(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028721
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】視線検出装置
(51)【国際特許分類】
A61B 3/113 20060101AFI20240227BHJP
A42B 3/04 20060101ALI20240227BHJP
G02C 11/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A61B3/113
A42B3/04
G02C11/00
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023196910
(22)【出願日】2023-11-20
(62)【分割の表示】P 2022524448の分割
【原出願日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/019862
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】森島 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】森田 浩之
(57)【要約】
【課題】様々な状況において様々な形式のヘルメットを装着した様々なユーザーの視線方向を高精度に検出することが可能な視線検出装置を提供する。
【解決手段】視線検出装置(1)は、ユーザーが装着するヘルメット(100)に支持されつつ第1右眼撮像装置(2a1)および第1左眼撮像装置(2b1)を支持するヘルメット支持部(10)を有する。ヘルメット支持部(10)は、第1右眼撮像装置(2a1)および第1左眼撮像装置(2b1)がヘルメットの左右方向に見て第1端点(P1)およびヘルメット前上部(100Sa)を通りヘルメット後上部(100Sb)を通らない第3直線(L3)と平行に移動するように、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置(2a1)および第1左眼撮像装置(2b1)の位置を変更可能に構成され、且つ、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置を左右方向に平行な軸線回りに揺動可能に構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの右眼の視線方向を検出するために前記ユーザーの前記右眼を撮像する第1右眼撮像装置と、
前記ユーザーの左眼の視線方向を検出するために前記ユーザーの前記左眼を撮像する第1左眼撮像装置と、
前記ユーザーが装着するヘルメットに支持されつつ前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置を支持するヘルメット支持部と、
を有する視線検出装置であって、
前記ヘルメット支持部は、前記ヘルメットに対して前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置の位置を変更できるように、前記ヘルメットに支持されつつ前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置を支持しており、
前記ヘルメットの左右方向に直交する前記ヘルメットの断面であるヘルメット縦断面における前記ユーザーの前頭部に接触する部分において前記ユーザーの頭頂部から最も離れた点を、第1端点とし、
前記ヘルメット縦断面における前記ユーザーの後頭部または後頸部に接触する部分において前記ユーザーの前記頭頂部から最も離れた点を、第2端点とし、
前記第1端点と前記第2端点とを通る直線を、第1直線とし、
前記第1端点および前記第2端点から等しい距離にある前記第1直線上の点を通り、前記左右方向および前記第1直線の両方に直交する直線を、第2直線とし、
前記ヘルメット縦断面において、前記ユーザーの前記前頭部に接触する部分を含み、前記第1端点を含まず、前記第1直線と前記第2直線で区切られる部分を、ヘルメット前上部とし、
前記ヘルメット縦断面において、前記第2直線を介して前記ヘルメット前上部に繋がっており、前記第1直線と前記第2直線で区切られる部分を、ヘルメット後上部とした場合に、
前記ヘルメット支持部は、前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置が前記左右方向に見て前記第1端点および前記ヘルメット前上部を通り前記ヘルメット後上部を通らない第3直線と平行に移動するように、前記ヘルメットに対して前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置の位置を変更可能に構成され、且つ、前記ヘルメットに対して前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置を前記左右方向に平行な軸線回りに揺動可能に構成されることを特徴とする視線検出装置。
【請求項2】
前記ヘルメット支持部は、前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分が前記左右方向に見て前記第1端点および前記ヘルメット後上部を通り前記ヘルメット前上部を通らない第4直線と平行になるように、前記ヘルメットに対して前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置の位置を変更可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の視線検出装置。
【請求項3】
前記ヘルメット支持部は、前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置が前記左右方向に見て前記第4直線と平行に移動するように、前記ヘルメットに対して前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置の位置を変更可能に構成されることを特徴とする請求項2に記載の視線検出装置。
【請求項4】
前記ヘルメット支持部は、前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分が前記左右方向に直交する方向に見て前記左右方向と平行になるように、前記ヘルメットに対して前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置の位置を変更可能に構成されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の視線検出装置。
【請求項5】
前記視線検出装置は、
前記ユーザーの前記右眼の視線方向を検出するために前記ユーザーの前記右眼をそれぞれ撮像する少なくとも1つの第2右眼撮像装置と、
前記ユーザーの前記左眼の視線方向を検出するために前記ユーザーの前記左眼をそれぞれ撮像する少なくとも1つの第2左眼撮像装置とを有し、
前記ヘルメット支持部は、前記少なくとも1つの第2右眼撮像装置および前記少なくとも1つの第2左眼撮像装置の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分が前記左右方向に見て前記第1端点および前記ヘルメット前上部を通り前記ヘルメット後上部を通らない直線と平行になるように、前記ヘルメットに対して前記少なくとも1つの第2右眼撮像装置および前記少なくとも1つの第2左眼撮像装置の位置を変更可能に構成されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の視線検出装置。
【請求項6】
前記ヘルメット支持部は、前記ヘルメットに対して前記第1右眼撮像装置および前記少なくとも1つの第2右眼撮像装置の位置を一体的に変更可能に構成され、且つ、前記ヘルメットに対して前記第1左眼撮像装置および前記少なくとも1つの第2左眼撮像装置の位置を一体的に変更可能に構成されることを特徴とする請求項5に記載の視線検出装置。
【請求項7】
前記ヘルメット支持部は、前記ヘルメットに着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の視線検出装置。
【請求項8】
前記ヘルメットは、シェルと、前記シェルの内側に配置されるライナーとを有し、
前記ヘルメット支持部は、前記シェルと前記ライナーとの間に差し込まれて、前記シェルと前記ライナーの両方に接触するように配置される差し込み部を有することを特徴とすることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の視線検出装置。
【請求項9】
前記ヘルメット支持部は、前記差し込み部の差し込み方向の逆方向に前記ヘルメット支持部が前記ヘルメットに対して移動することを抑制する移動抑制部を有することを特徴とする請求項8に記載の視線検出装置。
【請求項10】
前記移動抑制部は、前記差し込み方向の端と前記差し込み方向と逆方向の端が前記ヘルメットに接触することによって、前記差し込み方向と逆方向に前記ヘルメット支持部が前記ヘルメットに対して移動することを抑制することを特徴とする請求項9に記載の視線検出装置。
【請求項11】
前記視線検出装置は、前記ヘルメット支持部に支持され、前記ヘルメットを装着した前記ユーザーの両眼に向かって光を照射する複数の光源を有することを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の視線検出装置ことを特徴とする。
【請求項12】
前記ヘルメットは、前記ユーザーが乗り物に乗車するときに装着する乗り物用ヘルメットであることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の視線検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルメットを装着するユーザーの視線方向を検出するためにユーザーの眼を撮像する撮像装置を有し、ヘルメットに支持される視線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人の眼を撮像して得られた画像に基づいて人の視線方向を検出する視線検出装置が知られている。例えば自動二輪車のライダーなどヘルメットを装着したユーザーの視線方向を検出するために、例えば特許文献1のようにヘルメットに支持された視線検出装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国公開公報US2016/0075338
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘルメットに支持される視線検出装置は、様々なユーザーの視線方向を高精度に検出できることが望まれる。ヘルメットに支持される視線検出装置は、様々な形式のヘルメットを装着したユーザーの視線方向を高精度に検出できることが望まれる。ヘルメットに支持される視線検出装置は、様々な状況においてヘルメットを装着したユーザーの視線方向を高精度に検出できることが望まれる。
【0005】
本発明は、様々な状況において様々な形式のヘルメットを装着した様々なユーザーの視線方向を高精度に検出することが可能な視線検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一実施形態の視線検出装置は、以下の構成を有する。
ユーザーの右眼の視線方向を検出するために前記ユーザーの前記右眼を撮像する第1右眼撮像装置と、前記ユーザーの左眼の視線方向を検出するために前記ユーザーの前記左眼を撮像する第1左眼撮像装置と、前記ユーザーが装着するヘルメットに支持されつつ前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置を支持するヘルメット支持部と、を有する視線検出装置である。前記ヘルメット支持部は、前記ヘルメットに対して前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置の位置を変更できるように、前記ヘルメットに支持されつつ前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置を支持している。前記ヘルメットの左右方向に直交する前記ヘルメットの断面であるヘルメット縦断面における前記ユーザーの前頭部に接触する部分において前記ユーザーの頭頂部から最も離れた点を、第1端点とし、前記ヘルメット縦断面における前記ユーザーの後頭部または後頸部に接触する部分において前記ユーザーの前記頭頂部から最も離れた点を、第2端点とし、前記第1端点と前記第2端点とを通る直線を、第1直線とし、前記第1端点および前記第2端点から等しい距離にある前記第1直線上の点を通り、前記左右方向および前記第1直線の両方に直交する直線を、第2直線とし、前記ヘルメット縦断面において、前記ユーザーの前記前頭部に接触する部分を含み、前記第1直線と前記第2直線で区切られる部分を、ヘルメット前上部とし、前記ヘルメット縦断面において、前記第2直線を介して前記ヘルメット前上部に繋がっており、前記第1直線と前記第2直線で区切られる部分を、ヘルメット後上部とした場合に、前記ヘルメット支持部は、前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分が前記左右方向に見て前記第1端点および前記ヘルメット前上部を通り前記ヘルメット後上部を通らない第3直線と平行になるように、前記ヘルメットに対して前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置の位置を変更可能に構成される。
【0007】
ユーザーの頭部の形および頭部における眼の位置には個人差がある。ユーザーの頭部の個人差により、ヘルメットに対するユーザーの眼の位置は異なる。特に、ユーザーにとっての略上下方向に異なることが多い。また、ヘルメットの形式の違いにより、ヘルメットとユーザーの眼の位置との関係は異なる。特に、ユーザーにとっての略上下方向に異なることが多い。また、ユーザーが乗り物に乗車する場合、乗り物の形式に応じてユーザーの乗車姿勢が異なる。例えば、スポーツタイプの自動二輪車の場合、ユーザーの上半身(頭部を含む)が前傾する。一方、スクータタイプの自動二輪車の場合、ユーザーの上半身はほとんど前傾しない。乗り物の形式によっては、ユーザーの上半身(頭部を含む)が後傾する場合もある。また、乗り物の形式が同じであっても、ユーザーの体格(身長、手足の長さ等)の違いにより、乗車姿勢が異なる場合がある。乗車姿勢の違いによりユーザーの頭部の傾きが異なると、ユーザーの頭部と同じ高さの障害物を見ていても、頭部に対するユーザーの視線方向が異なる。つまり、乗車姿勢の違いによりユーザーの頭部の傾きが異なると、ヘルメットに対するユーザーの通常の視線方向が異なる。そのため、乗車姿勢の違いによりユーザーの頭部の傾きが異なると、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置のうち視線方向の検出精度の高い位置が異なる。
ヘルメット支持部は、ユーザーが装着するヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を変更できるように、ユーザーが装着するヘルメットに支持されつつ第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置を支持する。その上、ヘルメット支持部は、第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分が左右方向に見て前記第1端点および前記ヘルメット前上部を通り前記ヘルメット後上部を通らない前記第3直線と平行になるように、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を変更できる。そのため、ヘルメット支持部は、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を、ユーザーにとっての略上下方向に変更できる。
したがって、ユーザーの頭部の個人差によりヘルメットに対するユーザーの眼の位置がユーザーにとっての略上下方向に異なっても、ヘルメットに対するユーザーの眼の位置に応じて、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を調整できる。そのため、ヘルメットを装着した様々なユーザーの視線方向を高精度に検出できる。
また、ヘルメットの形式の違いによりヘルメットとユーザーの眼の位置の関係がユーザーにとっての略上下方向に異なっても、ヘルメットの形式に応じて、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を調整できる。そのため、様々な形式のヘルメットを装着したユーザーの視線方向を高精度に検出できる。
また、乗車姿勢の違いによりユーザーの頭部の傾き(前傾または後傾)が異なっても、ユーザーの頭部の傾きに応じて、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を調整できる。そのため、様々な状況においてヘルメットを装着したユーザーの視線方向を高精度に検出できる。
以上により、本発明の視線検出装置は、様々な状況において様々な形式のヘルメットを装着した様々なユーザーの視線方向を高精度に検出できる。
【0008】
本発明および実施の形態において、「ヘルメットの左右方向」とは、ヘルメットから特定できる方向である。つまり、本発明におけるヘルメットは、左右方向を特定できないようなヘルメットを含まない。本発明および実施の形態において、「ヘルメット縦断面」とは、ヘルメットにおいてヘルメットの左右方向に直交する1つの平面上に存在する部分のみを示し、ヘルメットの内側の空間は含まない。ヘルメットがうなじストラップを有する場合、ヘルメット縦断面は、うなじストラップの一部を含んでもよく含まなくてもよい。うなじストラップは、後頸部に接触する。うなじストラップが柔らかい材料で形成されており形状を維持できない場合、ヘルメット縦断面は、うなじストラップを含まなくてよい。うなじストラップが形状を維持できる場合、ヘルメット縦断面は、うなじストラップの一部を含んでもよく含まなくてもよい。
【0009】
本発明および実施の形態において、「ヘルメット縦断面におけるユーザーの前頭部に接触する部分」とは、ヘルメットにおけるユーザーの前頭部に接触する部分のうち、ヘルメット縦断面にのみ存在する線状の部分である。「ヘルメット縦断面におけるユーザーの前頭部に接触する部分」とは、ヘルメットの通常の使用時にユーザーの前頭部に接触することを想定して形成されている部分である。ユーザーの頭部の形状によっては、この部分はユーザーの前頭部に接触しない場合がある。
本発明および実施の形態において、「ユーザーの前頭部に接触する」とは、ユーザーの前頭部に直接的または間接的に接触することを意味する。間接的な接触は、例えば、インナーキャップを被った状態でヘルメットを装着したユーザーの前頭部にインナーキャップを介して接触することを含む。間接的な接触は、例えば、ユーザーの髪を介してユーザーの前頭部に接触することを含む。
「ヘルメット縦断面におけるユーザーの後頭部に接触する部分」の定義、および、「ヘルメット縦断面におけるユーザーの後頸部に接触する部分」の定義も、「ヘルメット縦断面におけるユーザーの前頭部に接触する部分」の定義と同様である。
本明細書において、「前頭部」とは、解剖学上の前頭部である。前頭部は、前頭骨のある箇所である。本明細書において、「後頭部」とは、解剖学上の後頭部である。後頭部は、後頭骨のある箇所である。「後頸部」は、解剖学上の用語である。後頸部(後頚部)は、後頭部の下端に繋がっている。本明細書において、「頭頂部」とは、解剖学上の頭頂部である。頭頂部は、頭頂骨のある箇所である。
【0010】
本発明および実施の形態において、「ヘルメット縦断面におけるユーザーの前頭部に接触する部分においてユーザーの頭頂部から最も離れた点」は、ヘルメット縦断面におけるユーザーの前頭部に接触する部分の端である。「ヘルメット縦断面におけるユーザーの後頭部または後頸部に接触する部分においてユーザーの頭頂部から最も離れた点」は、ヘルメット縦断面におけるユーザーの後頭部または後頸部に接触する部分の端である。
本発明および実施の形態において、「第1端点」および「第2端点」は、ヘルメット縦断面にのみ存在する点である。ヘルメットを装着したユーザーが直立している場合、第1端点は、ヘルメット縦断面におけるユーザーの前頭部に接触する部分の下端である。ヘルメットを装着したユーザーが直立している場合、第2端点は、ヘルメット縦断面におけるユーザーの後頭部または後頸部に接触する部分の下端である。ヘルメットがヘルメット縦断面においてユーザーの後頭部と後頸部の両方に接触する場合、第2端点は、後頸部に接触する部分において頭頂部から最も離れた点でもよい。ヘルメットがヘルメット縦断面においてユーザーの後頭部と後頸部の両方に接触する場合、第2端点の特定のしやすさの観点から、第2端点は、後頸部に接触する部分において頭頂部から最も離れた点であることが好ましいが、後頭部に接触する部分において頭頂部から最も離れた点でもよい。本明細書において、ユーザーが直立する状態とは、ユーザーの体だけでなくユーザーの頭部も傾いていない状態を意味する。本明細書において、ユーザーにとっての上下方向とは、直立した状態のユーザーにとっての上下方向である。本明細書において、ユーザーにとっての前後方向とは、直立した状態のユーザーにとっての前後方向である。
本発明および実施の形態において、「ヘルメット前上部」および「ヘルメット後上部」は、ヘルメット縦断面にのみ存在する部分である。「ヘルメット後上部」は、後頭部にのみ接触するか、後頭部と後頸部の両方に接触する。本発明において、第1直線のうち、ヘルメット前上部の境界を形成する部分は、ヘルメット前上部に含まれない。つまり、第1端点は、ヘルメット前上部に含まれない。同様に、第2端点は、ヘルメット後上部に含まれない。
【0011】
本発明および実施の形態において、「第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分」とは、第1右眼撮像装置の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分と、第1左眼撮像装置の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分である。「第1右眼撮像装置の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分」とは、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置の位置を変更する前の第1右眼撮像装置の位置と、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置の位置を変更した後の第1右眼撮像装置の位置とを結ぶ線分である。「第1右眼撮像装置の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分」とは、第1右眼撮像装置における1つの点の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分である。例えば、第1右眼撮像装置における撮像素子の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分でもよい。また、例えば、第1右眼撮像装置におけるレンズの変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分でもよい。「第1左眼撮像装置の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分」の定義も、「第1右眼撮像装置の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分」の定義と同様である。
本発明および実施の形態において、「第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分が、ヘルメットの左右方向に見て第3直線と平行である」という概念は、ヘルメットの左右方向に見てこの2つの線分が共通の1つの直線(第3直線)と平行であることを意味する。但し、本発明および実施の形態において、ヘルメット支持部は、ヘルメットの左右方向に見てこの2つの線分が共通の第3直線と平行になるように、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を個別に変更可能であってもよい。また、ヘルメット支持部は、ヘルメットの左右方向に見てこの2つの線分が共通の第3直線と平行になるように、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を一体的に変更可能であってもよい。
本発明および実施の形態において、「第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分が、ヘルメットの左右方向に見て第3直線と平行である」という概念は、ヘルメットの左右方向に見てこの2つの線分の両方が第3直線から離れていることに限定されない。この概念は、ヘルメットの左右方向に見て前記この2つの線分の少なくとも一方が第3直線と重なること含む。
【0012】
なお、ヘルメットによっては、第1端点と第2端点を正確に特定することが難しい場合がある。この場合、ヘルメット縦断面において第1端点が含まれる可能性のある部分(第1部分とする)と、ヘルメット縦断面において第2端点が含まれる可能性がある部分(第2部分とする)は特定できる。この場合、以下の関係が成立すれば、視線検出装置が上記(1)の構成を有すると判定できる。ヘルメット縦断面において、第1部分の端にある複数の点を仮の第1端点とする。ヘルメット縦断面において、第2部分の端にある複数の点を仮の第2端点とする。上記(1)の構成における第1端点と第2端点を、仮の第1端点と仮の第2端点に置き換えたものを、仮の(1)の構成とする。仮の第1端点と仮の第2端点の組み合わせがどの組み合わせであっても、視線検出装置が仮の(1)の構成を有する場合、視線検出装置は上記(1)の構成を有すると判定できる。同様の方法によって、視線検出装置が後述する(3)の構成を有することも判定できる。同様の方法によって、視線検出装置が後述する(5)の構成を有することも判定できる。同様の方法によって、視線検出装置が後述する(7)の構成を有することも判定できる。なお、第1部分は過度に広く解釈されないことに留意すべきである。つまり、第1部分は、ヘルメット縦断面において第1端点を明らかに含まない部分を含まない。同様に、第2部分も過度に広く解釈されないことに留意すべきである。
【0013】
(2)本発明の一実施形態の視線検出装置は、上記(1)の構成に加えて、以下の構成を有してもよい。
前記ヘルメット支持部は、前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置が前記左右方向に見て前記第3直線と平行に移動するように、前記ヘルメットに対して前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置の位置を変更可能に構成される。
【0014】
この構成によると、ヘルメット支持部は、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置を、左右方向に見てユーザーにとっての略上下方向に直線的に移動させることができる。ヘルメットに対する眼撮像装置の位置をユーザーにとっての略上下方向に変更する他の構成として、眼撮像装置を支持する部材を、ヘルメットの左右方向に平行な軸部材を中心に揺動させることが考えられる。しかし、この構成では、ヘルメットに対する眼撮像装置の位置をユーザーにとっての略上下方向に大きく変更する場合、ヘルメットに対する眼撮像装置の位置がユーザーにとっての略前後方向にも変更されてしまう。
ユーザーの頭部の個人差によりヘルメットに対するユーザーの眼の位置がユーザーにとっての略上下方向に大きく異なる場合がある。この場合、第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置をヘルメットの左右方向に平行な軸部材を中心に揺動させるよりも、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置を左右方向に見て直線的に移動させる方が、位置の調整が行いやすい。したがって、第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置を視線方向の検出精度の高い位置に配置しやすい。そのため、様々なユーザーの視線方向をより高精度に検出できる。
また、ヘルメットの形式の違いによりユーザーの眼の位置に対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置がユーザーにとっての略上下方向に大きく異なる場合がある。この場合、第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置をヘルメットの左右方向に平行な軸部材を中心に大きく揺動させるよりも、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置を左右方向に見て直線的に大きく移動させる方が、位置の調整が行いやすい。したがって、第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置を視線方向の検出精度の高い位置に配置しやすい。そのため、様々な形式のヘルメットを装着したユーザーの視線方向をより高精度に検出できる。
また、眼撮像装置を支持する部材がヘルメットの左右方向に平行な軸部材を中心に揺動する構成において、特に、左右方向に見て揺動中心と眼撮像装置の距離が短い場合、ユーザーの上瞼、上睫毛、下瞼、または下睫毛が視線方向の検出にとって妨げになるような位置に眼撮像装置が配置されやすい。つまり、眼撮像装置によって撮像された画像において、ユーザーの眼の少なくとも一部が、上瞼、上睫毛、下瞼、または下睫毛によって隠れる。これに対して、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置が左右方向に見て直線的に移動される場合、ユーザーの上瞼、上睫毛、下瞼、または下睫毛が視線方向の検出にとって妨げになるような位置に第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置が配置されにくい。そのため、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を変更しても、視線方向の検出精度を確保できる。
また、眼撮像装置を支持する1つまたは2つの部材がヘルメットの左右方向に平行な軸部材を中心に揺動する構成において、特に、左右方向に見て揺動中心と眼撮像装置の距離が長い場合、視線検出装置の使用中のヘルメットの振動によって眼撮像装置を支持する部材が振動しやすい。これに対して、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置が左右方向に見て直線的に移動される場合、第1右眼撮像装置(第1左眼撮像装置)を支持する部材を支持する位置の制約が低い。そのため、第1右眼撮像装置(第1左眼撮像装置)に近い位置で第1右眼撮像装置(第1左眼撮像装置)を支持する部材を支持できる。そのため、視線検出装置の使用中にヘルメットが振動しても、第1右眼撮像装置(第1左眼撮像装置)を支持する部材が振動しにくい。したがって、様々な状況においてヘルメットを装着したユーザーの視線方向をより高精度に検出できる。
【0015】
(3)本発明の一実施形態の視線検出装置は、上記(1)または(2)の構成に加えて、以下の構成を有してもよい。
前記ヘルメット支持部は、前記ヘルメットに対して前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置が前記左右方向に見て曲線状に移動し、前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分が前記左右方向に見て前記第3直線と平行になるように、前記ヘルメットに対して前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置の位置を変更可能に構成される。
【0016】
(4)本発明の一実施形態の視線検出装置は、上記(1)~(3)の少なくとも1つの構成に加えて、以下の構成を有してもよい。
前記ヘルメット支持部は、前記ヘルメットに対して前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置を前記左右方向に平行な軸線回りに揺動可能に構成される。
【0017】
この構成によると、ヘルメット支持部は、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の撮像方向を変更できる。また、揺動中心となる軸線が第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置から離れている場合、ヘルメット支持部は、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置をヘルメットの左右方向に平行な軸線を中心とした周方向に変更できる。
ユーザーの頭部の個人差によりヘルメットに対するユーザーの眼の位置が異なっても、ヘルメットに対するユーザーの眼の位置に応じて、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を、ヘルメットの左右方向に平行な軸線を中心とした周方向に調整できる。また、ヘルメットに対するユーザーの眼の位置に応じて、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の撮像方向を調整できる。そのため、ヘルメットを装着した様々なユーザーの視線方向をより高精度に検出できる。
また、ヘルメットの形式の違いによりヘルメットとユーザーの眼の位置の関係が異なっても、ヘルメットの形式に応じて、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を、ヘルメットの左右方向に平行な軸線を中心とした周方向に調整できる。また、ヘルメットに対するユーザーの眼の位置に応じて、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の撮像方向を調整できる。そのため、様々な形式のヘルメットを装着したユーザーの視線方向をより高精度に検出できる。
上述したように、乗車姿勢の違いによりユーザーの頭部の傾きが異なると、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置のうち視線方向の検出精度の高い位置が異なる。それに加えて、乗車姿勢の違いによりユーザーの頭部の傾きが異なると、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の撮像方向のうち視線方向の検出精度の高い撮像方向も異なる。乗車姿勢の違いによりユーザーの頭部の傾き(前傾または後傾)が異なった場合、ユーザーの頭部の傾きに応じて、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を、ヘルメットの左右方向に平行な軸を中心とした周方向に調整できる。さらに、ユーザーの頭部の傾きに応じて、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の撮像方向を調整できる。そのため、様々な状況においてヘルメットを装着したユーザーの視線方向をより高精度に検出できる。
【0018】
なお、本明細書において、「揺動可能」とは、360°未満回転可能なことを意味する。但し、「揺動可能」という概念は、360°以上回転可能であることを除外しない。例えば、ヘルメット支持部が第1右眼撮像装置と第1左眼撮像装置を360°回転可能に支持する場合、必ず、第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分がヘルメットの左右方向に見て前記第3直線と平行になるようにヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を変更可能であるとも思える。しかし、本発明において「第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分がヘルメットの左右方向に見て前記第3直線と平行になるようにヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を変更可能」であるという概念は、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を、視線検出装置を使用できる可能性のある範囲内において変更可能であることを意味する。
【0019】
上記(3)の構成は、上記(4)の構成によって実現されてもよい。つまり、ヘルメット支持部は、第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分がヘルメットの左右方向に見て第3直線と平行となるように、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置をヘルメットの左右方向に平行な軸線回りに揺動可能に構成されてもよい。
上記(3)の構成は、上記(4)の構成とは異なる構成によって実現されてもよい。
【0020】
(5)本発明の一実施形態の視線検出装置は、上記(1)~(4)の少なくとも1つの構成に加えて、以下の構成を有してもよい。
前記ヘルメット支持部は、前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分が前記左右方向に見て前記第1端点および前記ヘルメット後上部を通り前記ヘルメット前上部を通らない第4直線と平行になるように、前記ヘルメットに対して前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置の位置を変更可能に構成される。
【0021】
この構成によると、ヘルメット支持部は、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を、ユーザーにとっての略前後方向に変更できる。
ユーザーの頭部の個人差によりヘルメットに対するユーザーの眼の位置がユーザーにとっての略前後方向に異なる場合がある。この場合に、ヘルメットに対するユーザーの眼の位置に応じて、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を、ユーザーにとっての略前後方向に調整できる。そのため、ヘルメットを装着した様々なユーザーの視線方向をより高精度に検出できる。
また、ヘルメットの形式の違いによりヘルメットとユーザーの眼の位置の関係がユーザーにとっての略前後方向に異なる場合がある。この場合に、ヘルメットの形式に応じて、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を、ユーザーにとっての略前後方向に調整できる。そのため、様々な形式のヘルメットを装着したユーザーの視線方向をより高精度に検出できる。
また、乗車姿勢の違いによりユーザーの頭部の傾き(前傾または後傾)が異なっても、ユーザーの頭部の傾きに応じて、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を、ユーザーにとっての略前後方向に調整できる。そのため、様々な状況においてヘルメットを装着したユーザーの視線方向をより高精度に検出できる。
【0022】
なお、本発明および実施の形態において、「第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分が、ヘルメットの左右方向に見て第4直線と平行である」という概念は、ヘルメットの左右方向に見てこの2つの線分が共通の1つの直線(第4直線)と平行であることを意味する。但し、本発明および実施の形態において、ヘルメット支持部は、ヘルメットの左右方向に見てこの2つの線分が共通の第4直線と平行になるように、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を個別に変更可能であってもよい。また、ヘルメット支持部は、ヘルメットの左右方向に見てこの2つの線分が共通の第4直線と平行になるように、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を一体的に変更可能であってもよい。
本発明および実施の形態において、「第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分が、ヘルメットの左右方向に見て第4直線と平行である」という概念は、ヘルメットの左右方向に見てこの2つの線分の両方が第4直線から離れていることに限定されない。この概念は、ヘルメットの左右方向に見て前記この2つの線分の少なくとも一方が第4直線と重なること含む。
【0023】
上記(5)の構成は、上記(4)の構成によって実現されてもよい。つまり、ヘルメット支持部は、第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分がヘルメットの左右方向に見て第4直線と平行となるように、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置をヘルメットの左右方向に平行な軸線回りに揺動可能に構成されてもよい。上記(5)の構成は、上記(4)の構成とは異なる構成によって実現されてもよい。この場合、ヘルメット支持部は、第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置がヘルメットの左右方向に見て第4直線と平行に移動するように、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を変更可能に構成されてもよい。
【0024】
(6)本発明の一実施形態の視線検出装置は、上記(1)~(5)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有してもよい。
前記ヘルメット支持部は、前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分が前記左右方向に直交する方向に見て前記左右方向と平行になるように、前記ヘルメットに対して前記第1右眼撮像装置および前記第1左眼撮像装置の位置を変更可能に構成される。
【0025】
この構成によると、ヘルメット支持部は、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を、ヘルメットの左右方向に変更できる。
ユーザーの頭部の個人差によりヘルメットに対するユーザーの眼の位置がヘルメットの左右方向に異なる場合がある、この場合に、ヘルメットに対するユーザーの眼の位置に応じて、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を調整できる。そのため、ヘルメットを装着した様々なユーザーの視線方向をより高精度に検出できる。
【0026】
なお、本発明および実施の形態において、「第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分が、ヘルメットの左右方向に直交する方向に見てヘルメットの左右方向と平行である」という概念は、ヘルメットの左右方向に直交する1つの方向に見てこの2つの線分がヘルメットの左右方向と平行であるということに限定されない。ヘルメットの左右方向に直交する第1方向に見て複数の線分のうちの第1の線分がヘルメットの左右方向と平行で、ヘルメットの左右方向に直交し第1方向と異なる第2方向に見て複数の線分のうちの第2の線分がヘルメットの左右方向と平行でもよい。
【0027】
(7)本発明の一実施形態の視線検出装置は、上記(1)~(6)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有してもよい。
前記視線検出装置は、前記ユーザーの前記右眼の視線方向を検出するために前記ユーザーの前記右眼をそれぞれ撮像する少なくとも1つの第2右眼撮像装置と、前記ユーザーの前記左眼の視線方向を検出するために前記ユーザーの前記左眼をそれぞれ撮像する少なくとも1つの第2左眼撮像装置とを有し、前記ヘルメット支持部は、前記少なくとも1つの第2右眼撮像装置および前記少なくとも1つの第2左眼撮像装置の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分が前記左右方向に見て前記第1端点および前記ヘルメット前上部を通り前記ヘルメット後上部を通らない直線と平行になるように、前記ヘルメットに対して前記少なくとも1つの第2右眼撮像装置および前記少なくとも1つの第2左眼撮像装置の位置を変更可能に構成される。
【0028】
この構成によると、視線検出装置は、複数の右眼撮像装置(第1右眼撮像装置および少なくとも1つの第2右眼撮像装置)と、複数の左眼撮像装置(第1左眼撮像装置および少なくとも1つの第2左眼撮像装置)とを有する。そのため、複数の右眼撮像装置および複数の左眼撮像装置のうち検出精度の最も高い位置にある右眼撮像装置および左眼撮像装置を用いてユーザーの視線方向を検出できる。したがって、様々な状況において様々な形式のヘルメットを装着した様々なユーザーの視線方向をより高精度に検出できる。また、視線検出装置の使用中にユーザーの視線方向が大きく変化した場合に、ユーザーの視線方向を高精度に検出できる。
【0029】
なお、本発明および実施の形態において、「少なくとも1つの第2右眼撮像装置および少なくとも1つの第2左眼撮像装置の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分が、ヘルメットの左右方向に見て第1端点およびヘルメット前上部を通りヘルメット後上部を通らない直線と平行である」という概念は、ヘルメットの左右方向に見てこの複数の線分が共通の1つの直線と平行であることに限定されない。ヘルメットの左右方向に見てこの複数の線分は、ヘルメットの左右方向に見て第1端点およびヘルメット前上部を通りヘルメット後上部を通らない直線と平行であれば、互いに平行でなくてもよい。ヘルメットの左右方向に見てこの複数の線分は、共通の1つの第3直線と平行でもよい。
本発明および実施の形態において、「少なくとも1つの第2右眼撮像装置および少なくとも1つの第2左眼撮像装置の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分が、ヘルメットの左右方向に見て第1端点およびヘルメット前上部を通りヘルメット後上部を通らない直線と平行である」という概念は、ヘルメットの左右方向に見て前記線分が前記線分と平行な前記直線から離れていることに限定されない。この概念は、ヘルメットの左右方向に見て前記線分が前記線分と平行な前記直線と重なること含む。
【0030】
(8)本発明の一実施形態の視線検出装置は、上記(7)の構成に加えて、以下の構成を有してもよい。
前記ヘルメット支持部は、前記ヘルメットに対して前記第1右眼撮像装置および前記少なくとも1つの第2右眼撮像装置の位置を一体的に変更可能に構成され、且つ、前記ヘルメットに対して前記第1左眼撮像装置および前記少なくとも1つの第2左眼撮像装置の位置を一体的に変更可能に構成される。
【0031】
この構成によると、第1右眼撮像装置の位置に対する第2右眼撮像装置の位置が固定される。また、第1左眼撮像装置の位置に対する第2左眼撮像装置の位置が固定される。これにより、第1右眼撮像装置と第2右眼撮像装置と第1左眼撮像装置と第2左眼撮像装置によって撮像された画像を用いた視線方向の検出処理がより容易になる。それにより、ユーザーの視線方向の検出精度を向上できる。
【0032】
なお、本発明および実施の形態において、「ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および少なくとも1つの第2右眼撮像装置の位置を一体的に変更可能である」という概念は、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置の位置を変更すると、ヘルメットに対する少なくとも1つの第2右眼撮像装置の位置も変更されることを意味する。「ヘルメットに対して第1左眼撮像装置および少なくとも1つの第2左眼撮像装置の位置を一体的に変更可能である」という概念も同様である。
【0033】
(9)本発明の一実施形態の視線検出装置は、上記(1)~(8)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有してもよい
前記ヘルメット支持部は、前記ヘルメットに着脱可能に取り付けられる。
【0034】
この構成によると、視線検出装置による視線方向の検出が必要でない場合に、ユーザーは、視線検出装置が取り外されたヘルメットを使用することができる。
【0035】
(10)本発明の一実施形態の視線検出装置は、上記(1)~(9)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有してもよい。
前記ヘルメットは、シェルと、前記シェルの内側に配置されるライナーとを有し、前記ヘルメット支持部は、前記シェルと前記ライナーとの間に差し込まれて、前記シェルと前記ライナーの両方に接触するように配置される差し込み部を有する。
【0036】
この構成によると、ヘルメット支持部のヘルメットへの取り付け工程の全てまたは一部が、差し込み部をシェルとライナーの間に差し込むことであるため、ヘルメット支持部のヘルメットへの取り付けが容易である。
また、この構成によると、シェルとライナーとの間に配置される部分の長さを変更することで、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を、ユーザーにとって略上下方向に変更することができる。
【0037】
なお、本発明および実施の形態において、「ヘルメット支持部が差し込み部を有する」という概念は、ヘルメット支持部が差し込み部を1つだけ有するという意味に限定されない。ヘルメット支持部は複数の差し込み部を有してもよい。複数の差し込み部の差し込み方向は全て同じでもよい。複数の差し込み部は、差し込み方向の異なる2つの差し込み部を含んでもよい。複数の差し込み部は、差し込み方向が同じ2つの差し込み部を含んでもよい。
【0038】
(11)本発明の一実施形態の視線検出装置は、上記(10)の構成に加えて、以下の構成を有してもよい。
前記ヘルメット支持部は、前記差し込み部の差し込み方向の逆方向に前記ヘルメット支持部が前記ヘルメットに対して移動することを抑制する移動抑制部を有する。
【0039】
この構成によると、例えば、ユーザーが乗車する乗り物が振動する場合や、ユーザーが頭部を激しく動かした場合など、ヘルメットの動きが大きいまたは多い場合に、たとえ差し込み部による取り付けが緩んでも、ヘルメットに対してヘルメット支持部が差し込み部の差し込み方向と逆方向に移動することを移動抑制部によって抑制できる。そのため、視線検出装置の使用中にヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置が変化することを抑制できる。したがって、様々な状況においてヘルメットを装着したユーザーの視線方向をより高精度に検出できる。
【0040】
なお、本発明および実施の形態において、「ヘルメット支持部が移動抑制部を有する」という概念は、ヘルメット支持部が移動抑制部を1つだけ有するという意味に限定されない。ヘルメット支持部は複数の移動抑制部を有してもよい。
【0041】
(12)本発明の一実施形態の視線検出装置は、上記(11)の構成に加えて、以下の構成を有してもよい。
前記移動抑制部は、前記差し込み方向の端と前記差し込み方向と逆方向の端が前記ヘルメットに接触することによって、前記差し込み方向と逆方向に前記ヘルメット支持部が前記ヘルメットに対して移動することを抑制する。
【0042】
この構成によると、移動抑制部はヘルメットに対して位置ずれしにくい。これにより、移動抑制部がヘルメットに対して位置ずれしにくいことで、差し込み部は、シェルとライナーとの間を、差し込み方向の逆方向以外の方向にも移動しにくくなる。したがって、ヘルメットに対してヘルメット支持部の全方向の移動を抑制することができる。
【0043】
(13)本発明の一実施形態の視線検出装置は、上記(1)~(12)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有してもよい。
前記視線検出装置は、前記ヘルメット支持部に支持され、前記ヘルメットを装着した前記ユーザーの両眼に向かって光を照射する複数の光源を有する。
【0044】
この構成によると、複数の光源がヘルメット支持部に支持されるため、第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置に対する光源の位置を固定できる。そのため、光源から照射された光を利用した視線方向の検出を高精度に行うことができる。
【0045】
(14)本発明の一実施形態の視線検出装置は、上記(1)~(13)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有してもよい。
前記ヘルメットは、前記ユーザーが乗り物に乗車するときに装着する乗り物用ヘルメットである。
【0046】
なお、乗り物用ヘルメットは、鞍乗型車両用ヘルメットと、鞍乗型車両ではない乗り物用ヘルメットを含む。鞍乗型車両とは、ライダー(ユーザー)が鞍にまたがるような状態で乗車する車両である。鞍乗型車両用ヘルメットは、例えば、自動二輪車、スクータ、モペット、自動三輪車(motor tricycle)、四輪バギー(ATV:All Terrain Vehicle(全地形型車両))、スノーモービル、および自転車などに乗車する時に装着するヘルメットを含む。鞍乗型車両ではない乗り物用ヘルメットは、例えば、四輪車のカート競技用ヘルメット、四輪車のサーキット競技用ヘルメット、四輪車のラリー競技用ヘルメット、および、飛行機用ヘルメットなどを含む。
なお、本発明の視線検出装置は、乗り物用でないヘルメットに適用されてもよい。乗り物用でないヘルメットは、スポーツで使用されるスポーツ用ヘルメットと、例えば工場または建設現場などで使用される工事用ヘルメットと含む。スポーツ用ヘルメットは、例えば、スキー用ヘルメット、野球用ヘルメット、アメリカンフットボール用ヘルメット、ラグビー用ヘルメット、ボクシングなどの格闘技用ヘルメットを含む。ラグビー用ヘルメットおよび格闘技用ヘルメットは、ヘッドギアまたはヘッドガードとも呼ばれ、シェルを有さない。
なお、本発明においてヘルメットとは、ユーザーの頭部を保護するためにユーザーの頭部に装着されるものを意味する。本発明の視線検出装置の対象となるヘルメットは、シェルを有してもよく有さなくてもよい。本発明の視線検出装置の対象となるヘルメットは、ライナーを有してもよく有さなくてもよい。
【0047】
本明細書において、ある部品の端部とは、部品の端とその近傍部とを合わせた部分を意味する。
【0048】
本明細書において、Aおよび/またはBとは、Aでもよく、Bでもよく、AおよびBの両方でもよいことを意味する。
【0049】
請求の範囲において、ある構成要素の数を明確に特定しておらず、英語に翻訳された場合に単数で表示される場合、本発明はこの構成要素を複数有してもよい。本発明はこの構成要素を1つだけ有してもよい。
【0050】
本発明および実施の形態において、含む(including)、有する(comprising)、備える(having)およびこれらの派生語は、列挙されたアイテム及びその等価物に加えて追加的アイテムをも包含することが意図されて用いられている。
本発明および実施の形態において、取り付けられた(mounted)、接続された(connected)、結合された(coupled)、支持された(supported)という用語は、広義に用いられている。具体的には、直接的な取付、接続、結合、支持だけでなく、間接的な取付、接続、結合および支持も含む。さらに、接続された(connected)および結合された(coupled)は、物理的又は機械的な接続/結合に限られない。それらは、直接的なまたは間接的な電気的接続/結合も含む。
【0051】
他に定義されない限り、本明細書および請求の範囲で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術および本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されることはない。
【0052】
本明細書において、「好ましい」という用語は非排他的なものである。「好ましい」は、「好ましいがこれに限定されるものではない」ということを意味する。本明細書において、「好ましい」と記載された構成は、少なくとも、請求項1の構成により得られる上記効果を奏する。また、本明細書において、「してもよい」という用語は非排他的なものである。「してもよい」は、「してもよいがこれに限定されるものではない」という意味である。本明細書において、「してもよい」は、「しない」場合があることを暗黙的に含む。本明細書において、「してもよい」と記載された構成は、少なくとも、請求項1の構成により得られる上記効果を奏する。
【0053】
本発明では、上述した好ましい構成を互いに組み合わせることを制限しない。本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に記載されたまたは図面に図示された構成要素の構成および配置の詳細に制限されないことが理解されるべきである。本発明は、後述する実施形態以外の実施形態でも可能である。本発明は、後述する実施形態に様々な変更を加えた実施形態でも可能である。また、本発明は、後述する実施形態および変更例を適宜組み合わせて実施することができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明の視線検出装置は、様々な状況において様々な形式のヘルメットを装着した様々なユーザーの視線方向を高精度に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】
図1は本発明の第1実施形態の視線検出装置を説明する図である。
【
図2】
図2は本発明の第2実施形態の視線検出装置を説明する図である。
【
図3】
図3は本発明の第3実施形態の視線検出装置の正面図である。
【
図4】
図4は本発明の第3実施形態の視線検出装置の上面図である。
【
図6】
図6(a)は
図3のB-B線断面図であり、
図6(b)は第3実施形態の視線検出装置の左側面図である。
【
図7】本発明の第3実施形態の視線検出装置の底面図である。
【
図8】本発明の第3実施形態の視線検出装置の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
<本発明の第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について
図1を参照しつつ説明する。
図1は、3種類のヘルメット100に取り付けられた第1実施形態の視線検出装置1の例を示す。なお、本発明の視線検出装置が適用されるヘルメットの形式は、
図1に示すヘルメット100の形式に限らない。視線検出装置1は、第1右眼撮像装置2a1と、第1左眼撮像装置2b1と、ヘルメット支持部10とを有する。第1右眼撮像装置2a1は、ユーザーUの右眼の視線方向を検出するためにユーザーUの右眼を撮像する。第1左眼撮像装置2b1は、ユーザーUの左眼の視線方向を検出するためにユーザーUの左眼を撮像する。ヘルメット支持部10は、ユーザーUが装着するヘルメット100に支持されつつ第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1を支持する。ヘルメット支持部10は、ヘルメット100に対して第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の位置を変更できるように、ヘルメット100に支持されつつ第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1を支持する。
図1は、模式図であって、ヘルメット支持部10の構成を簡略的に表示している。
【0057】
図1は、ヘルメット100のヘルメット縦断面100Sを示す。ヘルメット縦断面100Sは、ヘルメット100の左右方向に直交するヘルメット100の断面である。ヘルメット縦断面100Sは、ハッチングが付された領域である。ヘルメット縦断面100Sは、ヘルメット100の左右方向の中央に位置する面であってもなくてもよい。ヘルメット縦断面100SにおけるユーザーUの前頭部に接触する部分においてユーザーUの頭頂部から最も離れた点を、第1端点P1とする。ヘルメット縦断面100SにおけるユーザーUの後頭部または後頸部に接触する部分においてユーザーUの頭頂部から最も離れた点を、第2端点P2とする。第1端点P1と第2端点P2とを通る直線を、第1直線L1とする。第1端点P1および第2端点P2から等しい距離にある第1直線L1上の点を通り、ヘルメット100の左右方向および第1直線L1の両方に直交する直線を、第2直線L2とする。ヘルメット縦断面100Sにおいて、ユーザーUの前頭部に接触する部分を含み、第1直線L1と第2直線L2で区切られる部分を、ヘルメット前上部100Saとする。ヘルメット縦断面100Sにおいて、第2直線L2を介してヘルメット前上部100Saに繋がっており、第1直線L1と第2直線L2で区切られる部分を、ヘルメット後上部100Sbとする。
【0058】
ヘルメット支持部10は、第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分S1がヘルメット100の左右方向に見て第1端点P1およびヘルメット前上部100Saを通りヘルメット後上部100Sbを通らない第3直線L3と平行になるように、ヘルメット100に対して第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の位置を変更可能に構成される。
図1は、第3直線L3の例を複数示す。第3直線L3は
図1に示すものに限らない。この構成によると、ヘルメット支持部10は、ヘルメット100に対する第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の位置を、ヘルメット100の左右方向に見て第3直線L3と平行な方向に変更できる。そのため、視線検出装置1は、様々な状況において様々な形式のヘルメット100を装着した様々なユーザーUの視線方向を高精度に検出できる。
【0059】
ヘルメット支持部10は、ヘルメット100に対する第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の位置を、ヘルメット100の左右方向に見て複数の第3直線L3と平行な方向に変更可能であってもなくてもよい。ヘルメット支持部10は、線分S1が第3直線L3と平行になるようにヘルメット100に対して第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の位置を変更したときにヘルメット100に対する位置が変更されない部分を有してもよく、有さなくてもよい。
【0060】
ヘルメット支持部10は、第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1がヘルメット100の左右方向に見て第3直線L3と平行に移動するように、ヘルメット100に対して第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の位置を変更可能に構成されてもよい。この場合、ヘルメット100の左右方向に見た第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の位置の移動の軌跡は、線分S1と一致する。ヘルメット支持部10は、第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1が第3直線L3と平行に移動するように、ヘルメット100に対して第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の位置を変更可能に構成されてもよい。つまり、ヘルメット支持部10は、ヘルメット100に対して第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1をヘルメット100の左右方向に直交する方向に移動可能に構成されてもよい。
【0061】
ヘルメット支持部10は、ヘルメット100に対して第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1が左右方向に見て曲線状に移動し、第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分S1がヘルメット100の左右方向に見て第3直線L3と平行になるように、ヘルメット100に対して第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の位置を変更可能に構成されてもよい。なお、曲線状は、円弧状であっても無くてもよい。例えば、曲率が徐々に変化する曲線状でもよい。
【0062】
<本発明の第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について
図2を参照しつつ説明する。第2実施形態の視線検出装置1は、第1実施形態の構成に加えて、以下の構成を有する。
ヘルメット支持部10は、第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分S2が左右方向に見て第1端点P1およびヘルメット後上部100Sbを通りヘルメット前上部100Saを通らない第4直線L4と平行になるように、ヘルメット100に対して第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の位置を変更可能に構成される。この位置変更は、第1実施形態で説明した位置変更と同時には行われない。
図2は、第4直線L4の例を複数示す。第4直線L4は
図2に示すものに限らない。1つのヘルメット支持部10に対する第4直線L4の数は1つでもよく、複数でもよい。この構成によると、ヘルメット支持部10は、ヘルメット100に対する第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の位置を、ヘルメット100の左右方向に見て第4直線L4と平行な方向に変更できる。そのため、視線検出装置1は、様々な状況において様々な形式のヘルメット100を装着した様々なユーザーUの視線方向を高精度に検出できる。
【0063】
ヘルメット支持部10は、ヘルメット100に対する第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の位置を、ヘルメット100の左右方向に見て複数の第4直線L4と平行な方向に変更可能であってもなくてもよい。ヘルメット支持部10は、線分S2が第4直線L4と平行になるようにヘルメット100に対して第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の位置を変更したときにヘルメット100に対する位置が変更されない部分を有してもよく、有さなくてもよい。
【0064】
ヘルメット支持部10は、第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1がヘルメット100の左右方向に見て第4直線L4と平行に移動するように、ヘルメット100に対して第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の位置を変更可能に構成されてもよい。この場合、ヘルメット100の左右方向に見た第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の位置の移動の軌跡は、線分S2と一致する。ヘルメット支持部10は、第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1が第4直線L4と平行に移動するように、ヘルメット100に対して第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の位置を変更可能に構成されてもよい。つまり、ヘルメット支持部10は、ヘルメット100に対して第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1をヘルメット100の左右方向に直交する方向に移動可能に構成されてもよい。
【0065】
ヘルメット支持部10は、ヘルメット100に対して第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1が左右方向に見て曲線状に移動し、第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分S2がヘルメット100の左右方向に見て第4直線L4と平行になるように、ヘルメット100に対して第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の位置を変更可能に構成されてもよい。なお、曲線状は、円弧状であっても無くてもよい。例えば、曲率が徐々に変化する曲線状でもよい。
【0066】
<本発明の第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について、
図3~
図8を用いて説明する。第3実施形態の視線検出装置1は、第1実施形態の構成および第2実施形態の構成に加えて、以下の構成を有する。
図3~7中の符号Ri、Lは、ヘルメット100の右方向とヘルメット100の左方向をそれぞれ示す。以下の説明において、左右方向は、特に限定がない限り、ヘルメット100の左右方向である。視線検出装置1は、ヘルメット100の前部に設けられる。視線検出装置1のヘルメット支持部10は、ヘルメット100に着脱可能に取り付けられる。ヘルメット支持部10はユーザーUの視野に入らないように構成されることが好ましい。ヘルメット支持部10は一部がユーザーUの視野に入ってもよい。ヘルメット支持部10は、第1支持部11と、第2支持部12と、第3支持部13と、第4支持部14と、第5支持部15と、2つの移動抑制部16とを有する。第5支持部15は、第1右眼撮像装置2a1と、少なくとも1つの第2右眼撮像装置2a2と、第1左眼撮像装置2b1と、少なくとも1つの第2左眼撮像装置2b2とを支持する。第2右眼撮像装置2a2の数は、
図3および
図8では1つであるが、複数でもよい。第2左眼撮像装置2b2の数は、
図3および
図8では1つであるが、複数でもよい。視線検出装置1は、第2右眼撮像装置2a2と第2左眼撮像装置2b2を有さなくてもよい。なお、以下では、第1右眼撮像装置2a1、第2右眼撮像装置2a2、第1左眼撮像装置2b1、および第2左眼撮像装置2b2を区別せずに称する場合には、眼撮像装置2(図中に符号なし)と称する。また、以下では、第1右眼撮像装置2a1および第2右眼撮像装置2a2を区別せずに称する場合には、右眼撮像装置2a(図中に符号なし)と称する。また、第1左眼撮像装置2b1および第2左眼撮像装置2b2を区別せずに称する場合には、左眼撮像装置2b(図中に符号なし)と称する。第5支持部15は、第4支持部14に支持される。第4支持部14は、第3支持部13に支持される。第3支持部13は、第2支持部12に支持される。第2支持部12は、第1支持部11に支持される。第1支持部11は、ヘルメット100に支持される。第1支持部11は、第1支持部11の左右方向がヘルメット100の左右方向と一致するようにヘルメット100に支持される。第1支持部11の左右方向とは、第1支持部11に固定される方向である。2つの移動抑制部16は、第1支持部11に連結される。2つの移動抑制部16は、ヘルメット100の右部に配置される右移動抑制部16aと、ヘルメット100の左部に配置される左移動抑制部16bである。
【0067】
第1支持部11は、複数の差し込み部11aを有する。複数の差し込み部11aは、視線検出装置1をヘルメット100に取り付けるために設けられている。
図5に示すように、ヘルメット100は、シェル101と、シェル101の内側に配置されるライナー102とを有する。ライナー102は、シェル101の内面に接触する。シェル101は複数の層で形成されてもよく一層でもよい。ライナー102はシェル101よりも柔らかい。ライナー102は、差し込み部11aよりも柔らかい。ライナー102は、例えば発泡材を含む。ライナー102は複数の層で形成されてもよく一層でもよい。ヘルメット100は、ライナー102の内側に配置される内装材103をさらに有する。第1端点P1(
図1参照)および第2端点P2(
図2参照)は、内装材103に含まれる。
図5に示すように、差し込み部11aは、ヘルメット100におけるユーザーUの前頭部を覆う部分に差し込まれる。差し込み部11aは、シェル101とライナー102との間に差し込まれて、シェル101とライナー102の両方に接触するように配置される。複数の差し込み部11aはユーザーUにとっての略上方向に差し込まれる。複数の差し込み部11aのうちの1つの差し込み部11aの差し込み方向と平行な方向をD1方向とする。残りの差し込み部11aの差し込み方向はD1方向と同じまたはほぼ同じである。D1方向の逆方向を、D2方向とする。差し込み部11aの差し込みによって、ヘルメット支持部10はヘルメット100に取り付けられる。ヘルメット支持部10のヘルメット100への取り付け工程の全てまたは一部が、複数の差し込み部11aをシェル101とライナー102の間に差し込むことであるため、ヘルメット支持部10のヘルメット100への取り付けが容易である。差し込み部11aは、シェル101の曲面とライナー102の曲面との間に配置される。そのため、差し込み部11aは位置ずれしにくい。
【0068】
図3に示すように、第1支持部11の右端部と、第2支持部12の右端部と、右移動抑制部16aとは、2つのねじピン20、21によって互いに固定される。第1支持部11の左端部と、第2支持部12の左端部と、左移動抑制部16bは、2つのねじピン20、21によって互いに固定される。ねじピン20、21は、ヘルメット支持部10に含まれる。
図6に示すように、第2支持部12は、各ねじピン20が貫通する円弧孔12aを有する。円弧孔12aは、左右方向に見てピン21を中心とした円弧状に形成されている。2つのねじピン20および2つのねじピン21が緩められたとき、第2支持部12は、第1支持部11に対して円弧孔12aに沿って移動可能である。それにより、第2支持部12は、第1支持部11に対して左右方向に平行な軸線A1回りに揺動可能である。第2支持部12に支持される第3支持部13、第4支持部14および第5支持部15も、第1支持部11に対して軸線A1回りに揺動可能である。そのため、第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1は、ヘルメット100に対して軸線A1回りに揺動可能である。第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1がヘルメット100に対して軸線A1回りに揺動することで、ヘルメット100に対する第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の撮像方向が変更される。ヘルメット支持部10において、第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1と共に軸線A1回りに揺動される部分(第2支持部12、第3支持部13、第4支持部14、および第5支持部15)は、軸線A1と重なる位置にある部材(ピン21)と、軸線A1から離れた位置にある部材(ピン20)とによって、ヘルメット支持部10における第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1と共に軸線A1回りに揺動されない部分(第1支持部11)に支持されている。
【0069】
移動抑制部16は、D2方向(差し込み方向と逆方向)にヘルメット支持部10がヘルメット100に対して移動することを抑制する。移動抑制部16のD2方向の端と移動抑制部16のD1方向の端は、ヘルメット100と接触する。そのため、移動抑制部16はヘルメット100に対して位置ずれしにくい。移動抑制部16のD2方向の端は、ユーザーUの頬を覆う部分のD1方向の端に接触する。移動抑制部16のD1方向の端は、ユーザーUの前頭部または側頭部を覆う部分のD2方向の端に接触する。
【0070】
図3に示すように、第2支持部12の左右方向の中央部は、2つのねじピン22によって、第3支持部13に固定される。2つのねじピン22は、ヘルメット支持部10に含まれる。
図7に示すように、第3支持部13は、各ねじピン22が貫通する長孔13aを有する。各長孔13aは、ユーザーUにとっての略前後方向に細長い形状である。各長孔13aは、D1方向と左右方向の両方に直交する方向に細長い。2つのねじピン22が緩められたとき、第3支持部13は、第2支持部12に対して長孔13aに沿って移動可能である。これにより、第3支持部13は、第2支持部12に対してD1方向と左右方向の両方に直交する方向に移動可能である。D1方向と左右方向の両方に直交する方向は、第2実施形態の第4直線L4(
図2参照)に平行な方向である。第3支持部13は、第2支持部12に対して第4直線L4と平行に移動可能である。第3支持部13に支持される第4支持部14および第5支持部15も、第2支持部12に対して第4直線L4と平行に移動可能である。そのため、第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1は、ヘルメット100に対して第4直線L4と平行に移動可能である。
【0071】
図3および
図5に示すように、第3支持部13は、2つのねじピン23によって、第4支持部14に固定される。2つのねじピン23は、ヘルメット支持部10に含まれる。
図3に示すように、第3支持部13は、各ねじピン23が貫通する長孔13bを有する。各長孔13bは、ユーザーUにとっての略上下方向に細長い形状である。各長孔13bは、D1方向に細長い。2つのねじピン23が緩められたとき、第4支持部14は、第3支持部13に対して長孔13bに沿って移動可能である。これにより、第4支持部14は、第3支持部13に対してD1方向に移動可能である。D1方向、第1実施形態の第3直線L3(
図1参照)に平行な方向である。第4支持部14は、第3支持部13に対して第3直線L3と平行に移動可能である。第4支持部14に支持される第5支持部15も、第3支持部13に対して第3直線L3と平行に移動可能である。そのため、第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1は、ヘルメット100に対して第3直線L3と平行に移動可能である。
【0072】
図5および
図7に示すように、第4支持部14は、第5支持部15をユーザーUにとっての略前後方向に挟み込むように構成されている。なお、
図5および
図7は、第4支持部14および第5支持部15の断面を模式的に示している。第4支持部14と第5支持部15は、図示しないねじピンなどによって互いに固定される。第4支持部14および第5支持部15は、固定状態を解除したときに第5支持部15が第4支持部14に対して左右方向に移動できるように構成されている。これにより、第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1は、ヘルメット100に対して左右方向に移動可能である。
【0073】
図8に示すように、第5支持部15は、環状の2つのフレーム15a、15bを有する。2つのフレーム15a、15bは、ヘルメット100を装着したユーザーUをユーザーUにとっての後方向に見たときに2つのフレーム15a、15bがユーザーUの右眼と左眼をそれぞれ取り囲むように形成および配置されている。
図3および
図8に示すように、第5支持部15は、複数の眼撮像装置2と、複数の光源3を支持する。そのため、複数の眼撮像装置2に対する複数の光源3の相対位置が固定される。フレーム15aは、複数の右眼撮像装置2a(2a1、2a2)と、少なくとも1つの光源3を支持する。フレーム15bは、複数の左眼撮像装置2b(2b1、2b2)と、少なくとも1つの光源3とを支持する。
【0074】
図3に示すように、視線検出装置1は、第4支持部14に支持されるシーン撮像装置4を有する。
図8に示すように、視線検出装置1は、第4支持部14に支持される、位置検出装置5、無線通信装置6、プロセッサ7、および記憶部8を有する。さらに、視線検出装置1は、第4支持部14に支持される図示しない電力供給源(例えばバッテリー)を有する。なお、
図8中の位置検出装置5、無線通信装置6、プロセッサ7、および記憶部8は、これらの装置5、6、7、8を模式的に示したものであって、これらの装置5、6、7、8の位置および形状は
図3に示す位置および形状に限定されない。
【0075】
複数の光源3は、ヘルメット100を装着したユーザーUの眼に向かって光を照射する。フレーム15aに設けられた少なくとも1つの光源3は、ユーザーUの右眼に向かって光を照射する。フレーム15bに設けられた少なくとも1つの光源3は、ユーザーUの左眼に向かって光を照射する。光源3は、例えば、赤外線を照射する赤外線照射装置であってもよい。光源3は、赤外線以外の光を照射してもよい。光源3は、可視光を照射してもよい。複数の光源3の数および位置は、
図3に示す光源3の数および位置に限定されない。
【0076】
第1右眼撮像装置2a1および少なくとも1つの第2右眼撮像装置2a2は、撮像方向がヘルメット100を装着したユーザーUの右眼を向くように配置される。第1左眼撮像装置2b1および少なくとも1つの第2左眼撮像装置2b2は、撮像方向がヘルメット100を装着したユーザーUの左眼を向くように配置される。眼撮像装置2は、1つの撮像素子を有する。眼撮像装置2は、例えばカメラである。眼撮像装置2は、レンズを有するカメラでもよく、レンズレスカメラでもよい。カメラは、被写体の光学像を撮像素子で光電変換して画像データを生成する装置である。撮像素子(イメージセンサ)は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサまたはCCD(Charge coupled Device)センサである。眼撮像装置2は、静止画像データのみを生成可能であってもよく、動画データを生成可能であってもよい。複数の眼撮像装置2の位置は、
図3および
図8に示す位置に限定されない。複数の眼撮像装置2は、
図3および
図8ではユーザーUの眼より下方に位置するが、ユーザーUの眼より上方に位置してもよい。なお、ここでの下方は、ユーザーUにとっての上下方向における下方である。上方も同様である。
【0077】
シーン撮像装置4は、ヘルメット100を装着したユーザーUが見ている光景(シーン)を撮像する。シーン撮像装置4は、例えばカメラである。シーン撮像装置4は、静止画像データのみを生成可能であってもよく、動画データを生成可能であってもよい。
【0078】
位置検出装置5は、視線検出装置1の位置の変化を検出する。そのため、位置検出装置5によって、ヘルメット100を装着したユーザーUの頭部の動きを検出できる。位置検出装置5により検出される頭部の動きには、ユーザーUの頭部がユーザーUの胴部と一緒に移動した際の頭部の動きも含んでいる。位置検出装置5は、例えば、3軸ジャイロセンサと3軸加速度センサを含んでもよい。3軸ジャイロセンサは、互いに直交する3軸回りの回転角速度を検出するセンサである。3軸加速度センサは、互いに直交する3軸方向の加速度を検出するセンサである。位置検出装置5は、3軸ジャイロセンサおよび3軸加速度センサのうちの一方のみを有してもよい。位置検出装置5は、3軸ジャイロセンサおよび3軸加速度センサ以外のセンサを含んでもよい。
【0079】
プロセッサ7は、複数の眼撮像装置2、複数の光源3、シーン撮像装置4、および位置検出装置5、無線通信装置6、記憶部8に接続される。プロセッサ7は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ、またはマルチプロセッサなどである。記憶部8は、例えば、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)を含む。プロセッサ7は、記憶部8に記憶されたプログラムやデータに基づいた処理を行う。プロセッサ7は、複数の眼撮像装置2、複数の光源3、シーン撮像装置4、および無線通信装置6を制御する。
【0080】
プロセッサ7は、複数の眼撮像装置2、シーン撮像装置4、および位置検出装置5によって検出されたデータを受信する。プロセッサ7は、これらの装置2、4、5から取得したデータおよび/またはこれらの装置2、4、5から取得したデータに基づいてプロセッサ7が生成したデータを、記憶部8に記憶させる。プロセッサ7は、これらの装置2、4、5から取得したデータおよび/またはこれらの装置2、4、5から取得したデータに基づいてプロセッサ7が生成したデータを、無線通信装置6から送信させる。なお、以下に説明するプロセッサ7が行う処理は、無線通信装置6からデータを受信した装置が行ってもよい。
【0081】
プロセッサ7は、複数の眼撮像装置2によって撮像(検出)された両眼の画像(データ)を解析することで、ヘルメット100を装着したユーザーUの両眼の視線方向を検出する。例えば、プロセッサ7は、第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1によって撮像された両眼の画像を解析することで、ユーザーUの両眼の視線方向を検出する。プロセッサ7は、複数の右眼撮像装置2a(2a1、2a2)のうちいずれか1つの右眼撮像装置2aによって撮像された右眼の画像に基づいて、ある瞬間の右眼の視線方向を検出する。プロセッサ7は、複数の右眼撮像装置2a(2a1、2a2)の全てまたは一部の複数の右眼撮像装置2aによって撮像された右眼の複数の画像に基づいて、ある瞬間の右眼の視線方向を検出してもよい。プロセッサ7は、複数の左眼撮像装置2b(2b1、2b2)のうちいずれか1つの左眼撮像装置2bによって撮像された左眼の画像に基づいて、ある瞬間の左眼の視線方向を検出する。プロセッサ7は、複数の左眼撮像装置2b(2b1、2b2)の全てまたは一部の複数の左眼撮像装置2bによって撮像された左眼の複数の画像に基づいて、ある瞬間の左眼の視線方向を検出してもよい。
【0082】
光源3が赤外線照射装置の場合、例えば、角膜反射法または強膜反射法により、視線方向を検出してもよい。角膜反射法または強膜反射法では、眼球で反射した赤外線の反射光を利用して、視線方向が検出される。角膜反射法では、眼の画像から、瞳孔の位置と、角膜表面での反射光(プルキニエ像)の位置とを検出する。検出されたそれらに基づいて、視線方向が検出される。眼の画像から瞳孔の位置を検出する方法としては、明瞳孔法と暗瞳孔法がある。明瞳孔法では、眼の画像のうち瞳孔の部分が虹彩よりも明るくなるように、眼撮像装置2のレンズ光軸(撮像方向)と光源3の光軸を近づける。暗瞳孔法では、眼の画像のうち瞳孔の部分が虹彩よりも暗くなるように、眼撮像装置2のレンズ光軸と光源3の光軸を離す。例えば、ユーザーUの虹彩の色などに応じて、明瞳孔法と暗瞳孔法のどちらかが選択されてもよい。強膜反射法は、角膜と強膜(白目)では光の反射率が異なることを利用した方法である。強膜反射法では、眼撮像装置2により、眼の反射光の光量の変化を計測して、視線方向を検出する。また、眼撮像装置2によって撮像された眼の画像から、瞳孔や虹彩を抽出することで、視線方向を検出してもよい。プロセッサ7は、検出された両眼の視線方向に基づいて、ユーザーUの視点を検出する。プロセッサ7は、検出されたユーザーUの両眼の視線方向と、シーン撮像装置4によって撮像された画像とに基づいて、シーン撮像装置4によって撮像された画像中のユーザーUの視点を特定する。
【0083】
プロセッサ7は、位置検出装置5から、ヘルメット100を装着したユーザーUの頭部の動きのデータを取得する。プロセッサ7は、位置検出装置5から取得したデータに基づいて、測定中の視線検出装置1の位置ずれを補正してもよい。検出された頭部の動きと検出された視線方向は、ユーザーUの有効視野の推定に使用されてもよい。ユーザーUの有効視野の推定方法としては、例えば特開2019-34723に開示されている公知の方法を採用してもよい。有効視野を推定する演算処理は、視線検出装置1のプロセッサ7が行ってもよい。
【0084】
図5に示すように、ヘルメット100はシールド104を有する。ヘルメット100を装着したユーザーUの視線は、シールド104を通過する。光源3が赤外線照射装置である場合、シールド104は、赤外線を遮断する機能を有していてもよい。例えば、シールド104に赤外線遮断フィルムが設けられてもよい。赤外線遮断フィルムは、例えば、シールド104に貼り付けられていてもよく、蒸着によってシールド104に設けられてもよい。赤外線を遮断する機能を有するシールド104は、太陽光に含まれる赤外線を遮断できる。そのため、太陽光が存在する環境で視線検出装置1を使用する場合であっても、ユーザーUの眼に到達する赤外線の全てまたはほぼ全ては、赤外線照射装置3(光源3)から照射された赤外線となる。そのため、眼球で反射した赤外線の反射光を利用して視線方向を検出する場合に、検出精度を高めることができる。
【0085】
ユーザーUがヘルメット100を装着した後、視線検出装置1によってユーザーUの視線方向の検出を開始する前に、ヘルメット100に対する複数の眼撮像装置2の位置が調整される。眼撮像装置2の撮像範囲にヘルメット100を装着したユーザーUの両眼がそれぞれ収まるように、ヘルメット100に対する複数の眼撮像装置2の位置が調整される。複数の眼撮像装置2の位置の調整の後、キャリブレーションが行われる。キャリブレーションによって、ユーザーUの両眼の位置、形状、光学特性などのユーザーUの固有の特徴に応じた補正係数が算出される。この補正係数は視線方向の検出に使用される。また、キャリブレーションによって、シーン撮像装置4で撮像された画像と、ユーザーUの視点との対応関係が特定される。このように、複数の眼撮像装置2の位置の調整と、キャリブレーションを行うことによって、視線方向の検出の精度、および、シーン撮像装置4で撮像された画像中の視点の特定の精度を高めることができる。
【0086】
ユーザーUがゴーグルを装着する場合、ゴーグルが赤外線を遮断する機能を有していてもよい。例えば、赤外線遮断フィルムが設けられてもよい。赤外線遮断フィルムを設ける方法は上記した方法と同じである。ゴーグルは、伸縮性を有するバンドを有しており、このバンドがヘルメット100の外面に接するように装着される。そのため、ゴーグルは、視線検出装置1のフレーム15a、15bを覆う。
【0087】
ヘルメットを装着するユーザーUがゴーグルを装着する場合、ゴーグルが、複数の眼撮像装置2を有してもよい。この構成は、本発明には含まれない。ゴーグルは、複数の光源3を有してもよい。ゴーグルは、シーン撮像装置4、位置検出装置5、無線通信装置6、プロセッサ7、および記憶部8の一部または全てを有していてもよい。
【0088】
以下、本発明の実施形態の変更例について説明する。
【0089】
≪ヘルメット支持部の形状の変更例1≫
第3実施形態において、第5支持部15は、第4支持部14を介して、第3支持部13の左右方向の中央部にのみ連結される。しかし、第5支持部15は、左右方向に離れた2つの第4支持部を介して、第3支持部13に連結されてもよい。シーン撮像装置4、位置検出装置5、無線通信装置6、プロセッサ7、記憶部8、および電力供給源は、2つの第4支持部のいずれか一方または両方に設けられる。2つの第4支持部は、有線または無線で電気的に接続される。
【0090】
≪ヘルメット支持部の形状の変更例2≫
第3実施形態のヘルメット支持部10は、ヘルメット100を装着したユーザーUをユーザーUにとっての後方向に見てユーザーUの右眼と左眼をそれぞれ取り囲むように配置された2つの環状のフレーム15a、15bを有する。しかし、本発明の視線検出装置のヘルメット支持部は、ある方向に見てユーザーUの右眼と左眼をそれぞれ取り囲むように配置された2つの環状の部分を有さなくてもよい。例えば、フレーム15aから右端部を除いてもよく、フレーム15bから左端部を除いてもよい。また、例えば、フレーム15aから右端部と上部を除いてもよく、フレーム15aから左端部と上部を除いてもよい。
【0091】
≪第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置の調整の変更例1≫
第3実施形態では、第1右眼撮像装置2a1と第1左眼撮像装置2b1の相対位置を変更不能である。しかし、本発明のヘルメット支持部は、第1右眼撮像装置と第1左眼撮像装置の相対位置を変更可能に構成されてもよい。つまり、本発明のヘルメット支持部は、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を個別に変更可能に構成されてもよい。例えば、ヘルメットの左右方向に第1右眼撮像装置と第1左眼撮像装置の相対位置を変更可能でもよい。また、本発明のヘルメット支持部は、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を個別に変更可能な状態と、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を一体的に変更可能な状態とを切り換え可能に構成されてもよい。
【0092】
≪第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置の調整の変更例2≫
第3実施形態では、第1右眼撮像装置2a1と第2右眼撮像装置2a2の相対位置を変更不能である。また、第1左眼撮像装置2b1と第2左眼撮像装置2b2の相対位置を変更不能である。しかし、本発明のヘルメット支持部は、第1右眼撮像装置と第2右眼撮像装置の相対位置を変更可能に構成されてもよい。つまり、ヘルメット支持部は、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第2右眼撮像装置の位置を個別に変更可能に構成されてもよい。例えば、ヘルメットの左右方向に、第1右眼撮像装置と第2右眼撮像装置の相対位置を変更可能でもよい。ヘルメットの左右方向に見て第3直線または第4直線に平行な方向に第1右眼撮像装置と第1左眼撮像装置の相対位置を変更可能でもよい。右眼撮像装置と同様に、本発明のヘルメット支持部は、第1左眼撮像装置と第2左眼撮像装置の相対位置を変更可能に構成されてもよい。つまり、本発明のヘルメット支持部は、ヘルメットに対して第1左眼撮像装置および第2左眼撮像装置の位置を個別に変更可能に構成されてもよい。
本発明のヘルメット支持部は、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第2右眼撮像装置の位置を個別に変更可能な状態と、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第2右眼撮像装置の位置を一体的に変更可能な状態とを切り換え可能に構成されてもよい。本発明のヘルメット支持部は、ヘルメットに対して第1左眼撮像装置および第2左眼撮像装置の位置を個別に変更可能な状態と、ヘルメットに対して第1左眼撮像装置および第2左眼撮像装置の位置を一体的に変更可能な状態とを切り換え可能に構成されてもよい。
【0093】
≪第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置の調整の変更例3≫
第1実施形態において、線分S1が第3直線L3と平行になるようにヘルメット100に対して第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の位置を変更できるヘルメット支持部10の構成は、第3実施形態の構成に限定されない。第2実施形態において、線分S2が第4直線L4と平行になるようにヘルメット100に対して第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の位置を変更できるヘルメット支持部10の構成は、第3実施形態の構成に限定されない。例えば、ねじを利用して回転運動を直線運動に変換することで、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置をヘルメットの左右方向に見て第3直線または第4直線と平行な方向に変更してもよい。また、例えば、ヘルメット支持部が、ヘルメットの左右方向に見て第3直線または第4直線と平行な方向に並んだ複数の固定位置(例えばねじ孔)を有してもよい。そして、固定位置を変えることで、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置をヘルメットの左右方向に見て第3直線または第4直線と平行な方向に変更してもよい。また、差し込み部をシェルとライナーとの間に差し込む長さを変更することで、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置をヘルメットの左右方向に見て第3直線または第4直線と平行な方向に変更してもよい。
【0094】
≪第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置の調整の変更例4≫
第3実施形態では、ヘルメット支持部10は、ヘルメット100に対して第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1をヘルメット100の左右方向に平行な軸線A1回りに揺動可能に構成される。ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置をヘルメットの左右方向に平行な軸線回りに揺動させる構成は、第3実施形態の構成に限らない。例えば、ヘルメット支持部が、ヘルメットの左右方向に平行な軸を中心とした周方向に並んだ複数の固定位置(例えばねじ孔)を有してもよい。そして、固定位置を変えることで、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置をヘルメットの左右方向に平行な軸線回りに揺動させてもよい。揺動中心となる軸線の位置は、第3実施形態の
図6に示す軸線A1の位置に限らない。
【0095】
≪第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置の調整の変更例5≫
第3実施形態では、ヘルメット支持部10は、ヘルメット100に対して第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1をヘルメット100の左右方向に移動可能に構成される。ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置をヘルメットの左右方向に変更する構成は、第3実施形態の構成に限らない。例えば、差し込み部のシェルとライナーとの間に配置される位置を変更することで、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置がヘルメットの左右方向に変更されてもよい。本発明のヘルメット支持部は、第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分が左右方向に直交する方向に見て左右方向と平行になるように、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置を変更可能に構成されてもよい。これにより、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置をヘルメットの左右方向に変更できる。
【0096】
≪第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置の調整の変更例6≫
第3実施形態では、第3支持部13、第4支持部14および第5支持部15が、ヘルメット100に対して左右方向に平行な軸線A1回りに揺動可能である。それにより、第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の各々の変更前の位置と変更後の位置とを結ぶ線分S1が左右方向に見て第3直線L3と平行になるようにヘルメット100に対して第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1の位置を変更させる機構が、第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1と共に、ヘルメット100に対して左右方向に平行な軸線A1回りに揺動可能である。しかし、本発明のヘルメット支持部は、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置をヘルメットの左右方向に平行な軸線回りに揺動させる機構が、第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置と共に、ヘルメットの左右方向に見てヘルメットに対して第3直線と平行に移動できるように構成されてもよい。
【0097】
≪第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置の調整の変更例7≫
本発明のヘルメット支持部は、ヘルメットに対する第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置の位置をヘルメットの左右方向に変更不能に構成されてもよい。本発明のヘルメット支持部は、第2実施形態の構成を有さなくてもよい。本発明のヘルメット支持部は、ヘルメットに対して第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置を、ヘルメットの左右方向に平行な軸線回りに揺動不能に構成されてもよい。
【0098】
≪ヘルメット支持部の取り付け位置の変更例≫
第3実施形態では、ヘルメット支持部は、ヘルメットにおける前頭部を覆う部分に取り付けられる。本発明のヘルメット支持部は、ヘルメットにおけるユーザーの耳を覆う部分に取り付けられてもよい。本発明のヘルメット支持部は、ヘルメットにおけるユーザーの頬または顎を覆う部分に取り付けられてもよい。ヘルメットがつばを有する場合、本発明のヘルメット支持部は、ヘルメットのつばに取り付けられてもよい。ヘルメット支持部は、つばに取り付けられなくてもよい。
【0099】
≪差し込み部の変更例≫
第3実施形態では、差し込み部11aの差し込み方向は、ヘルメットを装着するユーザーUにとって略上方向である。しかし、本発明のヘルメット支持部が有する差し込み部の差し込み方向は、この方向に限定されない。本発明のヘルメット支持部は、例えば、ヘルメットを装着するユーザーにとっての略後方向に差し込まれる差し込み部を有してもよい。本発明のヘルメット支持部は、例えば、ヘルメットを装着するユーザーにとっての略下方向に差し込まれる差し込み部を有してもよい。本発明のヘルメット支持部は、差し込み方向が互いに異なる複数の差し込み部を有してもよい。第3実施形態では、差し込み部11aは、ヘルメットにおけるユーザーUの前頭部を覆う部分に差し込まれる。本発明のヘルメット支持部は、ヘルメットにおけるユーザーの耳を覆う部分に差し込まれる差し込み部を有してもよい。ヘルメットにおけるユーザーの頬または顎を覆う部分に差し込まれる差し込み部を有してもよい。本発明のヘルメット支持部が有する差し込み部の数は1つでもよい。本発明のヘルメット支持部は、差し込み部を有さなくてもよい。
【0100】
≪移動抑制部の変更例≫
本発明のヘルメット支持部が有する移動抑制部は、差し込み部の差し込み方向の端と差し込み方向の逆方向の端が、ヘルメットと接触するように構成されなくてもよい。本発明のヘルメット支持部は、移動抑制部を有さなくてもよい。
【0101】
≪ヘルメット支持部とヘルメットとの関係の変更例≫
本発明のヘルメット支持部は、ヘルメットに着脱可能でなくてもよい。つまり、本発明のヘルメット支持部は、ヘルメットに固定されていてもよい。
【0102】
≪ヘルメットの変更例1≫
図3(第3実施形態)に示すヘルメット100は、フルフェイスヘルメットである。フルフェイスヘルメットは、後頭部のほぼ全てを覆う。しかし、本発明の視線検出装置が適用されるヘルメットは、後頭部の一部のみを覆うヘルメットに適用されてもよい。また、フルフェイスヘルメットは、耳、頬、および顎を覆う部分を有する。しかし、本発明の視線検出装置が適用されるヘルメットは、耳、頬、および顎を覆う部分を有するヘルメットに限らない。本発明の視線検出装置は、顎を覆う部分を有さず、耳および頬を覆う部分を有するヘルメットに適用されてもよい。本発明の視線検出装置は、顎および頬を覆う部分を有さず、耳を覆う部分を有するヘルメットに適用されてもよい。本発明の視線検出装置は、顎、頬、および耳を覆う部分を有さないヘルメットに適用されてもよい。視線検出装置が適用されるヘルメットが、頬を覆う部分を有し、且つ、視線検出装置が、ユーザーUにとっての略上方向に差し込まれる差し込み部を有する場合、視線検出装置は、ユーザーUにとっての略上下方向の両端がヘルメットと接触するように構成される移動抑制部を有することができる。
【0103】
≪ヘルメットの変更例2≫
図3(第3実施形態)に示すヘルメット100は、シェルとライナーと内装材とを有する。しかし、本発明の視線検出装置は、シェルとライナーと内装材とを有するヘルメット以外のヘルメットに適用されてもよい。本発明の視線検出装置が適用されるヘルメットは、内装材を有さず、シェルとライナーとを有してもよい。本発明の第1端点および第2端点は、ライナーに含まれてよい。本発明の視線検出装置が適用されるヘルメットは、シェルと、ユーザーの頭部を囲むヘッドバンドと、ヘッドバンドに連結されてユーザーの頭頂部に接触するサスペンションバンドとを有してもよい。この場合、本発明の第1端点は、ヘッドバンドに含まれる。ヘッドバンドは、汗を吸収するパッドを含んでもよい。シェルとヘッドバンドとサスペンションバンドとを有するヘルメットは、ライナーを有してもよく、有さなくてもよい。ライナーが設けられる場合、ヘッドバンドは複数個所においてライナーまたはシェルに固定され、サスペンションバンドとライナーとの間に隙間が形成される。ライナーが設けられない場合、ヘッドバンドは複数個所においてシェルに固定され、サスペンションバンドとシェルとの間に隙間が形成される。
【0104】
≪ヘルメットの変更例3≫
本発明の視線検出装置は、シールドを有さないヘルメットに適用されてもよい。本発明の視線検出装置は、シールドに加えて、インナーバイザーまたはアウターバイザーを有するヘルメットに適用されてもよい。インナーバイザーは、シールドの内側、つまり、シールドよりもユーザーの眼に近い位置に配置される。アウターバイザーは、シールドの外側、つまり、シールドよりもユーザーの眼から離れた位置に配置される。視線検出装置が光源として赤外線照射装置を有する場合、インナーバイザーまたはアウターバイザーは赤外線を遮断する機能を有していてもよい。例えば、インナーバイザーまたはアウターバイザーに、赤外線遮断フィルムが設けられてもよい。赤外線遮断フィルムを設ける方法は第3実施形態で述べた通りである。
【0105】
≪視線検出装置のレンズに関する変更例≫
本発明の視線検出装置は、ヘルメットを装着したユーザーの視線が通過するレンズを有してもよい。レンズは眼ごとに設けられてもよい。つまり、両眼に対して2つのレンズが設けられてもよい。また、両眼に対して1つのレンズが設けられてもよい。レンズは、ヘルメット支持部に支持される。第3実施形態の視線検出装置はレンズを有さない。第3実施形態の視線検出装置がレンズを有する場合、レンズは、例えば、
図5の2つのフレーム15a、15bに1つずつ配置されていてもよい。レンズは、ヘルメット支持部に固定されてもよい。レンズは、ヘルメット支持部に着脱自在に支持されてもよい。それにより、視線検出装置を使用するユーザーUごとに、レンズの有無を変更したり、レンズの種類を変更したりすることができる。それにより、視線検出装置の汎用性が向上する。
【0106】
レンズは、例えば、眼科用レンズ(度付きレンズ)であってもよい。この場合、ユーザーは、視力を補うための眼鏡を装着することなく、視線検出装置を使用することができる。
レンズは、例えば、太陽光から眼を保護するための保護レンズであってもよい。この場合、ユーザーは、サングラスを装着することなく、視線検出装置を使用できる。
【0107】
視線検出装置が光源として赤外線照射装置を有する場合、レンズは赤外線を遮断する機能を有していてもよい。例えば、レンズに赤外線遮断フィルムが設けられてもよい。赤外線遮断フィルムを設ける方法は第3実施形態で述べた通りである。
【0108】
≪視線検出装置が有する機能の変更例≫
本発明の視線検出装置で検出または生成されたデータを出力する手段は、無線通信に限らない。本発明の視線検出装置は、外部記憶装置が接続されるインターフェース部を有し、無線通信装置を有さなくてもよい。本発明の視線検出装置は、外部記憶装置が接続されるインターフェース部と、無線通信装置の両方を有してもよい。
【0109】
本発明の視線検出装置は、ヘルメット支持部に支持されたシーン撮像装置を有さなくてもよい。シーン撮像装置は、例えば、ユーザーUが装着するヘルメットに設けられてもよい。本発明の視線検出装置は、ヘルメット支持部に支持された位置検出装置を有さなくてもよい。位置検出装置は、例えば、ユーザーUが装着するヘルメットに設けられてもよい。
【0110】
第3実施形態のヘルメット支持部10は、第1右眼撮像装置2a1および第1左眼撮像装置2b1によって撮像された両眼の画像の解析処理を行うプロセッサ7を支持する。しかし、本発明の視線検出装置は、ヘルメット支持部によって支持されない、第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置によって撮像された両眼の画像の解析処理を行うプロセッサを含んでもよい。もしくは、本発明の視線検出装置は、第1右眼撮像装置および第1左眼撮像装置によって撮像された両眼の画像の解析処理を行うプロセッサを含まなくてもよい。
【0111】
≪視線検出装置の使用状況の変更例≫
本発明の視線検出装置は、例えば仮想現実(VR)や拡張現実(AR)などの画像である仮想画像を生成する仮想画像生成装置と組み合わせて使用されなくてよい。本発明の視線検出装置は、仮想画像を生成する仮想画像生成装置と組み合わせて使用されてもよい。
【0112】
なお、本明細書中の第1右眼撮像装置は、本願の基礎出願であるPCT/JP2020/019862の明細書中の右眼撮像部に含まれる。本明細書中の第1左眼撮像装置は、同出願の明細書中の左眼撮像部に含まれる。本明細書中の第1右眼撮像装置2a1は、同出願の明細書中の眼撮像装置2に相当する。本明細書中の第2右眼撮像装置2b1は、同出願の明細書中の眼撮像装置2に相当する。本明細書中の第1左眼撮像装置2b1は、同出願の明細書中の眼撮像装置2に相当する。本明細書中の第2左眼撮像装置2b2は、同出願の明細書中の眼撮像装置2に相当する。本明細書中の移動抑制部は、同出願の明細書中の移動抑制部に含まれる。本明細書中の移動抑制部16a、16bは、同出願の明細書中の移動抑制部材16a、16bに相当する。
【符号の説明】
【0113】
1 視線検出装置
2a1 第1右眼撮像装置
2a2 第2右眼撮像装置
2b1 第1左眼撮像装置
2b2 第2左眼撮像装置
3 光源
10 ヘルメット支持部
11a 差し込み部
16 移動抑制部
100 ヘルメット
101 シェル
102 ライナー
U ユーザー