(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028647
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】スタフィロコッカス・エピデルミディスの増殖を高める方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9728 20170101AFI20240226BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240226BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
A61K8/9728
A61Q19/00
A61K8/34
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024010094
(22)【出願日】2024-01-26
(62)【分割の表示】P 2019101079の分割
【原出願日】2019-05-30
(31)【優先権主張番号】16/117,434
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522236350
【氏名又は名称】ジョンソン アンド ジョンソン コンシューマー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ファン・リュー-ウォルシュ
(72)【発明者】
【氏名】マンプリート・ランドハワ
(72)【発明者】
【氏名】キンバリー・エイ・カポネ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・イー・ハウシルト
(72)【発明者】
【氏名】プリトウィラジ・マイトラ
(57)【要約】
【課題】スタフィロコッカス・エピデルミディスの増殖を高める方法を提供すること。
【解決手段】この方法は、好気条件下で、スタフィロコッカス・エピデルミディスを、ピキア・アノマーラの抽出物及びグリセリンを含む水溶液に接触させることを含む。好ましくは、水溶液が、0.13重量パーセントのピキア・アノマーラの抽出物及び3重量パーセントのグリセリンを含む。好ましくは、この方法において、好気性瓶中でスタフィロコッカス・エピデルミディスを水溶液に接触させる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタフィロコッカス・エピデルミディスの増殖を高める方法であって、好気条件下で、スタフィロコッカス・エピデルミディスを、ピキア・アノマーラの抽出物及びグリセリンを含む水溶液に接触させることを含む、方法。
【請求項2】
前記水溶液が、0.13重量パーセントのピキア・アノマーラの抽出物及び3重量パーセントのグリセリンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水溶液が、7未満のpHを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ピキア・アノマーラの抽出物が、キウィの果実又は葉に存在するピキア・アノマーラの株から調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ピキア・アノマーラの抽出物が、サトウキビに存在するピキア・アノマーラの株から調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
好気性瓶中でスタフィロコッカス・エピデルミディスを前記水溶液に接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
好気性瓶中でスタフィロコッカス・エピデルミディスを前記水溶液に接触させる、請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2016年12月12日出願の米国特許仮出願第62/432,945号に対する優先権を主張する、2017年10月31日出願の米国特許出願第15/799,350号の一部継続出願である。これらの特許出願の開示全体は、全ての目的のために参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、(a)0.5~25重量パーセントのグリセリン、(b)0.1~5重量パーセントのセテアリルオリベート、(c)0.1~5重量パーセントのソルビタンオリベート、及び(d)0.01~1重量パーセントのピキア・アノマーラの抽出物を含む局所適用組成物であって、脂肪族アルコールを実質的に含まず、かつゲルクリームの形態である局所適用組成物を提供する。組成物はまた、プレバイオティクスである。
【背景技術】
【0003】
ゲルクリームは、局所適用スキンケア組成物の望ましい形態である。ゲルクリームの美粧性は、水のような変化(watery break)、半透明の外観及び軽い使用感を特徴とする。
【0004】
Johnson & Johnson Consumer Inc.から市販されているNEUTROGENA Hydro Boost Gel Creamは、持続性の保湿効果を与えるゲルクリームである。これは、ゲルのように速やかに皮膚に吸収されるが、クリームの持続性で強力な保湿力を有する。これは、グリセリン、セテアリルオリベート及びソルビタンオリベートに加え、ヒアルロン酸を含有する。
【0005】
米国特許第6,620,420号には、(i)90重量%以下の水相、(ii)製剤の総重量に基づいて20重量%以下の脂質相、(iii)5重量%以下の1つ以上の乳化剤を含み、及びまた、(iv)5重量%以下の1つ以上のアンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ビニルピロリドンコポリマーも含む、水中油型の化粧用又は外皮用ゲルクリーム(Clariant GmbHから市販されているARISTOFLEX(登録商標)AVC)が開示されている。
【0006】
ピキア属は、サッカロミセス科(Saccharomycetaceae)の酵母の属である。この属の100を超える種が公知である。とりわけよく知られた種としては、ピキア・アノマーラ、ピキア・ギリエルモンジィ(Pichia guilliermondii)、ピキア・ノルベゲンシス(Pichia norvegensis)及びピキア・オーメリ(Pichia ohmeri)が挙げられる。
【0007】
ピキア・アノマーラ(以前はハンゼヌラ・アノマーラと命名されていた。)は、生乳及びチーズで見出すことができる。ピキア属の酵母の抽出物は、マンノースモノマーで構成される多糖類であるマンナンを多く含んでいる。ピキア・アノマーラ及びマンナンは、老化する皮膚の処置において使用されることが知られている。例えば、仏国特許第2938768号、仏国特許第2906719号、仏国特許第2897266号及び仏国特許第2976490号を参照。
【0008】
PRO-LIPISKIN(登録商標)は、ピキア・アノマーラの抽出物を含有する市販の化粧料成分である。これは、サトウキビから単離されたピキア株によって生成される。これは、Silab-Franceから入手可能である。
【0009】
老化防止効果の改善されたゲルクリーム処方が必要とされている。
【0010】
出願人らは、グリセリン及び酵母抽出物を含有する組成物が、局所に投与したときに、皮膚の老化の徴候を処置する必要がある皮膚によって生成されるグリコサミノグリカン(GAG)の濃度を増加させることを見出した。具体的には、これら組成物は、グリセリン、セテアリルオリベート、ソルビタンオリベート及びピキア・アノマーラの抽出物を含有するが、脂肪族アルコール、特にセチルアルコール及びベヘニルアルコールを実質的に含まない。
【0011】
ヒアルロン酸及びコンドロイチン硫酸などのグリコサミノグリカン(GAG)は、線維芽細胞によって主に合成される。皮膚の老化プロセスは、これらの代謝活性を低下させ、その結果、真皮の細胞外マトリクスのGAGが減少し、細胞増殖が減少し、その結果、皮膚の機械的特性、具体的には、皮膚の張り、弾性、張性及び/又は柔軟性に有害な変化が生じることが知られている。
【0012】
出願人らは、本発明の組成物で局所的に処置した皮膚において、本発明の組成物がヒアルロン酸及びコンドロイチン硫酸の量を増加させることを見出した。
【0013】
出願人らはまた、グリセリン及び酵母抽出物を含有する組成物がプレバイオティクス組成物として作用し、皮膚上でスタフィロコッカス・エピデルミディスの濃度を高めることも発見した。スタフィロコッカス・エピデルミディスは、皮膚微生物叢の最も豊富な細菌種のうちの1つである。この菌は、好気性常在菌の90%を構成し、皮膚の健康に関連している、共生的グラム陽性通性嫌気性菌である。(Baviera G,Leoni MC,Capra L,et al.Microbiota in healthy skin and in atopic eczema.Biomed Res Int 2014;2014:436921.)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、(a)0.5~25重量パーセントのグリセリン、(b)0.1~5重量パーセントのセテアリルオリベート、(c)0.1~5重量パーセントのソルビタンオリベート、及び(d)0.01~1重量パーセントのピキア・アノマーラの抽出物を含む局所適用組成物であって、脂肪族アルコールを実質的に含まず、かつゲルクリームの形態である局所適用組成物を提供する。
【0015】
本発明はまた、皮膚上でスタフィロコッカス・エピデルミディスの増殖を高める方法であって、微生物叢ディスバイオシスの治療を必要とする皮膚に、ピキア・アノマーラの抽出物及びグリセリンを含む組成物を局所適用することを含む、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
当業者であれば、本明細書の記載に基づいて本発明を最大限利用できると考えられる。以下の具体的な実施形態は、あくまで例示的なものとして解釈すべきであり、以下の開示内容をいかなる意味においても限定するものとして解釈すべきではない。
【0017】
特段の記載がない限り、本明細書で用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野における当業者が一般に解釈するのと同じ意味を有する。更に、本明細書において言及する刊行物、特許出願、特許、及びその他の引用文献は全て参照により援用するものである。特に指定しない限り、成分の量を表すために用いられるパーセントは、重量パーセント(すなわち、%(W/W)である。同様に、成分の相対的割合を表すために用いられる重量比も重量パーセントを用いて求められる(すなわち、重量比は、ある成分の重量パーセントを別の成分の重量パーセントで除することによって計算される)。特に明記しない限り、全ての範囲は、両端点を包含し、例えば、「4~9」は、両端点の4と9を含む。
【0018】
本明細書で使用するとき、「製品」は、任意に、完成したパッケージ化形態である。一実施形態では、パッケージは、組成物を収容しているプラスチック、金属又はガラスの管又はジャーなどの容器である。製品は、このような容器を保管するためのプラスチック又は板紙の箱などの追加の包装を更に含んでもよい。一実施形態では、製品は、本発明の組成物を含み、皮膚又は毛髪に当該組成物を適用することをユーザに指示する指示書を含む。
【0019】
本明細書で使用するとき、「局所的に適用」とは、例えば、手、又は拭き取り用品、ローラー若しくはスプレーなどのアプリケータを使用することによって、外皮、頭皮又は毛髪に直接塗るか又は広げることを意味する。
【0020】
本明細書で使用するとき、「化粧料」とは、具体的には組織又は皮膚の外観に関する場合、身体的に美しい外観を保つ、回復させる、与える、装う若しくは高める、又は美しさ若しくは若々しさが増すようにみえる美容用物質又は製剤を指す。
【0021】
本発明で使用するとき、「化粧用として許容可能な」とは、この用語が説明する成分が、過度の毒性、不適応性、不安定性、刺激、アレルギー性反応などなく、組織(例えば、皮膚又は毛髪)と接触して使用するのに好適であることを意味する。
【0022】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、皮膚の老化の徴候を処置するのに好適である。本明細書で使用するとき、「皮膚の老化の徴候」とは、小じわ及びしわの存在、弾性の喪失、まだらのある皮膚、並びにシミを含む。特に好ましい実施形態では、老化の兆候は、小じわ及びしわの存在、及び/又は弾性の喪失である。
【0023】
本発明で使用するとき、「皮膚の老化の徴候の処置」とは、上述の皮膚の老化の存在又は徴候の緩和、低減、予防、改善又は排除を指す。
【0024】
本明細書で使用するとき、「しわ」は、細かい小じわ、細かいしわ、又は粗いしわを含む。しわの例としては、目の周囲の細かい小じわ(例えば、「カラスの足跡」)、額及び頬のしわ、眉間の小じわ、並びに口の周囲の笑い小じわが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書で使用するとき、「弾性の喪失」には、たるみ、弛緩及び緩んだ組織を含むが、これらに限定されない皮膚又は組織の弾性又は構造的完全性の喪失を含む。弾性、又は組織の構造的完全性の喪失は、疾患、老化、ホルモン変化、機械的外傷、環境損傷、又は化粧料若しくは医薬品などの製品の組織への適用の結果を含むが、これらに限定されない、多数の要因の結果であり得る。
【0026】
本明細書で使用するとき、「まだらのある皮膚」とは、炎症後色素沈着過剰などの色素沈着過剰に分類され得る、びまん性又は斑点模様の色素沈着に関連する皮膚の状態を意味する。
【0027】
本明細書で使用するとき、「シミ」とは、赤み又は紅斑に関連する皮膚の状態を意味する。
【0028】
本明細書で使用するとき、「皮膚の張りの改善」とは、皮膚の張り若しくは弾性の強化、皮膚の張り若しくは弾性の喪失の予防、又はたるみ、弛緩及び緩んだ皮膚の予防若しくは処置を意味する。皮膚の張り又は弾性は、キュートメータを使用することによって測定することができる。Handbook Of Non-Invasive Methods And The Skin,eds.J.Serup,G.Jemec & G.Grove,Chapter66.1(2006)を参照。皮膚の弾性又は張りの喪失は、老化、環境損傷、又は化粧料の皮膚への適用の結果が挙げられるが、これらに限定されない、多数の要因の結果であり得る。
【0029】
本明細書で使用するとき、「皮膚の質感の改善」とは、皮膚表面における隆起又は裂け目のいずれかを除去するために皮膚の表面を滑らかにすることを意味する。
【0030】
本明細書で使用するとき、「皮膚におけるしわの外観の改善」とは、皮膚におけるしわ及び細かい小じわの形成プロセスを阻止、遅延、停止又は逆行させることを意味する。
【0031】
本明細書で使用するとき、「安全かつ有効な量」という用語は、所望の効果を誘導するのに十分であるが、重篤な副作用を回避するのに十分少ない量を意味する。化合物、抽出物又は組成物の安全かつ有効な量は、例えば、エンドユーザの年齢、健康及び環境曝露、処置の期間及び性質、使用される具体的な抽出物、成分又は組成物、利用される具体的な担体、及び同様の要因によって変動するであろう。
【0032】
本明細書で使用するとき、「ゲルクリーム」という用語は、低濃度の油滴が水性ゲルマトリクスに懸濁している処方を意味する。
【0033】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、皮膚のバリア機能の改善及び保湿を必要としている皮膚の処置に好適である。本発明で使用するとき、「皮膚のバリア機能の改善及び保湿を必要としている皮膚」とは、水分が欠如している、皮脂が欠如している、ひび割れしている、乾燥している、痒みがある、鱗屑性である、乾皮症である、脱水状態である、柔軟性が欠如している、輝きが欠如している、くすんでいる、又は脂質が欠如しているが、これらに限定されない皮膚を意味する。
【0034】
本明細書で使用するとき、「プレバイオティクス」とは、有益な細菌の増殖を選択的に促進するか、又は皮膚上に有益な代謝産物を生成するための基質として使用されることを意味する。一実施形態では、有益な細菌はスタフィロコッカス・エピデルミディスである。
【0035】
本明細書で使用するとき、「微生物叢ディスバイオシス」とは、健康な個体の皮膚上又は皮膚内に見られる常在微生物群に対する、皮膚上又は皮膚内の常在微生物群の組成のいずれかの変化、すなわち、皮膚上又は皮膚内の通常優勢な微生物種と通常劣勢な微生物種との間の不均衡を意味する。
【0036】
本明細書で使用する場合、「座瘡」とは、皮脂腺及び毛包でのホルモン及び他の物質の作用から生じ、典型的には、詰まった毛穴及び皮膚上の炎症性又は非炎症性病変の形成をもたらす不調を指す。特に、これは、染み、病変、又は吹き出物、発芽前吹き出物、ブラックヘッド、及び/又はホワイトヘッドに関する。本明細書で使用する場合、「発芽前吹き出物」とは、裸眼で皮膚の表面に視覚的に明白ではない(例えば、病変として)炎症性小胞である。
【0037】
本明細書で使用する場合、「酒さ」とは、丘疹、膿疱、又は小節を伴う、又はこれらを伴わない持続性紅斑を有する皮膚を意味する。
【0038】
本明細書で使用するとき、「湿疹」とは、表皮の炎症を伴う慢性皮膚疾患を指し、多くの場合、鱗屑性及び掻痒性の発疹として現れる。本明細書で使用するとき、「アトピー性皮膚炎」とは、慢性的再発性、非伝染性及び掻痒性の湿疹形態の一種を指す。本明細書で使用するとき、「乾癬」とは、多くの場合、膝及び肘などの伸筋表面上に存在する、過剰な炎症又は過剰な皮膚産生物の赤色鱗屑性の斑点又はプラークとして現れる慢性非感染性疾患を指す。
【0039】
本明細書に記載するとおり、出願人らは、(a)0.5~25重量パーセントのグリセリン、(b)0.1~5重量パーセントのセテアリルオリベート、(c)0.1~5重量パーセントのソルビタンオリベート、及び(d)0.01~1重量パーセントのピキア・アノマーラの抽出物を含む局所適用組成物であって、脂肪族アルコールを実質的に含まず、かつゲルクリームの形態である局所適用組成物を発見した。
【0040】
グリセリン
上記の組成物は、0.5~25重量パーセントのグリセリンを含む。一実施形態では、上記の組成物は、1~6重量パーセントのグリセリンを含む。
【0041】
別の実施形態では、組成物は、プレバイオティクスであり、約3重量パーセントのグリセリンを含む。
【0042】
セテアリルオリベート及びソルビタンオリベート
上記の組成物は、0.1~5重量パーセントのセテアリルオリベートを含む。一実施形態では、上記の組成物は、0.1~2重量パーセントのセテアリルオリベートを含む。
【0043】
また、上記の組成物は、0.1~5重量パーセントのソルビタンオリベートを含む。一実施形態では、上記の組成物は、0.1~2重量パーセントのグリセリンオリベートを含む。
【0044】
便利なセテアリルオリベート及びソルビタンオリベート源は、Hallstarから市販されているOlivem(登録商標)1000である。
【0045】
酵母抽出物
局所適用組成物は、ピキア・アノマーラの1つ以上の抽出物を含む。ピキア属は、サッカロミセス科の酵母の属である。この属の100を超える種が公知である。とりわけよく知られた種としては、ピキア・アノマーラ、ピキア・ギリエルモンジィ、ピキア・ノルベゲンシス、及びピキア・オーメリが挙げられる。ピキア・アノマーラ(以前はハンゼヌラ・アノマーラと命名されていた。)は、生乳及びチーズで見出すことができる。ピキア属の酵母の抽出物は、マンノースモノマーで構成される多糖類であるマンナンを多く含んでいる。ピキア・アノマーラ及びマンナンは、老化する皮膚の処置において使用されることが知られている。例えば、仏国特許第2938768号、仏国特許第2906719号、仏国特許第2897266号及び仏国特許第2976490号を参照。
【0046】
具体的には、このような抽出物は、植物の果実又は他の地上部から単離されたピキア・アノマーラの様々な株のうちの1つを用いて生成される抽出物であってよい。ピキア・アノマーラの任意の化粧用として許容可能な抽出物を使用してよい。
【0047】
ピキア・アノマーラの好適な抽出物の一例は、Silab-Franceから市販されているPRO-LIPISKINである。これは、サトウキビに存在するピキア・アノマーラの株から生成される。
【0048】
ピキア・アノマーラの好適な抽出物の別の例は、キウィ植物の果実又は葉に存在するピキア・アノマーラの株から生成される。
【0049】
前述のもののいずれも、約20%、より具体的には2~10%、最も具体的には3~7%の範囲の乾物を含有する水溶液として提供され得る。したがって、上記の組成物は、0.01~1重量パーセントのピキア・アノマーラの抽出物を含有し得る。
【0050】
PRO-LIPISKIN(登録商標)は、ピキア・アノマーラの抽出物を含有する市販の化粧料成分である。これは、サトウキビから単離されたピキア株によって生成される。これは、Silab-Franceから入手可能である。
【0051】
一実施形態では、上記の組成物は、脂肪族アルコールを実質的に含まない。具体的には、上記の組成物は、セチルアルコール及びベヘニルアルコールを実質的に含まない。本明細書で使用するとき、「実質的に含まない」という語句は、成分を0.1重量パーセント未満若しくは0.01重量パーセント未満しか含有しないか、又は全く含有しないことを意味する。本発明の一実施形態では、上記の組成物は、セチルアルコールもベヘニルアルコールも含有しない。本発明の別の実施形態では、上記の組成物は、脂肪族アルコールを含有しない。
【0052】
別の実施形態では、上記の組成物は、7未満のpHを有する。
【0053】
追加の化粧用活性剤
本発明の組成物は、任意の様々な追加の化粧用活性剤を更に含んでよい。好適な追加の活性剤の例としては、皮膚美白剤、黒化剤、追加の老化防止剤、トロポエラスチンプロモータ、コラーゲンプロモータ、抗ニキビ剤、光沢調整剤、抗微生物剤(例えば、抗酵母剤、抗真菌剤及び抗菌剤)、抗炎症剤、抗寄生生物剤、外用鎮痛剤、日焼け止め剤、光防護剤、酸化防止剤、角質溶解剤、洗剤/界面活性剤、保湿剤、栄養素、ビタミン、エネルギーエンハンサ、抗発汗剤、収斂剤、防臭剤、脱毛剤、育毛強化剤、育毛遅延剤、安定剤、水和増進剤、有効性増進剤、抗たこ剤、皮膚コンディショニング剤、抗セルライト剤、悪臭防止剤(例えば、悪臭マスキング剤)又はpH変更剤などが挙げられる。
【0054】
様々な好適な追加の化粧用として許容可能な活性物質の例としては、以下が挙げられる。ヒドロキシ酸、過酸化ベンゾイル、D-パンテノール、UVフィルター[アボベンゾン(Parsol1789)、ビスジスリゾール二ナトリウム(Neo Heliopan AP)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート(Uvinul A Plus)、エカムスル(Mexoryl SX)、メチルアントラニレート、4-アミノ安息香酸(PABA)、シノキセート、エチルヘキシルトリアゾン(Uvinul T150)、ホモサレート、4-メチルベンジリデンカンファー(Parsol 5000)、オクチルメトキシシンナメート(Octinoxate)、オクチルサリチレート(Octisalate)、パディメートO(Escalol 507)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(Ensulizole)、ポリシリコーン-15(Parsol SLX)、トロサミンサリチレート、ベモトリジノール(Tinosorb S)、ベンゾフェノン1-12、ジオキシベンゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン(Mexoryl XL)、イソコトリジノール(Uvasorb HEB)、オクトクリレン、オキシベンゾン(Eusolex 4360)、スルイソベンゾン、ビソクトリゾール(Tinosorb M)、二酸化チタン、酸化亜鉛が挙げられるが、これらに限定されない。]、カロチノイド、フリーラジカルスカベンジャー、スピントラップ、レチノイド及びレチノイド前駆体(例えば、レチノール、レチノイン酸及びパルミチン酸レチニル)、セラミド、多価不飽和脂肪酸、必須脂肪酸、酵素;酵素阻害剤;ミネラル;ホルモン(例えば、エストロゲン)、ステロイド、例えば、ヒドロコルチゾン、2-ジメチルアミノエタノール、銅塩(例えば、塩化銅)、銅を含有するペプチド、コエンザイムQ10、アミノ酸(例えば、プロリン)、ビタミン;ラクトビオン酸、アセチル-コエンザイムA、ナイアシン、リボフラビン、チアミン、リボース、電子輸送体(例えば、NADH及びFADH2)、並びに他の植物抽出物(例えば、オート麦、アロエベラ、ナツシロギク、ダイズ、シイタケの抽出物)、並びにこれらの誘導体及び混合物。
【0055】
特定の好ましい実施形態では、上記の組成物は、少なくとも1つの追加の皮膚保湿活性剤を含む。
【0056】
特定の好ましい実施形態では、上記の組成物は、皮膚の老化の少なくとも1つの徴候の外観を改善するための少なくとも1つの追加の剤を含む。皮膚の老化の少なくとも1つの徴候の外観を改善する好適な添加剤の例としては、トロポエラスチンプロモータ、コラーゲンプロモータ、レチノイド、ジメチルアミノエタノール、N,N,N’,N’-テトラキス(2ーヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、アルファヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ酸、糖アミン、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
「トロポエラスチンプロモータ」とは、本明細書で使用するとき、トロポエラスチンの生成を強化する生物活性を有する化合物の分類を指す。本発明によるトロポエラスチンプロモータとしては、人体におけるトロポエラスチンの生成を強化することができる全ての天然又は合成化合物が挙げられる。
【0058】
好適なトロポエラスチンプロモータの例としては、クロイチゴ抽出物、ハグマノキ抽出物、ナツシロギク抽出物、並びに銅及び/又は亜鉛構成要素を有する二金属錯体が挙げられるが、これらに限定されない。銅及び/又は亜鉛構成要素を有する二金属錯体は、例えば、クエン酸銅-亜鉛、シュウ酸銅-亜鉛、酒石酸銅-亜鉛、リンゴ酸銅-亜鉛、コハク酸銅-亜鉛、マロン酸銅-亜鉛、マレイン酸銅-亜鉛、アスパラギン酸銅-亜鉛、グルタミン酸銅-亜鉛、グルタル酸銅-亜鉛、フマル酸銅-亜鉛、グルカル酸銅-亜鉛、ポリアクリル酸銅-亜鉛、アジピン酸銅-亜鉛、ピメリン酸銅-亜鉛、スベリン酸銅-亜鉛、アゼライン酸銅-亜鉛、セバシン酸銅-亜鉛、ドデカン酸銅-亜鉛又はこれらの組み合わせであってよい。好ましい実施形態では、トロポエラスチンプロモータは、クロイチゴ抽出物、ハグマノキ抽出物、ナツシロギク抽出物、及びこれらの組み合わせから選択される。特に好ましい実施形態では、トロポエラスチンプロモータは、クロイチゴ抽出物、ナツシロギク抽出物、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0059】
「クロイチゴ抽出物」とは、キイチゴ属の植物、好ましくは、セイヨウヤブイチゴから単離された化合物のブレンドを意味する。一実施形態では、上記の化合物は、植物の花から単離される。更なる実施形態では、上記の化合物は、乾燥させた植物の花から単離される。このような化合物は、植物の1つ又は2つ以上の部分(例えば、植物全体、植物の花、種子、根、根茎、茎部、果実及び/又は葉)から単離され得る。好ましい実施形態では、クロイチゴ抽出物は、クロイチゴ葉抽出物である。ある特に好適なクロイチゴ抽出物は、マルトデキストリンマトリクスを用いて、約5%~約10%の活性になるように配合された水とエタノールとの混合物でセイヨウヤブイチゴの葉を抽出することによって生成されるものであり、Symrise Inc.(Teterboro,NJ)から市販されており、商標名SymMatrixとして販売されている。
【0060】
本発明の組成物は、化粧用として有効な量の1つ又は2つ以上のトロポエラスチンプロモータ(例えば、上記のもの)を含んでよい。上記の組成物は、活性物質に基づいて、好ましくは約0.1%~約10%のトロポエラスチンプロモータ、より好ましくは約0.5%~約5%のトロポエラスチンプロモータ、最も好ましくは約0.5%~約2%のトロポエラスチンプロモータを含む。
【0061】
「コラーゲンプロモータ」とは、本明細書で使用するとき、コラーゲンの生成を強化する、生物活性を有する化合物を指す。本発明による「非レチノイドコラーゲンプロモータ」としては、レチノイドでもなくレチノイドに由来するものでもなく、かつ人体におけるコラーゲンの生成を強化することができる全ての天然又は合成化合物が挙げられる。
【0062】
好適なコラーゲンプロモータの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。レチノール、レチンアルデヒド及びレチノイン酸を含むレチノイド、ナツシロギク(Tanacetum parthenium)の抽出物、ツボクサ(Centella asiatica)の抽出物及びメナモミ(Siegesbeckia orientalis)の抽出物、ダイズの抽出物、コラーゲン促進ペプチド、ウルソル酸、並びにアジアチコサイド。
【0063】
ツボクサは、レユニオン島ではViolette marronne、インドではGotu Kola又はインドツボクサ、北米ではCentella repanda、マダガスカルではTalapetrakaとしても知られており、多形性の草本であり、セリ科(Apiaceae)、特にチドメグサ亜科に属する。これは、熱帯全体に自生しており、海抜約600~1200メートルの高度の多湿で日陰の地域を好む。ツボクサは、3つの変種、Typica、Abyssinica及びFloridanaを有する。この草本は公知であり、その治癒、鎮静、鎮痛、抗うつ、抗ウイルス及び抗微生物特性のために使用されている。この草本の生物活性は、草本中のトリテルペン分子の存在に起因すると思われる。好適なツボクサの抽出物は、Bayer Consumer HealthCare(Basel,Switzerland)からTECAとして入手可能である。
【0064】
「メナモミの抽出物」とは、Sederma(Croda International Group(Edison,NJ))から入手可能なDarutosideを含む、メナモミ植物の様々な抽出物のうちのいずれかを意味する。
【0065】
好適なコラーゲン促進ペプチドとしては、以下を含むマトリカインペプチド(すなわち、細胞外マトリクスタンパク質の分解から誘導されるペプチド-コラーゲン、エラスチン又はプロテオグリカン)が挙げられ、それには、パルミトイルペンタペプチド[例えば、Sederma(Croda International Group(Edison,NJ))製のMATRIXYL]、Photomedex(Montgomeryville,PA)からPROCYTEとして入手可能なGHK銅ペプチド、Sederma(Croda International Group(Edison,NJ))からBiopoeptide CLとして入手可能なパルミトイルGHKペプチド、Unipex(Quebec,Canada)からChronoline Tri Peptideとして入手可能なものなどの生体模倣テトラペプチド、及びDSM(Basel,Switzerland)からSyn-Collとして入手可能なパルミトイルトリペプチドが挙げられる。
【0066】
ウルソル酸は、五環式トリテルペン酸、Prunol、Malol、Urson、ベータ-ウルソル酸及び3-ベータ-ヒドロキシ-ウルサ-12-エン-28-酸としても知られている。これは、例えば、Sigma-Aldrich(St.Louis,MO)から市販されている。
【0067】
化学的に[6-[[3,4-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)-5-(3,4,5-トリヒドロキシ-6-メチルオキサン-2-イル)オキシオキサン-2-イル]オキシメチル]-3,4,5-トリヒドロキシオキサン-2-イル]10,11-ジヒドロキシ-9-(ヒドロキシメチル)-1,2,6a,6b,9,12a-ヘキサメチル-2,3,4,5,6,6a,7,8,8a,10,11,12,13,14b-テトラデカヒドロ-1H-ピセン-4a-カルボキシレート)としても知られているアジアチコサイドは、例えば、Bayer Sante Familiale Division Serdex,69,Boulevard Victor Hugo93400SAINT-OUEN Franceから市販されている。
【0068】
本発明の組成物は、化粧用として有効な量の1つ又は2つ以上のコラーゲンプロモータを含んでよい。上記の組成物は、活性物質に基づいて、好ましくは約0.1%~約10%のコラーゲンプロモータ、より好ましくは約0.5%~約5%のコラーゲンプロモータ、最も好ましくは約0.5%~約2%のコラーゲンプロモータを含む。
【0069】
本発明の組成物は、少なくとも1つの皮膚美白活性剤を更に含んでよい。好適な皮膚美白活性剤の例としては、チロシナーゼ阻害物質、メラニン分解剤、メラノソーム移動阻害剤(PAR-2アンタゴニストを含む)、剥離剤、日焼け止め剤、レチノイド、酸化防止剤、トラネキサム酸、トラネキサム酸セチルエステルヒドロクロリド、皮膚白化剤、リノール酸、アデノシン一リン酸二ナトリウム塩、カモミール抽出物、アラントイン、乳白剤、タルク及びシリカ、亜鉛塩など、並びにSolano et al.Pigment Cell Res.19(550-571)及びAndo et al.Int J Mol Sci 11(2566-2575)に記載されているような他の剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
好適なチロシナーゼ阻害物質の例としては、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、コウジ酸、アルブチン、レゾルシノール、ヒドロキノン、フラボン(例えば、カンゾウフラバノイド、カンゾウ根抽出物、クワ根抽出物、ディオスコレア・コポジータ(Dioscorea Coposita)根抽出物、ユキノシタ科抽出物など)、エラグ酸、サリチル酸塩及び誘導体、グルコサミン及び誘導体、フラーレン、ヒノキチオール、二酸、アセチルグルコサミン、5,5’-ジプロピル-ビフェニル-2,2’-ジオール(Magnolignan)、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール(4-HPB)、これらのうちの2つ又は3つ以上の組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。ビタミンCの誘導体の例としては、これらに限定されるものではないが、アスコルビン酸及びその塩、アスコルビン酸-2-グルコシド、アスコルビン酸リン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、及びビタミンCを濃縮した天然抽出物が挙げられる。ビタミンEの誘導体としては、これらに限定されるものではないが、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、及びこれらの混合物、酢酸トコフェロール、リン酸トコフェロール、及びビタミンE誘導体を濃縮した天然抽出物が挙げられる。レゾルシノール誘導体の例としては、レゾルシノール、4-置換レゾルシノール[例えば、4-ブチルレゾルシノール(ルシノール)、4-ヘキシルレゾルシノール(Synovea HR、Sytheon)、フェニルエチルレゾルシノール(Symwhite、Symrise)、1-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-3-(2,4-ジメトキシ-3-メチルフェニル)-プロパン(ニビトール、Unigen)などの4-アルキルレゾルシノール]、及びレゾルシノールを多く含む天然抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。サリチル酸塩の例としては、4-メトキシカリウムサリチレート、サリチル酸、アセチルサリチル酸、4-メトキシサリチル酸及びこれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、チロシナーゼ阻害物質としては、4-置換レゾルシノール、ビタミンC誘導体又はビタミンE誘導体が挙げられる。より好ましい実施形態では、チロシナーゼ阻害物質は、フェニルエチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール又はアスコルビル-2-グルコシドを含む。
【0071】
好適なメラニン分解剤の例としては、ペルオキシド及び酵素(例えば、ペルオキシダーゼ及びリグニナーゼ)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、メラニン阻害剤としては、ペルオキシド及びリグニナーゼが挙げられる。
【0072】
好適なメラノソーム移動阻害剤の例としては、PAR-2アンタゴニスト(例えば、ダイズトリプシン阻害物質又はボーマン-バーク阻害物質)、ビタミンB3及び誘導体(例えば、ナイアシンアミド)、必須ダイズ、全ダイズ、ダイズ抽出物が挙げられる。特定の好ましい実施形態では、メラノソーム移動阻害剤としては、ダイズ抽出物又はナイアシンアミドが挙げられる。
【0073】
剥離剤の例としては、アルファ-ヒドロキシ酸(例えば、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸又は前述のもののいずれかの任意の組み合わせ)、ベータ-ヒドロキシ酸(例えば、サリチル酸、ポリヒドロキシ酸、例えば、ラクトビオン酸及びグルコン酸)、及び機械的剥離剤(例えば、マイクロ皮膚擦傷剤)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、剥離剤としては、グリコール酸又はサリチル酸が挙げられる。
【0074】
レチノイドの例としては、レチノール(ビタミンAアルコール)、レチナール(ビタミンAアルデヒド)、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、リノール酸レチニル、レチノイン酸、パルミチン酸レチニル、イソトレチノイン、タザロテン、ベキサロテン、アダパレン、これらの2つ又は3つ以上の組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、レチノイドは、レチノール、レチナール、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、リノール酸レチニル、及びこれらの2つ又は3つ以上の組み合わせからなる群から選択される。特定のより好ましい実施形態では、レチノイドは、レチノールである。
【0075】
酸化防止剤の例としては、スルフヒドリル化合物及びその誘導体(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム及びN-アセチル-システイン、グルタチオン)、リポ酸及びジヒドロリポ酸、スチルベノイド(例えば、レスベラトロル及び誘導体)、ラクトフェリン、鉄及び銅キレート剤、並びにアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体(例えば、アスコビル-2-グルコシド、パルミチン酸アスコルビル及びアスコビルポリペプチド)などの水溶性酸化防止剤が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物において使用するのに適した油溶性酸化防止剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン、レチノイド(例えば、レチノール及びパルミチン酸レチニル)、トコフェロール(例えば、酢酸トコフェロール)、トコトリエノール、及びユビキノンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物において使用するのに適した酸化防止剤を含有する天然抽出物としては、フラボノイド及びイソフラボノイド並びにこれらの誘導体(例えば、ゲニステイン及びダイゼイン)を含有する抽出物、レスベラトロルを含有する抽出物などが挙げられるが、これらに限定されない。このような天然抽出物の例としては、ブドウ種子、緑茶、紅茶、白茶、マツ樹皮、ナツシロギク、パルテノライドを含まないナツシロギク、オート麦抽出物、クロイチゴ抽出物、ハグマノキ抽出物、ダイズ抽出物、グレープフルーツ抽出物、小麦胚抽出物、ヘスペレジン、ブドウ抽出物、スベリヒユ抽出物、リコカルコン、カルコン、2,2’-ジヒドロキシカルコン、サクラソウ抽出物、プロポリスなどが挙げられる。
【0076】
本発明の組成物は、化粧用として有効な量の1つ又は2つ以上の抗炎症化合物を含んでよい。
【0077】
好適な抗炎症化合物の例としては、置換レゾルシノール、(E)-3-(4-メチルフェニルスルホニル)-2-プロペンニトリル(例えば、Sigma-Aldrich(St.Louis,Missouri)から市販されている「Bay11-7082」、テトラヒドロクルクミノイド(例えば、Sabinsa Corporation(Piscataway,NJ)から入手可能なTetrahydrocurcuminoid CG)、以下に由来する抽出物及び物質[キハダ(Phellodendron amurense)外皮抽出物(PCE)、非変性ダイズ(Glycine max)、ナツシロギク(Tanacetum parthenium)、ショウガ(Zingiber officinale)、イチョウ(Ginkgo biloba)、マデカソシド(Centella asiatica抽出物成分)、ハグマノキ(Cotinus coggygria)、西洋フキ抽出物(Petasites hybridus)、クコの実(Lycium barbarum)、マリアアザミ抽出物(Silybum marianum)、ハニーサックル(Lonicera japonica)、ペルーバルサム(Myroxylon pereirae)、セージ(Salvia officinalis)、クランベリー抽出物(Vaccinium oxycoccos)、アマランス油(Amaranthus cruentus)、ザクロ(Punica granatum)、イェルバ・マテ(Ilex paraguariensis葉抽出物)、白百合花抽出物(Lilium candidum)、オリーブ葉抽出物(Olea europaea)、フロレチン(リンゴ抽出物)、オート麦粉(Aveena sativa)、Lifenol(ホップ、Humulus lupulus)抽出物、Bugrane P(Ononis spinosa)、リコカルコン(カンゾウ、Glycyrrhiza inflate抽出物成分)、Symrelief(ビサボロール及びショウガ抽出物)、これらのうちの2つ以上の組み合わせなど]が挙げられる。
【0078】
一実施形態では、抗炎症剤は、レゾルシノールである。特に好適な置換レゾルシノールとしては、4-ヘキシルレゾルシノール及び4-オクチルレゾルシノール、特に、4-ヘキシルレゾルシノールが挙げられる。4-ヘキシルレゾルシノールは、Sytheon(Lincoln Park,NJ)からSYNOVEA HRとして市販されている。4-オクチルレゾルシノールは、City Chemical LLC(West Haven,Connecticut)から市販されている。
【0079】
「ナツシロギクの抽出物」とは、例えば、「PARTHENOLIDE FREE BIOACTIVE INGREDIENTS FROM FEVERFEW(TANACETUM PARTHENIUM)AND PROCESSES FOR THEIR PRODUCTION」と題された米国特許公開第2007/0196523号に記載の詳細に従って生成され得る、植物「Tanacetum parthenium」の抽出物を意味する。ある特に好適なナツシロギク抽出物は、Integrated Botanical Technologies(Ossining,NY)から約20%活性ナツシロギクとして市販されている。
【0080】
一実施形態では、局所適用組成物は、ヒアルロン酸を含む。ヒアルロン酸は、直鎖ヒアルロン酸、架橋ヒアルロン酸、又は直鎖ヒアルロン酸と架橋ヒアルロン酸との混合物であってよい。これは、塩形態、例えば、ヒアルロン酸ナトリウムであってよい。ヒアルロン酸の分子量は、非常に低い分子量から非常に高い分子量まで所望により変化し得る。
【0081】
本発明において有用な市販の架橋ヒアルロン酸は、Evonik Industries AG製のHyaCare(登録商標)Filler CLである。HyaCare(登録商標)Filler CLは、無溶媒プロセスによって得られる高純度の発酵由来の高品質バイオ多糖類である。これは、700kDaの中間分子量を有する、皮膚と同質のヒアルロン酸である。
【0082】
本発明において有用な別の市販の架橋ヒアルロン酸は、Vantage Specialty Ingredientsによって販売されているHylasome(登録商標)EG10である。
【0083】
架橋ヒアルロン酸は、当該技術分野において既知のとおり調製され得る。例えば、直鎖ヒアルロン酸の天然源又は合成源は、ジビニルスルホン(DVS)、ホルムアルデヒド、ポリ無水物、ポリアルデヒド、多価アルコール、カルボジイミド、エピクロロヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ビス-若しくはポリ-エポキシ架橋剤[1,2,3,4-ジエポキシブタン又は1,2,7,8-ジエポキシオクタンなど]、又は当該技術分野において既知の他の架橋剤などを含む、様々な架橋剤を用いて架橋することができる。また、架橋度は、当該技術分野において既知のとおり調整され得る。
【0084】
別の実施形態では、上記の組成物は、柑橘類果実抽出物、例えば、レモン皮抽出物を含む。
【0085】
他の成分
本発明の組成物は、ヒトの皮膚又は毛髪に局所的に塗布される。したがって、上記の組成物は、水中油型エマルションタイプのゲルクリーム処方で使用するためのパーソナルケア分野において公知の化粧用として許容可能な局所適用成分を更に含んでよい。
【0086】
特定の好ましい実施形態では、上記の組成物は、界面活性剤、キレート剤、追加の皮膚軟化剤、保湿剤、コンディショナー、防腐剤、乳白剤、芳香剤などから成る群から選択される1つ以上の局所適用成分を含む。
【0087】
追加の皮膚軟化剤としては、(例えば、潤滑剤として作用するために皮膚の表面又は角質層に残存することによって)皮膚の柔らかく、滑らかで、しなやかな外観を維持するのに役立つ化合物が挙げられる。好適な皮膚軟化剤の例としては、Handbook of Cosmetic Science and Technology(A.Barel、M.Paye及びH.Maibach編、2001年発行、Marcel Dekker,Inc New York,NY)の第35章399~415ページ(Skin Feel Agents、G Zocchi著)に見られるものが挙げられ、例えば、ワセリン、ヘキシルデシルステアレート、並びに植物、ナッツ及び植物油(例えば、マカダミアナッツ油、米糠油、ブドウ種子油、パーム油、サクラソウ油、水素添加ピーナッツ、油及びアボカド油)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
保湿剤とは、皮膚の最上層の含水量を増加させる意図の化合物(例えば、吸湿性化合物)を意味する。好適な保湿剤の例としては、Handbook of Cosmetic Science and Technology(A.Barel、M.Paye及びH.Maibach編、2001年発行、Marcel Dekker,Inc New York,NY)の第35章399~415ページ(Skin Feel Agents、G Zocchi著)に見られるものが挙げられ、例えば、グリセリン、ソルビトール又はトレハロース(例えば、α,α-トレハロース、β,β-トレハロース、α,βートレハロース)又はこれらの塩若しくはエステル(例えば、トレハロース-6-ホスフェート)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
界面活性剤とは、洗浄又は乳化の意図の表面活性剤を意味する。好適な界面活性剤の例としては、Handbook of Cosmetic Science and Technology(A.Barel、M.Paye及びH.Maibach編、2001年発行、Marcel Dekker,Inc New York,NY)の第37章431~450ページ(Classification of surfactants、L.Oldenhove de Guertechin著)に見られるものが挙げられ、例えば、サルフェートなどのアニオン性界面活性剤、ベタインなどのカチオン性界面活性剤、ココグリシンナトリウムなどの両性界面活性剤、アルキルポリグルコシドなどのノニオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
好適なキレート化剤の例としては、本発明の組成物を保護及び保存することができるものが挙げられる。好ましくは、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(「EDTA」)であり、より好ましくは、Dow Chemical Company(Midland,Michigan)から商標名VERSENE 100XLとして市販されているEDTA四ナトリウムである。
【0091】
好適な防腐剤としては、例えば、パラベン、四級アンモニウム種、フェノキシエタノール、ベンゾエート、DMDMヒダントイン、有機酸が挙げられ、組成物の総重量に基づいて、約0~約1%又は約0.05%~約0.5%の量で組成物中に存在する。
【0092】
毛髪に光沢を与えるなどの追加の属性を付与する各種コンディショナーはいずれも、本発明において使用するのに好適である。例としては、約220℃未満の大気圧沸点を有する揮発性シリコーンコンディショニング剤が挙げられるが、これらに限定されない。適切な揮発性シリコーンの例としては、非排他的に、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシクロシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、Dow Corning Corporation(Midland,Michigan)から「DC-345」の商品名で市販されているポリジメチルシクロシロキサンなどのシクロメチコン流体、及びそれらの混合物が挙げられ、並びに好適にはシクロメチコン流体が挙げられる。他の好適なコンディショナーとしては、ポリクオタニウム、カチオン性グアーなどを含むカチオン性ポリマーが挙げられる。
【0093】
各種市販の真珠光沢又は不透明化剤はいずれも、組成物において使用するのに好適である。好適な真珠光沢又は不透明化剤の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。(a)約16~約22個の炭素原子を有する脂肪酸及び(b)エチレン若しくはプロピレングリコールのいずれかのモノ又はジエステル、(a)約16~約22個の炭素原子を有する脂肪酸、(b)式HO-(JO)a-H(式中、Jは、約2~約3個の炭素原子を有するアルキレン基であり、aは2又は3である)のポリアルキレングリコールのモノ又はジエステル、約16~約22個の炭素原子を含有する脂肪族アルコール、式:KCOOCH2L(式中、K及びLは、独立して、約15~約21個の炭素原子を含有する)の脂肪族エステル、シャンプー組成物に不溶性の無機固体、並びにこれらの混合物。
【0094】
皮膚において使用するのに好適な任意の芳香剤組成物を本発明に従って使用してよい。
【0095】
上記の組成物は、ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマーなどの増粘剤を含んでよい。このような成分は、SeppicからSepimax(登録商標)Cとして市販されている。一実施形態では、上記の組成物は、約0.1~約10重量パーセント又は約1~約8重量パーセントの増粘剤を含む。
【0096】
増粘剤の量及び選択によって、ゲルクリームの外観及び肌触りを維持しながら、ゲルクリームを安定化することができる。
【0097】
上記の組成物は、例えば、天然ゴム、アクリル酸及びアクリレートポリマー及びコポリマー、並びにセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース)などの好適なゲル化剤を含有してよい。油(鉱油など)用の好適なゲル化剤としては、水素添加ブチレン/エチレン/スチレンコポリマー及び水素添加エチレン/プロピレン/スチレンコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。このようなゲルは、典型的には、約0.1重量%~5重量%のこのようなゲル化剤を含有する。
【0098】
追加の化粧用活性剤は、任意の好適な量、例えば、組成物の約0.0001重量%~約20重量%、例えば、約0.001重量%~約10重量%、例えば、約0.01重量%~約5重量%などの量で組成物中に存在してよい。特定の好ましい実施形態では、0.1%~5%、他の好ましい実施形態では、1%~2%の量である。
【0099】
組成物、並びにこのような組成物を含有する処方及び製品は、当業者に公知の方法を用いて調製することができる。
【0100】
一実施形態では、上記の組成物は、ジメチコーン、カルボマー、グリセリン、蜜蝋、ポリアクリルアミド、ラウレス-7、C13~14イソパラフィン、水、クロルフェネシン、エチルヘキシルグリセリン、フェノキシエタノール、セテアリルオリベート、ソルビタンオリベート、ジメチコーン、ジメチコーンクロスポリマー、水酸化ナトリウム、ジメチコノール、ビニルジメチコーンクロスポリマー、C12~14パレス-12、ヒアルロン酸ナトリウム及びピキア・アノマーラの抽出物を含む。
【0101】
方法
本発明は、皮膚のバリア機能の改善及び保湿を必要としている皮膚に本発明の組成物を適用することによって、皮膚のバリア機能を改善し、保湿する方法、を更に含む。上記の方法は、例えば、皮膚のバリア機能の改善及び保湿を必要としている皮膚に、上記の組成物を局所適用すること、を含む。このような局所適用は、身体、例えば、顔、唇、首、胸、背中、腕、脇の下、手、足及び/又は脚の皮膚の処置を必要としている任意の皮膚に対して行ってよい。
【0102】
本発明は、皮膚の老化の少なくとも1つの徴候の外観の改善を必要としている皮膚に、本発明の組成物を適用することによって、皮膚の老化の少なくとも1つの徴候の外観を改善する方法、を更に含む。上記の方法は、例えば、皮膚の老化の少なくとも1つの徴候の処置を必要としている皮膚に、上記の組成物を局所適用すること、を含む。このような局所適用は、身体、例えば、顔、唇、首、胸、背中、腕、脇の下、手、足及び/又は脚の皮膚の処置を必要としている任意の皮膚に対して行ってよい。
【0103】
本発明はまた、皮膚上でスタフィロコッカス・エピデルミディスの増殖を高める方法であって、微生物叢ディスバイオシスの治療を必要とする皮膚に、ピキア・アノマーラの抽出物及びグリセリンを含む組成物を局所適用することを含む、方法を提供する。一実施形態では、組成物は、約0.13重量パーセントのピキア・アノマーラの抽出物及び約3重量パーセントのグリセリンを含む。
【0104】
特定の実施形態では、微生物叢ディスバイオシスは、湿疹を伴う。
【0105】
特定の実施形態では、微生物叢ディスバイオシスは、座瘡又は酒さを伴う。
【0106】
特定の実施形態では、微生物叢ディスバイオシスは、皮膚のバリア機能又は保湿の低下を伴い、例えば、水分不足、皮脂不足、ひび割れ、乾燥、掻痒性、鱗屑性、乾皮症、脱水、柔軟性不足、輝き不足、くすみ、又は脂質不足の皮膚を伴う。
【0107】
出願人らは、ピキア・アノマーラの抽出物及びグリセリンの組み合わせが、驚くべきことに有益なS.エピデルミスの増殖を高めることを発見した。
【0108】
必要としている皮膚に組成物を適用する、任意の好適な方法を用いてよい。例えば、組成物を、必要としている皮膚にパッケージから直接適用してもよく、必要としている皮膚に手で適用してもよく、拭き取り用品若しくはマスクなどの基材から移動させてもよく、又はこれらのうちの2つ若しくは3つ以上の組み合わせであってもよい。他の実施形態では、組成物は、スポイト、チューブ、ローラー、スプレー及びパッチを介して適用してもよく、浴、又はそうでなければ皮膚などに適用される水に添加してもよい。上記の組成物を、リーブオンクリーム、マスク及び/又はセラムなどを含むが、これらに限定されない様々な方法/形態で適用してよい。
【0109】
以下の非限定的な実施例は、本発明を更に説明するものである。
【実施例0110】
(実施例1)
以下の成分を有する、本発明による局所適用ゲルクリーム組成物を作製した。
【0111】
【0112】
(実施例2)
以下の成分を有する、本発明による局所適用ゲルクリーム組成物を作製した。
【0113】
【0114】
(実施例3)
好気条件下でS.エピデルミス(ATCC 12228)を増殖させる4つの試験材料の能力を調べた。材料は、1)注射用水(WFI)用の無菌ろ過水、2)キウィで増殖したピキア・アノマーラの抽出物を0.13重量パーセント含有する水溶液を5%含有するWFI、3)グリセロールを3%含有するWFI、及び4)キウィで増殖したピキア・アノマーラの抽出物を0.13重量パーセント含有する水溶液を5%とグリセロールを3%共に含有するWFIであった。
【0115】
BacT/Alert 3Dシステム(BioMerieux Inc.)を使用して、製造業者の指示に従って、S.エピデルミディスの検出時間(「TTD」)を測定した。S.エピデルミディスを、約1000コロニー形成単位(CFU)/mLの集団数で、標準的なBacT/ALERT好気性瓶(BioMerieux Inc.)に接種した。試験材料をWFIで調製し、指示されたおよその集団数で、1mLの容量で標準好気性瓶に注入した。S.エピデルミディスのみと10mLのWFIを接種した標準好気性瓶を対照として使用した。次に、定常増殖期まで瓶をBacT/Alert 3Dシステムに挿入した。TTD値は、BacT/Alert 3Dにより、システムの増殖検出アルゴリズムに従って自動的に計算された。各試験材料について3つの試料を試験し、結果を平均した。相対検出時間(RTTD)は、(TTD処理)/TTD対照×100として計算した。
【0116】
結果を表3に示す。
【0117】
【0118】
ピキア・アノマーラの抽出物とグリセロールとの組み合わせのRTTDは、いずれかの試験材料単体のRTTDより驚くべきことに著しく低かった。
【0119】
〔実施の態様〕
(1) 皮膚上でスタフィロコッカス・エピデルミディスの増殖を高める方法であって、微生物叢ディスバイオシス(microbiota dysbiosis)の治療を必要とする皮膚に、ピキア・アノマーラの抽出物及びグリセリンを含む組成物を局所適用することを含む、方法。
(2) 前記組成物が、約0.13重量パーセントのピキア・アノマーラの抽出物及び約3重量パーセントのグリセリンを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記組成物が、脂肪族アルコールを実質的に含まず、かつゲルクリームの形態である、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記組成物が、約7未満のpHを有する、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記ピキア・アノマーラの抽出物が、キウィの果実又は葉に存在するピキア・アノマーラの株から調製される、実施態様1に記載の方法。
【0120】
(6) 前記ピキア・アノマーラの抽出物が、サトウキビに存在するピキア・アノマーラの株から調製される、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記微生物叢ディスバイオシスが、湿疹を伴う、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記微生物叢ディスバイオシスが、座瘡又は酒さを伴う、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記微生物叢ディスバイオシスが、皮膚のバリア機能又は保湿の低下を伴う、実施態様1に記載の方法。