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特開2024-2871エアカーテン分離機構を備えた交換型付加製造装置システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002871
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】エアカーテン分離機構を備えた交換型付加製造装置システム
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/364 20170101AFI20231228BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20231228BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20231228BHJP
【FI】
B29C64/364
B29C64/106
B33Y30/00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168787
(22)【出願日】2022-10-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-12
(31)【優先権主張番号】111123517
(32)【優先日】2022-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】504007741
【氏名又は名称】國立中央大學
【住所又は居所原語表記】NO.300, Jhongda Road, Jhongli District, Taoyuan City, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100217412
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 亜子
(72)【発明者】
【氏名】廖昭仰
(72)【発明者】
【氏名】陳柏任
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AM25
4F213AR06
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL73
4F213WL85
4F213WL87
4F213WL96
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、特別に設計されたエアカーテン分離機構を提案し、それは、半遮蔽交換型付加製造装置システムに増設され、交換型付加製造装置システムの造形エリアをステレス的に遮蔽するために安定した気流を生成する。
【解決手段】本発明は、エアカーテン分離機構600を備えた交換型付加製造装置システムであって、熱伝導モジュール300と、前記熱伝導モジュールの中央部で選択的に組み合わせて作業坑360を形成する複数の平面付加製造アセンブリ及び前記作業坑内に選択的に配置されて前記作業坑に沿って移動し且つ前記作業坑とともに造形エリア370を形成する造形プラットフォームと、前記熱伝導モジュールの周辺部に配置され、能動的に気流を生成し、前記気流が前記作業坑と前記造形エリアを横切り、前記造形エリアと外部環境を分離するエアカーテン分離機構と、を含む。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導モジュールと、
前記熱伝導モジュールの中央部で選択的に組み合わせて作業坑を形成する複数の平面付加製造アセンブリ及び、前記作業坑内に選択的に配置されて前記作業坑に沿って移動し且つ前記作業坑とともに造形エリアを形成する造形プラットフォームと、
前記熱伝導モジュールの中央部で選択的に組み合わせて作業坑を形成する複数の曲面付加製造アセンブリ及び、前記作業坑内で回転するように選択的に配置され且つ前記作業坑とともに前記造形エリアを形成する造形スピンドルと、
前記熱伝導モジュールの周辺部に配置され、能動的に気流を生成し、前記気流が前記作業坑と前記造形エリアを横切り、前記製造エリアと外部環境を分離するエアカーテン分離機構と、
を含むエアカーテン分離機構を備えた交換型付加製造装置システムであって、
前記交換型付加製造装置システムは、前記造形プラットフォームと前記複数の平面付加製造アセンブリを選択的に配置して3D付加製造装置を構成する、または前記造形スピンドルと前記複数の曲面付加製造アセンブリを選択的に配置してロータリー付加製造装置を構成することを特徴とするエアカーテン分離機構を備えた交換型付加製造装置システム。
【請求項2】
熱伝導モジュール内部に媒体流路を含み、その中を熱伝導媒体が流動し、前記媒体流路の入口が前記熱伝導モジュールの底部に配置され、
ガントリー多軸モーションプラットフォームを含み、ノズルを搭載して前記ノズルをX軸方向、Y軸方向またはZ軸方向に向けて移動するように駆動する3Dモーション機構と、
前記3Dモーション機構により前記造形エリア上方に位置するノズルと、
前記熱伝導媒体を能動的に冷却するように配置される循環冷却ユニットと、
前記熱伝導媒体を能動的に加熱するように配置される循環加熱ユニットと、
前記循環冷却ユニットと前記熱伝導モジュールを連通するまたは前記循環加熱ユニットと前記熱伝導モジュールを連通し、且つ前記熱伝導媒体が内部で流動する循環管路と、
前記造形プラットフォームを前記作業坑に沿って移動させるように駆動するリニアモータを含む造形プラットフォームモーション制御モジュールと、
前記造形スピンドルを回転させるように駆動するステッピングモータを含むスピンドルモーション制御モジュールと、
のうち一つを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の交換型付加製造装置システム。
【請求項3】
前記エアカーテン分離機構は、
前記熱伝導モジュールに従属する気流生成ユニットであって、
気流生成ユニット吸入端及び気流生成ユニット吹出端と、
前記気流生成ユニット吸入端により気体を吸入して前記気流を生成するとともに、前記気流生成ユニット吹出端から前記気流を排出するクロスフローファンと、
前記クロスフローファンを回転するように駆動して前記気流を生成する第1モータと、
前記気流生成ユニット吹出端に配置され、生成された前記気流に対してガイド効果を生成する第1エアデフレクタと、
を含む気流生成ユニットと、
前記熱伝導モジュールに従属するとともに位置において前記気流生成ユニットに相対する吸気ユニットであって、
吸気ユニット吸入端及び吸気ユニット吹出端と、
前記吸気ユニット吸入端から前記気流を吸入するとともに前記吸気ユニット吹出端から前記気流を排出する軸流ファンと、
前記軸流ファンが回転して前記気流を吸入するように駆動する第2モータと、
前記吸気ユニット吸入端に配置され、吸入された前記気流に対してガイド効果を生成する第2エアデフレクタと、
を含む吸気ユニットと、
前記吸気ユニット吹出端と前記気流生成ユニット吸入端を連通して、気流循環経路を形成する気流循環管路と、
前記気流循環経路上に配置される湿度コントローラと、
前記気流循環経路上に配置される温度コントローラと、
前記気流循環経路上に配置されるエアフィルタと、
のうち一つを更に含む請求項1記載の交換型付加製造装置システム。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換型付加製造(Additive Manufacturing;AM)装置システムに関し、特に特殊設計のエアカーテン分離機構を備え、造形エリアをステレス的に遮蔽した交換型付加製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術において、バイオプリンターによるバイオプリンティングの工程では、特殊なバイオプリンティング材料の特性に合わせるため、通常、低温環境下で印刷作業を行う必要があり、例えば機械の動作温度を-20℃から-40℃の低温に保つ必要があり、これにより積層したバイオプリンティング材料が即座に凝固して、材料の堆積ができる。
【0003】
従来技術の方法は、無菌室または作業室にバイオプリンティング設備一式を設置して操作し、無菌室または作業室の環境条件を制御して、機械が必要とする温度および湿度条件を満たして、バイオプリンティングを行う。しかし、このように温度制御範囲が広いため、降温や昇温の効率が悪いなど明らかに多くのデメリットがあり、外部環境が条件に達した後でも、設定した条件に機械が達するのを待つ必要があるため、準備時間は非常に長くなる。
【0004】
更に、広範囲の外部空間における環境条件の制御は、昇温、降温、乾燥空気や湿った空気の生成にかかわらず、いずれも非常にエネルギーを必要とする。特に、バイオプリント工程では、異なる種類のバイオプリント材料を応用することが多いが、異なるバイオプリント材料が必要な環境温度はそれぞれ異なる。故に、バイオプリント工程は、多くの場合、これに制限されないが、例えば、-40℃と+37℃の温度間で繰り返し切り替える制御が必要とされるので、この従来技術では印刷効率が悪く、改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特別に設計されたエアカーテン分離機構を提案し、それは、半遮蔽交換型付加製造装置システムに増設され、交換型付加製造装置システムの造形エリアをステレス的に遮蔽するために安定した気流を生成し、交換型付加製造装置システムは、内部コンポーネントを簡単に交換するだけで異なる構成(configuration)が形成でき、半遮蔽式3D付加製造装置とロータリー付加製造装置という異なる構成に変換することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
熱伝導モジュールと、前記熱伝導モジュールの中央部で選択的に組み合わせて作業坑を形成する複数の平面付加製造アセンブリ及び、前記作業坑内に選択的に配置されて前記作業坑に沿って移動し且つ前記作業坑とともに造形エリアを形成する造形プラットフォームと、前記熱伝導モジュールの中央部で選択的に組み合わせて作業坑を形成する複数の曲面付加製造アセンブリ及び、前記作業坑内で回転するように選択的に配置され且つ前記作業坑とともに前記造形エリアを形成する造形スピンドルと、前記熱伝導モジュールの周辺部に配置され、能動的に気流を生成し、前記気流が前記作業坑と前記造形エリアを横切り、前記製造エリアと外部環境を分離するエアカーテン分離機構と、を含むエアカーテン分離機構を備えた交換型付加製造装置システムであって、前記交換型付加製造装置システムは、前記造形プラットフォームと前記複数の平面付加製造アセンブリを選択的に配置して3D付加製造装置を構成する、または前記造形スピンドルと前記複数の曲面付加製造アセンブリを選択的に配置してロータリー付加製造装置を構成することを特徴とするエアカーテン分離機構を備えた交換型付加製造装置システム。
【発明の効果】
【0007】
エアカーテン気流の効果により、造形エリアを外部環境から分離して省エネ効果が達成され、機械全体の動作温度範囲を少なくとも-40℃から+60℃に上昇させることができ、例えば、これに限定されないが、生体適合性の温感材料などの付加製造を行うのに非常に適している。この技術により、エネルギーロスを効果的に防ぎ、わずかな範囲の温度制御で済むため、機械が迅速に温度を平衡にすることができ、製造速度を向上させ、製造歩留まりも改善させることができる。また、気流の成分や温度、湿度を制御することで、造形環境をより安定させることができ、低温造形時の着霜量を減少させ、常温時の熱エネルギーの放熱を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のエアカーテン分離機構を備えた3D付加製造装置のシステム全体の概略図を開示する。
図2(a)】本発明のエアカーテン分離機構を備えた3D付加製造装置に含まれる熱伝導モジュールの第1実施形態に含まれる熱伝導ベースの構造を示す概略図である。
図2(b)】本発明のエアカーテン分離機構を備えた3D付加製造装置に含まれる熱伝導モジュールの第1実施形態に含まれる平面付加製造アセンブリの構造を示す概略図である。
図2(c)】本発明のエアカーテン分離機構を備えた3D付加製造装置に含まれる熱伝導モジュールの第1実施形態に含まれる昇降式造形プラットフォームの構造を示す概略図である。
図3】本発明で提案する熱伝導モジュールの第1実施形態の構造組み立てを示す概略図である。
図4(a)】本発明が提案する熱伝導モジュールの第1実施形態の全体構造の側断面を示す概略図である。
図4(b)】本発明が提案する熱伝導モジュールの第1実施形態の全体構成を示す概略図である。
図5(a)】本発明が提案する熱伝導ベースの内部の媒体流路の構造配置を示す側断面概略図である。
図5(b)】本発明が提案する熱伝導ベース内部の媒体流路の構造配置を示す俯瞰概略図である。
図6】本発明のエアカーテン分離機構を備えたロータリー付加製造装置の概略図である。
図7(a)】本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態が含む熱伝導ベースの構造の概略図である。
図7(b)】本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態が含む曲面付加製造アセンブリの構造を示す模式図である。
図7(c)】本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態が含む造形スピンドルの構造を示す概略図である。
図8】本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態の構造の組み立て概略図である。
図9(a)】本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態の全体構造を示す側断面概略図である。
図9(b)】本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態の全体構造を示す概略図である。
図10】本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態に含まれる造形スピンドルの2段式構造を示す側断面概略図である。
図11】交換型付加製造装置システムに配置された本発明のエアカーテン分離機構の構造を示す概略図である。
図12】本発明の交換型付加製造装置システムに含まれるエアカーテン分離機構の機構概略図である。
図13】本発明のエアカーテン分離機構によって生成されたエアカーテン気流の流れ場の流線を示す写真である。
図14(a)】エアカーテン分離機構を使用した場合とエアカーテン分離機構を使用しなかった場合の、3D付加製造装置の造形エリアの平均温度と時間の関係を示すグラフである。
図14(b)】エアカーテン分離機構を使用した場合とエアカーテン分離機構を使用しなかった場合の、ロータリー付加製造装置の造形エリアの平均温度と時間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から図5は、本発明のエアカーテン分離機構を備えた交換型付加製造装置システムの第1実施例の概略図を開示する。図1は本発明のエアカーテン分離機構を備えた3D付加製造装置のシステム全体の概略図を開示する。本発明が提案する交換型付加製造装置システムは、コンポーネントの簡単な交換により第1実施形態の3D付加製造装置、または第2実施形態のロータリー付加製造装置として設定または構成(configured)することができる。3D付加製造装置は、好ましくは1台の3Dバイオプリンターであり、3D直角座標運動に基づく平面付加製造作業を実行するために使用され、ロータリー付加製造装置は、好ましくは1台の回転バイオプリンターであり、3D直角座標運動に基づいて回転運動を組み合わせた曲面付加製造作業を実行するために使用される。
【0010】
第1実施形態において、図1に示すように、本発明の交換型付加製造装置システムは、好ましくは、一組の3Dモーション機構100を含む一組の3D付加製造装置システム10として構成される。3Dモーション機構100は、好ましくは一組のガントリー多軸モーションプラットフォーム110であり、好ましくは、ベース120上に設置された2つのX軸ガイドレール111および113、Y軸ガイドレール115、Z軸ガイドレール117、およびロードマウンタ119から構成され、Y軸ガイドレール115は、X軸ガイドレール111、113に移動可能に架設され、X軸リニアモータ(図示せず)により駆動されてX軸ガイドレール111、113に沿ってX方向に線性運動し、Z軸ガイドレール117は、Y軸ガイドレール115に移動可能に架設され、Y軸リニアモータ(図示せず)により駆動されてX軸ガイドレール111、113に沿ってY方向に線性運動する。マウンタ119はノズル210を取り付け、ノズル210は、マウンタ119に取り付けられると、予め計画され設定された経路に従って、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の三軸移動を行う。
【0011】
ある実施形態において、ガントリー多軸モーションプラットフォーム110の、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の最大移動範囲は486×486×196mmが好ましく、X軸ガイドレール111、113と、Y軸ガイドレール115と、Z軸ガイドレール117など各軸ガイドレールはいずれも、外部に光学スケールフィードバックモジュールとレベル補正モジュールが装備されており、プラットフォームの全体的な位置決め精度が±1μmに達することができる。
【0012】
また、3D付加製造装置10は、付加製造モジュール200を含み、付加製造モジュール200は、造形材料供給ユニット(図示せず)とノズル210を含む。造形材料供給ユニットは、材料管路を介してノズル210に造形材料を供給する。ノズル210は、マウンタ119によってガントリー多軸モーションプラットフォーム110に取り付けられ、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の3軸移動を行う。ノズル210としては、3D付加製造用の造形材料を吐出するための押出ノズルやインクジェットノズル等が好適であるが、これらに限定されない。造形材料は、例えば、生分解性ポリウレタン(biodegradable polyurethane, Bio-PU)材料が好ましいが、これに限定されない。
【0013】
3D付加製造装置10は、ガントリー多軸モーションプラットフォーム110の可動範囲の下方に構成された一組の熱伝導モジュール300と、熱伝導モジュール300の上方に構成されたエアカーテン分離機構600及び吸気ユニット630等を含む。
【0014】
図2(a)は、本発明のエアカーテン分離機構を備えた3D付加製造装置に含まれる熱伝導モジュールの第1実施形態に含まれる熱伝導ベースの構造を示す概略図である。図2(b)は、本発明のエアカーテン分離機構を備えた3D付加製造装置に含まれる熱伝導モジュールの第1実施形態に含まれる平面付加製造アセンブリの構造を示す概略図である。図2(c)は、本発明のエアカーテン分離機構を備えた3D付加製造装置に含まれる熱伝導モジュールの第1実施形態に含まれる昇降式造形プラットフォームの構造を示す概略図である。図3は、本発明で提案する熱伝導モジュールの第1実施形態の構造組み立てを示す概略図である。図4(a)は、本発明が提案する熱伝導モジュールの第1実施形態の全体構造の側断面を示す概略図である。図4(b)は、本発明が提案する熱伝導モジュールの第1実施形態の全体構成を示す概略図である。
【0015】
また、3D付加製造装置10は、熱伝導ベース310、複数の平面付加製造アセンブリ321、322、323、324、昇降式造形プラットフォーム340等からなる熱伝導モジュール300を更に含み、熱伝導ベース310の構造形状は、好ましくは枠型構造体であり、枠型構造体は中央に矩形チャネル311を形成する。構造体の内部は、熱伝導媒体380が内部を流れるように複数の媒体流路313を含み、矩形チャネル311は、内側表面上に、複数の位置決め溝315及び組立孔317を含む一連の位置決め部材を含み、位置決め溝315及び組立孔317に従って平面付加製造アセンブリ321、322、323及び324を熱伝導ベース310に組み合わせることができる。
【0016】
熱伝導ベース310の構造形状は、例えば、矩形、円形、楕円形などの幾何学形状が好ましいが、これらに限定されず、また熱伝導ベース310の材質は、ステンレス鋼が好ましく、耐腐食性が高く、滅菌しやすい。
【0017】
複数の平面付加製造アセンブリ321、322、323、324は、主に熱伝導ベース310の矩形チャネル311の内側表面に取り付けられ、共に作業坑(work well)360を構成する。4つの平坦付加製造アセンブリ321、322、323、324は、造形プラットフォーム340が作業坑360内に嵌入し、作業坑360に沿って移動するように、作業坑360の4つの内壁に平坦な表面を提供することができ、例えば、上昇又は下降させて造形プラットフォーム340の高さをz軸方向に変更でき、作業坑360と造形プラットフォーム340が、深さ/高さ可変の造形エリア370を共に構成する。
【0018】
本発明が提案する3D付加製造装置10は、造形プラットフォームモーション制御モジュール400を更に含む。造形プラットフォームモーション制御モジュール400は、リニアモータ(図示せず)と1または複数の駆動軸410とを含み、駆動軸410は造形プラットフォーム340の下方に配置され、リニアモータは駆動軸410を駆動することにより造形プラットフォーム340を作業坑360に沿って移動するように駆動する。
【0019】
本発明が提案する3D付加製造装置10では、付加製造は昇降型造形プラットフォーム340の上方の造形エリア370で行われ、ノズル210は、ガントリー多軸モーションプラットフォーム110によって制御され、造形エリア370の範囲内に位置決めされ付加製造が行われ、造形プラットフォーム340は、作業坑360に沿ってZ軸方向に昇降可能である。従って、同一層の積層構造又は全ての付加製造を造形する工程において、ノズル210がZ軸方向上の高さを固定することができ、XY平面内でX軸およびY軸方向のみを移動させることが可能である。更に造形プラットフォーム340のZ軸方向の高さを変えることにより、レイヤーバイレイヤー造形の効果が得られる。
【0020】
3D付加製造装置10は、循環冷却ユニットと循環加熱ユニットとを含む温度循環制御モジュールを更に含む。循環冷却ユニットは、好ましくは、例えばこれに限定されないが、循環冷却装置(refrigerated circulator)であり、熱伝導媒体380を予め設定された温度まで能動的に冷却し、冷却された熱伝導媒体380を循環管路を通して熱伝導ベース310内の媒体流路313にポンピングし、循環管路を介して熱伝導媒体380を回収して再度冷却して、このサイクルを連続的に繰り返すことで、熱伝導ベース310を予め設定された動作温度まで冷却する。また、循環加熱ユニットは、例えば、循環加熱装置(heating circulator)であることが好ましいが、これに限定されず、熱伝導媒体380を予め設定された温度に能動的に加熱し、加熱された熱伝導媒体380を循環管路を介して熱伝導ベース310内の媒体流路313にポンピングし、循環管路を介して熱伝導媒体380を回収して再度加熱し、このサイクルを連続的に繰り返すことにより、熱伝導ベース310を予め設定された動作温度まで加熱する。熱伝導媒体380は、冷却剤(coolant)または循環液体であることが好ましく、本実施形態では、冷却剤は、濃度99.5%のエタノール(Ethanol, ECOH)であることが好ましい。
【0021】
図5(a)は、本発明が提案する熱伝導ベースの内部の媒体流路の構造配置を示す側断面概略図である。図5(b)は、本発明が提案する熱伝導ベース内部の媒体流路の構造配置を示す俯瞰概略図である。熱伝導ベース310の内部構造配置において、媒体流路313は、一定の高さごとに媒体流路313を1周配置する多層配置を採用し、造形プラットフォーム340が作業坑360を昇降する過程で温度分布をより均一にすることができ、媒体流路313の入口3131は熱伝導ベース310の下層に配置され、出口3132は熱伝導ベース310の上層に配置され、造形スケジュールが比較的高い層の構造の造形に進むと、例えば、これに限定されないが、比較的高い層のバイオスキャフォールド構造は、造形プラットフォーム340の高度が下降した後、入口3131に近づくほど、入口3131に近い熱伝導媒体380はエネルギー散逸が小さいため、低温または高温状態になり、これにより熱伝導効率を高めることができる。
【0022】
付加製造プロセス中、熱伝導媒体380は温度循環制御モジュールによって供給され、加熱または冷却された熱伝導媒体380は温度循環制御モジュールのポンピングによって、媒体流路313の入口3131に輸送される。媒体流路313に進み、熱伝導ベース310の内部を循環し、熱伝導ベース310を冷却または加熱する。エネルギーは、熱伝導ベース310を介して作業坑360の周囲の平面付加製造アセンブリ321、322、323および324に伝達され、接触伝導を介して中央の造形プラットフォーム340に伝達され、造形プラットフォーム340が冷却または加熱されるとともに、造形プラットフォーム340上に積層された造形材料に伝達される。
【0023】
図6図10は、本発明のエアカーテン分離機構を備えた交換型付加製造装置システムの第2実施形態を示す概略図である。図6は、本発明のエアカーテン分離機構を備えたロータリー付加製造装置の概略図である。第2実施形態において、本発明の交換型付加製造装置システムは、第1実施形態と、第1実施形態で開示された少なくとも3Dモーション機構100と、付加製造モジュール200と、熱伝導モジュール300と、温度循環制御モジュール及びエアカーテン分離機構600と、吸気ユニット630などを含むロータリー付加製造装置20から構成されることが好ましい。
【0024】
図7(a)は、本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態が含む熱伝導ベースの構造の概略図である。図7(b)は、本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態が含む曲面付加製造アセンブリの構造を示す模式図である。図7(c)は、本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態が含む造形スピンドルの構造を示す概略図である。図8は、本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態の構造の組み立て概略図である。図9(a)は、本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態の全体構造を示す側断面概略図である。図9(b)は、本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態の全体構造を示す概略図である。
【0025】
ロータリー付加製造装置20は、第1実施形態で開示した熱伝導モジュール300をさらに含み、熱伝導モジュール300は、熱伝導ベース310、複数の曲面付加製造アセンブリ331、332、333、334、造形スピンドル等を含む。熱伝導ベース310の内部は、熱伝導媒体380が流れる媒体流路313を含み、熱伝導ベース310は、複数の位置決め溝315と組立孔317を含み、位置決め溝315と組立孔317に従って曲面付加製造アセンブリ331、332、333、334の各々が熱伝導ベース310に組み付けられて作業坑360を形成する。
【0026】
着脱を容易にするために、造形スピンドル350の取付けは片側挿入方式を採用し、造形スピンドル350は、熱伝導ベース310に開設された第1軸受孔391と、対応する曲面付加製造アセンブリ332上の第2軸受孔393を順次貫通し、対向する曲面付加製造アセンブリ334上の第3軸受孔395に挿入される。第3軸受孔395に挿入された造形スピンドル350は、回転時の摩擦を減らすために曲面付加製造アセンブリ333の後部の熱伝導ベース310に接触せず、エネルギーは、造形スピンドル350に接触した第1軸受孔391、第2軸受孔393及び第3軸受孔395を介して造形スピンドル350に伝達される。熱伝導ベース310の下方に底板363がさらに含まれ、作業坑360の底を遮蔽し、造形エリア370が5つの面を有する遮蔽空間を形成する。
【0027】
本発明が提案するロータリー付加製造装置20は、回転モーション制御モジュール450をさらに含み、回転モーション制御モジュール450は、ステッピングモータ460を含み、造形スピンドル350は、回転モーション制御モジュール450のステッピングモータ460によって駆動されることが好ましい。
【0028】
本発明が提案するロータリー付加製造装置20において、造形スピンドル350上方の造形エリア370で付加製造が行われ、ノズル210が造形エリア370の範囲内で作動して付加製造が行われ、ロータリー付加製造装置20は、主に例えば三次元管状構造を製造するために使用されるが、これに限定されない。
【0029】
図10は、本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態に含まれる造形スピンドルの2段式構造を示す側断面概略図である。造形スピンドル350上で付加製造が行われるので、付加製造が完了した後、完成品は、造形スピンドル350に取付いているので、造形スピンドル350は第1軸受孔391、第2軸受孔393、および第3軸受孔395から直接抜き取ることができない。
【0030】
したがって、本発明が提案するロータリー付加製造装置20では、造形スピンドル350を2段式構造として設計し、造形スピンドル350は、螺合(screwing)された連結部351と造形部353とを備えているため、本発明が提案する造形スピンドル350は、曲面付加製造の完了後、完成品を傷つけないように、造形部353を直接作業坑360内部から直接取り出すことができる。
【0031】
本発明が提案する交換型付加製造装置システムは、第1実施形態の3D付加製造装置10と、第2実施形態のロータリー付加製造装置20とを少なくとも含み、設計コンセプトは、付加製造プロセスの温度制御範囲を、作業坑360の4つの内壁と造形プラットフォーム340または造形スピンドル350によって形成される5面の遮蔽空間または半遮蔽空間のみ、すなわち造形エリア370に限定することである。これにより、付加製造プロセスの温度制御範囲が大幅に縮小され、熱伝導効率が非常に向上し、機械全体の効率とエネルギー消費量が大幅に改善される。
【0032】
しかし、造形エリア370の上部は、ノズル210が造形エリア370に進入して付加製造作業を実行できるように、ノズル210用に開放されていなければならず、その結果、造形エリア370は周囲環境から完全には隔離されない。造形工程中、造形エリア370の内部エネルギーは外部環境に継続的に流出し、造形エリア370は、外部環境の湿気および水分の影響も受けやすく、機械が冷却された後、作業坑360の内壁と造形プラットフォーム340または造形スピンドル350は着霜しやすくなり、付加製造作業が妨げられ、機械造形環境全体の安定性は依然として不十分である。
【0033】
図11は、交換型付加製造装置システムに配置された本発明のエアカーテン分離機構の構造を示す概略図である。本発明が提案するエアカーテン分離機構600は、3D付加製造装置10とロータリー付加製造装置20とを含む付加製造装置システムの熱伝導モジュール300の熱伝導ベース310の両側の周辺領域に配置される。エアカーテン分離機構600は、製造エリア370上方に作業坑360と造形エリア370を横切る安定したガスジェットを発生させて、造形エリア370をステレス的に遮蔽し、気流623の成分、温度および温度を制御することによって造形環境の安定性を向上することができ、低温造形中の着霜量またはエネルギー損失を減らし、常温造形または高温造形中の熱エネルギーの散逸を防止する。
【0034】
図12は、本発明の交換型付加製造装置システムに含まれるエアカーテン分離機構の機構概略図である。エアカーテン分離機構600の能動部材は、能動気流生成ユニット610および能動吸気ユニット630などを含む。能動気流生成ユニット610は、気流生成ユニット吸入端611と気流生成ユニット吹出端613とをさらに含み、超大風量クロスフローファン615と、吹出端613と超大風量クロスフローファン615によって生成される気流623の経路上に設置される第1のエアデフレクタ617と、超大風量クロスフローファン615の駆動に対応する第1モータ619と、モータコントローラ621を配置する。
【0035】
能動吸気ユニット630はさらに、吸気ユニット吸入端631および吸気ユニット吹出端633を含み、また、超大風量軸流ファン635と、吸入端631に配置された第2エアデフレクタ637と、超大風量軸流ファン635の駆動に対応する第2モータ639とを備える。能動吸気ユニット630は、気流623の回収効率を向上させるために、2つの超大風量軸流ファン635および2つのモータを配置することが好ましい。
【0036】
能動気流生成ユニット610と能動吸気ユニット630とは、互いに対向する位置に相対的に配置される。能動気流生成ユニット610の超大風量クロスフローファン615がスムーズに空気を吹き出し、気流623を形成し、能動吸気ユニット630の2つの超大風量軸流ファン635は、能動吸気ユニット630の前方に負圧領域を形成して気流623を吸い込み、流動の拡散を避けるために造形エリア370の上方に気流をガイドして集中させて、空気循環システムを構成し、エアカーテンを形成して、造形エリア370の上方をステレス的に遮蔽する。
【0037】
低温付加製造を例として、低温作業環境下で、空気中に含まれる水分が接触隙間中で凍結すると、冷却能力の伝達が低下するだけでなく、造形プラットフォームや造形スピンドルが凍結して機械の動作に影響を与える可能性もあり、本発明が提案したエアカーテン分離機構600が生成した気流623は造形エリア370と外部環境との接触を効果的に遮断する。
【0038】
エアカーテン分離機構600は更に、吸気ユニット吹出端633と気流生成ユニット吸入端611を連通し、気流循環経路651を形成する気流循環管路650を含み、生成されたエアカーテン気流623の造形エリア370への影響を低減するために、モータコントローラ621による超大風量クロスフローファン615と超大風量軸流ファン635の回転数を適切に制御する以外に、さらに、本発明では、気流循環管路650の気流循環経路651の適切な位置に、化学ドライヤーなどの湿度コントローラ660と温度コントローラ670のセットを配置し、気流の湿度と温度を調整するようにする。例えば、造形材料がハイドロゲルである場合、湿度コントローラ660により相対湿度(RH)が約60のエアカーテン気流を発生させて造形工程中のハイドロゲルの乾燥を防ぐことができ、低温造形を行う必要がある場合は湿度コントローラ660により乾燥空気を導入して着霜量を減らし、温度コントローラ670により気流温度を合わせて下げて造形環境の品質を効果的に向上することができる。
【0039】
さらに、吹き出す気流により付加製造品が汚染されるのを防止するために、能動気流生成ユニット610内の気流循環経路651上に一組のエアフィルタ680を選択的に配置することができる。エアフィルタ680は、好ましくは、多層フィルタスクリーン、高分子フィルタ層、活性炭フィルタ層、HEPA H13医療用フィルタ層、またはPP静電層などであり、エアカーテン気流の空気品質が確保できる。
【0040】
図13は、本発明のエアカーテン分離機構によって生成されたエアカーテン気流の流れ場の流線を示す写真である。本発明のエアカーテン分離機構600によって生成されたエアカーテン気流が一定で安定した(steady and stable)状態に達した後、流れ場の視覚化後に煙線によって形成される流線は、図13に示されるようになる。図13からわかるように、一定で安定した状態に達するエアカーテンの気流は滑らかな特性を示している。
【0041】
図14(a)は、エアカーテン分離機構を使用した場合とエアカーテン分離機構を使用しなかった場合の、3D付加製造装置の造形エリアの平均温度と時間の関係を示すグラフである。図14(b)は、エアカーテン分離機構を使用した場合とエアカーテン分離機構を使用しなかった場合の、ロータリー付加製造装置の造形エリアの平均温度と時間の関係を示すグラフである。低温付加製造を例にすると、図14(a)、図14(b)に示すように、3D付加製造装置またはロータリー付加製造装置の造形エリアのいずれも、エアカーテン分離機構の使用後は平均温度はどちらも早く低下し、エアカーテン分離機構を使用していない場合に比べて約30分早く安定した作業温度に到達し、実験効率が効果的に向上し、エアカーテン分離機構が造形エリアの温度低下に有効に寄与する。
【0042】
さらに、3D付加製造装置、ロータリー付加製造装置のいずれにおいても、エアカーテン分離機構を使用した場合は、エアカーテン分離機構を使用しない場合に比べ、造形エリアの最終的に達する作業温度を少なくとも1℃低下させることができ、エアカーテン気流の遮断により、造形環境の安定性が高まり、低温エネルギーが造形エリア内に効果的に蓄えられ、また湿度コントローラ及び温度コントローラの作用の効果が顕著であることが証明された。
【0043】
エアカーテンの効果により、造形エリアを外部環境から隔離して省エネ効果が達成できるため、機械の動作温度範囲を少なくとも-40℃から+60℃に上昇させることができ、例えばこれに制限されないが生体適合性感温材料の付加製造の実施に非常に適しており、またエネルギー損失を効果的に防ぐことができる。また、狭い範囲だけで温度を制御すればよいため、機械は温度バランスを迅速に達成でき、造形速度を上げることができ、更に、生産歩留まりも向上させることができる。気流成分、温度、湿度を制御することにより、造形環境の安定性が向上し、低温造形時の着霜量やエネルギー損失を低減し、常温造形または高温造形において、熱エネルギーの散逸を防止する。
【0044】
本発明のエアカーテン分離機構600を設置しても、プリントノズル210やガントリー多軸モーションプラットフォーム110の動作を妨げないため、造形エリア370をステレス的に遮蔽するとともに、ノズル210が付加製造作業を自在に行うことができる。
【0045】
本発明が提案する交換型付加製造装置システムは、3Dモーション機構100、付加製造モジュール200、温度循環制御モジュール及びエアカーテン分離機構600を交換せずに、熱伝導ベース310上の平面付加製造アセンブリ321、322、323及び324と曲線付加製造アセンブリ331、332、333及び334を簡単に交換するだけで、3D付加製造装置10及びロータリー付加製造装置20の2つの動作モードを切り替えることが可能である。
【0046】
本発明のエアカーテン分離機構を備える交換型付加製造装置システムは更に、少なくとも以下の特徴を有する。(1) Z軸方向に昇降する造形プラットフォームを介して付加製造分層積層作業を実行し、ガントリー型多軸モーションプラットフォームのZ軸方向の移動を低減する。(2) 主要コンポーネントのほとんどを交換することなく、異なるアセンブリを簡単に交換するだけで、3D付加製造装置とロータリー付加製造装置を切り替えることができる。(3)エアカーテン分離機構を備えることにより、造形エリア上方にスムーズな気流を発生させ、造形エリアをステレス的に遮蔽して、着霜量やエネルギー損失を大幅に低減する。
図1
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5(a)】
図5(b)】
図6
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】
図8
図9(a)】
図9(b)】
図10
図11
図12
図13
図14(a)】
図14(b)】
【手続補正書】
【提出日】2023-10-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導モジュールと、
前記熱伝導モジュールの中央部で選択的に組み合わせて作業坑を形成する複数の平面付加製造アセンブリ及び、前記作業坑内に選択的に配置されて前記作業坑に沿って移動し且つ前記作業坑とともに造形エリアを画定する造形プラットフォームと、
前記熱伝導モジュールの中央部で選択的に組み合わせて作業坑を形成する複数の曲面付加製造アセンブリ及び、前記作業坑内で回転するように選択的に配置され且つ前記作業坑とともに前記造形エリアを画定する造形スピンドルと、
前記熱伝導モジュールの周辺部に配置され、能動的に気流を生成し、前記気流が前記作業坑と前記造形エリアを横切り、前記造形エリアと外部環境を分離するエアカーテン分離機構と、
を含むエアカーテン分離機構を備えた交換型付加製造装置システムであって、
前記交換型付加製造装置システムは、前記造形プラットフォームと前記複数の平面付加製造アセンブリを選択的に配置して3D付加製造装置を構成する、または前記造形スピンドルと前記複数の曲面付加製造アセンブリを選択的に配置してロータリー付加製造装置を構成することを特徴とするエアカーテン分離機構を備えた交換型付加製造装置システム。
【請求項2】
熱伝導モジュール内部に媒体流路を含み、その中を熱伝導媒体が流動し、前記媒体流路の入口が前記熱伝導モジュールの底部に配置され、
ガントリー多軸モーションプラットフォームを含み、ノズルを搭載して前記ノズルをX軸方向、Y軸方向またはZ軸方向に向けて移動するように駆動する3Dモーション機構と、
前記3Dモーション機構により前記造形エリア上方に位置するノズルと、
前記熱伝導媒体を能動的に冷却するように配置される循環冷却ユニットと、
前記熱伝導媒体を能動的に加熱するように配置される循環加熱ユニットと、
前記循環冷却ユニットと前記熱伝導モジュールを連通するまたは前記循環加熱ユニットと前記熱伝導モジュールを連通し、且つ前記熱伝導媒体が内部で流動する循環管路と、
前記造形プラットフォームを前記作業坑に沿って移動させるように駆動するリニアモータを含む造形プラットフォームモーション制御モジュールと、
前記造形スピンドルを回転させるように駆動するステッピングモータを含むスピンドルモーション制御モジュールと、
のうち一つを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の交換型付加製造装置システム。
【請求項3】
前記エアカーテン分離機構は、
前記熱伝導モジュールに従属する気流生成ユニットであって、
気流生成ユニット吸入端及び気流生成ユニット吹出端と、
前記気流生成ユニット吸入端により気体を吸入して前記気流を生成するとともに、前記気流生成ユニット吹出端から前記気流を排出するクロスフローファンと、
前記クロスフローファンを回転するように駆動して前記気流を生成する第1モータと、
前記気流生成ユニット吹出端に配置され、生成された前記気流に対してガイド効果を生成する第1エアデフレクタと、
を含む気流生成ユニットと、
前記熱伝導モジュールに従属するとともに位置において前記気流生成ユニットに相対する吸気ユニットであって、
吸気ユニット吸入端及び吸気ユニット吹出端と、
前記吸気ユニット吸入端から前記気流を吸入するとともに前記吸気ユニット吹出端から前記気流を排出する軸流ファンと、
前記軸流ファンが回転して前記気流を吸入するように駆動する第2モータと、
前記吸気ユニット吸入端に配置され、吸入された前記気流に対してガイド効果を生成する第2エアデフレクタと、
を含む吸気ユニットと、
前記吸気ユニット吹出端と前記気流生成ユニット吸入端を連通して、気流循環経路を形成する気流循環管路と、
前記気流循環経路上に配置される湿度コントローラと、
前記気流循環経路上に配置される温度コントローラと、
前記気流循環経路上に配置されるエアフィルタと、
のうち一つを更に含む請求項1記載の交換型付加製造装置システム。

【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換型付加製造(Additive Manufacturing;AM)装置システムに関し、特に特殊設計のエアカーテン分離機構を備え、造形エリアをステレス的に遮蔽した交換型付加製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術において、バイオプリンターによるバイオプリンティングの工程では、特殊なバイオプリンティング材料の特性に合わせるため、通常、低温環境下で印刷作業を行う必要があり、例えば機械の動作温度を-20℃から-40℃の低温に保つ必要があり、これにより積層したバイオプリンティング材料が即座に凝固して、材料の堆積ができる。
【0003】
従来技術の方法は、無菌室または作業室にバイオプリンティング設備一式を設置して操作し、無菌室または作業室の環境条件を制御して、機械が必要とする温度および湿度条件を満たして、バイオプリンティングを行う。しかし、このように温度制御範囲が広いため、降温や昇温の効率が悪いなど明らかに多くのデメリットがあり、外部環境が条件に達した後でも、設定した条件に機械が達するのを待つ必要があるため、準備時間は非常に長くなる。
【0004】
更に、広範囲の外部空間における環境条件の制御は、昇温、降温、乾燥空気や湿った空気の生成にかかわらず、いずれも非常にエネルギーを必要とする。特に、バイオプリント工程では、異なる種類のバイオプリント材料を応用することが多いが、異なるバイオプリント材料が必要な環境温度はそれぞれ異なる。故に、バイオプリント工程は、多くの場合、これに制限されないが、例えば、-40℃と+37℃の温度間で繰り返し切り替える制御が必要とされるので、この従来技術では印刷効率が悪く、改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特別に設計されたエアカーテン分離機構を提案し、それは、半遮蔽交換型付加製造装置システムに増設され、交換型付加製造装置システムの造形エリアをステレス的に遮蔽するために安定した気流を生成し、交換型付加製造装置システムは、内部コンポーネントを簡単に交換するだけで異なる構成(configuration)が形成でき、半遮蔽式3D付加製造装置とロータリー付加製造装置という異なる構成に変換することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
熱伝導モジュールと、前記熱伝導モジュールの中央部で選択的に組み合わせて作業坑を形成する複数の平面付加製造アセンブリ及び、前記作業坑内に選択的に配置されて前記作業坑に沿って移動し且つ前記作業坑とともに造形エリアを形成する造形プラットフォームと、前記熱伝導モジュールの中央部で選択的に組み合わせて作業坑を形成する複数の曲面付加製造アセンブリ及び、前記作業坑内で回転するように選択的に配置され且つ前記作業坑とともに前記造形エリアを形成する造形スピンドルと、前記熱伝導モジュールの周辺部に配置され、能動的に気流を生成し、前記気流が前記作業坑と前記造形エリアを横切り、前記造形エリアと外部環境を分離するエアカーテン分離機構と、を含むエアカーテン分離機構を備えた交換型付加製造装置システムであって、前記交換型付加製造装置システムは、前記造形プラットフォームと前記複数の平面付加製造アセンブリを選択的に配置して3D付加製造装置を構成する、または前記造形スピンドルと前記複数の曲面付加製造アセンブリを選択的に配置してロータリー付加製造装置を構成することを特徴とするエアカーテン分離機構を備えた交換型付加製造装置システム。
【発明の効果】
【0007】
エアカーテン気流の効果により、造形エリアを外部環境から分離して省エネ効果が達成され、機械全体の動作温度範囲を少なくとも-40℃から+60℃に上昇させることができ、例えば、これに限定されないが、生体適合性の温感材料などの付加製造を行うのに非常に適している。この技術により、エネルギーロスを効果的に防ぎ、わずかな範囲の温度制御で済むため、機械が迅速に温度を平衡にすることができ、製造速度を向上させ、製造歩留まりも改善させることができる。また、気流の成分や温度、湿度を制御することで、造形環境をより安定させることができ、低温造形時の着霜量を減少させ、常温時の熱エネルギーの放熱を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のエアカーテン分離機構を備えた3D付加製造装置のシステム全体の概略図を開示する。
図2(a)】本発明のエアカーテン分離機構を備えた3D付加製造装置に含まれる熱伝導モジュールの第1実施形態に含まれる熱伝導ベースの構造を示す概略図である。
図2(b)】本発明のエアカーテン分離機構を備えた3D付加製造装置に含まれる熱伝導モジュールの第1実施形態に含まれる平面付加製造アセンブリの構造を示す概略図である。
図2(c)】本発明のエアカーテン分離機構を備えた3D付加製造装置に含まれる熱伝導モジュールの第1実施形態に含まれる昇降式造形プラットフォームの構造を示す概略図である。
図3】本発明で提案する熱伝導モジュールの第1実施形態の構造組み立てを示す概略図である。
図4(a)】本発明が提案する熱伝導モジュールの第1実施形態の全体構造の側断面を示す概略図である。
図4(b)】本発明が提案する熱伝導モジュールの第1実施形態の全体構成を示す概略図である。
図5(a)】本発明が提案する熱伝導ベースの内部の媒体流路の構造配置を示す側断面概略図である。
図5(b)】本発明が提案する熱伝導ベース内部の媒体流路の構造配置を示す俯瞰概略図である。
図6】本発明のエアカーテン分離機構を備えたロータリー付加製造装置の概略図である。
図7(a)】本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態が含む熱伝導ベースの構造の概略図である。
図7(b)】本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態が含む曲面付加製造アセンブリの構造を示す模式図である。
図7(c)】本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態が含む造形スピンドルの構造を示す概略図である。
図8】本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態の構造の組み立て概略図である。
図9(a)】本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態の全体構造を示す側断面概略図である。
図9(b)】本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態の全体構造を示す概略図である。
図10】本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態に含まれる造形スピンドルの2段式構造を示す側断面概略図である。
図11】交換型付加製造装置システムに配置された本発明のエアカーテン分離機構の構造を示す概略図である。
図12】本発明の交換型付加製造装置システムに含まれるエアカーテン分離機構の機構概略図である。
図13】本発明のエアカーテン分離機構によって生成されたエアカーテン気流の流れ場の流線を示す写真である。
図14(a)】エアカーテン分離機構を使用した場合とエアカーテン分離機構を使用しなかった場合の、3D付加製造装置の造形エリアの平均温度と時間の関係を示すグラフである。
図14(b)】エアカーテン分離機構を使用した場合とエアカーテン分離機構を使用しなかった場合の、ロータリー付加製造装置の造形エリアの平均温度と時間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から図5は、本発明のエアカーテン分離機構を備えた交換型付加製造装置システムの第1実施例の概略図を開示する。図1は本発明のエアカーテン分離機構を備えた3D付加製造装置のシステム全体の概略図を開示する。本発明が提案する交換型付加製造装置システムは、コンポーネントの簡単な交換により第1実施形態の3D付加製造装置、または第2実施形態のロータリー付加製造装置として設定または構成(configured)することができる。3D付加製造装置は、好ましくは1台の3Dバイオプリンターであり、3D直角座標運動に基づく平面付加製造作業を実行するために使用され、ロータリー付加製造装置は、好ましくは1台の回転バイオプリンターであり、3D直角座標運動に基づいて回転運動を組み合わせた曲面付加製造作業を実行するために使用される。
【0010】
第1実施形態において、図1に示すように、本発明の交換型付加製造装置システムは、好ましくは、一組の3Dモーション機構100を含む一組の3D付加製造装置システム10として構成される。3Dモーション機構100は、好ましくは一組のガントリー多軸モーションプラットフォーム110であり、好ましくは、ベース120上に設置された2つのX軸ガイドレール111および113、Y軸ガイドレール115、Z軸ガイドレール117、およびロードマウンタ119から構成され、Y軸ガイドレール115は、X軸ガイドレール111、113に移動可能に架設され、X軸リニアモータ(図示せず)により駆動されてX軸ガイドレール111、113に沿ってX方向に線性運動し、Z軸ガイドレール117は、Y軸ガイドレール115に移動可能に架設され、Y軸リニアモータ(図示せず)により駆動されてX軸ガイドレール111、113に沿ってY方向に線性運動する。マウンタ119はノズル210を取り付け、ノズル210は、マウンタ119に取り付けられると、予め計画され設定された経路に従って、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の三軸移動を行う。
【0011】
ある実施形態において、ガントリー多軸モーションプラットフォーム110の、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の最大移動範囲は486×486×196mmが好ましく、X軸ガイドレール111、113と、Y軸ガイドレール115と、Z軸ガイドレール117など各軸ガイドレールはいずれも、外部に光学スケールフィードバックモジュールとレベル補正モジュールが装備されており、プラットフォームの全体的な位置決め精度が±1μmに達することができる。
【0012】
また、3D付加製造装置10は、付加製造モジュール200を含み、付加製造モジュール200は、造形材料供給ユニット(図示せず)とノズル210を含む。造形材料供給ユニットは、材料管路を介してノズル210に造形材料を供給する。ノズル210は、マウンタ119によってガントリー多軸モーションプラットフォーム110に取り付けられ、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の3軸移動を行う。ノズル210としては、3D付加製造用の造形材料を吐出するための押出ノズルやインクジェットノズル等が好適であるが、これらに限定されない。造形材料は、例えば、生分解性ポリウレタン(biodegradable polyurethane, Bio-PU)材料が好ましいが、これに限定されない。
【0013】
3D付加製造装置10は、ガントリー多軸モーションプラットフォーム110の可動範囲の下方に構成された一組の熱伝導モジュール300と、熱伝導モジュール300の上方に構成されたエアカーテン分離機構600及び吸気ユニット630等を含む。
【0014】
図2(a)は、本発明のエアカーテン分離機構を備えた3D付加製造装置に含まれる熱伝導モジュールの第1実施形態に含まれる熱伝導ベースの構造を示す概略図である。図2(b)は、本発明のエアカーテン分離機構を備えた3D付加製造装置に含まれる熱伝導モジュールの第1実施形態に含まれる平面付加製造アセンブリの構造を示す概略図である。図2(c)は、本発明のエアカーテン分離機構を備えた3D付加製造装置に含まれる熱伝導モジュールの第1実施形態に含まれる昇降式造形プラットフォームの構造を示す概略図である。図3は、本発明で提案する熱伝導モジュールの第1実施形態の構造組み立てを示す概略図である。図4(a)は、本発明が提案する熱伝導モジュールの第1実施形態の全体構造の側断面を示す概略図である。図4(b)は、本発明が提案する熱伝導モジュールの第1実施形態の全体構成を示す概略図である。
【0015】
また、3D付加製造装置10は、熱伝導ベース310、複数の平面付加製造アセンブリ321、322、323、324、昇降式造形プラットフォーム340等からなる熱伝導モジュール300を更に含み、熱伝導ベース310の構造形状は、好ましくは枠型構造体であり、枠型構造体は中央に矩形チャネル311を形成する。構造体の内部は、熱伝導媒体380が内部を流れるように複数の媒体流路313を含み、矩形チャネル311は、内側表面上に、複数の位置決め溝315及び組立孔317を含む一連の位置決め部材を含み、位置決め溝315及び組立孔317に従って平面付加製造アセンブリ321、322、323及び324を熱伝導ベース310に組み合わせることができる。
【0016】
熱伝導ベース310の構造形状は、例えば、矩形、円形、楕円形などの幾何学形状が好ましいが、これらに限定されず、また熱伝導ベース310の材質は、ステンレス鋼が好ましく、耐腐食性が高く、滅菌しやすい。
【0017】
複数の平面付加製造アセンブリ321、322、323、324は、主に熱伝導ベース310の矩形チャネル311の内側表面に取り付けられ、共に作業坑(work well)360を構成する。4つの平坦付加製造アセンブリ321、322、323、324は、造形プラットフォーム340が作業坑360内に嵌入し、作業坑360に沿って移動するように、作業坑360の4つの内壁に平坦な表面を提供することができ、例えば、上昇又は下降させて造形プラットフォーム340の高さをz軸方向に変更でき、作業坑360と造形プラットフォーム340が、深さ/高さ可変の造形エリア370を共に構成する。
【0018】
本発明が提案する3D付加製造装置10は、造形プラットフォームモーション制御モジュール400を更に含む。造形プラットフォームモーション制御モジュール400は、リニアモータ(図示せず)と1または複数の駆動軸410とを含み、駆動軸410は造形プラットフォーム340の下方に配置され、リニアモータは駆動軸410を駆動することにより造形プラットフォーム340を作業坑360に沿って移動するように駆動する。
【0019】
本発明が提案する3D付加製造装置10では、付加製造は昇降型造形プラットフォーム340の上方の造形エリア370で行われ、ノズル210は、ガントリー多軸モーションプラットフォーム110によって制御され、造形エリア370の範囲内に位置決めされ付加製造が行われ、造形プラットフォーム340は、作業坑360に沿ってZ軸方向に昇降可能である。従って、同一層の積層構造又は全ての付加製造を造形する工程において、ノズル210がZ軸方向上の高さを固定することができ、XY平面内でX軸およびY軸方向のみを移動させることが可能である。更に造形プラットフォーム340のZ軸方向の高さを変えることにより、レイヤーバイレイヤー造形の効果が得られる。
【0020】
3D付加製造装置10は、循環冷却ユニットと循環加熱ユニットとを含む温度循環制御モジュールを更に含む。循環冷却ユニットは、好ましくは、例えばこれに限定されないが、循環冷却装置(refrigerated circulator)であり、熱伝導媒体380を予め設定された温度まで能動的に冷却し、冷却された熱伝導媒体380を循環管路を通して熱伝導ベース310内の媒体流路313にポンピングし、循環管路を介して熱伝導媒体380を回収して再度冷却して、このサイクルを連続的に繰り返すことで、熱伝導ベース310を予め設定された動作温度まで冷却する。また、循環加熱ユニットは、例えば、循環加熱装置(heating circulator)であることが好ましいが、これに限定されず、熱伝導媒体380を予め設定された温度に能動的に加熱し、加熱された熱伝導媒体380を循環管路を介して熱伝導ベース310内の媒体流路313にポンピングし、循環管路を介して熱伝導媒体380を回収して再度加熱し、このサイクルを連続的に繰り返すことにより、熱伝導ベース310を予め設定された動作温度まで加熱する。熱伝導媒体380は、冷却剤(coolant)または循環液体であることが好ましく、本実施形態では、冷却剤は、濃度99.5%のエタノール(Ethanol, ECOH)であることが好ましい。
【0021】
図5(a)は、本発明が提案する熱伝導ベースの内部の媒体流路の構造配置を示す側断面概略図である。図5(b)は、本発明が提案する熱伝導ベース内部の媒体流路の構造配置を示す俯瞰概略図である。熱伝導ベース310の内部構造配置において、媒体流路313は、一定の高さごとに媒体流路313を1周配置する多層配置を採用し、造形プラットフォーム340が作業坑360を昇降する過程で温度分布をより均一にすることができ、媒体流路313の入口3131は熱伝導ベース310の下層に配置され、出口3132は熱伝導ベース310の上層に配置され、造形スケジュールが比較的高い層の構造の造形に進むと、例えば、これに限定されないが、比較的高い層のバイオスキャフォールド構造は、造形プラットフォーム340の高度が下降した後、入口3131に近づくほど、入口3131に近い熱伝導媒体380はエネルギー散逸が小さいため、低温または高温状態になり、これにより熱伝導効率を高めることができる。
【0022】
付加製造プロセス中、熱伝導媒体380は温度循環制御モジュールによって供給され、加熱または冷却された熱伝導媒体380は温度循環制御モジュールのポンピングによって、媒体流路313の入口3131に輸送される。媒体流路313に進み、熱伝導ベース310の内部を循環し、熱伝導ベース310を冷却または加熱する。エネルギーは、熱伝導ベース310を介して作業坑360の周囲の平面付加製造アセンブリ321、322、323および324に伝達され、接触伝導を介して中央の造形プラットフォーム340に伝達され、造形プラットフォーム340が冷却または加熱されるとともに、造形プラットフォーム340上に積層された造形材料に伝達される。
【0023】
図6図10は、本発明のエアカーテン分離機構を備えた交換型付加製造装置システムの第2実施形態を示す概略図である。図6は、本発明のエアカーテン分離機構を備えたロータリー付加製造装置の概略図である。第2実施形態において、本発明の交換型付加製造装置システムは、第1実施形態と、第1実施形態で開示された少なくとも3Dモーション機構100と、付加製造モジュール200と、熱伝導モジュール300と、温度循環制御モジュール及びエアカーテン分離機構600と、吸気ユニット630などを含むロータリー付加製造装置20から構成されることが好ましい。
【0024】
図7(a)は、本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態が含む熱伝導ベースの構造の概略図である。図7(b)は、本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態が含む曲面付加製造アセンブリの構造を示す模式図である。図7(c)は、本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態が含む造形スピンドルの構造を示す概略図である。図8は、本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態の構造の組み立て概略図である。図9(a)は、本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態の全体構造を示す側断面概略図である。図9(b)は、本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態の全体構造を示す概略図である。
【0025】
ロータリー付加製造装置20は、第1実施形態で開示した熱伝導モジュール300をさらに含み、熱伝導モジュール300は、熱伝導ベース310、複数の曲面付加製造アセンブリ331、332、333、334、造形スピンドル等を含む。熱伝導ベース310の内部は、熱伝導媒体380が流れる媒体流路313を含み、熱伝導ベース310は、複数の位置決め溝315と組立孔317を含み、位置決め溝315と組立孔317に従って曲面付加製造アセンブリ331、332、333、334の各々が熱伝導ベース310に組み付けられて作業坑360を形成する。
【0026】
着脱を容易にするために、造形スピンドル350の取付けは片側挿入方式を採用し、造形スピンドル350は、熱伝導ベース310に開設された第1軸受孔391と、対応する曲面付加製造アセンブリ332上の第2軸受孔393を順次貫通し、対向する曲面付加製造アセンブリ334上の第3軸受孔395に挿入される。第3軸受孔395に挿入された造形スピンドル350は、回転時の摩擦を減らすために曲面付加製造アセンブリ333の後部の熱伝導ベース310に接触せず、エネルギーは、造形スピンドル350に接触した第1軸受孔391、第2軸受孔393及び第3軸受孔395を介して造形スピンドル350に伝達される。熱伝導ベース310の下方に底板363がさらに含まれ、作業坑360の底を遮蔽し、造形エリア370が5つの面を有する遮蔽空間を形成する。
【0027】
本発明が提案するロータリー付加製造装置20は、回転モーション制御モジュール450をさらに含み、回転モーション制御モジュール450は、ステッピングモータ460を含み、造形スピンドル350は、回転モーション制御モジュール450のステッピングモータ460によって駆動されることが好ましい。
【0028】
本発明が提案するロータリー付加製造装置20において、造形スピンドル350上方の造形エリア370で付加製造が行われ、ノズル210が造形エリア370の範囲内で作動して付加製造が行われ、ロータリー付加製造装置20は、主に例えば三次元管状構造を製造するために使用されるが、これに限定されない。
【0029】
図10は、本発明が提案する熱伝導モジュールの第2実施形態に含まれる造形スピンドルの2段式構造を示す側断面概略図である。造形スピンドル350上で付加製造が行われるので、付加製造が完了した後、完成品は、造形スピンドル350に取付いているので、造形スピンドル350は第1軸受孔391、第2軸受孔393、および第3軸受孔395から直接抜き取ることができない。
【0030】
したがって、本発明が提案するロータリー付加製造装置20では、造形スピンドル350を2段式構造として設計し、造形スピンドル350は、螺合(screwing)された連結部351と造形部353とを備えているため、本発明が提案する造形スピンドル350は、曲面付加製造の完了後、完成品を傷つけないように、造形部353を直接作業坑360内部から直接取り出すことができる。
【0031】
本発明が提案する交換型付加製造装置システムは、第1実施形態の3D付加製造装置10と、第2実施形態のロータリー付加製造装置20とを少なくとも含み、設計コンセプトは、付加製造プロセスの温度制御範囲を、作業坑360の4つの内壁と造形プラットフォーム340または造形スピンドル350によって形成される5面の遮蔽空間または半遮蔽空間のみ、すなわち造形エリア370に限定することである。これにより、付加製造プロセスの温度制御範囲が大幅に縮小され、熱伝導効率が非常に向上し、機械全体の効率とエネルギー消費量が大幅に改善される。
【0032】
しかし、造形エリア370の上部は、ノズル210が造形エリア370に進入して付加製造作業を実行できるように、ノズル210用に開放されていなければならず、その結果、造形エリア370は周囲環境から完全には隔離されない。造形工程中、造形エリア370の内部エネルギーは外部環境に継続的に流出し、造形エリア370は、外部環境の湿気および水分の影響も受けやすく、機械が冷却された後、作業坑360の内壁と造形プラットフォーム340または造形スピンドル350は着霜しやすくなり、付加製造作業が妨げられ、機械造形環境全体の安定性は依然として不十分である。
【0033】
図11は、交換型付加製造装置システムに配置された本発明のエアカーテン分離機構の構造を示す概略図である。本発明が提案するエアカーテン分離機構600は、3D付加製造装置10とロータリー付加製造装置20とを含む付加製造装置システムの熱伝導モジュール300の熱伝導ベース310の両側の周辺領域に配置される。エアカーテン分離機構600は、造形エリア370上方に作業坑360と造形エリア370を横切る安定したガスジェットを発生させて、造形エリア370をステレス的に遮蔽し、気流623の成分、温度および温度を制御することによって造形環境の安定性を向上することができ、低温造形中の着霜量またはエネルギー損失を減らし、常温造形または高温造形中の熱エネルギーの散逸を防止する。
【0034】
図12は、本発明の交換型付加製造装置システムに含まれるエアカーテン分離機構の機構概略図である。エアカーテン分離機構600の能動部材は、能動気流生成ユニット610および能動吸気ユニット630などを含む。能動気流生成ユニット610は、気流生成ユニット吸入端611と気流生成ユニット吹出端613とをさらに含み、超大風量クロスフローファン615と、吹出端613と超大風量クロスフローファン615によって生成される気流623の経路上に設置される第1のエアデフレクタ617と、超大風量クロスフローファン615の駆動に対応する第1モータ619と、モータコントローラ621を配置する。
【0035】
能動吸気ユニット630はさらに、吸気ユニット吸入端631および吸気ユニット吹出端633を含み、また、超大風量軸流ファン635と、吸入端631に配置された第2エアデフレクタ637と、超大風量軸流ファン635の駆動に対応する第2モータ639とを備える。能動吸気ユニット630は、気流623の回収効率を向上させるために、2つの超大風量軸流ファン635および2つのモータを配置することが好ましい。
【0036】
能動気流生成ユニット610と能動吸気ユニット630とは、互いに対向する位置に相対的に配置される。能動気流生成ユニット610の超大風量クロスフローファン615がスムーズに空気を吹き出し、気流623を形成し、能動吸気ユニット630の2つの超大風量軸流ファン635は、能動吸気ユニット630の前方に負圧領域を形成して気流623を吸い込み、流動の拡散を避けるために造形エリア370の上方に気流をガイドして集中させて、空気循環システムを構成し、エアカーテンを形成して、造形エリア370の上方をステレス的に遮蔽する。
【0037】
低温付加製造を例として、低温作業環境下で、空気中に含まれる水分が接触隙間中で凍結すると、冷却能力の伝達が低下するだけでなく、造形プラットフォームや造形スピンドルが凍結して機械の動作に影響を与える可能性もあり、本発明が提案したエアカーテン分離機構600が生成した気流623は造形エリア370と外部環境との接触を効果的に遮断する。
【0038】
エアカーテン分離機構600は更に、吸気ユニット吹出端633と気流生成ユニット吸入端611を連通し、気流循環経路651を形成する気流循環管路650を含み、生成されたエアカーテン気流623の造形エリア370への影響を低減するために、モータコントローラ621による超大風量クロスフローファン615と超大風量軸流ファン635の回転数を適切に制御する以外に、さらに、本発明では、気流循環管路650の気流循環経路651の適切な位置に、化学ドライヤーなどの湿度コントローラ660と温度コントローラ670のセットを配置し、気流の湿度と温度を調整するようにする。例えば、造形材料がハイドロゲルである場合、湿度コントローラ660により相対湿度(RH)が約60のエアカーテン気流を発生させて造形工程中のハイドロゲルの乾燥を防ぐことができ、低温造形を行う必要がある場合は湿度コントローラ660により乾燥空気を導入して着霜量を減らし、温度コントローラ670により気流温度を合わせて下げて造形環境の品質を効果的に向上することができる。
【0039】
さらに、吹き出す気流により付加製造品が汚染されるのを防止するために、能動気流生成ユニット610内の気流循環経路651上に一組のエアフィルタ680を選択的に配置することができる。エアフィルタ680は、好ましくは、多層フィルタスクリーン、高分子フィルタ層、活性炭フィルタ層、HEPA H13医療用フィルタ層、またはPP静電層などであり、エアカーテン気流の空気品質が確保できる。
【0040】
図13は、本発明のエアカーテン分離機構によって生成されたエアカーテン気流の流れ場の流線を示す写真である。本発明のエアカーテン分離機構600によって生成されたエアカーテン気流が一定で安定した(steady and stable)状態に達した後、流れ場の視覚化後に煙線によって形成される流線は、図13に示されるようになる。図13からわかるように、一定で安定した状態に達するエアカーテンの気流は滑らかな特性を示している。
【0041】
図14(a)は、エアカーテン分離機構を使用した場合とエアカーテン分離機構を使用しなかった場合の、3D付加製造装置の造形エリアの平均温度と時間の関係を示すグラフである。図14(b)は、エアカーテン分離機構を使用した場合とエアカーテン分離機構を使用しなかった場合の、ロータリー付加製造装置の造形エリアの平均温度と時間の関係を示すグラフである。低温付加製造を例にすると、図14(a)、図14(b)に示すように、3D付加製造装置またはロータリー付加製造装置の造形エリアのいずれも、エアカーテン分離機構の使用後は平均温度はどちらも早く低下し、エアカーテン分離機構を使用していない場合に比べて約30分早く安定した作業温度に到達し、実験効率が効果的に向上し、エアカーテン分離機構が造形エリアの温度低下に有効に寄与する。
【0042】
さらに、3D付加製造装置、ロータリー付加製造装置のいずれにおいても、エアカーテン分離機構を使用した場合は、エアカーテン分離機構を使用しない場合に比べ、造形エリアの最終的に達する作業温度を少なくとも1℃低下させることができ、エアカーテン気流の遮断により、造形環境の安定性が高まり、低温エネルギーが造形エリア内に効果的に蓄えられ、また湿度コントローラ及び温度コントローラの作用の効果が顕著であることが証明された。
【0043】
エアカーテンの効果により、造形エリアを外部環境から隔離して省エネ効果が達成できるため、機械の動作温度範囲を少なくとも-40℃から+60℃に上昇させることができ、例えばこれに制限されないが生体適合性感温材料の付加製造の実施に非常に適しており、またエネルギー損失を効果的に防ぐことができる。また、狭い範囲だけで温度を制御すればよいため、機械は温度バランスを迅速に達成でき、造形速度を上げることができ、更に、生産歩留まりも向上させることができる。気流成分、温度、湿度を制御することにより、造形環境の安定性が向上し、低温造形時の着霜量やエネルギー損失を低減し、常温造形または高温造形において、熱エネルギーの散逸を防止する。
【0044】
本発明のエアカーテン分離機構600を設置しても、プリントノズル210やガントリー多軸モーションプラットフォーム110の動作を妨げないため、造形エリア370をステレス的に遮蔽するとともに、ノズル210が付加製造作業を自在に行うことができる。
【0045】
本発明が提案する交換型付加製造装置システムは、3Dモーション機構100、付加製造モジュール200、温度循環制御モジュール及びエアカーテン分離機構600を交換せずに、熱伝導ベース310上の平面付加製造アセンブリ321、322、323及び324と曲線付加製造アセンブリ331、332、333及び334を簡単に交換するだけで、3D付加製造装置10及びロータリー付加製造装置20の2つの動作モードを切り替えることが可能である。
【0046】
本発明のエアカーテン分離機構を備える交換型付加製造装置システムは更に、少なくとも以下の特徴を有する。(1) Z軸方向に昇降する造形プラットフォームを介して付加製造分層積層作業を実行し、ガントリー型多軸モーションプラットフォームのZ軸方向の移動を低減する。(2) 主要コンポーネントのほとんどを交換することなく、異なるアセンブリを簡単に交換するだけで、3D付加製造装置とロータリー付加製造装置を切り替えることができる。(3)エアカーテン分離機構を備えることにより、造形エリア上方にスムーズな気流を発生させ、造形エリアをステレス的に遮蔽して、着霜量やエネルギー損失を大幅に低減する。