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特開2024-28651原発性線毛機能不全症の治療のための組成物および方法
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  • 特開-原発性線毛機能不全症の治療のための組成物および方法 図1A
  • 特開-原発性線毛機能不全症の治療のための組成物および方法 図1B
  • 特開-原発性線毛機能不全症の治療のための組成物および方法 図2A
  • 特開-原発性線毛機能不全症の治療のための組成物および方法 図2B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028651
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】原発性線毛機能不全症の治療のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 48/00 20060101AFI20240226BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240226BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20240226BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20240226BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240226BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240226BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20240226BHJP
   C12N 15/88 20060101ALN20240226BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20240226BHJP
【FI】
A61K48/00
A61P11/00
A61P11/02
A61P27/16
A61P29/00
A61P15/00
A61K31/7105
C12N15/88 Z ZNA
C12N15/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024010105
(22)【出願日】2024-01-26
(62)【分割の表示】P 2021539435の分割
【原出願日】2020-01-07
(31)【優先権主張番号】62/789,414
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517316797
【氏名又は名称】トランスレイト バイオ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アヌシャ ディアス
(72)【発明者】
【氏名】ダーシャン パレク
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー エス. ドゥビンス
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン コバー
(72)【発明者】
【氏名】シュリラング カーブ
(72)【発明者】
【氏名】ザルナ パテル
(72)【発明者】
【氏名】サラ ジェイ. ドゥナジ
(72)【発明者】
【氏名】フランク デローサ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ハートレイン
(57)【要約】
【課題】原発性線毛機能不全症の治療のための組成物および方法の提供。
【解決手段】本発明は、特に、mRNA療法に基づいて原発性線毛機能不全症(PCD)を治療するための方法および組成物を提供する。PCDの治療に使用される組成物は、ダイニン軸糸重鎖5(DNAH5)コード配列を含むmRNAを含み、PCDの少なくとも一つの症状もしくは特徴が、強度、重篤度、または頻度において低下する、または発症が遅延するような有効用量および投与間隔で投与される。最適化されたDNAH5コード配列を有するmRNAが提供され、mRNAのヌクレオチドを改変することなく投与して、インビボでの持続的な機能を達成することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年1月7日に出願された米国仮特許出願第62/789,414号に対するその利益および優先権を主張するものであり、該仮特許出願の内容は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
配列表の参照による組み込み
2020年1月6日に作成され、サイズが504KBである「MRT-2060WO_ST25.txt」という名称のテクストファイルの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
原発性線毛機能不全症(PCD)は、気道、生殖器系、ならびに他の器官および組織の内層に見られる、異常な繊毛および鞭毛を特徴とする自己劣性障害である。PCDは、約16,000人中1人に生じる。症状は、早ければ出生時から呼吸障害が現れ、罹患者は、幼児期から頻繁に呼吸器感染症を発症する。PCD患者は、年間を通して鼻づまりと慢性的な咳も見られる。慢性呼吸器感染症は、気管支と呼ばれる通路を損傷させる気管支拡張症と呼ばれる状態をもたらし、生命を脅かす呼吸障害を引き起こす可能性がある。PCD患者の中には、不妊症、再発性耳感染症、胸部と腹部の臓器の異常配置を有する人もいる。
【0004】
DNAH1またはDNAH5遺伝子の変異は、原発性線毛機能不全症の全症例の約三分の一を占める。DNAH5遺伝子は、繊毛の内部構造を形成するダイニン軸糸重鎖5をコードする。ダイニン軸糸重鎖5の欠損または異常により、繊毛の欠陥は、肺から流体、細菌、および粒子を排除するために必要な力および動きを生み出すことができない。繊毛の動きはまた、胚の発生時に左右の軸を確立し、精子細胞をメスの卵細胞に向かって前進させるのに役立つ。
【0005】
現在、PCDに対する治療法はない。現行の標準治療には、粘液の排出を高めるための積極的な措置、および気道の細菌感染に対する抗生物質療法が含まれる。呼吸器感染症および他の二次的合併症を防ぐために、定期的な免疫付与が行われる。一部の患者については、肺葉切除、肺移植、および副鼻腔手術が考慮される。遺伝子治療は、PCDの新しいより効果的な治療の緊急の必要性に応えるために研究されてきた。しかしながら、DNAH5のサイズが大きいため、従来の遺伝子治療法は依然として困難である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、特に、原発性線毛機能不全症(PCD)の治療に使用するための方法および組成物を提供する。本発明は、部分的には、およそ14kbの長さのDNAH5 mRNAがリポソームに首尾よく封入され、インビボで標的組織に効果的に送達され得るという驚くべき発見に基づく。
【0007】
一部の態様では、本発明は、タンパク質またはペプチドをコードする10kb以上のmRNAを、送達を必要とする対象に投与することを含む、インビボでタンパク質またはペプチドをコードする10kb以上のmRNAの送達方法を提供する。一部の実施形態では、10kb以上のmRNAはリポソーム内に封入される。一部の実施形態では、10kb以上のmRNAは、11kb以上の長さである。一部の実施形態では、10kb以上のmRNAは、12kb以上の長さである。一部の実施形態では、10kb以上のmRNAは、13kb以上の長さである。一部の実施形態では、10kb以上のmRNAは、14kb以上の長さである。
【0008】
一部の態様では、本発明は、ヒトDNAH5タンパク質をコードするmRNAを、送達を必要とする対象に投与することを含む、インビボでのヒト軸糸ダイニン重鎖5(DNAH5)の送達方法を提供する。一部の実施形態では、DNAH5 mRNAはリポソーム内に封入される。
【0009】
一部の態様では、本発明は、治療を必要とする対象に対し、ヒト軸糸ダイニン重鎖5(DNAH5)をコードするmRNAを、PCDの少なくとも一つの症状または特徴が、強度、重篤度または頻度において低下する、またはその発生が遅延するような有効用量および投与間隔で投与することを含む、原発性線毛機能不全症(PCD)を治療する方法を提供する。
【0010】
一部の実施形態では、DNAH5 mRNAはリポソーム内に封入される。
【0011】
一部の実施形態では、リポソームは、一種または複数のカチオン性脂質、一種または複数の非カチオン性脂質、および一種または複数のPEG修飾脂質を含む。
【0012】
一部の実施形態では、一種または複数のカチオン性脂質は、cKK-E12、OF-02、C12-200、MC3、DLinDMA、DLinkC2DMA、ICE(イミダゾールベース)、HGT5000、HGT5001、HGT4003、DODAC、DDAB、DMRIE、DOSPA、DOGS、DODAP、DODMAおよびDMDMA、DODAC、DLenDMA、DMRIE、CLinDMA、CpLinDMA、DMOBA、DOcarbDAP、DLinDAP、DLincarbDAP、DLinCDAP、DLinSSDMA、KLin-K-DMA、DLin-K-XTC2-DMA、3-(4-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)-6-(4-((2-ヒドロキシドデシル)(2-ヒドロキシウンデシル)アミノ)ブチル)-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(ターゲット23)、3-(5-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ペンタン-2-イル)-6-(5-((2-ヒドロキシドデシル)(2-ヒドロキシウンデシル)アミノ)ペンタン-2-イル)-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(ターゲット24)、ccBene、ML7ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0013】
一部の実施形態では、カチオン性脂質は、ICEである。
【0014】
一部の実施形態では、一種または複数の非カチオン性脂質は、DSPC(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DPPC(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DOPE(1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DOPC(1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホチジルコリン)、DPPE(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DMPE(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DOPG(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール))またはそれらの組み合わせから選択される。一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、DOPEである。
【0015】
一部の実施形態では、一種または複数のPEG修飾脂質は、C6-C20長のアルキル鎖を有する脂質に共有結合された、長さが最大5kDaのポリ(エチレン)グリコール鎖を含む。
【0016】
一部の実施形態では、カチオン性脂質は、モル比でリポソームの約30~60%を構成する。
【0017】
一部の実施形態では、カチオン性脂質は、モル比でリポソームの約30%、40%、50%、または60%を構成する。
【0018】
一部の実施形態では、リポソームはICE、DOPE、およびDMG-PEG2Kを含む。
【0019】
一部の実施形態では、リポソームは約80nm~200nmのサイズを有し、任意に、リポソームは約100nmまたは100nm未満のサイズを有する。
【0020】
一部の実施形態では、DNAH5 mRNAはコドン最適化されている。
【0021】
一部の実施形態では、DNAH5 mRNAは、一個または複数の修飾ヌクレオチドを含む。
【0022】
一部の実施形態では、当該一個または複数の修飾ヌクレオチドは、シュードウリジン、N-1-メチル-シュードウリジン、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、および/または2-チオシチジンから選択される。
【0023】
一部の実施形態では、mRNAは、修飾されていない。
【0024】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号2または配列番号3に記載の配列を有する、5’-非翻訳領域(5’-UTR)を含む。
【0025】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号4または配列番号5に記載の配列を有する、3’-非翻訳領域(3’-UTR)を含む。
【0026】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号6~配列番号31のうちのいずれか一つに対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号6~配列番号31のうちのいずれか一つに対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号6~配列番号31のうちのいずれか一つに対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号6~配列番号31のうちのいずれか一つに対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号6~配列番号31のうちのいずれか一つに対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号6~配列番号31に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号6~配列番号31に記載のコード配列を含む。
【0027】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号6に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号6に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号6に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号6に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号6に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号6に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号6に記載のコード配列を含む。
【0028】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号7に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号7に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号7に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号7に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号7に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号7に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号7に記載のコード配列を含む。
【0029】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号8に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号8に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号8に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号8に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号8に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号8に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号8に記載のコード配列を含む。
【0030】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号9に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号9に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号9に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号9に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号9に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号9に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号9に記載のコード配列を含む。
【0031】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号10に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号10に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号10に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号10に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号10に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号10に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号10に記載のコード配列を含む。
【0032】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号11に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号11に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号11に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号11に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号11に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号11に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号11に記載のコード配列を含む。
【0033】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号12に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号12に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号12に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号12に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号12に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号12に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号12に記載のコード配列を含む。
【0034】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号13に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号13に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号13に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号13に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号13に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号13に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号13に記載のコード配列を含む。
【0035】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号14に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号14に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号14に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号14に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号14に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号14に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号14に記載のコード配列を含む。
【0036】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号15に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号15に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号15に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号15に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号15に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号15に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号15に記載のコード配列を含む。
【0037】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号16に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号16に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号16に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号16に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号16に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号16に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号16に記載のコード配列を含む。
【0038】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号17に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号17に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号17に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号17に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号17に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号17に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号17に記載のコード配列を含む。
【0039】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号18に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号18に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号18に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号18に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号18に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号18に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号18に記載のコード配列を含む。
【0040】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号19に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号19に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号19に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号19に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号19に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号19に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号19に記載のコード配列を含む。
【0041】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号20に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号20に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号20に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号20に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号20に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号20に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号20に記載のコード配列を含む。
【0042】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号21に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号21に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号21に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号21に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号21に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号21に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号21に記載のコード配列を含む。
【0043】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号22に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号22に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号22に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号22に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号22に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号22に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号22に記載のコード配列を含む。
【0044】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号23に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号23に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号23に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号23に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号23に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号23に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号23に記載のコード配列を含む。
【0045】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号24に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号24に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号24に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号24に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号24に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号24に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号24に記載のコード配列を含む。
【0046】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号25に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号25に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号25に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号25に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号25に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号25に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号25に記載のコード配列を含む。
【0047】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号26に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号26に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号26に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号26に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号26に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号26に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号26に記載のコード配列を含む。
【0048】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号27に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号27に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号27に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号27に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号27に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号27に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号27に記載のコード配列を含む。
【0049】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号28に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号28に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号28に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号28に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号28に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号28に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号28に記載のコード配列を含む。
【0050】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号29に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号29に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号29に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号29に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号29に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号29に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号29に記載のコード配列を含む。
【0051】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号30に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号30に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号30に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号30に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号30に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号30に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号30に記載のコード配列を含む。
【0052】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号31に対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号31に対し、少なくとも70%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号31に対し、少なくとも80%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号31に対し、少なくとも90%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号31に対し、少なくとも95%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号31に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号31に記載のコード配列を含む。
【0053】
一部の実施形態では、対象へのmRNAの投与は、気管内、鼻腔内、静脈内、筋肉内、または皮下送達によって行われる。
【0054】
一部の実施形態では、対象へのmRNAの投与は、気管内送達によって行われる。
【0055】
一部の実施形態では、対象へのmRNAの投与は、鼻腔内送達によって行われる。
【0056】
一部の実施形態では、対象へのmRNAの投与は、エアロゾル送達によって行われる。
【0057】
一部の実施形態では、対象へのmRNAの投与は、噴霧送達によって行われる。
【0058】
一部の実施形態では、対象へのmRNAの投与は、乾燥粉末吸入によって行われる。
【0059】
一部の実施形態では、組成物は、週に一回投与される。
【0060】
一部の実施形態では、組成物は、二週間に一回投与される。
【0061】
一部の実施形態では、組成物は、月に二回投与される。
【0062】
一部の実施形態では、組成物は、月に一回投与される。
【0063】
一部の実施形態では、mRNAの投与は、肺、心臓、肝臓、脾臓、腎臓、脳、胃、腸、卵巣、および精巣から選択される一つまたは複数の内臓において検出可能なDNAH5タンパク質発現をもたらす。
【0064】
一部の実施形態では、mRNAの投与は、肺内で検出可能なDNAH5タンパク質発現をもたらす。
【0065】
一部の実施形態では、mRNAの投与は、肺上皮内で検出可能なDNAH5タンパク質発現をもたらす。
【0066】
一部の態様では、本発明は、原発性線毛機能不全症(PCD)の治療に使用するための組成物を提供し、組成物は、リポソームに封入されたヒト軸糸ダイニン重鎖5(DNAH5)をコードするmRNAを含み、リポソームは、一つまたは複数のカチオン性脂質、一つまたは複数の非カチオン性脂質、および一つまたは複数のPEG修飾脂質を含む。
【0067】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号6~配列番号31のうちのいずれか一つに対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一のDNAH5コード配列を含む。
【0068】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号6に対し、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%同一のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号7に対し、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%同一のコード配列を含む。
【0069】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号6に記載のコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号7に記載のコード配列を含む。
【0070】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号2または配列番号3に記載される配列を有する5’-非翻訳領域(5’-UTR)と、配列番号4または配列番号5に記載される配列を有する3’-非翻訳領域(3’-UTR)とを有する。
【0071】
一部の実施形態では、mRNAは、一つまたは複数の修飾ヌクレオチドを有する。
【0072】
一部の実施形態では、一つまたは複数の修飾ヌクレオチドは、シュードウリジン、N-1-メチル-シュードウリジン、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、および/または2-チオシチジンから選択される。
【0073】
一部の実施形態では、mRNAは、修飾されていない。
【0074】
一部の実施形態では、リポソームは、直径100nm以下である。
【0075】
一部の実施形態では、本発明は、上述の組成物および好適な賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0076】
一部の態様では、本発明は、タンパク質またはペプチドをインビボでコードするmRNAの送達方法であって、タンパク質またはペプチドをコードし、配列番号2に対し少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一で、配列番号3ではない配列を有する5’-非翻訳領域(5’-UTR)を有するmRNAの送達を必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号2に対し、少なくとも70%同一で、配列番号3ではない配列を有する、5’-非翻訳領域(5’-UTR)を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号2に対し、少なくとも75%同一で、配列番号3ではない配列を有する、5’-非翻訳領域(5’-UTR)を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号2に対し、少なくとも80%同一で、配列番号3ではない配列を有する、5’-非翻訳領域(5’-UTR)を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号2に対し、少なくとも85%同一で、配列番号3ではない配列を有する、5’-非翻訳領域(5’-UTR)を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号2に対し、少なくとも90%同一で、配列番号3ではない配列を有する、5’-非翻訳領域(5’-UTR)を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号2に対し、少なくとも95%同一で、配列番号3ではない配列を有する、5’-非翻訳領域(5’-UTR)を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号2に対し、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一で、配列番号3ではない、5’-非翻訳領域(5’-UTR)を含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号2に記載の5’-非翻訳領域(5’-UTR)を含む。本発明の他の特徴、目的、および利点は、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲において明らかになる。しかしながら、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲は、本発明の実施形態を示すが、単に例示のために与えられるものであり、制限するものではないことを理解すべきである。本発明の範囲内の様々な変更および修正は、当業者には明らかになるであろう。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
ヒトDNAH5タンパク質をコードするmRNAを、送達を必要とする対象に投与することを含む、インビボでのヒト軸糸ダイニン重鎖5(DNAH5)の送達方法。
(項目2)
治療を必要とする対象に対し、ヒト軸糸ダイニン重鎖5(DNAH5)をコードするmRNAを、PCDの少なくとも一つの症状または特徴が、強度、重篤度または頻度において低下する、またはその発生が遅延するような有効用量および投与間隔で投与することを含む、原発性線毛機能不全症(PCD)を治療する方法。
(項目3)
前記DNAH5 mRNAがリポソームに封入されている、項目1または項目2に記載の方法。
(項目4)
前記リポソームは、一種または複数のカチオン性脂質、一種または複数の非カチオン性脂質、および一種または複数のPEG修飾脂質を含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記一種または複数のカチオン性脂質が、cKK-E12、OF-02、C12-200、MC3、DLinDMA、DLinkC2DMA、ICE(イミダゾールベース)、HGT5000、HGT5001、HGT4003、DODAC、DDAB、DMRIE、DOSPA、DOGS、DODAP、DODMAおよびDMDMA、DODAC、DLenDMA、DMRIE、CLinDMA、CpLinDMA、DMOBA、DOcarbDAP、DLinDAP、DLincarbDAP、DLinCDAP、DLinSSDMA、KLin-K-DMA、DLin-K-XTC2-DMA、3-(4-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)-6-(4-((2-ヒドロキシドデシル)(2-ヒドロキシウンデシル)アミノ)ブチル)-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(ターゲット23)、3-(5-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ペンタン-2-イル)-6-(5-((2-ヒドロキシドデシル)(2-ヒドロキシウンデシル)アミノ)ペンタン-2-イル)-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(ターゲット24)、ccBene、ML7およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記カチオン性脂質がICEである、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記一種または複数の非カチオン性脂質は、DSPC(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DPPC(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DOPE(1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DOPC(1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホチジルコリン)DPPE(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DMPE(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DOPG(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール))、またはそれらの組み合わせから選択される、項目1~6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記一種または複数のPEG修飾脂質が、C-C20長のアルキル鎖を有する脂質に共有結合した長さ最大5kDaのポリ(エチレン)グリコール鎖を含む、項目4~7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記カチオン性脂質が、モル比で前記リポソームの約30~60%を構成する、項目1~8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記カチオン性脂質が、モル比で前記リポソームの約30%、40%、50%、または60%を構成する、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記リポソームが、ICE、DOPE、およびDMG-PEG2Kを含む、項目1~10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記リポソームが約80nm~200nmの直径を有し、任意選択的に、前記リポソームが約100nmまたは100nm未満の直径を有する、項目3~11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記DNAH5 mRNAが、コドン最適化されている、項目1~12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記DNAH5 mRNAが一つまたは複数の修飾ヌクレオチドを含む、項目1~13のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記一個または複数の修飾ヌクレオチドが、シュードウリジン、N-1-メチル-シュードウリジン、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、および/または2-チオシチジンから選択される、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記mRNAは修飾されない、項目1~15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記mRNAは、配列番号2または3に記載の配列を有する、5’-非翻訳領域(5’-UTR)を含む、項目1~16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記mRNAは、配列番号4または5に記載の配列を有する、3’-非翻訳領域(3’-UTR)を含む、項目1~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記mRNAが、配列番号6~配列番号31のうちのいずれか一つに対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一であるコード配列を含む、項目1~18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記mRNAが、配列番号6~配列番号31に対し、少なくとも70%同一であるコード配列を含む、項目1~19のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記mRNAが、配列番号6~配列番号31に対し、少なくとも80%同一であるコード配列を含む、項目1~20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記mRNAが、配列番号6~配列番号31に対し、少なくとも90%同一であるコード配列を含む、項目1~21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記mRNAが、配列番号6~配列番号31に対し、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるコード配列を含む、項目1~22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記mRNAが、配列番号6~配列番号31に記載のコード配列を含む、項目1~23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記対象への前記mRNAの投与が、気管内、鼻腔内、静脈内、筋肉内、または皮下送達によって行われる、項目1~24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記対象への前記mRNAの投与が、気管内送達によって行われる、項目1~25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記対象への前記mRNAの投与が、鼻腔内送達によって行われる、項目1~26のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記組成物は一日に一回投与される、項目1~27のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
前記組成物は週に一回投与される、項目1~28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記組成物は二週間に一回投与される、項目1~29のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
前記組成物は一か月に二回投与される、項目1~30のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
前記組成物は一か月に一回投与される、項目1~31のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
前記mRNAの投与が、肺、心臓、肝臓、脾臓、腎臓、脳、胃、腸、卵巣、および精巣から選択される一つまたは複数の内臓において検出可能なDNAH5タンパク質発現をもたらす、項目1~32のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
前記mRNAの投与が、肺内で検出可能なDNAH5タンパク質発現をもたらす、項目1~33のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記mRNAの投与が、肺上皮内で検出可能なDNAH5タンパク質発現をもたらす、項目1~34のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
原発性線毛機能不全症(PCD)の治療に使用するための組成物であって、前記組成物が、リポソームに封入されたヒト軸糸ダイニン重鎖5(DNAH5)をコードするmRNAを含み、前記リポソームが、一つまたは複数のカチオン性脂質、一つまたは複数の非カチオン性脂質、および一つまたは複数のPEG修飾脂質を含む、組成物。
(項目37)
前記mRNAが、配列番号6~配列番号31のうちのいずれか一つに対し、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一であるコード配列を含む、項目36に記載の組成物。
(項目38)
前記mRNAが、配列番号6~配列番号31に対し、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%同一であるコード配列を含む、項目36または37に記載の組成物。
(項目39)
前記mRNAが、配列番号6~配列番号31に記載のコード配列を含む、項目36~38のいずれか一項に記載の組成物。
(項目40)
前記mRNAが、配列番号2に記載される配列を有する5’-非翻訳領域(5’-UTR)、および配列番号4または配列番号5に記載される配列を有する3’-非翻訳領域(3’-UTR)を有する、項目36~39のいずれか一項に記載の組成物。
(項目41)
前記mRNAが、一個または複数の修飾ヌクレオチドを有する、項目36~39のいずれか一項に記載の組成物。
(項目42)
前記修飾された一個または複数のヌクレオチドが、シュードウリジン、N-1-メチル-シュードウリジン、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、および/または2-チオシチジンから選択される、項目41に記載の組成物。
(項目43)
前記mRNAが修飾されていない、項目36~42のいずれか一項に記載の組成物。
(項目44)
前記リポソームが直径100nm以下である、項目36~43のいずれか一項に記載の組成物。
(項目45)
一種または複数のカチオン性脂質が、cKK-E12、OF-02、C12-200、MC3、DLinDMA、DLinkC2DMA、ICE(イミダゾールベース)、HGT5000、HGT5001、HGT4003、DODAC、DDAB、DMRIE、DOSPA、DOGS、DODAP、DODMAおよびDMDMA、DODAC、DLenDMA、DMRIE、CLinDMA、CpLinDMA、DMOBA、DOcarbDAP、DLinDAP、DLincarbDAP、DLinCDAP、DLinSSDMA、KLin-K-DMA、DLin-K-XTC2-DMA、3-(4-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)-6-(4-((2-ヒドロキシドデシル)(2-ヒドロキシウンデシル)アミノ)ブチル)-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(ターゲット23)、3-(5-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ペンタン-2-イル)-6-(5-((2-ヒドロキシドデシル)(2-ヒドロキシウンデシル)アミノ)ペンタン-2-イル)-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(ターゲット24)、ccBene、ML7およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目36~44のいずれか一項に記載の組成物。
(項目46)
前記カチオン性脂質がICEである、項目36~45のいずれか一項に記載の組成物。
(項目47)
前記一種または複数の非カチオン性脂質が、DSPC(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DPPC(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DOPE(1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DOPC(1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホチジルコリン)DPPE(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DMPE(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DOPG(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール))、またはそれらの組み合わせから選択される、項目36~46のいずれか一項に記載の組成物。
(項目48)
前記非カチオン性脂質がDOPEである、項目36~47のいずれか一項に記載の組成物。
(項目49)
前記一種または複数のPEG修飾脂質が、C-C20長のアルキル鎖を有する脂質に共有結合した長さ最大5kDaのポリ(エチレン)グリコール鎖を含む、項目36~48のいずれか一項に記載の組成物。
(項目50)
項目36~49のいずれか一項に記載の組成物および好適な賦形剤を含む、医薬組成物。
【0077】
図面は、単に例示を目的とするものであり、制限するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1A図1Aは、mRNA投与後24時間の定量PCR分析(qPCR)および免疫組織化学(IHC)分析のためのマウスの気管および肺の様々な部分の解剖および使用を示す概略図である。
図1B図1B(左)および(右)は、図に示されるように、呼吸系の異なる領域におけるhDNA5 mRNAのqPCRデータを示すグラフである。図1B(左)は、MRT-1 hDNA5 mRNAを投与された第1群のマウスのデータを示す。図1B(右)は、MRT-1 hDNA5-GFP mRNAを投与された第2群のマウスのデータを示す。
【0079】
図2A図2Aおよび図2Bは、呼吸気道におけるhDNAタンパク質発現に関するIHC分析の結果を示す一連の顕微鏡写真を示す。図2Aは、生理食塩水で処置された対照と比較した、MRT-1 hDNA5 mRNAで処置されたマウスにおけるhDNA-5 タンパク質染色の代表的なIHCデータを示し(第1群、左)、生理食塩水で処置された対照と比較した、MRT-1 hDNA5-GFP mRNAで処置されたマウスにおけるGFPタンパク質染色のIHCデータを示す(第2群、右)。
図2B図2Bは、第1群(上部パネル)および第2群(下部パネル)のマウスの気道の上皮組織における、それぞれのhDNA5 mRNA由来タンパク質の詳細な局在化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0080】
定義
本発明がより容易に理解されるように、ある特定の用語が以下で最初に定義される。以下の用語および他の用語の追加の定義は、明細書全体を通して記載される。本発明の背景を説明し、かつその実施に関するさらなる詳細を提供するために本明細書で参照される刊行物および他の参考資料は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0081】
アルキル:本明細書において使用される場合、「アルキル」とは、1~15個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の飽和炭化水素基のラジカルを指す(「C1-15アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は、1~3個の炭素原子を有する(「C1-3アルキル」)。C1-3アルキル基の例としては、メチル(C1)、エチル(C2)、n-プロピル(C3)、およびイソプロピル(C3)が挙げられる。一部の実施形態では、アルキル基は、8~12個の炭素原子を有する(「C8-12アルキル」)。C8-12アルキル基の例としては、限定されないが、n-オクチル(C8)、n-ノニル(C9)、n-デシル(C10)、n-ウンデシル(C11)、n-ドデシル(C12)などが挙げられる。接頭辞の「n-」(直鎖状)とは、非分枝状アルキル基を指す。たとえば、n-C8アルキルとは、(CH2)7CH3を指し、n-C10アルキルとは、(CH2)9CH3を指すなどである。
【0082】
アミノ酸:本明細書で使用される際に、「アミノ酸」という用語は、その最も広い意味で、ポリペプチド鎖に組み込まれ得る任意の化合物および/または物質を指す。一部の実施形態では、アミノ酸は、一般構造H2N-C(H)(R)-COOHを有する。一部の実施形態では、アミノ酸は、天然に生じるアミノ酸である。一部の実施形態では、アミノ酸は合成アミノ酸であり、一部の実施形態では、アミノ酸はD-アミノ酸であり、一部の実施形態では、アミノ酸はL-アミノ酸である。「標準アミノ酸」とは、天然に生じたペプチドに通常見られる20個の標準L-アミノ酸のうちのいずれかを指す。「非標準アミノ酸」とは、合成的に調製されるか天然源から得られるかにかかわらず、標準アミノ酸以外の任意のアミノ酸を指す。本明細書で使用される場合、「合成アミノ酸」は、塩、アミノ酸誘導体(アミド等)、および/または置換を含むが、これらに限定されない化学修飾されたアミノ酸を包含する。ペプチド中のカルボキシ末端アミノ酸および/またはアミノ末端アミノ酸を含むアミノ酸は、メチル化、アミド化、アセチル化、保護基、および/またはそれらの活性に悪影響を及ぼすことなくペプチドの循環半減期を変化させることができる他の化学基との置換によって修飾され得る。アミノ酸は、ジスルフィド結合に関与し得る。アミノ酸は、一つまたは複数の翻訳後修飾、例えば、一つまたは複数の化学物質(例えば、メチル基、塩酸基、アセチル基、リン酸基、ホルミル部分、イソプレノイド基、硫酸基、ポリエチレングリコール部分、脂質部分、炭水化物部分、ビオチン部分等)との会合を含み得る。「アミノ酸」という用語は、「アミノ酸残基」と互換的に使用され、遊離アミノ酸および/またはペプチドのアミノ酸残基を指し得る。この用語が遊離アミノ酸を指すか、ペプチドの残基を指すかは、それが使用される文脈から明らかになる。
【0083】
動物:本明細書で使用される場合、「動物」という用語は、動物界の任意のメンバーを指す。一部の実施形態では、「動物」とは、任意の発育段階のヒトを指す。一部の実施形態では、「動物」とは、任意の発育段階の非ヒト動物を指す。特定の実施形態では、非ヒト動物は、哺乳動物(例えば、齧歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類、および/またはブタ)である。一部の実施形態では、動物には、哺乳動物、鳥、爬虫類、両生類、魚、昆虫、および/または寄生虫が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、動物は、トランスジェニック動物、遺伝子操作された動物、および/またはクローンであり得る。
【0084】
およそまたは約:本明細書で使用される場合、目的とする一つまたは複数の値に適用される「およそ」または「約」という用語は、提示される参照値と同様の値を指す。特定の実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、別途提示されない限り、または文脈から明らかではない限り(かかる数が可能な値の100%を超える場合を除く)、提示される参照値のいずれか(それよりも大きいまたは小さい)の方向で25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ未満内に収まる値の範囲を指す。典型的には、用語「およそ」または「約」は、記載された参照値の10%以内、またはより典型的には1%以内の値の範囲を指す。
【0085】
生物学的に活性:本明細書で使用される「生物学的に活性である」という句は、生物系において、特に生命体において活性を有する任意の薬剤の特徴を指す。例えば、生命体に投与された時に、その生命体に対して生物学的効果を有する薬剤は、生物学的に活性であると考えられる。
【0086】
コドン最適化:本明細書で使用される場合、この用語は、天然に存在する核酸配列(野生型」配列とも呼ぶ)中に存在する一つまたは複数のヌクレオチドが、代替ヌクレオチドで置換され、天然に存在する核酸配列によってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を変更することなく、タンパク質発現を最適化した核酸を表す。例えば、コドンAAAは、コードされたアミノ酸(リシン)の同一性を変化させることなく、AAGとなるように改変されてもよい。一部の実施形態では、本発明の核酸は、核酸によってコードされるタンパク質のタンパク質発現を増加させるようにコドン最適化される。本出願の目的のために、核酸塩基のチミジン(T)およびウラシル(U)は、mRNA配列のナレーションにおいて互換的に使用される。
【0087】
送達:本明細書で使用される際に、「送達」という用語は、局所送達および全身送達の両方を包含する。例えば、mRNAの送達は、mRNAが標的組織に送達され、そのコードされたタンパク質が発現され、そしてその標的組織内で保持される状況(「局所分布」または「局所送達」とも称される)、mRNAが標的組織に送達され、そのコードされたタンパク質が発現され、そして患者の循環系(例えば、血清)内に分泌され、そして全身に分布され、他の組織によって取り込まれる状況(「全身分布」または「全身送達」とも称される)を包含する。
【0088】
投与間隔:本明細書で使用される場合、疾患の治療方法の文脈における投与間隔とは、少なくとも投与間隔の期間中、疾患に関連する一つまたは複数の症状が低減されるように、または疾患に関連する一つまたは複数のバイオマーカーが低減されるように、例えばmRNA組成物などの治療用組成物を、それを必要とする対象(哺乳動物)に、mRNAの有効用量で投与する頻度のことである。投与頻度および投与間隔は、本開示において互換的に使用され得る。
【0089】
発現:本明細書で使用される場合、核酸配列の「発現」とは、mRNAのポリペプチドへの翻訳、複数のポリペプチドのインタクトなタンパク質(例えば、酵素)への集合、および/またはポリペプチドもしくは完全に集合したタンパク質(例えば、酵素)の翻訳後修飾を指す。本出願では、「発現」および「産生」という用語、ならびに文法的同義語は、互換的に使用される。
【0090】
有効用量:本明細書で使用される場合、有効用量とは、医薬組成物中のmRNAの用量であり、それを必要とする対象に投与した時、本発明の方法によれば、それによって哺乳動物対象は、例えば、疾患に関連する症状が低減するなど、対象に期待される結果をもたらすのに有効である。
【0091】
機能性:本明細書で使用される場合、「機能性」生体分子は、それが特徴付けられる特性および/または活性を呈する形態での生体分子である。
【0092】
半減期:本明細書で使用される場合、「半減期」という用語は、核酸またはタンパク質濃度または活性等の量が、ある期間の最初に測定されたその値の半分に下がるのに必要な時間である。
【0093】
改善する、増加させる、または減少させる:本明細書で使用される場合、「改善する」、「増加させる」、もしくは「減少させる」、または文法的同義語は、ベースライン測定、例えば、本明細書に記載の治療の開始前の同じ個体における測定、または本明細書に記載の治療の不在下での対照対象(または複数の対照対象)における測定と比較した値を示す。「対照対象」とは、治療されている対象と同じ疾患形態に罹患しており、治療されている対象とほぼ同じ年齢の対象である。
【0094】
インビトロ:本明細書で使用される場合、「インビトロ」という用語は、多細胞生物内ではなく、人工環境下で、例えば、試験管または反応容器内、細胞培養下等で生じる事象を指す。
【0095】
インビボ:本明細書で使用される場合、「インビボ」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物等の多細胞生物内で生じる事象を指す。細胞ベースの系との関連で、この用語は、(例えば、インビトロ系とは対照的に)生きている細胞内で生じる事象を指すために使用され得る。
【0096】
単離された:本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、(1)(自然界および/または実験的環境かにかかわらず)最初に産生されたときに会合していた成分のうちの少なくともいくつかから分離しており、かつ/または(2)人工的に産生、調製、および/または製造された物質および/または実体を指す。単離された物質および/または実体は、それらが最初に会合していた他の成分の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超から分離され得る。一部の実施形態では、単離された薬剤は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超純粋である。本明細書で使用される場合、物質は、他の成分を実質的に含まない場合、「純粋」である。本明細書で使用される場合、単離された物質および/または実体の純度パーセントの計算は、賦形剤(例えば、緩衝液、溶媒、水等)を含むべきではない。
【0097】
局所分布または局所送達:本明細書において使用される場合、「局所分布」、「局所送達」という用語、または文法的等価物は、組織特異的な送達または分布を指す。典型的には、局所分布または局所送達は、細胞内で翻訳および発現される、または分泌が限定的で、患者の循環系へ入ることを回避する、mRNAにコードされるタンパク質(たとえば酵素)を必要とする。
【0098】
メッセンジャーRNA(mRNA):本明細書で使用される場合、「メッセンジャーRNA(mRNA)」という用語は、少なくとも一つのポリペプチドをコードするポリリボヌクレオチドを指す。mRNAは、一つまたは複数のコード領域および非コード領域を含み得る。mRNAは、天然の供給源から精製されてもよく、組換え発現系を使用して作製されてもよく、および任意で精製されてもよく、インビトロで転写されてもよく、化学的に合成されてもよい。mRNA配列は、別途指示されない限り、5’から3’の方向に提示される。典型的には、本発明のmRNAは、修飾を有さないアデノシン、グアノシン、シチジン、およびウリジンヌクレオチドから合成される。かかるmRNAは、本明細書において、非修飾ヌクレオチドを有するmRNA、または略して「非修飾mRNA」と呼称される。典型的には、これは、本発明のmRNAが、以下のヌクレオシド類似体:2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、および2-チオシチジンのいずれも含まないことを意味する。請求項に記載の発明を実施するのに適したmRNAは、一般に、化学的に修飾された塩基、生物学的に修飾された塩基(例えば、メチル化塩基)、インターカレート塩基、修飾糖(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース)、および/または修飾リン酸基(例えば、ホスホロチオエートおよび5’-N-ホスホロアミダイト結合)を含む、ヌクレオシドを含まない。
【0099】
核酸:本明細書で使用される場合、「核酸」という用語は、その最も広範な意味で、ポリヌクレオチド鎖に組み込まれるか、または組み込まれ得る任意の化合物および/または物質を指す。一部の実施形態では、核酸は、ホスホジエステル結合を介してポリヌクレオチド鎖に組み込まれるか、または組み込まれ得る化合物および/または物質である。一部の実施形態では、「核酸」とは、個々の核酸残基(例えば、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオシド)を指す。一部の実施形態では、「核酸」とは、個々の核酸残基を含むポリヌクレオチド鎖を指す。一部の実施形態では、「核酸」は、RNA、ならびに一本鎖および/または二本鎖DNAおよび/またはcDNAを包含する。
【0100】
患者:本明細書で使用される場合、「患者」または「対象」という用語は、例えば、実験、診断、予防、美容、および/または治療目的のために、提供される組成物が投与され得る任意の生物を指す。典型的な患者には、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、および/またはヒト等の哺乳動物)が含まれる。一部の実施形態では、患者は、ヒトである。ヒトには、出生前形態および出生後形態が含まれる。
【0101】
医薬的に許容される:本明細書で使用される際に、用語「医薬的に許容される」は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、炎症刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴うことなく、合理的なベネフィット/リスクの比率に相応で、ヒトおよび動物の組織に接触させて使用することに適した物質を指す。
【0102】
薬学的に許容可能な塩:薬学的に許容可能な塩は、当該技術分野で周知である。例えば、S.M.Bergeらは、薬学的に許容可能な塩についてJ.Pharmaceutical Sciences(1977)66:1-19で詳述している。本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩には、好適な無機酸および有機酸ならびに無機塩基および有機塩基に由来するものが含まれる。薬学的に許容可能な非毒性酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸等の無機酸と形成されるか、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸等の有機酸と形成されるか、またはイオン交換等の当該技術分野で使用されている他の方法を使用して形成されたアミノ基の塩である。他の薬学的に許容可能な塩として、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基に由来する塩には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、およびN+(C1-4アルキル)4塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。さらなる薬学的に許容可能な塩には、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、スルホン酸塩、およびアリールスルホン酸塩等の対イオンを使用して形成された非毒性アンモニウムカチオン、四級アンモニウムカチオン、およびアミンカチオンが挙げられる。さらなる薬学的に許容可能な塩には、適切な求電子剤、例えば、ハロゲン化アルキルを使用して四級化アルキル化アミノ塩を形成する、アミンの四級化から形成された塩が挙げられる。
【0103】
全身分布または送達:本明細書で使用される場合、「全身分布」、「全身送達」という用語、または文法的同義語は、全身または全生物に影響を及ぼす送達または分布機構またはアプローチを指す。典型的には、全身分布または全身送達は、身体の循環系、例えば、血流を介して成し遂げられる。「局所分布または送達」の定義と比較される。
【0104】
対象:本明細書で使用される際に、用語「対象」は、ヒトまたは任意の非ヒト動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、または霊長類)を指す。ヒトには、出生前形態および出生後形態が含まれる。多くの実施形態では、対象は、ヒトである。対象は、患者であり得る。疾患の診断または治療のために医療提供者に受診するヒトを指す。「対象」という用語は、本明細書では「個体」または「患者」と互換的に使用される。対象は、疾患または障害に罹患している場合があるか、またはそれに罹り易いが、疾患または障害の症状を呈する場合も呈さない場合もある。
【0105】
実質的に:本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、目的とする特徴または特性の全てまたはほぼ全ての範囲または程度を呈する質的状態を指す。生物学技術分野の当業者であれば、生物学的および化学的現象が、完了すること、および/または完了に至ること、または絶対的結果を達成もしくは回避することが、仮にあったとしても稀であることを理解する。したがって、「実質的に」という用語は、多くの生物学的および化学的現象に固有の潜在的な完全性の欠如を捕捉するために本明細書で使用される。
【0106】
標的組織:本明細書で使用される場合、「標的組織」という用語は、治療される疾患に罹患している任意の組織を指す。一部の実施形態では、標的組織には、疾患に関連する病態、症状、または特徴を呈する組織が含まれる。
【0107】
治療有効量:本明細書で使用される場合、治療薬の「治療有効量」という用語は、疾患、障害、および/または状態に罹患しているか、またはそれに罹り易い対象に投与されたときに、疾患、障害、および/または状態の症状を治療する、診断する、予防する、および/またはその発症を遅延させるのに十分な量を意味する。当業者であれば、治療有効量が、典型的には、少なくとも一つの単位用量を含む投薬レジメンにより投与されることを理解する。
【0108】
治療すること:本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」、または「治療すること」という用語は、特定の疾患、障害、および/または状態の一つまたは複数の症状または特徴を部分的にまたは完全に緩和する、改善する、軽減する、抑制する、予防、その発症を遅延させる、その重症度を低下させる、および/またはその発生率を低下させるために使用される任意の方法を指す。治療は、疾患の兆候を呈していない対象および/または疾患の初期の兆候のみを呈している対象に、その疾患に関連する病態を発症させるリスクを減少させる目的のために投与され得る。
【0109】
本発明の様々な態様が、以下のセクションで詳細に記載される。セクションの使用は、本発明を限定することを意味しない。各セクションは、本発明の任意の態様に適用することができる。本出願において、「または」の使用は、別段の記述がない限り、「および/または」を意味する。
【0110】
原発性線毛機能不全症(PCD)
原発性線毛機能不全症(PCD)は、気道、生殖器系、ならびに他の器官および組織の内層に見られる、異常な繊毛および鞭毛を特徴とする常染色体劣性障害である。繊毛の内部構造を形成するダイニン軸糸重鎖5タンパク質をコードする、DNAH5遺伝子における変異は、PCDを引き起こす。PCD患者では、DNAH5遺伝子の80種類以上の変異が特定されている。
【0111】
DNAH5遺伝子の変異は、繊毛の適切な機能に必要なダイニン軸糸重鎖5の欠如または異常をもたらす。ダイニン軸糸重鎖5の正常なバージョンなしでは、繊毛の欠陥は、肺から流体、細菌、および粒子を排除し、胚の発生時に左右の軸を確立し、精子細胞を前進させるのに必要な力および動きを生み出すことができない。PCDは、慢性呼吸器感染症、気管支拡張症、年間を通しての鼻づまり、胸部および腹部の臓器の異常配置、ならびに不妊症を引き起こす可能性がある。
【0112】
本開示のポリリボヌクレオチドは、例えば、原発性線毛機能不全症、またはその機能が繊毛の維持および機能に関連する遺伝子の欠陥または機能不全に関連する他の任意の状態を有するか、または有するリスクのある対象を、治療するために使用することができる。原発性線毛機能不全症と関連している遺伝子の非限定的な例には、アルマジロリピート含有4(ARMC4)、21番染色体オープンリーディングフレーム59(C21orf59)、コイルドコイルドメイン含有103(CCDC103)、コイルドコイルドメイン含有114(CCDC114)、コイルドコイルドメイン含有39(CCDC39)、コイルドコイルドメイン含有40(CCDC40)、コイルドコイルドメイン含有65(CCDC65)、サイクリンO(CCNO)、ダイニン(軸糸)アセンブリ因子1(DNAAF1)、ダイニン(軸糸)アセンブリ因子2(DNAAF2)、ダイニン(軸糸)アセンブリ因子3(DNAAF3)、ダイニン(軸糸)アセンブリ因子5(DNAAF5)、ダイニン軸糸重鎖11(DNAHl l)、ダイニン軸糸重鎖5(DNAH5)、ダイニン軸糸重鎖6(DNAH6)、ダイニン軸糸重鎖8(DNAH8)、ダイニン軸糸中間鎖2(DNAI2)、ダイニン軸糸軽鎖1(DNALl)、ダイニン調節複合体サブユニット1(DRC1)、ディスレクシア感受性1候補1(DYX1C1)、成長停止特異的8(GAS8)、軸糸中央対装置タンパク質(HYDIN)、ロイシンリッチリピート含有6(LRRC6)、ME/M23ファミリーメンバー8(NME8)、口腔顔面デジタル症候群1(OFD1)、網膜色素変性症GTPase調節因子(RPGR)、ラジアルスポークヘッド1ホモログ(クラミドモナス)(RSPH1)、ラジアルスポークヘッド4ホモログA(クラミドモナス)(RSPH4A)、ラジアルスポークヘッド9ホモログ(クラミドモナス)(RSPH9)、精子関連抗原l(SPAGl)、およびジンクフィンガーMY Dタイプ含有10(ZMYND10)が含まれる。
【0113】
ダイニン軸糸重鎖5(DNAH5)遺伝子およびタンパク質配列
一部の実施形態では、本発明は、PCDの治療を目的とした、コードするmRNAを対象に送達するための方法および組成物を提供する。適切なDNAH5 mRNAは、天然型DNAH5タンパク質の活性の代わりに機能することができ、および/またはPCDと関連した一つまたは複数の症状の強度、重篤度、および/または頻度を低下させることができるDNAH5タンパク質のいずれか全長、断片、または一部をコードする。
【0114】
一部の実施形態では、適切なmRNA配列は、ヒトDNAH5タンパク質をコードするmRNA配列である。天然型ヒトDNAH5 mRNAコード配列、およびその対応するアミノ酸配列を表1に示す:
【0115】
天然型ヒトDNAH5 mRNAコード配列、およびその対応するアミノ酸配列を表1に示す:
【表1-1】
【表1-2】
【0116】
一部の実施形態では、適切なmRNA配列は、野生型のヒトDNAH5 mRNAの配列である。一部の実施形態では、適切な治療候補mRNAは、配列番号1として表1に示されるDNAH5アミノ酸配列、または配列番号1に対し少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列をコードすることができるコドン最適化hDNAH5配列である。一部の実施形態では、本発明によるmRNAは、配列番号1と同一のアミノ酸配列を有するDNAH5タンパク質をコードする。
【0117】
コドン最適化
増加する研究によると、mRNAはアミノ酸コードと重複する多数の層の情報を含んでいる。従来、コドン最適化は、タンパク質発現の律速であると考えられていた希少なコドンを除去するために使用されてきた。急速に成長する細菌および酵母はどちらも、高度に発現する遺伝子で強いコドンバイアスを呈するが、高等真核生物は、はるかに少ないコドンバイアスを呈し、律速となり得るコドンを識別することをより困難にする。加えて、コドンバイアス自体は必ずしも高い発現をもたらすとは限らず、他の特徴を必要とすることが見出されている。
【0118】
例えば、希少なコドンは、翻訳の速度を遅くし、正しいタンパク質の折り畳みに必要となる可能性のある、一時停止部位を形成することに関与している。したがって、コドン使用における変化は、伸長の時間パターンを微調整するメカニズムを提供し、その結果、タンパク質がその正しい確認を行うのに利用可能な時間を増加させることができる。コドン最適化は、この微調整メカニズムに干渉し、結果として、効率の低いタンパク質翻訳または誤って折り畳まれたタンパク質の量の増加をもたらす可能性がある。同様に、コドン最適化は、同族およびウォブルtRNA使用の通常のパターンを乱し、それによってタンパク質構造および機能に影響を与える場合がある。その理由は、ウォブルに依存した伸長の減速も同様に、正しいタンパク質の折り畳みを達成するためのメカニズムとして選択されている可能性があるからである。
【0119】
これらの障害にもかかわらず、発明者らは、野生型遺伝子のコード配列に比べて、DNAH5タンパク質の発現を少なくとも三倍改善する、コドン最適化hDNAH5配列に到達した。発現の増加は、哺乳動物細胞の細胞培養に限定されないが、マウスモデルにおいてインビボで観察された。コドン最適化DNAH5コード配列の発現における改善が観察されると、mRNAの調製のために修飾ヌクレオチドの使用を必要とせず、用量の削減および/または投与間隔の延長による治療が可能になるため、PCDに罹患している患者のためのmRNA補充療法が改善され、より費用効果の高いものになることが期待される。
【0120】
コドン最適化DNAH5 mRNA配列の例
以下の配列は、選択された、例示的なコドン最適化DNAH5 mRNA配列を列挙する。
【0121】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号6において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0122】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号7において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0123】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号8において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0124】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号9において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0125】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号10において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0126】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号11において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0127】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号12において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0128】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号13において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0129】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号14において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0130】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号15において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0131】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号16において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0132】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号17において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0133】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号18において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0134】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号19において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0135】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号20において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0136】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号21において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0137】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号22において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0138】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号23において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0139】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号24において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0140】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号25において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0141】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号26において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0142】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号27において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0143】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号28において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0144】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号29において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0145】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号30において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0146】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号31において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
【0147】
一部の実施形態では、適切なmRNA配列は、ヒトDNAH5タンパク質のホモログまたは類似体のmRNA配列であってもよい。たとえばヒトDNAH5タンパク質のホモログまたは類似体は、実質的にDNAH5タンパク質の活性を保持しながら、野生型または天然型のヒトDNAH5タンパク質と比較して一つまたは複数のアミノ酸の置換、欠失、および/または挿入を含む修飾ヒトDNAH5タンパク質であってもよい。一部の実施形態では、本発明に適したmRNAは、配列番号1に対し少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上相同であるアミノ酸配列をコードする。一部の実施形態では、本発明に適したmRNAは、ヒトDNAH5タンパク質と実質的に同一であるタンパク質をコードする。一部の実施形態では、本発明に適したmRNAは、配列番号1に対し少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるアミノ酸配列をコードする。典型的には、本発明によるmRNAは、配列番号1と同一のアミノ酸配列を有するDNAH5タンパク質をコードする。
【0148】
一部の実施形態では、本発明に適したmRNAは、ヒトDNAH5タンパク質の断片または一部をコードする。一部の実施形態では、本発明に適したmRNAは、ヒトDNAH5タンパク質の断片または一部をコードし、この場合において当該タンパク質の断片または一部は、野生型タンパク質と類似したDNAH5活性をいまだ維持している。
【0149】
一部の実施形態では、好適なmRNAは、別のタンパク質に融合したDNAH5タンパク質(例えばN末端またはC末端融合物)の全長、断片、または一部を含む融合タンパク質をコードする。一部の実施形態では、DNAH5タンパク質の全長、断片、または一部をコードするmRNAに融合したタンパク質は、シグナル配列または細胞標的化配列をコードする。
【0150】
一部の実施形態では、本発明に適したmRNAは、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、または配列番号31に対し少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一のヌクレオチド配列を含む。より一般的には、本発明によるmRNAは、配列番号6に対し少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む。本発明によるmRNAは、配列番号7に対し少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含むことが好ましい。例えば、本発明によるmRNAは、配列番号6または配列番号7のヌクレオチド配列を含む。
【0151】
本発明によるメッセンジャーRNAは、様々な公知の方法のうちのいずれかに従って合成され得る。例えば、本発明によるmRNAは、インビトロ転写(IVT)を介して合成され得る。簡潔には、IVTは、典型的には、プロモーター、リボヌクレオチド三リン酸のプール、DTTおよびマグネシウムイオンを含み得る緩衝系、および適切なRNAポリメラーゼ(例えば、T3、T7、またはSP6 RNAポリメラーゼ)を含む線状または環状DNA鋳型、DNAse I、ピロホスファターゼ、および/またはRNAse阻害剤を用いて行われる。正確な条件は、特定の用途により異なる。
【0152】
一部の実施形態では、本発明によるmRNAの調製のために、DNA鋳型がインビトロで転写される。好適なDNA鋳型は、典型的には、インビトロ転写のためのプロモーター、例えば、T3、T7、またはSP6プロモーター、続いて、所望のmRNAの所望のヌクレオチド配列および終結シグナルを有する。
【0153】
典型的には、本発明によるmRNAは、非修飾mRNAとして合成される。したがって、本発明のmRNAは、プリン(アデニン(A)、グアニン(G))またはピリミジン(シトシン(C)、ウラシル(U))を含む天然に生じるヌクレオチドから合成される。
【0154】
典型的には、mRNA合成は、N末端(5’)上への「キャップ」の付加、およびC末端(3’)上への「テール」の付加を含む。キャップの存在は、大半の真核細胞で見られるヌクレアーゼへの耐性を提供するのに重要である。「テール」の存在は、mRNAをエキソヌクレアーゼ分解から保護する役割を果たす。
【0155】
したがって一部の実施形態では、mRNA(たとえば、DNAH5をコードするmRNA)は、5’キャップ構造を含む。5’キャップは、典型的には、以下のように付加される:最初に、RNA末端ホスファターゼが5’ヌクレオチドから末端リン酸基のうちの一つを除去して二つの末端リン酸を残し、その後、グアノシン三リン酸(GTP)がグアニリルトランスフェラーゼを介して末端リン酸に付加されて5’5’5三リン酸結合をもたらし、その後、グアニンの7-窒素がメチルトランスフェラーゼによりメチル化される。キャップ構造の例には、m7G(5’)ppp(5’)A、G(5’)ppp(5’)A、およびG(5’)ppp(5’)Gが挙げられるが、これらに限定されない。
【0156】
一部の実施形態では、mRNA(たとえば、DNAH5をコードするmRNA)は、3’ポリ(A)テール構造を含む。mRNAの3’末端上のポリ-Aテールは、典型的には、約10~800個のアデノシンヌクレオチド(例えば、約300~500個のアデノシンヌクレオチド、約300~800個のアデノシンヌクレオチド、約10~500個のアデノシンヌクレオチド、約10~300個のアデノシンヌクレオチド、約10~200個のアデノシンヌクレオチド、約10~150個のアデノシンヌクレオチド、約10~100個のアデノシンヌクレオチド、約20~70個のアデノシンヌクレオチド、または約20~60個のアデノシンヌクレオチド)を含む。典型的には、本発明によるmRNA中のポリAテールは、約300~約800アデノシンヌクレオチド長である。より一般的には、ポリAテールは、約300アデノシンヌクレオチド長である。一部の実施形態では、ポリ(A)テール構造は、少なくとも85%、90%、95%、または100%のアデノシンを含む。
【0157】
一部の実施形態では、mRNAは、3’ポリ(C)テール構造を含む。mRNAの3’末端上の好適なポリ-Cテールは、典型的には、約10~200個のシトシンヌクレオチド(例えば、約10~150個のシトシンヌクレオチド、約10~100個のシトシンヌクレオチド、約20~70個のシトシンヌクレオチド、約20~60個のシトシンヌクレオチド、または約10~40個のシトシンヌクレオチド)を含む。ポリ-Cテールは、ポリ-Aテールに付加され得るか、またはポリ-Aテールの代わりになり得る。
【0158】
一部の実施形態では、mRNAは、ヌクレオチド配列を含み、5’キャップ構造とコード配列の間に位置付けられた5’非翻訳領域(5’UTR)、および/またはヌクレオチド配列を含み、コード配列とポリ(A)テール構造の間に位置付けられた3’非翻訳領域(3’UTR)をさらに含む。一部の実施形態では、5’非翻訳領域は、mRNAの安定性または翻訳に影響を及ぼす要素、例えば、鉄応答性要素を一つまたは複数含む。一部の実施形態では、5’非翻訳領域は、約50~500ヌクレオチド長であり得る。
【0159】
一部の実施形態では、3’非翻訳領域は、ポリアデニル化シグナル、細胞におけるmRNAの位置安定性に影響を及ぼすタンパク質の結合部位、またはmiRNAの一つまたは複数の結合部位のうちの一つまたは複数を含む。一部の実施形態では、3’非翻訳領域は、50~500ヌクレオチド長またはそれ以上であり得る。
【0160】
修飾mRNA
本発明によるmRNAは、典型的には、非修飾mRNAとして合成される。一部の実施形態では、本発明のコドン最適化DNAH5コード配列をコードするmRNAを、一つまたは複数の修飾ヌクレオチドで合成することが有利であり得る。典型的には、mRNAは、特に、裸のmRNAとして、または複合体形態で対象に投与される場合に、それらの安定性を高めるか、または免疫原性特性を低下させるように修飾される。したがって、本発明のコドン最適化DNAH5コード配列をコードするmRNAを提供することは、相乗効果を有し得、その結果、未修飾mRNAで観察されたものを超える持続的なインビボ機能をもたらす。
【0161】
mRNAの修飾は、たとえばRNAのヌクレオチドの修飾を含み得る。本発明による修飾mRNAは、従って、例えば、骨格修飾、糖修飾、または塩基修飾を含み得る。一部の実施形態では、mRNAは、プリン(アデニン(A)、グアニン(G))またはピリミジン(チミン(T)、シトシン(C)、ウラシル(U))を含むが、これらに限定されない天然に存在するヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド類似体(修飾ヌクレオチド)から合成され得、かつプリンおよびピリミジンの修飾ヌクレオチド類似体または誘導体、例えば、1-メチル-アデニン、2-メチル-アデニン、2-メチルチオ-N-6-イソペンテニル-アデニン、N6-メチル-アデニン、N6-イソペンテニル-アデニン、2-チオ-シトシン、3-メチル-シトシン、4-アセチル-シトシン、5-メチル-シトシン、2,6-ジアミノプリン、1-メチル-グアニン、2-メチル-グアニン、2,2-ジメチル-グアニン、7-メチル-グアニン、イノシン、1-メチル-イノシン、プソイドウラシル(5-ウラシル)、ジヒドロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、4-チオ-ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオ-ウラシル、5-(カルボキシヒドロキシメチル)-ウラシル、5-フルオロ-ウラシル、5-ブロモ-ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-ウラシル、5-メチル-2-チオ-ウラシル、5-メチル-ウラシル、N-ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、5-メチルアミノメチル-ウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオ-ウラシル、5’-メトキシカルボニルメチル-ウラシル、5-メトキシ-ウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、1-メチル-プソイドウラシル、クエオシン、ベータ-D-マンノシル-クエオシン、ワイブトキソシン、およびホスホロアミダイト、ホスホロチオエート、ペプチドヌクレオチド、メチルホスホネート、7-デアザグアノシン、5-メチルシトシン、およびイノシン等として合成され得る。こうした類似体の調製は、例えば、米国特許第4,373,071号、米国特許第4,401,796号、米国特許第4,415,732号、米国特許第4,458,066号、米国特許第4,500,707号、米国特許第4,668,777号、米国特許第4,973,679号、米国特許第5,047,524号、米国特許第5,132,418号、米国特許第5,153,319号、米国特許第5,262,530号、および同第5,700,642号から当業者に公知であり、これらの開示は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0162】
一部の実施形態では、本発明のmRNAは、RNA骨格修飾を含み得る。典型的には、骨格修飾は、RNAに含まれるヌクレオチドの骨格のリン酸塩が化学的に修飾される修飾である。例示的な骨格修飾には、典型的には、メチルホスホネート、メチルホスホロアミダイト、ホスホロアミダイト、ホスホロチオエート(例えば、シチジン5’-O-(1-チオホスフェート))、ボラノホスフェート、正荷電グアニジウム基等からなる群からの修飾が含まれるが、これらに限定されず、これは、ホスホジエステル結合を他のアニオン性基、カチオン性基、または中性基で置き換えることを意味する。
【0163】
一部の実施形態では、本発明のmRNAは、糖修飾を含み得る。典型的な糖修飾は、ヌクレオチドの糖の化学修飾であり、糖修飾として、以下に限定されないが、2’-デオキシ-2’-フルオロ-オリゴリボヌクレオチド(2’-フルオロ-2’-デオキシシチジン5’-三リン酸、2’-フルオロ-2’-デオキシウリジン5’-三リン酸)、2’-デオキシ-2’-デアミン-オリゴリボヌクレオチド(2’-アミノ-2’-デオキシシチジン5’-三リン酸、2’-アミノ-2’-デオキシウリジン5’-三リン酸)、2’-O-アルキルオリゴリボヌクレオチド、2’-デオキシ-2’-C-アルキルオリゴリボヌクレオチド(2’-O-メチルシチジン5’-三リン酸、2’-メチルウリジン5’-三リン酸)、2’-C-アルキルオリゴリボヌクレオチド、およびこれらの異性体(2’-アラシチジン5’-三リン酸、2’-アラウリジン5’-三リン酸)、またはアジド三リン酸(2’-アジド-2’-デオキシシチジン5’-三リン酸、2’-アジド-2’-デオキシウリジン5’-三リン酸)からなる群から選択される糖修飾が挙げられる。
【0164】
一部の実施形態では、本発明のmRNAは、ヌクレオチドの塩基の修飾(塩基修飾)を含み得る。塩基修飾を含む修飾ヌクレオチドは、塩基修飾ヌクレオチドとも呼ばれる。かかる塩基修飾ヌクレオチドの例には、2-アミノ-6-クロロプリンリボシド5’-三リン酸、2-アミノアデノシン5’-三リン酸、2-チオシチジン5’-三リン酸、2-チオウリジン5’-三リン酸、4-チオウリジン5’-三リン酸、5-アミノアリルシチジン5’-三リン酸、5-アミノアリルウリジン5’-三リン酸、5-ブロモシチジン5’-三リン酸、5-ブロモウリジン5’-三リン酸、5-ヨードシチジン5’-三リン酸、5-ヨードウリジン5’-三リン酸、5-メチルシチジン5’-三リン酸、5-メチルウリジン5’-三リン酸、6-アザシチジン5’-三リン酸、6-アザウリジン5’-三リン酸、6-クロロプリンリボシド5’-三リン酸、7-デアザアデノシン5’-三リン酸、7-デアザグアノシン5’-三リン酸、8-アザアデノシン5’-三リン酸、8-アジドアデノシン5’-三リン酸、ベンゾイミダゾールリボシド5’-三リン酸、N1-メチルアデノシン5’-三リン酸、N1-メチルグアノシン5’-三リン酸、N6-メチルアデノシン5’-三リン酸、O6-メチルグアノシン5’-三リン酸、プソイドウリジン5’-三リン酸、ピューロマイシン5’-三リン酸、またはキサントシン5’-三リン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0165】
キャップ構造
一部の実施形態では、mRNAは、5’キャップ構造を含む。5’キャップは、典型的には、以下のように付加される:最初に、RNA末端ホスファターゼが5’ヌクレオチドから末端リン酸基のうちの一つを除去して二つの末端リン酸を残し、その後、グアノシン三リン酸(GTP)がグアニリルトランスフェラーゼを介して末端リン酸に付加されて5’5’5三リン酸結合をもたらし、その後、グアニンの7-窒素がメチルトランスフェラーゼによりメチル化される。キャップ構造の例には、m7G(5’)ppp(5’)A、G(5’)ppp(5’)A、およびG(5’)ppp(5’)Gが挙げられるが、これらに限定されない。
【0166】
天然に存在するキャップ構造は、三リン酸架橋により第一の転写ヌクレオチドの5’末端に連結され、結果としてm7G(5’)ppp(5’)N(ここで、Nは任意のヌクレオシドである)のジヌクレオチドキャップをもたらす7-メチルグアノシンを含む。インビボでは、キャップは酵素的に付加される。キャップが核に付加され、酵素であるグアニリルトランスフェラーゼによって触媒される。キャップのRNAの5’末端への付加は、転写開始直後に起こる。末端ヌクレオシドは、典型的にはグアノシンであり、全ての他のヌクレオチドに対して逆配向、すなわちG(5’)ppp(5’)GpNpNpである。
【0167】
インビトロ転写によって産生されるmRNAの一般的なキャップは、m7G(5’)ppp(5’)Gであり、それらの5’末端にキャップ構造を有するRNAを得るためにT7またはSP6 RNAポリメラーゼでのインビトロ転写時にジヌクレオチドキャップとして使用されている。キャップされたmRNAの一般的なインビトロ合成方法では、転写の開始因子として、形態がm7G(5’)ppp(5’)G(「m7GpppG」)である予め形成されたジヌクレオチドが用いられている。
【0168】
これまで、インビトロ翻訳実験で使用される合成ジヌクレオチドキャップの通常の形態は、反逆方向キャップ類似体(「ARCA」)または修飾ARCAであり、これは、一般に、2’または3’OH基が-OCH3で置き換えられている修飾されたキャップ類似体である。
【0169】
追加のキャップ類似体には、m7GpppG、m7GpppA、m7GpppCからなる群から選択される化学的構造、非メチル化キャップ類似体(例えば、GpppG)、ジメチル化キャップ類似体(例えば、m2,7GpppG)、トリメチル化キャップ類似体(例えば、m2,2,7GpppG)、ジメチル化対称性キャップ類似体(例えば、m7Gpppm7G)、または反逆方向キャップ類似体(例えば、ARCA、m7,2’OmeGpppG、m72’dGpppG、m7,3’OmeGpppG、m7,3’dGpppG、およびそれらの四リン酸誘導体)(例えば、Jemielity,J.et al.,“Novel‘anti-reverse’cap analogs with superior translational properties”,RNA,9:1108-1122(2003)を参照のこと)が含まれるが、これらに限定されない。
【0170】
一部の実施形態では、好適なキャップは、三リン酸架橋により第1の転写ヌクレオチドの5’末端に連結され、結果としてm7G(5’)ppp(5’)N(ここで、Nは任意のヌクレオシドである)をもたらす7-メチルグアニル酸(「m7G」)である。本発明の実施形態で利用されるm7Gキャップの好ましい実施形態は、m7G(5’)ppp(5’)Gである。
【0171】
一部の実施形態では、キャップは、キャップ0構造である。キャップ0構造は、塩基1および2に結合したリボース2’-O-メチル残基を欠く。一部の実施形態では、キャップは、キャップ1構造である。キャップ1構造は、塩基2に2’-O-メチル残基を有する。一部の実施形態では、キャップは、キャップ2構造である。キャップ2構造は、塩基2および塩基3の両方に結合した2’-O-メチル残基を有する。
【0172】
様々なm7Gキャップ類似体は当該技術分野で公知であり、それらの多くが商業的に入手可能である。これらには、上述のm7GpppG、ならびにARCA 3’-OCH3キャップ類似体および2’-OCH3キャップ類似体(Jemielity,J.et al.,RNA,9:1108-1122(2003))が含まれる。本発明の実施形態で使用するための追加のキャップ類似体には、N7-ベンジル化ジヌクレオシド四リン酸類似体(Grudzien,E.et al.,RNA,10:1479-1487(2004)に記載のもの)、ホスホロチオエートキャップ類似体(Grudzien-Nogalska,E.,et al.,RNA,13:1745-1755(2007)に記載のもの)、および参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,093,367号および同第8,304,529号に記載のキャップ類似体(ビオチン化キャップ類似体を含む)が含まれる。
【0173】
テール構造
典型的には、「テール」の存在は、mRNAをエキソヌクレアーゼ分解から保護する役割を果たす。ポリAテールは、天然メッセンジャーおよび合成センスRNAを安定させると考えられている。したがって、特定の実施形態では、長いポリAテールがmRNA分子に付加されて、結果としてRNAをより安定したものにすることができる。ポリAテールは、当該技術分野で認識されている様々な技法を使用して付加され得る。例えば、長いポリAテールは、ポリAポリメラーゼを使用して合成またはインビトロ転写RNAに付加され得る(Yokoe,et al.Nature Biotechnology.1996;14:1252-1256)。転写ベクターも長いポリAテールをコードすることができる。加えて、ポリAテールは、PCR産物から直接転写によって付加され得る。ポリAは、RNAリガーゼを用いてセンスRNAの3’末端にライゲーションされる場合もある(例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual,2nd Ed.,ed.by Sambrook,Fritsch and Maniatis(Cold Spring Harbor Laboratory Press:1991 edition)を参照のこと)。
【0174】
一部の実施形態では、mRNAは、3’ポリ(A)テール構造を含む。典型的には、ポリAテールの長さは少なくとも約10、50、100、200、300、400、または500のヌクレオチド長であり得る。一部の実施形態では、mRNAの3’末端のポリAテールは、典型的には、約10~800個のアデノシンヌクレオチド(例えば、約300~500個のアデノシンヌクレオチド、約300~800個のアデノシンヌクレオチド、約10~200個のアデノシンヌクレオチド、約10~150個のアデノシンヌクレオチド、約10~100個のアデノシンヌクレオチド、約20~70個のアデノシンヌクレオチド、または約20~60個のアデノシンヌクレオチド)を含む。典型的には、本発明によるmRNA中のポリAテールは、約300~約800アデノシンヌクレオチド長である。より一般的には、ポリAテールは、約300アデノシンヌクレオチド長である。
【0175】
一部の実施形態では、mRNAは、3’ポリ(C)テール構造を含む。mRNAの3’末端上の好適なポリ-Cテールは、典型的には、約10~200個のシトシンヌクレオチド(例えば、約10~150個のシトシンヌクレオチド、約10~100個のシトシンヌクレオチド、約20~70個のシトシンヌクレオチド、約20~60個のシトシンヌクレオチド、または約10~40個のシトシンヌクレオチド)を含む。ポリ-Cテールは、ポリ-Aテールに付加され得るか、またはポリ-Aテールの代わりになり得る。
【0176】
一部の実施形態では、ポリAテールまたはポリCテールの長さが調整されて、本発明の修飾センスmRNA分子の安定性、ひいてはタンパク質の転写を制御する。例えば、ポリAテールの長さがセンスmRNA分子の半減期に影響を及ぼし得るため、ポリAテールの長さが調整されて、mRNAのヌクレアーゼに対する耐性レベルを修正し、それにより、標的細胞でのポリヌクレオチド発現および/またはポリペプチド産生の時間経過を制御することができる。
【0177】
5’および3’非翻訳領域
一部の実施形態では、mRNAは、5’非翻訳領域(UTR)を含む。一部の実施形態では、mRNAは、3’非翻訳領域を含む。一部の実施形態では、mRNAは、5’非翻訳領域およびは3’非翻訳領域のどちらも含む。一部の実施形態では、5’非翻訳領域は、mRNAの安定性または翻訳に影響を及ぼす要素、例えば、鉄応答性要素を一つまたは複数含む。一部の実施形態では、5’非翻訳領域は、約50~500ヌクレオチド長であり得る。
【0178】
一部の実施形態では、3’非翻訳領域は、ポリアデニル化シグナル、細胞におけるmRNAの位置安定性に影響を及ぼすタンパク質の結合部位、またはmiRNAの一つまたは複数の結合部位のうちの一つまたは複数を含む。一部の実施形態では、3’非翻訳領域は、50~500ヌクレオチド長またはそれ以上であり得る。
【0179】
例示的な3’および5’非翻訳領域配列は、センスmRNA分子の安定性を増加させるために、安定しているmRNA分子(例えば、グロビン、アクチン、GAPDH、チューブリン、ヒストン、またはクエン酸サイクル酵素)から得られ得る。例えば、5’UTRは、ヌクレアーゼ耐性を改善するおよび/またはポリヌクレオチドの半減期を改善するために、CMV前初期1(IE1)遺伝子の部分配列またはその断片を含み得る。ポリヌクレオチドをさらに安定させるために、ヒト成長ホルモン(hGH)をコードする配列またはその断片のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の3’末端または非翻訳領域への包含も企図される。概して、これらの修飾は、ポリヌクレオチドの安定性および/または薬物動態特性(例えば、半減期)を、それらの修飾されていない対応物と比較して改善し、例えば、かかるポリヌクレオチドのインビボヌクレアーゼ消化に対する耐性を改善するために行われる修飾を含む。
【0180】
特定の実施形態では、コドン最適化DNAH5 mRNAは、XおよびYとしてそれぞれ表される5’および3’非翻訳領域に隣接したコドン最適化コード領域を有するコード領域を含む(下記参照)
X-コード領域-Y
式中、コード領域配列は、配列番号6、もしくは配列番号6に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、または配列番号7、もしくは配列番号7に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号8、もしくは配列番号8に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号9、もしくは配列番号9に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号10、もしくは配列番号10に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号11、もしくは配列番号11に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号12、もしくは配列番号12に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号13、もしくは配列番号13に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号14、もしくは配列番号14に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号15、もしくは配列番号15に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号16、もしくは配列番号16に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号17、もしくは配列番号17に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号18、もしくは配列番号18に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号19、もしくは配列番号19に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号20、もしくは配列番号20に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号21、もしくは配列番号21に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号22、もしくは配列番号22に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号23、もしくは配列番号23に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号24、もしくは配列番号24に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号25、もしくは配列番号25に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号26、もしくは配列番号26に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号27、もしくは配列番号27に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号28、もしくは配列番号28に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号29、もしくは配列番号29に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号30、もしくは配列番号30に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、配列番号31、もしくは配列番号31に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列であり、
X(5’UTR配列)は、
AGACAGAUCGCCUGGAGACGCCAUCCACGCUGUUUUGACCUCCAUAGAAGACACCGGGACCGAUCCAGCCUCCGCGGCCGGGAACGGUGCAUUGGAACGCGGAUUCCCCGUGCCAAGAGUGACUCACCGUCCUUGACACG[配列番号2]もしくは配列番号2に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、
または
GGACAGAUCGCCUGGAGACGCCAUCCACGCUGUUUUGACCUCCAUAGAAGACACCGGGACCGAUCCAGCCUCCGCGGCCGGGAACGGUGCAUUGGAACGCGGAUUCCCCGUGCCAAGAGUGACUCACCGUCCUUGACACG[配列番号3]もしくは配列番号3に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列であり、Y(3’UTR配列)は、
CGGGUGGCAUCCCUGUGACCCCUCCCCAGUGCCUCUCCUGGCCCUGGAAGUUGCCACUCCAGUGCCCACCAGCCUUGUCCUAAUAAAAUUAAGUUGCAUCAAGCU[配列番号4]もしくは配列番号4に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列、またはGGGUGGCAUCCCUGUGACCCCUCCCCAGUGCCUCUCCUGGCCCUGGAAGUUGCCACUCCAGUGCCCACCAGCCUUGUCCUAAUAAAAUUAAGUUGCAUCAAAGCU[配列番号5]もしくは配列番号5に対し70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一の配列である。
インビトロ転写
本発明の特定の実施形態では、コドン最適化ヒトダイニン軸糸重鎖5メッセンジャーRNA(DNAH5 mRNA)は、当該遺伝子をコードするプラスミドDNA鋳型からのインビトロ転写により合成された。その後、5’キャップ構造(Fechter,P.;Brownlee,G.G.“Recognition of mRNA cap structures by viral and cellular proteins” J.Gen.Virology 2005,86,1239-1249)と、およそ100、200、250、300、400、500、または800ヌクレオチド長の3’ポリ(A)テールの付加が行われ、ゲル電気泳動により測定された。
【0181】
送達ビヒクル
本発明によると、本明細書に記載されるDNAH5タンパク質(たとえば、DNAH5タンパク質の全長、断片、または一部)をコードするmRNAは、裸のRNA(パッケージされていない)として送達されてもよく、または送達ビヒクルを介して送達されてもよい。本明細書で使用される場合、「送達ビヒクル」、「移入ビヒクル」、「ナノ粒子」という用語、または文法的同義語は、互換的に使用される。
【0182】
一部の実施形態では、DNAH5タンパク質をコードするmRNAは、単一の送達ビヒクルを介して送達されてもよい。一部の実施形態では、DNAH5タンパク質をコードするmRNAは、各々異なる組成の一つまたは複数の送達ビヒクルを介して送達されてもよい。様々な実施形態によると、好適な送達ビヒクルとして、以下に限定されないが、ポリエチレンイミン(PEI)、脂質ナノ粒子、およびリポソームなどのポリマー系担体、ナノリポソーム、セラミド含有ナノリポソーム、プロテオリポソーム、天然および合成由来のエキソソーム、天然層状体、合成層状体、および半合成層状体、ナノ粒子、カルシウムリン-ケイ酸塩ナノ粒子、リン酸カルシウムナノ粒子、二酸化ケイ素ナノ粒子、微結晶微粒子、半導体ナノ粒子、ポリ(D-アルギニン)、ゾルゲル、ナノデンドリマー、デンプンベース送達系、ミセル、エマルジョン、ニオソーム、多ドメインブロックポリマー(ビニルポリマー、ポリプロピルアクリル酸ポリマー、動的多抱合体)、乾燥粉末製剤、プラスミド、ウイルス、リン酸カルシウムヌクレオチド、アプタマー、ペプチド、ならびに他の指向性タグが挙げられる。
【0183】
ポリマー
一部の実施形態では、好適な送達ビヒクルは、担体としてポリマーを使用して、単独でまたは本明細書に記載される様々な脂質を含む他の担体と組み合わせて製剤化される。したがって、一部の実施形態では、本明細書で使用されるリポソーム送達ビヒクルは、ナノ粒子を含むポリマーも包含する。好適なポリマーとして、例えば、ポリアクリレート類、ポリアルキシアノアクリレート類、ポリラクチド、ポリラクチド-ポリグリコリドコポリマー類、ポリカプロラクトン類、デキストラン、アルブミン、ゼラチン、アルギネート、コラーゲン、キトサン、シクロデキストリン類、プロタミン、PEG化プロタミン、PLL、PEG化PLL、およびポリエチレンイミン(PEI)が挙げられ得る。PEIを含む場合、PEIは10~40kDaの範囲の分子量を持つ分枝状PEI、例えば、25kDaの分枝状PEI(Sigma #408727)であり得る。
【0184】
リポソーム:
一部の実施形態では、好適な送達ビヒクルは、リポソームである。本明細書で使用される場合、リポソームは、通常、一つまたは複数の二重層の膜によって外部媒体から隔離された内部水空間を有する微細小胞として特徴付けられる。リポソームの二重層膜は、典型的には、空間的に分離された親水性ドメインおよび疎水性ドメインを含む合成起源または天然起源の脂質等の両親媒性分子によって形成される(Lasic,Trends Biotechnol.,16:307-321,1998)。リポソームの二重層膜は、両親媒性ポリマーおよび界面活性剤(例えば、ポリメロソーム、ニオソーム等)によって形成される場合もある。本発明との関連で、リポソームは、典型的には、所望のmRNAを標的細胞または組織に輸送する役割を果たす。本発明による典型的なリポソームは、一種または複数のカチオン性脂質、一種または複数の非カチオン性脂質、一種または複数のコレステロール系脂質、および一種または複数のPEG修飾脂質を含む。
【0185】
カチオン性脂質
本明細書で使用される場合、語句「カチオン性脂質」は、生理学的pHなどの選択されたpHで正味の正電荷を有する多数の脂質種のいずれかを指す。
【0186】
いくつかのカチオン性脂質は文献に記載されており、その多くは市販されている。本発明の組成物および方法で使用するための好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2010/144740に記載されるカチオン性脂質が含まれる。
【0187】
特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、カチオン性脂質、以下の化合物構造を有する、(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル 4-(ジメチルアミノ)ブタン酸塩:
【化1】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0188】
本発明の組成物および方法で使用するためのその他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2013/149140に記載されるイオン化可能なカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式のうちの一種のカチオン性脂質:
【化2】
またはその薬学的に許容可能な塩を含み、式中、RおよびRは、それぞれ独立して水素、任意で置換される、可変飽和または不飽和C-C20アルキル、および任意で置換される、可変飽和または不飽和C-C20アシルからなる群から選択され、式中、LおよびLは、それぞれ独立して水素、任意で置換されるC-C30アルキル、任意で置換される可変不飽和C-C30アルケニル、および任意で置換されるC-C30アルキニルからなる群から選択され、式中、mおよびoはそれぞれ独立して、ゼロおよび任意の正の整数(例えば、mは3)からなる群から選択され、および式中、nはゼロまたは任意の正の整数(例えば、nは1)である。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有する、カチオン性脂質(15Z,18Z)-N,N-ジメチル-6-(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-l-イル)テトラコサ-15,18-ジエン-1-アミン(「HGT5000」):
【化3】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有する、カチオン性脂質(15Z、18Z)-N,N-ジメチル-6-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)テトラコサ-4,15,18-トリエン-l-アミン(「HGT5001」):
【化4】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有する、カチオン性脂質および(15Z,18Z)-N,N-ジメチル-6-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)テトラコサ-5,15,18-トリエン-1-アミン(「HGT5002」):
【化5】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0189】
本発明の組成物および方法で使用するためのその他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2010/053572に、アミノアルコールリピドイドとして記載されるカチオン性脂質が含まれる。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化6】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0190】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2016/118725に記載されるカチオン性脂質が含まれる。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化7】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0191】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2016/118724に記載されるカチオン性脂質が含まれる。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化8】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0192】
本発明の組成物および方法において使用するための他の好適なカチオン性脂質は、14,25-ジトリデシル15,18,21,24-テトラアザ-オクタトリアコンタンの式を有するカチオン性脂質、およびその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0193】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2013/063468およびWO2016/205691に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式のカチオン性脂質:
【化9】
またはその薬学的に許容可能な塩を含み、式中、Rの各々の事例は、独立して、任意で置換されるC-C40アルケニルである。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化10】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化11】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化12】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化13】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0194】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2015/184256に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式のカチオン性脂質:
【化14】
またはその薬学的に許容可能な塩を含み、式中、各Xは独立してOまたはSであり;各Yは独立してOまたはSであり;各mは独立して0~20であり;各nは独立して1~6であり;各Rは独立して水素、任意で置換されるC1-50アルキル、任意で置換されるC2-50アルケニル、任意で置換されるC2-50アルキニル、任意で置換されるC3-10カルボシクリル、任意で置換される3~14員のヘテロシクリル、任意で置換されるC6-14アリール、任意で置換される5~14員のヘテロアリールまたはハロゲンであり、各Rは独立して水素、任意で置換されるC1-50アルキル、任意で置換されるC2-50アルケニル、任意で置換されるC2-50アルキニル、任意で置換されるC3-10カルボシクリル、任意で置換される3~14員のヘテロシクリル、任意で置換されるC6-14アリール、任意で置換される5~14員のヘテロアリールまたはハロゲンである。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質「ターゲット23」:
【化15】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0195】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2016/004202に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化16】
またはその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化17】
またはその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化18】
またはその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0196】
本発明の組成物および方法で使用するためのその他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照により組み込まれる、J.McClellan,M.C.King,Cell
2010,141,210-217およびWhitehead et al.,Nature Communications(2014)5:4277に記載されるカチオン性脂質が含まれる。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法のカチオン性脂質は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化19】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0197】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2015/199952に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化20】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化21】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化22】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化23】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化24】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化25】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化26】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化27】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化28】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化29】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化30】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化31】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化32】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0198】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2017/004143に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化33】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化34】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化35】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化36】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化37】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化38】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化39】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化40】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化41】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化42】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化43】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化44】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化45】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化46】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化47】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化48】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化49】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0199】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2017/075531に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式のカチオン性脂質:
【化50】
またはその薬学的に許容可能な塩を含み、式中、LまたはLのうちの一つは、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)、-S-S-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-、または-NRC(=O)O-であり;もう一つのLまたはLは、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-または-NRC(=O)O-または直接結合であり;GおよびGは、それぞれ独立して非置換C-C12アルキレンまたはC-C12アルケニレンであり;GはC-C24アルキレン、C-C24アルケニレン、C-Cシクロアルキレン、C-Cシクロアルケニレンであり;RはHまたはC-C12アルキルであり;RおよびRはそれぞれ独立してC-C24アルキルまたはC-C24アルケニルであり;RはH、OR、CN、-C(=O)OR、-OC(=O)Rまたは-NR C(=O)Rであり、RはC-C12アルキルであり;RはHまたはC-Cアルキルであり;xは0、1または2である。
【0200】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2017/117528に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化51】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化52】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化53】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0201】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2017/049245に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法のカチオン性脂質は、以下の式のうちの一つの化合物:
【化54】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。これら四つの式のうちのいずれか一つについて、Rは、-(CHQおよび-(CHCHQRから独立して選択され、Qは、-OR、-OH、-O(CHN(R)、-OC(O)R、-CX、-CN、-N(R)C(O)R、-N(H)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(H)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(H)C(O)N(R)、-N(H)C(O)N(H)(R)、-N(R)C(S)N(R)、-N(H)C(S)N(R)、-N(H)C(S)N(H)(R)、および複素環からなる群から選択され、nは1、2または3である。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化55】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化56】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化57】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化58】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0202】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、それぞれ本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2017/173054およびWO2015/095340に記載されるカチオン性脂質が含まれる。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化59】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化60】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化61】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化62】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0203】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2012/170889に記載される切断可能なカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式のカチオン性脂質:
【化63】
を含み、式中、Rは、イミダゾール、グアニジニウム、アミノ、イミン、エナミン、任意で置換されるアルキルアミノ(例えば、ジメチルアミノなどのアルキルアミノ)およびピリジルからなる群から選択され、式中、Rは、以下の二つの式のうちの一つからなる群から選択され:
【化64】
式中、RおよびRは、それぞれ独立して、任意で置換される可変飽和または不飽和C-C20アルキルおよび任意で置換される可変飽和または不飽和C-C20アシルからなる群から選択され、式中、nは、0または任意の正の整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上)である。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質「HGT4001」:
【化65】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質「HGT4002」:
【化66】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質「HGT4003」:
【化67】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質「HGT4004」:
【化68】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質「HGT4005」:
【化69】
およびその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0204】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、2018年5月16日に出願された米国仮出願第62/672,194号に記載される切断可能カチオン性脂質が含まれる。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、一般式のうちのいずれか、または米国仮出願第62/672,194号に記載される構造(1a)~(21a)および(1b)~(21b)および(22)~(237)のうちのいずれかであるカチオン性脂質を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、式(I’)による構造を有するカチオン性脂質を含み:
【化70】
式中、
が独立して、-H、-L-R、または-L5A-L5B-B’であり、
、L、およびLが各々独立して、共有結合、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)S-、または-C(O)NR-であり、
4AおよびL5Aが各々独立して、-C(O)-、-C(O)O-、または-C(O)NR-であり、
4BおよびL5Bが各々独立して、C-C20アルキレン、C-C20アルケニレン、またはC-C20アルキニレンであり、
各BおよびB’は、NRまたは5~10員の窒素含有ヘテロアリールであり、
、R、およびRが各々独立して、C-C30アルキル、C-C30アルケニル、またはC-C30アルキニルであり、
各RおよびRは独立して、水素、C-C10アルキル、C-C10アルケニル、またはC-C10アルキニルであり、
各Rが独立して、水素、C-C20アルキル、C-C20アルケニル、またはC-C20アルキニルである、カチオン性脂質を提供する。
特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有する62/672,194の化合物(139)であるカチオン性脂質を含む。
【化71】
【0205】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、カチオン性脂質、N-[l-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(「DOTMA」)を含む。(参照により本明細書に援用される、(Feigner et
al.(Proc.Nat’l Acad.Sci.84,7413(1987);米国特許第4,897,355号)。本発明の組成物および方法のために好適な他のカチオン性脂質は、例えば、5-カルボキシスペルミルグリシンジオクタデシルアミド(carboxyspermylglycinedioctadecylamide)(「DOGS」)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミン-カルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-l-プロパンアミニウム(「DOSPA」)(Behr et al.Proc.Nat.’l Acad.Sci.86,6982(1989);米国特許第5,171,678号、米国特許第5,334,761号)、l,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(「DODAP」)、l,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(「DOTAP」)を含む。
【0206】
本発明の組成物および方法に好適な追加の例示的なカチオン性脂質はまた、l,2-ジステアリルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(「DSDMA」);1,2-ジオレイルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(「DODMA」)、1,2-ジリノレイロキシオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(「DLinDMA」)、l,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(「DLenDMA」)、N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(「DODAC」)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(「DDAB」)、N-(l,2-ジミリチルチルオキシプロップ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(「DMRIE」)、3-ジメチルアミノ-2-(コレスト-5-エン-3-ベータ-オキシブタン-4-オキシ)-l-(シス,シス-9,12-オクタデカジエンオキシ)プロパン(「CLinDMA」);2-[5’-(コレスト-5-エン-3-ベータ-オキシ)-3’-オキサペントキシ)-3-ジメチl-l-(シス,シス-9’,l-2’-オクタデカジエンオキシ)プロパン(「CpLinDMA」);N,N-ジメチル-3,4-ジオレイルオキシベンジルアミン(「DMOBA」);1,2-N,N’-ジオレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(「DOcarbDAP」);2,3-ジリノレオイロイルオキシ-N,N-ジメチルプロピルアミン(「DLinDAP」)、l,2-N,N’-ジリノレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(「DLincarbDAP」);l,2-ジリノレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(「DLinCDAP」);2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[l,3]-ジオキソラン(「DLin-K-DMA」);2-((8-[(3P)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル)オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(「オクチル-CLinDMA」);(2R)-2-((8-[(3ベータ)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル)オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(「オクチル-CLinDMA(2R)」);(2S)-2-((8-[(3P)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル)オキシ)-N、fsl-ジメチ3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(「オクチル-CLinDMA(2S)」);2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[l,3]-ジオキソラン(「DLin-K-XTC2-DMA」)、および2-(2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,l 2-ジエン-1-イル)-l,3-ジオキソラン-4-イル)-N,N-ジメチルエタンアミン(「DLin-KC2-DMA」)を含む(本明細書に参照によって援用される国際公開第2010/042877号参照;Semple et al.,Nature Biotech.28:172-176(2010))。(Heyes,J.,et al.,J Controlled Release 107:276-287(2005);Morrissey,DV.,et al.,Nat.Biotechnol.23(8):1003-1007(2005);国際特許公開第2005/121348号)。一部の実施形態では、カチオン性脂質のうちの一つまたは複数は、イミダゾール部分、ジアルキルアミノ部分、またはグアニジニウム部分のうちの少なくとも一つを含む。
【0207】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法に好適な一種または複数のカチオン性脂質は、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(「XTC」);(3aR,5s,6aS)-N,N-ジメチル-2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)テトラヒドロ-3aH-シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール-5-アミン(「ALNY-100」)および/または4,7,13-トリス(3-オキソ-3-(ウンデシルアミノ)プロピル)-N1,N16-ジウンデシル-4,7,10,13-テトラアザヘキサデカン-1,16-ジアミド(「NC98-5」)を含む。
【0208】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、組成物中の総脂質含有量、例えば、脂質ナノ粒子の重量で測定して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%を構成する一種または複数のカチオン性脂質を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物は、組成物中の総脂質含有量、例えば、脂質ナノ粒子のモル%で測定して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%を構成する一種または複数のカチオン性脂質を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物は、組成物中の総脂質含有量、例えば、脂質ナノ粒子の重量で測定して、約30~70%(例えば、約30~65%、約30~60%、約30~55%、約30~50%、約30~45%、約30~40%、約35~50%、約35~45%、または約35~40%)を構成する一種または複数のカチオン性脂質を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物は、組成物中の総脂質含有量、例えば、脂質ナノ粒子のモル%で測定して、約30~70%(例えば、約30~65%、約30~60%、約30~55%、約30~50%、約30~45%、約30~40%、約35~50%、約35~45%、または約35~40%)を構成する一種または複数のカチオン性脂質を含む
【0209】
一部の実施形態では、ステロール系カチオン性脂質が、本明細書に記載のカチオン性脂質の代わりに、または本明細書に記載のカチオン性脂質に加えて使用されてもよい。好適なステロール系カチオン性脂質は、ジアルキルアミノ含有ステロール系カチオン性脂質、イミダゾール含有ステロール系カチオン性脂質、およびグアニジニウム含有ステロール系カチオン性脂質である。例えば、特定の実施形態は、下記の構造(I)によって示されるように、イミダゾール、例えば、イミダゾールコレステロールエステル、または「ICE」脂質(3S,10R,13R,17R)-10,13-ジメチル-17-((R)-6-メチルヘプタン-2-イル)-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル 3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパノエートを含む一種または複数のステロール系カチオン性脂質をふくむ組成物を対象とする。特定の実施形態では、機能的なタンパク質をコードするRNA(例えば、mRNA)の送達のための脂質ナノ粒子は、以下の構造によって示されるように、イミダゾール系カチオン性脂質、例えば、イミダゾールコレステロールエステル、または「ICE」脂質(3S,10R,13R,17R)-10,13-ジメチル-17-((R)-6-メチルヘプタン-2-イル)-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル 3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパノエートの一つまたは複数を含んでもよい。
【化72】
【0210】
一部の実施形態では、リポソーム中のカチオン性脂質の割合は、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、または70%超であり得る。一部の実施形態では、カチオン性脂質は、リポソームの約30~50重量%(例えば、約30~45重量%、約30~40重量%、約35~50重量%、約35~45重量%、または約35~40重量%)を構成する。一部の実施形態では、カチオン性脂質(例えば、ICE脂質)は、モル比でリポソームの約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%を構成する。
【0211】
非カチオン性/ヘルパー脂質
一部の実施形態では、提供されたリポソームは、一つまたは複数の非カチオン性(「ヘルパー」)脂質を含む。本明細書で使用される場合、語句「非カチオン性脂質」は、任意の中性脂質、双性イオン性脂質、またはアニオン性脂質を意味する。本明細書で使用される場合、語句「アニオン性脂質」は、生理学的pHなどの選択されたHで正味の負電荷を保有する多数の脂質種のいずれかを指す。非カチオン性脂質として、以下に限定されないが、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-l-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-トランスPE、l-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジエタノールアミン(SOPE)、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0212】
一部の実施形態では、こうした非カチオン性脂質は、単独で使用され得るが、好ましくは他の賦形剤、例えば、カチオン性脂質と組み合わせて使用される。一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、リポソームに存在する総脂質の約5%~約90%、または約10%~約70%のモル比を含み得る。一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、中性脂質、すなわち、組成物が製剤化および/または投与される条件下で正味の電荷を保有しない脂質である。一部の実施形態では、リポソーム中の非カチオン性脂質の割合は、5%超、10%超、20%超、30%超、または40%超であり得る。
【0213】
コレステロール系脂質
一部の実施形態では、提供されるリポソームは、一つまたは複数のコレステロール系脂質を含む。例として、好適なコレステロール系カチオン性脂質として、例えば、DC-Choi(N,N-ジメチル-N-エチルカルボキサミドコレステロール)、l,4-ビス(3-N-オレイルアミノ-プロピル)ピペラジン(Gao,et al.Biochem.Biophys.Res.Comm.179,280(1991);Wolf et
al.BioTechniques 23,139(1997);米国特許第5,744,335号)、またはICEが挙げられる。一部の実施形態では、コレステロール系脂質は、リポソームに存在する総脂質の約2%~約30%、または約5%~約20%のモル割合を含み得る。一部の実施形態では、リポソーム中のコレステロール系脂質の割合は、5%超、10%超、20%超、30%超、または40%超であり得る。
【0214】
PEG化脂質
一部の実施形態では、提供されるリポソームは一つまたは複数のPEG化脂質を含む。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)修飾リン脂質と、N-オクタノイル-スフィンゴシン-l-[スクシニル(メトキシポリエチレングリコール)-2000](C8 PEG-2000セラミド)を含めた誘導体化されたセラミド(PEG-CER)などの誘導体化脂質とを、カチオン性脂質のうちの一つまたは複数と共に、一部の実施形態ではリポソームを含む他の脂質と共に、組み合わせて使用することも、本発明により企図される。企図されるPEG修飾脂質は、長さがC6-C20のアルキル鎖を有する脂質に共有結合された長さ最大2kDa、最大3kDa、最大4kDa、または5kDaのポリエチレングリコール鎖を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、PEG修飾またはPEG化脂質は、PEG化コレステロールまたはPEG-2Kである。かかる成分の付加は、複合体の凝集を阻止することができ、循環寿命を増加させ、かつ脂質-核酸組成物の標的細胞への送達を増加させるための手段を提供することもできる(Klibanov et al.(1990)FEBS Letters,268(1):235-237)か、またはこれらの成分は、インビボで製剤から迅速に交換するように選択され得る(米国特許第5,885,613号を参照のこと)。一部の実施形態では、PEG修飾またはPEG化脂質は、PEG化コレステロールまたはPEG-2Kである。一部の実施形態では、特定の有用な交換可能な脂質は、より短いアシル鎖(例えば、C14またはC18)を有するPEGセラミドである。
【0215】
一部の実施形態では、特定の有用な交換可能な脂質は、より短いアシル鎖(例えば、C14またはC18)を有するPEGセラミドである。本発明のPEG修飾リン脂質および誘導体化された脂質は、リポソームに存在する総脂質の約0%~約15%、約0.5%~約15%、約1%~約15%、約4%~約10%、または約2%のモル割合を含み得る。PEG修飾リン脂質および誘導体化脂質は、重量またはモルで、適切な脂質溶液中の合計脂質の少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、または70%を構成し得る。一部の実施形態では、PEG化脂質脂質は、重量またはモルで、適切な脂質溶液中の合計脂質の約30~50%(例えば、約30~45%、約30~40%、約35~50%、約35~45%、または約35~40%)を構成する。
【0216】
様々な実施形態によれば、リポソームを含むカチオン性脂質、非カチオン性脂質、および/またはPEG修飾脂質の選択、ならびにかかる脂質の互いに対する相対モル割合の選択は、選択される脂質の特徴、対象とする標的細胞の性質、送達されるmRNAの特徴に基づく。さらなる考慮すべき事項には、例えば、選択される脂質のアルキル鎖の飽和度、ならびにサイズ、電荷、pH、pKa、融合性、および毒性が含まれる。したがって、モル比は、適宜に調整され得る。
【0217】
リポソーム製剤
本発明に好適なリポソームは、本明細書に記載のカチオン性脂質、非カチオン性脂質、コレステロール脂質、PEG化脂質、および/またはポリマーのいずれかのうちの一つまたは複数を様々な割合で含み得る。典型的には、本発明によるリポソームは、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、コレステロール脂質、およびPEG化脂質を含む。非限定的な例として、好適なリポソーム製剤は、cKK-E12、DOPE、コレステロール、およびDMG-PEG2K;C12-200、DOPE、コレステロール、およびDMG-PEG2K;HGT4003、DOPE、コレステロール、およびDMG-PEG2K;またはICE、DOPE、コレステロール、およびDMG-PEG2K;またはICE、DOPE、およびDMG-PEG2Kから選択される組み合わせを含み得る。脂質の追加的な組み合わせは、当該技術分野、例えば、米国特許第62/420,421号(2016年11月10日出願)、米国特許第62/421,021号(2016年11月11日出願)、米国特許第62/464,327号(2017年2月27日出願)、および“Novel ICE-based Lipid Nanoparticle Formulation for Delivery of mRNA”と題され、2017年11月10日に出願されたPCT出願に記載されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に含まれている。
【0218】
様々な実施形態では、カチオン性脂質(例えば、cKK-E12、C12-200、ICE、および/またはHGT4003)は、モル比でリポソームの約30~60%(例えば、約30~55%、約30~50%、約30~45%、約30~40%、約35~50%、約35~45%、または約35~40%)を構成する。一部の実施形態では、カチオン性脂質(例えば、cKK-E12、C12-200、ICE、および/またはHGT4003)の割合は、モル比でリポソームの約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、または約60%以上である。
【0219】
一部の実施形態では、カチオン性脂質:非カチオン性脂質:コレステロール系脂質:PEG化脂質の比は、それぞれ約30~60:25~35:20~30:1~15であり得る。一部の実施形態では、カチオン性脂質:非カチオン性脂質:コレステロール系脂質:PEG化脂質の比は、それぞれおよそ40:30:20:10である。一部の実施形態では、カチオン性脂質:非カチオン性脂質:コレステロール系脂質:PEG化脂質の比は、それぞれおよそ40:30:25:5である。一部の実施形態では、カチオン性脂質:非カチオン性脂質:コレステロール系脂質:PEG化脂質の比は、それぞれおよそ40:32:25:3である。一部の実施形態では、カチオン性脂質:非カチオン性脂質:コレステロール系脂質:PEG化脂質の比は、およそ50:25:20:5である。
【0220】
リポソームの形成
本発明の組成物で使用するためのリポソーム移入ビヒクルは、当該技術分野において現在公知である様々な技術により調製することができる。提供される組成物で使用するためのリポソームは、当該技術分野において現在公知である様々な技術により調製することができる。例えば、多重層ベシクル(MLV)は、適切な溶媒に脂質を溶解することにより、選択された脂質を好適な容器または器の内壁に堆積させ、次いで、溶媒を蒸発させて器の内側に薄膜を残すか、または噴霧乾燥させることなどによる、従来技術に従って調製され得る。続いて、水相を渦動運動させながら器に添加し、その結果として、MLVを形成することができる。次に、単層ベシクル(ULV)を、多重層ベシクルのホモジナイゼーション、超音波処理、または押出により形成することができる。加えて、単層ベシクルを、界面活性剤除去技術により形成することができる。
【0221】
特定の実施形態では、提供される組成物はリポソームを含み、この場合においてmRNAはリポソームの両表面上で会合し、および同リポソーム内に封入される。例えば、本発明の組成物の調製中に、カチオン性リポソームは、静電相互作用によりmRNAと会合し得る。例えば、本発明の組成物の調製中に、カチオン性リポソームは、静電相互作用によりmRNAと会合し得る。
【0222】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、リポソームに封入されたmRNAを含む。一部の実施形態では、一種または複数のmRNA種が、同一のリポソームに封入され得る。一部の実施形態では、一種または複数のmRNA種が、異なるリポソームに封入され得る。一部の実施形態では、mRNAは一つまたは複数のリポソームに封入される。当該リポソームは、その脂質組成、脂質成分のモル比、大きさ、電荷(ゼータ電位)、標的化リガンド、および/またはそれらの組み合わせにおいて異なる。一部の実施形態では、一つまたは複数のリポソームは、カチオン性脂質、中性脂質、PEG修飾脂質、および/またはこれらの組み合わせの異なる組成物を有し得る。一部の実施形態では、一つまたは複数のリポソームは、リポソームを作製するために使用されるカチオン性脂質、中性脂質、コレステロール、およびPEG修飾脂質の異なるモル割合を有し得る。
【0223】
所望のmRNAをリポソーム内に組み込むプロセスは、「装填」と称されることが多い。例示的な方法は、Lasic,et al.,FEBS Lett.,312:255-258,1992に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。典型的な実施形態では、本発明のmRNAは、WO2018/089801に記載される方法を使用してリポソームに封入される(その教示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。簡潔に述べると、mRNAは、mRNAを封入するリポソームが形成されるように、予め形成されたリポソームを含む溶液をmRNAと混合することによって封入される。
【0224】
典型的には、リポソームに組み込まれた核酸は、リポソームの二層膜内のリポソームの内部空間に完全に位置付けられるが、上述のように、mRNAの一部(例えば、リポソーム組成物中の総mRNAの10%以下)もリポソーム膜の外表面と関連している可能性がある。リポソームへの核酸の組み込みは、本明細書では「封入」とも呼称される。典型的には、mRNAを、リポソームに組み込む目的は、核酸を分解する酵素もしくは化学物質、および/または核酸の急速排出をもたらす系もしくは受容体を含み得る環境から核酸を保護することである。したがって、一部の実施形態では、好適な送達ビヒクルは、その中に含まれるmRNAの安定性を強化することができ、および/または標的細胞もしくは標的組織へのmRNAの送達を促進する。
【0225】
リポソームの大きさ
本発明による好適なリポソームは、様々な大きさに作製することができる。一部の実施形態では、提供されるリポソームは、従来から知られているmRNA封入リポソームよりも小さく作製され得る。一部の実施形態では、リポソームの大きさが減少すると、mRNAの送達効率が高くなる。適切なリポソームの大きさは、標的細胞または標的組織の部位を考慮し、また作製されるリポソームの用途をある程度考慮して選択することができる。
【0226】
一部の実施形態では、適切な大きさのリポソームを選択して、mRNAによりコードされる抗体の全身分布を促進する。一部の実施形態では、特定の細胞または組織へのmRNAのトランスフェクションを限定することが望ましい場合がある。例えば、肝細胞を標的とするには、リポソームは、その寸法が肝臓の肝類洞を覆う内皮層の開窓よりも小さくなるように寸法決定されてもよく、こうした場合、リポソームは、その内皮開窓を容易に貫通して、標的肝細胞に達することができようになる。
【0227】
代替的または追加的に、リポソームは、リポソームの寸法が特定の細胞もしくは組織内への分布を制限するか、または意図的に分布しないようにするのに十分な直径であるように寸法決定されてもよい。例えば、リポソームは、その寸法が肝類洞を覆う内皮層の開窓より大きくなるように寸法決定されてもよく、それによって、リポソームの肝細胞への分布を制限する。
【0228】
一部の実施形態では、リポソームの大きさは、リポソーム粒子の最大直径の長さによって決定される。一部の実施形態では、好適なリポソームは、約250nm以下(例えば、約225nm、200nm、175nm、150nm、125nm、100nm、75nm、または50nm以下)の大きさを有する。一部の実施形態では、好適なリポソームは、約10~250nmの範囲(例えば、約10~225nm、10~200nm、10~175nm、10~150nm、10~125nm、10~100nm、10~75nm、または10~50nmの範囲)の大きさを有する。一部の実施形態では、好適なリポソームは、約100~250nmの範囲(例えば、約100~225nm、100~200nm、100~175nm、100~150nmの範囲)の大きさを有する。80~200nmのサイズのリポソームは、いくつかの用途に特に適している。一部の実施形態では、好適なリポソームは、約10~100nmの範囲(例えば、約10~90nm、10~80nm、10~70nm、10~60nm、または10~50nmの範囲)の大きさを有する。特定の実施形態では、好適なリポソームは、約100nm未満の大きさを有する。
【0229】
リポソーム集団の寸法決定に対して、当該技術分野において公知の様々な別の方法を利用することができる。こうした寸法決定方法の一つは、米国特許第4,737,323号に記載されており、この文献は参照によって本明細書に組み込まれる。バス超音波処理またはプローブ超音波処理のいずれかによるリポソーム懸濁液の超音波処理によって、直径が約0.05マイクロメートル未満の小さいULVまでサイズ漸減する。ホモジナイゼーションは別の方法であり、大きいリポソームをより小さいものに断片化するのに剪断エネルギーを利用する。典型的なホモジナイゼーション手順において、MLVは、選択されたリポソームの大きさ、典型的には約0.1~0.5マイクロメートルの大きさが観察されるまで、標準的なエマルジョンホモジナイザーを用いて再循環される。リポソームの大きさは、Bloomfield,Ann.Rev.Biophys.Bioeng.,10:421-150(1981)(参照によって本明細書に組み込まれる)に記載された準電気光散乱(QELS)によって算出され得る。平均リポソーム直径を、形成されたリポソームを超音波処理することによって低減させることができる。断続的な超音波処理サイクルをQELS評価と交互に行って、効率的なリポソーム合成を導くことができる。
【0230】
DNAH5 mRNAの送達および発現のためのリポソーム製剤
本セクションは、インビボでのDNAH5 mRNAの効果的な送達および発現のためのリポソーム製剤の例を提供する。
【0231】
脂質材料
本明細書に記載される製剤は、DNAH5タンパク質をコードするmRNAを封入するよう設計された、一種または複数のカチオン性脂質、ヘルパー脂質(たとえば非カチオン性脂質および/またはコレステロール系脂質)、およびPEG化脂質を活用する、様々な比率の多成分脂質混合物を含む。カチオン性脂質としては、(限定ではないが)DOTAP(1,2-ジオレイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン)、DODAP(1,2-ジオレイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン)、DOTMA(1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン)、DLinDMA(Heyes,J.;Palmer,L.;Bremner,K.;MacLachlan,I.“Cationic lipid saturation influences intracellular delivery of encapsulated nucleic acids” J.Contr.Rel.2005,107,276-287)、DLin-KC2-DMA(Semple,S.C.et al.“Rational Design of Cationic Lipids for siRNA Delivery” Nature Biotech.2010,28,172-176)、C12-200(Love,K.T.et al.“Lipid-like materials for low-dose in vivo gene silencing” PNAS 2010,107,1864-1869)、cKK-E12(3,6-ビス(4-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)ピペラジン-2,5-ジオン)、HGT5000、HGT5001、HGT4003、ICE、OF-02、ジアルキルアミノ系、イミダゾール系、グアニジニウム系などが挙げられる。ヘルパー脂質としては(限定ではないが)、DSPC(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DPPC(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DOPE(1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DOPC(1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホチジルコリン)DPPE(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DMPE(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DOPG(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール))、コレステロールなどが挙げられる。PEG化脂質は、C6-C20の長さのアルキル鎖を有する脂質に共有結合された、長さが最大5kDaのポリ(エチレン)グリコール鎖が挙げられる(限定ではない)。
【0232】
製剤プロトコールの例
A.cKK-E12
cKK-E12の50mg/mL エタノール溶液の分注物、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2Kを混合し、エタノールで最終量3mLまで希釈する。別個に、DNAH5 mRNAの緩衝水溶液(10mM クエン酸/150mM NaCl、pH4.5)を、1mg/mLのストックから調製する。脂質溶液をmRNA水溶液中に素早く注入し、振とうして、20%エタノールの最終懸濁液を得た。得られたリポソーム懸濁液を濾過し、1×PBS(pH7.4)で透析して、濃縮し、2~8℃で保存した。DNAH5封入mRNAの最終濃度、Zave、Dv(50)およびDv(90)を決定した。
【0233】
B.C12-200
c12-200の50mg/mL エタノール溶液の分注物、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2Kを混合し、エタノールで最終量3mLまで希釈する。別個に、DNAH5mRNAの緩衝水溶液(10mM クエン酸/150mM NaCl、pH4.5)を、1mg/mLのストックから調製する。脂質溶液をmRNA水溶液中に素早く注入し、振とうして、20%エタノールの最終懸濁液を得る。得られたリポソーム懸濁液を濾過し、1×PBS(pH7.4)で透析して、濃縮し、2~8℃で保存する。DNAH5封入mRNAの最終濃度、Zave、Dv(50)およびDv(90)を決定する。
【0234】
C.HGT4003
HGT4003の50mg/mL エタノール溶液の分注物、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2Kを混合し、エタノールで最終量3mLまで希釈する。別個に、DNAH5 mRNAの緩衝水溶液(10mM クエン酸/150mM NaCl、pH4.5)を、1mg/mLのストックから調製する。脂質溶液をmRNA水溶液中に素早く注入し、振とうして、20%エタノールの最終懸濁液を得る。得られたリポソーム懸濁液を濾過し、1×PBS(pH7.4)で透析して、濃縮し、2~8℃で保存する。DNAH5封入mRNAの最終濃度、Zave、Dv(50)およびDv(90)を決定する。
【0235】
D.ICE
ICEの50mg/mL エタノール溶液の分注物、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2Kを混合し、エタノールで最終量3mLまで希釈する。別個に、DNAH5 mRNAの緩衝水溶液(10mM クエン酸/150mM NaCl、pH4.5)を、1mg/mLのストックから調製する。脂質溶液をmRNA水溶液中に素早く注入し、振とうして、20%エタノールの最終懸濁液を得る。得られたリポソーム懸濁液を濾過し、1×PBS(pH7.4)で透析して、濃縮し、2~8℃で保存する。DNAH5封入mRNAの最終濃度、Zave、Dv(50)およびDv(90)を決定する。
【0236】
E.HGT5001
HGT5001の50mg/mL エタノール溶液の分注物、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2Kを混合し、エタノールで最終量3mLまで希釈する。別個に、DNAH5 mRNAの緩衝水溶液(10mM クエン酸/150mM NaCl、pH4.5)を、1mg/mLのストックから調製する。脂質溶液をmRNA水溶液中に素早く注入し、振とうして、20%エタノールの最終懸濁液を得る。得られたリポソーム懸濁液を濾過し、1×PBS(pH7.4)で透析して、濃縮し、2~8℃で保存する。DNAH5封入mRNAの最終濃度、Zave、Dv(50)およびDv(90)を決定する。
【0237】
F.HGT5000
HGT5000の50mg/mL エタノール溶液の分注物、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2Kを混合し、エタノールで最終量3mLまで希釈する。別個に、DNAH5T mRNAの緩衝水溶液(10mM クエン酸/150mM NaCl、pH4.5)を、1mg/mLのストックから調製する。脂質溶液をmRNA水溶液中に素早く注入し、振とうして、20%エタノールの最終懸濁液を得る。得られたリポソーム懸濁液を濾過し、1×PBS(pH7.4)で透析して、濃縮し、2~8℃で保存する。DNAH5封入mRNAの最終濃度、Zave、Dv(50)およびDv(90)を決定する。
【0238】
G.DLinKC2DMA
DLinKC2DMAの50mg/mL エタノール溶液の分注物、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2Kを混合し、エタノールで最終量3mLまで希釈する。別個に、DNAH5 mRNAの緩衝水溶液(10mM クエン酸/150mM NaCl、pH4.5)を、1mg/mLのストックから調製する。脂質溶液をmRNA水溶液中に素早く注入し、振とうして、20%エタノールの最終懸濁液を得る。得られたリポソーム懸濁液を濾過し、1×PBS(pH7.4)で透析して、濃縮し、2~8℃で保存する。DNAH5封入mRNAの最終濃度、Zave、Dv(50)およびDv(90)を決定する。
【0239】
H.DODAP
DODAPの50mg/mL エタノール溶液の分注物、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2Kを混合し、エタノールで最終量3mLまで希釈する。別個に、DNAH5 mRNAの緩衝水溶液(10mM クエン酸/150mM NaCl、pH4.5)を、1mg/mLのストックから調製する。脂質溶液をmRNA水溶液中に素早く注入し、振とうして、20%エタノールの最終懸濁液を得る。得られたリポソーム懸濁液を濾過し、1×PBS(pH7.4)で透析して、濃縮し、2~8℃で保存する。DNAH5封入mRNAの最終濃度、Zave、Dv(50)およびDv(90)を決定する。
【0240】
I.DODMA
DODMAの50mg/mL エタノール溶液の分注物、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2Kを混合し、エタノールで最終量3mLまで希釈する。別個に、DNAH5 mRNAの緩衝水溶液(10mM クエン酸/150mM NaCl、pH4.5)を、1mg/mLのストックから調製する。脂質溶液をmRNA水溶液中に素早く注入し、振とうして、20%エタノールの最終懸濁液を得る。得られたリポソーム懸濁液を濾過し、1×PBS(pH7.4)で透析して、濃縮し、2~8℃で保存する。DNAH5封入mRNAの最終濃度、Zave、Dv(50)およびDv(90)を決定する。
【0241】
臨床的または治療的な候補mRNA製剤は、5’-キャップおよび3’-ポリAテールを有する例示的なコドン最適化mRNA配列から選択され、これは上述の適切な脂質の組み合わせで製剤化される。臨床的に意義のあるmRNA候補は、インビボ組織による効率的な送達および取り込み、高レベルの発現、および持続的なタンパク質産生によって特徴付けられ、治療剤が投与される対象において、薬理学的に活性な成分またはリポソーム中の脂質、または製剤中で使用される任意の賦形剤のいずれかによって引き起こされる、検出可能な有害作用がない。概して、低用量投与による高効率は、関連する候補治療薬の選択プロセスにとって好ましい。
【0242】
医薬組成物
本発明は、原発性線毛機能不全症(PCD)の治療に使用するための組成物を提供する。本発明の組成物は、原発性線毛機能不全症(PCD)の治療のための医薬品の製造における使用のためのものである。
【0243】
インビボでのmRNAの発現を促進するために、リポソームなどの送達ビヒクルは、一つまたは複数の追加の核酸、担体、標的化リガンドもしくは安定化試薬と組み合わせて製剤化されてもよく、または好適な賦形剤と混合されている薬理組成物中で製剤化されてもよい。薬物の製剤化および投与の技術は、“Remington’s Pharmaceutical Sciences,”Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,latest editionで知ることができる。
【0244】
提供されるリポソーム封入mRNA、またはリポソーム結合mRNA、およびそれを含む組成物は、対象の臨床状態、投与の部位および投与方法、投与スケジュール、対象の年齢、性別、体重、ならびに当該技術分野の臨床医に関連する他の要因を考慮して、現在の医療行為に従い投与および投薬され得る。本明細書で使用される場合、用語「治療有効量」は、主として、本発明の医薬組成物に含まれる治療薬の総量に基づいて決定される。一般に、治療有効量は、対象である哺乳動物に対して意義のある利益を得る(例えば、PCDを治療、調節、治癒、防止、および/または改善する)のに十分な量である。例えば、治療有効量は、所望の治療的および/または予防的効果を得るのに十分な量であり得る。通常、その必要のある対象に投与される治療剤(例えば、DNAH5タンパク質をコードするmRNA)の量は、当該対象の特徴に依存するであろう。このような特徴には、対象の状態、疾患重篤度、全般的健康、年齢、性別および体重が含まれる。当業者は、これらおよび他の関連因子に応じて適切な投薬量を容易に決定することができるであろう。さらに、最適な投薬量範囲を同定するために、客観的および主観的アッセイの両方を任意に用いることができる。
【0245】
一部の実施形態では、ダイニン軸糸重鎖5タンパク質をコードするmRNAを含む医薬組成物の有効治療用量は、投与間隔の期間の間、または治療前の状態と比較して哺乳動物におけるPCDに関連する少なくとも一つの症状またはバイオマーカーのレベルをより長く減少させるのに十分な投与間隔で哺乳動物に投与される。
【0246】
一部の実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。ヒトに適用可能な適切な治療用量は、動物試験に基づいて導出され得る。動物で実施された試験からヒト等価用量を導出するための基本的なガイドラインは、米国食品医薬品局(FDA)ウェブサイト https://www.fda.gov/downloads/drugs/guidances/ucm078932.pdfより“Guidance for Industry Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers.”と題されたものが入手できる。相対成長率のガイドラインに基づくと、例えばマウスで0.6mg/kgの好適な用量は、0.0048mg/kgのヒト等価用量に相当する。したがって、導出されたヒト等価用量を考慮すると、予測されるヒト治療用量は、他の動物での試験に基づいて導出され得る。
【0247】
一部の実施形態では、投与間隔は、15日以上に一回、または20日以上に一回、または21日以上に一回、または22日以上に一回、または23日以上に一回、または24日以上に一回、または25日以上に一回、26日以上に一回、または27日以上に一回、または28日以上に一回、または29日以上に一回、または30日以上に一回、または31日以上に一回である。一部の実施形態では、投与間隔は、40日、45日、または50日、または60日、またはその間の任意の日数に一回である。一部の実施形態では、投与間隔は、80日、90日、または120日、または150日、またはその間の任意の日数に一回である。
【0248】
一部の実施形態では、治療的低用量は、2週間以上に一回の投与間隔で投与され、これは、治療前の状態と比較して、哺乳動物のPCDに関連する少なくとも一つの症状またはバイオマーカーのレベルを減少させるのに十分である。一部の実施形態では、治療的低用量は、3週間以上に一回の投与間隔で投与され、これは、治療前の状態と比較して、哺乳動物のPCDに関連する少なくとも一つの症状またはバイオマーカーのレベルを減少させるのに十分である。一部の実施形態では、投与間隔は、4週間以上に一回である。一部の実施形態では、投与間隔は、5週間以上に一回である。一部の実施形態では、投与間隔は、6週間以上に一回である。一部の実施形態では、投与間隔は、8週間以上に一回である。一部の実施形態では、投与間隔は、12週間、または15週間、または18週間以上に一回である。
【0249】
一部の実施形態では、投与間隔は一か月に一回である。一部の実施形態では、投与間隔は二か月毎に一回である。一部の実施形態では、投与間隔は、三か月に一回、または四か月に一回、または五か月に一回、または六か月に一回、またはその間のどこかに一回である。
【0250】
一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、対象由来の生体試料におけるダイニン軸糸重鎖5 mRNAの発現レベルが、治療前のベースライン発現レベルと比較して増加する。典型的には、ベースラインレベルは、治療直前に測定される。生体試料としては、例えば、全血、血清、血漿、尿、および組織試料(例えば、筋肉、肝臓、皮膚線維芽細胞)が含まれる。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、DNAH5 mRNAの発現レベルが、治療直前のベースラインレベルと比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%まで増加する。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、DNAH5 mRNAの発現レベルが、治療をしていない対象のDNAH5 mRNAの発現レベルと比較して増加する
【0251】
本発明によると、提供される組成物の治療有効用量は、定期的に投与された場合、治療前のベースラインのDNAH5タンパク質発現レベルまたは活性レベルと比較して、対象におけるDNAH5タンパク質発現レベルまたは活性レベルの増加をもたらす。典型的には、DNAH5タンパク質発現レベルまたは活性レベルは、たとえば血液、血漿もしくは血清、尿、または固形組織抽出物などの対象から取得された生体試料において測定される。一部の実施形態では、本発明の組成物の投与は、肝臓で検出可能なDNAH5発現をもたらす。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、生体試料(たとえば血漿/血清または尿)中のDNAH5タンパク質発現レベルまたは活性レベルは、治療前のベースラインレベルと比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%まで増加する。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、生体試料(たとえば血漿/血清または尿)中のDNAH5タンパク質発現レベルまたは活性レベルは、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、少なくとも11日、少なくとも12日、少なくとも13日、少なくとも14日、または少なくとも15日間の治療前のベースラインレベルと比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%まで増加する。
【0252】
一部の実施形態では、治療用量は、症状や、当業者によって疾患の進行、退行、または改善の適切な基準として選択される、バイオマーカーなどの他の指標を、少なくともいくらか安定化、改善、または排除するのに十分である。
【0253】
好適な投与経路には、例えば、経口投与、直腸投与、膣投与、経粘膜投与、気管内投与もしくは吸入投与を含む肺投与、または腸投与、皮内注射、経皮(局所)注射、筋肉内注射、皮下注射、髄内注射を含む非経口送達、ならびに髄腔内、直接脳室内、静脈内、腹腔内、もしくは鼻腔内が含まれる。
【0254】
一部の実施形態では、ダイニン軸糸重鎖タンパク質をコードするmRNAを含む治療有効用量は、筋肉内投与によって対象に投与される。
【0255】
一部の実施形態では、ダイニン軸糸重鎖タンパク質をコードするmRNAを含む治療有効用量は、皮下投与によって対象に投与される。
【0256】
特定の実施形態では、筋肉内投与は、骨格筋、平滑筋、および心筋からなる群から選択される筋肉に行われる。一部の実施形態では、投与の結果、mRNAが筋細胞に送達される。一部の実施形態では、投与の結果、mRNAが肝細胞(すなわち肝臓細胞)に送達される。特定の実施形態では、筋肉内投与の結果、mRNAが筋細胞に送達される。
【0257】
最も一般的には、ダイニン軸糸重鎖タンパク質をコードするmRNAを含む治療有効用量は、静脈内投与によって対象に投与される。
【0258】
あるいはまたは加えて、本発明のリポソーム封入mRNAおよび組成物は、全身的にではなく局所的に、例えば、好ましくは徐放性製剤中で、医薬組成物を標的組織内へ直接注射することによって投与され得る。局所送達は、標的とされる組織に応じて様々な方式で達成され得る。例えば、本発明の組成物を含むエアロゾルが吸引され得(鼻送達、気管送達、または気管支送達の場合)、本発明の組成物が、例えば、損傷、疾患兆候、または疼痛の部位に注射され得、組成物が、経口、気管、または食道用のトローチ剤で提供され得るか、胃もしくは腸への投与用に液体、錠剤、もしくはカプセル形態で供給され得るか、直腸もしくは膣用に坐剤形態で供給され得るか、またはクリーム、液滴、もしくはさらには注射を使用することにより眼にも送達され得る。治療用の分子またはリガンドと複合体を形成した提供される組成物を含む製剤は、例えば、組成物を移植部位から周囲細胞に拡散させることができるポリマーまたは他の構造もしくは物質と合わせて、外科的に投与することもできる。あるいは、これらは、ポリマーまたは支持体を使用することなく外科的に適用され得る。
【0259】
特定の実施形態では、mRNAをコードするDNAH5は静脈内投与され、静脈内投与は、肝細胞へのmRNAの送達と関連する。
【0260】
一部の実施形態では、ダイニン軸糸重鎖タンパク質をコードするmRNAを含む治療有効用量は、哺乳動物の肝臓への適切な送達のために投与される。一部の実施形態では、ダイニン軸糸重鎖タンパク質をコードするmRNAを含む治療有効用量は、投与された哺乳動物の肝細胞における適切な発現のために投与される。
【0261】
本発明の提供される方法は、本明細書に記載される治療剤(例えば、DNAH5タンパク質をコードするmRNA)の治療有効量の単回投与ならびに複数回投与を企図する。治療剤は、対象の状態(例えば、PCD)の性質、重症度、および程度によって規則的な間隔で投与され得る。一部の実施形態では、本発明の治療剤(例えば、DNAH5タンパク質をコードするmRNA)の治療有効量を、規則的な間隔で(例えば、年に一回、六か月に一回、五か月に一回、三か月に一回、隔月(二か月に一回)、毎月(毎月一回)、隔週(二週間に一回)、月二回、30日に一回、28日に一回、14日に一回、10日に一回、7日に一回、毎週、週二回、毎日、または連続して)、周期的に髄腔内に投与してもよい。
【0262】
一部の実施形態では、提供されるリポソームおよび/または組成物は、その中に含まれるmRNAの徐放に適するように製剤化される。こうした徐放性組成物は、投薬間隔を延長させて対象に適宜投与することができる。例えば、一実施形態では、本発明の組成物は、一日二回、毎日、または一日おきに対象に投与される。一部の実施形態では、本発明の組成物は、週二回、週一回、7日に一回、10日に一回、14日に一回、28日に一回、30日に一回、二週間に一回、三週間に一回、四週間に一回、一か月に一回、一か月に二回、六週間に一回、八週間に一回、隔月に一回、三か月に一回、四か月に一回、六か月に一回、八か月に一回、九か月に一回、または毎年、対象に投与される。
【0263】
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、週に一回、二週間に一回、または月に一回、対象に投与される。より好ましい実施形態では、本発明の組成物は、二週間に一回、または毎月一回、対象に投与される。最も好ましい実施形態では、本発明の組成物は、毎月一回、対象に投与される。
【0264】
一部の実施形態では、mRNAは、追加的療法と同時に投与される。
【0265】
長期間にわたるmRNAの送達または放出のいずれかを行うために、デポ投与(例えば、筋肉内、皮下、硝子体内)用に製剤化される組成物およびリポソームも企図される。好ましくは、採用される徐放手段は、安定性を強化するためにmRNAに施される修飾と組み合わされる。
【0266】
治療有効量は、複数の単位用量を含み得る投薬レジメンで一般的に投与される。任意の特定の治療用タンパク質について、治療有効(および/または有効な投与レジメン内の適切な単位投与量)は、例えば、投与経路に応じて、他の医薬品と組み合わせて変化し得る。また、任意の特定の患者に固有の治療有効量(および/または単位用量)は、治療される障害および障害の重篤度;採用される特定の医薬作用剤の活性;採用される特定の組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、および食事;投与時間、投与経路、および/または採用される特定のタンパク質の排出または代謝速度;治療期間;ならびに医療分野において周知の類似要因を含む様々な要因に依存し得る。本発明によると、提供される組成物の治療有効用量は、定期的に投与された場合、PCDの少なくとも一つの症状または特徴が、強度、重篤度または頻度において低下する、または発症が遅延する。
【0267】
また、本明細書に開示されるリポソームのうちの一つまたは複数を含む凍結乾燥された医薬組成物と、例えば、2012年6月8日に出願された国際特許出願PCT/US12/41663に開示されるような、かかる組成物を使用するための関連方法も、本明細書において企図される。当該出願の教示内容はその全体で参照により本明細書に組み込まれる。例えば、本発明による凍結乾燥された医薬組成物は、投与前に戻されるか、またはインビボで戻され得る。例えば、凍結乾燥された医薬組成物は、適切な剤形(例えば、ディスク、ロッド、または膜などの皮内剤形)に製剤化され、剤形が個体の体液によってインビボで経時的に再水和されるように投与され得る。
【0268】
一部の実施形態では、医薬組成物は、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、PEG修飾脂質、およびコレステロールを含む凍結乾燥リポソーム送達ビヒクルを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、再構成時に500nm、300nm、200nm、150nm、125nm、120nm、100nm、75nm、50nm、25nmまたはそれより小さい数字未満のDv50を有する。一部の実施形態では、医薬組成物は、再構成時に750nm、700nm、500nm、300nm、200nm、150nm、125nm、100nm、75nm、50nm、25nmまたはそれより小さい数字未満のDv90を有する。一部の実施形態では、医薬組成物は、再構成時に、1、0.95、0.9、0.8、0.75、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.25、0.2、0.1、0.05またはそれより少ない数字未満の多分散指数値を有する。一部の実施形態では、医薬組成物は、再構成時に500nm、400nm、300nm、200nm、175nm、150nm、125nm、100nm、75nm、50nm、25nmまたは未満の平均粒子径を有する。
【0269】
一部の実施形態では、凍結乾燥医薬組成物は、スクロース、トレハロース、デキストラン、またはイヌリンなどの一つまたは複数のリオプロテクタントをさらに含む。典型的には、リオプロテクタントはスクロースである。一部の実施形態では、医薬組成物は、4℃での保存時に少なくとも1か月もしくは少なくとも6か月の間、または25℃での保存時に少なくとも6か月の間、安定である。一部の実施形態では、再構成された凍結乾燥医薬組成物のmRNAの生物活性は、組成物の凍結乾燥前に観察された生物活性の75%を超える。
【0270】
提供されるリポソームおよび組成物は、任意の所望の組織に投与され得る。一部の実施形態では、提供されるリポソームまたは組成物によって送達されるDNAH5 mRNAは、リポソームおよび/または組成物が投与された組織で発現される。一部の実施形態では、送達されるmRNAは、リポソームおよび/または組成物が投与された組織とは異なる組織で発現される。送達されるmRNAが送達および/または発現され得る組織の例には、肝臓、腎臓、心臓、脾臓、血清、脳、骨格筋、リンパ節、皮膚、および/または脳脊髄液が挙げられるが、これらに限定されない。
【0271】
様々な実施形態によると、送達されるmRNAの発現の時期を、特定の医学的要求に合うように調整することができる。一部の実施形態では、送達されるmRNAによってコードされるタンパク質の発現は、提供されるリポソームおよび/または組成物の投与の1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、または1か月後に検出可能である。
【0272】
一部の実施形態では、提供される組成物の治療有効用量は、定期的に投与された場合、治療前のベースラインのメチルマロン酸値と比較して、対象におけるメチルマロン酸値の低下をもたらす。
【0273】
一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、対象の肝臓細胞(たとえば肝細胞)におけるDNAH5タンパク質のレベルが、治療前のベースラインのレベルと比較して増加する。典型的には、ベースラインレベルは、治療直前に測定される。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、肝臓細胞におけるDNAH5タンパク質のレベルが、治療直前のベースラインレベルと比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%まで増加する。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、肝臓細胞におけるDNAH5タンパク質のレベルが、治療をしていない対象の肝臓細胞におけるDNAH5タンパク質のレベルと比較して増加する。
【0274】
一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、対象の血漿または血清におけるDNAH5タンパク質のレベルが、治療前のベースラインのレベルと比較して増加する。典型的には、ベースラインレベルは、治療直前に測定される。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、血漿または血清におけるDNAH5タンパク質のレベルが、治療直前のベースラインのレベルと比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%まで増加する。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、血漿または血清におけるDNAH5タンパク質のレベルが、治療をしていない対象の血漿または血清におけるDNAH5タンパク質のレベルと比較して増加する。
【0275】
一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、対象由来の生体試料におけるDNAH5酵素活性が、治療前のベースラインのレベルと比較して増加する。典型的には、ベースラインレベルは、治療直前に測定される。生体試料としては、例えば、全血、血清、血漿、尿、および組織試料(例えば、肝臓)が含まれる。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、DNAH5酵素活性が、治療直前のベースラインのレベルと比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%まで増加する。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、DNAH5酵素活性が、治療をしていない対象のDNAH5酵素活性と比較して増加する。
【0276】
一部の実施形態では、対象は哺乳動物である。一部の実施形態では、哺乳動物は、成体である。一部の実施形態では、哺乳動物は、青年期である。一部の実施形態では、哺乳動物は幼児または若年哺乳動物である。一部の実施形態では、哺乳動物は霊長類である。一部の実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。一部の実施形態では、対象は6歳~80歳である。
【実施例0277】
本発明のある特定の化合物、組成物、および方法が、ある特定の実施形態に従って具体的に説明されているが、以下の実施例は、本発明の化合物を例証する役割のみを果たし、それを限定するようには意図されていない。
【0278】
実施例1.DNAH5 mRNAの送達および発現のためのリポソーム製剤の例
本実施例は、インビボでのhDNAH5 mRNAの効果的な送達および発現のためのリポソーム製剤の例を提供する。
【0279】
脂質材料
以下の実施例に記載される製剤は、特に記載しない限り、ヒトダイニン軸糸重鎖5(hDNAH5)mRNAを封入するように設計された、一種または複数のカチオン性脂質、ヘルパー脂質(例えば非カチオン性脂質および/またはコレステロール脂質)、およびPEG化脂質を用いた様々な比の多成分脂質混合物を含む。別段の指定がない限り、以下の実施例で使用される多成分脂質混合物は、イミダゾールコレステロールエステル(「ICE」)カチオン性脂質、DOPEなどの非カチオン性脂質、およびDMG-PEG2KなどのPEG化脂質のエタノール溶液であった。
メッセンジャーRNA材料
【0280】
コドン最適化hDNAH5メッセンジャーRNAを、遺伝子をコードするプラスミドDNA鋳型からのインビトロ転写により合成した。インビトロ転写後、5’キャップ構造(Cap1)(Fechter,P.Brownlee,G.G.“Recognition of mRNA cap structures by viral and cellular proteins” J.Gen.Virology 2005,86,1239-1249)および3’ ポリ(A)テールを付加した。ポリ(A)テールは、平均で約135ヌクレオチド長であった。各mRNA産物中に存在する5’および3’の非翻訳領域はそれぞれXおよびYと表されており、述べられるように定義される(下記参照)。
コドン最適化 hDNAH5 mRNA:
X-コード領域-Y
5’および3’のUTR配列
X(5’UTR配列)=
AGACAGAUCGCCUGGAGACGCCAUCCACGCUGUUUUGACCUCCAUAGAAGACACCGGGACCGAUCCAGCCUCCGCGGCCGGGAACGGUGCAUUGGAACGCGGAUUCCCCGUGCCAAGAGUGACUCACCGUCCUUGACACG[配列番号:2]
または
GGACAGAUCGCCUGGAGACGCCAUCCACGCUGUUUUGACCUCCAUAGAAGACACCGGGACCGAUCCAGCCUCCGCGGCCGGGAACGGUGCAUUGGAACGCGGAUUCCCCGUGCCAAGAGUGACUCACCGUCCUUGACACG[配列番号:3]
Y(3’UTR配列)=
CGGGUGGCAUCCCUGUGACCCCUCCCCAGUGCCUCUCCUGGCCCUGGAAGUUGCCACUCCAGUGCCCACCAGCCUUGUCCUAAUAAAAUUAAGUUGCAUCAAGCU[配列番号:4]
または
GGGUGGCAUCCCUGUGACCCCUCCCCAGUGCCUCUCCUGGCCCUGGAAGUUGCCACUCCAGUGCCCACCAGCCUUGUCCUAAUAAAAUUAAGUUGCAUCAAAGCU[配列番号:5]
【0281】
コード領域
MRT-1コドン最適化hDNAH5メッセンジャーRNAコード領域は、配列番号6または配列番号7の配列を含む。MRT-1コドン最適化hDNA5の3’-GFPタグ付きバージョン、MRT-hDNA5-GFPも同様に、当技術分野で周知の分子クローニング技術を使用して調製した。
【0282】
製剤プロトコール
hDNAH5 mRNAを、2018年5月17日公開のWO2018/089790(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、およそ10のN/P比で多成分リポソーム内に封入した。
【0283】
実施例2.インビボでのhDNAH5 mRNAの肺への投与および送達、ならびにhDNAH5タンパク質の発現
本実施例は、hDNAH5 mRNA担持リポソームナノ粒子を投与する例示的方法、およびインビボで肺上皮に送達されたmRNA、およびその後に発現したhDNAH5タンパク質を分析する方法を示す。
【0284】
本実施例の試験は、およそ10~12週齢のオスの129S1/SvimJマウスを使用して行われた。三つの群のマウス(各n=5)を、Microsprayer(登録商標)(50μL/動物)の試験物質(第1群および第2群)、または対照を介して単回気管内エアロゾル投与により曝露した。第1群の試験物質は、実施例1に記載されるように調製された10μg/動物のMRT-1 hDNAH5 mRNAであった。第2群の試験物質は、実施例1に記載されるように調製された10μg/動物(別段の指定がない限り)のhDNAH5-GFP mRNA(すなわちMRT1 hDNAH5 mRNAおよび緑色蛍光タンパク質(GFP)mRNAの両方を含む配列)であった。対照は、試験物質と同じ量で投与された生理食塩水、または同じ送達ビヒクル中の無関係なmRNAのいずれかを含んだ。マウスを、投与後24時間(±5%)で安楽死させた。
【0285】
分析のための血漿の分離
すべての動物を、ノーズコーンを介してイソフルレン過剰摂取により安楽死させ、その後、開胸および最終採血を行った。全血(最大取得可能量)を、安楽死させた動物の心臓穿刺を介して収集し、廃棄した。次いで、動物を生理食塩水で灌流した。
【0286】
分析のための器官組織の単離
灌流後、各マウスの肝臓および気道全体(気管から肺)を採取した。気管の上部から肺までの気道全体を一つにまとめて切開し、さらに矢状に切断して、気道全体の左右の切片が得られた。図1Aは、肺の切開スキームを示す。気道全体の左側の切片は、その後の免疫組織化学的および組織学的分析のために緩衝液に固定された。気道全体の右側の切片を急速凍結し、気管(1)、上葉(2)、中葉(3)、下葉(4)、および大静脈後葉(post-caval lobe)(5)のその後のqPCR解析のために-70℃で保存した。肝臓はまた、急速凍結され、-70℃で保存された。
【0287】
qPCRアッセイ
マウスの気管および各肺葉を、トリゾールの存在下で均質化して完全に溶解させた後、シリカ膜ベースのスピンカラムを使用してRNAを抽出した。コドン最適化hDNAH5
mRNAレベルは、RT-qPCRを使用して決定される。第一に、精製されたRNAは、ランダムプライマーを使用してcDNAに逆転写(RT)される。次いで、PCR反応は、配列特異的プライマーを使用して実行され、taqmanフルオロフォアプローブ(qPCR)を使用してリアルタイムで定量化される。qPCRアッセイで参照として実行される精製されたインビトロ転写hDNAH5を使用して、標準曲線を生成し、分析した組織のミリグラム当たりのhDNAH5コピー数を計算する。qPCR解析の結果を、図1Bに示す。
【0288】
免疫組織化学(IHC)分析-DNAH5またはGFP
気管および肺のhDNAH5およびGFPタンパク質は、IHC染色によって特徴づけられた。簡潔に述べると、採取された組織をホルマリンに固定し、パラフィンブロックに包埋した。組織の長さに沿った切片(5ミクロン厚)を、染色のためにガラススライド上に取り付けた。抗原回収は、EDTAベースの緩衝液を使用して行い、続いて過酸化水素およびヤギ血清でブロッキングした。hDNAH5(Ab122390)およびGFP(Ab290)に対する一次抗体を、それぞれの試料と共に4℃で一晩インキュベートした。結合した一次抗体の検出には、酵素結合二次抗体を使用した。染色されたスライドの画像を20X倍率で捕捉した。IHC解析の結果を、図2に示す。
【0289】
結果
本実施例は、10kb超の治療的mRNAのインビボ投与、送達および発現の成功を示す。特に、本実施例では、14kbのmRNAであるhDNAH5 mRNAを封入し、噴霧により投与し、インビボで肺に送達することに成功した。図1Bは、第1群および第2群の各マウスについて、気管(1)、上葉(2)、中葉(3)、下葉(4)、および大静脈後葉(post-caval lobe)(5)の各々の細胞における、hDNAH5 mRNA沈着の成功を示すqPCRデータを提供する。図2Aは、第1群および第2群の各々におけるマウスのhDNAH5 mRNA肺組織から発現されたhDNAH5タンパク質に対する陽性染色を示す、例示的なIHC画像を提供する。さらに、図2Bは、第1群および第2群のマウスの、気管の組織ならびに肺全体の組織における、hDNAH5タンパク質に対する陽性染色を伴うIHC画像を、上から下(図2Bの左から右)に示す。
【0290】
例示的な配列
例示的なコドン最適化mRNA配列は、配列番号6~31に示される。配列開示の目的のために、UおよびTは互換的に使用される。
【0291】
均等物
当業者は、日常的な実験作業を越えない手法を使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態の多くの均等物を認識するか、または確認できるものとなる。本発明の範囲は、上記の記載に限定されることは意図されず、むしろ以下の特許請求の範囲に記述されるとおりである。
図1A
図1B
図2A
図2B
【配列表】
2024028651000001.app
【外国語明細書】