(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028739
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】スパウトパウチおよびそれを作製する方法
(51)【国際特許分類】
B29C 65/02 20060101AFI20240227BHJP
B31B 70/84 20170101ALI20240227BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B29C65/02
B31B70/84
B32B27/32 E
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023198643
(22)【出願日】2023-11-22
(62)【分割の表示】P 2020561018の分割
【原出願日】2019-05-15
(31)【優先権主張番号】18382344.2
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】サンティーニ、ルイス アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ボスコヴィック、ラディサ
(72)【発明者】
【氏名】サンドキューラー、ペーター ヘルマン ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】コルティナ、ラマン パラダス
(72)【発明者】
【氏名】アルブサ、マルティ ノゲ アイ
(72)【発明者】
【氏名】ムルホ、カルロス アルモール
(57)【要約】 (修正有)
【課題】材料の制限が緩和されたスパウトを含むパッケージの作成方法及び該パッケージを提供する。
【解決手段】スパウトを有するパッケージを作製するためのプロセスは、スパウトのシーリング領域をスパウト材料の融点以上の温度に加熱することと、2つの多層構造をそれらの外周の一部の周りで加熱して、シーラント層の外周を接着し、開口部を有する部分的にシールされたパッケージを形成することと、加熱されたスパウトを開口部に挿入することと、2つの多層構造の対向する表面をスパウトの周りでプレスして、スパウトの周りの開口部を閉じることと、を含む。各多層構造は、112℃未満の融点を有する少なくとも40重量%のエチレン系ポリマーを有するシーラント層と、エチレン系ポリマーを含む外層と、シーラント層と外層との間に配置され、シーラント層よりも少なくとも15℃高い融点を有する少なくとも1つの中間層と、を有する多層フィルムを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパウトを含むパッケージを作成するためのプロセスであって、
(a)スパウトのシーリング領域を前記スパウトの材料の融点以上の温度に加熱する
ことと、
(b)2つの多層構造をそれらの外周の一部の周りで加熱して、シーラント層の外周
を互いに接着し、開口部を有する部分的にシールされたパッケージを形成することであっ
て、各多層構造が、多層フィルムを含み、前記多層フィルムが、
112℃未満の融点、ASTM D1238(190℃、2.16kg)で測定し
たときに0.5~8g/10分のメルトインデックス(I2)、および0.880~0.
918g/cm3の密度を有する少なくとも40重量%の第1のエチレン系ポリマーを有
する前記シーラント層と、
第2のエチレン系ポリマーを含む外層と、
前記シーラント層と前記外層との間に配置され、前記シーラント層よりも少なくと
も15℃高い融点を有する少なくとも1つの中間層であって、前記中間層が、0.920
g/cm3を超える密度および0.25~5g/10分のメルトインデックス(I2)を
有する第3のエチレン系ポリマー;プロピレン系ポリマー;またはそれらの混合物を含む
、少なくとも1つの中間層と、を含む、形成することと、
(c)前記加熱されたスパウトの少なくとも一部を前記開口部に挿入することと、
(d)前記2つの多層構造の対向する表面を前記スパウトの周りでプレスして、前記
スパウトの周りの前記開口部を閉じることと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記シーラント層の前記第1のエチレン系ポリマーが、0.890~0.908g/
cm3の密度および0.5~3g/10分のメルトインデックス(I2)を有するプラス
トマーである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記シーラント層が、0.910~0.930g/cm3の密度および0.5~7.
5g/10分のメルトインデックス(I2)を有する第1の低密度ポリエチレン(LDP
E)ポリマーと、任意にブロッキング防止剤およびスリップ剤のうちの1つ以上と、をさ
らに含む、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記外層、少なくとも1つの中間層、またはそれらの両方が、0.940~0.97
0g/cm3の密度および0.5~5.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有
するエチレン系ポリマーを含む、請求項1~3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
前記多層フィルムが、前記多層フィルムの総重量に基づいて90重量パーセント以上
のエチレン系ポリマーを含む、請求項1~4のいずれかに記載のプロセス。
【請求項6】
前記中間層の第3のエチレン系ポリマーが、少なくとも0.935g/cm3の密度
を有する直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む、請求項1~5のいずれかに記
載のプロセス。
【請求項7】
前記多層フィルムが、コア層を含む少なくとも5つの層を含み、前記コア層が、エチ
レンビニルアルコール、ポリアミド、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~5の
いずれかに記載のプロセス。
【請求項8】
前記中間層の前記第3のエチレン系ポリマーが、無水マレイン酸グラフト化ポリエチ
レンである、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
各多層構造が、前記多層フィルムに積層された第2のフィルムをさらに含む、請求項
1~5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項10】
前記第2のフィルムが、0.940~0.970g/cm3の密度および0.5~5
.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する第4のエチレン系ポリマーを含む
1つ以上の層を含む、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記第2のフィルムが、前記第2のフィルムの総重量に基づいて90重量パーセント
以上のエチレン系ポリマーを含む、請求項9または10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記第2のフィルムが、二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ポリアミド、または二軸
延伸ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項9に記載のプロセス。
【請求項13】
前記スパウトが、高密度ポリエチレンを含む、請求項1~12のいずれかに記載のプ
ロセス。
【請求項14】
前記対向する構造表面が、同時に加熱かつプレスされて、前記スパウトの周りの前記
開口部を閉じる、請求項1~13のいずれかに記載のプロセス。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載のプロセスによって作製されたスパウトを含むパッ
ケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年5月18日に出願された欧州特許出願第18382344.2
号の利益を主張し、その全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、概して、スパウトを含むパッケージを作製するためのプロセス
に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの種類の食品および非食品製品を包装するための、スパウトパウチとしても知ら
れる、シールされた備品を備えた柔軟なパウチパッケージングは、人気が高まっている。
スパウトパウチは、持続可能性の向上、ロジスティクスチェーンの最適化、パッケージ製
品の完全な消費、廃棄後のスペースの削減、およびその他の利益に関して利点を提供する
。しかしながら、スパウトパウチを作製するための製造方法およびプロセスは、スパウト
パウチの作成に利用するのに適した材料を制限してきた。具体的には、スパウトパウチを
作成するための従来のシステムは、パウチを形成するフィルムの外側から、絶えず加熱さ
れるシーリングツールによって熱および圧力を加えることによるスパウトのヒートシーリ
ングを利用してきた。結果として、熱は、加熱されたシーリングツールからパウチフィル
ムを通って、パウチフィルムとスパウトとの間の界面に通過しなければならず、それによ
り、フィルム厚全体にわたる熱伝達でシールを作成するための高温が必要になる。したが
って、スパウトパウチの外層は、融点が200℃を超える材料に限定されていて、それは
、そのような材料が、場合によっては、200℃の温度に加熱されたシーリングツールに
接触する必要があるからである。さらに、パウチフィルムの厚さ全体にわたって必要な加
熱は、パウチフィルム全体の軟化をもたらし、薄化、およびスパウトの固定中に圧力が加
えられると、パウチの脆弱性の導入につながり得る。
【発明の概要】
【0004】
したがって、スパウトを含むパッケージを作製するための改善されたプロセスに対す
る継続的なニーズが存在する。本開示のプロセスのいくつかの実施形態に従って製造され
たスパウトを備えたパッケージは、シーリング層のフィルム厚の大幅な減少を示さない。
スパウトを備えた従来のパッケージは、スパウトの設置中に加えられた圧搾圧力と組み合
わせて、フィルム厚全体を加熱し、シーリング層全体を溶融することにより、フィルム厚
が薄くなる。これらのニーズのうちの1つ以上は、本開示の様々なプロセスの実施形態、
およびそのようなプロセスで使用される特定のフィルムによって満たされる。
【0005】
1つ以上の実施形態によれば、スパウトを有するパッケージを作製するためのプロセ
スは、(a)スパウトのシーリング領域をスパウト材料の融点以上の温度に加熱すること
と、(b)2つの多層構造をそれらの外周の一部の周りで加熱して、シーラント層の外周
を互いに接着し、開口部を有する部分的にシールされたパッケージを形成することと、(
c)加熱されたスパウトの少なくとも一部を開口部に挿入することと、(d)2つの多層
構造の対向する表面をスパウトの周りでプレスして、スパウトの周りの開口部を閉じるこ
とと、を含み得る。各多層構造は、多層フィルムを含み、多層フィルムは、112℃未満
の融点、ASTM D1238(190℃、2.16kg)で測定したときに0.5~8
g/10分のメルトインデックス(I2)、および0.880~0.918g/cm3の
密度を有する少なくとも40重量%のエチレン系ポリマーを有するシーラント層と、エチ
レン系ポリマーを含む外層と、シーラント層と外層との間に配置され、シーラント層より
も少なくとも15℃高い融点を有する少なくとも1つの中間層と、を含み、中間層は、0
.920g/cm3を超える密度および0.25~5g/10分のメルトインデックス(
I2)を有するエチレン系ポリマー;プロピレン系ポリマー;またはそれらの混合物を含
む。
【0006】
説明される実施形態の追加的な特徴および利点は、以下の詳細な説明に記載され、そ
の一部は、その説明から当業者に容易に明らかとなるか、または、以下の詳細な説明、特
許請求の範囲、ならびに添付の図面を含む、説明される実施形態を実践することにより認
識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の特定の実施形態の以下の詳細な説明は、以下の図面と併せて読むと最も良く
理解することができ、これらの図面では、同様の構造体が同様の参照番号で示される。
【0008】
【
図1】本開示の1つ以上の実施形態による、スパウトを有する多層フィルムパッケージのスパウトのシーリング領域の断面図を概略的に示す。
【
図2】本開示の1つ以上の実施形態による、3つの層および表面コーティングを含む多層フィルムの断面図を概略的に示す。
【
図3】本開示の1つ以上の実施形態による、5つの層および表面コーティングを含む多層フィルムの断面図を概略的に示す。
【
図4】本開示の1つ以上の実施形態による、ラミネートフィルムの断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態は、スパウトを有する多層フィルムパッケージを作製するためのプ
ロセスを対象とする。
【0010】
本明細書で使用される場合、メルトインデックス(I2)は、ポリマーの押出流量の
尺度であり、一般に、190℃の温度および2.16kgの負荷でASTM D1238
を使用して測定される。
【0011】
「ポリマー」という用語は、同一または異なる種類のモノマーに関わらず、モノマー
を重合することによって調製されたポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという
総称は、1種類のみのモノマーから調製されるポリマーを指すために通常用いられる用語
「ホモポリマー」、ならびに2つ以上の異なるモノマーから調製されるポリマーを指す「
コポリマー」を包含する。「ブロックコポリマー」という用語は、2つ以上の化学的に異
なる領域またはセグメント(「ブロック」と呼ばれる)を含むポリマーを指す。いくつか
の実施形態では、これらのブロックは、直線状につながれてもよく、すなわち、ポリマー
は、端部と端部がつながれた化学的に区別された単位を含む。本明細書で使用される場合
、「ランダムコポリマー」は、2つ以上のポリマーを含み、各ポリマーは、コポリマー鎖
骨格に沿って単一単位または複数の連続する繰り返し単位を含んでもよい。コポリマー鎖
骨格に沿った単位のいくつかは、単一単位として存在するが、本明細書ではこれらをポリ
マーと呼ぶ。
【0012】
「ポリエチレン」または「エチレン系ポリマー」は、50モルパーセント(mol%
)を超える、エチレンモノマーに由来する単位を含むポリマーを意味するものとする。こ
れは、ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマー(2つ以上のコモノマーに由来する単
位を意味する)を含む。当該技術分野において既知であるポリエチレンの一般的な形態と
しては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、
超低密度ポリエチレン(ULDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状お
よび実質的に直鎖状の低密度樹脂の両方を含むシングルサイト触媒直鎖状低密度ポリエチ
レン(m-LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ならびに高密度ポリエチレ
ン(HDPE)が挙げられる。本明細書で使用される場合、「エチレン/α-オレフィン
ランダムコポリマー」は、エチレンモノマーに由来する単位を50重量%より多く含むラ
ンダムコポリマーである。
【0013】
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」、または「高分岐ポリエ
チレン」とも呼ばれる場合があり、ポリマーが、過酸化物(例えば、参照により本明細書
に組み込まれる、US4,599,392を参照されたい)などの、フリーラジカル開始
剤を使用して、14,500psi(100MPa)を上回る圧力で、オートクレーブま
たは管状反応器中で、部分的または完全にホモ重合または共重合されることを意味するよ
うに定義される。LDPE樹脂は、典型的には、0.916~0.935g/cmの範囲
の密度を有する。
【0014】
「LLDPE」という用語には、チーグラー・ナッタ触媒システムを使用して作製さ
れた樹脂、ならびにこれらに限定されないが、ビスメタロセン触媒(「m-LLDPE」
と呼ばれることもある)および拘束幾何触媒を含む、シングルサイト触媒を使用して作製
された樹脂、ならびにポストメタロセン分子触媒を使用して作製された樹脂が含まれる。
LLDPEには、直鎖状の、実質的に直鎖状の、または不均一な、ポリエチレンコポリマ
ーまたはホモポリマーが含まれる。LLDPEは、LDPEよりも短い鎖分岐を含有し、
米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,5
82,923号、および米国特許第5,733,155号でさらに定義される実質的に直
鎖状のエチレンポリマー、米国特許第3,645,992号における組成物などの均一分
岐直鎖状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されるプロセ
スに従って調製されたポリマーなどの不均一分岐エチレンポリマー、ならびに/またはそ
れらのブレンド(US3,914,342もしくはUS5,854,045に開示される
ものなど)を含む。LLDPE樹脂は、当該技術分野で知られている任意の種類の反応器
または反応器構成を使用して、気相、液相、もしくはスラリー重合、またはそれらの任意
の組み合わせによって作製され得る。
【0015】
「MDPE」という用語は、0.926~0.935g/cm3の密度を有するポリ
エチレンを指す。「MDPE」は、典型的には、クロムもしくはチーグラー・ナッタ触媒
を使用して、またはこれらに限定されないが、ビス-メタロセン触媒および拘束幾何触媒
を含むシングルサイト触媒を使用して作製される。
【0016】
「HDPE」という用語は、一般に、チーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、または
シングルサイト触媒(ビス-メタロセン触媒および拘束幾何触媒を含むが、これらに限定
されない)を用いて調製される、約0.935g/cm3を超える密度を有するポリエチ
レンを指す。
【0017】
「ULDPE」という用語は、0.880~0.912g/cm3の密度を有するポ
リエチレンを指し、概して、チーグラー・ナッタ触媒、限定するものではないが、ビス-
メタロセン触媒および拘束幾何触媒を含むシングルサイト触媒、およびポストメタロセン
分子触媒で調製される。
【0018】
本明細書で使用される場合、「ポリプロピレン」または「プロピレン系ポリマー」と
いう用語は、重合形態で、50mol%を超える、プロピレンモノマーに由来する単位を
含むポリマーを指す、含むポリマーを指す。これには、プロピレンホモポリマー、ランダ
ムコポリマーポリプロピレン、インパクトコポリマーポリプロピレン、プロピレン/α-
オレフィンインターポリマー、およびプロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーが含
まれる。これらのポリプロピレン材料は、概して、当業者に既知である。
【0019】
「多層構造」または「多層フィルム」という用語は、2つ以上の層を有する任意の構
造またはフィルムを意味する。例えば、多層構造(例えば、フィルム)は、2つ、3つ、
4つ、5つ、またはそれ以上の層を有し得る。
【0020】
本明細書で使用される場合、「シール」とは、接触点または接触表面を望ましくない
物質が通過するのを防ぐのに十分に緊密に、直接または間接に接触する2つ以上の物品の
閉鎖を指す。シールは、本質的に機械的または化学的の場合がある。例えば、機械的シー
ルは、ジッパー、スナップ蓋、または同様の装置など、表面の動きと表面間の動きを防ぐ
ようにインターロックされた2つの剛性表面で構成され得る。化学的シールの例には、は
んだ、溶接、接着剤、または温度、圧力、もしくはそれらの組み合わせを使用して2つ以
上の物品の動きを防ぐ化学組成物を導入する同様の物質が含まれる。シールは、接触する
物品、接触表面または接触点、および接触表面または接触点にあり得る任意の他の材料を
包含する。シールの緊密性は様々であってもよく、ハーメチックシール、粒子密シール、
防塵シール、防水シール、液密シール、気密シール、湿性ガス密シール、または乾性ガス
密シールが考えられる。
【0021】
本明細書で使用される場合、「パッケージ」という用語は、多層フィルムから形成さ
れたシールされた容器を含む。例示的なパッケージングの種類には、枕パウチ、スタンド
アップパウチ、または他のパウチなどのパウチパッケージングが含まれ得るが、これらに
限定されない。
【0022】
本明細書に開示されるスパウトを含むパッケージを作製するためのプロセスは、(a
)スパウトのシーリング領域をスパウト材料の融点以上の温度に加熱することと、(b)
2つの多層構造をそれらの外周の一部の周りで加熱して、シーラント層の外周を互いに接
着し、開口部を有する部分的にシールされたパッケージを形成することと、(c)加熱さ
れたスパウトの少なくとも一部を開口部に挿入することと、(d)2つの多層構造の対向
する表面をスパウトの周りでプレスして、スパウトの周りの開口部を閉じることと、を含
み得る。2つの多層構造は各々、多層フィルムを含み得る。部分的にシールされたパッケ
ージを形成する2つの多層構造の多層フィルムは、シーラント層、外層、およびシーラン
ト層と外層との間に配置された少なくとも1つの中間層から形成された開口部を有する。
【0023】
本開示のプロセスに従ってスパウトを含むパウチを作製することは、高温ステップお
よび低温ステップの2つの加熱ステップを含み得る。高温ステップでは、スパウトのシー
リング領域は、スパウト材料の融点以上の温度に加熱され得る。この加熱により、スパウ
トが局所的に加熱され、溶融する。スパウトのシーリング領域の加熱は、スパウト材料の
融点を実質的に超える高温に加熱された発熱体を使用して完了することができる。高温に
より、発熱体がより短時間スパウトに接触し、スパウトを介した熱伝達の時間を最小限に
抑えることができる。結果として、スパウトのコアの材料を含むスパウトの残りの部分に
影響を与えることなく、スパウトの表面を溶かすことができる。スパウト材料の融点を実
質的に超える温度はまた、発熱体に付着したままであり得る残留したスパウト材料の酸素
の存在下で熱分解を増加させ、それによって、汚れを低減または回避する。
【0024】
発熱体の温度が高いほど、スパウトが局所的に溶融するのに必要な接触時間が短くな
る。様々な実施形態では、発熱体は、250℃~450℃、350℃~450℃、および
400℃~450℃の範囲を含む、450℃を超える、350℃を超える、または250
℃を超える表面温度に加熱され得る。スパウトの材料、スパウトの形状、および発熱体の
温度によって部分的に決定されるように、発熱体と接触しているスパウトでの加熱の期間
は、所望の溶融度を達成するために変えることができる。様々な実施形態では、スパウト
は、0.05秒(s)~1.0秒、0.1秒~0.8秒、または0.2~0.5秒の間、
発熱体と接触した状態に維持され得る。
【0025】
スパウトのシーリング領域を加熱した後、スパウトは、補助加熱の適用と共に低温ス
テップにおいて、2つの多層構造をそれらの外周の一部の周りで部分的にシールすること
によって形成されたパッケージの開口部に少なくとも部分的に挿入される。2つの多層構
造の対向する表面をスパウトの周りでプレスすることによって圧力が加えられて、スパウ
トの周りの開口部を閉じる。スパウトの局所的な溶融は、溶融したスパウトから多層構造
のシーラント層への熱伝達をもたらし、シーラント層の活性化をもたらす。2つの多層構
造の対向する表面を加熱することを含む補助加熱を適用して、スパウトの周りの開口部の
閉鎖を容易にすることができる。補助加熱は、開口部をシールするための圧力と組み合わ
せて適用することができる。補助加熱は、開口部の領域にある2つの多層構造を暖め、シ
ーラント層、それによって、多層構造のシーリングを補助し、容易にする。様々な実施形
態では、補助加熱は、40℃~120℃、60℃~110℃、80℃~100℃の範囲を
含む、120℃未満、110℃未満、または100℃未満の温度で適用することができる
。補助加熱は、多層構造のいかなる溶融もスパウトからの熱伝達から生じることを確実に
するために、多層構造、特に外層および少なくとも1つの中間層の融点より低い温度で適
用することができる。多層構造の溶融を最小限に抑えることは、スパウトを固定した後、
多層構造の厚さおよび完全性を維持するのに役立つ。
【0026】
図1を参照すると、本開示のプロセスの1つ以上の実施形態から生じる融合およびシ
ーリング構成が示されている。スパウト10上のリブ12は、多層フィルム20と接する
スパウト10のシーリング領域の加熱によって軟化および溶融され、それにより、スパウ
ト10と多層フィルム20との間にシールを形成する。スパウト10は、変形し、最小限
溶融し、多層フィルム20の中へ押し下げられる。多層フィルム20の厚さは、実質的に
維持されることに留意されたい。本開示の目的において、「実質的に維持される」とは、
多層フィルム20が、スパウトのシーリング前の元のフィルム厚さの少なくとも70%、
少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を保持することを意味す
る。
【0027】
スパウト10は、スパウト10のシーリング領域の加熱時に溶融および軟化を可能に
するために、様々なポリマーのいずれかで形成することができる。1つ以上の実施形態で
は、スパウト10は、高密度ポリエチレン(HDPE)を含む。他の実施形態では、スパ
ウト10は、ポリプロピレン(PP)を含む。スパウト10はまた、ポリマーのブレンド
を含むポリマー組成物から形成することができる。市販のHDPEおよびPPを含む材料
の融点はよく知られており、当業者に利用可能であることが理解されよう。本発明の様々
な実施形態で使用するためのスパウト、およびスパウトを形成するために使用できる材料
に関する追加情報は、参照により本明細書に組み込まれるPCT公開第WO2017/2
05168号および同第WO2018/064027号に見出すことができる。
【0028】
2つの多層構造40およびスパウト10から形成されるパッケージは、パウチであり
得る。さらなる実施形態では、パッケージは、具体的には、スタンドアップ型のパウチで
あり得る。さらに、パッケージは、多層構造40の外周に沿った任意の位置に位置付けら
れた1つ以上のスパウト10を含み得ることが理解されよう。さらに、スパウト10は、
様々な形状を含み得、個々のパッケージごとの特定のニーズおよび要望によって決定され
るように、キャップおよびバルブなどの補助的な特徴を有し得ることが理解されよう。
【0029】
2つの多層構造40の多層フィルム20に注意を向け、
図2および
図3を参照すると
、多層フィルム20は、シーラント層22、外層24、およびシーラント層22と外層2
4の間に配置された少なくとも1つの中間層26を含み得る。示されるように、多層フィ
ルム20は、A/B/Cとして配置される、中心層Bならびに2つの外層AおよびCを有
する3層構造として形成され得る。同様に、多層フィルム20は、A/B/C/Dとして
配置される、2つの中心層BおよびCならびに2つの外層AおよびDを有する構造として
形成され得る。多層フィルム20の実施形態の多層構造40は、A/B/A、A/B/C
/A、およびA/B/C/B/Dなどの無数の可能性、ならびにA/B/C/D/E/F
/GまたはA/B/C/D/C/E/Bなどのより多くの層との追加の組み合わせを提供
し、本開示が各可能性を考慮していることが理解されよう。
【0030】
シーラント層22、1つ以上の中間層26、および外層24の各々は、いくつかの実
施形態では、エチレン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、またはそれらの混合物を含み
得る。
【0031】
多層フィルム20のシーラント層22は、112℃未満の融点、ASTM D123
8(190℃、2.16kg)で測定したときに0.5~8g/10分のメルトインデッ
クス(I2)、および0.880~0.918g/cm3の密度を有する少なくとも40
重量パーセント(wt.%)の第1のエチレン系ポリマーを含み得る。
【0032】
様々な実施形態では、シーラント層22は、少なくとも40重量%の第1のエチレン
系ポリマー、少なくとも50重量%の第1のエチレン系ポリマー、少なくとも60重量%
の第1のエチレン系ポリマー、少なくとも70重量%の第1のエチレン系ポリマー、また
は少なくとも80重量%の第1のエチレン系ポリマーを含み得る。40~100重量%の
全ての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、描
写された特徴を有する第1のエチレン系ポリマーの量は、40、50、60、70、また
は80重量%の下限から80、90、または100重量%の上限のものであり得る。例え
ば、シーラント層22を形成する第1のエチレン系ポリマーの量は、40~100重量%
、または別の方法では60~90重量%、または別の方法では80~100重量%、また
は別の方法では82~87重量%であり得る。
【0033】
示されるように、第1のエチレン系ポリマーは、0.880~0.918g/cm3
の密度を有し得る。0.880~0.918g/cm3の全ての個々の値および部分範囲
が、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、第1のエチレン系ポリマーの密度
は、0.918、0.912、または0.908g/cm3の上限から0.880、0.
890、または0.900g/cm3の下限のものであり得る。
【0034】
示されるように、第1のエチレン系ポリマーは、ASTM D 1238に従って測
定された0.5~8.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有し得る。0.5~
8.0g/10分の全ての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示
され、例えば、第1のエチレン系ポリマーのメルトインデックスは、8.0、7.0、5
.5、4.0、または3.0g/10分の上限から0.5、0.7、0.9、または1.
1g/10分の下限のものであり得る。
【0035】
第1のエチレン系ポリマーは、いくつかの実施形態では、112℃以下の融点を有し
得る。第1のエチレン系ポリマーは、様々なさらなる実施形態では、90℃~105℃、
90℃~100℃、または95℃~100℃の範囲の融点を有し得る。
【0036】
1つ以上の実施形態では、第1のエチレン系ポリマーは、0.890~0.908g
/cm3の密度および0.5~3g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、ポ
リオレフィンプラストマー(POP)などのプラストマーであり得る。0.890~0.
908g/cm3および0.5~3g/10分の全ての個々の値および部分範囲、ならび
にそれらの組み合わせは、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、プラスト
マーの密度は、0.908、0.906、または0.904g/cm3の上限から0.8
90、0.895、または0.900g/cm3の下限のものであり得る。同様に、プラ
ストマーのメルトインデックスは、3.0、2.5、2.0、または1.5g/10分の
上限から0.5、0.7、0.9、または1.0g/10分の下限のものであり得る。
【0037】
第1のエチレン系ポリマーの例には、例えば、AFFINITY(商標)PF114
0G、AFFINITY(商標)PL1850G、AFFINITY(商標)PL188
0、AFFINITY(商標)PL1881、またはAFFINITY(商標)PF11
66Gを含む、ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Comp
anyから市販されているものが含まれ得る。
【0038】
多層フィルム20のシーラント層22はまた、0.5~7.5g/10分のメルトイ
ンデックス(I2)および0.910~0.930g/cm3の密度を有する低密度ポリ
エチレン(LDPE)ポリマーを含み得る。
【0039】
示されるように、LDPEは、0.5~7.5g/10分のメルトインデックス(I
2)を有し得る。0.5~7.5g/10分の全ての個々の値および部分範囲が本明細書
に含まれ、本明細書に開示され、例えば、第1の低密度ポリエチレンポリマーのメルトイ
ンデックスは、7.5、3.0、2.8、2.5、2.2、または2.0g/10分の上
限から0.5、0.7、0.9、または1.1g/10分の下限のものであり得る。
【0040】
示されるように、LDPEは、0.910~0.930g/cm3の密度を有し得る
。0.910~0.930g/cm3の全ての個々の値および部分範囲が、本明細書に含
まれ、本明細書に開示され、例えば、第1の低密度ポリエチレンポリマーの密度は、0.
930、0.925、または0.920g/cm3の上限から0.910、0.915、
または0.920g/cm3の下限のものであり得る。
【0041】
LDPEの例には、例えば、DOW(商標)LDPE432E、LDPE312E、
LDPE310E、またはLDPE PG7008を含む、ミシガン州ミッドランドのT
he Dow Chemical Companyから市販されているものが含まれ得る
。
【0042】
シーラント層22はまた、1つ以上の添加剤をさらに含み得る。添加剤としては、特
定の用途の要件に応じて、帯電防止剤、カラーエンハンサ、染料、潤滑剤、充填剤(例え
ば、TiO2またはCaCO3)、乳白剤、成核剤、加工助剤、顔料、一次酸化防止剤、
二次酸化防止剤、UV安定剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、粘着付与剤、難燃剤、
抗菌剤、臭気低減剤、抗真菌剤、酸素捕捉剤、水分捕捉剤、およびこれらの組み合わせを
挙げることができるが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態では、添加剤は、ブ
ロッキング防止剤、スリップ剤、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0043】
再び
図2および
図3を参照すると、多層フィルム20の外層24は、第2のエチレン
系ポリマーを含み得る。1つ以上の実施形態では、外層24は、シーラント層22よりも
少なくとも15℃高い融点、ASTM D1238(190℃、2.16kg)で測定し
たときに0.5~5g/10分のメルトインデックス(I
2)、および0.940~0.
970g/cm
3の密度を有する少なくとも40重量%の第2のエチレン系ポリマーを含
み得る。
【0044】
様々な実施形態では、外層24は、少なくとも40重量%の第2のエチレン系ポリマ
ー、少なくとも50重量%の第2のエチレン系ポリマー、少なくとも65重量%の第2の
エチレン系ポリマー、少なくとも75重量%の第2のエチレン系ポリマー、または少なく
とも85重量%の第2のエチレン系ポリマーを含み得る。40~100重量%の全ての個
々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、描写された
特徴を有する第2のエチレン系ポリマーの量は、40、50、60、70、または85重
量%の下限から85、95、または100重量%の上限のものであり得る。例えば、外層
24を形成する第2のエチレン系ポリマーの量は、40~100重量%、または別の方法
では65~95重量%、または別の方法では85~100重量%、または別の方法では8
7~92重量%であり得る。
【0045】
示されるように、第2のエチレン系ポリマーは、0.940~0.970g/cm3
の密度を有し得る。0.940~0.970g/cm3の全ての個々の値および部分範囲
が、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、第2のエチレン系ポリマーの密度
は、0.970、0.960、または0.950g/cm3の上限から0.940、0.
945、または0.950g/cm3の下限のものであり得る。
【0046】
示されるように、第2のエチレン系ポリマーは、ASTM D 1238に従って測
定された0.5~5.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有し得る。0.5~
5.0g/10分の全ての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書に開
示され、例えば、第2のエチレン系ポリマーのメルトインデックスは、5.0、3.0、
2.0、または1.0g/10分の上限から0.5、0.6、0.7、または0.8g/
10分の下限のものであり得る。
【0047】
第2のエチレン系ポリマーは、シーラント層22よりも少なくとも15℃高い融点を
有し得る。第2のエチレン系ポリマーは、様々なさらなる実施形態では、シーラント層2
2よりも少なくとも25℃高い、シーラント層22よりも少なくとも35℃高い、シーラ
ント層22よりも少なくとも45℃高い融点を有し得る。
【0048】
第2のエチレン系ポリマーの例には、例えば、ELITE(商標)5960Gまたは
ELITE(商標)5940Gを含む、ミシガン州ミッドランドのThe Dow Ch
emical Companyから市販されているもの、ならびに市販の様々なHDPE
樹脂が含まれ得る。
【0049】
多層フィルム20の中間層26は、第3のエチレン系ポリマーを含み得る。1つ以上
の実施形態では、中間層26は、少なくとも40重量%の第3のエチレン系ポリマーを含
み得る。第3のエチレン系ポリマーは、シーラント層22よりも少なくとも15℃高い融
点、ASTM D1238(190℃、2.16kg)で測定したときに0.25~5.
0g/10分のメルトインデックス(I2)、および0.920g/cm3を超える密度
を有し得る。
【0050】
様々な実施形態では、中間層26は、少なくとも40重量%の第3のエチレン系ポリ
マー、少なくとも50重量%の第3のエチレン系ポリマー、少なくとも65重量%の第3
のエチレン系ポリマー、少なくとも75重量%の第3のエチレン系ポリマー、または少な
くとも85重量%の第3のエチレン系ポリマーを含み得る。40~100重量%の第3の
エチレン系ポリマーの全ての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書に
開示され、例えば、描写された特徴を有する第3のエチレン系ポリマーの量は、40、5
0、60、70、または85重量%の下限から85、95、または100重量%の上限の
ものであり得る。例えば、中間層26を形成する第3のエチレン系ポリマーの量は、40
~100重量%、または別の方法では65~95重量%、または別の方法では85~10
0重量%、または別の方法では87~92重量%であり得る。
【0051】
示されるように、第3のエチレン系ポリマーは、少なくとも0.920g/cm3の
密度を有し得る。0.920~0.970g/cm3の全ての個々の値および部分範囲が
、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、第2のエチレン系ポリマーの密度は
、0.970、0.960、または0.950g/cm3の上限から0.920、0.9
25、0.935、または0.950g/cm3の下限のものであり得る。1つ以上の特
定の実施形態では、第3のエチレン系ポリマーは、0.940~0.970g/cm3の
密度を有し得る。
【0052】
示されるように、第3のエチレン系ポリマーは、ASTM D 1238に従って測
定された0.25~5.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有し得る。0.2
5~5.0g/10分の全ての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書
に開示され、例えば、第3のエチレン系ポリマーのメルトインデックスは、5.0、4.
5、4.0、3.5、または3.0g/10分の上限から0.25、0.4、0.7、ま
たは1.1g/10分の下限のものであり得る。
【0053】
第3のエチレン系ポリマーは、シーラント層22よりも少なくとも15℃高い融点を
有し得る。第3のエチレン系ポリマーは、様々なさらなる実施形態では、シーラント層2
2よりも少なくとも25℃高い、シーラント層22よりも少なくとも35℃高い、シーラ
ント層22よりも少なくとも45℃高い融点を有し得る。
【0054】
第3のエチレン系ポリマーの例には、例えば、ELITE(商標)5960Gまたは
ELITE(商標)5940Gを含む、ミシガン州ミッドランドのThe Dow Ch
emical Companyから市販されているものが含まれ得る。
【0055】
外層24および少なくとも1つの中間層26にそれぞれ配置された第2のエチレン系
ポリマーおよび第3のエチレン系ポリマーのうちの1つ以上は、同じ基礎となるエチレン
系ポリマーを含み得ることが理解されよう。例えば、外層24および少なくとも1つの中
間層26は各々、1つ以上の同じポリマーを含み得る。
【0056】
多層フィルム20の中間層26はまた、少なくとも0.935g/cm3の密度を有
する直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)ポリマーを含み得る。LLDPEの例には
、DOWLEX(商標)2740Gを含む、ミシガン州ミッドランドのThe Dow
Chemical Companyから市販されているものが含まれ得る。
【0057】
図3を参照すると、さらなる実施形態では、多層フィルム20は、5つ以上の別個の
層を含み得る。具体的には、多層フィルムは、シーラント層22、外層24、シーラント
層22および外層24に隣接する少なくとも2つの中間層26、ならびに少なくとも2つ
の中間層26の間に配置された1つ以上のコア層28を含み得る。
図3は、少なくとも2
つの中間層26の間に配置された単一のコア層28を示しているが、多層フィルム20は
、
図3で参照番号26および28が逆になるように、2つ以上のコア層28の間に配置さ
れた中間層26を含み得ることが等しく想定されることが理解されよう。
【0058】
コア層28は、0.25~5.0g/10分のメルトインデックス(I2)および0
.900~0.925g/cm3の密度を有するエチレン系ポリマーを含み得る。0.9
00~0.925g/cm3の全ての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、本
明細書に開示され、例えば、エチレン系ポリマーの密度は、0.925、0.922、ま
たは0.920g/cm3の上限から0.900、0.905、0.910g/cm3の
下限のものであり得る。0.25~5.0g/10分の全ての個々の値および部分範囲が
、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、第3のエチレン系ポリマーのメルト
インデックスは、5.0、3.0、2.0、または1.0g/10分の上限から0.25
、0.4、0.6、または0.7g/10分の下限のものであり得る。開示された特性を
有するコア層28の例には、例えば、INNATE(商標)ST50を含む、ミシガン州
ミッドランドのThe Dow Chemical Companyから市販されている
ものが含まれる。
【0059】
バリア特性が重要である多層構造のいくつかの実施形態では、コア層28はまた、ま
たは代替的に、エチレンビニルアルコール、ポリアミド、またはそれらの組み合わせを含
み得る。コア層28を形成するエチレンビニルアルコールの例には、例えば、EVAL
H171Bを含む、テキサス州ヒューストンのKuraray Americaから市販
されているもの、ならびに当業者に知られている他のものが含まれ得る。ポリアミドは、
バリア特性を提供するのに有用であるとして当業者に知られている任意のものであり得る
。エチレンビニルアルコールまたはポリアミドは、酸素および/または水蒸気バリア特性
を提供する。
【0060】
コア層28がエチレンビニルアルコールまたはポリアミドを含む実施形態では、中間
層26は、特にそれらの層が主にポリエチレンおよび/またはポリプロピレンから形成さ
れるとき、コア層28とシーラント層22または外層24との間の接着を容易にする結合
層であり得る。いくつかのそのような実施形態では、中間層26は、結合層として有用で
あることが知られている無水マレイン酸グラフト化ポリエチレンまたは他の官能化樹脂を
含み得る。無水マレイン酸グラフト化ポリエチレンの好適な商業的例は、The Dow
Chemical Company(ミシガン州ミッドランド)のAMPLIFY(商
標)TY1352であり、当業者に知られている他のものも使用することができる。
【0061】
多層フィルム20の層のうちの1つ以上は、プロピレン系ポリマーを含み得る。プロ
ピレン系ポリマーの例には、INTUNE(商標)を含むミシガン州ミッドランドのTh
e Dow Chemical Company、MoplenEP310Dを含むテキ
サス州ヒューストンのLyondellBasell、およびBorpactBC918
CFを含むオーストリア、ウィーンのBorealisAGから市販されているものが含
まれ得る。
【0062】
開示されるように、多層フィルム20は、多層フィルム20を形成する層の数および
各層の組成物の変形例を含み得る。1つ以上の実施形態では、多層フィルム20は全体と
して、多層フィルム20の総重量に基づいて、90重量%以上のエチレン系ポリマーを含
む。つまり、一緒に組み合わされたときの各層の様々な組成物は、少なくとも90重量%
のエチレン系ポリマーを含む。様々なさらなる実施形態では、多層フィルム20は、少な
くとも92重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも99重量
%、少なくとも99.5重量%、少なくとも99.9重量%、または少なくとも99.9
5重量%のエチレン系ポリマーを含む。多層フィルム20は、実質的に100%エチレン
系ポリマーからなり得ることが理解されよう。本開示の目的のために、「実質的に100
%エチレン系ポリマーからなる」とは、フィルムが、微量の不純物または汚染物質を除い
て、100%エチレン系ポリマーであることを意味する。
【0063】
図4を参照すると、多層構造40は、ラミネート構造を含み得る。1つ以上の実施形
態では、第1の多層フィルムを第2の多層フィルムに積層して、ラミネート構造を形成す
ることができる。説明のために、
図4の多層構造40は、
図2に関連して上で論じた多層
フィルム20に積層されている第2のフィルム30を示す。
【0064】
ラミネートフィルムは、押出コーティング/ラミネーションまたは接着剤ラミネーシ
ョンのいずれかによって調製され得る。押出コーティングまたはラミネーションは、包装
材料を生成するための技法である。キャストフィルムと同様に、押出コーティングはフラ
ットダイ技法である。フィルムは、例えば、USP4,339,507に説明されている
プロセスに従って、単層または共押出押出物のいずれかの形態で基材上に押出コーティン
グされ得る。複数の押出機を利用するか、または様々な基材を押出コーティングシステム
に数回通すことにより、それぞれが、バリア、靭性、または改善されたホットタックもし
くはヒートシール性であるかどうかにかかわらず、何らかの性能属性を提供する複数のポ
リマー層を得ることができる。
【0065】
図4に示されるような1つ以上の実施形態では、第2のフィルム30は、多層構造4
0を構成し得る。したがって、第2のフィルム30は、ラミネーション層32、表面層3
4、および1つ以上の中央層36を含み得る。ラミネーション層32は、接着剤250で
多層フィルム20の外層24に接着され、多層構造40を形成し得る。多層構造40は、
中央に配置されたシーラント層22、中間層26の間に配置された任意のコア層28を伴
う1つ以上の中間層26、外層24、接着剤層、ラミネーション層32、1つ以上の中央
層36、および表面層34に従う配置を含み得る。
【0066】
ラミネーション層32、表面層34、および1つ以上の中央層36の各々は、いくつ
かの実施形態では、エチレン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、またはそれらの混合物
を含み得る。
【0067】
1つ以上の実施形態では、第2のフィルム30は、0.940~0/970g/cm
3の密度および0.5~5.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する第4の
エチレン系ポリマーを含む1つ以上の層を含む。第2のフィルム30の個々の層の各々は
、異なる別個の組成物を含み得ることが理解されよう。
【0068】
示されるように、第4のエチレン系ポリマーは、0.940~0.970g/cm3
の密度を有し得る。0.940~0.970g/cm3の全ての個々の値および部分範囲
が、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、第4のエチレン系ポリマーの密度
は、0.970、0.960、また0.950g/cm3の上限から0.940、0.9
45、または0.950g/cm3の下限のものであり得る。
【0069】
示されるように、第4のエチレン系ポリマーは、ASTM D 1238に従って測
定された0.5~5.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有し得る。0.5~
5.0g/10分の全ての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書に開
示され、例えば、第4のエチレン系ポリマーのメルトインデックスは、5.0、4.5、
4.0、3.5、または3.0g/10分の上限から0.5、0.7、0.9、または1
.1g/10分の下限のものであり得る。
【0070】
多層フィルム20の第1のエチレン系ポリマー、第2のエチレン系ポリマー、および
第3のエチレン系ポリマーのうちの1つ以上は、多層フィルム30の第4のエチレン系ポ
リマーと同じ基礎となるエチレン系ポリマーを含み得ることが理解されよう。例えば、多
層フィルム20の外層24を形成する第2のエチレン系ポリマー、および第2のフィルム
30の1つ以上の層を形成する第4のエチレン系ポリマーは各々、1つ以上の同じポリマ
ーを含み得る。
【0071】
代替の実施形態では、第2のフィルム30は、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)
、二軸延伸ポリアミド(BOPA)、または二軸延伸ポリエチレンテレフタレートBOP
ET)を含む。BOPPの例には、TaghleefTSSおよびTaghleefMU
Sを含むデラウェア州ニューアークのTaghleef Industries、VIB
C CTおよびVIBAC MTSを含むイタリア、ティチネートのVIBAC Gro
up、ならびにBicor MB400およびBicor CSRMを含むインド、ニュ
ーデリーのJindal Filmsから市販されているものが含まれ得る。BOPAの
例には、FILMON BXを含むベルギーのゲント-ズウェイナールデのDomo C
hemicals、およびAMIDROLLを含む大韓民国ソウルのKOLON Ind
ustriesから市販されているものが含まれ得る。BOPETの例には、バージニア
州チェスターのDuPont Teijin FilmsのMylar M813、なら
びにHostaphan RNK2600およびHostaphan RNK2CSRを
含むサウスカロライナ州グリーアのMitsubishi Polyester Fil
mから市販されているものが含まれ得る。
【0072】
第2のフィルム30の1つ以上の層は、プロピレン系ポリマーを含み得る。プロピレ
ン系ポリマーの例には、Moplen EP310Dを含むテキサス州ヒューストンのL
yondellBasell、およびBorpact BC918CFを含むオーストリ
ア、ウィーンのBorealisAGから市販されているものが含まれ得る。
【0073】
多層フィルム20に関して開示されたものと同様に、第2のフィルム30は、第2の
フィルム30を形成する層の数および各層の組成物の変形例を含み得る。1つ以上の実施
形態では、第2のフィルム30は全体として、第2のフィルム30の総重量に基づいて、
90重量%以上のエチレン系ポリマーを含む。つまり、一緒に組み合わされたときの各層
の様々な組成物は、少なくとも90重量%のエチレン系ポリマーを含む。様々なさらなる
実施形態では、第2のフィルム30は、少なくとも92重量%、少なくとも95重量%、
少なくとも97重量%、少なくとも99重量%、少なくとも99.5重量%、少なくとも
99.9重量%、または少なくとも99.95重量%のエチレン系ポリマーを含む。第2
のフィルム30は、実質的に100%エチレン系ポリマーからなり得ることが理解されよ
う。100%エチレン系ポリマーから実質的になる多層フィルム20と組み合わせて、全
体として100%エチレン系ポリマーから実質的になる多層構造40を形成することがで
きる。
【0074】
1つ以上の実施形態では、多層フィルム20または第2のフィルム30は、表面コー
ティング100をさらに含み得る。表面コーティング100は、インク、オーバープリン
トラッカー、またはそれらの両方であり得る。表面コーティング100は、多層構造40
上にパッケージ内容物または他のしるしを印刷することを提供する。
【0075】
多層構造40は、いくつかの実施形態では、70~150マイクロメートル(μm)
の総厚を含み得る。多層フィルム20は、積層構造を形成するために提供される第2のフ
ィルム30なしで、多層構造40全体を形成するとき、70~120μmの総厚を含み得
る。様々な実施形態では、単独で提供される場合の多層フィルム20は、70~110μ
m、80~120μm、90~110μm、または約110μmの総厚を含む。多層構造
40が多層フィルム20と第2のフィルム30との両方から形成される積層構造を含む場
合、多層フィルム20は、35~80μmの総厚を含み得、第2のフィルム30は、35
~70μmの総厚を含み得る。様々な実施形態では、多層フィルム20は、積層構造の一
部として提供される場合、35~75μm、50~80μm、60~80μm、または約
70μmの総厚を含み得る。同様に、様々な実施形態では、第2のフィルム30は、積層
構造の一部として提供される場合、35~65μm、40~70μm、40~60μm、
または約50μmの総厚を含み得る。多層構造40の総厚は、多層フィルム20および/
または第2のフィルム30の個々の層を追加もしくは除去するか、または個々の層厚を変
更することによって調整できることが理解されよう。多層フィルム20および/または第
2のフィルム30内の個々の層はまた、所望の最終パッケージ特性を提供するために厚さ
が変わり得る。多層フィルム20および多層構造40が
図2、
図3、および
図4に示され
ているが、示されている層の相対的な厚さは、層を区別するための例示目的のみを意図し
ており、層の相対的な厚さを限定するものとして見るべきではないことが理解されよう。
【0076】
本開示に従ってスパウトを含むパッケージを作製するためのプロセスは、従来のシス
テムおよび方法に優る利益および利点を提供することが理解されよう。初期事項として、
熱転写は、パッケージの厚さ全体を通過する必要はない。結果として、パッケージの外層
は、非常に高い熱抵抗を含む必要はない。具体的には、スパウトを備えたパッケージを作
製するための従来のプロセスでは、200℃以上の熱を多層フィルムの外面に直接適用し
て、十分な熱を、フィルムを介して伝達して、シーリングを開始する必要があり得る。フ
ィルムの外層の熱抵抗要件が低減されているため、外層を含むパッケージの厚さ全体にエ
チレン系ポリマーまたはプロピレン系ポリマーを使用できる。パッケージ材料の全体にエ
チレン系ポリマーまたはプロピレン系ポリマーを利用できるため、100%リサイクル可
能なパッケージ、およびそれに応じた環境への影響の低減が可能になる。具体的には、多
層構造40とスパウト10との両方を形成するエチレン系ポリマーまたはプロピレン系ポ
リマーは、以前より利用可能な試験片よりもパッケージのリサイクル性を改善する。
【0077】
本開示のプロセスに従って製造されるスパウトを備えたパッケージはまた、シーリン
グ層または他のフィルム層のフィルム厚の大幅な減少を示さない。スパウトを備えた従来
のパッケージは、スパウトの設置中に加えられた圧搾圧力と組み合わせて、フィルム厚全
体を加熱し、シーリング層全体を溶融することによりシーリング層が薄くなる。シーラン
ト層の最内面を溶融および軟化させるだけで本プロセスによりフィルム厚の減少を回避す
ることは、改善されたフィルムの完全性の結果として、破裂および圧縮試験抵抗の両方を
改善することが期待される。
【0078】
本開示によるスパウトを含むパッケージを作製するためのプロセスは、いくつかの実
施形態では、生産量の増加を可能にすることが期待される。具体的には、従来使用できる
よりも低いシール開始温度(SIT)を有する材料は、パッケージのシーラント層を形成
することができ、これにより機械の速度が向上する。より低いSITでは、2つの多層構
造の対向する表面がスパウトの周りでプレスされて、スパウトの周りの開口部を閉じる間
、シーラント層が、溶融したスパウトとの接触により、より短時間で溶融し、保持時間を
それほど必要としないため、より高い機械速度が可能である。さらに、パウチを形成する
際のコーキング効果が改善されたシーラントを使用できるため、パッケージの漏れを減ら
すことができる。具体的には、シーラント層を直接加熱することにより、パッケージフィ
ルムの外側から加熱することによりパッケージを形成する場合には不可能である、より低
いSITでプレミアムシーラントを使用することが可能になる。
【実施例0079】
以下の実施例は、本明細書に記載される多層構造40、多層フィルム20、および第
2のフィルム30の様々な実施形態を示す。
【0080】
以下の表1は、以下の実施例で使用される市販ポリマーの特性を含む。
【表1】
【0081】
3層の実施例
多層フィルム20の例示的な3層構造を表2に提供する。具体的には、多層フィルム
20の3層構造は、20~25重量%のシーラント層22、50~60重量%の中間層2
6、および20~25重量%の外層24の内訳を含み得る。シーラント層22はさらに、
AFFINITY(商標)PF1140G、AFFINITY(商標)PL1880G、
AFFINITY(商標)PL1881G、またはAFFINITY(商標)PF114
6Gなど、80~100重量%の第1のエチレン系ポリマーに描写され得る。シーラント
層22の残りの部分(0~20重量%)は、DOW(商標)LDPE432E、DOW(
商標)LDPE312E、またはDOW(商標)LDPE310EなどのLDPE、なら
びにスリップ剤およびブロッキング防止剤を含み得る。中間層26はさらに、ELITE
(商標)5960GまたはELITE(商標)5940Gなど、85~100重量%の第
2のエチレン系ポリマーに描写され得る。中間層26の残りの部分(0~15重量%)は
、DOW(商標)LDPE432E、DOW(商標)LDPE312E、またはDOW(
商標)LDPE310EなどのLDPEを含み得る。最後に、外層24はさらに、ELI
TE(商標)5960GまたはELITE(商標)5940Gなど、85~100重量%
の第3のエチレン系ポリマーに描写され得る。外層24の残りの部分(0~15重量%)
は、DOW(商標)LDPE432E、DOW(商標)LDPE312E、またはDOW
(商標)LDPE310EなどのLDPEを含み得る。
【表2】
【0082】
5層の実施例
多層フィルム20の例示的な5層構造を表3に提供する。具体的には、多層フィルム
20の5層構造は、20~25重量%のシーラント層22、15~25重量%の中間層2
6、20重量%のコア層28、15~25重量%の追加の中間層26、および15~25
重量%の外層24の内訳を含み得る。シーラント層22はさらに、AFFINITY(商
標)PF1140G、AFFINITY(商標)PL1880G、AFFINITY(商
標)PL1881G、またはAFFINITY(商標)PF1146Gなど、80~10
0重量%の第1のエチレン系ポリマーに描写され得る。シーラント層22の残りの部分(
0~20重量%)は、DOW(商標)LDPE432E、DOW(商標)LDPE312
E、またはDOW(商標)LDPE310EなどのLDPE、ならびにスリップ剤および
ブロッキング防止剤を含み得る。中間層26の各々はさらに、ELITE(商標)596
0GまたはELITE(商標)5940Gなどの、85~100重量%の第2のエチレン
系ポリマーに描写され得る。中間層26の各々の残りの部分(0~15重量%)は、DO
W(商標)LDPE432E、DOW(商標)LDPE312E、またはDOW(商標)
LDPE310EなどのLDPEを含み得る。コア層28は、100重量%のINNAT
E(商標)ST-50を含み得る。最後に、外層24はさらに、ELITE(商標)59
60GまたはELITE(商標)5940Gなど、85~100重量%の第3のエチレン
系ポリマーに描写され得る。外層24の残りの部分(0~15重量%)は、DOW(商標
)LDPE432E、DOW(商標)LDPE312E、またはDOW(商標)LD P
E310EなどのLDPEを含み得る。
【表3】
【0083】
7層の実施例
多層フィルム20の例示的な7層構造を表4に提供する。具体的には、多層フィルム
20の7層構造は、20~25重量%のシーラント層22、20~25重量%の様々な中
間層26の各々、各々5~20重量%の様々なコア層28、および20~25重量%の外
層24の内訳を含み得る。シーラント層22はさらに、AFFINITY(商標)PF1
140G、AFFINITY(商標)PL1880G、AFFINITY(商標)PL1
881G、またはAFFINITY(商標)PF1146Gなど、80~100重量%の
第1のエチレン系ポリマーに描写され得る。シーラント層22の残りの部分(0~20重
量%)は、DOW(商標)LDPE432E、DOW(商標)LDPE312E、または
DOW(商標)LDPE310EなどのLDPE、ならびにスリップ剤およびブロッキン
グ防止剤を含み得る。様々な中間層26は、別個の特性および組成を有するものにさらに
分割することができる。例えば、多層フィルム20は、1つ以上の中間層26を含み、各
々がAMPLIFY(商標)TY1352から形成された多層フィルム20の5~8重量
%を構成し得る。1つ以上のさらなる中間層26は、多層フィルム20の20~25重量
%を形成し、ELITE(商標)5960GまたはELITE(商標)5940Gなど、
85~100重量%の第2のエチレン系ポリマーを含み、残りの部分(0~15重量%)
が、DOW(商標)LDPE432E、DOW(商標)LDPE312E、またはDOW
(商標)LDPE310EなどのLDPEを含み得る。様々なコア層28は、別個の特性
および組成を有するものにさらに分割することができる。例えば、多層フィルム20は、
1つ以上のコア層28を含み、各々がEVAL(商標)H171Bから形成された多層フ
ィルム20の5~8重量%を構成し得る。1つ以上のさらなるコア層28は、多層フィル
ム20の15~20重量%を形成し、INNATE(商標)ST-50を含み得る。最後
に、外層24はさらに、ELITE(商標)5960GまたはELITE(商標)594
0Gなど、85~100重量%の第3のエチレン系ポリマーに描写され得る。外層24の
残りの部分(0~15重量%)は、DOW(商標)LDPE432E、DOW(商標)L
DPE312E、またはDOW(商標)LDPE310EなどのLDPEを含み得る。
【表4】
【0084】
積層の実施例
積層は、多層フィルム20および第2のフィルム30から形成される多層構造40を
形成することができる。例示的な第2のフィルム30を表5に提供する。第2のフィルム
30は、前述の3層、5層、および7層の実施例を含む多数の多層フィルム20のいずれ
かに貼り付けることができる。第2のフィルム30の構造は、20~25重量%のラミネ
ーション層32、50~60重量%の中央層36、および20~25重量%の表面層34
の内訳を含み得る。ラミネーション層32はさらに、ELITE(商標)5960G、E
LITE(商標)5940G、またはINNATE(商標)ST-50など、85~10
0重量%の第4のエチレン系ポリマーに描写され、ラミネーション層32の残りの部分(
0~20重量%)は、DOW(商標)LDPE432E、DOW(商標)LDPE312
E、またはDOW(商標)LDPE310EなどのLDPEを含み得る。中央層36はさ
らに、ELITE(商標)5960GまたはELITE(商標)5940Gなど、85~
100重量%の第4のエチレン系ポリマーに描写され得る。中央層36の残りの部分(0
~15重量%)は、DOW(商標)LDPE432E、DOW(商標)LDPE312E
、またはDOW(商標)LDPE310EなどのLDPEを含み得る。最後に、表面層3
4はさらに、ELITE(商標)5960GまたはELITE(商標)5940Gなど、
85~100重量%の第4のエチレン系ポリマーに描写され得る。表面層34の残りの部
分(0~15重量%)は、DOW(商標)LDPE432E、DOW(商標)LDPE3
12E、またはDOW(商標)LDPE310EなどのLDPEを含み得る。
【表5】
【0085】
本開示の第1の態様は、スパウトを含むパッケージを作製するためのプロセスを対象
とし、(a)スパウトのシーリング領域をスパウト材料の融点以上の温度に加熱すること
と、(b)2つの多層構造をそれらの外周の一部の周りで加熱して、シーラント層の外周
を互いに接着し、開口部を有する部分的にシールされたパッケージを形成することと、(
c)加熱されたスパウトの少なくとも一部を開口部に挿入することと、(d)2つの多層
構造の対向する表面をスパウトの周りでプレスして、スパウトの周りの開口部を閉じるこ
とと、を含み得る。各多層構造は、多層フィルムを含み、多層フィルムが、112℃未満
の融点、ASTM D1238(190℃、2.16kg)で測定したときに0.5~8
g/10分のメルトインデックス(I2)、および0.880~0.918g/cm3の
密度を有する少なくとも40重量%のエチレン系ポリマーを有するシーラント層と、エチ
レン系ポリマーを含む外層と、シーラント層と外層との間に配置され、シーラント層より
も少なくとも15℃高い融点を有する少なくとも1つの中間層と、を含み、中間層が、0
.920g/cm3を超える密度および0.25~5g/10分のメルトインデックス(
I2)を有するエチレン系ポリマー;プロピレン系ポリマー;またはそれらの混合物を含
む。
【0086】
本開示の第2の態様は、シーラント層のエチレン系ポリマーが、0.890~0.9
08g/cm3の密度および0.5~3g/10分のメルトインデックス(I2)を有す
るプラストマーである、第1の態様を含み得る。
【0087】
本開示の第3の態様は、シーラント層が、0.910~0.930g/cm3の密度
および0.5~7.5g/10分のメルトインデックス(I2)を有する低密度ポリエチ
レン(LDPE)ポリマー、ならびに任意にブロッキング防止剤およびスリップ剤のうち
の1つ以上をさらに含む、第1の態様または第2の態様を含み得る。
【0088】
本開示の第4の態様は、シーラント層が、少なくとも80重量%のエチレン系ポリマ
ーを含む、第1~3の態様を含み得る。
【0089】
本開示の第5の態様は、外層、少なくとも1つの中間層、またはそれらの両方が、0
.940~0.970g/cm3の密度および0.5~5.0g/10分のメルトインデ
ックス(I2)を有するエチレン系ポリマーを含む、第1~4の態様を含み得る。
【0090】
本開示の第6の態様は、多層フィルムが、多層フィルムの総重量に基づいて90重量
パーセント以上のエチレン系ポリマーを含む、第1~5の態様を含み得る。
【0091】
本開示の第7の態様は、中間層が、エチレン系ポリマーを含み、エチレン系ポリマー
が、少なくとも0.935g/cm3の密度を有する直鎖状低密度ポリエチレン(LLD
PE)である、第1~6の態様を含み得る。
【0092】
本開示の第8の態様は、多層フィルムが、コア層を含む少なくとも5つの層を含み、
コア層が、エチレンビニルアルコール、ポリアミド、またはそれらの組み合わせを含む、
第1~6の態様を含み得る。
【0093】
本開示の第9の態様は、中間層のエチレン系ポリマーが、無水マレイン酸グラフト化
ポリエチレンである、第8の態様を含み得る。
【0094】
本開示の第10の態様は、各多層構造が、多層フィルムに積層された第2のフィルム
をさらに含む、第1~6の態様を含み得る。
【0095】
本開示の第11の態様は、第2のフィルムが、0.940~0.970g/cm3の
密度および0.5~5.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有するエチレン系
ポリマーを含む1つ以上の層を含む、第10の態様を含み得る。
【0096】
本開示の第12の態様は、第2のフィルムが、第2のフィルムの総重量に基づいて9
0重量パーセント以上のエチレン系ポリマーを含む、第10の態様または第11の態様を
含み得る。
【0097】
本開示の第13の態様は、第2のフィルムが、二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ポ
リアミド、二軸延伸またはポリエチレンテレフタレートを含む、第10の態様を含み得る
。
【0098】
本開示の第14の態様は、スパウトが、高密度ポリエチレンを含む、第1~第13の
態様を含み得る。
【0099】
本開示の第15の態様は、プロセスが、対向する構造表面を加熱して、スパウトの周
りの開口部を閉じることをさらに含む、第1~第14の態様を含み得る。
【0100】
本開示の第16の態様は、対向する構造表面が、同時に加熱かつプレスされて、スパ
ウトの周りの開口部を閉じる、第1~第15の態様を含み得る。
【0101】
第17の態様は、第1~第16の態様のいずれかのプロセスによって作製されたスパ
ウトを含むパッケージを含む。
【0102】
本開示の第18の態様は、パッケージが、パウチである、第17の態様を含み得る。
【0103】
本開示全体を通して、接着剤組成物、多層フィルム、および接着剤組成物または多層
フィルムを含むパッケージの様々な特性について範囲が提供される。1つ以上の明確な範
囲が提供されたときには、あらゆる可能な組み合わせの明確なリストが禁止しない限り、
個々の値および該値の間に形成される範囲も提供されることを意図する。例えば、1~1
0の範囲ならば、1、2、3、4.2、および6.8などの個々の値、ならびに1~8、
2~4、6~9、および1.3~5.6などの提供された境界内で形成され得る全ての範
囲も含む。
【0104】
ここで、パッケージを形成するスパウトおよび多層フィルムを含む該パッケージを作
製するためのプロセスの様々な態様が説明され、そのような態様は、様々な他の態様と併
せて利用できることを理解されたい。また、当業者には、特許請求される主題の趣旨およ
び範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を説明される実施形態に行うことが
できることも理解されるはずである。したがって、そのような修正および変更が添付の特
許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内に入る限り、本明細書は、説明される様々な
実施形態の修正および変更を包含することを意図する。
ここで、パッケージを形成するスパウトおよび多層フィルムを含む該パッケージを作製するためのプロセスの様々な態様が説明され、そのような態様は、様々な他の態様と併せて利用できることを理解されたい。また、当業者には、特許請求される主題の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を説明される実施形態に行うことができることも理解されるはずである。したがって、そのような修正および変更が添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内に入る限り、本明細書は、説明される様々な実施形態の修正および変更を包含することを意図する。
本願は以下の態様にも関する。
(1) スパウトを含むパッケージを作成するためのプロセスであって、
(a)スパウトのシーリング領域を前記スパウトの材料の融点以上の温度に加熱することと、
(b)2つの多層構造をそれらの外周の一部の周りで加熱して、シーラント層の外周を互いに接着し、開口部を有する部分的にシールされたパッケージを形成することであって、各多層構造が、多層フィルムを含み、前記多層フィルムが、
112℃未満の融点、ASTM D1238(190℃、2.16kg)で測定したときに0.5~8g/10分のメルトインデックス(I
2
)、および0.880~0.918g/cm
3
の密度を有する少なくとも40重量%の第1のエチレン系ポリマーを有する前記シーラント層と、
第2のエチレン系ポリマーを含む外層と、
前記シーラント層と前記外層との間に配置され、前記シーラント層よりも少なくとも15℃高い融点を有する少なくとも1つの中間層であって、前記中間層が、0.920g/cm
3
を超える密度および0.25~5g/10分のメルトインデックス(I
2
)を有する第3のエチレン系ポリマー;プロピレン系ポリマー;またはそれらの混合物を含む、少なくとも1つの中間層と、を含む、形成することと、
(c)前記加熱されたスパウトの少なくとも一部を前記開口部に挿入することと、 (d)前記2つの多層構造の対向する表面を前記スパウトの周りでプレスして、前記スパウトの周りの前記開口部を閉じることと、を含む、プロセス。
(2) 前記シーラント層の前記第1のエチレン系ポリマーが、0.890~0.908g/cm
3
の密度および0.5~3g/10分のメルトインデックス(I
2
)を有するプラストマーである、前記(1)に記載のプロセス。
(3) 前記シーラント層が、0.910~0.930g/cm
3
の密度および0.5~7.5g/10分のメルトインデックス(I
2
)を有する第1の低密度ポリエチレン(LDPE)ポリマーと、任意にブロッキング防止剤およびスリップ剤のうちの1つ以上と、をさらに含む、前記(1)または(2)に記載のプロセス。
(4) 前記外層、少なくとも1つの中間層、またはそれらの両方が、0.940~0.970g/cm
3
の密度および0.5~5.0g/10分のメルトインデックス(I
2
)を有するエチレン系ポリマーを含む、前記(1)~(3)のいずれかに記載のプロセス。
(5) 前記多層フィルムが、前記多層フィルムの総重量に基づいて90重量パーセント以上のエチレン系ポリマーを含む、前記(1)~(4)のいずれかに記載のプロセス。
(6) 前記中間層の第3のエチレン系ポリマーが、少なくとも0.935g/cm
3
の密度を有する直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む、前記(1)~(5)のいずれかに記載のプロセス。
(7) 前記多層フィルムが、コア層を含む少なくとも5つの層を含み、前記コア層が、エチレンビニルアルコール、ポリアミド、またはそれらの組み合わせを含む、前記(1)~(5)のいずれかに記載のプロセス。
(8) 前記中間層の前記第3のエチレン系ポリマーが、無水マレイン酸グラフト化ポリエチレンである、前記(7)に記載のプロセス。
(9) 各多層構造が、前記多層フィルムに積層された第2のフィルムをさらに含む、前記(1)~(5)のいずれかに記載のプロセス。
(10) 前記第2のフィルムが、0.940~0.970g/cm
3
の密度および0.5~5.0g/10分のメルトインデックス(I
2
)を有する第4のエチレン系ポリマーを含む1つ以上の層を含む、前記(9)に記載のプロセス。
(11) 前記第2のフィルムが、前記第2のフィルムの総重量に基づいて90重量パーセント以上のエチレン系ポリマーを含む、前記(9)または(10)に記載のプロセス。
(12) 前記第2のフィルムが、二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ポリアミド、または二軸延伸ポリエチレンテレフタレートを含む、前記(9)に記載のプロセス。
(13) 前記スパウトが、高密度ポリエチレンを含む、前記(1)~(12)のいずれかに記載のプロセス。
(14) 前記対向する構造表面が、同時に加熱かつプレスされて、前記スパウトの周りの前記開口部を閉じる、前記(1)~(13)のいずれかに記載のプロセス。
(15) 前記(1)~(14)のいずれかに記載のプロセスによって作製されたスパウトを含むパッケージ。