IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 原田 邦雄の特許一覧

特開2024-287キャップに着脱自在な額付近に送気する冷却装置
<>
  • 特開-キャップに着脱自在な額付近に送気する冷却装置 図1
  • 特開-キャップに着脱自在な額付近に送気する冷却装置 図2
  • 特開-キャップに着脱自在な額付近に送気する冷却装置 図3
  • 特開-キャップに着脱自在な額付近に送気する冷却装置 図4
  • 特開-キャップに着脱自在な額付近に送気する冷却装置 図5
  • 特開-キャップに着脱自在な額付近に送気する冷却装置 図6
  • 特開-キャップに着脱自在な額付近に送気する冷却装置 図7
  • 特開-キャップに着脱自在な額付近に送気する冷却装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000287
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】キャップに着脱自在な額付近に送気する冷却装置
(51)【国際特許分類】
   A42B 1/008 20210101AFI20231225BHJP
   A42B 1/24 20210101ALI20231225BHJP
   A42B 1/0182 20210101ALI20231225BHJP
   A42B 1/0184 20210101ALI20231225BHJP
【FI】
A42B1/008 K
A42B1/24 N
A42B1/0182 Z
A42B1/0184
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099001
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】501292016
【氏名又は名称】原田 邦雄
(74)【代理人】
【識別番号】100221855
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 康造
(72)【発明者】
【氏名】原田 邦雄
(72)【発明者】
【氏名】田中 隆
(72)【発明者】
【氏名】西 公博
(57)【要約】
【課題】額付近に送気する冷却装置であって、キャップに着脱自在で視界を妨げることなく送風方向を調整可能な装置を提供する。
【解決手段】
装着者Pのキャップ5の鍔5Aの裏面に面ファスナ6により着脱自在に設けられた送気ファン2と、送気ファンに接続されキャップの外面側部5Bに面ファスナにより着脱自在に設けられた電源4と、から構成された冷却装置1であって、送気ファンは、送気ファン筐体2B内に収容され、吸引した空気を円筒状に配置された羽根の遠心力により発生した旋回流を、キャップの鍔の裏面と送気ファン筐体基部2Eとの間に設けた角度調整治具7により、排気口2Dから装着者の額付近に送気する、キャップに着脱自在な額付近に送気する冷却装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者のキャップの鍔の裏面に着脱自在に設けられた送気ファンと、前記送気ファンから接続線により接続されキャップの外面側部に設けられた電源と、から構成された冷却装置であって、
前記送気ファンは、外部の空気を吸引・排気する送気ファンユニットと、前記送気ファンユニットを収容する送気ファン筐体とから構成され、
前記送気ファンユニットは、前記キャップの前記鍔に略垂直な回転軸を備え、前記回転軸を中心として円筒状に配置された羽根を有し、前記羽根の遠心力により発生した旋回流を、流路により前記送気ファン排気口に送気し、
前記送気ファン筐体には、前記送気ファンユニットが外部の空気を吸引する吸気口と、該吸気口から導入された前記空気を装着者の額付近に送気する排気口と、送気ファン筐体基部を備え、
前記送気ファン筐体基部は、該送気ファン筐体基部に接着された筐体基部面ファスナと前記キャップの鍔の裏面に接着された鍔面ファスナと、により着脱自在に接合され、前記筐体基部面ファスナと前記鍔面ファスナとの間には、前記送気ファン筐体の前記排気口が額付近に向く角度を調整する角度調整治具を備え、
前記電源は、該電源の外周面に接着された電源面ファスナと前記キャップの外面側部に接着された外面側部面ファスナとキャップ装着調整治具面ファスナとにより前記キャップと着脱自在に構成され、さらに前記電源には、前記送気ファンのスイッチを備えたことを特徴とする、キャップに着脱自在な額付近に送気する冷却装置。
【請求項2】
前記角度調整治具は、鍔裏面に対応する鍔裏対応面と、送気ファン筐体基部に対応する基部対応面と、額付近に向く角度を調整する角度調整面を備えたくさび状立体構造で構成され、前記鍔裏対応面に接着された鍔裏対応面ファスナを前記鍔面ファスナと、基部対応面に接着された基部対応面ファスナを筐体基部面ファスナと、接合され、前記角度調整面の厚さを調整することにより前記送気ファン筐体の前記排気口が額付近に向く角度を調整することを特徴とする、請求項1に記載のキャップに着脱自在な額付近に送気する冷却装置。
【請求項3】
前記電源は充電池で構成し、前記充電池には充電用端子を備え、前記充電池は、携帯電話用充電器により充電し、
前記キャップの曲面状の外面側部に接合するに際し、面ファスナとキャップ装着調整治具を使用して接合し、
前記キャップの曲面状の外面側部には外面側部面ファスナを備え、前記充電地には電源接線面ファスナ及び電源外周面ファスナを備え、
前記充電地の前記電源接線面ファスナを前記キャップの曲面状の前記外面側部の前記外面側部面ファスナと接合し、帯状体のキャップ装着調整治具のキャップ装着調整治具面ファスナを前記充電地の前記電源側外周面ファスナと接合し、該帯状体の前記キャップ装着調整治具の前記キャップ装着調整治具面ファスナの両端部を前記キャップの曲面状の前記外面側部の前記外面側部面ファスナと接合して、着脱自在に前記充電地を固定することを特徴とする、請求項1乃至2のいずれか1項に記載のキャップに着脱自在な額付近に送気する冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に感染症等の感染を防止するため口及び鼻を覆うマスク等を装着した際、頭部の保護及び外気温対策として、ヘルメット又は帽子等(以下、キャップという)を装着した人(以下、装着者という)が熱中症を発症するのを防ぐことを目的とし、装着者の顔面の額付近に送気し、装着者が熱中症を発症することを防止する、キャップに着脱自在な額付近に送気する冷却装置に関するものである。なお、マスク等を装着することを前提とするものではない。
【背景技術】
【0002】
暑さ対策としては、キャップを着用した人の該キャップの鍔裏面に扇風機等の送気ファンを設置して、顔面等に向けて送気して冷却する構成が採用されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の個人用に空調を行う携帯用空調装置は、取外し可能に帽子のひさし88に弾性バンド93またはこれに類するものによりユニット70が取付けられ、ファン86がモータ80により回転して、帽子着用者の額・首等に涼感を与える空調装置である。
特許文献2に記載の涼風帽は、帽子(ヘルメット)の前の鍔中央に小形扇風機を取付け、夏に屋外で仕事する人に涼しく仕事できるようにしたものである。
特許文献3に記載の扇風機の付いた工事用ヘルメットは、ヘルメットのつば1に扇風機2を付けて、顔の部分が涼しく感じることにより仕事に集中できるようにするものである。
【0004】
非特許文献では、つば付き帽子(ベースボールキャップ)に装着するタイプの送風ファンで、ゴーグルの曇りを抑制するのに大きな効果がある製品として、帽子のつばに送風ファンを2個設置した装置がインターネットに公開されている。Military-Rex製帽子取り付け型送風ファン(ゼスト所沢店)を参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭55-10818号公報
【特許文献2】実開昭51-53124号公報
【特許文献3】実開平4-7622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の携帯用空調装置は、顔の前面においてファン86がモータ80により回転する構成で、バッテリー76も顔の正面に配置されており、作業者等の視界の妨げとなる。また、ファン86の送風方向の調整機構は記載されていない。
特許文献2に記載の涼風帽は、帽子(ヘルメット)の前の鍔中央に小形扇風機が取付けられた構成で、着脱についての記載はなく、帽子(ヘルメット)に自由に取付けられるものではない。
特許文献3に記載の扇風機の付いた工事用ヘルメットは、ヘルメットのつば1に扇風機2が取付けられた構成で、着脱についての記載はなく、工事用ヘルメットに自由に取付けられるものではない。
非特許文献で公開されたつば付き帽子(ベースボールキャップ)に装着するタイプの送風ファンの目的は、ゴーグルの曇りを抑制するものであり、本願の目的と異なるものである。
以上のように、従来の帽子又はヘルメットの鍔に設けられた扇風機又はファンは、着脱可能でかつ作業者等の装着者の視界を妨げることなく、装着者の額付近に送風して、装着者が熱中症を発症することを防止ものではない。
【0007】
このような観点から、本発明は、マスク等を装着した際、頭部の保護及び外気温対策としてキャップを装着した人が、熱中症を発症するのを防ぐことを目的とし、
a)キャップに着脱自在な冷却装置とし、
b)キャップの鍔の裏面に視界を妨げることなく送気ファンを配置し、
c)キャップの鍔の裏面に搭載された送気ファンの送風方向を調整し、
d)送気ファンの電源をキャップに着脱自在に設置する、
ことを課題とし、
キャップを装着した装着者の顔面の額付近に送気し、装着者が熱中症を発症することを防止する、顔面の額付近に送気する着脱自在な冷却装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明(請求項1)は、「装着者のキャップの鍔の裏面に着脱自在に設けられた送気ファンと、前記送気ファンから接続線により接続されキャップの外面側部に設けられた電源と、から構成された冷却装置であって、前記送気ファンは、外部の空気を吸引・排気する送気ファンユニットと、前記送気ファンユニットを収容する送気ファン筐体とから構成され、前記送気ファンユニットは、前記キャップの前記鍔に略垂直な回転軸を備え、前記回転軸を中心として円筒状に配置された羽根を有し、前記羽根の遠心力により発生した旋回流を、流路により前記送気ファン排気口に送気し、前記送気ファン筐体には、前記送気ファンユニットが外部の空気を吸引する吸気口と、該吸気口から導入された前記空気を装着者の額付近に送気する排気口と、送気ファン筐体基部を備え、前記送気ファン筐体基部は、該送気ファン筐体基部に接着された筐体基部面ファスナと前記キャップの鍔の裏面に接着された鍔面ファスナと、により着脱自在に接合され、前記筐体基部面ファスナと前記鍔面ファスナとの間には、前記送気ファン筐体の前記排気口が額付近に向く角度を調整する角度調整治具を備え、前記電源は、該電源の外周面に接着された電源面ファスナと前記キャップの外面側部に接着された外面側部面ファスナとキャップ装着調整治具面ファスナとにより前記キャップと着脱自在に構成され、さらに前記電源には、前記送気ファンのスイッチを備えたことを特徴とする、キャップに着脱自在な額付近に送気する冷却装置。」を特徴としている。
【0009】
本発明におけるキャップとは、頭部を保護するヘルメット、帽子又は頭部を外部有害物から防御するものも包括する、いわゆる頭部に被せるものを含むものである。また、面ファスナは公知の面ファスナである。
冷却装置は、ファンユニットを収容する送気ファン筐体から構成し、送気ファン筐体基部はキャップの鍔の裏面に筐体基部面ファスナと鍔面ファスナとにより着脱自在に接合されている。
ファンユニットは、キャップの鍔に略垂直な回転軸を備え、回転軸を中心として円筒状に配置された羽根を有し、羽根の遠心力により発生した旋回流を、流路により送気ファン排気口に送る構成により、厚みが薄いため、視界を妨げることがない。
筐体基部面ファスナと鍔面ファスナとの間には、送気ファン筐体の排気口の額付近に向く角度を調整する角度調整治具を備えており、送気ファンの送風方向を調整して、装着者の額付近に送気できる。
電源は、電源面ファスナとキャップの外面側部に接着された外面側部面ファスナとキャップ装着調整治具ファスナとにより着脱自在に構成されている。
かかる構造によれば、キャップを装着した装着者の顔面の額付近に送気し、装着者が熱中症を発症することを防止するができる。
なお、装着者の顔面の額「付近」とは、額から上方で頭部に風が抜ける範囲までを含み、かつ眼よりも上部の範囲と定義している。
【0010】
本発明(請求項2)は、「前記角度調整治具は、鍔裏面に対応する鍔裏対応面と、送気ファン筐体基部に対応する基部対応面と、額付近に向く角度を調整する角度調整面を備えたくさび状立体構造で構成され、前記鍔裏対応面に接着された鍔裏対応面ファスナを前記鍔面ファスナと、基部対応面に接着された基部対応面ファスナを筐体基部面ファスナと、接合され、前記角度調整面の厚さを調整することにより前記送気ファン筐体の前記排気口が額付近に向く角度を調整することを特徴とする、請求項1に記載のキャップに着脱自在な額付近に送気する冷却装置。」を特徴としている。
【0011】
角度調整治具は、曲面で構成されている鍔裏面に対応する鍔裏対応面と、平面で構成された送気ファン筐体基部に対応する基部対応面と、額付近に向く角度を調整する角度調整面を備えたくさび状立体構造で構成され、角度調整面の厚さを調整することにより、送気ファン筐体の排気口の額付近に向く角度を調整することができる。
かかる構造によれば、キャップを装着した装着者の顔面の額付近に調整可能に送気することができる。
なお、額付近に向く角度を「大きく」又は「小さく」とは、角度調整治具の角度調整面の厚さが厚く排気口が顔面下方に向く場合を「大きく」、角度調整治具の角度調整面の厚さが薄く排気口が顔面上方に向く場合を「小さく」と定義している。
【0012】
本発明(請求項3)は、「前記電源は充電池で構成し、前記充電池には充電用端子を備え、前記充電池は、携帯電話用充電器により充電し、前記キャップの曲面状の外面側部に接合するに際し、面ファスナとキャップ装着調整治具を使用して接合し、前記キャップの曲面状の外面側部には外面側部面ファスナを備え、前記充電地には電源接線面ファスナ及び電源外周面ファスナを備え、前記充電地の前記電源接線面ファスナを前記キャップの曲面状の前記外面側部の前記外面側部面ファスナと接合し、帯状体のキャップ装着調整治具のキャップ装着調整治具面ファスナを前記充電地の前記電源側外周面ファスナと接合し、該帯状体の前記キャップ装着調整治具の前記キャップ装着調整治具面ファスナの両端部を前記キャップの曲面状の前記外面側部の前記外面側部面ファスナと接合して、着脱自在に前記充電地を固定することを特徴とする、請求項1乃至2のいずれか1項に記載のキャップに着脱自在な額付近に送気する冷却置。」を特徴としている。
【0013】
キャップの曲面状の外面側部に接合するに際し、面ファスナとキャップ装着調整治具を使用して接合することにより、充電地の電源接線面ファスナをキャップの外面側部面ファスナと接合し、帯状体のキャップ装着調整治具のキャップ装着調整治具面ファスナを充電地の電源外周面ファスナと接合し、該帯状体のキャップ装着調整治具のキャップ装着調整治具面ファスナの両端部をキャップの外面側部面ファスナと接合して、着脱自在に前記充電地を固定することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の着脱自在な顔面の額付近に送気する冷却装置は、キャップに着脱自在な冷却装置とし、キャップの鍔の裏面に視界を妨げることなく送気ファンを配置し、キャップの鍔の裏面に搭載された送気ファンの送風方向を調整し、送気ファンの電源をキャップに着脱自在に設置することにより、キャップを装着した装着者の顔面の額付近に送気し、装着者が熱中症を発症することを防止する、着脱自在な顔面の額付近に送気する冷却装置を提供することができる。
冷却装置はキャップに着脱自在なため、装着者の所有する任意のキャップに装着者が必要とするときに取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】冷却装置を装着者が装着した状態を示す図である。
図2】冷却装置を装着者が装着した状態を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、及び(c)は側面図である。
図3】送気ファン筐体がタイプ1送気ファンを内部に収容し状態で、(a)は平面図、(b)正面図は、及び(c)は側面図である。
図4】送気ファン筐体がタイプ2送気ファンを内部に収容し状態で、(a)は平面図、(b)正面図は、及び(c)は側面図である。
図5】送気ファン筐体の送気する方向を調整するためのくさび状の角度調整治具を示す図である。
図6】送気ファン筐体の送気する方向を調整するための角度自在機構の角度調整治具を示す図である。
図7】充電地を、キャップの外面側部に、帯状体のキャップ装着調整治具を使用して固定した状態を示す図である。
図8】充電地を、キャップの外面側部に、一対三角形のキャップ装着調整治具を使用して固定した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明において、キャップ5を装着した装着者Pの顔面の額付近に送気する冷却装置1(以下、冷却装置1という)とは、装着者Pの装着したキャップ5の鍔5Aの下面に載置した送気ファン2により、空気を装着者Pの額付近に送気することにより冷却する装置である。そして、キャップ5は、鍔5Aが全周又は一部にあるものを含む。また、該キャップ5は頭部を保護するヘルメット、帽子又は頭部を外部有害物から防御するものも包括する、いわゆる頭部に被せるものを含むものである。
【0017】
本発明において、装着者Pが通常顔面前側に装着したキャップ5の鍔5Aの突出方向を「前側(X軸正方向)」という。該キャップ5の鍔5Aの裏面側の方向を「下側(Y軸正方向)」またY軸を縦方向ともいう。装着者が通常顔面前側に装着したキャップ5の鍔5Aの突出方向に向かって左右方向の右を「右側(Z軸正方向)」またZ軸を横方向ともいう。
【0018】
本発明の冷却装置1は、電源4により送気ファン2を回転させ、空気を送気する、公知の小型の電動回転送気機構を採用する。また、電源4としては、公知の小型の電源を使用し、例えば携帯電話機又は太陽光発電による充電機構の電源も採用もできる。
【0019】
本発明の冷却装置1は、加工が容易で軽量かつ安価な、一例として公知の合成樹脂材料又は軽量金属材料により形成することができ、組み立て分解が容易な構造を採用する。さらに、送気ファン2及び電源4については量販品から適宜選択する。
また、送気ファン2をキャップ5の鍔5Aに着脱自在に強固にかつ安定的に固定する固定機構は、冷却装置の荷重に対応した強力な保持力を備えた、公知の固定機構を採用し、さらに必要に応じて付加的に連結固定機構も併用する。
【0020】
図1は冷却装置1を、装着者Pが装着した状態を示す図である。該装着者Pは、一例としての作業時に頭部を保護するヘルメットであるキャップ5を被り、キャップ5の鍔5Aの裏面には、一例として公知の固定機構である粘着剤を裏面に塗布した面ファスナ6を該粘着剤の面を鍔5Aの裏面に接着することにより配置する。また、送気ファン2を収容した送気ファン筐体2B側にも、該面ファスナ6を該粘着剤の面を送気ファン筐体2B側に接着して配置することにより、冷却装置1を着脱自在に載置する。そして、送気ファン2が吸引した外部空気を排気口2Dより装着者の額付近に、送気方向を角度調整治具7により調整して送気することにより、額付近を冷却し、装着者Pが熱中症を発症することを防止するものである。送気ファン2は、キャップ5の外周側部に着脱自在に設置した電源4から接続線3により電気の供給を受けており、電源4には、送気ファン2の駆動スイッチ4B(図示せず)を備えている。
【0021】
装着者の額付近とは、額から上方で頭部に風が抜ける範囲までを含み、かつ眼よりも上部の範囲と定義している。額から上方で頭部に風が抜ける範囲まで送気することにより、装着者の頭部を前側から後側に送気が抜ける。また、眼よりも上部の範囲とすることで眼にゴミ等が入ったりドライアイとなることを防止する。
【0022】
鍔5Aは、一般に雨滴の排水等を考慮して、一例としてX軸正方向(前側)に傾斜し、Z軸の正負方向(横方向)でY軸正方向(縦方向下側)に傾斜する曲面で構成され、鍔5Aの裏面も同様な曲面となっている。鍔5Aの裏面に接着する面ファスナ6も、鍔5Aの裏面が曲面で構成されたことを考慮して、面ファスナ6を配置する。面ファスナ6は、公知の面ファスナであるオス・メスタイプ又はオスメス併用タイプを使用でき、さらに面ファスナ6の裏面に粘着剤が塗布されたものも使用できる。
【0023】
図2は、冷却装置1を装着者Pが装着した状態を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、及び(c)は側面図である。
【0024】
図3に示す送気ファン筐体2Bには、送気ファン2のタイプ1(HY52A-05:株式会社日本計器製作所)を内部に収容し、図4に示す送気ファン筐体2Bには、送気ファン2のタイプ2(T-317C-5:TOSHIBA)を内部に収容している。送気ファン筐体基部2Eは、キャップ5の鍔5Aの裏面に、面ファスナ6により着脱自在に固定される。キャップ5の鍔5Aの裏面には鍔面ファスナ65Aを備え、送気ファン筐体基部2Eの筐体基部面ファスナ62Eとにより、後述する角度調整治具7を介在して、着脱自在に送気ファン2を載置している。
送気ファン2には、外部の空気を吸引する吸気口2Cと、該吸引した空気を流路を経て排気する排気口2Dを備え、該排気口2Dから外部空気を装着者の額付近に送気する。そして、送気ファン筐体2Bには、吸気口2Cと排気口2Dに対応した、吸気口2Cと排気口2Dが開口している。
【0025】
送気ファン2は、キャップ5のX軸正方向(前側)に傾斜した鍔5Aにほぼ垂直な回転軸を備え、該回転軸を中心として円筒状に配置された羽根を有し、該羽根の遠心力により発生した旋回流を流路により排気口2Dに送気することを特徴とする、いわゆるブロワである。円筒状に配した前向き羽根のランナーの遠心力により、モーター回転軸にほぼ垂直な向きに旋回流を作り、発生した旋回流は羽根の外周の円筒状の送気ファン筐体2Bのスクロールにより一方向に整流され、圧力も上昇しているため、流路を経ても排気口2Dから、一定方向に送気2Gを集中し、額付近を局部的に冷却できる。タイプ1として、送気ファン2はHY52A-05(株式会社日本計器製作所)を使用し、定格電圧5V,定格電流0.13A、最大風量0.075m3/minで、形状寸法51.7×53.4×10mmである。タイプ2として、送気ファン2はT-317C-5(東芝ホームテクノ株式会社)を使用し、定格電圧5V、100%動作電流0.3A、最大風量0.18m3/minで、形状寸法60×55×12.5mmである。
図2では、送気ファン2を1基配置したが、配置可能であれば、2基でも適宜選択できる。
【0026】
図5は、送気ファン筐体2Bの排気口2Dの額付近に向く角度を調整する角度調整治具7の実施例を示す。
前述したように鍔5Aの鍔裏面は、一例としてX軸正方向(前側)に傾斜し、Z軸の正負方向(横方向)でY軸正方向(縦方向下側)に傾斜する曲面で構成されている。このため、該実施例の角度調整治具71(くさび)は、曲面で構成されている鍔裏面に対応する鍔裏対応面711と、平面で構成された送気ファン筐体基部2Eに対応する基部対応面712と、額付近に向く角度を調整する角度調整面713を備えたくさび状立体構造である。
【0027】
額付近に向く角度を大きく調整する場合には、角度調整治具71の角度調整面713の厚さDが厚いD1である角度調整治具71Hを使用する。そして、鍔裏対応面711の面に接着された鍔裏対応面ファスナ6711を鍔面ファスナ65Aと、基部対応面712の面に接着された基部対応面ファスナ6712を筐体基部面ファスナ62Eと接合され、送気ファン筐体2Bの排気口2Dの額付近に向く角度を大きく調整することにより、排気口2Dが顔面下方に向くようにすることができる。
【0028】
額付近に向く角度を小さく調整する場合には、角度調整治具71の角度調整面713の厚さDが薄いD2である角度調整治具71Lを使用して、角度調整治具71Hと同様に鍔面ファスナ65A及び筐体基部面ファスナ62Eと接合して、送気ファン筐体2Bの排気口2Dの額付近に向く角度を小さく調整することにより、排気口2Dが顔面上方に向くようにすることができ、送気は装着者の頭部を前側から後側に抜ける。
【0029】
額付近に向く角度を「大きく」又は「小さく」とは、角度調整治具71の角度調整面713の厚さDが厚く、排気口2Dが顔面下方に向く場合を「大きく」、角度調整治具71の角度調整面713の厚さDが薄く、排気口2Dが顔面上方に向く場合を「小さく」と定義している。
【0030】
角度調整治具71の角度調整面713の厚さDを調整することにより送気ファン筐体2Bの排気口2Dの額付近に向く角度を調整するものであり、該角度調整治具71の角度調整面713の厚さが異なる角度調整治具71を複数個用意しておき、装着者Pが適宜選択可能とする。
【0031】
角度調整治具71の角度調整面713の厚さDを調整することの1つとして、厚さD=0である角度調整治具71を使用しない場合もある。すなわち、鍔面ファスナ65Aと筐体基部面ファスナ62Eを直接接合することもできる。
【0032】
図6は、送気ファン筐体2Bの排気口2Dの額付近に向く角度を自在に調整する角度調整治具72(自在機構)の実施例を示す。該角度調整治具72は、送気ファン筐体基部2Eと、キャップ5の鍔5Aの裏面に対して、当該送気ファン筐体基部2Eと鍔5Aの裏面との間の角度θを所定段階に調整固定できる角度調整部材721と、送気ファン筐体基部2Eの鍔5A先端に設けられた角度θを所定段階に調整固定する角度自在機構722を備えものである。角度θを所定段階に調整固定する角度自在機構722は、公知の機構により構成したものである。キャップ5の鍔5Aの裏面に接着された鍔面ファスナ65Aと、角度調整部材721の表面に接着された角度調整部材面ファスナ6721とが接合され、角度自在機構722により任意の段階角度θを選択することにより、送気ファン筐体2Bの排気口2Dの額付近に向く角度を自在に調整することができる。
【0033】
鍔面ファスナ65Aをキャップ5の鍔5Aの裏面に接着するに際し、通常一般に曲面で構成されている鍔裏面に対応する鍔裏対応面711と送気ファン筐体基部2Eに対応する基部対応面712とを備えた鍔裏介在部材を形成し、該鍔裏介在部材の鍔裏対応面711を鍔5Aの裏面に接着した後、該鍔裏介在部材の基部対応面712に鍔面ファスナ65Aを接着する。こうすることにより、鍔面ファスナ65Aは平面状態となり、送気ファン筐体基部2Eの筐体基部面ファスナ62Eと容易に平面状態で接合することができる。
さらに、該鍔裏介在部材は、角度調整治具72に限定されることなく、角度調整治具71に対しても適用できる。
【0034】
電源4の一例としての充電地4Aは、定格出力5Vの携帯電話に使用するスイッチ4B(図示せず)を有する量販製品を使用する。充電池4Aと送気ファン2は接続線3で接続され、送気ファン筐体2Bに形成された送気ファン2の接続端子2Fにより接続線3と直接接続されており、充電池4Aと接続線3とはUSB端子で接続されている。このため、充電池4Aの充電は、接続線3のUSB端子を外して公知の携帯電話充電器で充電できる。
また、量販製品である定格出力5Vの携帯電話に使用するスイッチ4Bを有する充電池4Aの形状は、一例として棒状直方体である。
【0035】
棒状直方体の充電地4Aを、キャップ5の曲面状の外面側部5Bに接合するに際し、キャップ装着調整治具8を使用して着脱自在に接合されている。
図7は、一例としてキャップ装着調整治具81(帯状体)の実施例によるものである。キャップ5の曲面状の外面側部5Bに面ファスナ6により、帯状体のキャップ装着調整治具81を使用して着脱自在に固定するものである。キャップ5の曲面状の外面側部5Bには外面側部面ファスナ65Bを備え、充電地4Aには電源接線面ファスナ64AR及び電源外周面ファスナ64ASを備え、充電地4Aの電源接線面ファスナ64ARをキャップ5の外面側部5Bの外面側部面ファスナ65Bと接合し、帯状体のキャップ装着調整治具81のキャップ装着調整治具面ファスナ68を充電地4Aの電源外周面ファスナ64ASと接合し、該帯状体のキャップ装着調整治具81のキャップ装着調整治具面ファスナ68の両端部をキャップ5の外面側部5Bの外面側部面ファスナ65Bと接合して、着脱自在に充電地4Aを固定する。
【0036】
図8は、他の例としてキャップ装着調整治具82(一対三角形)の実施例によるものである。キャップ装着調整治具82は一対の三角形で構成され、該キャップ装着調整治具82は、充電地4Aの両端部に設けられてキャップ5の外面側部5Bの曲面と充電地4Aの平面との隙間を調整する、一対の断面形状が直角三角形の三角錐で構成されている。一方のキャップ装着調整治具82の一の斜辺82Rの面に接着された斜辺面ファスナ682Rを外面側部面ファスナ65Bと、他の斜辺82Sの面に接着された斜辺面ファスナ682Sを電源面ファスナ64と接合される。他方のキャップ装着調整治具82も対照に同様に設置される。そして、キャップ装着調整治具82を介在してキャップ5に充電地4Aが装着される。
【0037】
キャップ装着調整治具として、キャップ5の外面側部5Bに部材を固定する公知のキャップ装着調整治具の採用も可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 冷却装置
2 送気ファン
2A 送気ファンユニット
2B 送気ファン筐体
2C 送気ファン吸気口
2D 送気ファン排気口
2E 送気ファン筐体基部
2F 接続端子
2G 送気
3 接続線
4 電源
4A 充電地
4B スイッチ
4C 充電用端子
5 キャップ
5A 鍔
5B 外面側部
6 面ファスナ
62 筐体基部面ファスナ
64A 電源面ファスナ
64AR 電源接線面ファスナ
64AS 電源外周面ファスナ
65A 鍔面ファスナ
65B 外面側部面ファスナ
6711 鍔裏対応面ファスナ
6712 基部対応面ファスナ
6721 角度調整部材面ファスナ
68 キャップ装着調整治具面ファスナ
7 角度調整治具
71 角度調整治具(くさび)
711 鍔裏対応面
712 基部対応面
713 角度調整面
72 角度調整治具(自在)
721 角度調整部材
722 角度自在機構
8 キャップ装着調整治具
81 キャップ装着調整治具(帯状体)
82 キャップ装着調整治具(一対三角形)
P 装着者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8