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特開2024-28728臭気抑制吸収性材料および吸収性物品ならびに関連する使用の方法および作製の方法
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  • 特開-臭気抑制吸収性材料および吸収性物品ならびに関連する使用の方法および作製の方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028728
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】臭気抑制吸収性材料および吸収性物品ならびに関連する使用の方法および作製の方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20240227BHJP
   B01J 20/22 20060101ALI20240227BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20240227BHJP
   A61L 15/28 20060101ALI20240227BHJP
   A61L 15/20 20060101ALI20240227BHJP
   A61L 15/46 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A61F13/15 320
B01J20/22 B
A61F13/15 141
A61F13/53 300
A61L15/28 200
A61L15/20 200
A61L15/46 200
【審査請求】有
【請求項の数】67
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023197469
(22)【出願日】2023-11-21
(62)【分割の表示】P 2020565932の分割
【原出願日】2018-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】504293447
【氏名又は名称】インターナショナル・ペーパー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】スクールフィールド,メアリー・バージニア
(72)【発明者】
【氏名】ウエスト,ヒュー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】液体を吸収し、かつTMAを封鎖して、それによってTMA悪臭を低減する、吸収性製品を提供する。
【解決手段】トリメチルアミン(TMA)を封鎖するように構成された吸収性材料、吸収性材料から作製された吸収性物品、関連する使用の方法、遊離TMAの低減を測定する方法、および関連する吸収性物品を作製する方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離トリメチルアミン(「TMA」)を低減する方法であって、TMA分子を、セルロース繊維マトリックスおよびセルロース繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含む吸収性材料と接触させることを含み、遊離TMAの低減は対照との比較である、方法。
【請求項2】
TMA分子が液体中にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
TMA分子が月経液中にある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
TMA分子が食肉流体中にある、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
TMA分子が気体中にある、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
対照が空の対照である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
対照が吸収性材料の対照である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
セルロース繊維マトリックスが、セルロースパルプ構造を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
セルロース繊維マトリックスが、セルロース繊維およびセルロースに基づく繊維からなる群から選択される繊維を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
セルロースに基づく繊維が、ビスコース繊維、モダール繊維、リヨセル繊維、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
カルボン酸が、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、コハク酸、ギ酸、ピルビン酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、グリコール酸、それらの塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
カルボン酸が、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、コハク酸、ギ酸、ピルビン酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、グリコール酸、それらの塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
カルボン酸が、クエン酸またはその塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
吸収性材料が、約0.01重量%~約10重量%の間のカルボン酸含有量を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
吸収性材料が0.01重量%のクエン酸を含み、TMAが約0.034重量%の溶液中に導入され、かつ、対照が、いずれの添加カルボン酸も実質的に含まない南部漂白針葉樹クラフトフラッフパルプからなる同量の吸収性材料である場合、セルロース繊維マトリックスが、約0.5Lのヘッドスペースにおいて遊離TMAを少なくとも約95ppm低減することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
遊離TMAの低減が、
容器に配置された吸収性材料を、ある量のTMAと接触させること;
容器の気体ヘッドスペースの一部を抜き取ること;
気体ヘッドスペースの抜き取られた一部における遊離TMAの量を測定すること;およ

気体ヘッドスペースにおける遊離TMAの低減を、対照に比較して決定すること
を含むプロセスによって測定される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
吸収性材料が0.01重量%のクエン酸を含み、TMAが約0.027重量%の溶液中に導入され、かつ、対照が、いずれの添加カルボン酸も実質的に含まない南部漂白針葉樹クラフトフラッフパルプからなる同量の吸収性材料である場合、セルロース繊維マトリックスが、約0.5Lのヘッドスペースにおいて、遊離TMAを少なくとも約99%低減することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
吸収性材料が0.01重量%のクエン酸を含み、TMAが約0.05重量%の溶液中に導入され、かつ、対照が、いずれの添加カルボン酸も実質的に含まない南部漂白針葉樹クラフトフラッフパルプからなる同量の吸収性材料である場合、セルロース繊維マトリックスが、約0.5Lのヘッドスペースにおいて、遊離TMAを少なくとも約50%低減することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
遊離TMAの低減が、
容器に配置された吸収性材料を、ある量のTMAと接触させること;
容器の気体ヘッドスペースの一部を抜き取ること;
気体ヘッドスペースの抜き取られた一部における遊離TMAの量を測定すること;および
気体ヘッドスペースにおける遊離TMAの低減を、対照に比較して決定すること
を含むプロセスによって測定される、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
TMA分子を封鎖する方法であって、TMA分子を、セルロース繊維マトリックスおよびセルロース繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含む吸収性材料と接触させることを含む、方法。
【請求項21】
TMA分子が液体中にある、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
TMA分子が月経液中にある、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
TMA分子が食肉流体中にある、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
TMA分子が気体中にある、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
セルロース繊維マトリックスが、セルロースパルプ構造を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
セルロース繊維マトリックスが、セルロース繊維およびセルロースに基づく繊維からなる群から選択される繊維を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
セルロースに基づく繊維が、ビスコース繊維、モダール繊維、リヨセル繊維、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
カルボン酸が、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、コハク酸、ギ酸、ピルビン酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、グリコール酸、それらの塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
カルボン酸が、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、コハク酸、ギ酸、ピ
ルビン酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、グリコール酸、それらの塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
カルボン酸が、クエン酸またはその塩である、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
吸収性材料が、約0.01重量%~約10重量%の間のカルボン酸含有量を含む、請求項20から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
吸収性材料が0.45重量%のクエン酸を含み、かつ、TMA分子が約0.05重量%の溶液中に導入される場合、平衡状態で約0.5Lのヘッドスペースが、約50ppm未満の遊離TMAを含有するように、セルロース繊維マトリックスがTMA分子を封鎖することができる、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
吸収性材料が0.45重量%のクエン酸を含み、かつ、TMA分子が約0.034重量%の溶液中に導入される場合、平衡状態で約0.5Lのヘッドスペースが、約10ppm未満の遊離TMAを含有するように、セルロース繊維マトリックスがTMA分子を封鎖することができる、請求項20に記載の方法。
【請求項34】
吸収性材料が0.45重量%のクエン酸を含み、かつ、TMA分子が約0.027重量%の溶液中に導入される場合、平衡状態で約0.5Lのヘッドスペースが、約5ppm未満の遊離TMAを含有するように、セルロース繊維マトリックスがTMA分子を封鎖することができる、請求項20に記載の方法。
【請求項35】
遊離TMAの量が、
容器に配置された吸収性材料を、溶液中のある量のTMAと接触させること;
容器の気体ヘッドスペースの一部を抜き取ること;および
気体ヘッドスペースの抜き取られた一部における遊離TMAの量を測定すること
を含むプロセスよって測定される、請求項32から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
吸収性材料を含む吸収性物品であって、吸収性材料は繊維マトリックスおよび繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含み、繊維マトリックスはセルロース繊維およびセルロースに基づく繊維からなる群から選択される繊維を含み、かつ、吸収性物品は女性用衛生用品または食肉パッケージングパッドである、吸収性物品。
【請求項37】
吸収性材料が、カルボン酸に連結された有機シリコーンポリマーバインダーを含まず、かつ、吸収性材料が無機過酸化物を含まない、請求項36に記載の吸収性物品。
【請求項38】
セルロースに基づく繊維が、ビスコース繊維、モダール繊維、リヨセル繊維、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項36に記載の吸収性物品。
【請求項39】
流体透過性上面シート、および
流体不透過性裏面シート
をさらに含み、吸収性材料は流体透過性上面シートと流体不透過性裏面シートの間に配置される、請求項36に記載の吸収性物品。
【請求項40】
流体透過性上面シート、および
流体不透過性裏面シート
をさらに含み、吸収性材料が流体透過性上面シート内に配置される、請求項36に記載の吸収性物品。
【請求項41】
吸収性材料が、吸収性物品の吸収性コアの少なくとも一部を形成する、請求項36から40のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項42】
超吸収性ポリマーをさらに含む、請求項36から41のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項43】
カルボン酸がポリカルボン酸である、請求項36から42のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項44】
ポリカルボン酸が、部分的にまたは完全に中和された塩である、請求項43に記載の吸収性物品。
【請求項45】
カルボン酸が、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、コハク酸、ギ酸、ピルビン酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、グリコール酸、それらの塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項36から42のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項46】
カルボン酸が、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、コハク酸、ギ酸、ピルビン酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、グリコール酸、それらの塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項36から42のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項47】
カルボン酸が、クエン酸またはその塩である、請求項36から42のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項48】
吸収性材料が、約0.01重量%~約10重量%の間のカルボン酸含有量を含む、請求項36から47のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項49】
吸収性物品が、女性用衛生用品であり、女性用衛生用品が、パンティーライナー、生理用ナプキン、産後吸収性パッド、軽失禁パッド、陰唇間パッド、タンポン、および使い捨て月経保護下着からなる群から選択される、請求項36から48のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項50】
女性用衛生用品が外部的に着用されるように構成される、請求項49に記載の女性用衛生用品。
【請求項51】
女性用衛生用品が内部的に着用されるようには構成されない、請求項49に記載の女性用衛生用品。
【請求項52】
吸収性物品が食肉パッケージングパッドであり、かつ、食肉パッケージングパッドが魚肉パッケージングパッドである、請求項36から48のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項53】
吸収性材料によって封鎖された遊離TMAの低減を測定する方法であって、
容器に配置された吸収性材料を、任意の量のTMAと接触させること;
容器の気体ヘッドスペースの一部を抜き取ること;
気体ヘッドスペースの抜き取られた一部における遊離TMAの量を測定すること;および
気体ヘッドスペースにおける遊離TMAの低減を、対照に比較して決定すること
を含む、方法。
【請求項54】
吸収性材料が、繊維マトリックスおよび繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
ヘッドスペースの一部が、遊離TMAが平衡に到達した後に抜き取られる、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
対照が空の対照である、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
対照が吸収性材料の対照である、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
気体ヘッドスペースの抜き取られた一部における遊離TMAの量を測定することが、
気体ヘッドスペースの抜き取られた一部を、TMAと接触した時に色を変化させる比色分析マーカーを装填した固定相上を通過させること;および
気体ヘッドスペースの抜き取られた一部が固定相上を通過するのに応じた、固定相における変色の量を測定すること
を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
吸収性物品を作製する方法であって、
繊維マトリックスおよび繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含む吸収性材料を調製すること;および
流体透過性上面シートおよび流体不透過性裏面シートを吸収性材料に連結すること
を含む、方法。
【請求項60】
吸収性材料が、流体透過性上面シートと流体不透過性裏面シートの間に配置される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
吸収性材料が、流体透過性上面シート内に配置される、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
吸収性物品が、女性用衛生用品である、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
女性用衛生用品が、パンティーライナー、生理用ナプキン、産後吸収性パッド、軽失禁パッド、陰唇間パッド、および使い捨て月経保護下着からなる群から選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
女性用衛生用品が、外部的に着用されるように構成される、請求項62または63に記載の方法。
【請求項65】
女性用衛生用品が、内部的に着用されるようには構成されない、請求項62から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
吸収性物品が、食肉パッケージングパッドである、請求項59に記載の方法。
【請求項67】
吸収性物品が、請求項36から52のいずれか一項に記載の吸収性物品である、請求項59に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
トリメチルアミン(TMA)は、低濃度でさえ強い魚肉臭を有する化学物質であり、細菌性膣炎の徴候である魚肉臭の原因である。
月経中および月経後、膣環境のpH増加は一般的である。膣のpHは通常4~4.5であるが、月経中に膣のpHは6.6まで増加する可能性がある。pHのこの増加は、嫌気性細菌の異常増殖を助長する恐れがあり、膣のよりアルカリ性環境から放出されるTMAの量の増加を時にもたらす。
【0002】
女性衛生用品、例えば、生理用ナプキンは、月経液、出血、および尿失禁漏れを吸収するために一般に使用される製品である。これらの製品は、悪臭を放ち得る流体(例えば、TMAを含むもの)を吸収し、最低限の空気流量で身体の近くに保持され、数時間着用されるので、悪臭がこれらの製品に濃縮される恐れがある。このため、TMAは、女性用衛生用品にとって、臭気抑制という点で関心の高い化学物質である。
【0003】
現在、臭気抑制を促進する吸収性衛生用品は、香料、抗菌特性、活性炭、または「臭気ロック」技術を使用してそうしている。しかしながら、従来の吸収性衛生用品は、TMAと関連する悪臭に、例えば、TMAの封鎖によって、特に対処しようとしていない。
【0004】
TMAは、食肉製品、特に魚肉製品にも関連する。細菌および魚肉酵素は、魚肉に存在するTMA酸化物をTMAに変換する。食肉パッケージングに含まれる吸収性パッドは、肉汁および食肉製品に関連する他の液体を吸収する。しかしながら、食肉パッケージング用の従来の吸収性パッドは、特に食肉製品に関連したTMAを封鎖したり、さもなければTMA悪臭を低減したりしない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、液体を吸収し、かつTMAを封鎖して、それによってTMA悪臭を低減する、吸収性製品への長年にわたるニーズが存在する。本開示は、これらのニーズを満たし、さらなる関連する利点を提供することを求めている。
【0006】
この発明の概要は、発明を実施するための形態において以下でさらに記述されている概念の抜粋を導入するために、簡略化された形態で提供される。この発明の概要は、特許請求された主題の重要な特徴を特定する意図ではなく、特許請求された主題の範囲を決定する支援として使用される意図でもない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、本開示は、トリメチルアミン(「TMA」)分子を、セルロース繊維マトリックスおよびセルロース繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含む吸収性材料と接触させることを含む、遊離TMAを低減する方法を提供し、ここで、遊離TMAの低減は対照との比較である。
【0008】
別の態様では、本開示は、TMA分子を、セルロース繊維マトリックスおよびセルロース繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含む吸収性材料と接触させることを含む、TMA分子を封鎖する方法を提供する。
【0009】
さらに別の態様では、本開示は、吸収性材料を含む吸収性物品を提供し、ここで、吸収
性材料は、繊維マトリックスおよび繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含み、繊維マトリックスは、セルロース繊維およびセルロースの戻づく繊維からなる群から選択される繊維を含み、吸収性物品は、女性用衛生用品または食肉パッケージングパッドである。
【0010】
別の態様では、本開示は、容器に配置された吸収性材料を、ある量のTMAと接触させることと;容器の気体ヘッドスペースの一部を抜き取ることと;気体ヘッドスペースの抜き取られた一部における遊離TMAの量を測定することと;気体ヘッドスペースにおける遊離TMAの低減を、対照に比較して決定することと、を含む、吸収性材料によって封鎖された遊離TMAの低減を測定する方法を提供する。
【0011】
さらに別の態様では、本開示は、繊維マトリックスおよび繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含む吸収性材料を調製することと;流体透過性上面シートおよび流体不透過性裏面シートを吸収性材料に連結することと、を含む、吸収性物品を作製する方法を提供する。
【0012】
前述の態様および特許請求された主題の付随する利点の多くは、添付の図と併せて考慮した場合、以下の発明を実施するための形態を参照することによって、同じものがより良好に理解されるので、より容易に認識されるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】それぞれ異なる濃度のTMA溶液で侵入された、本開示の実施形態による吸収性材料および対照を保持する容器の気体ヘッドスペースにおける、トリメチルアミン(TMA)レベルをグラフを使って説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
トリメチルアミン(TMA)を封鎖するように構成された吸収性材料、それから作製された吸収性物品、関連する使用の方法、遊離TMAを測定する方法、遊離TMAの低減を対照に比較して測定する方法、および関連する吸収性物品を作製する方法が本明細書で記述される。
【0015】
以下で説明される詳細な記述は、添付の図と関連して、開示される主題の様々な実施形態の記述として意図しており、実施形態のみを表す意図ではない。本開示に記述される各実施形態は、単に実施例または例証として提供され、他の実施形態に対して好ましいまたは有利であると解釈すべきではない。本明細書で提供される例示的実施例は、網羅的であったり、または特許請求された主題を開示された正確な形態に制限したりすることを意図していない。
【0016】
以下の記述では、本開示の1つまたは複数の実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が説明される。しかしながら、具体的な詳細のいくつかまたはすべてがなくとも、本開示の多くの実施形態が実施され得ることは当業者に明白であろう。いくつかの事例では、本開示の様々な態様を不必要に曖昧にしないために、周知の方法・工程は詳細に記述されていない。さらに、本開示の実施形態が、本明細書で記述される特徴のいかなる組合せを用いてもよいことが認識されるであろう。
吸収性材料
一態様では、本開示は、TMAを封鎖するように構成された吸収性材料を提供する。本明細書で使用する場合、「封鎖」とは、TMAを吸収、吸着、低減、結合、中和、および/または除去することを意味する。この点で、本明細書で記述される吸収性材料は、TMAの封鎖によって、例えば、吸収性材料と接する気相および液相から、TMAを除去するように構成される。本明細書でさらに考察されるように、こうした封鎖は、気相および液
相中の遊離TMAのレベルを低減する。
【0017】
一実施形態では、本明細書で記述される吸収性材料は、繊維マトリックスおよび繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含む。本明細書でさらに記述されるように、多くのカルボン酸は水溶性であり、したがって、繊維マトリックスにカルボン酸を連結するために、水性処理または他の溶液系処理を適用することができる。ある種の従来の吸収性材料は、臭気抑制のために、非カルボン酸組成物の粉末、例えば、活性化木炭および活性炭を使用する。実際には、こうした粉末の臭気抑制成分は、凝集する傾向があり、しばしば可燃性であり、汚染および吸入の危険性の原因となる空中浮遊性になり得る。
【0018】
さらに、多くのカルボン酸は、容易に入手可能かつ安価であり、それらを吸収性材料を含む製品に入れることを好適にする。そのうえ、多くのカルボン酸は無色でもあり、したがって、例えば、吸収性材料の繊維マトリックスの色を変更することなく、吸収性材料中に含まれ得る。これは、暗色を有するある種の従来の臭気抑制成分、例えば、いくつかの従来の吸収性物品に使用され、吸収性物品の色を暗くする活性化木炭および活性炭と、対照的である。
【0019】
一実施形態では、カルボン酸はポリカルボン酸である。一実施形態では、ポリカルボン酸は、部分的にまたは完全に中和された塩である。理論に拘束されるものではなく、図1および実施例1に関して本明細書でさらに考察されるように、カルボン酸のカルボン酸基はTMAの封鎖の助けになると考えられる。したがって、ポリカルボン酸はカルボン酸分子当たり2つまたはそれ以上のカルボン酸基を有するので、各ポリカルボン酸分子は、例えばモノカルボン酸より多くのTMA分子を封鎖する助けになるように構成されると考えられる。
【0020】
一実施形態では、カルボン酸は、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、コハク酸、ギ酸、ピルビン酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、グリコール酸、それらの塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される。さらに別の一実施形態では、カルボン酸は、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、コハク酸、ギ酸、ピルビン酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、グリコール酸、それらの塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される。別の実施形態では、カルボン酸は、クエン酸、乳酸、それらの塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、カルボン酸はクエン酸またはその塩である。
【0021】
一実施形態では、カルボン酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、他の金属塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される、カルボン酸塩が挙げられる。
【0022】
一実施形態では、吸収性材料は、約0.01wt%~約10wt%(本明細書では、重量%とも記載される)の間のカルボン酸含有量を含む。一実施形態では、吸収性材料は、約0.05重量%~約5重量%の間のカルボン酸含有量を含む。一実施形態では、吸収性材料は、約0.1重量%~約1重量%の間のカルボン酸含有量を含む。一実施形態では、吸収性材料は、約0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、または0.09重量%のカルボン酸含有量を含む。一実施形態では、吸収性材料は、約0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、または0.9重量%のカルボン酸含有量を含む。一実施形態では、吸収性材料は、約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、または9重量%のカルボン酸含有量を含む。
【0023】
さらに、本明細書で記述される吸収性材料および吸収性物品はTMAを封鎖するので、TMA悪臭を覆う成分(例えば、香料)はTMA悪臭を低減するために必要ではない。したがって、一実施形態では、本明細書で記述される吸収性材料は香料を含まない。こうした香料を含まない吸収性材料は、例えば、香料への敏感さもしくはアレルギーを有する、または香料を含む製品を使用しないことを好む使用者にとって、有利であり得る。本明細書で記述される吸収性材料および吸収性物品は、悪臭を有する他の塩基性分子と反応しかつ封鎖することができることも、留意すべきである。
【0024】
一実施形態では、繊維マトリックスはセルロースパルプ構造を含む。一実施形態では、セルロースパルプ構造は、セルロース繊維、セルロースに基づく繊維、またはそれらの組合せのマトリックス、および繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含む。一実施形態では、セルロースに基づく繊維は、ビスコース繊維、モダール繊維、リヨセル繊維、およびそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、繊維マトリックスはフラッフパルプを含む。一実施形態では、繊維マトリックスは、南部漂白針葉樹クラフトパルプを含む。
【0025】
一実施形態では、繊維マトリックスは合成繊維を含む。一実施形態では、繊維マトリックスは不織合成繊維を含む。一実施形態では、繊維マトリックスは、合成繊維と天然繊維の混合物を含む。
【0026】
本明細書でさらに考察するように、本明細書で記述される吸収性材料は、繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含む。一実施形態では、カルボン酸は、カルボン酸と繊維マトリックスの間に、例えば、バインダー、リンカー、または他の中間の組成物または分子なしで、直接繊維マトリックスに連結される。一実施形態では、繊維マトリックスに連結されたカルボン酸は、繊維マトリックスへ共有結合的に結合したカルボン酸を含む。一実施形態では、繊維マトリックスに連結されたカルボン酸は、繊維マトリックスへ非共有結合的に結合したカルボン酸を含む。こうした非共有結合の連結は、例えば、水素結合、ファンデルワールス力、イオン結合、およびそれらの組合せによって起こり得る。
【0027】
一実施形態では、本明細書で記述される吸収性材料は、カルボン酸に連結され、カルボン酸を繊維マトリックスに結合するバインダー、例えば、有機シリコーンポリマーバインダーを含まない。理論に拘束されるものではないが、カルボン酸は、ある実施形態では、バインダーを必要とせず、繊維マトリックスそのものと直接連結するように構成されると考えられる。例えば、ある実施形態では、繊維マトリックスは、バインダー、例えば、有機シリコーンポリマーバインダーなしでカルボン酸と連結する水酸基を含む、天然繊維である。
【0028】
この点で、繊維マトリックスに直接連結したカルボン酸を含む吸収性材料およびそれから作製された吸収性物品は、吸収性材料または吸収性物品から漏れる恐れのある、例えば、粉末(例えば、活性化木炭または活性炭)を収容するために、ポーチまたは他の密閉容器も必要としない。
【0029】
一実施形態では、カルボン酸は、固体形態、例えば、粉末形態または顆粒状形態で、繊維マトリックスに塗布される。一実施形態では、固体のカルボン酸は、繊維マトリックスに接着剤で連結される。一実施形態では、接着剤は物理的接着剤である。一実施形態では、接着剤は化学的接着剤である。
【0030】
一実施形態では、固体カルボン酸は、典型的には約20重量%~約25重量%の水である、繊維飽和点(fiber saturation point:「FSP」)以上の含水量を有する繊維マトリックスに塗布される。理論に拘束されるものではないが、ある実施形態では、固体カル
ボン酸は、濡れた繊維マトリックスと接触した場合、少なくとも部分的に溶解し、濡れた繊維マトリックスに連結すると考えられる。したがって、この実施形態における繊維マトリックスにとって、約20重量%~約99.9重量%の水の含水量は、固体カルボン酸を少なくとも部分的に溶解するには十分である。
【0031】
一実施形態では、本明細書で記述される吸収性材料は、無機過酸化物を含まないかまたは実質的に含まない(この場合、「無機過酸化物を実質的に含まない」とは、公知の検出方法によって限定されるので、0wt%~1wt%の間の無機過酸化物の量を意味することが理解されるであろう)。
【0032】
TMA封鎖作用は、公知の方法(例えば、米国特許第8,007,635号を参照されたく、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)によって製造され得る、酸化セルロース繊維を利用することによっても、観察され得る。
【0033】
上記のように、本開示の吸収性材料は、TMAを封鎖するように構成される。一実施形態では、本開示の吸収性材料は、25℃の平衡状態で(この場合、「平衡」とは、試験装置の気体ヘッドスペースに入ったTMAが、定常状態に到達する時点を意味すると理解すべきである)、吸収性材料約1g当たり約6.15409×10-5g以上のTMAを封鎖するように構成され、ここで、吸収性材料は、本明細書で提供される群のうちの1つから選択されるカルボン酸で、0.01重量%処理されている。一実施形態では、吸収性材料は、25℃の平衡状態で、吸収性材料約1g当たり約6.15409×10-5g以上のTMAを封鎖するように構成され、ここで、吸収性材料は、クエン酸で0.01重量%処理されている。
【0034】
本開示の方法に関して本明細書でさらに考察されるように、一実施形態では、本明細書で記述される吸収性材料によって封鎖されたTMAの量は、吸収性材料を保持する閉じた容器の気体ヘッドスペースにおけるTMAの量およびTMAの初期量を測定することによって決定される。一実施形態では、吸収性材料によるTMAの封鎖の際の遊離TMAの量の決定は、閉じた容器に配置された既知の量の吸収性材料を、初期の既知の量のTMAと接触させることと;吸収性材料を初期量のTMAに曝露させ、気体ヘッドスペース内で平衡に到達させた後に、閉じた容器から気体ヘッドスペースの一部を抜き取ることと;気体ヘッドスペースの抜き取られた一部におけるTMAの気体濃度を(例えば、ppmで)測定することと、を含む。
【0035】
一実施形態では、気体ヘッドスペースは、1L未満の容積を有する。一実施形態では、気体ヘッドスペースは、約0.5Lの容積を有する。一実施形態では、容器は可撓性容器である。
【0036】
本明細書でさらに考察されるように、一実施形態では、吸収性材料によって封鎖されたTMAの量は、対照の吸収性材料、例えば、実施例1に関して本明細書でさらに考察されるように、繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含まない対照の吸収性材料に比較して測定される、または、対照試料は吸収性材料を含まない容器(すなわち、空の対照)を用いて実施され得る。
【0037】
一実施形態では、本明細書で記述される吸収性材料は、吸収性材料と接する溶液からTMAを封鎖し、かつ吸収性材料と接する気相からTMAを封鎖するように構成される。この点で、吸収性材料は、気体状TMAおよび溶解したまたは液体TMAの両方を封鎖することによって、TMA悪臭を除去するまたは低減するように構成される。
【0038】
本明細書でさらに考察されるように、本開示の吸収性材料は、TMAを封鎖するように
構成される。一実施形態では、TMA封鎖の能力を定量することによって、試験装置(以下で詳細に記述)の気体ヘッドスペース内の遊離TMAの気体濃度を、対照(適切な対照の考察に関しては上記参照)に比較して50%低減するように、吸収性材料は構成される。一実施形態では、吸収性材料は、気体ヘッドスペースに入る(さもなければ、入るであろう)遊離TMAの量を、対照に比較して75%低減するように構成される。一実施形態では、吸収性材料は、気体ヘッドスペースに入る(さもなければ、入るであろう)遊離TMAの量を、対照に比較して85%低減するように構成される。一実施形態では、吸収性材料は、気体ヘッドスペースに入る(さもなければ、入るであろう)遊離TMAの量を、対照に比較して90%低減するように構成される。一実施形態では、吸収性材料は、気体ヘッドスペースに入る(さもなければ、入るであろう)遊離TMAの量を、対照に比較して95%低減するように構成される。一実施形態では、吸収性材料は、気体ヘッドスペースに入る(さもなければ、入るであろう)遊離TMAの量を、対照に比較して99%低減するように構成される。一実施形態では、吸収性材料は、気体ヘッドスペースに入る(さもなければ、入るであろう)遊離TMAの量を、対照に比較して実質的に100%低減するように構成される(この場合、「実質的に100%」とは、本明細書で記述される検出方法によって限定されるので、99%~100%の間の量を意味すると理解すべきである)。
【0039】
本明細書でさらに考察されるように、一実施形態では、吸収性材料のセルロース繊維マトリックスは、TMAの封鎖によって、気体ヘッドスペースから遊離TMAを低減することができる。一実施形態では、吸収性材料が0.45重量%のクエン酸を含み、TMAが約0.034重量%の溶液中に導入され、かつ、対照が、いずれの添加カルボン酸も実質的に含まない南部漂白針葉樹クラフトフラッフパルプからなる同量の吸収性材料である場合、吸収性材料のセルロース繊維マトリックスは、約0.5Lの気体ヘッドスペースにおいて、遊離TMAを少なくとも約95ppm低減することができる。この場合、「同量」とは、公知の検出方法によって限定されるので、吸収性材料の質量の95%~105%の間の質量を有する、対照フラッフパルプの量を意味すると理解すべきである。
【0040】
一実施形態では、吸収性材料が0.45重量%のクエン酸を含み、TMAが約0.027重量%の溶液中に導入され、かつ、対照が、いずれの添加カルボン酸も実質的に含まない南部漂白針葉樹クラフトフラッフパルプからなる同量の吸収性材料である場合、セルロース繊維マトリックスは、約0.5Lの気体ヘッドスペースにおいて、遊離TMAを少なくとも約99%低減することができる。一実施形態では、吸収性材料が0.45重量%のクエン酸を含み、TMAが約0.05重量%の溶液中に導入され、かつ、対照が、いずれの添加カルボン酸も実質的に含まない南部漂白針葉樹クラフトフラッフパルプからなる同量の吸収性材料である場合、セルロース繊維マトリックスは、約0.5Lの気体ヘッドスペースにおいて、遊離TMAを少なくとも約50%低減することができる。
【0041】
遊離TMAの量を低減する方法に関して本明細書でさらに考察されるように、一実施形態では、本開示の吸収性材料によって封鎖された遊離TMAの低減の測定は、容器に配置された吸収性材料を、ある量のTMAと接触させることと;容器の気体ヘッドスペースの一部を抜き取ることと;気体ヘッドスペースの抜き取られた一部における遊離TMAの量を測定することと;気体ヘッドスペースにおける遊離TMAの低減を、対照に比較して決定することと、を含む。
【0042】
一実施形態では、本明細書で記述される吸収性材料は、活性化木炭、活性炭、香料、ゼオライト、およびそれらの組合せからなる群から選択される添加物を、場合によりさらに含んでもよい。本開示の吸収性材料は、こうした添加物なしでTMAを封鎖するように構成されている一方で、ある実施形態では、吸収性材料は、例えば、非選択的にある種の他の悪臭を吸収もしくは覆うように、または吸収性材料の他のTMA悪臭抑制成分を補うよ
うに構成された、これらに限定はされないが、活性化木炭、活性炭、ゼオライト、または香料を含む材料をさらに含む。
【0043】
一実施形態では、吸収性材料は、流体の吸収を助けるために、超吸収性ポリマーをさらに含む。
吸収性物品
別の態様では、本開示は、本開示の吸収性材料を含む吸収性物品を提供する。本明細書でさらに考察されるように、女性用衛生用品および食肉パッケージング製品における、特にTMA悪臭に関連した、臭気の抑制および防止が関心事である。本開示の吸収性材料は、TMAを封鎖するように構成されているので、それらは、女性用衛生用品および食肉パッケージング製品における用途に特に好適である。
【0044】
したがって、一実施形態では、吸収性物品は、繊維マトリックスおよび繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含む。一実施形態では、繊維マトリックスは、セルロース繊維、セルロースに基づく繊維、およびそれらの組合せからなる群から選択される繊維を含む。
【0045】
一実施形態では、吸収性物品は、流体透過性上面シートを含む。流体透過性上面シートは、例えば、着用者から液体を吸収性材料に移動させるように構成された、高度流体透過性材料を含む。一実施形態では、流体透過性上面シートは、親水性織布、親水性不織布、エアレイドシート、湿式シート、開口を含む膜、連続気泡フォーム、および詰綿(batting)からなる群から選択される材料を含む。
【0046】
一実施形態では、吸収性物品は、流体不透過性裏面シートを含む。流体不透過性裏面シートは、液体が、吸収性材料から流体不透過性シートを通って、例えば着用者の衣類に移動することを防ぐように構成される。
【0047】
一実施形態では、吸収性材料は、吸収性物品の吸収性コアの少なくとも一部を形成する。一実施形態では、吸収性材料は、流体透過性上面シートと流体不透過性裏面シートの間に配置される。一実施形態では、流体透過性上面シートおよび流体不透過性裏面シートは、吸収性材料を囲んで好適に密封される。一実施形態では、吸収性材料は流体透過性上面シート内に配置される。
【0048】
一実施形態では、吸収性物品は女性用衛生用品である。本明細書でさらに記述されるように、一実施形態では、本明細書で記述される吸収性材料は、繊維マトリックスおよび繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含む。この点で、理論に拘束されるものではないが、本明細書でさらに考察されるように、本開示の吸収性材料を含む吸収性物品は、膣液に関連するTMA悪臭を、少なくとも2つの方法で低減すると考えられる:(1)カルボン酸が、膣のpHを低減し、それによって嫌気性細菌の増殖を阻害する、および、(2)カルボン酸がTMA分子を封鎖し、それによって遊離TMAを低減する。
【0049】
一実施形態では、女性用衛生用品は、パンティーライナー、生理用ナプキン、産後吸収性パッド、軽失禁パッド、陰唇間パッド、使い捨て月経保護下着、およびタンポンからなる群から選択される。一実施形態では、女性用衛生用品は、パンティーライナー、生理用ナプキン、産後吸収性パッド、軽失禁パッド、陰唇間パッド、および使い捨て月経保護下着からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、本開示の吸収性物品は、タンポンの形態ではない。女性用衛生用品は、公知の方法(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,717,817号、およびその中で言及される特許を参照されたい)によって製造され得る。
【0050】
一実施形態では、女性用衛生用品は、外部的に着用されるように構成される。本明細書で使用する場合、外部的に着用されるように構成された女性用衛生用品は、膣の外部に着用されるように構成される。一実施形態では、女性用衛生用品は、内部的に着用されるようには構成されない。本明細書で使用する場合、内部的に着用されるように構成された女性用衛生用品は、少なくとも部分的に膣の内部に着用されるように構成された、女性用衛生用品である。
【0051】
一実施形態では、女性用衛生用品における吸収性材料は、繊維マトリックスおよび繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含む吸収性材料を含み、ここで、吸収性材料は、約0.01wt%~約10wt%の間のカルボン酸含有量を含む。
【0052】
一実施形態では、吸収性物品は、食肉パッケージングパッドである。食肉パッケージングパッドは、当該技術分野で公知のものを含んでもよく、公知の方法(例えば、米国特許第5,908,649号および米国特許第7,655,829号を参照されたく、それらの全体は参照により本明細書に組み込まれる)によって製造され得る。本明細書でさらに記述されるように、TMA悪臭は、食肉製品、例えば、魚肉製品から発散し、食肉パッケージング製品においてTMAを封鎖する必要がある。本明細書で記述される吸収性材料は、TMAを封鎖するように構成されるので、それらは、食肉パッケージング製品で使用するのに特に好適である。一実施形態では、食肉パッケージング製品は、食肉パッケージングパッドである。一実施形態では、食肉パッケージングパッドは、魚肉パッケージングパッドである。一実施形態では、本開示の吸収性材料を含む食肉パッケージングパッドは、肉汁、例えば、魚肉汁、および他の液体を吸収し、TMAを封鎖するように構成される。
【0053】
一実施形態では、食肉パッケージングパッドにおける吸収性材料は、繊維マトリックスおよび繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含み、ここで、吸収性材料は約0.01wt%~約10wt%の間のカルボン酸含有量を含む。一実施形態では、食肉パッケージングパッドは、流体の吸収を助けるために超吸収性ポリマーを含む。一実施形態では、超吸収性ポリマーは吸収性材料内に配置される。
遊離TMAを低減する方法
本明細書でさらに記述されるように、例えば、膣液または肉汁からのTMA分子、およびそれから生じるTMA悪臭は、本開示の吸収性材料または吸収性物品によるTMAの封鎖を通して、低減され得る。吸収性材料またはそれから作製された吸収性物品中へTMAを封鎖することによって、例えば、遊離TMAが人間の鼻によって臭いをかぐことができないレベルで存在する、または大幅に低減されたレベルで人間の鼻によって臭いをかぐことができるように、TMAが封鎖されない類似のシナリオに比較して、TMA悪臭は低減される。
【0054】
したがって、別の態様では、本開示は、遊離TMAを低減する方法を提供する。本明細書で使用する場合、「遊離TMA」は、気体ヘッドスペースにある、または気体ヘッドスペースに平衡化するであろう、測定され得るかつ/または人間の鼻によって臭いをかぐことができる量のTMAを意味する。遊離TMAは、例えば、吸収性材料または吸収性物品によって封鎖されるTMA分子とは対照的であり、したがって、測定または人間の鼻による検出に利用できない。
【0055】
一実施形態では、遊離TMAのレベルを低減する方法は、TMA分子を、セルロース繊維マトリックスおよびセルロース繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含む吸収性材料と接触させることを含む。一実施形態では、この方法はTMA分子を封鎖することをさらに含む。
【0056】
本明細書でさらに記述されるように、本開示の吸収性材料およびそれから作製された吸
収性物品は、液相および/または気相のいずれかまたは両方からTMAを封鎖するように構成される。したがって、一実施形態では、TMAを吸収性材料または吸収性物品と接触させることは、溶液相中のTMA、例えば、膣液、月経分泌物、または肉汁に溶解したTMAを接触させることを含む。一実施形態では、TMA分子は液体中にある。一実施形態では、液体TMAは、溶液中または懸濁液中に溶解したTMA分子である。一実施形態では、液体TMAは純粋なTMA液体である。一実施形態では、TMAを吸収性材料または吸収性物品と接触させることは、TMAを含有する月経液を吸収性材料または吸収性物品と接触させることを含む。一実施形態では、TMAを吸収性材料または吸収性物品と接触させることは、食肉流体、例えば、TMAを含有する魚肉流体を、吸収性材料または吸収性物品と接触させることを含む。
【0057】
同様に、一実施形態では、TMAを吸収性材料または吸収性物品と接触させることは、気相中のTMA、例えば、膣液、月経分泌物、または肉汁からのTMA揮発を接触させることを含む。
【0058】
一実施形態では、吸収性材料は、本明細書で記述されるいずれかの吸収性材料である。一実施形態では、吸収性物品は、本明細書で記述されるいずれかの吸収性物品である。一実施形態では、繊維マトリックスは、セルロース繊維マトリックスである(以下を参照)。
【0059】
一実施形態では、カルボン酸は、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、コハク酸、ギ酸、ピルビン酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、グリコール酸、それらの塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、カルボン酸は、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、コハク酸、ギ酸、ピルビン酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、グリコール酸、それらの塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、カルボン酸は、クエン酸またはその塩である。
【0060】
一実施形態では、吸収性材料は、約0.01重量%~約10重量%の間のカルボン酸含有量を含む。一実施形態では、吸収性材料は、約0.05重量%~約5重量%の間のカルボン酸含有量を含む。一実施形態では、吸収性材料は、約0.1重量%~約1重量%の間のカルボン酸含有量を含む。一実施形態では、吸収性材料は、約0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、または0.09重量%のカルボン酸含有量を含む。一実施形態では、吸収性材料は、約0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、または0.9重量%のカルボン酸含有量を含む。一実施形態では、吸収性材料は、約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、または9重量%のカルボン酸含有量を含む。
【0061】
一実施形態では、繊維マトリックスは、セルロースパルプ構造を含む。一実施形態では、セルロースパルプ構造は、セルロース繊維、セルロースに基づく繊維、またはそれらの組合せのマトリックス、および繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含む。一実施形態では、セルロースに基づく繊維は、ビスコース繊維、モダール繊維、リヨセル繊維、およびそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、繊維マトリックスは、フラッフパルプを含む。一実施形態では、繊維マトリックスは、南部漂白針葉樹クラフトパルプを含む。
【0062】
一実施形態では、繊維マトリックスは、合成繊維を含む。一実施形態では、繊維マトリックスは、不織合成繊維を含む。一実施形態では、繊維マトリックスは、合成繊維と天然繊維の混合物を含む。
【0063】
一実施形態では、TMAを、吸収性材料またはそれから作製された吸収性物品と接触させることは、気体状化合物として吸収性材料または吸収性物品から出る、またはその中に再入するために利用できる遊離TMAの少なくとも50%を低減する。一実施形態では、TMAを、吸収性材料またはそれから作製された吸収性物品と接触させることは、気体状化合物として吸収性材料または吸収性物品から出る、またはその中に再入するために利用できる遊離TMAの少なくとも75%を低減する。一実施形態では、TMAを、吸収性材料またはそれから作製された吸収性物品と接触させることは、吸収性材料または吸収性物品から出る、またはその中に再入するために利用できる遊離TMAの少なくとも85%を低減する。一実施形態では、TMAを、吸収性材料またはそれから作製された吸収性物品と接触させることは、吸収性材料または吸収性物品から出る、またはその中に再入するために利用できる遊離TMAの少なくとも95%を低減する。一実施形態では、TMAを、吸収性材料またはそれから作製された吸収性物品と接触させることは、吸収性材料または吸収性物品から出る、またはその中に再入するために利用できる遊離TMAの少なくとも99%を低減する。
遊離TMAの低減を測定する方法
別の態様では、本開示は、吸収性材料、例えば、本開示の吸収性材料またはそれから作製された吸収性物品によって封鎖された、遊離TMAの低減を測定する方法を提供する。一実施形態では、吸収性材料は閉じた容器に配置され、ある量のTMAと接触する。吸収性材料がTMAの量の少なくとも一部を封鎖する機会を有した後、例えば、閉じた容器の気体ヘッドスペースと吸収性材料の間でTMAの量が平衡に到達した後、閉じた容器から気体ヘッドスペースの一部が抜き取られる。一実施形態では、気体ヘッドスペースの一部が閉じた容器から抜き取られる前に、TMAの量は、平衡に到達するのに十分な時間、吸収性材料に接触させることができ、それによって、初期量のTMAの少なくとも一部が、吸収性材料内に封鎖されるのに十分な時間も提供する。当業者は、平衡を監視し確認するために、平衡曲線を作成する方法または他の適切な手法を容易に知るであろう。
【0064】
一実施形態では、閉じた容器は、気体ヘッドスペースの一部が抜き取られるのに応じて、少なくとも部分的につぶれる(collapse)ように構成された可撓性容器である。この点で、気体ヘッドスペースの一部を閉じた容器から抜き取ることは、使用者にとってより容易である。
【0065】
気体ヘッドスペースの抜き取られた一部を分析して、ヘッドスペースに存在する遊離TMAの気体濃度を決定する。一実施形態では、抜き取られた一部における遊離TMAの量を測定することは、気体ヘッドスペースの抜き取られた一部を、TMAと接触すると色を変化させる比色分析マーカーを装填した固定相上に通過させること;および、気体ヘッドスペースの抜き取られた一部を固定相上へ通過させるのに応じて、固定相における変色の量を測定すること、を含む。一実施形態では、気体ヘッドスペースの抜き取られた一部を分析して、遊離TMAの気体濃度を測定することは、比色分析ガス検出管、例えば、Sensidyne(登録商標)ガス検出管システムを使用することを含む。比色分析検出方法が記述されている一方で、TMA検出の他の方法、例えば、限定されるものではないが、ガスクロマトグラフィーを本開示の方法と矛盾せず使用することができることが理解されるであろう。
【0066】
遊離TMAの低減は、対照に比較して測定される。一実施形態では、対照は空の対照であり、ここで、空の対照は、TMA分子を吸収性材料と接触させることを含まない対照を含む。一実施形態では、対照は吸収性材料の対照であり、ここで、吸収性材料の対照は、繊維マトリックスに連結された添加カルボン酸を、実質的に有さないまたは有さない吸収性材料である(この場合、「添加カルボン酸が実質的にない」または「添加カルボン酸を実質的に含まない」とは、添加カルボン酸はない、または公知の検出方法によって限定さ
れるように、0wt%~1wt%の間の添加カルボン酸の量を意味すると理解すべきである)。本明細書で使用する場合、「添加カルボン酸」は、未処理の吸収性材料に存在するいずれかのカルボン酸に加えて、加工または製造中に吸収性材料に添加される、さもなければ連結されるカルボン酸の量を意味すると理解すべきである。一実施形態では、対照の吸収性材料は、フラッフパルプ、例えば、カルボン酸で処理されていない、さもなければカルボン酸に連結されていない南部漂白針葉樹クラフトパルプを含む。この点で、使用者は、本明細書で記述される吸収性材料の繊維マトリックスに連結されたカルボン酸による、TMA低減の量を、選択される対照に比較して決定することができる。
【0067】
一実施形態では、吸収性材料によって封鎖されずに気体ヘッドスペース内で平衡させるTMAの量(TMA)を、対照の気体ヘッドスペース内で平衡させる対照実験における封鎖されないTMAの量(TMA)と比較する。吸収性材料の上のヘッドスペースにおいて測定された遊離TMAの気体濃度の低減は、対照のそれと比較して、遊離TMAのパーセント低減(%TMAred)として表現され得る。このパーセント低減は、以下の式を用いて計算することができる。
【0068】
【数1】
【0069】
閉じた容器の片側または他の部分に存在する、TMAを含有する流体、例えば、吸収性材料または吸収性物品上に侵入するために使用される流体は、TMA低減の結果を歪める恐れがあることに留意すべきである。吸収性材料または吸収性物品と接触しないこうしたTMA含有流体は、TMA含有溶液から閉じた容器の気体ヘッドスペース中への、TMAの増加した揮発をもたらす可能性がある。このように増加したTMA揮発は、TMA含有溶液が吸収性材料または吸収性物品上に直接侵入する場合より、高い相対的気体状TMA濃度をもたらし、吸収性材料または吸収性物品がTMAを封鎖する能力(またはその欠如)を不正確に示す恐れがある。
TMAを封鎖する方法
本明細書でさらに記述されるように、吸収性材料およびそれから作製された吸収性物品は、TMAを封鎖することができる。したがって、別の態様では、本開示は、TMA分子を封鎖する方法を提供する。一実施形態では、TMAを封鎖する方法は、TMA分子を、繊維マトリックスおよび繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含む吸収性材料、またはそれから作製された吸収性物品と接触させることを含む。一実施形態では、この方法は、吸収性材料またはそれから作製された吸収性物品中のTMA分子を封鎖することをさらに含む。
【0070】
一実施形態では、吸収性材料は、本明細書で記述されるいずれかの吸収性材料である。一実施形態では、吸収性物品は本明細書で記述されるいずれかの吸収性物品である。一実施形態では、繊維マトリックスはセルロース繊維マトリックスである。一実施形態では、セルロース繊維マトリックスはセルロースパルプ構造を含む。一実施形態では、セルロース繊維マトリックスは、セルロース繊維およびセルロースに基づく繊維からなる群から選択される繊維を含む。一実施形態では、セルロースに基づく繊維は、ビスコース繊維、モダール繊維、リヨセル繊維、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0071】
一実施形態では、カルボン酸は、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、コハク酸、ギ酸、ピルビン酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、グリコール酸、それらの塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、カルボン酸は、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、コハク酸、ギ酸、ピルビン酸、プロピオン酸、酪酸、イソ
酪酸、グリコール酸、それらの塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、カルボン酸はクエン酸またはその塩である。
【0072】
一実施形態では、吸収性材料は、約0.01重量%~約10重量%の間のカルボン酸含有量を含む。一実施形態では、吸収性材料は、約0.05重量%~約5重量%の間のカルボン酸含有量を含む。一実施形態では、吸収性材料は、約0.1重量%~約1重量%の間のカルボン酸含有量を含む。一実施形態では、吸収性材料は、約0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、または0.09重量%のカルボン酸含有量を含む。一実施形態では、吸収性材料は、約0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、または0.9重量%のカルボン酸含有量を含む。一実施形態では、吸収性材料は、約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、または9重量%のカルボン酸含有量を含む。
【0073】
一実施形態では、TMA分子を吸収性材料または吸収性物品と接触させることは、液体、例えば、TMAを含有する月経液を、吸収性材料またはそれから作製された吸収性物品と接触させることを含む。一実施形態では、TMA分子を吸収性材料と接触させることは、TMA分子を含有する食肉流体を、吸収性材料またはそれから作製された吸収性物品と接触させることを含む。一実施形態では、TMA分子は気相にあり、吸収性材料または吸収性物品と接触する。
【0074】
一実施形態では、吸収性材料が0.45重量%のクエン酸を含む場合、本開示の吸収性材料およびそれから作製された吸収性物品の繊維マトリックスは、平衡状態で約0.5Lの気体ヘッドスペースが、約1ppm、2ppm、3ppm、4ppm、5ppm、10ppm、20ppm、30ppm、40ppm、または50ppm未満の遊離TMAを含有するように、TMA分子を封鎖することができる。一実施形態では、吸収性材料が0.01重量%のクエン酸を含み、かつ、TMA分子が約0.0005重量%~約0.034重量%の間の溶液中に導入される場合、本開示の吸収性材料およびそれから作製された吸収性物品の繊維マトリックスは、平衡状態で約0.5Lの気体ヘッドスペースが、平衡状態で約50ppm未満の遊離TMAを含有するように、TMA分子を封鎖することができる。一実施形態では、吸収性材料が0.01重量%のクエン酸を含み、かつ、TMA分子が約0.0005重量%、0.001重量%、0.005重量%、0.01重量%、0.015重量%、0.02重量%、0.025重量%、0.027重量%、0.03重量%、0.034重量%、または0.035重量%の溶液中に導入される場合、本開示の吸収性材料およびそれから作製された吸収性物品の繊維マトリックスは、平衡状態で約0.5Lの気体ヘッドスペースが、約50ppm未満の遊離TMAを含有するようにTMA分子を封鎖することができる。一実施形態では、吸収性材料が0.01重量%のクエン酸を含み、かつ、TMA分子が約0.034重量%の溶液中に導入される場合、セルロース繊維マトリックスは、平衡状態で約0.5Lの気体ヘッドスペースが、約10ppm未満の遊離TMAを含有するように、TMA分子を封鎖することができる。一実施形態では、吸収性材料が0.01重量%のクエン酸を含み、かつ、TMA分子が約0.027重量%の溶液中に導入される場合、セルロース繊維マトリックスは、平衡状態で約0.5Lの気体ヘッドスペースが、約5ppm未満の遊離TMAを含有するように、TMA分子を封鎖することができる。
【0075】
一実施形態では、吸収性材料が0.01重量%のクエン酸を含み、TMAが約0.034重量%の溶液中に導入され、かつ、対照が、いずれの添加カルボン酸も実質的に含まない南部漂白針葉樹クラフトフラッフパルプからなる同量の吸収性材料である場合、セルロース繊維マトリックスは、約0.5Lの気体ヘッドスペースにおいて、遊離TMAを少な
くとも約95ppm低減することができる。
【0076】
一実施形態では、吸収性材料が0.01重量%のクエン酸を含み、TMAが約0.027重量%の溶液中に導入され、かつ、対照が、いずれの添加カルボン酸も実質的に含まない南部漂白針葉樹クラフトフラッフパルプからなる同量の吸収性材料である場合、セルロース繊維マトリックスは、約0.5Lの気体ヘッドスペースにおいて、遊離TMAを少なくとも約99%低減することができる。一実施形態では、吸収性材料が0.01重量%のクエン酸を含み、TMAが約0.05重量%の溶液中に導入され、かつ、対照が、いずれの添加カルボン酸も実質的に含まない南部漂白針葉樹クラフトフラッフパルプからなる同量の吸収性材料である場合、セルロース繊維マトリックスは、約0.5Lの気体ヘッドスペースにおいて、遊離TMAを少なくとも約50%低減することができる。
【0077】
一実施形態では、TMAが本明細書で記述される吸収性材料によって封鎖された後の遊離TMAの量の決定は、容器に配置された吸収性材料を、溶液中の初期量のTMAと接触させることと;容器の気体ヘッドスペースの一部を抜き取ることと;気体ヘッドスペースの抜き取られた一部における遊離TMAの量を、例えばppm単位で測定することと、を含む。測定することは、本明細書で記述される固相比色分析ガス検出管、ガスクロマトグラフィー等を含む、いずれかの好適な方式で実施することができる。理論に拘束されるものではないが、吸収性材料に接する溶液中のTMAは、カルボン酸と反応してRCOO(Me)の塩になり(reduce)、したがって揮発に利用できるTMAを減少させることによってTMAを封鎖し、実験容器装置の気体ヘッドスペース中へ平衡し、それによってTMA悪臭を除去すると考えられる。
吸収性物品を作製する方法
本明細書でさらに記述されるように、本開示の吸収性材料およびそれから作製された吸収性物品は、TMAを封鎖するそれらの能力のために、吸収性物品、例えば、女性用衛生用品の例えば、吸収性コアまたは他の吸収性部分、として好適である。したがって、別の態様では、本開示は、本開示の吸収性材料を含む吸収性物品、例えば、女性用衛生用品および食肉パッケージングパッドを作製する方法を提供する。一実施形態では、この方法は、繊維マトリックスおよび繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含む吸収性材料を調製することと;流体透過性上面シートおよび流体不透過性裏面シートを吸収性材料に連結することと、含む。一実施形態では、吸収性材料を調製することは、セルロースパルプスラリーからセルロースパルプシートを形成し、セルロースパルプシートからセルロース繊維のマトリックスを形成することによって、セルロースパルプ構造を形成することを含む。一実施形態では、パルプシートに水性形態の酸を適用することによって、カルボン酸は添加される。本明細書で同様にさらに記述されるように、一実施形態では、カルボン酸は固体形態で、例えば、バインダーまたは接着剤とともに添加される。
【0078】
一実施形態では、吸収性材料は、繊維マトリックスおよび繊維マトリックスに連結されたカルボン酸を含む、本明細書で記述されるいずれかの吸収性材料である。一実施形態では、流体透過性上面シートは、本明細書で記述されるいずれかの流体透過性上面シートである。一実施形態では、流体不透過性裏面シートは、本明細書で記述されるいずれかの流体不透過性裏面シートである。
【0079】
一実施形態では、流体透過性上面シートおよび流体不透過性裏面シートは、縫製、接着剤による連結、ヒートシーリング、超音波溶接、およびそれらの組合せからなる群から選択される連結方法によって、吸収性材料に連結される。
【0080】
一実施形態では、流体透過性上面シートおよび流体不透過性裏面シートは、吸収性材料のまわりに連結され、吸収性材料は、流体透過性上面シートと流体不透過性裏面シートの間に配置される。この点で、吸収性材料は、吸収性物品の吸収性コアの少なくとも一部を
形成する。一実施形態では、吸収性材料は、流体透過性上面シート内に配置される。
【0081】
一実施形態では、女性用衛生用品は、パンティーライナー、生理用ナプキン、産後吸収性パッド、軽失禁パッド、陰唇間パッド、使い捨て月経保護下着、およびタンポンからなる群から選択される。一実施形態では、女性用衛生用品は、パンティーライナー、生理用ナプキン、産後吸収性パッド、軽失禁パッド、陰唇間パッド、および使い捨て月経保護下着からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、本開示の吸収性物品は、タンポンの形態をしていない。女性用衛生用品は、公知の方法により製造され得る(例えば、米国特許第9,717,817号を参照されたく、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0082】
一実施形態では、女性用衛生用品は、外部的に着用されるように構成される。一実施形態では、女性用衛生用品は、内部的に着用されるようには構成されない。
一実施形態では、吸収性物品は、食肉パッケージングパッドである。一実施形態では、食肉パッケージングパッドは、魚肉パッケージングパッドである。食肉パッケージングパッドは、当該技術分野で公知のものを含んでもよく、公知の方法によって製造され得る(米国特許第5,908,649号および米国特許第7,655,829号を参照されたく、それらの全体は参照により本明細書に組み込まれる)。
【実施例0083】
実施例1:クエン酸で処理されたフラッフパルプを用いるTMAの封鎖
クエン酸(0.45wt%)で処理されたフラッフパルプおよび未処理のフラッフパルプを繊維に分解し、パッドに形成し、密閉容器に配置して、TMA溶液で侵入した。未処理のフラッフパルプは、クエン酸で処理されたフラッフパルプと同じ粉砕器からであるが、緩衝処理(buffering treatment)を含んでいない。
【0084】
フラッフパルプシートを繊維に分解し、次に、フラッフパルプを、0.94±0.02gの平均重量で直径5.08cm(2インチ)のパッドに形成した。これらのパッドを、13.79MPa(2000psi)の圧力のプレスで圧縮した。
【0085】
試験容器を500mLの水筒(water bottle)から組み立て、水筒はそれらの圧縮性により選択した。16ゲージの針を水筒のプラスチック蓋に通し、所定位置に接着し、シリコーンコーキングで密閉した。ゴム管を針の柄(hilt)のまわりに配置し、柄と測定装置の間の気密シールを可能にした。
【0086】
圧縮したフラッフの球状物(round)を、試験容器へ導入し、15gの溶液で侵入し、
密封し、次に、2時間後に、上記のヘッドスペースをTMAについて試験した。TMA溶液を、4つの濃度:0.0005重量%、0.027重量%、0.034重量%、および0.05重量%で試験した。細菌性膣炎に関係していない通常の膣液は、文献値によれば、TMAレベル0.0005重量%を有する。
【0087】
【表1】
【0088】
容器のヘッドスペースにおけるTMAの濃度を、対照および試験パルプの両方の上で、侵入の2時間後に試験した。105SEモデルSensidyne(登録商標)管を使用した。これらの管はアンモニアで使用するために分類されている(label)が、TMAで
使用することも可能である。実際のTMA濃度は、Sensidyne(登録商標)の読み取り値に0.5の換算係数を乗じることによって見出される。
【0089】
全部で25個の試料:11個の未処理対照フラッフパルプ試料、および14個のクエン酸で処理された試験フラッフパルプ試料を試験した。濃度当たり最低2個の試料を平均した。最初の2個の結果が変動した場合、濃度当たり3個またはそれ以上の試料を試験した。容器の気体ヘッドスペースにおけるTMAを測定する前に、平衡化を確実にするために、25個の試料を、25℃でおよそ2時間、TMA侵入と相互作用させた。
【0090】
パッドの上のヘッドスペースにおけるTMA濃度を、クエン酸で処理された試験フラッフパルプおよび未処理の対照フラッフパルプについて比較した。表2および図1に要約したように、クエン酸で処理されたフラッフパルプは、さまざまな量の、TMAのヘッドスペース濃度を減少させることが見出された。示されたように、クエン酸処理フラッフは、健康な膣液における文献濃度である0.0005重量%、およびこの濃度の60倍である0.027重量%で、TMA揮発を排除することが見出された。文献値の70倍である0.034重量%では、クエン酸処理フラッフは、ヘッドスペース内への臭気物質の揮発を平均で95%低減することが見出された。クエン酸処理フラッフがヘッドスペース内へのTMA揮発を着実に阻害する能力は、健康な膣液で見出される100倍のTMA濃度である、0.05重量%までは圧倒的ではなかった。この濃度においてさえ、クエン酸処理フラッフは、未処理フラッフより平均で71.1%少ないヘッドスペース臭気物質レベルを有した。
【0091】
【表2】
【0092】
0.027%のTMA溶液では、クエン酸処理フラッフパッドに対する、ヘッドスペースにおけるTMAの平均濃度は0.33ppmであった。未処理パルプは、72ppmの、ヘッドスペースにおけるTMAの平均濃度を有した。クエン酸処理フラッフは、ヘッドスペースにおけるTMAを99.5%低減した。
【0093】
0.034%のTMA溶液では、クエン酸処理フラッフは、読み取り値で5ppmのヘッドスペースにおけるTMAの平均濃度を有し、未処理パルプは、気体ヘッドスペースにおいて100ppmの平均TMAレベルを有した。Sensidyne(登録商標)管の検出限界が100ppmであることに、留意されたい。したがって、気体ヘッドスペースにおける実際の平均TMAレベルは、100ppmより高かった可能性がある。クエン酸処理フラッフは、ヘッドスペースの読み取り値でTMAを少なくとも95%低減した。
【0094】
0.05%の溶液では、クエン酸処理フラッフは、読み取り値で26.8ppmのヘッドスペースにおけるTMAの平均濃度を有した。しかしながら、クエン酸処理フラッフの読み取り値は、この濃度で10~51ppmの範囲であった。対照的に、他の濃度での他の全ての2つの試料点間の最大変動は、7ppm(0.03%での未処理パルプに対する68ppm~75ppm間)であった。
【0095】
未処理フラッフ上のヘッドスペースにおけるTMA濃度は、3つの読み取り値のうちの採用した2つに対して、センサーの最大読み取り値を上回った。正確な濃度を知ることは不可能であるので、これらのデータは100ppmのセンサー読み取り値として報告した。センサーがどれだけ素早くその最大値に到達するか、比色分析読み取り値がどれだけ遠く最大値を過ぎて止まったか、および試験器が遭遇した悪臭(TMAが低濃度では魚肉の悪臭を有するが、高濃度ではアンモニア様の臭気を有する)に基づいて、実際の濃度が最大読み取り値よりどれだけ高いか推定してもよいが、これは単に推定である。これらの観察を、試験記録に記録した。
【0096】
本開示の目的にとって、例えば、「より上の」、「より下の」、「垂直の」、「水平の」、「内へ」「外へ」、「内の」、「外の」「前部」、「後部」などの用語は、記述的なものであり、特許請求された主題の範囲を制限しないと解釈されるべきであることに留意すべきである。さらに、本明細書で「含む(including)」、「含む(comprising)」、
または「有する」およびこれらの変形の使用は、その後に列挙される項目およびそれらの等価物ならびに追加項目を包含する意味である。特に限定されない限り、本明細書におけ
る用語「接続された」、「連結された」、および「装着された」およびそれらの変形は、広く使用され、直接的および間接的な接続、連結、および装着を包含する。「約」という用語は、明示された値のプラスまたはマイナス5%を意味する。
【0097】
本開示の原理、代表的実施形態、および作動形態は、前の説明に記述されている。しかしながら、保護されるよう意図された本開示の態様は、開示された特定の実施形態に限定されると解釈すべきではない。さらに、本明細書で記述される実施形態は、限定的というより、むしろ例示的であると見なすべきである。本開示の趣旨から逸脱することなく、変形および変化を他者が行なってもよく、等価物が用いられることが認識されるであろう。したがって、すべてのこうした変形、変化、および等価物は、請求項に記載される本開示の趣旨および範囲内に含まれることを、明確に意図している。
【0098】
排他的な特性または特権を主張する本発明の実施形態は、以下のように規定される。
図1
【外国語明細書】