば、静電容量を検出するセンサを、操作部41bを構成する操作レバーの把持部に装着し、操作レバーの把持部にオペレータが触れたか否かを上記センサで検知することにより、オペレータが操縦姿勢にあるか否かを検知してもよい。
【0074】
停止報知部100による警報出力の停止の報知は、回転灯の回転または音の出力による報知であってもよい。また、姿勢検知部70による操縦姿勢の検知またはカットオフレバー41cの回動位置(操作部41bの有効状態/無効状態)とは関係なく、報知装置60による警報出力の実行を停止してもよく、その場合に、上記実行を停止したことの報知を停止報知部100で行ってもよい。その場合、オペレータは、警報出力が停止されたことを停止報知部100によって認識し、油圧ショベル1による作業にあたって、自ら周囲の環境に注意を払うことができる。
【0075】
本実施形態では、作業車両として、建設機械である油圧ショベル1を例に挙げて説明したが、作業車両は油圧ショベルに限定されず、ホイルローダなどの他の建設機械であってもよく、コンバイン等の農業機械であってもよい。つまり、オペレータの操縦姿勢が解除されたことが姿勢検知部70によって検知されたときに、監視装置50の監視結果に基づく警報の出力の実行を停止させる制御は、油圧ショベル1以外の建設機器や農業機械にも適用することができる。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で拡張または変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、例えば建設機械、農業機械などの作業車両に利用可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 油圧ショベル(作業車両)
41 操縦部
41a 操縦席
41a1 シート
41b 操作部
41c カットオフレバー
50 監視装置
60 警報装置
70 姿勢検知部
71 着座検知スイッチ
72 ベルト装着検知スイッチ
80 制御部
90 カットオフスイッチ
100 停止報知部
AC 油圧アクチュエータ
図1
図2
図3
図4