(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002869
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】端子ユニット及びこれを備えるコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6474 20110101AFI20231228BHJP
H01R 4/18 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
H01R13/6474
H01R4/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165818
(22)【出願日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】P 2022102109
(32)【優先日】2022-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】新井 隆之
(72)【発明者】
【氏名】行武 広章
(72)【発明者】
【氏名】陸 一也
(72)【発明者】
【氏名】桐生 幸一
【テーマコード(参考)】
5E021
5E085
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA16
5E021FB07
5E021FC20
5E021FC23
5E021LA09
5E021LA15
5E085BB01
5E085DD14
5E085FF01
5E085JJ03
5E085JJ50
(57)【要約】
【課題】圧着部においてインピーダンスが過剰に上昇してしまうことを抑制し、インピーダンスの整合が強化された端子ユニットを提供する。
【解決手段】端子ユニット15は、シールドケーブル90Bの内部導体91に接続する内部端子150と、内部端子150を保持する誘電体部材160と、外部導体93に接続する外部端子170と、を備える。端子ユニット15は、内部端子150及び外部端子170とは別体として形成された導電性のインピーダンス調整部材180を更に備える。インピーダンス調整部材180は、外部端子170と内部端子150との間の位置であって、圧着部54のインピーダンスを調整可能な位置に配置された調整部80を有する。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は二以上の内部導体と、前記一又は二以上の内部導体をシールドする外部導体と、を有するシールドケーブルに取り付けられる端子ユニットであって、
前記端子ユニットは、
前記一又は二以上の内部導体に接続する一又は二以上の内部端子と、
前記内部端子を保持する誘電体部材と、
前記外部導体に接続し、前記内部端子を収容する外部端子と、
前記内部端子及び前記外部端子とは別体として形成された導電性のインピーダンス調整部材と、を備え、
前記内部端子は、前記内部導体に圧着する圧着部を備え、
前記インピーダンス調整部材は、前記外部端子と前記内部端子との間の位置であって、前記圧着部のインピーダンスを調整可能な位置に配置された調整部を有する、
端子ユニット。
【請求項2】
前記外部端子は、
前記内部端子を収容する本体部を有し、
前記本体部には、当該本体部の内部空間が後側に開放される開口が形成され、
前記調整部は、前後方向に垂直な平面に交差する方向に板厚方向を向ける蓋部であって、前記開口を狭めるように配置される前記蓋部を有する、
請求項1に記載の端子ユニット。
【請求項3】
前記蓋部は、
前記内部導体を挟むように配置される一対の側板部と、
前記一対の側板部を互いに連結する上板部と、を有し、
前記一対の側板部の間に前記内部導体が前後方向に通過する通過部が形成され、前記通過部は前後方向に垂直な一方向に開放されている、
請求項2に記載の端子ユニット。
【請求項4】
前記調整部は、板厚方向を前後方向に垂直な平面に沿う方向に向けて前後方向に延びる前後方向延在部を有する、
請求項1又は請求項2に記載の端子ユニット。
【請求項5】
前記前後方向延在部は、
前記内部端子を挟むように対向する一対の対向板部と、
前記一対の対向板部を互いに連結する連結板部と、を有する、
請求項4に記載の端子ユニット。
【請求項6】
前記一対の対向板部及び前記連結板部の3つの板部は、それぞれ、前記外部端子に接触している、
請求項5に記載の端子ユニット。
【請求項7】
前記3つの板部のそれぞれと前記外部端子との接触は、前記前後方向延在部又は前記外部端子の少なくとも一方に形成された突状部を介して実現される、
請求項6に記載の端子ユニット。
【請求項8】
前記3つの板部のそれぞれと前記外部端子との接触は、前記外部端子に形成された突状部を介して実現される、
請求項6に記載の端子ユニット。
【請求項9】
前記インピーダンス調整部材と前記外部端子とは、互いに接触して電気的に接続されている、
請求項1又は請求項2に記載の端子ユニット。
【請求項10】
前記インピーダンス調整部材と前記外部端子との接触は、前記インピーダンス調整部材又は前記外部端子の少なくとも何れか一方に形成された突状部を介して実現される、
請求項9に記載の端子ユニット。
【請求項11】
前記インピーダンス調整部材は、前記誘電体部材の外面に配置され、
前記誘電体部材の外面には、前記インピーダンス調整部材が配置される配置凹部が形成される、
請求項1又は請求項2に記載の端子ユニット。
【請求項12】
前記端子ユニットは、前記内部導体を被覆する絶縁被覆の外側に配置される導電性のスリーブを備え、
前記スリーブと前記インピーダンス調整部材とが接触している、
請求項1又は請求項2に記載の端子ユニット。
【請求項13】
前記スリーブは、切削加工品、ダイカスト品又は射出成形体として形成される、
請求項12に記載の端子ユニット。
【請求項14】
前記スリーブと前記インピーダンス調整部材との接触は、押圧接触である、
請求項12に記載の端子ユニット。
【請求項15】
前記インピーダンス調整部材は、前記スリーブを前記インピーダンス調整部材に向けて付勢する付勢部を有する、
請求項14に記載の端子ユニット。
【請求項16】
前記調整部は、前後方向に垂直な平面に交差する方向に板厚方向を向ける蓋部を有し、
前記蓋部は、片持ち梁状に形成された側板部を有し、
前記スリーブは、前記側板部に接触する、
請求項12に記載の端子ユニット。
【請求項17】
前記端子ユニットは、前記内部導体を被覆する絶縁被覆の外側に配置される導電性のスリーブを備え、
前記誘電体部材は、前記スリーブ内に配置される突入部を有する、
請求項1に記載の端子ユニット。
【請求項18】
前記突入部は、前記内部導体を包囲するように筒状に形成される、
請求項17に記載の端子ユニット。
【請求項19】
前記突状部は、前記外部端子に形成され、
前記インピーダンス調整部材は、前記突状部に弾性的に接触する弾性接触部を有する、
請求項10に記載の端子ユニット。
【請求項20】
前記インピーダンス調整部材は、孔部を有し、
前記弾性接触部は、前記孔部を分断するように形成された両持ちバネである、
請求項19に記載の端子ユニット。
【請求項21】
前記端子ユニットは、前記内部導体を被覆する絶縁被覆の外側に配置される導電性のスリーブを備え、
前記スリーブと前記インピーダンス調整部材とは、前後方向で互いに係止されており、
前記インピーダンス調整部材と前記誘電体部材とは、前後方向で互いに係止されている、
請求項1に記載の端子ユニット。
【請求項22】
前記インピーダンス調整部材は、前記外部導体に圧着する第一圧着部を有し、
前記外部端子は、
前記誘電体部材を後方から挿入可能な本体部と、
前記本体部よりも後方に形成され、前記シールドケーブルに圧着する第二圧着部と、を有する、
請求項1に記載の端子ユニット。
【請求項23】
前記突状部は、前記外部端子に形成され、
前記外部端子は、前記突状部を弾性的に支持する弾性支持部を有する、
請求項10に記載の端子ユニット。
【請求項24】
請求項1又は請求項2に記載の複数の端子ユニットと、
前記複数の端子ユニットを保持するハウジングと、
を備えるコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端子ユニット及びこれを備えるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シールドケーブルに取り付けられる端子ユニットが開示されている。この端子ユニットは、シールドケーブルの内側導体に接続する内部端子と、内部端子を保持する誘電体部材と、シールドケーブルの外部導体に接続し、内部端子及び誘電体部材を収容する外部端子と、を有している。内部端子は、内部導体に圧着する圧着部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような端子ユニットでは、圧着部においてインピーダンスが過剰に上昇してしまうことがある。
【0005】
本開示の1つの目的は、圧着部においてインピーダンスが過剰に上昇してしまうことを抑制し、インピーダンスの整合が強化された端子ユニット及びこれを備えるコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る端子ユニットは、一又は二以上の内部導体と、前記一又は二以上の内部導体をシールドする外部導体と、を有するシールドケーブルに取り付けられる端子ユニットであって、前記端子ユニットは、前記一又は二以上の内部導体に接続する一又は二以上の内部端子と、前記内部端子を保持する誘電体部材と、前記外部導体に接続し、前記内部端子を収容する外部端子と、前記内部端子及び前記外部端子とは別体として形成された導電性のインピーダンス調整部材と、を備え、前記内部端子は、前記内部導体に圧着する圧着部を備え、前記インピーダンス調整部材は、前記外部端子と前記内部端子との間の位置であって、前記圧着部のインピーダンスを調整可能な位置に配置された調整部を有する。
【0007】
本態様では、端子ユニットは、シールドケーブルに取り付けられるものである。シールドケーブルは、一又は二以上の内部導体と、一又は二以上の内部導体をシールドする外部導体と、を有する。
端子ユニットは、一又は二以上の内部導体に接続する一又は二以上の内部端子と、内部端子を保持する誘電体部材と、外部導体に接続する外部端子と、を備える。外部端子は、内部端子を収容する。内部端子は、内部導体に圧着する圧着部を備える。
【0008】
ここで、端子ユニットは、内部端子及び外部端子とは別体として形成された導電性のインピーダンス調整部材を更に備える。インピーダンス調整部材は、外部端子と内部端子との間の位置であって、圧着部のインピーダンスを調整可能な位置に配置された調整部を有する。
このため、圧着部においてインピーダンスが過剰に上昇してしまうことが抑制され、インピーダンスの整合が強化された端子ユニットとすることができる。
【0009】
なお、後述する実施形態では、調整部が、前後方向において圧着部と重なる位置に配置される例を説明する。しかし、本態様の調整部は、これに限定されず、圧着部のインピーダンスを調整可能な程度に圧着部の近傍に配置されていればよい。つまり、上記の「前記圧着部のインピーダンスを調整可能な位置」は厳密に解釈される必要のある要件ではない。なお、本開示において前後方向(軸方向)とは、内部導体のうち圧着部に圧着されている部分に平行な方向を意味する。
また、後述する実施形態では、インピーダンス調整部材の全体が、外部端子と内部端子との間に位置する例を説明する。しかし、本態様のインピーダンス調整部材は、これに限定されず、調整部が外部端子と内部端子との間に位置すればよい。
また、後述する実施形態では、インピーダンス調整部材が、外部端子や外部導体に電気的に接続される例を説明する。しかし、本態様のインピーダンス調整部材は、これに限定されず、外部端子や外部導体と電気的に接続されていなくてもよい。
また、後述する実施形態では、インピーダンス調整部材が、誘電体部材の外面に配置される例を説明する。しかし、本態様のインピーダンス調整部材は、これに限定されず、誘電体部材の内面に配置されてもよいし、誘電体部材の壁内に挿入、埋設等されていてもよい。
また、後述する実施形態では、誘電体部材が、インピーダンス調整部材が配置される凹部を有する例を説明する。しかし、本態様の誘電体部材は、これに限定されず、このような凹部を有しなくてもよい。
また、後述する実施形態では、インピーダンス調整部材が、誘電体部材や外部端子に対して固定される例を説明する。しかし、本態様のインピーダンス調整部材は、これに限定されず、誘電体部材や外部端子に対して若干移動可能に設けられてもよい。
また、後述する実施形態では、端子ユニットが、一の内部導体を有するシールドケーブルに取り付けられるものである例を説明する。しかし、本態様の端子ユニットは、これに限定されず、二以上の内部導体を有するシールドケーブルに取り付けられるものであってもよい。この場合、端子ユニットは、二以上の内部端子を備えることとなる。
また、後述する実施形態(変形例3以外)では、外部端子が第一圧着部を有し、第一圧着部において外部端子と外部導体とが(電気的に)接続される例を説明するが、本態様の外部端子はこれに限定されない。本態様の外部端子は、第一圧着部を有さず、他の部材を介して外部導体と(電気的に)接続されてもよい(変形例3参照)。
【0010】
第2の態様に係る端子ユニットは、第1の態様において、前記外部端子は、前記内部端子を収容する本体部を有し、前記本体部には、当該本体部の内部空間が後側に開放される開口が形成され、前記調整部は、板厚方向を前後方向に垂直な平面に交差する方向に向ける蓋部であって、前記開口を狭めるように配置される前記蓋部を有する。
【0011】
本態様では、外部端子は、内部端子を収容する本体部を有する。ここで、本体部には、当該本体部の内部空間が後側に開放される開口が形成される。このため、本体部にこのような開口が形成されない態様と比較して、本体部を含む外部端子の製造が容易である。
【0012】
更に、調整部は、蓋部を有する。蓋部は、前後方向に垂直な平面に交差する方向に板厚方向を向ける部分であって、開口を狭めるように配置される。このため、本体部の開口が狭められ、内部端子と他の電子部品とのクロストークを防止することができる。
なお、後述する実施形態では、蓋部が、前後方向に垂直な平面に垂直な方向(つまり前後方向)に板厚方向を向ける部分(平板部83)を有する例を説明する。しかし、本態様の蓋部は、これに限定されず、前後方向に板厚方向を向ける部分を有しなくてもよい。例えば、蓋部が有する平面部が、前後方向に対して斜めの方向に板厚方向を向けていてもよい。また、蓋部が、平面部を有しなくてもよい。
【0013】
第3の態様に係る端子ユニットは、第2の態様において、前記蓋部は、前記内部導体を挟むように配置される一対の側板部と、前記一対の側板部を互いに連結する上板部と、を有し、前記一対の側板部の間に前記内部導体が前後方向に通過する通過部が形成され、前記通過部は前後方向に垂直な一方向に開放されている。
【0014】
本態様では、蓋部は、内部導体を挟むように配置される一対の側板部と、一対の側板部を互いに連結する上板部と、を有する。そして、一対の側板部の間に内部導体が前後方向に通過する通過部が形成され、通過部は前後方向に垂直な一方向に開放されている。
このため、端子ユニットの組立時、インピーダンス調整部材を内部導体に対して前後方向に垂直な一方向から配置することができる。よって、端子ユニットの組立が容易になる。
【0015】
第4の態様に係る端子ユニットは、第1~第3の何れかの態様において、前記調整部は、板厚方向を前後方向に垂直な平面に沿う方向に向けて前後方向に延びる前後方向延在部を有する。
【0016】
本態様では、調整部は、前後方向延在部を有する。前後方向延在部は、板厚方向を前後方向に垂直な平面に沿う方向に向けて前後方向に延びる。
このため、調整部が前後方向延在部を有しない態様と比較して、インピーダンス整合を強化することができる。
なお、後述する実施形態では、前後方向延在部が、板厚方向を前後方向に垂直な平面に平行な方向に向けている例を説明する。しかし、本態様の前後方向延在部は、これに限定されず、板厚方向を前後方向に垂直な平面に対して若干傾斜した方向に向けていてもよい。つまり、上述の「平面に沿う方向」とは、平面に平行な方向のほか、平面に対して若干傾斜した方向を含む。
【0017】
第5の態様に係る端子ユニットは、第4の態様において、前記前後方向延在部は、前記内部端子を挟むように対向する一対の対向板部と、前記一対の対向板部を互いに連結する連結板部と、を有する。
【0018】
本態様では、前後方向延在部は、内部端子を挟むように対向する一対の対向板部と、一対の対向板部を互いに連結する連結板部と、を有する。
このため、例えば前後方向延在部が内部端子を挟むように形成されない態様と比較して、インピーダンス整合を強化することができる。
【0019】
第6の態様に係る端子ユニットは、第5の態様において、前記一対の対向板部及び前記連結板部の3つの板部は、それぞれ、前記外部端子に接触している。
【0020】
本態様では、一対の対向板部及び連結板部の3つの板部は、それぞれ、外部端子に接触している。このため、これらの板部と外部端子とによる共振ノイズの発生を抑制することができる。
【0021】
第7の態様に係る端子ユニットは、第6の態様において、前記3つの板部のそれぞれと前記外部端子との接触は、前記前後方向延在部又は前記外部端子の少なくとも一方に形成された突状部を介して実現される。
【0022】
本態様では、3つの板部(一対の対向板部及び連結板部)のそれぞれと外部端子との接触は、前後方向延在部又は外部端子の少なくとも一方に形成された突状部を介して実現される。なお、突状部とは、隣接した部分に対して突出するように形成された部分であって、その頂部と隣接した部分とが二方向以上の経路で接続されている部分を意味する。したがって、バネ片等の片持ちバネは突状部に該当しないが、両持ちバネ(頂部と隣接した部分とが二方向の経路で接続されている。)は突状部に該当する。
このため、互いの平面部同士を接触させる態様と比較して、安定した接触状態を維持できる。また、バネ片等の片持ちバネを介して接触している態様と比較して、インピーダンス調整部材又は外部端子に寄生するインダクタンスを小さくすることができる。
【0023】
第8の態様に係る端子ユニットは、第6の態様において、前記3つの板部のそれぞれと前記外部端子との接触は、前記外部端子に形成された突状部を介して実現される。
【0024】
本態様では、3つの板部のそれぞれと外部端子との接触は、外部端子に形成された突状部を介して実現される。
このため、突状部がインピーダンス調整部材の前後方向延在部に形成される態様と比較して、突状部を大きく形成しやすい。なぜなら、外部端子は前後方向延在部よりも大きく形成しやすいからである。その結果、外部端子とインピーダンス調整部材との接触を安定させることができる。
【0025】
第9の態様に係る端子ユニットは、第1~第5の何れかの態様において、前記インピーダンス調整部材と前記外部端子とは、互いに接触して電気的に接続されている。
【0026】
本態様では、インピーダンス調整部材と外部端子とは、互いに接触して電気的に接続されている。このため、インピーダンス調整部材の電位が安定する。
【0027】
第10の態様に係る端子ユニットは、第9の態様において、前記インピーダンス調整部材と前記外部端子との接触は、前記インピーダンス調整部材又は前記外部端子の少なくとも何れか一方に形成された突状部を介して実現される。
【0028】
本態様では、インピーダンス調整部材と外部端子との接触は、インピーダンス調整部材又は外部端子の少なくとも何れか一方に形成された突状部を介して実現される。
このため、互いの平面部同士を接触させる態様と比較して、安定した接触状態を維持できる。また、バネ片等の片持ちバネを介して接触させる態様と比較して、インピーダンス調整部材又は外部端子に寄生するインダクタンスを小さくすることができる。
【0029】
第11の態様に係る端子ユニットは、第1~第10の何れかの態様において、前記インピーダンス調整部材は、前記誘電体部材の外面に配置され、前記誘電体部材の外面には、前記インピーダンス調整部材が配置される配置凹部が形成される。
【0030】
本態様では、インピーダンス調整部材は、誘電体部材の外面に配置される。そして、誘電体部材の外面には、インピーダンス調整部材が配置される配置凹部が形成される。
このため、誘電体部材及びインピーダンス調整部材を効率よく外部端子に収容させることができる。
【0031】
第12の態様に係るコネクタは、第1~第11の何れかの態様において、前記端子ユニットは、前記内部導体を被覆する絶縁被覆の外側に配置される導電性のスリーブを備え、前記スリーブと前記インピーダンス調整部材とが接触している。
【0032】
本態様では、端子ユニットは、内部導体を被覆する絶縁被覆の外側に配置される導電性のスリーブを備える。このため、内部導体を被覆する絶縁被覆の断面形状の変化が抑制され、その結果、インピーダンスが一定に保たれる。
また、スリーブとインピーダンス調整部材とが接触している。このため、ノイズの原因となる共振が抑制される。
【0033】
なお、後述する各実施形態では、スリーブが、インピーダンス調整部材の蓋部と接触する例を説明する。しかし、本態様はこれに限定されない。本態様のスリーブは、インピーダンス調整部材の他の部分(例えば、対向板部)に接触してもよい。
また、後述する各実施形態では、スリーブとインピーダンス調整部材との接触が、押圧接触である例を説明する。しかし、本態様はこれに限定されない。
また、スリーブとインピーダンス調整部材とは、接着や溶着されていてもよい。
【0034】
第13の態様に係るコネクタは、第12の態様において、前記スリーブは、切削加工品、ダイカスト品又は射出成形体として形成される。
【0035】
本態様では、スリーブは、切削加工品、ダイカスト品又は射出成形体として形成される。このため、板金をプレス加工してスリーブを形成する態様と比較して、スリーブの寸法精度を向上させることができ、その結果、スリーブとインピーダンス調整部材との接触をより確実にすることができる。
また、本態様ではスリーブの形状の自由度が高いため、インピーダンス調整部材が第一圧着部を有する態様との組合せに適している。すなわち、インピーダンス調整部材が第一圧着部を有する態様では、第一圧着部を形成する必要がある分、スリーブと接触させるための構造に関してはインピーダンス調整部材の設計自由度が小さい。これを補うため、スリーブを切削加工品、ダイカスト品又は射出成形体として形成することが好ましい。
【0036】
第14の態様に係るコネクタは、第12又は第13の態様において、前記スリーブと前記インピーダンス調整部材との接触は、押圧接触である。
【0037】
本態様では、スリーブとインピーダンス調整部材との接触は、押圧接触である。このため、スリーブの製造上の公差や使用時の振動などによってスリーブとインピーダンス調整部材とが接触しなくなってしまうことを防ぐことができる。
なお、後述する実施形態では、スリーブとインピーダンス調整部材との押圧接触方向が、前後方向と前後方向に垂直な方向(具体的には幅方向)の両方である例を説明する。しかし、本態様はこれに限定されない。
【0038】
第15の態様に係るコネクタは、第14の態様において、前記インピーダンス調整部材は、前記スリーブを前記インピーダンス調整部材に向けて付勢する付勢部を有する。
【0039】
本態様では、インピーダンス調整部材は、スリーブをインピーダンス調整部材に向けて付勢する付勢部を有する。このため、部品点数を増加させることなく、インピーダンス調整部材とスリーブとを押圧接触させることができる。
【0040】
第16の態様に係るコネクタは、第12~第15の何れかの態様において、前記調整部は、前後方向に垂直な平面に交差する方向に板厚方向を向ける蓋部を有し、前記蓋部は、片持ち梁状に形成された側板部を有し、前記スリーブは、前記側板部に接触する。
【0041】
本態様では、蓋部は、片持ち梁状に形成された側板部を有する。このため、側板部を有する蓋部を絞り加工でなく屈曲加工で形成することができ、その結果、製造コストを低下させることができる。
また、スリーブは、片持ち梁状の側板部に接触する。このため、ノイズの原因となる共振が抑制される。
なお、後述する実施形態では、側板部が、一対形成される例を説明する。しかし、本態様の側板部はこれに限定されない。
【0042】
第17の態様に係るコネクタは、第1~第16の何れかの態様において、前記端子ユニットは、前記内部導体を被覆する絶縁被覆の外側に配置される導電性のスリーブを備え、前記誘電体部材は、前記スリーブ内に配置される突入部を有する。
【0043】
本態様では、端子ユニットは、内部導体を被覆する絶縁被覆の外側に配置される導電性のスリーブを備える。このため、内部導体を被覆する絶縁被覆の断面形状の変化が抑制され、その結果、インピーダンスが一定に保たれる。
また、誘電体部材は、スリーブ内に配置される突入部を有する。このため、内部導体のうち絶縁被覆から露出した部分でのインピーダンスの上昇を抑制することができる。
【0044】
具体的に説明すると、内部導体のうち絶縁被覆から露出する部分の長さを一定にすることは難しい。露出する部分が長い場合、スリーブと内部導体との間に形成される空気層も長くなってしまい、当該部分でインピーダンスが上昇してしまう。
そこで、本態様では、誘電体部材の一部(突入部)がスリーブ内に配置されるので、スリーブと内部導体との間に大きな空気層が形成されることを抑制できる。その結果、内部導体のうち絶縁被覆から露出した部分でのインピーダンスの上昇を抑制できる。
【0045】
なお、後述する実施形態では、突入部が筒状である例を説明するが、本態様の突入部はこれに限定されない。
【0046】
第18の態様に係るコネクタは、第17の態様において、前記突入部は、前記内部導体を包囲するように筒状に形成される。
【0047】
本態様では、突入部は、内部導体を包囲するように筒状に形成される。このため、インピーダンスの上昇を抑制する効果を高めることができる。
なお、後述する実施形態では、突入部が、内部導体を軸周り方向で隙間なく包囲するように構成される例を説明する。しかし、本態様の突入部は、これに限定されず、スリット等が形成されていてもよい。
【0048】
第19の態様に係るコネクタは、第10の態様において、前記突状部は、前記外部端子に形成され、前記インピーダンス調整部材は、前記突状部に弾性的に接触する弾性接触部を有する。
【0049】
本態様では、突状部は、外部端子に形成される。そして、インピーダンス調整部材は、突状部に弾性的に接触する弾性接触部を有する。このため、突状部が形成された外部端子の組立性が向上する。
【0050】
なお、本態様は、後述する変形例1に対応する。
また、変形例1のように、誘電体部材は、弾性接触部に対応する位置に回避凹部を有することが好ましい。回避凹部が形成されることで、突状部に押圧された弾性接触部が回避凹部に逃げることができる。但し、変形例1と異なり、弾性接触部における誘電体部材に対向する面が凹んだ形状になるように、弾性接触部を薄くしてもよい。このような弾性接触部も、突状部との接触により弾性変形することができる。また、このような弾性接触部と、誘電体部材に形成された回避凹部とを組み合わせてもよい。
また、弾性接触部は、板面を維持した状態(屈曲加工を受けること無く平坦な板面を維持した状態)で形成されていることが好ましい。このようにすることで、外部端子と内部端子との間の位置にインピーダンス調整部材を容易に配置することができる。より具体的には、組立時(外部端子の本体部に誘電体部材を挿入する工程)において、弾性接触部が外部端子の本体部に引っ掛かることを抑制できる。
【0051】
第20の態様に係るコネクタは、第19の態様において、前記インピーダンス調整部材には貫通孔が形成され、前記弾性接触部は、前記貫通孔を分断するように形成された両持ちバネである。
【0052】
本態様では、インピーダンス調整部材には貫通孔が形成され、弾性接触部は、当該貫通孔を分断するように形成された両持ちバネである。このため、弾性接触部が片持ちバネである態様と比較して、インピーダンス調整部材又は外部端子に寄生するインダクタンスを小さくできる。
【0053】
第21の態様に係るコネクタは、第1~第20の何れかの態様において、前記端子ユニットは、前記内部導体を被覆する絶縁被覆の外側に配置される導電性のスリーブを備え、前記スリーブと前記インピーダンス調整部材とは、前後方向で互いに係止されており、前記インピーダンス調整部材と前記誘電体部材とは、前後方向で互いに係止されている。
【0054】
本態様では、端子ユニットは、内部導体を被覆する絶縁被覆の外側に配置される導電性のスリーブを備える。このため、内部導体を被覆する絶縁被覆の断面形状の変化が抑制され、その結果、インピーダンスが一定に保たれる。
また、スリーブとインピーダンス調整部材とは、前後方向で互いに係止されており、インピーダンス調整部材と誘電体部材とは、前後方向で互いに係止されている。このため、スリーブ、インピーダンス調整部材及び誘電体部材が外力(特に、使用時のシールドケーブルを引っ張る力)によって分離してしまうことを防止できる。
なお、「前後方向で互いに係止されている」とは、互いに係り合うことで、互いの前後方向の相対位置が変化しないようになっていることを意味する。
【0055】
第22の態様に係るコネクタは、第1~第21の何れかの態様において、前記インピーダンス調整部材は、前記外部導体に圧着する第一圧着部を有し、前記外部端子は、前記誘電体部材を後方から挿入可能な本体部と、前記本体部よりも後方に形成され、前記シールドケーブルに圧着する第二圧着部と、を有する。
【0056】
仮に外部端子が第一圧着部を有する場合、通常、本体部と第一圧着部との間に段差部をあらかじめ形成しておく必要がある。しかし、この段差部は、誘電体部材を本体部に後方から挿入する作業を困難にする。
そこで、本態様では、インピーダンス調整部材が外部導体に圧着する第一圧着部を有し、外部端子は、外部導体に圧着する圧着部を有しない。このため、誘電体部材を本体部の後方から挿入しやすい構造に外部端子をすることができる。
なお、本態様は、後述する変形例3に対応する。変形例3では、第二圧着部が、シールドケーブルの外側被覆の外面に直接的に圧着する例を説明するが、本態様の第二圧着部はこれに限定されない。例えば、シールドケーブルの外部導体が箔と編組との2層構造であり、編組が外側被覆の外側に折り返されており、当該折り返された部分に第二圧着部が圧着してもよい。
【0057】
第23の態様に係るコネクタは、第10の態様において、前記突状部は、前記外部端子に形成され、前記外部端子は、前記突状部を弾性的に支持する弾性支持部を有する。
【0058】
本態様では、突状部は、前記外部端子に形成される。そして、外部端子は、突状部を弾性的に支持する弾性支持部を有する。このため、突状部及び弾性支持部がインピーダンス調整部材に形成される態様と比較して、突状部及び弾性支持部を大きく形成しやすい。
なお、上記弾性支持部は、両持ちバネであることが外部端子に寄生するインダクタンスを小さくする観点から好ましい。
なお、本態様は、後述する変形例2,3に対応する。
【0059】
第24の態様に係るコネクタは、第1~第23の何れかの態様に係る複数の端子ユニットと、前記複数の端子ユニットを保持するハウジングと、を備える。
【0060】
本態様では、コネクタは、複数の端子ユニットと、複数の端子ユニットを保持するハウジングと、を備える。端子ユニットがインピーダンス整合が強化されたものであるため、インピーダンス整合が強化されたコネクタとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】実施形態のコネクタを示す斜視図(右半分の断面図)である。
【
図2】実施形態のコネクタを示す分解斜視図(右半分の断面図)である。
【
図6】端子ユニットの断面図(ユニット上下方向に垂直な断面)である。
【
図7】端子ユニットの断面図(ユニット幅方向に垂直な断面)である。
【
図8】端子ユニットの外部端子及び誘電体部材を省略した斜視図であり、シールドケーブルに取り付けられた状態を示す。
【
図9】シールドケーブルに接続された内部端子において、インピーダンス調整部付近を拡大した斜視図である。
【
図10】実施形態のコネクタを示す斜視図(左半分の断面図)である。
【
図11】実施形態のコネクタを示す分解斜視図(左半分の断面図)である。
【
図14】誘電体部材及びインピーダンス調整部材を示す斜視図である。
【
図16】外部導体を省略して端子ユニットを示す斜視図である。
【
図18】端子ユニットの前後方向に沿った断面図である。
【
図19】端子ユニットの前後方向に直交する断面図(
図18の19-19線断面図)である。
【
図20】変形例1に係る端子ユニットの分解斜視図である。
【
図21】変形例1に係る端子ユニットの斜視図である。
【
図22】変形例1に係る誘電体部材及びインピーダンス調整部材を示す斜視図である。
【
図23】変形例1に係る端子ユニットを、外部端子を省略して示す図である。
【
図24】変形例1に係る端子ユニットを示す図である。
【
図25】変形例1に係るスリーブを示す断面図である。
【
図26】変形例1に係る突入部を拡大して示す断面図である。
【
図27】変形例2に係る端子ユニットの分解斜視図である。
【
図28】変形例2に係る端子ユニットの斜視図である。
【
図29】変形例2に係る誘電体部材及びインピーダンス調整部材を示す斜視図である。
【
図30】変形例2に係る端子ユニットを示す図である。
【
図31】変形例3に係る端子ユニットを示す分解斜視図である。
【
図32】変形例3に係る端子ユニットを示す斜視図である。
【
図33】変形例3に係る誘電体部材、インピーダンス調整部材及びスリーブを示す斜視図である。
【
図34】変形例3に係る端子ユニットを、外部端子を省略して示す図である。
【
図35】変形例3に係る端子ユニットを示す図である。
【
図36】変形例3に係るインピーダンス調整部材を示す断面斜視図である。
【
図37】変形例3に係る突入部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下、実施形態に係るコネクタ100について説明する。
【0063】
(コネクタ100)
図1、
図10は、コネクタ100を複数のシールドケーブル90A,90Bと共に示す。なお、
図1は、コネクタ100の右半分を示し、
図10は、コネクタの左半分を示す。コネクタ100の右半分と左半分とは、内蔵されている端子ユニット14,15の種類が異なる。
【0064】
なお、各図の矢印Xはコネクタ前方向、矢印Yはコネクタ幅方向一方側(左側)、矢印Zはコネクタ上方向を示す。
【0065】
コネクタ100は、略直方体形状のハウジング12と、ハウジング12に収容された複数の端子ユニット14,15と、を備える。
【0066】
ハウジング12は、複数の端子ユニット収容部12aを有する。端子ユニット収容部12aには、端子ユニット14,15が収容される。端子ユニット収容部12aは、ハウジング12をX方向(コネクタ前後方向)に貫通する。
【0067】
複数の端子ユニット収容部12aは、ハウジング12の上部に位置する複数の端子ユニット収容部12aと、ハウジング12の下部に位置する複数の端子ユニット収容部12aと、から構成される。
【0068】
端子ユニット収容部12aは、端子ユニット14,15を-X方向(コネクタ後方向)から挿入可能に構成される。また、端子ユニット収容部12aは、端子ユニット収容部12a内に挿入された端子ユニット14,15が+X方向へ抜け出さないように構成される。
【0069】
ハウジング12は、コネクタ100と相手側コネクタ(接続対象物、不図示)との接続状態を維持するための弾性係止部12bを有する。弾性係止部12bは、操作部12b1と爪部12b2とを有する。操作部12b1を押下して爪部12b2を変位させることで、コネクタ100と相手側コネクタとの接続を解除できる。弾性係止部12bは、ハウジング12の上部に形成される。
【0070】
コネクタ100は、係止部固定部材16を有する。係止部固定部材16がハウジング12に取り付けられた状態では、弾性係止部12bの撓みが防止される。その結果、コネクタ100を相手側コネクタとの接続状態が解除されることが防止される。
【0071】
コネクタ100は、抜止部材18を備える。抜止部材18が取り付けられた状態では、端子ユニット14,15が端子ユニット収容部12aから-X方向(コネクタ後方向)へ抜け出すことが防止される。
【0072】
(端子ユニット14)
次に、
図3~
図9を用いて、端子ユニット14について説明する。
【0073】
なお、各図の矢印Xはユニット前方向(軸方向一方側)、矢印Yはユニット上方向、矢印Zをユニット幅方向一方側を示す。すなわち、端子ユニット14は、その幅方向一方側をコネクタ上方向に向けた姿勢で配置される。
【0074】
端子ユニット14は、二の内部導体91(
図6参照)を有するシールドケーブル90Aに取り付けられるものである。
図4に示すように、端子ユニット14は、二の内部端子20と、誘電体部材30と、外部端子40と、を備える。
【0075】
(内部端子20)
図5は、内部端子20を拡大して示す。
内部端子20は、シールドケーブル90Aの内部導体91に接続する部材である。内部端子20は、金属製の板材が筒状に曲げられること等により製造される。内部端子20は、ユニット幅方向(Z方向)にほぼ対称な構造である。
【0076】
なお、以下の説明において径方向とは、内部端子20の中心を通りユニット前後方向に平行な仮想的な中心軸AXに垂直な方向を意味する。そして、径方向外側とは、径方向のうち中心軸AXから遠ざかる方向を意味する。
【0077】
内部端子20は、接触部21と、筒状部22と、連結部23と、圧着部24と、インピーダンス調整部25と、を前側から後側へ向けてこの順に備える。
【0078】
接触部21は、相手側コネクタの信号端子(不図示)と接触する部分である。接触部21は、一対の接触片21aを有する。一対の接触片21aは、接続対象物(相手側コネクタの信号端子)をユニット幅方向から挟み込むように当該信号端子に接触する。
【0079】
筒状部22は、板材が折り曲げられて筒状にされた部分である。筒状部22は、前後方向に直交する断面形状が円形である。筒状部22のユニット上方側(+Y方向側)の位置で板材の端部同士が突き合わされた状態になっている。
筒状部22には、係止孔22aが形成される。係止孔22aに誘電体部材30の係止突起36(
図7参照)が挿入されることにより、誘電体部材30に対する内部端子20の前後方向の相対移動が規制される。係止孔22aは、筒状部22の上面側(+Y方向側)と下面側(-Y方向側、
図7参照)との2箇所に形成される。
【0080】
連結部23は、筒状部22と圧着部24とを連結する部分である。具体的には、連結部23は、筒状部22の下面側(-Y方向側)の部分と、圧着部24の底板部24aとを前後方向で連結する。連結部23の断面形状(前後方向に直交する断面形状)は、略円弧状である。
【0081】
圧着部24は、内部導体91に圧着する部分である。
圧着部24は、底板部24aと、一対の圧着片24bと、を有する。底板部24aの内面側にシールドケーブル90Aの内部導体91を配置した状態で、一対の圧着片24bを変形させてそれらの端部付近を内部導体91に圧接させる。これにより、圧着部24が内部導体91に圧着し、内部導体91と内部端子20とが電気的に接続される。
圧着部24は、前後方向に沿ってほぼ一様な断面構造を有する。
【0082】
インピーダンス調整部25は、圧着部24に接続された部分である。インピーダンス調整部25が設けられることで、圧着部24の容量が増加して圧着部24のインピーダンスが低下する。
【0083】
インピーダンス調整部25は、圧着部24の底板部24aの後端部から延出される。インピーダンス調整部25は、径方向延在部25aと、前後方向延在部25bと、を有する。
【0084】
径方向延在部25aは、曲部を介して圧着部24の底板部24aに接続された部分であり、径方向外側へ延びる部分である。
具体的には、径方向延在部25aは、その板厚方向をX方向(ユニット前後方向)に向ける。径方向延在部25aは、その幅方向をZ方向(ユニット幅方向)に向け、径方向外側(具体的には、ユニット下方側、-Y方向)に延びる。径方向延在部25aの幅寸法(ユニット幅方向の寸法)は、圧着部24の幅寸法の50%以上であることが好ましく、80%以上であることが更に好ましい。ここでいう圧着部24の幅寸法とは、圧着部24が内部導体91に圧着した状態における幅寸法を意味する。
【0085】
前後方向延在部25bは、曲部を介して径方向延在部25aに接続された部分であり、後側(-X方向)へ延びる部分である。
具体的には、前後方向延在部25bは、その板厚方向をユニット上下方向(Y方向)に向ける。前後方向延在部25bは、その幅方向をユニット幅方向(Z方向)に向け、後側(-X方向)に延びる。前後方向延在部25bの幅寸法は、圧着部24の幅寸法の50%以上であることが好ましく、80%以上であることが更に好ましい。本実施形態では、前後方向延在部25bの幅寸法は、径方向延在部25aの幅寸法と略同一である。
【0086】
前後方向延在部25bは、シールドケーブル90Aの絶縁被覆92の外面の近傍を沿うように配置される。
図7に示すように、内部端子20がシールドケーブル90Aに取り付けられた状態では、前後方向延在部25bと絶縁被覆92との間の隙間(本実施形態ではユニット上下方向の隙間)は、前後方向延在部25bの板厚よりも小さいことが好ましい。また、内部端子20がシールドケーブル90Aの取り付けられた状態では、絶縁被覆92がインピーダンス調整部25の径方向延在部25aに接触又は近接した状態であることが好ましい。
【0087】
前後方向延在部25bの他端部25b1は、キャリア切断部26である。キャリア切断部26は、順送り加工により内部端子20を製造する際、最後に切断されてキャリアから切り離される部分である。
【0088】
(誘電体部材30)
誘電体部材30は、二の内部端子20を保持する部材である。
図4に示すように、誘電体部材30は、第一部材31と第二部材32とを備える。第一部材31と第二部材32とがユニット上下方向(Y方向)で組み合わされることで誘電体部材30が構成される。
【0089】
図6、
図7に示すように、誘電体部材30の内部には、内部端子20が収容される収容空間33が形成される。収容空間33の断面形状は、その前後方向の位置に応じて変化している。
【0090】
圧着部24の後端部(インピーダンス調整部25と隣接する部分)に対応する位置では、収容空間33の断面形状は、圧着部24の外形に沿った形状(具体的には円形)である。これにより、内部端子20の圧着部24の後端部が、誘電体部材30に対して径方向に位置ずれしないようになっている。つまり、当該位置では、一方の内部端子20の収容空間33と他方の内部端子20の収容空間33とが分離されており、一方の内部端子20と他方の内部端子20との間には、隔壁34(
図6参照)が介在する。
なお、内部導体91に圧着した状態の圧着部24の断面の大きさは、ばらつきやすい。そのため、収容空間33は、圧着部24の後端部に対応する位置において、起こりうる上記ばらつきを想定して余裕をもって収容できるように形成される。
しかし、その結果として、圧着部24と誘電体部材30とに一定程度の隙間が生まれ、圧着部24又は内部導体91の露出部分91eのインピーダンスを誘電体部材30だけでは十分に低下させることができない。
【0091】
圧着部24の後端部よりも前側に対応する位置では、収容空間33の断面形状は、圧着部24の後端部(インピーダンス調整部25と隣接する部分)に対応する位置と比較して、ユニット上下方向(Y方向)で拡大されている(
図7参照)。また、一方の内部端子20の収容空間33と他方の内部端子20の収容空間33とが連結されている(
図6参照)。
【0092】
インピーダンス調整部25に対応する位置では、収容空間33の断面形状は、圧着部24の後端部(インピーダンス調整部25と隣接する部分)に対応する位置と比較して、径方向で拡大されている。これにより、インピーダンス調整部25及び絶縁被覆92の一部(前端部)が配置可能な大きさとなっている。見方を変えると、
図7に示すように、誘電体部材30の後面30rには、前側を深さ方向とする凹部35であって、インピーダンス調整部25及び絶縁被覆92の一部(前端部)が配置される凹部35が形成されているといえる。これにより、インピーダンス調整部25は、誘電体部材30から後側に突出した状態でなく、誘電体部材30に包囲された状態となる。当該位置では、一方の内部端子20の収容空間33と他方の内部端子20の収容空間33とが分離されており、一方の内部端子20と他方の内部端子20との間には、隔壁34が介在する。
【0093】
誘電体部材30は、係止突起36を有する。係止突起36は、第一部材31と第二部材32とにそれぞれ形成される。係止突起36は、内部端子20の係止孔22aに配置される。
【0094】
(外部端子40)
外部端子40は、外部導体93に接続し、誘電体部材30を収容する部材である。
外部端子40は、金属の板材が折り曲げられること等により製造される。
【0095】
図4に示すように、外部端子40は、本体部41と、外部導体接続部42と、連結部43と、を備える。
【0096】
本体部41は、第一板部41aと、一対の第二板部41bと、を備える。
第一板部41aは、矩形の平板状であり、板厚方向をユニット上下方向(Y方向)に向ける。一対の第二板部41bの各々は、矩形の平板状であり、板厚方向をユニット幅方向(Z方向)に向ける。一対の第二板部41bは、曲部を介して第一板部41aに接続される。
【0097】
また、本体部41は、第三板部41cを備える。第三板部41cは、一対の第二板部41bの上端(+Y方向の端)同士をユニット幅方向に連結する。第三板部41cは、矩形の平板状であり、板厚方向をユニット上下方向(Y方向)に向ける。第三板部41cは、一対の第二板部41bから延出された一対の板部同士が組み合わされることで形成される。第三板部41cの前側の端は、第一板部41a及び一対の第二板部41bの前側の端よりも後側に形成される。
【0098】
外部導体接続部42は、シールドケーブル90Aの外部導体93に接続する部分である。なお、
図7、
図8に示すように、シールドケーブル90Aの外部導体93は、シールドケーブル90Aの末端付近において折り返されて外側被覆94の外側に重ねられており、当該折り返された部分に外部導体接続部42が接続する。
【0099】
連結部43は、本体部41と外部導体接続部42とをX方向で連結する部分である。連結部43の断面形状は、+Y方向が開放された略U字状である。
なお、端子ユニット14は、追加シールド部材98(
図3、
図7参照)を有する。追加シールド部材98は、X方向に延びる部材であり、-Y方向が開口された略U字状の断面形状を有する。連結部43と追加シールド部材98とが組み合わされることにより、シールドケーブル90Aの二の内部導体91(及び二の絶縁被覆92)が纏めて周方向で包囲されている。
【0100】
(端子ユニット15)
次に、
図12~
図19を用いて、端子ユニット15について説明する。
【0101】
なお、各図の矢印Xはユニット前方向(軸方向一方側)、矢印Yはユニット上方向、矢印Zをユニット幅方向一方側を示す。すなわち、端子ユニット15は、その幅方向一方側をコネクタ上方向に向けた姿勢で配置される。
【0102】
端子ユニット15は、端子ユニット14と異なり、一の内部導体91を有するシールドケーブル90B(
図12参照)に取り付けられるものである。
図12に示すように、端子ユニット15は、内部端子50と、誘電体部材60と、外部端子70と、インピーダンス調整部材80と、を備える。
【0103】
(内部端子50)
図13は、内部端子50を拡大して示す。
内部端子50は、シールドケーブル90Bの内部導体91に接続する部材である。内部端子50は、金属製の板材が筒状に曲げられること等により製造される。内部端子50は、ユニット幅方向(Z方向)にほぼ対称な構造である。
【0104】
なお、以下の説明において径方向とは、内部端子50の中心を通りユニット前後方向に平行な仮想的な中心軸AXに垂直な方向を意味する。そして、径方向外側とは、径方向のうち中心軸AXから遠ざかる方向を意味する。
【0105】
内部端子50は、接触部51と、筒状部52と、連結部53と、圧着部54と、を前側から後側へ向けてこの順に備える。なお、内部端子50は、内部端子20と異なり、インピーダンス調整部25(
図5参照)を備えない。
【0106】
接触部51は、相手側コネクタの信号端子(不図示)と接触する部分である。接触部51は、一対の接触片51aを有する。一対の接触片51aは、接続対象物(相手側コネクタの信号端子)をユニット幅方向から挟み込むように当該信号端子に接触する。
【0107】
筒状部52は、板材が折り曲げられて筒状にされた部分である。筒状部52は、前後方向に直交する断面形状が円形である。筒状部52のユニット上方側(+Y方向側)の位置で板材の端部同士が突き合わされた状態になっている。
筒状部52には、係止孔52aが形成される。係止孔52aに誘電体部材60の係止突起66(
図18参照)が挿入されることにより、誘電体部材60に対する内部端子50の前後方向の相対移動が規制される。係止孔52aは、筒状部52の上面側(+Y方向側)と下面側(-Y方向側、
図18参照)との2箇所に形成される。
筒状部52の中間部は、筒状部52の前部及び後部と比較して外径が小さい。2つの係止孔52aは、筒状部52の中間部に形成される。
【0108】
連結部53は、筒状部52と圧着部54とを連結する部分である。具体的には、連結部53は、筒状部52の下面側(-Y方向側)の部分と、圧着部54の底板部54aとを前後方向で連結する。連結部53の断面形状(前後方向に直交する断面形状)は、略円弧状である。
【0109】
圧着部54は、シールドケーブル90Bの内部導体91に圧着する部分である。
圧着部54は、底板部54aと、一対の圧着片54bと、を有する。底板部54aの内面側にシールドケーブル90Bの内部導体91を配置した状態で、一対の圧着片54bを変形させてそれらの端部付近を内部導体91に圧接させる。これにより、圧着部54が内部導体91に圧着し、内部導体91と内部端子50とが電気的に接続される。
圧着部54は、前後方向に沿ってほぼ一様な断面構造を有する。
【0110】
(誘電体部材60)
誘電体部材60は、内部端子50を保持する部材である。
図12に示すように、誘電体部材60は、第一部材61と第二部材62とを備える。第一部材61と第二部材62とがユニット上下方向(Y方向)で組み合わされることで誘電体部材60が構成される。
【0111】
図18、
図19に示すように、誘電体部材60の内部には、内部端子50が収容される空間が形成される。内部端子50が収容される空間の断面形状は、概ね内部端子50の外形に沿った形状である。
【0112】
図18に示すように、誘電体部材60は、係止突起66を有する。係止突起66は、第一部材61と第二部材62とにそれぞれ形成される。係止突起66は、内部端子50の係止孔52a(
図13参照)に配置される。
【0113】
図14に示すように、誘電体部材60の外面には、インピーダンス調整部材80を配置するための配置凹部63が形成される。
配置凹部63は、誘電体部材60の後部60Bに形成される。配置凹部63が形成されることで、誘電体部材60の後部60Bは、一般部である中間部60Aよりも断面形状(前後方向に垂直な断面形状)が小さくなっている。具体的には、配置凹部63は、誘電体部材60の外面のうち上面、一対の側面(ユニット幅方向外側を向く面)及び下面の全周に亘って形成される。但し、本実施形態のインピーダンス調整部材80の形状との関係では、配置凹部63のうち誘電体部材60の下面に対応する部分は省略してもよい。
なお、本実施形態では誘電体部材60の前部60Cも、中間部60A(一般部)よりも断面形状が小さい。
【0114】
配置凹部63は、突出片配置部63aを有する。突出片配置部63aは、後述するインピーダンス調整部材80の突出片81a1が配置される部分であり、配置凹部63の他の部分よりも前側へ拡大された部分である。突出片配置部63aは、誘電体部材60の上面側に形成される。
【0115】
誘電体部材60は、筒状突出部64を有する。
筒状突出部64は、誘電体部材60の後面60rから後側へ筒状に突出する。筒状突出部64は、インピーダンス調整部材80の蓋部82と内部導体91との間に配置される(
図18参照)。これにより、インピーダンス調整部材80と内部導体91との短絡を防止すると共に当該箇所におけるインピーダンスを低下させることができる。
【0116】
(インピーダンス調整部材80)
インピーダンス調整部材80は、圧着部54のインピーダンスを調整するための部材である。インピーダンス調整部材80は、導電性の部材で構成される。インピーダンス調整部材80は、内部端子50及び外部端子70とは別体として形成される。
【0117】
図14に示すように、インピーダンス調整部材80は、板厚方向を前後方向に垂直な平面(YZ平面)に沿う方向に向けて前後方向(X方向)に延びる前後方向延在部81と、板厚方向を前後方向に垂直な平面(YZ平面)に交差する方向に向ける蓋部82と、を備える。
【0118】
前後方向延在部81は、内部端子50を挟むように対向する一対の対向板部81bと、一対の対向板部81bを互いに連結する連結板部81aと、を有する。一対の対向板部81bと連結板部81aとの間には板材が曲げられた一対の曲部81cが形成される。曲部81cは、前後方向(X方向)に延びる。
【0119】
蓋部82は、板厚方向を前後方向に垂直な平面(YZ平面)に直交する方向(つまり前後方向)に向ける平板部83と、平板部83と前後方向延在部81とを接続する接続曲部84a,84bと、を有する。
接続曲部84a,84bは、平板部83と一対の対向板部81bとを接続する一対の第一曲部84bと、平板部83と連結板部81aとを接続する第二曲部84aと、を有する。第一曲部84bは、ユニット上下方向(Y方向)に延び、第二曲部84aは、ユニット幅方向(Z方向)に延びる。
【0120】
蓋部82には、内部導体91が前後方向に通過すると共に、前後方向に垂直な一方向(本実施形態では、ユニット下方向である-Y方向)に開放されている通過部85が形成される。その結果、蓋部82は、内部導体91を挟むように配置される一対の側板部82bと、一対の側板部82bを互いに連結する上板部82aと、を有する構成になっている。通過部85は、一対の側板部82bの間に形成される。第一曲部84bは側板部82bに属し、第二曲部84aは上板部82aに属する。
【0121】
一対の第一曲部84bと第二曲部84aとの間には、一対の貫通孔80hが形成される。これにより、インピーダンス調整部材80の製造が容易になっている。
【0122】
前後方向延在部81には、誘電体部材60の突出片配置部63aに配置される突出片81a1が形成される。これにより、誘電体部材60に対してインピーダンス調整部材80を配置する方向(本実施形態ではユニット上方向側から配置する。)を誤ることが防止される。なお、本実施形態では、誘電体部材60の後部60Bの断面形状(前後方向に垂直な断面形状)は略正方形である。
【0123】
(外部端子70)
図15は、外部端子70の斜視図である。
外部端子70は、シールドケーブル90Bの外部導体93(
図12参照)に接続し、内部端子50、誘電体部材60及びインピーダンス調整部材80を収容する部材である。外部端子70は、金属の板材が折り曲げられること等により製造される。
【0124】
図15に示すように、外部端子70は、本体部71と、第一圧着部72と、を備える。
【0125】
本体部71は、第一板部71aと、一対の第二板部71bと、を備える。第一板部71aは、矩形の平板状であり、板厚方向をユニット上下方向(Y方向)に向ける。一対の第二板部71bの各々は、矩形の平板状であり、板厚方向をユニット幅方向(Z方向)に向ける。一対の第二板部71bは、曲部を介して第一板部71aに接続される。
【0126】
また、本体部71は、第三板部71cを備える。第三板部71cは、一対の第二板部71bの上端(+Y方向の端)同士をユニット幅方向に連結する。第三板部71cは、矩形の平板状であり、板厚方向をユニット上下方向(Y方向)に向ける。第三板部71cは、一対の第二板部71bから延出された一対の板部同士が組み合わされることで形成される。第三板部71cの前端は、第一板部71a及び一対の第二板部71bの前端よりも後側に形成される。
【0127】
これらの第一板部71a、一対の第二板部71b及び第三板部71cによって内部に内部端子50及び誘電体部材60を収容する筒状部71a,71b,71cが形成される。本体部71は、筒状部71a,71b,71cの他に、後面部71dを有する。
後面部71dは、本体部71の内部空間を後側から一部閉塞するように形成される。後面部71dは、筒状部71a,71b,71cと第一圧着部72とを連結するようにも機能する。
【0128】
図15に示すように、後面部71dは本体部71の内部空間を一部において閉塞するのみであるため、本体部71には、その内部空間が後側に開放される開口71eが形成される。具体的には、後面部71dは、本体部71の内部空間を下部において閉塞し、開口71eは本体部71の上部に形成される。
【0129】
第一圧着部72は、シールドケーブル90Bの外部導体93に接続する部分である。具体的には、第一圧着部72は、シールドケーブル90Bの外部導体93に対して外周側から巻き付くように接続する。以下、第一圧着部72を接続部72ということがある。
【0130】
また、外部端子70は、シールドケーブル90Bの外側被覆94(
図12参照)の外側に固定される第二圧着部73を有する。第二圧着部73は、第一圧着部72よりも後側に形成される。
【0131】
図18に示すように、シールドケーブル90Bの絶縁被覆92と外部導体93との間には、導電性のスリーブ19が挿入される。スリーブ19は、円筒状である。スリーブ19の前端部には、径方向外側に拡大された拡径部19aが形成される。拡径部19aが形成されることで、シールドケーブル90Bのうち絶縁被覆92及び内部導体91が外部導体93及び外側被覆94に対して後側へ移動してしまうことが抑制される。スリーブ19の前端は、インピーダンス調整部材80(本実施形態では蓋部82)に接触していることが好ましい。
【0132】
図15、
図19に示すように、本体部71は、インピーダンス調整部材80に接触するための複数の突状部74を有する。
突状部74は、筒状部71a,71b,71cの内部空間へ向けて突出するように形成される。突状部74は、一対の第二板部71b及び第三板部71cのそれぞれに形成される。具体的には、一対の第二板部71bには、それぞれ2つの突状部74が形成され、第三板部71cには、1つの突状部74が形成される。複数(5つ)の突状部74は、前後方向で同じ位置に形成される。第二板部71bに形成された突状部74は、インピーダンス調整部材80の前後方向延在部81の対向板部81bに接触し、第三板部71cに形成された突状部74は、インピーダンス調整部材80の前後方向延在部81の連結板部81aに接触する。突状部74は、ドーム型の形状である。
【0133】
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果のうち、端子ユニット14の構成に関連する作用効果について説明する。
【0134】
本実施形態では、
図3に示すように、端子ユニット14は、シールドケーブル90Aに取り付けられるものである。
図6~
図8に示すように、シールドケーブル90Aは、二の内部導体91と、二の内部導体91をシールドする外部導体93と、を有する。
図4に示すように、端子ユニット14は、二の内部導体91に接続する二の内部端子20と、二の内部端子20を保持する誘電体部材30と、外部導体93に接続する外部端子40と、を備える。外部端子40は、誘電体部材30を収容する。
図5に示すように、内部端子20は、接続対象物(相手側コネクタの信号端子)と接触する接触部21と、内部導体91に圧着する圧着部24と、を有する。接触部21は、前側に設けられ、圧着部24は、後側に設けられる。
【0135】
ここで、内部端子20は、圧着部24に接続されたインピーダンス調整部25をさらに備える。このため、圧着部24の容量を増加させ、圧着部24のインピーダンスを低下させることができる。
さらに、インピーダンス調整部25は、圧着部24に対して後側に突出する。このため、シールドケーブル90Aの内部導体91のうち圧着部24が圧着した位置よりも後側の部分であって、絶縁被覆92から露出した部分91e(以下、内部導体の露出部分91eという。
図7、
図9参照)においてインピーダンスが過剰に上昇することを防止することができる。
【0136】
また、本実施形態では、
図9に示すように、インピーダンス調整部25は、前後方向に延びる前後方向延在部25bを有する。なお、本実施形態では、圧着部24と前後方向延在部25bとの間に径方向延在部25aが形成されているが、この径方向延在部25aは省略されてもよい。このため、内部導体91又は内部導体91を被覆する絶縁被覆92に沿うように径方向延在部25aを配置することができる。その結果、インピーダンス調整部25の長さを確保できるので、より一層インピーダンス整合を強化することができる。
【0137】
また、本実施形態では、インピーダンス調整部25は、径方向に延びる径方向延在部25aをさらに有する。径方向延在部25aは、圧着部24と前後方向延在部25bとの間に位置する。このため、圧着部24を絶縁被覆92に近接させることができると共に、絶縁被覆92に沿うように前後方向延在部25bを配置することができる。その結果、より一層インピーダンス整合を強化することができる。
【0138】
また、本実施形態では、インピーダンス調整部25は、圧着部24と一体に形成される。このため、インピーダンス調整部25が圧着部24とは別体として形成される態様と比較して、内部端子20の製造が容易である。
【0139】
また、本実施形態では、インピーダンス調整部25は、圧着部24の底板部24aの後端部から延出される。このため、インピーダンス調整部25が底板部24aの後端部以外の部分から延出される態様と比較して、内部端子20の製造が容易である。
【0140】
また、本実施形態では、
図9に示すように、インピーダンス調整部25は、内部導体91を周方向で包囲する構造ではない。このため、インピーダンス調整部25が内部導体91を周方向で包囲する構造である態様と比較して、インピーダンスが過剰に低下してしまうのを防止できる。
【0141】
また、本実施形態では、端子ユニット14は、二の内部端子20を有する。そして、二の内部端子20がそれぞれ有するインピーダンス調整部25は、いずれも、二の内部導体91の間に配置されない(
図6参照)。
二の内部端子20がそれぞれ有するインピーダンス調整部25のいずれかが二の内部導体91の間に配置されると、インピーダンス整合に悪影響を与えるおそれがあるところ、本実施形態ではこれを防止することができる。
【0142】
また、本実施形態では、誘電体部材30は、二の内部端子20がそれぞれ有するインピーダンス調整部25の間に位置する隔壁34(
図6参照)を有する。このため、このような隔壁34を有しない態様と比較して、インピーダンスを低下させることができる。
【0143】
また、本実施形態では、
図5に示すように、インピーダンス調整部25のうち圧着部24に接続されているのとは反対側の端部25b1は、キャリア切断部26である。このため、内部端子20の製造工程においてキャリアと切断する位置を調整することで、インピーダンス調整部25を有する内部端子20を製造することができる。よって、内部端子20の製造が容易である。
【0144】
また、本実施形態では、
図6、
図7に示すように、誘電体部材30は、インピーダンス調整部25を周方向で包囲する。このため、誘電体部材30がインピーダンス調整部25を周方向で包囲しない態様と比較して、内部導体91の露出部分91eにおけるインピーダンスを低下させることができる。
【0145】
次に、本実施形態の作用効果のうち、端子ユニット15の構成に関連する作用効果について説明する。
【0146】
本実施形態では、
図12に示すように、端子ユニット15は、シールドケーブル90Bに取り付けられるものである。シールドケーブル90Bは、内部導体91と、内部導体91をシールドする外部導体93と、を有する。
端子ユニット15は、内部導体91に接続する内部端子50と、内部端子50を保持する誘電体部材60と、外部導体93に接続する外部端子70と、を備える。外部端子70は、内部端子50を収容する。内部端子50は、内部導体91に圧着する圧着部54を備える。
【0147】
ここで、端子ユニット15は、内部端子50及び外部端子70とは別体として形成された導電性のインピーダンス調整部材80を更に備える。インピーダンス調整部材80は、外部端子70と内部端子50との間の位置であって、圧着部54のインピーダンスを調整可能な位置(
図18参照)に配置された調整部80を有する。なお、本実施形態では、インピーダンス調整部材80の全体が調整部80となっている。
このため、圧着部54においてインピーダンスが過剰に上昇してしまうことが抑制され、インピーダンスの整合が強化された端子ユニット15とすることができる。
【0148】
また、本実施形態では、
図15に示すように、外部端子70は、内部端子50を収容する本体部71と、本体部71に対して後側に設けられ外部導体93に接続する接続部72と、を有する。ここで、本体部71には、当該本体部71の内部空間が後側に開放される開口71eが形成される。このため、本体部71にこのような開口71eが形成されない態様と比較して、本体部71を含む外部端子70の製造が容易である。
【0149】
更に、
図14に示すように、調整部80は、蓋部82を有する。蓋部82は、前後方向に垂直な平面に交差する方向に板厚方向を向ける部分であって、開口71eを狭めるように配置される(
図17参照)。このため、本体部71の開口71eが狭められ、内部端子50と他の電子部品とのクロストークを防止することができる。
【0150】
また、本実施形態では、
図14に示すように、蓋部82は、内部導体91を挟むように配置される一対の側板部82bと、一対の側板部82bを互いに連結する上板部82aと、を有する。そして、一対の側板部82bの間に内部導体91が前後方向に通過する通過部85が形成され、通過部85は前後方向に垂直な一方向に開放されている。
このため、端子ユニット15の組立時、インピーダンス調整部材80を内部導体91に対して前後方向に垂直な一方向(本実施形態ではユニット上方向)から配置することができる。よって、端子ユニット15の組立が容易になる。
【0151】
また、本実施形態では、調整部80は、前後方向延在部81を有する。前後方向延在部81は、板厚方向を前後方向に垂直な平面(YZ平面)に沿う方向に向けて前後方向(X方向)に延びる。
このため、調整部80が前後方向延在部81を有しない態様と比較して、インピーダンス整合を強化することができる。
【0152】
また、本実施形態では、
図14に示すように、前後方向延在部81は、内部端子50を挟むように対向する一対の対向板部81bと、一対の対向板部81bを互いに連結する連結板部81aと、を有する。
このため、例えば前後方向延在部81が内部端子50を挟むように形成されない態様と比較して、インピーダンス整合を強化することができる。
【0153】
また、本実施形態では、
図19に示すように、一対の対向板部81b及び連結板部81aの3つの板部は、それぞれ、外部端子70に接触している。このため、これらの板部81a,81bと外部端子70とによる共振ノイズの発生を抑制することができる。
【0154】
また、本実施形態では、3つの板部81a,81b(一対の対向板部81b及び連結板部81a)のそれぞれと外部端子70との接触は、前後方向延在部81又は外部端子70の少なくとも一方に形成された突状部74を介して実現される。
このため、互いの平面部同士を接触させる態様と比較して、安定した接触状態を維持できる。また、バネ片等の片持ちバネを介して接触している態様と比較して、インピーダンス調整部材80又は外部端子70に寄生するインダクタンスを小さくすることができる。
【0155】
また、本実施形態では、
図19に示すように、3つの板部81a,81bのそれぞれと外部端子70との接触は、外部端子70に形成された突状部74を介して実現される。
このため、突状部74がインピーダンス調整部材80の前後方向延在部81に形成される態様と比較して、突状部74を大きく形成しやすい。なぜなら、外部端子70は前後方向延在部81よりも大きく形成しやすいからである。その結果、外部端子70とインピーダンス調整部材80との接触を安定させることができる。
【0156】
また、本実施形態では、
図14に示すように、インピーダンス調整部材80は、誘電体部材60の外面に配置される。そして、誘電体部材60の外面には、インピーダンス調整部材80が配置される配置凹部63が形成される。
このため、誘電体部材60及びインピーダンス調整部材80を効率よく外部端子70に収容させることができる。
【0157】
以下、端子ユニット15の変形例1,2,3について説明する。
【0158】
<変形例1:端子ユニット115>
次に、
図20~
図26を用いて、変形例1に係る端子ユニット115について説明する。
なお、図面に上記実施形態と同一の符号を付した部品及び部分については、上記実施形態と基本的に同一の構成を有する。
【0159】
図20に示すように、変形例1に係る端子ユニット115は、内部端子150と、誘電体部材160と、外部端子170と、インピーダンス調整部材180と、スリーブ19と、を備える。
【0160】
(内部端子150)
内部端子150は、シールドケーブル90Bの内部導体91に接続する。
【0161】
(誘電体部材160)
誘電体部材160は、内部端子150を保持し、外部端子170の本体部71に収容される。
【0162】
図22に示すように、誘電体部材160の外面には、インピーダンス調整部材180が配置される配置凹部63が形成される。
配置凹部63は、誘電体部材160の後部60Bに形成される。これにより、誘電体部材160の後部60Bは、一般部である中間部60Aよりも断面形状(前後方向に垂直な断面形状)が小さくなっている。具体的には、配置凹部63は、誘電体部材160の外面のうち上面、一対の側面(幅方向外側を向く面)及び下面の全周に亘って形成される。但し、本実施形態のインピーダンス調整部材180の形状との関係では、配置凹部63のうち誘電体部材160の下面に対応する部分は省略してもよい。
【0163】
誘電体部材160の外面には、インピーダンス調整部材180の突出片81a1が配置される拡大凹部65が形成される。拡大凹部65は、配置凹部63と繋がっている。拡大凹部65は、誘電体部材160の中間部60Aに形成される。拡大凹部65は、誘電体部材160の上面に形成される。
【0164】
拡大凹部65は、幅広部65aと、幅狭部65bと、を有する。幅広部65aの幅寸法は、幅狭部65bよりも大きい。幅狭部65bは、幅広部65aと配置凹部63とを接続する。
【0165】
拡大凹部65の幅狭部65bは、配置凹部63と同一平面上に位置する。拡大凹部65の幅広部65aは、配置凹部63よりも上方に位置する。拡大凹部65の幅広部65aと幅狭部65bとの境界には段差が形成される。
拡大凹部65の幅広部65aを基準にすると、拡大凹部65の幅狭部65b及び配置凹部63は下方へ窪んでいる。この窪みは、後述するインピーダンス調整部材180の弾性接触部87の変形を許容する回避凹部63,65bとして機能する。
【0166】
誘電体部材160は、筒状突出部64を有する。
筒状突出部64は、筒状(具体的には円筒状)であり、誘電体部材160の後面60rから後側へ突出する。筒状突出部64は、内部導体91を包囲する。これにより、内部導体91とその他の部材(本実施形態ではインピーダンス調整部材180)との短絡を防止すると共に当該箇所におけるインピーダンスを低下させることができる。
【0167】
図26に示すように、筒状突出部64の先端側の一部64aは、スリーブ19内に配置される。筒状突出部64のうちスリーブ19内に配置される部分を突入部64aという。
突入部64aの前後寸法は、筒状突出部64の前後寸法の1/3以上が好ましく、1/2以上がより好ましい。また、突入部64aの前後寸法は、例えば0.2mm以上である。
【0168】
(インピーダンス調整部材180)
図22に示すように、インピーダンス調整部材180は、板厚方向を前後方向に垂直な平面(YZ平面)に沿う方向に向けて前後方向(X方向)に延びる前後方向延在部81と、板厚方向を前後方向に垂直な平面(YZ平面)に交差する方向に向ける蓋部82と、を備える。
【0169】
前後方向延在部81は、内部端子150を挟むように対向する一対の対向板部81bと、一対の対向板部81bを互いに連結する連結板部81aと、を有する。一対の対向板部81bと連結板部81aとの間には板材が曲げられた一対の曲部81cが形成される。曲部81cは、前後方向(X方向)に延びる。
【0170】
蓋部82は、板厚方向を前後方向に向ける平板部83b、83bと、平板部83b、83bと前後方向延在部81とを接続する接続曲部84b、84bと、を有する。
接続曲部84b、84bは、平板部83b、83bと一対の対向板部81bとを接続する一対の第一曲部84b,84bを有する。第一曲部84bは、上下方向(Y方向)に延びる。
平板部83b、83bは、互いに分離された一対の分離部83b,83bを有する。一対の分離部83b,83bの各々は、一対の第一曲部84b,84bの各々と接続する。
【0171】
換言すると、蓋部82は、内部導体91を挟むように配置される一対の側板部82bを有する。蓋部82は、一対の側板部82bを互いに連結する部分(上板部)を有しない。各側板部82bは、第一曲部84bと分離部83bとから構成される。
これにより、蓋部82には、内部導体91及び筒状突出部64が前後方向に通過すると共に、前後方向に垂直な一方向(本実施形態では、下方向である-Y方向)に開放されている通過部85が形成される。通過部85は、一対の側板部82bの間に形成された空間である。
【0172】
蓋部82の上部では、分離部83bの幅寸法が大きく、蓋部82の下部では、分離部83bの幅寸法が小さい。このため、蓋部82の上部では、一対の側板部82bの間の空間の幅寸法が狭く、蓋部82の下部では、一対の側板部82bの間の空間の幅寸法が広い。
【0173】
前後方向延在部81には、誘電体部材160の拡大凹部65に配置される突出片81a1が形成される。これにより、誘電体部材160に対してインピーダンス調整部材180を配置する方向(本実施形態ではユニット上方向側から配置する。)を誤ることが防止される。
【0174】
突出片81a1の先端部は、突出片81a1の基端部よりも幅寸法が大きい。つまり、突出片81a1の形状は、誘電体部材160の拡大凹部65の形状と対応する。これにより、インピーダンス調整部材180と誘電体部材160とは、前後方向(軸方向)で互いに係止される。
【0175】
インピーダンス調整部材180は、スリーブ19をインピーダンス調整部材180に向けて付勢する付勢部86を有する。
付勢部86は、インピーダンス調整部材180の後端に形成される。付勢部86は、連結板部81aの後端に形成された幅方向に延びる曲部86aと、曲部86aから延びる一対の付勢片86bを有する。一対の付勢片86bの各々は、板厚方向を前後方向に向ける。一対の付勢片86bは、曲部86aから幅方向外側かつ下側の斜め方向に延びる。これにより、一対の付勢片86bは、スリーブ19の外周面に沿って延びている。一対の付勢部86の間にスリーブ19が幅方向で挟まれる。このとき、一対の付勢片86bは、弾性変形した状態となる。
また、
図23に示すように、一対の付勢片86bと一対の側板部82bとの間にスリーブ19の拡径部19aが前後方向で挟まれる。換言すると、付勢部86の一対の付勢片86bは、スリーブ19の拡径部19aをインピーダンス調整部材180の蓋部82に向けて付勢する。これにより、インピーダンス調整部材180とスリーブ19とは、前後方向(軸方向)で互いに係止される。換言すると、付勢部86は、スリーブ19が誘電体部材160に対して後側に移動することを規制する。以下、付勢部86を規制部86ということがある。
【0176】
なお、付勢部86は、前後方向に垂直な平面に交差する方向に板厚方向を向ける部分であって、本体部71の後側の開口を狭めるように配置されている。したがって、付勢部86は、蓋部86ともいえる。
【0177】
インピーダンス調整部材180は、外部端子170の突状部74に弾性的に接触する弾性接触部87を有する。
具体的には、インピーダンス調整部材180に貫通孔が形成され、弾性接触部87は、この貫通孔を分断するように形成される。これにより、弾性接触部87は、両持ちバネとなる。弾性接触部87は前後方向に延びる。弾性接触部87は、連結板部81aに形成される。弾性接触部87は、貫通孔が形成される板部(連結板部81a)と同一平面上に位置する。換言すると、弾性接触部87は、貫通孔が形成される板部の平坦な板面を維持している。弾性接触部87は、誘電体部材160の回避凹部63,65bに対応する位置に形成される。これにより、弾性接触部87の誘電体部材160側への変形が許容される。
【0178】
(外部端子170)
外部端子170は、シールドケーブル90Bの外部導体93に接続する。また、外部端子170は、内部端子150、誘電体部材160及びインピーダンス調整部材180を収容する。外部端子170は、金属の板材が折り曲げられること等により製造される。
【0179】
外部端子170は、本体部71を備える。
図20に示すように、本体部71は、第一板部71aと、一対の第二板部71bと、を備える。第一板部71aは、矩形の平板状であり、板厚方向をユニット上下方向(Y方向)に向ける。一対の第二板部71bの各々は、矩形の平板状であり、板厚方向をユニット幅方向(Z方向)に向ける。一対の第二板部71bは、曲部を介して第一板部71aに接続される。
【0180】
また、本体部71は、第三板部71cを備える。第三板部71cは、一対の第二板部71bの上端(+Y方向の端)同士をユニット幅方向に連結する。第三板部71cは、矩形の平板状であり、板厚方向をユニット上下方向(Y方向)に向ける。第三板部71cは、一対の第二板部71bから延出された一対の板部同士が組み合わされることで形成される。
【0181】
第三板部71cの前端は、第一板部71a及び一対の第二板部71bの前端よりも後側に形成される。
【0182】
また、外部端子170は、第一圧着部72を備える。
第一圧着部72は、シールドケーブル90Bの外部導体93に対して外側から圧着する。
【0183】
また、外部端子170は、第二圧着部73を有する。
第二圧着部73は、シールドケーブル90Bの外側被覆94に対して外側からに圧着する。第二圧着部73は、第一圧着部72よりも後側に形成される。第二圧着部73は、第一圧着部72よりも圧着する対象の径が大きい。
【0184】
図24に示すように、本体部71は、インピーダンス調整部材180に接触する複数の突状部74を有する。
突状部74は、本体部71の内側へ向けて突出する形状であり、具体的にはドーム型の形状である。
突状部74は、一対の第二板部71b及び第三板部71cのそれぞれに形成される。具体的には、一対の第二板部71b及び第三板部71cの各々には、2つの突状部74が形成される。これら2つの突状部74は、前後方向に並ぶ。第二板部71bに形成された突状部74は、インピーダンス調整部材180の前後方向延在部81の対向板部81bに接触し、第三板部71cに形成された突状部74は、インピーダンス調整部材180の前後方向延在部81の連結板部81aに接触する。第三板部71cに形成された突状部74は、連結板部81aに形成された弾性接触部87に接触する。
【0185】
(スリーブ19)
図25に示すように、スリーブ19は、絞り加工品である。
【0186】
スリーブ19は、導電性の部材で形成される。スリーブ19は、円筒状である。スリーブ19は、シールドケーブル90Bの絶縁被覆92と外部導体93との間に挿入される。これにより、スリーブ19は、絶縁被覆92の外側に配置され、絶縁被覆92の形状を保持するように機能する。
【0187】
スリーブ19は、当該スリーブ19の前端部に形成された拡径部19aを有する。拡径部19aでは、他の部分よりも外径が拡大されている。拡径部19aは、インピーダンス調整部材180の蓋部82と付勢部86との間に前後方向で挟まれる(
図23参照)。これにより、スリーブ19は、インピーダンス調整部材180と押圧接触する。
【0188】
スリーブ19は、当該スリーブ19の後端部に形成された縮径部19bを有する。縮径部19bでは、後側に進むに従い外径が縮小されている。これにより、スリーブ19をシールドケーブル90Bの絶縁被覆92と外部導体93との間に挿入する作業が容易になる。
【0189】
<作用効果>
変形例1の作用効果について説明する。
【0190】
変形例1では、端子ユニット115は、内部導体91に接続する内部端子150と、内部端子150を保持する誘電体部材160と、外部導体93に接続する外部端子170と、を備える。外部端子170は、内部端子150を収容する。内部端子150は、内部導体91に圧着する圧着部54を備える。
【0191】
ここで、端子ユニット115は、内部端子150及び外部端子170とは別体として形成された導電性のインピーダンス調整部材180を更に備える。インピーダンス調整部材180は、外部端子170と内部端子150との間の位置であって、圧着部54のインピーダンスを調整可能な位置に配置された調整部180を有する。なお、変形例1では、インピーダンス調整部材180の全体が調整部180となっている。
このため、圧着部54においてインピーダンスが過剰に上昇してしまうことが抑制され、インピーダンスの整合が強化された端子ユニット115とすることができる。
【0192】
また、変形例1では、端子ユニット115は、内部導体91を被覆する絶縁被覆92の外側に配置される導電性のスリーブ19を備える。このため、内部導体91を被覆する絶縁被覆92の断面形状の変化が抑制され、その結果、インピーダンスが一定に保たれる。
すなわち、シールドケーブル90Bには外部端子170が圧着されるので、この圧着を原因としてシールドケーブル90Bが楕円形等に変形した状態になってしまうおそれがある。スリーブ19はこれを抑制する。
【0193】
また、変形例1では、上記実施形態と同様、スリーブ19とインピーダンス調整部材180とが接触している。このため、ノイズの原因となる共振が抑制される。
【0194】
なお、変形例1では、その他にも上記実施形態と同様の構成による作用効果を奏するが、説明を省略する。以下、上記実施形態とは異なる構成による作用効果について説明する。
【0195】
変形例1では、スリーブ19とインピーダンス調整部材180との接触は、押圧接触である。このため、スリーブ19の製造上の公差や使用時の振動などによってスリーブ19とインピーダンス調整部材180とが接触しなくなってしまうことを防ぐことができる。
【0196】
また、変形例1では、インピーダンス調整部材180は、スリーブ19をインピーダンス調整部材180に向けて付勢する付勢部86を有する。このため、部品点数を増加させることなく、インピーダンス調整部材180とスリーブ19とを押圧接触させることができる。
【0197】
また、変形例1では、蓋部82は、片持ち梁状に形成された側板部82bを有する。このため、蓋部82を絞り加工でなく屈曲加工で形成することができ、その結果、製造コストを低下させることができる。
また、
図23に示すように、スリーブ19は、片持ち梁状の側板部82bに接触する。このため、ノイズの原因となる共振が抑制される。
【0198】
また、変形例1では、
図26に示すように、誘電体部材160は、スリーブ19内に配置される突入部64aを有する。このため、内部導体91のうち絶縁被覆92から露出した部分でのインピーダンスの上昇を抑制することができる。
具体的に説明すると、内部導体91のうち絶縁被覆92から露出する部分の長さを一定にすることは難しい。露出する部分が長い場合、スリーブ19と内部導体91との間に形成される空気層も長くなってしまい、当該部分でインピーダンスが上昇してしまう。
そこで、変形例1では、誘電体部材160の一部(突入部64a)がスリーブ19内に配置されるので、スリーブ19と内部導体91との間に大きな空気層が形成されることを抑制できる。その結果、内部導体91のうち絶縁被覆92から露出した部分でのインピーダンスの上昇を抑制することができる。
更に、突入部64aは、内部導体91を包囲するように筒状に形成される。このため、インピーダンスの上昇を抑制する効果を高めることができる。
【0199】
また、変形例1では、
図22に示すように、インピーダンス調整部材180は、外部端子170に形成された突状部74に弾性的に接触する弾性接触部87を有する。このため、突状部74が形成された外部端子170の組立性が向上する。すなわち、外部端子170の本体部71に対し、インピーダンス調整部材180を装着した状態の誘電体部材160を挿入する作業が容易になる。
更に、弾性接触部87は、インピーダンス調整部材180の貫通孔を分断するように形成された両持ちバネである。このため、弾性接触部87が片持ちバネである態様と比較して、インピーダンス調整部材180又は外部端子170に寄生するインダクタンスを小さくできる。
【0200】
また、変形例1では、
図23に示すように、スリーブ19とインピーダンス調整部材180とは、前後方向で互いに係止されており、インピーダンス調整部材180と誘電体部材160とは、前後方向で互いに係止されている。このため、スリーブ19、インピーダンス調整部材180及び誘電体部材160が外力(特に、使用時のシールドケーブル90Bを引っ張る力)によって分離してしまうことを防止できる。
【0201】
<変形例2:端子ユニット215>
次に、
図27~
図30を用いて、変形例2に係る端子ユニット215について説明する。
なお、前述した実施形態又は変形例と同一の構成を有する部品又は部分については、図面に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0202】
図27に示すように、端子ユニット215は、内部端子250と、誘電体部材260と、外部端子270と、インピーダンス調整部材280と、スリーブ19と、を備える。
【0203】
(組立手順)
端子ユニット215の組立手順は、概ね以下のとおりである。
(1)シールドケーブル90Bの内部導体91に内部端子250を圧着し、誘電体部材260を組み立てて内部端子250を誘電体部材260に収容させる。
(2)誘電体部材260にインピーダンス調整部材280を装着する。
(3)外部端子270の本体部71に、当該本体部71の後側から誘電体部材260を挿入する。このとき、誘電体部材260は外部端子270の本体部71に対して後方かつ上方の斜め後方から挿入する。
(4)外部端子270の第一圧着部72をシールドケーブル90Bの外部導体93に圧着し、第二圧着部73をシールドケーブル90Bの外側被覆94に圧着する。
なお、上記実施形態及び変形例1と主に異なる点は、外部端子270の本体部71に対して誘電体部材260を挿入する方向が、前方からではなく、後方からである点である。
【0204】
(誘電体部材260)
変形例1(
図22)では、拡大凹部65の幅広部65aは、配置凹部63よりも上方に位置するのに対し、変形例2(
図29)では、幅広部65aは、配置凹部63と同一平面上に位置する。このため、変形例2では、拡大凹部65の全体は、配置凹部63と同一平面上に位置する。これは、誘電体部材260が弾性接触部(
図22の弾性接触部87参照)を有しないことと関連する。
【0205】
図29に示すように、誘電体部材260の筒状突出部64は、変形例1の筒状突出部64(
図22参照)よりも突出量が小さい。このため、図示は省略するが、筒状突出部64の先端側の一部(突入部64a)がスリーブ19内に配置されるものの、突入部64aの前後寸法は非常に小さい(50μm程度)。
【0206】
誘電体部材260には、外部端子270の突状部74に対応した溝69が形成される。これにより、外部端子270の本体部71に誘電体部材260を後側から挿入する工程において、その作業性が向上する。溝69は前後方向に延びる溝である。溝69は、誘電体部材260の中間部60A(一般部)の上面及び一対の側面のそれぞれに形成される。
【0207】
(インピーダンス調整部材280)
インピーダンス調整部材280は、外部端子270の突状部74に弾性的に接触する弾性接触部(
図22の弾性接触部87参照)を有しない。
【0208】
インピーダンス調整部材280は、外部端子270の本体部71に向けて突出する突起部81b1を有する。突起部81b1は、一対の対向板部81bの各々における下端に形成される。これにより、インピーダンス調整部材280と外部端子270との安定した接触状態が得られる。突起部81b1は、各対向板部81bに2つずつ形成される。突起部81b1の形状は、下方に凸の円弧状である。
【0209】
(外部端子270)
図27に示すように、外部端子270の本体部71は、第一板部71a、一対の第二板部71b及び第三板部71cを有するところ、
図30に示すように、第三板部71cの後端は、一対の第二板部71bの後端よりも前方に形成される。これにより、誘電体部材260を本体部71に後方から挿入する工程が可能となっている。
なお、第三板部71cの後端に対して後方の部分は、インピーダンス調整部材280の一部(連結板部81a及び付勢部86の曲部86a)によってシールドされる。
【0210】
図30に示すように、本体部71は、インピーダンス調整部材280に接触する複数の突状部74を有する。
突状部74は、本体部71の内側へ向けて突出する形状であり、具体的にはドーム型の形状である。突状部74は、一対の第二板部71b及び第三板部71cのそれぞれに形成される。具体的には、一対の第二板部71b及び第三板部71cの各々には、1つの突状部74が形成される。
【0211】
また、本体部71は、突状部74を弾性的に支持する弾性支持部75を有する。弾性支持部75は、複数の突状部74のそれぞれに対応して設けられる。弾性支持部75は、両持ちバネである。具体的には、本体部71を構成する板部に貫通孔が形成され、当該貫通孔を分断するように弾性支持部75及び突状部74が形成される。弾性支持部75は、突状部74に対して前後に形成される。弾性支持部75のうち突状部74の前側に位置する部分は、突状部74の後側に位置する部分よりも短い。
【0212】
<作用効果>
変形例2の作用効果について説明する。
【0213】
変形例2では、
図27に示すように、端子ユニット215は、内部導体91に接続する内部端子250と、内部端子250を保持する誘電体部材260と、外部導体93に接続する外部端子270と、を備える。外部端子270は、内部端子250を収容する。内部端子250は、内部導体91に圧着する圧着部54を備える。
【0214】
ここで、端子ユニット215は、内部端子250及び外部端子270とは別体として形成された導電性のインピーダンス調整部材280を更に備える。インピーダンス調整部材280は、外部端子270と内部端子250との間の位置であって、圧着部54のインピーダンスを調整可能な位置に配置された調整部280を有する。なお、変形例2では、インピーダンス調整部材280の全体が調整部280となっている。
このため、圧着部54においてインピーダンスが過剰に上昇してしまうことが抑制され、インピーダンスの整合が強化された端子ユニット215とすることができる。
【0215】
なお、変形例2では、その他にも上記実施形態、変形例1と同様の構成による作用効果を奏するが、説明を省略する。以下、上記実施形態、変形例1とは異なる構成による作用効果について説明する。
【0216】
また、変形例2では、
図30に示すように、外部端子270は、突状部74を弾性的に支持する弾性支持部75を有する。このため、弾性支持部75がインピーダンス調整部材280に形成される態様と比較して、端子ユニット215の組立性を確保しつつ、所望の接触圧が得られる構造を実現しやすい。
更に、弾性支持部75は、インピーダンス調整部材280に形成された貫通孔を分断するように形成された両持ちバネである。このため、弾性支持部75が片持ちバネである態様と比較して、インピーダンス調整部材280又は外部端子270に寄生するインダクタンスを小さくできる。
【0217】
また、変形例2では、外部端子270の本体部71に対して誘電体部材260を挿入する方向が、後方からである。このため、端子ユニット215の製造工程が簡易である。
【0218】
また、変形例2では、外部端子270の本体部71の第三板部71cの後端は、一対の第二板部71bの後端よりも前方に形成される。このため、誘電体部材260を本体部71に後方から挿入する工程に関し、その工程が可能となるか、又はその作業性が向上する。
【0219】
<変形例3:端子ユニット315>
次に、
図31~
図37を用いて、変形例3に係る端子ユニット315について説明する。
なお、前述した実施形態又は変形例と同一の構成を有する部品又は部分については、図面に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0220】
図31に示すように、端子ユニット315は、内部端子350と、誘電体部材360と、外部端子370と、インピーダンス調整部材380と、スリーブ319と、を備える。
【0221】
(組立手順)
端子ユニット315の組立手順は、概ね以下のとおりである。
(1)シールドケーブル90Bの内部導体91に内部端子350を圧着し、誘電体部材360を組み立てて内部端子350を誘電体部材360に収容させる。
(2)誘電体部材360にインピーダンス調整部材380を装着すると共に、第一圧着部89をシールドケーブル90Bの外部導体93に圧着する。
(3)外部端子370の本体部71に、当該本体部71の後側から誘電体部材360を挿入する。このとき、誘電体部材360は外部端子370の本体部71に対して後方かつ上方の斜め後方から挿入する。
(4)外部端子370の第二圧着部73をシールドケーブル90Bの外側被覆94に圧着する。
【0222】
図33に示すように、インピーダンス調整部材380は、前後方向延在部81と、蓋部82と、を備える。
前後方向延在部81は、一対の対向板部81bと、連結板部81aと、を有する。
蓋部82は、平板部83b,83bと、接続曲部84b,84bと、を有する。
【0223】
接続曲部84b,84bは、平板部83b,83bと一対の対向板部81bとを接続する一対の第一曲部84bを有する。第一曲部84bは、ユニット上下方向(Y方向)に延びる。
平板部83b,83bは、一対の第一曲部84bのぞれぞれと連結する一対の分離部83bを有する。一対の分離部83bは、互いに分離されている。
【0224】
換言すると、蓋部82は、内部導体91を挟むように配置される一対の側板部82bを有する。蓋部82は、一対の側板部82bを互いに連結する上板部(
図14の上板部82a参照)を有しない。各側板部82bは、第一曲部84bと分離部83bとから構成される。
これにより、蓋部82には、内部導体91及び筒状突出部64が前後方向に通過すると共に、前後方向に垂直な一方向(変形例3では、ユニット下方向である-Y方向)に開放されている通過部85が形成される。通過部85は、一対の側板部82bの間に形成された空間である。
【0225】
図36に示すように、蓋部82の上部では、分離部83bの幅寸法が大きく、蓋部82の下部では、分離部83bの幅寸法が小さい。このため、蓋部82の上部では、一対の側板部82bの間の空間の幅寸法が狭く、蓋部82の下部では、一対の側板部82bの間の空間の幅寸法が広い。
【0226】
前後方向延在部81には、誘電体部材360の突出片配置部63aに配置される突出片81a1が形成される。
【0227】
インピーダンス調整部材380は、スリーブ319をインピーダンス調整部材380に向けて付勢する付勢部86を有する。
付勢部86は、一対の曲部86cと、一対の付勢片86dと、を有する。一対の付勢片86dの各々は、板厚方向をユニット幅方向に向ける。一対の曲部86cは、連結板部81aの幅方向外側に形成され、前後方向に延びる。
図34に示すように、一対の付勢片86dと一対の側板部82bとの間にスリーブ319の拡径部19aが前後方向で挟まれる。換言すると、一対の付勢片86dを有する付勢部86は、スリーブ319の拡径部19aをインピーダンス調整部材380の蓋部82に向けて付勢する。これにより、インピーダンス調整部材380とスリーブ319とは、前後方向(軸方向)で互いに係止される。
また、一対の付勢片86dの間にスリーブ319が幅方向で挟まれる。これによっても、一対の付勢片86dは弾性変形した状態となる。よって、インピーダンス調整部材380とスリーブ319との接触は、弾性接触となる。
【0228】
付勢片86dの前後寸法は、インピーダンス調整部材380の装着方向であるユニット下方に進むに従い次第に小さくなっている。
具体的には、付勢片86dの後側の板端は、ユニット下方向に対して傾斜する方向に延びており、付勢片86dの前側の板端は、ユニット下方向に対して平行な方向に延びている。付勢片86dの前側の板端は、スリーブ319の拡径部19aに接触する。
【0229】
インピーダンス調整部材380は、第一圧着部89を有する。
第一圧着部89は、シールドケーブル90Bの外部導体93に圧着する。具体的には、第一圧着部89は、スリーブ319の外側に位置する外部導体93に圧着する。
第一圧着部89の上側部分は、連結板部81aよりも下方に位置する。第一圧着部89の上側部分と連結板部81aとは、連結部88によって斜めに連結される。
【0230】
外部端子370は、シールドケーブル90Bの外部導体93に接続し、内部端子350、誘電体部材360及びインピーダンス調整部材380を収容する部材である。具体的には、外部端子370は、シールドケーブル90Bの外部導体93にインピーダンス調整部材380を介して(電気的に)接続する。外部端子370は、シールドケーブル90Bの外部導体93に接続する第一圧着部(
図17の第一圧着部72参照)を有しない。
【0231】
外部端子370の本体部71は、第一板部71aと、一対の第二板部71bと、第三板部71cと、を備える。第三板部71cの前端は、第一板部71a及び一対の第二板部71bの前端よりも後方に形成される。
【0232】
第三板部71cの後端は、第二板部71bの後端よりも前方に形成される。これにより、誘電体部材360を本体部71に後方から挿入する工程に関し、その作業性が向上する。
【0233】
また、外部端子370は、第二圧着部73を有する。
第二圧着部73は、シールドケーブル90Bの外側被覆94の外側に圧着する。
【0234】
図35に示すように、外部端子370の本体部71は、インピーダンス調整部材380に接触する複数の突状部74を有する。
突状部74は、本体部71の内側へ向けて突出する形状であり、具体的にはドーム型の形状である。突状部74は、一対の第二板部71b及び第三板部71cのそれぞれに形成される。具体的には、一対の第二板部71b及び第三板部71cの各々には、1つの突状部74が形成される。
【0235】
また、本体部71は、突状部74を弾性的に支持する弾性支持部75を有する。弾性支持部75は、複数の突状部74のそれぞれに対応して設けられる。弾性支持部75は、両持ちバネである。具体的には、本体部71を構成する板部に貫通孔が形成され、当該貫通孔を分断するように弾性支持部75及び突状部74が形成される。弾性支持部75は、突状部74に対して前後に形成される。
【0236】
第二板部71bに形成される弾性支持部75に関しては、弾性支持部75のうち突状部74の前側に位置する部分は、突状部74の後側に位置する部分よりも短い。
一方、第三板部71cに形成される弾性支持部75に関しては、弾性支持部75のうち突状部74の前側に位置する部分は、突状部74の後側に位置する部分よりも長い。これにより、第三板部71cに形成される突状部74を後方寄りに配置することができる。特に、変形例3では、第三板部71cの後端が第二板部71bの後端よりも前方に形成されているため、第三板部71cに形成される突状部74が前方に配置されやすい。このため、上記構成が有効である。
【0237】
(スリーブ319)
図33に示すように、スリーブ319は、切削加工品、ダイカスト品又は射出成形体である。
【0238】
スリーブ319は、当該スリーブ319の前端部に形成された拡径部19aを有する。拡径部19aでは、他の部分よりも外径が拡大されている。拡径部19aは、インピーダンス調整部材380の蓋部82と付勢部86との間に前後方向で挟まれる。これにより、スリーブ319は、インピーダンス調整部材380と押圧接触する。
【0239】
スリーブ319は、当該スリーブ319の後端部に形成された縮径部19bを有する。縮径部19bでは、後側に進むに従い外径が縮小されている。これにより、スリーブ319をシールドケーブル90Bの絶縁被覆92と外部導体93との間に挿入する作業が容易になる。
【0240】
<作用効果>
変形例3の作用効果について説明する。
【0241】
変形例3では、
図31に示すように、端子ユニット315は、内部導体91に接続する内部端子350と、内部端子350を保持する誘電体部材360と、外部導体93に接続する外部端子370と、を備える。外部端子370は、内部端子350を収容する。内部端子350は、内部導体91に圧着する圧着部54を備える。
【0242】
ここで、端子ユニット315は、内部端子350及び外部端子370とは別体として形成された導電性のインピーダンス調整部材380を更に備える。インピーダンス調整部材380は、外部端子370と内部端子350との間の位置であって、圧着部54のインピーダンスを調整可能な位置に配置された調整部380aを有する。なお、調整部380aは、インピーダンス調整部材380の一部である。
このため、圧着部54においてインピーダンスが過剰に上昇してしまうことが抑制され、インピーダンスの整合が強化された端子ユニット315とすることができる。
【0243】
なお、変形例3では、その他にも上記実施形態、変形例1、変形例2と同様の構成による作用効果を奏するが、説明を省略する。以下、上記実施形態、変形例1、変形例2とは異なる構成による作用効果について説明する。
【0244】
ところで、変形例2(
図27~
図30)のように、外部端子270が第一圧着部72を有する場合、通常、本体部71と第一圧着部72との間に段差部79(
図30参照)をあらかじめ形成しておく必要がある。しかし、この段差部79は、誘電体部材260を本体部71に後方から挿入する作業を困難にする。
そこで、変形例3では、インピーダンス調整部材380が外部導体93(外側被覆94の外側に折り返されていない部分)に圧着する第一圧着部89を有し、外部端子370は、外部導体93(外側被覆94の外側に折り返されていない部分)に圧着する第一圧着部を有しない。このため、本体部71の後方から誘電体部材360を挿入しやすい。
【0245】
〔上記実施形態の補足説明〕
なお、上記実施形態では、誘電体部材が互いに別体として形成された第一部材及び第二部材で構成される例を説明した。しかし、本開示の誘電体部材は、これに限定されず、全体が一体として形成されてもよい。
【0246】
また、上記実施形態では、端子ユニットが、ハウジング12に収容されてコネクタ100の一部を構成する例を説明した。しかし、本開示の端子ユニットは、これに限定されない。
【0247】
また、上記実施形態では、スリーブ19,319は、シールドケーブル90Bの絶縁被覆92と外部導体93との間に挿入される例を説明した。しかし、本開示のスリーブはこれに限定されない。例えば、シールドケーブルの外部導体が箔と編組との2層構造であり、スリーブは、箔と編組との間に挿入されてもよい。この場合でも、スリーブは、絶縁被覆92の外側に配置されているといえる。
【符号の説明】
【0248】
12 ハウジング
15,115,215,315 端子ユニット
19,319 スリーブ
50,150,250,350 内部端子
51 接触部
54 圧着部
60,160,260,360 誘電体部材
63 配置凹部
63,65b 回避凹部
63a 突出片配置部
64 筒状突出部
64a 突入部
65 拡大凹部
65a 幅広部
65b 幅狭部
69 溝
70,170,270,370 外部端子
71 本体部
71e 開口
72 外部導体接続部(第一圧着部)
73 第二圧着部
74 突状部
75 弾性支持部
80,180,280 インピーダンス調整部材(調整部)
81 前後方向延在部
81a 連結板部
81b 対向板部
82 蓋部
82a 上板部
82b 側板部
85 通過部
86 付勢部
87 弾性接触部
89 第一圧着部
90B シールドケーブル
91 内部導体
92 絶縁被覆
93 外部導体
94 外側被覆
100 コネクタ
380 インピーダンス調整部材
380a 調整部