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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028660
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】飛行体
(51)【国際特許分類】
   B64U 10/13 20230101AFI20240226BHJP
   B64D 9/00 20060101ALI20240226BHJP
   B64C 17/02 20060101ALI20240226BHJP
   B64U 101/64 20230101ALN20240226BHJP
【FI】
B64U10/13
B64D9/00
B64C17/02
B64U101:64
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024010589
(22)【出願日】2024-01-26
(62)【分割の表示】P 2020022113の分割
【原出願日】2019-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】517331376
【氏名又は名称】株式会社エアロネクスト
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 なるみ
(57)【要約】
【課題】安定して目的地に着陸することができる飛行体を提供すること。
【解決手段】本発明による飛行体は、少なくとも前後方向に進行可能な飛行体であって、揚力発生部と、前記揚力発生部を保持するアーム部と、前記アーム部に設けられ、搭載対象物の向きを少なくとも水平に維持する接続部を有する搭載部と、一端が前記搭載部に支持され他端が前記搭載部に支持されて前後方向に移動可能な支持部材と、前記支持部材の位置を、前記搭載部が上下方向および水平方向に移動することを阻止する第1の位置決め位置と、前記搭載部が前後方向に移動することを可能にする第2の位置決め位置と、に選択的に位置決めする位置決め部材とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも前後方向に進行可能な飛行体であって、
揚力発生部と、
前記揚力発生部を保持するアーム部と、
前記アーム部に設けられ、搭載対象物の向きを少なくとも水平に維持する接続部を有する搭載部と、
一端が前記搭載部に支持され他端が前記搭載部に支持されて前後方向に移動可能な支持部材と、
前記支持部材の位置を、前記搭載部が上下方向および水平方向に移動することを阻止する第1の位置決め位置と、前記搭載部が前後方向に移動することを可能にする第2の位置決め位置と、に選択的に位置決めする位置決め部材とを備える、
飛行体。
【請求項2】
請求項1に記載の飛行体であって、
前記支持部材は、
一端が前記搭載部に接続された第1リンク部材の他端と、一端が前記搭載部に接続された第2リンク部材の他端とを互いに連結し、その連結点を可動入力点として構成され、
前記位置決め部材により前記支持部材の位置が前記第1の位置決め位置で位置決めされた状態において略直線状に伸びた形状を有し、
前記位置決め部材により前記支持部材の位置が前記第2の位置決め位置で位置決めされた状態において屈曲した形状を有する、
飛行体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の飛行体であって、
前記搭載部は、
断面楕円形状の回転部材と、
前記回転部材の短手方向両端部に対向する位置にそれぞれ設けられた一対の連結溝部と、を有し、
前記位置決め部材は、
前記回転部材の短手方向両端部に接触して前記回転部材の短手方向に付勢する付勢部材と、
前記連結溝部に対応する位置にそれぞれ設けられた一対の連結爪部と、を有し、
前記位置決め部材は、
前記回転部材の長手方向が前後方向を向いた状態で、前記支持部材の位置を前記第1の位置決め位置に位置決めし、
前記付勢部材の付勢力に抗して前記回転部材が回転して長手方向が左右方向を向き、前記連結溝部に前記連結爪部が嵌め込まれた状態で、前記支持部材の位置を前記第2の位置決め位置に位置決めする、
飛行体。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の飛行体であって、
前記位置決め部材は、
ホバリング時又は飛行時において、前記支持部材の位置を前記第1の位置決め位置に位置決めし、
着陸時において、前記支持部材の位置を前記第2の位置決め位置に位置決めする、
飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体に関し、特に荷物等を搭載可能な搭載部を有する飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローン(Drone)や無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)などの飛行体(以下、「飛行体」と総称する)を利用して荷物の配達を行う試みがなされている。特許文献1には、飛行体による配達システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。配達システムは、飛行体(ドローン)が自律して宅配する荷物を宅配先に配達するための出荷目録を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公開公報2015-0120094 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の飛行体は、特に荷物を搭載した状態だと、着地直前は姿勢を制御しにくく、不安定な状態となる。したがって、安定した姿勢での着地が困難となるという問題が生じ得る。
【0005】
そこで、本発明は、安定して目的地に着陸することができる飛行体を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による飛行体は、少なくとも前後方向に進行可能な飛行体であって、揚力発生部と、前記揚力発生部を保持するアーム部と、前記アーム部に設けられ、搭載対象物の向きを少なくとも水平に維持する接続部を有する搭載部と、一端が前記搭載部に支持され他端が前記搭載部に支持されて前後方向に移動可能な支持部材と、前記支持部材の位置を、前記搭載部が上下方向および水平方向に移動することを阻止する第1の位置決め位置と、前記搭載部が前後方向に移動することを可能にする第2の位置決め位置と、に選択的に位置決めする位置決め部材とを備える。これにより、着地直前の姿勢を制御し易く、安定して飛行体を目的地に着陸させることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、安定して目的地に着陸することができる飛行体を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態による飛行体の進行時の状態を表す図である。
図2図1の飛行体を後方から見た図である。
図3】位置決め部材の状態を示す説明図である。
図4図1の飛行体の下降時の状態を表す図である。
図5】飛行体の一般的な機能ブロック図である。
図6】本発明の変形例を示す説明図である(その1)。
図7】本発明の変形例を示す説明図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による飛行体は、以下のような構成を備える。
[項目1]
少なくとも前後方向に進行可能な飛行体であって、
揚力発生部と、
前記揚力発生部を保持するアーム部と、
前記アーム部に設けられ、搭載対象物の向きを少なくとも水平に維持する接続部を有する搭載部と、
一端が前記搭載部に支持され他端が前記搭載部に支持されて前後方向に移動可能な支持部材と、
前記支持部材の位置を、前記搭載部が上下方向および水平方向に移動することを阻止する第1の位置決め位置と、前記搭載部が前後方向に移動することを可能にする第2の位置決め位置と、に選択的に位置決めする位置決め部材とを備える、
飛行体。
[項目2]
項目1に記載の飛行体であって、
前記支持部材は、
一端が前記搭載部に接続された第1リンク部材の他端と、一端が前記搭載部に接続された第2リンク部材の他端とを互いに連結し、その連結点を可動入力点として構成され、
前記位置決め部材により前記支持部材の位置が前記第1の位置決め位置で位置決めされた状態において略直線状に伸びた形状を有し、
前記位置決め部材により前記支持部材の位置が前記第2の位置決め位置で位置決めされた状態において屈曲した形状を有する、
飛行体。
[項目3]
項目1又は項目2に記載の飛行体であって、
前記搭載部は、
断面楕円形状の回転部材と、
前記回転部材の短手方向両端部に対向する位置にそれぞれ設けられた一対の連結溝部と、を有し、
前記位置決め部材は、
前記回転部材の短手方向両端部に接触して前記回転部材の短手方向に付勢する付勢部材と、
前記連結溝部に対応する位置にそれぞれ設けられた一対の連結爪部と、を有し、
前記位置決め部材は、
前記回転部材の長手方向が前後方向を向いた状態で、前記支持部材の位置を前記第1の位置決め位置に位置決めし、
前記付勢部材の付勢力に抗して前記回転部材が回転して長手方向が左右方向を向き、前記連結溝部に前記連結爪部が嵌め込まれた状態で、前記支持部材の位置を前記第2の位置決め位置に位置決めする、
飛行体。
[項目4]
項目1乃至項目3の何れか一項に記載の飛行体であって、
前記位置決め部材は、
ホバリング時又は飛行時において、前記支持部材の位置を前記第1の位置決め位置に位置決めし、
着陸時において、前記支持部材の位置を前記第2の位置決め位置に位置決めする、
飛行体。
【0010】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態による飛行体について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
<本発明による実施の形態の詳細>
図1乃至図3に示されるように、本発明の実施の形態による飛行体1は、プロペラ2(揚力発生部:回転翼)と、プロペラ2を回転させるためのモータ3と、モータ3が取り付けられているアーム4と、アーム4に設けられ荷物52(搭載対象物)が搭載される搭載部5と、支持部材6と、位置決め部材7とを備えている。飛行体1は図の矢印Dの方向を進行方向としている(詳しくは後述する)。
【0012】
プロペラ2は、モータ3からの出力を受けて回転する。プロペラ2が回転することによって、飛行体1を出発地から離陸させ、水平移動させ、目的地に着陸させるための推進力が発生する。なお、プロペラ2は、右方向への回転、停止及び左方向への回転が可能である。
【0013】
本発明のプロペラ2は、羽根は細長い形状を有している。任意の羽根(回転子)の数(例えば、1、2、3、4、またはそれ以上の羽根)でよい。また、羽根の形状は、平らな形状、曲がった形状、よじれた形状、テーパ形状、またはそれらの組み合わせ等の任意の形状が可能である。なお、羽根の形状は変化可能である(例えば、伸縮、折りたたみ、折り曲げ等)。羽根は対称的(同一の上部及び下部表面を有する)または非対称的(異なる形状の上部及び下部表面を有する)であってもよい。羽根はエアホイル、ウイング、または羽根が空中を移動される時に動的空気力(例えば、揚力、推力)を生成するために好適な幾何学形状に形成可能である。羽根の幾何学形状は、揚力及び推力を増加させ、抗力を削減する等の、羽根の動的空気特性を最適化するために適宜選択可能である。
【0014】
モータ3は、プロペラ2の回転を生じさせるものであり、例えば、駆動ユニットは、電気モータ又はエンジン等を含むことが可能である。羽根は、モータによって駆動可能であり、時計方向に及び/または反時計方向に、モータの回転軸(例えば、モータの長軸)の周りに回転する。
【0015】
羽根は、すべて同一方向に回転可能であるし、独立して回転することも可能である。羽根のいくつかは一方の方向に回転し、他の羽根は他方方向に回転する。羽根は、同一回転数ですべて回転することも可能であり、夫々異なる回転数で回転することも可能である。回転数は移動体の寸法(例えば、大きさ、重さ)や制御状態(速さ、移動方向等)に基づいて自動又は手動により定めることができる。
【0016】
アーム4は、それぞれ対応するモータ3及びプロペラ2を支持している部材である。アーム4には、回転翼機の飛行状態、飛行方向等を示すためにLED等の発色体を設けることとしてもよい。本実施の形態によるアーム4は、カーボン、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム等またはこれらの合金又は組合わせ等から適宜選択される素材で形成することが可能である。
【0017】
搭載部5は、荷物52を搭載・保持するための機構である。搭載部5は、左右方向に所定の間隔を隔てて構成された一対の部材からなる。搭載部5は、搭載された荷物52の位置及び向きを維持することができるように、常に所定の方向(例えば、水平方向(鉛直下向き))に、その状態を保持する。
【0018】
より具体的には、搭載部5は、ヒンジ(ジンバル)50を有しており、当該ヒンジ50を支点として、荷物52が飛行体1の傾きに応じて、折れ曲がるように構成されている。ヒンジ50が折れ曲がる角度は、特に限定されない。例えば、図1に示されるように、飛行体1が前傾姿勢で飛行した場合であっても荷物52の位置・方向を水平に保つことができればよい。これにより、荷物52は、常に鉛直方向下向きに懸垂された状態で保持され、出発地点における位置、状態を保持しながら、目的地まで配達することが可能となる。本実施の形態によるヒンジ50は、進行方向と同じ方向である前後方向のみに可動するものである。しかしながら、左右方向に可動するものであってもよい。
【0019】
ここで、ヒンジ50は、モータ等によって制御することとしてもよい。これにより、飛行時に荷物52のふらつき(自然振動等)がより防止される。
【0020】
搭載部5の形状・機構は、荷物52を収納したり保持したりすることができれば特に制限されるものではなく、第1搭載部30に搭載される荷物52が傾いたりその位置を保持することができるものであればどのようなものであってもよい。
【0021】
搭載部5は、楕円形の断面形状を有し鉛直方向に軸心53Aを有する回転部材の一例としての楕円カム53と、楕円カム53の短手方向両端部に対向する位置にそれぞれ設けられた一対の連結溝部54,54と、を有している。搭載部5は、楕円カム53の回転を制御するためのモータ(図示せず)を有しており、制御部(図示せず:後述する)からの指示に応じて楕円カム53の回転角度を変更することが可能である。
【0022】
支持部材6は、左右方向に所定の間隔を隔てて構成された一対の部材からなる。支持部材6は、一端が搭載部5に支持され他端が搭載部5に固定されたブロック材55に支持されて前後方向に移動可能に構成される。すなわち、支持部材6は、図1に示されるように、一端が搭載部5に接続された第1リンク部材60の他端と、一端がブロック材55に接続された第2リンク部材61の他端とを互いに連結し、その連結点を可動入力点として構成される。
【0023】
位置決め部材7は、支持部材6の位置を、搭載部5が上下方向および水平方向に移動することを阻止する第1の位置決め位置と、搭載部5が上下方向および水平方向に移動することを可能にする第2の位置決め位置と、に選択的に位置決めする。位置決め部材7により支持部材6の位置が第1の位置決め位置で位置決めされた状態において、支持部材6は略直線状に伸びた形状を有する。位置決め部材7により支持部材6の位置が第2の位置決め位置で位置決めされた状態において搭載部5から離れる側に屈曲した形状を有する。
【0024】
位置決め部材7は、図3に示すように、楕円カム53の短手方向両端部に接触して楕円カム53の短手方向に付勢する押しバネ等の付勢部材70と、連結溝部54,54に対応する位置にそれぞれ設けられた一対の連結爪部71,71と、を有している。位置決め部材7は、楕円カム53の長手方向が前後方向を向いた状態で、支持部材6の位置を第1の位置決め位置に位置決めする。位置決め部材7は、付勢部材70の付勢力に抗して楕円カム53が回転して長手方向が左右方向を向き、連結溝部54,54に連結爪部71,71が嵌め込まれた状態で、支持部材6の位置を第2の位置決め位置に位置決めする。
【0025】
本実施の形態による搭載部5は、飛行体1の前後方向における重心Ghよりも所定距離L1だけ進行方向Dにおいて後方に設けられている。所定距離L1は、荷物52が、部分的にであっても、少なくとも後方のプロペラ2が回転することによって生じる円領域と上下方向において重複しないように定められる。換言すれば、所定距離L1は、プロペラ2の上方から見た場合に回転するプロペラ2と荷物52とが重複しないような値に定められる。より好ましくは、荷物52が後方のプロペラ2から発生する後流領域の影響を受けない位置に設けられている。なお、搭載部5は、アーム4上の任意の位置に設けることが可能である。また、取り付け後にスライド移動等することによって、その位置を変更することも可能である。
【0026】
<飛行時の説明>
続いて、図1及び図4を参照して、本実施の形態による飛行体1の飛行態様について説明する。なお。以下の説明においては、説明を明確にするため、上昇時、水平移動時、下降時の3つの態様をそれぞれ説明するが、例えば、上昇しながら水平移動を行う等のように、これらの態様の組み合わせによって飛行する態様も当然含まれる。
【0027】
<上昇時>
ユーザが操作部を備えたラジオコントロール用の送信機を操作して、飛行体のモータ3の出力を上昇させて、プロペラ2の回転数を増加させる。プロペラ2が回転することによって、飛行体1を浮上させるために必要な揚力が鉛直上向きに発生する。当該揚力が飛行体1に働く重力を超えると飛行体1は、地面を離れて出発地を離陸する。
【0028】
上昇時は、アーム4を含む飛行体1が全体として水平に維持される。換言すれば、プロペラ2によって発生する揚力がそれぞれ同等である場合、前後方向においては、飛行体1にかかる重力は重心Ghに関して一致している(重心Ghを中心とした左右方向周りの回転モーメントは打ち消しあっている)。これにより、飛行体1は水平を保ちながら上昇することができる。
【0029】
なお、飛行体1は、当該飛行体1にかかる重量とプロペラ2の回転によって飛行体1に発生する揚力とが力学的に釣り合っている場合に、ホバリングすることができる。このとき、飛行体1の高度は、一定レベルに維持されている。本実施の形態における飛行体1は、ホバリングの際にも同様の姿勢を維持する。
【0030】
<水平移動時>
飛行体1は、水平方向に進行する場合には進行方向に向かって前方にあるプロペラ2の回転数よりも、進行方向に向かって後方にあるプロペラ2の回転数を多くするように制御される。従って、図1に示されるように、進行方向に水平移動時は、飛行体1は前傾姿勢をとる。このとき、ヒンジ50があることによって、荷物52の向きは水平に保たれている。さらに位置決め部材7があることによって支持部材6の位置が第2の位置決め位置(搭載部5が上下方向および水平方向に移動することを可能にする位置)で位置決めされている。
【0031】
搭載部5が重心Ghよりも後方に位置しているため、荷物52がプロペラ2の後流領域内に位置していない。従って、本実施の形態による飛行体1によれば、少なくとも水平方向の進行時における飛行効率を上げることができる。
【0032】
<下降時(着陸時)>
飛行体1は、図4に示すように、目的地に着陸して、搭載部5に搭載されている荷物52を目的地に下ろす。即ち、目的地において、飛行体1と荷物52は分離される。飛行体1と荷物52の分離は、荷物52が搭載部5から切り離すことによって行われる。本実施の形態における飛行体1は、軽量化を図るために着陸脚を有していない。従って、着陸時には、搭載された荷物52自身が着陸脚の機能を有することとなる。しかしながら、本実施の形態における飛行体1は、位置決め部材7があることによって、支持部材6の位置が第1の位置決め位置(搭載部5が上下方向および水平方向に移動することを阻止する位置)で位置決めされている。従って、本実施の形態における飛行体1は、荷物52を搭載部5に固定した状態で、目的地に着陸することができる。
【0033】
上述した飛行体は、図5に示される機能ブロックを有している。なお、図5の機能ブロックは最低限の参考構成である。フライトコントローラは、所謂処理ユニットである。処理ユニットは、プログラマブルプロセッサ(例えば、中央処理ユニット(CPU))などの1つ以上のプロセッサを有することができる。処理ユニットは、図示しないメモリを有しており、当該メモリにアクセス可能である。メモリは、1つ以上のステップを行うために処理ユニットが実行可能であるロジック、コード、および/またはプログラム命令を記憶している。メモリは、例えば、SDカードやランダムアクセスメモリ(RAM)などの分離可能な媒体または外部の記憶装置を含んでいてもよい。カメラやセンサ類から取得したデータは、メモリに直接に伝達されかつ記憶されてもよい。例えば、カメラ等で撮影した静止画・動画データが内蔵メモリ又は外部メモリに記録される。
【0034】
処理ユニットは、飛行体の状態を制御するように構成された制御モジュールを含んでいる。例えば、制御モジュールは、6自由度(並進運動x、y及びz、並びに回転運動θ、θ及びθ)を有する飛行体の空間的配置、速度、および/または加速度を調整するために飛行体の推進機構(モータ等)を制御する。制御モジュールは、搭載部、センサ類の状態のうちの1つ以上を制御することができる。
【0035】
処理ユニットは、1つ以上の外部のデバイス(例えば、端末、表示装置、または他の遠隔の制御器)からのデータを送信および/または受け取るように構成された送受信部と通信可能である。送受信機は、有線通信または無線通信などの任意の適当な通信手段を使用することができる。例えば、送受信部は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、赤外線、無線、WiFi、ポイントツーポイント(P2P)ネットワーク、電気通信ネットワーク、クラウド通信などのうちの1つ以上を利用することができる。送受信部は、センサ類で取得したデータ、処理ユニットが生成した処理結果、所定の制御データ、端末または遠隔の制御器からのユーザコマンドなどのうちの1つ以上を送信および/または受け取ることができる。
【0036】
本実施の形態によるセンサ類は、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、GPSセンサ、近接センサ(例えば、ライダー)、またはビジョン/イメージセンサ(例えば、カメラ)を含み得る。
【0037】
本発明の飛行体は、宅配業務専用の飛行体としての利用、及び倉庫、工場内における産業用の飛行体としての利用が期待できる。また、本発明の飛行体は、マルチコプター・ドローン等の飛行機関連産業において利用することができ、さらに、本発明は、カメラ等を搭載した空撮用の飛行体としても好適に使用することができる他、セキュリティ分野、農業、インフラ監視等の様々な産業にも利用することができる。
【0038】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【0039】
〈変形例〉
位置変更部材は、図6及び図7に示すように、フック90、連結棒91、リンク部材92、ブロック材93で構成されてもよい。フック90は、側面視においてL字状に屈曲して腕部90Aと腕部90Bが形成されたブロック材である。腕部90Bの先端は、搭載部5に軸支されるとともに、腕部90Bの中間部には連結棒91の一端が軸によって回動可能に連結されている。連結棒91の他端はリンク部材92の一端が軸によって回動可能に連結されている。リンク部材92の他端は、搭載部5に固定されたブロック材93に軸支されている。この変形例では、腕部30の先端と、搭載部5との接離状態に応じて、搭載部5の位置が第1の位置決め位置又は第2の位置決め位置に切り替わる。すなわち、搭載部5の位置が第1の位置決め位置で位置決めされている状態においては、腕部30の先端は搭載部5に当接する。一方、搭載部5の位置が第2の位置決め位置で位置決めされている状態においては、腕部30の先端は搭載部5との当接位置から離間する。
【符号の説明】
【0040】
1 飛行体
2 プロペラ(揚力発生部)
3 モータ
4 アーム(アーム部)
5 搭載部
6 支持部材
7 位置決め部材
53 楕円カム(回転部材)
54 一対の連結溝部
60 第1リンク部材
61 第2リンク部材
70 付勢部材
71 一対の連結爪部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7