(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028635
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】生分解を制御した管状インプラント
(51)【国際特許分類】
A61L 31/06 20060101AFI20240226BHJP
A61L 31/14 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
A61L31/06
A61L31/14 500
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024009780
(22)【出願日】2024-01-25
(62)【分割の表示】P 2020534322の分割
【原出願日】2018-12-21
(31)【優先権主張番号】62/610,055
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505208363
【氏名又は名称】ポリ-メド インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】51 Technology Drive, Anderson,South Carolina 29625 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー・カートリッジ
(72)【発明者】
【氏名】ケネス・ダブリュ・クリンクスカレス
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス・エルビントン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムス・ハイド
(72)【発明者】
【氏名】ブラッド・ジョンズ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・スコット・テイラー
(57)【要約】
【課題】既存の製品と比較して、分解する際に宿主に害を及ぼさない医療用インプラントが本技術分野で必要とされている。
【解決手段】インプラント式医療装置は、インビボ安定性が高いゾーンと、それに隣接するインビボ安定性が比較的低いゾーンを有する。これにより、これらの医療装置が宿主に埋め込まれると、インビボ安定性の低いゾーンが最初に分解し、比較的無傷のインビボ安定性の高いバンドである、無害な状態で宿主から通過できる程度に小さい独立セグメントが形成可能になる。
【選択図】
図7B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体的に管状の構造を含む生体吸収性のインプラント式医療装置であって、
前記全体的に管状の構造は、側壁と、前記側壁が囲む内腔であって、前記構造の遠位端から近位端まで前記内腔の長さに沿って長手方向軸が延びる内腔とを含み、
前記管状の構造はさらに、複数のバンドであって、それぞれが前記長手方向軸を取り囲み、遠位側及び近位側を有する複数のバンドを含み、
前記複数のバンドは、比較的低いインビボ安定性のバンドによって分離された比較的高いインビボ安定性のバンドを含む、
医療装置。
【請求項2】
前記構造は、少なくとも3つの比較的高いインビボ安定性のバンドと、少なくとも4つの比較的低いインビボ安定性のバンドを有する、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
少なくとも2つの比較的高いインビボ安定性のバンドがそれぞれ1~6cmの長さを有し、かつ、1cm未満の長さを有する1つの比較的低いインビボ安定性のバンドによって分離される、請求項1に記載の医療装置。
【請求項4】
前記管状の構造が、比較的高いインビボ安定性と比較的低いインビボ安定性の交互のバンドを含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項5】
前記管状の構造が、1つの比較的低いインビボ安定性のバンドによって分離される、少なくとも2つの比較的高いインビボ安定性のバンドを含み、前記比較的低いインビボ安定性のバンドが、インビボで、前記少なくとも1つの比較的高いインビボ安定性のバンドと比較して、少なくとも2倍の速度で分解する、請求項1に記載の医療装置。
【請求項6】
前記管状の構造が、1つの比較的低いインビボ安定性のバンドによって分離される、少なくとも2つの比較的高いインビボ安定性のバンドを含み、前記少なくとも2つの比較的高いインビボ安定性のバンドは実質的に同一のインビボ安定性を有する、請求項1に記載の医療装置。
【請求項7】
前記管状の構造が、1つの比較的高いインビボ安定性のバンドの両側に比較的低いインビボ安定性のバンドを含み、当該2つの比較的低いインビボ安定性のバンドが異なるインビボ安定性を有する、請求項1に記載の医療装置。
【請求項8】
前記管状の構造が、第1の比較的高いインビボ安定性のバンドの遠位側に位置する第1の比較的低いインビボ安定性のバンドと、前記第1の比較的高いインビボ安定性のバンドの近位側に位置する第2の比較的低いインビボ安定性のバンドとを含み、前記第1の比較的低いインビボ安定性のバンドが、前記第2の比較的インビボ安定性のバンドより、高いインビボ安定性を有する、請求項1に記載の医療装置。
【請求項9】
前記管状の構造が、実質的に同一の比較的高いインビボ安定性を有する複数のバンドを含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項10】
前記管状の構造が、当該構造の遠位端から近位端まで延在する、比較的高いインビボ安定性のバンドによって分離された、複数の比較的低いインビボ安定性のバンドを含み、前記複数の比較的低いインビボ安定性バンドのインビボ安定性が、当該構造の遠位端から近位端に向かって増加する、請求項1に記載の医療装置。
【請求項11】
前記管状の構造がメッシュ管を含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項12】
前記管状の構造が10~30cmの長さを有する、請求項1に記載の医療装置。
【請求項13】
前記側壁が、前記内腔を取り囲むモノフィラメントコイルと、前記モノフィラメントコイルを覆うメッシュと、前記コイル及び前記メッシュ上に堆積されたコーティングとを含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項14】
さらに、前記装置の近位端に腎臓保持構造、及び前記装置の遠位端に膀胱保持構造を含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項15】
さらに、前記装置の近位端にカール形態の腎臓保持構造、及び前記装置の遠位端にカール形態の膀胱保持構造を含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項16】
尿管ステントである、請求項1に記載の医療装置。
【請求項17】
前記装置の外面上にコーティングを含み、前記コーティングが平均厚さを有する、請求項1に記載の医療装置。
【請求項18】
前記装置の外面上にコーティングを含み、前記コーティングは前記装置全体にわたって不均一な厚さを有する、請求項1に記載の医療装置。
【請求項19】
前記装置の外面上にコーティングを含み、前記装置の近位端が前記装置の遠位端より多くのコーティングを含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項20】
前記装置は、前記装置の近位端に腎臓保持構造、及び前記装置の遠位端に膀胱保持構造を有する尿管ステントであり、前記装置の外面上にコーティングを含み、前記装置の近位端が前記装置の遠位端より多くのコーティングを含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項21】
インビボ分解中に前記医療装置から分離するHIVSバンドの動きを制限する封じ込め層を含まない、請求項1~20のいずれかに記載の医療装置。
【請求項22】
医療装置を作製する方法であって、
全体的に管状の構造の側壁内において前記全体的に管状の構造の中央を通る内腔を有する、全体的に管状の構造を含む生体吸収性医療装置を提供すること、生体吸収性医療装置、及び
全体的に管状の構造のバンドをエクスビボ分解環境に曝露し、曝露されたバンドから低いインビボ安定性(LIVS)のバンドを生成するとともに、前記全体的に管状の構造の曝露されたバンドに隣接するバンドを同様の分解環境に曝露しないことにより、前記LIVSバンドに隣接する、高いインビボ安定性(HIVS)のバンドを生成すること、
を含む方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法を含む方法により作成される医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、35USC第119条(e)に基づく、2017年12月22日に出願された米国仮特許出願第62/610,055号の利益を主張し、当該出願は、あらゆる目的でその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、生分解性医療用インプラントならびにその製造及び使用に関する。
【背景技術】
【0003】
一部の医療用インプラントは、限られた期間のみ宿主に存在する必要がある。その期間が経過した後、インプラントが物理的に取り外される場合はあるが、追加の医療介入が必要になることがしばしばある。代わりに、インプラントはその場所に永久に残されてもよい。この選択肢は、インプラントの長期的な存在が有害ではない場合に適している。別の代替案として、インプラントは、生体吸収性材料から形成されてもよい。生体吸収性材料は、宿主内で分解及び/又は吸収され、その成分及び代謝産物は最終的に排泄される。生体吸収性インプラントは、ますます医療提供者に望まれているが、これらのインプラントは、宿主が分解生成物を許容できないなど、望ましくない結果を引き起こすことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存の製品と比較して、分解する際に宿主に害を及ぼさない医療用インプラントが本技術分野で必要とされている。本発明は、その必要性を満たすことに関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、一つの側面として、宿主内で分解する医療用インプラントに関し、その分解は、インプラントに組み込まれる物理的又は化学的特徴により、特に望ましい方法で発生するように管理される。本開示のインプラント式医療装置は、インビボ(in・vivo)安定性が比較的高いゾーンと、それに隣接するインビボ安定性が比較的低いゾーンを有する。これにより、これらの医療装置が宿主に埋め込まれると、インビボ安定性の低いゾーンが最初に分解し、比較的無傷のインビボ安定性の高いバンドである、無害な状態で宿主から通過できる程度に小さい独立セグメントが形成可能になる。インビボ安定性の低いバンドは、同じく医療装置に存在するインビボ安定性の高いバンドと比較して、インビボ安定性が低いと考えられている。したがって、「低い」と「高い」は、互いに相対的であると解釈されることを意味し、低いインビボ安定性のゾーンは、高いインビボ安定性のバンドよりも低いインビボ安定性を有する。インビボ安定性の低いバンド又はゾーンは、インビボ安定性の高いバンド又はゾーンよりも速く分解する。
【0006】
例えば、一実施形態では、医療用インプラントは、全体的に管状の構造の内腔の中央に沿う長手方向軸と、当該構造の内腔を画定する側壁を有する、全体的に管状の中空構造を含む。この管状の構造は複数のバンドで構成され、バンドは、リング又はゾーン又は環状ストリップとも呼ばれ、それぞれが長手方向軸を取り囲む。この複数のバンドは、比較的低いインビボ安定性(relatively low in vivo stability、LIVS)のバンドによって互いに分離されている比較的高いインビボ安定性(relatively high in vivo stability、HIVS)のバンドを含む。低いインビボ安定性のバンドは、高いインビボ安定性のバンドと比較して、インプラントが宿主に埋め込まれると、より速く分解する。2つのLIVSバンドをHIVSバンドの両側に配置できるため、インプラントを宿主に設置すると、2つのLIVSバンドが最初に分解し、間のHIVSバンドが残る。
【0007】
本開示による全体的に管状の構造は、-(LIVS-HIVS)n-LIVS-として特定され得る。あるいは、全体的に管状の構造は、-(HIVS-LVS)n-HVS-として特定され得る。どちらの場合でも、nはLIVS-HIVS繰り返し単位の数を指し、少なくとも1から約100までの整数である。任意に、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10から選択される。任意に、nは2、3、4、5、6、7、8、9、又は10から選択される。任意に、nは3、4、5、6、7、8、9、又は10から選択される。任意に、nは4、5、6、7、8、9、又は10から選択される。医療用インプラントは、全体的に管状の中空構造の他に、意図された目的のためにそれを有用にする他の特徴を含んでもよく、通常は含む。
【0008】
したがって、本開示による全体的に管状の構造は、3つの例として、以下に特定される部分を含み得る:HIVS1-LIVS1-HIVS2-LIVS2-HIVS3、又はHIVS1-LIVS1-HIVS2-LIVS2-HIVS3-LIVS3-HIVS4、又はHIVS1-LIVS1-HIVS2-LIVS2-HIVS3-LIVS3-HIVS4-LIVS4-HIVS5。これらの特定では、LIVS1、LIVS2、LIVS3、及びLIVS4はそれぞれインビボ安定性の低いバンドであり、HIVS1、HIVS2、HIVS3、HIVS4、及びHIVS5はそれぞれインビボ安定性の高いバンドである。このような構造のインプラントを宿主に設置すると、LIVS1、LIVS2、LIVS3、及びLIVS4のバンドは比較的速くに分解し、HIVS2とHIVS3のバンドは医療用インプラントから解放され、後で分解するか、除去されることになる。
【0009】
したがって、本開示による全体的に管状の構造は、3つの例として、以下に特定される部分を含み得る:LIVS1-HIVS1-LIVS2-HIVS2-LIVS3、又はLIVS1-HIVS1-LIVS2-HIVS2-LIVS3-HIVS3-LIVS4、又はLIVS1-HIVS1-LIVS2-HIVS2-LIVS3-HIVS3-LIVS4-HIVS4-LIVS5。これらの例では、LIVS1、LIVS2、LIVS3、LIVS4、及びLIVS5はそれぞれインビボ安定性の低いバンドであり、HIVS1、HIVS2、HIVS3、HIVS4はそれぞれインビボ安定性の高いバンドである。このような構造のインプラントを宿主に設置すると、LIVSのバンドは比較的速くに分解し、その間にあるHIVSのバンドは医療装置から分離され、後で完全に分解するか、インプラント位置から除去されることが可能になる。
【0010】
さらに、本開示による全体的に管状の構造は、3つの例として、以下に特定される部分を含み得る:LIVS1-HIVS1-LIVS2-HIVS2、又はLIVS1-HIVS1-LIVS2-HIVS2-LIVS3-HIVS3、又はLIVS1-HIVS1-LIVS2-HIVS2-LIVS3-HIVS3-LIVS4-HIVS4。これらの例では、LIVS1、LIVS2、LIVS3、及びLIVS4はそれぞれインビボ安定性の低いバンドであり、HIVS1、HIVS2、HIVS3、HIVS4はそれぞれインビボ安定性の高いバンドである。このような構造のインプラントを宿主に設置すると、LIVSのバンドは比較的速くに分解し、その間にあるHIVSのバンドは医療装置から分離され、後で完全に分解するか、インプラント位置から除去されることが可能になる。
【0011】
交互のHIVS及びLIVSバンドを有する本開示による管状の構造が宿主に設置される場合、インプラントの分解は、部分的に、LIVSバンドによって区切られるHIVSバンドの長さを指定することによって事前に決定される(長さは、構造の長手方向軸に沿う距離として定義される。バンドの幅とも呼ぶ場合もある。)。インプラントの分解生成物が、例えば5cm以下であることが望ましい場合、構造は、5cm以下の長さの複数のHIVSバンドを組み込むことができ、各HIVSバンドの横には、長さ1cm未満のLIVSバンドを組み込むことができる。例えば、LIVSバンドは長さがわずか1cm又は0.5cmであり得、HIVSバンドはそれぞれ長さが4cmであり得る。
【0012】
別の例では、一実施形態では、医療用インプラントは、全体的に管状の構造の内腔の中央に沿う長手方向軸と、当該構造の内腔を画定する側壁を有する、全体的に管状の中空構造を含む。この管状の構造は、近位端及び遠位端を有するものとしてさらに説明され得る。この例では、一端(近位端又は遠位端のいずれか)は、他端よりもインビボでより速く分解する。この構造により、一方の端が分解するとともに、他方の端が効果的に所定の位置に固定されることが可能になる。このような構造には、前述のLIVS及びHIVSバンドを組み込むことができる。例えば、インプラントの構造が近位端-HIVS1-LIVS1-HIVS2-LIVS2-HIVS3-LIVS3-HIVS4-遠位端を含む場合、最初にLIVS3が分解し、次にLIVS2が分解すると、HIVS3がインプラントから分離し、次にLIVS1が分解すると、HIVS2がインプラントから分離する。この構造により、インプラントの近位端は遠位端よりも長く埋め込まれたままであり、さらに、HIVSバンドの長さを制御することができる。このような構造は、例えば、インプラントが尿道ステントであり、インプラントの近位端が腎臓に挿入されている場合に有用であり得る。
【0013】
別の実施形態では、全体的に管状の構造の内腔の中央に沿う長手方向軸と、当該構造の内腔を画定する側壁を有する、全体的に管状の中空構造を含む、医療のインプラントの近位端は、当該インプラントの遠位端には存在しないコーティング(追加コーティングという。)を有する。コーティング、又は追加コーティングは、生分解に対して耐性があり、したがって、インプラントのインビボ分解を妨げる。例えば、インプラントは尿道ステントであってもよく、宿主の腎臓に挿入される端であるステントの近位端は、インプラントの遠位端には存在しないコーティング又は追加コーティングを有する。このようにして、近位端は、ステントの遠位端よりもインビボでゆっくりと分解する。これは、組成ベクトルを有する本開示による装置の例であり、これは、インプラントの組成がインプラントの寸法に沿って変化することを意味し、例えば、遠位端より多くのコーティングがインプラントの近位端に存在し得る。コーティング、又は追加のーティングは、医療用インプラントに存在するHIVS及びLIVSバンドの存在に追加され得、これによりHIVS及びLIVSバンドは、インプラントの一端で他端と比較して優先的な分解を達成するように選択できる(構成ベクトルを達成するための別のアプローチ)。
【0014】
一実施形態では、HIVS及びLIVSバンドは、装置に機能上の利点を提供せず、例えば、バンドは、装置をより強くしたり機能させたりせず、インプラントの分解プロファイルに影響を与えるためだけに存在する。
【0015】
一実施形態では、全体的に管状の構造が形成され、その後、構造は、構造を部分的に変更して、1つ以上のHIVS及び/又はLIVSバンドを生成するように処理される。例えば、特定のインビボ安定性を本来的に有する構造は、本明細書に開示される方法、例えば、塩基又は紫外線処理によって処理され、これにより、構造の処理された部分(例えば、バンド)は、分解速度を変更するための処理がされなかった構造の部分/バンドのインビボ安定性と比較して、より低いインビボ安定性部分、すなわち、構造が宿主に設置又は埋め込まれたときに(例えば、ステントがヒトに埋め込まれたときに)、安定性が低い(分解が速い)部分に変換される。例えば、全体的に管状の構造の特定のバンドは、インビボ安定性が低い(LIVS)バンドを作り出すために分解環境に曝露され得る。LIVSバンドを生成するための例示的な処理条件は、塩基性条件、すなわち高pHの水性条件への曝露、及び放射線、例えば紫外線への曝露である。全体的に管状の構造の特定のバンドのみがこれらの分解環境に曝露されるため、曝露されたバンドはLIVSバンドであり、曝露されていないバンドはHIVSバンドである。例えば、
図6Aのコイル(10)を見ると、バンドA、C及びEは分解環境に曝露され、A、C及びEの位置にLIVSバンドが生成される一方、バンドB、D及びFは分解環境に曝露されていないため、B、D及びEの位置にHIVSバンドを生成する。
【0016】
処理条件は、上で説明したように、LIVSバンドを生成することができ、又はHIVSバンドを生成することができる。例えば、例示の目的で再度
図6Aのコイル(10)を参照すると、選択された領域に保護コーティングを塗布して、コイル(10)の分解の速度を緩和することができる。したがって、保護コーティングをバンドA、C及びEに適用して、位置A、C及びEでHIVSバンドを生成し、位置B、D及びFでLIVSバンドを提供することができる。
【0017】
任意に、インプラントは、インプラントの一部を囲む封じ込め層を含むことができ、その封じ込め層は、封じ込め層が存在しない場合とは異なる方式でインプラントが分解するように構成される。また、任意に、インプラントは、組成の不均一性を含むことができ、不均一性の部位は、隣接するインプラントの均質な部位よりも分解しやすいか、又は分解しにくい。例えば、インプラントは、ポリマー中に分散した粒子を含むことができ、ポリマーは均質であり、粒子は、ポリマーよりも分解を受けやすい不均一性を提供するか、又はポリマーの分解の開始部位として作用する。任意に、医療装置及び/又は全体的に管状の構造は、全体的に管状の構造のインビボ分解中に形成される断片の移動を制限する封じ込め層を含まない。
【0018】
別の実施形態では、本開示は、医療装置を作製する方法を提供する。この方法は、生体吸収性医療装置を提供することを含み、生体吸収性医療装置は、全体的に管状の構造の側壁内において当該全体的に管状の構造の中央を通る内腔を有する、全体的に管状の構造を含む。言い換えれば、ステントなどの全体的に管状の中空構造である。生体吸収性医療装置は、必要に応じて、生分解性ポリエステルから作製されてもよい。提供された医療装置の全体的に管状の構造に沿ったバンドは、エクスビボ(ex vivo)分解環境に曝露されることにより、曝露されたバンドから低いインビボ安定性(LIVS)のバンドが生成される。さらに、曝露されたバンドに隣接するバンドは、同じエクスビボ分解環境に曝露されていないため、LIVSバンドに隣接する高いインビボ安定性(HIVS)のバンドになる。本開示はまた、このプロセス及び本明細書に記載される他のプロセスによって調製される医療装置を提供する。
【0019】
前述の態様及び実施形態のそれぞれにおいて、全体的に管状の構造は、ステント、例えば尿管ステントであり得る。ステント、例えば尿管ステントは、中心コイル、メッシュ、及びコーティングを含み得る。中心コイルは、コイルの形状のモノフィラメントであり得る。メッシュは中心コイル上に取り囲む形で配置され得る。コーティングは、コイルとメッシュの間だけでなく、メッシュの表面にも設けられる。
【0020】
これらは、本開示による管理された分解の例であり、それにより、宿主内で分解する医療用インプラントが構築され、インプラントの構築により組み込まれる物理的又は化学的特徴により特に望ましい方式で分解が生じるように管理される。
【0021】
本開示は、いくつかの医療装置を開示し、ここで、開示される医療装置のいずれも、本明細書に開示される手段によって管理された分解を示すように改変され得る。例えば、医療装置はいずれも、スリットを含むか、又は分子量の勾配を有するように選択的に分解されるポリマー成分を有するように改変され得、それにより、本開示に基づいてインプラントに組み込まれる物理的又は化学的特徴によって特に望ましい方式で発生するように管理される装置の分解プロファイルを提供する。
【0022】
この簡単な概要は、詳細な説明において以下でさらに詳細に説明される特定の概念を簡略化した形で紹介するために提供されている。特に明記されていない限り、この簡単な概要は、特許請求の範囲の実質的内容の主要又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求の範囲の実質的内容の範囲を限定することも意図していない。
【0023】
1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明に記載されている。例示的な一実施形態に関連して図示又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。したがって、本明細書で説明される様々な実施形態のいずれかを組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。さらなる実施形態を提供するために、本明細書で特定されるような様々な特許、出願、及び公開の思想を採用する必要がある場合、実施形態の態様を変更することができる。他の特徴、目的及び利点は、説明及び特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示の例示的な特徴、その性質及び様々な利点は、添付の図面及び以下の様々な実施形態の詳細な説明から明らかになる。非限定的かつ非網羅的な実施形態は、添付の図面を参照して説明され、同様のラベル又は参照番号は、別段指示しない限り、様々な図全体を通じて同様の部分を指す。図面における要素のサイズ及び相対位置は、必ずしも縮尺どおりに描かれているわけではない。例えば、さまざまな要素の形状を選択、拡大、配置して、図面の読みやすさを向上させている。描かれた要素の特定の形状は、図面での認識を容易にするために選択されている。添付の図面を参照して、1つ以上の実施形態を以下に説明する。
【0025】
【
図5】全体的に管状の構造を組み込んだ例示的な医療装置を示す。
【
図6A】例示的な全体的に管状の構造のバンドA~Fを示す。
【
図6B】例示的な全体的に管状の構造のバンドA~Fを示し、特にバンドAを強調している。
【
図6C】例示的な全体的に管状の構造のバンドA~Fを示し、特にバンドCを強調している。
【
図7A】医療装置の全体的に管状の部分に特定された位置A、B、C、D及びEを有する本開示による医療装置の概略図である。
【
図7B】医療装置の全体的に管状の部分に特定された位置A、B、C及びDを有する本開示による医療装置の概略図である。
【
図8】全体的に管状の構造の紫外線処理及び塩基処理の関数としての座屈強度を示すグラフである。
【
図9】紫外線処理及び塩基処理の関数としての、全体的に管状の構造に対するたわみ試験の結果を示すグラフである。
【
図10A】塩基処理の程度の関数としての、全体的に管状の構造に対する引張強度試験の結果を示すグラフである。
【
図10B】紫外線処理時間の関数としての、全体的に管状の構造に対する引張強度試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明及び本明細書に含まれる実施例を参照することにより、より容易に理解することができる。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定を意図するものではないことを理解されたい。さらに、本明細書で具体的に定義されない限り、本明細書で使用される用語は、関連技術で既知のその伝統的な意味を与えられるべきであることを理解されたい。本明細書内で使用される見出しは、読者の閲覧に資するためにのみ使用されており、いかなる方法でも本発明又は特許請求の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【0027】
特許請求の範囲も含め、本明細書内において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別段指示しない限り、複数の場合も含む。例えば、「a」ポリマーは、1つ以上のポリマーを含む。別の例として、「a」層は1つ以上の層を指す。
【0028】
分解性医療装置における「分解」とは、医療装置が、装置の対象となる宿主内の場所において宿主内に設置されると、化学的又は構造的な意味で分解又は劣化することを意味する。例えば、半分に割れる、又は多くの破片に崩れるなど、バラバラに割れる装置は、構造的な意味で分解する装置である。インプラントの状態で装置が軟化する場合、その装置も構造的意味で分解する。装置の一部又はすべてが、装置が接触している生体液に溶解する場合、その装置は化学的に分解する。化学的分解には、加水分解、酸化、酵素結合切断などの分解反応の発生も含まれる。吸収性又は生体吸収性の医療装置は、宿主内で分解する装置である。分解可能なインプラント式医療装置とは、製造者及び/又は医療提供者が、宿主内での寿命を望ましく制限することを推奨するインプラント式医療装置を指す。言い換えれば、製造者及び/又は医療提供者が装置を製造及び/又は選択した理由の1つは、装置が宿主内で自然に分解し、宿主内の永久な定着物にならないためである。分解は、完全な質量損失が発生する状況を含むが、部分的な質量損失が発生する状況、又は医療装置の場所、例えばバンドの構造的弱体化が引き起こされる状況も含まれる。例えば、本開示の装置の安定性の低い領域は、当該領域の機械的特性及び/又は物理的特性が損なわれて領域が割れて、隣接する領域が互いに間接的に接触しなくなるほど分解するにすぎない場合がある。
【0029】
「分解プロファイル」とは、インプラントがどのように分解するかの記述を指す。分解プロファイルは、インプラントの分解の時間経過と、時間経過中の分解の幾何学的記述を提供する。例えば、インプラントは、分解プロファイルを有し得、それにより、インプラントは、その長さに沿って、指定された日数の経過にわたって、上から下へと分解する。例えば、複数のHIVS及びLIVSバンドを含む全体的に管状の構造を含む本開示の尿管ステントの場合、ステントは、開通性を維持し、適用部位に少なくとも2週間留まることができ、除去され、又はインプラントからインプラント後7日間まで、尿管内で単一ピースとして再配置されることができる。ステントはインプラント後1~4週間で断片化し始め、断片は排泄されることができる。より好ましくは、断片化は、インプラント後2~3週間で起こり得る。5か月の時点でステントのどの部分も適用部位に残らない。これは、本開示の医療装置の例示的な分解プロファイルである。
【0030】
「宿主」は、哺乳動物、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、及び家畜を指す。宿主は、患者又は対象と呼ばれることもある。宿主は、本開示のインプラント式医療装置を受け入れる。
【0031】
本明細書で使用されるようなインプラント式医療装置は、医療提供者によって宿主の体内に設置又は埋め込まれることが意図される器具又は機器などの装置を指す。インプラントは、例えば筋肉内、皮下又は皮内などの任意の適切な方法で宿主に設置することができ、宿主の開口、体腔又は腔などの任意の適切な場所に設置することができる。医療装置は、(例えば、純粋に美容的なものとは対照的に)医療の目的又は利益を提供し、疾患などの望ましくない病状の診断、予防、治療又は治癒のいずれか1つ以上を通じて、宿主の健康を改善する。医療装置は、治療効果を提供することができる。医療装置は予防的利益を提供することができる。医療装置は、以下の1つ以上を実行する付属装置であり得る:親医療装置が意図された用途に従って機能することを可能にする、又は容易にすることにより、親医療装置の性能をサポートすること;親装置の使用目的を変更せずに、新しい機能又は親装置の新しい使用方法を追加することにより、親装置の性能を増強すること;又は、より安全に又は効果的に装置が意図した使用を実行できるようにすることで、親装置の性能を強化すること。医療装置は、体内での化学作用のみで目的を達成するものではなく、代謝によって目的を達成するものでもない。
【0032】
本開示の医療装置は、装置の構成要素として全体的に管状の構造を含む。全体的に管状の構造は、当該管状の構造の中心を通って延びる中空の内腔を含むものとして説明でき、ここで、中空の内腔は、全体的に管状の構造の側壁によって包囲される。言い換えれば、医療装置はパイプ状の構成要素を含む。本開示の医療装置の側壁は、液体又は気体を運ぶために使用されるパイプの側壁のように、中実であり得る。しかしながら、流体を運搬し、中実の不浸透性側壁を有する従来のパイプとは異なり、本開示の全体的に管状の構造は、必ずしも中実の側壁を有さない。
図1及び2は、中実の不浸透性の側壁を有さない、本開示の例示的な全体的に管状の構造を図示する。
図1では、側壁はコイル(10)の形状であり、そのため、全体的に管状の構造は、内腔(12)を含むばねのように見える。
図2では、側壁は、内腔(12)を取り囲むより複雑なメッシュ状の構造(14)である。
図1及び
図2の全体的に管状の構造の両方において、構造の内腔(12)は、側壁(10)又は(14)を通して見ることによって観察することができ、すなわち、側壁は、中実ではないように開口を有する。
【0033】
側壁は、単一の構成要素より多くを含み得る。例えば、
図3では、
図1に示されたようなコイル(10)は、コイル(10)の一部に巻き付けられたシース又はブランケット(16)を有することが示されている。
図3では、例示の目的で、ブランケット(16)は、コイル(10)の周囲の一部のみに巻き付けられているように示され、そのような構造は、本開示の全体的に管状の構造である。しかしながら、ブランケット(16)は、コイル(10)及び内腔(12)がブランケット(16)によって完全に囲まれるように、全体的に管状の構造の周囲全部に巻き付けることができる。
図3では、ブラケットは中実のように見え、すなわち、孔を有さない。しかし、(16)のようなブラケットは必ずしも中実である必要はなく、ミシン目を有してもよい。実際、ブランケットは、複数の開口を有するメッシュの形であり得る。例示の目的で、
図3では、ブランケット(16)は、コイル状の側壁と組み合わされているものとして示されているが、本開示によれば、ブランケットは、
図2に示される構造(14)のような、支持性を有する全体的に管状の側壁構成と組み合わされてもよい。
【0034】
本開示の全体的に管状の構造の別の例示的な側壁構成要素は、コーティングである。例えば、
図4に示されるように、
図3の全体的に管状の構造は、コイル(10)、内腔(12)及びブランケット(16)を含み、有機ポリマーの溶液でスプレーされるか、又はそれに浸漬されてもよく、その結果、コーティング(18)が、側壁の外面及び/又は内面に堆積される。
図4では、コーティング(18)は、
図3のブランケット(16)の同等の表面に対して、ブランケット(16)の暗い表面として示されており(
図3のブラケット(16)はコーティングされていないため、表面が暗くなっていない)、ブランケット(16)の内面に存在している。すなわち、コーティング(18)は、コイル(10)に接し、内腔(12)に面しているブランケットの表面にある。一般に、側壁コーティングは、ブランケット(16)上及び/又は中にある(特に、ブランケット(16)がメッシュの形態であり、コーティングがブランケット(16)上にコーティング溶液を浸漬又は噴霧することによってコーティングされる場合)。他の例として、
図1のコイル(10)又は
図2のメッシュ(14)は、コーティングを含む側壁を提供するために、構造の表面の一部又は全部にコーティングを有することができる。
【0035】
したがって、本開示の医療装置は、実質的に構造の中央を通って延び、隣接する側壁によって画定される開放内腔を有する全体的に管状の構造を有する。側壁は、
図1及び
図2に示されるように、単一構成要素であってもよく、
図3及び
図4に示されるようなマルチコンポーネントであってもよい。
【0036】
本開示の構造は、本発明が完全に対称的な構造に限定されないことを明確にするために、全体的に管状であるとして説明される。内腔の直径は、例えば、構造の長手方向軸に沿っていくらか変化し得る。別の例として、全体的に管状の構造は、必ずしも厳密に線形である必要はなく、ある程度屈折するか又は湾曲することがある。典型的には、全体的に管状の構造は内腔を有し、その内腔は、側壁上の点間の距離(その距離が内腔の中心点を通過する)によって決定される平均直径を有し、その平均直径は、全体的に管状の構造の近位端から遠位端まで延びる長手方向軸に沿った内腔の長さより短い。
【0037】
全体的に管状の構造を有する1つの周知の医療装置はステントであり、一実施形態では、本開示の医療装置はステントである。したがって、一側面では、医療装置は、宿主内の管、例えば導管又は血管の開通性を維持又は形成するのに有用なステントである。例示的な導管及び血管は、例えば、宿主の胃腸(GI)管に沿って、例えば、食道、横行結腸を含む腸、下行結腸、上行結腸、S状結腸及び小腸に見られる。小腸には十二指腸、空腸、回腸、盲腸、直腸が含まれる。
【0038】
一実施形態では、医療用インプラントは、尿管、すなわち、尿を腎臓から膀胱に運ぶ管に設置されるように設計されている。別の実施形態では、医療用インプラントは、尿道、すなわち尿を膀胱から宿主の外部に輸送する管に設置されるように設計されている。別の実施形態では、医療用インプラントは、血管内に配置されるように設計されており、例えば、医療用インプラントは、冠動脈ステント又は末梢動脈内に設置されることが意図される末梢ステントである。他の例示的な導管及び血管は、心臓、膵臓、前立腺、及び腎臓などの器官に見られる。導管又は血管が宿主内に存在し、本開示に従って医療用インプラントを設置され得る別の場所は、小葉(乳汁産生腺)から乳頭に乳汁を輸送する乳管である。管状の医療用インプラントの他の場所として、耳、涙管、副鼻腔などがある。このような医療用インプラントは、本明細書ではステントと呼ばれる。
【0039】
全体的に管状の構造は、本開示の医療装置の構成要素であり得る。例えば、
図5に示されるように、医療装置20は、囲まれた領域22によって特定される全体的に管状の構造を含み得、全体的に管状の構造であってもなくてもよい近位端領域24及び遠位端領域26も含む。装置20は、宿主の腎臓に挿入され得る装置の近位端にあるカール領域24と、宿主の膀胱に挿入され得る装置の遠位端にあるカール領域26とを含む、尿管ステントの例である。
【0040】
一側面では、医療装置は、少なくとも部分的に、熱可塑性、熱硬化性又はエラストマーポリマーの1種以上から形成される。任意に、全体的に管状の構造は、完全にポリエステルから作製され、ここで、ポリエステルという用語は、1種以上のポリエステルポリマーを含むことを意味する。任意に、全体的に管状の構造は、部分的にポリエステルから作製され、ここで、ポリエステルという用語は、1種以上のポリエステルポリマーを含むことを意味する。
【0041】
一側面では、医療装置は無菌である。任意に、医療装置は、ガンマ線又は電子ビーム線を使用して滅菌される。一側面では、医療装置は、23~45kGyのガンマ線を使用して滅菌される。別の側面では、医療装置は、25~40kGyのガンマ線を使用して滅菌される。さらに別の態様では、医療装置は、滅菌前にヒートシールされたホイルパウチに設置される。
【0042】
一側面では、医療装置は、例えば、耳に座着する補聴器、宿主の口の中に座着する歯科補綴物や、宿主の目に座着するコンタクトレンズとは対照的に、完全に宿主に埋め込まれる、すなわち、完全に宿主の皮膚の下にあることが意図される。一側面では、インプラント式医療装置は、導管又は血管などの体内通路に配置されることが意図される。分解可能であり得るインプラント式医療装置の例には、ステント、シャント、縫合糸、及び外科用メッシュが含まれる。インプラント式医療装置は、次の特許文書にも記載されている:US8,753,387;US8,101,104;US7,594,928;及びUS2014/0288636。
【0043】
簡単に述べると、本発明は、宿主に埋め込まれた後に分解が管理される医療用インプラントを提供する。宿主内での生体吸収の過程の間、本開示の医療装置は分解し、すなわち、インビボでの分解を示す。この分解プロセスを管理するために、例えば、分解のタイミング、分解のタイプ、分解の程度、及び宿主内での分解した医療装置及びその部分の動きを管理するために、医療用インプラントは複数の高いインビボ安定性(HIVS)のバンドと低いインビボ安定性(LIVS)のバンドを含み得る。これらの名称が示すように、HIVSバンドはLIVSバンドと比較して、インビボ(インプラント後)で比較的安定している。
【0044】
図6Aは、コイル(10)の形状の全体的に管状の構造を示す。
図6Aでは、全体的に管状の構造は、A、B、C、D、E及びFとして特定されるバンドに分割される。これらのバンドA~Fのそれぞれは、全体的に管状の構造の一定長さを占める。
図6Aでは、長さは互いに等しいものとして示されているが、一般には、バンドは長さに関して互いに等しい必要はない。バンドAに位置するコイル(10)の部分を明確にするために、
図6Aの図に破線から形成されたボックス(30)を追加して
図6Bの図示を提供する。
図6Bに示されるように、バンドAは、全体的に管状の構造の概ね最初の2つのコイルを取り囲んでいる。
【0045】
バンド構造の別の図示として、
図6Cに示される全体的に管状の構造のバンドCに対応する、コイル(10)の領域上にボックス(32)を重ねている。
図6Cは、全体的に管状の構造の内腔12であり、それを通って、長手方向軸(34)が、全体的に管状の構造の遠位端(36)から近位端(38)に延びる。バンドの側面、例えば
図6Cに示されるバンド(32)は、例えば
図6CのバンドC(32)の遠位側(40)及び近位側(42)などの遠位側及び近位側を有することによって、部分的に特徴付けられてもよい。
図6Cにおいて、特徴(44)は、全体的に管状の構造の側壁を提供するコイル(10)と、側壁内で全体的に管状の構造(44)の遠位端(36)から近位端(38)まで延びる内腔(12)とを含む全体的に管状の構造を指す。
図6Cでは、バンド、例えば、バンドCの長さは、バンドの遠位側(例えば、
図6Cの側(40))と、バンドの近位側(例えば
図6Cの側(42))との間の距離として測定される。
【0046】
一実施形態では、本開示は、全体的に管状の構造を含む生体吸収性のインプラント式医療装置を提供し、当該全体的に管状の構造は、内腔を取り囲む側壁を含み、当該構造の遠位端から近位端までの内腔の長さに沿って長手方向軸が延びる。管状の構造は、複数のバンドであって、それぞれが前記長手方向軸を取り囲み、遠位側及び近位側を有する複数のバンドをさらに含む。複数のバンドは、比較的高いインビボ安定性(HIVS)を有するいくつかのバンドを含み、これらのHIVSバンドは、比較的低いインビボ安定性(LIVS)バンドによって互いに分離される。この構造により、本開示の医療装置は、LIVSバンドがHIVSバンドよりも速く分解するように、インビボ分解を受ける。これは、LIVSバンドが急速に分解し、HIVSバンドを残すため、管状の構造全体が分解する効率的な手段を提供する。HIVSバンドは、医療器具が設置される場所にある導管から、これらのHIVSバンドが通されるときに、宿主に害を及ぼさない最大の長さを有するように選択される。HIVSバンドが長すぎると、宿主の導管に詰まり、HIVSバンドが分解するまで問題が発生する可能性がある。一方、HIVSバンドが十分に短い場合は、完全に分解する前でも容易に導管を通過するため、宿主からの除去が容易になる。HIVSバンドは、管状医療装置の比較的大きな部分が完全に分解する前であっても、それらの部分が宿主から排泄されるのに十分な長さであることが望ましい。このメカニズムでは、生体吸収性インプラントの分解は、インプラントを構成するポリマーの生分解プロファイルの速度に完全には依存しない。代わりに、インプラントは小さな断片に分割され(各断片はHIVSバンドである)、導管を流れる流体など、宿主の自然な生物学的プロセスによって導管から容易に取り除くことができる。一実施形態では、LIVSバンドは、比較的短い長さを有するように選択されるため、装置がインビボに設置されると、それらは全体的に管状の構造に効果的に切れ目を与え、切れ目はHIVSのバンドを解放する。
【0047】
本開示の医療装置は、チューブの近位端-(LIVS-HIVS)n-LIVS-チューブの遠位端、又はチューブの近位端-(HIVS-LVS)n-HVS-チューブの遠位端として特定され得る、全体的に管状の構造を含み得る。どちらの場合でも、nはLIVS-HIVS繰り返し単位の数を指し、少なくとも1から約100までの整数である。任意に、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10から選択される。任意に、nは2、3、4、5、6、7、8、9、又は10から選択される。任意に、nは3、4、5、6、7、8、9、又は10から選択される。任意に、nは4、5、6、7、8、9、又は10から選択される。この実施形態では、管状の構造は、比較的高いインビボ安定性と比較的低いインビボ安定性の交互のバンドを含む。任意に、管状の構造は、X個のLIVSバンド、及びX+1個のHIVSバンドを含み、これにより、LIVSバンドの数に対してHIVSバンドが1つ多い。別の選択肢では、管状の構造は、Y個のHIVSバンド及びY+1個のLIVSバンドを含み、これにより、全体的に管状の構造内のHIVSバンドの数と比較して、LIVSバンドが1つ多い。X又はYはいずれも1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10及びそれらの組み合わせから選択でき、例えば、1、又は2、又は3、又は1、2、3若しくは4;又は2、3若しくは4など。
【0048】
いくつかの実施形態では、医療装置は、少なくとも1つの比較的高いインビボ安定性のバンドを有し、少なくとも2つの比較的低いインビボ安定性のバンドも有する。任意に、HIVSバンドとLIVSバンドが医療装置の長さに沿って交互に配置される。例えば、任意に、装置にはちょうど1つのHIVSバンドと2つのLIVSバンドがあり、HIVSバンド両側にLIVSバンドが1つずつあり、すなわち、LIVS-HIVS-LIVSで表される構成になる。この構造により、2つのLIVSバンドは比較的急速に分解し、HIVSバンド(LIVSバンドと比較してインビボ安定性が比較的高いため、完全には分解していない)を残りの医療用インプラントから解放し、HIVSバンドが自然な生物学的作用によって宿主を通過することを可能にする。
【0049】
いくつかの実施形態では、医療装置は、少なくとも2つの比較的高いインビボ安定性のバンドを有し、少なくとも1つの比較的低いインビボ安定性のバンドも有する。任意に、HIVSバンドとLIVSバンドが医療装置の長さに沿って交互に配置される。例えば、任意に、装置にはちょうど2つのHIVSバンドと1つのLIVSバンドがあり、LIVSバンドの両側にHIVSバンドが1つずつあり、すなわち、HIVS-LIVS-HIVSで表される構成になる。この構造により、1つのLIVSバンドは比較的急速に分解し、2つのHIVSバンド(LIVSバンドと比較してインビボ安定性が比較的高いため、完全には分解していない)を残りの医療用インプラントから解放し、HIVSバンドが自然な生物学的作用によって宿主を通過することを可能にする。
【0050】
いくつかの実施形態では、医療装置は、少なくとも2つの比較的高いインビボ安定性のバンドを有し、少なくとも3つの比較的低いインビボ安定性のバンドも有する。任意に、HIVSバンドとLIVSバンドが医療装置の長さに沿って交互に配置される。例えば、任意に、装置にはちょうど2つのHIVSバンドと3つのLIVSバンドがあり、LIVS-HIVS-LIVS-HIVS-LIVSで表される構成になる。この構造により、LIVSバンドは比較的急速に分解し、HIVSバンドを残りの医療用インプラントから解放し、HIVSバンドが、宿主内で装置が設置される場所から自然な生物学的作用によって通過することを可能にする。
【0051】
いくつかの実施形態では、医療装置は、少なくとも3つの比較的高いインビボ安定性のバンドを有し、少なくとも4つの比較的低いインビボ安定性のバンドも有する。任意に、HIVSバンドとLIVSバンドが医療装置の長さに沿って交互に配置される。例えば、任意に、装置にはちょうど3つのHIVSバンドと4つのLIVSバンドがあり、LIVS-HIVS-LIVS-HIVS-LIVS-HIVS-LIVSで表される構成になる。この構造により、LIVSバンドは比較的急速に分解し、HIVSバンドを残りの医療用インプラントから解放し、HIVSバンドが、宿主内で装置が設置される場所から自然な生物学的作用によって通過することを可能にする。
【0052】
HIVS及びLIVSバンドは、その寸法が管状の構造の長手方向軸に沿って測定される場合、特定の長さを有し得る。この寸法は、代わりにバンドの幅と呼ばれることもあり、この場合、バンドの長さと幅は同じ寸法を指す。一実施形態では、本開示の医療装置のLIVSバンドは、医療装置のHIVSバンドよりも短い長さを有する。例えば、HIVSバンドは、長さが1cmを超え、又は長さが1.1cmを超え、又は長さが1.2cmを超え、又は長さが1.3cmを超え、又は長さが1.4cmを超え、又は長さが1.5cmを超える。一方、LIVSバンドの長さは1cm未満、又は長さが0.9cm未満、又は長さが0.8cm未満、又は長さが0.7cm未満、又は長さが0.6cm未満、又は長さが0.5cm未満である。このように、比較的小さなLIVSバンドは比較的速くに分解する。比較的大きなHIVSバンドは残され、よりゆっくりと分解し、及び/又は宿主の自然なメカニズム(例えば、導管を通る流体の流れにより、フリーのHIVSバンド(すなわち、医療装置に固定されなくなったHIVSバンド)が導管から出る。)に従って、装置が設置された導管から排出される。
【0053】
別の言い方をすれば、一実施形態では、HIVSバンドは、LIVSバンドよりも長い(より広い)。したがって、HIVSバンドは、LIVSバンドよりも管状の構造の長手方向軸に沿って長く延びる。例えば、一実施形態では、医療装置は、それぞれが1~6cmの幅を有する少なくとも2つの比較的高いインビボ安定性のバンドを含み、これらのバンドは、1cm未満の幅を有する比較的低いインビボ安定性のバンドによって互いに分離される。この実施形態では、管状の構造の長さは主に、LIVSバンドによって分離されたHIVSバンドが占める。このような構造は、(LIVS-HIVS)n-LIVSとして特定され得る。ここで、nはLIVS-HIVS繰り返し単位の数を指し、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10であり得る。任意に、各LIVSバンドの幅は1cm未満、又は0.8cm未満、又は0.6cm未満、又は0.4cm未満、又は0.2cm未満、又は1cm未満であり、HIVSバンドはそれぞれ幅1cmが以上である。
【0054】
任意に、装置は少なくとも2つのHIVSバンドを有し、HIVSバンドのそれぞれは2~6cmの長さを有する。LIVSバンドは2つのHIVSバンドの間にあり、LIVSバンドの長さは1cm未満である。このような構造は、(LIVS-HIVS)n-LIVSとして特定され得る。ここで、nはLIVS-HIVS繰り返し単位の数を指し、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10であり得る。任意に、各LIVSバンドの幅は1cm未満、又は0.8cm未満、又は0.6cm未満、又は0.4cm未満、又は0.2cm未満、又は1cm未満であり、HIVSバンドはそれぞれ幅1cmが以上である。
【0055】
任意に、装置は少なくとも2つのHIVSバンドを有し、HIVSバンドのそれぞれは3~6cmの長さを有する。LIVSバンドは2つのHIVSバンドの間にあり、LIVSバンドの長さは1cm未満である。このような構造は、(LIVS-HIVS)n-LIVSとして特定され得る。ここで、nはLIVS-HIVS繰り返し単位の数を指し、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10であり得る。任意に、各LIVSバンドの幅は1cm未満、又は0.8cm未満、又は0.6cm未満、又は0.4cm未満、又は0.2cm未満、又は1cm未満であり、HIVSバンドはそれぞれ幅1cmが以上である。
【0056】
任意に、医療装置は少なくとも3つ比較的高いインビボ安定性のバンドを有し、HIVSバンドのそれぞれは3~6cmの長さを有する。この3つのHIVSバンドは、それぞれが1cm未満の長さを有する2つの比較的低いインビボ安定性のバンドによって分離される。このような構造は、HIVS-LIVS-HIVS-LIVS-HIVSとして特定され得る。
【0057】
任意に、医療装置は少なくとも3つ比較的高いインビボ安定性のバンドを有し、HIVSバンドのそれぞれは3~6cmの長さを有する。さらに、装置はHIVSバンドのいずれの側に座着する少なくとも4つのLIVSバンドを有する。各LIVSバンドの幅は1cm未満である。このような構造は、LIVS-HIVS-LIVS-HIVS-LIVS-HIVS-LIVSとして特定され得る。
【0058】
任意に、医療装置は少なくとも4つ比較的高いインビボ安定性のバンドを有し、HIVSバンドのそれぞれは3~6cmの長さを有する。この4つのHIVSバンドは、それぞれが1cm未満の長さを有する3つの比較的低いインビボ安定性のバンドによって分離される。このような構造は、HIVS-LIVS-HIVS-LIVS-HIVS-LIVSとして特定され得る。
【0059】
任意に、医療装置は少なくとも3つ比較的高いインビボ安定性のバンドを有し、それぞれのHIVSバンドは2~5cmの長さを有し、それぞれが1cm未満の長さを有する2つの比較的低いインビボ安定性のバンドによって分離される。別のオプションとして、医療装置は少なくとも3つ比較的高いインビボ安定性のバンドを有し、それぞれのHIVSバンドは3~6cmの長さを有し、それぞれが1cm未満の長さを有する2つの比較的低いインビボ安定性のバンドによって分離される。
【0060】
一実施形態では、LIVSバンドはすべて、本開示の医療装置に存在するHIVSバンドよりも速くに分解する。したがって、一実施形態では、本開示は、全体的に管状の構造を含む医療装置を提供し、ここで、管状の構造は、少なくとも2つの比較的高いインビボ安定性のバンド(1つの比較的低いインビボ安定性のバンドによって分離されている)を含み、比較的低いインビボ安定性のバンドは、少なくとも1つの比較的高いインビボ安定性のバンドと比較して、インビボで少なくとも2倍速く分解する。
【0061】
任意に、HIVSバンドはすべて、インビボで実質的に同じ速度で分解する。したがって、本開示は、全体的に管状の構造を含む医療装置を提供し、ここで、管状の構造は、実質的に同一の比較的高いインビボ安定性を有する複数のバンドを含む。
【0062】
任意に、LIVSバンドはすべて、インビボで実質的に同じ速度で分解し、これにより、医療装置のインビボ分解により、複数の独立したHIVSバンドが実質的に同時に生成される。したがって、本開示は、全体的に管状の構造を含む医療装置を提供し、ここで、管状の構造は、少なくとも2つの比較的高いインビボ安定性のバンド(1つの比較的低いインビボ安定性のバンドによって分離されている)を含み、当該少なくとも2つの比較的高いインビボ安定性のバンドは、実質的に同一のインビボ安定性を有する。さらに、本開示は、全体的に管状の構造を含む医療装置を提供し、ここで、管状の構造は、少なくとも2つの比較的低いインビボ安定性のバンド(1つの比較的高いインビボ安定性のバンドによって分離されている)を含み、当該少なくとも2つの比較的低いインビボ安定性のバンドは、実質的に同一のインビボ安定性を有する。
【0063】
ただし、別のオプションとして、LIVSバンドはすべて同じ速度で分解するわけではない。例えば、本開示の医療装置は、1つの比較的高いインビボ安定性のバンドの両側に位置する比較的低いインビボ安定性のバンドを含む管状の構造を含み得、当該2つの比較的低いインビボ安定性のバンドは同一でないインビボ安定性を有する。このオプションは、医療装置の分解が、他端に比べて装置の一端から優先的に発生することが望ましい場合に役立ち得る。例えば、装置の近位端が遠位端より速く分解することが望まれる場合、近位端-LIVS1-HIVS1-LIVS2-HIVS2-LIVS3-HIVS3-LIVS4-遠位端を含む構造を製造することができる。この場合、LIVS1はLIVS2よりも早く分解するように設計されており、LIVS2はLIVS3よりも速く分解するように設計されており、LIVS3はLIVS4よりも速く分解するように設計されている。この状況では、LIVS1が最初に分解し、HIVS1の自由端が提供される。LIVS2が分解すると、HIVS1は残りの医療装置から完全に解放され、HIVS1は後で分解するか、医療装置が設置される導管から排出されることが可能である。その後、LIVS3が分解し、HIVS2が医療装置から完全に解放され、HIVS2が導管から排出可能になる。その後、LIVS4が分解し、HIVS3が医療装置から完全に解放され、HIVS3が導管から排出可能になる。
【0064】
一実施形態では、本開示は、全体的に管状の構造を備える医療装置を提供し、ここで、管状の構造は、第1の比較的高いインビボ安定性のバンドの遠位側に位置する第1の比較的低いインビボ安定性のバンドと、第1の比較的高いインビボ安定性のバンドの近位側に位置する第2の比較的低いインビボ安定性のバンドとを含み、第1の比較的低いインビボ安定性のバンドが、第2の比較的インビボ安定性のバンドより、高いインビボ安定性を有する。
【0065】
一実施形態では、本開示は、全体的に管状の構造を備える医療装置を提供し、ここで、管状の構造が、当該構造の遠位端から近位端まで延在する、比較的高いインビボ安定性のバンドによって分離された、複数の比較的低いインビボ安定性のバンドを含み、当該複数の比較的低いインビボ安定性バンドのインビボ安定性が、当該構造の遠位端から近位端に向かって増加する。
【0066】
一実施形態では、全体的に管状の構造が形成され、その後、当該構造が処理されて、1つ以上のHIVS及び/又はLIVSバンドが生成される。例えば、全体的に管状の構造の特定のバンドは、インビボ安定性が低い(LIVS)バンドを生成するために分解環境に曝露され得る。LIVSバンドを生成するための例示的な処理条件は、塩基性条件、すなわち高pHの水性条件への曝露、及び放射線、例えば紫外線への曝露である。全体的に管状の構造の特定のバンドのみがこれらの分解環境に曝露されるため、曝露されたバンドはLIVSバンドになり、曝露されていないバンドはインビボで比較的安定し、すなわち、HIVSバンドになる。例えば、
図6Aのコイル(10)を見ると、バンドA、C及びEは分解環境に曝露されると、A、C及びEの位置にLIVSバンドが生成される一方、バンドB、D及びFは分解環境に曝露されないため、B、D及びFの位置はHIVSバンドになる。前述のように、LIVSとHIVSは相対的な用語である。高いインビボ安定性(HIVS)バンドは、低いインビボ安定性(LIVS)バンドよりもインビボ安定性の面で高くなっている。
【0067】
本開示の医療装置の例示として、
図7Aは、尿管ステントであって、腎臓保持端を提供する一端の腎臓カール、及びステントの他端に膀胱保持端を提供する他端の膀胱カールを有する尿管ステントの概略画像を提供する。
図7Aの概略図は、腎臓カールと膀胱カールとの間に位置する、全体的に管状の構造上の位置A、B、C、D及びEを特定する。この概略図では、位置A、B、C、D及びEのそれぞれが、幅が約0.1~0.5cmのバンド(LIVSバンドなど)の中点である。位置A~Eの中点を持つバンドの間の領域は、HIVSバンドである。要約すると、A、B、C、D及びEはそれぞれLIVSバンドの位置を表し、AとBの間、BとCの間、CとDの間、及びDとEの間の領域はそれぞれ、HIVSバンドの位置を表す。分解の勾配を実現するため、位置Eのバンドは比較的酷な分解環境に曝露され、位置Dのバンドはややより酷ではない分解環境に曝露され、位置Cのバンドはさらに、位置Dでバンドを生成するために使用された環境より酷ではない分解環境に曝露される。位置B及びAのバンドについても同様である。したがって、位置Aのバンドは最も酷でない分解環境にさらされ、分解環境の苛酷さはA、B、C、D及びEの順に増加する。
図7Aにおいて、位置Eは、例えば、1.5MのNaOHによる分解処理を受け、位置Dは、1.25MのNaOHによる分解処理を受け、位置Cは、1.0MのNaOHによる分解処理を受け、位置Bは、0.75MのNaOHによる分解処理を受け、位置Aは0.5MのNaOHによる分解処理を受ける。これらの異なる位置が分解環境に曝露され時間は一定であるが、唯一の違いは、バンドが曝露される塩基溶液の強度である。別の方法として、同じ強度の塩基を使用して各バンドを分解させ、LIVSバンドを生成することもできるが、位置Eのバンドは最も長い時間塩基溶液に曝露され、位置Aのバンドは最も短い時間塩基溶液に曝露され、中間のバンドは中間の時間曝露される。
【0068】
分解処理のこの勾配に従って、位置EのLIVSバンドは、他のバンドに比べて最も速く分解する。位置Eのバンドが破壊点まで分解した後も、位置EとDの間のHIVS領域は、依然として全体的に管状の構造の一部である。ただし、残りのLIVSバンドD~Aのうち、位置DのLIVSバンドが最も速く分解する。したがって、次に破壊するLIVSバンドは、位置DのLIVSバンドであり、したがって、位置D及びEに中点を有するLIVSバンドの間にあるHIVS帯域を医療装置から解放する。封じ込め層又は同等の機能がない場合、この分離したHIVSバンドは宿主の体から排出され得る。位置CのLIVSバンドは、位置B又はAのLIVSバンドよりも速く分解し、位置CのLIVSバンドが分解及び破壊されると、位置CとDの間にあるHIVSバンドは医療装置から解放され、宿主の体から排出され得る。この分解環境の勾配により、封じ込め層に依存する必要なく、安全な方法で医療用インプラントの分解を管理できる。LIVSバンドの位置が適切に選択されることで、医療用インプラントの全体的に管状の構造の分解時に形成される断片は十分に小さく、分離したHIVSバンドは宿主の体から排出されるため、分離したHIVSバンドが宿主に健康上の危険を引き起こさない。
【0069】
図7Bは、
図7Aに示される概略図を援用するが、異なる位置A、B、C及びDが示されている。
図7Bでは、分解勾配は、位置A、B、C及びDのバンドを、例えば、紫外線放射などの分解放射に、漸進的により長い時間曝露することにより生成され得る。このアプローチでは、位置DのLIVSバンドは位置CのLIVSバンドより前に分解し、位置BのLIVSバンドは位置CのLIVSバンドより遅く分解し、位置A、B、C及びDのバンド中で、位置AのLIVSバンドが最も遅く分解する。例えば、位置Dのバンドは15秒間紫外線放射に曝露され、位置Cのバンドは12秒間同じ強度の紫外線放射に曝露され、位置Bのバンドは9秒間紫外線放射に曝露され、位置Aのバンドは6秒間紫外線放射に曝露され得る。
【0070】
一実施形態では、本開示は、医療装置を作製する方法を提供する。この方法は、生体吸収性の全体的に管状の構造を含む医療装置を提供することを含む。次に、全体的に管状の構造の少なくとも2つのバンドに分解環境が適用され、それにより、少なくとも2つの低いインビボ安定性(LIVS)のバンドが生成される。1つ以上の高いインビボ安定性(HIVS)のバンドいずれの2つのLIVSバンドの間にある。分解環境は、それが適用される全体的に管状の構造のバンドの分解を達成する。分解環境は、例えば、水性塩基であってよい。あるいは、分解条件は紫外線であり得る。全体的に管状の構造は、全体又は一部が生体吸収性ポリエステルから作られてもよく、塩基又は紫外線放射がポリエステルの部分的な分解を達成する。
【0071】
処理条件は、上で説明したように、LIVSバンドを生成することができ、又はHIVSバンドを生成することができる。例えば、例示の目的で再度
図6Aのコイル(10)を参照すると、全体的に管状の構造の選択された領域に保護コーティングを塗布して、コイル(10)の分解の速度を緩和することができる。したがって、保護コーティングをバンドA、C及びEに適用して、位置A、C及びEでHIVSバンドを生成し、位置B、D及びFでLIVSバンドを提供することができる。一実施形態では、コーティングは生体吸収性ポリエステルである。
【0072】
一実施形態では、本開示は、医療装置を作製する方法を提供する。この方法は、生体吸収性の全体的に管状の構造を含む医療装置を提供することを含む。次に、全体的に管状の構造の少なくとも2つのバンドに分解環境が適用され、それにより、少なくとも2つの低いインビボ安定性(LIVS)のバンドが生成される。1つ以上の高いインビボ安定性(HIVS)のバンドいずれの2つのLIVSバンドの間にある。分解環境は、それが適用される全体的に管状の構造のバンドの分解を達成する。分解環境は、例えば、水性塩基であってよい。あるいは、分解条件は紫外線であり得る。全体的に管状の構造は、全体又は一部が生体吸収性ポリエステルから作られてもよく、塩基又は紫外線放射がポリエステルの部分的な分解を達成する。
【0073】
本開示はまた、生体吸収性医療装置を提供することを含む、医療装置を作製する方法を提供する。ここで、生体吸収性医療装置は、全体的に管状の構造の側壁内において当該全体的に管状の構造の中央を通る内腔を有する、全体的に管状の構造を含む。言い換えれば、ステントなどの全体的に管状の中空構造である。生体吸収性医療装置は、必要に応じて、生分解性ポリエステルから作製されてもよい。提供された医療装置の全体的に管状の構造に沿ったバンドは、エクスビボ分解環境に曝露されることにより、曝露されたバンドから低いインビボ安定性(LIVS)のバンドが生成される。さらに、曝露されたバンドに隣接するバンドは、同じエクスビボ分解環境に曝露されていないため、LIVSバンドに隣接する高いインビボ安定性(HIVS)のバンドになる。本開示はまた、このプロセス及び本明細書に記載される他のプロセスによって調製される医療装置を提供する。
【0074】
一実施形態では、分解環境は、紫外線放射であるか、又はそれを含む。適度の紫外線放射は、全体的に管状の構造の一部に適用され、紫外線が全体的に管状の構造のその部分に衝突し、その部分の構造を変化させるため、影響を受けた部分は、紫外線放射に曝露されていない全体的に管状の構造の隣接部分と比較して、インビボでの分解速度が高くなる。全体的に管状の構造の紫外線放射への選択的曝露を達成するために、バンド又は他の形状の部分は紫外線放射への曝露からシールドされ、一方で、隣接するバンド又は他の部分はシールドされない。シールドは、全体的に管状の構造の上をマスキングすることで達成できる。マスクには、紫外線が通過し、全体的に管状の構造に接触できる孔があるが、マスクには、紫外線放射が通過できない放射線不透過領域もある。シールドはまた、全体的に管状の構造が挿入されて休止位置に座着できる内腔を有する金属ブロック内に全体的に管状の構造を設置することによって達成され得る。金属ブロックは、金属を貫通する、すなわち、金属ブロックの外面と金属ブロックの内腔との間に延びる孔を有し得る。紫外線はブロックの外面から孔に導かれることができるので、放射は孔を通って金属ブロックの内腔に入り、その後、紫外線はこの紫外線に曝露される全体的に管状の構造のその部分に衝突する。孔の直径を調整又は選択することにより、紫外線放射によって衝突される管状の構造の部分のサイズも同様に選択される。例えば、孔の直径が5mmの場合、紫外線放射に曝露される全体的に管状の構造の長さも同様に約5mmになる。
【0075】
全体的に管状の構造は、構造が紫外線放射に曝露されている間、全体的に管状の構造の内腔を通る固体支持体(例えば、不透明なロッド)を有しても、有さなくてもよい。特に、不透明なロッドが全体的に管状の構造の内腔を通るとき、このロッドは、全体的に管状の構造の一部の部分の入ってくる紫外線放射への曝露を妨げ得る。不透明な固体支持体によって引き起こされる放射線妨害を克服するために、全体的に管状の構造はその長手方向軸を中心に周期的に回転され、これにより、全体的に管状の構造の当該バンドのすべての部分が入ってくる紫外線放射に曝露される。回転は常に発生してもよく、すなわち、全体的に管状の構造は、その長手方向軸の周りに一定の速度で徐々に回転し、それによって構造のバンドが紫外線放射に曝露される。あるいは、回転は漸進的に行われてもよく、例えば、全体的に管状の構造の一部(すなわち、紫外線が通過するブロックの孔に隣接する部分)は、所望の期間、紫外線放射に曝露されて、次に、当該構造は、その長手方向軸を中心に、例えば60度回転され、その後、全体的に管状の構造は、所望の期間、再び紫外線放射に曝露される。次に、当該構造は、同じ方向にさらに60度回転され、その後、紫外線放射に曝露される。これを、全体的に管状の構造が6回分の紫外線放射を受け、LIVSのバンドが生成されるまで行う。前述の例では、ステントの60度間隔で6回の紫外線放射線量を使用したが、他の処理法を代わりに使用することもでき、例えば、各放射後にステントを90度回転して計4回放射したり、又は各放射後にステントを120度回転して計3回放射したりなどすることができる。また、全体的に管状の構造をその長手方向軸の周りで回転させることに加えて、全体的に管状の構造をその長手方向軸に沿って移動させることができ、その結果、LIVSバンドのらせん状パターンが生成される。
【0076】
複数のLIVSバンドを有する全体的に管状の構造を作成するために、複数の孔の列をブロックにドリルで開けてもよい。例えば、2つの孔で2つのLIVSバンドを作成し、又は3つの孔で3つのLIVSバンドを作成するなどである。孔は、通常、一列に並んでおり、HIVSバンドの望ましい長さだけ互いに間隔が空けられる。前述のように、各孔の直径は、LIVSバンドの望ましい長さにほぼ等しくなる。例えば、3つの孔を一列に配置でき、各孔は5mmの直径を有し、かつ各孔はブロックの外面からブロックの内腔まで延びる。孔は、4cmの間隔を空けて配置できる。このようにして、HIVS-LIVS-HIVS-LIVS-HIVS-LIVS-HIVSパターンを有する全体的に管状の構造を作成することができ、ここで、3つのLIVSバンドの長さはそれぞれ約5mmで、その間の2つのHIVSバンドの長さはそれぞれ約4cmであるので、この構造は、HIVS-LIVS(5mm)-HIVS(4cm)-LIVS(5mm)-HIVS(4cm)-LIVS(5mm)-HIVSで表すことができる。全体的に管状の構造に、一方の末端の腎臓カールともう一方の末端の膀胱カールの両方が含まれる場合、当該構造は(膀胱カール-HIVS)-LIVS(5mm)-HIVS(4cm)-LIVS(5mm)-HIVS(4cm)-LIVS(5mm)-(HIVS-腎臓カール)で表すことができる。
【0077】
ブロックに複数の孔を作成する以外、ブロックは単一の孔のみを有することができ、そこで、全体的に管状の構造が所望の距離だけ内腔を通って移動し、これにより、当該構造の別のバンドを紫外線放射に曝露する。例えば、最初のLIVSバンドが作成された後、全体的に管状の構造は、例えば5cmの距離だけオフセットされ、これにより、全体的管状の構造の新しい(2番目の)バンドは、金属ブロックの孔を通過する紫外線に曝露され、2番目のLIVSバンドを生成できる。
【0078】
紫外線放射は、標準的な手段によって生成され得る。例えば、BLUEWAVE(商標)200UVスポットランプ(Dymax Corporation、トリントン、コネチカット州、米国)又は同等のものは、紫外線放射に適した光源である。紫外線放射の適切な強度は約10W/cm2であり、例えば9~11W/cm2の範囲内である。全体的管状の構造の一部が紫外線放射に曝露される適切な時間は、約10~60秒であり、そうすれば全体的管状の構造のその部分が適切に低いインビボ安定性を有する。異なるバンドは、異なる時間、及び/又は異なる光強度、及び/又は異なる曝露回数で、紫外線放射に曝露されることができ、それによってステントの異なる場所で独自の分解と機械的特性を達成し、これにより、全体的管状の構造がインビボに設置されたとき、異なる部分の分解の速度を変化させることができる。例えば、膀胱カールに最も近いバンドが最初に分解し、腎臓カールに最も近いバンドが最後に分解する、全体的に管状の構造を作成するには、この全体的に管状の構造は以下に表すことができる:(腎臓カール-HIVS)-LIVS(5mm;全体的に管状の構造のこのバンドの各部分は、20秒間紫外線放射に曝露されている)-HIVS(4cm)-LIVS(5mm;全体的に管状の構造のこのバンドの各部分は、30秒間紫外線放射に曝露されている)-HIVS(4cm)-LIVS(5mm;全体的に管状の構造のこのバンドの各部分は、40秒間紫外線放射に曝露されている)-(HIVS-膀胱カール)。
【0079】
前述のように、本開示の医療装置は、中空である全体的に管状の構造であるか、又はそれを含み得る。任意に、そのような医療装置は、メッシュ管、すなわちメッシュから形成された管であるか、又はそれを含み、すなわち、全体的に管状の構造の側壁はメッシュ構造を有し、管の内部は開放空間である。任意に、管状の構造は、その長さ及び/又はその幅によって特徴付けられ、幅は、全体的に管状の構造の断面の直径を指す。全体的に管状の構造は長さは、少なくとも5cm、又は少なくとも6cm、又は少なくとも7cm、又は少なくとも8cm、又は少なくとも9cm、又は少なくとも10cmであり、そして30cm以下、又は28cm以下、又は26cm以下、又は24cm以下、又は22cm以下、又は20cm以下である。
【0080】
一実施形態では、本開示の医療装置は、側壁を有する全体的に管状の構造を含み、ここで、側壁は、全体的に管状の構造の(開いた)内腔を取り囲むモノフィラメントコイルと、モノフィラメントコイルを覆うメッシュと、コイル及びメッシュに堆積されたコーティングとを含む。この構造では、側壁は、モノフィラメントコイル、メッシュ、及びコーティングという3つの構成要素を含む。この構造は、本開示の代表的な医療装置であるステントを作製するために使用され得る。ステントが尿道ステントである場合、ステントは、装置の近位端に腎臓保持構造、及び装置の遠位端に膀胱保持構造をさらに含み得る。腎臓保持構造が宿主の腎臓に挿入され、ステントの近位端を腎臓に固定する。膀胱保持構造が宿主の膀胱に挿入され、ステントの遠位端を膀胱に固定する。任意に、腎臓保持構造は、装置の近位端のカールの形であってもよく、膀胱保持構造は、装置の遠位端のカールの形であってもよい。
【0081】
装置が全体的に管状の構造の一部としてコーティングを含む場合、そのコーティングは、全体的に管状の構造の長さに沿って均一な厚さを有しても有しなくてもよい。一実施形態では、コーティングの厚さは、全体的に管状の構造の長さに沿って均一である。別の実施形態では、コーティングの厚さは、全体的に管状の構造の長さに沿って不均一である。コーティングの厚さの不均一性は、全体的に管状の構造の生体分解の速度に影響を与えるために使用することができる。例えば、より厚いコーティングが装置の近位端に存在する場合、他のすべての要素が同じであれば、生体分解は装置の遠位端で優先的に発生する。一実施形態では、本開示は、装置の近位端に腎臓保持構造、及び装置の遠位端に膀胱保持構造を有する尿管ステントを提供し、この装置は、装置の外面にコーティングを含み、ここで、装置の近位端は、装置の遠位端と比較して、より多くのコーティング、例えば、より厚いコーティングを含む。この医療装置には、前述のようなHIVS及びLIVSバンドを含み得る。
【0082】
概して、本開示の医療装置は、生体安定性又は非生体安定性材料から作製され得、ここで、非生体安定性材料は、本明細書において分解性材料と称され、そして当該分野において、生分解性、吸収性若しくは生体吸収性、侵食性若しくは生体侵食性、可溶性若しくは生体溶解性として理解され得る。分解性ポリマーは、血液などの体液にさらされると完全に侵食又は吸収され、身体によって徐々に再吸収、吸収、及び/又は除去される。いくつかの分解性材料は、宿主の血管環境で見られるような体液への曝露時に材料に生じる化学的分解により吸収する。化学的分解とは、材料と体液又は体液内の物質との化学反応による材料の分解を指す。化学的分解は、加水分解、酸化、酵素分解、及び/又は代謝プロセスなどの結果であり得る。化学的分解は、例えば、分子量の低下、機械的性質の低下、及び侵食による質量の低下をもたらし得る。機械的特性は、材料の強度と弾性率に対応する場合がある。材料の機械的特性の劣化は、それから作製された医療装置が宿主において最適に機能する能力を低下させる。例えば、装置がステントである場合、ステントは、分解するにつれて血管内の機械的支持を減少させる。さらに、一部の分解性材料は水溶性である。水溶性材料とは、水溶性材料は、材料の化学的分解に加えて(又は化学的分解なしに)、水に溶解することができる材料を指す。
【0083】
一実施形態では、分解性医療装置は、全体的又は部分的に分解性有機ポリマーから形成される。有機ポリマーは、例えば、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマー又はエラストマーポリマーであり得る。有機ポリマーはコポリマーであってもよく、ここでコポリマーは、ホモポリマーからは容易に達成できない特性を提供するように、2つ以上の異なるモノマーから作製される。有機ポリマーは、1種以上の異なる有機ポリマーなどの1種以上の異なるポリマーの混合物であってもよい。したがって、本明細書で特定される様々な分解性有機モノマーは、ホモポリマー又はコポリマーを調製するために協調して使用され得、本明細書で特定される様々な有機ポリマーは、混合物を調製するために組み合わせて使用され得る。本開示の医療装置は、少なくとも部分的に、任意的には完全に、分解可能であり、したがって、いくつかの分解可能な構成要素を含む。一実施形態では、医療装置は完全に分解性材料から作製され、したがって、医療装置は完全に分解可能である。別の実施形態では、医療装置は、大部分が分解性材料から作製され、したがって、医療装置の少なくとも50重量%が分解可能である。別の実施形態では、医療装置は、分解性材料及び生体安定性材料の両方から作製され、したがって、医療装置の100%未満が分解する。様々な実施形態では、医療装置の100%又は最大95%、又は最大90%、又は最大85%、又は最大80%、又は最大75%、又は最大70%、又は最大65%、又は最大60%、又は最大55%、又は最大50%、又は最大45%、又は最大40%、又は最大35%、又は最大30%、又は最大25%は、分解性材料から作製される。これらのパーセンテージ値は、インプラント式医療装置の重量に基づくwt%である。
【0084】
本開示の医療装置を作製するために使用され得る分解性ポリマーの例には、ポリ(アルファ-ヒドロキシ酸)ポリマー及びコポリマーが含まれる。例えば、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(グリコリド-co-ラクチド)(PGLA)、及びポリ(グリコリド-co-トリメチレンカーボネート(PGA/TMC)を含む、グリコリドのポリマー及びコポリマー;ポリ-L-ラクチド(PLLA)、ポリ-D-ラクチド(PDLA)、ポリ-DL-ラクチド(PDLLA)、ポリ(ラクチド-co-テトラメチレングリコリド)、ポリ(ラクチド-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(ラクチド-co-デルタ-バレロラクトン)、ポリ(ラクチド-co-イプシロン-カプロラクトン)、ポリ(グリシン-co-DL-ラクチド)、ポリ(ラクチド-co-エチレンオキシド)を含む、ポリラクチド(PLA)のポリマー及びコポリマー;非対称3,6-置換ポリ-1,4-ジオキサン-2,5-ジオンなどのポリジオキサノンポリマー;ポリ(ベータ-ヒドロキシブチレート-co-ベータ-ヒドロキシバレレート)などのポリ(ベータ-ヒドロキシブチレート)(PHBA)及びそのコポリマー;ポリグルコネート;ポリ(ベータ-ヒドロキシプロピオネート)(PHPA);ポリ(ベータ-ジオキサノン)(PDS);ポリ(デルタ-バレロラクトン);ポリ(ε-カプロラクトン);メチルメタクリレート-N-ビニルピロリドンコポリマー;ポリエステルアミド;シュウ酸のポリエステル;ポリジヒドロピラン;ポリ(アルキル-2-シアノアクリレート);ポリビニルアルコール(PVA);ポリペプチド;ポリ(ベータ-マレイン酸)(PMLA);ポリ(ベータ-アルカン酸);ポリ(エチレンオキシド)(PEO);ポリ無水物、ポリホスホエステル、及びキチンポリマー。
【0085】
一実施形態では、有機ポリマーはポリエステルであり、全体的に管状の構造は、大部分又は全体が生体吸収性ポリエステルから作製される。例えば、ポリマーは、ポリ(α-ヒドロキシ酸)ホモポリマー、ポリ(アルファ-ヒドロキシ酸)コポリマー及びそれらのブレンドから選択されるポリエステルであり得る。さらに、又はあるいは、ポリエステルは、ポリグリコリド、ポリ-L-ラクチド、ポリ-D-ラクチド、ポリ-DL-ラクチド、及びそれらのブレンドから選択されてもよい。ポリエステルは、ポリ-L-ラクチド(PLLA)、ポリ-D-ラクチド(PDLA)、ポリ-DL-ラクチド(PDLLA)を含むポリラクチド(PLA)のポリマー及びコポリマーから選択することができる。
【0086】
一実施形態では、有機ポリマーは、半結晶性であるか、又は繊維に形成することができるか、あるいは半結晶性及び繊維形成性の両方である。一実施形態では、医療装置は、半結晶性及び繊維形成性のうちの少なくとも1つである有機ポリマーを使用して作製される。一実施形態では、分解性ステントは、半結晶性であり、かつ繊維形成性である有機ポリマーで調製される。さらに、有機ポリマーを急速に分解する、すなわち、インビボ安定性を低くするために、グリコリドを、有機ポリマーを形成するために使用されるモノマーとして、又はモノマーの1つとして使用することができる。パラジオキサン(PDO)(対応するホモポリマーがポリ(PDO)として知られている)は、高速分解(LIVS)有機ポリマーを形成するための別の適切なモノマーである。ポリ(PDO)は通常、グリコリド系のポリマーよりもゆっくりと分解するため、非常に速く分解する有機ポリマーを調製するために、モノマー投入にはグリコリドが豊富であることが好ましい。
【0087】
一実施形態では、有機ポリマーは多軸(polyaxial)構造を有するが、別の実施形態では、有機ポリマーは線状である。多軸構造は、有機ポリマーの一部であってもよく、例えば、ブロックコポリマーのブロック中に存在してもよい。別のオプションは、有機ポリマーが半結晶性で繊維形成性であるセグメント化された多軸であり、かつグリコリド系であることで、迅速な分解、すなわち低いインビボ安定性(LIVS)を確保することである。さらに別のオプションは、ジブロック、トリブロック、ペンタブロックのいずれか又は両方に線状コポリマーを使用することであり、ペンタブロックを除いて、中央ブロックはアモルファスで、他のブロックは半結晶性である。これは、中央のブロックがPEGで、アモルファスセグメントが外側の結晶性セグメントに接続されているものであり得る(ポリエーテルエステルである対称ペンタブロックポリマーを形成する;言及されている他のすべてのポリマーは脂肪族ポリエステルである)。線状ブロックコポリマーは、すべての場合において半結晶性ブロックで構成されてもよく、アモルファスブロックがないため、繊維形成後に配向して、繊維内で異なる結晶構造とパーセンテージのパターンを交互に生成できるポリマーが得られ、それによって繊維を形成する交互ブロックの分解プロファイルにわずかな違いがある(繊維が配向しているため、結晶領域の水平ストリップがポリマー鎖を構成するブロックを形成し、整列する)。あるいは、ブロックのない線状コポリマーを代用することができる。一実施形態では、これらの有機ポリマーを使用して繊維を形成し、繊維を使用して、本開示の医療装置の構成要素である全体的に管状の構造の側壁上に、又は側壁の一部としてコーティングを形成する。別の実施形態では、これらの有機ポリマーは繊維に形成されないが、有機ポリマーは、例えば、ポリマーの溶液を医療装置に噴霧すること、又は装置を有機高分子溶液にディップコーティングすることなどにより、医療装置にコーティングを形成するために使用される。
【0088】
医療装置は、アモルファスで、可撓で、弾性であるベースポリマーから作製され得る。結晶性であり得るが、結晶化度が高すぎると、通常、ポリマーの可撓性が低下する。結晶性の高い材料を使用に選択する場合、結晶性材料をPEGなどの可塑剤と組み合わせて、ポリマーの最終的な結晶化度(例えば、医療装置に適用されるコーティングの最終的な結晶化度)を下げることを推奨する。上記のように、ポリマーは、多軸又は線状、ブロック又はセグメント化又はランダムであり得る。非常に可撓で順応性のあるコーティングの場合、有機ポリマーは最小限に結晶性であるか、又はアモルファスであり得る。
【0089】
有機ポリマーは、それがブロックコポリマーである場合、プレポリマー及びエンドグラフトから調製されてもよく、又はプレポリマーから調製されなくてもよい。一実施形態では、ポリマーを調製するために使用される1種以上のモノマーは、カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、及び/又はL-ラクチドから選択される。これらのモノマーを、特にグリコリドがモノマーとしても使用される場合に、ポリマーの調製に使用されるモノマー投入に組み込むと、グリコリドのみから作製されたポリマーの分解時間制限を超えて分解時間が延長される。
【0090】
ポリエステル以外の適切な分解性有機ポリマーには、ポリエーテル-エステル、ポリエーテル-エステル-ウレタン(生体吸収性ウレタン)、ポリエーテル-ウレタン及びポリエーテル-ウレタン-尿素が含まれ、後者の例は非常にゆっくりに分解し、典型的には不完全に分解する。
【0091】
様々な実施形態において、医療装置は、以下のポリマーのいずれかから作製される。MG-5(ポリ-Med、Anderson、サウスカロライナ州):エンドグラフトにグリコリドが65%以上あり、アモルファスプレポリマーと結晶性のエンドグラフトから2段階反応で調製された半結晶性の多軸ブロックコポリエステルである。MG-9(ポリ-Med、Anderson、サウスカロライナ州):グリコリドが80%以上あり、アモルファスプレポリマーと結晶性のエンドグラフトから2段階反応で調製された半結晶性の多軸ブロックコポリエステルである。1ステップの反応で調製される(プレポリマーは使用されない)、半結晶性、多軸セグメント化コポリエステル。アモルファスプレポリマーと結晶性のエンドグラフトから2段階反応で調製された半結晶性の線状ブロックコポリエステル。結晶性のエンドグラフトを持つトリブロックコポリマー。ジブロックコポリマー。1ステップの反応で調製される(すなわち、プレポリマーは使用されない)、半結晶性の線状セグメント化コポリエステル。SVG-12(Poly-Med、Anderson、サウスカロライナ州):1.0を超える固有粘度を持ち、結晶性のエンドグラフトを持つ。多軸ブロックコポリマー。アモルファスプレポリマーとアモルファスエンドグラフトから調製されたポリマー。線状ブロックコポリマー(トリブロック、ジブロック、ペンタブロック)。線状のセグメント化コポリマー。アモルファスであり、したがって可撓で順応性のある線状ランダムコポリマー。前述のものは、適切な医療装置、又はその構成要素(例えばコーティング層)を作製するために使用され得る有機ポリマーの例示にすぎない。
【0092】
本開示の医療装置を作製するための別の適切なポリマーは、以下を含む混合物である:(a)ポリオールとポリカルボキシレートを含む反応種の間の反応によって形成される生体侵食性ポリエステルネットワーク。ここで、ポリオールとポリカルボキシレートの少なくとも1つが3つ以上の官能基性を持つ;(b)生体侵食性熱可塑性ポリマー。必要に応じて、以下の1つ以上がこの組成物をさらに特徴付けることができる:ポリオールは、非ポリマー性ジオール、ポリマー性ジオール、非ポリマー性トリオール、ポリマー性トリオールから選択される;ポリカルボキシレートは、非ポリマー性ジカルボキシレート、ポリマー性ジカルボキシレート、非ポリマー性トリカルボキシレート、及びポリマー性トリカルボキシレートから選択される;反応種は、トリオール、トリカルボキシレート、又はその両方を含む;反応種は、(a)非ポリマー性トリカルボキシレート及び(b)ポリエステルポリオールを含む;反応種は、(a)クエン酸及び(b)ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、又はその両方を含む;生体侵食性熱可塑性ポリマーは体温より高い融点を持つ;生体侵食性熱可塑性ポリマーは、室温より低いガラス転移温度を有する;そして、生体侵食性熱可塑性ポリマーは、生体侵食性熱可塑性ポリエステルである。例えば、米国特許公開第20160166739号を参照されたい。
【0093】
一態様では、本開示のインプラント式医療装置は、医療装置の構成要素としてコーティングを含む。医療装置に対するコーティングの位置、及び物理的及び化学的特性に関するコーティングの特性は、宿主からの医療用インプラントの分解及び/又は除去の管理に資する。特に、コーティングは、部分的には、宿主からの医療装置の分解及び/又は除去の管理に資する。コーティングの特性は、宿主からのコーティングされた医療装置の分解及び/又は除去を管理する目的で選択され得る。
【0094】
本開示の医療用インプラントに存在する医療装置は、少なくともある程度分解可能である。言い換えれば、医療装置は宿主に設置されると分解する。その分解は、物理的又は化学的な分解であり得る。物理的分解とは、医療装置の物理的又は機械的特性の変化を指す。例えば、装置がバラバラになり、完全性が失われる場合がある。別の例として、装置は柔らかくなり、順応性があるようになる場合がある。さらに別の例として、装置は、流体を吸収して膨張する場合がある。これらの各場合では、装置は物理的又は機械的特性の変化を受ける。化学分解とは、化学組成の変化を指す。例えば、装置が作製される有機ポリマーは、加水分解結合開裂又は酵素誘発結合開裂を受け、それによって分子量を失う場合がある。別の例として、医療装置の水溶性の構成要素が水に溶解し、医療装置の近辺を離れる場合がある。これらの例のそれぞれにおいて、化学的分解は医療装置の化学的性質に変化をもたらす。一実施形態では、医療用インプラントの分解は、物理的及び化学的分解の両方によって発生する。医療用インプラントのコーティングは、部分的又は全体的に、この分解に影響を与える役割を果たす場合がある。したがって、コーティングの特性を使用して、宿主からの医療用インプラントの分解及び/又は除去を管理することができる。
【0095】
一態様では、医療装置は、医療装置の一部にコーティングを含み、コーティングは封じ込め層として機能する。この封じ込め層は、宿主の組織と医療装置の間に物理的なバリアを提供する。そのようなバリアは、例えば、装置が破片に分解することにより分解し、それらの破片の分散又は伝播を管理することが望まれる場合に有用である。例えば、一実施形態では、封じ込め層は、医療装置と比較して比較的長持ちすることができ、その結果、医療装置が破片に破壊するとき、封じ込め層は、それらの破片が封じ込め層内に保持されるのに十分な構造的完全性を維持する。このような封じ込め層は、医療装置が腎臓に配置される場合に有用であり、医療装置からの破片が腎臓の内部に接触して石灰化することは望ましくない。関連する実施形態では、封じ込め層は、食道ステントである医療装置と比較して、やはり比較的長持ちする。この場合、食道ステントが破片に破壊すると、ステントの内腔壁に位置し、それを取り囲む封じ込め層が、これらの破片が胃に入るのを阻止する。したがって、いずれの例でも、封じ込め層は、医療装置の破片移動を効果的に制限する。
【0096】
別の側面では、医療装置は封じ込め層を有さない。この場合、医療装置には、例えば、医療装置の分解(例えば、HIVSバンドに隣接するLIVSバンドの分解)時に形成されるHIVSバンドなどの断片の移動を制限する封じ込め層などの特徴がない。任意に、医療装置の一部である全体的に管状の構造は、当該全体的に管状の構造の分解時に形成されるHIVSバンドなどの断片の移動を制限する封じ込め層を含まない。封じ込め層又は同等の特徴がない場合、本開示の医療装置又は全体的に管状の構造のインビボ分解中に形成される断片は、医療装置から自由に分離され、埋め込まれた医療装置の近辺から離れる。ここに開示される各実施形態において、医療装置又はその任意の部分が封じ込め層を有さないことが挙げられる。
【0097】
別の態様では、封じ込め層は、宿主から分解誘発流体と医療装置との間に物理的又は化学的バリアを提供する。この層は、医療装置の分解につき空間的及び時間的影響を与えるために使用できる。例えば、一実施形態では、封じ込め層は、当該層が医療装置のすべてではなないが一部を覆うような不連続層である。この場合、封じ込め層は、医療装置の一部と宿主から分解誘発流体との間のバリアとして効果的に機能し、医療装置の一部と流体との間の接触を制限する。これにより、封じ込め層は、医療装置の露出部分が、医療装置の非露出部分よりも速く分解することを可能にする。このように、封じ込め層は、装置が最初に分解する場所を管理するために使用される。
【0098】
別の実施形態では、勾配封じ込め層は、医療装置の空間的及び時間的分解及び/又は除去を管理するために使用される。例えば、医療装置は、装置の第1の部分を覆う単一のコーティング層、装置の第2の部分を覆う二重コーティング層、及び任意で装置の第3の部分を覆う三重コーティング層を有し得る。コーティング層の組成が各場所で同じであると仮定すると、医療装置の第1の部分は、装置の第2とダイ3の部分より前に分解する。各場所の相対的な厚さに応じて、第1の部分は大幅に分解して宿主から除去されても、装置の第2と第3の部分はまだ十分に無傷であり得る。層の配置方法によっては、医療装置の第1の部分の分解と除去により、医療装置の第2の部分への生体液のアクセスが増加し、その結果、第2の部分が分解することになる(第2の部分が依然としてコーティングで覆われていてもよい)。装置の第2の部分は分解及び除去されると、続いて装置の第3の部分が分解及び除去される。この例では、コーティングは、医療装置のさまざまな部分の分解及び宿主から除去される速度を管理する。しかしながら、コーティングは、これらの断片の分散又は伝播を管理する、すなわち、宿主内でのこれらの断片の移動を制限するための封じ込め層としても機能し得ることに留意すべきである。
【0099】
医療装置自体及びその上のコーティングの一方又は両方を含む医療用インプラントは、治療薬を含み得る。インプラントに組み込まれる治療薬の量は、インプラントの性質、実際の治療薬、対象の状態などに依存する。量は、当業者によって適宜に決定され得る。例示的な治療剤には、抗血栓剤、抗増殖剤、抗炎症剤、抗移動剤、抗腫瘍剤、抗有糸分裂剤、麻酔剤、及び抗凝固剤が含まれる。さらに、適切な治療薬には、細胞外マトリックスの生成と組織化や、血管細胞の成長に影響する薬剤(促進剤又は阻害剤のいずれか)、コレステロール低下剤、血管拡張剤、及び内因性血管作用機序を妨害する薬剤が含まれる。
【0100】
本発明の様々な実施形態では、医療装置は尿管ステントであり得る。尿管ステントなどの医療装置は、1種以上の薬物を放出するように設計することができ、薬物の代表的な例には、以下の1種以上の項目を含む:α-アドレナリン遮断薬、鎮痛剤、抗癌剤、抗腫瘍剤、抗炎症剤、抗菌剤、抗増殖剤、抗けいれん剤、β-アドレナリンアゴニスト、気管支拡張剤(例えば、筋弛緩特性用)、カルシウムチャネル遮断薬、コルチコステロイド、麻酔剤、麻薬性鎮痛剤、一酸化窒素供与体、一酸化窒素放出化合物、非麻薬性鎮痛剤、プロスタグランジンなど、並びにそれらの組み合わせ。
【0101】
薬物のさらなる代表的な例には、以下の1種以上が含まれる:血管新生阻害剤、5-リポキシゲナーゼ阻害剤及びアンタゴニスト、ケモカイン受容体アンタゴニストCCR(1、3、及び5)、細胞周期阻害剤、サイクリン依存性プロテインキナーゼ阻害剤、EGF(上皮成長因子)受容体キナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、第Xa因子阻害剤、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、フィブリノーゲン拮抗剤、グアニル酸シクラーゼ刺激剤、熱ショックタンパク質90アンタゴニスト、HMGCoAレダクターゼ阻害剤、ヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ阻害剤、IKK2阻害剤、IL-1、ICE及びIRAKアンタゴニスト、IL-4アゴニスト、免疫調節剤、イノシン-リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、MCP-1アンタゴニスト、MMP阻害剤、NFカッパB阻害剤、NOアゴニスト、P38MAPキナーゼ阻害剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、TGFβ阻害剤、TNFaアンタゴニストとTACE阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、ビトロネクチン阻害剤、線維芽細胞増殖因子阻害剤、プロテイン阻害剤、PDGF受容体キナーゼ阻害剤、血管内皮細胞増殖因子受容体キナーゼ阻害剤、レチノイン酸受容体アンタゴニスト、血小板由来増殖因子受容体キナーゼ阻害剤、フィブロノギン(Fibronogin)アンタゴニスト、抗真菌剤、ビスホスホネート、ホスホリパーゼA1阻害剤、ヒスタミンH1/H2/H3受容体アンタゴニスト、マクロライド系抗生物質、GPIIb IIIa受容体アンタゴニスト、エンドセリン受容体アンタゴニスト、ペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体アゴニスト、エストロゲン受容体剤、ソマトスタチン類似体、ニューロキニン1アンタゴニスト、ニューロキニン3アンタゴニスト、ニューロキニンアンタゴニスト、VLA-4アンタゴニスト、破骨細胞阻害剤、DNAトポイソメラーゼATP加水分解阻害剤、アンジオテンシンI変換酵素阻害剤、アンジオテンシンIIアンタゴニスト、エンケファリナーゼ阻害剤、ペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体ガンマアゴニスト、インスリン増感剤、プロテインキナーゼC阻害剤、CXCR3阻害剤、Itk阻害剤、サイトゾルホスホリパーゼA2α阻害剤、PPARアゴニスト、免疫抑制剤、Erb阻害剤、アポトーシスアゴニスト、リポコルチンアゴニスト、VCAM-1アンタゴニスト、コラーゲンアンタゴニスト、α2インテグリンアンタゴニスト、TNFα阻害剤、一酸化窒素阻害剤、及びカテプシン阻害剤。
【0102】
α-アドレナリン遮断薬の例には、アルフゾシン、アモスラロール、アロチニロール、ダピプラゾール、ドキサゾシン、エルゴロイド、フェンスピリド、イダゾキサン、インドラミン、ラベタロール、マノテピル、メシラート、ナフトピジル、ニセルゴリン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、トラゾリン、トリマゾシン、及びヨヒンビンが含まれる。
【0103】
麻酔剤の例には、ベンゾカイン、コカイン、リドカイン、メピバカイン、及びノバカインが含まれる。
【0104】
β-アドレナリンアゴニストの例には、アルブテロール、バンブテロール、ビトルテロール、カルブテロール、クレンブテロール、クロレプレナリン、デノパミン、エフェドリン、エピネフリン、エタフェドリン、エチルノルエピネフリン、フェノテロール、ホルモテロール、ヘキソプレナリン、イボパミン、イソエタリン、イソプロテレノール、マブテロール、メタプロテレノール、メトキシフェナミン、オキシフェドリン、ピルブテロール、プレナルテロール、プロカテロール、プロトキロール、レプロテロール、リミテロール、リトドリン、サルメルテロール、ソテレノール、テルブタリン、トレトキノール、ツロブテロール及びキサモテロールが含まれる。
【0105】
抗癌剤、抗増殖剤及び抗腫瘍剤の例には、以下が含まれる:微小管動態に影響を与える薬剤(例えば、コルヒチン、Epo D、エポチロン、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチンなど)、スルホン酸アルキル、血管新生阻害剤(例えば、アンジオスタチン、エンドスタチン、スクアラミンなど)、プリン類似体などの代謝拮抗剤(例えば、6-メルカプトプリン又はクラドリビン(塩素化プリンヌクレオシド類似体)など)、ピリミジン類似体(例えば、5-フルオロウラシル、シタラビンなど)及び抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシンなど)、カスパーゼ活性化剤、セリバスタチン、シスプラチン、エチレンイミン、フラボピリドール、リムス系薬物(例えば、エベロリムス、シロリムス、タクロリムス、ゾタロリムスなど)、メトトレキサート、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、プロテアソーム阻害剤、及びスラミン。
【0106】
抗菌剤の例には、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン、ニトロフラゾン、銀粒子、銀塩、金属銀及び抗生物質、例えばゲンタマイシン、ミノサイクリン及びリファンピン、トリクロサンが含まれる。
【0107】
気管支拡張剤の例には、以下が含まれる:(a)エフェドリン誘導体、例えば、アルブテロール、バンブテロール、ビトルテロール、カルブテロール、クレンブテロール、クロレナリン、ジオキセドリン、エフェドリン、エピネフリン、エプロジノール、エタフェドリン、エチルノルエピネフリン、フェノテロール、ホルモテロール、ヘキソプレナリン、イソエタリン、イソプロテレノール、マブテロール、メタプロテレノール、n-メチルエフェドリン、ピルブテロール、プロカテロール、プロトキロール、レプロテロール、リミテロール、サルメテロール、ソテレノール、テルブタリン、ツロブテロール;(b)四級アンモニウム化合物、例えば、メチル硫酸ベボニウム、臭化フルトロピウム、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、臭化チオトロピウム;(c)キサンチン誘導体、例えば、アセフィリン、アセフィリンピペラジン、アンブフィリン、アミノフィリン、バミフィリン、コリンテオフィリン酸、ドキソフィリン、ジフィリン、エタミフィリン、エトフィリン、グアイチリン、プロキシフィリン、テオブロミン、1-テオブロミン酢酸、テオフィリン、及び(d)他の気管支拡張薬、例えば、フェンスピリド、メディバジン、メトキシフェナミン、トレトキノールなど、ならびに前述の組み合わせ及び薬学的に許容される塩、エステル、他の誘導体。
【0108】
カルシウムチャネル遮断薬の例には、以下が含まれる:ベプリジル、クレンチアゼン、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、プレニルアミン、セモチアジル、テロジリン、ベラパミルなどのアリールアルキルアミン(フェニルアルキルアミンを含む)、ジルチアゼムなどのベンゾチアゼピン;他のカルシウムチャンネル遮断薬の中でも特に、ベンシクラン、エタフェノン、ファントファロン、モナテピル、ペルヘキシリンなどのカルシウムチャンネル遮断薬;アムロジピン、アラニジピン、バルニジピン、ベニジピン、シルニジピン、エフォニジピン、エルゴジピン、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピン、レルカニジピン、マニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピンなどのジヒドロピリジン誘導体(1,4-ジヒドロピリジン誘導体を含む)、シンナリジン、ドタリジン、フルナリジン、リドフラジン、ロメリジンなどのピペラジン誘導体。
【0109】
コルチコステロイドの例には、以下が含まれる:ベタメタゾン、コルチゾン、デフラザコート、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロンなど、ならびにこれらの組み合わせ及び薬学的に許容される塩、エステル、他の誘導体。
【0110】
一酸化窒素供与体/放出分子の例には、以下が含まれる:亜硝酸アミル、二硝酸イソソルビド、ニトログリセリンなどの無機硝酸塩/亜硝酸塩、ニトロプルシドナトリウムなどの無機ニトロソ化合物、リンシドミンやモルシドミンなどのシドノイミン、ジアゼニウムジオラートなどのノノエート、アルカンジアミンのNO付加物、低分子量化合物を含むS-ニトロソ化合物(例えば、カプトプリル、グルタチオン、N-アセチルペニシラミンのS-ニトロソ誘導体)及び高分子量化合物(例えば、天然高分子/オリゴマー、オリゴ糖、ペプチド、多糖類、タンパク質、及び合成高分子/オリゴマーのS-ニトロソ誘導体)、並びにC-ニトロソ化合物、L-アルギニン、N-ニトロソ化合物、及びO-ニトロソ化合物。
【0111】
本開示で使用するためのプロスタグランジン及びその類似体の例は、以下の適切な項目から選択することができる:PGE1やPGI2などのプロスタグランジン、ベラプロスト、カルバサイクリン、シプロステン、エポプロステノール、イロプロストなどのプロスタサイクリン類似体。
【0112】
麻薬性鎮痛剤の例には、以下が含まれる:コデイン、フェンタニル、ヒドロモルホネイン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルホン、プロポキシフェン、ペンタゾシンなど、ならびにこれらの組み合わせ及び薬学的に許容される塩、エステル、他の誘導体。
【0113】
非麻薬性鎮痛剤の例には、以下が含まれる:アセトアミノフェンなどの鎮痛剤、及びアスピリン、セレコキシブ、ジフルニサル、ジクロフェナク、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ナプロキセンインドメタシン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダク、トルメチンやバルデコキシブなどの非ステロイド性抗炎症薬。
【0114】
本開示の医療装置、例えば、尿管ステントは、これら又は他の治療薬の1種以上を収容及び放出するように製造され得る。本明細書に列挙されている薬物に加えて、薬物の薬学的に許容される塩、エステル、及び他の誘導体も利用することもできる。本明細書で提供される薬物は、例えば、医療装置のポリマー構成要素に装填することができる。医療装置がステントである場合、薬物は、コイル、コイルに隣接するニット構造、又はニット構造に含浸されるコーティングに取り入れることができる。
【0115】
泌尿器科学的に有益な薬物は、とりわけ、以下を含む様々な方法で薬物放出ステントに付着され得る:(a)ステント構成要素(例えば、モノフィルムコイル、マルチフィラメントニット構造、又はコーティング、スリーブやシース)の内部(バルク)に装填されるもの;(b)ステントの表面(例えば、ステントの一部を形成する、モノフィラメントコイルの表面、マルチフィラメントニット構造の表面、又はコーティング、スリーブやシース)に結合されたもの、ここで、薬物が共有結合相互作用及び/又は非共有結合相互作用のいずれかによって表面に結合される(例えば、ファンデルワールス力、疎水性相互作用、及び/又は静電相互作用などの相互作用、例えば、電荷-電荷相互作用、電荷-双極子相互作用、水素結合を含む双極子-双極子相互作用)、(c)ステント又はその構成要素のすべて又は一部を覆うコーティングとして適用されるもの、(d)ステント又はその構成要素の表面特徴(例えば、くぼみ)に装填されるもの、並びに(e)前述の組み合わせ。
【0116】
薬物放出ステントに付着する泌尿器科学的に有益な薬物の量は、治療的又は予防的有効量であるべきであり、その量は、例えば、特定の薬物及び所望の効果に応じて、1重量%以下から、~2重量%、~5重量%、~10重量%、~25重量%、~50重量%あるいはそれ以上の範囲であり得る。
【0117】
薬物を含む医療装置の一実施形態では、本開示は、哺乳動物の体内に設置するための医療装置を提供し、以下を含む:装置を形成し、装置を通る内腔を画定するポリマーマトリックスであって、ポリマー高分子を含み、ポリマー高分子間の空間を画定するマトリックス;マトリックスの少なくとも一部の空間に含まれる薬物;及び医療装置が哺乳動物の体内に設置されたときにポリマーマトリックスからの薬物の拡散に影響を与えるために、マトリックスの少なくともいくつかの空間内に含まれる材料。任意に、以下の1つ以上は、本開示の医療装置をさらに特徴付けることができる:ポリマー材料と薬物のそれぞれが分子量を持ち、薬物の分子量がポリマー材料の分子量よりも小さい;装置に付着する薬物の量は、装置の重量の0.1~50重量%である;医療装置は尿管ステント又はカテーテルである;ポリマー構成要素は分解性ポリエステルを含む;ポリマー構成要素は疎水性である;薬物を含む空間の少なくとも一部はポリマー材料も含む;薬物はオキシブチニンクロリド又はケトロラクを含む;薬物が付着する材料は、ポリエチレングリコール(PEG)を含む;薬物が生分解性材料に付着している;薬物は、ポリマーマトリックスから拡散する前に薬物が解離しなければならない材料に付着している;ポリマーマトリックスは装置にコーティングされている。
【0118】
したがって、医療装置は、1種以上の薬物を患者の身体に送達するためのビヒクルとして使用することができる。尿管ステント、カテーテル、及び/又は他の医療装置を使用して、患者の体内に装置を完全に又は部分的に設置することにより、薬物をデリバリーすることができる。ポリマーマトリックスで特定の材料と薬物を使用することにより、マトリックスからの薬物の拡散を、従来達成できなかった方法で制御できる。それにより、1種以上の薬物が、(例えば、数日から数ヶ月の範囲の)一定の持続時間にわたって、比較的一定の治療レベルで患者の体に投与され得る。
【0119】
本開示による薬物デリバリー医療装置は、薬物、及び当該装置が人間又は他の哺乳類の体内に設置されたときに薬物のマトリックス外への拡散に影響を与える材料が装填されたポリマーマトリックスから全体的又は部分的に形成されてもよい。装置は、尿管ステント、カテーテル、透析チューブ、カニューレ、尿道ステント、縫合糸、又は体内に(全体的又は部分的に)設置するように設計された他の医療装置であり得る。本開示による装置は、任意に、そのような装填されたポリマーマトリックスで全体的又は部分的にコーティングされてもよい。例えば、疎水性ポリマーマトリックスは、リード線、ステント、又はカテーテルの全部又は一部をコーティングすることができる。
【0120】
別の実施形態では、本開示は、長尺状ステント本体、展開可能な保持構造、及び薬物放出部材を備える尿管ステントを提供し、薬物放出部材は以下から選択される:(i)展開可能な保持構造の少なくとも一部の上に配置される薬物放出材料のスリーブ、(ii)展開可能な保持構造に取り付けられる薬物放出材料のシート、及び(iii)展開可能な保持構造の少なくとも一部の上に配置される材料のスリーブに接続される薬物放出材料のシート。必要に応じて、次の特徴の1つ以上が、この薬物放出性尿管ステントをさらに説明できる:薬物放出材料のスリーブは、展開可能な保持構造の少なくとも一部の上に配置され、任意に、スリーブは生分解性スリーブであり、及び/又はスリーブは熱収縮性スリーブであり、及び/又はスリーブは内径1~4mm、長さ2~500mm、厚さ50~200μmの範囲である;ステントは、展開可能な保持構造に取り付けられた薬物放出材料のシートを含み、任意に、シートは生分解性シートであり、及び/又はシートは弾性シートであり、及び/又はシートは幅2~20mm、長さ2~500mm、厚さ50~200μmの範囲である;ステントは、コイル又はループの形態の保持構造を含み、薬物放出材料のシートは、保持構造の展開時にコイル又はループ領域の大部分に広がる;ステントは、展開可能な保持構造の少なくとも一部の上に配置される材料のスリーブに接続される薬物放出材料のシートを含む;ステントは、尿管を通してデリバリーされ、腎臓で展開されるように構成された腎臓保持構造である保持構造を含み、任意に、保持構造は、保持構造が腎臓にデリバリーできるように、展開中に十分に小さい輪郭に縮小されるように適合される;ステントは、薬物放出材料のシートが取り付けられ、その間に薬物放出材料のシートが保持構造の展開時に位置する複数の長尺状要素を含む保持構造を有する;ステント本体及び展開可能な保持構造は、生体安定性ポリマーを含む。
【0121】
薬物のポリマーへの装填は、とりわけ、材料の性質、ポリマーの量、ポリマーの放出プロファイル、薬物の放出プロファイル、所望の薬物拡散効果、及び所望の薬物デリバリー期間に応じて、装置の約0~20重量%であり得る。一実施形態では、薬物の装填は、装置の約1~10重量%である。
【0122】
ポリマーからの薬物の放出に特に影響を与えるために、ポリマー組成物に材料を添加することができる。そのような材料は以下を含むが、これらに限定されない:スチレンチレン-ブチレン-スチレン(SIBS)、コラーゲン、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、デキストリン、可塑剤、親油性材料及び他の脂肪酸塩、細孔形成剤、糖、グルコース、デンプン、ヒアルロン酸(HA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、及びそれらのコポリマーを含むキレート剤。所望の薬物放出プロファイルを達成するために、様々な放出プロファイルの複数の材料を薬物と共にポリマー組成物に取り入れてもよい。
【0123】
一側面では、本開示は、外側封じ込め層によって部分的に覆われる生体吸収性医療用インプラントを提供し、封じ込め層は非生体吸収性であり、あるいは、少なくとも部分的に生体吸収性であるが、医療用インプラントほど速く分解しない。一実施形態では、インビボで、医療用インプラントは破片に分解し、一方、外層は、インプラントからの破片が通過できないバリアを提供するように十分な構造的完全性を保持する。このようにして、破片は宿主に害を及ぼすことができない局所的な領域に留まるように制限される。実際、破片が分解しても、結果として生じるより小さな破片、及びインプラントの最終的な分子成分は、すべて外側の封じ込め層内に留まり、除去しても安全な場所に一緒に導かれる。
【0124】
[勾配]
一側面では、医療装置は、勾配を有するものとして特徴付けられる。勾配は、方向の関数としての医療装置のいくつかの特性、例えば、組成のバリエーションを指す。この勾配は、勾配に沿った分解の変化を提供する。例えば、医療装置を形成するポリマーの平均分子量は、医療装置の方向に沿って変化し得、それによって、医療装置又はその一部の遠位端にあるポリマーは、医療装置又はその一部の近位端にあるポリマーよりも、高い平均分子量を有する。このようにして、医療装置又はその一部の近位端は、ポリマーがより高い初期平均分子量を有する遠位端よりも速く分解し得る。本開示の医療装置における勾配の提供は、装置の管理された分解のためのメカニズムを提供する。一実施形態では、勾配は、医療装置の機能に影響や効果を与えたりせず、装置の分解プロファイルにのみ影響を与える。医療装置におけるそのような不均一性は、本明細書では医療装置の勾配と呼ばれる場合があり、そのような勾配を有する医療装置は、勾配医療装置と呼ばれる場合がある。
【0125】
任意選択で、本開示のコーティング又は封じ込め層は、勾配を有するという点で特徴付けることができ、それによって、医療装置の一部を覆うコーティング又は封じ込め層は、医療装置の一部の別の部分を覆うコーティング又は封じ込め層とは異なる。コーティング又は封じ込め層におけるそのような不均一性は、本明細書ではコーティング又は封じ込め層の勾配と呼ばれ、そのような勾配を有するコーティングは本明細書では勾配コーティングと呼ばれる場合があり、そのような勾配を有する封じ込め層は勾配封じ込め層と呼ばれる場合がある。
【0126】
勾配は、様々な方法で形成することができる。例えば、異なる分解速度を有する異なる組成物を使用して、医療装置の異なる部分を形成することができる。したがって、比較的高い分解速度を有する組成物を使用して、医療装置の第1の部分を形成することができ、比較的遅い分解速度を有する組成物を使用して、医療装置の第2の部分を形成することができる。このようにして、装置は一部の場所が他の場所よりも速く分解するようになる。
【0127】
別の例として、単一の組成物を使用して、勾配コーティング又は封じ込め層を形成することができる。例えば、単一の組成物を医療装置の第1の部分の上に第1の厚さでコーティングするとともに、同じ組成物を使用して、医療装置の第2の部分の上に第2の厚さを有するコーティングを作成することができる。一般に、より厚いコーティングは、より薄いコーティングよりも長い間医療装置に保持される。すなわち、他のすべての要素が同一として、より厚いコーティングは、より薄いコーティングよりゆっくりと分解する。より厚いコーティングは、例えば、より大きなコーティング厚さが望まれる封じ込め層の領域を繰り返しコーティングすることによって形成され得る。
【0128】
コーティング又は封じ込め層の厚さは、医療用インプラント全体にわたって変化し得る。しかしながら、その最も厚い箇所において、様々な実施形態では、コーティング又は封じ込め層は、10μmを超える、又は20μmを超える、又は30μmを超える、又は40μmを超える、又は50μmを超える、又は60μmを超える、又は70μmを超える、又は80μmを超える、又は90μmを超える、又は100μmを超える、又は110μmを超える、又は120μmを超える、又は130μmを超える、又は140μmを超える、又は150μmを超える、又は160μmを超える、又は170μmを超える、又は180μmを超える、又は190μmを超える、又は200μmを超えるの厚さを有する。最大厚さは、500μm、又は400μm、又は300μm、又は200μm、又は150μm、又は100μmであり得る。
【0129】
コーティング又は封じ込め層の量は、医療用インプラント全体で変化し得る。一側面では、コーティング又は封じ込め層の厚さを特定することに加えて、又はその代わりに、コーティング又は封じ込め層は、医療装置の所定のボリュームにわたって存在する有機ポリマーの量に関して特徴付けることができる。例えば、量は医療装置の平方センチメートル(cm2)あたりのmg有機ポリマーの観点から指定することができる。様々な実施形態では、医療装置を覆うコーティング又は封じ込め層の量は、少なくとも10mg/cm2;又は少なくとも15mg/cm2;又は少なくとも20mg/cm2;又は少なくとも25mg/cm2;又は少なくとも30mg/cm2;又は少なくとも35mg/cm2;又は少なくとも40mg/cm2;又は少なくとも45mg/cm2;又は少なくとも50mg/cm2である。
【0130】
したがって、一実施形態では、本開示は、医療装置と、医療装置の一部を覆う勾配コーティング又は勾配封じ込め層とを含む医療用インプラントを提供する。任意に、勾配コーティング又は封じ込め層は、複数の厚さ、例えば、異なる場所に2、3、4、5、又は5つを超える異なる厚さを含むことができる。異なる位置に複数の厚さを有する勾配コーティング又は封じ込め層は、異なる位置にポリマー組成物の様々な数のコーティング層を有することによって形成され得、したがって、コーティング組成物の複数の層を含むと言える。また、任意に、勾配コーティング又は封じ込め層は、複数の組成物、例えば、異なる位置に2、3、4、5、又は5種を超える異なる組成物を含むことができる。任意に、勾配コーティング又は封じ込め層は、2つ以上の特性、例えば、複数の厚さ及び複数の組成のバリエーションを含んでもよい。
【0131】
厚さ及び組成は、コーティング又は封じ込め層に存在し得るバリエーションの例であるが、これらは単なる例示である。本開示による勾配コーティング又は封じ込め層を作成するために、他の変化、例えば、テクスチャーのバリエーション、親水性のバリエーション、熱安定性のバリエーション、引張強度のバリエーション、及びコーティング又は封じ込め層に繊維が含まれる場合の繊維密度のバリエーションなどを使用できる。
【0132】
一実施形態では、封じ込め層は、1つ又は複数の有機ポリマーから作製される。封じ込め層は完全に非生分解性であってもよい。しかし、別の実施形態では、封じ込め層は生分解性であるが、医療装置よりも遅い速度で分解する。このようにして、医療装置が破片に分解する場合、封じ込め層はその構造的完全性を維持し、破片が宿主に害を及ぼさないさらに小さな破片に分解し、及び/又は医療装置のポリマー及び/又はモノマー成分に分解するのに十分な時間の間限られた空間内で破片を一緒に保持する。
【0133】
一実施形態では、封じ込め層は、医療装置上のコーティングである。コーティングは、医療装置の位置保持端に存在し得る。コーティングは完全に非生分解性であってもよい。しかし、別の実施形態では、コーティングは生分解性であるが、医療装置よりも遅い速度で分解する。このようにして、医療装置が破片に分解する場合、コーティングはその構造的完全性を維持し、破片が宿主に害を及ぼさないさらに小さな破片に分解し、及び/又は医療装置のポリマー及び/又はモノマー成分に分解するのに十分な時間の間限られた空間内で位置保持端破片を一緒に保持する。
【0134】
ポリマー溶液が医療装置上にコーティングを形成するために使用される場合、溶液中のポリマーの濃度は、考慮すべき要素である。コーティング又は封じ込め層を形成するためにその装置がポリマーで浸漬、引き、又は他の方法でコーティングされる場合、より高い濃度のポリマーは、医療装置の表面により多くのポリマーを堆積する傾向がある。
【0135】
封じ込め層は、生分解中に形成される装置の破片に起因する損傷又は傷害又は外傷から宿主を保護することが望まれる医療装置の部分に配置される。例えば、宿主に埋め込まれるステントの場合、ステントが部分的に宿主の腎臓内に配置され、部分的に腎臓の外側に配置されるので、崩壊するステントの断片が腎臓に消えて腎臓結石を起こすことがないことが望ましい。したがって、腎臓内に配置されるステントの部分は、封じ込め層を提供するようにコーティングされ得、腎臓の外に配置されるステントの部分、例えば、ステントの主中心管を形成する全体的に管状の構造は、封じ込め層を持たなくてもよい。このようにして、閉じ込め層は、医療装置の一部のみに存在する。
【0136】
本開示は、崩壊プロセスによって、すなわち、装置が破片に分解するプロセスによって分解するすべての医療装置に、封じ込め層を設けることができることを提示する。このタイプの例示的な装置は、尿管ステントとも呼ばれる尿管内ステントである。ステントは生分解性及び崩壊性があり、最初は所定の期間、最適な尿管開通性を維持する。ただし、この期間が終わると、ステントは小さな破片に分解し始める。それらの破片の移動を防ぐために(特にこれらの破片がステントの位置保持端の一部を形成する場合)、ステントの位置保持端は、少なくとも部分的に封じ込め層によって包まれている。層は十分な完全性を保持しているため、小さな破片が形成され、その後無害な破片に分解されるか、ポリマー又は分子成分に分解される間、封じ込め層はこれらの小さな破片を格納する。したがって、封じ込め層は、ステントの分解時に形成される小さな破片から宿主を保護するように機能する。封じ込め層はまた、体から容易に排出されない剛性破片との接触から宿主を保護する。
【0137】
一実施形態では、本開示は、ステントの異なる場所で多様な特性を有する尿管ステントを提供するが、ステント及びその構成要素は、複数のセグメントから組み立てられるわけではない。むしろ、ステントは単一の均一な構成物から組み立てられ、次にその構成物は、構成物の異なる場所で多様な特性を提供するように改質される。多様な特性は、生分解性、放射線不透過性、剛性若しくは可撓性、及び治療薬の装填を含む1種以上の特性であり得る。多様な特性は、本明細書に開示されるような方法によって、例えば、宿主に埋め込まれる前にステント又はその構成要素を選択的に分解することによって、及び本明細書に開示される他の方法によって作り出される。このようにして、医療装置の改質されていない部分と比較して、より高いインビボ安定性(HIVS)又はより低いインビボ安定性(LIVS)を有するバンドを作成することができる。一実施形態では、非改質材料のバンドは、それらが隣接する非修飾バンドと比較してより低いインビボ安定性(LIVS)を有するように誘導し、それによりLIVSバンドを生成するために処理される。別の実施形態では、非改質材料のバンドは、それらが隣接する非修飾バンドと比較して高いインビボ安定性(HIVS)を有するように誘導し、それによりHIVSバンドを生成するために処理される。
【0138】
一実施形態では、医療装置はステントであり、ステントは、少なくとも1つの位置保持端を有するように設計された繊維強化エラストマーフィルムの構成物であり、繊維強化材は、(a)モノフィラメントコイルと緯編チューブマルチフィラメント糸の組み合わせ;(b)モノフィラメントコイルと編組マルチフィラメント糸の組み合わせ;(c)編組又は緯編モノフィラメント糸を含むチューブ;又は(d)チューブ状の緯編又は編組モノフィラメント糸である。
【0139】
さらに別の実施形態では、ステントは、少なくとも1つの位置保持端を有するように設計された繊維強化エラストマーフィルムの構成物であり、ここで、繊維強化材は、モノフィラメントとニット又は編組マルチフィラメント糸との組み合わせであり、繊維強化エラストマーフィルムは、患者の尿管の直径よりも小さい直径を有する中央の主要構成要素を有する管の形態であり、各位置保持端は、主要な中央構成要素及び横方向融合管の最初の部分的に重なり合う二重管状端で形成された2つの自由に横方向に変形可能な構成要素を定義し、これは、半径方向及び軸方向にカットされ、主要な中央管の無傷な半円筒形の延長部に取り付けられた2つの過度に延長されたフラップを形成する。
【0140】
さらに別の実施形態では、ステントは、少なくとも1つの位置保持端を有するように設計された繊維強化エラストマーフィルムの構成物であり、ここで、繊維強化材は、モノフィラメント糸、又はニットもしくは編組マルチフィラメント糸との組み合わせであり、繊維強化エラストマーフィルムは、患者の尿管の直径よりも小さい直径を持ち、少なくとも1つの位置保持端を持つチューブの形態であり、位置保持端は、患者の尿管と同等の長さを有し、変形応力がない場合に主要管に対して30度を超える角度を維持する可撓性ヒンジを含む主要管の角度付き部分である。
【0141】
別の実施形態では、ステントは、患者の体内の定位置にステントを保持するのを助けるように構成された保持部分;及び当該保持部分から延びる長尺部分を含み、長尺部分は内腔を画定する側壁を有し、側壁は第1のセクションと第2のセクションを有し、側壁の第1のセクションは第1の厚さを有し、側壁の第2のセクションは第1の厚さとは異なる第2の厚さを有する。任意に、ステントは、以下の1つ以上によってさらに特徴付けられ得る:保持部分は患者の腎臓内に配置されるように構成される;保持部分は第1の保持部分であり、ステントはさらに、患者の体内の適所にステントを保持するのを助けるように構成された第2の保持部分を含む;側壁の第1のセクションは環状リングを形成する;側壁の第1のセクションはらせんを形成する;側壁の第1のセクションはディンプルを形成する;側壁は第3の部分を有し、側壁の第2の部分は、側壁の第1の部分と側壁の第3の部分との間に配置される;側壁は第3の部分を有し、第3の部分は第2の厚さとは異なる厚さを有し、側壁の第2の部分は側壁の第1の部分と側壁の第3の部分との間に配置される;側壁は、第3の部分を有し、側壁の第2の部分は、側壁の第1の部分と側壁の第3の部分との間に配置され、第3の部分は、第3の厚さを有し、第2の厚さは第1の厚さより大きく、第2の厚さは第3の厚さより大きい;側壁の第1の部分は、第1のセクションと第2のセクションを有し、第1の部分の第1のセクションは、第1の方向に回転するらせんを形成し、第1の部分の第2のセクションは、第1の方向とは異なる第2の方向に回転するらせんを形成する。このステントは、その任意の実施形態を含めて、ステントが宿主内に設置されたときに管理された分解を示すために、本明細書に開示されている手法によって改質することができる。例えば、スリットにスリットを形成して、分解を促進する部位を提供することができる。
【0142】
別の実施形態では、ステントは、患者の体内の定位置にステントを保持するのを助けるように構成された保持部分;及び当該保持部分から延びる長尺部分を含み、長尺部分は第1の部材及び第2の部材を有し、第1の部材は内腔を欠いており、第2の部材は内腔を欠いており、第1の部材及び第2の部材は絡み合っている。別の実施形態では、ステントは、ステントを患者の体内の定位置に保持するのを助けるように構成された保持部分と、保持部分から延びる、拡張構成及び名目構成を有する長尺部分を含み、長尺部分は、長尺部分の第1の端部分から長尺部分の第2の端部分まで延びる内腔を画定する側壁を有し、側壁は、チャンバを画定し、チャンバは、流体を受け取り、長尺部分をその拡張構成に配置するように構成される。この場合も、これらのステントのいずれかは、ステントが宿主内に設置されたときに管理された分解を示すために、本明細書に開示されている手法によって改質することができる。
【0143】
別の実施形態では、ステントは、少なくとも1つの位置保持端を有するように設計された繊維強化エラストマーフィルムの構成物であり、ここで、繊維強化材は、モノフィラメントと、ニットもしくは編組マルチフィラメント糸との組み合わせであり、繊維強化エラストマーフィルムは、患者の尿管の直径よりも小さい直径を有する中央の主要構成要素を有する管状であるとともに少なくとも1つの位置保持端を持ち、ここで、位置保持端は中央の主要管の非常に可撓性の延長部であり、患者の尿管に挿入した後、がん首状になるが、アプリケーターを使用した挿入時に中央の主要管と同一直線上にできる。
【0144】
別の実施形態では、ステントは、第1の部分及び第2の部分を有する長尺部材を含み、第2の部分は、単一の内腔を画定する側壁を有し、第1の部分は、第2の部分に結合され、第1の部分は、患者の腎臓内に配置されるように構成され、長尺部材の第2の部分の側壁は、毛管作用及びウィッキングの少なくとも1つを介して、第2の部分の側壁の第1の位置から第2の部分の側壁の第2の位置に流体をデリバリーするように構成される。長尺部材の第2の部分は、患者の膀胱及び患者の尿管のうちの少なくとも1つ内に配置されるように構成され、第1の部分の少なくとも一部は、内腔内に配置される。任意に、次の特徴の1つ以上でこのステントをさらに特徴付けることができる:長尺部材の第2の部分は、マルチストランド材料で構成される;長尺部材の第2の部分は糸で構成されている;長尺部材の第2の部分は、編組チューブ構成及び長い織物ストリップ構成からなる群から選択される構成を有する;長尺部材の第2の部分は、硫酸バリウムを高充填した溶融紡糸ポリプロピレンで構成されている;ステントは、患者の膀胱内に配置されるように構成された近位保持構造をさらに含み、近位保持構造は、長尺部材の第2の部分に結合されている;ステントは、患者の腎臓内に配置されるように構成された遠位保持構造をさらに含み、遠位保持構造は、長尺部材の第1の部分に結合されている;第1の部分は、締まりばめを介して第2の部分に結合される;長尺部材の第2の部分は、実質的に中実の管状形状を有する;長尺部材の第2の部分は実質的に可撓性である;長尺部材の第1の部分は実質的に剛性である;長尺部材の第2の部分は、長尺部材の第1の部分よりも可撓性である。このステントは、その任意の実施形態を含めて、本開示に従って管理された分解を示すように改質することができる。
【0145】
別の実施形態では、医療装置は、尿管ステントであり、以下を含む:第1の部分及び第2の部分を有する長尺部材、第2の部分は実質的に中実の円筒形状を有し、第1の部分は第2の部分に結合され、第1の部分は患者の腎臓内に配置されるように構成され、第1の部分は、第1の部分が患者の腎臓及び尿管の少なくとも1つで終わるような長さを有し、長尺部材の第2の部分は、毛管作用及びウィッキングの少なくとも1つを介して、第2の部分の第1の場所から第2の場所の第2の場所に流体をデリバリーするように構成され、長尺部材の第2の部分は、患者の膀胱及び患者の尿管のうちの少なくとも1つの中に配置されるように構成される。このステントは、本開示に従って管理された分解を示すように改質することができる。
【0146】
別の実施形態では、ステントは少なくとも1つのフィラメントを含み、このフィラメントは長手方向軸を有し、生体吸収性ポリマー材料を含む材料から形成される。生体吸収性ポリマー材料内のポリマー分子は、フィラメントの長手方向軸に対して整列したらせん配向を有し得る。ステントは、患者へのステントの埋め込み又は挿入時に、患者によって少なくとも部分的に生体吸収される。例えば、ステントは以下を含み得る:編組又は織り構成;ステントの近位端又は遠位端の一方のフレア端部分;及び長手方向軸を有し、配向された生体吸収性ポリマー材料を含む少なくとも1つのフィラメント、ここで、生体吸収性ポリマー材料内のポリマー分子は、少なくとも1つのフィラメントの長手方向軸に対して整列したらせん配向を有する。任意に、以下の1つ以上でステントについてさらに記述できる:近位端及び遠位端はフレア端部分を含む;少なくとも1つのフィラメントは、ステントの長さの少なくとも一部に沿ってらせん状に巻き付けられる;ステントは複数のフィラメントを含み、任意に、当該複数のフィラメントがステントの長さの少なくとも一部に沿ってらせん状に巻き付けられ、さらに任意に、当該複数のフィラメントの第1の部分が第1の方向に沿ってらせん状に巻き付けられ、当該複数のフィラメントの第2の部分が第1の方向の反対方向にらせん状に巻き付けられる;複数のフィラメントは、ステントの長さの少なくとも一部に沿って編組され、らせん状に巻き付けられる;ステントはステンレス鋼又はニチノールのフィラメントを含む。ステントは12~36本のらせん状フィラメントを含む;ここで、任意に6~18のフィラメントがらせん状であり、互いに軸方向に変位しており、らせんは第1の方向に延び、そして、同数のフィラメントが、第1の方向とは反対の第2の方向に延びるらせんを含み、フィラメントは、ステントの長手方向軸の周りに均一に配置される;配向された生体吸収性ポリマー材料は、単一の生体吸収性ポリマー又は生体吸収性ポリマーのブレンドを含む;配向された生体吸収性ポリマー材料は、ポリ(α-ヒドロキシ酸)ホモポリマー、ポリ(α-ヒドロキシ酸)コポリマー及びそれらのブレンドから選択されるポリマーを含む;配向された生体吸収性ポリマー材料は、ポリグリコリド、ポリ-L-ラクチド、ポリ-D-ラクチド、ポリ-DL-ラクチド、及びそれらのブレンドから選択されるポリマーを含む;配向された生体吸収性ポリマー材料は、0.1~20%の範囲の結晶化度を有する;少なくとも1つのフィラメントは、配向された生体吸収性ポリマー材料のコアを含む;少なくとも1つのフィラメントは、配向された生体吸収性ポリマー材料のコーティングを含む;ステントは、幾何学的な菱形のセルのパターンを形成するように配置された複数の配向フィラメントを含む;複数のフィラメントを相互に巻き付けて、インターロッキングジョイントを形成する;少なくとも1つのフィラメントは治療薬を含む;ステントは、冠血管ステント、末梢血管ステント、尿道ステント、尿管ステント、胆管ステント、気管ステント、胃腸ステント及び食道ステントから選択される。
【0147】
別の任意の実施形態は、少なくとも1つの位置保持端を有するように設計された繊維強化エラストマーフィルムの構成物であるステントを提供する。繊維強化材は、モノフィラメント糸、又はニット若しくは編組マルチフィラメント糸との組み合わせであり、繊維強化エラストマーフィルムは、少なくとも1つの位置保持端を有する管の形態である。保持端は、広い断面において主要管の直径を超える直径を有する逆円錐形であり、アプリケーターで径方向の圧縮力を加えると、可逆的に圧縮されて主要管の直径(これも、患者の尿管の直径より小さい)に一致するようになる。逆円錐が部分的にスリットされていることが好ましく、これによりアプリケーターでの挿入時に半径方向の圧縮を容易にするための、少なくとも2つの小葉、好ましくは3つから5つの小葉を有する円錐壁をもたらす。
【0148】
さらに別の実施形態は、少なくとも1つの位置保持端を有するように設計された繊維強化エラストマーフィルムの構成物を提供する。繊維強化材は、モノフィラメント糸と、ニット若しくは編組マルチフィラメント糸との組み合わせであり、エラストマーフィルムは、患者の尿管の直径よりも小さい直径を有する中央の主要構成要素を有する管状であるとともに少なくとも1つの位置保持端を持ち、ここで、位置保持端は、軸方向にスリットのある涙滴状断面を持つ非対称逆円錐(涙滴の頂点で、広い断面において主要管の平均直径を超える平均直径を有する)であり、このスリット非対称円錐は、アプリケーターで径方向の圧縮力を加えると、可逆的に圧縮されて中央の主要管の直径に一致するようになる。
【0149】
さらに別の任意の実施形態では、ステントは、繊維強化エラストマーフィルムの構成物であり、繊維強化材は、モノフィラメント糸、又はニット若しくは編組マルチフィラメント糸との組み合わせであり、強化されたエラストマーフィルムは管状で、中央の主要構成要素が一方向的に長手方向に圧縮されており、伸縮式の管は、外側に拡張したときに患者の尿管の断面よりも小さい円形の断面を有し、少なくとも1つの位置保持端を有する。位置保持端は一方向的に圧縮されており、伸縮式で、涙滴状断面形状と当該涙滴の頂点にある(中央の主要管のクリンプと同一線上にある)クリンプを持つ非対称逆円錐であり、外向きに拡張すると、逆円錐の平均直径が中央の主要管の平均直径を超える。
【0150】
任意に、繊維強化エラストマーフィルムは、ポリエチレングリコールと、次によって表される群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとから作製されるセグメント化コポリマーから形成される:L-ラクチド、イプシロン-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、モルホリン-ジオン、p-ジオキサノン、及び1,5-ジオキサパン-2-オン。任意に、フィルムは、イプシロン-カプロラクトンとグリコリドの混合物から形成される。任意に、フィルムは、L-ラクチドとグリコリドの混合物から形成される。エラストマー膨潤性フィルム組成物の例示的な組成物は、高分子量(20~35kDa)ポリエチレングリコール(PEG)及びイプシロン-カプロラクトン/グリコリドの95/5(モル)混合物の結晶性コポリマーであり、ここで、コポリマーのPEG成分の重量パーセンテージは約10%である。
【0151】
エラストマーフィルム組成物の別の例示的な組成物は、2つの工程で作製される結晶性セグメント化コポリマーである。第1工程は、開始剤及び触媒としてそれぞれトリエタノールアミン及びオクタン酸第一スズの存在下での重合により、イプシロン-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート及びグリコリドから作製されるアモルファス又は低融点コポリマーの形成を伴う。第2工程では、第1工程の生成物を、L-ラクチドとイプシロン-カプロラクトンの混合物と反応させて、結晶性三軸最終共重合体を生成する。
【0152】
任意で、フィルムは、電界紡糸繊維から調製されてもよい。また任意に、繊維強化エラストマーフィルムは、モノフィラメント糸(任意にニット又は編組マルチフィラメント糸と組み合わせられる)を含み又は含有することができ、ここで、強化されたモノフィラメント糸は、L-ラクチド、イプシロン-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、モルホリン-ジオン、p-ジオキサノン、及び1,5-ジオキサパン-2-オンで表される群から選択される少なくとも2種の環状モノマーから作製されるセグメント化コポリマーから形成される。任意に、L-ラクチド、イプシロン-カプロラクトン、及びトリメチレンカーボネートから形成され、比較的ゆっくり分解する組成物である。任意に、グリコリド、イプシロン-カプロラクトン、及びトリメチレンカーボネートから形成され、比較的早く分解する組成物である。
【0153】
強化用モノフィラメント糸はまた、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、及び吸収性リン酸塩ガラスからなる群から選択される少なくとも1種の材料の無機微粒子分散相と、L-ラクチド、イプシロン-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパン-2-オン、モルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも2種の環状モノマーから作製される結晶性セグメント化コポリマーの吸収性ポリマーマトリックスとの複合物であってもよい。さらに、強化用モノフィラメント糸は、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、及び吸収性リン酸塩ガラスからなる群から選択される少なくとも1種の材料の無機微粒子分散相と、並びに、ポリエチレングリコールと、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとの結晶性セグメント化コポリマーの吸収性ポリマーマトリックスとの複合物であってもよい。
【0154】
さらに別の任意の実施形態では、本開示は、少なくとも1つの位置保持端を有するように設計された繊維強化エラストマーフィルムの構成物である、生体吸収性かつ崩壊性の多成分尿管内ステントを提供する。ここで、繊維強化材は、モノフィラメント糸、又はニットマルチフィラメント若しくは編組糸との組み合わせであり、強化用ニット又は編組マルチフィラメント繊維は、結晶性セグメント化コポリマーから形成される。そのようなコポリマーの例示的な組成は、2つの工程で作製された三軸コポリマーである。第1工程では、開始剤と触媒としてそれぞれトリメチロールプロパンとオクタン酸第一スズの存在下で、イプシロン-カプロラクトン及び/又はトリメチレンカーボネートを使用して、アモルファス又は低融点の三軸プレポリマーの形成を伴う。第2工程では、第1工程の生成物を、グリコリド、あるいはグリコリドとイプシロン-カプロラクトン及び/又はトリメチレンカーボネートとの混合物と反応させる。別の例示的な組成物は、ニット又は編組マルチフィラメント糸の製造に使用するためのコポリマーであり、このコポリマーは、ポリエチレングリコールと、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、モルホリン-ジオン、p-ジオキサノン、及び1,5-ジオキサパン-2-オンで表される群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとから(好ましくは、ポリエチレングリコール、L-ラクチド、及びトリメチレンカーボネートから、より好ましくはL-ラクチドとトリメチレンカーボネートとのセグメント化コポリマーから)作製される結晶性コポリマーである。任意に、コポリマーはグリコリドとトリメチレンカーボネートから作製され、糸に比較的速い分解プロファイルを提供する。
【0155】
したがって、一実施形態では、本発明は、少なくとも1つの位置保持端を有するように設計された繊維強化エラストマーフィルムの構成物である、吸収性かつ崩壊性の多成分尿管内ステントを提供する。ここで、繊維強化材は、モノフィラメントコイルと、編組マルチフィラメント糸との組み合わせであり、フィルムは、ポリエチレングリコールと、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、p-ジオキサノン、1,5-ジオキサパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとから作製される結晶性セグメント化コポリマーから形成される。フィルムはまた、L-ラクチドと、グリコリド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとから作製される結晶性セグメント化コポリマーから形成されてもよい。
【0156】
さらに、本発明は、少なくとも1つの位置保持端を有するように設計された繊維強化エラストマーフィルムの構成物である、吸収性かつ崩壊性の多成分尿管内ステントを提供する。ここで、繊維強化材は、モノフィラメントコイルと、編組マルチフィラメント糸との組み合わせであり、モノフィラメント糸は、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、モルホリンジオン、p-ジオキサノン、及び1,5-ジオキサパン-2-オンからなる群から選択される少なくとも2種の環状モノマーとから作製される結晶性セグメント化コポリマーから形成される。あるいは、強化用モノフィラメント糸は、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、及び吸収性リン酸塩ガラスからなる群から選択される少なくとも1種の材料の無機微粒子分散相と、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも2種の環状モノマーから作製される結晶性セグメント化コポリマーの吸収性ポリマーマトリックスとの複合物である。強化用モノフィラメント糸は、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、及び吸収性リン酸塩ガラスからなる群から選択される少なくとも1種の材料の無機微粒子分散相と、並びに、ポリエチレングリコールと、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとの結晶性セグメント化コポリマーの吸収性ポリマーマトリックスとの複合物であってもよい。
【0157】
したがって、本開示はまた、少なくとも1つの位置保持端を有するように設計された繊維強化エラストマーフィルムの構成物である、吸収性かつ崩壊性の多成分尿管内ステントである任意の実施形態も提供する。ここで、繊維強化材は、モノフィラメントコイルと、編組マルチフィラメント糸との組み合わせであり、強化用編組マルチフィラメント繊維は、ポリエチレングリコールと、L-ラクチド、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、グリコリド、p-ジオキサノン、モルホリンジオン、及び1,5-ジオキサパン-2-オンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとから作製される結晶性セグメント化コポリマーから形成される。あるいは、強化用編組マルチフィラメント管は、L-ラクチドと、グリコリド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとから作製される結晶性セグメント化コポリマーから作製される。
【0158】
別の実施形態では、本開示は、ステントが、少なくとも1つの位置保持端を有するように設計された繊維強化エラストマーフィルムの構成物であることを提示する。ここで、繊維強化材は、編組又は緯編モノフィラメント糸の管であり、繊維強化フィルムは管状であり、中央の主要構成要素が患者の尿管の直径よりも小さく、少なくとも1つの位置保持端がある。位置保持端は中央の主要管の非常に可撓性延長であり、患者の尿管に挿入した後、中央の主要管の軸に平行な開口端を持つループ形状になるが、このループはアプリケーターを使用した挿入時に中央の主要管と同一直線上にできる。組み立てられたステントのフィルム構成要素は、ポリエチレングリコールと、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、p-ジオキサノン、1,5-ジオキサパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとから作製される結晶性セグメント化コポリマーから形成される。あるいは、フィルムは、L-ラクチドと、グリコリド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p-ジオキサノン及び1,5-ジオキセパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとから作製される結晶性セグメント化コポリマーから形成される。
【0159】
別の実施形態では、本開示は、ステントが、少なくとも1つの位置保持端を有するように設計された繊維強化エラストマーフィルムの構成物であることを提示する。ここで、繊維強化材は、編組又は緯編モノフィラメント糸の管であり、強化用編組又は緯編モノフィラメント糸は、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、モルホリンジオン、p-ジオキサノン、及び1,5-ジオキサパン-2-オンからなる群から選択される少なくとも2種の環状モノマーとから作製される結晶性セグメント化コポリマーから形成される。あるいは、強化用編組又は緯編モノフィラメント糸は、ポリエチレングリコールと、L-ラクチド、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、グリコリド、p-ジオキサノン、モルホリンジオン、及び1,5-ジオキセパン-2-オンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとから作製される結晶性セグメント化コポリマーから形成される。強化用編組又は緯編モノフィラメント糸はまた、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、及び吸収性リン酸塩ガラスからなる群から選択される少なくとも1種の材料の無機微粒子分散相と、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも2種の環状モノマーから作製される結晶性セグメント化コポリマーの吸収性ポリマーマトリックスとの複合物である。さらに、強化用編組又は緯編モノフィラメント糸は、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、及び吸収性リン酸塩ガラスからなる群から選択される少なくとも1種の材料の無機微粒子分散相と、並びに、ポリエチレングリコールと、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとの結晶性セグメント化コポリマーの吸収性ポリマーマトリックスとの複合物であってもよい。
【0160】
任意に、ステントは、少なくとも1つの位置保持端を有するように設計された繊維強化エラストマーフィルムの構成物であり、繊維強化材は、横編又は緯編モノフィラメント骨格であり、そこからの強化構造は、患者の尿管の直径よりも小さい直径を有する中央の主要構成要素と、少なくとも1つの位置保持端とを含む管の形態である。位置保持端は、徐々に中央の主要管の断面より広い断面を提供するように設計された一連の直径を持つ逆円錐であり、管状アプリケーターを使用して尿生殖路への挿入時に径方向の圧縮力を加えると、可逆的に圧縮されて中央の主要管と径方向に一致するようになる。フィルムは、ポリエチレングリコールと、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、p-ジオキサノン、1,5-ジオキサパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとから作製される結晶性セグメント化コポリマーから形成される。あるいは、フィルムは、L-ラクチドと、グリコリド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p-ジオキサノン、及び1,5-ジオキセパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとから作製される結晶性セグメント化コポリマーから形成される。強化用緯編又は編組モノフィラメント糸は任意に、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、モルホリンジオン、p-ジオキサノン、及び1,5-ジオキサパン-2-オンからなる群から選択される少なくとも2種の環状モノマーとから作製される結晶性セグメント化コポリマーから形成される。あるいは、強化用編組又は緯編モノフィラメント糸は、ポリエチレングリコールと、L-ラクチド、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、グリコリド、p-ジオキサノン、モルホリンジオン、及び1,5-ジオキセパン-2-オンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとから作製される結晶性セグメント化コポリマーから形成される。
【0161】
別の任意の実施形態では、ステントは、少なくとも1つの位置保持端を有するように設計された繊維強化エラストマーフィルムの構成物であり、繊維強化材は、緯編又は編組モノフィラメント骨格であり、そこからの強化構造は、患者の尿管の直径よりも小さい直径を有する中央の主要構成要素と、少なくとも1つの位置保持端とを含む管の形態である。位置保持端は、徐々に中央の主要管の断面より広い断面を提供するように設計された一連の直径を持つ逆円錐であり、管状アプリケーターを使用して尿生殖路への挿入時に径方向の圧縮力を加えると、可逆的に圧縮されて中央の主要管と径方向に一致するようになる。強化用緯編又は編組モノフィラメントは、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、及び吸収性リン酸塩ガラスからなる群から選択される少なくとも1種の材料の無機微粒子分散相と、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも2種の環状モノマーから作製される結晶性セグメント化コポリマーの吸収性ポリマーマトリックスとの複合物である。あるいは、強化用編組又は緯編モノフィラメント糸は、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、及び吸収性リン酸塩ガラスからなる群から選択される少なくとも1種の材料の無機微粒子分散相と、並びにここで、ポリエチレングリコールと、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとの結晶性セグメント化コポリマーの吸収性ポリマーマトリックスとの複合物である。
【0162】
別の実施形態では、本開示は、少なくとも1つの位置保持端を有するように設計された繊維強化エラストマーフィルムの構成物である、吸収性かつ崩壊性の多成分尿管内ステントを提供する。ここで、繊維強化材は、緯編モノフィラメント糸であり、強化構造は、患者の尿管の直径よりも小さい直径を有する中央の主要構成要素と、少なくとも1つの位置保持端とを含む管の形態である。位置保持端は中央の主要管の非常に可撓性の延長であり、患者の尿管に挿入した後、中央の主要管の軸に平行な開口端を持つループ形状になるが、このループはアプリケーターを使用した挿入時に中央の主要管と同一直線上にできる。フィルムは、結晶性セグメント化エラストマー性の高L-ラクチドコポリマーから形成され、モノフィラメントは、グリコリド、ε-カプロラクトン及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとのセグメント化L-ラクチドコポリマーから形成される。モノフィラメントは、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、及び吸収性リン酸塩ガラスの群から選択される微粒子無機フィラーを含む。
【0163】
一実施形態では、医療装置は、長手方向軸と配向された生体吸収性ポリマー材料とを有するフィラメントを含むステントである。ここで、生体吸収性ポリマー材料内のポリマー分子は、フィラメントの長手方向軸に対して整列したらせん配向を持ち、ステントの患者への埋め込み又は挿入時に、ステントは少なくとも部分的に患者によって生体吸収される。任意の実施形態では、以下の1つ以上の特徴は、医療装置をさらに特徴付けることができる:a)フィラメントは、ステントの長さの少なくとも一部に沿ってらせん状に巻き付けられる;b)ステントは複数の前記フィラメントを含み、任意に、当該複数のフィラメントがステントの長さの少なくとも一部に沿ってらせん状に巻き付けられ、任意に、複数の当該フィラメントが第1の方向に沿ってらせん状に巻き付けられ、複数の当該フィラメントが反対方向にらせん状に巻き付けられる;c)フィラメントは編組フィラメントである;複数の当該編組フィラメントは、ステントの長さの少なくとも一部に沿って編組され、らせん状に巻き付けられる;d)フィラメントはニットフィラメントである;e)当該複数のフィラメントはニットフィラメントである;配向された生体吸収性ポリマー材料は、単一の生体吸収性ポリマー又は生体吸収性ポリマーのブレンドのいずれかを含む;f)配向された生体吸収性ポリマー材料は、ポリ(アルファ-ヒドロキシ酸)ホモポリマー、ポリ(アルファ-ヒドロキシ酸)コポリマー及びそれらのブレンドから選択されるポリマーを含む;g)配向された生体吸収性ポリマー材料は、ポリグリコリド、ポリ-L-ラクチド、ポリ-D-ラクチド、ポリ-DL-ラクチド、及びそれらのブレンドから選択されるポリマーを含む;h)配向された生体吸収性ポリマー材料は、0.1~20%の範囲の結晶化度を有する;i)フィラメントは、配向された生体吸収性ポリマー材料のコアを含む;j)ステントは、冠血管ステント、末梢血管ステント、尿道ステント、尿管ステント、胆管ステント、気管ステント、胃腸ステント及び食道ステントから選択される。
【0164】
任意選択で、ステントは、開通性を維持し、インプラント後少なくとも2日間、又はインプラント後2~3週間、適用部位に留まることができるか、又はインプラント部位にある7週間後に分解し、又は90日後に大きく分解し、又は4ヶ月後に完全に分解する。任意に、医療装置、例えば尿管ステントは、宿主内に設置されてから少なくとも最初の48時間は無傷のままである。インプラント後7日間は、医療装置は一体の装置として宿主から再設置又は除去できることが好ましい。インプラント後約1週間で、医療装置がHIVS断片を生成し始める場合があるが、一部の患者では、断片化が発生するまでに多少時間が前後し得る。典型的には、インプラント後2週目~3週目の間に、HIVSフラグメントが形成され、例えば、医療装置が尿管ステントである場合には排泄により、医療装置から分離される。断片化はさらに数週間(例えば、インプラント後4週目~6週目)続く場合がある。任意に、医療用インプラントの大部分は、設置後約90日(約12~13週間)までに患者から排出される。医療装置の一部は、最大約120日間宿主内に留まる場合がある。
【0165】
本開示は、以下の追加の例示的な実施形態を提供する。
【0166】
一実施形態では、医療装置は、生分解性尿管内ステントである。ステントは、管状エラストマーフィルム及び管状繊維強化材を含み、管状エラストマーフィルムは、管状繊維強化材を覆う単一の管である。ステントは、任意に、少なくとも1つの位置保持端を有する。装置は、患者の尿管の直径よりも小さい直径を有する中央主要管を有し、少なくとも1つの位置保持端は、存在する場合、中央主要管の延長である。中央の主要管は、全体的に管状の構造であり、全体的に管状の構造は、内腔を取り囲む側壁を含み、当該構造の遠位端から近位端までの内腔の長さに沿って長手方向軸が延びる。管状の構造は、複数のバンドであって、それぞれが前記長手方向軸を取り囲み、遠位側及び近位側を有する複数のバンドをさらに含む。複数のバンドは、比較的低いインビボ安定性バンドによって互いに分離される、比較的高いインビボ安定性を含む。ステントは、患者の尿管内に配置され、患者の腎臓から膀胱まで延在し、任意に少なくとも1つの位置保持端によって所定の位置に保持されるように構成される。1つの構造では、フィルムは繊維強化材を強化及び含浸し、繊維強化材は、モノフィラメント又はマルチフィラメント糸によるニット又は編組管(これが、一緒に全体的に管状の構造の内腔を囲む側壁を形成する)上に配置されたモノフィラメントコイルを含む。フィルム及び繊維強化材はそれぞれ、少なくとも1種の環状モノマーを含む吸収性の結晶性セグメント化コポリマーを含み得る。フィルムと繊維強化材は単独で、尿管の開通性を維持できる。
【0167】
一実施形態では、本開示の尿管内ステントは、膀胱鏡を患者の尿道を通して患者の膀胱に挿入することによって設置することができる。臨床医は膀胱鏡を使用して、尿管が膀胱につながる開口部を見つける。臨床医は、本開示の尿管内ステントを膀胱鏡を通して患者の尿管に通し、ステントのカールが患者の腎臓に入ると、ステントの反対側の端にあるもう1つのカールが患者の膀胱に残るようにする。ステント設置後、膀胱鏡を取り外す。
【0168】
上記のように、本開示の生分解性尿管内ステントは、それぞれが長手方向軸を取り囲み、遠位側及び近位側を有する複数のバンドを含む。複数のバンドは比較的低いインビボ安定性バンドによって分離された比較的高いインビボ安定性バンドを含む。中央の主要管とも呼ばれる全体的に管状の構造は、管の近位端-(LIVS-HIVS)n-LIVS-管遠位端として特定され得、又は管の近位端-(HIVS-LVS)n-HVS-管の遠位端として特定され得る。どちらの場合でも、nはLIVS-HIVS繰り返し単位の数を指し、少なくとも1から約100までの整数である。任意に、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10から選択される。任意に、nは2、3、4、5、6、7、8、9、又は10から選択される。任意に、nは3、4、5、6、7、8、9、又は10から選択される。任意に、nは4、5、6、7、8、9、又は10から選択される。この実施形態では、管状の構造は、比較的高いインビボ安定性と比較的低いインビボ安定性の交互のバンドを含む。
【0169】
以下のオプションはまた、本開示の尿管内ステントをさらに定義し得る:a)ステントには少なくとも1つの位置保持端があり、その位置保持端は中央の主要管の可撓性延長部であり、患者の尿管に挿入した後、がん首状になるが、アプリケーターを使用した挿入時に中央の主要管と同一直線上にできる;b)管状エラストマーフィルムは、ポリエチレングリコールと、L-ラクチド、イプシロン-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、p-ジオキサノン、1,5-ジオキサパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとの結晶性セグメント化コポリマーを含む;c)管状エラストマーフィルムは、L-ラクチドと、グリコリド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p-ジオキサノン、及び1,5-ジオキセパン-2-オンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとの結晶性セグメント化コポリマーを含む;d)モノフィラメントコイルは、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、モルホリンジオン、p-ジオキサノン、及び1,5-ジオキサパン-2-オンからなる群から選択される少なくとも2種の環状モノマーの結晶性セグメント化コポリマーを含む;e)モノフィラメントコイルは、ポリマーマトリックスとマトリックス内に含まれる無機微粒子分散相を含む複合物を含み、マトリックスは、結晶性セグメント化コポリマーを含み、無機微粒子分散相は、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、及び吸収性リン酸塩ガラスからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む;f)モノフィラメントコイルは、ポリマーマトリックスと、マトリックス内に含まれる無機微粒子分散相を含む複合物を含み、マトリックスは、ポリエチレングリコールと、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、p-ジオキサノン、1,5-ジオキサパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとの結晶性セグメント化コポリマーを含み、かつ、無機微粒子分散相は、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、及び吸収性リン酸塩ガラスからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む;g)モノフィラメントコイルは、ポリマーマトリックスと、マトリックス内に含まれる無機微粒子分散相を含む複合物を含み、マトリックスは、ポリエチレングリコールと、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、p-ジオキサノン、1,5-ジオキサパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとの結晶性セグメント化コポリマーを含む;h)繊維強化材は、モノフィラメントコイルと、マルチフィラメント糸の編組管を含み、ここで任意に、1)管状エラストマーフィルムは、ポリエチレングリコールと、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、p-ジオキサノン、1,5-ジオキサパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとの結晶性セグメント化コポリマーを含む;2)管状エラストマーフィルムは、L-ラクトンと、グリコリド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p-ジオキサノン及び1,5-ジオキセパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとの結晶性セグメント化コポリマーを含む;3)モノフィラメントコイルは、L-ラクチド、イプシロン-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、モルホリンジオン、p-ジオキサノン、1,5-ジオキサパン-2-オンからなる群から選択される少なくとも2種の環状モノマーの結晶性セグメント化コポリマーを含む;4)モノフィラメントコイルは、ポリマーマトリックスと、マトリックス内に含まれる無機微粒子分散相を含む複合物を含み、マトリックスは、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、p-ジオキサノン、1,5-ジオキサパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも2種の環状モノマーの結晶性セグメント化コポリマーを含み、かつ、無機微粒子分散相は、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、及び吸収性リン酸塩ガラスからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む;5)モノフィラメントコイルは、ポリマーマトリックスと、マトリックス内に含まれる無機微粒子分散相を含む複合物を含み、マトリックスは、ポリエチレングリコールと、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、p-ジオキサノン、1,5-ジオキサパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも2種の環状モノマーとの結晶性セグメント化コポリマーを含み、かつ、無機微粒子分散相は、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、及び吸収性リン酸塩ガラスからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む;6)マルチフィラメント糸は、ポリエチレングリコールと、L-ラクチド、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、グリコリド、p-ジオキサノン、モルホリンジオン、及び1,5-ジオキサパン-2-オンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとの結晶性セグメント化コポリマーを含む;7)マルチフィラメント糸は、L-ラクチドと、グリコリド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとの結晶性セグメント化コポリマーを含む;j)モノフィラメントコイルは、緯編モノフィラメント糸の管の上に配置されており、ここで、任意に、1)管状エラストマーフィルムは、ポリエチレングリコールと、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、p-ジオキサノン、1,5-ジオキサパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとの結晶性セグメント化コポリマーを含む;2)管状エラストマーフィルムは、L-ラクチドと、グリコリド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p-ジオキサノン、及び1,5-ジオキセパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとの結晶性セグメント化コポリマーを含む;3)モノフィラメント糸は、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、モルホリンジオン、p-ジオキサノン、及び1,5-ジオキサパン-2-オンからなる群から選択される少なくとも2種の環状モノマーの結晶性セグメント化コポリマーを含む;4)モノフィラメント糸は、ポリエチレングリコールと、L-ラクチド、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、グリコリド、p-ジオキサノン、モルホリンジオン、及び1,5-ジオキサパン-2-オンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとの結晶性セグメント化コポリマーを含む;5)モノフィラメント糸は、ポリマーマトリックスと、マトリックス内に含まれる無機微粒子分散相を含む複合物を含み、マトリックスは、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、p-ジオキサノン、1,5-ジオキサパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも2種の環状モノマーの結晶性セグメント化コポリマーを含み、かつ、無機微粒子分散相は、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、及び吸収性リン酸塩ガラスからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む;そして6)モノフィラメント糸は、ポリマーマトリックスと、マトリックス内に含まれる無機微粒子分散相を含む複合物を含み、マトリックスは、ポリエチレングリコールと、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、グリコリド、p-ジオキサノン、1,5-ジオキサパン-2-オン、及びモルホリンジオンからなる群から選択される少なくとも1種の環状モノマーとの結晶性セグメント化コポリマーを含み、かつ、無機微粒子分散相は、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、及び吸収性リン酸塩ガラスからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む;k)ステントは少なくとも2日間、開通性を維持し、適用部位に留まることができる;l)ステントは2~4か月間、開通性を維持し、適用部位に留まることができる;そしてm)少なくとも1つの位置保持端は、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、及び亜炭酸ビスマスからなる群から選択される少なくとも1つの粉末放射線不透過剤を少なくとも4重量%含む。
【0170】
以下は、本開示のいくつかの特定の実施形態である:
(1)
全体的に管状の構造を含む生体吸収性のインプラント式医療装置であって、前記全体的に管状の構造は、側壁と、前記側壁が囲む内腔であって、前記構造の遠位端から近位端まで前記内腔の長さに沿って長手方向軸が延びる内腔とを含み、前記管状の構造はさらに、複数のバンドであって、それぞれが前記長手方向軸を取り囲み、遠位側及び近位側を有する複数のバンドを含み、前記複数のバンドは、比較的低いインビボ安定性のバンドによって分離された比較的高いインビボ安定性のバンドを含む、医療装置。
(2)
前記構造は、少なくとも1つ、又はちょうど1つの比較的高いインビボ安定性のバンドと、少なくとも2つ、又はちょうど2つの比較的低いインビボ安定性のバンドを有する、実施形態1に記載の医療装置。
(3)
前記構造は、少なくとも2つ、又はちょうど2つの比較的高いインビボ安定性のバンドと、少なくとも3つ、又はちょうど3つの比較的低いインビボ安定性のバンドを有する、実施形態1に記載の医療装置。
(4)
前記構造は、少なくとも3つ、又はちょうど3つの比較的高いインビボ安定性のバンドと、少なくとも4つ、又はちょうど4つの比較的低いインビボ安定性のバンドを有する、実施形態1に記載の医療装置。
(5)
少なくとも2つの比較的高いインビボ安定性のバンドがそれぞれ1~6cmの長さを有し、かつ、1cm未満の長さを有する1つの比較的低いインビボ安定性のバンドによって分離される、実施形態1に記載の医療装置。
(6)
少なくとも2つの比較的高いインビボ安定性のバンドがそれぞれ2~6cmの長さを有し、かつ、1cm未満の長さを有する1つの比較的低いインビボ安定性のバンドによって分離される、実施形態1に記載の医療装置。
(7)
少なくとも2つの比較的高いインビボ安定性のバンドがそれぞれ3~6cmの長さを有し、かつ、1cm未満の長さを有する1つの比較的低いインビボ安定性のバンドによって分離される、実施形態1に記載の医療装置。
(8)
少なくとも3つの比較的高いインビボ安定性のバンドがそれぞれ3~6cmの長さを有し、かつ、1cm未満の長さを有する2つの比較的低いインビボ安定性のバンドによって分離される、実施形態1に記載の医療装置。
(9)
少なくとも4つの比較的高いインビボ安定性のバンドがそれぞれ3~6cmの長さを有し、かつ、1cm未満の長さを有する3つの比較的低いインビボ安定性のバンドによって分離される、実施形態1に記載の医療装置。
(10)
少なくとも3つの比較的高いインビボ安定性のバンドがそれぞれ2~5cmの長さを有し、かつ、1cm未満の長さを有する2つの比較的低いインビボ安定性のバンドによって分離される、実施形態1に記載の医療装置。
(11)
少なくとも3つの比較的高いインビボ安定性のバンドがそれぞれ3~6cmの長さを有し、かつ、1cm未満の長さを有する2つの比較的低いインビボ安定性のバンドによって分離される、実施形態1に記載の医療装置。
(12)
前記管状の構造が、比較的高いインビボ安定性と比較的低いインビボ安定性の交互のバンドを含む、実施形態1に記載の医療装置。
(13)
前記管状の構造が、1つの比較的低いインビボ安定性のバンドによって分離される、少なくとも2つの比較的高いインビボ安定性のバンドを含み、前記比較的低いインビボ安定性のバンドが、インビボで、前記少なくとも1つの比較的高いインビボ安定性のバンドと比較して、少なくとも2倍の速度で分解する、実施形態1に記載の医療装置。
(14)
前記管状の構造が、1つの比較的低いインビボ安定性のバンドによって分離される、少なくとも2つの比較的高いインビボ安定性のバンドを含み、前記少なくとも2つの比較的高いインビボ安定性のバンドは実質的に同一のインビボ安定性を有する、実施形態1に記載の医療装置。
(15)
前記管状の構造が、1つの比較的高いインビボ安定性のバンドの両側に比較的低いインビボ安定性のバンドを含み、当該2つの比較的低いインビボ安定性のバンドが異なるインビボ安定性を有する、実施形態1に記載の医療装置。
(16)
前記管状の構造が、第1の比較的高いインビボ安定性のバンドの遠位側に位置する第1の比較的低いインビボ安定性のバンドと、前記第1の比較的高いインビボ安定性のバンドの近位側に位置する第2の比較的低いインビボ安定性のバンドとを含み、前記第1の比較的低いインビボ安定性のバンドが、前記第2の比較的インビボ安定性のバンドより、高いインビボ安定性を有する、実施形態1に記載の医療装置。
(17)
前記管状の構造が、実質的に同一の比較的高いインビボ安定性を有する複数のバンドを含む、実施形態1に記載の医療装置。
(18)
前記管状の構造が、当該構造の遠位端から近位端まで延在する、比較的高いインビボ安定性のバンドによって分離された、複数の比較的低いインビボ安定性のバンドを含み、前記複数の比較的低いインビボ安定性バンドのインビボ安定性が、当該構造の遠位端から近位端に向かって増加する、実施形態1に記載の医療装置。
(19)
前記管状の構造がメッシュ管であるか、又はメッシュ管を含む、実施形態1に記載の医療装置。
(20)
前記管状の構造が10~30cmの長さを有する、実施形態1~19のいずれかに記載の医療装置。
(21)
前記側壁が、前記内腔を取り囲むモノフィラメントコイルと、前記モノフィラメントコイルを覆うメッシュと、前記コイル及び前記メッシュ上に堆積されたコーティングとを含む、実施形態1~20のいずれかに記載の医療装置。
(22)
さらに、前記装置の近位端に腎臓保持構造、及び前記装置の遠位端に膀胱保持構造を含む、実施形態1~21のいずれかに記載の医療装置。
(23)
さらに、前記装置の近位端にカール形態の腎臓保持構造、及び前記装置の遠位端にカール形態の膀胱保持構造を含む、実施形態1~22のいずれかに記載の医療装置。
(24)
尿管ステントである、実施形態1~23のいずれかに記載の医療装置。
(25)
前記装置の外面上にコーティングを含み、前記コーティングが平均厚さを有する、実施形態1~24のいずれかに記載の医療装置。
(26)
前記装置の外面上にコーティングを含み、前記コーティングは前記装置全体にわたって不均一な厚さを有する、実施形態1~25のいずれかに記載の医療装置。
(27)
前記装置の外面上にコーティングを含み、前記装置の近位端が前記装置の遠位端より多くのコーティングを含む、実施形態1~26のいずれかに記載の医療装置。
(28)
前記装置は、前記装置の近位端に腎臓保持構造、及び前記装置の遠位端に膀胱保持構造を有する尿管ステントであり、前記装置の外面上にコーティングを含み、前記装置の近位端が前記装置の遠位端より多くのコーティングを含む、実施形態1~27のいずれかに記載の医療装置。
(29)
インビボ分解中に前記医療装置から分離するHIVSバンドの動きを制限する封じ込め層を含まない、実施形態1~28のいずれかに記載の医療装置。
(30)
a.医療装置を作製する方法であって、
全体的に管状の構造の側壁内において前記全体的に管状の構造の中央を通る内腔を有する、全体的に管状の構造を含む生体吸収性医療装置を提供すること、生体吸収性医療装置、及び
b.全体的に管状の構造のバンドをエクスビボ分解環境に曝露し、曝露されたバンドから低いインビボ安定性(LIVS)のバンドを生成するとともに、前記全体的に管状の構造の曝露されたバンドに隣接するバンドを同様の分解環境に曝露しないことにより、前記LIVSバンドに隣接する、高いインビボ安定性(HIVS)のバンドを生成すること、
を含む方法。
(31)
実施形態30に記載の方法を含む方法により作製される医療装置。
(32)
全体的に管状の構造がポリエステルを含む、実施形態31の医療装置。
【0171】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定を意図するものではないことを理解されたい。さらに、本明細書で具体的に定義されない限り、本明細書で使用される用語は、関連技術で既知のその伝統的な意味を与えられるべきであることを理解されたい。
【0172】
本明細書を通して「一実施形態」又は「実施形態」及びそのバリエーションへの言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な場所での「一実施形態では」又は「実施形態では」という用語の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。本明細書に開示される医療装置の実施形態のいずれかは、医療装置の一部として、薬物、例えば、治療薬、又は予防薬を含み得る。
【0173】
特許請求の範囲も含め、本明細書内において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容及び文脈が特段指示しない限り、複数の参照、すなわち1つ又は複数を含む。「及び」及び「又は」は、内容及び文脈が場合によって包含性又は排他性を特段指示しない限り、一般に「及び/又は」を含むように最も広い意味で使用されることにも留意されたい。したがって、択一式(例えば、「又は」)の使用は、択一の一方、両方、又はそれらの任意の組み合わせのいずれかを意味すると理解されるべきである。さらに、「及び」又は「又は」の構成は、「及び/又は」として本明細書に記載される場合、関連するアイテム又はアイデアのすべてを含む実施形態、及び関連するアイテム又はアイデアのすべてを含まない1つ以上の他の代替実施形態を包含することが意図される。
【0174】
文脈が別途指示しない限り、明細書及び添付の特許請求の範囲全体を通して、「含む」という語及びその同義語と変形、例えば「有する」及び「備える」、並びにそれ自体の変形(例えば、「有し」)は、オープンで包括的な意味で解釈されるべきであり、例えば「限定的ではないが、…を含む」。「実質的にからなる」という用語は、請求の範囲を特定の材料又はステップに、又は請求項に記載される発明の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響しないものに限定する。
【0175】
本明細書内で使用される見出しは、読者の閲覧に資するためにのみ使用されており、いかなる方法でも本発明又は特許請求の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。したがって、本明細書で提供される見出し及び開示の要約は、単に便宜上のものであり、実施形態の範囲又は意味を解釈するものではない。
【0176】
説明では、開示された様々な実施形態の完全な理解を提供するために、一定の特定の詳細が示されている。しかし、当業者は、実施形態がこれらの特定の詳細の1つ以上なしで、又は他の方法、構成要素、材料などを用いて実施され得ることを認識するであろう。
【実施例0177】
以下に提供される実施例及び作製は、本発明の医療装置及びそのような装置を作製する方法をさらに説明し、例示する。本発明の範囲は、いかなる方法でも以下の実施例及び作製の範囲に限定されないことが理解されるべきである。実際、文脈が別段指示しない限り、特定のポリマーが実施例で使用される場合、このポリマーは単なる例示であり、本発明によれば、代替のポリマーで置き換えられてもよい。また、分解時間と特性が例示されている場合、これらの値は概算値であり、他の値は異なる出発材料を使用して取得されることを理解されたい。実施例において利用又は参照される出発材料及び様々な反応物は、商業的供給源から得ることができ、又は当業者に周知の方法を使用して、市販の有機化合物から容易に調製される。したがって、以下の実施例は、本発明の実施形態を例示するものであり、それに対する制限として解釈されるべきではない。
【0178】
[実施例1]
[コイルの作製]
オーバーヘッドの機械的スターラーユニット、真空アダプタ、及び窒素入口を備えた3つ口のガラス蓋を有する1リットルステンレススチールのケトルを組み立てた。ケトルを約0.5mmHgの圧力まで排気し、次に窒素でパージした。ケトルに、220℃に加熱することにより予備乾燥した9.15gのpaxTMC-1を入れた。paxTMC-1は、トリメチレンカーボネート(TMC)とトリメチロールプロパン(TMP)を、TMC:TMPモル比15:1で、スズ触媒、オクタン酸第一スズの存在下で、加熱及び撹拌しながら組み合わせることで調製した。グリコリド(313.8g、2.705モル)、ε-カプロラクトン(132.1g、1.159モル)、及び放射線不透過剤(1~4ミクロンの直径を有する245g硫酸バリウム微粒子)を反応ケトルに加えた。ケトル器具を油浴に浸し、その内容物を40℃で1時間真空下に置き、その後、システムを窒素でパージした。油浴の温度を95℃に上げ、ケトルの内容物をオーバーヘッドスターラーで完全に混合した。均質な流体組成物が得られた後、オクタン酸第一スズの0.2Mのトルエン溶液(2.576mL、5.152×10-4モルのオクタン酸第一スズ)を加えた。油浴の温度を180℃に上げ、攪拌をできるだけ長く続けた。(粘度が高いため)攪拌できなくなった後、反応生成物を180℃で7時間維持した。
【0179】
ケトルを油浴から取り出し、室温まで放冷した。次に、ケトルを冷浴に入れて、ポリマーを凝固させた。固体ポリマーをケトルから取り出し、粉砕した。粉砕した材料をふるいにかけ、粉末を得た。ふるいにかけた粉末を2リットルの洋ナシ形のガラスフラスコに移し、Buchi・rotavapに置いた。真空を適用し、0.25mmHgの真空を得た後、フラスコを油浴に浸した。油浴の温度を40℃に上昇させた。40℃で2時間後、油浴の温度を80℃に上昇させ、80℃で1時間後、油浴の温度を110℃に上昇させた。油浴の温度を110℃に4時間維持した。真空を解除し、材料をフラスコから取り出した。
【0180】
[実施例2]
[実施例1のポリマーを使用した放射線不透過性モノフィラメントの溶融紡糸及び特性]
4つのゾーンを有する単軸スクリュー押出機を使用して、実施例1からのポリマーをモノフィラメントに押し出した。325ライン/インチのフィルターパックを押出機で使用した。ゾーン1は95℃に、ゾーン2は175℃に、ゾーン3は208℃に、ゾーン4/紡糸パックは210℃に維持された。巻き取りロールを40~60rpmに設定しながら、計量ポンプを8rpmで操作した。実施例1からのポリマーを、0.4mmのダイを使用して押し出した。収集されたモノフィラメントの直径は、0.48mm~0.54mmであった。この繊維を、第1段階では55℃で4.5×、第2段階では70℃で0.5×で延伸し、直径0.25mm~0.30mmのモノフィラメントが得られた。自由収縮は、50℃で約8.85%~10.43%であった。繊維は、70℃で自由収縮の2分の1プラス2%に緩んだ。得られた繊維は、約10~13Nの最大負荷を有し、寸法的に安定していた。
【0181】
[実施例3]
[コイル状骨格(CS)の製造]
実施例2で調製した放射線不透過性モノフィラメントを、0.047インチの直径のテフロンコードの周りにらせん状に巻いた。モノフィラメントを33~35コイル/インチでテフロンコードの周りに巻き付けて、本開示の例示的な全体的に管状の構造であるコイル状骨格(CS)を提供した。
【0182】
[実施例4]
[ニット骨格の作製に使用するための3軸セグメント化グリコリドコポリマーの合成と特性評価]
オーバーヘッドの機械的スターラーユニット、真空アダプタ、及び窒素入口を備えた3つ口のガラス蓋を有する1リットルステンレススチールのケトルを備えた反応器具を組み立てた。反応装置を真空にした。0.5mmHgの真空が得られた後、装置を窒素でパージした。paxTMC-1(16.0g、実施例1で説明したもの)、ε-カプロラクトン(38.6g、0.3382モル)、及びグリコリド(745.4g、6.4262モル)の初期投入量をケトルに加えた。次に、反応器具を油浴に浸した。次に、油浴を110℃に加熱し、反応混合物を正の窒素圧下で混合した。ポリマー開始剤(pax-TMC)が溶融モノマーに完全に溶解しているように見えたら、オクタン酸第一スズの溶液(0.966mlのオクタン酸第一スズの0.2Mトルエン溶液、1.933×10-4モル)を反応混合物に加えた。油浴の温度を180℃に上昇させた。混合物の粘度が高くなり撹拌できなくなるまで、反応混合物を撹拌した。反応をさらに180℃で5時間維持した。反応容器を油浴から取り出し、ポリマーが固化するまで冷却させた。冷却したポリマーを反応ケトルから取り出し、粉末に粉砕した。粉砕した材料をふるいにかけた。ふるいにかけたポリマーを2リットルの洋ナシ形のガラスフラスコに移し、Buchi・rotavapに置いた。真空を適用し、0.5mmHgの真空を得た後、フラスコを油浴に浸した。油浴の温度を40℃に上昇させた。40℃で2時間後、油浴の温度を80℃に上昇させ、80℃で1時間後、油浴の温度を110℃に上昇させた。油浴の温度を110℃に4時間維持した。真空を解除し、材料をフラスコから取り出した。
【0183】
[実施例5]
[実施例4のポリマーを使用したマルチフィラメント糸の溶融紡糸及び特性]
5つのゾーンを有する単軸スクリュー押出機を使用して、実施例4からのポリマーをマルチフィラメントに押し出した。400ライン/インチのフィルターパックを押出機で使用した。ゾーン1は190℃に、ゾーン2は210℃に、ゾーン3は222℃に、ゾーン4/ポンプは228℃に、ゾーン5/紡糸パックは228℃に維持された。デニールコントロールロールを315メートル/分の線速度に設定しながら、0.584cc/回転のZenith計量ポンプを6.0rpmで操作した。次に、200M/分、480M/分、480M/分で移動し、それぞれ45℃、80℃、26℃に加熱した3つの高速ゴデット上に繊維を配向した。実施例4からのポリマーは、0.018インチの直径の孔を有する20孔のダイを使用して押し出した。次に、収集されたマルチフィラメントを、250M/分~280M/分の速度で、100℃の温度で再配向した。得られた繊維は、約3.26のテナシティ及び約80.4のデニールを有していた。
【0184】
[実施例6]
[ニット骨格(KS)の作製]
実施例5からの20フィラメント糸を1回撚り合わせて、40フィラメント糸を形成した。このマルチフィラメント糸を、ラム丸編み機を使用して、実施例3のコイル状骨格の上に連続的に緯編みした。12コースゲージの針を備えた7/8インチの編みシリンダーを使用して、コイル状の骨格の上にニット骨格を形成した。ここで得られる構造は、本開示の例示的な全体的に管状の構造である。
【0185】
[実施例7]
[三軸セグメント化L-ラクチドコポリマー(P1)の合成と特性評価]
オーバーヘッドの機械的スターラーユニット、真空アダプタ、及び窒素入口を有する4リットルステンレススチールの反応器を備える反応器具を組み立てた。反応器具に真空を適用し、0.5mmHg未満の真空が得られた後、器具を窒素でパージした。反応温度は、ジャケット付き反応器を通してオイルを循環させることによって制御された。グリコリド(254.9g、2.1976モル)、トリメチレンカーボネート(348.7g、3.4185モル)、予備乾燥したトリエタノールアミン(3.0319g、2.0348×10-2モル)、オクタン酸第一スズ(354.5mg、8.752×10-4モル)、及びε-カプロラクトン(974.3g、8.5463モル)の初期投入量を2Lのフラスコに加え、40℃で1.25時間高真空下で乾燥させた。次にフラスコの内容物を4Lの反応器に加えた。次に、システムを窒素でパージした。油の温度を175℃に上昇させ、内容物を6.5時間完全に混合した。次に、温度を下げることで、グリコリド(226.6g、1.9534モル)とL-ラクチド(1195.5g、8.3021モル)の最終投入量を追加できた。次に、油の温度を135℃に上昇させ、19時間維持した。得られたポリマーを容器から取り出し、4ミリリットルのジクロロメタン(DCM)あたり1gの濃度で溶解した。このポリマー/DCM溶液を、機械的に攪拌されている十分な量の冷イソプロピルアルコールにゆっくりと加えることにより、ポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを真空ろ過により単離した。次に、ろ過されたポリマーを、機械的に攪拌されている十分な量の冷イソプロピルアルコールに加えた。次に、ポリマーを真空ろ過により単離した。溶媒の大部分が除去されると、ポリマーを一定の重量になるまで真空下で乾燥させた。
【0186】
[実施例8]
[複合尿管ステント構成の組み立て]
ガラス瓶中、16.0グラムのポリエチレングリコール(PEG4600;MW=4600)、1600ミリリットルのアセトン、及び144.0グラムの精製P1(実施例7)を組み合わせることにより、ポリマー溶液を調製した。ガラス瓶は蓋で密閉された。ガラス瓶を連続的に回転させるために、瓶をローリングミルのような器具上に置いた。PEG4600及びP1がアセトンに完全に溶解するまで、溶液を回転させた。
【0187】
実施例6からの乾燥したニット骨格を、ポリマー溶液の0.75リットルの浴を通る、ニットコア材料の連続移動を含む連続含浸プロセスを使用して、上記のPEG4600/P1ポリマー溶液で含浸した。骨格は、スプールから外され、コーティング溶液の浴に供給され、そこでは、2つのインラインの水中プーリーが骨格材料を浴の長さの間浸したままにした。含浸された材料が浴を出ると、40℃に加熱された空気循環乾燥チューブを通過し、次に50℃に加熱されたステンレススチールのエレメントを通過し、次に、含浸された材料が最終の巻き取りスプールにスプールされた。骨格上のPEG4600/P1コーティングのより厚いコーティングを提供するために、このコーティングプロセスを繰り返した。
【0188】
含浸されたニット骨格は、最終的なステントの長さを制御するために分離距離を調整することができる、直径0.5インチの2つの平行なステンレススチールのバーを備えたラックに巻き付けた。新しく含浸されたニット骨格をこれらのラックに連続的に巻き付けられた。ラックは130℃で30分間アニールされた。アニールプロセス後、層流フード内でラックを室温まで冷却した。
【0189】
形状形成ラックの分離ロッドの内部位置に沿った適切な位置で骨格材料を切断することにより、複数のステントを各ラックから取り除いた。これらのステントはまだテフロンコアを含んでいたが、最終的に各ステントの近位ループになる1センチメートル以内で各ステントの主幹にUVJマーカーを追加することによって変質させた。
【0190】
ステントの近位ループに、MTS Synergie(モデル100及び200)試験器具を使用してステントの近位端を制御された方法でコーティング溶液に機械的に浸漬し、複数のサイクルを使用することにより、追加のコーティングを施した。ステントの遠位端は、MTS試験器具の垂直治具に取り付けた。MTS試験器具は、100mLのコーティング溶液を含む100mLのメスシリンダーにステントを浸すようにプログラムされていた。プログラムされた手順により、ステントをシリンダー内に20mLのマーキングまで下げ、すぐにステントをシリンダーから持ち上げた。このMTS器具は、コーティングが非粘着状態になるように、コーティングを乾燥させるのに十分な時間(約30~300秒)、ステントをコーティング溶液の上に保持した。ステントを40mLのマーキングまで下げた以外、上記浸漬手順を繰り返した。MTSプログラムは2つの最終浸漬サイクルを実行し、そこでステントはそれぞれ60mLまで、次に80mLまで下げられた。これにより、コーティングの最も厚い層が近位ループに配置された、厚さの勾配を持つ外部コーティング層が得られた。これは、近位ループが時期尚早に分解しないように、近位ループがステントの他の部分よりも多くのコーティング材料で強化されることを保証した。
【0191】
ステントを層流フード内で遠位ループを吊るして乾燥させた。テフロン(商標)PTFEコアは、テフロンコアの一端を位置固定のバイス型グリッププライヤーに固定し、テフロンの反対側の端を2つ目のバイスグリッププライヤーセットを使用して伸ばすことにより、各ステントから取り除いた。固定された端部の伸ばされたテフロンコアにきれいな切り込みを入れ、次に直径が小さくなったテフロンコアをステントに通して引き抜き、破棄した。次に、各ステントを適切な仕様にトリミングした。
【0192】
[実施例9]
[塩基処理を使用したバンド作成]
2つの5mm×5mmのスポンジ片の間にステントを配置することにより、ステントの隣接する未処理部分と比較してより低いインビボ安定性を有するバンドを作製した。スポンジを一緒にクリップして、スポンジとステントの間の接触がステントの周囲で円周に維持されるようにした。次に、約1mLのNaOH溶液を各スポンジにピペットで足した。次に、スポンジ片に触れた状態で、ステントを1時間放置した。次にスポンジを取り除き、ステントを脱イオン水で15秒間すすいだ。次に、ステントを真空下で乾燥させた。このプロセスにより、各ステントに1つの低いインビボ安定性(LIVS)バンドが作成され、そのLIVSバンドは、ステントの2つの高いインビボ安定性(HIVS)バンドの間に位置していた。
【0193】
このプロセスは、0.5M、0.75M、1.0M、1.25M又は3.0Mのいずれか1つのNaOH濃度を有する塩基性溶液でステントを処理して、低いインビボ安定性のバンドを調製することによって行われた。各ステントは、これらの塩基濃度の1つだけで処理していた。
【0194】
[実施例10]
[塩基処理を使用したマルチバンドの作成]
2つの5mm×5mmのスポンジ片の間にステントを配置することにより、ステントの隣接する未処理部分と比較してより低いインビボ安定性を有するバンドを作製した。スポンジを一緒にクリップして、スポンジとステントの間の接触がステントの周囲で円周に維持されるようにした。第2のスポンジセットを、第1のスポンジセットの端と第2のスポンジセットの端の間の距離が約4cmになるように、ステントに同様の方法で取り付けた。次に、約1mLのNaOH溶液を各スポンジにピペットで足した。次に、これらのスポンジセットに触れた状態で、ステントを1時間放置した。次にスポンジを取り除き、ステントを脱イオン水で15秒間すすいだ。次に、ステントを真空下で乾燥させた。低いインビボ安定性(LIVS)のバンドは、各スポンジセットが配置されていた場所に生成された。これにより、1つのHIVSバンドが2つのLIVSバンドの間に生成された。
【0195】
このプロセスは、0.5M、0.75M、1.0M、1.25M又は3.0Mのいずれか1つのNaOH濃度を有する塩基性溶液でステントを処理して、各ステントに低いインビボ安定性のバンドを調製することによって行われた。すなわち、各ステントは、各スポンジセットにおいて、0.5MのNaOH、0.75MのNaOHなどのいずれか1つで処理していた。
【0196】
[実施例11]
[塩基処理を使用したマルチバンドの生成-勾配の生成]
2つの5mm×5mmのスポンジ片の間にステントを配置することにより、ステントの隣接する未処理部分と比較して、インビボ安定性が次第に低下するバンドの勾配を作製した。スポンジを一緒にクリップして、スポンジとステントの間の接触がステントの周囲で円周に維持されるようにした。第2、第3及び第4のスポンジセットを、一のバンドのスポンジの端と次の最も近いバンドのスポンジの端までの距離が約4cmになるように、ステントに同様の方法で取り付けた。次に、約1mLの0.5MのNaOH溶液を、ステントの腎臓保持部分に最も近いスポンジセットの各スポンジにピペットで足した。次に、約1mLの0.75MのNaOH溶液を、ステントの腎臓保持部分から2番目のスポンジセットの各スポンジにピペットで足した。次に、約1mLの1.0MのNaOH溶液を、ステントの腎臓保持部分から3番目のスポンジセットの各スポンジにピペットで足した。次に、約1mLの1.25のNaOH溶液を、ステントの腎臓保持部分から4番目のスポンジセットの各スポンジにピペットで足した。次に、ステントを1時間放置した。次にスポンジを取り除き、ステントを脱イオン水で15秒間すすいだ。次に、ステントを真空下で乾燥させた。
【0197】
[実施例12]
[UVライトを使用したバンドの生成]
腎臓のカールを維持し、ドリルチャックに挿入するための取り付け点を有するホルダーにステントを配置した。次にホルダーをドリルチャックに挿入し、チャックを締めてステントを保持した。次に、ステントの本体をステンレススチールのステントバンドガイドに設置した。ガイド上の最初のバンドは、腎臓のカールから8cmであった。次に、5mmのUVスポットライトを、ステントの表面から0.8mmのところのガイド孔に当てた。ガイドにより、ステントの5mmの部分がUVライトに曝露された。ドリルチャックに取り付けられたモーターがオンになり、ステントが20RPMで回転した。次に、UVユニットを特定の時間オンにして、最初のバンドにUVライトを照射した。光強度は約6W/cm2で、照射時間は3秒から18秒まで変化した。次に、このプロセスを、ステントの長さに沿って各バンドについて繰り返した。バンドは4cm離れて配置され、ステントの腎臓の端に8cmの「しっぽ」があった。24cmのステントに対して、4つのUV処理(LIVS)バンドがステントに生成され、30cm長さのステントの場合、5つのUV処理(LIVS)バンドが生成された。
【0198】
[実施例13]
[処理済みステントの座屈試験]
処理済みステントの機械的特性に対するバンド生成プロセスの影響を判定するために、座屈試験を使用した。処理済み領域を含む長さ4cmのステントを座屈試験に使用した。処理済み領域は、サンプルのほぼ中央(両端から約2cm)であった。各ブロックの中央に取り付けられた短いシリンダー(高さ約0.5cm)を有する2つのブロックをMTS機器(力と動きを測定、モデル:MTS Synergie 100及びMTS Synergie 200)に取り付け、1つのブロックをベースに、1つのブロックをMTS機器のロードセルに取り付けた。MTSのゲージ長さを4cmに設定したときに、ステントサンプルがこれらの2つのシリンダー内に保持されるように、ステントサンプルを設置した。次に、MTSをオンにして、ステントサンプルが時間の関数として圧縮されるようにした。ステントサンプルを座屈させるのに必要な力を測定した。各ステントサンプルの座屈は処理部位で発生した。座屈させるために必要な力のデータを表1及び
図8に示す。コントロールサンプルは、LIVSバンドを生成するための処理をしていなかった。
【0199】
【0200】
[実施例14]
[処理済みステントのたわみ試験]
バンド状ステントの強度に対するLIVSバンドの影響を判定するために、たわみ試験を使用した。このテストでは、長さ4cmのステントセグメントを使用した。ステントセグメントを、カスタムのステンレススチールの治具に設置した。この治具は、ガイドピンが付いた2つのブロックで、この2つの半分を堅牢に合わせることができる。ブロックの上下に半円形の溝が加工されていたので、2つの半分を組み合わせると、連続したシリンダーになる。ステントを下の溝に入れ、上の半分をステントの上に置いて、ステントを潰さない程度にしっかりと保持した。サンプルセグメントは、処理部位がブロックの端にくるように配置され、処理部位で屈曲できるようになっていた。実質的に、ブロックからカンチレバーのように突き出ている2cmのステントセグメントがあった。このブロックをMTS機器のベースに設置し(力と動きを測定、モデル:MTS Synergie 100及びMTS Synergie 200)、3点曲げテスト治具の上部をロードセルに設置した。次に、3点曲げ治具の上半分を使用して、ブロックから突き出ているステントの部分を押し下げ、ステントを「たわませる」力を測定した。バンドを生成するために使用されたさまざまな処理について得られたデータを表2と
図9に示す。
【0201】
【0202】
[実施例15]
[引張強度試験]
人工尿を、50.0±1.0gの尿素、18.0±0.4gのNaCl、5.0±0.1gのNa2HPO4、15.0±0.3gのKH2PO4、10.0±0.2gのNH4Cl、3.0±0.1gのNa2SO3、4.0±0.1gのクレアチニン及び2Lの脱イオン水を組み合わせることにより調製した。
【0203】
ステントの機械的完全性に対する各処理強度の影響を判定するために、ステントをLIVSバンドの部位で試験した。塩基処理されたサンプルの試験は、インビトロ(in vitro)温置の0日後及び7日後に、人工尿pH5.5~6.5及び37℃で行った。UV処理されたサンプルのテストを、pH8の人工尿で5日間エージングした後、ステントサンプルに対して行った。引張強度試験のために、ステントの5cmセクションのセグメントを試験片として使用した。バイス型グリップを使用して、サンプルをMTS(モデル:MTS Synergie 100及びMTS Synergie 200)に載置した。引張試験は500mm/分の速度で行った。結果を
図10A及び10Bに示す。
【0204】
[実施例16]
[断片化パターンのインビトロ試験]
LIVS及びHIVSバンドセクションを有するステントを、生理学的に関連する基準に合わせて開発された模擬使用モデルに設置した。模擬使用モデルは、3Dプリントされた腎臓と膀胱の構成要素、カスタムのヒドロゲル尿管、及びカスタムのヒドロゲル尿道で構成されていた。システムを、37℃に設定されたオーブン内に置いた。ステントのサンプルをこの模擬使用モデルに配置し、人工尿をシステムに連続的に循環させた。人工尿を毎週交換した。ステントを経時的に観察して、それらの分解/断片化及び転移の挙動、ならびに排尿中に一時的な失禁が生じたかどうかを判断した。この試験の終点は、ステントの完全な排出として定義した。
【0205】
塩基処理されたステントについて、すべての最終塩基処理ステント(0.5M、0.75M、1.0M、及び1.25MのNaOH処理の勾配適用)の失禁事象は観察されず、腎臓カールの弛緩及び所望の膀胱への動きを可能にする重量分布目標が確認された。すべての最終ステントは処理部位で断片化が認められ、断片化は失禁なしで排出を可能にし、最終塩基処理ステント腎臓カールは28~35日までに膀胱に進行した。
【0206】
UV処理されたステントについて、失禁事象は観察されなかった。失禁事象は、ステント又はステント断片がヒドロゲル尿道に詰まったときとして分類した。
【0207】
[実施例17]
[ステントの包装]
ほぼ又は完全に無塵の環境で、ステントをPET熱成形トレイに設置した。熱成形トレイを閉じ、ステント付きのトレイをホイルパウチに入れた。ステントを格納するホイルパウチを、室温で少なくとも14時間、真空下の真空オーブンに置いた。次に、真空オーブンを窒素でパージし、ステントを格納するホイルパウチを、40±2℃に予熱された真空オーブンに入れた。オーブンを閉じ、オーブンを真空(5Torr未満)にした。ステントは、オーブン内で真空下に少なくとも24時間維持した。次に、真空オーブンを乾燥窒素で逆洗した。ホイルパウチ内のステントを真空オーブンから取り出した。次に、ホイルパウチをヒートシールした。1セットのサンプルでは、真空/窒素パージサイクルを使用して、窒素雰囲気でステントを覆った。次に、ラベルをホイルパウチの外面に貼り付けた。次に、ホイルパウチを24~40kGyのガンマ線で滅菌した。
【0208】
[実施例18]
[プッシャー付きのステントの包装]
ほぼ又は完全に無塵の環境で、ステントをPET熱成形トレイに設置した。熱成形トレイを閉じ、ステント付きのトレイをホイルパウチに入れた。ホイルパウチにステントプッシャー(New England Swaging Services)を入れた。ステントとプッシャーを含むホイルパウチを、室温で少なくとも14時間、真空下の真空オーブンに置いた。次に、真空オーブンを窒素でパージし、ステントを格納するホイルパウチを、40±2℃に予熱された真空オーブンに入れた。オーブンを閉じ、オーブンを真空(5Torr未満)にした。ステントは、オーブン内で真空下に少なくとも24時間維持した。次に、真空オーブンを乾燥窒素で逆洗した。ホイルパウチ内のステント/プッシャーを真空オーブンから取り出した。次に、ホイルパウチをヒートシールした。1セットのサンプルでは、真空/窒素パージサイクルを使用して、窒素雰囲気でステントを覆った。次に、ラベルをホイルパウチの外面に貼り付けた。次に、ホイルパウチを24~40kGyのガンマ線で滅菌した。
【0209】
本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料もまた、本発明の実施又は試験において使用され得るが、限られた数の例示的な方法及び材料が本明細書に記載される。一般に、別段指示しない限り、本発明を作製するための材料及び/又はその構成要素は、生分解性ポリマーなどの適切な材料から選択され得る。
【0210】
本明細書で数値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段指示しない限り、その範囲の上限と下限と他の任意の述べられた値との間の各介在値(下限の単位の10分の1まで)、及びその記載された範囲内の他の記載された値又は介在する値は、本発明に含まれるものとして理解される。より小さな範囲に独立して含まれ得るこれらのより小さな範囲の上限及び下限もまた、本発明の範囲内に含まれ、述べられた範囲の特定の除外された制限に従う。述べられた範囲が制限の一方又は両方を含む場合、それらの含まれた制限のいずれか又は両方を除外した範囲も本発明に含まれる。
【0211】
例えば、本明細書で提供される任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、又は整数範囲は、別段指示しない限り、列挙された範囲内の任意の整数の値、及び適切な場合、その分数(例えば整数の10分の1及び100分の1)を含むと理解されるべきである。また、ポリマーサブユニット、サイズ又は厚さなどの任意の物理的特徴に関連して本明細書に列挙された任意の数の範囲は、別段指示しない限り、列挙された範囲内の任意の整数を含むと理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、別段指示しない限り、指示された範囲、値、又は構造の±20%を意味する。
【0212】
本明細書に引用されるすべての刊行物及び特許は、例えば、本開示の発明に関連して使用され得る、刊行物に記載される材料及び方法論を説明及び開示する目的で、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本出願は、国際出願番号PCT/US17/39130の開示を参照により組み込む。上記及び本文全体で論じられている刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示のためにのみ提供される。本明細書中のいかなるものも、発明者らが先行発明により、参照された刊行物に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。