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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028712
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】高電圧スーパーキャパシタ
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/08 20130101AFI20240227BHJP
   H01G 11/18 20130101ALI20240227BHJP
   H01G 11/56 20130101ALI20240227BHJP
   H01G 11/36 20130101ALI20240227BHJP
【FI】
H01G11/08
H01G11/18
H01G11/56
H01G11/36
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023196516
(22)【出願日】2023-11-20
(62)【分割の表示】P 2021209217の分割
【原出願日】2017-03-10
(31)【優先権主張番号】1604133.7
(32)【優先日】2016-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1612687.2
(32)【優先日】2016-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】521035587
【氏名又は名称】オキシオン リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OXCION LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ボラー, スティーブン デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ワルダー, ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ラジェンドラン, マラッパ
(72)【発明者】
【氏名】タック, ジョナサン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数のサイクルの使用にわたり、大幅な長期酸化還元劣化なしに、3.5V超(例えば、3.5~6Vの範囲)の電圧で動作することができるスーパーキャパシタを提供する。
【解決手段】スーパーキャパシタアセンブリは、炭素含有アノード(複数可)及びカソード(複数可)、中間多孔質膜(複数可)、並びにイオン液体電解質から構成されるスーパーキャパシタ、スーパーキャパシタを加熱するための電気ヒータ並びにヒータを制御するための及びその粘度が1~50センチポアズの範囲にあるような温度にイオン液体の温度を維持するためのサーモスタットを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素含有アノード(複数可)及びカソード(複数可)、中間多孔質膜(複数可)、並びにイオン液体電解質から構成されるスーパーキャパシタ、
前記スーパーキャパシタを加熱するための電気ヒータ、及び
前記ヒータを制御するための、及びその粘度が1~50センチポアズの範囲にあるような温度に前記イオン液体の温度を維持するためのサーモスタット
を含むことを特徴とするスーパーキャパシタアセンブリ。
【請求項2】
携帯用又は個人用電気デバイスに電力を供給する又は再充電するための、請求項1に記載の種類のスーパーキャパシタアセンブリの使用。
【請求項3】
炭素含有アノード(複数可)及びカソード(複数可)、中間多孔質膜(複数可)、並びにイオン液体電解質から構成されるスーパーキャパシタを動作させる方法において、前記イオン液体の粘度が1~50センチポアズの範囲にあるような温度に前記イオン液体を維持するステップを特徴とする、方法。
【請求項4】
前記粘度が、1~40センチポアズの範囲にあることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記温度が、40~80℃の範囲にあることを特徴とする、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
その関連電解質の大幅な長期酸化還元劣化なしに3.5~6Vの範囲の動作電圧で動作するスーパーキャパシタにおいて、
任意選択でグラフェン及び/又はカーボンナノチューブ成分を含む、少なくとも1つのアノード及び/又は少なくとも1つのカソード、
前記アノード(複数可)と前記カソード(複数可)の間に位置する中間多孔質膜、
3.5ボルト超の電気化学窓を有する少なくとも1種のイオン液体組成物、及び
前記スーパーキャパシタが、前記動作電圧を受けながら、40~80℃の範囲の温度及び/又は1~50センチポアズの範囲の粘度に前記イオン液体を維持するための制御手段
を含むことを特徴とする、スーパーキャパシタ。
【請求項7】
4V超の電気化学窓を有するイオン液体を使用することを特徴とする、請求項6に記載のスーパーキャパシタ。
【請求項8】
4.5V超の電気化学窓を有するイオン液体を使用することを特徴とする、請求項7に記載のスーパーキャパシタ。
【請求項9】
5V超の電気化学窓を有するイオン液体を使用することを特徴とする、請求項8に記載のスーパーキャパシタ。
【請求項10】
5.5V超の電気化学窓を有するイオン液体を使用することを特徴とする、請求項9に記載のスーパーキャパシタ。
【請求項11】
4~6Vの範囲の電気化学窓を有するイオン液体を使用することを特徴とする、請求項6に記載のスーパーキャパシタ。
【請求項12】
大幅な長期酸化還元劣化なしに4.5~5.5Vの範囲の動作電圧で動作すること、及び4.5V超の電気化学窓を有するイオン液体を使用することを特徴とする、請求項6に記載のスーパーキャパシタ。
【請求項13】
5V超の電気化学窓を有するイオン液体を使用することを特徴とする、請求項12に記載のスーパーキャパシタ。
【請求項14】
5.5V超の電気化学窓を有するイオン液体を使用することを特徴とする、請求項13に記載のスーパーキャパシタ。
【請求項15】
4~6Vの範囲の電気化学窓を有するイオン液体を使用することを特徴とする、請求項14に記載のスーパーキャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、複数のサイクルの使用にわたり、その性能の大幅な劣化なしに、特に3.5V超の電圧で動作することができるイオン液体電解質を使用するスーパーキャパシタに関する。
【0002】
我々の同時係属出願である国際出願PCT/GB2015/053003及びGB1518385.8で、我々は、グラフェン含有電極、多孔質膜及び1種又は複数のイオン液体、例えば、100℃未満の温度で通常液体である四級有機塩から構成されるスーパーキャパシタを教示した。しかし、多くの場合、イオン液体の粘度が高すぎるので、これらのスーパーキャパシタの性能は、損なわれる。この結果、好ましくない抵抗の増加及びスーパーキャパシタの電荷保有能力の減少が生じるおそれがある。
【0003】
2015年に出版された「イオン液体-最新技術(Ionic Liquids-Current State of Art)」-19章(ISBN 978-953-51-2122-0)は、スーパーキャパシタにおけるイオン液体及びグラフェンの使用について概説している。
【0004】
CN104332325は、グラフェン酸化物の中間体製造を介してグラファイト粉末からスーパーキャパシタ用のグラフェンを製造する方法を教示する。
【0005】
我々は、スーパーキャパシタの電解質の粘度及び/又は温度を最適な範囲に維持することにより、上記の問題を克服した。したがって、本発明の第1の態様によれば、
炭素含有アノード(複数可)及びカソード(複数可)、中間多孔質膜(複数可)、並びにイオン液体電解質から構成されるスーパーキャパシタセル、
スーパーキャパシタセルを加熱するための電気ヒータ、及び
ヒータを制御するための、及びその粘度が、1~50センチポアズの範囲にあるような温度でイオン液体の温度を維持するためのサーモスタット
を含むことを特徴とするスーパーキャパシタアセンブリが提供される。
【0006】
本発明の好ましい一実施形態では、スーパーキャパシタの炭素含有電極は、炭素電荷搬送素子から構成される層でコーティングされた薄い可撓性のシート(例えばアルミニウム、銀又は銅箔)の形態である導電性金属集電体から本質的になるアノード及びカソード表面を含む。別の実施形態では、これらのアノード及びカソード表面の少なくとも一部は、同じシートの両側に配置されている。適切には、これらの電荷搬送素子の少なくとも一部は、大きさ1ミクロン未満、好ましくは100ナノメートル未満の平均最大寸法を有する炭素の粒子である。好ましくは、これらの粒子は、2~50ナノメートルの範囲の大きさであるメソ細孔を有するメソ孔性を示す。別の実施形態では、炭素電荷搬送素子には、最終スーパーキャパシタ上である程度の擬似容量挙動を付与することができる材料のナノ粒子、例えば、リチウム又はニッケル、マンガン、ルテニウム、ビスマス、タングステン或いはモリブデンを含めて1より大きい酸化状態の遷移金属などの金属の塩、水酸化物及び酸化物が添加されていてもよい。
【0007】
好ましい一実施形態では、層は、導電性ポリマーバインダーマトリックスに組み込まれた炭素粒子から構成され、粒子とバインダーの重量比が0.2:1~20:1の範囲であることを特徴とする。別の実施形態では、炭素粒子は、グラフェン粒子を含み、さらに別の場合ではカーボンナノチューブを含む。好ましい一実施形態では、グラフェンとカーボンナノチューブの混合物は、場合によっては、存在する活性炭と共に使用される。別の適切な実施形態では、炭素粒子は、重量比0.5-2000:0.5-100:1、好ましくは0.5-1500:0.5-80:1で存在する活性炭、カーボンナノチューブ及びグラフェンの3成分の混合物を含む。
【0008】
用語「活性炭」は、表面積が、通常、500m-1超、好ましくは1000~3600m-1であり、1ミクロン未満の平均粒径を有する任意の高純度アモルファスカーボンを意味する。そのような材料は、いくつかの市販品から容易に入手することができる。使用するカーボンナノチューブは、通常、2-500ミクロン(好ましくは100-300ミクロン)の範囲の平均長さ及び100-150ナノメートルの範囲の平均直径を有する。ナノチューブは、単層、多層又はその混合物であってもよい。
【0009】
用語「グラフェン」は、粒子が実質的に2次元構造である炭素の同素体を意味する。極限状態では、これらの粒子は、グラファイト構造を有する単一の原子層プレートレットを含む。但し、本発明の目的では、この成分は別の、例えば、1~20個、好ましくは1~10個のプレートレットの最上部に積層した少量のプレートレットを含み得る。一実施形態では、これらのプレートレットは、非酸化形態である。別の実施形態では、プレートレットは、透過型電子顕微鏡で測定されるように、それぞれ独立に1~4000ナノメートル、好ましくは20~3000又は10~2000ナノメートルの範囲の平均寸法を有する。任意の公知の方法を使用して、そのような材料を製造することができ、その多くは、市販品も入手可能であり、例えば英国のトーマススワン株式会社(Thomas Swan Limited)からエリカーブ(Elicarb)(登録商標)の名称で出されている。
【0010】
別の実施形態では、炭素電荷搬送素子は、さらに、最大で20%重量、好ましくは1~20重量%の導電性炭素を含み得る。適切には、この導電性炭素は、ポリ結晶構造及び1~500m-1の範囲の表面積を有する高導電性非グラファイト系炭素を含む。一実施形態では、これはカーボンブラックであり、例えば、リチウムイオン電池(例えば、Timical SuperC65(登録商標)及び/又はTimical SuperC45)中の導電性添加剤として使用されてきた材料の1つである。
【0011】
一実施形態では、本発明の方法が実施された後の電極の残留水分含量は、100ppm未満、好ましくは50ppm未満であるべきである。
【0012】
さらに別の実施形態では、炭素含有アノード(複数可)及びカソード(複数可)は、互いに非対称であり、換言すれば、異なる厚さ、例えば、異なる厚さの層を有する。
【0013】
導電性バインダーについては、これは、適切には1種又は複数の導電性ポリマーから構成され、好ましくはセルロース誘導体、ポリマーエラストマー又はそれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、セルロース誘導体は、カルボキシアルキルセルロース、例えばカルボキシメチルセルロースである。別の実施形態では、エラストマーは、スチレン-ブタジエンゴム又は同等の性質を有する材料である。
【0014】
適切には、複合層中の種々の成分の総電荷保有表面積は、250m-1より大きく、好ましくは260m-1より大きい。
【0015】
イオン液体電解質については、これは、適切には100℃未満、好ましくは室温又は室温未満で溶融しているイオン性有機塩を含む。別の実施形態では、イオン液体電解質は、1つ又は複数のイオン液体から構成される混合物であり、混合物は、25℃で10~80センチポアズ、好ましくは20~50センチポアズの範囲の粘度を有する。さらに別の実施形態では、電解質は、1成分がイオン液体である少なくとも2成分の共融又は共融に近い混合物である。適切にはこれらの混合物は、100℃未満、好ましくは50℃未満、より好ましくは30℃未満の融点を有する。共融挙動は、ラウールの法則の原理に基づくと予想されるものに比べ、所与の組成物範囲で融点が大幅に低下する2つ以上の成分の混合物の周知の特性である。ここで、用語「共融又は共融に近い混合物」は、したがって、融点がそのような低下を示す本発明の成分の任意の混合物を含むと解釈されるべきであり、これには、最も好ましい実際の共融点で50%超の低下、好ましくは90%超の低下を有するものが含まれる。特に好ましい実施形態では、共融組成物それ自体が、電解質として使用される。別の実施形態では、使用するイオン液体の少なくとも1つは、3V超の電気化学窓を有する。
【0016】
一実施形態では、使用する電解質は、混合物、例えば、読者に完全なリストを提供する米国特許第5827602号又は国際公開第2011/100232号に記載される少なくとも1種のイオン液体から構成される、共融又は共融に近い混合物である。別の実施形態では、混合物は、少なくとも1種の前記イオン液体の混合物から構成される。
【0017】
適切には、電解質で使用するイオン液体又は使用するイオン液体の1種は、アルキル又は置換アルキルピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピペリジニウム、ピロリジニウム、ピラゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウム、トリアゾリウム又はアゼパニウムカチオンの四級塩である。そのような場合、各カチオンと会合する対アニオンは、大きい多原子であり、50又は100オングストロームを超えるファン・デル・ワールス体積を有することが好ましい(例えば、本発明の範囲内にあると考えられる例示的な例を提供する米国特許第5827602号を参照のこと)。カチオンに関して非対称であるようにアニオンが選択されることも好ましく、液体中のイオンが、容易に密接せず、結晶化を起こさないようになる。一実施形態では、対アニオンは、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ジシアナミド、ビス(フルオロスルホニル)イミド(FSI)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(TFSI)又はビス(パーフルオロC~Cアルキルスルホニル)イミド、例えば、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドアニオン又はその類似物質からなる群から選択される。別の好ましい実施形態では、イオン液体(複数可)は、これらのアニオンのC~Cアルキル置換イミダゾリウム、ピペリジニウム又はピロリジニウム塩から選択され、本明細書で開示されるように想起されるカチオンとアニオンの任意の順列が含まれる。この列挙の中で、以下の2成分系:ピペリジニウム塩及びイミダゾリウム塩、ピペリジニウム塩及びピロリジニウム塩、並びにイミダゾリウム塩及びピロリジニウム塩が好ましい。別の実施形態では、2成分系は、(a)上述のアニオンの1つのピペリジニウム塩及び任意の置換された嵩高い四級アンモニウム塩、例えば、アルキル又はアルコキシ部分がそれぞれ独立に1個、2個、3個又は4個の炭素原子を有するトリアルキル(アルコキシルアルキル)アンモニウム塩、又は(b)国際公開第2011/100232号に例示される1種又は複数のアゼパニウム塩のいずれかを含み得る。上記のすべての場合で、使用する塩は、好ましくはそれぞれ3ボルト超の電気化学窓及び30℃未満の融点を有するべきである。
【0018】
使用することができる電解質の特定の非限定例には、以下のカチオン、1-エチル-3-メチル-イミダゾリウム(EMIM)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム(BMIM)、1-メチル-1-プロピルピロリジニウム、1-メチル-1-ブチルピロリジニウム及び上述のアニオンから誘導される塩又は塩の混合物が含まれる。一実施形態では、電解質は、これらのカチオンの1種又は複数のテトラフルオロホウ酸塩である。別の場合では、電解質は、方法のステップ(a)で使用したものと同じ塩である。
【0019】
別の実施形態では、イオン液体は、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム(DEME)及びその同族体などの四級アンモニウムカチオンの塩である。
【0020】
適切には、イオン液体の水分量は、100ppm未満、好ましくは50ppm未満である。
【0021】
中間多孔質膜は、ヒータが作動する温度で安定であるポリマーから適切に作製される。
【0022】
一実施形態では、電気ヒータは、セルの外側表面付近に適切に分散している。通常、30~100℃、好ましくは40~80℃の範囲にある所望の温度が確実に維持されるように、好ましくはサーモスタットが提供されることになる。イオン液体の粘度を1~40センチポアズの範囲に維持するように温度が選択されることが好ましい。例えば、セルがフラットパウチであれば、ヒータは、パウチの外面のどちらか又は両方に配置され得る。或いは、ヒータは、パウチ内に配置された薄膜ヒータであってもよい。さらに別の実施形態では、ヒータは、スーパーキャパシタが使用されるデバイスの他の電気的成分から熱を引き抜くヒートシンクを含み得る。その場合、サーモスタットを使わずに、熱平衡に依存することが場合によってはあり得る。
【0023】
一実施形態では、ヒータ及びスーパーキャパシタは、使用する任意のデバイスの他の成分を保護するために、断熱材に囲まれるか断熱材に組み込まれる可能性がある。別の実施形態では、ヒータ(複数可)及びスーパーキャパシタは、高温になったときのスーパーキャパシタの内容積部の膨張を防ぐように締め付けられている。スーパーキャパシタを熱的にさらに管理するために、パウチの内部表面は、熱反射層でコーティングされていてもよい。
【0024】
本発明のスーパーキャパシタアセンブリは、コードレス電動工具(例えば、ドリル、スクリュードライバー、サンダーなど)及びコードレス家庭用電化製品(電気掃除機など)を含む様々な携帯用電気デバイスに電力を供給する又は再充電するために使用することができる。別の特に有用な実施形態では、個人用電気デバイス、例えば、スマートフォン、ラジオ、CD及びDVDプレーヤー、タブレット、ラップトップ又は類似のハンドヘルドアイテム若しくは装着型アイテムに電力を供給する又は再充電するために使用することができる。
【0025】
本発明の第2の態様によれば、炭素含有アノード(複数可)及びカソード(複数可)、中間多孔質膜(複数可)、並びにイオン液体電解質から構成されるスーパーキャパシタを動作させる方法において、イオン液体の粘度が1~50センチポアズの範囲にあるような温度にイオン液体を維持するステップを特徴とする、方法が提供される。
【0026】
粘度を1~40センチポアズ、例えば、10~40又は20~40センチポアズの範囲に維持するために、上記の範囲の温度で方法を実施することが好ましい。
【0027】
本発明のスーパーキャパシタの実施形態は、3.5V超の動作電圧が必要な場合に特に有用である。したがって、本発明の第3の態様によれば、
任意選択でグラフェン及び/又はカーボンナノチューブ成分を含む、少なくとも1つのアノード及び/又は少なくとも1つのカソード、
アノード(複数可)とカソード(複数可)の間に位置する中間多孔質膜、
3.5ボルト超の電気化学窓を有する少なくとも1種のイオン液体組成物、及び
スーパーキャパシタが動作電圧を受けながら、40~80℃の範囲の温度及び/又は1~50センチポアズの範囲の粘度にイオン液体を維持するための制御手段
を含むことを特徴とする、その関連電解質の大幅な長期酸化還元劣化なしに、3.5~6Vの範囲の動作電圧で動作することができるスーパーキャパシタが提供される。
【0028】
一実施形態では、制御手段は、加熱手段であり、スーパーキャパシタは、上述の温度範囲及び/又は所望の範囲若しくは上述の好ましい範囲の1つの粘度で加熱手段を制御するためのサーモスタットをさらに含む。適切には、所望の粘度を達成するために、加熱手段は、イオン液体を40~80℃、好ましくは50~60℃の範囲の温度に維持するために使用される。一実施形態では、イオン液体は、カチオン、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム(DEME)などの四級塩、例えば、DEMEテトラフルオロホウ酸塩若しくはDEME TFSI、或いはカチオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム(BMIM)又はその1-アルキル及び/若しくは3-アルキル同族体の1種の四級塩、例えば、BMIMテトラフルオロホウ酸塩又はBMIM TFSI、或いは1対のそのような塩の共融混合物である。これらの塩の電気化学窓は、例えば、HayyanらによるJournal of Industrial and Electrical Engineering Chemical(January 2012)で記載される方法で決定することができる。
【0029】
別の実施形態では、粘度は、電解質に1種又は複数の添加剤を添加することにより制御することができる。これらは、ビニリデンカーボネート、例えば、プロピレン又はブチレンカーボネート、有機エステルなどの、イオン液体用の1種又は複数の溶媒を添加することを含み得る。
【0030】
別の好ましい例では、アノード及びカソードの対は、非対称である。さらに別の好ましい例では、電極は、2500~3500m-1の範囲の表面積を有するグラフェン及び/又はカーボンナノチューブ成分を含む。適切には、少なくとも1つのアノード(複数可)及びカソード(複数可)は、酸化マンガン又は類似の酸化物でドープされている。
【0031】
適切には、スーパーキャパシタは、4~6Vの範囲、又は4.5~5.5Vの範囲、又は4~5.5Vの範囲、又は4.5~5.5Vの範囲の電圧で動作することができるタイプのものである。一実施形態では、スーパーキャパシタは、加熱手段によって50~60℃の範囲の温度に維持される場合、4.5~6Vの範囲で、好ましくは約4.5~5.5Vで動作するように設計されている。別の実施形態では、イオン液体は、4又は4.5又は5又はさらに5.5V超の電気化学窓値を有する。さらに別の実施形態では、電気化学窓は、4~6V、好ましくは4.5~6V、又は5~6Vの範囲にある。上述した動作電圧と電気化学窓範囲の任意の組み合わせが、本明細書の開示の範囲内にあると考えられることを理解されたい。
【0032】
加熱手段は、例えば、スーパーキャパシタの外側に取り付けられる電気加熱要素又は上述した内部の断熱された加熱要素とすることができる。
【0033】
本発明の第3の態様のスーパーキャパシタは、単独で、例えば、リチウムイオン電池等用の再充電デバイスとして使用することができる。或いは、モバイル電子デバイス(ラップトップ、スマートフォン、タブレットなど)又はコードレス電動工具の単独の又は主要な電源を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1及び図2の棒グラフで表される結果は、コインセルの内容物の温度が高くなると、イオン液体の粘度が低下する結果、キャパシタンスが改善することを示す。
図2図1及び図2の棒グラフで表される結果は、コインセルの内容物の温度が高くなると、イオン液体の粘度が低下する結果、キャパシタンスが改善することを示す。
【0035】
本発明を、以下の例により説明する。
【0036】
(コインセルの調製)
グラフェンを含む粉末ナノカーボン組成物を、最終混合物のナノカーボン:CMC:SBRの重量比が90:5:5であるようにカルボキシメチルセルロース(CMC)及びスチレン-ブタジエンゴム(SBR)から構成される水性バインダーと混合することにより、水性インキを調製した。次いで、バーコータを使用してインキの薄膜をアルミニウム箔の表面に塗布して、電極シートを形成した。次いで、シートを120~150℃の真空下で乾燥し、ドライボックス内に保存した。その後、シートから直径16mmの電極ディスクを切り出した。
【0037】
次いで、ドライボックスで以下のアイテムを積層することによりディスクから複合材コインセルを作製した。
1-正の端子を有する底部ディスクキャップ
2-2つのスペーサ
3-第1の電極ディスク
4-75μlのイオン液体
5-膜セパレータディスク(直径19mm)
6-75μlのイオン液体
7-第2の電極ディスク
8-第3のスペーサ
9-スプリング
10-負の端子を有する底部ディスクキャップ
【0038】
アセンブリが完成した後、試験前にコインセルを圧着により密閉した。以下に報告する試験実験では、BMIMテトラフルオロホウ酸塩(電気化学窓:4.5~5V)又はDEMEテトラフルオロホウ酸塩(電気化学窓:6V)のどちらかを電解質として使用して、複数のコインセルを製造した。
【0039】
(コインセル試験)
各試験で、標準充放電サイクル及び充電用+10mA及び放電用-10mAの定電流を使用して、記載の動作電圧及び温度で新しいコインセルに10回のサイクルを実施した。各場合で、充放電曲線をプロットし、C=I/(dV/dT)(ここで、Cはキャパシタンス、Iは電流、dV/dTはプロットの傾きである)の関係を使用してセルのキャパシタンスを計算するのに使用した。同時に、ESR=ΔV/2I(ここで、ΔVは電圧降下である)の関係を使用して、充放電曲線間の電圧降下及び電流からセル用の等価直列抵抗(ESR、単位オーム)を算出した。図1及び図2の棒グラフで表される結果は、コインセルの内容物の温度が高くなると、イオン液体の粘度が低下する結果、キャパシタンスが改善することを示す。これらのシステムでは、ピークキャパシタンスは、4~5Vの範囲の動作電圧で見られる。ESRは、この範囲では比較的低いままであるが、より高い電圧では増加し始める。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素含有アノード(複数可)及びカソード(複数可)、中間多孔質膜(複数可)、並びにイオン液体電解質から構成されるスーパーキャパシタであって、前記炭素含有電極は、導電性ポリマーバインダーマトリックスに組み込まれた炭素粒子の層でコーティングされた薄い可撓性のシートの形態である金属集電体から本質的になるアノード及びカソード表面を含み、前記炭素粒子と前記バインダーの重量比が0.2:1~20:1であり、前記炭素粒子は、1ミクロン未満の平均最大寸法を有し、かつ2~50ナノメートルの範囲の大きさであるメソ細孔を有する、スーパーキャパシタ
前記スーパーキャパシタを加熱するための電気ヒータ、及び
前記ヒータを制御するための、及びその粘度が1~50センチポアズの範囲にあるような温度に前記イオン液体の温度を維持するためのサーモスタット
を含むことを特徴とするスーパーキャパシタアセンブリ。
【請求項2】
携帯用又は個人用電気デバイスに電力を供給する又は再充電するための、請求項1に記載の種類のスーパーキャパシタアセンブリの使用。
【請求項3】
請求項1で定義されているスーパーキャパシタを動作させる方法において、前記イオン液体の粘度が1~50センチポアズの範囲にあるような温度に前記イオン液体を維持するステップを特徴とする、方法。
【請求項4】
前記粘度が、1~40センチポアズの範囲にあることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記温度が、40~80℃の範囲にあることを特徴とする、請求項3又は4に記載の方法。
【外国語明細書】