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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028681
(43)【公開日】2024-03-04
(54)【発明の名称】配送管理システム及び配送管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20240101AFI20240226BHJP
【FI】
G06Q10/083
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024011353
(22)【出願日】2024-01-29
(62)【分割の表示】P 2022579313の分割
【原出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000142698
【氏名又は名称】株式会社桂精機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金田 堅志
(72)【発明者】
【氏名】中村 一幸
(57)【要約】
【課題】
配送地域や配送数量をコントロール可能として、利用者のガス切れを起こさない環境を提供し、安全性の向上とガス提供者のガス使用量の把握を通して、ガス燃料を効率的に配送する為の新規な技術を提供すること。
【解決手段】
ガス容器に封入された可搬型ガス燃料を使用する利用者に対して、前記ガス容器の配送管理を行う配送管理システムであって、前記配送管理システムは、利用者設備に配送されたガス容器の初期量を、前記利用者及び配送完了日と対応付けてデータベースに記憶し、前記利用者設備において使用されたガス容器の使用量又は使用後量を取得し、前記初期量並びに、前記使用量又は使用後量に基づいて、前記利用者への還元量を算出する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス容器に封入された可搬型ガス燃料を使用する利用者に対して、前記ガス容器の配送管理を行う配送管理システムであって、
前記配送管理システムは、
利用者設備へのガス容器の配送を記録する為に、前記利用者及び配送完了日と対応付けてデータベースに記憶し、
前記利用者設備において使用されたガス容器の使用量又は使用後量を取得し、
前記使用量又は使用後量に基づいて、前記利用者への還元量を算出する
配送管理システム。
【請求項2】
前記配送管理システムは、前記使用量又は前記使用後量を計測する為の計測装置、情報処理装置及び、配送者が利用する配送者端末装置を備え、
計測装置識別情報は、前記データベースにおいて利用者識別情報と対応付けて記憶され、
前記計測装置又は前記配送者端末装置は、前記ガス容器を交換する配送者の配送者識別情報及び、前記計測装置識別情報を対応付けて前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、受信した前記計測装置識別情報及び前記配送者識別情報に基づいて、対象となる利用者設備に対する前記配送完了日を、前記利用者と対応付けて前記データベースに記憶する
請求項1に記載の配送管理システム。
【請求項3】
前記計測装置は、前記使用後量として重量を計測可能な重量計測装置であり、
配送管理システムは、利用者設備において使用されたガス容器の重量を取得し、前記重量並びに、前記ガス容器単体の重量又は前記ガス容器に充填されていたガスの重量に基づいて、前記還元量を算出する
請求項2に記載の配送管理システム。
【請求項4】
前記計測装置は、前記使用量として流量を計測可能な流量計測装置であり、
配送管理システムは、利用者設備において使用されたガス容器の流量を取得し、前記流量に基づいて、前記還元量を算出する
請求項2に記載の配送管理システム。
【請求項5】
前記配送管理システムは、利用者設備に配置され、前記情報処理装置と通信可能なガス漏れセンサを備え、
前記データベースは、利用者設備の所在を含み、前記利用者識別情報と対応付けられた利用者情報を格納し、
前記配送者端末装置は、自己位置を前記情報処理装置に送信し、
前記ガス漏れセンサは、異常を検知すると前記情報処理装置に対して報知を行い、
前記報知を受けた前記情報処理装置は、前記配送者端末装置の位置に基づいて現場急行を依頼する配送者を決定する
請求項2~4の何れかに記載の配送管理システム。
【請求項6】
前記配送管理システムは、前記情報処理装置と通信可能なオペレータ端末装置を備え、
データベースは、配送者連絡情報として前記配送者端末装置の電話番号を格納し、
前記情報処理装置は、前記依頼する配送者を決定すると、前記オペレータ端末装置に対して、報知を行ったガス漏れセンサが配置された前記利用者設備の所在又は利用者識別情報並びに、依頼する前記配送者の電話番号又は配送者識別情報を送信する
請求項5に記載の配送管理システム。
【請求項7】
データベースは、配送者連絡情報として前記配送者端末装置へ情報送信を行う為の宛先を格納し、
前記情報処理装置は、前記依頼する配送者を決定すると、前記宛先に対して、報知を行ったガス漏れセンサが配置された前記利用者設備の所在又は利用者識別情報を送信する
請求項5又は請求項6に記載の配送管理システム。
【請求項8】
データベースは、利用者連絡情報として、利用者端末装置へ情報送信を行う為の宛先又は電話番号を格納し、
前記報知を受けた前記情報処理装置は、前記利用者連絡情報をオペレータ端末装置に送信又は、前記利用者連絡情報を用いて前記利用者端末装置への報知を行う
請求項6又は請求項7に記載の配送管理システム。
【請求項9】
前記利用者は、前記ガス容器の配送に関する契約を行った配送者と対応付けられてデータベースに格納され、
前記情報処理装置は、前記依頼する配送者を、急行先の利用者と契約関係にない配送者を含めた配送者の中から決定する
請求項5~8の何れかに記載の配送管理システム。
【請求項10】
前記情報処理装置は、利用者端末装置と通信可能に構成され、
前記利用者と対応付けて記憶された過去の配送完了日に基づいて、該当する利用者を配送候補リストに設定し、
前記配送候補に設定された利用者の前記利用者端末装置に対して複数の候補日時を提示し、前記利用者端末装置より希望配送日を受け付け、
前記希望配送日に配送を行う配送予定リストに、当該利用者を追加する
請求項1~9の何れかに記載の配送管理システム。
【請求項11】
前記データベースにおいて、利用者毎に配送エリアが対応付けて設定され、
前記情報処理装置は、前記複数の候補日時として、複数の日付及び複数の時間帯を、前記配送候補リストに追加された前記利用者の利用者端末装置に提示し、
前記利用者端末装置から前記日付及び前記時間帯の組み合わせを前記希望配送日として受け付け、
利用者対応付けられた前記配送エリア及び、受け付けた前記希望配送日に基づいて、配送予定リストに当該利用者を追加する
請求項10に記載の配送管理システム。
【請求項12】
前記計測装置から前記ガス容器の計測結果を受信し、
前記配送候補リストに追加された前記利用者のうち、前記ガス容器の残量が所定量ある前記利用者を、前記配送候補リストから削除する
請求項2~4の何れかを引用する請求項10又は請求項11に記載の配送管理システム。
【請求項13】
ガス容器に封入された可搬型ガス燃料を使用する利用者に対して、前記ガス容器の配送管理を行う配送管理方法であって、
前記配送管理システムが、
利用者設備へのガス容器の配送を記録する為に、前記利用者及び配送完了日と対応付けてデータベースに記憶するステップと、
前記利用者設備において使用されたガス容器の使用量又は使用後量を取得するステップと、
前記使用量又は使用後量に基づいて、前記利用者への還元量を算出するステップと、を実行する
配送管理方法。
【請求項14】
前記配送管理システムが、更に、前記還元量に基づいて、前記利用者対するキャッシュレス決裁の決済額を決定するステップを実行する
請求項13に記載の配送管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送管理システム及び、配送管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、LPガス等の可搬型ガス燃料をガス容器等のガス容器に充填して利用者に供給している。特に、東南アジアの国々といった都市ガスが普及していない地域においては、LPガスは利用者の生活に必須であり、貴重な熱源である。
【0003】
こうした地域では、LPガスは家庭やレストランでの調理等に用いられる、生活に必須の燃料である。そのため、LPガスが無くなる前に、LPガスが充填されたガス容器が、各家庭やレストラン等に配送する仕組みが種々提案されている。
【0004】
特許文献1では、配送予定日の1日後の予測残量データではなく、配送予定日よりα日後(例えば2日後)の予測残量データに基づいて翌日を配送日とする配送リストを作成する技術が開示されている。これによって、配送日がα-1日早まることになるが、配送リストの直前調整が不要となる。
【0005】
一方、ガス切れを発生させないために配送タイミングを前倒しにすると、配送頻度が増えてしまう。そのため、配送者の視点では、配送頻度を増やすと、残量の多いガス容器を回収する可能性が高くなり、配送回数の増加や配送サイクルの短縮に伴って配送コストが割高になってしまう。更に、利用者の視点では、まだ残量があるガス容器を交換することに抵抗を持つ場合がある。そのため、特許文献2では、ガス切れを発生させることなくより配送効率を上げるため、ガス切れの発生する日を予測して、配送予定日を算出し、これに基づき配送リストを作成する技術が開示されている。以上の先行技術は、いずれもガスメータを利用者拠点に設置して、検針員が検針することを前提としている。
【0006】
しかし、ガスメータは比較的高価であるため、東南アジア等の都市ガスが普及していない国々において使用されているガス容器の大部分は、ガスメータがついていない。そのため、これらの国においては、利用者は、ガス切れが起きた時点で、電話等によりLPガスを充填したガス容器の配達を依頼していた。LPガスは生活に必須である為、このようなガス切れ後の依頼は緊急度が高い。配達が遅れた場合には、利用者が他の提供者に流出するリスクがある。
【0007】
さらに、例えばベトナム等の都市ガスが普及していない地域においては、ガス容器は屋内に設置されていることが多く、その場合にはガス容器の交換には家屋内に立ち入る必要がある。屋内へ立ち入るには利用者の立ち会い又は承諾が必要となるため、利用者と事前に調整してガス容器の交換日(配送日)を決める必要がある。
【0008】
そこで、特許文献3では、利用者設備において、使用中のガス容器のガス圧、またはガス容器の重量を計測して、その計測データを定期的または所定の条件下において自動的に管理システムに送信し、ガス消費量とガス残量からガス容器を交換する交換予測日を算出し、交換予測日に基づいてガス容器の配送予定日を設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第5756157号
【特許文献2】特許第5802225号
【特許文献3】国際公開第2020/115850号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献3によって、ガスメータがついていないガス容器について、利用者拠点でのガス消費量とガス残量を取得して、効率的にガス容器を配送することが可能となった。一方で、従来技術において、配送の対象となる利用者拠点は、契約している利用者を母集団として、ガス燃料の残量に応じて抽出される。
【0011】
そのため、膨大な数の利用者拠点が、ある一日で巡回すべき配送先に設定される場合があり、配送者の作業時間がひっ迫してしまう。あるいは、極めて離れた2つの利用者拠点が配送先に設定される場合があり、その移動コストが増加してしまう。
【0012】
また、別の観点では、利用者拠点で発生した緊急事態に際して、効率的に急行できる仕組みが求められている。ガス漏れなどの緊急事態は突発的に発生することから、配送を効率化して配送者の作業時間を確保することはもとより、対象となる利用者拠点に近い位置に、配送者が存在することが必要である。そのため、配送先に設定された利用者拠点に地理的な偏りがある場合、対象となる利用者拠点への急行に時間を要してしまう。
【0013】
上記事情を鑑みて、本発明は、配送地域や配送数量をコントロール可能として、ガス燃料を効率的に配送する為の新規な技術を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記発明を解決するために、本発明は、ガス容器に封入された可搬型ガス燃料を使用する利用者に対して、前記ガス容器の配送管理を行う配送管理システムであって、
前記配送管理システムは、
利用者設備へのガス容器の配送を記録する為に、前記利用者及び配送完了日と対応付けてデータベースに記憶し、
前記利用者設備において使用されたガス容器の使用量又は使用後量を取得し、
前記使用量又は使用後量に基づいて、前記利用者への還元量を算出する。
【0015】
また、本発明は、ガス容器に封入された可搬型ガス燃料を使用する利用者に対して、前記ガス容器の配送管理を行う配送管理方法であって、
前記配送管理システムが、
利用者設備へのガス容器の配送を記録する為に、前記利用者及び配送完了日と対応付けてデータベースに記憶するステップと、
前記利用者設備において使用されたガス容器の使用量又は使用後量を取得するステップと、
前記使用量又は使用後量に基づいて、前記利用者への還元量を算出するステップと、を実行する。
【0016】
このような構成とすることで、回収されるガス容器におけるガス燃料の残量に応じて、利用者に対する還元量を算出することができ、残量があるにもかかわらず、ガス容器が交換されることに対する利用者の抵抗感を緩和することができる。また、従来は、ガス容器の残量が無くなった時あるいは、ほとんどないときに配送を行う必要があったが、このような構成とすることで、ガス容器の残量に起因した交換のタイミングの制約はなくなる。そのため、配送のスケジュール決定について自由度が増し、より効率的な配送計画を作成することができる。また、例えば、配送先となる地域の偏りが解消される可能性があり、これにより、緊急時の対応品質が高まる。更に、ハイコストな輸送経路の発生頻度が緩和され、金銭的あるいは人的コストが低下する。以上から、利用者のガス切れを起こさない環境を提供し、安全性の向上とガス提供者のガス使用量の把握を通して、ガス燃料を効率的に配送する為の新規な技術を提供することができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記配送管理システムは、前記使用量又は前記使用後量を計測する為の計測装置、情報処理装置及び、配送者が利用する配送者端末装置を備え、
計測装置識別情報は、前記データベースにおいて利用者識別情報と対応付けて記憶され、
前記計測装置又は前記配送者端末装置は、前記ガス容器を交換する配送者の配送者識別情報及び、前記計測装置識別情報を対応付けて前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、受信した前記計測装置識別情報及び前記配送者識別情報に基づいて、対象となる利用者設備に対する前記配送完了日を、前記利用者と対応付けて前記データベースに記憶する。
【0018】
このような構成とすることで、配送を行った配送者とその作業の履歴を管理することができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記計測装置は、前記使用後量として重量を計測可能な重量計測装置であり、
配送管理システムは、利用者設備において使用されたガス容器の重量を取得し、前記重量並びに、前記ガス容器単体の重量又は前記ガス容器に充填されていたガスの重量に基づいて、前記還元量を算出する。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記計測装置は、前記使用量として流量を計測可能な流量計測装置であり、
配送管理システムは、利用者設備において使用されたガス容器の流量を取得し、前記流量に基づいて、前記還元量を算出する。ここで示す流量計測装置は圧力計測データを計測する装置であって良く、この時、情報処理装置又は流量計測装置は、圧力計測データを基に計算式により流量を算出してもよい。
【0021】
このような構成とすることで、重量センサ、あるいは流量センサ、もしくは圧力センサを用いて、還元量を算出することができる。
【0022】
本発明の好ましい形態では、前記配送管理システムは、利用者設備に配置され、前記情報処理装置と通信可能なガス漏れセンサを備え、
前記データベースは、利用者設備の所在を含み、前記利用者識別情報と対応付けられた利用者情報を格納し、
前記配送者端末装置は、自己位置を前記情報処理装置に送信し、
前記ガス漏れセンサは、異常を検知すると前記情報処理装置に対して報知を行い、
前記報知を受けた前記情報処理装置は、前記配送者端末装置の位置に基づいて現場急行を依頼する配送者を決定する。
【0023】
本発明の好ましい形態では、前記配送管理システムは、前記情報処理装置と通信可能なオペレータ端末装置を備え、
データベースは、配送者連絡情報として前記配送者端末装置の電話番号を格納し、
前記情報処理装置は、前記依頼する配送者を決定すると、前記オペレータ端末装置に対して、報知を行ったガス漏れセンサが配置された前記利用者設備の所在又は利用者識別情報並びに、依頼する前記配送者の電話番号又は配送者識別情報を送信する。
【0024】
本発明の好ましい形態では、データベースは、配送者連絡情報として前記配送者端末装置へ情報送信を行う為の宛先を格納し、
前記情報処理装置は、前記依頼する配送者を決定すると、前記宛先に対して、報知を行ったガス漏れセンサが配置された前記利用者設備の所在又は利用者識別情報を送信する。
【0025】
本発明の好ましい形態では、前記利用者は、前記ガス容器の配送に関する契約を行った配送者と対応付けられてデータベースに格納され、
前記情報処理装置は、前記依頼する配送者を、急行先の利用者と契約関係にない配送者を含めた配送者の中から決定する。
【0026】
このような構成とすることで、緊急時の現場急行を、効率的に実施することができる。
【0027】
本発明の好ましい形態では、データベースは、利用者連絡情報として、利用者端末装置へ情報送信を行う為の宛先又は電話番号を格納し、
前記報知を受けた前記情報処理装置は、前記利用者連絡情報をオペレータ端末装置に送信又は、前記利用者連絡情報を用いて前記利用者端末装置への報知を行う。
【0028】
このような構成とすることで、緊急時の利用者への報知を、効率的に実施することができる。
【0029】
本発明の好ましい形態では、前記情報処理装置は、利用者端末装置と通信可能に構成され、
前記利用者と対応付けて記憶された過去の配送完了日に基づいて、該当する利用者を配送候補リストに設定し、
前記配送候補に設定された利用者の前記利用者端末装置に対して複数の候補日時を提示し、前記利用者端末装置より希望配送日を受け付け、
前記希望配送日に配送を行う配送予定リストに、当該利用者を追加する。
【0030】
このような構成とすることで、ガス容器交換の際に、効率的に、利用者の合意や同席を得ることができる。
【0031】
本発明の好ましい形態では、前記データベースにおいて、利用者毎に配送エリアが対応付けて設定され、
前記情報処理装置は、前記複数の候補日時として、複数の日付及び複数の時間帯を、前記配送候補リストに追加された前記利用者の利用者端末装置に提示し、
前記利用者端末装置から前記日付及び前記時間帯の組み合わせを前記希望配送日として受け付け、
利用者対応付けられた前記配送エリア及び、受け付けた前記希望配送日に基づいて、配送予定リストに当該利用者を追加する。
【0032】
このような構成とすることで、エリアに応じたリストへの追加ができ、配送を効率化することができる。
【0033】
本発明の好ましい形態では、前記計測装置から前記ガス容器の計測結果を受信し、
前記配送候補リストに追加された前記利用者のうち、前記ガス容器の残量が所定量ある前記利用者を、前記配送候補リストから削除する。
【0034】
このような構成とすることで、リストに追加される頻度を抑え、中長期的に見た時の配送者の配送回数を抑えることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明は、配送地域や配送数量をコントロール可能として、ガス燃料を効率的に配送する為の新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】一実施の形態のシステムの構成を示すブロック図。
図2】一実施の形態のハードウェア構成図。
図3】一実施の形態の利用者設備の概略図。
図4】一実施の形態の重量計測装置のブロック図。
図5】一実施の形態の利用者設備の概略図。
図6】一実施の形態の重量計測装置のブロック図。
図7】一実施の形態のガス容器交換の際のフローチャート。
図8】一実施の形態の配送リスト作成の際のフローチャート。
図9】一実施の形態の配送リスト作成の際のフローチャート。
図10】一実施の形態の配送候補リスト、配送リストに関するデータ構成図。
図11】一実施の形態の緊急情報の作成に係る処理フローチャート。
図12】一実施の形態の配送者へ現場急行を依頼する際のフローチャート。
図13】一実施の形態のオペレータ端末装置における画面表示例。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付図面を参照して、LPガス等の可搬型ガス燃料(以下、「LPガス」と称する)を使用する利用者設備に対して、LPガスを継続的に提供するための配送管理システムについて説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0038】
例えば、本実施形態では配送管理システムの構成、動作等について説明するが、実行される方法、装置、コンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。本実施形態におけるプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、クライアント端末でその機能を実現する為に外部のコンピュータにおいて当該プログラムを起動させてもよい(いわゆるクラウドコンピューティング)。
【0039】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらハードウェア資源によって具体的に実現され得るソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含み得る。本実施形態において「情報」とは、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行され得る。
【0040】
広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)及びメモリ(Memory)等を適宜組み合わせることによって実現される回路である。即ち、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含むものである。
【0041】
<システム構成>
図1は、一実施の形態のシステムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、配送管理システム0は、複数の利用者拠点1、管理システム2、複数の配送拠点3、及び、ネットワークNWを備える。
【0042】
利用者拠点1は、LPガスを燃料として使用する利用者(需要者)の設備であり、住宅や店舗等である。利用者拠点1は、計測装置11及び通信器12を備える。各利用者拠点に属する利用者は、利用者端末装置10を利用する。計測装置11は、例えばWi-Fiルータ等の通信器12を介してネットワークNWに接続する。利用者端末装置10は、通信器12あるいは、移動体ネットワークを介して、ネットワークNWに接続すると共に、公衆電話網を介して通話可能である。利用者は、団体や組織であっても利用者拠点1毎に1利用者として取り扱われる。なお、場合により、計測装置11と通信器12間に中継器を設けても良い。計測装置11は、計測データを通信器12へ送信し、通信器12はネットワークNWを介して計測データを管理システム2に送信する。また、計測装置11は、計測データを利用者端末装置10へ送信し、利用者端末装置10を介してネットワークNW及び管理システム2に直接送信してもよい。
【0043】
管理システム2は、LPガス等を継続的に提供するためにLPガスを充填したガス容器の配送を手配する。管理システム2は、情報処理装置20及び、情報処理装置20と接続された1又は複数のオペレータ端末装置200を備える。
【0044】
配送拠点3は、管理システム2からの指示に基づいて、利用者拠点1へのガス容器の配送を行う拠点である。各配送拠点3に属する1又は複数の配送者は、それぞれ配送者端末装置30を利用する。ここで、配送拠点3a及び配送拠点3bは、例えば、異なる組織が運営するものであり、配送拠点それぞれが契約した利用者拠点1に対して、ガス容器の配送を行う。図示例では、配送拠点3aには、配送者端末装置3a1を利用する配送者、配送者端末装置3a2を利用する配送者、・・・及び、配送者端末装置3anを利用する配送者が属する。配送者端末装置30は、個々の配送者が携行する端末であり、移動体ネットワークあるいは、図示しない通信器等を介して、ネットワークNWに接続する。
【0045】
なお、本実施形態における配送管理システム0は、異なる組織が運営する配送拠点3を一元的に管理するものであるが、これが単一の組織に向けられてもよい。また、各配送拠点3には、ネットワークNWを介して管理システム2と接続された情報処理装置を備えていてもよい。この時、例えば、管理システム2からの指示若しくは、配送エリア毎の配送リスト及び配送ルート情報を情報処理装置が適宜取得し、これらを当該配送拠点3に属する配送者の配送者端末装置30に対して割り当て可能に構成してもよい。また、配送拠点3は、LPガス等を提供する者の運営する拠点であっても、委託契約した配送業者であってもよい。
【0046】
ネットワークNWは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、及び公衆電話網を含むが、通信プロトコルの種類に制限はなく、更に、ネットワークの種類、規模にも制限はない。また、ネットワークNWは、無線通信局、中継局も含む概念であるものとする。
【0047】
情報処理装置20は、サーバとして動作し、利用者端末装置10及び配送者端末装置30は、利用者及び配送者が操作する携帯電話、スマートフォン等である。情報処理装置20及び利用者端末装置10並びに、情報処理装置20及び配送者端末装置30は、ネットワークNWを介して通信可能に構成されている。情報処理装置20として、汎用のサーバ向けのコンピュータやパーソナルコンピュータ等を利用することが可能である。また、複数のコンピュータを用いて情報処理装置20を構成することも可能である。
【0048】
<ハードウェア構成>
図2(a)は、情報処理装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置20は、ハードウェア構成として、通信部21、記憶部22及び制御部23を備える。
【0049】
通信部21は、ネットワークNWとの通信制御を実行して、情報処理装置20を動作させるために必要な入力や、動作結果に係る出力を行う。
【0050】
記憶部22は、HDD、ROM、RAM等であって、本発明に係る配送管理プログラム及び、制御部23がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。
【0051】
制御部23は、CPU等の1又は2以上のプロセッサを含み、本発明に係る配送管理プログラム、OS、その他のアプリケーションを実行することで、情報処理装置20の動作処理全体を制御する。制御部23が、記憶部22に記憶されている配送管理プログラムに基づき、処理を実行することによって、後述する機能構成が実現される。
【0052】
利用者端末装置10、配送者端末装置30及びオペレータ端末装置200を総称して端末装置90と呼称する。図2(b)に示す通り、端末装置90は、ハードウェア構成として、通信部91、記憶部92、制御部93、入力部94及び出力部95を備える。
【0053】
端末装置90の通信部91は、ネットワークとの通信を制御する。端末装置90の記憶部92は、HDD、ROM、RAM等であって、プログラム及び、制御部93がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。端末装置90の制御部93は、CPU等の1以上のプロセッサを含み、端末装置90の動作処理全体を制御する。端末装置90の入力部94は、タッチパネル、マウス及びキーボード等であって、ユーザによる操作要求を制御部93に入力する。端末装置90の出力部95は、ディスプレイ等であって、制御部93の処理の結果等を表示する。
【0054】
<機能構成>
図2(a)に示すように、情報処理装置20は、機能構成として、受付部231、配送管理部232、予測部233、残量管理部234、還元処理部235、緊急対応依頼部236及びデータベースを備える。これは、ソフトウェアによる情報処理が、ハードウェア(制御部等)によって具体的に実現されたものである。
【0055】
<利用者拠点>
図3~6を用いて、利用者拠点1に配置された利用者設備の例を示す。
【0056】
<重量計測装置11a>
図3を参照して重量を計測する利用者設備について説明する。図3に示す利用者設備では、利用者拠点1におけるLPガスの消費量を、計測装置11(重量計測装置11a)が備えた重量計(重量計測部112)により計測する。当該利用者設備においては、重量を計測して計測データとして送信可能な重量計測装置11aの上にガス容器GBが載置される。図示例では、ガス容器GBが1本セットされている例を示しているが、ガス容器を2本以上設置する構成としても良い。その場合、複数のボンベの総重量を一括計測して総重量データを送信するよう構成することもできるが、ガス残量を正確に管理するためには、ガス容器の重量一本ずつ計測して、各ガス容器の計測データを送信するように構成するのが望ましい。重量計測装置11aは、更にガス漏れセンサ14を備え、ネットワークNWに接続された通信器12と通信可能に構成される。LPガスは、調整器15及びガス遮断器13を経由して、ガスコンロ等の消費機器へ供給される。
【0057】
図4は重量計測装置11aの機能ブロック図である。重量計測部112は、ガス容器GBの重量を計測して計測データを制御部110に受け渡す。制御部110は、通信部111を介して、計測データを管理システム2に送信する。この時、制御部110は、計測データの種別、計測日時及び、図示しないメモリに記録された計測装置識別情報を計測データに対応付けて管理システム2に送信する。計測装置識別情報は利用者拠点1を識別する為の情報として利用される。計測装置識別情報に代えて、計測装置11のメモリに利用者識別情報を格納しておき、計測データに対応付けて管理システム2に送信する構成としてもよい。なお、この識別情報は、計測装置11の外観部に文字列やコードにより表示され、配送者に提供可能に構成される。
【0058】
ガス容器GBから供給されたLPガスは、ガス圧力調整器(調整器15)を経て、消費機器へ供給される。ガス容器のガス圧は高いので、通常、調整器15により所定の圧力に減圧される。調整器15の内部または供給経路上には、ガス圧計測器16を設けられる場合がある。ガス圧計測器16は、ガス容器14aのガス圧を計測する。ガス圧計測器16は、ガス圧の計測データを制御部110に受け渡し、制御部110は、通信部111を介して、計測データを管理システム2に送信する。この時、計測データの送信と同様に、利用者を識別する為の情報が付加される。
【0059】
ガス漏れセンサ14は、ガス漏れを検知した場合に、制御部110に対してガス遮断器13の駆動要求を送信し、制御部110はガス遮断器13を駆動してガスを遮断させる。なお、図示例では、ガス漏れセンサ14が制御部110と接続されているが、図示しないガス遮断制御部に対して報知を行い、ガス遮断制御部がガス遮断器13を駆動する構成としてもよい。なお、ガス漏れセンサ14は、通信器12に組み込まれてもよい。更に、ガス漏れセンサ14がガス漏れを検知した場合に、制御部110又はガス遮断制御部は、管理システム2に対して報知を行う構成としてもよい。また、制御部110又は図示しないガス遮断制御部は、管理システム2からの遮断要求信号を受け取り、ガス遮断器13を駆動してもよい。また、遮断要求信号は、重量計測装置11aやガス圧計測器16の通常とは異なる信号を受信し、ガスが漏れていると判断した場合にも発信してよい。
【0060】
計測データの送信タイミングは、重量(残量)が所定値以下になったとき、又は所定の時間が経過したとき等の条件を組み合わせて規定することができる。計測データの送信タイミングは制御部110及び制御プログラムにより制御することできる。計測データは、上記したような予め設定した所定の条件がそろったときに送信されるように制御される。また、制御部110は、管理システム2からリクエストを受け、現在の計測データを送信可能に構成される。
【0061】
また、計測装置11は、計測データが、ガス容器GBの残量の残りが少ないことを示す所定の閾値以下となったら、管理システム2に対して交換信号を送信してよい。ここで、利用者設備のガス容器GBが1本の場合には、閾値を、少しガス残量に余裕がある状態(例えば平均消費量から算出した6日分程度残っている状態)とし、2本以上のガス容器を備えている利用者拠点1の場合には、一方のガス容器GBのガス残量がゼロとみなされる計測データの値を閾値とするように設定することが好ましい。閾値は、予め計測装置11毎に設定されてもよいし、ガス容器GBが設置された際のガス容器データに基づいて、計測装置11に送信されてもよい。
【0062】
<流量計測装置11b>
次いで、流量を計測して計測データを送信する利用者設備について説明する。図5に示す利用者設備では、利用者拠点1におけるLPガスの消費量を、流量計測装置11bが備えた流量計(流量計測部113)により計測する。LPガスは、流量計測装置11b、ガス圧計測器16、調整器15及びガス遮断器13を経由して、ガスコンロ等の消費機器へ供給される。また、利用者拠点1には、ガス漏れセンサ14が設けられる。また、流量計測装置11bは、ネットワークNWに接続された通信器12と通信可能に構成される。流量計測装置11bは、流量計測部113の代わりに、ガス圧計測器16で圧力を測定し、計算にてガス流量を算出する方法でも良い。この計算は、流量計測装置11bの制御部110で行われてもよいし、情報処理装置20又は、管理システム2を構成する他の処理装置において実施されてよい。
【0063】
図6は流量計測装置11bの機能ブロック図である。流量計測部113は、ガス流量を計測して計測結果を、図示しないメモリに記録する。そして、流量の総計を計測データとして制御部110に受け渡す。制御部110は、通信部111を介して、計測データを管理システム2に送信する。この時、制御部110は、図示しないメモリに記録された利用者を識別する為の情報及び、計測日時を計測データに対応付け、計測データを管理システム2に送信する。計測データの送信タイミングは、総流量(消費量)が所定値以上になったとき、又は所定の時間が経過したとき等の条件を組み合わせて規定することができる。
【0064】
図3図4に示す利用者設備と同様に、調整器15の内部または供給経路上には、ガス圧計測器16を設けられる場合がある。ガス圧計測器16は、ガス圧の計測データを制御部110に受け渡し、制御部110は、通信部111を介して、計測データを管理システム2に送信する。この時、計測データの送信と同様に、利用者を識別する為の情報が付加される。
【0065】
図5に示す利用者設備は、ガス容器GBとして、ガス容器を2本備えている。この場合、ガス圧力調整器(調整器15)は、自動切替調整器とすることが好ましい。自動切替調整器は、ガス圧調整機能に加えて、ガス容器が空になったときに他方のガス容器に自動的に切り替える機能を備えている。2本のガス容器が1本ずつ使用され、1本が空になったら、手動または自動切替調整器(調整器15)により他方のガス容器に切り替えが行われる。
【0066】
図4に示すような2本のガス容器GBを備える利用者拠点1においては、1本のガス容器が空になっても、次のガス容器が空になるまでLPガスが途切れることはないのでガス容器の交換の緊急度は低い。したがって、2本以上のガス容器を備える場合には、1本のガス容器が空になっても、近隣の他の利用者拠点1のガス容器が空になったときに同時に配送することにより効率的な配送が可能となる。このような配送は、配送ルート管理とガス切れ管理を複合的に管理することにより可能となる。
【0067】
図7~13を参照して、配送管理システムを用いた配送管理方法の説明及び各機能構成要素による処理内容について説明する。
【0068】
<データベース>
データベースは、利用者情報、計測情報、ガス容器情報、配送拠点情報、配送者情報、配送者位置情報、配送候補リスト及び配送リストを備える。本実施形態では、記憶部22がデータベースとして機能する場合を例示するが、データベースに格納される情報の一部又は全部は、1又は複数の別の記憶装置に格納されてもよい。
【0069】
利用者情報は、利用者の氏名、利用者連絡情報(電話番号及び、情報送信を行う為の宛先)、利用者拠点1の住所、計測装置識別情報、住所の位置情報、契約関係にある配送拠点3の配送拠点識別情報を有し、利用者を一意に識別する利用者識別情報が対応付けられる。ここで、情報送信を行う為の宛先とは、例えば、利用者のメールアドレスや、SMS送信のための電話番号、プッシュ通知のためのID、API(Application Programming Interface)等を経由してメッセージングプラットフォーム(例えばSNSのメッセージ機能やラップトップ・モバイルメッセージングアプリケーション)からメッセージを送信する為のID等である。
【0070】
受付部231は、通信部21を介して情報を受け付け、データベースに記憶を行う。以降は、受付部231の介在を不明にならない範囲で省略し、「情報処理装置20」が受け付け、データベースに記憶を行うとして説明する。
【0071】
<計測データの受信>
情報処理装置20は、利用者拠点1から計測データを受信して計測情報としてデータベースに格納する。この時、計測データに受信日時を対応付けて格納する。
【0072】
計測情報は、計測データを送信した計測装置の計測装置識別情報、計測データ、計測データの種別(重量、ガス圧、流量)を示す計測種別、計測日時及び管理システム2の受信日時を有し、利用者に対応付けられる。
【0073】
<ガス容器GBの交換>
図7は、ガス容器交換の際のフローチャートである。配送者は、利用者拠点1に赴き、ガス容器GBの交換を行う。計測装置11又は配送者端末装置30は、ガス容器GBを交換する配送者の配送者識別情報及び、計測装置識別情報を対応付けて情報処理装置20に送信し、情報処理装置20において、ガス容器GBの交換が登録される。
【0074】
本実施形態では、利用者拠点1に赴いた配送者は、ステップS701において、配送者端末装置30を用いて、ガス容器交換画面を表示し、ガス容器交換画面で計測装置識別情報を入力する。そして、ステップS702において、配送者端末装置30は、交換開始要求として、配送者識別情報及び計測装置識別情報を対応付けて、情報処理装置20へ送信する。また、この時、交換したガス容器GBのガス容器種別を登録する。
【0075】
計測装置識別情報は、本実施形態では、2次元コードとして計測装置11の外観に表示されており、配送者は、ガス容器交換画面において起動可能なコード読取手段を実行して、2次元コードより計測装置識別情報を読み取り、ガス容器交換画面に入力する。
【0076】
ここで、本実施形態では、配送者端末装置30が計測装置識別情報をコードから取得しているが、例えば、計測装置11と配送者端末装置30がBlueTooth(登録商標)やNFC(Near Field Communication)等によって通信することで、計測装置識別情報を配送者端末装置30に受け渡してもよい。また、交換開始要求を配送者端末装置30から送信しているが、交換開始要求を計測装置11から送信してもよい。上記のような任意の方法によって配送者識別情報を配送者端末装置30から計測装置に受け渡すことで、計測装置11から管理システム2(情報処理装置20)に対して交換開始要求を送信してよい。
【0077】
交換開始要求を受け取った情報処理装置20は、ステップS703において、計測装置11に対して計測データの送信要求を行う。ここで、計測装置11が重量計測装置11a場合には、情報処理装置20は、使用後量としての計測データとして、ガス容器の現在の重量を送信要求する。計測装置11が流量計測装置11b場合には、情報処理装置20は、使用量としての計測データとして、これまでの総流量を送信要求する。
【0078】
ステップS704において、計測装置11は計測データを取得し、ステップS705において、情報処理装置20に計測データを送信する。ステップS706において、情報処理装置20は受け取った計測データを格納する。ステップS707において、情報処理装置20は、交換開始要求を送信した配送者端末装置30に、計測データの取得完了を通知する。なお、この時、情報処理装置20は、これまで取得している計測データと比較して、重量が増加していたり、流量が減っているような場合には、計測ミスや不正、故障等の可能性を配送者端末装置30に対して通知してよい。
【0079】
ステップS708において、配送者は、設置されていた使用済みのガス容器GBを、新しいガス容器GBに交換する。そして、交換要求として、配送者識別情報及び計測装置識別情報と対応付けて情報処理装置20に送信する。なお、交換開始要求と同様に、交換要求も計測装置11から送信されてよい。
【0080】
ここで、計測装置11が重量計測装置11aの場合、
ステップS710に進み、情報処理装置20は交換した新しいガス容器GBについての計測データ送信要求を行う。ステップS711において、重量計測装置11aは初期量としての重量を計測し、ステップS712において、計測データを情報処理装置20に送信する。ステップS713では、情報処理装置20は、受け取った計測データを交換後のガス容器GBの初期量として、ガス容器データをデータベースに登録する。
【0081】
ここで、計測装置11が流量計測装置11bの場合、
ステップS714に進み、情報処理装置20は、総流量のリセット要求を流量計測装置11bに送信する。ステップS715において、流量計測装置11bは図示しないメモリに記録された総流量をリセットし、ステップS716において、リセット完了通知を情報処理装置20に送信する。
そして、ステップS717において、情報処理装置20は配送者端末装置30に対して交換完了通知を行い、ガス容器GBの交換が完了する。
【0082】
<ガス容器データの登録>
配送者によってガス容器GBの交換が行われると、ガス容器データがデータベースに登録される。ガス容器データは利用者識別情報又は計測装置識別情報により、利用者に対応付けられるデータであって、ガス容器データ識別情報、ガス容器GBの初期量、ガス容器種別、交換前ガス容器データ識別情報、ガス容器の設置を行った配送者識別情報、設置日時、残量、ガス容器の回収を行った配送者識別情報及び、回収日時を有する。なお、初期量は後述する還元量を算出する為の情報のため、本実施形態のように、必ずしも利用者毎に初期量を記憶する必要はない。例えば、利用者拠点1に配送されたガス容器GBの種別を利用者に対応付けて記憶し、更に、このガス容器の種別毎に、初期量に相当する重量や容量が記録される構成としてもよい。あるいは、利用者拠点1に設置されたガス容器GBの残量を計測データから直接得られる場合にも、初期量は不要である。即ち、計測データとして受け取ったガス圧や重量からLPガスの残量を計算あるいは推定できる場合には、初期量は不要である。例えば、ガス容器GBの容器単独の重量をデータベースが記憶している場合、ガス容器GBの回収時の重量と容器単独の重量から残量を求めてよい。
【0083】
<設置されたガス容器のガス容器データ>
本実施形態では、情報処理装置20は、ステップS702において交換開始要求を受け付けると、新たなガス容器データ識別情報を発行し、ガス容器GBの初期量、ガス容器種別、交換前ガス容器データ識別情報、ガス容器の設置を行った配送者識別情報、設置日時(配送完了日)をデータベースに登録する。
【0084】
データベースには、ガス容器マスタが格納されている。ガス容器マスタは、ガス容器GB種別毎に、LPガスが満充填された時のガス容器GBの重量及び内容量、LPガスが空の状態でのガス容器の重量並びに、ガス容器GBの利用料金を有する。本実施形態では、利用料金には設置や回収の費用が丸め込まれているものとするが、これらが別のデータに基づいて決定されても構わない。
【0085】
ここで、初期量は、計測装置11が重量計測装置11aの場合には、ステップS711で取得した重量である。計測装置11が流量計測装置11bの場合には、ガス容器マスタとステップS702において配送者端末装置30より送信された交換するガス容器GBのガス容器種別から、初期量としての内容量を決定する。計測装置11が重量計測装置11aの場合には、ガス容器マスタと設置するガス容器GBのガス容器種別に基づいて、初期量としての重量を決定してもよい。
【0086】
交換前ガス容器データ識別情報としては、例えば、データベースに格納された当該利用者に関するガス容器データ(本実施形態では、利用者識別情報及び計測装置識別情報により決定される)のうち、「ガス容器の回収を行った配送者識別情報」又は「回収日時」等が入力されていないガス容器データの識別情報が入力され得る。ガス容器の設置を行った配送者識別情報は、ステップS702等で送信された配送者識別情報である。
【0087】
残量管理部234は、初期量並びに、使用量又は使用後量に基づいて、ガス容器GBにおけるLPガスの残量を算出し、ガス容器データに登録する。この使用量及び使用後量は、交換開始要求後に計測装置11より送信された計測データに基づいて少なくとも算出される。好ましくは、計測装置11が所定の送信タイミングで計測データを送信する毎に、残量が計算され、ガス容器データに登録されてよい。これにより、ある時点での利用者拠点1におけるLPガスの残量が把握でき、後述の配送リストへの追加等に際して活用できる。
【0088】
<回収されたガス容器のガス容器データ>
更に、回収されたガス容器のガス容器データについて、残量(回収量)、「ガス容器の回収を行った配送者識別情報」及び、回収日時が入力される。残量(回収量)は、ステップS702において、交換開始要求後に計測装置11より送信された計測データに基づいて、残量管理部234が算出する。「ガス容器の回収を行った配送者識別情報」は、ステップS702等で送信された配送者識別情報である。
【0089】
本実施形態では、残量管理部234は、交換前のガス容器GBについてのガス容器データの初期量及び、ステップS706で取得した計測データ(交換前のガス容器GBの重量又は、総流量)に基づいて、LPガスの残量を決定し、回収されたガス容器データに登録する。
【0090】
より具体的には、重量に基づいて残量を算出する場合、残量管理部234は、利用者設備において使用されたガス容器の重量を重量計測装置11aより取得し、初期量及び取得した重量に基づいてLPガスの消費量を算出する。更に、ガス容器マスタに記憶された当該ガス容器に充填されていたガス重量から消費量を引き、未使用のLPガスの重量である残量を算出する。あるいは、取得した重量から、ガス容器マスタに記憶された当該ガス容器が空の時の重量から、残量を算出してよい。
【0091】
流量に基づいて残量を算出する場合、残量管理部234は、利用者設備において使用されたガス容器の総流量を流量計測装置11bより取得し、初期量及び取得した総流量に基づいてLPガスの残量を算出する。
【0092】
<利用者への還元量の決定>
還元処理部235は、初期量並びに、使用量又は使用後量に基づいて、前記利用者への還元量を算出する。本実施形態では、還元処理部235は、ガス容器GBが回収された際に残量管理部234が算出した残量に基づいて、還元量を算出する。算出された還元量は、還元量データとして利用者と対応付けて記録され、還元量が使用された場合(決済に充当された場合)は、何に対して使用されたか及び、使用日時が対応付けられてよい。本実施形態における還元量データは、還元量データ識別情報、利用者識別情報(又は計測装置識別情報)、還元量及び、還元量に基づく還元金額を有する。
【0093】
還元量は、本実施形態では、新たに設置したガス容器を購入する際の購入費用あるいは、回収されたガス容器の利用料金に対する金銭的な還元量である。あるいは、還元量は、電子マネーやポイントとして利用者に対して付与されてもよい。あるいは、次回購入するガス容器の内容量の増加により還元される還元量であってもよい。
【0094】
還元処理部235は、利用者毎の決済情報をデータベースに記憶する。利用者拠点1にある種別のガス容器GBが設置される時、利用者に対する決済情報が生成される。決済情報は、例えば、設置されたガス容器GBに応じて決定されるガス容器GBの利用料金、利用料金に対して使用される還元量、利用料金及び還元量から計算される請求金額及び、この請求金額に対する支払いを特定する支払データを含む。本実施形態では、決済情報は、決済識別情報、ガス容器データ識別情報、還元量データ識別情報及び利用料金から還元金額を際し引いた請求金額及び、支払いデータを含む。還元処理部235は、利用料金及び還元量に基づいて、利用者対するキャッシュレス決裁の決済額である請求金額を決定する。
【0095】
還元量並びに利用料金の支払いについては、本還元量の算出を基にキャッシュレスにて行うことを前提とするが、利用者の状況に応じてキャッシュレス以外の方法としても良い。ただし、キャッシュレス決済をすることで、煩雑な料金のやりとりを軽減し、また交換時間の短縮等にもつながることで配送効率にも大きく寄与する。本実施形態では、キャッシュレス決済又は、その他の方法による決済に関する情報が支払データとして記録される。支払いデータは、配送管理システム0に含まれた支払システム又は外部の支払いシステムによって、支払処理に基づき生成され、情報処理装置20に受け渡される情報である。
【0096】
<配送管理>
データベースは、配送拠点情報を格納する。
配送拠点情報は、配送拠点3を一意に識別する配送拠点識別情報、配送拠点3の拠点名、電話番号、住所、住所の位置情報を有する。
また、配送者情報は、配送者識別情報、配送者の氏名、配送者連絡情報(電話番号及び情報送信を行う為の宛先)を有し、配送者が所属する配送拠点3を一意に識別する配送拠点識別情報が対応付けられる。
【0097】
図8図9は、配送リスト作成の際のフローチャートである。情報処理装置20は、利用者拠点1毎の配送完了日や計測データに基づいて、各利用者拠点1の交換閾値となる日(以下、処理日とする)を算出し、LPガスが完全になくなる前に新しいガス容器GBを配送するための各種処理を実行する。
【0098】
予測部233はデータベースに格納された配送完了日に基づいて、各利用者拠点1のガス容器GBの処理日を予測する。そして、該当する利用者を配送候補リストに追加する。本実施形態では、予測部233は、配送完了日、初期量並びに、計測データ及び/又は残量に基づいて、各利用者設備におけるLPガスの消費傾向を分析して、利用者毎の処理日を予測する。そして、利用者を配送候補リストに追加する。
【0099】
<配送候補リスト>
図10(a)は配送候補リストの設定情報の一例を示す図である。また、図10(b)は配送候補リストの明細情報の一例を示す図である。設定情報は、配送候補リストの識別情報、処理日、希望確認日、希望確認フラグ(済/未)、希望配送日の開始日及び終了日を有する。明細情報は、配送候補リストの識別情報、利用者識別情報、配送拠点識別情報、回答フラグ(受領済/未)、回答された希望配送日、希望時間帯及び回答の受付日時を有する。
【0100】
本実施形態の配送候補リストは、設定情報として示すように、処理日毎に作成されるリストであり、処理日等に基づいて設定される希望確認日に、利用者に対して希望配送日時の提示を行う。希望配送日時は、開始日及び終了日として指定された期間中の複数の日付が択一選択可能に提示される。また、合わせて時間帯の提示も行われる。希望時間帯は、例えば、(1)8~12時、(2)13~15時、(3)15~17時、(4)17~20時等といった複数の時間帯が候補として提示されるものであり、利用者はここから希望の時間帯を択一選択する。
【0101】
配送候補リストには、複数の配送候補(利用者)が含まれ得る。明細情報に示すように、配送候補リストには、利用者と、その利用者が契約する配送拠点、希望配送日の回答状況や回答内容等が含まれる。
【0102】
図8のステップS801において、予測部233は、LPガスの残量が所定条件を満たした利用者について、処理日を算出する。LPガスの残量が所定条件を満たすとは、例えば、予想される使用可能期間がN日以内になった場合や、残量が初期量の所定割合を下回った場合等である。
【0103】
ステップS802において、予測部233は、ステップS801で検索されたガス容器データの初期量及び、受信した測定データ等からLPガスの消費速度を予測し、現在の残量からLPガスの残量が所定の交換閾値となる処理日を算出する。そして、処理日毎の配送候補リストに、それぞれの利用者を追加する。検索したすべてのガス容器データについて予測部233の処理が終了したならば(ステップS803でYES)、ステップS804に進む。
【0104】
ここで、交換信号を受信したガス容器GBを利用する利用者は(ステップS804でYES)、交換の優先度が高い為、最先の配送候補リスト(例えば、希望確認を本日や翌日に行う配送候補リスト等)であって、同一の配送拠点及び配送エリアが含まれる配送候補リストに追加される(ステップS805)。交換信号を受信した利用者設備の利用者が、既に、別の配送候補リストに追加されている場合は、別の配送候補リストからは削除する。なおステップS803において、配送候補リストへの追加が完了した時に、配送候補リストに追加された利用者に対応付けられる配送拠点及び配送エリアに基づいて、同じ属性(同じ配送拠点識別情報及び配送エリア)を持った利用者を1又は複数のシートに集約可能に構成してよい。これにより、同じ配送候補リストにエリアが共通した利用者が追加され、配送が効率化する可能性がある。
【0105】
なお、例えば、予測部233は、処理日に基づいて利用者を配送候補リストに追加するが、配送候補リストに追加された利用者又は、配送候補リストに追加しようとする利用者のうち、ガス容器GBの残量が所定量にある前記利用者、つまり予想よりもLPガスの消費が少なかった利用者は、配送候補リストから削除して、又は、追加しないようにしてよい。
【0106】
東南アジアの国等においては、ガス容器GBは台所等の室内(例えば、流し台の下等)に設置されることがある。そのため、ガス容器の交換には室内への立ち入りが必要となるため、利用者の立ち会いまたは承諾が必要となることがある。ステップS806において、配送管理部232は配送候補となった利用者に対して、希望確認日に、候補日時を提示する。
【0107】
配送管理部232は、配送候補に設定された利用者の利用者端末装置10に対して、利用者の立ち合いが可能な複数の候補日時を提示し、受付部231は、利用者端末装置10より希望配送日時として日付及び時間帯の組み合わせを受け付ける。候補日時の提示及び受付は、情報送信を行う為の宛先に対して候補日時を入力するフォームのURL(Uniform Resource Locator)を送信することで行われてもよい。また、電話番号を宛先としたSMSを利用して送信されてもよい。また、メッセージングプラットフォームを介してメッセージを送受信することで行われてもよい。また、電話によってオペレータの口頭あるいは自動音声により提示されてよい。受付部231は、候補日時を受け付けると、配送候補リストの明細情報における回答フラグを回答済とし、希望配送日、希望時間帯及び回答の受付日時を追加する。
【0108】
<配送リストの作成>
図10(c)は配送リストの設定情報の一例を示す図である。また、図10(d)は配送リストの明細情報の一例を示す図である。設定情報は、配送リストの識別情報、配送を担当する配送拠点の識別情報、配送日を有する。明細情報は、配送リストの識別情報、利用者識別情報、配送の希望時間帯、配送エリア、配送ステータス及び、配送ステータスを変更した処理日時を有する。
【0109】
配送管理部232は、配送リストを生成し、希望配送日に配送を行う配送予定リストに、当該利用者を追加する。利用者に対応付けられた配送エリア及び、受け付けた前記希望配送日に基づいて未確定の配送リスト(配送予定リスト)の明細情報に当該利用者を追加する。本実施形態の設定情報によれば、配送日、配送拠点及び配送エリアの組み合わせ毎に、配送リストが生成される。なお、例えば、配送日及び配送拠点毎に発送リストが生成されてもよい。
【0110】
ステップS901において、希望配送日時の回答を受け付けた利用者は(ステップS901でYES)、希望配送日時を配送日とする配送リストに追加する(ステップS902)。ここで、配送リストは、配送日の前日などに確定され(ステップS903)、確定後は配送リスト配送先(利用者拠点1)追加等ができないように構成されてよい。
【0111】
一方、ステップS904において、回答期限までに希望配送日時の回答がない利用者は(ステップS904でYES)、例えば、翌日を配送日とし、配送拠点する配送リストに追加する(ステップS905)。ここで、例えば、回答がない利用者(配送エリアID:4、配送拠点:3000001)は、配送拠点3(3000001)が、配送エリアID(4)に対する配送リストであって、未確定の配送リストに追加されてよい。あるいは、回答がない利用者は、再度配送候補リストに追加されるように構成してもよい。
【0112】
データベースは、配送エリアの地理的な配置関係を記憶しており、配送管理部232は、複数の配送リストを統合してもよい。あるいは、配送リストが配送エリアによって区別されない場合は、配送リストに含まれた利用者拠点1の配送エリアに応じて、配送リストを分割してよい。あるいは、配送エリアに加えて、又は代えて、利用者拠点1の位置情報を用いて、ある配送リスト中に含まれた利用者を、別の配送リストに移動してよく、又は、配送リストを分割してもよい。
【0113】
ステップS906において、配送管理部232は、配送リストに基づいて、配送ルート情報を作成する。配送管理部232は、配送リストに含まれた利用者拠点1の数、希望時間帯、利用者拠点1の位置情報に基づいて、既存の配送計画問題の計算手法や機械学習によって配送ルートを決定する。そして、ステップS907において、配送管理部232は、作成した配送リスト及び配送ルートを、各配送拠点3に属する少なくとも1つの配送者端末装置30に送信する。
【0114】
配送拠点3の配送担当者は、配送リスト及び配送ルートに基づいて、各利用者拠点1にLPガスの充填されたガス容器GBを順次配送する。配送管理部232が配送ルートを生成しない場合には、各配送拠点3に送信された配送リストに基づいて、配送者が配送ルートを決定する。配送リストは、配送拠点3において分割、統合、あるいは利用者の移動が可能であって良い。
【0115】
それぞれの配送拠点3においては、配送者端末装置30を利用して、配送先となる利用者拠点1毎に、又は配送リスト毎に、配送者識別情報が対応付けられる。なお、データベースにおいて、配送者の勤務予定を登録しておき、配送管理部232は、配送リストの設定情報に配送者識別情報を追加して、配送者毎に配送リストを生成することも可能である。
【0116】
配送者識別情報が対応付けられると、個々の配送者の配送者端末装置30において、自身が配送を行う配送リストが表示されると共に、そこに含まれた個々の利用者拠点1に対する配送ステータスの入力が可能となる。配送ステータスは、例えば、「配送前」、「配送完了」、「不在」等である。配送者端末装置30において配送ステータスが入力されると、受付部231は、配送リストの明細情報における配送ステータスを変更すると共に、その処理日時を明細情報に追加する。
【0117】
<緊急対応>
配送者端末装置30は、情報処理装置20に対して、所定時間毎等に自己位置をアップロード可能に構成される。受付部231は、配送者端末装置30から位置情報を受け付けると、配送者識別情報、位置情報及びその受信時刻を対応付けて、配送者位置情報としてデータベースに格納する。
【0118】
<緊急情報の作成>
図11を用いて、緊急情報の作成に係るフローチャートについて説明する。ステップS1101~S1106は、利用者拠点1の計測装置11が異常検知した場合の処理手順であり、ステップS1111~S1116は、情報処理装置20が異常検知した場合の処理手順である。
【0119】
図11の計測装置11が異常検知する場合は、まず、ステップS1101において、利用者拠点1において、ガス漏れセンサ14が異常を検知した場合、ステップS1102において、制御部110はガス遮断器13を駆動させて、ガスを遮断する。また、ステップS1103において、計測装置11から警告音を報知する。ステップS1104では、異常を検知したガス漏れセンサ14は、情報処理装置20に対して報知を行う。具体的には、計測装置11の制御部110又はガス漏れセンサ14は、情報処理装置20に対して、報知信号を送信する。この時、報知信号には、計測装置識別情報が対応付けられ、何れの利用者拠点1からの報知かが判別可能となる。
【0120】
ステップS1105では、緊急対応依頼部236は、緊急情報を生成して、データベースに登録する。緊急情報は、緊急識別情報、利用者識別情報(又は計測装置識別情報)、発生日時、オペレータ識別情報、緊急ステータス、急行した配送者の配送者識別情報及び、対応日時を有する。ステップS1105の段階では、少なくとも、緊急識別情報、利用者識別情報(又は計測装置識別情報)及び、発生日時が入力される。緊急ステータスは、例えば、「未対応」、「配送者派遣」、「作業完了」等の状態が設定される。
【0121】
また、ステップS1106では、緊急対応依頼部236は、利用者端末装置10に対して、異常事態を通知する。通知は、利用者情報における宛先に対してメッセージ等を送信することで行われてもよい。また、電話番号を宛先としたSMSを利用して送信されてもよい。また、メッセージングプラットフォームを介してメッセージを送信することで行われてもよい。また、これに代えて、又は加えて、オペレータ又は自動音声による架電が行われてもよく、電話によってオペレータの口頭あるいは自動音声により通知されてよい。
【0122】
一方、情報処理装置20において異常検知する場合は、まず、ステップS1111において、緊急対応依頼部236は、異常を検知する。異常を検知する場合とは、例えば、計測装置11から受信した計測データが異常値を示した時であり、より具体的には、計測データとして受け付けたガス圧が閾値を超えるような場合や、計測データとして受け付けた重量が閾値を超えるような場合(例えば、重量が0になった場合等)等に、緊急対応依頼部236は異常を検知する。
【0123】
ステップS1111において、緊急対応依頼部236が異常を検知すると、ステップS1112において、緊急対応依頼部236は、緊急情報を生成して、データベースに登録する。そして、ステップS1113において、異常を検知した計測装置11の計測装置識別情報に基づいて、ガス遮断要求信号を、利用者拠点1の計測装置11に送信する。
【0124】
計測装置11がガス遮断要求信号を受け取ると、ステップS1114において、制御部110は、ガス遮断器13を駆動させてガスを遮断する。また、ステップS1115において、計測装置11から警告音を報知する。また、ステップS1116では、緊急対応依頼部236は、利用者端末装置10に対して、異常事態を通知する。
【0125】
<緊急対応する配送者の手配>
図12は、配送者へ現場急行を依頼する際のフローチャートである。緊急対応依頼部236は、配送者端末装置30の位置に基づいて現場急行を依頼する配送者を決定する。
【0126】
ステップS1201において、未対応の緊急情報が登録されると、オペレータ端末装置200に緊急情報に基づいて情報表示が行われる。なお、本実施形態では、緊急ステータスにより、緊急情報が未対応か否かを判断している。ステップS1202において、緊急対応依頼部236は、急行先となる利用者拠点1の所在を取得する。本実施形態では、緊急情報に対応付けられた利用者を識別する情報(利用者識別情報)から利用者情報に含まれる住所及び/又は位置情報を取得する。
【0127】
ステップS1203では、緊急対応依頼部236は、ステップS1202で取得した利用者拠点1の所在と、データベースに格納した配送者位置情報から、利用者拠点1の付近にいる配送者(配送者端末装置30)を検索する。この時、利用者が契約する配送拠点3に所属する配送者は勿論、利用者が契約する配送拠点3以外に所属する配送者も検索対象とする。ここで、例えば、利用者拠点1の所在地から所定距離内にいた配送者を検索すると共に、検索結果として、利用者拠点1への距離が近い順に優先順位を付してよい。なお、優先順位は、単に距離を比較して求めてもよいし、例えば、距離に対して距離係数をかけ合わせると共に、当該利用者が契約する配送拠点3に属する配送者の場合には更に所属係数をかけ合わせる等してスコアを算出し、スコアに基づいて順位を決定してもよい。
【0128】
緊急対応依頼部236は、依頼する配送者を決定すると、オペレータ端末装置200に対して、利用者設備の所在又は利用者識別情報並びに、依頼する配送者の電話番号又は配送者識別情報を送信する。本実施形態では、ステップS1204において、緊急対応依頼部236は、検索の結果得られた付近の配送者のうち、1又は複数名を、現場急行を依頼する候補となる配送者として、オペレータ端末装置200に送信する。この時、配送者の位置情報、名前や所属、電話番号等を合わせてオペレータ端末装置200に送信する。なお、利用者識別情報や配送者識別情報をオペレータ端末装置200に送信し、オペレータ端末装置200からデータベースにリクエストして電話番号等の情報を取得するようにしてもよい。そして、ステップS1205において、オペレータは、オペレータ端末装置200が受信した情報に基づいて、配送者に架電し、現場急行を依頼する。
【0129】
図13は、オペレータ端末装置200における画面表示例である。オペレータ画面W13は、利用者情報表示部W131、配送者情報表示部W132、依頼完了ボタンW133、地図表示部W134、次のページボタンW135及び前のページボタンW136を備える。利用者情報表示部W131には、利用者(利用者拠点1)に関する情報として、利用者の氏名、住所、電話番号等が表示される。配送者情報表示部W132には、緊急対応依頼部236より受け取った配送者の情報として、配送者の氏名、電話番号等が表示される。オペレータは配送者情報表示部W132に表示された情報に基づいて配送者に架電を行い、現場急行を依頼する。現場急行を依頼できた場合は、依頼完了ボタンW133を押下することで、緊急対応依頼部236は、緊急情報に対して配送者識別情報を対応付けると共に、緊急ステータスを「配送者派遣」に変更する。
【0130】
地図表示部W134には、配送者情報表示部W132に表示された配送者の位置情報と、利用者拠点1が地図上に表示処理されている。また、次のページボタンW135及び前のページボタンW136は、連絡可能な配送者が複数いる場合に、その一覧を切り替えるものである。
【0131】
なお、ここで、本実施形態では、配送者に対してオペレータが架電を行うことで現場急行を依頼しているが、これは、例えば、オペレータ端末装置200から利用可能に構成されたIP電話機能による架電であってもよい。あるいは、自動音声によって検索された配送者の順位毎に、順次架電を行う構成としてもよい。
【0132】
また、架電に加えて、又は代えて、ステップS1203で検索された1又は複数の配送者の配送者端末装置30に対して情報を送信して、現場急行を依頼する構成としてもよい。この時、緊急対応依頼部236は、依頼する配送者を決定すると、配送者の宛先に対して、急行先となる利用者拠点1の所在又は利用者識別情報を送信する。利用者識別情報を受け取った配送者端末装置30は、それに基づいて利用者拠点1の所在に関する情報を情報処理装置20にリクエストし、受け取る構成としてもよい。また、緊急対応依頼部236は、現場急行する旨を配送者の配送者端末装置30より受け付け可能に構成されてよく、これを受け付けることで、緊急情報に対して配送者識別情報を対応付けると共に、緊急ステータスを「配送者派遣」に変更してよい。なお、送信される情報には、急行先の住所や利用者の氏名、電話番号等、急行先である利用者拠点1及び/又は利用者の情報が含まれてよい。
【0133】
また、ガス遮断器13やガス漏れセンサ14は、本システムを構成する要素として先に挙げているが、もし本システムの構成に無い場合においても、ガス切れを起こさない、ガスの使用量に応じた料金還元を行う等の基本的機能を果たすため、ガス遮断器13やガス漏れセンサ14は必須構成要素とはならないが、安全性の観点からシステム内に構成されることが望ましい。
【符号の説明】
【0134】
0 :配送管理システム
1 :利用者拠点
2 :管理システム
3、3a、3b:配送拠点
3a1、3a2、3an:配送者端末装置
10 :利用者端末装置
11 :計測装置
11a :重量計測装置
11b :流量計測装置
12 :通信器
13 :ガス遮断器
14 :センサ
14a :ガス容器
15 :調整器
16 :ガス圧計測器
20 :情報処理装置
21 :通信部
22 :記憶部
23 :制御部
30 :配送者端末装置
90 :端末装置
91 :通信部
92 :記憶部
93 :制御部
94 :入力部
95 :出力部
110 :制御部
111 :通信部
112 :重量計測部
113 :流量計測部
200 :オペレータ端末装置
231 :受付部
232 :配送管理部
233 :予測部
234 :残量管理部
235 :還元処理部
236 :緊急対応依頼部
GB :ガス容器
NW :ネットワーク
W13 :オペレータ画面
W131 :利用者情報表示部
W132 :配送者情報表示部
W133 :依頼完了ボタン
W134 :地図表示部
W135 :次のページボタン
W136 :前のページボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス容器に封入された可搬型ガス燃料を使用する利用者に対して、前記ガス容器の配送管理を行う配送管理システムであって、
前記配送管理システムは、情報処理装置、利用者設備に配置され前記情報処理装置と通信可能なガス漏れセンサ、前記ガス容器を交換する配送者が利用する配送者端末装置、及び配送者と連絡を取るオペレータが利用するオペレータ端末装置を備え、
データベースは、利用者識別情報に対応付けられた利用者設備の所在、及び配送者識別情報と対応付けられた配送者連絡情報を格納し、
前記情報処理装置は、前記配送者端末装置から送信された配送者の位置を受信し、前記ガス漏れセンサが異常を検知した場合に、前記配送者の位置に基づいて現場急行を依頼する候補となる複数の配送者を決定し、
異常を検知した前記ガス漏れセンサが配置された前記利用者設備の所在又は前記所在を取得する為の利用者識別情報、並びに前記現場急行を依頼する候補となる複数の配送者の前記配送者連絡情報又は前記配送者識別情報を前記オペレータ端末装置に送信する
配送管理システム。
【請求項2】
ガス容器に封入された可搬型ガス燃料を使用する利用者に対して、前記ガス容器の配送管理を行う配送管理システムであって、
前記配送管理システムは、情報処理装置、利用者設備に配置されガス容器の計測データを取得する計測装置、前記ガス容器を交換する配送者が利用する配送者端末装置、及び配送者と連絡を取るオペレータが利用するオペレータ端末装置を備え、
データベースは、利用者識別情報に対応付けられた利用者設備の所在、及び配送者識別情報と対応付けられた配送者連絡情報を格納し、
前記情報処理装置は、前記配送者端末装置から送信された配送者の位置を受信し、前記計測装置から受信した前記計測データが異常値を示す場合に、前記配送者の位置に基づいて現場急行を依頼する候補となる複数の配送者を決定し、
異常が検知された前記計測装置を配置する前記利用者設備の所在又は前記所在を取得する為の利用者識別情報、並びに前記現場急行を依頼する候補となる複数の配送者の前記配送者連絡情報又は前記配送者識別情報を前記オペレータ端末装置に送信する
配送管理システム。
【請求項3】
異常を検知したガス漏れセンサ、又は異常が検知された計測装置が配置された前記利用者設備の所在、前記現場急行を依頼する候補となる前記配送者の位置、並びに該配送者の前記配送者連絡情報又は前記配送者識別情報を前記オペレータ端末装置の同一画面上に表示させる
請求項1又は請求項2に記載の配送管理システム。
【請求項4】
前記データベースは、前記配送者連絡情報として前記配送者端末装置へ情報送信を行う為の宛先を格納し、
前記情報処理装置は、前記現場急行を依頼する候補となる複数の配送者を決定すると、前記宛先に対して、異常を検知したガス漏れセンサ、又は異常が検知された計測装置が配置された前記利用者設備の所在又は前記所在を取得する為の利用者識別情報を送信する
請求項1又は請求項2に記載の配送管理システム。
【請求項5】
前記データベースは、利用者連絡情報として、利用者端末装置へ情報送信を行う為の宛先又は電話番号を格納し、
前記ガス漏れセンサが異常を検知した、又は計測装置から異常値を示す計測データを受信した場合に、前記情報処理装置は、前記利用者連絡情報を前記オペレータ端末装置に送信又は、前記利用者連絡情報を用いて前記利用者端末装置への報知を行う
請求項1又は請求項2に記載の配送管理システム。
【請求項6】
前記データベースは、前記利用者、及び前記ガス容器の配送に関する契約を行った配送者対応付け格納
前記ガス漏れセンサが異常を検知した、又は計測装置から異常値を示す計測データを受信した場合に、前記情報処理装置は、前記現場急行を依頼する候補となる複数の配送者を、急行先の利用者と契約関係にない配送者を含めた配送者の中から決定する
請求項1又は請求項2に記載の配送管理システム。
【請求項7】
ガス容器に封入された可搬型ガス燃料を使用する利用者に対して、前記ガス容器の配送管理を行う配送管理システムを用いた配送管理方法であって、
前記配送管理システムは、情報処理装置、利用者設備に配置され前記情報処理装置と通信可能なガス漏れセンサ、前記ガス容器を交換する配送者が利用する配送者端末装置、及び配送者と連絡を取るオペレータが利用するオペレータ端末装置を備え、
データベースは、利用者識別情報に対応付けられた利用者設備の所在、及び配送者識別情報と対応付けられた配送者連絡情報を格納し、
前記情報処理装置は、前記配送者端末装置から送信された配送者の位置を受信し、前記ガス漏れセンサが異常を検知した場合に、前記配送者の位置に基づいて現場急行を依頼する候補となる複数の配送者を決定し、
異常を検知した前記ガス漏れセンサが配置された前記利用者設備の所在又は前記所在を取得する為の利用者識別情報、並びに前記現場急行を依頼する候補となる複数の配送者の前記配送者連絡情報又は前記配送者識別情報を前記オペレータ端末装置に送信する
配送管理方法。
【請求項8】
ガス容器に封入された可搬型ガス燃料を使用する利用者に対して、前記ガス容器の配送管理を行う配送管理システムを用いた配送管理方法であって、
前記配送管理システムは、情報処理装置、利用者設備に配置されガス容器の計測データを取得する計測装置、前記ガス容器を交換する配送者が利用する配送者端末装置、及び配送者と連絡を取るオペレータが利用するオペレータ端末装置を備え、
データベースは、利用者識別情報に対応付けられた利用者設備の所在、及び配送者識別情報と対応付けられた配送者連絡情報を格納し、
前記情報処理装置は、前記配送者端末装置から送信された配送者の位置を受信し、前記計測装置から受信した前記計測データが異常値を示す場合に、前記配送者の位置に基づいて現場急行を依頼する候補となる複数の配送者を決定し、
異常が検知された前記計測装置を配置する前記利用者設備の所在又は前記所在を取得する為の利用者識別情報、並びに前記現場急行を依頼する候補となる複数の配送者の前記配送者連絡情報又は前記配送者識別情報を前記オペレータ端末装置に送信する
配送管理方法。